やる夫ショートストーリーセレクション Ep254 文字禍back ▼
やる夫ショートストーリーセレクション Ep254 文字禍
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失礼します。
中島敦の「文字禍」にAAをつけてみました。
これを含め１２８レス投下します。
なお、本作は青空文庫を底本としていますが、仮名遣いや使用漢字等を一部改編しています。
あらかじめご了承ください。
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文字禍
中島敦
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┃ 文字の霊などというものが、一体、あるものか、どうか。
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┃ アッシリヤ人は無数の精霊を知っている。
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/::::::::::l::/ :l::l!=ﾆﾆヾ:::::◯::::::Y´i! ┃ 夜、闇の中を跳梁するリル、
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|::::ｌ!::::ヽ l::::::::::::::::::::::ゝ､ヽY::::::i!
|ノ∧::::| .〉::::::::::::::::::::::::::｀ｰゝ::::｀:,--ュｧ
λ__/:::::Y､＼￣｀ヽ::::::::::::::::::::::::ノ |::|
l .K::::::::::l ＼＼__. ｀ｰ=＝7:::::〈 ノノ
ゝ| ::::::::::l.......::::::::::::::｀ｰ-イノヽ:::| i_/
| | ::::::::::l:::::::::::::::_ノ｀ー ヘ ヽ:::Y´
/＼l :::::::::l､__／´ |ヽ_:::::!
／＼ .}｀:::::::l´ ,!､ /ゝ'::::::!
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ﾉ-'::::::::::::/ 〈::::::::ｷヽゝ ::::::::ヽ:::ヽ _ﾔ::::::::ｷ
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,. '´ ´ ｀ヽ､
／ ／ ＼
／ ／ ／ 、 ＼
／ ／ , / ＼ ヽ
/ ,〃／ ,' ', ヽ ',
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┃ その雌のリリツ、 l/:,':,' . l:Λ ! ! ￤ ! .i:!￤! ', : ij
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｜i ::l ::/ /,⊥!⊥ゝLjヽ::. !!: j /┼j┼ヽ::. ! !: |
ヽ!.::|:/!,ﾊ. ミ'Tﾄｲiヾヽヽ:: !j://ﾄｲｱ｀>''∧!| : :|:::l
|:::l':!|'､::ヽ、｀ ﾟ¨´ ｀ V ' ｀¨ﾟ ´ 〃::l:!:::!:|:/
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ヽヽヽ＼＼ヽ､__ ' ／／,':/:://
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,. '´ ／ ＼ヽ.｀ヽ、
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'., _,.r' ヽ､______,,,,..ﾉ ____」
"'ー┐'" _,,,... --ーー '''' "" ￣ ＿ ｝
ﾞｔｭ''",. ､ t,___,,.''"￣､￣ ￣､_ 'い､
. ﾉ' "＼.ヽﾐ'''___,,.'''""",,,...... ....,,,,__"''_''"_,,..ﾉ
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i ti'.i.'.i"iヾ,rｰｧｰｪｭ､"ヽ'､ ,rてゝｿ, ''/. ,ﾉ
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... i i l .i iゝ-''ｰ- ', ,' ┏━━━━━━━━━━━───
i i ,' ' .i､｣'､ _,,'_ .／ ┃ 疫病をふりまくナムタル、
,i.' i i '," ヽ, " ﾆ " イ. ┗━━━━━━━━━━━───
i' i.ri､ ┐､ " ／i ｢'ｰ- ..,,_
i i '､、 i i i"i' ｰ-, '' ､,', i） ￣"'' ー- ､....､_
i ..i '､､..U ,i i i ､'v.i _ "､ ､､
-ｰ''"i. i＿,,..>､､// i ヽ/' "'ｰｰｰ､ ', ,.',
i / '-' "' ､ ､_ .i__｣.i
'.､ ,' ,' i "''ｰ- ..,,___ ,i
, '.､.i i ', , / "'i
､vｒ"ｉ ＿,,,,... .i.... - ., ', レ' i
. y'"" i ', i ,' i
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|￣ ys￣|＿
／￣￣￣ ＼
／ ─━ 聖━-ヽ ┏━━━━━━━━━───
/ ● ● ヽ. ┃ 死者の霊エティンム、
! ヽ l. ┗━━━━━━━━━───
! ● ・ ・） l
ヽ_ ４ <三ソ ノ
゛ーＪ――― Ｊ ノ ⌒γ⌒）
（（ （
（ ）
） ヽ
ノﾉ ））
┏━━━━━━━━─── （ ノﾉ ノﾉ ）
┃ 誘拐者ラバス等、 .（（（ ノ乂ノﾉ从 人乂 ヽ
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（ ）） （●） |（●）/（ ））
）） （ ノ | ヽ | ）ノ
（ メ ヽヽ 」 / ノ
（（乂 ノﾉ | lllllllllllllｌ ノﾉ ）
（（乂 ヽヽ ++++ﾉﾉノ）（（
ヽ乂 ヽ ￣￣/ ノ
ヽllllllﾉ
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┃ 数知れぬ悪霊どもがアッシリヤの空に充ち満ちている。
┃
┃ しかし、文字の精霊については、まだ誰も聞いたことがない。
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┃ その頃――というのは、アシュル・バニ・アパル大王の治世第二十年目の頃だが――
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,. - ‐ - .,
,r,,'´r ﾉ ﾐ《､､ ｀,ヽ
r', 从ﾉi {ﾉ}}､,｀i ゛{ ﾄ"'゛ヽ
ゝ从 ｀ ' ｀ " '" ｀＾}{ 〃, ﾊ
{,｛,,､ ,, ,､ ,. r=､'ゝ, ﾘ"ﾊ
゛}=示'} ≧"志､ ｀ {( ﾘ} } i
{ ｀ ,' ｀ ｀゛ｰ´ |ｊ "彳,ｒ､}
} !､ _ ｒ "{´' }
} ｀´ ´ ｒ' ./
ﾊ' ´ﾆ二ｰ- i / r-ｲ
ﾍ ｀ ﾉ |
'ｰ､＿＿,. r ‐ ´ .| ,､
,.ｲ i | >'?ヽ
,. r ´/| ﾄ､ ﾘ r'三三ミゝ､
_ ,. rｰ ‐'´ / ﾉ三三ミr ´| |ヽ
,r‐ ' ´ ､ ヽ /三三ﾐ/|ﾘ| |き| |ヽ
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/ ／|/三三/| | ﾘ| | | /| | r ´ヽ
/ , ／i | /三三ｲ| | /| | | | ／| | | |ﾍ､
r ヽ ／き| |イ三三/ﾐ|| | | | | |/| | | | | | | |｀
i ヽ ／| | | 屋/三三三ﾐﾘ| | | | /| | | | | | | | | ﾊ
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/ r‐r',._ ｀＾ヽ,｀ｰ-､,. r´ir´| | | | | /ミﾐ/三三三三/| | /／| | | | | | | | | | |
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{ ｀r ´￣ , , , ; ｰ,､_ '" ,. ´ヽ´ヽ､|ヽ≦
アッシュールバニパル [ Ashurbanipal ]
（在位：紀元前668年 - 紀元前627年頃）
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┃ ニネヴェの宮廷に妙な噂があった。
┃
┃ 毎夜、図書館の闇の中で、ひそひそと怪しい話し声がするという。
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_l_ iγ'⌒ヽ ﾊY´::::::::｀Y､ _⊥_ i
_γ´__｀ヽ 癶 γ´{::::::::::::::}o x会x |┴─ﾉ＾ﾄr‐Y´::::八｀Y⌒ヽ
|厂/ ヽｰ‐ァT 厂厂￣￣|￣|￣|_|_|＿＿弋二二二二ｱ￣|__ノzzｧ |｀Y
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癶 |凵 └┴┴┴┴┴┴┴|…|￣￣￣|￣|￣|￣|￣|¨¨|¨|~~|┬r┼┴ｧ' 余
二二＼ r┴|┴rrrrrrrrrr|丁二二二丁 |-‐|rr:r:r:r:r:r:r:r:r:r:r:rr:r:r:r:r:r:rrrrr:|‐|TTTTTTl
ヽ＿＿_|~ﾞ|ー‐r─__l二二廴ｰｰｰｰ弋弋八弋弋弋 八ｱ_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|八_|_|_|_|」」」」LLﾉ__ﾑｰｰｰｰr' ／＼
＼ | ┴‐ｧ´￣l :|￣l:|│ニニﾆｉ| /_ﾊ /_ハ＾⌒＾⌒＾⌒＾⌒|,,「|＾⌒Y＾＾＿,.-:|_|_|┬ェTﾆl.. ／ ／
＿ ｀¨¨¨¨¨´ ____|__ .|┬┴|＿___＿,|__,|::|::|,＿ |:::|::|ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ┴──r{_|_|」斗-‐弋ニﾊ. ＼／ ／>
__二二ﾆﾆﾆ=ミ-─r'ﾞ=|┴─| | [] _」」.. |::|::| ￣.|:::|::| l二二二二＿ﾆﾆﾆ========ュ二廴＿|_:|＿ <／
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-‐'''"~:.:|:.:.￣￣”“ ━─--r-=ﾆ二_::::::::::::_,｡o≦///刀ﾌ7ァｧー--- --ー‐:ｧァ7ﾌ刀| ￣￣ ━──ィﾞ. └─┘
_,.. -‐ Ｔ≡ェ─- .. ,_:.:.:.:.:.:.:.| i⌒ x=x￣丁¨ ━─--=ﾆ///////////////////,'|￣￣”“ ━──-- ....,,,|_ ／
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┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ 王兄シャマシュ・シュム・ウキンの謀叛がバビロンの落城でようやく鎮まったばかりのこととて、
┃
┃ 何かまた、不逞の徒の陰謀ではないかと探ってみたが、それらしい様子もない。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
／￣￣＼
＿＿＿_ ＿＿＿_ ／ _ノ ヽ､_ ＼
／ ＼ ／ ＼ | （ ●）（● ） |
／ _ノ ヽ､_. ＼ ／ . _ノ ヽ､_ ＼. | （__人__） │
／ （●） （●） ＼ ／ （●） （●） ＼ | ｀⌒ ´ |
| （__人__） | . | ' | | |
＼ ｀ ⌒´ ,／ ＼ ￣ ／ r､ r､ヽ /
r､ r､／ ヘ ....r､ r､／ ヘ .ヽヾ 三 |:l1.ヽ /
ヽヾ 三 |:l1 ヽ ヽヾ 三 |:l1 ヽ ＼>ヽ |｀ ｝ > <
＼>ヽ/ |｀ ｝ | | ...＼>ヽ/ |｀ ｝ | | ﾍ lノ `'ｿ ヽ
ﾍ lノ `'ｿ | | .ﾍ lノ `'ｿ | | /´ /,1 | |
/´ / |. | ./´ / |. | .＼ ノ .｜ | |
＼. ｨ | | ＼. ｨ | | ｜ | |
| | | | | | ｜ | |
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┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ どうしても何かの精霊どもの話し声に違いない。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
.
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┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ 最近に王の前で処刑されたバビロンからの俘囚（ふしゅう）どもの死霊の声だろうという者もあったが、
┃
┃ それが本当でないことは誰にもわかる。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━───
／￣￣＼
rヽ ／ ノ ｀⌒.＼
i ! | （ ●）（ ー） |
r;r‐r/ | | （__人__） |
〈_L (｀ヽ .} | ｀ ⌒´ ﾉ ＿＿＿_
l｀ （ ｀`/ . | } ／ ノ ＼
ヽ l . ヽ } ／ (● ) ヽ､_＼
|,. l /⌒ ー‐ ｨ ヽ | （⌒ (● ) ｜
ﾍ ￣｀､__） ｜
ヽ ｜
／∩ﾉ ⊃ ＿／
／.／ ＿,) ｀丶
(＿__／ １ |
／￣￣￣ ＼
（ ／ ノ ヽ ＼ ` ､
（ ﾞ''ｰ-- ／ （ー） （ー） .___,,..) )
ﾞ''ｰ-- | __´ _ | --‐''´
＼ ￣ ／
ノ ＼
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┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ 千に余るバビロンの俘囚はことごとく舌を抜いて殺され、その舌を集めたところ、
┃
┃ 小さな築山が出来たのは、誰知らぬ者のない事実である。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
＿＿＿
／⌒ ー､＼
／（ ●） （●）＼
／:::::: __´___ ::::::: ＼.
ｃー､ | |r┬-/ ' |⌒,一っ
,へ λ ＼ `ー‐' ／ 入 へ、
<<<／ヽ /＼）））
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┏━━━━━━━━━━━━━━━━━─── .＿＿＿_
┃ 舌の無い死霊に、しゃべれる訳がない。 ／ ＼
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━─── ／ ＿,ﾉ ⌒ ＼
／ （●） （●） ＼
｜ ､ ´ | (( ∩))
＿＿＿_ ＼ ￣￣ ／ （ ⌒）
／ ＼ ／ ＼
／ ─ ─＼ ､、
／ ....-━- -━-.＼ ））
| :::::⌒ ､_! ⌒:::::.|
.／￣￣＼ ＼ 'ｰ三-' ／
.／ ＼ / <
| _ノ ヽ､. .| | . ヽ(⌒／⌒,l､ヽ.
.!. （一）（ー） ｜ |. ＼ ｀´ , <＿＿_〉
, っ （__人__） |
..../ ミ） ｀⌒´ /
../ ノゝ /
.i ﾚ'´ ヽ
.| |／| | |
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┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ 星占いや羊肝卜（ようかんぼく）でむなしく探索した後、
┃
┃ これはどうしても書物どもあるいは文字どもの話し声と考えるよりほかはなくなった。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
/ |
┏━━━ / ｜━━━━━┓
┗┳┳━ |＿| ━━━┳┳┛
┃┃ ／ ヽ ┃┃
┏┻┻ |======| ━━┻┻┓
┗┳┳ ヽ__ ¶_ ノ ━━┳┳┛
┃┃ （／） ┃┃
┃┃ （／） ┃┃
凸┃┃ （／） ┃┃凸
Ш┃┃ （／） ┃┃Ш
.|| ┃┃ （／） ┃┃.||
∧＿∧ （／） ∧＿∧ ∧ ∧
（ ・∀・） （／）（´∀｀ ） (ﾟДﾟ )
（つ つミ （／）（⊃⊂ ） ⊂ ⊃
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／／／／／ﾉ,,,,,,ヽ ／／／／|| |?
／／／／／／／／／／／／ |∪∪
|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣| |
| 奉 納 | ◇ ミ ◇
◇◇ /￣| ◇◇
◇◇ ＼ |＿_| ◇◇
彡 O(,,ﾟДﾟ) /
( Ｐ `O
／彡#＿|ミ＼
／ .／＼
／ .／( ・ ).＼ ヾ!;;;::iii|//"
／_____／ .（´ｰ｀） ,＼ ∧∧ |;;;;::iii|/ﾞ
￣|| || || ||. |っ?..||￣ （,, ） |;;;;::iii|
|| || || ||./,,, |ゝ iii~ ⊂ ヾｗｗｗｊｊｒｊｗw!;;;;::iii|ｊｗｊｊｒｊｗw〃
|￣￣￣|~~凸（￣）凸 .（ ,,）? ｗｊｗｊｊｒｊ从ｊｗｗｊｗｊｊｒｊ从ｊｒ
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┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ ただ、文字の霊（というものが在るとして）とはいかなる性質をもつものか、それが皆目判らない。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
＿_
／ ?＼
＿_＿__ ━┓ ＿_＿__ ━┓ ／ ノ (●)＼. ━┓
／ ? ＼ ┏┛ ／ ? ＼ ┏┛ .｜ (.／) ⌒）＼ ┏┛
／ノ ( ●) ＼ ・ ／ノ ( ●) ＼ ・ ｜ （__ノ￣ ＼ ・
. ｜ (.／) ⌒） | .｜ (.／) , | .＼ |
. ｜ （__ノ￣ / ｜ / ＼ /
. ｜ / ｜ '~ / ＼ ⊂ヽ∩
＼＿ ⊂ヽ∩＼ ＼＿ ⊂ヽ∩＼ /´ (,＿ ＼.
/´ (,＿ ＼.＼ /´ (,＿ ＼.＼ / ＼. ＼
. | / ＼＿ﾉ .| / ＼＿ﾉ / / |. ＼ソ
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┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ アシュル・バニ・アパル大王は巨眼縮髪の老博士ナブ・アヘ・エリバを召して、
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
. = .
イ｜! // ＞ミ、
.ｲ ｲ リｲ勹ィ |:ﾊ
{_乂ﾚf zミ、 'ﾍ从:i
}! " ｬoミ= ,_ }!
K.ｨ ´ た7″
.／ | , __ = ﾉ ノ
, ¨¨ ー--- " ヽ こヽノ
" > __, ノ
｀丶 厂
ヽ _ ＼
/ ーミ、
ノ ＼
.イ ; .ハ
ヽ ﾟ’ ./ ; . く＼ へ
／ / / 〈_， ヽ ヽ 〉
¨¨´ ､ r｡./ 〈 / /
, -=' ､＿_.／ | _{ ./
:.／ / ./ / ／ ` _ノ
′ , ' ﾊ ＞ = ´ .／
; ' ／ ､ ／ ／ ／￣＼
, " / ヽ ／ | |
″ / ＼ ／ ＼＿／
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／ ￣ ￣ ＼
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┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ この未知の精霊についての研究を命じたもうた。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
／￣＼
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＼＿／
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／ ￣ ￣ ＼
／ ＼ ／ ＼
／ ⌒ ⌒ ＼
| （__人__） |
＼ ｀ ⌒´ ／ ☆
/ヽ､--ー､＿＿,-‐´ ＼─／
／ > ヽ▼●▼<＼ ||ｰ､.
/ ヽ､ ＼ i |｡| |/ ヽ (ニ､｀ヽ.
l ヽ l |｡| | ｒ-､y ｀ﾆ ﾉ ＼
l | |ー─ | ￣ l ｀~ヽ＿ノ
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┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ その日以来、ナブ・アヘ・エリバ博士は、日ごと問題の図書館
┃
┃ （それは、その後二百年にして地下に埋没し、更に二千三百年にして偶然発掘される運命をもつものであるが）
┃
┃ に通って万巻の書に目をさらしつつ研鑽にふけった。
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_,. -=≦ニニニ＞＜ニニニ≧=- _
_,. -=≦ニニニニニ＞ィ⌒⌒トミニニニニﾆﾆ≧=- .,_
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∨弌三三三三三三三三三三三三三三三三三三テ∨
Ⅵ Ⅳ
r┘三三三三三三三三三三三三三三三三三三└┐
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿弌ニナﾃーｰ弌ﾆナ=============弌ﾆナｰｰ七ﾆｱ_ソ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
弌-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-...| ::::|:::| :| : :|⌒⌒⌒ＹＹ⌒⌒⌒ﾞ| : ::| :|::::| |-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-'´;
≧s|ニニニニニニニニニニニニニニニ| .:::|:::| Y⌒Ｙ| : :| ｡o＜V＞s｡ | : ::|Ｙ⌒Ｙ|::::| |ニニニニニニニニニて;' ;
`＜|二二二二二二二二二二二二二二| : ::| :| ゝ‐' |.:::::|/ xヘ〈___〉｀ヽ｀ヽ::|...::::|:ゝ‐'.::| |.:::::|二二二二二二二二'´;' ;' ;
＿,|| Ｙ＾＾Y Y＾ ＾Y :Y＾＾＾Y Y＾|:::::::l :| | .::::| ﾒs｡//⌒ヽく,,ﾊ :| .:::::l :|ﾞ::| :::| :|: Ｙ＾＾Y .Y＾＾(;' ;' ;';' ;
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..| |||: lﾆﾆ:| .::|ニﾆ:| .:|ニﾆ:| .:lﾆ| .::| | :|......::|￣￣￣￣￣￣￣|....:::::| | :|....::::|│ :|ニﾆ| .:|ニﾆ| ソ;';'
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|＾'|||: ||￣..|| ||￣|| ||￣|| ||.|....:::::| | | |~l .|....::::| :|| || |l| || | |.....::::|l | .| :| .....::::|:|| |￣~| |￣| ,,,;;
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￣:|| ￣~~ ￣￣ ￣￣ 广弋二云 ﾉﾆニⅥ| ||--|l|‐‐|| Ⅳﾆニハ ﾉﾌ￣￣/＾ヽ ￣~~ ￣
ﾞ:ﾞ:ﾞ:ﾞ:ﾞ:ﾞ:ﾞ:ﾞ:ﾞ:ﾞ:ﾞ:二:二:二:二:ﾞ:ﾞ:{;';';'「二二二二二7三三三三三三三三三三三三三三三三∧二二二二二」＾^?､、:ﾞ:ﾞ:ﾞ:ﾞ:ﾞ:ﾞ:ﾞ
: : : : : : ｡o＜___＞-?'^＾￣|;';';';ﾞl‐‐┬┴┬‐/==================================::ﾞ寸┬‐┬‐:ﾞ|;';';';';';';';';'＾^'?- r
『 アッシュールバニパルの図書館（Library of Ashurbanipal） 』
736
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ ﾒｿﾎﾟﾀﾐﾔ ｴｼﾞﾌﾟﾄ ﾊﾟﾋﾟﾙｽ
┃ 両河地方では埃 及と違って紙 草を産しない。
┃
┃ 人々は、粘土の板に硬筆をもって複雑な楔形の符号を彫りつけておった。
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×
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l二二二二二二二二二二二二ﾆ二二二二二二二二二二二二l
737
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┃ 書物は瓦であり、図書館は瀬戸物屋の倉庫に似ていた。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
| ||℡ ∧｣| Ｖ :Ⅷ 7 ,/ ｌL ⊿|| |
.｣ || ℡ ||: Ｖ＿_＿_.Ⅷ＿＿＿＿＿.7＿_＿../ / || ⊿ || L
| ||三三|ﾆミ∧ ／￣Ｖ￣￣｀Ⅷ￣￣￣￣ 7 ./￣＼ / 仁|三三|| |
| ||三三| |ﾄ .∧〃 :Ｖ Ⅷ 7 / ヽ./ ｲ| |三三|| |
| ||三三| || ℡ || .ィ Ｖ＿_＿Ⅷ＿＿＿_.7＿＿./ ､ || ⊿ || |三三|| |
L..||＼三| || |ﾆﾐ∧〃 :Ｖ二二Ⅷ二二二7二二/ ヽ ,/仁| || |三／||.._|
| || ＼| ||三| |℡|| ／ | | | | ＼. |l⊿| |三|| |／ || |
| ||三三| ||三| |ﾍ|℡. 〃⌒ヽ | ﾚﾞ⌒ヽ| | 〃⌒ヽ ,.⊿|ﾍ| |三|| |三三|| |
| ||三三| ||＼| |ﾆ| |ll├―――┬┬―‐┬┬――‐┤l|:| |ﾆ| |／|| |三三|| |
|二＞.三| ||三| |ﾆ| |lｌ |三|三|三||....|三|三|....|三|三三| ||:| |ﾆ| |三|| |三.＜二|
|ニ|＞。 | ||三| |ﾍ| |ﾄ之IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIツ|:| |Ｘ| |三|| | 。＜|ニ|
l了ﾄ｡. :| |L | |ﾆ| |ll├―――┤├―‐┤├――‐┤l|:| |ﾆ| | _|| | ｡:|ヾ.|
| ||三℡| ||＞| |ﾆ| |lｌ |三|三|三||....|三|三|....|三三|三| ||:| |ﾆ| |＜|| |⊿三|| |
| ||三三| ||℡| l'<| |ﾄ之IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIツ|:| l>'| |⊿|| |三三|| |
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| ||＞ 了ｌ||＜| ｢ｮ| ||ｌ |三|三|三|l .〃⌒ヽ |三三|三| ||:| ｢ｮ| |＞||ｌ了 ＜|| |
| ||_,. ＜| ||三| l>'| l厠IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIlミ|:| l'<| |三|| |＞ .,_|| |
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[...]|三三| ||／| |ﾆ| |:| |三三| L_l L_l |三三| |:| |ﾆ| |＼|| |三三|[...]
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738
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ ﾃｰﾌﾞﾙ
┃ 老博士の卓子（その脚には、本物の獅子の足が、爪さえそのままに使われている）
┃
┃ の上には、毎日、累々たる瓦の山がうずたかく積まれた。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
＿＿＿＿＿＿ ＿＿＿＿＿＿
／ ／| ／ オプーナ ／|
.|￣￣￣￣￣￣|／| |￣￣￣￣￣￣|／|
／￣オプーナ／| ￣|__」／__ ／オプーナ .／||__.,」＿＿＿_
|￣￣￣￣￣|／オプーナ .／|￣￣￣￣￣|／ オプーナ ／|＿
|￣￣￣￣￣|￣￣￣￣￣|／l￣￣￣￣￣|￣￣￣￣￣|／|／|
|￣￣￣￣￣|￣￣￣￣￣|／l￣￣￣￣￣|￣￣￣￣￣|／|／|
|￣￣￣￣￣|￣￣￣￣￣|／l￣￣￣￣￣|￣￣￣￣￣|／|／|＿＿ .／￣::＼
|￣￣￣￣￣|￣￣￣￣￣|／l￣￣￣￣￣|￣￣￣￣￣|／|／|. ／| ...| : : : ::|
|￣￣￣￣￣|￣￣￣￣￣|／l￣￣￣￣￣|￣￣￣￣￣|／|／／ ＼_:;;;;／
／ |￣￣￣￣￣|￣￣￣￣￣|／l￣￣￣￣￣|￣￣￣￣￣|／／ |
|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣| .／ ￣￣￣＼
／; . . : : : :＼
／ ∪ . . : : : : : : ＼
| . : : : : : : : :|
＼_ . : :〃 : : : :,／
/⌒` . . : : : : : : :｀ヽ.
/ . . . . : : : :..: : : : : ,: :＼
739
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ それら重量ある古知識の中から、彼は、文字の霊についての説を見出そうとしたが、無駄であった。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
,. -─＝─- ､.
,. ‐' ´ ,､ ,､ ｀丶､
／ ﾄ､ / ＼／ ', ／| ＼
／ | ｀`'' ''´ │ ヽ.
/ ､─‐┘ └─‐ｧ ヽ
l ヽ. 表 示 価 格 よ り , ' l.
l ,. -' __ __ ｀丶､ l
l く <ヽ |│ ﾉ> r‐' └‐lﾆ,ニﾆ! ／ .!
| ヽ _ゝ>」 |_<∠, L =ﾆ! 」「 == | < |
l ／ └─┐i‐─┘<,､ｩ 〈 │==│ ＼ .!
.l. ｀丶､ l二二 二二! r'_rｭ.､> ! ==│ ,. -''´ .l
.l. /´ |│ | lﾆl | _ヶｔｧｔ'_ ´、 /
ヽ /＿_ └' └'￣ ｀ｰ'´｀ｰ′', /
＼ | ,、 ,､ 「￣￣ ／
.＼ ﾚ '´ ヽ , へ / ＼| ／
ﾞ丶､ ｀' ﾞ‐' ,. ィ
｀ 'ー-=====-‐'' ´
|
／￣￣￣ ＼
／ ::＼:::／:::: ＼
／ <●>::::::<●> ＼
| （__人__） |
＼ ｀ ⌒´ ／
／￣￣￣￣￣￣￣ ＼
740
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ 文字はボルシッパなるナブウの神の司りたもう所とよりほかには何事も記されていないのである。
┃
┃ 文字に霊ありや無しやを、彼は自力で解決せねばならぬ。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
／￣＼
..| |
＼＿／
＿..| ＿_
／ ＼
／ ＼
／ ＼
| ＼ ,＿ |
/ ｕ ∩ノ ⊃―>／
( ＼ ／ ＿ノ | |
.＼ “ ／＿＿| |
＼ ／＿＿＿ ／
741
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ 博士は書物を離れ、ただ一つの文字を前に、終日それと睨めっこをして過した。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
／￣＼
| |
＼＿／
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／￣￣￣ ＼
／ ::＼:::／::::＼
／ <●>::::::<●> ＼
| （__人__） |
＼ ｀ ⌒´ ／
￣（⌒`:::: ⌒ヽ
ヽ:::: ~~⌒γ⌒）
ヽー―'^ー-' ＿＿＿＿＿＿＿__
〉 │ | | |
| | |
| | |
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|_|_＿＿＿＿＿＿__|
742
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ 卜者（ぼくしゃ）は羊の肝臓を凝視することによってすべての事象を直観する。
┃
┃ 彼もこれに倣（なら）って凝視と静観とによって真実を見出そうとしたのである。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┌────────────────────────────────┐
│ │
│ _.／.ヽ-､,,_ ]"^Tー─.｡ │
│ ,,.｡.-tヾ゜ ______;;,,｡.[ l.＾ │
│ F--──ヒ_^^^＾＾.;-､。_ ｜ ｜ │
│ .ヽ＾.ヽ。ヽ ＾＼ 7 ＾7[ [ │
│ l. ｜ゝ ]!.l゜ .;／ ｜ .ll. │
│ ｜,,.／ [。／〈.／＾ [ .ll. │
―..、 │ t─────く .＼。 .ll. ]! │
::::::::::ヽ │ ｜ .｡^! .ll. ]! │
:::::::::::::| │ l─--゜ .／゜ 」 [ │
:::::::::::::| │ ｜ ｜,,,,。。。 ]! 」 │
:::::::;／ │ l[゛゛゛゛゛゛゜ __,,.｡--'" .ll. ]! ｡.、 │
|￣ │ ] ,,、 ｜ 」 [ [｜ │
. ￣￣￣＼ │ .lしt "゛ [ [ ]! 」 .l!.ヽ、 .│
.: : : : : : ＼ │ .｡==-^ .ll. [ ^^^^ ゜Y │
.: : : :. :.ij: ＼ │ ^^^r f ｜ 7 │
: : : : : : :. ＼::::::＼ .│ f ノ ＼,,_ _.／ │
.: : : : : :. ＿＼::::::＼ .│ ^^^^^^ ＾＾^^^＾゛ │
: : : : : :./´ ,..::::::: :.ヽ ',::::＼ └────────────────────────────────┘
: : : : :./ ,;:::::::::::::::::.. ヽ::::＼
: : : :.〈 {::::::::::::::::::::::} 〉:::::::＼
: : : : :.ヽ ヽ::::::::::::::／ ／ ＼
: : u: : : ￣ , |
: : : : :. { |
.: : : :. :. ゝ＿＿＿ノ
.: : : :. :. :. :. ／
: : : : : : : : : : : ／
743
┏━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ そのうちに、おかしな事が起こった。
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／￣＼
| |
＼＿／
| ━┓
／￣￣￣ ＼ ┏┛
／ ::ノ::::＼::::＼ ・
／ <●>::::::<●> ＼
| （__人__） |
＼ ｀ ⌒´ ／
￣（⌒`:::: ⌒ヽ
ヽ:::: ~~⌒γ⌒）
ヽー―'^ー-' ＿＿＿＿＿＿＿__
〉 │ | | |
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| | |
| | |
|_|_＿＿＿＿＿＿__|
744
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ 一つの文字を長く見詰めているうちに、
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━───
＜ Before ＞
_.／.ヽ-､,,_ ]"^Tー─.｡
,,.｡.-tヾ゜ ______;;,,｡.[ l.＾
F--──ヒ_^^^＾＾.;-､。_ ｜ ｜
ヽ＾.ヽ。ヽ ＾＼ 7 ＾7[ [
l. ｜ゝ ]!.l゜ .;／ ｜ .ll.
｜,,.／ [。／〈.／＾ [ .ll.
t─────く .＼。 .ll. ]!
｜ .｡^! .ll. ]!
l─--゜ .／゜ 」 [
｜ ｜,,,,。。。 ]! 」
l[゛゛゛゛゛゛゜ __,,.｡--'" .ll. ]! ｡.、
] ,,、 ｜ 」 [ [｜
lしt "゛ [ [ ]! 」 .l!.ヽ、
｡==-^ .ll. [ ^^^^ ゜Y
^^^r f ｜ 7
f ノ ＼,,_ _.／
^^^^^^ ＾＾^^^＾゛
745
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ いつしかその文字が解体して、意味の無い一つ一つの線の交錯としか見えなくなってくる。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
＜ After ＞
_.／.ヽ-､,,_
,,.｡.-tヾ゜ ______;;,,｡.
F--──ヒ_^^^
.ヽ＾.ヽ。
l. ｜
｜,,.／ ヽ ＾＼
ゝ ]!
[。／
＾＾.;-､。_
7 ＾7
l゜ .;／ .t─────く .＼。
〈.／＾ ｜ .｡^!
]"^Tー─.｡ ／゜
[ l.＾
｜ ｜
[ [
.ll. l─--゜
[ .ll. ｜ ｜
l. ]! │ │
l. ]! │ ｜
[ [ [ ,,,,。。。
! 」 ｡==-^ .ll. l[゛゛゛゛゛゛..゛゛゛゛.,,、.,,.｡--'"
.ll. ]! ｡.、 .^^^r f .] ,,. .
」 [ [｜ f ノ lしt "゛
]! 」 .l!.ヽ、 ^^^^^^
[ ^^^^ ゜Y
｜ 7
＼,,_ _.／
＾＾^^^＾゛
746
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ 単なる線の集まりが、なぜ、そういう音とそういう意味とをもつことが出来るのか、
┃
┃ どうしてもわからなくなってくる。
┗━━━━━━━━━━━━━━───
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..| | .| | .| | .| |
＼＿／ ＼＿／ ＼＿／ ＼＿／
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／ ＼ ／ ＼ ／ ＼ ／ ＼
／ ＼ ／ ＼ ／ ＼ ／ ＼
／ ＼ ／ ＼. ／ ＼ ／ ＼
| ＼ ,＿ | | ＼ ,＿ | | ＼ ,＿ | | ＼ ,＿ |
/ ｕ ∩ノ ⊃―>／. / ｕ ∩ノ ⊃―>／. ./ ｕ ∩ノ ⊃―>／. / ｕ ∩ノ ⊃―>／
( ＼ ／ ＿ノ | | ...( ＼ ／ ＿ノ | | ...( ＼ ／ ＿ノ | | ...( ＼ ／ ＿ノ | |
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＼ ／＿＿＿ ／ ....＼ ／＿＿＿ ／ ....＼ ／＿＿＿ ／ ....＼ ／＿＿＿ ／
／￣＼ ／￣＼ ／￣＼ ／￣＼
..| | .| | .| | .| |
＼＿／ ＼＿／ ＼＿／ ＼＿／
＿..| ＿_ ＿..| ＿_ ＿..| ＿_ ＿..| ＿_
／ ＼ ／ ＼ ／ ＼ ／ ＼
／ ＼ ／ ＼ ／ ＼ ／ ＼
／ ＼ ／ ＼. ／ ＼ ／ ＼
| ＼ ,＿ | | ＼ ,＿ | | ＼ ,＿ | | ＼ ,＿ |
/ ｕ ∩ノ ⊃―>／. / ｕ ∩ノ ⊃―>／. ./ ｕ ∩ノ ⊃―>／. / ｕ ∩ノ ⊃―>／
( ＼ ／ ＿ノ | | ...( ＼ ／ ＿ノ | | ...( ＼ ／ ＿ノ | | ...( ＼ ／ ＿ノ | |
.＼ “ ／＿＿| | ＼ “ ／＿＿| | ＼ “ ／＿＿| | ＼ “ ／＿＿| |
＼ ／＿＿＿ ／ ....＼ ／＿＿＿ ／ ....＼ ／＿＿＿ ／ ....＼ ／＿＿＿ ／
747
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ 老儒ナブ・アヘ・エリバは、生れて初めてこの不思議な事実を発見して、驚いた。
┃
┃ 今まで七十年の間当然と思って看過していたことが、決して当然でも必然でもない。
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| （__人__） |
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/,,―. ヽ`ｰ' ､ , -‐ ､
（ , -‐ '" ）
`;ー" ` ー-ー -ー'
l l
748
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ 彼は眼から鱗（こけら）の落ちた思いがした。
┃
┃ 単なるバラバラの線に、一定の音と一定の意味とを持たせるものは、何か？
┃
┃ ここまで思い到った時、老博士は躊躇なく、文字の霊の存在を認めた。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
／￣＼
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＿|＿__
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／ <●>::::::<●> ＼
| （__人__） |
＼ ` ⌒ ´ ,／
. /⌒?"￣,￣￣〆⌒,ﾆつ
| ,＿_＿ﾞ＿__､rヾｲｿ⊃
| ｀l￣
. | |
749
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ 魂によって統べられない手・脚・頭・爪・腹等が、人間ではないように、
┃
┃ 一つの霊がこれを統べるのでなくて、どうして単なる線の集合が、音と意味とを持つことが出来ようか。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
Energy Bon-bon
／￣￣￣￣￣￣￣￣
／￣＼
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TAMASHI .＼＿／ Head
￣￣￣￣＼ | ／￣￣
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│opoona│ ../::＼:::::::／:::: ヽ
└─（_⌒丶 |<●>:::<● > ヽ
ヽ ヽ } （__人__） | Hand
丶 ´､ ｀⌒ ´ ／ ／￣￣
ヽ,,, ､￣￣ ⌒）
| /''' '''"" ＼ Nail
| . | .￣￣
Belly ／| . !
￣￣ 丶／￣ .ﾉ
| ＿／
（_＿＿／ ヽ.＼ Leg
＼_ .） ￣￣
( ._ノ
750
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ この発見を手始めに、今まで知られなかった文字の霊の性質が次第に少しずつ判ってきた。
┃
┃ 文字の精霊の数は、地上の事物の数ほど多い、文字の精は野鼠のように仔を産んで殖（ふ）える。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
.
751
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ ナブ・アヘ・エリバはニネヴェの街中を歩き廻って、
┃
┃ 最近に文字を覚えた人々をつかまえては、根気よくいちいち尋ねた。
┃
┃ 文字を知る以前に比べて、何か変ったようなところはないかと。
┃
┃ これによって文字の霊の人間に対する作用（はたらき）を明らかにしようというのである。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
i､ i､
| .l .__.,. ly .、ﾞl i､ ,,._,,,,,
， .__＿＿,|,__ﾆン'''ﾞ`| ｒﾞi､〉._ ﾉ＼
.ﾞl ｀ | .,ン>,i´.ﾘ ｝|~~＞'＾.| |＼
ﾞl |rsii二， .| `-广 | | |＼
.| .,ン''ﾞ,,! l／ λλ＿,| | .|| ＼
| ._／" _ノ'ﾞl ／ (´∀｀) ﾚ| ＼|.| .| |
l.`_,._-''＾ ∧∧ U U￣ fﾞ'-," ＼|
′ ,ｺ ⊂(Дﾟ ) ﾚ ｀-., 〉
,x!" |l と´ | lﾞﾞ''i､, ｭ,ン´
._.ｯ!'~ -''| | ? ∧∧| `| .＼
／ ／゛ l ./U U (.*ﾟー) ﾛ i＼ ＼
" _, ｒ'" lﾞ (i 〉つ l ＼ ｀ヽ,、 ／
´ _,__、 / ?| |i､ .| ＼ ＼,ノ
、 l″ ヽ f UU ヽ、 | ｒ'"| .|＼ i
ヽ | }.lﾞ ﾞl | ｆ十| | ￣i
| ﾄ' ∧＿∧ ヽ| Ｌソ | .l
| / ⊂（ ´・ω・） .'-、'″ | .|
ヽ-, ,! ヽ ⊂_) ＼ . |
| (⌒) ノ ＼ .lﾞ ..γﾆヽ
(__ﾉ ''-.″ .ヽ__ノ
ﾞ'- .、ノ-'.、
＿ ●::●> ヽ
|権|（人__） ノ
|利|とrｍ＼＿＿＿
＼ ワゴンR ＼ 三ニ―
＼ . ＼ ニ三―
￣◎￣￣￣￣◎￣
752
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ さて、こうして、おかしな統計が出来あがった。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
／￣＼
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＼＿／
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／￣￣￣ ＼
／ ＼
／ ::::＼:::／:::: ＼
| < ●>::::::< ●> |
＼ （__人__） ／
ﾘ ｀ ⌒´/￣/￣/
（| / / と）
と| / / /
|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|
／￣＼
| |
＼＿／
|
／￣￣￣ ＼
／ ::::＼:::／:::: ＼
／ <●>::::::<●> ＼
| （__人__） |
＼ ｀ ⌒´ ／
ﾘ /￣/￣/
（| / / と）
と| / / /
|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|
753
┏━━━━━━━───
┃ それによれば、
┗━━━━━━━───
,. -──- ..,_
,. ‐'"´ ｀`ヽ ､
, '´ ＼
／ ヽ
./ 〉
{ く
ヽ、 ＿＿ヽ＿
L ＿,,.. --─┬ T丁 ﾊヽ￣￣
l ￣￣r￣ /./ (;:),ノ| /l,.ﾉl/ | |
/ l il /ノ ￣ ノ' / ヽ リ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
/ ヽ! ／ ＿ , '´ ┃ 文字を覚えてから急に虱を捕るのが下手になった者、
./ | ＼ / ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
, ' |＼ l! ヽ､ ..ノ
／ | `" ｀ヽ
／ | ＜、
/ i ＼
../ |i ', `､
.! ,ｲ | ! ', ヽ
| / | / | | |､ ヽ ヽ
_,.‐' ￣￣｀ ﾞ` '‐.､
／ ＼
/ _ _ ﾞ!
i' ,r'´ ,,,,.. ｀＼ ﾞ!
┏━━━━━━━━━━━━━━━━─── i' i' ミ" ﾞ! ﾞ!
┃ 眼に埃が余計はいるようになった者、 | |≡ ● . | |
┗━━━━━━━━━━━━━━━━─── i,. i,℡ ,i' /
〉、 ＼ _ 山 __,／ ,r'、
__/／＼ ￣ ／＼ ヽ,
彡へu ﾞT' ‐.､_＿__ ,.‐ イ" ⊂､ 〈
ヽ、 /. ﾘﾘ
r"´＞､.＿___ ,.‐'＼
｀~´ ｀） ）
/／
-=iil|||||||||||||||||||||||||〈_ﾉ
754
____
,.:;i;i;i:,_,,Ｘ⌒' :.,,
___,x竺x.,_Ｘj;i:,,Ｘ:, ,, , ＼
|i,;{ 円] 八州i;i;, Ｘi;i:i:,Ｘ＼.. ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
..__ Ｌ会=ｧz+㍍｣j(_ ;.i:., Ｘ; :,, i;i:. ┃ 今まで良く見えた空の鷲の姿が見えなくなった者、
....i〔:,__ ｰ‐‐==ｉ:州(___ｉ;.i:ｈiト㍍｣j;i:., Ｘ:i;i;〕.. ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
....｀¨⌒`ｰ '⌒）州i州i州 い::::::::〕iト㍍II〔_
._／州ii；i:ｉ ,;i;i ；_j:二::::::::::::抓(__〕 ｝
.｀¨さミ､州 ,:ｉ;i ' /んﾘ::::::::::｛辷I :.
.__う;I>iｉ; ｉ;i:,厶イ::::::::::::::::::::〔 '
(_,,.: 'イ;, ｉi; リ州j:::::::::::::::::::::::::::::)
・ ｀¨¨；州i;州;i 儿L:ﾉＶﾊ:（⌒¨´
, ’ 'i,州i;ｉ;.i: , -‐=＝=z:..,
.,:'ﾞ ﾞ':., ･ 'i,州i;i;, //,;#'ﾞ＾:i;':,州iﾆ-_
.,:'ﾞ ;. ' 'i,j;i;ｉ// , u i; j; ; . ﾆ
:,_ ,:; 州;i{ { u ; , i;.,j;i : i:, ﾆ
.:,,_;_;_;.:''. ; ｉ:, | |; ,;ﾞ#:, , ｉ:;i: :, ,j;i;..ﾆ
∧
/ :.
|＼＿_/＼／ ＼/＼＿_／|
＼ ＼ ＼_ _／ ／ ／
＼〈二⌒＼} {／⌒二〉／
} r＼_〈Ｏ〉_／ヽ {
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─── .〈 〈￣＼l ｌ／￣〉 〉
┃ 空の色が以前ほど碧（あお）くなくなったという者 〉 :iー’'l ｌ`’‐:i/〈
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─── ヽ :{ __|__|__ }: /
ｰヽ ﾏー‐ｲ /‐'
{:.:.`┴┴:':.}
r‐ｭｭ―＜二＞‐＜二＞―‐ｭｭ┐
／{ γ⌒ヽ／o（ ）o＼γ⌒ヽ }＼
,.:.:.:.:. ＼ゝ__ノ ＼o ｌ二ｌ o／ ゝ __ノ／:.:.: ＼
/ :.:.:.:.:. }:.}_＿_＿__＼ o ／＿＿＿_{:.{:.:.:.:.:.: ∧
,′:.:.:.:. : }:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: {:.:.:.:／o∧
,.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾊ:/ /o∧
┏━━━━━━━━━━━───
┃ などが、圧倒的に多い。
┗━━━━━━━━━━━───
755
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ 「文字ノ精ガ人間ノ眼ヲ喰ヒアラスコト、ナホ、蛆虫（うじむし）ガ胡桃（くるみ）ノ固キ殻ヲ穿（うが）チテ、
┃
┃ 中ノ実ヲ巧ミニ喰ヒツクスガ如シ」と、ナブ・アヘ・エリバは、新しい粘土の備忘録に記した。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
／￣＼
| |
＼＿／
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/ ::::＼::::::::／:::: ヽ
| <●>::::::::<●> |
＼ （__人__） __,／
／ ｀ ⌒´ ＼
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.. ／ /ヽ,,⌒) ￣￣￣￣￣（,,ノ ＼
／ /＿＿＿＿＿＿＿＿＿ヽ.. ＼
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
756
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ ．．．．
┃ 文字を覚えて以来、咳が出始めたという者、くしゃみが出るようになって困るという者、
┃ ．．．．．．
┃ しゃっくりが度々出るようになった者、下痢するようになった者なども、かなりの数に上る。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
.:.:.:.:.:.:.:.:.. :..:⌒; " __,、
ヽ:_:.:.:.:.:.:. :. .: .:.:.:.:..:.ﾉ:::: ::: :: : ,ｒヽ'⌒ ｀＾j ヽ ..:
￣ `ー ‐-‐一´:::: ::: :: : r'´ ｀ｰ'⌒ヽ｀ｰ､:.
:::: :: ヽ, ....... ... .... . . .. .⌒ヽ
┌―――――‐‐:､ ヽ.:.:._:_:.:.:.:.___:::.:.:.:.:..:::.:.:ノ
| 手 掴 医 院 | ＼
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TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTiヽ､
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冂冂 冂冂 | || 冂冂 冂冂 冂冂 冂冂 .| |
二二二二二| |l二二二二二二二二二二二二! |
冂冂 冂冂 | || 冂冂 冂冂 冂冂 冂冂 .| |
二二二二二| |l二二二二二二二二二二二二! |
757
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ 「文字ノ精ハ人間ノ鼻・咽喉（のど）・腹等ヲモ犯スモノノ如シ」と、老博士はまた記した。
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758
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ 文字を覚えてから、にわかに頭髪の薄くなった者もいる。
┃
┃ 脚の弱くなった者、手足の顫（ふる）えるようになった者、顎がはずれやすくなった者もいる。
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:し─Ｊ ┃: :（ ﾞ´ω｀ﾞ）:
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:し─Ｊ ┃:
759
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ しかし、ナブ・アヘ・エリバは最後にこう書かねばならなかった。
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760
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ 「文字ノ害タル、人間ノ頭脳ヲ犯シ、精神ヲ麻痺セシムルニ至ツテ、スナハチ極マル。」
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| （__人__） |
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761
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ 文字を覚える以前に比べて、職人は腕が鈍り、戦士は臆病になり、猟師は獅子を射損うことが多くなった。
┃
┃ これは統計の明らかに示す所である。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━───
＿＿＿
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| | | | || グラフで比較するとそれほど差はない
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| | | |_||Super Mario Galaxy
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| （__人__） | .,/
＼ ｀ ⌒´ ／
／＿＿ /´
(＿＿＿） /
762
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ 文字に親しむようになってから、女を抱いても一向楽しゅうなくなったという訴えもあった。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
. . ＼ ｀ ⌒´ ／
r､ r､／ ヘ
ヽヾ 三 |:l1 ヽ
＼>ヽ/ |｀ ｝ | |
ﾍ lノ `'ｿ | |
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＼. ｨ | |
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763
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ もっとも、こう言い出したのは、七十歳を越した老人であるから、これは文字のせいではないかも知れぬ。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
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／ ￣ ￣ ＼
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| （__人__） u. |
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r､ r､／ ヘ
ヽヾ 三 |:l1 ヽ
＼>ヽ/ |｀ ｝ | |
ﾍ lノ `'ｿ | |
/´ / |. |
＼. ｨ | |
| | |
764
┏━━━━━━━━━━━━━━───
┃ ナブ・アヘ・エリバはこう考えた。
┃
┃ エジプト人は、ある物の影を、その物の魂の一部と見做しているようだが、
┃
┃ 文字は、その影のようなものではないのか。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
／￣＼
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| （__人__） |
/ ∩ノ ⊃ ／
( ＼ ／ ＿ノ | |
.＼ “ ／＿__| |
＼ ／＿＿＿ ／
765
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ 獅子という字は、本物の獅子の影ではないのか。
┃
┃ それで、獅子という字を覚えた猟師は、本物の獅子の代りに獅子の影を狙い、
┃
┃ 女という字を覚えた男は、本物の女の代りに女の影を抱くようになるのではないか。
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＼＿／
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／ .<●>::::::<●> ＼
| （__人__） | 本物
＼ ｀ ⌒´ ／
/,,― -ー ､ , -‐ ､
（ , -‐ '" ）
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| ・ .. ・ | 影
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|＿７|＿ ＿＿＿＿ ＿_ F !｣
￣.`┴､..,,,_＿_,.．┴" ￣
_,|ー-┼┼-ー│_
.(＿|＿＿| |＿＿_|＿)
766
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ 文字の無かった昔、ピル・ナピシュチムの洪水以前には、
┃
┃ 歓びも智慧もみんな直接に人間の中にはいってきた。
┃ ｳﾞｪｲﾙ
┃ 今は、文字の薄被をかぶった歓びの影と智慧の影としか、我々は知らない。
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''"'"~''' ﾞﾞﾞﾞ''''''''''‐-- ､ ,,,, ~ﾞ"'ｰ-::... |巫|il］il］|_三‐┬ li ,.､t''T
｀ﾞ''ｰ-、 ''"'"~''' ﾞ''､,, ｀ﾞ''ｰ-、|l::;...;;.;.;ii:illl":;;;
767
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ 近頃人々は物憶えが悪くなった。これも文字の精の悪戯（いたずら）である。
┃
┃ 人々は、もはや、書きとめておかなければ、何一つ憶えることが出来ない。
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| ||℡ ∧｣| Ｖ :Ⅷ 7 ,/ ｌL ⊿|| |
.｣ || ℡ ||: Ｖ＿_＿_.Ⅷ＿＿＿＿＿.7＿_＿../ / || ⊿ || L
| ||三三|ﾆミ∧ ／￣Ｖ￣￣｀Ⅷ￣￣￣￣ 7 ./￣＼ / 仁|三三|| |
| ||三三| |ﾄ .∧〃 :Ｖ Ⅷ 7 / ヽ./ ｲ| |三三|| |
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L..||＼三| || |ﾆﾐ∧〃 :Ｖ二二Ⅷ二二二7二二/ ヽ ,/仁| || |三／||.._|
| || ＼| ||三| |℡|| ／ | | | | ＼. |l⊿| |三|| |／ || |
| ||三三| ||三| |ﾍ|℡. 〃⌒ヽ | ﾚﾞ⌒ヽ| | 〃⌒ヽ ,.⊿|ﾍ| |三|| |三三|| |
| ||三三| ||＼| |ﾆ| |ll├―――┬┬―‐┬┬――‐┤l|:| |ﾆ| |／|| |三三|| |
|二＞.三| ||三| |ﾆ| |lｌ |三|三|三||....|三|三|....|三|三三| ||:| |ﾆ| |三|| |三.＜二|
|ニ|＞。 | ||三| |ﾍ| |ﾄ之IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIツ|:| |Ｘ| |三|| | 。＜|ニ|
l了ﾄ｡. :| |L | |ﾆ| |ll├―――┤├―‐┤├――‐┤l|:| |ﾆ| | _|| | ｡:|ヾ.|
| ||三℡| ||＞| |ﾆ| |lｌ |三|三|三||....|三|三|....|三三|三| ||:| |ﾆ| |＜|| |⊿三|| |
| ||三三| ||℡| l'<| |ﾄ之IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIツ|:| l>'| |⊿|| |三三|| |
| ||三三| ||三| |ﾆ|_|ll├―――┤├―‐┤├――‐┤l|:|_|ﾆ| |三|| |三三|| |
| ||三三| ||三| |ﾆ| |lｌ |三|三|三||....|三|三|....|三|三三| ||:| |ﾆ| |三|| |三三|| |
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L..||三三| ||三| |ﾆ| |lｌ |三|三|三||....|三|三|....|三三|三| ||:| |ﾆ| |三|| |三三||.._l
| ||三三| ||￣| l | ||lIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIll|:| l | |￣|| |三三|| |
| || | || _L..レ|七├―――┤ ├――‐┤l|:| トｌ|.._|_ || | || |
| ||＞ 了ｌ||＜| ｢ｮ| ||ｌ |三|三|三|l .〃⌒ヽ |三三|三| ||:| ｢ｮ| |＞||ｌ了 ＜|| |
| ||_,. ＜| ||三| l>'| l厠IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIlミ|:| l'<| |三|| |＞ .,_|| |
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[...]|三三| ||／| |ﾆ| |:| |三三| L_l L_l |三三| |:| |ﾆ| |＼|| |三三|[...]
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| || ￣ ￣ || |
768
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ 着物を着るようになって、人間の皮膚が弱く醜くなった。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
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+ + ／⌒ ⌒＼+ 。
・ ｡／（ ●） （●）＼ + +
／::::::⌒（__人__）⌒::: ＼
| |r┬-| |
+＼ `ー‐′ ／・ ﾟ. + ＿_
／ | / ・ /ヽ
（＿⌒) ・ ・ |｜＿＿＿＿___＿___＿ |ま |￣|
ｌ⌒ヽ ＿ﾉ | |＼ |___| {}@{}@{}?| る| |
| r `■□ ）__) ＼ >ﾟ))))彡ー―'. |＿.|＿|
（＿ノ ￣ ／ ／ ＼`ー―’＿＿＿
（＿_^) | |￣￣￣￣￣￣￣￣￣
|_|
769
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ 乗物が発明されて、人間の脚が弱く醜くなった。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
／￣￣￣＼
／─ ─ ＼
／ （●） （●） ＼
| （__人__） |
＼ ｀⌒´ ／
/ 、=≡≡=_ ,.-' ）
( __つ.＼ ／ (＿／|
/￣￣￣￣￣￣7テ〒|
//＿＿＿＿＿///＿_| |
|○ ○| |
|三三i二二ｉ三三|_()＿()」
__/ ハ |
〈、 / | |
＼､__ノ (＿＿ﾉ
770
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ 文字が普及して、人々の頭は、もはや、働かなくなったのである。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
_＿＿＿
. ／ ＼
. ／ ⌒ ⌒ ＼
.／ （●） （● ） ＼
_＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ | ﾞ)（__人__）゛ ） |
| | | ＼ ｀,､､、 ／
| | | ／ /⌒)０::） ＼
| | | / ／ /'ﾞ｀'''" ､ ヽ ＿
| | | ゝ､___ノ | ｌ | |
|_＿＿＿＿_＿＿＿＿_|_| （ __,／ / | |
＿|_＿|_|＿ ｌ二二二二二二ｌ二二ｌ￣￣（,ｌ」」_,／￣￣
771
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ ナブ・アヘ・エリバは、ある書物狂の老人を知っている。
┃
┃ その老人は、博学なナブ・アヘ・エリバよりも更に博学である。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
/＼＿＿_／ヽ
／'''''' '''''':::::::＼
. |（●）, ､（●）､.:| ＋
| ,,ﾉ(､_, )ヽ､,, .::::|
. | ｀-=ﾆ=- ' .:::::::| +
＼ ｀ﾆﾆ´ .:::::／ +
,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ ーーノﾞ-､
: | '; ＼_____ ノ.| ヽ i
| ＼/ﾞ（__)＼,| i |
＞ ヽ. ハ | |｜
772
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ 彼は、スメリヤ語やアラメヤ語ばかりでなく、
┃
┃ パピルスや羊皮紙に記されたエジプト文字まですらすらと読む。
┃
┃ およそ文字になった古代のことで、彼の知らぬことはない。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
/
_＿ ＿ / _＿| /
/ / /
＿/ / ／
＿/ ＿＿_／
/＼＿＿_／ヽ
(.｀ヽ(｀＞ 、 ／'''''' ''''''::::::＼
`'＜｀ゝr'ﾌ＼ ＋ |（●）, ､（●）､.:| ＋
⊂ｺ二Lﾌ^´ ノ, ／⌒) | ,,,ﾉ(､_, )ヽ､,, .::::|
⊂l二L7_ / -ゝ-')´ + | ｀-=ﾆ=- ' .:::::::| +
＼_ ､__,.ｲ＼ ＋ ＼ ｀ﾆﾆ´ .:::／ +
(T＿_ノ Tヽ , -r'⌒!￣ `":::7ヽ.｀- ､ ./|
ヽ￢. / ﾉ`ｰ-､ﾍ<ｰ1´| ヽ | :::::::::::::ﾄ、 ＼ ( ./ヽ
＼l__,.／ i l.ヽ! | .| ::::::::::::::l ヽ ｀７ｰ.､‐'´ |＼-､
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__ ＿＿
│一│一│一│二│三│四│五│六│七│八│九│九│九│｜九｜
│萬│萬│萬│萬│萬│萬│萬│萬│萬│萬│萬│萬│萬│｜萬｜
773
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ 彼はツクルチ・ニニブ一世王の治世第何年目の何月何日の天候まで知っている。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
_ /＼＿＿_／ヽ
| ! ／'''''' '''''':::::::::＼＋
｜ !. |（●）, ､（●）､.:::|
| ! ,.-, | ,,ﾉ(､_, ) ヽ､,, .::::| +
_,ﾉ ┴、/ ,/. | ｀-=ﾆ=- ' .:::::::|
r `二ヽ ） i... ＼. ｀ﾆﾆ´ .::::::／
| ー、〉 / _｀,,ー --´...／i＼,,,,_
| r_,j j__,,.. r''''"/::;| ＼`'／ ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
| ） ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;| ／＼ /::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
ﾉﾆ-､ ,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;| "::く /:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
/..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;| |:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }
774
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ しかし、今日の天気は晴れか曇りか気がつかない。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
l ! ! l ! ! l ! l ! ! ! l l ! ! l ! ! l l ! ! l ! ! l l ! ! l ! ! l l ! !
l ! ! ! l l ! ll !! l ! ! l l l ! ! ! ! l !l l l l ! !! l ! ! ! l l ! ! l !
l l ! ! l ! ｌ┃ ┃ l〓 l ! ! l ! ! l l ! ! l ! ! l ! l l ! ! l l !
!l l l ll ╋━╋l ! ! !l ! ! l ! ! ! l l ! ll ! ! l l ! l l ! ! l ! ! l l ! ! l !
! ! l l ! l l ! ll !l┃ ! !━┳┓l !━━━━━━━━ !! ! l ! l l l ! ! l !
l ! ! ! l ! ! ｉ━┛l i ! l┃┛ ! l l ! ! l ! ! l ! ! l l ! ! l l ! ! l !
l..! ! l ! ! l l ! ! l ! !┛ l l ! ll ! ! ! ! l l ! ! l l ! ! l ! ! l l ! ! l !
!!l l l l ! !l ! ! l ! ! l l ! l ! ! l l ! !l l l l ! !! l ! !l l l l ! !
l.l ! l ! ! ! l ! ! l l ! ! l ! ! ! l ! l ! l l ! ! l ! ! l l !l l ! ! l ! ! l
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l.l ! l ! ! ! l ! ! l l ! ! l ! ! ! l ! l ! l l ! ! l ! ! l l !l l ! ! l ! ! l
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l ! l ! ! ! l !. | r_,j j__,,.. r''''"/::;| ＼`'／ ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、.! l ! ! l
l ! ! l ! ! l l !.| ） ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;| ／＼ /::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ. l ! ! l
!l l l l ! !l !.ﾉﾆ-､ ,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }.l l l ! !
l ! l ! ! ! √..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;| "::く /:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ } ! ! l
l ! ! l ! ./..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;| |:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }. !
775
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ 彼は、少女サビツがギルガメシュを慰めた言葉をも諳（そら）んじている。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
_r-,
/＼＿＿_／ヽ r-, { | ﾄ、
／'''''' '''''':::::::::＼ | | | | | |
|（●）, ､（●）､.:::| | | | ｉ ! |
| ,,ﾉ(､_, ) ヽ､,, .::::| } r´ ｿ ﾄ i
| ｀-=ﾆ=- ' .:::::::| / ´,. ´ﾉ
＼. ｀ﾆﾆ´ .::::::／y- 、 __ ,.__ ﾍ{ ´ ／
｀rー-- ´／￣:./ : : : : : : :/. : :ヽ ／ ﾊﾄ､ _./
__／/:::::Λ/ : : : /. : : : : : :/ : : : : :.｀=,.へ_ ／ : : : ゞﾆ二彡
,.-< : : : :}:::::ｙ' / : : :__{: : : : : : / : : : : :／.. : : : :７√ : : : : : : : : : :.／
r´ : : : : :「: :/:::::i / : : : :＞ : : : : ,' : : : : :i : : :i: : : ::i / : : : : : : : : : .／
} : :, : : : i :/:::::::i/ : : .／ : : : : : : ', : : : :i:: : : :i: : : : :', : : : : : : : : ／
ﾌ :.ｉ : : : :i/::::::::/ : .／ : : : : : : : : :.', : : i:::ﾍ : :i::.. : : ::. : : : : : : ／
／ :ｉ : : : :i:::::::::/:.／ : : : : : : : : : : : : , : : : : : : : : : : :,-､ : : : ／
i : : :ｉ : : : :i:::::::,' :/ : : : : : : : : : : : : : : =- y-ｰ ´¨￣ ｀-ｰ‐'"
776
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┃ しかし、息子をなくした隣人を何と言って慰めてよいか、知らない。
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/＼＿＿_／ヽ r-, { | ﾄ、
／'''''' '''''':::::::::＼ | | | | | |
|（○）, ､（○）､.∧ | | | ｉ ! |
| ,,ﾉ(､_, ) ヽ､,, （__;） } r´ ｿ ﾄ i
| ｀-=ﾆ=- ' .:::::::| / ´,. ´ﾉ
＼. ｀ﾆﾆ´ .::::::／y- 、 __ ,.__ ﾍ{ ´ ／
｀rー-- ´／￣:./ : : : : : : :/. : :ヽ ／ ﾊﾄ､ _./
__／/:::::Λ/ : : : /. : : : : : :/ : : : : :.｀=,.へ_ ／ : : : ゞﾆ二彡
,.-< : : : :}:::::ｙ' / : : :__{: : : : : : / : : : : :／.. : : : :７√ : : : : : : : : : :.／
r´ : : : : :「: :/:::::i / : : : :＞ : : : : ,' : : : : :i : : :i: : : ::i / : : : : : : : : : .／
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┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
┃ 彼は、アダッド・ニラリ王の后、サンムラマットがどんな衣装を好んだかも知っている。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━───
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/ﾆﾆ ‐三 _ -‐=? __ ;‐─┘ ′ ,__}
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┃ しかし、彼自身が今どんな衣服を着ているか、まるで気がついていない。
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/＼＿＿_／ヽ
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