男「炭酸抜きコーラ屋?」店主「いらっしゃいませ……」back

男「炭酸抜きコーラ屋?」店主「いらっしゃいませ……」


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1:
≪炭酸抜きコーラ≫
男「今日も課長に叱られてばかりだったな……」
男「仕事は人一倍、一生懸命やってるつもりなのに……ん?」
男(こんなところに店が……なになに、≪炭酸抜きコーラ屋≫?)
男(こんなもん商売になるのか? どれ、入ってみるか……)
ギィィ…
 
3:
オイオイオイ
 
4:
―炭酸抜きコーラ屋―
店主「いらっしゃいませ……」
接客娘「空いてるお席へどうぞー!」
男(へえ、中はちょっとしたバーみたいになってるのか……)
男「ここでいいかな」ストッ
店主「……ご注文は?」
男(気が抜けたような喋り方する店主だな)
男「えぇと、炭酸抜きコーラを」
店主「かしこまりました。冷蔵庫からコーラ取ってくれ」
接客娘「はい、マスター!」
男(マスターって大げさな……まるでごっこ遊びだな)
 
5:
店主「…………」シャカシャカシャカ
男(コーラの入った瓶をシェイクしてる……結構さまになってるな)
男「あのー」
接客娘「はい?」
男「炭酸抜きコーラ屋なんて、本当に商売になるんですか?」
接客娘「なりますよー! マスターの作る炭酸抜きコーラは絶品なんですから!」
男「はぁ……(誰が作っても味なんか変わらんだろ)」
店主「…………」シュワシュワシュワ…
男(うお、すごい泡だ)
トクトクトク…
店主「どうぞ」スッ
男(こうしてグラスに入れて出されると、たしかにかなりうまそうに見えてしまう)
 
6:
サイドメニュー: 特大タッパ入りおじや バナナ1房
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7:
男「いただきます」ゴクッ
男「おお……うまい! 甘くて、ノドごし滑らかで、普通のコーラとはまた違ったおいしさだ!」
接客娘「でしょう?」
男「炭酸を抜いたコーラがこんなにおいしいものだとは知らなかった……!」
店主「お客さん」
男「は、はい」
店主「あなたは……少し力が入りすぎなんじゃないですか?」
店主「たまには力を抜いた方がいいですよ……このコーラのように」
男「あっ……!」
 
9:
飲みたい
 
10:
ゴキュゴキュゴキュ…
男「ぷはっ、うまかった!」
男「店主さんの言う通りですね! 今までの俺は力が入りすぎてたのかもしれません!」
男「じゃ、これコーラ代」サッ
接客娘「ありがとうございます!」
男「ごちそうさまでした、また来ます!」
接客娘「お待ちしてまーす!」
バタン…
店主「…………」
接客娘「…………」
 
11:
死ぬわアイツ
 
12:
接客娘「あの人……“他の品”と必要としてくれなくて残念でしたね」
店主「だが、あの人はきっと常連になる」
店主「そうなれば、いつか必ず来るさ。他の品を欲する時が……この店の本当の姿を知る時が」
接客娘「ふふふ……そうですねえ」
― 終 ―
 
13:
≪主人公抜き台本≫
―稽古場―
俳優「参ったな……本番まで時間がないってのに、主演のあいつが倒れてしまうとは……」
俳優「誰が代役をやるか、急いで決めないと……」
仲間A「だったら、俺が主演やるよ! やらせてくれ!」
仲間B「いや、このオレが!」
仲間C「ぼくがやる!」
俳優(今度の劇は、大勢の業界人の前で演るから、みんなチャンスをものにしようと殺気立ってる)
俳優(どうすればいいんだ……)
 
14:
―炭酸抜きコーラ屋―
店主「いらっしゃいませ……」
接客娘「空いてるお席へどうぞー!」
俳優(劇をどうするか悩んでるうちに、ふらふらと変な店に迷い込んでしまった)
俳優(ま、こういう時こそ甘い物が必要なのかもしれないな)
俳優「じゃあ、炭酸抜きコーラを」
店主「かしこまりました」
シャカシャカシャカ… シュワワワワ…
 
16:
トクトクトク…
店主「……どうぞ」スッ
俳優「…………」ゴクッ
俳優「ほう、うまいもんだなぁ」
店主「ありがとうございます」
店主「ところで……お客さんは演劇かなにかを?」
俳優「! ……よく分かりましたね」
店主「日頃から発声練習をしてるような、よく通った声をしてらっしゃいますから」
接客娘「どこか劇団に所属してらっしゃるんですか?」
俳優「ええ、まあ。小さな劇団ですがね」
 
18:
俳優「しかし……今、ちょっと揉めていましてね」
接客娘「というと?」
俳優「私たちの劇団に、先日大きなチャンスが舞い込みましてね」
俳優「大勢のドラマや演劇関係の業界人の前で、一つ劇をすることになったんです」
接客娘「すごい! 大チャンスですね!」
俳優「みんな、一丸となってチャンスをモノにしようと盛り上がってたんですが……」
俳優「不運にも、主演の役者が倒れてしまいましてね」
俳優「そしたらみんな、ここぞとばかりに自分が主演をやる、と言い出し始めて」
俳優「せっかくまとまってた劇団が、すっかり殺伐としてしまって……」
俳優「こんなバラバラでは、チャンスをモノにするどころか、演劇どころではありません」
俳優「一体どうしたらいいのか……」
接客娘「大変ですねえ……」
店主「…………」
 
19:
店主「でしたら、この台本を使ってみては?」スッ…
俳優「なんですか、これ?」
店主「読んでみて下さい」
俳優「どれどれ……」ペラ…
俳優「ふむ……ほう……うん……。これは面白い……!」
店主「いかがです?」
俳優「これはすごい台本ですね!」
俳優「ストーリーが面白いだけでなく、登場人物全員がみんな同じぐらいの存在感になってる!」
店主「その通りです。その台本には、一人だけ目立つ“主人公”がいないのです」
店主「いうなれば全員主人公……いや、≪主人公抜き台本≫とでも申しましょうか」
店主「しかも、セリフや振り付けもそこまで多くないので、少ない練習でも十分演じられます」
俳優「≪主人公抜き台本≫……まさに今の私たちにうってつけだ!」
 
20:
俳優「ぜひこの台本を使わせて下さい! お願いします!」
店主「どうぞ……」
接客娘「これで一安心ですね!」
俳優「はい、この店に入ってよかった……」
店主「しかし……この台本の難しいところは、配役のうち一人でも目立とうとしてしまうと」
店主「劇全体のバランスが崩れてしまうところにあります」
俳優「たしかに……」
店主「くれぐれもそうならないように……」
店主「劇団の皆さんが、誰も主人公にならないように心がけて下さい」
俳優「分かりました。仲間にもそう伝えておきます」
 
21:
―稽古場―
ワイワイ…… ガヤガヤ……
仲間A「≪主人公抜き台本≫? へぇ〜、よくできてるな、これ」
仲間B「たしかにこれなら、配役で揉めることはないな!」
仲間C「しかも、この劇団の役者全員を平等にアピールすることができる!」
俳優「だろう?」
俳優「みんなが互いに目立とうとしなければ、最高の劇ができるはずだ」
俳優「さあ、≪主人公抜き台本≫をもとに練習だ!」
オーッ!
 
23:
上演当日――
―劇場―
仲間A「いよいよだな……観客はみんな、名うての業界人ばかりだ」
仲間B「短期間とはいえあれだけ猛特訓したんだ、絶対上手くいくさ」
仲間C「そうだよね!」
俳優(私はあの店主さんに台本をもらってからというもの、シナリオを熟読した)
俳優(そして……あの台本の秘密に気づいた)
俳優(私の目論見通りにいけば……)
ワイワイ…… ガヤガヤ……
俳優「ただいまより、我が劇団の演劇を開演いたします! どうぞご覧下さいませ!」
 
24:
上演開始――
仲間A「ってことは……!」
仲間B「このコーラを飲んだのはお前か!」
俳優「その通りだよ! この私が飲んだのさぁぁぁ!」ビシッ
仲間A(こいつ……!?)
仲間B(さっきから自分一人だけ目立つように演技してやがる!)
俳優「私が……イッキ飲みしてしまったのさぁ!」グワッ
俳優(この台本は登場人物全員が絶妙なバランスで同じぐらいの存在感を持つようにできている)
俳優(しかし、隠された側面もあった)
俳優(もし誰かが他の人間を出し抜こうと、演技を過剰にすれば――)
俳優(その演者は普通の劇で主演をやる時以上に輝くことになると!)
俳優(他の奴が今から気づいてももう遅い。とっさに練習と違う演技はできないからな)
俳優(この劇の主人公はこの私だ!)
 
25:
ワアァァァ…… パチパチパチ……
監督「君!」
俳優「はい?(おおっ、数々のヒットドラマを生み出してる名監督じゃないか!)」
監督「今の演劇、君だけ特異な存在感を放っており、非常に素晴らしかった!」
監督「ぜひ、今度私が作るドラマの主演になってくれたまえ!」
俳優「やらせて下さい!」
仲間A「あ、あいつ……!」
仲間B「裏切りやがった……」
仲間C「彼があんな演技したら、彼以外目立たなくなるに決まってる!」
俳優(みんな悪く思うなよ……こういうしたたかさも、この業界では必要なのさ)ニヤッ
 
27:
―ロケ現場―
スタッフ「では最初のシーンの撮影を始めます! スタンバイして下さい!」
俳優「はい!」
俳優(≪主人公抜き台本≫のおかげで、あのチンケな劇団からやっと抜け出すことができた)
俳優(このチャンス、絶対逃さん!)
俳優(一躍有名になって、一気にスターダムを駆け上がってやる!)
ギシッ…
俳優「――ん?」
 
28:
ギシギシ…
「あぶないっ!」 「撮影機材が崩れるぞ!」 「逃げろーっ!」
グラァッ……
俳優「え?」
俳優「うわぁぁぁぁぁっ!!!」
ドガシャァァァァァン……
…………
……
 
31:
オイオイオイ
 
33:
―炭酸抜きコーラ屋―
テレビ『新作ドラマの撮影中に機材が倒れ……主演予定の俳優が……』
接客娘「あーらら、大変だ」
接客娘「マスター、この新作ドラマ、主人公がいなくなっちゃいましたねえ」
店主「あの台本で目立とうとしてしまったんだろうな……」
店主「ま……彼の代わりなんて、いくらでもいるさ。世の中そういうもんだ」
― 終 ―
 
36:
≪空気抜き風船≫
―炭酸抜きコーラ屋―
女「ちょっとぉ、なにがお洒落なバーよ! お酒ないんだってよ! なにやってんのよ!」
青年「うるさいな! 君だって、入ろう入ろうっていってたじゃないか!」
女「なんですってえ!?」
青年「耳元で怒鳴るな!」
接客娘「いやー……すごいカップルですね。さっきからずっと喧嘩してますよ」
店主「…………」シャカシャカシャカ
 
37:
店主「炭酸抜きコーラです、どうぞ」スッ
女「あ、どうも……」グビッ
青年「いただきます……」チビッ
女「あら、ふわっとした甘さでおいしいわ!」
青年「うん、うまい!」
接客娘(よかった、落ち着いたみたい)
女「なにがうまいよ! ホント、ボキャブラリーが貧弱なんだから!」
青年「そっちこそ、ふわっとした甘さって、適当こいてるだけだろ!」
ギャーギャーッ!
接客娘「あ〜……もう」
店主「収まるのを待つしかないな」
 
38:
青年「すみません……恥ずかしいところをお見せしまして」
女「ごめんなさい……」
接客娘「いやー、お二人ともコーラの泡よりもハジけてましたよ」
青年「ボクたち……これでも恋人同士なんですけど、つい喧嘩しちゃうんです」
女「それも、一度喧嘩になるとなかなか止まらなくて……」
接客娘「それじゃ、まともにデートもできないでしょうに」
青年「その通りです……。デート時間の八割は喧嘩してるような気がします……」
女「どうしたらいいのか……」
店主「でしたら、これを使ってみてはどうでしょう」ヒョイッ
 
39:
8割は凄いな
 
41:
青年「なんだこれ?」
女「しぼんだ風船だわ!」
店主「そう、これは≪空気抜き風船≫というものです。二人分、差し上げましょう」
青年「これが、いったいなんの役に立つんです?」
店主「喧嘩したくなった時、これに息を吹き込んで下さい」
店主「すると、その気分を抑えることができるのです」
青年「へぇ〜」
女「すごーい!」
青年「そういや、ドラえもんにこんな道具あったなぁ」
女「なにがドラえもんよ! いい年して!」
青年「ハァ!? 男はいつだってドラえもんに憧れてるんだよ! いつか来ないかなって!」
女「あんたみたいな奴のとこにドラえもんが来るわけないじゃん!」
店主「喧嘩はその辺にして、息を吹き込んでみて下さい」
二人「は、はい」
プーッ!
 
42:
青年「あ……なんだかスッキリした」
女「ホント! ウソみたいに気分がやわらいだわ!」
接客娘「この風船を使えば、喧嘩せずにデートできますよ!」
青年「はい、ありがとうございます!」
女「ありがたく使わせてもらいます!」
店主「ただし、あくまで風船ですので……空気の入れすぎにご注意を」
 
43:
ほう 空気抜き風船ですか
 
44:
……
…………
女「ごめん、待った?」
青年「遅いぞ、五分遅刻だ」
女「だからごめんっていったじゃん!」
青年「謝りゃいいってもんじゃないだろ! ……おっと」
青年「風船に息吹き込もう」
女「うん」
プーッ!
女「あー、スカッとした」
青年「スカッとしたところで、デートといこうか」
 
45:
女「さっきの映画、面白かったね〜」
青年「そうか? ボクはイマイチだったな。クライマックスがご都合主義って感じで」
女「なによそれ! 評論家ぶって、水さすようなこといって!」
青年「ボクは正直に感想をいっただけだ!」
女「ちょっと待って、風船使いましょ」
青年「そうだな」
プーッ!
 
47:
カチカチッ カチカチッ バキッ ドカッ ドカーンッ
青年「よっしゃ、ボクの勝ちだ! ざまあみろ!」
女「そんなハメ技で勝って嬉しい? 男らしくないんだから!」
青年「対戦ゲームに男らしいも女らしいもあるかよ!」
女「あぁ、そっか。自分に自信がないから、ゲームでムキになるしかないのね!」
青年「なんだとォ!? いけないいけない……風船を膨らまそう」
女「うん」
プーッ!
…………
……
 
48:
―炭酸抜きコーラ屋―
接客娘「マスター」
店主「ん?」
接客娘「今までの傾向からいって、今日あたりじゃないですか?」
接客娘「あの二人の風船が破裂してしまうのは」
店主「おそらくな」
接客娘「いったいどんな“二人の溜め込んだもの”が飛び出すか、楽しみですねえ……」クスクス
店主「…………」
 
49:
青年「なんか……この風船、どんどんでかくなってないか?」
女「たしかに……そろそろヤバイかも」
青年「でもしょうがないよな。これ使わないとケンカになっちゃうんだから」
女「うん、あと一回ぐらい大丈夫よ」
青年「よし、空気を入れて落ち着こう。せーの」
プーッ!
パァンッ!!! パァンッ!!!
 
50:
青年「破裂した……!?」
女「しかも同時に……!」
プシュゥゥゥゥゥゥ…
青年「中からなにか飛び出してきたぞ!」
女「ちょっとォ! どうにかしてよ!」
青年「ボクにいわれても困るっての!」
モワァァァァァ…
 
51:
『どうしてボクはいつも素直になれないんだろう』
『彼女のことをこんなにも愛してるのに、絶対服従してもかまわないくらい好きなのに』
『ついつい憎まれ口を叩いてしまう』
『ああもう、好き好き好き好き好き好き! 大好き好き好き好き好き好き!』
『喧嘩でもしてないと、とても自分を抑えられない!』
『今すぐ抱きつきたい! こっちから押し倒しちゃいた〜い!』
青年「うわぁぁぁぁぁっ! ボクの本音が……だだ漏れに……!」
女「やめてぇぇぇぇぇっ! 恥ずかしいぃぃぃぃぃっ!」
 
52:
―炭酸抜きコーラ屋―
青年「――ってわけで、ボクたちすっかり仲良くなっちゃいました」
女「もう、喧嘩なんかしませ〜ん」
ベタベタ… イチャイチャ…
接客娘「いやぁ〜、まさかこうなるとは思いませんでしたね。結構なことですけど」
店主「暑いな……こんな日は冷たい炭酸抜きコーラに限る」
― 終 ―
 
54:
≪ワサビ抜き寿司≫
―炭酸抜きコーラ屋―
接客娘「この時間はほとんどお客さんも来ませんねえ」
店主「……ああ」
接客娘「そういえば、マスターは嫌いなものってあります?」
接客娘「あたしはどうしても、カボチャが苦手なんですよね」
店主「俺の嫌いなものか……。俺はな……」
 
55:
ギィィ…
母「こんにちは」
少年「…………」
接客娘「あ、お客さんだ。親子みたいですね」
接客娘「いらっしゃいませー!」
店主「いらっしゃいませ……」
 
56:
店主「ご注文は?」
母「この店のことはウワサで聞いたわ」
母「炭酸抜きコーラ以外にも、さまざまな商品を扱ってるんですってね」
店主「ええ……」
接客娘「なにかお悩みなことがあるんですか?」
母「この子の魚嫌いを直していただきたいのよ」
少年「…………」
接客娘「お魚嫌いなの?」
少年「……うん」
 
57:
お次は寿司か!
 
58:
接客娘「でも、食べ物の好き嫌いは無理に直そうとしない方がいいんじゃ?」
接客娘「アレルギーなんかも怖いですし」
母「この子に魚アレルギーはないから大丈夫」
母「それにこの子、魚を食べられないことを学校でからかわれちゃったみたいで」
母「本人も食べたいとは思ってるみたいなんだけど……どうしてもダメなのよ」
少年「魚……食べれるようになりたい」
接客娘「ふーむ、難問ですねえ」
接客娘「どうしましょ、マスター?」
店主「でしたら≪ワサビ抜き寿司≫をどうぞ……」スッ…
 
59:
店主「イカとマグロとサーモンだ」
店主「坊や、これを食べてみるといい」
少年「うん……」モグッ
少年「わぁっ、おいしい!」
母「まぁ! こんなあっさりと!」
少年「おいしい! おいしい! いくらでも食べられるよ!」パクパク
母「どうしてなの? 他の魚料理はどうしても食べられなかったのに……」
店主「子供に魚のおいしさを教えるなら、なんといっても≪ワサビ抜き寿司≫に限りますからね」
接客娘「サビ抜きってやつですね!」
 
60:
この店主、出来る!
 
61:
店主「試しに他の魚料理も食べてみるか」サッ
接客娘「作るの早っ!」
少年「うんっ! ぼく、いくらでも食べれるよ!」
モグモグ… パクパク…
接客娘「わぁ、すごい食欲。どうやら、魚嫌いを克服してくれたみたいですね!」
母「ありがとうございます……!」
店主「じゃあお祝いに、俺のとっておきを作ってやろう……」シャカシャカシャカ
店主「炭酸抜きコーラだ」
少年「いただきます」グビッ
接客娘「どぉう?」
少年「……うーん。あまりおいしくない。ぼく、普通のコーラのが好き」
店主「そうか」
接客娘(マスターの炭酸抜きコーラは絶品だけど、たまにはこういうお客さんもいるよね)
 
63:
店主「これを食べてみろ」サッ
少年「なにこれ? 緑色のお寿司だ! きれーい!」
接客娘(あれ……? あんな色のお寿司あったっけ?)
少年「いただきまーす!」パクッ
モグッ…
少年「!!??」
少年「びええぇぇぇぇぇっ!? 鼻がっ! 鼻がツーンとするよぉぉぉぉぉっ!」
 
65:
接客娘「あーあ、魚嫌いを克服させてあげたのに、お客さん怒って帰っちゃったじゃないですか」
接客娘「どうして、ワサビの塊の寿司なんか出したんです?」
店主「……そういえば、さっきの質問にまだ答えてなかったな。答えてやろう」
店主「俺が嫌いなのは……炭酸抜きコーラを嫌いな奴だ」
接客娘(筋金入りだ、こりゃ)
― 終 ―
 
67:
≪タネ抜き手品≫
―舞台―
手品師「トランプで手品をしまーす! 新品のトランプをよく切って……」シャッシャッ
手品師「ゲ!? し、しまった……!」パラパラ…
子供A「まーたトランプ落としてる! ヘッタクソー!」
子供B「袖の中に、何枚かカード隠してあるし、あれがきっとタネだぜ!」
子供C「バレバレじゃん!」
キャハハハ……
手品師「トホホ……」
 
68:
先輩「ったく、また失敗しやがって。子供にまで笑われてたじゃねえか」
手品師「すみません……」
先輩「お前ってホント、不器用だよなぁ」
先輩「いいか? マジシャンってのはとにかく手先の器用さがものをいうんだ」
先輩「はっきりいってお前、この業界向いてねえぜ!」
先輩「まだ若いんだし、今の内に身の振り方を考えとくんだな」
手品師「はい……」
 
70:
手品師(たしかにボクは超人的に不器用だ……だけど、手品師は続けたい)
手品師(なにかいい手はないか……)
手品師「ん?」
手品師「炭酸抜きコーラ屋……? 寄ってみようかな」
―炭酸抜きコーラ屋―
店主「いらっしゃいませ……」
接客娘「いらっしゃいませー!」
手品師「炭酸抜きコーラをいただけますか?」
店主「かしこまりました」シャカシャカシャカ
手品師(すごいシェイクだ……きっとこの人は手先が器用なんだろうな)
 
71:
グビッ…
手品師「おお……おいしい!」
手品師「炭酸を抜いたコーラがこんなにおいしいだなんて! いったいどんなタネが!?」
店主「タネも仕掛けもございません……」
接客娘「お客さんのカバン、なにやらマジックの道具のようなものが入ってますね」
接客娘「あっ、もしかしてお客さんってマジシャンですか!?」
手品師「はい、一応……」
接客娘「だったら、手品を見せてもらえませんか!?」
手品師「分かりました……それではトランプの手品をやります」シャッシャッ
接客娘「やったぁ!」
 
74:
手品師「あなたが持ってるのは……スペードのエースですね?」ドヤッ
接客娘「違いますけど……」
手品師「そ、そんな!? あ、しまった! 手順を間違えた!」
手品師「はぁ〜……」
手品師「ボクはダメだ……こんな初歩の手品すらまともにこなせない……」
手品師「やっぱり……マジシャンは諦めて別の道に進むしか……」
手品師「でも……」
店主「諦めたくはない、と」
手品師「はい……手品で食べていくのは子供の頃からの夢でしたから」
店主「でしたら……≪タネ抜き手品≫をどうぞ」
手品師「タネ抜き手品……?」
 
76:
店主「手を出して下さい」
手品師「こうですか?」
店主「…………」ササッ
手品師「!」
店主「さぁ、これでもうあなたはタネなしで手品ができます」
手品師「ホ、ホントですか!?」
店主「試しに……そこにあるグラスに“消えろ”と念じてみて下さい」
手品師「は、はい……! 消えろ!」
パッ
手品師「消えた……!」
接客娘「おぉ〜、すごい!」
 
77:
店主「じゃあ今度は、出してみて下さい」
手品師「はい! グラスよ……出てこい!」
パッ
接客娘「出てきた!」
手品師「これはいったいどうなってるんですか!?」
店主「さぁ……タネも仕掛けもありませんから。俺にも分かりません」
店主「この力を使えば、きっとあなたは立派なマジシャンになれるでしょう」
手品師「そうですね……! やってみます!」
 
79:
―舞台―
手品師「花を消しまーす!」
パッ
手品師「今度は出しまーす!」
パパッ
オォ〜……!
パチパチパチパチパチ…
子供A「すっげー!」
子供B「どうやってるのか全然わかんねー!」
 
80:
手品師「こうして普通のトランプを切って……君に渡す」サッ
手品師「さぁ、カードを表にしてごらん」
子供A「!」ピラピラ…
子供A「全部ハートのエースになってる!」
子供B「どうなってんだ、これ!」
ワアァァァァァ……!
パチパチパチパチパチ…
 
81:
先輩「お前、腕上げたな〜」
手品師「ありがとうございます」
先輩「俺も注意深くお前を見てたが、全然タネが分からなかったぜ」
先輩「いったいどうやってるんだ?」
手品師「それはいくら先輩でも教えられませんよ」
先輩「そりゃそうか……」
手品師(というより、教えようにも教えようがない)
手品師(こっちは“そうなるように”念じてるだけなんだから)
 
82:
手品師「じゃあ、この大きな自動車を消したり出したりします!」
手品師「巨大な水槽から脱出します!」
手品師「鋭い剣を飲み込みます!」
ワアァァァァァ……!
手品師(今のボクはどんな手品でもできる!)
手品師(どんなものだって消したり出したりできる!)
手品師(しかもタネがないんだから、バレることも仕込みに苦労することもない!)
手品師「そう、これこそまさに究極の手品師なんだ!」
手品師「アーッハッハッハッハッハ!!!」
 
84:
手品師「アハハハハ……ハハハ……」
手品師「ハァ……」
手品師(なんでも思い通りにできる手品って……タネも仕掛けもない手品って……)
手品師「……なんてつまらないんだ」
 
86:
―炭酸抜きコーラ屋―
手品師「あの……≪タネ抜き手品≫、お返しします」
店主「なぜです?」
手品師「やはりボクは自分で身につけた仕掛けのある手品で、みんなを沸かせるのが楽しいのであって」
手品師「本物の魔法使いになりたいわけじゃなかったんです……」
店主「……分かりました。返品を受け付けましょう」
接客娘「でも、これからはどうするんです?」
手品師「そこはもちろん、ボクの腕でなんとかしますよ! ……不器用なりに!」
バタン…
接客娘「あーらら、返品されちゃいましたねえ」
店主「もし、あのままタネ抜き手品を続けていたら、彼は喝采を浴びつつも苦しみ、潰れていただろう」
店主「手品師としての矜持が、それを回避したというわけだな」
 
87:
接客娘「あ、テレビにあの手品師さんが出てますよ!」
テレビ『これからボールペンを浮かせるマジックやりま……あっ! し、しまった!』ボトッ
テレビ『タネ、バレバレやんけ!』アハハハ…
接客娘「あの人、すっかり人気者ですね! 特にお子さんからの人気が絶大みたいで!」
接客娘「……相変わらず手品はお粗末だけど。不思議なもんですねぇ」
店主「この人の存在自体が、本当の≪タネ抜き手品≫なのかもしれないな」
― 終 ―
 
88:
≪骨抜き美女≫
―炭酸抜きコーラ屋―
接客娘「いらっしゃいませ!」
会社員「…………」ムスッ
接客娘「固そうな人ですね〜」ボソッ
店主「コラ、そういうことをいうな」
接客娘「おっと、すみません」
店主「……ご注文は?」
会社員「炭酸抜きコーラを一杯頂きたいのだが」
接客娘「注文の仕方も固い!」
 
90:
会社員「…………」グビッ
会社員「ほう、美味だ」
店主「ありがとうございます……」
接客娘「感想も固い!」
会社員「…………」ムスッ
接客娘「あ……」
店主「申し訳ありません。うちの店員が失礼なことを」
会社員「いや……そちらのお嬢さんのおっしゃる通りなのですよ」
 
92:
会社員「私は自分で嫌になるほど、固くて」
会社員「口調も固い、態度も固い、仕事の仕方も固ければ、女性関係も一切なし……つまらん男ですよ」
会社員「もっと柔らかくなりたいのだが……この年まで培った性質を変えるというのも難しいですから」
店主「柔らかくなりたい……というのであれば、いい女性を紹介しますよ」
接客娘「え、もしかしてあたしですか?」
店主「違う」
店主「……来てくれ」パチンッ
 
94:
美女「こんにちは〜!」
会社員「…………!」
会社員「この方は?」
店主「あなたのような方を柔らかくするのが得意な≪骨抜き美女≫です」
会社員「骨抜き美女……」ゴクッ…
店主「この女性と一週間、一緒に暮らしてみて下さい」
店主「そうすれば、きっとあなたも柔らかくなることでしょう」
美女「じゃ、行きましょ」ウフッ
会社員「う、うむ」
ギィィ… バタン…
 
96:
―会社員の自宅―
美女「へえ、いい部屋ね」
会社員「ど、どうも」
会社員「…………」
会社員(女性を自宅に呼ぶなんてはじめてだから、何をどうしたらいいのやら……)
美女「自分の部屋なんだから、もっとリラックスしてちょうだい」サワ…
会社員「う、うん」
会社員(なんと色っぽい……見てるだけで身がとろけそうだ)
 
97:
会社員「――ってわけなんだよ! 子供の頃の夢は、探偵になることだったんだ!」
会社員「まあ、こんな固い頭じゃなれるわけないけどね! 昔のあだ名は“鋼鉄”だったし!」
美女「あなたっておもしろ〜い! だいぶリラックスしてくれたわね」
会社員「そうかな? ハハハ」
美女「ねえ……もっとリラックスさせてあげましょうか」
会社員「へ……どうやって?」
美女「もちろん、こうよ」ハラ…
会社員「お、おおお……」ゴクリ…
会社員「んほぉぉぉぉぉっ!!!」
…………
……
 
99:
―炭酸抜きコーラ屋―
会社員「ぷはっ、おいしい! 炭酸抜きコーラ、最高!」
店主「……ありがとうございます」
接客娘「お客さん、この一週間で別人のように柔らかい人になりましたね」
会社員「そうでしょう、そうでしょう!」
会社員「会社でも“物腰が柔らかくなった”と、評価がどんどん上がりましてねえ」
接客娘「よかったですね!」
店主「それでは、≪骨抜き美女≫とはお別れして下さい」
会社員「……え!?」
会社員「な、なぜです!?」
店主「彼女と過ごすのは一週間、と申し上げたはずですよ」
 
101:
会社員「待って下さい!」
会社員「私は彼女ともっと一緒にいたい……!」
店主「しかし、これ以上一緒にいると危険ですよ?」
店主「彼女が普通の女性ではないことは、あなたもよく分かっているでしょう」
店主「これ以上一緒にいると、あなたがさらに柔らかくなることになりかねません」
会社員「……かまいません!」
会社員「どうか……ずっと一緒にいさせて下さい!」
店主「……分かりました。では彼女のことはあなたにお任せしましょう」
接客娘「どうぞお幸せに!」
会社員「は、はいっ! ありがとうございます!」
 
102:
―会社員の自宅―
会社員「……ってわけさ。あの店主さんから許可はもらってきたよ」
美女「だったら私たち、これからもずっと一緒にいられるの?」
会社員「もちろんだとも!」
会社員「さぁ、今日も私を骨抜きにしてくれぇ!」
美女「本当にいいの?」
会社員「いいとも!」
美女「じゃあ……骨抜きにさせてもらうわね」クスッ
 
103:
美女「うふっ」ガシッ
会社員「? な、なにを?」
美女「なにって……骨を抜いてあげるのよ」
会社員「!? 骨を抜くってまさか……!? ――ちょ、ちょっと待ってくれ!」
美女「ダーメ、あなたの骨という骨、ぜーんぶ抜いてあげる」ウフンッ
会社員「うあああっ……!」
ズリュリュリュッ!
ぎぃやぁぁぁぁぁ……!
…………
……
 
104:
―炭酸抜きコーラ屋―
ギィィ…
店主「いらっしゃいませ……」
接客娘「いらっしゃいませ!」
美女「こんにちは〜!」
店主「おお、久しぶり」
接客娘「相変わらず、キレイですね〜」
美女「うふふ、ありがとっ」
接客娘「ところで、あの固いサラリーマンの方は?」
美女「ああ、あの人?」
 
106:
会社員「いやぁ〜、彼女に全身の骨を抜かれちゃいましてね」グニャグニャ
会社員「タコよりも柔らかくなってしまいました」グニャグニャ
会社員「今はこの柔らかさを生かして、探偵業を営んでる会社に勤めてるんですよ」グニャグニャ
美女「ああ……もうステキ!」ギュッ…
会社員「ありがとう、ハニー! 全部君のおかげだ!」グニャリ
接客娘「骨を抜かれても、愛はそのまま……とは恐るべしですね」
店主「俺もこのお客さんの芯の固さを少々あなどってたようだな」
― 終 ―
 
108:
全てオチがしっかり付いていておもしろい
 
109:
≪炭酸抜きコーラ≫
―炭酸抜きコーラ屋―
男「こんばんはー!」
店主「いらっしゃいませ……」
接客娘「空いてるお席へどうぞー!」
店主「ご注文は?」
男「炭酸抜きコーラで!」
 
110:
最初の男か?
 
111:
店主「…………」シャカシャカシャカ
店主「…………」シュワシュワシュワ
店主「…………」トクトクトク…
店主「どうぞ」スッ
男「いただきます!」ゴクッ
男「いやぁ〜、ここの炭酸抜きコーラは相変わらずうまい! すっかり常連ですよ!」
接客娘「お客さんのおいしそうな顔を見ると、あたしまで嬉しくなりますよ」
男「アッハッハ、そりゃどうも!」
 
114:
接客娘「ところで……どうです?」
接客娘「うちは炭酸抜きコーラ以外にも、さまざまな“何かを抜いた商品”を取り揃えてるんですが」
男「ああ、そうみたいだね」
接客娘「あなたも……そろそろいかがです?」
男「…………」
店主「…………」
接客娘「…………」
 
117:
男「うーん、ちょっと考えたけど、俺は炭酸抜きコーラがあればいいや!」
男「安くてうまいし!」ゴクゴク
接客娘「…………」ガクッ
接客娘「この人を相手してると、こっちの気が抜けちゃいますねえ」
店主「ある意味、俺にとって一番の上客ではあるがな」
― 終 ―
 
118:
これで終わりとなります
ありがとうございました
 
122:

 
123:
乙面白かったよー
 
125:
なんだこの良スレ

 
127:

この店行ってみたい
俺はバッドエンドになりそうだが
 
128:
楽しかった
ありがとう
 
129:

接客娘ちゃんかわいい
 
130:
たいしたものですね
 
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