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【ミリマス】のり子「求ムVS マイ・リーズン」


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reason
和訳 理由、理性
※百合注意
書き溜めあり
2:以下、
紗代子 「えへへ、のり子さん大好きです」
アタシに抱きついて顔を擦り寄せてくる紗代子。香ってくる甘い匂い。外れそうな理性のタガ。今すぐに抱きしめたい気持ちを周りの視線でなんとか抑えている。
どうしてこんなことになっているかを説明するには少し時間を巻き戻す必要がある。
3:以下、
「さよちんが大変!」という海美からのメッセージがアタシの携帯を震わせた。見るや否や、アタシはバイクのエンジンキーを手にとって家から出ていた。海美の言葉だけじゃ何が起きているかわからない。でも、駆けつけなければならない。
劇場までの道すがら、何が起きているのか頭の中でぐるぐる考える。一番安心できる事態は、誰かが紗代子の鯛焼きを食べちゃってその火消しを押し付けられているパターン。
逆に安心できないパターンは…、考えるのはやめよう。とにかく今は駆けつけるべき。
アタシが間違えて事故など起こさないように安全運転は忘れずに。
4:以下、
劇場の控え室のドアを開けると、みんなの視線が一瞬でアタシに集まった。正座している莉緒さんとこのみさん。ふたりの前に、笑顔なのに、なんでかすっごい怖い雰囲気をまとっている歌織さん。ソファで体育座りしている涙目の環に、懸命に慰めている海美。
そして、そして、今まで見たことがないにやけ顔で、ふらふらと踊っている紗代子。
え?え?何この状況?アタシが予想していた事態にはどれも似ていなくて、呆然としたアタシはドアノブを握ったまま立ち尽くしていた。
5:以下、
紗代子 「あ!のり子さんだ!」
アタシを見つけた紗代子がすっごい嬉しそうな顔をして近寄って来た。…と、思ったら全く止まる気配がなくてそのままアタシの胸にダイブ。戸惑うアタシと頬を桃色に染めている紗代子。何この状況!?何この状況!?
海美 「のりさん!来てくれたんだ!」
のり子「海美!何この状況!?説明して」
そう言いながら、紗代子をどうにかして引き剥がす。
6:以下、
紗代子「のり子さん、私のこと嫌いなんですか?」
えぇ、どうしよう。助けを求めて海美を見ると「ハグして、ハグ」と小声で囁いてくる。
のり子「…おいで、紗代子」
瞬間、紗代子がまた笑顔になって飛び込んでくる。紗代子ってこんないい匂いしてたっけ?いや、普段も女の子らしいいい匂いしているけど、なんていうか、本能に直接訴えかけてくる匂い。理性を狂わせる匂い。まずい、まずいよ。
7:以下、
海美 「ええとね、話すとちょっと時間かかるけどね」
小一時間前
環 「レッスン楽しかったぞー」
歌織 「あらあら環ちゃん、お疲れ様」
紗代子「歌織さんもお疲れ様です、確か営業のお仕事でしたよね」
歌織 「ええ、そうよ。ふたりはダンスレッスンだったわよね」
環 「さよことうみみと一緒に頑張ったぞ」
歌織 「ふふ、環ちゃん偉いわ。あれ海美ちゃんは?」
紗代子「動き足りないらしくて、走りに行っちゃいました」
8:以下、
歌織 「海美ちゃんは元気ね。私も見習わなくちゃ」
環 「冷蔵庫にジュース入ってたー。ふたりも飲むー?」
紗代子「ありがとう、環ちゃん。手伝おっかー?」
環 「たまきひとりで大丈夫―」
歌織 「それじゃあお願いねー環ちゃん」
環 「うん」
歌織 「環ちゃん、本当に可愛いわよね(恍惚」
紗代子「?はい、とっても可愛いです」
9:以下、
環 「おまたせー」
歌織 「ありがとう環ちゃん。とっても偉いわ」
環 「くふふ。どういたしましてだぞ」
紗代子「いただきます、環ちゃん」
10:以下、
環 「環も飲もー」
歌織 「それじゃあ私も…?…!待ってふたりとも」
環 「どうしたの!?かおり?」
歌織 「環ちゃん、これどんなジュースだった?」
環 「…?大きなペットボトルに入ってて『レモン』って書いてあったぞ」
歌織 「環ちゃん、ちょっと飲まないで待ってて貰っていい? …やっぱり。環ちゃん、これね、紛らわしいけどお酒なの。だから、環ちゃんは飲んじゃいけないの。ここ見える?わかりにくかったけどお酒って書いてあるわ」
環 「ほんとだ。全然気づかなかったぞ。ごめんね、かおり」
歌織 「環ちゃんは悪くないわ。いけないのはこんなものをこの冷蔵庫にいれている人だから」
環 「うん。…あれ?そういえばさよこは?」
歌織 「!?」
11:以下、
海美 「っていうわけ」
のり子「何してるの!?莉緒さんもこのみさんも!?」
このみ「返す言葉もありません」
莉緒 「いつもはこんなことしないのよ。ただ、今日は運良くコンビニのくじの景品で当たったからテンション上がっちゃってつい」
歌織 「つい、で済んだら警察も自衛隊もいらないのよ、莉緒ちゃん?」
歌織さんの迫力ヤバすぎるよ。怒らせたくない人候補1位か、2位には入るね。で、いつもなら怒らせたくない人候補1位の方といえば
12:以下、
紗代子「のり子さん温かいです」
ああ、そんなにぐりぐり頭を擦りつけないで、変な気分になっちゃうじゃん!
海美 「のりさん、さよちんを任せたよ。私は環を元気にするから。ね?環、いつまでも落ち込んでないで外に遊びに行こう?一緒に石切りしよっか?それともアスレチックまで行く?うん、行こっか。じゃあ、のりさんどうにか任せたよ」
どうにかってどうすればいいのさ。ってもう行っちゃったし。……やばい。海美がいなくなったから会話で逃げれなくなった。どうすればいいの?ああ、もう、素直に甘えられたことなんてないから調子狂うよ。
13:以下、
紗代子「のり子さん、こっち向いてくださいー」
紗代子の声で思わず、顔を向ける。近づいてくる紗代子の顔。眼鏡の向こうで潤む瞳。今にも触れ合いそうな唇。
のり子「って、危な!」
ぎりぎりで顔を背け、紗代子の唇はアタシの頬に着陸する。うわぁすっごい柔らかい。…違う違う。
紗代子「なんでチューさせてくれないんですかぁ?」
のり子「え、なんで逆にキスしようとしたのさ?」
紗代子「そんなののり子さんが好きだからに決まっているじゃないですかぁ!」
ちょっとキレ気味に尋ねたら、逆に怒られちゃったよ。というか、そんなまっすぐ愛の告白しないでよ。ああ、もう絶対アタシの顔真っ赤だよ。紗代子の方は酔っているからいいかもしれないけどね、こっちは完全に素面なんだよ。…ずるいよ。
14:以下、
紗代子「チューしてくれないんですか?」
のり子「ダメ」
紗代子「どうしてもですか?」
のり子「ダメ」
紗代子「のり子さん、私の鯛焼き食べたじゃないですかぁ!」
のり子「それは謝ったし、お詫びもしたよ!って危ない!」
反論しようと振り向くと、その瞬間にまた唇が近づいてきた。慌てて避けて頬で受け止める。うわぁ柔らかい。って違うってば。この子酔っ払っているのに策士だよ。
15:以下、
のり子「この酔っ払いどうしたらいいのさ?」
莉緒 「このみ姉さんがそうなったときは寝かせているわ。存分に楽しんだ後だけどね」
このみ「え、嘘!?私あんな風になってるの?」
歌織 「ふたりとも反省しているんですか?」
歌織さんに怒られて、ふたりはまたしゅんとする。とりあえずふたりのお仕置きは歌織さんに任せておこう。寝かすなら、仮眠室かな。
16:以下、
のり子「ほら、紗代子仮眠室行こう?少し寝れば良くなるよ」
紗代子「のり子さんがチューしてくれるまで動きません」
ああ、もうこの子は酔っても頑固なとこは変わらないのか。仕方ないなぁ。
のり子「じゃあ、無理やり連れて行くよ」
紗代子「え?ってきゃあ!何するんですか」
のり子「何ってお姫様抱っこ」
抱きかかえた紗代子は、急なことにびっくりしたのか途端にしおらしくなってアタシの首にしがみついて動かなくなった。
17:以下、
今がチャンス。そう思って歌織さんに「紗代子を仮眠室に連れて行きます」と言って控え室を出た。背中に莉緒さんとこのみさんの泣き声が聞こえてきた気がしたけど、きっと空耳。気にせずに廊下を歩いて行く。
運良く誰にも見られないで仮眠室にたどり着いて、ベッドの上に紗代子を下ろす。ベッドの上に寝かされた紗代子は肌がお酒と興奮のせいで桃色に上気していて、荒い息遣いがいけない気持ちにさせる。アタシの理性は初めて控え室に入ったときからどんどん弱っていって、今では本当に最後の糸が切れる寸前だった。
早くここから出なきゃ、急いで、紗代子の方を見ないで。そう思っていたのに、酔っ払っている人をほっといちゃまずいんじゃって考えが頭に浮かんで、紗代子の顔をじっと見てしまった。
潤んだ綺麗な目。二回も頬に落とされた唇。その唇が動いて「のりこさん、だいすき」なんて言うから、頭の中で糸が切れる音が聞こえちゃった。
18:以下、
気づいたらアタシの唇は紗代子の唇に重なってた。頬で感じたよりもずっと柔らかくて、レモンの香りがしたけど、これはきっと飲んでしまったお酒のせい。
唇を離すと、紗代子の顔は真っ赤に染まっていて、きっとアタシの顔も真っ赤に染まっていて、アタシも酔ってしまったのか、熱に浮かされたように頭がふらふらした。
紗代子「のり子さん大好きです。大好きです」
のり子「アタシも」
また唇を重ねていた。紗代子が動いてベッドの上にスペースを作るからアタシはそこに雪崩れ込む。
バイクで来ちゃったから酔いを冷まさなければいけない。たとえお酒で酔っていなかったとしても。それまで二人で並んで眠っていよう。ここは劇場の仮眠室。キス以上のことはしてはいけない。なんとか理性を取り戻さないと。そう思うんだけど、目を開くたびに紗代子の顔があってどうにもまずい。
とりあえず誰か止めに来てくれないかなぁと思うある日の劇場の1日。
19:以下、

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