歩「アタシ達 」まつり「みーんな」律子「19歳!」back

歩「アタシ達 」まつり「みーんな」律子「19歳!」


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1 :
19歳トリオのお話しをオムニバス形式でいくつか。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1516435499
引用元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1516435499
2 :
【ポンコツ】
律子「うーん、そう言われてもねえ。」
歩「そこを何とか。このままじゃポンコツが定着するのはイヤなんだ。なんとかアタシのイメージを変えられるようなプロデュース考えてよ、お願い!」
律子「いや、そもそもプロデューサーにしてもあなたをポンコツキャラで売り出す予定、全くなかったんだけど。」
歩「なんだよ、アタシのせいだってのか?たまたまちょっと、おっちょこちょいな所を何度か見せただけだろ。」
律子「…まあ、そう言うんならそれでいいわ。それで、あなた自身はどういう方針でいきたいの?」
歩「さすが律子、話が分かるね。アタシとしては…」
歩「しては…」
歩「……………」
律子「早く答えなさいよ。」
歩「す、少しくらい考えたっていいだろ。そう言う律子はアタシをどう見てるんだよ?」
3 :
律子「歩のイメージ?そうねえ、だ…」
歩「ダンスとポンコツ以外で!」
律子「わ、分かってるわよ。ってダンスも駄目!?ならそうね、意外と胸が…」
歩「胸の話はするなよ、気にしてるのに。」
律子「アイドルなんだからそこは売りに出来るわよ。グラビア増やそうか?」
歩「カンベンしてよ、そう言われてこないだ引き受けたらNG連発だったじゃない。」
律子「そうだったわね。アレが世に出てたら今頃あなたは765プロ初の着エ〇アイドルになってたわ。」
歩「し、仕方ないだろ。ニプレスなんて着けた事無かったんだから!」
まつり「はいほー。おはようなのです、歩ちゃん、律子ちゃん。」
歩「おはようまつり。そうだ、まつりから見てアタシの特徴ってなんだと思う?ダンスとポンコツ以外で。」
まつり「ほ?急にいったいなんなのです。」
律子「あー、気にしないでいいわよ。ちょっと自分の方向性に迷ってるだけだから。」
4 :
歩「大事なことなんだ、頼むよ。」
まつり「え、ええっと。そうですね…あ、思ってる以上におっぱ〇が。」
歩「またかよ!なんなん、さっきからお〇ぱい〇っぱいって。アタシの値打ちはそこだけか?」
律子「落ち着きなさい。いくら事務所とはいえアイドルが軽々しくそんな単語連呼しないの。」
まつり「ご、ごめんなさい。そうだ、留学してたのです?」
律子「お、そうだ。それがあったじゃない。どう、留学経験を活かしてバイリンガルな所を見せるってのは。」
歩「梅林ガール?なんだそれ、山ガールみたいなもん?アタシは愛媛出身だけど、あんまり山とか林には縁はないよ。」
まつり(律子ちゃん、歩ちゃんはほんとに留学してたのです?)
律子(間違いないわ。ただ留学って言ってもピンキリだからね。)
歩「はあ、やっぱカンタンにはいかないか。地道に汚名挽回していくしかないな。」
まつり(汚名を取り返してどうする気なのです?)
律子(返上するって意味なんでしょ、多分。)
律子「ま、イメージを変えたいなら努力あるのみね。常日頃から気を付けて頑張りなさい。」
まつり「律子ちゃんの言うとおりです。それに、歩ちゃんは仲間思いのとってもいい子なのですよ。ポンコツだったとしても、みーんな歩ちゃんの事が大好きなのです。」
歩「そ、そう?」
まつり「はいなのです。だから、そんなに心配しないで。ね?」
歩「…サンキュー、まつり。律子もありがと、頑張ってやってくよ。」
律子「ええ、期待してるわ。だけど、焦って暴走しないようにね。それでなくても手を焼かされる子達が多いんだから。」
まつり「律子ちゃんも大変なのです…あ。」
5 :
歩「どうしたんだよ…って、ん、んん?」
律子「何よ。」
歩「なあ律子。そのワイシャツ、ちょーっと生地が薄いんじゃないか?」
律子「え?ああ、洗濯忘れててね。仕方ないから夏物を着て来たけど。それがどうかした?」
歩「…ひょっとして、ワイシャツだけじゃなくて、下着も洗い忘れてたんじゃない?」
律子「え、なんでそんな事分かるの…って嘘、思いっ切り透けブラしてるじゃない!」
歩「そんな派手な色のブラしてたら、そりゃ透けるよな。」
まつり「劇場の事務室は暖房が効いてますから。上着脱いでも寒くないですもんね。」
律子「わ、私このままずっと仕事してたワケ!?」
まつり「ど、どんまいなのです。」
歩「今日はアタシ達以外と会う予定ないんだろ、良かったじゃない。しかし派手なの持ってんだな。」
律子「前に莉緒さんからプレゼントで貰ってしまってたやつよ、もうこれしか残ってなかったの。」
6 :
歩「ふーん。けど律子も意外とマヌケな所あるんだな、親近感わくよ。どう、アタシとポンコツコンビでも組む?」
律子「ちょ、冗談じゃないわ。あなたと一緒にしないでちょうだい。」
歩「こら、失礼だろ。だいたいアタシはそんなおバカなミスしないもんね。」
律子「誰がおバカですって。よくも言ったわね、このポロリ常習犯!」
歩「ふんだ、それ言うならそっちだって。こないだもローライズのスーツからハミパンしてたくせに。」
律子「あ、あれは洗って縮んでたからよ!あなたこそ前にアンダーが…」
歩「言うなぁ!」
(ギャーギャーワーワー)
まつり「お茶でも飲もうかな…二人とも、うっかりさんなのです。あと、律子ちゃん早く上着着た方がいいのですよ?」
律子「何よ、しょっちゅう胸チラだなんだので色んなサイトに上がってるくせに。毎回チェックして削除依頼出してるこっちの身にもなってちょうだい!」
歩「んだと!それ言うなら律子の方だろ。なんだよ、あの『秋月律子・お宝画像大特集』って!」
8 :
【ハタチへの憧れ】
律子「なんだかんだ言って、やっぱり成人式でひと騒ぎあったらしいわね。今年はそれよりもっと大きな問題があったから目立たなかったけど。」
歩「なんであんな事するんだろうな?」
律子「お酒が飲めるようになったからって、はしゃぐ人がいるって事でしょ。大抵は普通なんでしょうけどね。」
歩「お酒ねぇ。そんなに飲みたいもんなのかな。」
律子「あら、飲んだ事ない?」
歩「こら。未成年、しかもアイドルが何言ってんだ。日本は甘すぎるよ、アメリカじゃ未成年の飲酒ってめちゃくちゃ厳しいんだぞ。」
律子「らしいわね。」
歩「ああ。もし向こうで飲んでたりしたら、今頃アタシここにいられてないかもだよ。」
律子「歩がその辺にきちっとしてるのは留学のおかげか、なるほどね。」
歩「そういうこと。それに飲んだら絶対やらかしそうだしな。全裸で路上に寝てたりしてると思うよ。」
律子「自信満々に自虐しないの。」
9 :
まつり「はいほー。おはようなのです。」
歩「おはよ、まつり。そういやまつりは案外酒とか強そうだよね。」
まつり「ほ?何を言うのです歩ちゃん、姫はお酒なんて飲めないのですよ。」
律子「今じゃなくて将来の話よ、二十歳になったら飲めるでしょう。」
まつり「変な律子ちゃん、姫は歳を取らないのですよ。」
律子「今そういうのいいわよ、事務所だし、そこまで徹底しなくても。」
まつり「……ね?」
律子「う。失礼しました…。」
歩「まつりらしい…」
律子「二十歳でやれることか。飲酒以外なら喫煙があるけど、当然私達はNG。選挙には行けるようになったし。」
歩「こないだのは行ってきたよ。で、〇〇党に・・・。」
10 :
律子「こら!誰とかどこに投票したなんて口にするのは絶対に駄目、大問題になるからね。いい?」
歩「そうなのか、気を付けるよ。」
まつり「そういう時はまつりの王国で投票したって言っておくと良いですよ。」
歩「まつりの王国には選挙があるのかよ、生々しいな。」
律子「そりゃあるでしょ、何せ京〇線の沿線上に…」
まつり「律子ちゃん?」
律子「ごめんなさい…。」
律子「そうそう。二十歳とは関係ないけど、あなた達免許取る気ない?」
歩「興味無くはないけど、なんで?」
律子「最近、劇場以外にもあちこちでの仕事が増えてるでしょ。万が一の為に運転出来る人が欲しいのよ。」
歩「アタシ達に運転手までやらせる気かよ。」
律子「普段から頼むつもりは無いわ、あくまでもいざって時の備え。現状だと莉緒さんと歌織さん、あとは風花さんと麗花さんぐらいしかいないしね。」
歩「あれ、このみさんも出来るだろ。いつも免許証持ち歩いてるじゃない。」
11 :
律子「あの人運転は嫌がるのよ、毎回必ず対向車が自分を見て驚いた顔するのにうんざりしてるんですって。」
歩「大変だな、このみさん…」
律子「ま、考えておいて。のり子や貴音、千鶴さんなんかも検討してくれてるみたいそうだし。」
歩「OK。へへっ、車の運転ってやってみたかったんだよ。そうと決まれば教習所通わないとね。」
律子「その時はちゃんと相談してね、仕事のスケジュールがあるから。まつりはどう?」
まつり「まつりはそういうのはちょっと。」
律子「そっか、まあ無理にとは言わないけどね。」
歩「まつりは運転上手そうだけどな、なにげに運動神経いいし。」
律子「たしかにね。麗花さんとかもそうだけど、サングラスかけて走り屋やってそうなイメージ…」
まつり「律子ちゃん?」
律子「申し訳ございません…」
16 :
【寒さ対策】
(765プロ事務所)
律子「小鳥さん、これお願いします。そうそう、それとFAXしなきゃ。ええと。」
歩「…何してんの?」
律子「何って、見れば分かるでしょ。只今絶賛お仕事中よ。」
歩「室内でコート着て、頭から毛布かぶって?」
律子「寒いんだから仕方ないでしょ。」
歩「仕方ないって。小鳥は普通にしてるじゃない、悪いとか思わないのかよ。」
律子「甘いわよ、小鳥さんをよく見てみなさい。」
歩「別に普通じゃない。そりゃストールは羽織ってるけど…ん?」
歩「お。コブンもこっちに来てたのか。はは、すっかり小鳥の膝がお気に入りだな。」
律子「猫の体温は高いのよ、ちょっとした防寒具代わりになるぐらいにはね。」
律子「つまり、小鳥さんはカイロ抱えて仕事してるような物よ。なら私だってこんな格好したっていいでしょう?」
歩「普通にストーブ付けなよ。」
17 :
律子「灯油切れ。今麗花さんと茜に買いに行ってもらってるわ。」
歩「エアコンぐらい買えばいいじゃん。なんでこっちにはストーブしかないんだよ、危ないじゃない。」
律子「今予算に余裕が無いのよ、劇場側で馬車の代金が思ったより高くついてね。」
歩「なんでミュージカルの為にわざわざ本物の馬車なんて買ったんだ?あれ、絶対セットでよかっただろ。」
律子「文句は社長とプロデューサーに言ってちょうだい、リアリティを追求したかったんですって。」
まつり「はいほー。お外はすごい風なのです。はふ、はふ…」
歩「まつり、お疲れ。お、それ肉まん?美味しそうだね。」
まつり「寒かったから買ってきたのですよ。はい、これは歩ちゃんの分なのです。」
18 :
歩「いいの?サンキュー!」
律子「ちょっとまつり、私にはないわけ?」
まつり「律子ちゃん、その恰好はどうしたのです?」
歩「寒いんだとさ。今灯油切れてるんだって。」
まつり「そういうの、良くないのですよ。アイドルみんなを注意する律子ちゃんらしくないのです。」
律子「寒いもんは寒いのよ、ほっといてちょうだい。どうせ今ここにはあなた達と小鳥さんしかいないし。」
歩「アタシらもアイドルなんだけど。」
律子「あなた達は特別。同い年だもの、一番気を使わなくて済む存在だからね。」
歩「そっか。へへっ、なら仕方ないよな。」
まつり(歩ちゃん、ちょろいのです。)
まつり「そうだ、寒いなら良い方法があるのですよ。律子ちゃんはキュリー夫人をご存知なのです?」
律子「たしか、ラジウムを発見した人だっけ。それが何か?」
19 :
まつり「キュリー夫人は若い頃、とってもお金が無かったのです。今の765プロとおんなじですね。」
歩「笑えないな。」
まつり「冬、お部屋はとっても寒い。でも薪を買うお金はない。そこでキュリーさんはどうしたか?」
律子「どうしたの。」
まつり「椅子を背負って勉強したのです。」
律子「は?椅子って、あの座る椅子?」
まつり「そうなのです。重いものを背負うと、とっても疲れていい運動になるのですよ。運動すると、身体がぽかぽかになるでしょう?キュリーさんはそうやって勉強していたのです。」
20 :
律子「へぇー。まつりはマンガ以外の事にも詳しいのね。」
歩「いや、それはさすがに真似しない方がいいだろ。」
まつり「なら、ダンスレッスンでもやるのです?」
歩「寒いし遠慮しとくよ。小鳥、生姜紅茶飲んでいい?」
律子「うーむ、椅子はちょっと重たすぎるわね。よし、桃子の踏み台なら…」
歩「やめとけって!」
23 :
【彼氏が欲しいお年頃?】
歩「分かった分かった、ゴメンもうすぐ仕事だから。愚痴なら後でゆっくり聞いてやるよ、じゃあね。」
まつり「何の電話だったのです、お友だちですか?」
歩「ああ。カレシと喧嘩したんだと。分かんないもんだよね、すっごい仲良しだったのに。」
律子「ふーん。まあそういう事もあるでしょうね。」
歩「そんなものなのかな。せっかく付き合ってるのに。」
律子「あら、歩だって彼氏ぐらいいたんじゃないの。」
歩「無いよ。身内以外に親しい男の人っていやプロデューサーと社長くらいだし。」
まつり「歩ちゃん…」
歩「な、なんだよその目は。まつりこそどうなの、実は男がいるとか言わないでよ?」
まつり「心配ご無用なのです、まつりはみんなの姫なのですから。」
歩「律子、あんな事言ってるけどその辺どうなの?」
24 :
律子「まつりはけっこうモテるわよ。テレビ局とかでナンパされてるの見た事あるし。」
歩「ええ?おいおい大丈夫なのかよ、スキャンダルにでもなったら。」
律子「まつりはそんなタイプじゃないし、心配してないわ。でしょ?」
まつり「はいなのです。姫はアイドルなんですから。」
律子「という事。そもそもこの子の手綱取れるような男がそんな簡単にいると思う?」
歩「そっか、そういやそうだな。」
まつり「二人とも?」
律子「ごめん…」
歩「にしてもカレシねえ。実際にいたらどんな感じなんだろうな。」
律子「ちょっと、アイドルがそんな話堂々しないでくれる。」
歩「たまにはいいだろ、今はアタシ達だけしかいないし。どうせ、アタシにそんなの出来っこないだろうしな。」
まつり「うふふ、そんな事言う人に限ってある日突然白馬の王子様が現れたりするのです?」
歩「よ、よせって。そんな事あるわけないじゃない。」
25 :
律子「あら、こればっかりは分からないわよ。歩だって可愛いし、ダンスの時はかっこいいし。」
まつり「そうですね、どこで見初められてもおかしくはないのです。」
歩「無いってば、からかわないでよ。」
律子「こればっかりは分かんないわよ、小鳥さんだってそうだったでしょ。」
まつり「全然そんな気配なかったのに、いきなりプロデューサーさんと付き合い出したって聞いた時はびっくりしたのです。」
歩「アタシと小鳥を一緒にしないでくれよ。というか、アイドルに恋愛を勧めるなよな。」
律子「スキャンダルはやっぱり困るし、そんな気はないわ。でも、万が一そういうことになったら教えてちょうだいよ。無理に押さえつけるとかえって良くないからね。」
歩「だから無いって。そもそもそれなら律子の方が可能性あるだろ。」
律子「え?」
まつり「たしかに。この三人の中では律子ちゃんが一番男の人に接する機会が多いのですよ。」
26 :
律子「ちょっと、変な言い方しないでちょうだい。仕事だってば。」
歩「美人だし、おっぱ〇もけっこうあるしな。」
律子「アイドルが白昼堂々〇っぱいなんて言わないでよ。」
歩「へへっ、日頃言われてる仕返し。それよりどう?誰かそういう人いないの。」
律子「いないわよそんな人。」
歩「315プロの涼とかいるじゃん、あいつ律子めっちゃ慕ってるだろ。従兄弟って付き合っていいんだよな?」
律子「涼と!?あはは、ないない絶対ない。まだミリオンライブがアニメ化する方が可能性あるわ。」
歩「そこまで言ったら可哀想だろ、どっちにも…」
まつり「うーん、じゃあ他に候補の人としては。」
律子「もういいってば。そもそも私は男なんかに興味は無いの!」
歩「…え?」
まつり「…ほ?」
27 :
律子「あ。ち、違うわよ。今は仕事に集中したいって意味だから。変な風に捉えないでよね。」
歩「あ、あ〜。その、なんだ。アメリカじゃ珍しくなかったよ、日本でも最近は受け入れ初めてるんだろ。」
まつり「そ、そうですね。芸能界でもたまにいるって聞いたことあるのです。律子ちゃんがどうであれ、まつり達はずっと『お友だち』なのです。ね?」
律子「違うってば、そうじゃなくて…こら、なんで急に距離取るのよ!」
32 :
【はなきんデータランド】
(※ここだけ金曜日の世界)
律子「なーにがプレミアムフライデーよ、こちとら毎日がハードデイズナイトだっての。」
まつり「まあまあ。でも、実際あれ効果あるのです?」
律子「さあねえ。せめてもう少し実施してる所があればともかく、今のような状態じゃ話にならないんじゃない。私は事務作業だし、まつりもこの後仕事でしょ。」
まつり「はいなのです。インタビューとテレビ収録、明日は朝6時から撮影に舞台の挨拶回りと別番組の収録が2本。」
まつり「…クタクタなのです。」
律子「乗り切って、としか言えないわね。今度休み多めにあげるから。」
歩「よ、二人ともお疲れさま。」
まつり「歩ちゃん。今日はオフじゃなかったのです?」
歩「ヒマだから遊びに来たんだよ。律子、たるき亭行かない?なんか今日サービスデーとかで安いんだって。」
律子「そんな暇ないわよ、私もまつりも忙しいの。」
33 :
歩「ありゃそう。あーあ、つまんないの。今日みんな忙しいとかで誰とも都合合わないしなあ。」
まつり「お仕事がたくさんあるのは嬉しいですけど、ちょびっとだけ羨ましい気もするのです。」
歩「ま、しょうがないか。おとなしく帰るよ。と、その前にこれ。」
律子「ん、何その紙袋。コロッケ?」
まつり「フライドポテトにカツサンドも。歩ちゃん、これどうしたのです?」
歩「差し入れ。さっきそこで千鶴に会って預かってきたんだ、今日はフライの日だからって。」
律子「フライの」
まつり「日。」
律子「…ぷっ!あはは、そういうこと。千鶴さんもしょうもないこと言うわね。」
34 :
まつり「ふふ、千鶴ちゃんらしいのです。」
歩「何が?」
律子「またまた、あなただって分かってるでしょ。ところで千鶴さんは来なかったの?」
歩「ああ。なんか、外で男の人に食事に誘われてたよ。」
律子「は!?ちょっと、それナンパじゃないの。あんた、それほったらかしてここに来たわけ。」
歩「断ってたし大丈夫でしょ、ボディーガードも付いてたし。」
まつり「ボディーガード?」
歩「うん。なんか、背の高いイケメンだったよ。さすがはセレブだよね。」
まつり「伊織ちゃんのところの新堂さんみたいなものでしょうか?」
歩「じゃないかなあ。あ、でも千鶴はその人の事お兄ちゃんって呼んでたけど。」
律子「なんだ、じゃあお兄さんなんじゃない。たしか兄がいるって言ってたわ。」
歩「うーん、それが千鶴『せ、セレブジョークですわ!それくらい親しい間柄って事なんですのよ』とも言ってたんだよね。」
35 :
まつり「うーん、どういう事なのです?」
律子「まあ、あまり詮索しても仕方ないわね。それよりせっかくだし、これいただきましょうか。」
まつり「はいなのです。じゃあお皿出してきますね?」
歩「アタシも食べようかな。あ、それとさ。」
律子「何?」
歩「どうして金曜日だから揚げ物なの?いくら考えてもさっぱり分かんないんだけど。」
律子「は?」
まつり「ほ?」
歩「なにか理由があるの?日本に揚げ物が広まったのが金曜日だった、みたいな。」
まつり(ここはプロデューサー見習いである律子ちゃんの腕の見せどころなのですよ。頑張るのです?)
律子(ズルいわよまつり、あなたこそ親友なんじゃない。こういうのをちゃんと教えるのが友だちでしょう?)
歩「おい、なんだよ。どうして急に小声で話してるんだ?」
40 :
【友情とは】
歩「こないだ借りた漫画返すね、どうもありがとう。」
まつり「どうでしたか?」
歩「うん。元凄腕の殺し屋で今は温泉旅館の従業員だなんて最初はぶっ飛んだ設定だと思ったけど、面白かったよ。」
歩「元凄腕が今は別の道に、か。なんか、そういうのってカッコイイよな。ちょっと憧れるよ。」
まつり「まつりはずっとお姫様なのです。だから、今のまつりが一番なのですよ。」
歩「まあまつりは可愛いし、何気にスペック高いしな。けど、アタシはね…。」
まつり「ど、どんまいなのです。歩ちゃんにだっていい所はたくさんあるのですよ?ダンスとか…ダンスとか。」
歩「そこだけかよ。あーあ、一度でいいから一日ドジ踏まずに生活してみたいもんだね。」
律子「ふぃー疲れた、ちょっと休憩。まつり、お茶入れてくれない?」
歩「律子。ずいぶん疲れてんな、珍しい。」
律子「今日で2日連続午前さま。さらにこの後打ち合わせにダンスレッスンの指導ときたら誰だって疲れるわよ。」
歩「相変わらず大変だな…無理しないでよ?」
律子「ありがと。まあ体調管理も仕事のうちだし大丈夫よ。それにこれ見たら疲れなんて吹っ飛ぶわ。ほら見て、新しい仕事のオファー。」
41 :
歩「おおっ、テレビ出演かよ。やった!」
律子「ふっふーん。感謝しなさい、崇めなさい。」
歩「へへっ、いつもありがとうございます。さすがだよね。」
まつり「お見事なのです。はい、ご褒美のあま〜いミルクティーですよ?」
律子「いや、普通のお茶が飲みたかったんだけどね。まあいいか…うぐ、甘い。」
歩「ほんと、律子は大したもんだよね。アイドルとプロデューサー兼任なんだもん。」
律子「マネージャー見習いみたいなものだけどね。まだステージに立つことの方が多いし。」
歩「それがすごいんじゃない、アタシには絶対無理だもんな。あーあ、なんでこんなにポンコツなんだか。」
まつり「歩ちゃん、愚痴ばかり言うのは良くないのです。」
律子「まつりの言う通りよ、変わりたいなら努力なさい。やれる事は沢山あるはずよ。」
歩「だよな。ごめん二人とも、いつもこんな事ばっかり言って。」
42 :
まつり「アイドルは前向きじゃなきゃダメなのです。歩ちゃんにだっていい所はたくさんあるのですよ?」
歩「もうダンスとおっ〇いは褒めなくていいって。」
律子「それ以外にもあるじゃない。こうして私と気さくにお喋りしてくれたりとかね。」
歩「へ?何だよそれ、そんなの別にすごい所でも何でもないじゃん。」
律子「今だから言うんだけどね。私、あなた達シアター組が入って来る事になった時、どう接していいかそれなりに悩んでたのよ。」
まつり「そうだったのですか?」
律子「ええ。私たちは先輩になるわけだけど、あまり意識されて萎縮されるのは嫌でしょう。だからってこっちから意識するなって言ってもなかなか難しいだろうしね。」
律子「どうするのがいいのかなあ、なんて思ってたら拍子抜けしたわ。歩もまつりも、初対面から思いっ切りフレンドリーだったんだもの。」
歩「え、嘘。同い年!?落ち着いてるから最年長とかなのかなって思ってた。なーんだそうだったのかよ、これからヨロシク!」
律子「ちょ、痛い。肩叩かないでってば。って今のどういう意味よ!」
歩「じ、ジョークだよ。アメリカンジョーク。ほら、アタシ日本のアイドル事情とか知らないからさ。何せ留学してたし?」
まつり「よろしくお願いするのです、律子ちゃん。」
律子「ええ、こちらこそ…律子ちゃん?」
まつり「ほ?だって、律子ちゃんでしょう?」
律子「まあそうだけど。そんなふうに呼ばれる事あんまり無いからなんか新鮮だわ。」
歩「そうなの?ならアタシも律子ちゃんって呼ぼうかな。」
律子「あなた、そんなキャラじゃないでしょ?」
歩「あ、やっぱそう見える?」
43 :
歩「…あったなあ。あの時はホントごめん、同い年とはいえ業界の先輩相手に失礼だったよな。アタシ、馴れ馴れしい所があるもんだからつい。」
律子「まあちょっとはね。でもあれで助かったのよ。私の事を単なる同い年の友人みたいに接してくれたおかげで、私もあなた達の事を後輩だからって変に意識を持たずにあなた達と向き合えたんだから。感謝してるわ。」
歩「おいおい、感謝とかよせよ。仲間なんだろ。」
まつり「歩ちゃんの言う通り。姫達は仲間でお友達、なのです。お友達に気遣いは無用なのですよ。ね?」
律子「…ありがとう、二人とも。これからもよろしくお願いね?」
歩「ああ、こっちこそな。色々迷惑掛けちゃうかもだけど。」
律子「いいのよ、仲間なんだから。ところで、早だけどちょっといいかしら。」
まつり「どうかしたのです?」
44 :
律子「これから領収書チェックしなきゃいけないの、月末にやるのを忘れてた分が溜まっててね。『仲間』なら当然協力してもらえるわよね?」
歩「ええ!?そういうのは小鳥とか美咲の仕事だろ?」
律子「小鳥さんは今日はオフ、美咲さんも他の仕事で手が離せないの。普段手伝ってくれるこのみさんも急な仕事が入ってていないしね。」
歩「いや、でもなあ。そういうの全然分かんないし。」
律子「誤字脱字や記入ミスを確認するだけよ。ね?さっき変わりたいって言ってたじゃない、いい機会でしょ。まつりもほら。」
まつり「ひ、姫は数字がいっぱい並んだものは苦手なのですよ…」
律子「だったら尚更よ、アイドルは色んな事にチャレンジしなきゃ。それに大学の授業で役に立つかもしれないでしょう?」
歩「トホホ。まあ、信頼されてるからこそって事にしとくかな。」
まつり「律子ちゃん、ちゃっかりさんなのです…」
律子「それじゃお願い。大丈夫よ、みんなでやればすぐ終わるわ。分からない所があれば遠慮なく聞いてね、『友達』なんだから!」
47 :
【✕年後】
歩「はぇ〜、しかし、あらためて見るとすごい会場。さすがは人気俳優の結婚披露宴だよね、アタシのカッコ、浮いてないよな?」
律子「♪プロデューサーは気楽な稼業ときたもんだ〜♪と。よ、歩飲んでる?」
歩「おいおい律子、何こんな場所でベロベロになってんの。きちんとしてなきゃダメじゃない。」
律子「少しぐらいならいいでしょ、晴れの席なんだから。さ、あんたもぐっといきなさい?」
歩「いらないよ、アタシがそんなに飲めないの知ってるだろ。」
律子「何よつまんない。ふん、いいわよ。向こうで伊織達と飲んでくるから。」
歩「ふらつくなよ、しゃんとしなって…。たく、律子のやつ年々オヤジ臭くなってんな。大丈夫なのかねウチは。」
歩「にしても涼が結婚かぁ、早いもんだね。ついこの間律子の紹介で知り合った気がするのに。」
律子「本当よね、20歳越えたら早いってのはその通りだったわ。」
48 :
歩「うわびっくりした。なんだよ、伊織達のテーブルに行ったんじゃなかったの。」
律子「少し落ち着きなさいって追い返されちゃった、酷いわよね。歩、慰めて?」
歩「こら、引っ付くなよ。離れろってば…真、海美!助けて〜!」
律子「…ごめんなさい、調子に乗りすぎました。」
歩「たくもう。はしゃぎすぎだよ、律子はウチらの代表なんだから。」
律子「お酒が入るとついね。涼と花嫁さんにも申し訳なかったわ、後で謝っておかないと。」
歩「せっかくあんないいスピーチしたってのに。」
律子「言い訳になっちゃうけど。そのスピーチを必死で考えて、読上げるのに失敗しないよう前日から練習してたのよね。上手くいった反動で一気に緩んじゃった、てのはあるかな。」
歩「そっか。やっぱ、律子にとって涼は大切な存在だったんだな。」
律子「口に出して言うとちょっと恥ずかしいけど、その通りね。小さい頃から弟同然に可愛がってた子だったから。結婚は本当におめでたいし、私にとっても嬉しい事よ。でも…」
歩「でも?」
49 :
律子「ちょっとだけ、寂しいかもね。これでもう、あの子にあれこれ口出し出来なくなるんだから。そういうのは花嫁さんの役目だもんね。」
歩「……そっか。」
律子「それにスカート履かせたり、その為にスネ毛剃らせたりパッド入れさせたりなんて事ももう出来なくなるし。」
歩「まだそんな事させてたのかよ!?」
律子「あの子が成人してからは一度も無いわ。」
歩「それ割と最近じゃない。花嫁さんにだけはその話するんじゃないよ?」
律子「あら、花嫁には言えない夫の秘密を持ってろですって?やあねぇ、歩ったら怖い事言うんだから。」
歩「まだ酔いが抜けてないのかよ。ほんと、律子は酒が入るとめんどくさいな…。」
50 :
律子「ふぃ〜。いい式だったけどイマイチ飲み足りないわね。歩、どっか寄らない?」
歩「勘弁してよ、アタシ明日朝イチでレッスン指導入ってるんだから。」
律子「ああ、あのユニットの。人気アイドル達のトレーナーだなんて、あなたも立派になったわよね〜。」
歩「そいつらをプロデュースしてるのは律子だろ。ほら帰るよ?律子も明日は企画会議あるんだろ。」
律子「いいじゃない少しぐらい。私だってたまには一人になりたくない時だってあるのよ。」
歩「律子…。」
律子「歩だってあるでしょ?お互いまだ独り身で、家に帰るのが辛くなって。どうしても誰かと一緒にいたい、みたいな気分。」
歩「いや、あのさぁ。」
律子「誤解しないでよ?涼に先を越されたのが辛いとか、結婚したくなったとかそういう事じゃないの。でも何か、幸せそうなあの二人を見てたら無性に寂しくなったのよ。こんな気持ちのまま、家に帰るだなんて、どうしても…。」
歩「……いや、何一人で暮らししてるみたいな事言ってんだよ。」
律子「あ、バレた?でへへ、あなたも鋭くなったわね〜。」
51 :
律子「あ、バレた?でへへ、あなたも鋭くなったわね〜。」
歩「まったくもう。ほら立って、タクシー来たよ?」
まつり「…おかえりなさい。結婚式はどうでしたか?」
歩「ただいま。とってもいい式だったよ、まつりも来られたら良かったのにね。」
まつり「お仕事でしたから仕方ないのですよ。ご飯は食べてきたんですよね?」
律子「ただいま〜、と。まつり、お風呂沸いてる?」
歩「酔ってんだから風呂はやめとけって。明日シャワー浴びなよ。」
律子「平気だってば。うー、家はあったかいわね。眠たくなってきちゃう…」
歩「こら、こんな所で寝るなよ。自分の部屋行きなって、1人で立てる?」
52 :
まつり「律子ちゃん、また酔っ払ってるのです?」
歩「ああ。おめでたい席だといつもだけど、今日は特に酷いよ。」
まつり「うふふ。やっぱり涼さんが手元を離れたのが寂しいんでしょうね?」
歩「どうかなあ。なんか、最近は酔って騒ぎたいだけなんじゃないかって気もしてきたよ。」
まつり「きっと、私や歩ちゃんがそばにいる時は安心出来るからなんですよ。信頼されてる証拠でしょうね?」
歩「そんなもんかね、いつまでも三人で暮らすってわけにもいかないだろうに。」
まつり「まあまあ。今は楽しいですよ。とりあえずはそれでいいじゃない。ね?」
歩「たしかにそうだけど。はあ、アタシ達、いつ結婚出来るのかな…。」
律子「まつりー!久しぶりに『なんと孫六』読みたいわ、どこにあったっけ?」
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