羊飼いになりたくて、中央アジアで羊と野宿旅を始めることにしたバカだけど【前編】back

羊飼いになりたくて、中央アジアで羊と野宿旅を始めることにしたバカだけど【前編】


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あらたな冒険がはじまったか
10: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/15(日)14:12:04 ID:guG
>>5
ああ、しかも羊編は数万字レベルで多少はボリュームあるから楽しみにしててくれ!
7:
お?!リアルタイム遭遇!うれしい!
今回は羊旅か?おしりもこもこで可愛いなw
10: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/15(日)14:12:04 ID:guG
>>7
そうそう、お尻の脂肪が揺れて超かわいいんだよなぁ!
動画見せたいんだけど、スレに直接貼れないからめんどうなんだよな……
どこに上げようか……
つづき
手綱をしっかり持って後ろから羊たちを追い立てる
急かす時や方向転換が必要な場合は事前に作成していた1mの長い鞭を地面に叩きつけ、意図を伝える
主に黒い方が先導し、白い方がそれに続く
……いける……けど、こいつら力強すぎだろ!
2匹とも小走りした時はすごい力で、おれが引きずられるように進むことになる
かなり踏ん張る姿勢を取らないと止められない
鞭を使うタイミング(もちろん直接叩くわけではなく、地面を叩くことで「そっちはいっちゃダメだ!」と指示するだけだ)や叩く地面の位置決定が難しそうだ
下手に鞭を使うと小走りし始めるので、かなり引っ張られてしまう
当然その分羊にも負担がかかっているだろうし、避けるべきだ
そして、曲がり角や分かれ道、でこぼこ道や道路などを一通り通過し、なんなく5km完走!
時計を確認すると、なんと出発してから1時間しか経っていない!
え、いけるやん……
一時間、しかも少し空腹の状態で連れ出したにもかかわらず羊たちは道草を食わずに歩き続けてくれた
これなら一日最大20kmの目標値は楽勝だろう
いつも言われることではあるけど、特に今回の冒険では企画段階で何人もの現地人から「不可能だ」なんて言われていた
やはり、何事もやってみないと分からないということだろう
ただ、馬やロバよりも扱いが難しいのは間違いないので、これまでの経験がなかったら不可能だった可能性はあるだろう
もう何千キロも動物と冒険してるわけだから、おれは総合的にみて動物を扱うことにかけては牧畜を行う現地の人々よりも経験値が溜まっている状態なのかもしれない
その後、羊たちを羊小屋に戻し、夕食を食べて就寝
ちなみに1時間で5km歩けたことを話すと、おっさんは「それ、可能だったのか……」と呟き、それ以後バカにして来なくなった
ちなみに、羊たちの名前は散歩後考えて決めた
黒い羊は頭だけ白いので「白い頭」という意味のキルギス語「アクカシュカ」を縮めて『アカシュ』
白い羊は「おとなしい」という意味のキルギス語「サナースズ」を縮めて『サナ』だ!
よろしくな、アカシュ、サナ!!
8:
すげー!!!
20: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/15(日)14:44:55 ID:guG
>>8
羊はベリーハードモードだから超ワクワクしたんだぜ!w
13:
初めて見たけどめっちゃ面白そう!既に続きが楽しみ!
20: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/15(日)14:44:55 ID:guG
>>13
これはこれですごい世界だったからな……
おれが体験した冒険の世界が少しでも伝わるよう頑張るよ!
14:
>>1がリアカー乗れば楽そう
15:
牽引力が半端内と
20: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/15(日)14:44:55 ID:guG
>>14,15
……て、思うじゃん?
おれも思ったんだよ、最初は
でも、羊たちは「重いものを継続して運ぶ」ってことを絶対にしないんだよなぁw
いけて100mくらいだろうか、羊たちに体重預けて進んでるとすぐに立ち止まって動かなくなるし、その時は鞭で地面を叩いて脅かしたり手で直接触って押してやっても全然動かなくなるからタチ悪いんだぜww
そこが馬やロバとの違いだなぁ……
牽引はやってくれないんだ……
16:
羊の毛を刈ったりするのか?
20: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/15(日)14:44:55 ID:guG
>>16
当時は「これから冬!」って季節だったから、刈ったら羊たち凍えて死ぬというwww
19:
リアルで見れて感激!本も面白かったし楽しみや!
28: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/15(日)16:10:01 ID:guG
>>19
本読んでくれたのか、ありがとう!!
もうすぐ連載も始まるから、文章力も鍛えないとな!
22:
相変わらず動物に優しい感じでいいなあ
冒険記も写真も楽しみにしてます!毎日3回はスレ見る
28: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/15(日)16:10:01 ID:guG
>>22
動物たちは冒険に付きあってくれてる訳だから、最大限の配慮をした上でその後の幸せは何とか守ってやりたいなぁ……
明日は友達と観光旅行&祇園祭行くのと、平日9 :00-18 :00は会社で働いてるから、その間は見なくていいぞw
24:
アカシュ&サナとの旅・・・・
さてさて今回はどういう旅になるのやら
楽しみ
43: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/15(日)17:27:19 ID:guG
>>24
二匹ともすっごく可愛い!
……けど、おれが近づいたら絶対逃げるから嫌われてるみたいでなんだか悲しいんだぜ!w
25:
>>1
前のロバのやつ見た
http://world-fusigi.net/archives/8926074.html
43: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/15(日)17:27:19 ID:guG
>>25
ありがとう!
コーヒーキャラバンはおれ的にも強烈な体験だったわ
31:
こんなとこまで電波届くとかすげえな
43: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/15(日)17:27:19 ID:guG
>>31
あ、今現在おれは日本に帰って来てるけど、確かにキルギスの田舎道でも3G回線ビンビンなんだぜ!
33: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/15(日)16:32:45 ID:guG
そして出発の朝、羊たちがいる家へ行き、手綱をつなぎ、いざ出発!!
ゴール地点は、サリチェレク湖という湖に設定した
馬のセキルとの冒険ではソンクル湖→イシククル湖と湖を巡っていたから、今回のキルギスでの冒険は湖で締めくくるのがいいんじゃないだろうかと考えた
……ただし、トロク村に先によらないといけない用事があったので、まずはビシュケクからサリチェレク湖とは反対方向のトロク村へ向かって出発することにした
やはりアカシュが先導する形になるようだ
そして、順調に5kmほど進んだところでトラブル発生
羊たちとペースを合わせるのに苦労しながら進んでいると、ある時音もなく手綱の一部がほどけ、羊たちは自由となった
手綱のほとんどの部分は海外で教わった「海外結び」をしていたので問題なかったが、一ヶ所だけ強度の低い結びかたをしてしまっていた
その部分が予想以上に強い羊達の引きによって緩み、ほどけてしまったみたいだ
おれの不注意ゆえに起こったミスだが、まさか本当にほどけるとは……
羊たちは「今しかない!!」と分かっているのか、走り出す
ちなみにおれは20kgのバックパックを背負った状態だ
wwwww
やばいwww
めんどくさい!!!www
……てかお前ら息ぴったりすぎだろw
おれと羊たちを繋ぐ部分はほどけたが、二匹を繋ぐ紐は「海外結び」によってほどけようがないので二匹は繋がったままだ
にもかかわらずアカシュとサナは完璧に足並みを揃えていたため、すごいさで走って行った
おれも本気で追いかけるが、何せこっちは20kgの荷物を背負っている
すぐに息が切れ、走れなくなってしまった
(※ちなみにこの海外結び、もやい結びとは違っているがそれと同等もしくはそれ以上の手間の少なさ/パフォーマンスだとおれは考えている。
日本での名前が分からないので「海外結び」と呼ぶことにする。モンベルストアなどで店員さんに尋ねても分からなかった謎の結び方だ。「ロープワークに自信ニキ」に出会った時に聞いてみようと思う)
34: ふたばあおい(*´ー`*)◆DHGK2UJuFk 2018/07/15(日)16:33:34 ID:yVg
うーんグローバルアーバンリサーチ…
35:
前途多難
51: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/15(日)18:12:10 ID:guG
>>35
ほんとそれ
馬やロバ、犬だったらこの状況でも逃げずに近くにいてくれるんだけどな……
羊は難しすぎ
36:
護身具か護衛の人はちゃんと雇った?
というかスマホとか持込んでないよね
51: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/15(日)18:12:10 ID:guG
>>36
ナイフや銃は盗まれて逆に使われるリスクがあるからあまり安易に使えないんだ
その代わりキックボクシングできるから右フックで殴るぞw
護衛の人は、付けちゃうと観光旅行になっちゃうし、おれ冒険家だから必要ないかなw
37: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/15(日)17:01:50 ID:guG
【動画】
やったことないから上手くできてるか分からないけど、アニメーションgifはどうかな?
画質悪くて申し訳ないけど、これならアップローダのこと考えずに済むな
道中のアカシュとサナ
Gif
38:
>>37
大丈夫ちゃんとみれる
おしりかわいい
51: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/15(日)18:12:10 ID:guG
>>38
よし!
40:
>>37
見れたよ、かわいい!結構いな羊って
51: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/15(日)18:12:10 ID:guG
>>40
そうそう、意外とくて
だいたい5.5-6km/hくらいなんだ
45:
今回も無事帰ってこられたみたいで嬉しいし安心しました!
レポ楽しみに追わせていただきますね。
53: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/15(日)18:20:44 ID:guG
>>45
五体満足だ!!
46:
なんで1ヶ所だけ結び方変えたんか?
53: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/15(日)18:20:44 ID:guG
>>46
うーん、羊を繋ぐシステムってそもそも方法論確立されてないしおれオリジナルのものなんだけど、そのシステムを作るうえで結んだり程いたりを繰り返してて羊たちもじっとはしてないから、ついつい一か所だけ二重の固結びしちゃったんだよなぁ……
初日にこんな簡単にほどけてしまったから、やっぱり固結びって強度低いんだな……
47: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/15(日)17:55:49 ID:guG
迷ったが、おれはバックパックを一旦道端に置き去りにして羊たちを追いかけることにした
これがスリ大国のモロッコだったら、確実に盗まれていただろうけど、キルギスなら大丈夫な可能性が高い
「凶悪犯罪の可能性はないが盗難が多い国」をモロッコとするならば、「凶悪犯罪の可能性はあるが盗難が少ない国」がキルギスだろう
キルギスはほんの数年前に首都ビシュケクでクーデターが起こっていてたくさんの人たちが死んでしまったことがあり、多少治安悪めだが、スリは少ない印象だった
よし、バックパックを置き去りにしよう!
という訳で、羊たちを追跡開始
追いかけてみて気付いたが、反対車線へおれが渡ってから追いかけると、羊たちは走るのをすぐにやめるようだった
どうやら真後ろから追われていないと危機回避本能が働かないらしい
という訳で、まずは反対車線を歩いて羊と並び、そこから少しずつ羊たちに近付いていく作戦にした
最初は羊達が警戒していたため近づけなかったが、時間がたつと少しずつ近づけるようになってきた
……捕まえるならチャンスは一度、ミスったらさらに警戒されて面倒になるだろう
神経を集中させ、羊達に飛びかかる
その瞬間、予想していたより早く羊達は走り出したけど、サナが一瞬遅れたためサナの背中に覆い被さるようにして捕獲完了!
サナとアカシュは繋がっているので、これで万事解決だ
少し戻ってバックパックを回収し、再出発
出発後、すぐにアカシュが息を切らしていることに気付いた
あのなぁ、逃げなかったらお互い体力温存出来たんやで……
そうは思いつつも、かわいそうなので30分ほど休憩を取り、改めて出発!
ちなみに手綱はバックパックにも結ぶようにした
こうすれば羊達が元気のあるときはバックパックを引いてくれるだろうし、おれは手綱から手を離して両手を使い、何らかの作業をすることもできる
二匹ともめちゃくちゃ元気だから安全の為にもある程度発散させるべきだろう
78:
>>47
相変わらずこの辺の機転がすごいな
50:
サナとアカシュが紐でつながっていたのは幸運だったな
58: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/15(日)19:54:09 ID:guG
>>50
ほんとに
これでバラバラに逃げられたら終わってたw
52:
モロッコのコーヒーキャラバン達はまだ元気?
http://world-fusigi.net/archives/8926074.html
58: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/15(日)19:54:09 ID:guG
>>52
プレッソの写真とかは送られてくるぞ!
プレッソはウザかわ赤ちゃん犬だったのが、めちゃくちゃイケメン犬になってて、なんだかイラッとするぞww
57: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/15(日)19:44:03 ID:guG
そしてその後は特に問題なく、道中出会った人の牧場に羊達を一晩おかせてもらうことになった
実は、今回の冒険では羊達の安全確保が最重要事項だ
この辺りは野犬や野生のオオカミなんかが生息しているからだ
基本的に犬は羊を食べないらしいけど、飢えた犬に食べられて死んでしまった山羊を最近見たところだったので油断は出来ない
なので、夜のあいだ羊達には安全な場所が必要だ
基本的におれは野宿でテント泊の予定だが、羊たちに関しては、初対面の誰かしらに助けてもらって壁に囲まれた安全地帯で夜を明かさせなければならない
今回はあらゆる意味で高難易度な冒険だった
そしてその後、羊達を置かせてくれた家の主人が一時的に牧場にきたので挨拶に行く
おれ「はじめまして」
主人「はじめまして。 君、パスポートは?」
要求されたのでパスポートを見せる
主人「なるほど。 で、羊の所有証明書は?」
……は?
おれ「ないですけど……」
主人「どこで買ったんだ? ほんとに買ったのか?」
どうやら羊泥棒だと思われているらしい
所有証明書。
確かに今までロバや馬では必要なかったけど、乗用車のトランクに積んで簡単に盗むことが出来る羊に関して所有証明書が必要だということだろうか
……というか、ここまでの道中、何回か「その羊、買ったのか…?」と聞かれていたけど、泥棒だと思われていたのかもしれない
すぐに元の持ち主に電話して誤解は解けたが、今後こんなことが何度も起こるようじゃ面倒で仕方ないので次の日の朝、所有証明書を元飼い主の家まで取りに行くことにした
59:
羊にはいるんだ。。所有証明。。
不思議の国!キルギス!!
68: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/15(日)22:38:17 ID:guG
>>59
簡単に盗めるからだろうなw
60: ■忍法帖【Lv=0,作成中..】 2018/07/15(日)22:01:11 ID:Gxz
やった!リアルタイム遭遇!
羊の体当たりはキツい!と思っていたら
そんなにも体重があったんですね!
四足歩行動物って本当にタフだわー
68: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/15(日)22:38:17 ID:guG
>>60
うん、めちゃくちゃ強いし、車に乗せるにしても一人じゃ無理だ、暴れるしw
61:
人が増えて妙なのもやってきてるけど、そういうの無視でいいと思うよ
プレッソの写真も見たいのう
62:
プレッソちゃんは前足も太いし中型犬並みに育っていてもおかしくないと思うの。
着て早々にベロを出したままひっくり返って寝ていた大物感バリバリのプレッソちゃん懐かしいなぁ
68: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/15(日)22:38:17 ID:guG
>>61,>>62
プレッソォ!!!
これが……

こうなった!!
70:
>>68
プレッソがゴルゴと化しておるwww
83: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/16(月)07:53:12 ID:VJM
>>70
超強そうだから、今なら番犬として連れていけるレベルだ!w
63: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/15(日)22:18:30 ID:guG
ちなみに羊飼いに電話で確認したところ、彼は所有証明書のフォーマットをかなり細かく知っているようだった
あいつ、絶対こうなるって分かってたよなw
正直はめられた気分だが、実害はないしおれの予測能力が足りなかったのも事実なので自業自得だ
なんにせよ、初日に気付けて良かった!
気を取り直して明日も頑張ろう!
ちなみにその日はそのまま牧場に併設されている家に泊まることになった
家…というか牧場の詰め所といった感じの建物で、回りに牛がたくさんいたのでとれたての牛乳をどんぶりで一気のみすることができた
うまいっ!
うますぎる……!!
おれは卵と並び、牛乳が大好物だ
少年時代、養ってもらえていた間は夏だと毎日2L以上は飲み続けていた
牛乳に対する判断力にかけてはかなり自信があるので、こんなに濃厚で美味しい牛乳が飲めることに感動を隠せなかった
あれ……?
今回は無理にしても、牛がいれば……毎日新鮮な牛乳が飲めるんじゃ……!!
ぼんやりと、そんなことを考えながら、就寝
次の日の朝、まずは羊たちに水をやる
食べる草の量はこちらでコントロール不能だが、水の量はコントロール可能、そして当時この水の量は非常に重要な項目だった
なぜなら、アカシュとサナは山で遊牧状態からいきなり下山させられ、標高が比較的低い平野の草を食べざるを得ない状況になっているからだ
遊牧地にある水分をたっぷり含んだ草と異なり、平地の草は乾いていて水分の含有量が少ない
なので、羊たちが普段通りの食事をすると、枯草が腹を埋め尽くすことになる
そんな中で水をたっぷり摂取してしまうと、たちまち水分を含んだ草で腹は破裂寸前となり、腸が詰まってしまい、死に至る
草食動物にとって、胃腸の問題はけっこう深刻だ
現にキルギスでも、枯草+大量の水コンボによる羊の死亡は時々起こっているらしい
現在の状況においては、少なくとも最初の1-2週間は水を制限すべきだろう
胃食滞による死亡は洒落にならないので、おれは一回に与える水の量を回数を多くし、糞の頻度やお腹のはりと膨らみ具合を小まめに確認することにしていた
ちなみに今回特に気を付けるべきは、この胃食滞、そして腐蹄症と呼ばれている疾病だ
特に前者は死に至ることがあるので注意しないといけないが、後者も運次第で回避が難しいものなので油断はできない
64: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/15(日)22:21:01 ID:guG
>>胃食滞による死亡は洒落にならないので、おれは一回に与える水の量を回数を多くし
おれは一回に与える水の量を減らして回数を多くし
だな、申し訳ない!
80:
>>63
この辺の知識って最初から持ってるの?
それとも今回のために勉強したの?
83: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/16(月)07:53:12 ID:VJM
>>80
8月から始まる連載第一回でも触れるけど、もちろん今回のために勉強した
注射とかはキルギス渡航直前に高い金払って打ち方教えてもらって、実際受講生同士で打ち合ってみたりもした
貧乏だから高い医学書は買えないけど、日本にいる間は国会図書館とかで研究資料漁ったり、海外にいるときは日本語や英語の研究や調査をまとめたPDF集めて情報の吟味/選別してる
立場あるドクターが驚くほど分かりやすく疾病や対処法をまとめていることがよくあって、これだけでもかなり有用な資料が収集できてるとおれは思っている
動物を連れたいなら、ちゃんと守ってやれないとダメなんだよ……
82:
農大に行くと、胃の中の状態をリアルで観察できるように
「お腹にガラス窓つけられた羊」がいるよ。
83: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/16(月)07:53:12 ID:VJM
>>82
へー、おもしろい!!
おれも何度も羊の屠殺したことがあるから知ってるけど、羊の胃って常に草で一杯なんだよなw
農大って一度行ってみたいなぁ!
65:
羊とヤギと牛を連れたミルクキャラバンのフラグw
68: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/15(日)22:38:17 ID:guG
>>65
ミルクキャラバンwww
残念、おれ山羊ミルクは苦手なんだw
66:
そんなコンボがあるのか 初めて聞いたなあ
67:
>>66
猫にスルメを食わせちゃいけない的なヤツ
68: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/15(日)22:38:17 ID:guG
>>66
日本で均一な飼料を与えられている羊だとそんな事ないんだろうけど、通常の飼育環境でも小麦や大麦を好きに食べさせると胃食滞……というパターンはあるらしい
標高差があるキルギスの環境だと場所によって植物がかなり異なるとかで、こういった事故は起こりやすいらしい
低地の食事にはある程度慣れさせてからでないと水は危険だ、と周りの人たちからよく言われていたよ
69:
昔はシベリア鉄道乗るのいたがな
83: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/16(月)07:53:12 ID:VJM
>>69
かっこいいな!!
ロシアはビザが面倒な印象あるけど、いつか行ってみたいなぁ
71: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/15(日)23:06:34 ID:guG
羊たちに水をやってから、バスとヒッチハイクを経て元飼い主の家まで行き、所有証明書を入手
これで今後の旅では面倒にならないだろう
牧場に戻り、アカシュ、サナと再出発!
追い立てるコツも掴めてきたし、所有証明書も入手したのでここからが本番だ
順調に進むこと数時間、大きめの町を通過している時に、羊達がいきなり商店のガラスに向かって突進し始めた
まさかそちらに行くとは思っていなかったので反応が一瞬遅れたけど、何とかガラスにぶつかる前にひき止めることができた
……なるほど、鏡に写った自分達が仲間に見えたらしい
さすがは群れで行動する動物だ
少し引き離すのに時間がかかったので、今後は鏡に用心して進まないといけないだろう
その後は特に問題なく進むことができた
羊たちの自然なペースを考えると、やはり一日20km位がちょうどいいようだ
その日、羊達は野宿予定の村で出会ったロシア人の家畜小屋に入れさせてもらい、おれは外でテントを張って野宿することになった
次の日の朝、風の音で目を覚ます
日本でいう台風のようなつよい風が吹いていて、空はどんよりと曇っていた
今日と明日は雨らしい
どしゃ降りになると遠くが見えなくなり雨宿りせざるを得ないので面倒だ
……まぁ、雨は降ってから考えようということで、アカシュとサナを連れて出発
この頃にはもう犬の散歩と大差ない感覚で羊たちを進ませることができるようになっていた
コツは可能な限りおどかさないことだ
一定のリズムを保ち、ゆっくりと羊達についていく
追い立てる必要がある場合でも口笛を吹いたり腰の辺りを優しく掴んで教えてやる
……といった感じで進むと、羊たちの動きが安定するため安全に移動することができる
ただし、唯一羊たちがイレギュラーな動きをする要因は犬だ
野良犬たちは羊を見つけると吠えまくって追いかけてくるため、その時は羊たちのコントロールが困難になる
犬に怯えて進まなくなったり、犬から逃げようとして道路の方に走り出そうとしたりしてなかなか大変だ
72:
今までは犬と一緒のことが多かったけどう?む
73: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/16(月)00:41:05 ID:SFV
そしてしばらく進み、昼前頃になると小雨が降り始めた
この程度なら濡れても問題ないと判断し、歩き続けることにした
途中、休憩中に雑貨屋のおばさんがお茶やパン、そしてパンにつけるトマトマスタード的なものを恵んでくれた
特にこのトマトマスタードはパンと一緒に食べるとビリッとして甘く、おれの舌を楽しませてくれるものだった
とてもありがたい!
そして夕方、この日の目的地である町に到着
この頃から天気は更に崩れて雨が強くなり、どしゃ降りにも近い勢いになってきた
……早く、羊たちが安全に寝られる場所を探さないと!!
雨の中、足早に町の家々を巡って羊の寝床を探す
始めの内は羊を敷地内に置かせてもらうだけだからすぐ見つかると思っていたが、何だか町の雰囲気が少しおかしい
羊たちを置かせてもらうよう交渉するも、誰に話しかけても「羊はダメだ」との回答ばかりだった
そして、雨の中出会った、イスラムと名乗る少年が「羊を中に入れるのは無理だけど食事だけなら」と言ったので、少し迷ったが情報収集も兼ねてありがたく食事を頂くことにした
羊はダメでも食事はくれるって……?
……これも初めてのパターンだ
というか後でまた羊達の寝床探さないとな……
イスラムに連れられて家の中へ
そして、おれは食事を頂いたわけだが……
食卓に並べられた食事は、これまでの約3ヶ月に渡るキルギス滞在では見たことのない物ばかりだった
……何かおかしい
74:
始まってたー!
プレッソめっちゃシュッとしたイケメンになってるね
シロのことも気になるけどまた楽しみにしてます
83: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/16(月)07:53:12 ID:VJM
>>74
そうそう、プレッソも大人になりやがって……
75:
標高差による草の質の違いとか知らなかった
きちんと調べてこうして文章にして伝えるの
相変わらず面白くてうまいなあ…
食事気になるよ続きが読みたくて読みたくてたまらんです
83: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/16(月)07:53:12 ID:VJM
>>75
標高差に関しては現地の人たちの見解で、本質は植物が含んでる水分量の違いに集約されると思うけどなw
国ごとに発生する可能性の高い疾病が異なってるのは馬と冒険してたとき痛感した(蹄鉄が一般にそこまで広まっていなかったので、蹄鉄技師の技術が低く運動器疾患が発生し、しかも現地の獣医は原因特定ができなかった)から、気を付けないとな!
86: mkhbk 2018/07/16(月)10:20:12 ID:9Cb
腹のなかで草が膨らむ、、、
わかりやすいけど、怖いなぁー、それ!
ロープワークって大切ですね!
97: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/16(月)19:27:34 ID:VJM
>>86
そうそう、固結びしか知らないと詰むw
87:
食事も気になるけど…トマトマスタードうまそう…
97: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/16(月)19:27:34 ID:VJM
>>87
トマトもケチャップみたいな感じじゃなくて野菜のトマトをそのまま使ってる感じでなかなかみずみずしいソースだ!
88: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/16(月)12:11:27 ID:VJM
食卓にて、イスラム君と話し合う
イスラム君「あなたはどうして羊と徒歩で旅をしているの? どうして車を使わないの?」
これは今回の冒険では確実に毎回聞かれる質問だ
おれ「歩くとたくさんのキルギス人に会えるからだよ。優しくて素敵なキルギス人とたくさん出会いたいんだ」
イスラム君「そうなんだ……。この辺にはキルギス人いないんだけどね」
……え? いやいやいや……
おれ「え、イスラム君は外国人なの? ということはこの食事も外国の料理なのか?」
イスラム君「ウズベキスタン人だよ。 この料理もウズベキスタン料理だよ」
……なるほど、この町の妙な雰囲気、人々の妙な反応の原因はこれだ
ウズベキスタン人が移住して出来ている町らしい
ちなみに当時ウズベキスタンで暮らしていた友人によると、ウズベキスタンは非常に閉鎖的な国らしい
ドローンなどの持ち込みは完全禁止で民家に泊まるのも禁止、そしてなにより外国人の多くは内務省により定期的に盗聴されているとのことだった
ウズベキスタンの民家には内務省の盗聴器が仕掛けられている……というと、なんたか現実離れしている話だ
しかし実際、ウズベキスタンで暮らす日本人が集まって飲み会をしていた際に、政治批判的な集会が行われていると見なされて役人が家を訪ねてきたこともあるらしい
一応良心というかなんというか、盗聴が始まる直前にはビープ音がなるので分かるらしいが、それにしてもなかなか独裁的なシステムだ
……というか、男女が情熱をぶつけ合ってる時に盗聴が始まったらどうするんだろうか、いきなり押し黙るんだろうか……いや、考えるのはやめよう
91: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/16(月)13:11:16 ID:VJM
そして食事後、改めて羊達の安全な寝床を探すもなかなか見つからず
雨も強くて寒い中、ずぶ濡れになりながら町を歩き回る
この辺りの一般家庭では羊を嫌っているようだから、外から見て草の備蓄がある(=家のどこかで家畜を飼っている)家庭を探さないといけない
探すこと数十分、辺りが暗くなり始めた頃、西安から移住したシャミンという中国人と出会い、羊を置かせてもらえることになった
ついでにおれも屋内で寝ていいということだったが、その前についてこいと言われ、車に乗って移動
そして到着した店は、なんと温水シャワーが浴びられる店だった
家に上がる前に体を綺麗にしろということみたいだけど、ありがた過ぎる!
キルギスの一般家庭には、温水シャワーはもちろんのこと、シャワーや風呂自体が存在しない
トイレも穴を掘って作っただけのもので、当然水洗ではない
そんな国で、この温水シャワーと出会えたというのはかなり幸運なことだった
こんな店は一般的なキルギスの町にはないが(お湯使い放題のサウナ的なのはある)、外国人の町だからこそこんな店があるということだろう
そして、温水シャワーを堪能してからシャミンに連れられモスクへ
友人たちにおれを紹介したいとのことだった
モスク内にある小部屋にて、民族的な服をまとったイスラム教徒たちに囲まれ、質問をうける
エジプトやモロッコでの経験があるので、おれにとってはモスクはとても落ち着く場所となっていた
これまで数えきれない程助けられてきた経験から、周りのイスラム教徒の人たちともリラックスして話をすることができた
そしてその後、また車でシャミンの家へ行き、就寝
やはり、毎回羊の寝床を探さないといけないのはなかなか大変そうだ
今日はなんとかなったが、さて、今後はどうなるだろうか……
93:
>>91
ウズベキスタン出身の8ヶ国語を喋れる知人が「ロシアが近いからね」と答えていたことに印象に残っています。
この辺りのややこしい問題が未だに難しくて日本国内のイスラムコミュニティの中で「嘘をつけ!●●人の目はもっと丸い!」とか←顔で決めんのかよ!微細な違いわかんねーよ!
*楽天系の開発に多くてお前ら仕事しろよってなる。
鶏マスターのラブハーは偉大だなぁ…(*´-`)
99: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/16(月)19:46:09 ID:VJM
>>93
あの辺りは政治的にも民族的にもややこしいよなぁ……
92:
一日出遅れたけどリアルタイムを待ってました!
プレッソォめちゃカッコイイ犬になりましたね!飼い主にとってはさぞかし自慢の犬だろうな
書籍には無かったけどラテにシャーッされ壁の隅に顔を隠した赤ちゃんプレッソが可愛かったなぁ 懐かしい
また豪さんの新たな冒険でそれぞれの国事情と自然と動物がリアルに学べ楽しみです(新しい書籍化も待ってます)
99: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/16(月)19:46:09 ID:VJM
>>92
そうそう、プレッソは超かっこよくなったんだ!!
今度始まる連載が完走できたら、それをベースに単行本が出版される予定だ!!
94:
ウズベキスタンってそんな感じなのか…!
日本近くのあの国みたいな…。
キルギスの人達って、日常的にお風呂…というか体洗わないの??
99: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/16(月)19:46:09 ID:VJM
>>94
洗わないwww
多くの発展途上国でも言えることだと思うけど、こっちじゃ逆に毎日洗うのは潔癖過ぎる感じだぞw
ちなみにだけど、50年前の日本の広告貼っとく?
95:
おー!goさんの新しいシリーズ待ってました!goさんに影響うけて自分もこれから旅に出るよ!
99: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/16(月)19:46:09 ID:VJM
>>95
まじかぁ!!
ぜひ楽しんで最高の旅にしてみてくれ!!
102:
二匹の羊と聞いて、河口慧海を思い出したのは私だけ?
明治の探検家、河口慧海も二匹の羊に荷を載せて、チベットまで旅したんですよ。
彼は雪中で野宿する際に二匹の羊に挟まれながら座禅を組み、凍死を免れたそうです。
続きの投稿を楽しみにしてます。
112: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/17(火)19:17:53 ID:xKx
>>102
まじか、その羊たちよく暴れなかったなw
教えてくれてありがとう!!
103: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/16(月)22:23:27 ID:VJM
さて、昨日しっかりと寝られたお陰で体力は満タンだ
時間が少しあったので、羊達に結んである紐を少しだけ調整してから出発
セキルとの冒険でなまりきったおれの体もようやく元に戻りつつあるようで、バックパックの重さをあまり感じなくなってきた
……よし、少しはや歩きしてみよう
そう考えてアカシュとサナを急かすこと1分
異常に気付き、足を止める
……アカシュ(でかい黒羊)の歩き方がおかしい
今のはや歩きでどこか痛めたのか?
いやいや、まさか……
ともかく悪化させるわけにいかないのですぐに休憩にし、アカシュの足をよく観察する
……異常なしだ
触診の結果も問題なし
少なくとも骨は折れていないみたいだ
蹄は綺麗だったので問題なさそうだが、取り合えず蹄の消毒はしておくことにした
…え、マジで捻挫なのかこれ
これまでもアカシュは、少し走ると息切れを起こしていた
アカシュはサナに比べると大型なんだけど、それはつまり、太っていると言えなくもない
足が体重に耐えきれず、今のはや歩きで足を挫いたんだろうか……
……つい最近まで遊牧してたのに?
ここまで3日間、何の問題もなく歩いて来れたのに?
さて、30分ほど休憩してから改めてアカシュとサナを歩かせてみる
……ダメだ、やはりアカシュの歩き方がおかしい
足をかばうときの動きだ
深刻な問題の可能性が高くなってきたので、進むのはやめ、近くの民家に泊めてもらうことになった
この辺りがスムーズにいったのはそこそこラッキーだった
民家のおれが通された部屋は、何故か蜂がどんどん湧いておれの方へ寄ってくる部屋だったんだけど、まぁそれはいいや、今はアカシュだ
数十分おきにアカシュの様子を見に行き、できる限り足のケアをしたりしたが、何時間経っても改善しなかった
……もし明日になっても改善しなければ、何かしらの決断をしなければならないだろう
105: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/16(月)22:32:11 ID:VJM
さて、今回の第一目的地がなぜトロク村かという点については、理由が複数ある
そのうちの一つとして、トロク村はおれの羊達が唯一生き延びられる道だ、というものがある
トロク村のチョルポンおばさん(馬と冒険していたときに散々世話になった、優しいおばさん)は、「Goが連れて来るなら『繁殖用に』羊を買い取りたい」と言っていて、殺さないと約束してくれている
まぁチョルポンおばさんには世話になってるし、タダであげるつもりだ
チョルポンおばさんならタダであげても大事にしてくれるだろうし、おれの帰国後もメッセージアプリを通じて写真などをくれるだろう
今回の冒険はメインの目的が別にあるため、トロク村はゴールではなく通過点だが、少なくともトロク村まで行けばこの羊達は今後殺されずに生きていくことが出来る
これはかなり破格の待遇だ
それを踏まえた上で、明日になってもアカシュの足がよくない場合、おれがとるべき選択は以下のどれかになるだろう
?アカシュとここで別れ、別の羊を買い(サナは別の羊がいないと動かないため)冒険続行
これだとアカシュは確実に死ぬが、逆に新しく仲間に引き入れた羊の命が助かることになる
?車に2匹を乗せてトロク村まで行く
一見これがよさそうに思えるが、車で運ぶとなると羊の足を交差させて縛り、横倒しにしてトランクに入れて運ぶため、長距離だと不安が残る。最悪2匹とも衰弱して問題が生じる可能性もある
?ロバを買って小さな荷車にアカシュを乗せて旅を続ける
楽しそうだけど、ちょっと大がかりだ。今回は時間も限られているし、一旦広げた風呂敷を畳むのは大変だ
……さて、どうするべきか
そんなことを考えているうちに、夕方になった
アカシュは改善の兆しがなく、なんなら悪化しているようにも見える
時折右前足を痛そうに上げていた
106:
アカシュ・・・ 
107: mkhbk 2018/07/17(火)00:17:03 ID:FHz
>ロバを買って小さな荷車に、、、
ロバ使いになっていることに、何も疑念を抱かせないGOさんww
108:
>>105
ロバへの違和感なかったー!w 同じ星の空の下で今も腰振ってる安心と信頼の変態ロバ!
112: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/17(火)19:17:53 ID:xKx
>>107,>>108
すでに1000km以上ロバと野宿旅してるし、さすがに楽勝だなw
109: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/17(火)07:58:45 ID:X0H
まず?はやっぱりダメだ
おれにとって、アカシュの命と見知らぬ羊の命だったら、アカシュの方が大切だ
見捨てるようなまねはできない
ただ、?も?も、それぞれ少しずつ問題があるやり方だ
……うーん、正直どれもパッとしない
せめて、アカシュの跛行(おかしな歩き方のこと)の原因が分かればいいんだけど……
いやいややっぱり、単純に捻挫の可能性が高いんじゃないか……?
そう思い、考えるのをやめようとするも、諦めきれずに可能性の模索を続けてしまう
そしておれは、以前パソコン修理の仕事をしていたときのことを思い出した
パソコンならまずは問題の切り分けをするために、最小構成やセーフモード(必要最小限のものだけ読み込んでパソコンを起動するモード)なんかで正常に動くか確認するのがセオリーだったよな……
医療の診断にパソコンのトラブルシューティング的なやり方が通用するかはわからなかったが、出来ることは全てやろうと思い、アカシュとサナを切り離し、アカシュに繋いである紐を完全に取り去って自由の身にして歩かせてみた
すると、アカシュはなんと、おれのこれまでの葛藤を鼻で笑うかのごとく、何の問題もない正常な動きで歩き始めた!!
……あぁ、原因が分かった!
今朝、紐の長さを少しだけいじったことでアカシュの脇が圧迫され、少し痺れや痛みが生じ跛行に繋がったんだろう
アカシュが足を引きずり出したタイミングがはや歩きをした直後だったので、捻挫などの類いだと決めつけてしまっていた
というか、おれ無能過ぎるだろ……
まぁ、一件落着だ!
今日は3.5km程しか進めていないので一日無駄にしてしまったけど、また明日から歩き始めよう!!
ちなみにこの夜、チョルポンおばさんから電話が来た
このところ、2日に1回ぐらいのペースでチョルポンおばさんから電話がかかって来る
チョルポンおばさんの息子であるアイダールやアイベックからのメッセージも数日おきに来る
今回は第一の目的地がトロク村ということもあってみんな心配してるんだろうけど、心配しすぎだろww
……ありがたいなぁ
110:
アカシュとサナの性別はどっちなんですか?妊娠出産も有り得るのかな?
112: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/17(火)19:17:53 ID:xKx
>>110
忘れてた!!
両方メスだ!
オス2匹だと喧嘩するし、オスメス1匹ずつだと冒険中に妊娠したら大変だしw
111:
初リアタイ間に合ったー!
 
もともとまとめ読んでたけど、本もとっても良かった!
ウチの小学生がもう少し成長したら読ませたい本だよ
こっちまで冒険の旅に出たくなる
自分はインドア派だけど、今年は子供達とオートキャンプ泊しながら色々なとこに行くことにしたよ
良い影響受けた、ありがとう
-リアルRPG譚- 行商人に憧れて、ロバとモロッコを1000km歩いた男の冒険
112: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/17(火)19:17:53 ID:xKx
>>111
まじか、ありがとう!
そう言ってもらえておれも嬉しいよ!
114: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/17(火)20:47:09 ID:xKx
次の日の早朝、おれは羊たちと再出発した
ここから次の村への距離は26kmほどあるので、羊達に安全な場所を確保してやるにはかなり歩かないといけないだろう
さすがに朝はそろそろ寒く、吐く息が白い
羊達の息も白く、呼吸数の確認がしやすくて助かった
羊達のシンクロした動きも相変わらずで、見慣れてきた
トイレ(小)のタイミングまで同じなので、尿の色や回数などの健康チェックが同時に出来る
GIF
この日の朝は特に寒かったので、ときどき羊の腰の辺りに手を置いて動かして暖を取ろうとした
手が触れている間は羊毛の摩擦熱でかなり温かいが、触ると羊たちはすぐに逃げてしまう
なんだか嫌われているようでちょっと悲しい
休憩を挟みつつ羊達と歩いたりジョギングしたりして、夕方目的地に到着
ウスタムという男の家に泊まることになったが、羊を置かせてもらう事ができなかったので、
羊たちだけはすぐ近くのアリーナという女性の家に置かせてもらうことになった
アリーナはたくさんの子どもがいる、少しいかつい雰囲気の女性だった
表現が古いかもしれないが、ヤンママ的な感じだ
アリーナも子供達も常にスウェット姿で、ふわふわのキャラクタースリッパを愛用している
……なんだろう、この感じ
おれとしてはすごく落ち着くが、全くキルギスっぽくなくて、むしろ日本っぽい感じがする
県民性というかなんというか、そういったものがキルギスにもあるようで、この辺りは少しだけ治安が悪そうだ
このアリーナ、かなりいい人で、「この先は危ない奴とかもいるから、車でトロク村まで行ったら?」と言ってくれた
歩いて行くときっぱり言うのは心苦しいが、そもそもこんなところで被害に遭うようじゃ、最終目的であるサハラ砂漠横断なんて永遠にできないだろう
例えばコチコルからトロク村までの40kmほどの区間はセキルで2度通っているから車でのショートカットもありだろうけど、ここではダメだ
ごめん、おれは歩いて行くよとアリーナに伝えた
アリーナは納得してくれたとは言いがたいが、今後の食事が豊かになるようにとジャムをくれた
モロッコの時もそうだったが、道中は主食がパンになるので、パンにつける系の保存食はめちゃくちゃ有難いアイテムだ
その後、ウスタムの家へ行き、就寝
115:
何ジャムなんだろう?普通にイチゴなのか
119: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/17(火)21:32:26 ID:xKx
>>115
確かイチゴと、マーマレードっぽい味の果実の二つだったと思う
ごめん、日記に書かれてねぇwww
117:
やっぱりアリーナの旦那もヤンキーだった?
119: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/17(火)21:32:26 ID:xKx
>>117
旦那らしき人はいなかった
闇深い
118: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/17(火)21:25:32 ID:xKx
次の日は、特に何事もなく過ぎ去った
夕方、「うちに泊まりにこないか?」といいつつ2000ソム(ホテルの相場ですら数百ソム)を要求する男の車にしばらく付きまとわれてかなり面倒な思いをしたが、それ以外は概ね平和な日だった
暗くなる直前、アリという男と出会い、家に泊まらせてもらうことになった
この辺りは野生のオオカミが多いらしく、アリは羊小屋の前に番犬を置いてくれることになった
番犬はかなり大きな犬で、口に被せ物をしていた
アリは羊小屋の前へ行き、太い鎖と杭で犬を繋いでから、慎重に口の被せ物を外し……外した瞬間全力で走ってこちらへ戻ってきた
犬は威嚇して吠えながらアリを追いかけたが、鎖の長さの限界がきたため悔しそうに立ち止まる
www
それ、ほんとに飼ってる犬なのか……?
明日の朝、犬を戻すときはどうするんだろうか……
まぁ、この犬ならオオカミにも勝てそうだ
そして次の日、出発後、途中の村でアブドゥルという男と出会う
彼は「いい人オーラ」(たまにいる、めちゃくちゃ協力的な人だ。なんとなく分かるようになった)をまとっていて、昼食に誘ってくれたのでついていくことにした
美味しい昼食の後、おれが今晩寝る予定の村について話すと、アブドゥルはその村にいる親友を紹介してくれると言った
これで今日の寝る場所は大丈夫だろう
そう考えたおれは、アブドゥルと別れた後も上機嫌で歩いていたが、残念ながらそううまくはいかなかった
実は昨日あたりから、アカシュの躓く回数が少し多いのが気になっていたが、足を見ても問題なかったので気にせず歩くことにしていた
そしてこの日の昼過ぎ、アカシュが時々ではあるが右後ろ足を痛そうにし始めたので、再度足を詳しく確認してみることにした
この前紐がきつかったときは右前足を痛そうにしていたが、今回は右後ろ足だ
前回とは別の原因である可能性が高い
アカシュの右後ろ足をよく見てみると、その足の蹄だけが明らかにすり減っていて、微量ながらも血がにじんでいるのが分かった
これは……おそらく腐蹄症だ
もっと酷い状態の写真しか見たことが無いので絶対ではなかったが、みたところ蹄が細菌に感染してしまっているようだった
早急に治療する必要がある
ひとまず患部をきれいにし、抗生物質軟膏を塗布して応急処置をした
もちろん、腐蹄症ならこの程度では処置が不十分だ
手持ちの薬だけでは満足に治療ができなかったので、おれは一旦冒険を中断することにした
冒険を中断するのはとても嫌だが、この腐蹄症は感染症なので、このまま冒険を続行すると、サナにも感染してしまう可能性は非常に高かった
何より、痛がっているアカシュを無理に歩かせるわけにはいかない
120:
腐蹄症が原因だったのか
125: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/17(火)22:21:19 ID:xKx
>>120
見た目では分からなかったけど、けっこう早い段階で感染はしてたんだろうな……
121:
アリーナ…ドンキ前でたむろしてそうなイメージ…
動物が痛そうにしてるのは辛いね
125: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/17(火)22:21:19 ID:xKx
>>121
まさにそれw
122: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/17(火)22:01:50 ID:xKx
すぐにその場で車をヒッチハイクして交渉し、羊たちを乗せてトロク村に向かう
この前に比べるとかなりトロク村に近付いているので、車に長時間乗ることによる羊たちの負担も少しはマシだろう
とはいえ心配なので、トランクにいる羊たちの様子を常に観察することにした
途中、地方都市のコチコルで一旦降りて、治療用の薬剤を購入することにした
注射する場合に使用する抗生物質はすぐに手に入ったものの、消毒液がなかなか手に入らなかった
町で一番大きい薬局に行き、消毒液を大量にほしいと言ったが、出てきたのは50mlの消毒用アルコールだった
店内にある薬剤は全て店員の後ろの棚に並んでいて、こちらからも見ることができたので、これ以上大きい消毒液がないのは本当だろう
……いや、それでは困る
まずは羊の蹄を殺菌する必要があるため、毎日脚浴(蹄ごと消毒液に漬ける)させるのが望ましい
50mlでは定期的な脚浴ができないだろう
脚浴用にCuSO4(硫酸銅)水溶液があれば良いんだけれど、当然ながら薬局にはない
確か塗装関連の世界で使われている水溶液だった気がするが、職人を探しあてて分けてもらうよう交渉するのはかなり骨が折れるだろう
となると別の消毒液を入手する必要があるが……
しばらく考え、閃いたおれは酒屋へ行くことにした
キルギスは旧ソ連国で、ウォッカが常飲されている国だ
大学時代、たまにイッキしたアレがあるに違いない!
……というわけで、スピリタスウォッカ(アルコール度数96度)を入手成功!
これを少し水で薄めれば、消毒液として使用することができる
アカシュの治療の為に使うものなので、飲んじゃダメだ
というか、正直これは飲み物じゃないと思っているので飲まなくてもいいかな……
123:
なんか飲みたそうだな
125: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/17(火)22:21:19 ID:xKx
>>123
www
飲むにしても一口でいいわこれはw
のど焼けるし
124:
足を故障して思い知りましたが、動物(人間を含め)足や腰が故障すると一気に弱りますよね。
それこそ生命に支障の出るレベルに。
あとこれ味見じゃないから、飲んでもいないから。傷んでないかチェックしてるだけだから。
治療に使うものだから検査してるだけだからちょっと舐めてるだけだから。
125: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/17(火)22:21:19 ID:xKx
>>124
そうそう、食事にも影響出て痩せちゃったりもするし、跛行ってバカにできないんだよなぁ……
正直一回だけ味見したw
まずかったwww
126: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/17(火)23:52:21 ID:xKx
そして辺りが暗くなる頃、羊たちと共にトロク村へ到着
車を降りて少し歩くと、見慣れたチョルポンおばさんの家が見えてきた
あぁ、ようやく帰ってきた……とおれが思ったその時、家の陰から飛び出してきてすごい勢いでおれの方へ向かってくる奴がいた
……匂いだろうか
暗くて姿も見えないだろうに、お前、来るの早すぎるだろ……!!
おれは感極まって、走り寄ってきたそいつを抱きしめる
今回、羊飼いがコンセプトの冒険をキルギスで行うことにしたのはこいつを連れる為だ
羊飼いが扱う動物というのは、羊や山羊だけではない
優秀な羊飼いになるには、羊たちを誘導してくれる有能な相棒が一緒でなくてはならない
そう、おれの羊飼いとしての冒険には、牧羊犬が必要不可欠なんだ
おれ「元気だったかっ!!
ていうか、ちょっと太ったな! ほんと、良かったっ!!
シロ!!!」
127:
シロ待ってたよー!
可愛いなぁ??
128:
シロ???!!!立派になってまあ!
129:
シロたん!
GOがあまりシロの話しないから暗い想像してたけど元気で良かった!
130:
おおシロだ!
131:
シロー!!
しかも元気だったぁー!!
嬉しい!!
132:
躾をされたプレッソが現地の人に好評だったけど
キルギスで犬の躾習慣はどんな感じ?
139: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/18(水)22:34:02 ID:jv1
>>132
日本みたいな「お手」とかは一切ないな
牧羊犬として協力する為の調教はあるけど、やっぱりペットとしてのしつけっていうのは先進国特有のものだな
133: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/18(水)19:47:39 ID:jv1
シロについて詳しくは前スレを参照してくれ
http://world-fusigi.net/archives/9094001.html
おれがアマンの廃倉庫を後にした直後、おれはナリンの街中で立ち止まり、悩み続けた
……シロを見殺しにしてしまって、これで良かったんだろうか
今思えば、そんな悩みを持ってしまった時点でおれの心は決まっていたんだろうけど、いかんせん、ビザの有効期限があと数日であることやおれが外国人でアウェイなことなどが枷となり、決断までに時間がかかった
結局自分の心に抗えなかったおれは、タクシーで廃倉庫まで戻り、シロを連れてナリンへ向かう
……いやいや、バカすぎるだろ、犬なんか連れて、ビザは、次の冒険はどうするんだよ
日本に連れて帰るのは100万円の金と1年ほどの期間が必要だから、実質無理だ
里親なんて、滞在期間中に見つけられると本気で思ってるのか……?
などと冷静に考え自己嫌悪に陥りながらも、おれに身を寄せるシロを抱きしめ、「絶対に何とかしてみせる」と誓っていた
ナリンに到着
どちらにしてもビザはもう切れてしまうので、ひとまずシロを一旦安全な場所へ移動させてやる必要があった
ナリン在住の知人は犬嫌いだったので、ナリンにはもうアテがなかった
これまでのキルギスでの冒険を振り返る
……可能性があるとすれば、トロク村だろう
もう何日間も滞在していて、村人とも仲良くなっている村だ
誰かが力になってくれる可能性は高い
そう決めたおれは、シロを連れて長距離バス乗り場へ行き、バスの運転手を説得してトロク村までシロと向かうことにした
トロク村に到着すると、有り難いことにチョルポンおばさんが温かく迎えてくれ、シロの面倒を見てくれるとも言ってくれた
そしてその後、おれはビザを更新してビシュケクで羊を飼い、ここトロク村を目指していた……というのが昨日までの話だ
ちなみにトロク村で、シロは思わぬ才能を発揮してくれた
動物の扱いが上手いアイベックとおれ、そしてシロで村を歩いていて、牛の群れを見かけた時の事だ
その瞬間、なんとシロは素早く牛たちに走り寄って吠え、追い立てて誘導をし始めた
まるで訓練された牧用犬のようだ
GIF
アイベック「Go!! この犬、遊牧で使えるじゃないか! すごいな! さすがナリンから来た犬だ!!」
ナリンはトロク村から100km弱ほど離れている町で、家畜がたくさんいて牧畜が盛んなことで有名だった
その地域で生まれ育っていたシロは、もしかすると由緒ある牧用犬の家系だったのかもしれない
アイベック「良かったなGo!! これなら絶対誰かシロを欲しいっていうぞ! 良かったらうちに置いていきなよ!」
137:
>>133
シロ澱みない動きだな 確かに牧羊犬の才能あるかも
139: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/18(水)22:34:02 ID:jv1
>>137
そうそう、自慢の相棒なんだよ……!
134: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/18(水)20:28:31 ID:jv1
シロには牧用犬の才があったらしい!
このままトロク村に預けるのも一つだが、アイベックのこの発言が本心かどうかは分からない
アイベックはなんだかんだ心優しい奴だから、里親探しをしているおれを助けようという気持ちで手を差し伸べてくれているだけかもしれない
だから、おれはこのキルギスで羊飼いをコンセプトに冒険をすることにした
シロの里親探しをする旅だ
トロク村以上に良い場所が見つからなければ、トロク村に預けることになるだろうが、シロにとって何が良いかをしっかりと吟味して見極める時間は絶対に必要だ
馬のセキルとの冒険で、キルギスの東と南の街はあらかた抑えてしまっていたから、あと野宿旅をしていないのは、北のビシュケク周辺と……西の方だ
キルギスの西部は治安が悪い
キルギス自体、8年前にクーデターが起こったばかりだし、西端にあるジャララバードは暴動や反政府的な集会が勃発している震源地的な地域だ
だが、そのジャララバード州の入り口にある、サリチェレク湖という湖までなら何とか行けるだろうと、おれは考えた
ビシュケクからトロク村までのルートと、トロク村からサリチェレク湖までのルート
あとはこれらを網羅すれば、キルギスの主要な国道はあらかた制覇したことになるし、シロの里親が見つかる可能性も高まるだろう
こうしておれはルートを決定し、現在中間地点であるトロク村へ、感染症を患ったアカシュと共にやって来ていた
これからシロと共に里親探しを始めるつもりだが、その前にまずはアカシュの治療をしてやらないといけない
治療には患部である蹄を少し削る必要があったので、明るい場所でないと難しいと考えたおれは、本格的な治療を明日行うことにした
その日は消毒をしたうえで包帯を巻き、アカシュを隔離して安静にさせた
その後、おれはチョルポンおばさんの家で主人のコイチュビットおじさんや次男のアイベックと楽しく食事をし、就寝
ちなみに長男のアイダールは現在もまだビシュケクで働いているようだ
136: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/18(水)21:07:41 ID:jv1
次の日の早朝、おれはアカシュの所へ行き、治療を始めることにした
まずは蹄を綺麗に洗ってから熱で滅菌したハサミを使い、アカシュの蹄を少し削り、患部を空気に触れさせる
もともと滲んでいた血が少しだけ出てきたが、これでいい
腐蹄症の原因菌であるバクテロイデスやフソバクテリウムは偏性嫌気性菌といって、ようするに酸素が苦手だ
患部を大気に晒すことで、増殖を抑え死滅を早めることができる
そして70%強まで薄めて消毒液とほぼ同じ濃度にしたスピリタスをコップに入れ、アカシュの蹄を漬け込み消毒を行う
更に有用な抗生物質軟膏を塗り、患部が土に触れないように緩く包帯を巻いて完了だ
様々な菌に効果のある注射用の抗生物質も用意してあったが、内部感染が酷いようであれば必要に応じて使用することにした
そこそこ早い段階で治療が始められたので、うまくいけば2,3日で良くなるだろうが、さて、どうなるか……
ちなみにアカシュは既に普通に歩いていたけれど、完治はしていないだろうし長距離を歩くとどうなるかはわからなかった
今は安静にさせるべきだろう
ちなみにコイチュビットおじさんの家は少し裕福になっていた
山羊や羊をたくさん買い、冷蔵庫や蛇口(正しくは蛇口付きの貯水タンクだ。水道は通っていないので、水を汲んできてタンクに入れて、手を洗ったりする)を買い、おれの聴診器の影響か、聴診器で測るタイプの血圧計を買っていた
アイダールがビシュケクで働いているおかげで裕福になったとのことだ
さて、今後の事だが、アカシュはともかくとしてもおれはサナをシロと共にサリチェレク湖へ連れて行く気でいた
今後シロが牧用犬として生きていける可能性が出てきた以上、今後サリチェレク湖方面へ向かい里親探しをする道中、シロに少しでも家畜の誘導を経験させられればより良いだろうと考えた
また、道中シロの里親になってくれそうな人が見つかった際、「こいつは家畜の誘導もできるんだ!」と里親候補の目の前でデモンストレーションを行うことができる点も都合がいい
……という訳で次の日おれは、サナと共に村の羊や山羊を歩かせてみることにした
もしもアカシュの回復に時間がかかるようであれば冒険について来られないだろうから、その場合を考えてのことだ
サナは1匹では動かないので、アカシュの代わりとなる山羊か羊が必要だ
ちなみにアカシュが完治しなかった場合はトロク村に残らせることになるが、チョルポンおばさんが殺さず繁殖用に飼うと約束してくれたので大丈夫だろう
さて、 村にいた羊や山羊とサナを歩かせてみる
何度か繰り返すうちに、おれは確信した
……やはり、シンクロ率が低い
絶対に無理というほどではないし、きちんとシンクロしてくれる場合もあるが、サナと羊や山羊は別々の方向に進むことが多く、意図した方向へ進ませるのにかなり苦労した
やはり、もともと同じ群れにいたアカシュと歩くのがサナにとっては一番いいんだろう
可能な限り、アカシュの回復を待つのがよさそうだ
138: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/18(水)22:29:44 ID:jv1
その後、毎日アカシュの治療を続けたが、アカシュの予後は概ね良好だった
なのでおれは、シロとサナ、アカシュを連れて、長距離歩けるかどうかをテストすることにした
アカシュが足を痛そうにしたら即中止するという方針のもと、実際に歩く予定の道よりも険しいでこぼこの砂利道(トロク村の周りにはそのような道ばかりだ)を休まず歩かせる
冒険についていけるかどうかのテストなので、それなりに過酷な状況を歩けなければおいていくべきだと考え、厳しめのテストをすることにした
そして、おれはアカシュ、サナ、シロと共に歩くこと3時間
普段は2時間に一度は1時間程度の休憩をとるので、この点も本番より厳しい基準だといえるだろう
計12kmほど歩き、トロク村に帰還
結果、アカシュは、足を全く痛がることなく歩き切った
……よし、いける!!
治療は適切だったようで、蹄の状態も良く、アカシュは完治していると言える状態だった
こうして、おれはアカシュ、サナ、シロと共に、サリチェレク湖へ向けて出発することにした
動画はテスト中のみんな
アカシュ……シロともう少し仲良くしろよww
GIF
出発する日の朝、タクシーでコチコルヘ向かう
ちなみにトロク村からコチコルまでの道のりは歩かないことにした
これまで馬のセキルと共に2度通っているし、また歩く必要もないだろうと考えたからだ
おれが乗ったタクシーの運転手はかなり酷い男で、おれの制止を振り切りアカシュの首にビニール紐を巻き、無理矢理タクシーまで半ば引きずるように連れて行ってしまった
周りに味方は誰もいない
おれが本気でキレながら制止するのを皆、奇妙なものを見るように見る
チョルポンおばさんだってそうだ
これが途上国だ
怪我でもしたらどうするんだ……
だが正直なところ、今回みたいにおれが止めきれないことはよくあることだ
今回はサナから手が離せない状況だったので、強く制止することが出来なかった
周りの同意を得られず、最悪の方向に舵をきられてしまうことは今までもたくさんあった
今では、その問題に対しては、制止しきれなかったことによって生じる問題を解決できるだけの能力を得るしかない、と考えている
そして、コチコルに到着
アカシュは、歩き方が少しだけおかしかった
出発前の段階では問題なかったのに
狭いトランクに詰められていて、足が痺れたんだろうか……
ひとまず、30分ほど休憩を取らせることにした
一時的な問題ならこれで解決するはずだ
改めて出発
アカシュのことが不安になりつつの出発だったが、やはり一時的なものだったようで、アカシュはその後、足を引きずることは二度となかった
さあ、美しいと言われている秘境の湖、サリチェレク湖へ、出発だ!!
140:
>>138
顔見て安心するシロ可愛いな
151: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/19(木)01:18:58 ID:LSf
>>140
そうそう、シロが笑ってるように見えて、超かわいいんだ!!
141: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/18(水)22:46:06 ID:jv1
そして夕方、あと5kmで村があるというところで事件は起きた
その時、おれは休憩を取っていて、そろそろ出発しようかと腰をあげたところだ
おれの動きに反応して、アカシュが走り出す
……走り出す?
アカシュを拘束していた紐が休憩中に外れたようで、アカシュは自由の身となったようだった
……嘘だろ!!
おれは慌ててアカシュを追う
周りは何キロも続く平野だ
以前逃げ出した狭い田舎道と違い、早く何とかしないと見失うかもしれない
ちなみに実は、このアカシュの脱走の原因ははっきりしていた
拘束していた紐の長さが少しだけ変わっていたのが原因だ
アカシュを連れてトロク村に到着した時、実はおれが見ていないところでコイチュビットおじさんがアカシュとサナを拘束する特殊な紐をハサミで切ってしまっていた
切断せずとも、10秒もあれば外せるものだが、面倒だったんだろう、仕方ない
その後おれは新たに紐を結び直したが、同じようにしたつもりでも微妙に長さが変わり抜けやすくなっていたようだ
こういった、拘束具の長さに起因する問題は、実はモカの時もセキルの時も起こっている
モロッコやキルギスの人は(一応国を限定しておくけど、多分途上国の人はだいたいそういうノリじゃないかと思う)、勝手に切ったり長さを変えたりよくするので、それで問題が発生することが時々ある
セキルの時は大きな問題は起きなかったが、ほんの僅かに拘束具の長さが変わっただけで、モカが擦りむいてしまったことはあった
すべての拘束具の長さを測っていないおれの落ち度ではあるんだけど、拘束具周りは本当にデリケートだ
少しでも変えると予想以上に大きな問題が起きる
という訳でこの時もほんの数センチ、数ミリの違いによってアカシュは自由となった
さて、走り出すアカシュ
基本的にはアカシュは自由だったとしてもサナの近くから離れないが、この時だけは違っていた
なぜか
遥か500mほど先に羊の群れがいたからだ
アカシュお前、目良すぎだろ……www
できるなら走らずに追いかけられれば良いんだけど、アカシュが走っているのにそんな悠長なことは言ってられない
142: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/18(水)22:51:22 ID:jv1
おれは全力疾走し、アカシュの前に回り込もうとする
まわ、回り込もうと……てか、アカシュ、早www
アカシュは美しいフォームで大地を駆け、結局500m先の羊の群れに合流した
この時点でおれは、全力疾走しっぱなしでクタクタだ
お前、ほんとに最近まで蹄痛めてたのかよ……
ちなみにサナは拘束状態で、荷物番はシロがやってくれている
さすがにこの状態では戻れないので盗られないよう祈るしかない……
まぁ、キルギスでは泥棒の話はあまり聞かないので、十中八九は大丈夫だろう
さて、しばらく群れの中に混じっていたアカシュだったが、何を思ったのか群れから出て、さらに遠くの方へ走り出した
う、嘘だ……
……ほんと、元気だな、アカシュは
何キロ先まで行くつもりなんだ?
おれは、目の前に地獄が見えてきた気がするぞ……
これを止められなかったら、アカシュを見失うだろうし、本気で面倒なことになるだろう……
その後、おれはさらに全力疾走し、時間をかけてなんとか先程の羊の群れまでアカシュを戻らせることに成功した
そして、この時は羊番のおじさんがいたので、おじさんと協力してなんとかアカシュを捕獲することができた
喉に血の味が広がっていたが、結果オーライだ……!
ぜいぜい言いながら、アカシュの背中を握力を絞り出して掴み(気を抜くとすぐに逃げられる。特にアカシュはかなり力が強い)、少しずつ元の場所へ戻らせる
拘束具の改善が必要だ……
結局、この騒動で1時間ほど時間を食ってしまったので、目的の村についたのは辺りが暗くなり始めたころだった
……やばい、早く安全な場所を見つけないと
そう考え、とりあえず近くにいた夫婦とおぼしきおじさんとおばさんに話しかける
羊の群れもいたので、羊達が寝る場所はあるだろう
おじさんの方はノーランといったが、すでにべろべろに酔っぱらっていて、なにも聞かずに「さぁ、羊小屋へ」とアカシュたちを導いてくれた
……これはラッキーなパターンだ
多分ノーランがシラフだったらこうスムーズに話は進まなかっただろう
羊たちの安全な寝床を即見つけることが出来た
アカシュとサナを羊小屋へ入れ、シロも鍵つきの小屋に入っていてもらうことになり、その日はノーランの家に泊まらせてもらった
143:
油断できんな動物は
151: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/19(木)01:18:58 ID:LSf
>>143
普段一緒に歩いてるときそんなにくないのに、逃げる時はめちゃくちゃ走るw
144: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/18(水)23:17:00 ID:jv1
さて、そしてまた日は昇り、おれは動物たちと出発した
今日は地図上に村などが表示されていない区間を歩くので、野宿かもしれない
そういえば昨日から思っていたが、やはりシロがいると羊たちをコントロールしやすい
構図としては、道路側からおれ、アカシュ、サナ、シロと横並びに進むことで、羊たちをまっすぐ進ませることができた
シロがいなかったときは、サナが食べ物を探して道から逸れてしまう度にサナの横まで回り込んで軌道修正を行う必要があったが、シロがいるお陰でその頻度は明らかに減っているといえた
ただし、シロが前に行きすぎると羊達が道路側に歩きだしてしまうので注意が必要だ
シロ側からかけるプレッシャーと、おれ側からかけるプレッシャー
これらが同程度でないと、羊たちはまっすぐ歩いてくれない
これはこれで大変だけど、シロに指示を出すだけでもある程度調節出来るのでかなり楽になったのは間違いない
さて、休憩を挟みつつ、歩くこと4時間
地図上に町や家などが一切書かれていないにも関わらず、おれの目の前には集落があった
地図にも載っていない集落
地図の精度が高まっている昨今、なかなか出会わない存在だ
明日到着する予定の町へはまだかなり距離があるが、この先は山道になっていて集落はないだろうから、これを逃したら今晩は野宿確定だろう
今回の冒険では、羊たちの安全確保が最優先だ
コンセプトは「羊飼い」なので、獰猛なオオカミたちから羊たちを守ってやらないといけない
そう考え、この集落のどこかの家の家畜小屋に羊たちを入れさせてもらうことにした
特にこの辺りにはかなりたくさんのオオカミがいるらしいので、かなり気を付けて安全に進まなければならないだろう
さて、なんとなく目についた家を訪問
そして、家の人々に温かく歓迎され、その日はその家で一泊することになった
……おれがこの日にこの家を訪れたのは、今思えば何らかの力が働いてのことだったのかもしれない
その家には、おれと年の近いアフマット(仮名)、アルトゥンベック(仮名)という兄弟とその両親、そしてアルトゥンベックの妻であるファリーダ(仮名)がいた
ファリーダは、頭に純白のスカーフをかぶった、驚くほどに美しい女性だった……
【後編へつづく】
145: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/18(水)23:17:29 ID:jv1
中途半端な気もするけど、時間切れだw
ここから少し長いので、前編はここまで!!
後編は8月上旬に投稿する予定だ!
何かアドバイスや質問などあれば遠慮なく書き込んでくれ!!
146:
あっ…キルギスで純白のスカーフを被った女性って…
後半ヘビーな予感……
151: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/19(木)01:18:58 ID:LSf
>>146
そういうことだな
147:
ああ例のアレか…?
シロは有能だね
最初あんなグッタリしてたのに元気に走る姿見て嬉しくなったよ
151: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/19(木)01:18:58 ID:LSf
>>147
ほんとにそうだよな
常にうつぶせで元気なかったのが嘘みたいだ!!
148:
なんというヒキだよ全く
続き楽しみにしてるぞ
151: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/19(木)01:18:58 ID:LSf
>>148
ありがとう!!
8月にまた会おう!!
149:
死を待つだけのシロが豪さんに助けられ恩返しが出来て良かったねシロ!
豪さんの足取りを地図と一緒に追いかけて読んでますが自分は山岳地図を使ってます
他の地図には全く乗ってない村や川も見つけられ これがまた別の楽しみにもなってます
8月後編待ってます!猛暑に負けず身体を労わって下さい。
151: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/19(木)01:18:58 ID:LSf
>>149
なるほど、キルギスの山岳地図ってそんな簡単に手に入るものなのか?
というか日本で夏過ごすの4年ぶりなんだけど暑すぎwww
湿気すごいwww
総合的にエジプトの砂漠超えてるだろこれ……
150: mkhbk 2018/07/19(木)00:16:32 ID:49C
アカシュ、サナ、シロと並走するGOさんは、脚のトラブルは無いようだけど、靴とか歩き方に工夫があるんですか?
8月まで、、、仕事頑張るかぁー
151: 1◆0sA8GVLJwJ07 2018/07/19(木)01:18:58 ID:LSf
>>150
おれは歩くのなら楽勝だ!
歩き方はうまく説明できないけど、「疲れず長距離歩ける歩き方」がずいぶん前から身についてる気がするぞ!
でも一番大事なのは靴だな!
靴によってどのくらいの距離歩けるか、どのくらい怪我しやすいかが大きく変わるんだ
カメルーンの熱帯雨林でサバイバルしたりとかモロッコ縦断したりの時はアディダスの弾むように歩ける奴使ってた!
このキルギス編ではアシックス使ってたぞ
アシックスは安価でインソールの形をオーダーメイドできるからフィット感すごかったw
耐久度やら歩きやすさやら総合的に考えるとおれはアディダスが好きだけどなw
152:

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