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僧侶「ひのきのぼう……?」


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はっぴーえんど期待する
237: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 23:41:42.10 ID:JOtdaiZe0
弟子「「\オオオオオォォォッス!!/」」
商人「あわわわ……つ、強い……」
師範「これで終わりではあるまい。新しい木刀を」
戦士「くっ……その通りだ、こんなことで終わりではない!」
戦士は 木刀を 装備した! ▼
大男「始めっ!」
戦士「うおおおおおっ!」
師範「あからさまな兜割りだな。たやすく斬り払える」 バキッッ
大男「――始めっ!」
戦士「うおおおおおっ!」
師範「横一閃には縦払い!」 バキッッ
大男「――始めっ!」
戦士「うおおおおおっ!」
師範「下からの斬り上げならハエのように叩き落せる!!」 バキッッ
戦士「……な……ならば……」
238: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 23:42:34.82 ID:JOtdaiZe0
大男「――始めっ!」
戦士「これはどうだ!」 ダッ
師範「そう。刺突ならば、線ではなく点の攻撃。ゆえに容易に捉えられることもない……」
師範「だが、及び腰だ! 慣れない攻め方に、身体が怖がっている!」 バキッッ
戦士「うっ……」
師範「そんな腑抜けた突きなど、余裕でかわして仕留められる」
戦士「俺が……腑抜けているだと? 笑止な!」
戦士「俺などより、あの勇者の方がどれほど温いか」
戦士「あの小娘がこの場に立てば、お前から一本取るなど、永劫叶わぬだろうよ」
師範「そうかな。勇者の本領は勇気であると聞く」
師範「私の予測では、この戦いでお前と同じように『突き』まで辿りつき」
師範「それと同時に一本取ってしまうような気がするのだが。勇気ある突きをもってな」
戦士「……ほざけ。もう一勝負だ!」
戦士は 木刀を 装備した! ▼
師範「ふっ。その姿勢は果たして不屈か、はたまた意固地か――」
239: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 23:43:15.51 ID:JOtdaiZe0
大男「始めっ!」
戦士「うおおおおっ!!」
師範「凝りもせず分かりやすい袈裟斬りか。こんなもの――」
ガララッ
幼児「パパー!」
師範「!?」
弟子「こ、こら、いま入ってきちゃダメだ!」
戦士の こうげき!
師範は 大ダメージを うけた! ▼
師範「ぐああああああっ!!」
弟子「師範!」
弟子「師ハーンッ!!」
幼児「パパ!!」
戦士(……ふん。俺の木刀を折れば、その刀身が飛んで危険だったということか?)
戦士(軟弱に極まる!)
241: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 23:43:52.85 ID:JOtdaiZe0
戦士「いかなる事情であれ、真剣勝負に気を逸らすなど言語道断」
戦士「今のは瞭然たる一本。『伝説の剣』は渡してもらおう」
弟子「貴様ァ! それでも漢かァ!」 ブーブー
弟子「詫びの一つもなしに、何だその言い方はァ!!」 ブーブー
幼児「パパ、だいじょうぶ!?」
師範「ああ……」
師範「……みんなよく聞け。戦士殿の言い分は正しい」
師範「真剣勝負の場に、私情を持ち込んだほうが負けなのだ。改めて肝に銘じよ」
弟子「師範……」
師範「戦士殿。これが伝説の剣だ。勇者様に渡してくれ」
戦士「うむ」
師範「この剣は……私の命より大切なものだ。くれぐれも大切に扱ってくれ」
戦士「分かった」
幼児「ダメーッ!」
戦士「!?」
243: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 23:44:30.90 ID:JOtdaiZe0
幼児「だってそれ……ママが大事にしてた……」
師範「こら。大人しくしてなさい」
戦士「ふっ、なるほど。お前の妻の、忘れ形見といったところか」
戦士「何やら事情があるようだが、そんなことに興味はない」
戦士「俺はこの剣さえ手に入れれば、それで良いのだからな」
師範「! な、何を……」
戦士「真の勇者のみ抜き放つことができるという剣……」
戦士「俺にその価値があるかどうか、確かめさせてもらう!!」
戦士は 伝説の剣を 装備した!
しかし ひきぬけなかった! ▼
戦士「ぬ……抜けん……!?」 グッ グッ
師範「無理だ。……その剣は、誰にも抜くことはできない」
戦士「なぜだ。なぜ俺に抜けんのだ!? 俺が一番」 ググッ
戦士「俺がこの国で一番、魔王を討ちたいと思っているのだ!!」 グググッ
師範「戦士殿! ……もうここに用はないはずだ。お引き取り願おう……」
249: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 23:45:45.81 ID:JOtdaiZe0
【西の町>宿屋】
商人「ただいま戻りましたぞ」
勇者「あ……おかえりなさい、商人さん!」
商人「おお勇者様、もう容態はよろしいので?」
勇者「うん、賢者さんのおかげですっかり治っちゃった! 迷惑かけてごめんね」
賢者「……商人殿、どちらに? 伝説の剣は手に入りましたか?」
商人「いやあ、見つけたには見つけたのですがね」
商人「どうにも所有者の融通がきかなくて、商談にも持ち込めなかったんですよ」
勇者「ええっ。商人さんの交渉が通じないなんて……」
商人「戦士殿と勝負して、勝ったら譲るという話ではありますが……」
商人「いやはやその師範がべらぼうに強くて! 戦士殿じゃ相手にならないくらいです」
賢者「なんと。それは始末に終えませんね……」
商人「ワシはこりゃダメだ、他の方法を考えようと、途中で抜け出してきましたわ」
戦士「ふん。愛想をつかされる体たらくで悪かったな」 ガチャ
商人「!? あわわわ戦士殿!」
253: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 23:46:28.82 ID:JOtdaiZe0
戦士「待たせたな。これが『伝説の剣』だ」
商人「おおっ!!」
勇者「わぁ! 戦士さん、ありがとう!」
賢者「さすがは百戦錬磨の雄。お見事です」
商人「ちょ、ちょっと確認させてくだされ」
商人「ふむ……ふむふむ。うーむ、ワシは現物を手に取るのは初めてですが」
商人「本物で間違い無さそうですな。収拾した情報とほぼ一致しております」
商人「後は刀身を見せてもらえば、確信に至れるのですが……」
戦士「!」
賢者「では勇者様、さっそくお手を」
勇者「ボ、ボクがこれを抜くの? 緊張するなぁ」
勇者は 伝説の剣を 手に取った! ▼
勇者「……なんだか、不思議な力を感じる。ちょっと冷たいけど。それじゃあ……」
戦士「待て!!」
勇/商/賢「!?」
259: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 23:48:22.60 ID:JOtdaiZe0
勇者「な、なに? 戦士さん」
戦士「その剣を抜くのは、別の機会にしてもらいたい」
商人「な……何故ですかな?」
戦士「仮にも伝説と称される武器だ。簡単に抜いていいものではなかろう」
戦士「どうしても抜く必要に迫られたときに、初めて抜剣すべきだ」
賢者「……ですが、早いうちに手に馴染ませておくという必要性が、既にありませんか?」
戦士「最初から頼ってしまっては、もしその剣が使えなくなったときに困るだろう」
戦士「ここはいざというときまで温存し、必要が迫るまでは、現状の装備を保つべきだ」
賢者「偽物だったらどうするのです。確認するくらいは良いでしょう」
戦士「ならば天下の大商人を目指す男の目が、曇っていたということだ」
商人「ワ、ワシの目利きは偽物などに誤魔化されたことはありませんぞ!」
戦士「ならば本物と断定できるのだな」
商人「少なくとも、外見を見る限りは! ええ、刀身など確認せずとも!」
賢者「……どうされますか? 勇者様。決めるのは貴方です」
勇者「……う?ん。それじゃあ……」
260: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 23:48:48.78 ID:XINY8x4u0
ぬかった
262: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 23:49:12.20 ID:JOtdaiZe0
勇者「とりあえず戦士さんの言うとおりにしよう」
戦士「!」
勇者「戦士さんがいなければ、この剣は手に入らなかったもん」
勇者「だから今回は、戦士さんの言い分を尊重したいな」
賢者「……勇者様がそう仰られるのであれば」
戦士「ならばその日が来るまで、この剣は俺が預かっておこう。構わんな?」
勇者「うん、構わない」
賢者「勇者様、それはさすがにどうかと。商人殿に預かってもらうべきです」
商人「ワ、ワシがですか」
勇者「ううん、いいよ。この剣はそもそも、戦士さんが手に入れたものでしょ」
勇者「何だかボクがそれをほいほい受け取っちゃうと悪いし、すっきりしないんだ。ね?」
賢者「……勇者様がそう仰られるのであれば」
戦士「勇者よ。感謝する」
勇者「そんな、お礼を言われるようなことは何にもないよ」
賢者「……」
265: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 23:49:43.83 ID:JOtdaiZe0
商人「ところで、次の目的地はどこですかな。明日の行き先は」
勇者「うん、それなんだけど、すでに賢者さんと決めてあるんだ」
賢者「はい。我々は次に、【北の城】へ向かう途中にある、雪山へ向かおうと考えています」
商人「ふむ。構いませんが、ご説明願えますかな」
賢者「はい。伝説の剣を入手してしまえば、この旅の目的は残り一つ」
賢者「すなわち、【魔王城】への侵入経路の発見です」
戦士「そういえばもうじき大陸を一周するが、結局道らしき道は見つけられず仕舞いだったな」
商人「辛うじて南の港町からの陸続きのルートがありましたが、ありゃ無理ですもんな」
賢者「どこにも道が見つからなかった場合、そのルートを使うことになりますが」
賢者「まだ足を踏み入れていない地域があります。それが次の雪山です」
賢者「万一そこにも手がかりが無かったなら、そのまま雪山を越えて【北の城】に向かいます」
賢者「大陸の王都であれば、今なら何らかの新たな情報が集まっているかもしれません」
勇者「うん、ちょうどみんなの故郷だしね! ボクも魔王と決戦の前に、一度家に帰りたいし」
商人「えっ。ああー……」
戦士「むう……それは……」
267: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 23:50:22.16 ID:JOtdaiZe0
賢者「僧侶殿のことなら、心配いりませんよ」
商人「!? ちょ、ちょっと」
戦士「賢者、どういうつもりだ?」
勇者「?」
勇者「僧侶って、誰のこと?」
商人/戦士「!?」
賢者「あぁ勇者様、ちょっとした知人です。我々のパーティーには関係ありませんよ」
勇者「ふうん……? 誰だろ……」
戦士「……」
商人「……ほ、ほほう。さすがは賢者殿。何やらうまくやりましたな」ボソ
賢者「いえ。これは魔王打倒のためにも、必要な処置だと思ったまでです」
戦士「ふん。まぁ、確かにそうか」
賢者「とにかく、これで何の気後れもなく、北の城まで向かえるということです」
勇者「……? ねえ、何の話?」
賢者「大したことはありませんよ。それでは最後に、地図でおさらいをしましょう」
269: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 23:51:23.18 ID:JOtdaiZe0
 
賢者「我々は今まで、【北の城】からぐるりと時計回りに旅をしてきました」
賢者「もっとも私がパーティーに参入したのは【賢者の村】からですが」
勇者「今いるのがこの【西の町】でしょ。だったら雪山を越えたら、ちょうど一周するね」
商人「魔王城の周りは高い山、そして海……もはや空から乗り込むぐらいしかありませんな」
戦士「ルーラやキメラのつばさを応用して、乗り込めないのか」
賢者「不可能ですね。少なくとも、一度足を踏み入れなければ」
勇者「……うん、分かった。明日雪山に行って、そのまま北の城に行って」
勇者「いずれにも魔王城に乗り込む糸口が見つからなければ、南の港町からの陸路を使おう」
271: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 23:52:45.41 ID:JOtdaiZe0
勇者「それじゃ、今日はもう暗くなってきたし、解散――!」
――
勇者(……何だか熱を出してから、やけに胸の中がすかすかする気分。変なの……)
勇者(ううん、そんなこと気にしてる場合じゃない。明日は山越え、しっかり休まなくちゃ……)
――
戦士(この『伝説の剣』……やはり抜けぬ……)
戦士(ふん……仮に最後まで抜けなかったとしても……魔王を倒すのはこの俺だ……)
――
商人(いまの軍資金はこれだけ。魔王を倒しさえすれば、これを元手にもっと増やせる)
商人(その時の商戦はすでに考えてある……ぐふふ、世界一の大商人になる日は近いぞ……)
――
賢者(勇者様の、私を見る目が変わった……私に、確かな機会が与えられたのだ……)
賢者(あとは何があろうとも必ず勇者様を支え、お守りし、魔王を倒す)
賢者(それだけの箔がつけば、何者も口は挟めないだろう……そして、その暁には……)
――――
274: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:
こ....ここからはっぴーえんどだよね?
275: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 23:53:12.77 ID:4PzVaOFP0
何時になったら僧侶の逆襲はじまんのー
276: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 23:53:29.11 ID:JOtdaiZe0
――――――――――――――――――――
【北の町>城下町>外れの小屋】
<夜>
僧侶「ふう……ただいま」
僧侶「おなかすいたな。パンを食べよう」
僧侶「パンふた切れにバターを塗って……あと少し野菜も」
僧侶「いただきます」
僧侶「ん……おいしい。しあわせ」
僧侶「ごちそうさま」
僧侶「さて……寝よっかな」
僧侶(……今日もたくさん特訓したぞ。僕、結構強くなったかも)
僧侶(そろそろギルドに登録してもいいかもしれない。そしたら、勇者も驚くかな)
*「――!」
僧侶「……ん? なんだろ」
僧侶(外が騒がしいな……行ってみよう)
277: 【九電 73.8 %】 2012/11/26(月) 23:54:01.05 ID:s2WOardC0
恐ろしいパーティーだな
279: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 23:54:19.08 ID:6JxMU7Q80
魔王軍の進行で殺伐としてるだけかと
まあクズばっかだな
お前だよ賢者屑野郎てめぇぇぇ!!
280: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 23:54:30.20 ID:HnDtwetW0
人間臭いパーティーだな
281: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 23:54:34.21 ID:z24PUcDv0
煩悩が大きすぎるPT
283: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 23:54:53.21 ID:JOtdaiZe0
ガチャ
僧侶(なんの騒ぎだろう……)
盗賊「だからオレは何も盗ってねえって!」
兵士B「くそ……おかしいな、荷物には何もないぞ」
兵士A「おい、ボディチェックだ!」
盗賊「くっ……待て!」
盗賊「お前ら、そこまでオレを疑うってことは覚悟はできてるんだろうな!」
兵士B「何ぃ」
盗賊「この国は、ヨソ者の亡命にも慈悲深いと聞いてやってきたが――」
盗賊「夜中の出入りは禁止だなんて話、昨日の今日で知る機会がなかったんだ!」
兵士A「こいつ何日も隠れてた分際でよくもそんなデタラメを……」
盗賊「いいか、もしオレの身体を調べて何も出てこなかったら、お前たちを……」
盗賊「国を訴えてやる! 訴訟だ! それなりの賠償を要求してやるぞ!」
兵士B「お、おいどうする?」
兵士A「こんな露骨なその場しのぎにたじろいでお前がどうする! さぁ服を改めろ!」
285: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 23:56:01.78 ID:JOtdaiZe0
僧侶「あのう……」
盗賊/兵士A/B「!?」
僧侶「もう夜中ですし、ケンカはやめませんか?」
兵士A「な、なんだお前は」
僧侶「僕は近くの小屋に住む者です。こんな時間に言い争うのは、つまらないからやめましょう」
盗賊「あっ! お、お前!」
兵士A「ま、待て! 逃げる気か!」
盗賊「違う! こいつだ、こいつがアレを盗んだんだ! そうに違いない!!」
僧侶「えっ?」
兵士B「何をでたらめを……」
盗賊「でたらめなんかじゃねえさ、見ろ、こいつのポケットの膨らみを」
盗賊「オレが証明してやる!!」
盗賊は 僧侶に かけよった! 
盗賊は 僧侶のポケットから オーブをとりだした! ▼
僧侶「えっ……?」
286: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 23:56:41.87 ID:UBofX8it0
えっ……?
287: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 23:56:42.52 ID:AFn1liMh0
またクズか
288: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 23:57:00.88 ID:2sklbqmT0
ざけんなくずどもあああああああああ
289: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 23:57:02.15 ID:JOtdaiZe0
兵士A「そ、それは!」
兵士B「そいつを早く渡せ!!」
盗賊「も、もちろんだ」
兵士は オーブをうけとった ▼
兵士A「間違いない……この珠の美しい色合い! 紛れもなく国宝のオーブ!」
兵士B「ああ、助かった……一時はどうなることかと思った……」
盗賊「そ、そんなにスゲーもんだったのか? お、お前もよく盗る気になったなぁ」
僧侶「えっ? 僕はそんな玉なんて知らないよ」
盗賊「嘘をつけ! 現にお前のポケットから出てきたのを、このお二人も見てたんだ!」
兵士A「うむ……まぁ、確かに」
兵士B「そこの少年、お前を城へ連行する! さぁ大人しくするんだ!」
僧侶「えっ? 今のは、そこの人がもともと持ってたのを、僕のポケットに入れたんだよ」
盗賊「出まかせを! どうせオレがヨソ者だから、濡れ衣を着せやすいって魂胆なんだろ!?」
兵士B「ええ……ど、どうする?」
兵士A「とにかく、二人ともひっ捕らえるんだ!」
294: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 23:57:38.08 ID:JOtdaiZe0
――
【北の城>地下牢】
衛兵「ここでしばらく大人しくしてろ!」
ガシャン
僧侶「あいたた」
僧侶(……うーん。僕はオーブなんて盗んでないんだけどな)
僧侶(でもそれより、いいことを知ったぞ)
僧侶(【東の村】の村長さんが寝言で言ってたオーブは、多分これのことだ)
僧侶(【東の村】から少し西へ進んだ位置にほこらがあって、そこにオーブを持っていくんだ)
僧侶(そうしたら、魔の城へ続く道が開ける……多分、何かが起こるんだ)
僧侶(魔王城は山と海に囲まれてるから、多分この方法で乗り込めるんだ)
僧侶(勇者に会ったらすぐに伝えないと)
僧侶(……ここを出られたら、だけど。……いつ出してもらえるのかな……)
僧侶(……)
僧侶「」 Zzz…
295: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 23:58:14.60 ID:JOtdaiZe0
――
兵士B「ふい?。オーブが見つかって良かった良かった」
兵士A「なあ兄弟」
兵士A「あのとき、尋問してた男の方の服は、まだ改めてなかったよな」
兵士B「そうだったか? まぁそんなこと覚えちゃいないが」
兵士A「オーブが見つかって俺も動転していたが、よくよく考えてみると」
兵士A「あの男がガキの方に無理矢理オーブを押し付けたってのも、普通に在り得るんじゃないか」
兵士B「さぁ、俺が知るもんか。オーブは見つかったんだ、あとは野となれ山となれだ」
兵士A「とはいっても、判決が下される際に、参考人として呼び出されるかもしれんぞ」
兵士B「ええ、面倒くさいなぁ」
兵士A「……ま。その時は俺たちが見たままのことを伝えればいい」
兵士A「『あの僧侶のポケットからオーブが出てきた』ってな」
兵士B「僧侶?」
兵士A「ああ。あいつは例の『ひのきのぼう』だよ。勇者様にリストラされた奴」
兵士A「身の程知らずに魔王討伐についていきやがって、俺は前から気に食わなかったんだ――」
297: 【九電 73.8 %】 2012/11/26(月) 23:59:15.13 ID:s2WOardC0
せちがらい世の中
299: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 23:59:34.43 ID:pIkOsprp0
みんないい性格してて面白い支援
300: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/26(月) 23:59:44.13 ID:R/48k6zd0
バッドエンドしか見えないじゃないですかやだー!
301: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 00:00:06.68 ID:UW5dTRYB0
――
 
ガチャガチャ ガシャン
衛兵「おい、起きろ」
僧侶「Zzz」
衛兵「……こいつ、よくこんな固い床で眠っていられるな……おい、起きろ!」
僧侶「ん……ふぁい?」
衛兵「沙汰が決まった。牢から出ろ」
僧侶「ふああ……ふぁい……」
衛兵「のんきなものだな。国宝窃取は大罪なのを分かっているのか?」
衛兵「場合によっては、明日の日の目はもう拝めないかもしれんのだぞ」
僧侶「そうは言っても、僕は盗んでないですし……」
衛兵「まぁいい。早く立て、これからお前を王の間に連れていく」
僧侶「王の間……?」
衛兵「そうだ。盗品が盗品だからな。国王みずから直々に判決を下すとのお達しだ――」
302: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 00:00:13.28 ID:NCp5f3r80
うあああああああやめろおおおおお
304: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 00:00:36.78 ID:6Tz4x5X80
魔王、構わん。この世界を滅ぼせ
305: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 00:01:03.28 ID:l2nuINWQ0
僧侶が魔王になるフラグじゃね?
306: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 00:01:41.92 ID:UW5dTRYB0
【北の城>王の間】
 ――ザッ!
衛兵「ただいま容疑の者をお連れしました!」
国王「よい。下がれ」
衛兵「はっ」
僧侶「……王様、お久しぶりです。お腰の具合はいかがですか」
大臣「し、痴れ者め! 貴様のようなみすぼらしい小僧に、王は出会ってなど――」
国王「よい。声を荒げるでない」
大臣「ぬ、ぬう……しかし……」
国王「……さて。余は確かに、その不思議な眼差しには見覚えがある。どこであったか……」
僧侶「はい。僕は以前、勇者のパーティーにいました」
僧侶「そのとき一度だけ、王様に謁見したことがあります」
国王「おおそうか、あの時の少年か。勇者の影にはあったが、余はその目をよく覚えているぞ」
僧侶「ありがとうございます」
国王「しかし……それがこの度はなにゆえ、実に憂うべき所業に走ったのか……」
308: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 00:01:50.96 ID:Ru5PH6Nc0
やめてください
救いをください
309: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 00:02:03.32 ID:fxXWTENT0
女盗賊と僧侶か...
と思ったら案の定クズでワロタ
310: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 00:02:15.07 ID:6XOzluBV0
僧侶幸せになってくれよ…
311: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 00:02:15.40 ID:UW5dTRYB0
僧侶「僕はオーブを盗んではいません。本当です」
国王「ふむ。だがその言葉だけを鵜呑みにしては、この場を設けた意味はなかろう」
国王「では衛兵」
衛兵「はっ。ご報告いたします」
衛兵「この僧侶は今からひと月ほど前、賢者の村にて勇者一行から離脱した模様」
衛兵「その後ここ王都に帰郷し、城下町の住まいで数日過ごしていたとのことですが」
衛兵「出自が孤児であったこともあり、生活は非常に困窮していたものと思われます」
衛兵「ちまたでは『ひのきのぼう』と称せられるほど、貧しい日々を送っていたとか」
大臣「ぷっ」
兵士「くくっ」
僧侶「……」
衛兵「以上のことから、国宝を横流しし、生活の安定を図ろうとした可能性は十分考えられます」
国王「私見は交えなくてよい」
衛兵「し、失礼致しました!」
国王「続けよ」
315: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 00:02:32.52 ID:iaOODT0Y0
王様はいい人っぽいな
316: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 00:02:35.70 ID:1xbep2zb0
実は僧侶が魔王
317: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 00:02:59.56 ID:IDYDfpNT0
僧侶が闇落ちして魔王になるとか何その熱い展開
318: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 00:03:01.91 ID:UW5dTRYB0
衛兵「はっ。オーブが戻った今、もはや内密にする必要もありませんが――」
衛兵「今から七日前、王宮に忍び込んだ何者かに、オーブを奪われる事件が発生しました」
衛兵「犯人と思しき人物は、当日中に城下町に雲隠れしたとの情報を受け」
衛兵「ただちに多数の城兵を捜索に送り、昨日までの連日、昼夜ともに網を敷いていたのですが」
衛兵「ようやく昨晩、巡回中の兵士が、夜間に町を出歩いていた怪しき二人を捕らえました」
衛兵「うち一名はこの後、この場に呼ぶ予定ですが――」
衛兵「先に『ポケットにオーブを隠し持っていた』とされる人物から引き立てた次第です」
国王「ふむ……そこまででよい。あとは余が直に問いただそう」
国王「僧侶よ。そなたは何故、夜中に城下町を出歩いていたのだ?」
僧侶「はい。夜中に、外から騒ぎ声が聞こえたからです」
僧侶「出てみると、男の人と兵士の人たちが言い争いをしていたので、止めに入りました」
僧侶「けんかはつまらないから、やめよう、と」
国王「そなたは、夜間の出入り禁止令を知らなかったのか?」
僧侶「はい。ここ数日はずっと小屋の周りで過ごしていたので、あまり町中には入らなくて――」
僧侶「だからそういうものが出ていたなんて、今はじめて知りました」
320: 【九電 73.8 %】 2012/11/27(火) 00:03:47.12 ID:2NGELKxy0
王様さすがっす
322: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 00:04:12.31 ID:6QqBxmOI0
だてに年とってないな
321: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 00:04:10.67 ID:JcECeVI40
面白いぞ
支援
323: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 00:04:31.66 ID:UW5dTRYB0
国王「懐にオーブを忍ばせていたという話は?」
僧侶「あれは、言い争いをしていた男の人が、僕のポケットに入れたんです」
僧侶「でもそのとき明かりも無かったので、兵士の人たちには勘違いされやすかったと思います」
国王「ふむ……あい分かった」
国王「実はな。余がそなたに問答をかけたのは、その眼に虚実をはかりたかったためじゃ」
国王「そなたの眼は、嘘は言っておらんように見える……この限りでは、余は無罪を言い渡すところだ」
僧侶「本当ですか?」
国王「だが、今回は極めて有力な証人がおってな。その判断にて、判決を下そうと思う」
僧侶「証人?」
国王「そうじゃ。オーブが奪われた当日、偶然にも賊の姿を目撃した者が城内にいた」
国王「我が妃じゃ。では、兵士よ」
兵士「はっ。王妃様のおなーりぃー!」
 
侍女「さ、王妃様、足元にお気をつけ下さいませ」
王妃「……」
328: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/27(火) 00:05:36.38 ID:iaOODT0Y0
嫌な予感しかしねぇ糞が
335: 忍法帖【Lv=21,xxxPT】(1+

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