自宅警備員進化論back

自宅警備員進化論


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いつもと変らない1日の始まり。
僕はいつものようにPCの電源を入れる。
そしていつものように巡回作業へ移行する。
もうこんなことを数年間繰り返している。
自分が自宅警備員のベテランであることを自覚しつつ
プロであることに多少の負い目も感じる。
※中卒ニートの話はこちら
中卒ニートの俺がどうやって人生立て直したか書いていく
http://world-fusigi.net/archives/8685797.html
2: 以下、
3: 以下、
僕はいつものようにVIPに流れ着き一瞥して舌打ちを鳴らす。
「またゆとりか…」
溜息と共に自然に声が溢れた。
面白くも無いのに来てしまう…麻薬と何も変らない。
そして、僕は似たような環境下の人間のブログをいつものように巡回する。
基本的に自宅警備員のプロと呼べる人間は自己を発信したりはしない。
意味がないからだ。
自己を発信する人間はどこか自分とは違う。そう思いつつも
僕はブログを見てニヤニヤするのだ。
4: 以下、
思えばお気に入りに入れていたブログも入れ替わりが激しい。
いよいよ経済的に収入を得なければならない状況に立たされ
飛び立ってゆく自宅警備員もいた。
僕はそういう人を見て、眉をひそめていた。
正に働いたら負け的な価値観が僕を支配していたのだ。
そんな折に事件は起こった。
5: 以下、
両親が話しがあると僕を呼んだのだ…。
僕も自宅警備員を始めた当初は両親に咎められるのが日常茶飯事だった。
しかし、僕の確固たる意志に屈したのか
両親はいつの頃からか諦めたらしい。
今では半年に一度あるかないか程度の召集がかかったのだ。
6: 以下、
父親は僕を一瞥すると、深い溜息をついた。
それから暫く沈黙が場を支配していたのだが、
母親がお茶を出すと同時に、父親が口を開いた。
…内容はハッキリとは覚えていない。
ただ、父親がリストラされたという事だけは分かった。
8: 以下、
そんな事より正月に来る親戚対策教えて
9: 以下、
父親のリストラ。
僕は瞬間的に自己の保全に関して思考を廻らせた。
いや、必然的にそこに辿り着いてしまったのだ。
父親リストラ→金がない→自宅警備員解雇
時間はかからなかった。
僕は解雇された後に自分がどうやって生きて行くのか?
考えようとしたが、すぐに止めた。
12: 以下、
両親は今後、年金受給まで何とか食い繋ぐつもりでいるらしい。
今のご時勢、天下り出来なければ、高齢の父はアルバイトが関の山だろう。
母親もパートをするのだろう。
両親は僕をこれ以上面倒見れないと切り出した。
僕は冷静を装い、いつもの如く黙秘権を行使した。
しかし、黙秘権を行使した所で状況は何も変らない。
僕はいつも以上に死相が見えていたことだろう。
13: 以下、
僕にとってはこれは平和な日常を破壊する大事件であった。
僕は誰かにこの大事件を聞いてもらいたかった。
そしてVIPにスレを立てた。
「自宅警備員解雇されたwwww」と。
しかし、50スレ程度で落ちた。
15: 以下、
これは期待できる
16: 以下、
僕は諦めた。
全てが終わったのだ。
この平和な自宅から外の地獄のような世界へ出るのか?
死を選ぶのか?
僕は一晩中考えた。
だが、やはり死は選べなかった。
僕は求人をネットで漁った。
17: 以下、
ネットで情報を漁るにしても、2で漁ってしまう所が
自宅警備員の性なのであろう。
僕は二重三重に凹まされ、軽い鬱状態になった。
僕に何が出来るんだ?自問自答を繰り返し、優しさを求めて
YAHOO掲示板で質問したりとか恥ずかしい真似もした。
結果として僕は工場の期間工という職種を発見した。
寮にタダで住めるらしい。
仕事は会話が最低限で済むライン作業だ。
19: 以下、
僕は何処でも同じだろうという気持と、いざというときは
バックれればいいという気持でTOYOTAに的を絞り
面接という名の説明会に足を運んだ。
僕は家をでた瞬間から終始震えていた。
ポケットの中で握り締めていた拳が汗でびっしょりになっていた。
21: 以下、
会場に付き見渡すと、いかにも底辺といった人々が順番を待っていた。
機械的に部屋の中へ入れられると、一通りの質問をされる。
僕は適当に考えていたまともな理由でそれをかわす。
しかし声は上ずり、相手の目は見れない、震えている
といった三拍子揃っていたので
半ば諦めていた。
24: 以下、
説明会が終わると僕はすぐさま近くのトイレに駆け込み
呼吸を整えた。
いつものPCの前に居る精悍な顔つきで堂々としている僕は
そこには居なかった。
シュミレーションでは僕は風を切って家まで辿り着いていた筈なのに
僕はトイレで泣いてしまった。
軽く死のうか迷った。
25: 以下、
途中でホットココアを購入したのみで、後は脇目も振らずに
家に辿り着いた。
そして、部屋の鍵を閉め、呼吸を整えたらいつもの僕に戻った。
この部屋が僕にとっての聖地なのだ…そう改めて認識させられた。
両親が結果を聞きに来たが僕はいつもの黙秘権を行使した。
26: 以下、
そして、またしてもVIPにスレを立てた。
>>2でお前すげーじゃんというレスが付いたので僕はそれで満足して
それ以上は見なかった。
良く分からないのだが、僕はこの一言で今日という一日を正当化したのだ。
そして、いつものように何時までに1000行ったらおっぱいうpスレで
kskさせるという任務に戻った。
28: 以下、
それから数日後に何と合格という通知が家に届いた。
僕は自分の目を疑った。
というか、TOYOTAを疑った。
同時になぜかとても悲しくなったのを僕は覚えている。
僕は働いている自分を良いようにイメージしてテンションを上げた。
現実は誰も友達も出来ず、仕事も出来ず、苛められるのは分かっていた。
だからこそ、僕はテンションを上げた。
29: 以下、
僕は怖かったので期間工関係のスレは一切見なかったのだが
この時点で予備知識として覗いてみた。
…想像以上に悲惨だった。
仕事はそんなに大変ではないだろうと、決め付けていたのだが
とても肉体的にハードらしい。
僕は筋トレをしようかと思ったのだが、止めた。
30: 以下、
樹海行きが近いですね
31: 以下、
出勤日が近付いてきた。
僕は愛知県に住んでいたのだが、TOYOTA市からは離れていたし
家は両親が処分するらしいので、結局は寮に入らなければならない。
そこで僕は持っている愛着のある自宅警備員道具を処分しなければならない
という一つの壁にぶつかった。
これが無くなれば僕は自宅警備員として積み上げてきたキャリアを捨てることになる。
僕は自宅警備員には戻れない。
そう感じていた。
36: 以下、

38: 以下、
これは期待
40: 以下、
三種の神器の一つであるPCだけは捨てることが出来なかった。
寮に郵送する手筈を整えて
僕はTOYOTAの門をくぐった。
初日はボロボロの寮に案内されて二人一組で寝るらしい。
僕は九州から来たと言うほくろから毛が生えているのが特徴的な
男と一緒になった。
僕が寝ていると突然、甲高い叫び声が響いた。
僕は飛び起きて、辺りを見渡した。
しかし、それはその男の寝言での叫びであったのだ。
僕は一刻も早く正規の一人部屋に移ることを願った。
41: 以下、
教育が終りも近付くと、周りではコミュニティが出来たりして
騒がしくなってくる。
しかし、僕は勿論、一人だ。
死相が出ていたに違いない。
僕に話し掛けてくる奴など皆無だった。
期間工は殆んどがタバコを吸うらしく
喫煙可能な場所は満員で、そこらかしこに痰や唾が吐き捨てられている。
僕は何度もガン飛ばされながら、必死で目を逸らし続けた。
42: 以下、
僕の配属先が決まった。
塗装課というところらしい。
組み立てが大変だと聞いていたので、僕は安堵した。
如何にも力仕事とは無縁そうだ。
しかし、これが地獄の始まりであったことは知る由もない。
とにかく僕は必死だった、教育の段階から必死だった。
過呼吸になりながら、僕は必死だった。
44: 以下、
教育が終り、各自職場に案内される。
僕も自分の工場へのバスに乗り込んだ。
このとき、変える場所も無いという不安で僕は泣いた。
隣の人にばれないように泣いた。
工場に着き、職場へ案内される。
僕と裏番の二人だけだった。
休憩室へ入るなり、丁度休憩中だったらしく、皆の目が突き刺さる。
挨拶をしたが、誰も答えてはくれない。
そして、若い期間工に「女じゃねーのかよおおお」って
残念がられる。
僕の期間工はこうしてスタートした。
46: 以下、
最初にリーダーが職場を案内してくれた。
トイレがどこだとか、お前はここが職場だ、とか。
リーダーは定年間近のお年寄りだったのだが、この時は
良い人に思えた。
この時は…
48: 以下、
そんなこんなでこの日は案内だけで新しい寮へ帰った。
新しい寮は比較的良い所だった。
ベッドもあって、僕は鬱で酷く疲れていたが
何とかテレビをつけて、ぼーっとしていた。
何となくこれから始まる地獄は予測できた。
僕はカルピスを飲み干した。
50: 以下、
次の日の朝、僕はお昼以降に起きるのがライフスタイルだったので
とても死にそうだったのだが、何とかバスに乗り込んで
工場へ向かった。
周りは皆死んだ魚のような目をしていた。
僕には勿論、死相が見えた。
そして、僕の割り当てらた仕事内容は車のボディを永遠と拭く仕事らしい。
僕は内心ラッキーと思った。
失敗するような塗装仕事にさせられたらヤダなあと思っていたからだ。
52: 以下、
先にそこを担当していたのは、大卒の実習生というものだった。
その人は3ヶ月間の実習に来ていたらしくて
とてもジャニーズ系でイケメンだった。
僕はその人に仕事を教えて貰う訳なのだが、
その人はここの職場と人と、この仕事に、相当の恨みを持ってるらしくて
僕に最悪っすよと連呼していた。
殴りたい殴りたいと、とても一流大卒とは思えない程のことを
連呼していた。
僕は3ヶ月でこんなに人が壊れるのか?と、ぞっとした。
53: 以下、
支援
54: 以下、
僕は最初、その人に仕事を当然教えてもらうわけなのだが
教えてもらってると社員が来て、楽しそうに喋ってるとさぼってると見做すと
宣言された。
僕は当然楽しそうに喋っているつもりもなく、仕事を教えてもらっていただけだ。
手を止めていると、ボディがどんどん流れてくるので
僕は必死で一日中小走りでボディの周りをぐるぐるまわり
外や中を拭いた。
次の工程には社員が入ってやるところがあるのだが、そこも楽をする為に
省略されてるので、必然的に僕のラインで二ライン分の仕事を
こなさなければならない。
僕は当然間に合わなかった。
55: 以下、
間に合わないと、すぐに次工程の期間工上がりの社員が
京都弁で何やっとんのじゃい!!われ!!!ころっすぞ!!
と、怒鳴ってくる。
僕は萎縮してしまった。
とにかく、怖いので間に合わなくても流すようにしていた。
しかし、そうするとバレるらしくて、リーダーが走ってきて
お前の代わりは幾らでもいる、と僕を罵った。
56: 以下、
面白い
57: 以下、
仕事が終わると、僕の足は棒状態になっていて、指も手もまともには動かない。
僕は這い蹲るようにして寮に帰った。
そして、一旦座り込んでしまうと、10秒ほどで睡魔が襲ってくる。
そんな日々の繰り返しだった。
僕は毎日泣いた。両親は僕をとっくに見捨ててたらしく、連絡も一切無い。
僕を再雇用する気はないらしい。
僕は自分が生きているのか死んでいるのか良く分からない日々が続いた。
58: 以下、
僕は寮にPCを持ち込んでいたのだが、ネットに接続していなかった。
ネットをやるより寝たかったのだ。
土日も寝ることが大切だった。
代わりに、僕は日記をつけていた。
日記には自分には変える場所は無いという言葉が何度も何度も書かれている。
途中で終わっている日記も多い。
寝てしまったのだろう。
59: 以下、
入った時から僕の仕事内容はハードだということは聞かされていた。
現に1ヶ月たったら取れると言う足の疲れが
嘘のように取れない。
全く変わりが無い。というか、足首がない出血している。
掌も雑巾をしぼり、高熱のボディを触るので擦り剥けとヤケドで酷い状態だ。
僕は期間工後の後遺症を覚悟した。
61: 以下、
激務薄給ってやつか
62: 以下、
しえ
63: 以下、
僕がミスをする度に、社員が僕に淡々と説教をするのだが
お前の給料は日給9000円だ。
そして、お前の今やったミスが9000円だ。
どうしてくれるんだ?
今日はタダ働きでいいか?
と、僕を脅してくる。
僕は黙秘権を行使し、黙っていた。
僕は9000円支払うから許してくださいと言う気持に支配されていた。
65: 以下、
休憩室はタバコの煙で一杯だった。
話しの内容は聞きたくなくても聞こえてくる。
パチスロ、競馬などのギャンブルの話し
車の改造の話し
女遊びの話し
他の人の悪口
90%はこれらの話しだった。
最初に僕に仕事を教えてくれた大卒の人がいなくなってからは
僕はずっと心の中で周りの声を掻き消すように妄想をしていた。
最初は携帯を弄っていたのだが、社員に辞めろ!これも時給に入っている!
と言われたので辞めた。
しかし、5分間の休憩と、昼休みは時給には入っていなかった。
僕は当然、怖いので逆らわない。
66: 以下、
心が痛むなあ
68: 以下、
大卒の実習生は、出世したらこいつらに痛い目あわせてやると
僕に言っていた。
そして、僕に夏が来る前に辞めた方が言いと何度も言っていた。
勿論、僕は行く所がないので、辞める訳にはいかなかったのだが
後々でその忠告の意味が身に染みた…
69: 以下、
支援。
70: 以下、
徐々に外が暑くなりだす6月。
梅雨の季節がやってきた。
僕の職場は埃が禁物なので、外気は完全に遮断されている。
そして、埃が舞わない為に常に霧吹きで水が噴射されている。
奥からはどんどん高熱のボディが流れてくる。
この時点で、湿度95%、室温45度という地獄だ。
半分サウナ状態なのだ。
僕の仕事場は他の職場と隔離されていて、新設の突貫工事で作られた
らしく、空調設備が一切無い。
期間工には空調設備などいらないという考えなのだろう。
僕は腕まくりすら禁止された、サウナスーツみたいなつなぎをきて
体中から汗を噴出し、顔は塩で真っ白になった。
71: 以下、
その頃から僕の身体に異変が置きはじめた。
僕は立ちくらみ状態が常に続いたので、さすがに死を予感して
社員に訴えた。
死にます、助けてください。せめて、水だけは持参させて下さいと。
しかし、社員は倒れたら変るよwと恐ろしいことを言うだけだった。
予想通り僕は倒れた。
73: 以下、
支援
74: 以下、
なんかわかる
77: 以下、
僕は起きた時には休憩室で寝かされていて
すぐに内部の医者に診察された。
そして、その後同じ現場での仕事は一週間はダメだということだったので
僕はリーダーからとても迷惑そうな顔をされたのは忘れられない。
僕は他の職場へ連れて行かれ、そこで掃除をさせられた。
仕事開始から終りまで永遠と床をガムテープでゴミ取りという
嫌がらせに近いことを二週間もやらされた。
そこのリーダーは真面目にやるのは良いけど、手を抜けないのは馬鹿だと
言ってきた。
僕が手を抜けば後ろの工程の京都人に人格を否定されるほどの罵声を
浴びせられると言うのに…
僕は混乱した。
78: 以下、
僕が職場に復帰したとき、僕の工程をやらされていた人は社員で
ラインのスピードは半分でやっていた。
それなのに、間に合っていなかった。
けれども、誰からも咎められず和気藹々とやっていた。
後ろを見るとスポットクーラーが設置してあった。
僕はなんとも言えない気分になった。
その日の帰り、バスの中のラジオで流れていたハイロウズの
日曜日よりの使者を聞きながら
僕は外を眺めていた。
僕は日曜日より、永遠の終りが欲しいと思った。
82: 以下、
僕がラインに戻ると、スポットクーラーは設置してくれていたのだが
勿論、これは体裁上で吹き出し口には埃が舞わないようにと
布を被せられた。
その布が非常にきめ細かく、正直いって、全く風が来なかった。
なので、僕は以前と同じ環境下で夏を迎えた。
僕は諦めの境地に至っていた。
心の中で社員やリーダーを死ぬほど恨んでいた。
そんなときに、社内のお偉いさんがラインを見学しにきた。
87: 以下、
僕はおかしくなっていたのだと思う。
集団に観察されている状態。お偉いさんはクーラーが設置されている
部屋から僕を談笑しながら観察している。
僕は暑さ対策のために、せめて、身体を冷やさなければ倒れると言う意識が
有った為に霧吹き機で服を濡らして、少しでも体温を下げていた。
体中がびしゃびしゃだが、自分で対策しなければ本当に死ぬのだ。
僕はお偉いさんが見ているからといって、その行為を慎む事はできなかった。
灼熱のボディは触ると火傷するほどの温度だし、そのボディの内部に
入らなければならないのだ。
僕はよくリーダーから汗をボディに付けるなと文句を言われていた。
しかし、それは不可能だった。
汗で目の前が見えない程で、僕は此処に入ってから3ヶ月でガリガリになったのだから。
しかし、お偉いさんは僕の行為に対して目を瞑ってはくれなかった。
89: 以下、
お偉いさんは、期間工の僕と直接話すようなことはしない。
動物園の動物と同じ意識なのだ。
目と鼻の先にいる僕に対して、社員を通して、あいつは何でスポットクーラーまで
付いているのにあんなことをしているんだ?
スポットクーラーはいらないからどかす
サボってる
何であんな遊んでいる暇があるのだ?
僕のマニュアルにはない動きに対して、問題が提起されたらしい。
絞った雑巾を更に絞るというTOYOTAの考えの元に犠牲になっているのは
いつでも底辺の期間工だろう。
僕の仕事は更に増えた。そして複雑になった。
93: 以下、
僕は毎日夜中に身体の痛みで起こされる。
悪夢も毎日見た。
足に虫が這っている幻覚にも悩まされた。
僕は温室から一気に地獄に来た。
外の世界は地獄だ。
蟹工船の冒頭の一文「おい、地獄さいぐんだで!」
僕はその言葉を思い出していた。
しかし、その一方で高級な趣味も無い僕は
貯蓄が貯まっていた。
94: 以下、
しかし支援
95: 以下、
僕は満了の日をずっと夢見ていた。
その先の事など考えられなかった。
とにかく、此処が地獄以外に何だというのだろうか?
これ以上の地獄が僕を待っているのか?
家に帰りたい…僕はずっとそう思っていた。
しかし、帰る家はもうない。
僕はもうこの列車から降りたかった。
96: 以下、
僕は何とか満了の日を迎えた。
この日をどんだけ待ったか…。
最後に職場から立ち去る僕に挨拶をしてくれるものは誰も居なかった。
それでも僕はやり遂げた。
いや、やり遂げざるを得なかった。
最後に内部の医師に満了してから何が起こっても決して訴えないという
約束をさせられた。
判子を押さなければ、満了金は出せないと言われ僕は押した。
とにかく、一秒でも早く僕は外の世界に出たかったのだ。
僕は多分、身体なんてどうでもいいと思っていた。
98: 以下、
僕は貯蓄したお金で部屋を借りる必要があった。
外での野宿は僕には無理だと踏んだのだ。
しかし、僕と親は既に連絡が出来ない。連絡先すら教えてもらえなかったのだ。
僕が親にしていた行為を考えると当然かもしれない。
そこで唯一保証人がいらないレオパレスを借りることにした。
100: 以下、
期間工ってこんなにひどいの?
最後の判子押さなきゃ金出さないなんて
訴えたら勝てるレベルじゃね?
101: 以下、
>>100
後の事より、目先の金
102: 以下、
僕は寮から引っ越す時に余りの嬉しさにまた泣いてしまった。
そして、自然に叫んでしまった。
何故あんな僕らしくないことをしたのかは分からないのだが
それ程に僕の精神は狂っていたのだ。
TOYOTAの文字を見るだけで吐き気を催すようになってしまったのも
此処での後遺症の一つだと考えられるだろう。
僕は初めて神に祈った。
もう二度と此処へは戻ってきませんように…と。
しかし、実際問題次の収入先もない。
ここで貯めた微々たる貯蓄などすぐに底を付いてしまうだろう。
103: 以下、
僕は寮から出て電車で名古屋市内へ向かった。
あてはない。
だが、僕の心は開放感で一杯だった。
電車の外の風景を見ながら、僕は今後の身の振り方を真剣に考えた。
派遣は嫌だ。とにかく、もう二度と工場で働くのは嫌だった。
それをする位なら死んだ方がマシだとさえ思えた。
いっそ、寺にでも入ってしまおうか?僕は考えていた。
106: 以下、
とにかく僕は借りたレオパレスに入居することになった。
値段は異様に高い。ぼったくりだ。
しかし、保証人無しで借りられる所は此処しかなかった。
壁は非常に薄い。隣の人の吐息までも聞こえてきそうだ。
僕は部屋にカーテンが付いてないこともあり、電気も付けないまま
次の日まで只管に寝た。
僕は夢の中で魔物に追いかけられていたのだが、逃げようと思うと
足が泥濘に入ったようになり、とても苦しかった。
110: 以下、
ともかく僕は仕事をしなくてはホームレスになる。
それだけは分かった。
僕は選んでいられる状態ではないのだが、工場だけは嫌だった。
工場に行くと精神病にかかると僕は確信していた。
僕は求人雑誌を買い、職業安定所へ通った。
そこにはゾンビのような人と、僕のように死相が見えていた人の群れがいた。
そんな中で職員が僕に雇用保険もらいつつ、訓練校へ通いスキルを
身に付けるのもいい。
という提案をした。
僕は学校には行きたくなかったのだが、今後の生活のことを考えると
選択の余地はなかった。
それ程までに求人は酷い状態だった。
111: 以下、
支援
112: 以下、
迷った挙句、僕はデザイン系の訓練校と、情報系の訓練校を
受験することにした。
試験はともかく、面接は酷いものだった。
しかし、僕は情報系の方に合格した。
期間は3ヶ月だった
僕は金を貰いながらなら悪くないか。と思っていた。
113: 以下、
学校は思ったよりも年齢層が広く、おじちゃんやおばちゃんが沢山いた。
どれも共通しているのは、死んだ魚の目をしていたことだ。
僕は最初から友人などを作ることを諦めていたので
休憩時間には一人で読書をしていた。
そんな折、同じ歳ぐらいの若者が僕に話し掛けてきた。
僕は驚きの反面、久しぶりの出来事に内心嬉しかったんだ。
114: 以下、
それから少しづつその人と仲良くなった。
僕は話しをしても相手に伝わらないし、伝わっても何だか途中で面倒臭くなり
話すのを辞めてしまう癖があるのだが、その人は僕に執拗に話し掛けてきた。
その人はNくんと言い、前職は証券会社で働いていたらしい。
僕はなんでこんな所にそんな人がいるんだろう?と疑問に思いつつ
電話番号を交換したりして、ご飯を食べに行ったりする仲になった。
115: 以下、
wktk
116: 以下、
あるとき、Nくんが会社を立ち上げると言い出した。
僕は止める理由もないので、凄いねと言い聞いていた。
すると、何やら資金に困っていて僕に出資金を貸して欲しいとのことだ。
僕は今まで友達がいなかったので、こういう時は困った時で
貸してあげるのが友達だと思ったのだ。
117: 以下、
ねぇよwww
118: 以下、
すぐに返せる宛があるというNくんの言葉を信用して僕は
殆んどの貯金額をNくんに貸した。
Nくんはそれを受け取ると満面の笑みで帰っていった。
僕は初めて出来た友達をなくしたくなかった。
121: 以下、
ああ・・・
123: 以下、
そしてそれからNくんは学校へ姿を見せなくなった。
近所のパチンコ店で見かけたという情報だけが入ってきた。
連絡も取れなくなった。
それから約束の日になっても一向に返済はされなかった。
Nくんは結婚してたので、嫁さんに電話をしてみたのだが、全く
相手にされず一蹴された。
僕は再び鬱になった。そして、もう二度と人間は信用しないと心に決めた。
この学校で逆に資産を失った。
内容はエクセルやワードだったので、得るものは無かった…
ただ、ワードの民間検定に合格したのみだ。
124: 以下、
まあ、ここまでよく頑張ったよ
125: 以下、
僕はこの頃になると良く考えるようになっていた。
僕の人生のピークは自宅警備をやっていた頃なのではないか?と。
あの頃の僕は充実していたし、ネット内では弁慶だった。
しかし、外の世界では僕みたいな肉の殆んど付いていない餌でも
毟りに来る人間がいる。
僕は強くなろうと決めた。
127: 以下、
支援
129: 以下、
支援
134: 以下、
事実は小説よりも奇なりとはよく言う。
僕は、それから再び工場で働きつつ法律の勉強をした。
工場と言っても小さな町工場だ。
金型で永遠と同じ物を作る。この部品が何に使われているのかすら
知らない。
とにかく仕事は何でも良かった。
明日生きてゆけるだけのお金を稼ぎ、勉強がしたかった。
自分を守る為に、僕は必死で勉強した。
朝の4時に起きて、勉強して仕事へ行って
終わってから勉強した。
苦痛ではなかった。僕はこのまま生きて行くほうが苦痛だと
分かったから。
そして、今年の夏に司法書士に合格しました。
思い出すのは、朝方に聞いた新聞配達のバイクの音
毎日買って飲んだ缶コーヒー
模試で良い結果でなくて、罰として自分に与えたシャーペンの傷
気晴らしに読んでいたNATIONAL GEOGRAPHIC
目の前に張っていた人事を尽くして天命を待つという言葉
合格したとき流した涙
工場の社長や社員のビックリした顔。喜んでくれた顔。
僕は全て一生忘れる事はできない。
ここに書いた出来事も全て忘れる事が出来ない事実です。
読んでくれて有難う。
135: 以下、

136: 以下、

138: 以下、
乙 よくがんばった
153: 以下、
お疲れ様でした
148: 以下、
これちょっとたくさんのニートに読んでもらいたいな
152: 以下、
すげー!
>>1おまえカッコいいよ!
141: 以下、
お前マジでカッコいいよ
俺も頑張るぜ
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14 不思議な
※8
世間知らずのクソガキが他人をカス呼ばわりするとはいい度胸だな。
お前の言う普通とは何だよ?
生きる事の辛さを知らないクソガキは黙ってろ。
15 不思議な
なつかしー
だいぶ前にハムでみたなこれ
16 不思議な
連投すまん。
※8よ、少なくとも投稿主はお前よりよほど立派だという事を着け加えておく。
精々ケツの青いまま、他人を見下していればいい。
17 不思議な
トヨタの期間工を、二回やったけど
挨拶がないとか、そういう事はないぞ
所々に、話を大袈裟に書いてあるな。
人は、いいが仕事はきついそれで、やめる人はいるだろうな。
18 不思議な
設定が荒いねぇ
想像で叩くにしてももう少し制度調べりゃいいのに
19 不思議な
司法書士がいいと思えたわけか。
20 不思議な
良まとめ
21 不思議な
最後がハッピーエンドだとどうも嘘くさくなるんだよな
トヨタが酷いのは分かったが
22 不思議な
トヨタってそんなにひどいの?
ヤバすぎだろ。
23 不思議な
トヨタに限った話じゃないだろうけど、自動車がこんな風にしないと作れないならそりゃコモディティ化していくし、今のトヨタは図体を維持できるわけもないなと思わせられた。
24 不思議な
なんで※8が叩かれてるのかわからない
ニートから這い上がったのは偉いけど
少なくともニート期間は最低やん
25 不思議な
ニート期間を叩く奴は、人生の躓きや失敗、間違い、いわゆる汚点とされる期間を蔑んでるのか?
誰にでも時期や形や内容は違えど似たようなことが起こるんだぞ
26 不思議な
まじで凄い奴だよスレ主は
27 不思議な
※24
揚げ足取りは嫌われて当たり前だぞ
28 不思議な
自分も派遣でトヨタにいたがだいたい合ってた。
行き帰りのバスの中は本当みんな死んだ魚のような目をして誰1人喋らず無言だった。まるで囚人護送車。
29 不思議な
司法書士って、そんなに美味しい仕事なのかな?
始めの自宅警備員解雇のくだりと、途中のト○タ派遣のくだりは、やたらとリアルなんだけど「その後」の部分が、荒く、唐突なんだよな。
なんか、この作者、10年たった今でも世をわたる「武器」を手に入れられず、何処かの町工場や工事現場で細々と働いていそうな気がする。
いや、本当松だったら、それが一番なんだけれども。
30 不思議な
TOYOTAって今でもこうなのか?
奴隷よりひどい労働環境だな
黒人奴隷だってもうちょっと大切にされてたぞ
31 不思議な
働き出してからの努力はわかるが、俺もなんで※8がこんなに叩かれるのか分からん。
ニートはカスだし、親と最低限のコミュニケーションも取れないのもカスだし。
※14※16が偉そうに言ってる生きる辛さ?そんなもんは普通に生きようとしてこなかった自分が蒔いた種だろ。自業自得だ。
不良が良いことして普通の人以上に褒められるのがおかしいって両津さんも言ってたぞ。
32 不思議な
・・大したもんだ。
33 不思議な
※30
エジプトの奴隷なんて、いまの公務員より自由あったぞ。
34 不思議な
イッチはどうしようもないクズだったけど、死ぬほど努力してその結果を手に入れた、底辺から脱出できたんだ
それだけでもたいしたもんだよ
普通のヘタレニートにはできねえぞ?
司法書士に本当に自力で合格できたなら、それはもっとすごいことだよ
何回目で合格したかしらんが、俺のいとこは今年で5年目だぜ? 法科大出て一般企業勤めながら専門学校で勉強してても、まだ合格してない
35 不思議な
自動車産業のライン工は酷いってのは聞いたことあるけど、多少誇張してそう。
ただ、十数年前は労使関係がいい加減だったから今よりも遙かに過酷な環境だったと思う。
36 不思議な
小泉竹中改革スポンサーはトヨタだよ。内閣府に特別室がありそこは奥田の部屋さ
37 不思議な
で、その後どうなったんだろうか?
幸せに暮らせて親とも仲直りできてりゃ良いが
その後がわからないとハッピーエンドとはいえないな
司法書士になるのがゴ?ルではないはず
とりあえず両親を安心させてやって欲しい
38 不思議な
職業訓練、去年行ってたけど全然死んだ魚の眼の人なんていないよ?
みんな凄い勤勉で、簿記の試験も真面目に勉強してみんな受かってたし…
年齢層は高めだけど、優等生タイプばっかだったな
39 不思議な
なんで※8が叩かれてるのかわからない
よくいる学歴至上主義者だろ
日本に引きこもってばかりの視野の狭い奴
自分の小ささを棚に上げて他人を見下す時点で批判する価値すらない
40 不思議な
この>>1には工場も職安もネガティブな場所だったからネガティブに見えたんだろ
ライン工やってた兄貴がこんな状態で辞めてきた
次は老人介護行ったけど今は楽しいらしい
41 不思議な
トヨタひどい。
10年前とはいえ人権意識ゼロこわい。
42 不思議な
司法書士に合格ってすごいな
43 不思議な
※29
おいしいかどうかはともかく食いっぱぐれはないだろう
試験での取得者は年間数百人しかいないから
取得者でも実際に業務につく人数はもっと減るだろうからね
44 不思議な
ニートから社会人へどの程度進化出来るのかが気になって頑張って読み進めたが、
「永遠と」が二回出て来た時点で脱落したわ。
45 不思議な
司法書士に合格したの?
「教育が終りも近付くと」とか「永遠と」とか平気で書き散らかすイッチが?
ほーん司法書士試験ってちょろいんやね(棒
46 不思議な
読みやすかった
47 不思議な
タイトルで期待しないで読んだら、超感動した。泥濘とか只管とか難しい漢字使うし、文章もしっかりして読みやすいから、元々頭のいい人だとは思うけど。
48 不思議な
※39の擁護すると見せかけて場外に放り投げてくスタイルすき
49 不思議な
合格に全て集約されててわかりやすくてスッキリする話だなぁ。
50 不思議な
司法書士取るような人間が永遠て書くかね
51 不思議な
司法書士の所だけ嘘だろうなぁ
52 不思議な
トヨタ車は買わないことにする
トヨタくそすぎw
53 不思議な
すげえなコイツ
54 不思議な
最後の展開投げやりすぎるやろ
55 不思議な
拡散して不買運動だな
56 不思議な

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