狐娘「お主とは寿命が違うのだぞ。本当に良いのか?」back

狐娘「お主とは寿命が違うのだぞ。本当に良いのか?」


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狐娘「お主は人間で私は妖怪なのだぞ」
狐娘「同然寿命は異なる」
狐娘「お互いの価値観も全く異なる」
狐娘「それでも、私を伴侶に選ぶと言うのか?」
狐娘「…………」
狐娘「判った。お主の強引さには負けたよ」
狐娘「……これからよろしくお願いします」 ペコリ
2:以下、
狐娘「そういえばお互い出会うのは寂れた神社だけだったな」
狐娘「私には元より住まう場所など山の中」
狐娘「は、伴侶として住まうならば当然お主の家だ」
狐娘「ちがっ……!? て、照れてなどおらん!」
狐娘「少し言葉に詰まっただけだ!」
3:以下、
狐娘「ほぉー、ここがお主の家か。大分大きいな」
狐娘「んっ? これ全体ではなく、一部屋を間借りしているだけ?」
狐娘「なるほど。よいよい、家の大きさなどで愛想を尽かしたりなどせんぞ」
狐娘「ふむ、この角部屋がそうなのだな。日が照って良い部屋だ」
狐娘「邪魔するぞ」 ガチャ
狐娘「えっ、伴侶なんだからお邪魔じゃない、だと?」
狐娘「……真顔で変なこと言うな!」
4:以下、
狐娘「うーむ、予想はしておったが少しばかり散らかっておるな」
狐娘「せっかくの門出。綺麗にして始めようじゃないか」
狐娘「ほれ何をボーッとしておる。早く掃除の準備をせんか」
狐娘「私の目が黒いうちは、しっかりと清潔な部屋に住んでもらうからな!」
狐娘「さあ雑巾と水桶をはよう持って来い!」
5:以下、
狐娘「うんうん。やはり棲み家は清潔でなければな」
狐娘「お主もよう頑張った。疲れているだろうから食事は任せておけ」
狐娘「なに、油揚げばかり用意しないでくれよ、だと?」
狐娘「何を言うておる。油揚げなんぞ食うたりせん。やはり食事は肉に限る!」
狐娘「すぐ狩りを……何、生肉は無理だと?」
狐娘「……そうか、そういえば人間は生肉はあまり食さないと聞いたことはあった」
狐娘「りょうり? よく分からん……すまぬ、生まれてこの方りょうりはした事がない」
狐娘「ふがいない伴侶ですまぬ……」 シュン
6:以下、
狐娘「おぉっ……これがりょうり。どれも温かそうだ」
狐娘「うむ、頂こうか……熱い!?」
狐娘「これを食べなければいけないのかお主よ……」
狐娘「なに、熱ければ冷ましてもよい、だと」
狐娘「冷ますと言ってもどうやって……」
狐娘「…………」
狐娘「もしかして、そのお主がフーフーしたのを食せと?」
狐娘「……いや、確かに腹は減っているが」
狐娘「…………」 アーン
7:以下、
狐娘「味は良く判らなかったが、その、腹は膨れたぞ」
狐娘「顔が真っ赤? ちが、これはほれ夕日のせいだ!」
狐娘「まだ昼間? い、いやその、とにかくお天道様の仕業よ!」
狐娘「そ、そういえば服が汚れているお主」
狐娘「私も神社で拾ったみこふく? が汚れていてな」
狐娘「人間は服が汚れると洗濯とやらをするのだろう」
狐娘「その、すまないが洗濯の仕方を教えてくれないか?」
8:以下、
狐娘「おーっ……この箱に服を入れて、ぼたんを押せばあっという間に洗濯が終わったな」
狐娘「後は服を乾かすだけだな。いやぁー、人間は便利な物を利用しておる」
狐娘「なに、今まで服はどうしていたのか、だって?」
狐娘「ほとんど着て過ごしていたな。さすがに汚れがひどい場合は川で洗った」
狐娘「……仕方ないだろう。服を着るのは見様見真似で出来たが、洗濯まで分からんのだから」
狐娘「お主と会う時は、身体はしっかり洗って服は変化の術で小奇麗に見せておったのだ」
狐娘「だから夏場は出会うのを避けて、それ以外は花の蜜などを集めて服に軽く振りまいておった」
狐娘「……考えてみると、人間と違ってあまり身形に気を遣うことがなかったのだな私は」
9:以下、
狐娘「日が落ちてすっかり暗くなったな」
狐娘「そろそろ眠るとしよう……んっ? 何かする事があるのか?」
狐娘「ふろ、だと? ああ水浴びか。人間は夜に水浴びをするのか」
狐娘「水浴びでなく湯浴み? 湯とは熱い水を浴びることか?」
狐娘「……い、いや、私は遠慮しておく。熱い湯を自ら浴びるなんて」
狐娘「ひっ、引っ張るな! 待て、お主よ。女子に無理強いするなど良くないぞ!」
狐娘「わーっ! 待て待て……!」 ズルズル
10:以下、
狐娘「…………」 ホカホカ
狐娘「正直湯を浴びるなんて正気の沙汰ではないと思う」
狐娘「だがこれはなかなか、悪くはない気はする」
狐娘「しかし、無理やり風呂場に連れ込んだお主が倒れてどうする?」
狐娘「えっ、勢い任せで連れ込んだが裸を見て興奮した?」
狐娘「…………」
狐娘「その、もう寝るべきだと思うぞお互い。うん」
11:以下、
狐娘「お主と暮らすようになってもう1ヶ月か」
狐娘「最初は布団に入るのは嫌だったが、最近ではないと寂しく感じてしまう」
狐娘「料理も少しだが慣れた。とはいえ油揚げばかりは困るな」
狐娘「いや嫌いではないが……んっ、狐は油揚げが好きじゃないのかって?」
狐娘「人間の間ではそんな風に狐の好物が伝わっているのか」
狐娘「別に嫌いではない。ただ肉、とりわけ鼠の肉が好みでな」
狐娘「えっ、鼠は食べないのか人間は? そ、それじゃあ鼠は食えんのか?」
狐娘「今度探してみるって? そ、そうかすまん、手間を掛けさせて」
12:以下、
狐娘「お主よ。少し聞いてもらいたい」
狐娘「お主が仕事で家を出るのは仕方ないと思う。狩りと同じく生きるためなのだから」
狐娘「しかしだな。私は家にいる間どうにも寂しく感じてしまう」
狐娘「人間の住む町には慣れてきた。まだ匂いや音には慣れきっていないが、何とかなっておる」
狐娘「そこでだ。昼間町を1人で出歩いて見聞を広めたいと思う」
狐娘「えっ、この狐の耳は見られても大丈夫なのか、だと?」
狐娘「ふふん! これはお主にしか見えぬよ。他の者には人間そのものにしか見えん」
狐娘「それでどうだろう。私も仕事をしたい。許しを貰えんか?」
13:以下、
狐娘「……おぉっ、良いのか? 本当に良いのか!」
狐娘「有り難い! では早仕事を探しに……えっ、みぶんしょう?」
狐娘「人間はみぶんしょうとやらを持っているのか? それは何処で手に入る?」
狐娘「……うん、みぶんしょうとやらは知らなかった」
狐娘「働くには必要不可欠なのか?」
狐娘「えっ、何をするにも必要不可欠!?」
狐娘「……なに、変化の術があれば簡単に作れるぞ」
狐娘「ぎぞう? 良く判らんが、小さいことは気にするでない!」
14:以下、
狐娘「…………」 グッタリ
狐娘「お主、か。働くと言うのは大変なのだな」
狐娘「思っていたよりも厳しい世界だった。狩りの方が楽に感じた」
狐娘「慰めてくれるのか、こんな不甲斐ない私を?」
狐娘「……ありがとう。情けない伴侶ですまん」
狐娘「うん、仕事の内容? 工場とやらで荷物を箱から取り出す作業だったな」
狐娘「朝の9時から昼の12時までだが、さーびすざんぎょうしないといけないから昼の3時まで働いていた」
狐娘「あと箱の積み下ろしと食堂の掃除して、昼に20分休みを貰ってそれから――」
狐娘「給料? まだ20日しか働いていないし、仕事を辞めるから貰えないと聞いたが」
狐娘「えっ、何処へ行くのだお主よ」
15:以下、
狐娘「うーむ、まさか悪党の棲み家だったとは。恐ろしい人間もいるものだ」
狐娘「お主とべんごしとやらのお陰で給料もいしゃりょうも貰えたな」
狐娘「しかし、こんな体たらくでは人間の社会で生きていけるのか……不安だ」
狐娘「親戚に掛け合ってみる?」
狐娘「何から何まで済まない……狩りなら得意だが、どうにも分からないことばかりだ」
狐娘「……うむ、お主のために頑張るぞ」
17:以下、
狐娘「お主の紹介してくれた古書店は大変良い職場だ」
狐娘「主人は無口だが、何かと世話になっている」
狐娘「おかげで人間の社会にも慣れて、金銭も得られて喜ばしい限りだ」
狐娘「なに、自分の給料では心許ないのかだと?」
狐娘「金の事は判らん。だがお主と暮らすのだ、人間の社会に慣れないといけないからな」
狐娘「……それに一人でずっと待ち続けるのは辛いものだからな」
狐娘「神社でお主が来るのを待っていた時は、辛かった。あんな気持ちはもう抱きたくないのだ」
18:以下、
狐娘「どうしたお主? 何か嬉しそうだが良いことがあったのか?」
狐娘「うむ、お主と暮らし始めてもう1年か。月日はあっという間に過ぎるものだな」
狐娘「……そ、それは!?」
狐娘「鼠か!? い、一体どこで? いやどうして?」
狐娘「1年一緒に暮らした記念? そ、そうか」
狐娘「いや生ではなく、油揚げ……天ぷらと蒸し焼きにしたい」
狐娘「なに、1年も暮らしているのだ。料理には慣れてきたものだ」
19:以下、
狐娘「はぁーっ、やはり鼠はよいものだな」
狐娘「お主大変だっただろう。店を見ても鼠の肉は売っていないのに」
狐娘「お主にはいつも苦労ばかりさせている。だから、な」
狐娘「私からも1年の記念というか、お礼に贈り物がある」
狐娘「腕時計とやらを渡したい。古書店の主人やその友人から贈り物には時計が良いと聞いてな」
狐娘「家にお金を納めておったが、実は悪いと思いつつ少しずつ貯めておったのだ」
狐娘「最初は狩りをして、と思っていたが。流石に人間社会の仕組みは分かってきたからな」
狐娘「……本当か? そうか、喜んでくれるなら何よりだ」
狐娘「ちゃんと毎日身に着けるのだぞ!」
20:以下、
狐娘「お主、少しそこに座れ」
狐娘「私とお主、お互いを伴侶として共に歩んで久しい」
狐娘「だからこそ尊重しあうことが大切ではないかと思う」
狐娘「うん。お主も男ゆえ仕方がないのは判る」
狐娘「だがな、毎日求められても、その困る」
狐娘「出来れば応えたい気持ちはもちろんある。しかし――」
狐娘「分かっているはずだ。私とお前は妖怪と人間」
狐娘「……子供は出来ぬ。出来ないのだ、どうしても」
狐娘「子を欲して求めるのは已む無しだが――」
狐娘「えっ、私がいつも布団に潜り込んでくるからだって?」
狐娘「……さ、寒さのせいだ。秋に入ったばかりとはいえ夜は、冷えるからな!」
21:以下、
狐娘「お主顔色が悪いぞ。仕事が大変なのは分かるが休むことも大切だ」
狐娘「どうだ、たまには街の喧騒から離れて久々にあの山に行ってみないか?」
狐娘「寂れた神社と広大な山。お主と出会ったあの場所に行こう」
狐娘「……うん、うん。今度の休みに必ずだぞ」
狐娘「必ず、一緒に行こうな」
――――
―――
――

22:以下、
狐娘「お主と出会って、共に歩むようになってどれほどの年月が経ったかな」
狐娘「月日が経つのは早いものだ」
狐娘「本当に、あっという間だ」
狐娘「…………」
狐娘「あの山にお主と帰れて良かった。出来ることを思いついたらすぐ行動せねば」
狐娘「そうしないと、お主と過ごせる時間は限られているからな」
狐娘「……分かっていたことだろう。人間と妖怪は寿命が違う」
狐娘「流れる時間は等しくも、降りかかる重みは異なるものだ」
狐娘「どんなに願ってもこればかりはどうしようもない」
狐娘「だから、残された時間を共に過ごしたいのだ」
狐娘「私の寿命が尽きる、その時まで」
23:以下、
狐娘「なに、妖怪ならば人間より長生きすると思っていた?」
狐娘「つくづくお主の妖怪に関する知識は偏っているな」
狐娘「逆だ。妖怪は寿命が短い。生まれてすぐに消える者もいる」
狐娘「そう考えれば私はだいぶ長生きできた」
狐娘「私が10年以上生きていられたのは、妖怪の中では長命の部類だから」
狐娘「それと、お主のお陰だ」
狐娘「そうでなければ、すぐに寿命を迎えていた」
狐娘「楽しかったなぁ。ずっと一緒に居られて幸せだったぞ」
24:以下、
狐娘「お主はまだ若い。隠居するには早すぎるぞ」
狐娘「だから人間の女を見つけて、ちゃんと子を成せ」
狐娘「……私を想い続けてくれるのは嬉しい。けど、私を思って人と接することを止めないでほしい」
狐娘「子供が出来たら、人間に懐いた狐の話をしておくれ」
狐娘「……何かしたいことはあるか、だと?」
狐娘「たくさんあるとも。あったとも」
狐娘「だが全てをするには時間がない」
狐娘「今はただ、こうして共に過ごせるだけで充分だ」
25:以下、
狐娘「すぐに消えてしまう妖怪がこれほど長く生きていた」
狐娘「これほど幸せに過ごせた」
狐娘「どの妖怪よりも幸運だった」
狐娘「一緒に過ごせる者がいることの素晴らしさに気付けた」
狐娘「…………」
狐娘「お主よ、愛しておるぞ」
狐娘「どうか、幸せに、なってくれ」
26:以下、
――――
―――
――

27:以下、
子供「ねぇお父さん。この山の神社に何かあるの?」
子供「――へぇー、狐がここに居たんだ!」
子供「うん、狐のことは分かるよ」
子供「コーンって鳴いて、油揚げが好きで――」
子供「えっ、油揚げは好物じゃないの?」
子供「鼠の肉が好き? えーっ、鼠を食べるの狐って!?」
子供「狐の妖怪に聞いたから間違いない?」
子供「まっさかー! 妖怪なんていないよ。そりゃあ居るなら会ってみたいけど……」
子供「えっ、妖怪は長生きできないからもう会えない」
子供「妖怪って長生きするんじゃないの?」
子供「じゃあ、じゃあ狐の妖怪ってどんな人だったの?」

28:以下、

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