日野茜が増えた日back

日野茜が増えた日


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1 :
姫川友紀「…行くよ、茜ちゃん」
日野茜「いつでも来て下さい、友紀さん!」
若林智香「……ッ」ゴクリ
友紀「これが!あたしの生み出した、最強の魔球!」グワッ
茜「っ!…来るっ!!」
智香「すごい…!友紀さんの振りかぶった右腕が、光って…っ!」
※アイドルの腕は光りません
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1500990899
引用元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1500990899/
2 :
友紀「大・アイドルボール、32号!っっっだーーーッ!!」ギュルルル
茜「…なんのっ!打ち返して、みせます!!」グオオオ
智香「くぅっ…!?茜ちゃんのバットからも、火が…!」
※バットは火を噴きません
友紀「うおおおおおぉ」ゴゴゴゴ
3 :
友紀「おりゃっ」スポーン
茜「あっ」
智香「…あ」
友紀「あー…」
ヒュルルル…
ボチャン
4 :
友紀「やっちゃった…」
智香「…見事な池ポチャ」
茜「ホールイン・ワン!ですね…」
――

5 :
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1493458457/
これの続き じゃないです
6 :
【公園】
友紀「…いやぁ、追い込んだと思ったんだけどなー…」
智香「ものすごいすっぽ抜け方しましたね」
友紀「おっかしいなぁ…昨日は上手くいったのに」
茜「なんと!昨日完成した魔球だったんですかっ!!?」
友紀「そりゃーもう、できたてエボレボ滑り込みセーフだよっ」
智香「ジェネレーションはどこへ…?」
友紀「本当なら、ぎゅらりゅるぅぅ!…って曲がる、スーパー変化球だったんだけど」
茜「じゅらるー…ですか!?」
友紀「違う違う!ぎゅらりゅるぅぅぅ!って」
智香「ぎゅらりゅる?」
7 :
友紀「良いところだったのに、ごめんね茜ちゃん」
茜「いえいえっ!熱い勝負でした!!」
智香「茜ちゃん、20球ぐらい粘ってたもんね」
友紀「うん、そのぐらい。あんなに粘られるとは、思ってなかったよ…」
茜「勝負はお預けですね!今度は、仕留めてみせます!!」
友紀「負けないからねっ!」
8 :
友紀「智香ちゃんも、キャッチングの上に実況までこなすなんて…超ファインプレーだったよ!」
智香「本当ですか?ありがとうございますっ♪」
茜「すぐ後ろから聞こえる、臨場感に溢れた実況…素晴らしかったですっ!」
智香「こういう時、解説役がいないと締まりませんからねっ!」
友紀「うんうん、良い仕事してたな〜」
茜「友紀さんの右腕、本当に光ってるみたいでした!!」
※光りません
9 :
友紀「でも…キャッチャーマスク付けっぱなしで、大変じゃなかった?」
智香「大丈夫ですよ?平気です!」
智香「それに、『例え遊びでも、安全の為に付けなきゃ駄目だ』って、プロデューサーさんに言われたので☆」
友紀「ほへー、マジメ…」
智香「『ファウルチップが目にでも当たってみろ、超痛いんだぞ』って」
茜「なるほど!」
智香「『俺は眼鏡が割れてちょっと腫れた程度で済んだけど…女の子なんだから、気を付けるに越したことはない』って言われました!」
茜「実感が伴っていますねっ!」
友紀「痛そー」
※実話です 外で遊ぶ時は気を付けましょう
10 :
友紀「…さて。こうやって話してる間にも」
智香「噴水に落ちたボール、ですね」
友紀「さっきからこうして、バットで引き寄せてみてる訳だけど…」バシャバシャ
茜「けっこう大きい沼ですからね…」
智香「…噴水だよ?茜ちゃん」
友紀「ふんっ!……ふんぬーっ!」
友紀「…うー」
茜「取れませんね…」
智香「あとちょっとなんですけど…」
11 :
友紀「こんなところで、あのボールを失う訳にはいかないんだ…!」
茜「いっそ、ダムの中に入った方が早いのでは…?」
友紀「茜ちゃん、ダムじゃないから。噴水だからこれ」
智香「…アタシにやらせてもらえませんか?」
友紀「と、智香ちゃん?気を付けてね?」
12 :
智香「こう、バットの頭の方を握って…」ススス
智香「優しーく、撫でるようにして…」コツン
友紀「…撫でる?水面をだよね?」
茜「おぉっ!玉に触れました!」
友紀「玉って」
智香「後はゆっくり…手を引いて…」スルリ
茜「あぁっ惜しい!ズルッとズレてしまったーっ!」
智香「もう一回…ふっ……んしょっ……!」
茜「ファイトです!智香ちゃん!」
13 :
友紀「…ねぇ。さっきからその実況、大丈夫なの?」
茜「はて?何がでしょうか」
友紀「何っていうか…ナニっていうか…」
茜「あぁ、それなら大丈夫です!普段の友紀さんの方が、よっぽど無自覚に振り撒いてますからっ!」
友紀「無自覚ってどういうこと!?何を振り撒いてるって!?」
智香「もう、少し……!」
14 :
ツルッ
智香「きゃ…」
友紀「えっ」
茜「わっ」
ドボーン!
茜「うわーーっ!落ちたー!?」
友紀「あっちゃー…」
茜「智香ちゃんまで池ポチャです!」
友紀「智香ちゃーん、大丈夫?」
15 :
ポコポコ…
茜「…」
友紀「…」
茜「むむ?」
友紀「…あれ?と、智香ちゃん…?」
シーン……
16 :
友紀「ちょっ…」
茜「大変です!智香ちゃんが!」
友紀「上がってこない…!嘘でしょ!?」
茜「もしやこの川…深いっ!?」
友紀「いや、川じゃないから」
茜「ならば、海でしょうか!?ぎゅらりゅるぅだけに!」
友紀「さっきから何言ってんの茜ちゃん!?これ噴水だから!」
17 :
友紀「そんなこと言ってる場合じゃないよコレ!」
茜「ハッ!そうでした!智香ちゃん!」
友紀「智香ちゃーーん!!」
茜「今、助けに…!」
ピカーッ
友紀「…えっ?」
茜「池の水が、光った……?!」
友紀「だから池じゃなくて…って、そんなこと今は……!」
18 :
ザバーーーーーー
茜「うわーー!」
友紀「何か出てきたーーっ?!」
19 :
「ふぅ、やっと出てこれた」
茜「…へ?」
友紀「……んん?」
「こんな噴水に物を落とす人なんて、なかなかいなくってさ」
茜「…」
友紀「…えーっと」
「さて。出てきて早だけど、私の役目を…」
20 :
友紀「泉ちゃん?」
「?」
茜「大石泉ちゃん…ですよね?ニューウェーブの!」
「いや、違うけど」
友紀「いやいや、どう見ても泉ちゃんでしょ」
「どこが、どう似てるっていうの?」
友紀「どこが…って。見た目がもうそっくり、というか…」
「そんな不明瞭な記述で、私の外見を表現されても困るよ。これは文章なんだから」
茜「親切なまとめサイトさんなら、この辺に画像を貼ってくれてるハズですので!」
「随分人任せなんだね」
茜「面目ないっ!」
21 :
友紀「でも、それくらいそっくりだよ?」
「他人の空似じゃないかな」
茜「なんと!そっくりメンバーですかっ!」
「それ多分ドッペルゲンガー…って、これもうやったでしょ?ネタの引出し少ないってバレちゃうよ」
茜「…そうですね!すみません!」
「いや、謝られても」
友紀「…泉ちゃんじゃないなら、君は…?」
「私は、この噴水の女神だよ」
22 :
茜「メガミ?」
女神「そう。女神」
友紀「…勝利の?」
女神「勝利は司ってないけど」
茜「私、ファンの方々からよく頂いています!」
女神「それは手紙」
友紀「…夏だ!」
茜「マジ来い!」
茜・友紀「「ドンバッシャーン!!」」
女神「それは毛ガニ…じゃない、サマカニか」
23 :
女神「そうだな…木こりの泉って、聞いたことない?」
茜「ありませんっ!」
女神「…即答。随分直球だね」
友紀「おっ野球知ってるの?どこの球団のファン?」
女神「いや、今のは言葉の綾っていうか…」
茜「金の斧のお話なら知っていますよ!!」
女神「あぁうん、それで合ってるよ。…なんだ、知ってるんじゃない」
友紀「好きな選手は?ポジションでも良いよ!?」
女神「ぐ、グイグイ来るね、この人…すごいな…」
24 :
女神「えぇと…とにかく。私はその、泉の女神なの」
友紀「泉って言ったよ、今」
茜「やっぱり泉ちゃんなのでは…?」
女神「…口が滑っただけだから。噴水、噴水の女神だよ」
友紀「なんか語呂悪くない?」
茜「噴水の女神だと、何かしら噴き出してるみたいですねっ!」
友紀「女の子として、それはどうなのかなぁ」
女神「…あぁもう!分かった、分かったよ!泉で良いから!」
25 :
泉「さて、ようやく本題に…、」
泉「…あ、名前のところまで変わっちゃうんだ」
泉「…ま、いいや」
泉「ようやく、私の役目を果たせるね」
友紀「役割?」
泉「そう。私の、この噴水での役割」
26 :
茜「先程、木こりの泉ちゃんと言っていたことですか?」
泉「うん、そう」
泉「…いや、ちょっと待って?確かに泉で良いとは言ったけど、さっき言った木こりの泉と私の泉はまた別のカウントっていうか」
友紀「…んん?」
茜「なんと!では泉ちゃんは、木こりの泉ちゃんではなかったということでしょうかっ!?」
泉「待って待って。合ってる、合ってるんだけど…誤解のないようにしてほしくって」
泉「そもそも木こりの泉っていうのは、某秘密道具的なアレの名称を指してるんだ。こう言えば伝わるかなって思って言っただけで…つまりさっき言ったのはあくまで私の立場を明確に
友紀「話が進まないよぉ!!」
泉「私のせいにしないでほしいなっ!」
27 :
泉「…えーっと、そう。つまりね、落し物を届けてあげるの」
茜「落し物?」
泉「そう。さっき、この噴水に落とした物があるでしょう?」
泉「それをあなた達に届けるのが、私の使命」
友紀「落とした……ハッ!」
泉「…やれやれ。やっと本筋に入れるよ」
泉「あなたが落としたのは、この…」
友紀「落としたって、もしかして…」
28 :
泉「金の若林智香さん?」
金の智香「ふぇ?」ザバー
泉「それとも、銀の
友紀「あたしのボールのこと!!?」
泉「…え?」
友紀「ん?」
金の智香「ちょ」
茜「ほぁっ!?」
銀の智香「…」ブクブク
29 :
泉「……えーっと」
友紀「…あ、あは。あっはは!嘘うそ、冗談!」
泉「…だよね、ビックリした」
金の智香「…あの、泉ちゃん。銀色の私が」
泉「あっヤバい、水に浸かりっぱなしだ」
銀の智香「……」ガボゴボ
茜「…??、???」
30 :
泉「では改めて」
泉「あなたが落としたのは、金の若林智香さん?それとも、銀の若林智香さん?」
金の智香「ど、どうも〜?」
銀の智香「…呼吸って素晴らしいですね☆」
友紀「…」
茜「…????」
31 :
友紀「増えてるぅ!!?」
茜「智香ちゃんも2人いたんですかっ!?」
友紀「…"も"って何?茜ちゃん」
金の智香「あ、あはは…相変わらず、ちょっとだけズレてるっていうか…」
泉「どっち?金or銀」
銀の智香「アタシ、空気の美味しさに気付けましたっ!」
泉「…それは良かったね」
32 :
友紀「……タイム!」
泉「タイムなし」
友紀「ひどいっ!?」
泉「だって、どっちか答えるだけでしょう?」
友紀「そりゃそうかもしれないけど…頭の整理が…!」
茜「…はいっ!」シュバッ
泉「はい茜さん早かった。どうぞ」
友紀「ちょ、ちょっと茜ちゃん?」
33 :
茜「…大丈夫です、友紀さん。どう答えるのが正解か…私、知っています!」
友紀「…っ!本当?」
茜「はい!答えは…」
銀の智香「ねえ。水の中、どうだった?」
金の智香「アタシ、すぐ出てきちゃったから…」
銀の智香「小学校のプールの授業思い出したよ、アタシっ♪」
34 :
茜「どちらでもありません!」
泉「…」
茜「私達が落とした…」
茜「というよりっ!落ちてしまった智香ちゃんは!」
茜「友紀さんのバットを抱えた、普通の智香ちゃんですっ!!」
友紀「…」ゴクリ
金の智香「普通って何だろうね?」
銀の智香「うーん…?」
35 :
泉「…うん、正解」
友紀「おぉっ」
泉「あなた達は、とっても正直なんだね」ニコ
友紀「やったね茜ちゃん!」
茜「…やりましたっ!」
泉「ふふっ。正直な人、私は好きだよ」
友紀「ということは…っ!」
泉「そうだね、正直者には…」
36 :
泉「普通の若林智香さんと、金色の若林智香さんと、銀色の若林智香さん。全部あげちゃう」
友紀「えっ」
茜「あっ」
智香「…ぷはっ」バシャ
金の智香「あ、普通のアタシだ」
銀の智香「光っていませんねっ」
37 :
泉「じゃあね」
スー
友紀「や、ちょっ、ちょっと待って…」
茜「智香ちゃんが、一気に3人に…!?」
智香「……えっ?これは?」
金の智香「どうも〜…」
銀の智香「増えちゃったね」
友紀「えぇ…ナニコレ…」
38 :
――

友紀「…状況を、整理しよっか」
茜「はいっ」
友紀「あたしの目が間違ってなければ…智香ちゃんが、」
智香「ちょっと溺れてる間に、何が…」
銀の智香「うーん…一言では説明できないかな」
金の智香「だよね。どうしたものかなぁ…」
友紀「…3人」
茜「3人ですね!」
39 :
友紀「智香ちゃんは…智香ちゃんだね」
茜「バットはもう持っていません!普通の智香ちゃんですっ!」
友紀「普通って何だっけ」
友紀「金の智香ちゃんは…何というか」
茜「縁取りが、ほんのり金色です!」
友紀「SRの枠みたいだね」
茜「対する銀の智香ちゃんは、これまた縁取りが銀色にキラキラしています!」
友紀「Rの枠みたいだ」
茜「こうして金とか銀とか言っていると、チョコボールを思い出しますねっ!」
友紀「あ、懐かしい。あたし、いちごのヤツ好きだったなー!」
40 :
友紀「……いや意味分かんないよっ!!」
茜「友紀さん!?」
友紀「泉ちゃんの泉だってそもそもよく分かってないのに!どういうこと!?」
銀の智香「泉ちゃんがね、噴水の精霊で…」
金の智香「いや、女神って言ってなかった?」
銀の智香「あれ?そうだったっけ」
智香「それでそれで?」
友紀「向こうは向こうでなんか仲良くなってきてるし!」
41 :
茜「お、落ち着いてください友紀さんっ!」
友紀「落ち着いてなんかいられないよ!頭パンクしそうだもん!」
友紀「金とか銀とか何なんだよぅ!なんでほんのり光ってるの!?キラキラ棒じゃないんだからさぁ!!」
茜「友紀さん!それはサイリウムです!」
友紀「ゴメン茜ちゃん!それは今どうでも良いんだ!」
金の智香「かくかくしかじか」
銀の智香「チアチアボンボン!」
智香「…なるほどっ」
金の智香「さっすがアタシ!」
智香「えへへっ」
銀の智香「ユニットパワーですねっ☆」
友紀「チアボン関係ないじゃん!今あそこだけ智香ちゃん3人のユニットじゃんっ!!」
42 :
金の智香「え、そんな…」
智香「アタシがユニットに必要ないってことですか……?」
友紀「あっ…いや、ちがっ」
銀の智香「ちょっと、ひどいです…」
茜「…友紀さんっ」
43 :
友紀「…そういうつもりじゃなくって、あたしは……っ」
茜「3人になっても、智香ちゃんは智香ちゃんなんですよ…っ?」
友紀「…っ!…そう、だよね」
友紀「ゴメンね、智香ちゃん…!」
智香・金の智香・銀の智香「「「友紀さん…!!」」」
友紀「シンクロしないで!!これじゃステレオどころかサラウンド智香ちゃんだよ!!!」
44 :
友紀「…っていうかさ!智香ちゃんが増えてるってのに、なんでみんな自然に適応できてるのさっ!?」
金の智香「…それ、友紀さんが言いますか?」
友紀「へぁ!?ど、どういうこと?」
銀の智香「前に友紀さんが増えた時も、アタシたち大変だったんですよ?」
友紀「はぁ?前って……」
友紀「…あっ!あたしが寝てる間に、みんなして増えてたとか何とか言ってた、アレ!?」
茜「それです!」
智香「まぁ、あの時も茜ちゃんが一番順応が早かったんだけどね…」
45 :
友紀「嘘…。あれ、てっきり冗談か何かだと思ってたのに…」
金の智香「嘘なんか付きませんよっ!」
友紀「いや、だって…」
銀の智香「だってじゃないですっ!あの時のこと、やっぱり信じてくれてなかったんですね?…」
茜「智香ちゃんも、自分が増えてることに対して違和感ないんですねっ!」
智香「…アタシは、まだちょっとだけ怖いけどね。あっちの2人は、そうでもないみたいで」
茜「ほほう!考え方も、ちょっとずつ違うんですかっ」
智香「うん。でも、実際目の前にしても、鏡を見てるみたいで割と平気っていうか。あ、こんな感じか〜…って」
友紀「(なんでピカピカ光ってる智香ちゃんに挟まれてお説教食らってるんだろ、あたし…)」
46 :
友紀「……うん、分かったよ」
茜「友紀さん?」
友紀「とりあえず、ありのまま目の前の光景を受け入れる」
友紀「今はあたしも、自分の目で見たものしか信じない!」
銀の智香「…!」
友紀「あたしだけ出遅れてるようじゃ、ダメだよね?最年長なんだし、ここはあたしがしっかりしなきゃ…!」
智香「…じゃあ!」
友紀「うん!」
47 :
友紀「智香ちゃんを、元に戻して…、」
友紀「…戻すって言い方で、合ってるのか分かんないけど」
友紀「とにかく!今日は3人で、事務所に帰ろう!」
友紀「あたしたち、3人揃ってチアフルボンバーズでしょ!?」
茜「おぉーっ!」
金の智香・銀の智香「「友紀さん!!」」
友紀「あっごめん。同時に話しかけるのは、まだちょっと勘弁してくれないかな…」
茜「…台無しですっ」
智香「まぁ、らしいと言えば…」
48 :
ペカーー
茜「…ややっ!また井戸が光って!」
金の智香「井戸じゃなくて噴水だよ、茜ちゃん…」
ザバー
泉「どうも。また会ったね」
友紀「あっ!泉ちゃん!」
49 :
金の智香「どうしたんですか?」
銀の智香「アタシたち、何も落としてないよ?」
智香「忘れ物?」
泉「…うん。同じ顔で喋ってるの、ちょっと不気味だね」
友紀「誰のせいだと思ってんの!」
泉「おまけにほんのり光ってるときたものだ」
友紀「だからー!」
50 :
泉「…もう、うるさいな。そんなに騒がしいと、返してあげないよ?」
智香「返す?」
茜「やっぱり、忘れ物だったんですかっ?」
泉「うん。さっきボールが何とかって言ってたの、思い出してさ。探してみたんだ」
友紀「…えっ?もしかして…」
泉「あの辺に1つ転がってたから。これかなって」
友紀「あー!それ、あたしのボールだよ!やったー!!」
金の智香「良かったですね、友紀さんっ!」
泉「…という訳で」
51 :
泉「あなたが落としたのは、どっち?」
友紀「…えっ」
泉「キャッツで大活躍、サカモト選手のサインボールと、」
友紀「ふあっ!?」
泉「この"カトーリョーゾー"って書かれたよく分からないサインボール」
智香「…いやいや!それサインボールじゃありませんからっ!」
茜「なぜそんなボールが水溜まりに…っ?」
智香「…茜ちゃん、水溜まり呼ばわりは流石に…」
52 :
友紀「はい!はいっ!」
泉「友紀さん、どうぞ?」
友紀「サカモト!あたし、サカモトのサイン超欲しい!!」ピョンピョン
茜「あっ」
智香「えっ」
泉「…本当に?」
友紀「うん!」
智香「ダメだ…完全に、目が野球モードになってる」
茜「一足遅かった…!」
53 :
泉「…」ハァ
泉「…うそつき」
スー…
友紀「えっ、あれっ」
54 :
茜「友紀さん…」
友紀「わー!タンマ、今のなし!ボール返して!泉ちゃーん!」
智香「こればっかりは…」
茜「…ドンマイ!」
友紀「あ た し の ボ ー ル ー ッ ! ! 」
55 :
――

友紀「ボール……」ズーン
茜「何と声をかけたら良いか…」
智香「…友紀さん。そんなところに体育座りしてたら、汚れちゃいますよ…?」
友紀「…放っといてよぉ」
友紀「どうせあたしは…欲にまみれた、汚い女だもん…」メソメソ
金の智香「…これは」
銀の智香「重症ですね…」
56 :
智香「…友紀さんは、汚い女なんかじゃありませんよ?」
友紀「…」
智香「さっきは、ちょっと素直すぎただけです。サインボール、欲しかったんですよね」
友紀「……」
智香「なら仕方ないですって!ボールなら、また別のを用意すれば良いじゃないですかっ☆」
友紀「……ボール、」
智香「えっ?」
57 :
友紀「あのボール…プロデューサーから貰ったやつなんだ」
智香「っ!そ、それは…」
友紀「…こないだ、お仕事成功したご褒美にって。…あたしが我儘言って、帰りに1個だけ買ってもらったやつ…」
友紀「使う度に、毎回磨いて…冷蔵庫にもしまって…」
智香「(冷蔵庫は関係ないんじゃ…)」
友紀「大事にしてた、つもりだったんだけどなぁ…」
智香「うーん…」
58 :
智香「…どうしよう、茜ちゃん。友紀さん、けっこう参ってるみたいだよ…」
茜「…っ!」キッ
智香「?茜ちゃ…」
茜「智香ちゃん!!」
智香「ひゃ、ひゃいっ!?」
茜「あ、すみません!智香ちゃんというのは、あなたではなく!」
智香「…へ?」
59 :
茜「そちらのっ!金と銀の智香ちゃんの方です!」
金の智香「…」
銀の智香「…」
智香「え?…えっ?アタシじゃないって…そっち?」
60 :
茜「先程の、ボールの件を見ていて、思ったことがあります!」
智香「はぁ…?」
茜「智香ちゃん。金の斧のお話の、続きを知っていますか」
智香「続き…?えっと…確か、もう1人の木こりが泉にやってきて…」
茜「そう。欲に目が眩んだ別の木こりは…嘘をついた結果、自分の斧も取り上げられる!」
友紀「うぐっ」
智香「ちょっ、ちょっと茜ちゃん…」
茜「分かっています!…すみません、友紀さんを叱咤するつもりではありません!」
61 :
茜「友紀さんだって、決して欲望に囚われたワケではありません!」
茜「私の知ってる友紀さんは、そんな心が汚れた人間じゃないからっ」
友紀「…」
茜「ちょっと…ほんのちょっとだけ、盲目になってしまっただけです!」
友紀「茜ちゃん…」
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