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【バンドリ】パスパレのデートシミュレーション【SS】


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戸山香澄「沙綾とデートしてる気分になれるCD」
 羽沢つぐみがお世話してくれるディスク
  奥沢美咲と温泉旅行へ行く話
 湊友希那「燐子のコミュニケーション能力を向上させる」
と同じような話です。
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2: 以下、
丸山彩の場合
――国営公園――
丸山彩「わー、ここってすごく広いね?」
彩「東京にもこんなに大きな公園ってあるんだね」
彩「……うん、名前は聞いたことがあるんだけどね。あんまり東京の西の方には来ないからさ」
彩「へー、夏にはプールがあって、冬はクリスマスイルミネーションがあるんだ」
彩「今の季節は……桜……にはまだ少し早いか」
彩「……うん、そうだね、まだ蕾のままみたいだね」
彩「あ、でも見て見て! 小さなお花とか、梅の花は咲いてるよ!」
彩「えへへ、ああいう小さなお花って可愛い」
彩「そう思わない?」
彩「でしょ! ああやって頑張って咲いてる姿を見ると、なんだか応援したくなるよね!」
彩「……えへへ、私のこともあのお花みたいに応援してくれる?」
彩「……ずっと応援するし味方でいてくれる?」
彩「うん、ありがとっ」
彩「君がいてくれるって思うと、それだけで挫けそうな時も頑張れそうだよ」
彩「あ、ううん、今はそんなに大変だな?っていうのはないよ」
彩「まー、うん、忙しかったっていえば忙しかった……かな」
彩「そうだね。しばらくぶりだもんね、こうやって会うのも」
彩「ちょっと寂しかったな……」
彩「……君も? おんなじなの?」
彩「そっか……なんだか嬉しいな」
彩「うん、そうだね! 今日は会えなかった分も楽しもっか!」
……………………
3: 以下、
――ボート上――
彩「公園といえばね、私、こうやってボートに乗るのに憧れてたんだ」
彩「……うん、恋人と2人でっていうの」
彩「デートの王道だよね、ボート」
彩「……え、そうでもない?」
彩「そうかなぁ……? 女の子だけなのかな、そう思うのって……」
彩「なんて言うんだろう、こう……ね?」
彩「ボートを漕ぐ腕に惹かれるっていうか……カッコいいなぁって思うんだ」
彩「うん、腕。逞しいなってね、ちょっとキュンとする」
彩「あ、上着の袖まくって……」
彩「……うん、なんかイイ……」
彩「カッコよく見える……あっ、ち、違うよ!? 普段はカッコ悪いとかそういうのじゃないよ!?」
彩「だ、だから違うってば!」
彩「……え、冗談?」
彩「もう……イジワル……」
彩「ふーんだ、もう君のことなんて知らないんだから」
彩「つーん」
彩「…………」
彩「……ぷっ、あはは!」
彩「私も冗談だよ、珍しくすごく焦ってたね!」
彩「ふふふ、私だってからかわれてるだけじゃないんだからっ」
彩「そりゃあ、パスパレではなんだかそんな役回りになることが多いけど……」
彩「でも、私だってたまにはこう、相手を掌の上で転がすような女の子になるんだから」
彩「……え、そういうのは私に似合わない?」
彩「私はいつも通り、ヒマワリみたいに明るく笑ってる方が可愛い?」
彩「そっか……君がそう言ってくれるなら、魔性の女の子路線はやめにしようかな」
彩「……あれ? 今ちいさな声で『ちょろい』とか言わなかった?」
彩「気のせい? ……そっか、気のせい……」
彩「……ホントに気のせいかなぁ……最近日菜ちゃんにも同じようなこと言われたんだよなぁ……」
彩「……え? 危ない?」グラ
彩「わっ、きゃ!?」
彩「あっ……」ギュ
4: 以下、
<ス、スイマセン!
彩「あ、ああ、他の人のボートとぶつかりそうだから避けたんだね」
彩「急にボートを動かすから……ちょっとびっくりしちゃった」
彩「…………」
彩「……やっぱり、君って逞しいね」
彩「うん、ボートを漕ぐ腕もそうだけど……えへへ」
彩「私が落ちないように、咄嗟に抱き寄せてくれたね」
彩「ううん、嫌じゃないよ」
彩「なんだか守られてるって感じがして……すごく嬉しいな」
彩「……ねぇ、もう少しだけ、こうしてもらっててもいい?」
彩「……うん、まだちょっと怖いかな」
彩「心臓……ドキドキしてるの伝わってる?」
彩「うん……君もちょっとドキドキしてるね」
彩「えへへ、ありがと。それじゃあもうちょっとだけ、こうしてて……ね?」
……………………
5: 以下、
――原っぱ広場――
彩「もうお昼になるね?」
彩「お腹、減った?」
彩「……そうなんだ、結構減ってきてるんだね」
彩「それじゃあそろそろお昼ご飯にしよっか!」
彩「……え? 売店はここから遠い?」
彩「ふふふ……大丈夫だよ」
彩「はい、これはなんでしょう?」
彩「……そう、正解!」
彩「私の手作りのお弁当だよっ」
彩「えへへ、私だって女の子だもん、お弁当の1つや2つ、朝飯前!」
彩「……え? 私の指のばんそうこう……?」
彩「あー、いやー、これはね……」
彩「…………」
彩「……うん、ちょっと……ちょっとね? 目測を誤ったというか、なんていうか……」
彩「あ、ううん、傷は全然深くないよ? 少しだけ包丁で切っちゃっただけだから」
彩「あーあ……料理上手な女の子って思われたかったんだけどなぁ……失敗しちゃった」
彩「ホントはあんまりこういうのって得意じゃなくてさ……」
彩「でもやっぱり……ね? 君にお弁当を作ってあげたくて、料理とか家事が得意な友達に色々教えてもらってたんだ」
彩「あはは……面目ないね……」
彩「……え? そんなことない?」
彩「お弁当作ってきてくれたのが嬉しすぎて泣きそう……?」
彩「そ、そう? そう言ってくれるなら……私も嬉しい、かな。えへへ……」
彩「それじゃあ食べよっか!」
彩「ちゃんとレジャーシートも持ってきたんだよ。ほら、可愛いでしょ、ピンクとブルーのチェック柄なんだ」
彩「えーと、原っぱの上に広げて……隅っこを靴と鞄で重しして……っと」
彩「はい、お隣にどうぞ?」
彩「じゃあ早……あっ!?」
彩「ああ……お弁当、バッグの中で傾いちゃってた……」
彩「うぅ?……せっかく綺麗に装ったのに……」
彩「ごめんね……なんだか今日、私ダメダメな日みたい……」
彩「……え?」
彩「あ、卵焼きを手で食べて……」
彩「……すごく美味しい、今すぐ嫁に来てほしいレベルの味……?」
彩「そ、そう……?」
彩「……そっか」
彩「うん、ありがと」
彩「えへへ……褒めてもらっちゃった……嬉しいな」
……………………
6: 以下、
――食後――
彩「ふぅー……」
彩「今日は天気がよくて、本当に良かったね」
彩「……うん、そうだね。風が気持ちいい」
彩「朝も話したけどさ……最近、ちょっと忙しかったんだ」
彩「新曲の練習にバラエティー番組の収録とか、いろいろ」
彩「忙しいのはありがたいことよ、って千聖ちゃんはいつも言ってるし、確かにそうだなって思って私も頑張ってたんだけど……」
彩「うん……ちょっとお疲れ気味……っていうのかな」
彩「こうやって君とのんびりしてると……そう思うんだ」
彩「なんでだろうね」
彩「パスパレのみんなといる時は『頑張らなきゃっ』って気合が入るんだけど……君の隣にいると……ううん」
彩「君が隣にいてくれると……ちょっとお休みしてもいいかなって気持ちになるんだ」
彩「愚痴なんてこぼさないぞ、頑張るぞ、ってずっと思ってたんだけどね」
彩「……やっぱりダメみたい。君がいてくれるとすごく甘えたくなっちゃうんだ」
彩「……ごめんね?」
彩「何がって……ほら、こうやって久しぶりに会えたのにさ、こんなことばっか話しちゃって」
彩「あんまり、聞いてても楽しくないんじゃないかなって」
彩「……そんなことはない? 頼りにされるのは嬉しい?」
彩「そっか……やっぱり優しいね、君は」
彩「だから甘えたくなっちゃうんだね、きっと……」
7: 以下、
彩「…………」
彩「……なんだかいいなぁ」
彩「……うん? ああ、えっとね」
彩「こうやって天気のいい日にね、広い公園でお弁当食べて」
彩「遊んでる子供の声とか、優しく吹く風の音を聞いて」
彩「……君が隣にいてくれる」
彩「なんだか……とっても幸せだなって」
彩「それでさ、楽しそうな親子連れとか、ベンチに座って日向ぼっこしてるおじいちゃんおばあちゃんを見てるとさ……」
彩「私も将来……ああいう風になりたいな、って思うんだ。……君と」
彩「……なんてね」
彩「ちょ、ちょっと、真顔で頷かれると……て、照れちゃうよ」
彩「でも……嬉しいな」
彩「えへへ……」
彩「…………」
彩「……ふわぁ……」
彩「はっ!? ご、ごめん、つい気が緩んであくびが……」
彩「……え? 遠慮することはない、って……きゃっ」
彩「え、え? ひ、膝枕?」
彩「え、でも、こういうのって普通私がするものじゃ……」
彩「あ、ううん、予想外に寝心地が良くてびっくりだけど……」
彩「ふあ……」
彩「ああ……そんなに優しく頭を撫でられると……だめぇ、抗えなくなっちゃう……」
彩「……ほんとに寝ちゃいそうだよ……」
彩「……いつもお疲れ様? う、ううん、さっきはああ言ったけど、そんな……」
彩「え? 忙しいのに、君のために料理とか頑張ってたから……私に報いたい?」
彩「で、でも、それも私がしたくてやったことだから……」
彩「あああ……さらに髪を撫でる手が優しく……」
彩「…………」
彩「ああ……ごめん……ほんとにもう寝ちゃいそう……」
彩「……うん、ごめ――ううん、ありがとう」
彩「うん……すごく癒される……」
彩「……それじゃあちょっとだけ……甘えちゃうね?」
彩「えへへ……ありがと……大好きだよ」
彩「うん……おやすみなさい……」
――――――――――
―――――――
――――
……
8: 以下、
白鷺千聖の場合
――科学館――
白鷺千聖「へぇ、科学館って色々なものがあるのね」
千聖「自然、人体、仕組み、地球……展示室もたくさんあるわ」
千聖「プラネタリウムに行こうって誘われたけれど、こういうのを見るのもなかなか楽しいわね」
千聖「あなたはどこから見たい?」
千聖「……自然のところ? 水槽があるから?」
千聖「そういえばあなた、部屋に水槽が2つもあったものね」
千聖「ええ、いいわよ。早行きましょうか」
千聖「……やっぱり平日の夕方だと人が少ないわね」
千聖「ごめんなさい、いつも私の都合に合わせてもらっちゃって」
千聖「……ええ、一応、私も芸能人だからね」
千聖「本当は2人ともお休みの日に……朝に待ち合わせて、大手を振って遊びに行きたいんだけどね」
千聖「有名税っていうのかしらね」
千聖「ありがたいことだけど……こうして変装もして、平日の人が少ない場所にしか行けないのは少し……寂しいわ」
千聖「……ごめんなさい、らしくもないことを言ったわね」
千聖「プラネタリウム……の前に、宇宙の果てを求める科学者の映画みたいなものがあったわね」
千聖「それまで時間もあまりないし、早く行きましょうか」
……………………
9: 以下、
千聖「はく製に標本……色んなものがあるわね」
千聖「水槽は……ああ、一番奥にあるのね」
千聖「あくまでこの近くの川の生体の展示、といったところなのかしら」
千聖「なんだか、本当に『魚です』っていう魚が多いのね」
千聖「……え、最近はその川の生態系がおかしいの?」
千聖「飼えなくなった熱帯魚を川に放流する……そんな人がいるのね」
千聖「へぇ……アマゾン川に住むような魚まで生きてる……」
千聖「逞しいというか、なんというか……」
千聖「…………」
千聖「……それより、さっきから気になってたんだけど」
千聖「あなた……魚より水槽の設備ばかり見てない?」
千聖「……アクアリウムをやってる人間の半数くらいはこっちが気になる? そういうのものなの?」
千聖「1番大きい水槽が多分120規格で……濾過はオーバーフロー?」
千聖「そのほかの水槽は60レギュラーで……えーは? すいさく?」
千聖「ごめんなさい、私の理解が及ぶ範囲じゃないわ」
千聖「……いいえ、あなたが謝る必要はないわ」
千聖「ふふ、なんだか子供みたいで可愛いわよ、好きなことに一生懸命なのって」
千聖「そんなに恥ずかしがることないじゃない、それもあなたの長所よ」
千聖「……そういえば、クラゲって水槽で飼えるものなの?」
千聖「あ、私が飼ってみたいとかじゃなくてね、友達の子がクラゲ好きでね」
千聖「……飼えないことはないだろうけど難しい、のね」
千聖「ほとんど全てのクラゲは海水じゃないと飼えない、それで、海水だと維持管理が大変な上にクラゲ自体が水質や水流にうるさい……」
千聖「へぇ……餌も買ってきたものをそのまま与えるんじゃなくて、ひと手間加えないといけないのね」
千聖「……確かに難しそうね」
千聖「ああ、いえ、大丈夫。私は飼うつもりないから」
千聖「だからきらきらした顔で『とりあえず簡単な熱帯魚からやってみない?』なんて勧めてこないの」
千聖「私には大変そうだもの。水槽は……あなたの部屋に行った時に眺めるくらいでちょうどいいわ」
千聖「……そういう口実があった方が、あなたも誘いやすいでしょう?」
千聖「……ふふ、素直でよろしい」
千聖「あっ、もう上映の時間になりそうね」
千聖「そろそろプラネタリウムドームに行きましょうか」
……………………
10: 以下、
――プラネタリウムドーム 映像視聴後――
<オツカレサマデシタ、ヒキツヅキプラネタリウムノジョウエイヲオコナイマスノデ、ソノママオマチクダサイ...
千聖「……なかなか面白い映像だったわね」
千聖「何年も前からずっと、宇宙の謎を解き明かそうとする科学者たち……色んなドラマがあったのね」
千聖「あなたはどの話が1番興味深かったかしら?」
千聖「……宇宙の果てを追い求めるロマン?」
千聖「ふふ……やっぱり。あなたならそう言うと思ったわ」
千聖「馬鹿になんてしてないわ。分かりやすくて可愛いと思っただけよ」
千聖「ええ、褒めてるわよ。ふふ」
千聖「……私? 私は……そうね、あなたと少し似てるかもしれないわね」
千聖「ええ、宇宙の果て……宇宙の始まりを垣間見るところ」
千聖「宇宙の誕生に遡っていくと、銀河や星の輝きは1つに収束していく……」
千聖「全てが収束した始まりへ、本当に科学者は自分の意志で辿り着いたのか」
千聖「もしかしたら、私たちの起こす行動やその結果は全部が決められていたことなのかもしれない」
千聖「宇宙が始まった、138憶年前に生まれた光によって……」
千聖「……そういうところに興味があったわ」
千聖「……珍しく私がロマンチストなことを言ってる?」
千聖「私だって女の子だもの、星を見て綺麗だと思うし、それを人生に例えるくらいのロマンチシズムは持ち合わせているわ」
千聖「それがそんなに意外だったかしら?」
千聖「……ああ、それはそうよ。アイドルと女優の仕事にはそんな考えは持ち込まないわ」
千聖「さっきの映像みたいに、例え私の人生が最初から決められていたとしても、そうじゃないとしても、頂いた仕事には全力を尽くす」
千聖「そしてお客さんの期待を裏切らないようにするのは当然の行動よ」
千聖「……まぁ、そうよね。それを言ってしまったら今の私はアイドル失格よね」
千聖「お忍びデートなんてもしもすっぱ抜かれたら……パステルパレットのデビューライブなんて目じゃないくらい、インターネットの各所が燃え上がるかもしれないわね」
千聖「でも……こう言ってはなんだけど、あなたの前だけではロマンチストでいたいの」
千聖「アイドル、または女優の白鷺千聖はリアリストで、ただの白鷺千聖はどこにでもいる普通の女の子」
千聖「そうでありたいと思うのよ」
千聖「あなたは、こんな私をズルくてワガママな人間だと思うかしら……?」
千聖「……なんて、ごめんなさい」
千聖「あなたのことだもの。そんなことは考えたこともないでしょうね」
千聖「あなたにとっての私は『白鷺千聖』であるだけで、アイドルや女優なんて肩書きは見えていないんだから」
千聖「……何を言われてるのかいまいち分からないって顔をしてるわね。ふふ」
千聖「いいのよ、あなたはそれで」
千聖「そんなあなただからこそ……私は、あなたの前でだけは、普通の女の子でいられるんだから」
千聖「……ええ、そうね。とても褒めているわよ」
<マモナクジョウエイカイシデス。クラクナリマスノデ、オセキヲタタナイヨウオネガイシマス...
千聖「あ、暗くなってきたわ……いよいよ本命のプラネタリウムね」
千聖「……ふふ、そうだ」
11: 以下、
千聖(ねぇ)
千聖(……びっくりしたかしら?)
千聖(大丈夫よ。平日だから、そんなに人もいないでしょう?)
千聖(それに、こんなに暗いんだもの)
千聖(あなたに身を寄せて……耳元で囁き合うくらい、神様だって見逃してくれるわ)
千聖(さっきも言ったでしょう? あなたの前では、私はロマンチストなのよ)
千聖(だから、こうやってギュッとあなたに抱き着くことも出来るし、ふふ)
千聖(暗がりの中で囁き合う、なんていう子供の悪戯みたいなことも楽しんで出来るわ)
千聖(……こんな私はお嫌いかしら?)
千聖(どんな私も大好き……ね。そうまっすぐ言われると……流石に照れるわ)
千聖(でも……嬉しい……)
千聖(…………)
千聖(綺麗ね、プラネタリウム……)
千聖(最近は夜空を見上げることが少ない気がするわ)
千聖(なんだか……ちょっと懐かしい、ような感じがするわね)
千聖(……そうね)
千聖(いつか……本当の星空を一緒に見に行きたい)
千聖(こうしてあなたと2人で)
千聖(朝早くに待ち合わせて、東京じゃあまり綺麗な星空は見えないから、電車で遠くに行くの)
千聖(日帰りだと忙しいから、1泊2日の旅行がいいわね)
千聖(その時は私も帽子やサングラスなんてしないで、好きな格好をして……)
千聖(あなたに可愛いって思ってもらえるように、もっと好きになってもらえるように、とびっきりのお洒落をして、ね)
千聖(それで、山の頂上とか、そういうところで星を見上げたい)
千聖(いま座っている椅子みたいな、わずかでもあなたと私を隔たるものがなくて)
千聖(誰かの目なんか気にする必要もなく、ぴったりとあなたに身を寄せることが出来て)
千聖(……そんな風に、星空を見上げたいわ)
千聖(……いつか絶対に出来る?)
千聖(きっと……宇宙の始まりから、私たちの未来はそういう風に決まっている?)
千聖(……ふふ、私も大概ロマンチストだと思ったけど、あなたほどじゃないみたいね)
千聖(……いいえ、照れることなんてないわ)
千聖(とっても素敵な言葉だったわよ)
千聖(いつか……いつになるか分からないけど)
千聖(私が芸能界の一線から身を引いたら、必ず行きましょうね)
千聖(それまであなたは……待っていてくれるかしら……?)
千聖(……ええ、ありがとう)
千聖(私も……)
千聖(私も、あなたのこと……)
千聖(ずっと大好き……よ)
――――――――――
―――――――
――――
……
12: 以下、
氷川日菜の場合
――学校 正門前――
氷川日菜「あ、おーい!」
日菜「えへへ、来ちゃった♪」
日菜「……どうしたのって、迎えに来たんだよ」
日菜「うん、迎え」
日菜「だってほら、今日雨が降ってるでしょ? だからさ、君と一緒に帰ろーって思ったんだ」
日菜「……? 関連性が分からないって?」
日菜「えーと、つまり……雨が降ったから相合傘しよってことだよ」
日菜「うん、そーいうこと!」
日菜「ダメ?」
日菜「……うん、ありがと!」
日菜「それじゃあ行こっか! あ、傘は……君のやつの方が大きいね」
日菜「はい、それじゃあ傘持ち、お願いねっ!」
日菜「ん? こんな目立つことして平気なのかって?」
日菜「……あっ」
日菜「そうだ、そういえば千聖ちゃんに『あんまり目立つようなことはしちゃ駄目よ?』って言われてたんだ」
日菜「んー、でももう周りから注目されちゃってるしなぁ?……」
日菜「……まぁいっか!」
日菜「それじゃ、一緒に帰ろ♪」
……………………
13: 以下、
日菜「あー、今日も1日学校疲れたな?」
日菜「うん? んーん、特に何も変わったことはなかったよ」
日菜「なんとなく言ってみただけ?」
日菜「学校に疲れるって感覚がよく分かんないんだよね」
日菜「そんなに疲れるようなことってあるかな? 君はどう?」
日菜「……テストが難しかったり体育でマラソンしたりすると疲れる……か」
日菜「うん、全然ピンと来ない!」
日菜「だってテストなんて教科書に書いてあることしかやんないし、難しいと思ったことないもん」
日菜「あーでもマラソンが疲れるっていうのはちょっと分かるかも」
日菜「ただ走るだけって何が面白いのか、あたしには全然分からないよ。途中で飽きてくるよね」
日菜「……え? そういう疲れ方じゃないの?」
日菜「うーん、確かにずっと走ってたら疲れるかもしれないけど……授業じゃそこまで走らないしなぁ」
日菜「どうせ走るなら鬼ごっことかの方が楽しいよね!」
日菜「この前のライブのことって話したっけ?」
日菜「そうそう! 本番前ってほんとーに退屈でさぁ?、つい楽屋から出て散歩したくなるんだよね」
日菜「いや?、あの時は楽しかったなぁ。ファンの人とスタッフさんが鬼であたしが逃げる役って感じで!」
日菜「……まぁその後、千聖ちゃんにすごく怖い笑顔で怒られたんだけどね」
日菜「でもなんだか怒られてない彩ちゃんの方が千聖ちゃんを怖がってて面白かったな?」
日菜「……え、反省? ちゃんとしてるよ」
日菜「次はおねーちゃんの服を持ってって、それを着て外に出ようって思うんだ」
日菜「それならきっとバレないし……えへへ?、おねーちゃんの服も着れるし一石二鳥だよね!」
日菜「……それは反省の方向性が違うって? うーん、そうかなぁ……」
日菜「あ、おねーちゃんといえば、君といる時とおねーちゃんといる時って何が違うんだろうね?」
日菜「ん? んーっとね、おねーちゃんと一緒の時は『るんっ♪』てするじゃん、あたし?」
日菜「でね、君と一緒にいる時は『るんっ♪』に近いんだけどちょっと違う感じがするんだよね」
日菜「言葉にすると……そうだなー、『きゅらるんっ♪』って感じかなぁ」
日菜「この違いがよく分からないんだよね?。君は分かる?」
日菜「……全然分かんない? そもそも『るんっ♪』ってなんなのか理解できる気がしない?」
14: 以下、
日菜「あはは、やっぱり君って面白いね」
日菜「えー、面白いよ?。彩ちゃんとはまた違った感じの面白さだよね」
日菜「ん?、なんていうんだろう」
日菜「あたし、昔から天才だーとか人の気持ちが分からないーとか言われてたからさ」
日菜「そーやってストレートな言い方してくる人ってなかなかいなかったもん」
日菜「大体どの人もお茶を濁した返事して目を逸らしてたし」
日菜「だからまっすぐにあたしを見てくる人がいると、『なんでなんだろ?』って興味が湧くんだよね」
日菜「でも……その中でも君は特別かなぁ」
日菜「なんだかね、一緒にいるとすっごくワクワクして楽しい気持ちになるんだ!」
日菜「えへへ、君とおねーちゃんが一緒の学校だったらきっと毎日『るんっ♪』ってするのになぁ?」
日菜「え、羽丘は流石に無理?」
日菜「大丈夫大丈夫! なにか突っ込まれても『つまり……そういうことさ』って言えば解決するって麻弥ちゃんが言ってたから!」
日菜「え?っ、どうしても無理なの??」
日菜「もー、いくじなしぃ」
日菜「可愛い恋人のお願いが聞けない君には……罰ゲームっ!」
日菜「えーい、ぎゅ?!」
日菜「えっへっへ?、雨の日って、傘をさしてて歩きづらいでしょ?」
日菜「そこにあたしがぎゅ?って抱き着くことによって更に歩きづらくなる罰ゲームだよっ」
日菜「ん?? なんだか顔が赤くない? 軽くにやけてない?」
日菜「罰ゲームなのにどーしてそんな顔してるのかな??」
日菜「え、あたし?」
日菜「あはは、あたしはいーの!」
日菜「だって君にこうしてると『きゅらるんっ♪』が『きゅるらるるんっ♪』になるんだもーん!」
日菜「違いがまったく分からないって? だいじょーぶだいじょーぶ! あたしもよく分かってないから!」
日菜「それにね……ふふっ」
15: 以下、
日菜「君の左肩」
日菜「なーんでそんなにびしょ濡れなのかな、って」
日菜「さっきも言ったよね? あたしさ、よく人の気持ちが分からない人間だーって言われるんだよね?」
日菜「だから……」
日菜「どうして君の左肩がびしょびしょで、あたしが全然濡れてないのかな?って、よく分かんないな?って」
日菜「どうしてかな?どうしてかな?……ふふふ……」
日菜「え? 絶対分かって聞いてるだろって?」
日菜「そんなことないよ、あはは、全然そんなことない」
日菜「えー、いーじゃんいーじゃん、なんでか教えてよ?」
日菜「……お、話す気になった?」
日菜「……ふんふん、なるほどね」
日菜「あたしが雨に濡れて風邪をひくと大変だから、ね」
日菜「でもさ、そしたら君が風邪ひいちゃわない?」
日菜「……アイドルと一般人じゃ重さが違うって?」
日菜「なるほどね!」
日菜「じゃああたしがぎゅっとこうしてれば一石二鳥だね!」
日菜「なんでそうなるって……んーとね、つまりアイドルって特別な人間ってことでしょ?」
日菜「それならあたしにとっての君はすっごく特別な人間だもん。君の言うアイドルと同じくらいね」
日菜「風邪なんてひいて欲しくないし、あたしが君とくっつきたいしで……ほら!」
日菜「一石二鳥だね! えへへ?」
日菜「ん? ……参った、降参?」
日菜「そうでしょ?、完璧な理論だったでしょ?」
16: 以下、
日菜「え、そうじゃない?」
日菜「……君にとってのあたしも、アイドルとかそんなのを抜きにして特別な存在……?」
日菜「……へぇー」
日菜「…………」
日菜「あ、ううん、引いたとかそういうんじゃなくて」
日菜「なんだかよく分かんない気持ち」
日菜「いっつも素直じゃない君がそう言うのって初めてな気がして……」
日菜「うーん、なんだろうな、この気持ち……」
日菜「『るんっ♪』ってするんだけど、ソワソワして、恥ずかしいような気がするけど、でももっと聞いてみたいっていうか、なんていうか」
日菜「……よく分かんないけどいっか!」
日菜「とにかく、もっと君にぎゅーってくっつきたくなったからそうするね!」
日菜「ぎゅーっ」
日菜「……えへへ!」
日菜「こうやって強く抱き着いたら……なんだかもっと不思議な気持ちになってきた」
日菜「言葉にするなら……しっとりとした『きらるんっ♪』って感じ、かな?」
日菜「君は……分かる?」
日菜「やっぱり、分かんない?」
日菜「……分かんないけど、多分あたしとおんなじ気持ちでいると思う……?」
日菜「そっか、おんなじなんだ」
日菜「おんなじ……えへへへ」
日菜「なんか胸の中がくすぐったいや」
日菜「ううん、嫌な感じじゃないよ。なんだかすごく楽しい」
日菜「それに、すっごく温かくて嬉しい気持ち」
日菜「やっぱり、君ってすごい特別だよ」
日菜「うん、あたしにとっての特別」
日菜「あー、なんだか雨の日って好きだなぁ」
日菜「んー? なんとなく思っただけ!」
日菜「あ、そうだ!」
日菜「今日、彩ちゃんがファーストフード店でバイトしてるんだ!」
日菜「ね、せっかくだし寄り道してこーよ!」
日菜「えー、いーじゃんいーじゃん!」
日菜「……ほんとにダメ……?」
日菜「……えへへ、君ならこう言えば了承してくれるって思ってたよ」
日菜「え、ずるい? うーん、何がずるいのかちょっとよく分かんないなぁ?」
日菜「さぁ、それじゃあ彩ちゃんのとこに寄り道してこーっ!」
――――――――――
―――――――
――――
……
17: 以下、
若宮イヴの場合
――神社 杉並木の参道――
若宮イヴ「おお……すごい景観ですね!」
イヴ「鳥居の先の道が、ずーっとスギの木で挟まれてます!」
イヴ「これが日本のワビサビというものなんですね」
イヴ「……え? 違うんですか?」
イヴ「これはどちらかというとソウゴン……というんですか?」
イヴ「字は……『荘厳』、ですか」
イヴ「へぇ?、立派なものを指す言葉なんですね」
イヴ「また1つ日本の言葉を知りました! えへへ、ありがとうございます!」
イヴ「それじゃあ行きましょうか!」
イヴ「……あ、そうです! 私、今日のために神社での作法を学んできました!」
イヴ「あなたはご存知ですか?」
イヴ「……詳しくは知らない、ですね? そうしたら、私が教えてあげましょう!」
イヴ「まず、神社は神様のお家だと聞いたので、鳥居をくぐる前に会釈をしましょう!」
イヴ「はい、ではご一緒に……お邪魔します」ペコリ
イヴ「それから手水舎で手と口を清めます!」
イヴ「……あれ? 手水舎が……見当たりませんね……」
イヴ「……え? それは奥社の手前にあるんですか?」
イヴ「分かりました! それでは手と口を清めるのは後にしましょう!」
イヴ「あ、それと、参道は端を歩かなければなりません!」
イヴ「真ん中は神様専用の通り道だと本に書いてありました!」
イヴ「どうしても通りたい場合は、頭を下げて『失礼します』と念じながら通る、とも書いてありました!」
イヴ「……いえいえ、そんな、物知りだなんて」
イヴ「日本の文化を勉強してブシドーを極めたい、というのと、色々な人と仲良くなりたい、というのが私の今年の抱負なんです」
イヴ「私はまだまだ精進の途中です!」
イヴ「日本の文化をもっと知りたいですし、あなたとも、もっともーっと仲良くなりたいです!」
イヴ「……おや? 顔が赤いですが、どうかしましたか?」
イヴ「……まっすぐに言われると少し照れる……ですか?」
イヴ「よく分かりませんが……あなたが嬉しそうなので私も嬉しいです!」
イヴ「さぁ、参りましょう!」
……………………
18: 以下、
イヴ「すごいですね、歩いても歩いてもずーっとスギの木が並んでいます!」
イヴ「赤い門を超えてから、とてもソウゴンなスギばかりになっていますし……こんな素敵な場所にお住まいの神様はとても自然が好きなのですね!」
イヴ「……あれ?」
イヴ「どうかしましたか?」
イヴ「……歩き疲れてきた、ですか?」
イヴ「でも、ガイドマップによると、まだ半分くらいしか歩いてないみたいですよ?」
イヴ「……あ、確かにそうですね!」
イヴ「さきほどのニンジャ資料館……手裏剣投げにからくり屋敷と、一緒にはしゃぎましたね!」
イヴ「ふふ、あなたはとても楽しそうでしたもんね!」
イヴ「はい、私もとても楽しかったです!」
イヴ「やっぱり日本には、ブシドーとニンジャの文化が色濃く残っているんですね!」
イヴ「え? 安心した……ですか?」
イヴ「……ブシドーとニンジャだと趣向が合わないかも、と思ってたんですか?」
イヴ「いえいえ、ブシドーとシノビは切っても切れない関係だと時代劇で学びました!」
イヴ「闇の世界で暗躍する悪代官……それを成敗するために館に踏み込む武士……」
イヴ「しかし、あと一歩というところでニンジャに阻まれてしまうんです」
イヴ「ニンジャはお金のために何でもして、武士は志のために戦う……」
イヴ「両者は決して相容れない存在として、何度も何度も大立ち回りをするんです」
イヴ「なので、いつか私もブシドーを極めたら、悪を成敗する時にニンジャと戦うかもしれないですからね!」
イヴ「敵を知り己を知れば百戦危うからず、と時代劇の軍師さんも言っていました!」
イヴ「なので、ニンジャの武器である手裏剣の扱い方や、ニンジャのからくり屋敷を攻略したのは、ブシドーを極める上でも重要なことです!」
イヴ「えへへ、あなたのおかげで、また少しブシドーを極められた気がします」
19: 以下、
イヴ「……はっ、そういえば!」
イヴ「……いえ、少し聞いたことがあったんですが……」
イヴ「私のクラスメイトに、ベースを弾いている友達がいるんですが……その方が、昔ニンジャだったという話がありまして……」
イヴ「……もしそれが本当なら、私は友達と、いずれ戦わなければいけないのでしょうか……」
イヴ「友情を取るか、正義を取るか……」
イヴ「わ、私はどうすればいいのでしょうか……」
イヴ「……え?」
イヴ「そうですね……その方は、とても優しい方です」
イヴ「……はい、確かにその通りですね」
イヴ「カタナを交える前にハラを割ってお話すれば、きっと分かり合えますよね!」
イヴ「百戦百勝は善の善なるものにあらず、戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり……歴史小説の軍師さんもそう言っていました!」
イヴ「戦うことなく、力に頼らずに人を正しい方向へ向かわせる。それもブシドーですね!」
イヴ「はい、ありがとうございます!」
イヴ「あなたといると、私はどんどんブシドーを極められるような気がします!」
イヴ「とてもやる気に満ちてきました!」
イヴ「さぁ行きましょう!」
イヴ「……まだ疲れていてそんなに動けない、ですか?」
イヴ「大丈夫です! 私があなたの手を引きますから!」
イヴ「お手を拝借しますね……ぎゅっ、と……」
イヴ「えへへ、なんだかあなたの手を握ると、そこからまた元気が貰えるような気がしますね!」
イヴ「さぁ、行軍再開です! ひかえおろー!」
……………………
20: 以下、
――神社参拝後――
イヴ「うーん、とってもオモムキ深い神社でしたね!」
イヴ「……おや、まだ……お疲れですか?」
イヴ「最後の大きな上り段差がまだ効いている……んですね」
イヴ「私ですか? 私は全然大丈夫です!」
イヴ「ふふ、日頃から鍛錬を重ねるのも武士のツトメ、ですからね!」
イヴ「帰り道もまたあの素晴らしいスギ並木を歩けると思うとワクワクしますね!」
イヴ「……また30分以上歩くと考えると流石にげんなりする……ですか?」
イヴ「うーん、困りました。あなたが元気でないと私も落ち込んでしまいます……」
イヴ「こういう時は……そうだ!」
イヴ「えい、ハグハグハグ?!」
イヴ「……? どうしたのって、ハグですよ?」
イヴ「アヤさんが言っていました! 私にハグされるとなんだか元気が出てくると!」
イヴ「だからあなたにハグすれば元気が出てくるんじゃないかと思いました!」
イヴ「どうですか? 元気、出てきましたか?」
イヴ「……もっと強くハグされれば元気になりそう、ですか?」
イヴ「分かりました! それでは……ぎゅ?っ!」
イヴ「どうですか?」
イヴ「……温かくてとても気持ちいい?」
イヴ「えへへ、それならよかったです!」
21: 以下、
イヴ「うーん、それにしても……」
イヴ「あ、いいえ。ちょっと不思議だと思うんです」
イヴ「パスパレのみなさんにハグしているときと、あなたにハグしているとき……」
イヴ「同じハグなのに、少し違うような気がします」
イヴ「……どんな風に違うのか、ですか?」
イヴ「言葉で説明するのは少し難しいですね……」
イヴ「えっと、みなさんにハグするときは、とても楽しい気持ちになるんです」
イヴ「でも、あなたにこうしてハグしていると……もちろん楽しい気持ちもあるんですが、それと一緒に……なにかドキドキします」
イヴ「ハグは挨拶みたいなもの、ですから」
イヴ「フィンランドでも色んな方とハグしましたけど、こんな気持ちになるのはあなただけ、です」
イヴ「何が違うんでしょうか……?」
イヴ「……恋人同士だから、ですか?」
イヴ「はい、あなたのことはとっても大好きですよ!」
イヴ「一緒にいるととても楽しくて、胸が躍ります!」
イヴ「あ、でも確かにそうですね」
イヴ「一緒にいて楽しい方はたくさんいますが、こんなに胸が躍るのはあなただけです!」
イヴ「うーん、それと同じ……ですか?」
イヴ「あまりピンと来ませんね……」
イヴ「……え?」
イヴ「……なるほど!」
イヴ「この気持ちの正体を確かめられて、あなたは元気になれる!」
イヴ「腕を組みながらずっと参道を歩けば、確かに一石二鳥ですね!」
イヴ「えへへ……実は私、あなたとこうしてると、出来るだけ離れたくないなって思うんです」
イヴ「だから、もしかしたら一石三鳥かもしれませんね!」
イヴ「では、腕の方に失礼しますね」
イヴ「よいしょ……えへへ」
イヴ「正面からのハグも素敵ですが、こうしてあなたの腕にくっつくのも楽しいですね!」
イヴ「それじゃあ、行きましょうか!」
――――――――――
―――――――
――――
……
22: 以下、
大和麻弥の場合
――駅前――
大和麻弥「あ、どうもー、こんばんは」
麻弥「ああいえ、今来たばかりですよ」
麻弥「ええ、ちょうど機材メンテをしたのがこの近くのスタジオだったんで……」
麻弥「……い、いえ、そんな謝らないで下さいって」
麻弥「仕事終わりの短い時間でも、その……こうしてあなたに会えるのは嬉しいですから。フヘヘ……」
麻弥「あっとごめんなさい、ついこの笑い方をしてしまって……」
麻弥「……え? あなたの前でなら気にしないでいい……ですか?」
麻弥「あー、そう言って頂けるのは嬉しいんですけど……流石にジブンが少し恥ずかしいというか、なんというか……」
麻弥「その、こう言ってはなんですけど……あなたの前では可愛らしくいたいなって……」
麻弥「ああなんでもないです、なんでもないです!」
麻弥「そ、それで、今日はこれからどうするんですか?」
麻弥「時間も時間ですし……春になって日が延びたとはいえ、もう暗くなっちゃってますよ」
麻弥「……この時間からじゃないといけない場所、ですか?」
麻弥「そんな場所があるんですね」
麻弥「分かりました、では早行きましょうか」
麻弥「……どこへ行くのか聞かないのか、ですか?」
麻弥「ええ、着いてからのお楽しみにしようかなと……」
麻弥「どこへ行くにしてもあなたと一緒なら楽しいですしね」
麻弥「……はい?」
麻弥「あ……ああ、確かに……」
麻弥「確かに……今のセリフはちょっと恥ずかしかったですね……」
麻弥「わ、笑わないで下さいよーっ!」
麻弥「ほ、ほら、早く行きましょう!」
……………………
23: 以下、
麻弥「駅から結構歩くんですねぇ」
麻弥「あ、いえいえ、全然疲れたとかそういうことはないですよ」
麻弥「なんだか暗くなってきて、灯りが点いた街っていい雰囲気があるじゃないですか」
麻弥「だからこうやって歩くの、結構好きなんですよ」
麻弥「……ジブンにはちょっと似合わないかもですけどね」
麻弥「そんなことはない……ですか?」
麻弥「そう言って頂けるのは嬉しいですが……やっぱり、こういうお洒落な雰囲気は千聖さんやイヴさんの方が似合うと思いますし」
麻弥「ジブンには寂しげな景色がちょうどいいような気がします」
麻弥「……どうしたんですか、急に真顔になって」
麻弥「……え?」
麻弥「え、ええ!?」
麻弥「あ、いえ……全然、嫌とか、そういうのはないですが……」
麻弥「や、やっぱりこう、人が多いところで、その……手を握られると……ええ」
麻弥「少し照れくさいなって……」
麻弥「いやいやっ、本当にあなたと手を繋ぐのが嫌とかそういうのはないですから!」
麻弥「え、ええ。こうして……歩きましょうか……」
麻弥「……あの、ジブンの手……何かこう、汗で湿ってたりしないですよね?」
麻弥「い、いえ、緊張して……手に汗びっしょりだとあなたが嫌な思いをするんじゃないかと……」
麻弥「……え? とても柔らかくて、握っていて気持ちいい……ですか?」
麻弥「うぅ……そういうことを言われると余計に汗が出そうですよ……」
麻弥「あっ、というかジブン、汗くさかったりしないですかね!?」
麻弥「その、スタジオで機材メンテしてたって言ったじゃないですか」
麻弥「スタジオの中で機材に囲まれてると、暑くって結構汗をかくんですよ」
麻弥「一応、制汗スプレーとかはちゃんと使ってるんですよ?」
麻弥「パステルパレットに加入してからは千聖さんと彩さんにお化粧とかを教わってますからね」
麻弥「……ええ、まぁ、パスパレに入る以前の自分なら、汗をタオルで拭いて終わり……だったかもしれませんけど」
24: 以下、
麻弥「ちょ、か、嗅がないで下さいって!」
麻弥「そんな……首筋の近くはマズいです……! そこは……ひゃっ!?」
麻弥「……うぅぅ……」
麻弥「そんな、『麻弥ちゃんの匂いしかしないよ』だなんて……」
麻弥「なんだか今……とても辱められている気がします……」
麻弥「いやいや、褒めてるつもりだとしてもジブンは恥ずかしいですって!」
麻弥「その……人にジブンの匂いを嗅がれるなんてこと……今までありませんでしたし……」
麻弥「で、ですからその『いい匂いがする』っていうのが恥ずかしいんですってば!」
麻弥「そりゃあ、嫌な匂いがするって言われるよりはずっといいですし……」
麻弥「こんなジブンでも、あなたに気に入ってもらえることが増えたのなら嬉しいですけど……」
麻弥「……あれ」
麻弥「ジブン、今、またとてつもなく恥ずかしいことを言いませんでしたか……?」
麻弥「気のせい気のせい、って……なんだかあなたの笑いをこらえてる顔を見てると全然気のせいじゃない気がしますよ!?」
麻弥「あああ……絶対に変なことを口走った……穴があったら入りたい……」
麻弥「……え? ジブンのそういうところが可愛くて好き……?」
麻弥「え……」
麻弥「…………」
麻弥「ええ!?」
麻弥「いや……え、その……あの……」
麻弥「……うぅ、顔が熱い……」
麻弥「全身から火が出そうなくらい恥ずかしいので……いや、言われて嫌な気はしないんですけどね? でも、そういうセリフはオブラートに包んでいただけると……」
麻弥「……爽やかに『それは無理』って即答しないで下さいよ!」
……………………
25: 以下、
――公園――
麻弥「ここが目的地ですか?」
麻弥「へぇ、夜景がよく見える公園、なんですね」
麻弥「確かに小高いところにあって、眼下に広がる街の光が煌びやかです」
麻弥「ジブンたち、あの中を歩いてきたんですね」
麻弥「……綺麗だなぁ……」
麻弥「…………」
麻弥「……それはそうと、周りにカップルしかいないような気がするんですけど、気のせいですかね?」
麻弥「……ああ、やっぱり気のせいじゃないんですね……」
麻弥「へぇ?、この公園は有名なデートスポット……」
麻弥「…………」
麻弥「え、ジブン、そんなところに来ていいんですか?」
麻弥「その、さっきの灯りが点いた街なんて比じゃないくらいのお洒落オーラが出てますよ?」
麻弥「こういうところは恋人たちや煌びやかな紳士淑女のための場所なんじゃ……」
麻弥「……あ、そうですね」
麻弥「ジブンたちもそういう関係でしたね」
麻弥「恋人同士……ですね」
麻弥「…………」
麻弥「フヘヘ……」
麻弥「あっ、すみません、また笑い方が……」
麻弥「……気にしないで、って言って頂けるのは嬉しいんですけどね」
麻弥「あー……でも……そう、ですね」
26: 以下、
麻弥「……その、駅でも言ったじゃないですか」
麻弥「こんなジブンを好きでいてくれるあなたには……可愛い女の子だって思われたいんですよ」
麻弥「機材いじりが趣味で、お化粧の1つも満足に出来ないジブンですけど……」
麻弥「こんなに煌びやかなところへ手を引いていってくれるあなたのことが大好きですから」
麻弥「なんて……フヘヘ」
麻弥「今までこういうところに来たことがありませんでしたけど……不思議ですね」
麻弥「さっきまで歩いていた、あの街の灯りを眺めていると……いつもは照れくさくて言えないようなこともスルスルと口から出てきます」
麻弥「どうしてなんでしょうね」
麻弥「……ええ、不思議です」
麻弥「…………」
麻弥「あの……ワガママを言ってもいいですか?」
麻弥「……いつでも聞いてくれるんですか? フヘヘ、ありがとうございます」
麻弥「では、その、もう少し……あなたにくっついてもいいでしょうか……?」
麻弥「ひゃっ!?」
麻弥「あ、ああいえ、まさか肩を抱き寄せられるとは思わなかったので……」
麻弥「い、いえいえ! ちょっと驚いただけですので!」
麻弥「むしろ……嬉しいです……ね」
麻弥「……フヘヘ」
麻弥「…………」
麻弥「本当に……不思議です」
麻弥「いつもは、『これを言ったら迷惑なんじゃないか』とか『ワガママを言ったら嫌われるんじゃないか』なんて考えてしまうんですよね」
麻弥「でも今は……あなたにとことん甘えてしまってもいいんじゃないか、なんて思ってしまっています」
麻弥「……そっちの方が嬉しい、ですか?」
麻弥「恋人っていうのはそういうもの……なんですね」
麻弥「……はい、ありがとうございます」
27: 以下、
麻弥「じゃあ……もう1つワガママを言いますね?」
麻弥「今日は時間が許す限り……こうして、あなたに肩を抱かれて、この煌びやかな夜景を見ていたいです」
麻弥「……って、ワガママ過ぎますかね?」
麻弥「あっ……」
麻弥「さらに強く……抱き寄せてくれるんですね……」
麻弥「……今のはワガママのうちに入らない、ですか?」
麻弥「そうなんですね……ワガママって難しいものですね」
麻弥「ジブンは……これ以上を望めませんよ」
麻弥「大好きなあなたが隣にいて、こんなに綺麗な景色が見れて……」
麻弥「これ以上の幸せなんて思い付かないです」
麻弥「フヘヘ……」
麻弥「はい、今のジブンはとっても幸せです」
麻弥「どうしてこういった場所がデートスポットになるのか……ちょっと分かりますね」
麻弥「こんなに簡単に、こんなにも幸せな気持ちになれるんですから」
麻弥「みなさん、こぞって来たがる訳ですよ」
麻弥「はい……こんなに素晴らしい場所に連れてきてくれて、ありがとうございます」
麻弥「なんだかクセになりそうです」
麻弥「…………」
麻弥「あの……もう1つ、ワガママを思い付いてしまったので、聞いてもらってもいいですか?」
麻弥「……ありがとうございます」
麻弥「今日だけじゃなく……」
麻弥「また、こういった場所へ……ジブンを連れ立ってくれませんか……?」
麻弥「……ええ、ジブンはいつでもっ」
麻弥「あなたと一緒ならば、いつでも平気です」
麻弥「……それじゃあ約束ですね」
麻弥「……はい? ……はい、もちろんです」
麻弥「ジブンも、あなたのことが……大好きですよ」
麻弥「……フヘヘ」
――――――――――
―――――――
――――
……
28: 以下、
――芸能事務所――
千聖「……という感じにまとめてきたわ。みんなが出してくれたデートの台本の案を」
彩「…………」
日菜「…………」
イヴ「…………」
麻弥「…………」
彩「あの、千聖ちゃん……」
千聖「どうしたの?」
彩「私の案は夢の国での王道デートだったと思うんだけど……」
千聖「彩ちゃん、気持ちは分かるけど……あそこはダメよ」
千聖「販売するためのCDにあそこの名前を使うとたくさんお金がかかるのよ」
彩「そっか……やっぱりダメだったんだね……」
千聖「でも公園でデートなんて可愛らしくていいんじゃないかしら?」
千聖「彩ちゃんらしい手ご――親しみやすさがあって」
彩「いま『手頃』って言いかけてなかった!?」
千聖「気のせいよ」
日菜「千聖ちゃーん、あたしのも全然違うよ??」
千聖「ああ、日菜ちゃんの案は……なんていうか、ね……」
千聖「……途中から『おねーちゃん』っていう単語が何個出てくるか数えていたわ」
千聖「70個目くらいで数えるのを諦めたわ」
千聖「それに何故か途中から紗夜ちゃんが登場して恋人そっちのけになっているし……」
千聖「……まかり間違ってもあれをファンの人たち向けのCDとして収録出来ないわよ」
日菜「えー、そーかなぁ?」
千聖「そういうものなの」
日菜「そっかぁ……」
千聖「日菜ちゃんの案みたいなのがやりたいなら紗夜ちゃんにお願いしなさい。それからここに連れてくれば私が演技指導してあげるから」
千聖「だから今回は私の台本で我慢してくれないかしら」
日菜「うーん、そうだね……」
日菜「……うん、分かったよ。あたしの原案の方はおねーちゃんにお願いしてみるね!」
千聖「ええ、そうしてちょうだい」
29: 以下、
イヴ「あの、チサトさん。私の案も大分変わっているようなのですが……」
千聖「……ああ、イヴちゃんの案ね」
千聖「その、ね? 個人的にはとても面白かったわよ?」
千聖「でもね、流石に文庫本換算100ページを超えるものを出されても……ね?」
イヴ「やっぱりちょっと長すぎましたか?」
千聖「……そうね。ちょっと、長いわね」
千聖「それにほら、登場人物も多かったじゃない? もうデートというか時代劇の脚本みたいになってたから……ちょっと今回のデートシミュレーションのCD企画には合わないのよ」
イヴ「そうですか……一生懸命書いたのですが、残念です……」
千聖「……これは事務所の方にかけあって何か別の形にしましょう?」
千聖「なんならイヴちゃん名義で本にしてもいいし、別の機会があればパスパレで演じてみたりっていうのもいいと思うわ」
イヴ「チサトさん……」
イヴ「はい、分かりました! これはもっともっと設定を練って、いつかの時のためにとっておきますね!」
千聖「ええ、そうしてくれるかしら」
麻弥「……あの、千聖さん」
千聖「どうしたの、麻弥ちゃん?」
麻弥「ジブン、本当にこんな恥ずかしいセリフを収録するんですか……!?」
千聖「デートの案なんて思いつかないから私に任せるって言ったのは麻弥ちゃんよね?」
麻弥「た、確かにおまかせにしましたけど……こ、こんなセリフ、照れずに言える自信がないですよ!?」
千聖「大丈夫よ、麻弥ちゃん」
麻弥「へっ?」
千聖「その為に私がいるんじゃない」
麻弥「まさか、それは……」
千聖「演技指導、ちゃんとしてあげるから」
麻弥「え、演技指導って、他のバンドの皆さんにやっていた……?」
千聖「ああ、違うわよ」
麻弥「……よかった、あのレッスンじゃないんだ……」
千聖「ちゃんとパスパレ用のもっと身になるレッスンを用意してあるから、安心して?」
麻弥「え゛っ!?」
千聖「ビシバシしごいてあげるから、期待しててね」
麻弥「そ、そんな……」
千聖「……さて、他に何か話がある人はいるかしら?」
彩「手頃……私って安い女の子なのかな……」
日菜「えへへ?、おねーちゃんにどんなセリフ喋ってもらおうかなぁ?」
イヴ「もっと武骨な義士を書いた方がいいかもしれないですね……キタカタさんの本を参考にしてみましょう!」
麻弥「あれより厳しいレッスンって一体……生きて帰れるんだろうか……」
千聖「……いないようね」
千聖「それじゃ、事務所の方にこの台本をベースにしてもらうようにお願いしてくるわね」
……………………
30: 以下、
千聖(……そして、トントン拍子に企画は進んでいった)
千聖(台本も私の出した原案を元に、内容が詰められてすぐに完成した)
千聖(それから私はパスパレのみんなに、1週間かけて演技力の特別レッスンを施した)
千聖(その成果か、収録も滞ることなくほぼ1発でOK)
千聖(実にスムーズな収録だった。私も人にモノを教えるのが上手くなったのかもしれない)
千聖(……しかし、何故か特別レッスンが終わってからというもの、彩ちゃんと麻弥ちゃんが私の姿を見るとやけにビクビクするようになった)
千聖(そういう反応は正直、やめてほしい)
千聖(そんな小動物オーラを出されるとついイジワルしたくなってしまうからやめてほしい)
千聖(散々イジワルしたあとにものすごく優しく接してあげたくなるから本当にやめてほしい)
千聖(……それはさておき、アイドルバンドとして遅れをとった感が否めないが、ようやくパスパレもそういったものを作ることが出来たのだった)
千聖(思い返してみれば、ポッピンパーティーをはじめ、アフターグロウ、ロゼリアと他のバンドばかりそういったことをやっていた)
千聖(……みんな、とてもいい顔をしていた、という記憶がある)
千聖(バンド内では面倒見がいいであろう気丈な沙綾ちゃんのちょっと怯えているような表情)
千聖(頑張り屋さんで一生懸命なつぐみちゃんが目じりに涙をためながら、それが零れないように気張っている姿)
千聖(物静かな燐子ちゃんの涙、それから励まされて『頑張りますっ……』と振り絞るように出された声)
千聖(……違う、そうじゃなくて……)
千聖(彼女たちの声を収録したCDを受け取った各バンドのメンバーはみんな笑顔だった)
千聖(微力ながらそれらの手伝いを出来たことはとてもいい経験だった)
千聖(みんなの笑顔を生み出す力になれて嬉しかった)
千聖(私たちのこのCDを手にしたファンの人たちも、そんな笑顔ならいいと思う)
千聖(そして、もっと大勢の人を喜ばせることが出来れば良いな、と思う)
千聖(だから……)
……………………
31: 以下、
――羽沢珈琲店――
千聖「……だから、花音。そういうのを録る時には遠慮なく、パスパレの事務所を頼っていいのよ?」
松原花音「……え?」
千聖「遠慮をする必要はないわ。ポッピンパーティー、アフターグロウ、ロゼリアときて……まだあなたたちはそういうの、録ってないわよね?」
花音「え、えっと……」
千聖「大丈夫よ。花音相手なら私も優しく指導するわ。流石にあなたを泣かせる訳にはいかないもの」
花音「そうじゃなくて……あの、千聖ちゃん」
千聖「なにかしら?」
花音「ハロハピ……もう美咲ちゃんがそういうのやったよ……?」
千聖「……え?」
花音「この前、こころちゃんのお家で……」
千聖「……は?」
花音「…………」
千聖「…………」
花音「あの……」
千聖「……分かったわ」
花音「え?」
千聖「もうやったのなら仕方ないわね」
花音「あ、うん……なんか、ごめんね?」
千聖「気にしないでいいのよ、花音。私も気にしないから」
千聖(……ええ、誰が録ったとかどのバンドがもうやったとか……気にしないわ)
千聖(そんな些末なことなんて考えず、普通に花音に収録してもらえばいい話、だものね)
千聖「ふふ……」
花音「ち、千聖ちゃん? なんだか笑顔なのに怖い雰囲気が出てるよ……?」
千聖「大丈夫よ、花音。優しくするから」
花音「な、なにを!?」
千聖「大丈夫、大丈夫だから……ふふふ……」
千聖(しっかり台本からレッスンメニューに収録スケジュールまで用意してあげるからね)
千聖(待っててね……花音……)
しかし後日、かのちゃん先輩誘拐計画を決行した千聖さんが薫くんの悪意なき妨害に遭いまくって少しブチ切れてしまうのはまた別の話。
おわり
32: 以下、
調子に乗り続けてすみませんでした。
ガルパリリース1周年の今日ならバンドリーマーの人たちも仏の心で見逃してくれるだろう、という浅はかな考えで書きました本当にすみませんでした。
僕は親しみやすい丸山さんが大好きです。
HTML化依頼出してきます。
33: 以下、
とっても面白かったです!
花音ちゃんの台本や、りんりんの最後の方にあった友希那さんへの怨念のような仕返しも見てみたいです!
34: 以下、

むしろ一周年だからもっとあってくれと思った
元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1521157654/
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クラウド「……臭かったんだ」ライトニングさんのことかああああ!!
ハーマイオニー「大理石で柔道はマジやばい」ビターンビターン!wwwww
僧侶「ひのきのぼう……?」話題作
勇者「旅の間の性欲処理ってどうしたらいいんだろ……」いつまでも 使える 読めるSS
肛門「あの子だけずるい・・・・・・・・・・」まさにVIPの天才って感じだった
男「男同士の語らいでもしようじゃないか」女「何故私とするのだ」壁ドンが木霊するSS
ゾンビ「おおおおお・・・お?あれ?アレ?人間いなくね?」読み返したくなるほどの良作
犬「やべえwwwwwwなにあいつwwww」ライオン「……」面白いしかっこいいし可愛いし!
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RadikEnumb:善子「ずら丸、頭が痛いわ……」 花丸「大丈夫? 善子ちゃん……」ナデナデ
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