【ミリマス】俺の気苦労は杏奈絡みback

【ミリマス】俺の気苦労は杏奈絡み


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本作は【ミリマス】俺の係は“杏奈係“
の設定を練り直した物です。
弟君の名前はアルスみたいなものなので、好きな名前に変えてお読みください。
3:以下、
「……今日の紗代子さん、どうかしたの?」
姉の名前を出されて顔を上げる。
目の前には携帯ゲーム機を鞄から取り出している女の子がいる。
長い髪、眠そうな顔、フードのついたパーカーを着て、気になってるって顔で俺を見てた。
「泣いてた……みたい。……元気なかった、よ」
だからこっちも心配ねーよって風に肩をすくめ、
同型のゲーム機の電源を入れながら彼女に答えてやる。
「ああ、ここんトコいっつもだよ。またオーディションに落ちちゃったんだろ」
「オーディション?」
「アイドルになりたいだってさ。自分で履歴書とか書いて、事務所に出したりなんかして。……で、落ちてる。毎回、何十回も」
そしてショックで酷いその顔を、遊びに来た杏奈は目撃したワケだ。
俺は勉強机に肘をかけて、椅子の上の丁度いいポジションを模索すると。
「姉ちゃん、真面目だけど地味で可愛くないし……。受かりっこないって、一生」
そう、アイドルになりたいだなんて夢見過ぎだ。
俺の友達百人計画ぐらい現実ってものが見えてない。
……ただ、現実を見てない。
いや、目を逸らしてるって意味じゃ、俺も人の事とやかく言えなくて。
4:以下、
「……いいんちょ」
今度は、自分のあだ名を呼ばれて顔を上げる。
いつの間にやら俺のベッドに腰を掛けてる杏奈。
彼女は両手で持つゲーム機で自分の口元を隠したら。
「意地悪……だね。……人でなし」
咎めるように俺を見やる。
これが男の友達相手なら、やかましいその口縫い付けるぞ! ぐらい言っても構わないだろうけども。
「結構。じゃ、人でなしの俺は協力プレイしなくていいな」
言って、俺は用意したばかりのゲーム機を机の上に戻すふりをする。
すると杏奈は慌てた様子で腰を浮かし「やっ! ダメ、嘘だから……!」なんて。
「……杏奈、一人じゃ勝てない。……いいんちょの協力必要、です」
いつも眠そうにしてるその目もゲームをしてる時は真剣。
好きなコトに対する情熱は本物。
俺は少しの後ろめたさを払拭する為に「冗談だよ」と彼女に言ってやると。
「たださ、いくら幼馴染だって言ったって……俺たち、もう中二だぜ?
この歳になってまで女と遊んでるヤツなんてそういねーよ」
もしいるならソイツは変わり者か、彼女持ちかのどっちかだ。
もしくは変わり者の上で彼女持ちか。
なんにせよ、変わり者でもないし彼女持ちでも無い俺は、
学校が終わると当然のようにウチに上がり込んで来るゲーム好きの異性の存在に、いい加減辟易してたっていう話。
6:以下、
それもこれも、もとを正せば姉の助言があったからだ。
友情を男女分け隔てなく大切にしていたら、気づいた時にはもう遅い、
望月杏奈という厄介者は俺の中に自分専用のスペースをちゃっかり確保してしまっていた。
おまけに他の女子たちと彼女が違ってたのは、
幼馴染っていう特質まで持っていたってコト。
要は、友情を冷ます間が無いほど頻繁に顔を合わせるのだ。
相手の家とも家族ぐるみで仲が良いし、今更無下にも扱えないし、
その癖杏奈は年々可愛くなっていくし――って、いやいやいや! 今のは俺の気持ちじゃなくて、親からの受け売り、一般論!
だからこそ俺は、再びベッドに座った杏奈に向けて呆れたように言ってやった。
「お前だってそうだろ? 普通、女は女同士で遊ぶもんだ。……仲の良い友達とかいないのかよ」
すると杏奈は不思議そうに小首を傾げ。
「いるよ?」
「だったら――」
「でも、いいんちょみたいに……杏奈とゲームしてくれる人は、いない」
そうしてアイツはゆっくりと、柔らかな微笑みを浮かべたら。
「……いいんちょこそ、友達いないの?」
「いるよ! 一杯、腐る程なっ!! それこそお前と遊んでる暇なんてないぐらいに!」
7:以下、
思わず大きな声が出た。
実際コイツが来るせいで、他との付き合いを断る日だってあるっちゃある。
だけどそれは、俺が留守してると根に持つ杏奈自身も悪いワケで。
なのにビックリしたように身を引いて、
小さく「……そっか」と呟いて、ああ、もう!
寂しそうな顔をしやがるから、
不合格喰らった姉ちゃんみたいな顔するから!
「……だ、だけどさ……それでも遊んではやるって。
それぐらい、大事な友達の一人だってことを改めて言ってやりたかっただけで……」
「……嘘つき」
「じゃない! ホントだ! 遊びたいとも! ……い、いい加減ゲーム始めようぜ」
全く俺の体はボロボロだ。主に掌を返し過ぎて手首が痛い。
……ただそれでも、杏奈は無言でゲーム機を構えてカチャカチャとボタンを鳴らしだした。
俺も疲れた様にため息をつくとゲームをプレイし始めて――
しばらくの時間が経った頃、思ったままの気持ちを彼女に伝えたんだ。
「なぁ、杏奈」
「ん……なに?」
「この敵、二人でも厳しいんじゃないか?」
8:以下、
===
「私、こんなことしてる場合じゃないの」だなんて口では文句を言いつつも、
急遽俺の部屋に召喚された姉ちゃんの堅実なプレイはソツが無く、
操作しているキャラクターは先ほどから絶妙なタイミングで俺と杏奈を支援していた。
二人だけで挑戦してた時にはあれほど手こずっていたのが嘘のように傷を負っていく敵モンスター。
姉ちゃんのサポートを受けた杏奈のキャラが宙を舞って、その首筋に鋭い一撃をお見舞いする。
会心のダメージが出たことを知らせるエフェクトが画面に光り、同時に相手を倒したことを知らせるログが出現した。
「やった! やっつけた、倒したよいいんちょっ!」
ゲーム機を両手で構えたまま、布団の上で杏奈が跳ねる。
嬉しがっちゃってまぁ、なんて思いながら「ああ、やったな」と応えてやると、彼女は今日一番の笑顔を返して来た。
途端に、そのまま目を合わせていられなくなって視線をゲーム画面へと落とす俺。
9:以下、
だけど姉ちゃんは違っていた。ニコニコ笑顔の杏奈をジッと見つめると、
「杏奈ちゃんは可愛いよね」そう俺が言えなかった言葉を口にしたんだ。……ただし、トーンは微妙におかしかった。
「どうしたらそんな風になれるのかな?」
ついでに続けた言葉もヘンだった。
眉間にキュッと皺を寄せて、露骨に悩んでますって顔をしてる。
実の弟の俺が戸惑うのだ。当然訊かれた杏奈の方はもっと困った顔になって。
「えっ……!? 紗代子、さん?」
「声が高いからそう思うのかな。着てる服がゆったりしてるから思うのかな。
髪だって――サラサラだし、ほっぺもこんなに柔らかいし」
まるで何かに憑りつかれたように姉ちゃんは杏奈に迫っていくと、
無遠慮に彼女の髪を梳くように触り、頬をつねり、ムムムッと小さく呻きを上げる。
「眼鏡が無いのもポイントかも。そうよね、こんなの掛けてちゃ印象は硬くなるだろうし、
アイドルってもっと、ふわふわのマシュマロみたいな人が……」
ブツブツと続ける姉ちゃんには、狼狽する杏奈の姿が目に入っているようで入っていなかった。
「ひ、ひーんひょ」と杏奈が俺を見る。
助けて欲しいと言っている。
仕方が無いので助けてやる、俺は恩を売ることに躊躇わない男だ。
10:以下、
「姉ちゃん、ストップ、何してんだ。杏奈が困っちまってるだろ」
言って、ダメな姉を引き剥がそうと俺がその肩に両手を置けば、
姉ちゃんはすぐさま真剣な表情で振り返って。
「ねぇ答えて。杏奈ちゃんぐらい可愛い子なら、アイドルになれると思わない?」
「……はぁ?」
「真面目な質問。朔也から見て、杏奈ちゃん凄く可愛いでしょ?
私よりアイドルに向いてそうに見えないかな?」
……やっぱり今日の姉ちゃんはだいぶおかしい。
怖いほどの迫力を目に宿して、俺の言葉を待つ彼女の心は知れなくて。
ただ一つ、ハッキリしてることと言えば。
「別に、どっちも可愛くねーよ」
正直、言った瞬間しまったとは思った。
ますます姉ちゃんの表情が険しくなる、部屋の空気が重たくなる、
そうして何より目の前の、杏奈が悲しそうな顔をして。
「……ん、知ってる」
畜生! だから女ってめんどくさい!!
12:以下、
「――なんて言う奴は見る目が無いと思う! 二人とも可愛さの方向が違うだけで、
どっちもそれぞれの魅力があるって! ね、姉ちゃんがハリネズミなら杏奈はハムスターみたいな」
そうして俺は、姉ちゃんの飼っているペットという身近な題材を使って分かりやすく説明してみせる。
「ハリ子はほら、可愛いけど、ハリネズミって響きだけじゃちょっとおっかないイメージを持たれたりさ。
……姉ちゃんはどっちかって言うとそのタイプだろ? だからその、杏奈と比べてもしょうがないっていうか」
なんてしどろもどろになりながらも、とにかく泣き出されたりしないように超必死。
泣き虫な姉を持ったせいか、誰かに泣かれるのはホント苦手なんだ……。
「大体、杏奈の真似をして、もしそれで合格貰ったって……姉ちゃんはそれでも嬉しいのか?」
言われた姉ちゃんの唇が音がしそうなほどにきつく結ばれる。
グッと握りしめてるその拳が解かれることは無かったけど、だからってそのまま泣き出したり、
癇癪を起こして当たり散らしたりしないのは立派だと思う。
これまでだってそうだった。何度オーディションに落とされても、
姉ちゃんがそのせいで周囲を傷つけるなんてことは無くて。
13:以下、
「……急に変なコト言って驚かせて、ごめんね」
今度だってそうだ。姉ちゃんは杏奈に謝ると立ち上がり、
「考えたいことがあるから」と自分の部屋に戻って行った。
その背中を心配そうに見送って、杏奈が俺と目を合わせる。
「大丈夫、かな?」
「大丈夫さ。一晩寝たら治ってるから」
だからこそ気にすんなよって手を振った。
家族だから、自分よりも彼女のことを分かっているだろう俺の反応に杏奈も納得したようだった。
程なくして、俺たちは再びゲームを始めたが、
姉ちゃんがいなくなったパーティーはどうにもこうにもパッとしなくて、
そのうちこぼす愚痴の数も増えて行き、愚痴はとりとめのない会話に変わり、
授業のあれが難しいとか、今日の晩飯はなんだろうとか、最近見たテレビは何が面白かったとか。
「ねぇ、いいんちょ」
「あんだよ?」
「……杏奈がね、もし、もしも……アイドルになったらどうする?」
それは不意打ちにしたって程がある、タチの悪い冗談の類だった。
「そんな話があるのかよ?」とノータイムで訊き返した俺に、
杏奈はゆっくり首を振った……横に二度、ふるふると。
14:以下、
「ううん。……ただ、紗代子さんに言われたから」
「なれるかもしれないって? バカかお前」
「……杏奈、バカじゃないもん」
「そもそもなんでアイドルだよ。興味ないだろ? そんなもんに」
「……ある。杏奈、カワイイ物……好きだから」
言われて俺はふと気づいた。
そういえば、さっきからゲーム内で動かされてる杏奈のキャラは可愛い尽くしの装備をしてる。
それはいわゆる魅せ装備で、どっちかって言うと弱い方で……
俺は単に、ゲーム好きの彼女が歯ごたえを求めて使っていると思っていたのにだ。
「後は……いいんちょも、カワイイ」
「それは俺のことチビだって言ってんだろ?」
コイツめ、フレンドリーファイアのお返しを受けろ。
15:以下、
「大体、口下手なお前が人前に出れるのかよ? 笑い者になってるのが想像つくぜ」
「そんなこと、ない。……ゲームの中なら喋れる、よ?」
尚更それだとダメじゃねーか、とまで言わなかったのは俺の優しさだと思って欲しい。
ゲーム内でぴょんぴょこ跳ね回る杏奈のキャラを追いかけながら、俺は彼女がステージで歌ってる姿を想像した。
それは単なる戯れであったけども、大勢のファンの前に立って、明滅するライトに照らし出された杏奈と俺の視線が合う。
弾ける汗を輝かせて、マイクを使って届けられた彼女の一言は。
『あそぼ!』
――それじゃあいつもと変わんねーな、と呆れたように笑ってしまう。
杏奈が怪訝そうな顔で俺の方を見る。
コイツと姉ちゃん、二人には悪いがどっちも馬鹿な夢見過ぎだ。
……だけど、そういう夢が人の機嫌を良くしてくれるって言うんなら。
応援することで友人の未来が輝きを持つって言うんなら。
16:以下、
「じゃあ杏奈、もしもお前がアイドルになるようなことがあったらさ、
そのお祝いに俺が何だって言うこと聞いてやるよ」
心なし、言われた杏奈のアホ毛がピンと立った気がした。
「嘘じゃない、の?」と彼女に訊き返され、俺は「嘘なもんか」と言い返した。
杏奈がゲーム機で口元を隠す。喜んでいるかは知れなかったが、
ゲーム内のキャラはしきりに『HAPPY』のエモートを出し続けている。
……だから、それじゃ意味無いっての。
とはいえ、この時の俺はまだ笑ってられる余裕があった。
守る必要のない約束ほど気持ちを縛らない物は無いし、
姉の悩みも杏奈との関係も急いでどうこうすることは無いと呑気に構えていた。
――だからなのか? 俺はその年の秋になって、
この時の口約束を大きく後悔することになるんだが……その話はまた、別の機会に。
17:以下、

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