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剣士「勇者を決めるトーナメントだと……?」


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賢いガチムチは基本いい奴
111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/15(土) 22:45:05.00 ID:dtGV+w900
<試合会場>
ワアァァァァァ……!
実況『準決勝第二試合を開始いたします!』
実況『剣と魔法で、二刀剣士を打ち破った魔法剣士!』
実況『爆発する剣で、盾剣士を粉砕した老剣士!』
実況『勝利の女神はどちらに微笑むのか!?』
審判「構えてっ!」
魔法剣士「年寄りがここまで来るとは、この国の剣士などこんなものだ」チャキッ
老剣士「ほっほっほ、さぁて楽しませてもらうかのう」チャキッ
実況『老剣士は新しい剣を装備しております!』
審判「始めっ!」
112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/15(土) 22:46:20.09 ID:dtGV+w900
ジャバァッ!
老剣士「ほっ?」
実況『水の塊が老剣士の刃にヒット! これは水の魔法でしょうか!』
魔法剣士「これでもう、仕込んだ爆薬は意味をなすまい」
魔法剣士「剣の爆発さえなければ、キサマなどただの老いぼれにすぎん」
魔法剣士「俺の勝ちだ」
116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/15(土) 22:49:24.79 ID:dtGV+w900
ジュルジュル……
老剣士「残念じゃったのう」
魔法剣士「!?」
実況『どうしたことだ!? 老剣士の剣に、水が吸収されてしまった!』
老剣士「この剣は……魔法を吸収する剣でのう」
老剣士「剣術のトーナメントでは不要かと思ったが、持ってきておいてよかったわい」
魔法剣士(魔法を、吸収……!?)
老剣士「これでおぬしの持ち味を半分殺したことになるのう」
老剣士「さらにおぬしの誤算はもうひとつ」
老剣士「ワシは──」
老剣士「普通に戦ってもわりと強い」ダッ
ザシュッ!
魔法剣士「ぐっ!」
117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/15(土) 22:52:46.82 ID:dtGV+w900
老剣士「おぬしの魔法を封じた以上、この試合は純粋な剣術勝負」
ガキンッ! キィンッ! ギィンッ!
老剣士「どうやら、おぬしとワシでは──」
キンッ! ガキッ! ザシッ!
老剣士「ワシの方が上のようじゃのう、ほっほっほ?!」
魔法剣士「老いぼれぇ……!」
老剣士「本業の片手間にやってた剣術じゃが、才能というのは怖いのう」
魔法剣士「本業……?」
老剣士「おおっと、しゃべりすぎたようじゃ」
ガキンッ!
実況『魔法剣士、たまらず間合いを広げました! ですが──』
老剣士「ワシの剣がある以上おぬしの有利にはならん」
老剣士「さてせっかくじゃから、ここらで正体を明かしておこうかのう」ニィッ
120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/15(土) 22:56:27.42 ID:dtGV+w900
老剣士「ワシはかつて──」
老剣士「“奇人”の異名で通っておった武器職人じゃった」
ザワッ……
観客の一部が沸き立つ。
観客A「あのジジイ、“奇人”だったのかよ!」
観客B「まだ生きてたのか……!」
観客C「え、だれ!?」
友人(なんだなんだ!? 有名人なのか、あのデンジャラス爺さん!)
国王の顔色も変わる。
国王(ま、まさか……戻ってきておったとは……!)
121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/15(土) 22:58:14.15 ID:6q77HMIK0
まさかあの伝説の・・・!?
122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/15(土) 22:59:22.75 ID:dtGV+w900
老剣士「ワシは剣術が盛んなこの王国で、武器職人をしておった」
老剣士「しかしワシの作る武具は邪道で危険だと判断され──」
老剣士「国王の命令で追放されてしもうた」
老剣士「ワシにとってこの大会は復讐なのじゃよ」
老剣士「魔王出現という緊急事態で、王国が理想とする正道な剣というものが」
老剣士「いかに役立たずなものであるかを知らしめるためにのう!」
老剣士「ワシが勇者となったあかつきには、まず最初に──」
老剣士「この国の剣士全員をあざ笑ってやるわ!」
ザワザワ…… ドヨドヨ……
魔法剣士「職人と剣士、二つの才で復讐を行うというわけか」
老剣士「そういうことじゃ」
魔法剣士「理解できた」
魔法剣士「やはりお前など、俺の敵ではない」
125: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/15(土) 23:07:23.31 ID:dtGV+w900
老剣士「ほう……?」
ブォアッ!
老剣士「む」
実況『炎魔法だっ!』
老剣士「無駄じゃというに」ジュゥゥ…
実況『──が、やはり吸収されて』
ザンッ!
老剣士「ぐおおっ……!」
実況『! なんとぉっ! 魔法を放つと同時に、間合いを詰めていた魔法剣士!』
実況『老剣士の脇腹を斬った!』
老剣士「ぐっ……!」
126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/15(土) 23:10:24.22 ID:Rzy+b6i7O
?
127: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/15(土) 23:16:33.22 ID:dtGV+w900
魔法剣士「俺の魔法と俺の剣、同時には受けれまい」
ブオアッ! シュバッ! ブオオッ! ザンッ!
実況『剣と魔法による波状攻撃っ!』
実況『これは老剣士、かわしきれないっ!』
老剣士「ぐうう……っ!」
老剣士(こやつ、自分の呪文の度を熟知しておる!)
老剣士(魔法を剣に吸収させると──剣を受けることができんっ!)
老剣士(じゃが、剣を剣で受けてしまうと──魔法を吸収できんっ!)
魔法剣士「ふっ!」バッ
パキィィィン……
実況『老剣士、氷魔法を剣では受けずに、かわした!』
老剣士(やむをえん、こうなれば奥の手を使うか)
129: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/15(土) 23:17:51.70 ID:3cGz4x60O
支援
130: 忍法帖【Lv=9,xxxP】(1+0:
面白い
132: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/15(土) 23:27:20.35 ID:dtGV+w900
老剣士(この剣にも──爆薬は仕込まれておる)
老剣士(水魔法は吸収したおかげで、しけってもおらん)
老剣士(盾剣士を倒した剣の、半分にも満たぬ量じゃがな)
老剣士(じゃが、こやつを動けなくするには十分すぎるっ!)シュッ
一回戦のように魔法剣士に向かって、地面に滑らすよう剣を投げる老剣士。
老剣士(ど、どういうことじゃ? ものすごい勢いで剣が滑って──)
老剣士(──地面が凍ってる!?)
老剣士は剣が魔法剣士の近くで爆発するタイミングで、剣を投げていた。
だが、凍った地面によって、剣は老剣士の計算よりスピードが出てしまい──
魔法剣士「じゃあな、老いぼれ」コンッ
──剣は蹴り返された。
老剣士(まさかあやつ、ワシが爆薬を仕込んでると読んで、氷の呪文を──!)
老剣士「う、うわっ! 戻ってくるなぁぁぁ!」
──ズガァンッ!!
133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/15(土) 23:31:00.31 ID:RYYq+3p50
お爺ちゃぁぁぁん!
134: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/15(土) 23:31:44.05 ID:dtGV+w900
<医務室>
ベッドに横たわる盾剣士と二刀剣士。
盾剣士「爆発音か……」
盾剣士「老剣士が勝ったのだろうな……吾輩にやった手で」
二刀剣士「いや、そいつはどうかな」
盾剣士「え?」
二刀剣士「あの魔法剣士……恐ろしく冷酷な目をしていた」
二刀剣士「あんなに濁った目をした男は初めてだったよ」
二刀剣士「……なんていうのかな」
二刀剣士「俺らのような剣士そのものを憎悪してる、って感じだった」
135: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/15(土) 23:32:33.23 ID:dtGV+w900
<トーナメント表>
139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/15(土) 23:35:58.27 ID:dtGV+w900
<控え室>
女剣士「これでよし、と」ギュッ
剣士「悪いな、包帯を巻いてもらっちゃって。そっちも怪我人だっていうのに」
剣士「自分でやるとどうも下手なんだ、これが」
女剣士「いいっていいって」
女剣士「自分を負かした相手だからってわけじゃないけど……」
女剣士「ここまできたら、勇者になっちゃってよ!」
剣士「勇者、か……」
剣士「これだけ剣の使い手がいるのに……勇者は一人、か」
女剣士「え、今なんかいった?」
剣士「あ、いや……なんでもない」
140: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/15(土) 23:39:27.61 ID:dtGV+w900
<試合会場>
ワアァァァァァ……!
実況『決勝戦!』
ワアァァァァァ……!
実況『泣いても笑っても、これが最後の戦いです!』
ワアァァァァァ……!
実況『勝って勇者の称号を手にする剣士は、果たしてどっちだ!?』
ワアァァァァァ……!
実況『両者入場!』
141: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/15(土) 23:43:45.75 ID:dtGV+w900
実況『一回戦では怪力剣士、準決勝では女剣士を激戦の末破りました』
実況『人生、剣一筋! オーソドックスこそ最強!』
実況『剣士だっ!!!』
実況『対するは──』
実況『一回戦では二刀剣士、準決勝では老剣士を打ち破りました』
実況『剣と魔法の融合剣術に死角なし!』
実況『魔法剣士だっ!!!』
友人(頑張れよ……剣士!)
友人(なんつうか、あの魔法剣士ってヤツ、他のヤツとなんかちがうんだよな)
142: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/15(土) 23:45:30.14 ID:dtGV+w900
審判「始めっ!」
剣士「…………」チャキッ
魔法剣士「…………」ザッ
魔法剣士(一本の剣に全てを捧げたような愚直な男……)
魔法剣士(俺がもっとも嫌悪するタイプだ)
ビュビュビュビュビュッ!
実況『出たぁっ! 二刀剣士を苦しめた風の刃!』
魔法剣士(二刀を操るヤツでも、これを受け損じた)
魔法剣士(キサマでは到底受け切れまい)
143: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/15(土) 23:47:36.50 ID:Rzy+b6i7O
?
144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/15(土) 23:49:01.70 ID:v/7BVQQxO
頑張れ剣士
145: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/15(土) 23:50:58.23 ID:dtGV+w900
剣士「はああっ!」バッ
実況『えぇぇぇぇ?っ!? 剣士、風の刃の中に自ら飛び込んだ!』
友人「剣士っ!?」
魔法剣士(馬鹿め、自滅か)
ズバババッ!
盾剣士(む……身をかがめて、斬られてはならぬ急所のみをガードしてる!)
二刀剣士(俺は無理に全部受けようとして、足に痛手を負って、敗れた……)
二刀剣士(やるじゃんか……!)
実況『剣士、風の刃をくぐり抜けたぁっ!』
魔法剣士「なんだとっ!?」
剣士「でりゃあっ!」
ザシュッ!
魔法剣士「がっ……!」
146: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/15(土) 23:54:05.66 ID:dtGV+w900
実況『剣士が魔法剣士に一太刀浴びせた!』
実況『ですが剣士も風の刃を浴びており、ダメージは五分といったところか!?』
勝負は接近戦へ。
キィンッ! ギィンッ! キンッ!
実況『剣士が押している! やはり純粋な剣の技量は剣士の方が有利か!』
ガィンッ! ギンッ! ガキンッ!
魔法剣士「剣一筋に生きてきた、というわけか。さぞかし誇らしいことだろう」
剣士「?」
魔法剣士「軽いんだよ、キサマらは」
ボゥアアッ!
魔法剣士は至近距離にもかかわらず、炎魔法を放った。
両者、ダメージを受ける。
剣士「な……っ! あっつ……!」
魔法剣士「…………」ブツブツ
ダメージを意に介さず、さらに呪文を唱える魔法剣士。
147: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/15(土) 23:57:01.50 ID:Rzy+b6i7O
?
149: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 00:05:51.40 ID:dtGV+w900
魔法剣士(今の隙に、筋力と度を上げた……)
魔法剣士「終わらせる」
ギィンッ!
実況『魔法剣士の動きが目に見えてよくなりました!』
怪力剣士「ヤロウ、パワーも上がってやがる!」
ギィンッ! ガゥンッ! キンッ!
実況『剣士の有利が一転──』
実況『別人のような魔法剣士のく重い攻撃に、剣士は防戦一方だ!』
友人(頑張れ……)
友人(ここでなんかアドバイスとかできたら最高だけど……)
友人(俺には……応援することしかできない……!)
友人「頑張れーっ!」
ワアァァァァァ……!
150: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 00:08:25.10 ID:YwwoUYiNO

152: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 00:16:17.57 ID:cVBTeKwtO
がんばれ
153: 忍法帖【Lv=3,xxxP】(1+0:
しーえーん
154: 忍法帖【Lv=9,xxxP】(1+0:
これは落とさずに完結させないと
155: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 00:22:13.76 ID:vbfIuYub0
しかし──
実況『魔法剣士、押してはいるものの、なかなか剣士を攻め切れません!』
魔法剣士(なぜだ……なぜ圧倒している俺が焦らねばならない)
キィンッ!
実況『徐々に──』
ガキンッ!
実況『剣士の──』
キィンッ!
実況『ペースになってる!?』
魔法剣士(なぜだっ!)
女剣士(剣士のもっとも恐ろしいのは、あの愚直なまでに基本に忠実な動きよ)
女剣士(派手さも一発もないけど……安定感は抜群)
女剣士(もし彼が、どこか能力が勝ってるくらいで押し勝てるようなら)
女剣士(怪力剣士か私が、すでに負かしているでしょうね)
156: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 00:29:18.28 ID:vbfIuYub0
ザシュッ!
魔法剣士「うぐぅっ!」
剣士(やはりそうだ!)
剣士(くなっても、力強さが増しても、動きは同じ!)
剣士(無理にさや力に対抗しようとしなければ、対処できる!)
魔法剣士「なぜだぁっ!!!」
キィンッ!
剣士「!」バッ
魔法剣士「剣のみに生きていたような輩に、この俺が……!」
剣士「剣だけの俺より、剣と魔法を扱えるアンタの方が上ってことか?」
魔法剣士「そうではない」
157: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 00:31:11.32 ID:uTQK+9Hq0
しえ
老剣士は死んだのだろうか
158: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 00:37:00.49 ID:vbfIuYub0
魔法剣士「俺は最初に剣術を志した」
魔法剣士「しかし、才能の壁にブチ当たり……挫折した」
魔法剣士「次に俺は魔法使いを目指した」
魔法剣士「だがやはりぶ厚い壁があった。俺の呪文レベルはせいぜい中級だ」
魔法剣士「俺は剣でも魔法でも……一流にはなれないと悟った」
魔法剣士「だが運命は俺を見捨てなかった」
魔法剣士「俺は……剣と魔法を組み合わせる戦うことに関しては、才能があった」
魔法剣士「二度の挫折を経て、俺はようやく自分の道を見つけることができた」
魔法剣士「それに引き換え、キサマらは順調に剣の才に恵まれたものばかり」
魔法剣士「準決勝の老いぼれに至っては、剣と武器職人の才能を持っていた」
魔法剣士「挫折を知らぬ……軽薄な力だ!」
魔法剣士「俺の力は、キサマらとは重みが違うのだ!」
剣士「…………」
159: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 00:44:02.27 ID:cVBTeKwtO
もっとがんばれ
160: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 00:44:07.75 ID:uTQK+9Hq0
しえしえ
161: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 00:49:54.85 ID:vbfIuYub0
魔法剣士「味わえ」
魔法剣士「──我が魔法剣をっ!」
パアァァァ……
魔法剣士は持てる魔力を全て、自らの剣に叩き込んだ。
魔法剣士「魔力で剣は切れ味を増す」
魔法剣士「しかももう呪文を唱える必要もない」
魔法剣士「剣を振るうだけで、魔法が放たれるからな」
魔法剣士「これが俺が達した剣と魔法の究極戦術、魔法剣だっ!」ブオンッ
ゴォワァッ! パキィンッ! ピシャァン!
実況『炎魔法! 氷魔法! 雷魔法!』
実況『す、すごいっ! 本当に剣を振るだけで、次々と魔法が飛んでいく!』
友人「なんだよそれ……呪文唱えなくていいとか、は、反則だろ……!」
あらゆる属性の魔法が、剣士に次々襲いかかる。
ボゥワァッ! ピシャァン! ザシュゥッ!
剣士「ぐっ!」ダダッ
162: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 00:55:01.38 ID:4B9xQt3s0
シエンタ
163: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 00:55:04.14 ID:vbfIuYub0
剣士(剣を見ていれば、魔法の軌道は読める!)
剣士(かわしながら──接近戦に持ち込めば!)ダダダッ
魔法剣士「話を聞いてなかったのか?」
魔法剣士「剣は切れ味を増した、と」
魔法剣士「雑魚が」
パキィンッ!
実況『魔法剣士の剣によって、剣士の剣が真っ二つになったぁ!』
友人「剣士っ!」
剣士(たとえ剣が折れても、俺にはこれしかできない!)
実況『剣士、まだ心は折れていないっ! 基本通りの動きで、魔法剣士に迫るっ!』
魔法剣士「な……っ!」
164: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 00:58:30.75 ID:vbfIuYub0
剣士(いつものように、剣を構えて──)
魔法剣士(剣で受けるか!?)
魔法剣士(いや呪文で迎撃するか!?)
魔法剣士(一度間合いを開けるか!?)
剣士(斬る!)
ザグゥッ!
剣士の折れた剣が、魔法剣士の胸を切り裂いた。
魔法剣士「あ、ぐぅ……っ!」
魔法剣士(な、なぜ、だ……)
魔法剣士(なぜ……コイツは──)ブシュウ…
ドザァッ!
実況『血しぶきを上げ、魔法剣士がついに崩れ落ちたっ!』
審判「それまでぇっ!」
166: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 01:01:31.96 ID:cVBTeKwtO
がんばった!
167: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 01:02:20.65 ID:9QDB8xza0
こっから勇者としての旅が始まるんだよな?
169: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 01:05:56.44 ID:vbfIuYub0
ワアァァァァァ……!
実況『ついに決まったぁっ!』
実況『勇者決定トーナメント優勝、すなわち勇者の称号を獲得したのは』
実況『──剣士だぁっ!!!』
ワアァァァァァ……!
友人「や、やりやがった……! やりやがった、すげぇ!」
女剣士「おめでとう……かっこよかったわよ」
怪力剣士「ぐははっ、さすが俺様をブッ倒しただけのことはあるぜ」
盾剣士「これほど自分に迷いがない剣士は、見たことがないな」
二刀剣士「……俺も一から出直し、だな」
170: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 01:11:53.81 ID:vbfIuYub0
魔法剣士「ひ、ひと、つ……聞かせろ……」
剣士「なんだ?」
魔法剣士「なぜお前の剣は乱れない……?」
魔法剣士「見慣れぬ戦法を見たら……普通の人間は動きにブレが出るはずだ」
魔法剣士「少なくとも、俺の魔法剣は……初見のハズだ」
剣士「…………」
剣士「剣の使い手なら、だれだって最初に“基本の型”を習う」
剣士「習得に三ヶ月要するというが、アンタはどれだけかかった?」
魔法剣士「…………」
魔法剣士「お、俺は……半年以上かかった……」
魔法剣士「才能が、なかったからな……」
171: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 01:13:04.49 ID:lh/+GODzO
はいはい支援支援
172: 忍法帖【Lv=6,xxxP】(1+0:
?
173: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 01:18:51.41 ID:vbfIuYub0
剣士「俺は……五年かかった」
魔法剣士「!?」
剣士「基本にそれだけ費やしたら──」
剣士「もう独自のスタイルを追求するとか、必殺技を身につけるとか」
剣士「アンタみたいに魔法や他の武器に手を出す気力もなかった」
剣士「引き返せなかった」
剣士「だから……基本の型だけを徹底的に鍛え抜いた」
剣士「動きがブレに出ないのは当たり前だ」
剣士「それしか……できないんだから」
魔法剣士「なるほ、ど……」
魔法剣士「まさか俺以上に才能のないヤツが、出場してたとはな……」
魔法剣士「くくくっ……誤算、だった……」
魔法剣士「くぅっ……」グスッ
174: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 01:24:03.73 ID:vbfIuYub0
<トーナメント表>
178: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 01:30:14.45 ID:vbfIuYub0
表彰式──
国王「おっほん」
国王「剣士君、おめでとう!」
国王「強さはもちろん、戦いぶりもみごとなものであった!」
国王「君はまさしく、勇者の名に相応しい剣士だ!」
国王「ではさっそく、称号を──」
剣士「お待ち下さい、国王様」
国王「ん、どうしたのかね?」
剣士「今回の大会で、俺はさまざまな剣の使い手と出会いました」
剣士「特にトーナメントに出そろった選手は、みな実力伯仲」
剣士「組み合わせや試合の流れ、ちょっとした時の運次第で」
剣士「8名のうち……だれがここに立っていても、おかしくはありませんでした」
180: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 01:31:31.52 ID:mV1zZqTI0
ナルトvsネジ思い出した
181: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 01:37:27.33 ID:vbfIuYub0
剣士「それに……勇者は人間の勇気の象徴」
剣士「その称号をたった一人だけに与えて」
剣士「もしその一人が倒されたら人間側のダメージははかり知れません」
剣士「たまたま優勝したとはいえ、俺には荷が重すぎます」
剣士「ならばいっそ、複数の勇者がいたっていい」
剣士「少なくともトーナメントの出場者には、勇者を名乗れる実力があるはず」
剣士「ですから国王様、今回俺に与えられるはずの数々の特権──」
剣士「8等分していただくことはできませんか?」
剣士「もちろん彼らの同意があれば、ですが」
国王「ほほう……なかなか面白いことを考える」
国王「たしかにそうだ」
国王「勇者とは人類の心のよりどころ」
国王「それをたった一人に担わせては、諸刃の剣になりかねんな」
182: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 01:43:31.81 ID:vbfIuYub0
国王「──よろしい!」
国王「ならば今日この場で、『勇者部隊』の設立を宣言する!」
国王「メンバーはトーナメントに参加した8名!」
国王「リーダーはもちろん……剣士、おぬしだ!」
剣士「ありがとうございます……!」
ワアァァァァァ……!
友人「あ?あ、もったいねぇ」
友人「でも……お前みたいなヤツを友人に持てて誇りに思うよ」
友人「おめでとう……!」
会場の盛り上がりが最高潮に達した──
その時だった。
『フハハハハハハッ!!!』
183: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 01:45:32.32 ID:EzKyqkg40
面白い
支援
185: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 01:46:05.76 ID:cVBTeKwtO
どうした
186: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 01:46:26.88 ID:in4cIJ+N0
俺「始まった…か…」
187: 忍法帖【Lv=6,xxxP】(1+0:
キタキタ
188: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 01:50:12.06 ID:vbfIuYub0
剣士「な、なんだ!?」
国王「この声は!?」
ザワザワ…… ドヨドヨ……
突如、会場中に巨大な声が降ってきた。
魔王『ワシは魔王だ!』
魔王『まずは人間どもよ、なかなか面白い見世物だった! 礼をいうぞ!』
魔王『そして勇者部隊ときたか……面白い! 実に面白いぞ!』
魔王『ワシが求めるのは、人間どもの豊かな大地と──血湧き肉躍る戦い!』
魔王『かつてワシを打ち破った勇者との戦いのような、死闘を欲しておる!』
魔王『我が軍はまもなく進撃を開始する』
魔王『七人の勇者たちよ、全力でワシらを迎え撃つがよい!』
魔王『期待しているぞ、フハハハハハハハ……!』
193: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 01:55:54.96 ID:vbfIuYub0
国王「魔王め……まさか大会を見ていたとは……!」
剣士「……そのようですね」
国王「おのれ、いったいどこから……」
剣士「おそらく千里眼のような能力があるのでしょう」
剣士「あるいはこの会場内のどこかに、魔王に映像を送る使い魔がいたのかもしれません」
国王「ふぅむ……。やはり魔王とは、我々の想像以上に恐ろしい敵のようだな」
剣士「はい」
剣士「しかし、魔王の野望は、この国の剣士たちが必ず阻止します!」
194: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 01:59:29.82 ID:vbfIuYub0
そして──
女剣士「おめでとう、勇者! ──って、私も勇者になっちゃったのよね」
女剣士「なんか変な気分だわ」
剣士「今日の敵は明日からは友だ。よろしく頼む」
女剣士「うん」
剣士「ところで、さっきの試合での約束、覚えているか?」
女剣士「ん、ああ……なんで一回戦であんな戦法を取ったか? だっけ」
女剣士「いいわよ、教えてあげる」
女剣士「聞かなきゃよかった、とかいわないでよね」
195: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 02:00:48.72 ID:uTQK+9Hq0
そういえばそんな伏線があったな
196: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 02:07:11.32 ID:vbfIuYub0
女剣士「……あの神聖剣士に、私は絶対勝てないと分かったからよ」
剣士「なんだって……!?」
女剣士「もし1パーセントでも勝てる望みがある相手なら」
女剣士「私だってあんな恥知らずなマネせず、正々堂々戦うわ」
女剣士「最初に剣をぶつけ合った瞬間、分かったわ」
女剣士「私の力じゃ、どうあがいても勝てない、殺されるって──」
女剣士「それと同時に剣を通じて、神聖とは名ばかりの邪悪な力も感じ取れたわ」
女剣士「もし本当に神に仕える剣士なら、色仕掛けなんか通じるわけないけど」
女剣士「そうでないのなら……通じるかも、と思ってやってみたら勝っちゃった」
女剣士「もっとも、あのまま戦ってたら私はまず負けてたわ」
女剣士「審判がいる“試合”だから勝てたのよ」
女剣士「私を負かしたあなたに“あなたより神聖剣士の方が強い”なんていえるワケない」
女剣士「だから……もしあなたが優勝したら話そう、と思ったの」
剣士「そういえば、無傷にもかかわらず姿が見えないが、彼はいったい──」
女剣士「もしかしたら、魔族のスパイだったのかもしれないわね……」
198: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 02:08:10.65 ID:Yi2C1Nqc0
なんてこったい!
199: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 02:09:23.85 ID:uTQK+9Hq0
まさかのアイツがスパイかよ
197: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 02:07:56.72 ID:+oXXnD4S0
わろた
201: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 02:11:41.23 ID:vbfIuYub0
<魔王城>
魔王「戻ったぞ」
側近「魔王様! やはり例の大会に向かわれていたのですか!?」
魔王「うむ、神に仕える剣士だと身分と姿を偽って、な」
魔王「まさか神聖と名乗る者が、魔王だとはだれも思うまいて」
側近「我々魔族の力はまだ復活したてで完全ではありません」
側近「しかも人間に化けると、能力は十分の一以下に落ちます」
側近「あまりムチャをなさらないで下さい」
魔王「分かっておる、心配をかけた」
魔王「だが、収穫もあったぞ」
魔王「あの王国の剣士ども……まだまだ未熟ではあるが」
魔王「思う存分ワシを楽しませてくれそうだ」ニィッ
魔王「フハハハハハハハ……!」
側近「まったく、あなたというお方は……」
202: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 02:15:19.64 ID:H9t0u8sF0
支援
203: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 02:16:10.38 ID:4xtilDSs0
これはいい
204: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 02:19:02.06 ID:zSoHt+k60
以上が、剣士Lv1の出来事である
205: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/16(日) 02:20:17.52 ID:vbfIuYub0
そして一年後──
魔王軍による人間界への侵攻が始まっていた。
世界各地で猛威を振るう魔王軍を目の当たりにし、人々は絶望に包まれる。
しかし、希望もあった。
修業を重ねた七人の剣士からなる『勇者部隊』もまた、世界各地で大活躍していた。
206: 忍法帖【Lv=10,xxxPT】(1+

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