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【邪神ちゃんドロップキックSS】邪神ちゃん「宝くじに当たりましたの!」


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ドロップキック要素はありません。
2:
喫茶店
邪神ちゃん「?♪」チュー
邪神ちゃん「エアコンの効いた店内で、生イチゴジュースを飲みながらのネットサーフィン…」
邪神ちゃん「…最高だな!」
邪神ちゃん(ここが天国か…)
邪神ちゃん「メデューサに買ってもらったタブレット、なかなか使えますの」
邪神ちゃん「ハッ!」
邪神ちゃん(喫茶店でタブレットいじるとか…すごくキャリアウーマンっぽい!)
邪神ちゃん(いかにも「デキる女」って感じですの!!)
邪神ちゃん「まぁ実際はネットしてるだけだがな」
邪神ちゃん「さぼうるでサボーる?♪」ゲラゲラ
他の客「…」
----------------------------------------------------------------------------
3:
邪神ちゃん「さてと、ナウなヤングにバカウケなコンテンツでも調べますの」
邪神ちゃん「今の流行りは…っと、ん?『Vチューバ―』?」
邪神ちゃん「なになに、架空のキャラクターに声を付けて動画配信…」
邪神ちゃん(自主制作アニメみたいなものか…?)
邪神ちゃん「検索してみよう…」スッスッ
邪神ちゃん「流行ってるだけあって沢山あるな…、あっ!」
邪神ちゃん「何だこれ…『邪神』?」
邪神ちゃん(私にそっくりなキャラがサムネになっている…)
邪神ちゃん「見ざるを得ない」ポチッ
4:
邪神ちゃん「うおーっ!頑張れ邪神ちゃんV(仮)、ゆりねV(仮)を倒せ!!」
邪神ちゃん「あークソッ、また負けましたの!!!」ドン
邪神ちゃん「Vチューバ―になってすらゆりねは倒せないのか…(泣)」
邪神ちゃん「というかスタッフおかしいだろ!邪神ちゃんV(仮)に厳しすぎですの!!」バンバン
マスター「あのー、邪神ちゃんさん…」
邪神ちゃん「ああ!?」キッ
マスター「音漏れもしてますし、声も大きいです」
マスター「他のお客様のご迷惑になるのでそろそろお引き取りを…」ピキピキ
邪神ちゃん「え、あっ、ハイ…」
5:
邪神ちゃん「チクショー、追い出されてしまった…」
邪神ちゃん「人の至福の時間を奪いやがって…!」
邪神ちゃん「だがここはまだWi-Fiが届く!」
邪神ちゃん「お客様は神様なんだぞ!元は取らせてもらうからな!!」
邪神ちゃん「という訳で最後にこの前買った宝くじの当選番号でも調べますの」
邪神ちゃん「1等は4,9,13…か」フムフム
邪神ちゃん「まあさすがに1等までは期待しませんの」
邪神ちゃん「とはいえ商店街の福引も都合よく当たりまくってるし、3等100万円くらいは当たってもいいんじゃないカナ??」
邪神ちゃん「さてと、私のクジは…」カサカサ
邪神ちゃん「おっ、こっちにも4,9,13…か」
邪神ちゃん「同じ列だな」
邪神ちゃん「…?」
邪神ちゃん「えっ」
6:
ゆりねの家
一同「ええ?っ!?」
メデューサ「それじゃあ邪神ちゃん、宝くじで1等に当選したの!?」
邪神ちゃん「ええ、そうですの」
ミノス「10億円かー、すげ?な!」
邪神ちゃん「いえいえ、そんな…とんでもない」
邪神ちゃん「人間界では落魄の身でしたが、元よりわたくしは魔界でも指折りの名門家系の令嬢…」
邪神ちゃん「これくらいは大したことではございませんの」
ゆりね「は?」
邪神ちゃん「ああ!もはやこれ以上生まれ持った気品と優雅さを隠すことはできませんわ!!」
邪神ちゃん「これからは『セレブ邪神ちゃん』と呼んでくださいまし」ヨヨヨ
ゆりね「なかなか調子に乗ってるわね」
7:
ペルセポネ二世「でも正直ビックリだよね」
ペルセポネ二世「お金があればすぐパチスロに溶かしちゃうほどのパチ○カスの邪神ちゃんがさー」
ペルセポネ二世「宝くじの当選発表まで待つ堪え性があるとは思わなかったよ!」
邪神ちゃん「あ?ん?」
邪神ちゃん「おめーよー、最近どんどん口が悪くなってねえか?」ビキビキ
ペルセポネ二世「誰かさんの影響かもねー?」
邪神ちゃん「チッ」
ミノス「まあまあ、落ち着けって」
ゆりね「気品と優雅さはどこに行ったのかしら」
8:
邪神ちゃん「良いのか?そんなこと言って」
邪神ちゃん「舐めた口効く奴にご褒美はないんだぞ?」
メデューサ「ご褒美?」
ピンポーン
邪神ちゃん「おっ、来たみたいだな」
邪神ちゃん「ジャーン!最高級A5ランク黒毛和牛のステーキ肉ですの!!」
ミノス「うまそ?」ジュルリ
ゆりね「ご褒美って、邪神ちゃんのおごりなんて珍しい…」
邪神ちゃん「まあ、私の当選記念兼餞別だな」
ペルセポネ二世「餞別?」
邪神ちゃん「これを機に六本木か麻布あたりのタワマンに引っ越そうと思いますの!」
メデューサ「えっ…」
邪神ちゃん「もうゆりねを殺そうとするのにも疲れたからな…」
邪神ちゃん「まとまったお金も手に入ったし、新天地で少しゆっくりしようと思いますの」
ゆりね「長年働いた会社を定年で辞めて退職金をもらったばかりみたいな言い方ね」
ゆりね「けど、賢明な判断だと思うわ」
邪神ちゃん「最後にお前ら庶民どもに私からご馳走してやろう!」
ゆりね「そういう事ならちょっと待ってて」スクッ
邪神ちゃん「どこに行きますの?」
ゆりね「一人呼んでくるわ、別にいいでしょ?」
邪神ちゃん「まあ好きにしろ」
9:
邪神ちゃん「待ってるのもヒマだし、先に始めてるか」
ペルセポネ二世「邪神ちゃんが焼くの?」
邪神ちゃん「そうですの!」フンス
ミノス「鉄板まで用意して本格的だな?」
邪神ちゃん「私がじっくり料理してやるからな、みんな見とけよ?」
邪神ちゃん「まず、肉を常温に戻す…これは鉄則ですの」
邪神ちゃん「で、常温に戻した肉がこちら」
メデューサ「え、今冷蔵便で届いたばっかりじゃ…」
邪神ちゃん「こまけぇこたぁいいんだよ☆」ニカッ
メデューサ「…」
邪神ちゃん「ちなみに塩も両面に満遍なくふってありますの」
ペルセポネ二世「コショウは?」
邪神ちゃん「焦げるからそれは最後だな」
ペルセポネ二世「へー」
10:
邪神ちゃん「鉄板は強火にして、温まってきたら牛脂を置いて湯気が立つまで待つ」ポトッ
邪神ちゃん「湯気が出たらすかさず肉を投入!」ジュウウウ
ミノス「おおっ!」
邪神ちゃん「後は表裏で焼き加減が変わらないよう30秒ごとにひっくり返して焼きますの」
邪神ちゃん「この厚さだとだいたい5回くらいかな?」
ジュウウウ
邪神ちゃん「そろそろだな」
邪神ちゃん「焼けたら皿に開けますの」
ミノス「…」ゴクッ
邪神ちゃん「よし」カチャン
ミノス「出来たか!?」
ミノス「それじゃあ、いただき…」アーン
邪神ちゃん「待て!!」バッ
ミノス「モー、何だよ…」
邪神ちゃん「皿に上げたら、最後に5分休ませて余熱で仕上げますの」
ミノス「そんなことしたら冷めちゃうだろ?…」
邪神ちゃん「私を信じろ!」グッ
11:
5分後
邪神ちゃん「最後にコショウをかけて…」
邪神ちゃん「ほれ、いいぞ」
ミノス「よっしゃ、いただきます!」パクッ
ミノス「これは…」
ミノス(外は固く中は柔らかい、噛むたびに肉汁の溢れる理想的なミディアムレア…!)
ミノス(そして塩コショウのシンプルな味付けが肉本来の味を最大限に引き出してる…!!)
ミノス(つまり…)
ミノス「うめーっ!!」
邪神ちゃん「な?」
ミノス「肉もいい肉だけど焼き方がいいんだろうね」
ミノス「やっぱ、邪神ちゃんのステーキを…最高だな!」
邪神ちゃん「フッフッフッ…そうだろうそうだろう」
邪神ちゃん「ペルちゃんはどうですの?」クルッ
ペルセポネ二世「うん、美味しい!」
ペルセポネ二世「なんか意識高い感じの味がする!」
邪神ちゃん「ちょっと一言多いね?」
12:
ゆりね「ただいま」ガチャ
ぺこら「お邪魔します…」
ペルセポネ二世「あっ、ぺこらちゃんだ」
メデューサ「いらっしゃーい」
ミノス「よく来たな!」
邪神ちゃん「まーたお前ですの?」
ぺこら「ど、どうも…」
ゆりね「もう始めてるのね」
ゆりね「手洗ったら適当に空いてるところに座って」
ぺこら「アッ、ハイ」
13:
ぺこら(ああ、また魔女にお呼ばれしてしまった…)
ぺこら(これもすべてぺこらの意志の弱さのせい、主に会わせる顔がありません…)クッ
ぺこら(しかし、いったい誰が極上A5ランク黒毛和牛ステーキの魅力に抗えるでしょうか?)
ぺこら「まあ、しょうがないですよね?」
邪神ちゃん「ほいよ」トン
ぺこら「あっ、ありがとうございます!」
ぺこら「それでは…」チラッ
邪神ちゃん「何だよ?」
ぺこら「…今日は何もしてこないのですね?」
邪神ちゃん「私にも料理人としてのプライドがあるからな」
邪神ちゃん「黙って食え」
ぺこら「でっ、では!いただきまーす!!」パクッ
ぺこら「…」モグモグ
ぺこら「うまい!」テーレッテレー
邪神ちゃん「だろ?もっと褒めていいぞ」
ぺこら(アムブロシアーに勝るとも劣らぬこの滋味、もはや神々の食物と言っても過言ではないでしょう…)
ぺこら(一口一口をしっかり噛み締めなくては…)
ゆりね「私の分もお願いねー」
邪神ちゃん「へいへい」
14:
邪神ちゃん「どうだ?」
ゆりね「美味しい…!」
邪神ちゃん「お前の親戚が送ってくる肉とどっちが美味い?」
ゆりね「そこ張り合うところじゃないでしょ」
ミノス「邪神ちゃん邪神ちゃん」ツンツン
邪神ちゃん「何だ?」
ミノス「タワマンって…」
邪神ちゃん「?」
ミノス「…」ワクワク
邪神ちゃん「!」
邪神ちゃん「そりゃ…お前…」
邪神ちゃん「ってそれはクワマンですの?!」
ミノス「そうなー!」
ミノス「邪神ちゃんならわかってくれると思ったよ!」
邪神ちゃん「当たり前だろー?」ワハハ
15:
メデューサ「…」フルフル
邪神ちゃん「お?メデューサ、お前もこの面白さがわかるのか?」
メデューサ「…」グスッ
邪神ちゃん「って、お前…泣いてますの?」
邪神ちゃん「肉も全然食べてませんの…」
メデューサ「あ、あれ?いつの間に…」
メデューサ「ごめんね、ちょっと邪神ちゃんのこと考えてたんだ」ゴシゴシ
メデューサ「魔界に帰れなくなっちゃってから、ずっと苦労してたなーって…」
メデューサ「辛かったよね、大変だったよね?」
邪神ちゃん「確かにそうだな…」
ミノス(そうか…?)
ペルセポネ二世(そうかな…?)
ゆりね(そうかしら…?)
ぺこら(そうでしょうか…?)
メデューサ「だから邪神ちゃんが宝くじ当てたって聞いて、すごく嬉しかった」
メデューサ「今までの苦労がやっと報われたんだ、と思って」
メデューサ「それで思わず嬉し涙が出ちゃったの」
16:
邪神ちゃん「メデューサ、長いつき合いだからわかりますの」
メデューサ「へっ…?」
邪神ちゃん「お前…嘘ついてるな?」
邪神ちゃん「その涙は嬉し涙なんかじゃありませんの」
メデューサ「やっぱり、邪神ちゃんにはすべてお見通しだったかな…」グスッ
メデューサ「邪神ちゃんの幸せが私の幸せ、それは嘘じゃないよ?」
邪神ちゃん「わかってますの」
メデューサ「でもね、邪神ちゃんがここを出て行っちゃうって聞いて、やっぱり悲しくて…」
邪神ちゃん「別に今生の別れって訳じゃないだろ?」
邪神ちゃん「いつでも会いに来れますの」
メデューサ「わかってる…わかってる、けど!」
メデューサ「お金持ちになった邪神ちゃんじゃ、お金も貸せないし…」
メデューサ「なんだか邪神ちゃんが遠い存在になっちゃう気がして…」
メデューサ「ごめんね、邪神ちゃん…私めんどくさいよね、イヤな奴だよね?」
邪神ちゃん「メデューサ…」
17:
邪神ちゃん「…お前、私と一緒に住むか?」
メデューサ「えっ…?」
ミノス「おっ、とうとうプロポーズか!?」
邪神ちゃん「バッ…か、勘違いするなよ!」
邪神ちゃん「私にふさわしいラグジュアリーなタワマンには家政婦が必要だからな」
邪神ちゃん「お前を特別にこの大役に任命してやりますの!」
邪神ちゃん「掃除洗濯炊事全部やるんだぞ、タダで」
ぺこら(えええ、何を言っているんでしょう…この悪魔は)
ぺこら(まさしく悪魔的所業…!)
18:
メデューサ「邪神ちゃん…」
ぺこら(そうだ!ガツンと言うのです、悪魔!!)
メデューサ「うん、わかった!」
ぺこら「ファッ!?」
メデューサ「でも、料理だけは邪神ちゃんにしてほしいな」
メデューサ「私ね、知っての通り料理は苦手だし、それに…」
メデューサ「邪神ちゃんの手料理を毎日食べてみたいんだ」
メデューサ「だって邪神ちゃんの料理は魔界一なんだもん!」ニコッ
邪神ちゃん「フンッ、と…当然ですの!」
邪神ちゃん「ステーキもせっかく焼いてやったんだから食べるんだぞ」
メデューサ「うん!」
ミノス「おーおー、お熱いね?」ヒューヒュー
ぺこら(何ですかこれは、意味が分からない…)
19:
邪神ちゃん「あー、オホン!」
邪神ちゃん「お、お前らも寂しがらなくていいぞ?」
邪神ちゃん「ときどきゆりねを殺りに帰るからな!」
ゆりね「へぇ、ヤられるのはどっちかしら?」ニタア
ミノス「ホント懲りねーな?」
邪神ちゃん「ゆりねも魔導書が見つかったらすぐ来いよ!!」ビシッ
ゆりね「ハイハイ」
ぺこら(とんでもない茶番を見させられました…)モグモグ
ゆりね「あー、うるさい同居人が出て言ってくれてせいせいしたわ」
ゆりね「でもそうすると、こっちの掃除や食事の準備の担当がいなくなるのよね」
ゆりね「誰か適任がいないかしら?」
ゆりね「…」チラッ
ぺこら「…」ウマウマ
ゆりね「ねえ、あんた…」
ぺこら「はい?」モグモグ
ゆりね「うちに来ない?」
ぺこら「!?」ブーッ
20:
ぺこら「なっ…」ケホケホ
ぺこら「と、とうとう本性を現したな!魔女め!!」
ぺこら「魔女の分際で天使を使役しようとは…許せません!」ガタンッ
邪神ちゃん「おい」
ぺこら「何ですか!?」バッ
邪神ちゃん「まず肉を置けや」
ぺこら「…」
ぺこら「…ハイ」カチャン
ゆりね「ちょっとわざとらしかったかしら」
ゆりね「確かに邪神ちゃんがいなくなった後、家事をやってもらえたらありがたいなと思ってる」
ゆりね「けど一番の目的は、あんたにちゃんとした暮らしをさせること」
ゆりね「一日三食は食べさせてあげるし、お小遣いもあげる」
ゆりね「屋根が付いたまともな家にも住ませてあげるわ」
邪神ちゃん「オンボロアパートだけどな」
21:
ゆりね「段ボールの家に住んで、ろくでもない仕事をさせられるよりはずっとマシだと思うけど?」
ぺこら「くっ…、大きなお世話です!」
ゆりね「大体あんた、一度殺されかけたじゃない」
ぺこら「て、天使は人間より頑丈ですから…」
ゆりね「そういう問題じゃないわよ」
メデューサ「このままじゃいつか死んじゃうよ?」
ミノス「そーそー、そんなの絶対おかしいって!」
ミノス「何だったらあたしが今やってるバイト先、紹介してやろうか?」
ミノス「しっかりしたところだぞ?」
ペルセポネ二世「あっ、それいいかも!」
ペルセポネ二世「まあ、キツいはキツいけどね…」
ミノス「そうか?」
ゆりね「この通り、みんな心配してるのよ?」
22:
ぺこら「ど…」
ぺこら「どうしてなんですか!?」
ぺこら「どうしてそこまでぺこらに優しくしようとするんです!?」
メデューサ「ぺこらちゃん?」
ぺこら「ぺこらは…主より悪魔駆除すべしとの教えを受け、他の天使たちにもそう説いてきました…」
ぺこら「手にかけた悪魔の数も数知れず、です」
ぺこら「もしかすると、お前たちの親族や友人だったかもしれませんね」フッ
ミノス「…」
ぺこら「わかったでしょう、お前たちに心配されるいわれ…権利などぺこらにはないのです」
ぺこら「元より天使と悪魔は絶対に相容れない存在なのですから…」
ぺこら「堕落しお前たちの好意に散々甘えてきたぺこらが、今さら言えた義理でもありませんが」
ぺこら「お前たち悪魔にも、悪魔なりのプライドがあるはず…!」
ぺこら「それなのにどうして!?」
23:
ミノス「ハァー…」
ミノス「何を言うかと思えば、なあ?」
ペルセポネ二世「うん」
ぺこら「…?」
ペルセポネ二世「ぺこらちゃん、私…前に言ったよね?」
ペルセポネ二世「天使も悪魔も関係ないって、友達になったら友達なんだって」
ペルセポネ二世「過去なんて関係ないんだよ」
ぺこら「あっ…」
ペルセポネ二世「ぺこらちゃんにとって私たちは何なの?」
ペルセポネ二世「今でも『駆除対象』なのかな?」
ぺこら「いや、それは…」
ペルセポネ二世「私たちはね、ぺこらちゃんのこと…」
ペルセポネ二世「『友達』、だと思ってるよ?」ニコッ
ぺこら「…!」
24:
メデューサ「そうだよ!」
ミノス「だな!」
ミノス「忘れてるだろうけど、あたしだって前からぺこらちゃんは友達だって言ってるんだぜ?」
ゆりね「私もそう思ってるわ、悪魔じゃないけど」
邪神ちゃん「あくまでも悪魔じゃないと!」
ゆりね「…」ギロ
邪神ちゃん「…」シュン
ゆりね「だってあんた、私たちといる時とっても楽しそうなんだもの」
ぺこら「…!」ドキッ
ぺこら「皆さん…」
ぺこら「ううっ…」ブワッ
ペルセポネ二世「ぺこらちゃん!?」
ぺこら(ああ…、なんと慈悲深く寛大な心でしょう)
ぺこら(天界でも人間界でもついぞ出会えることのなかったもの…)
ぺこら(やっと気づきました、ぺこらはずっと飢えていたのです…食べ物だけでなく、他者の優しさにも)
ぺこら(それを悪魔たちに見出すことになるとは…)
ぺこら(主よ、彼らとの交流は本当に反逆の名に値するのでしょうか?)
ぺこら(であるならばぺこらは、ぺこらは…)
25:
ぺこら「…ちょっとだけ、考えさせてもらえませんか?」
ゆりね「いいわよ」
ゆりね「色よい返事、待ってるわね」ニコ
ぺこら「///」
邪神ちゃん「よかったな?お前、段ボールハウスからボロアパートにクラスチェンジですの!」バンバン
邪神ちゃん「まあ私はタワマンの住人になるんだがな!」ワハハ
ぺこら「…」ジロ
邪神ちゃん「うへへ…」
ペルセポネ二世「ねえ、邪神ちゃん」
邪神ちゃん「あ?」
ペルセポネ二世「その宝くじって本当に当たってるの?」
邪神ちゃん「お、嫉妬か?」
ゆりね「たしかに」
ゆりね「言われてみれば今のところ邪神ちゃんの自己申告だけよね?」
26:
邪神ちゃん「当たりめーですの!」
邪神ちゃん「そうじゃないと私が金もないくせに気前よく高級ステーキをおごったバカになるだろ?」
ゆりね「見せてよ」
邪神ちゃん「まったく…」ゴソゴソ
邪神ちゃん「ほらよ、庶民ども!」
邪神ちゃん「ここに番号が書いてあるだろ?この列の!これが一等の数字ですの!!」ピラピラ
邪神ちゃん「おっと、盗むなよメデューサ」サッ
メデューサ「盗まないよ…」
ゆりね「ふーん」
ペルセポネ二世「で、抽選結果は?」
邪神ちゃん「疑り深い奴らだな?」
ゆりね「邪神ちゃんの見間違いかもしれないでしょ」
邪神ちゃん「それだけ言うなら見せてやりますの」スッスッ
27:
邪神ちゃん「ホラ…って、え、あれ!?違う!!」
メデューサ「どうしたの?」
邪神ちゃん「数字が…当選番号の数字が変わってますの!!」
メデューサ「ええっ!?」
ゆりね「あーあ、やっぱりどうせそんな事だろうと思ったわ」
ゆりね「最初からあんたの勘違いだったんじゃないの?」
邪神ちゃん「違う!ちゃんとこの目で見たんだ!!」
邪神ちゃん「クソッ!いったい何がどうなってるんですの!?」
邪神ちゃん「陰謀だ!これは何かの陰謀なんだー!!」
メデューサ「落ち着いて邪神ちゃん!」
28:
ペルセポネ二世「うーん…」
ペルセポネ二世「ちょっとそのページ、見てもいい?」
ゆりね「はい、どうぞ」
ペルセポネ二世「えーっと…あった!ほら下の方にこれ、同じ数字」
ゆりね「あら本当」
ミノス「どういうことだ?」
ペルセポネ二世「邪神ちゃんが見てたのは前回の当選番号なんだよ」
ゆりね「そういえば今日抽選日だったわね」
ペルセポネ二世「邪神ちゃんって基本バカで注意散漫でしょ?」
ペルセポネ二世「だから絶対重要な情報を見逃してると思ったんだよね」
邪神ちゃん「」
ミノス「まー、そのなんだ…」
ミノス「ドンマイ!」グッ
邪神ちゃん「」サラサラサラ
29:
ミノス「ステーキ美味しかったよ、ごちそうさま」
ペルセポネ二世「じゃあね、邪神ちゃん」
ぺこら「…ごちそうさまでした」バタン
邪神ちゃん「ああ…3億が、私の3億円が…」グヌヌ
ゆりね「一瞬でも邪神ちゃんのものだった時はないけどね」
ゆりね「ステーキ代捻出するの大変そうだけど、まあせいぜい頑張って」
邪神ちゃん「!?」
邪神ちゃん「そ、そうだ…ステーキ代が」サーッ
邪神ちゃん「メデューサ!!」
メデューサ「ふぇっ!?」
邪神ちゃん「頼む!十万、貸してくれとは言わない…くれ!!」
ゆりね「筋金入りのクズね」
30:
メデューサ「ごめん!」パンッ
邪神ちゃん「えっ」
メデューサ「今月もう、お金がないんだ…」
邪神ちゃん「なにーっ!?」
邪神ちゃん「お前それでもATMか!?」
邪神ちゃん「もっと私のATMとしての自覚を持て!!」ブンブン
メデューサ「だって邪神ちゃん、勝手にタブレットなんて買っちゃうんだもん…」
邪神ちゃん「言い訳するな!」
ゆりね「いや完全にあんたのせいでしょ」
31:
邪神ちゃん「わかってるのか!?このままだと来月ゆりねの口座から引き落とされ…」
邪神ちゃん「あ、言っちゃった…」
ゆりね「ちょっと待って、勝手に何してくれてるの?」
邪神ちゃん「いやー…ゆりねが普段使う通販サイトで買ってさー」
邪神ちゃん「新しくアカウントを作るのもめんどくさいし、どうせあとで大金が入るからその時にのしつけて返せばいいかな?…って」
ゆりね「は?」
邪神ちゃん「だ、大体なー!お前だってステーキ食っただろ!?私は食べてないんだぞ!!」
邪神ちゃん「考えようによっては私こそ宝くじに人生を狂わされた被害者ですの!!」
邪神ちゃん「慈悲はないのかーっ!!?」
ゆりね「ある訳ないでしょ」
邪神ちゃん「え」
ゆりね「何調子に乗って逆切れなんてしてるのよ」
ゆりね「そんな言い訳が通用するとでも思ったの?」ゴゴゴ
邪神ちゃん「アッ、ハイ、ごめんなさい…」
ゆりね「次バカなこと言ったらそこの鉄板で鉄板焼きにするわよ」
邪神ちゃん「ヒィィ」
32:
ゆりね「で、どうするの?」
ゆりね「私だって毎月カツカツでやってるんだけど」
邪神ちゃん「じゃ、じゃあ…」
ゆりね「じゃあ?」
邪神ちゃん「出世払いで☆」ニカーッ
ゆりね「ほう…」ピキピキ
邪神ちゃん(あわわわ…これはガチで殺される、鉄板焼きにされちまう!)
邪神ちゃん「こうなりゃヤケだ!くらえゆりね、捨て身のR・C・H!!」
ゆりね「…」パシッ
邪神ちゃん「あ」
ゆりね「フンッ」ボゴォ!
邪神ちゃん「ぐえっ…」
邪神ちゃん「おおお…」ピクピク
ゆりね「…いいわよ、出世払い」
邪神ちゃん「え、マジで…?」
33:
スパッ!!
邪神ちゃん「アッチョンブリケーッ!!!(叫び声)」
ゆりね「良かったわね、肉のハナマサが珍味・蛇肉として引き取ってくれるらしいわ」
ゆりね「大した出世じゃない?」
邪神ちゃん「珍種謎肉みたいに言いやがって…」フーッフーッ
ゆりね「まだまだこんな量じゃ足りないわよ?ほら、さっさと再生しなさい」
邪神ちゃん「む、無茶言うな…」
メデューサ「邪神ちゃん…」オロオロ
34:
公園
ぺこら「…」ボー
ぽぽろん「あっ、ぺこら様だ」
ぽぽろん「何してんの、こんなとこでボーっとして?」
ぺこら「あー…」
ぽぽろん「?」
ぺこら(引っ越しの話は結局うやむやになってしまった…)
ぺこら(って、何を考えているんだ!)
ぺこら(あの時のぺこらは完全にほだされていて、危うく越えてはならない一線を越えてしまうところでした…)
ぺこら(ですから、これで良かったはず)
ぺこら(なのに…)
ぽぽろん「おーい、聞いてる??」フリフリ
ぺこら「…なぜ、残念だと思ってしまう自分がいるのでしょう?」
ぽぽろん「はぁ?」
ぺこら「しかし…」
ぺこら「こんなぺこらでも、『友達』ですか…」ニヘラ
ぽぽろん「えっ、何…?」ゾゾゾ
ぺこら「えへへ…」
ぽぽろん「ぺこら様がキモい…」
35:
以上です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
元スレ
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