【ガルパン】アズミちゃんの初恋back

【ガルパン】アズミちゃんの初恋


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 戦車道チーム/ロッカールーム
アズミ「ふー、遅くなっちゃた。さっさと着替えて帰ろっと……ん?」
アズミ(……? なにこれ)
アズミ(私のロッカーのドアに──紙? 何か挟んである……)
アズミ「……メモ用紙?」
 ぴらっ……
アズミ「何か書いてある……。……げっ」
 <『アズミさん、貴方が好きです』
アズミ「げっ……。」
アズミ「……。」
アズミ「も?……ちょっとぉ……」
アズミ(ハァー……勘弁してよ……ここ最近は安心してたのに、またこーいうのかぁ……。ほんと、いったい誰……?)
アズミ「……。」ぺらっ……
 <『当方女ですが、よかったら付き合ってください。YES/NO 』
アズミ「っ……ったく……!」
 びりーっ、びりーっ!
アズミ(どこの誰かは知らないけれど、大学生にもなって──ラブレター!?)
アズミ(『女ですが』ってゆー前置きが余計にむかつく、なっさけないわねぇ……)
アズミ(こんな回りくどいこと何度も何度も……そんな無駄な事してないで、さっさっと面と向かって直接告れっつーの! きちんとお断りしてあげるからさっ)
アズミ(同性だからなんだってのよ……振られる勇気もない傷つく勇気もない、その軟弱な態度がそもそもアウトでしょ!)
アズミ(ていうか……チームメイトの誰かかもしれないって思ったら──普段の練習もなんか微妙にやりづらいんだからねっ!?)
アズミ「……ええい、こんなものっ」
 グシャグシャ……ぽいっ!
アズミ「ふん」
----------------------------------------------------------------------------
3: 以下、
アズミ(あーあくだらない。せめてさぁ、時間差でこの現場にいきなり現れるくらいのサプライズを──)
 ──ガチャ!!(ロッカールームのドアノブ)
アズミ「う゛ぇっ!?」
アズミ(!? !!!??)
アズミ(──ちょっ、えっ──まさかマジで!? ──やだ! いきなりやめてよ心の準備が──!)
 ──??「おーい、まだ誰か残ってる???」
アズミ「……あっ」
アズミ(……なぁんだ……この声は──)
ルミ「──ん、アズミ。あんたまだ残ってたんだ」
アズミ「ルミ……。」
ルミ「早く着替えてよねー、最後の鍵閉めるの私なんだから」
アズミ「う、うん……。」
アズミ(……ほ、良かった……)
アズミ(あぁ、ドキドキした……)
ルミ「……。何? 人の顔見て、ぼけっとして」
アズミ「あっ」
アズミ(っ……安心して、惚けてた……)
アズミ「い──いきなりドアを開けないでよね、ちゃんとノックしなさい!」
ルミ「はぁー? ロッカールームはいつからアズミの自室になったのよ」
アズミ「昨日からよ!」
ルミ「はいはい……」
アズミ(もー……まだ心臓がどくんどくんいってる。ビビらせないでよ……)
ルミ「あ、ちょっと誰だぁ? 床にゴミ投げ捨てたは……」
アズミ(え──)
4: 以下、
ルミ「まったくもー」
 つかつかつか──
ルミ「綺麗にしとかないとさ、愛里寿隊長がぷんぷんしちゃうでしょ」
 かさっ……
アズミ(……!)
アズミ「ちょっ、待っ、ルミっ」
ルミ「へ?」
アズミ「……、あ、いや……」
アズミ(っ……しまった……)
アズミ(『見るな』って言ったら、この子絶対みるし──ていうかべつに、見られてもよかった? 私は知らんぷりしてれば──あぁいやいやいや駄目だ、もろに私の名前書いてあるし……ぬあーーっ……投げ捨てるんじゃなかった……!──)
ルミ「?? ん? これ、アンタの?」
アズミ「……あぁ……いや、べつに……。」
アズミ(……あーもー、最適な返事が見つからない……っ)
ルミ「?? よくわかんないけど……」
 カサカサカサ……
 ……ぺら、ぺら
ルミ「──ったく、破り捨てて……んー、何か書いてあるけど──」
アズミ「……っ」
ルミ「んっと──……。……はい? 『付き合ってください──等方女ですが──』……『アズミさん』……へ?」
アズミ「……。」
ルミ「……。ねぇ……これって」
アズミ「……っ……あーもー……うっさい、こっちみんな……」
ルミ「えっと、あんたって、たしか……えっと、アズミさんでしたっけ」
アズミ「……違うし。私じゃないし。……だからこっち見んなっての……」
ルミ「……。」
ルミ「………。」
ルミ「…………。」
ルミ「……………………っプッ!」
アズミ(ッ……)
ルミ「……あーっはっはは!! だーっはっはっは! ひゃーっ! ほんとにこういうのって、あるんだっ!」
アズミ「ぬぐぐぐ……あぁぁ、もぉぉぉぉ……」
ルミ「あーっっはっははっははっはは! さすがアズミさんはモテモテだなぁーっっはっはっは!」
アズミ「????ッ」
アズミ(んもぉ???! 絶対しばらくネタにされる!! めんどくさいっ……)
アズミ(誰かしらないけど──いい迷惑なのよぉぉおーーー!!)
 ──────────。
5: 以下、
 ──翌日の昼・大学の中庭
アズミ「──ていうことが昨日、あってさぁ」
メグミ「ふぅ?ん」
アズミ「メグミには先に伝えとくから。ルミのやつがなんか言っても、あんまり乗らないでね。ネタにされるとウットオシイから」
メグミ「はいはい。……けど、ふぅん……もてるのねぇ、アズミ」
アズミ「……、同性にもてても仕方ないでしょ」
メグミ「でも私なら──そんなラブレターをもらえたら、ちょっと嬉しいけど」
アズミ「えぇ……?」
メグミ「可愛いらしいじゃない。ついでに顔も可愛いこなら──ちょっぴり、お試ししてもいいかもね」
アズミ「……やだちょっと……あんたって、そっちの気があるの?」
メグミ「違うけど、まぁ、何事も経験でしょ?」
アズミ「……。」
アズミ(……『経験』ねぇ……)
メグミ「……? 何よ、急に黙り込んで」
アズミ「べつに。ただ──当人の純情を、あんたの経験の糧にされる誰かさんは──可哀想だなって」
メグミ「へ……?」
アズミ(……っ、あー……もう、余計な事をいって──)
メグミ「……。……アズミってさぁ」
アズミ「……なによ」
メグミ「いっ、???がいと真面目なのところあるのよね、そんなふうに胸をべっろ?んとはだけさせてるくせに」
アズミ「うっさい」
アズミ(……。)
アズミ「……とにかく……今日の宅飲み、ルミが手紙のことネタにしても、ちゃんとスルーしてよね」
メグミ「はいはい、わかったわよー」
 ──────────。
6: 以下、
 同日・夜、メグミ宅飲み
ルミ「ねー、聞いてよメグミィ、アズミってばねぇ……すっごおくモテるんだよォ……?」
アズミ(ほらきた、案の定か、この酔っ払いは……)
メグミ「──あぁ、ラブレターのことでしょ? もう知ってるわよ」
ルミ「ふぇ?」
ルミ「なんだ、知ってるのぉ?」
メグミ「うん」
ルミ「……なんだぁ……鉄板爆笑ネタだと思ったのになぁ」
メグミ「こーら、人の恋路を笑っちゃ駄目でしょ?」
アズミ(……。)
ルミ「むー……べつに……そーいうわけじゃなくて……アズミが女から告られたって所が面白いだけで……むー」
メグミ「わかったわかった。ちょっと水をのみなさい、あんた顔真っ赤よぉ? ほら」
ルミ「……うぃー……」
 ごく、ごく、ごく……
アズミ「……ありがと、メグミ」
メグミ「どういたしまして」
ルミ「……はぁー……ちょっと、うたた寝しようかなぁ……」
メグミ「あら、寝ちゃうの?」
アズミ「寝な寝なっ。そのまま朝までねちゃいなさい」
ルミ「だめよぉまだラブレターの件、話は終わってないんらからねぇ??」
アズミ「あーもー……記憶を消してやりたい……」
メグミ「ルミ?、ほら枕」
ルミ「んぁ、ありがとぉメグミぃ、愛してるわぁ?」
メグミ「はいはい私もよ」
ルミ「私女だけど、よかったら付き合ってくださいメグミさん……」
アズミ「っ、このぉっ……さっさと寝ろっ」
 ばふん!
ルミ「ぐえ! ……むきゅー………………ぐ?、が?……」
7: 以下、
アズミ「ったく……」
メグミ「ふふ……まぁまぁ、ルミって処女だし、恋人もいないからさ、この手の話が楽しいのよ」
アズミ「……、……自分は違う、見たいな口ぶりね」
メグミ「何が?」
アズミ「……。あんたって、性格悪い」
メグミ「うん、ごめんね、酔っぱらうと素がでちゃって」
アズミ「もー……どいつもこいつも……」
 ……ごく、ごく、ごく
アズミ「……ふはぁ……」
メグミ「……けどさ」
アズミ「んー?」
メグミ「誰なのかしらね? 件のラブレターの送り主。やっぱ……チームのだれかだと思う?」
 
アズミ「……。」
アズミ「さぁ、ね……。」
メグミ「……。」
アズミ「……ねぇ、一応、聞いとくけど──」
メグミ「?」
アズミ「まさか……送り主、アンタじゃないでしょうね」
メグミ「……、はぁ?」
アズミ「どーなのよ」
メグミ「んー……じゃあ──私だったら、どうする?」
アズミ(……ったく……この子は、すぐこーやって意味ありげな態度をするんだから……)
アズミ(……ふぅ)
アズミ「アンタだったら──そーね、くだらないイタズラすんなって、砲撃のマトにしてあげる」
メグミ「……。ふぅん」
メグミ「……。」
メグミ「……結構、残酷なこと言うよね、アズミ」
アズミ「……は?」
8: 以下、
グミ「そりゃ、うっとうしい事してるかもしれないけど──私は自分の気持ちを正直に記した。それを一方的に『イタズラ』って、決めつけないでほしいな……」
アズミ「へ……。あ? え?」
アズミ「……。」
アズミ(──!?)
アズミ「……は!? ちょ……冗談……よね?」
メグミ「……。」
メグミ「……まぁ、冗談だけど」
アズミ「っ、あんたねぇーー!!!」
メグミ「あははは、ごめんごめん」
アズミ「んもぉ?……っ」
メグミ「じゃあ──隊長だったら、どうする?」
アズミ「え──」
アズミ「……。」
アズミ「…………。」
 ??愛里寿『アズミ……、……。……好き……。』??
アズミ(???????っ!!)
アズミ「やばい……OKしちゃうかも」
メグミ「あははは。」
アズミ「あー、でもなぁ……家元が義理のお母さんかぁ……」
メグミ「いきなり結婚の話になるの……?」
アズミ「女ならそこはやっぱり考えるでしょ」
メグミ「まぁそうかもね、あはは……は……」
メグミ「……。……ふー」
アズミ(……?)
アズミ「……メグミ?」
アズミ(何よ、急に真顔になって──)
9: 以下、
メグミ「──あのさ、前から、一個だけ聞いてみたかったんだけど……」
アズミ「え……何?」
メグミ「答えたくなければ、別にいいけど……」
アズミ「だから、何なのよ」
メグミ「……。」
メグミ「アズミってさ……。」
アズミ「うん」
メグミ「ちょっとだけ──ビアンの血、入ってない?」
アズミ(……!)
アズミ「はぁー……? いきなり何いってんの……?」
アズミ(……。)
メグミ「もしかして、そうなんじゃないかなって」
アズミ「なんでそう思ったのかが素直に疑問」
メグミ「……。私ってさ、けっこう──人間観察、好きなのよね」
アズミ「……悪いけど、趣味『人間観察』です、ってゆーやつ、私はあんまし好きじゃない」
メグミ「だよねー。だから、普通はあんまり人には言わないんだけどさ」
アズミ「……。」
メグミ「アズミって、ボディコンぶった服装してる割には、根はすっごくマジメなのよね。そういうのって……なんか、歪んでる感じ」
アズミ「アァ……?」
メグミ「それと、ラブレターの事──ふつーだったら、もっと面白おかしく騒がない? だけどアズミは──なんだか、とっても真剣に受け止めてるよね。それも──なんだか、違和感」
アズミ「……、感覚的な話ばっかりで、全然説明になってないんだけど?」
メグミ「遣ろうと思えば論理だてて説明できるけど──でも、自分のこと冷静に分析されるのって、すっごくイラつかない? だから、私の直観、ってことに、しときたいんだよね。」
アズミ「……あんたって澄ました顔してそんな事ばっかり考えてるの? なんかショックなんだけど」
メグミ「ごめんね。でも私、そーいう性格なのよ。……アズミには、白状してもいいかなって」
アズミ「ごめん、そういうなんか思わせぶりな言い回しも止めてくれない?ちょっと、むかつく。」
メグミ「ん……ごめん」
アズミ「……っ」
アズミ(……急に素直に謝るんじゃないわよ)
10: 以下、
メグミ「ま……怒られて当たり前なんだけどね……」
アズミ「……?」
メグミ「仲間と一緒に酒飲んで酔っぱらって──他人には言えないような事を語り合うっていうの? そーいうシチュエーション、憧れるのよね」
アズミ「はぁ……?」
メグミ「だから、私としては、アズミがそれくらいの秘密を抱えてくれてるほうが──嬉しいなぁ。……うふ」
アズミ「……。……あんたさ……実は結構酔ってるでしょ」
メグミ「んふ……ばれた?」
アズミ「ばれた? じゃないわよ……」
メグミ(ったく……)
アズミ「じゃーさ、仮に私がレズだとしてさ、──あんたは?」
メグミ「私?」
アズミ「アンタは何か、それに見合う秘密……あんの?」
メグミ「ん……私はほら──、趣味『人間観察です』って言っちゃうような、ちょっとアレな子なんだよって……そんなとこかな?」
アズミ「そんなの、たいした秘密でもなんでもないじゃないの」
メグミ「……ほんと? ほんとにそう思う?」
アズミ「ほんとにって……何よ」
メグミ「大したことじゃないって──今まで通り、一緒にいてくれる?」
アズミ「え……」
メグミ「私さ、自分のこーいう性格、あんまり好きじゃないのよね。ほんとは……ルミみたいに、裏表みたいにあっけらかんとしてる人間になりたかった。……って、こーいう事ぐじゃぐじゃ言っちゃう自分も、嫌」
アズミ「……。」
メグミ「私は、もしもアズミがビアンだとしてもそんなこと全然気にしないわ。あんたの人格を信じてる。だからお返しにあんたも──私にこーいうメンドクサイ嫌な所があるって分かっても、アズミが私を好きでいてくれるといいなって。……あー、えへへ、酔ってるなぁ……」
アズミ「……。」
アズミ(……。)
アズミ(……くそ……)
アズミ(こーいう雰囲気──悪く無いなぁーとか……思ってんじゃないわよ、私……っ)
アズミ(……っ、)
アズミ(──ああもぉっ、なんか、白状してみたくなっちゃうじゃない……!! 受け入れてくれるなら嬉しいなって──思っちゃたじゃないのよっ!!)
アズミ(──メグミのアホっ)
アズミ「……違う」
メグミ「?」
アズミ「私は──ビアンじゃないわ。違う」
メグミ「……。……そっか」
11: 以下、
アズミ「違うはずだと──と、自分ではそう思ってる。」
メグミ「……?」
アズミ「こーやって胸おっぴろげてるのだって──女アピールして男どもの注目を引くのが快感だからやってるんだし……。私はイイ女なんだぞーって、なんか自尊心が満たされる」
メグミ「ビッチ……」
アズミ「お黙り。ただ──」
メグミ「ただ……?」
アズミ「たまーにね、ほんと、たまーにだけど……感じちゃう時があって」
メグミ「何を?」
アズミ「つまり、その──」
メグミ「なになに?」
アズミ(……っ、こんな事、誰か白状しちゃうなんて──)
アズミ「──あ私これ、女の子もいけるかなーって……ね」
メグミ「……え、え……あー……」
アズミ「……。」
メグミ「そっかぁ……」
メグミ「レズじゃなくて……バイなんだ……」
アズミ(……っ)
アズミ「わからないよ、わからないけど……私、女でも普通にイケるなぁって……」
メグミ「マジかぁ……」
アズミ「……。」
アズミ(……他人にこんなこれを打ち明けたのは、初めてね……)
アズミ(そっか……こんな風な気持ちになるのね……)
アズミ(メグミの表情から、目が離せない──この子はどんな顔をするだろうどんな反応をするだろう──不安と、やっぱりやめとくんだたっていう後悔と──受け入れてもらえるかなって、かすかな期待……)
メグミ「それってさ、冗談──じゃないのよね?」
アズミ「……冗談あつかいするの?」
メグミ「ごめん、今の発言は無し。けど……おー……ほんとにこうなるとは……。」
アズミ(……。)
アズミ「引いた?」
メグミ「え……。……ううん、いや……べつに……」
アズミ「どうだかね」
メグミ「ほんとよ。引いてないんかいない。ていうか──そうね、むしろ興味深いわ」
12: 以下、
アズミ「はぁ? 興味深い……?」
メグミ「ええ。人間観察好きとしては──すっごく興味がわいてくる。アズミの事」
アズミ「……うわ、なんか私の方が引いちゃった。あんたねぇ……友達がLGBTのカミングアウトしてんのに……」
メグミ「ごめんごめんごめん! でも……ね、ね、同性にときめくって──どんな感じなの?」
アズミ「アンタねぇっ、あやまりゃなんでも許されると思ってんでしょっ」
メグミ「そんなことないって」
アズミ「ったくもー……ったく……、……」
アズミ(……あーっ、もぅ、もぅっ……少し喜んじゃってるなぁ、私。だってこいつt?)
アズミ「んもう、……べつに、普通よ」
メグミ「だからー、その『普通』っていうのが分からないの」
アズミ(変わらずこうして、私にこうやって接してくれてるんだもの──)
アズミ(ええい、くやしいじゃないっ……)
アズミ「──あんただって男にドキっとしたことはあるでしょ?」
メグミ「そりゃ、あるけど」
アズミ「なら分かるでしょ? その気持ちと一緒だってば」
メグミ「ふむ……じゃ、道端で可愛い女の子とすれ違ったら──ドキドキしたりするの?」
アズミ「目で追っちゃうことぐらいはあるかもしれないけど──別に、誰も彼もにドキドキしたりはしないわよ」
メグミ「そうなの?」
アズミ「好みってもんがあるでしょうが」
メグミ「……あ、なるほど、そういう……。ふむふむ……」
アズミ「難しく考えることないんだてば。単純な話でしょ」
メグミ「言われてみればそうなんだけど……──あ、じゃあさ」
アズミ「?」
メグミ「私にドキッとしたことは? ある? 私て、アズミの好み」
アズミ「……あのさぁ……アンタ、自分からそゆこと聞く?」
メグミ「え……変?」
アズミ「考えてみなさいよ、あんた、私が男だったとしたら、そーいうこと聞く?」
メグミ「アズミが男だったら? ……ん?……」
メグミ「………………。」
メグミ「……あー、……聞かないかも……なんか、そうゆうこと聞いちゃうのって……『小悪魔』って感じ」
アズミ「でしょ? あんたはそーいうキャラじゃないもん」
メグミ「うーん……言われてみれば理解はできるけど、なんかややこしいわねぇ」
アズミ(……ややこしい、か)
アズミ「結構さ、そういう感覚的なズレが、一番寂しいかったりするのよね」
メグミ「え……?」
13: 以下、
アズミ「なんていうのかなぁ……『恋愛』って本能でしょ? ノーみその根っこの部分にある感情。そーいう部分がさ、周りと共通認識できってないっていうのって……すっごい疎外感」
メグミ「……。……そっか、そうよ。……そのアンタの気持ちは、なんかわかる」
アズミ「ありがと。……ま、しかたないことなんだけどねー……」
メグミ「……。」
アズミ「……。」
アズミ(……とはいえ、メグミの言う通りなのかもね──)
アズミ(悪くないなぁ、こーいう雰囲気……。なんか、分かり合えてるっていうか──)
アズミ(……。)
アズミ(……メグミ……。)
アズミ「……あのさ?」
メグミ「ん……?」
アズミ(──だめよ、アズミ……)
アズミ「私からも聞きたいんだけど」
メグミ「ん、何?」
アズミ(──やめなさいアズミ……)
アズミ(そんなダサい真似──アズミ……!)
アズミ「──試しに私と付き合ってみないって、私が言ったら──アンタ、どうする?」
メグミ「……え……」
アズミ「何事も経験なんでしょ? 一度くらい、いいんじゃない? 女と──付き合ってみるのも」
アズミ(……っあぁぁぁっ……馬鹿……だっさ……)
14: 以下、
メグミ「……。……ごめん、悪いけど──お断りだわ」
アズミ(……っ)
アズミ「……、あ、そう」
アズミ(……。)
アズミ(なんで……?)
アズミ「……何事も経験だとか、お試しがどうのって、いってたくせに……どうして? ……やっぱ、私のこと、気持ち悪い?」
メグミ「……馬鹿っ、誰が気持ちわるいだなんていった? ……もしも──あんたが、完全なノーマルだったら──お試しで付き合ってもいいかなって、思う」
アズミ「……?」
メグミ「アズミは、バイかもしれないんでしょ。だったら──お試しだなんて、そんなのアズミに失礼だもの」
アズミ(……メグミ……。)
メグミ「私、そーいう事は出来ないわ」
アズミ(……。)
アズミ(………………。)
アズミ(……ッ)
アズミ「……アンタってさぁ」
メグミ「何よ」
アズミ「処女でしょ」
メグミ「……。ほんと何よ急に。……意味わかんないんだけど」
アズミ「ルミのことあーだーこーだ言っときながらさぁ……あんたこそ、倫理感で恋愛考えてるじゃん」
メグミ「あぁ?」
アズミ「そーいうのも大切だけどさぁ……ま、とにかくいろいろ、まだまだよねぇ?」
15: 以下、
メグミ「んぁっ……なに? え? なに? なんか……すごくムカつくんだけど、あんたこそ純情を糧にされるのはドーたらコーたらとか言ってたじゃない!」
アズミ「はいはい……人間観察がまだまだ甘いわねぇ」
メグミ「……っ、なっ」
アズミ「あーもー疲れてきちゃった。寝よ寝よ」
メグミ「ちょっとっ」
アズミ「お休みお休みーーーーー」
メグミ「こらぁっ」
アズミ(──……。)
アズミ(あーもー……ヤバいどうしよ……)
アズミ(私の体……すっごくメグミと──付き合ってみたくなっちゃってる……)
アズミ(……うぁー……こんなに軽い女だったの? 私って……)
 ──────。
///////数日後・夕暮れロッカールム
アズミ(……うー……)
アズミ「ムラムラするぅ……」
アズミ「……うー……」
アズミ(メグミに打ち明けて──メグミに受け止めてもらえて──だから、もっともっと……って、気持ちが欲望しちゃってる……)
アズミ(なんつー尻軽。しっかりしなさいよ前頭葉……中 学生じゃないんだから……)
アズミ(……。)
アズミ(ちくしょー、他には誰もいないし──メグミのロッカー、覗いてやろうかしら……)
アズミ(……やめなさい、それじゃ変態じゃない……)
アズミ(……うー、でもメグミの臭いが嗅ぎたい……)
アズミ(……ぐぅ、こんな衝動、今まで感じた事なかったのに……)
アズミ(……。)
アズミ「付き合えってくれって──マジで迫ったら──」
アズミ「……マナー違反……なのかなぁ、やっぱり……」
アズミ(……。)
アズミ(せっかくメグミが私のバイを受け入れてくれてたんだから──、私からそれを壊すような事は……しちゃいけないのかなぁ)
アズミ(……うー……)
アズミ「はぁー……さっさと着替えて帰ろ」
 ──ガチャ(ロッカーのドアを開ける音)
16: 以下、
 …………ひらり…………
アズミ「……ん?」
 ……ひら、ひら……
アズミ「……。はー…またか」
アズミ(隙間に押し込んであったのね、開けるまで気付かなかった……)
アズミ「誰だか知らないけど──あんたもさぁ、懲りないわよねぇ……」
 ──かさ……
 <メモ用紙『──付き合ってください。女ですが。アズミさんへ YES/NO』
アズミ「……。」
アズミ「ビアンを打ち明ける勇気はなくて、──でも、自分の気持ちを殺しきることもできなくて──」
アズミ「もしかすると、悩んでるのかしらねぇ、あんたもさ……」
アズミ「……。」
アズミ(……。)
アズミ(……もー、世話が焼けるっ……)
 ……ごそごそごそ……びりっ(アズミがキャンパスノートを破る音)
アズミ「……えっと……」
 ──かきかきかき
 『どこかの誰かさんへ。
 
 そろそろちゃんと面と向かって告ってきなさい。
 そうしたら、ちゃんと一人の女として貴方に向き合って、貴方にきちんと返事をしてあげる。
 
 こんな事を続けても、貴方の青春がもったいないわよ。
 私の携帯の番号をメモしておくから、いつでも電話して。合う場所をつたえるから。
  090-XXXX-XXXX
 ps.たぶんあんたも多分戦車乗りでしょ? だったら根性見せなさい。そのほうがきっとあんたのためだから。
 
 』
17: 以下、
アズミ「……あ、そうだ。」
 ──かきかきかき
 『
 関係ない奴はこのメモ用紙を見てもスルーすること!
 面白可笑しくはやしたてないこと!
 人の恋路をバカにするやつはウマに蹴られてしぬわよ。
 中隊長:アズミ
 』
アズミ「……これでよし。」
アズミ(ロッカーのドアにこのメモ用紙を挟んどいてやるから──ちゃんと手にとりなさいよ……)
 ────────────。
///////////////翌日・昼休み・ロッカールーム
アズミ(挟んでおいたメモ用紙は……まだ残ってるわね)
 ────────────。
18: 以下、
///////////////同日・戦車道練習前・ロッカール―ム
 ワイワイガヤガヤ──
ルミ「今日は久々に隊長との一騎打ち練習だねぇ」
メグミ「えぇ、腕でがなるわね」
アズミ「……。」
アズミ(メモ用紙……まだ残ってた。ということはやっぱり、この後のタイミングで……?)
アズミ(……それはさておき……。)
メグミ「──アズミ? あんたもさっさと着替えなさいよ」
アズミ「え、ええ」
アズミ(……。)
アズミ(……はぁー、メグミのお尻、ムラムラする……)
////////////////同日・練習後・ロッカール―ム
アズミ「──あ」
アズミ(メモ用紙……無くなってる……)
アズミ(……。)
アズミ(──、電話、ちゃんと、かけてきなさいよ)
//////////////////同日・夜
 ──ヴィ゛ーーーッ、ヴィーーーッ……
アズミ(──!)
アズミ(携帯の、着信……)
19: 以下、
ごそごそ……
アズミ「……非通知だわ」
アズミ(メモ子ちゃん、かな……?)
 ──ヴィ゛ーーーッ、ヴィーーーッツ……
アズミ(……、さすがにちょっぴり、ドキドキするわね)
 ──ぴっ……。
アズミ「……もしもし」
 ──『……。』
アズミ「メモ子ちゃん?」
 ──『……っ……』
アズミ(かすかだけど──今の声の音は、やっぱり女性のものね)
アズミ「聞こえてる?──一時間後に、大学の裏門のところにきて。待ってるから」
 ──『……っ……』
アズミ「いい? OK?」
 ──……ぷつっ……
アズミ「あ」
 ──ツー、ツー、ツー……
アズミ「ふー……これで現れなかったら──覚えてなさいよ。メモ用紙のこと、容赦なく話のタネにしてやるんだから──」
 ──────。
20: 以下、
 ──────。
アズミ(伝えた時間まで、あと5分、か……。)
アズミ(ちゃんと来るのかしらね)
アズミ(ビビッてこないってのなら──それはそれで、いいけど。……さすがにメモ用紙挟むのもやめるでしょ)
アズミ(……。)
アズミ(現れなさいよ、私が、ここまでしてあげてるんだからね)
アズミ「だけどさ……どうしてこんなことしてあげてるんだろうねぇ、私は……。」
アズミ(……。)
 ──ジャリっ……
アズミ(──!)
??「あ、──あのぅ……」
アズミ「……あ……」
アズミ(……やっぱり──戦車道の子だったのね)
アズミ(今年入学してきた一年生で、少し、大人し目な子──でも、操縦の腕は結構見れるものがある……。)
 「……先輩……」
アズミ(……君がそういう子だとは、全然気づかなかったわ──)
21: 以下、
アズミ「……、偉いわね。よく、逃げずにちゃんと来た」
 「……っ……」
 「ほ、──本当に申し訳ありませんっ!」
アズミ「……。」
 
 「こんな、ストーカーみたいなことを、ずっと、……ごめんなさい!」
 「もう二度としません! だから──皆には黙っていてください! 私が……その……」
アズミ「……レズだって、ことを?」
 
 「……っ、……はい……。」
アズミ「そう……冗談のイタズラかとも思ってたけど……本気だったんだ」
 「……。すみません、本当にすみません、……気持ち、悪いですよね……」
アズミ(……っ)
アズミ(……必死に頭を下げて──一向に顔をあげようともしない君……)
アズミ(『どうしてこんなことしてあげてるんだろうねぇ、私は』……って)
アズミ(……あなたの情けない姿をみて……やっと理由がわかったわよ……)
アズミ「顔……上げて」
 「……でも……」
アズミ「いいから」
 「は……はい……」
 す……。
 「……。」
アズミ(……。)
アズミ(怯えて、強張って……ナイフで腹を刺されてるみたい……)
アズミ(……。)
アズミ(貴方はただ人を好きになっただけなのよ。ねぇ、どうして──そんな顔をしなきゃいけないの……?)
アズミ(……。)
22: 以下、
アズミ「あのね、人のロッカー弄って──やることが陰湿よ」
 「……っ、すみません、すみません……でも、中を見たりは、してないです……」
アズミ「ふぅん。じゃあ、メモを挟んだだけ? 中をあさったりとかはしてない?」
 「はい、嘘じゃありません……本当です、そんなこと……しないです……」
アズミ「……。そのメモにしたって……ダサいし、しつこいし、何がしたいのか全然わかんないわ」
 「っ……ごめん……なさい……」
アズミ「あんたも戦車乗りならさ、好きなら好きって、もっと堂々と……堂々と……。……。……ハァ……。」
 「……、……?」
アズミ(……。誰かを好きになって──精一杯青春を楽しむ権利は誰にだってあるはずなのに……どうして私達には、それが無いのよ……)
アズミ「……不公平だわ」
 「? は、はい……すみま……せん……?」
アズミ「……、あのね、いい加減そんな顔はやめてちょうだい。イライラする」
 「は、はい……。」
アズミ「……。逃げなかった貴方の勇気に免じて……一つだけ、私の秘密を教えてあげる。」
 「秘密……?」
アズミ(……。すぅ、はぁ……)
アズミ「私ね──バイだから」
 「……え?」
アズミ「バイよ、バイセクシュアル、貴方ならその言葉──知ってるでしょ」
 「え、あ……え……!?」
アズミ「そういうわけだからさ……」
アズミ「……ね、私はあんたのこと、気持ち悪いと思ったりはしないわよ……」
 「……!」
23: 以下、
アズミ「だから──余計な心配をしてないで……さぁ、告白なさい」
 「先輩……!」
アズミ「ちゃんと、一人の女として、返事をしてあげる! ……もちろん、YESって答えるかNOって答えるかは、知らないけどさ」
 「……っ、っはいっ! はい……!!」
 「します……ちゃんと告白──します!!」
アズミ「……ん! そうそう、そういう顔をしてなきゃ。さぁ──私のを振り向かせるくらいの熱い告白──あんたにできるかしらね……!?」
 「……っ!!」
 「はい! やります……やってみせますっ!! アズミ先輩──!」
 ──────────────────。
24: 以下、
 ──数日後、昼・学食 
ルミ「ねー……メグミィ……」
メグミ「んー?」
ルミ「あんた聞いた? アズミのやつってば──」
メグミ「──後輩の子と、付き合ってるって?」
ルミ「そうそれ。……。……ハァ……」
メグミ「どうしてルミがへこむのよ? ……まさか、ルミって……実はアズミの事が好きだったの?」
ルミ「いやそうじゃなくてぇ……。」
メグミ「じゃあ、アズミがレズだったことがショックだった?」
ルミ「違うわよっ。私さ……初めて手紙を見た時、アズミに向かって大爆笑したの。それって……アズミとその子に、酷い事してたんだなぁって……」
メグミ「……あぁ、なるほど……。」
ルミ「アズミは、気にしてないっていってくれるけど……」
メグミ「まぁしかたないわよ。その時は何も知らなかった名から」
ルミ「……そう、そこなのよ。」
メグミ「うん……?」
ルミ「私は何も知らなかったの。そこもちょっと、もやっとしててさぁ……」
メグミ「どういうこと?」
ルミ「だってさ……言ってくれりゃあいいじゃん! レズだかバイだか知らないけど──私はぜんぜん、気にしないわよ!」
メグミ「あー……そういうことね」
ルミ「なんだかさ……信頼されてなかったのかなぁって」
メグミ「でもねぇ、デリケートな問題だから……簡単には言えないんじゃないかなぁ」
ルミ「うん……それはわかる。だからさ、。教えてほしかったっていうのは私の我満なんだけど──それはわかるんだけど、でも……はぁー……。」
メグミ「……。ルミって、素直ねぇ」
ルミ「なによぉ、バカにしてる?」
メグミ「ぜんぜん。……だけど、そういえばねー、実は私もね、少し、もやっとしたことがあって」
ルミ「? なに……?」
25: 以下、
ルミ「うん……それはわかる。だからさ、。教えてほしかったっていうのは私の我満なんだけど──それはわかるんだけど、でも……はぁー……。」
メグミ「……。ルミって、素直ねぇ」
ルミ「なによぉ、バカにしてる?」
メグミ「ぜんぜん。……だけど、そういえばねー、実は私もね、少し、もやっとしたことがあって」
ルミ「? 何……?」
メグミ「あのね……。……マジメぶった事言わずにね、、思い切って──お試ししてみればよかったかなって……。少し、くやしい気がしてる」
ルミ「?? お試しって?」
メグミ「せっかく、あの子といろんな話ができたのに──あ?あ、つまんない事しちゃったかなぁ」
ルミ「?? えと……ごめん、何の話しかよくわかんないんだけど……?」
メグミ「……。」
メグミ「……はぁ?」
メグミ「……。」
ルミ「……ちょっと……ひとりで遠い目してないで、説明してよぉ」
メグミ「……。」
メグミ「ねぇ、ルミ」
ルミ「?」
メグミ「私達も──付き合ってみよっか」
ルミ「へ……。……はぁっ!?」
ルミ「な……えぇ……? ねぇ待ってよォ……あんたまで私に隠し事してたのぉ?」
メグミ「へ……?」
メグミ「……。……ルミ―のそーいうところは、けっこうマジに好きかもね」
ルミ「ちょっとぉ、もぉやだぁ……、とりあえずさぁ、頭整理させてよぉ……もうわけわかんないわよぉ」
メグミ「ね……来週二人で、江の島にいきましょうよ、江の島、連れてってよ」
ルミ「えぇぇぇぇ……? ちょっとぉ、どうしたらいいのよぉ……」
メグミ「あははは……」
【ガルパン】アズミちゃんの初恋
?完?
26: 以下、
ありがとうございました。
元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1507243836/
ガールズ&パンツァーの日常 4コマコミックアンソロジー2 (MFコミックス アライブシリーズ)
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