【モバマス】10年後の、二人の日記−三船美優−back

【モバマス】10年後の、二人の日記−三船美優−


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・モバマス 三船美優さんのSS
・一人語り、読点、独自設定あり
・モブキャラあり
・かきためてるのですぐおわります
それでよければ続行、むーりぃなら回れ右で
2: 以下、
私は今、北に向かっています。
新幹線の座席。
並んで座っている人は、私のPさん。
目的地は、岩手。
けれど、この旅は
里帰りでは、ありません。
----------------------------------------------------------------------------
3: 以下、
話は、10年以上前まで遡ります。
中学の頃、今も おとなしい と言われる私??三船美優??は
輪をかけておとなしい、いえ、おとなしいを通り越して
孤独な女の子でした。
周囲の話や流行のペースには何かと合わず
さりとて無理に輪の中に入るのも臆してしまい
なにをするにも、ぽつねんとしていて。
それを特に寂しいとも、思っていませんでした。
けれど、そういう私を放っておけないという
今考えればありがたい友達が、いたのです。
4: 以下、
遠足や、班分け、登下校。
気付けば私に声をかけ、ごくさりげなく
人の輪に融け込ませてくれました。
当時から、表情が冷たいとか、違う世界にいるとか
遠巻きに扱われていた私との距離を
邪魔にならないように、詰めてくれました。
いつの頃からか、私からも
彼女を誘って一緒に遊びに出かけたり…
あ、アクセのお店とか、ファストフードのお店とか、そんな程度ですよ。
それですら、私には 冒険、といって大げさなら
新たな世界への一歩、でした。
5: 以下、
「交換日記、しない?」
ある日、彼女にそんな提案を貰いました。
口下手な私も、文章の世界ならのびのびはばたけるかもしれない。
メールでもやりとりはしていましたが、手書きの文字や絵で
お互いを知り合えば、もっと距離が縮まるかもしれない。
そう思ってくれたのかもしれません。
別段そういう申し出を、殊更嬉しいとも面倒とも思わず
なにげなく受け容れた、ように憶えています。
当時から面倒くさい女の子だったんですね、私…。
「なんでもいいんだよ、今日あったこと、普段考えてること、夢、思いつき…」
却って なんでもいい と言われると困ってしまうものですが
それこそ思いつくままに、日々の出来事から、ぼそぼそと連ねてゆきました。
6: 以下、
私の表情のように、無機質な文章が多かった、はずですが。
彼女の日記の返事は、軽くいなすでもなく、無理に盛り立てるでもなく
ちゃんと私のことを、私の大きさのまま、受けとめてくれました。
文章は、読んでくれる人がいて、はじめて完成する。
そんなことを言う人がいたと聞きます。
私は、彼女という「読み手」を得て、はじめて自分の落ち着く場所が
できた気がしました。
7: 以下、
日記が進むにつれて、話題も多彩になりました。
ほんとうにどうでもいいことも、ページの隅っこのイラストも
真剣な悩みも、自分の弱さも。
そのひとつひとつに、真正面から向き合って、同じ楽しさや嬉しさ、
強さと弱さを 感じようとしてくれた彼女。
どれだけ、私の かさついていた心が潤ったことか。
そもそも、心が かさついていることにすら、彼女がいなかったら気付けていたかどうか。
感謝は尽きません。
「ありきたりな感想しか書けなくて、ごめんなさい」
そうしたためたときも、
「美優ちゃんが思って、それを素直に書いてくれたことが、私にはうれしいんだ。
 たまたま文字の並びが ありきたりだったりしても、美優ちゃんが感じた思いは
 誰にも替えられないから、気にせず書いてね」
何度、胸に日記を抱いたまま、しみじみと幸せをかみしめたことでしょう。
8: 以下、
そんな間柄も、卒業という名の区切りで
否応なく終焉がおとずれようとしていました。
別々の高校に進む。
とわかったとき、真っ先に不安になったのが
「日記、どうなるのかしら…」
つい、彼女の前でつぶやきました。
彼女以外の前でこんなことを言ったら
 どうなるも何も、あなたが決めなさい。
とか、にべもなく突き放されそうなものですが、
私の不安を きちんと彼女はわかっていました。
まだ、自信がない。
日記の中のように、誰にも臆せずひるまず、思った通りのことを伝える
そんな三船美優には、彼女以外を前にすると、まだ、なれない。
一歩を踏み出すのが、怖かったんです。
9: 以下、
でも。
日記の代わりに何をすれば自信が得られるのか
だいいち彼女のような、すべてをうけとめられる慈母のような人に
そうそう巡り会えるものなのか。
ぐるぐると同じことばかり考えて、結論が出ませんでした。
そしていよいよ卒業の日。
「美優ちゃんに、いままでの日記…預けるね」
数冊のノートを、私の手に託してくれた彼女。
不安になったら、いつでもそのノートを見返して
どんなふうに自分が自信を持てるようになったか、確かめられるように
しておこう。
そういう、まるで親心のような気配りで、もう行き交わない交換日記が
やってくることになりました。
ここまで手取り足取りさせていたのかと、いま思い返しても恥ずかしくなりますね…。
10: 以下、
あ、ごめんなさいもうひとつ>>1に追加で
・「だ、である調」と「ですます調」が混ざることあり
ある人(作家に非ず)の文章が好きで、それっぽくしてます
11: 以下、
現に言ってたんですよ。
「美優ちゃんもそうかもしれないけど…昔書いたことを読まれるのって
 ちょっと…恥ずかしいな」
それでも、私が私であろうとすることには替えられないと
私にとって贅沢すぎるほどの財産?彼女のいつわりない気持ち?を
くれたのです。
この私に…
振り返ると、私の人生には
モノトーンの時期と、鮮やかに色のついた時期があって
彼女と交換日記をしていた時期は。
間違いなく。
彩り豊かな時期でした。
12: 以下、
卒業してからも、メールのやりとりなどは続いていて。
日記も、ちょっと怏々とすることがあったりしたら
読み返してみたり、していました。
彼女の日記は、物理的なノートという存在以上に
私の中に、持ち重りのするものを残してくれていたようです。
それでも高校という、新しい環境ができると
不器用な人間でも、その環境なりの居場所ができるもので
中学の頃よりは少しだけ、私の周りにも人の輪が増えて
あんなに心配していた、私が私であるという自信も、自然に少しずつついてきて。
…。
せっかく託してくれた日記も
開く機会が だんだん少なくなっていました。
このままでは、棚の肥やしになって、いつか私自身も忘れ去ってしまう。
13: 以下、
でも。
この日記は間違いなく、ここまで成長できた私の糧になってきた。
万一捨て去ってしまったりすれば、いままでの自分を否定するばかりでなく
また昔の、孤独な自分にもどってしまうかもしれない。
今更そんなことはできない。
「日記、どうしよう…」
ちょうど1年が過ぎようとしている頃でした。
去年と全く逆の悩みを、日記に対して抱えていました。
14: 以下、
高2にあがった、4月。
交換日記の彼女と、久しぶりに会いました。
私の方から、会って伝えたいことがある。そう連絡したのです。
彼女も彼女で、進学先で新たにできた人間関係に揉まれながら
頑張っているようでした。
でもありがたきかな、肝心の包み込むようなやさしさは
まったく変わっていませんでした。
なつかしい話にも花が咲いて、日も傾きかけてきた頃。
よく一緒に散歩をした、家の近くを流れる川の堤を歩いているとき。
意を決して、彼女に言いました。
「あの日記…タイムカプセルにしない?」
15: 以下、
タイムカプセル。
それだけで彼女には、意図が伝わった様でした。
交換日記は、当たり前ですが、中学卒業から一ページも増えていません。
私を育む「役目」は、実はもう終わっていた。
いま読み返しても、新しい関係が生まれた高校生の三船美優には
そのまま参考になりにくい。
だから。
ずっと時が経って、あの頃の二人が「歴史」であるといえる日が来たとき
また読み返してみれば、客観的な目で、いとおしく、読めるのではないか。
そのときまで、日記に頼らず、頑張ってみる。
決意表明の代わりに、「タイムカプセル」というアイデアを出した。
そんなところです。
「…うん、いいんじゃないかな」
あの頃と変わらぬ、花咲くような笑顔で、首肯してくれました。
堤の桜のつぼみは、まだ固く閉じたままでしたが
胸の内には、ぽっと一輪、薄紅の花が咲いた気が、しました。
16: 以下、
家から持ってきた おせんべいの缶の中に
密閉袋に入れたノートを大事におさめ
堤を下り
これも家にあったシャベルで、少し深めの穴を掘り
…怪しまれないようにびくびくしながら…
缶を穴の中におさめて、また埋め戻しました。
その間、二人とも、なんと言えばいいのか、ちょっと晴れやかな、
引っかかりが取れたような、表情になっていました。
「5年…だと早すぎるかな…10年後、10年後の今日。4月の2日。
二人でここに来て、日記を取り出して、読み返しましょう」
町の境にかかる橋から数えて、5本目の桜。
その堤を下りたところ。
ここに、10年後。
私達の「歴史」を読みに来る。
そして。
10年後の日記の続きを、お互いに綴る。
そう、約束したんです。
17: 以下、
Pさんと出会ってからしばらくして
いま述べたような話をして
「この日、4月2日は、一日オフにして下さい」
まだ、アイドルとして軌道に乗るかどうかも
不確かな頃です。
ずいぶん出過ぎたことを言いましたね。
けれど、Pさんは私の中にある「日記の大事さ」を
尊んでくれました。
スケジュール帳の、うんと先の、真っ白なページに
 ← 三船 オフ 岩手 →
Pさんらしく、かっちり書き入れて。
「ありがとう、ございます…」
18: 以下、
と。
そっとのぞき込むように手帳のページを眺めていた私の上から
ふいにPさんの声が降ってきました。
「…私も、同行します」
「え…」
「なにかあると、困りますので」
道理です。
いまや私は、自分でも信じられませんが、アイドルです。
アイドル三船美優という名の、役割があります。
孤独かつ好き勝手なことは、やりにくくなっています。
「勿論…お会いになるお友達の邪魔にならぬよう、最大限努力します」
「あ…はい…」
ほんのすこし、胸の疼きを覚えました。
なぜなのかは、気づかぬまま。
19: 以下、
新幹線から、在来線へ。
駅の通路には、まだ冬が残っていて、ひんやりしています。
数駅、東京方へ戻り、着いた小駅。
もう一段、ひんやりした空気が、線路に沿って渡ってきます。
コートをかたく閉じ、そのままポケットからきっぷも取り出し
改札の小箱に入れようとして。
水色の券片の文字を、じっくり眺めます。
私を、10年前に連れてきてくれたきっぷ。
10年前は、ここを離れることすら想像しえなかった
ちいさな、ちいさな少女。
逆向きのきっぷで、キャリアウーマンを目指して旅立ったのは
名実ともに大人になった頃。
変わりに変わった私が、変わらないあの日に会いに「三船さん」
はっと顔をあげると
ちょっと首をかしげたPさんが、いつの間にやら改札の外から
私を眺めていました。
「ごめんなさい、ちょっと…考え事をしていて…」
「そう、ですか…」
と、こう書くと淡々と事実だけになってしまうのですが、
Pさんの視線は、どこか射るようで、そのくせどこか
あたたかいものがありました。
「お待たせしました…こちらです」
20: 以下、
通学時間を過ぎているので、田舎道に人の影は滅多に
見られません。
空はぼんやりと碧く、おだやかな陽気になりそうです。
遠くの空が広いことで、川が近いことを無言のうちに
語っています。
あの日も、交換日記を胸に、ここを歩いていて…。
タイムカプセルにする。
そう言ってから先、あまり会話は…なかった、かな。
一字一句、憶えてはいないけれど、
「あ、きれいな花!」
「あそこ何つくってるのかなあ?」
「こんにちは、かわいいワンちゃん、ですね…」
なんとなく、面と向かっての深い話は、避けていた気がします。
いろんな、自分でも思いもしない気持ちが、溢れてきそうで
ありきたりなことばかり、話していた、そんな記憶があります。
10年経っても、道路脇には名も知れぬきれいな花。
家の建て替えかしらん、工事の音が聞こえてきます。
犬の散歩をする人は…いませんね。
そういえば我が家で飼っていたレトリーバも、旅立ってしまい「三船さん」
Pさんの声。
あ…私、また思い出に浸って…
いつしか地元の人しか通らないような細路地をひとり…
「ごめんなさい、ちょっと…考え事をしていて」
さっきと全く同じ言い訳。
こんどもPさんは、おだやかに私を見つめてくれます。
「こっち、なのですか」
「いいえ…さっきの通りを、まっすぐ…です」
21: 以下、
…。
間が、もちません。
いつもは、これくらいの沈黙、なんともないのだけれど
今日はどうしたのかしら。
そんな空気は、Pさんも感じていたみたいで
「あの」
びくっ、と刹那。
「ひとつ、伺っておきたいことがあって」
「はい」
「お友達のことです」
…なんとなく、次にくる言葉の、予想がついていました。
「いまも、そのお友達とは、その…連絡が取れたり、しているのでしょうか」
22: 以下、
痛いところでした。
つい、Pさんには、話していなかったのです。
無意識のうちに、避けていたのかも…。
「…」
黙って、歩いてみました。
空が、見られなくなりました。
Pさんは返事を、待ち続けています…。
先を歩くので見えませんが、きっとおだやかな表情のまま。
たまりかね、ついにくるり振り返り、深々と。
「…ごめんなさい」
…観念した、瞬間でした。
23: 以下、
「高校を卒業したあと、まったく音信が…途絶えて…」
高校、大学、就職。
それぞれに、新しい環境が、次々に飛び込んできます。
二人の関係は、なつかしくはあっても、それだけ。
ついつい、疎遠になってしまい、いつしかメールも不達になり。
思い切って、実家の住所へ年賀状を出してみたのは、今年のこと。
来てくれるよね。
確認の意味も込めて。
松が明けた頃、我が家に届いた葉書には、見慣れた筆跡と赤いスタンプで
あて所に尋ね
あたりません
24: 以下、
「だから、今日ここに来たのは…彼女が約束を守ってくれる『はず』という
 …それだけの、希望しか、なくて…」
言外に、そんな薄弱な理由で丸々一日をオフにし、Pさんを連れてきてしまった
しかもそのことを、今の今まで黙っていた
懺悔の気持ちを、込めたつもりです。
「もっと早くに…はっきり言えばよかったのですが」
「やはりそうですか」
「え」
「三船さんがお友達の消息に全く触れないので、おそらく、とは思っていました」
Pさん…。
わかって、切り出さなかったんですか。
だったら、私が今まで黙っていたのって…。
あれほどもやもやしていた気持ちが、だんだん晴れてゆく気がしていました。
「話して下さいますね、黙っていた理由」
「はい」
きちんと目を上げると、そこにはPさんの温和な表情と、かすんだ青空。
25: 以下、
「もし、友達の行方が知れない、と言ってしまったら、その…Pさんが…」
「オフを取り消してしまう、と?」
「ええ…それが怖くて、黙っていました。ずるい女です…」
ほんとうに、ずるい。
結局、自分ばかりが大事で、そのために周りを振り回してばかり。
振り回されているように見えて、振り回しているのは、私だったのね…。
「ずるくは、ないです」
「…でも」
「たとい音信が不通でも…約束を、なさったのですよね」
「はい…」
10年後の4月2日、県道の橋から5本目の桜を下りた、堤のたもと。
ここで、二人で交換日記を…。
そこだけ、彩色されてありありと残る、私の歴史。
「その約束があるなら…今日、ここに来る意味は、じゅうぶんにあります」
ああ。
嬉しかった…。
面識の全くない彼女との間柄を、そこまで感じ取ってくれるなんて。
「ありがとう、ございます…」
いつものように、伏目がちに応えたものの
心の底からの、ありがとう、でした。
26: 以下、
隣町につながる、県道の橋。
もうすこしすると、桜の名所となって、人々がやってきます。
川風が身体全体を冷やすように、いそいそと吹き抜ける今は
人影もほとんどありません。
つぼみの桜を見上げながら、数えはじめました。
1本
2本
Pさんも、たしかめるようについてきます。
3本
4本
「…?」
5本目の桜。
明らかに、遠い…
「どうしましたか」
「5本目の桜…このあたりだった、はず…なんです」
27: 以下、
不自然に間隔が広がっている桜並木。
5本目の桜は、間違いありません、当時の「6本目の桜」です。
「おかしいわ、確かこのあたり…に…」
Pさんは、川の方を見やります。
目線を追うと
そこには、真新しい人道橋がかかっていました。
欄干には、橋の名前と「平成27年竣工」という銘板が。
その橋につながるコンクリートの真新しい階段が、堤の下から続いていて、
桜の木も、あの交換日記の入ったおせんべいの缶も
コンクリートの下に、眠ってしまいました。
28: 以下、
階段を降り、交換日記を埋めた辺りを、うろうろしてみましたが
もう、どうしようもありません。
「遅かったんですね」
「三船さん…」
「10年も待ったりせず、いまを大事に生きなければいけないのに…後ろばかり向いて…」
あまりに我儘な故に、あまりに滑稽な現実。
「ばかですね、私」
「…」
「こんな現実を確かめるためだけに、わざわざ…」
「いえ、まだ…やることがあります」
…そうだった。
彼女が、ここに現れるかもしれない。
約束をしたのは、私。
その約束を大事なことだと言ってくれたのは、他ならぬPさんです。
コンクリートの階段を上がり、ベンチに二人、座りました。
吐息をつくと、少しあたたかくなりました。
29: 以下、
近くにできたコンビニで、お弁当まで買ってくださって
「ほんとうに…すみません」
「いえ」
なんだか、私以上に大事に、大事に、日記のことを扱ってくれて
戸惑うくらいでした。
だんだんと、景色が碧から赤みを増してきました。
何時間、待ったことでしょう。
刻々と、帰りの新幹線の時間が、近づいてきます。
「…三船さんは」
川面をぼんやり眺める私に、つぶやくように話しかけるPさん。
「今日お友達が、ここにやって来ることを、本気で信じていたのですか」
「…」
難しい、それだけにPさんも訊きづらい質問だったと思います。
友達がここに来る可能性は、音信不通になったことで、いっきに下がったかも
しれません。
でも、約束一つだけでここに現れてくれたら、それは素敵な
夢のような出来事といえるでしょう。
それだけのつながりを、16歳の美優は確かに感じていました。
だから、ここに来てほしい。
会いたい。
その思いは、確かにあります。
30: 以下、
けれど。
来てくれないということは、彼女にも彼女自身が大事に抱える日常があって
その中を一生懸命生きていることに他ならない。
昔の私なんかにこだわっていない。
それはそれで、喜ばしいことでしょう。
「信じてはいましたが、来なくても道理かも、と思っていました」
我ながら、ぬえのようなものの言い方だなあと思ったりしましたが
本音でした。
「来れない理由は…いくらでもありますから」
「…」
「それに、いまの私には…別の『日記』が、ありますし…Pさんとの…」
思うことを、ぶつけられる。
やれること、やれないこと、全部見てもらえる。
かっこよくても、悪くても、ありのまま。
10年経って、今の私は
ここに来ない彼女のように、自分なりの交換日記を
手にすることができました。
少し、Pさんの顔が赤くなった気がしました。
傾きかけた太陽のせいかもしれません。
31: 以下、
彼女が現れないまま、タイムリミットが、来てしまいました。
「行きましょうか」
「…………はい」
名残惜しさに、日記があった場所を、なんども、なんども振り返り。
その都度、Pさんは立ち止まって、私を待ってくれました。
ついに、川の堤が見えなくなったところで
突然Pさんのことを抱きしめ…
その胸で、ひっそりと泣きました。
悔し涙だったのか
嬉し涙だったのか
あるいはそのない交ぜなのか
自分でもわからない。
Pさんという、交換日記の1ページに、しまわれた思い出でした。
32: 以下、
10年前の私には、居場所などどこにもありませんでした。
交換日記は、私が私に帰れる、ただひとつの場所でした。
あれから10年。
家を出たときと同じ方向に走る新幹線に乗る私には
確かに帰る場所が、あります。
fin.
33: 以下、
以上です
お目汚し失礼しました
html依頼出してきます
34: 以下、
素晴らしかった

元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1491636931/
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フジテレビ月9、嵐主演でも視聴率死亡…豪華キャストのギャラを減らす為に一人ずつ消される面白展開か

GDC2017で紹介された2D版「ゼルダの伝説 BoW」を海外のファンが再現!

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悲しさが止まらない。「ねえ起きて!ここにいたら危ないの」車にひかれた犬のそばから離れられず励まし続けた犬

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