【ニューダンV3】最原「東条さんが本気出してくる一週間」back

【ニューダンV3】最原「東条さんが本気出してくる一週間」


続き・詳細・画像をみる


なんだこの特殊能力…(困惑)
39: ◆SxyAboWqdc 2017/03/19(日) 21:02:30.54 ID:W2DtpCse0
二日目 朝 最原の自室
最原「……快眠……だっただと……!?」
通常ルック東条「だから言ったでしょう? 私の抱き心地は最高だって」
東条「朝ご飯もできているわ。いつもは学園の食堂でとっているらしいけど、この状況では私に任せてちょうだい」
最原「そっちの方が都合がいいんだもんね。わかってるよ」
東条「メニューは『凄まじく脳の冴えるサンドイッチ』と『凄まじく脳の冴える紅茶』よ」
最原「……それ食べて大丈夫なの?」
41: ◆SxyAboWqdc 2017/03/19(日) 21:07:39.09 ID:W2DtpCse0
東条「最原くん。夜の抱き枕役で稼いだ全力ポイントのお陰で、どうにか今日の放課後くらいまでは持ちそうよ」
東条「でも、問題はその後。昨日みたいにまた最原くんと赤松さんをロッカーに閉じ込めるくらいのことはさせてもらうわ」
最原「あれやっぱりわざとだったのか!」ガビーンッ!
東条「……いえ、というよりは、もう……」
最原「ん?」
東条「あとのことは放課後に話しましょう」
最原「……イヤな予感しかしない」
42: ◆SxyAboWqdc 2017/03/19(日) 21:17:41.57 ID:W2DtpCse0
放課後 視聴覚室
最原(中間テストは滞りなく終わり、僕は東条さんと共に場所を移動した)
最原(視聴覚室なら人が来ない、らしい)
最原(そして命がかかっている東条さんは、やはり僕の予想通りのことを言い始めた)
東条「最原くんの恋心、成就させるわ。今すぐにッ!」
最原「だよねー! そう言うと思ってたよ!」
最原「でもイヤだよ! これはイヤだよ! 流石に承諾しかねるよ!」
東条「……理由を聞いてもいいかしら?」
最原「いや、あの……その……」
最原「望み薄だしさ……」ズーン
東条「その自信のなさ、最原くん最大の欠点ね」
東条「でも大丈夫よ。そんな最原くんに合わせて、三つのコースを用意しているわ」
最原「コース?」
東条「優等生コース、劣等生コース、死んでやり直せコース」
最原「最後のヤツ物騒すぎない!?」ガビーンッ!
46: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 06:56:25.44 ID:alnK7NAK0
東条「大丈夫よ。余程のことがない限りは死んでやり直せコースは紹介しないわ」
東条「さて。それじゃあ、まず最原くんの恋愛観を確認する作業から始めましょう」
最原(恋愛観て……)
東条「じゃあ仮によ? 付き合う望みがある場合、あなたはどんな告白をするのかしら?」
最原「え? えーっと……ラブレター、とか?」
東条「なるほど。ラブレター」ウンウン
東条「死んでやり直せコースね」ジャキンッ
最原「あれあれーーーッ!? 話が違うぞーーー!?」ガビーンッ
47: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 07:05:46.25 ID:alnK7NAK0
最原「というか東条さん! 前から気になってたんだけど、その銃はどこで手に入れたの!?」
東条「前に超高校級の軍人に仕えたときに、報酬代わりに貰ったわ」
最原「危ない人だなぁ! いや、そうじゃない!」
最原「死んでやり直せコースってどんなコース!? 流石に比喩だよね!?」
東条「詳しいことは境界のRIN●Eを全巻棺桶の中に入れておくから、あっちについたら予習しておいてね」
最原「比喩じゃないのかよッ!」ガビーンッ
東条「大丈夫。今から急いで死んで急いで転生して急いで成長すれば赤松さんに告白するのにギリギリ間に合うわ」
東条「少なくとも、今生の最原くんがどうこうするよりは遥かに確率が高いコースよ」
最原「そこまで救いようがないの!?」
東条「お願い、わかって最原くん! 私だって辛いの!」エグエグ
最原「泣くくらいなら本当にやめっ……」
パァンッ
最原「うわああああ! 本当に撃ってきたあああああ!」
最原「し、死んでたまるかああああああ!」ダッ
東条「……よし。計算通りね。死んでやり直せコース、スタートよ」
48: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 07:17:00.72 ID:alnK7NAK0
最原「はあっ……はあっ……ふ、振り切った!?」
最原「……いや。あの人の足はい。流石にそれはないな」
最原「どこかで確実に僕を殺すための算段を付けているはずだ」
最原「くそ。どうしてこんなことに……」
プルルルル プルルルル
最原「ん。あ。百田くんから電話だ」ポチリ
最原「もしもし? 百田くん? 悪いんだけど今はちょっと取り込み中で……」
百田『ああ、悪い終一。でもなんとなく俺の勘がお前に電話しろって言ってる気がしてよ』
最原「相変わらずの凄い勘だね……」
百田『まあ冗談だ。実際にはさっき凄い形相でお前が走ってたのを遠くから見たから心配になったもんでな』
百田『ところで終一。東条ってハンバーガーが好きなのか?』
最原「はい?」
百田『さっき東条ともすれ違ったんだが、そのとき東条が何かを呟いてたのを聞いてよ』
百田『確かそう……ラコロ……サイ……コ……って聞こえたぞ』
百田『多分あれはグラコロ最高って呟いてたんだと思うんだが、アイツそんなにハンバーガーとか好きだったかなって気になってな』
最原「それ『サイハラコロス』って言ってたんだよッ! 多分繰り返し!」ガビーンッ
百田『はは。アイツがそんなマネするかよ。確かにスナイパーライフルは持ってたけど』
最原「確定ーーーッ!」
49: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 07:28:21.88 ID:alnK7NAK0
最原「……うう。一体どうしてこんなことに……」
最原「……」
最原「ねえ百田くん。もしもキミが女子に告白するとしたら、どんな手段を取る?」
百田『あ? そんなん真正面から直接好きだって言うに決まってんだろ』
最原「ラブレターとか使わないの?」
百田『女々しい。しかもラブレターでの告白は失敗率が高いしな』
百田『直接的に顔を突き合わせる度胸のねぇ臆病者の手段だ。そんな消極的なマネできっかよ』
最原「いや、手段で成功率が変わるの? 失敗したってことは、その人は元々脈がなかったんじゃ……」
百田『違うな。それは違うぞ終一。ラブレターの告白で失敗率が高いのはな、そういうんじゃねぇんだ』
百田『消極的な手段での告白は、相手の方も消極的にしちまう』
百田『仮に相手も自分のことを好いていたとしてもな、それじゃあ返事できねーんだよ』
百田『自分の心を素っ裸にしねーと、相手も素っ裸になってくれねーんだ! わかったか!』
最原「予想以上に説得力のあるアドバイスだ……!」
50: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 07:46:22.34 ID:alnK7NAK0
百田『告白と言えば、さっき赤松がお前のことをなー……』
最原「……あっ」
最原(今、遠くのビルの方で何かがチカッと光ったような……)
最原(……マズルフラッシュ!?)バッ
ドカァァァンッ!
最原「こ、コンクリが砕けた……」
最原「百田くん! 東条さんが持ってたのって本当にスナイパーライフル!?」
百田『あ? あー……そういえばちょっとゴツかったか? あれアンチマテリアルライフルってヤツかもな?』
最原「絶対にそれだよォ! くそっ! ちょっと用事ができた! また後でね百田くん!」
最原「話せてよかった!」
百田『あ、おい。赤松がお前のことを』
ブチッ
51: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 07:54:34.00 ID:alnK7NAK0
百田「探してる……って、切りやがった。なんだアイツ」
春川「百田。早く行こうよ。荷物持ちがモタモタしないで」
百田「ああ、すぐ行くっての」
春川「……ふふ」
百田「お前なんか今日ちょっとテンション高くないか?」
春川「勘違いしないで。私はあの紙芝居を孤児院のみんなに見せるのが楽しみなだけだよ」
春川「決してアンタと一緒にでかけるのが楽しいわけじゃないから」
百田「お、おう? おう!」
52: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 08:11:51.51 ID:alnK7NAK0
三十分後
最原「くそ。どういうわけだかさっぱりわからないけど、どこに逃げても狙撃される!」
最原「このままだと逃げ疲れたところを確実に狙撃される!」
最原「一体どうすればいいんだ!」ダンッ
最原「くそっ……こんなことなら……こんなことなら……」
赤松「あ。やっと見つけた。最原く――」
最原「赤松さんに直接『好きだ』って言えば良かったなぁ!」
赤松「え」
最原「余計な誤解を招かないように、きちんと『恋愛的な意味で』って補足付きで言えばよかったなぁ!」
赤松「え。え?」オロオロ
最原「一度でいい! 一度でいいから赤松さんとデートしてみたかったなぁ!」
最原「色んなところに行って、色んなもの食べて、色んな景色を見たかったなぁ!」
最原「赤松さんと一緒なら楽しかっただろうなぁ! くっそーーー!」
最原「名前で呼んでもらいたかったし、名前で彼女のことを呼びたかったなぁ!」
最原「手を繋いでみたかったなぁ! うわあああああ! 何もかももう手遅れだけどーーー!」orz
赤松「……」ブシュウウウウ
最原「……ん?」
最原「……あ。赤松さん」
赤松「……あの、えーっと……あー……」
最原「……いつからいた?」
赤松「多分、最初から……?」
最原「……」
最原「よし。死のう。死んでやり直そう」
赤松「なんで!?」ガビーンッ
53: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 08:21:30.19 ID:alnK7NAK0
最原「あ。赤松さんは危ないからちょっと下がってて。多分だけどこれから僕、バラバラになるから」ニコニコ
赤松「はい!?」
最原「東条さーーーん! 今まで抵抗してごめんなさい! やっぱり今すぐ死んだほうがいい気がしてきたよー!」
最原「殺して! 今すぐ! 僕を! 念入りに!」
ユーガッダメール
最原「ん? メールだ」
東条『ごめんなさい。叶えたいのは山々だけど、もう弾切れよ』
最原「輪廻の神すら僕を見放すのかーーーッ!」ガビーンッ
赤松「……えーっと、最原くん……」
赤松「……付き合おうか」
最原「え?」
赤松「恋愛的な意味で」
最原「……えっ」
54: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 08:25:45.41 ID:alnK7NAK0
東条「……ミッションコンプリートね」
東条「ペースは上々。明日からはテスト休みだし、デートプランを練らないといけないわ」
王馬「そう簡単に行くと思う?」
東条「……王馬くん」
王馬「あの二人の間には、まだ障害がある。最原ちゃんの方はもう問題ないけど……」
王馬「赤松ちゃん側の問題に、キミはどう対処する?」
東条「……?」
王馬「わけがわからないのなら、まずはこの写真を見てよ」
東条「……これは……これはッ!」
55: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 08:33:09.10 ID:alnK7NAK0
夜 最原の自室
パジャマ東条「おめでとう最原くん。見事な告白だったわよ」
最原「あれはね。自爆って言うんじゃないかな?」
最原(もう男子寮に東条さんがいる程度じゃ驚けなくなった……)
最原「……赤松さんは、どうも僕を探してたみたいだ」
最原「理由を後で聞いてみて驚いたよ。『東条さんが探してたみたいだから。見かけたら声をかけてくれるかしらって言われたんだ』ってさ」
最原「全部計算通りだったんだね……」
東条「あそこまで上手く行くとは私自身も驚きなのだけれども」
最原「で。次はどうするの?」
東条「デートに誘ってそのままラブホに直行! ……が、当初の私のプランだったのだけれども」
最原(ひっどいプランだ……!)
東条「そうは行かなくなった……のよね」
最原「え? なんで?」
東条「……聞いて驚かないでほしいのだけれども……」
56: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 08:40:46.89 ID:alnK7NAK0
東条「赤松さんの私服センスが壊滅的だったの」
最原「ん?」
東条「赤松さんの私服センスが壊滅的だったの」
最原「二度言わなくていいよ! え? 壊滅的って、どの程度?」
東条「友達を辞めたくなるくらいね」
最原「そこまでッ!?」
東条「王馬くんから渡された写真があるのだけれども……絶対見ない方がいいわ」
東条「ともかく、あれが改善されない限りはデートはさせられない」
東条「あなたのためにならないことが目に見えている以上、そんなことしても全力だとは言えないもの」
最原「ええーっ……」
東条「……ということで、作戦はこうよ」
東条「この夜の間に、あなたに全力でご奉仕。全力ポイントを明日が持つくらいに貯めるわ」
東条「そして、明日の内に私が赤松さんに私服をプレゼント。同時進行であなたがメールで赤松さんにデートの誘いをかける」
東条「どうかしら?」
最原「何もかも急すぎて目が回りそうだよ」
最原(赤松さんと付き合っているという現実すら疑ってるのに……)
57: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 08:46:38.41 ID:alnK7NAK0
東条「百年の恋が冷めるレベルのあの私服センス……私が明日中にどうにかするわ……!」ギリッ
東条「最原くんとのデートまでに!」
最原「あ、ああ……うん……デートすることがもう確定なんだね……」
東条「それじゃあまず最原くん。服を脱ぎなさい」
最原「うん、わかった」
最原「……は? 今なんて?」
東条「すっぽんぽんになりなさい、と言ったのだけれども?」
最原「」
58: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 08:51:54.94 ID:alnK7NAK0
最原「……落ち着こう……落ち着いて考えるんだ……」フー
最原「キミは今、自分が何を言っているのかわかっていないんだ……そうに違いないんだ……」
東条「私はいたって正常よ」
東条「今日、あなたは学園中を、銃弾を避けながら駆けずり回ったのよ?」
東条「ケガがないかどうか調べるのは当たり前だと思うのだけれども?」
東条「……あ。ついでに、普段は洗えない場所も念入りに洗うわ」
東条「あと筋肉に対するマッサージと……軽く髪の毛もハサミで切って整えて……」
東条「大丈夫。すべてあなたが寝ている内に終わるわ」
最原「た、助けて百田くーーーん!」ダッ
東条「逃がさない」ガシッ
最原「グアアアアアアア! パンツまで脱がされるうううう!」ヌギヌギ
最原「うわああああああああ!」
59: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 08:57:40.48 ID:alnK7NAK0
三日目 朝
最原「……ハッ! 朝か……」
最原「……東条さんがいない。昨日のは、どこからどこまでが現実だったんだ……?」
最原「キチンとパジャマも着てるし……」
最原「……あ。でも体全体がやたらめったら軽い。マッサージされたのは現実だな……」
最原「はあ。まあ、あそこまで奉仕したんだから、もうポイントはかなり溜まってるはずだよな……」
最原「数日ぶりにゆっくりできる……」
ユーガッダメール
最原「ん。赤松さんからメール……」
赤松『ボスケテ』
最原「多分だけどコレ絶対東条さんが何かしてるッ!」ガビーンッ!
66: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 10:33:21.18 ID:alnK7NAK0
三十分後
最原「探偵としてのなけなしの才能をフル活用して、なんとか居場所を突き止めた!」
最原「赤松さんは間違いなく東条さんの研究教室の中だ!」
最原「……けどドアに鍵がかかってて開かない!」ガチャガチャ
最原「東条さん! 中で何してんの!? 無茶はしてないよね!?」ドンドンッ
赤松「えっ、さ、最原くん!?」
東条「大丈夫よ、安心して最原くん」
最原「東条さん……」
東条「赤松さんは辛うじて下着のセンスは悪くなかったから」
最原「そんな心配してないってぇ! 開けてよここを!」
赤松「だ、ダメ! 最原くん、中に入ってこないで!」
最原「大丈夫だよ赤松さん! 僕はもう覚悟を決めたよ……!」
最原「赤松さんの私服センスがどれだけ絶望的だろうと!」
最原「キミがどんな姿だろうと!」
最原「希望は前に進むんだッ!」
赤松「最原くんも最原くんで何かズレてるよね!? 違うって、そういう意味じゃなくって今は……!」
東条「そこまで言うのなら、ドアを開けるわ」ガチャリンコ
赤松「ええっ!?」
最原「赤松さん! 助けに来たよ!」バターンッ!
パンツしか着用してない赤松「……」
最原「……」
赤松「……」
最原「…………」
最原「………………」
最原「……僕を殴ってください……せめて悲鳴を上げてください……」
最原「あらゆる種類のショックが押し寄せてきて……体が固まって動かないんです……」ズーン
赤松「実際に裸を見られると、どうすればいいのかわからなくなるんだね……初めて知ったよ……」ズーン
東条「安心して赤松さん。あの私服を見られるよりかは、裸を見られる方が遥かにマシよ」
赤松「そ、そう?」
最原「東条さぁん! こういう状況だったなら先に言ってよぉ!」
東条「どんな姿だろうと、って言ってたから……」
67: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 10:47:15.17 ID:alnK7NAK0
制服着用赤松「ふう。これでよしっと」
最原「ごめん……本当にごめん赤松さん……」
赤松「別にいいって。だって私たち、もう恋人同士なんだしさ!」ニコニコ
最原(ちょっとオープンすぎないかな……)
最原「ていうか何であんなほぼ全裸の状態になってたの?」
東条「スリーサイズを測ってたのよ。服をプレゼントしたくって」
最原「あ、ああ……なるほど」
最原(無理やり測ったんだろうな……で、テンパった赤松さんが僕にメールしたと。目に浮かぶ……)
東条「それじゃあ、私はこれから服を買いに行くから」
東条「……そうだ。最原くん、荷物持ちをしてくれるかしら?」
最原「えっ」
赤松「えっ」
東条「どうせならあなた好みの服にした方がいいでしょう?」ボソッ
最原「……ん……」
最原(この誘惑は抗いがたい……!)
最原「う、うん。喜んで」
赤松「う……」
東条「さて。それじゃあ赤松さん。服は今日中に見繕って渡すわね」
東条「代金はいいわ。諸事情があって、私が個人的にしていることだから」
赤松「あ、ありがとう……」
東条「さあ。時間がないわ。早く行きましょう?」スタスタ
最原「あっ、待ってよ東条さん!」スタスタ
赤松(あの二人、どういう関係なんだろ……)
赤松(ついて行きたいけど、今日は親戚の誕生日会に呼ばれてるからなぁ……)
赤松(……うう。もやもやする)
68: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 11:01:11.08 ID:alnK7NAK0
二時間後
東条「さてと。こんなものでしょう。あとはどういうふうに着こなせばいいのかを書いたメモを作って渡して……」
東条「これでデートするだけなら問題はないわ」
最原「……今更だけど申し訳ないなぁ。僕のために、彼女の服の面倒まで見てもらうなんてさ」
東条「あら。やっと彼氏の自覚が出てきたのね」
最原「もうアンチマテリアルライフルで狙撃されるのは御免だからね……」
東条「……さ。どこか適当な喫茶店で休憩したら、次は最原くんの服の番よ」
最原「えっ」
東条「当然。あなたもオシャレしないと、赤松さんに失礼でしょう?」
最原「まだ荷物が増えるのか……!」
東条「ふふ」
69: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 12:47:26.56 ID:alnK7NAK0

東条「それじゃあ、あなたの分の服は部屋に運んでおいてあげるわ」
東条「あなたは赤松さんを電話で呼び出して、私の代わりに来たという体でついでにデートに誘う感じで」
最原「うん。ありがとう東条さん」
東条「いいのよ。一週間限定とは言え、全力のメイドだもの」
東条「それじゃあ、頑張ってね」スタスタ
最原「……よし。女子寮に直接行くのは当然ダメだから、どこかにメールで赤松さんを呼び出さないとな」
最原「あー、でもコレを赤松さんが一人で部屋まで運ぶのか? それはちょっとアレだな……うーん」
入間「うおっ。誰かと思ったらダサイ原じゃねーか。何してんだよ、そんな大荷物持って」
最原「あ、入間さん」
茶柱「おお。今なら隙だらけですね。最原さんを好きなだけ転ばし放題です」
最原「と、茶柱さんか……いや、これから赤松さんに届け物なんだけど……」
最原「……もしかしてジャストタイミングかな?」
70: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 12:53:14.32 ID:alnK7NAK0
ピロリンッ
赤松「ん。最原くんからメールだ」
最原『東条さんの代わりに僕が服を渡すことになったんだ。寮近くの公園で待ち合わせで』
赤松「……うーん、東条さんと最原くん、付き合ってるって感じじゃないんだよなぁ……」
赤松「でもなんか仲が良すぎるような……」
赤松「やめやめ。友達と恋人の両方を疑うなんて最低だよ」
赤松「公園に行こう」
公園
デデデデッデッデデンデデンデデン……エェェェエエーイ(死体発見時のBGM)
最原「」チーン
赤松「し、死んでるーーーッ!」ガビーンッ!
71: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 12:59:08.49 ID:alnK7NAK0
最原「ううっ……あ、赤松さん……服を持ってきたよ……」ブルブル
最原「荷物は茶柱さんと入間さんが部屋まで運ぶのを手伝う手筈になってるんだ……」ガタガタ
赤松「この際それはどうでもいいよ! どうしたの最原くん! 凄いボロボロ!」
最原「代償を支払っただけだよ。茶柱さんは見返りに『新技の実験台役の依頼』を、入間さんは『僕の血液』を求めただけなんだ」
茶柱「新しい何かが掴めました!」
入間「ひとまずクローン実験でもしてみるぜ。楽しみにしてろよ、ボロ雑巾原!」
赤松「代償がちょっと重くない!? 等価交換の原則は!?」
入間「俺様は錬金術師じゃねーし」
72: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 13:07:59.20 ID:alnK7NAK0
最原「赤松さん……こんな状態で本当にすまないと思ってるんだけど」
最原「明日、時間が空いてたら僕とデートしてくれないかな……?」ガタガタ
赤松「えっ」
最原「そもそもこの服自体、そのデートのために用意したようなものだからさ……」ブルブル
最原「あっ、いけない。意識が朦朧と」ガクリ
最原「」チーン
茶柱「あ、死にましたね」
入間「いやぁ、気絶しただけだろ」
茶柱「で、赤松さんはどうします? どうせ最終的にラブホ直行とか不埒なことをする気でしょうから、断るのも手ですが」
茶柱「というより個人的に是非とも断っていただきたいのですが!」
入間「おお。すげーな。ネオ合気道は死体蹴りもできんのか」
赤松「デート……デートかあ……」
赤松「……ふふふ」ニヘラー
茶柱「行く気のようですね。あんまりお勧めできないのですが」ハァ
73: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 13:18:39.59 ID:alnK7NAK0
入間「それじゃあ荷物運び用の電動ネコを茶柱に貸してやる」
入間「協力するとは言ったが直接的に、とは言ってねーからな」ケケケ
茶柱「えーっと、この荷物を赤松さんの部屋まで、ですね。頑張りますよ!」
赤松「あっ! えーと、最原くんは……」オロオロ
入間「ほっとけ」
茶柱「死にはしません」
赤松「つ、冷たァ! そもそも最原くんがこうなったの二人のせいだよね!?」
茶柱「入間さんのせいです」
入間「チャバネゴキブリのせいだ!」
赤松「責任のなすりつけ合いも後にして! とにかく最原くんをどうにか――」
東条「回収するわ」シュッ
赤松「しないと……え? あれっ? 最原くんは?」
茶柱「東条さんが浚って行きましたよ」
赤松「また東条さん!?」ガビーンッ
74: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 13:33:03.42 ID:alnK7NAK0
東条「ザオラル」パァァァ
最原「……ハッ! こ、ここは……僕の部屋、か」
東条「おはよう最原くん。夢野さんから聞いておいた回復呪文が上手く利いたようね」
最原「なんて?」
東条「なんでもないわ。そんなことより、携帯にメールが入ってたみたいよ」
最原「ん……」
赤松『明日の九時に校門前で待ち合わせ。デートプランはお任せするね』
最原「……あっ、そうだった。誘ったんだった、デート」
最原「デートプランなんて考えてないよ!?」アワアワ
東条「無難に映画とかどうかしら? その後でミスドでもマクドでもラブホでも好きなところで休憩すればいいわ」
最原「最後の一つは完璧に地雷だよね!?」
75: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 13:42:36.68 ID:alnK7NAK0
東条「とにかく、今は夜よ。明日に備えてしっかり寝た方がいいわね」
最原「あ、ああ……そうだね。ひとまず寝支度を整えよう」
東条「向こうを向いていてくれるかしら? 着替えたいから」シュルリ
最原「うわあ! ご、ごめん!」
最原「……って、ここ僕の部屋だよ!? なんで僕が遠慮してるのさ!」バッ
東条「別に見ててもいいけど、面白いものは特にないわよ」ヌギヌギ
最原「いや東条さんも結構綺麗……いや違う! これはこれで僕が変態みたいだ! 調子乗ってすいませんでした!」
76: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 13:56:34.64 ID:alnK7NAK0
パジャマ東条「さて。夜をただ寝る、というのも面白味がないわね」
東条「なので、今日は特別に体外離脱を行うわ」
最原「体外離脱?」
東条「かなり大雑把に言うと、見る夢を操作することによって行う睡眠学習ね」
東条「ひとまず私があなたに催眠術をかける形で行うから、最原くんは身構えなくても大丈夫よ」
最原(すごい不安)
東条「ねんねんころりよ」
最原「ぐー」スヤァ
東条「それじゃあ今から赤松さんとのデートのシミュレーションを夜の間中ずっとやるわよ。ノルマ五千回」
東条「大丈夫よ。体は寝ているから、負担は徹夜の十分の一くらいで済むわ」
最原(い、いやだ……)スヤァ
77: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 14:04:23.93 ID:alnK7NAK0
同時刻 女子寮
赤松「え? 最近東条さんが女子寮に帰ってきてない?」
茶柱「そうなんですよ。仕事の都合上、止む無くってことで寮長に届け出がされていたようなんですが……」
茶柱「それにしたって、三日連続で寮に帰らなかったことはなかったものですから、ちょっと気になって」
茶柱「ついでに、東条さんの様子も妙です。最原さんのことを気にしすぎ、というか……」
入間「ヤッたんじゃねーの?」
茶柱「ちょっと黙っててください」
赤松「……や、ヤッちゃったのかな?」
茶柱「聞かなくていいですから! 入間さんの戯言ですから!」アワアワ
78: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 14:15:34.82 ID:alnK7NAK0
やっと折り返し! 休憩!
79: 以下、

誤解をとかないとまずそうだな……
80: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 16:22:13.14 ID:alnK7NAK0
四日目 朝 最原の自室
最原「うう……ぐう……こ、これで何回目だ……僕はあと何回……!」
最原「ダメだって赤松さん! そのホテルの休憩って文字通りの意味じゃなくって……!」
最原「うわあああああ! また断れなかったーーーッ!」ガバァッ
東条「五千回達成、おめでとう。これであなたのデートスキルは飛躍的に向上したはずよ」
最原「はあ……はあ……ね、寝た気がしない! 後半からはほぼ悪夢だったし!」
最原「すべてのシミュレーションにおいての最終ゴールがなんでラブホなの!? 極端すぎるよ!」
最原「高校生なんだからそういうの早すぎるって!」
東条「子供を作るのはすぎる、というだけで、性交渉すること自体は不自然という年齢でもないわ」
最原「もっともらしいこと言ってるようだけど全然納得できないよ!」
東条「それじゃあ一つ訊くけども、あなたは昨日、赤松さんの裸を見たわよね?」
東条「どうも思わなかったの?」
最原「……い、いや、それは……その……」
東条「私たちの関係は他言無用よ。ここでは本音を言ってくれて構わないわ」
最原「……」
最原「凄く……その、ドキドキしました……」カァァ
東条「でしょう?」
最原「朝っぱらから何これ。新手の拷問かな……」ズーン
81: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 16:29:24.59 ID:alnK7NAK0
最原「でも、他言無用だっていうのならこれだけは言っておくよ」
最原「僕は何も赤松さんの容姿だけに惹かれたわけじゃない!」
東条「つまり?」
最原「彼女が優しいから好きになったんだ! これだけは誤解しないでほしい!」
東条「私も優しい方だと思うけど?」
最原「え?」
東条「……最原くん。一応言っておくわ。人が人を好きになるのに理由なんてないのよ」
東条「理由があったとしても全部後付け。容姿や性格だとかなんだとかもね」
東条「だってほら、私も優しくて美人だけど、だからと言って私に恋愛感情があるわけじゃないでしょう?」
最原「ん……一理あるかな……」
東条「……」
最原「どうしたの?」
東条「いえ。その……てっきり『東条さんが優しいのなら全人類は優しさに満ち溢れてるよ』とか」
東条「そういうツッコミが来るとばかり思ってたから……」カァァ
最原「自分で言ったことになんで自分で照れてるのさ……夢野さんみたいだよ……」
82: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 16:38:49.64 ID:alnK7NAK0
東条「ともかく、私もさりげなく変装をして、あなたたちを陰ながら応援するわ」
東条「安心して。アドリブは利く方よ」
最原「う、うん。頼りにしてるよ」
最原(また斜め上の支援が飛びそうだな……不安だ……)
東条「不安って顔に書いてあるわよ」
最原「実際不安だからね……いや結果的にいい方に向かうから問題はないに等しいんだけどさ」
最原「……おっと。そろそろ着替えないと」
83: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 16:49:27.70 ID:alnK7NAK0
ピンポーン
最原「ん? 誰だろう、こんな時間に」
東条「あ、彼らね。時間通りに来てくれたようで何より」スタスタ
最原「彼ら? あ、ちょっと東条さん! ドア開けないで! キミがここにいることは秘密なんだから」
ガチャリ
狼頭のバンド集団「……」
最原「」
東条「あなたたちのデートをいい感じに盛り上げるために用意したの」グッ
百田「あ? あれマンウィ●じゃね?」
天海「●ンウィズっすねー」
ざわ……ざわ……
最原「さっそく支援の方向が斜め上ーーーッ!」ガビーンッ
最原「マンウィ●がどうやってデートを盛り上げるんだよ!」
東条「BGM担当よ」
最原「イヤだよ、背後にマンウィ●が流れるデートなんて!」
狼頭「!?」ガビーンッ
最原「ああ、いやあなたたちのことは好きなんですけど……」
最原「なんで朝っぱらからマンウィ●のフォローしてんの僕!?」
84: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 16:52:57.06 ID:alnK7NAK0
最原「……って、こんなことしてる場合じゃなかった! そろそろ待ち合わせ場所に行かないと!」ダッ
狼頭のバンド「……」ゾロゾロ
最原「付いてこないでいいですからーーーッ!」ガビーンッ!
東条「さて。私もそろそろ準備をしないと……」
85: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 17:05:35.94 ID:alnK7NAK0
食堂にて
澪田「おわああああ! 創ちゃん! 創ちゃん! ツイッター見てツイッター!」
澪田「何故か希望ヶ峰学園にマンウィ●が来てるらしいっすよーーー! すっっげええええ!」
日向「え? なんで?」
澪田「やっべぇ! 一度あの頭が本物かどうか確かめてみたかったんすよね! ちょっと行ってくるっす!」
澪田「ん? 超高校級の探偵を追尾中? なるほど! じゃあ唯吹も終一ちゃんをおっかけっす!」
澪田「ヒャッハーーー!」ダッ
日向「あ、おい澪田! ああ、もう行ってるし……」
舞園「あ、私もちょっと気になるので行ってきます! 音楽関係の才能を持つ者として!」
苗木「舞園さんっ!?」
最原side
最原「あれっ!? さっきより追尾する人が増えてないか!?」
最原はこれらすべてを振り払うのに時間がかかり、待ち合わせに遅れた
86: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 17:06:28.78 ID:alnK7NAK0
ちょっと休憩
87: 以下、
ネタの選び方とかいい意味で頭おかしい
88: 以下、
このメイド頭おかしい
かわいい
92: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 17:47:44.58 ID:alnK7NAK0
待ち合わせの十分後
赤松(遅いなー、最原くん。どうしたんだろ)スマフォポチポチ
赤松(……ん? 希望ヶ峰学園に超有名バンドが襲来……超高校級の探偵を追尾中)
赤松(なんか妙な事件に巻き込まれてるみたいだな……)
最原「赤松さんっ!」
赤松「うおわっ、ビックリした! あ、最原くん」
最原「ぜぇーっ……ぜぇーっ……ご、ごめん! 撒くのに時間がかかって!」
最原(結局、学園中の音楽関係の生徒全員に追尾されるハメになってしまった……!)
最原(ここも校門だし、ちょっと長居はできないな)
最原(でも……)
最原「……」ジーッ
赤松「あの、どうしたの? 最原くん」
最原「これだけは言っておくよ。赤松さん、私服似合ってる。すごく」
赤松「……えっ。そ、そうかな」テレテレ
最原「じゃあ早くここを立ち去ろう! また追い回されたら敵わない!」スタスタ
赤松「えっ、もう!? 歩くの早いよ!」ガーン!
最原「ごめん赤松さん! 全部僕のせいだ! 後で埋め合わせ……ていうか今日で埋め合わせるから!」
最原「絶対に!」
赤松「……ふふ。期待してるね?」
93: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 17:54:52.34 ID:alnK7NAK0
そのころ、希望ヶ峰学園 校庭
澪田「ここでバンドマン、あるいはバンドウーマンが揃ったのも何かの縁……」
澪田「澪田唯吹は宣言します! 唐突に、突発的に!」
澪田「この休みを利用して、学園中を巻き込み、学園外から来たバンドマンをも巻き込み……」
澪田「希望ヶ峰学園非公式音楽大会、ミュージックレボリュゥウウウウションッ! を開催するっすーーー!」
舞園「司会は私、超高校級のアイドル、舞園さやかと!」
澪田「誰に頼まれなくっとも即参上! 超高校級の軽音楽部、澪田唯吹が行いまーーーっす! イエーイ!」
ワァァァァァ!
百田「なんか妙な化学反応が起きてるな」
春川「騒がしいね」
百田「でもなんか楽しそうだぞ!」
澪田「ここに楓ちゃんもいれば最高だったんだけどなー……まあいいや」
澪田「オールデイッ! オールナイッ! とにかく歌って踊って楽しみつくせーーー!」
ワァァァァァァ!
94: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 18:05:50.27 ID:alnK7NAK0
映画館
最原(……なんか学園の方から事件の臭いがぷんぷんするような……気のせいかな……)
赤松「どうかした?」
最原「あ、いや。なんでもないんだ」
最原「さてと。映画館に来たのはいいんだけど……」
最原(どうしよう。何を見るか全然決めてなかった)
最原(うーん……ここは素直に赤松さんと相談して決めようか?)
世界的に有名な電気鼠の着ぐるみ「ぴかぴか……」スタスタ
最原「ん? 着ぐるみ……」
電気鼠「大丈夫。そのまま何も決めずにチケットのカウンターに行けばOKよ」ボソッ
最原「あっ! キミ東じょ――」
電気鼠「ぴっかぁ!」ドゴォッ!
最原「あろーらっ!」ゲフゥッ
赤松「最原くん!?」
電気鼠「ぴかぴか」シュッ
赤松「い、今のが噂のメガトンパンチ!?」
最原「ち、違う……世界的に有名な電気鼠はメガトンパンチを覚えない……!」ブルブル
96: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 18:12:34.04 ID:alnK7NAK0
映画館スタッフ制服東条「いらっしゃいませ。どの映画をご覧になりますか?」
最原(やっぱりこんなことだろうと思ったよ!)
東条「はい。『田中眼蛇夢の奇妙な冒険ザ・ムービー』ですね。ありがとうございます」ポチポチ
最原「え? それ映画化されてたの!?」ガビーンッ
赤松「わあ! あの紙芝居の映画版なんだね! 凄く面白かったから先が気になってたんだ!」
最原(い、意外に好感触だ……!)
東条「さっき見たんだけど、映画のパンフはネタバレオンパレードだから、買ってもすぐには見ない方がいいわ」ボソッ
最原「あ、ああ。うん。ありがとう……」
97: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 18:26:20.57 ID:alnK7NAK0
劇場内
最原「……流石に席にまでは来ない、か。まあ来たところでやることなんてないだろうけど」
赤松「どうかしたの? 最原くん」
最原「ああ、なんでもないんだ。そろそろ始まるみたいだし、座ろうか」
赤松「割と時間に余裕なかったね」
ビーッ
最原(さて。原作は面白かったけど映画の方はどうかな……)
ヒロイン役の東条『ダメよ田中くんっ! これ以上電気ウナギの電撃を浴びたら、死んでしまうわッ!』
最原「ブーッ!」
本人役の田中『愛情は種族の垣根を超える……アンリミテッド……ムツゴロウワークス……!』ヨシヨシナデナデ
友人役の日向『田中ァーーーッ!』
最原(なんか凄い見たことある面子ーーー! 大丈夫かこの映画!?)
98: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 18:31:33.94 ID:alnK7NAK0
二時間後
最原(凄まじく面白かった……)
最原(恋愛要素は皆無だったが、クジラの腹の中に入った田中くんが、最後の最後で脱出し……)
最原(ボロボロの状態で『ただいま』と仲間たちに言うシーンは涙無しには見られなかった……)
赤松「ううっ……ひっく……田中くん……凄いよ……!」エグエグ
最原「あ……えーっと……」ゴソゴソ
最原「ハンカチ、使う?」
赤松「ありがと……」
最原(いい思い出にはなったかな……)
99: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 18:44:04.71 ID:alnK7NAK0
最原「凄く格好良かったね、田中くん」
赤松「うん。愛を原動力に変えることができる人って本当にいるんだなって……」
最原「ふう。でもちょっと興奮しすぎて疲れちゃったな。どこかの喫茶店で休もうか」
赤松「うん。そうだね。近くにファミレスがあったけど」
最原「じゃあそこで」
ファミレス
ウェイトレス東条「いらっしゃいませ」
最原(もう驚かないぞ……)
東条「なんとなくクセで潜入しちゃったけど、もう私がやれることはないわよね?」コソコソ
最原「う、うん。後は適当にお喋りして、一緒に学生寮に帰るだけだからさ」
東条「そうよね。じゃあコレ」カサッ
最原「ん? メモ?」
東条「帰りにアクセサリーでも買ってあげるといいわ。コレは私お勧めの店の住所」
東条「帰り際に偶然見つけた。赤松さんに似合いそうだったからプレゼント、とか言っておけば怪しまれないわ」コソコソ
最原「何から何までありがとう……」
赤松「最原くん? どうかした?」
最原「あっ、い、いや! なんでもないよ!」
東条「席にご案内します」スタスタ
100: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 18:59:46.91 ID:alnK7NAK0
帰り道
最原(……買ったのはいいけど……うーん。どうやって渡そうか)
最原(赤松さんにバレないよう、トイレに行くと偽ってこっそり買ったネックレス)
最原(うーん、そもそも内緒で買ったからなー。好みかどうか全然わからないぞ……)
赤松「……最原くん、どうかした? 考え事?」
最原「ん? いや、なんでもないよ。今日は楽しかったなって思ってただけ」
赤松「私も。とっても楽しかったよ。恋人になってから初めてのデート」
赤松「……うーん」
最原「ん? 赤松さん?」
赤松「ねえ。恋人同士って、他にどんなことするのかな?」
最原「他にって?」
赤松「一緒に映画を見て、一緒にファミレス行って……これって友達相手でもやることだよね?」
赤松「恋人同士じゃないとできないこと、やってないなーって」
最原「ああ。確かにね。でも僕もこういうの初めてだからさ。何したらいいかなんてわからないよ」
最原「だから一緒に探していくんじゃないかな? これが恋人だからできること、だよ。きっと」
赤松「……最原くんってたまに格好いいよね」
最原(た、たまに……)ズーン
赤松「でもそっか。こうやって一緒に歩いていくのも恋人……ん?」ピクリ
最原「えっ?」
赤松「……遠くから音楽の匂いがする」
最原「お、音楽の匂い!?」
赤松「学園の方……行こう、最原くん! まだ面白いことがありそう!」ダッ
最原「あっ、赤松さん!」
101: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 19:10:21.64 ID:alnK7NAK0
希望ヶ峰学園
澪田「なんかもう、色んなバンドが参加しすぎてて、誰が誰やら何が何やらさっぱり状態になってきたっすけど」
舞園「楽しければオールオッケーです! ところでこれいつまで続くんですか?」
澪田「無論! 唯吹がシャウトできなくなるまでーーー! ギィィタアアアアア!」
澪田「さあ! プロアマ問わず! 次は誰がどんな音楽を聞かせてくれるんすかね!」
澪田「古今東西、色んな楽器を貸し出してるから、やりたいヤツは是非とも名乗りを上げてほしいっす!」
澪田「あ、十分以上、誰も立候補しない場合は、唯吹がやるから大丈夫っすよ! 音楽は絶やさないっす!」
澪田「さあ、次は誰が……」
ポロロンッ
澪田「お?」
舞園「おや?」
澪田「……ドビュッシーの月の光っすね」
舞園「これをこの学園でここまで精巧に弾ける人間なんて、たった一人……」
澪田「……」ニヤァ
澪田「楓ちゃんが帰ってきたっすーーー! ヒャッホーーーウ!」
102: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 19:22:28.76 ID:alnK7NAK0
最原(僕はステージの舞台袖にまで連れてこられていた)
最原(一番近くで聞いてほしいから、と嬉しいことを言ってくれたけど……)
最原(ここはちょっと席としては二流かもしれない。ピアノの音は確かによく聞こえるけど、赤松さんの背中しか見えない)
最原(もどかしい……けど、なにか胸が満たされるような気分にもなる)
最原(やっぱり好きだなぁ、赤松さんのピアノ)
東条「……ここで私に一つ提案があるのだけれども」ニュツ
最原「うわあ!? 急に生えてこないでよ!」
最原(ていうか生えるメイドってなんだよ!)ガビーンッ
東条「こればっかりは乗るかそるかはあなた次第よ」
東条「場合によっては赤松さんに迷惑がかかるかもしれないし」
最原「……えーっと……?」
東条「まあ、聞いてみる価値はあるんじゃないかしら?」
103: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 19:35:49.78 ID:alnK7NAK0
赤松(……見られてるって思うと妙に緊張するけど、どうにか弾き終えることができた)
澪田「かっ……かかかかか……楓ちゃーーーん! 素晴らしい演奏だったっすー!」ダキッ
赤松「うおわっ! 澪田さん!?」
舞園「ええ、本当に。相変わらずの綺麗な音色でした」
赤松「舞園さん……あはは。そんなに褒められると恥ずかしいんだけど……」
澪田「野郎どもッ! よく見やがれ! そして聞きやがれ!」
澪田「この巨乳美人こそが我が希望ヶ峰学園最大のリーサルウェポン! 赤松楓嬢だぞーーー!」
澪田「超高校級のピアニスト! すっごーい! キミはピアノが得意なフレンズなんだねー!」
澪田「……わかったか!?」
舞園「澪田さん。紹介が勢い任せすぎて大分とっちらかってます」
澪田「おっと失敬」
澪田「……ところで楓ちゃんて彼氏いるっすか?」
赤松「唐突だね!? 全然勢いが死んでないね!?」
澪田「だってー。気になるんすもーん」
澪田「みんなだって気になるよねー?」
ワァァァァァ!
赤松「あ、えーっと。彼氏は……その……」
最原「……あ、赤松さんっ!」バッ
赤松「ん? 最原くん?」
澪田「お? この祭りの発端となった探偵さんが満を持して参上だーーーッ!」
最原「え? 何それ? いや、今はいいや。それよりも……」スタスタ
104: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 19:44:02.76 ID:alnK7NAK0
ギュッ
赤松「……えっ」
舞園「……ひゃあ……」
澪田「何ィーーーッ!?」
赤松(急に最原くんに抱きしめられた……え? なんで?)
澪田「まっ、マイクさーーーん! 二人にマイク近づけてーーー! ハリーハリー!」
最原「……凄くよかったよ。赤松さん」
赤松「あ、ああ? えーっと、ありがと……?」
赤松「えっ。ところで、なんで私、抱きしめられてるの?」
最原「あー……説明は難しいんだけど……」
最原「前の告白はグダグダだったからさ。改めて、っていうのもいいかなって……」
澪田「まっ……前の告白……だと……!?」
舞園「えっえっ。二人って、付き合ってたんですか? えー!」ニヤニヤ
澪田「今明かされる衝撃の真実ーーーッ! ……あ、ごめんっす。もうしばらく黙ってるっす、はい」
105: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 19:50:29.11 ID:alnK7NAK0
最原「赤松さん……」
赤松「……最原くん……」
赤松(最原くんは一度体を放し、向き合って、真剣な瞳をこちらに向けてくる)
最原「……僕はキミのことが好きだ」
赤松「……」
最原「だから付き合って……っていうのは今ごろだよね。もう付き合ってるし」
最原「だから返事の代わりに聞かせてほしい」
最原「キミが、僕のことをどう思っているのかを」
最原「結局、まだそこを聞いてなかったからさ……」
澪田「……どきどき」
舞園「……わくわく」
赤松「……」
106: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 19:57:36.75 ID:alnK7NAK0
赤松「私も……」
赤松「最原くん、私も、あなたのことが大好きですッ!」
最原「!」
澪田「いっ……言った」
舞園「キャーーー! 言いました! 言っちゃいましたよ! みなさん聞きました!?」キャイキャイ
澪田「うおっ! さやかちゃん唯吹以上のテンションになってるっすよ! 大丈夫っすか!?」
舞園「いいですねー! 憧れですねー! 私もこんなふうに堂々と告白されてみたいですねー!」
澪田「うーん、スイーツな妄想駄々流し! ダメだこりゃ!」
舞園「いいじゃないですかいいじゃないですか! みんなもこういうの大好きですもんねー!」
ネー!
澪田「アイドルって恋愛禁止なんじゃ……」
舞園「細かいことはいいんですっ! ……あ、なんか唄いたくなってきました」
舞園「次、私が行ってもいいですか?」
ワァァァァァ!
最原「……えーっと、じゃあ僕は言うこと言ったし、そろそろステージから引っ込むけど……」
赤松「ふふ。今日は離れないよ、最原くん」ギュッ
最原(……よかった。どうにか上手く行ったみたいだ……)
107: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 20:04:21.82 ID:alnK7NAK0
回想
最原「えっ。全員の前で大々的に告白? 本気で言ってるの?」
東条「あんまりお勧めはしたくないのだけれども……」
東条「でも、この学園って結構個性派揃いで、赤松さんは中でも美人な方でしょう?」
東条「学園のみんなの前で告白して、所有権を主張するのも悪くはないと思うわ。誰も手出ししたくなくなるでしょうし」
最原「所有権て……赤松さんはモノじゃないよ」
東条「この作戦で大事なのは、あなたのエゴよ」
東条「誰かに赤松さんを盗られたくないでしょう?」
最原「……む……」
東条「ついでに、あなたに仄かで淡い思いを抱いている生徒を諦めさせることもできるし」
最原「そんな人いないと思うけど」
東条「……そうかしら?」フッ
最原「ん?」
東条「……やる? やらない? どっち?」
最原「……うーん……」
108: ◆SxyAboWqdc 2017/03/20(月) 20:13:22.13 ID:alnK7NAK0
最原(なんで乗っちゃったんだろう。凄い恥ずかしかったよ……)
ユーガッダメール
最原(メール……百田くん……と、クラスメートのみんなからか)
最原(タイトル見る限り、内容はおおよそ全部お祝いだな……)
最原(うわっ。本当に恥ずかしくなってきた……!)
赤松「最原くん。彼女が隣にいるのに、メールの確認?」
最原「え? あっ、ごめん! 仕事柄、どうしてもさ!」アタフタ
赤松「いいよ。許してあげる!」
赤松「……でも、私って結構独占欲強いんだよ?」ギュッ
最原(赤松さんが纏わりついている僕の右腕に、妙に力が入る)
最原「痛い」
赤松「ごめんね……もう少しこのまま……ね?」
最原「……?」
113: ◆SxyAboWqdc 2017/03/21(火) 18:59:15.46 ID:xYwlCVAB0
その後 夜 最原の自室
パジャマ東条「……ナイス告白だったわよ。最原くん」
最原「ああ。あー……うん……後悔がジワジワと心に浸透してきたところなんだけど……」
東条「青春に痛みは付き物よ」
最原「……なんか『改革に犠牲は付き物だ』って言う政治家みたいだね」
最原「はあ」
最原「……ああ、でも、四日目も無事終了か。明日になったら学校が始まるし……」
東条「そして、その次は土日ね。これを乗り越えれば、私たちの関係も解消よ」
東条「ふふ。まだ早いかもしれないけど、結構楽しかった……と、言えるのかもしれないわね」
東条「やはりあなたは叩けば伸びる人だった」フフ
最原「叩かれすぎて心が鬱血気味だよ……」
114: ◆SxyAboWqdc 2017/03/21(火) 19:05:03.26 ID:xYwlCVAB0
最原「……ん。そうだ。東条さん、これ」ポイッ
東条「ん」キャッチ!
最原「あげるよ。報酬にしては安すぎるけどさ」
東条「……これ、私が紹介したアクセサリーショップの……」
東条「赤松さんにあげるつもりだったのでしょう? 何故私に?」
最原「タイミングを逃しに逃しまくったからさ。もう彼女にはあげられないよ」
最原「かと言って、僕が使うにはちょっと可愛すぎるからさ」
最原「消去法で行けば、もう東条さんにしかあげられないなって」
東条「……」
最原「……趣味じゃなかった?」
東条「いいえ……ちょっと感極まってただけよ」
東条「赤松さん相手にも、これだけロマンスを演じられればいいのだけれどもね」
最原「いや別に東条さん相手にロマンス演じた覚えないけど」
東条「……たまにあなた、キーボくん以上に空気が読めなくなるわね」
115: ◆SxyAboWqdc 2017/03/21(火) 19:13:48.75 ID:xYwlCVAB0
東条「……ふふっ」ニコニコ
最原(まあ、喜んでもらえたのなら何よりだ……)
最原(赤松さんへのプレゼントは、また今度、別の機会に考えよう)
同時刻 女子寮
茶柱「えっ? 最原さんがネックレスを?」
赤松「うん、そうなんだ。トイレに行くって嘘吐いて、こっそり買うのを見てたんだよね」
赤松「時間はかけられないけど、あんまり変なのも渡せない、みたいな、ちょっと泡食った挙動でさ」
赤松「可愛くって、私も知らないフリしてあげるしかなくってさ」
茶柱「で、そのネックレスは?」
赤松「……恥ずかしくって渡せなかったみたい。何度も渡そうとしてたみたいだけどさ」
茶柱「あちゃー。丸っきりヘタレですね最原さん……」
茶柱「まあ、らしいですが。やっぱり今度ネオ合気道を叩き込むべきでしょうか」
赤松「でもいいんだ。いつか勇気が出たそのときに、何も知らないって顔でキチンと受け取ることにするよ」
赤松「ふふっ」
茶柱(幸せそうですねぇ)
茶柱(……何かの拍子に泣かせたりしたら、あの男死を殺しましょう)ウン
119: ◆SxyAboWqdc 2017/03/21(火) 19:41:40.70 ID:xYwlCVAB0
五日目 朝
最原「さて。今日は学校だ。この前から妙に密度の濃い時間を過ごしてたから、久しぶりって気分だな」
東条「朝食はテーブルの上に、既に」
最原「……ベーコンエッグ、ワカメの味噌汁、さんまの塩焼き、山盛りのキャベツ」
最原「ごきげんな朝飯だコレ!」ガーン!
東条「白銀さんにやってあげたときは跳ね上がって喜んでいたわ」
最原「それは白銀さんならね! いや、確かに美味しそうだけど!」
最原「山盛りのキャベツがキッツイなぁ! 食べるのに時間かかりそうだよ!」
東条「大丈夫。そのときは学園の始業時間をなんとしてでも遅らせるわ」
最原(早食い決定!)ガビーンッ!
テレビ『次のコーナーは、新企画! 超高校級の占い師、葉隠くんによる星座占いでーす!』
葉隠『俺の占いは三割当たる!』
東条「あら。うちの生徒ね」
葉隠『俺っちの占いによると、今日の牡牛座の運勢は超最悪だべ!』
葉隠『特に血液型がB型で他人に尽くすタイプの女性は命すら危ういべ!』
葉隠『アンラッキーアイテムは、ネックレスと手品が得意な友達とバイソンなので、絶対に近づかないようにな!』
最原「なんか個人を狙い撃ちにしてるような占いだな……」
東条「所詮は占い。気にしなくても大丈夫よ」
120: ◆SxyAboWqdc 2017/03/21(火) 19:50:33.02 ID:xYwlCVAB0
prrrr! prrrr!
東条「失礼。私の携帯だわ」ピッ
東条「……ふむ。なるほど。了解、すぐに処理するわね?」
最原「どうしたの?」
東条「学園に軽い監査が入るみたいなの。法に触れそうなものを処理してくれって依頼よ」
東条「悪いのだけれども、先に学園に行かせてもらうわね?」
最原「……えーっと、具体的に何するの?」
東条「ひとまず体育館の裏あたりに、重火器を埋める作業から始めるわ」
最原「色んな意味で気を付けてね!」
東条「重火器を処理するだけよ。何も問題はないわ」
同時刻 体育館裏
夢野「昨日の音楽大会は凄かったのう。みんな笑顔じゃった」
夢野「……決して羨ましくなったわけではないが、しかし、魔法使いとしては嫉妬してしまうの」
夢野「ふむ。久方ぶりに、稽古でもするかの。秘密の特訓じゃ」
夢野「まずは召喚魔法じゃな。鳩……は、なんかもうやり尽くした感あるし……」
夢野「そうじゃ!」ピコーンッ
夢野「バイソンを呼ぶか! 大量に! 五百頭くらい!」ウン
121: ◆SxyAboWqdc 2017/03/21(火) 19:56:02.90 ID:xYwlCVAB0
最原「やっぱり山盛りのキャベツがキツイ……噛むのに時間がかかる……」シャキシャキ
最原「遅刻はしないだろうけどさ……」シャキシャキ
ドドドドドド
最原「ん? 地震? いや、地鳴り?」
最原「学園の方からか?」
ドタバタガチャーンッ!
百田「終一! 大変だ! 学園から大量発生したバイソンが暴走して、あっちゃこっちゃ破壊しまくってる!」
最原「はい!?」ガビーンッ!
122: ◆SxyAboWqdc 2017/03/21(火) 20:02:33.27 ID:xYwlCVAB0
希望ヶ峰学園 校門周辺
バイソンA「もおー!」
バイソンB「もおー!」
バイソンC「もおー!」
ドドドドドド! ガシャーンガシャーンッ!
最原「うわあああああ! 大量のアメリカバイソンが学園中を暴走してるーーー!」ガビーンッ!
百田「だからそう言ったじゃねーか!」
最原「いや言葉で言われても意味わからないって! 実際目にしないと……」
最原「目にしても全然わけがわかんないぞコレ!」
夢野「あわ……あわわわわわ……い、いかん。加減を間違えた……!」ガタガタ
最原「あ。夢野さん……あれ。帽子どうしたの?」
夢野「召喚ゲートに使ったので、ない」
最原「はい?」
123: ◆SxyAboWqdc 2017/03/21(火) 20:07:34.12 ID:xYwlCVAB0
かくかくしかじかしかくいばいそん
最原「……えーっと……つまり夢野さんの『バイソン召喚マジック』で呼んだバイソンが、アレなんだね?」
百田「よ、呼びすぎだバカ野郎! 危なすぎて登校できねーじゃねーか!」
百田「……っていうか、早めに登校したヤツ、大丈夫なのか!? アレ!」
夢野「す、既に一人犠牲になっておる……」
最原「えっ」
夢野「ウチは体育館裏で魔法の稽古をしておったんじゃが、そのとき何故か東条が来て……」
夢野「そもそも、そのとき東条に声をかけられたからウチはビックリして……」
夢野「魔法の加減を間違えたんじゃ」
最原「待って。じゃあなんで東条さんがここにいないの?」
夢野「……犠牲になった一人というのは、東条じゃ」
最原「ッ!」
124: ◆SxyAboWqdc 2017/03/21(火) 20:15:03.27 ID:xYwlCVAB0
夢野「し、信じてくれ! 本当に何もかも事故じゃったんじゃ!」
夢野「東条はバイソンの群れに飲み込まれそうになったウチを助けて、身代わりに……!」
夢野「でもなんとかウチは逃げきれて、こうして校門から学園の中を見てアタフタしておったというわけじゃ!」
夢野「うう。東条……!」
最原「……百田くん! 僕ちょっと行ってくるよ!」ダッ
百田「あ、おい!」
最原「ごめん! 僕が百田くんと一緒にいても、足手まといになるだけだから!」
最原「ここから先は別行動で!」
百田「バカ野郎ーーーッ! お前みたいな有能すぎる足手まといがどこにいるってんだーーーッ!」
百田「……チッ! もう行っちまった! 仕方ない! 俺は俺で、学園にいるヤツをどうにか守ってくる!」
百田「お互い、生きて会おうぜ!」
夢野「んああああ……ウチは……ウチは……」
125: ◆SxyAboWqdc 2017/03/21(火) 20:16:55.76 ID:xYwlCVAB0
赤松「……うわっ! 何これ! 学園中にバイソンが!」
夢野「あっ、赤松! 大変じゃあ! 最原が中に!」
赤松「えっ」
126: ◆SxyAboWqdc 2017/03/21(火) 20:21:11.29 ID:xYwlCVAB0
バイソンD「もおーっ!」ブンッ
最原「うわーっ!」カイヒッ
バイソンE「もおーっ!」ブンッ
最原「ひやーっ!」カイヒッ
バイソンF「もおーっ!」ブンッ
最原「死ぬーっ!」カイヒッ
最原「はあっ……はあっ……な、なんとか体育館裏まで来れたぞ!」
最原「東条さん! どこにいるの!? 東条さん!」
ブミッ
最原「ん? 何か踏んだ。バイソンのフンかな……」
東条「」チーン
最原「東条さんだったーーーッ!」ガビーンッ!
128: ◆SxyAboWqdc 2017/03/21(火) 20:26:42.48 ID:xYwlCVAB0
最原(倒れている東条さんはボロボロで、服もズタボロ。ほぼ下着姿に等しかった)
最原(相当激しくバイソンに揉まれたのだろう。当然のように気絶している)
最原「と、東条さん……!」
東条「う、あ……さ、最原くん……逃げ……て……」
最原「もちろんだよ! 東条さんも一緒だからね!」
東条「私は……置いて、行って……」
最原「……」
最原「朝のときには見えなかったけどさ、服の下にキチンと付けてたんだね。ネックレス」
東条「……」
最原「ここまで一心同体だったでしょ? まだ二日残ってるんだ」
最原「絶対に一緒だからね!」
バイソンG「もおーっ!」
最原「うわああああ! またバイソンっ!」ガビーンッ
東条「……あなたって人は……」
129: ◆SxyAboWqdc 2017/03/21(火) 20:36:29.99 ID:xYwlCVAB0
十分後
最原「はあっ……はあっ……」
最原「だ、ダメだ! 来るときは楽勝だったのに、校門に戻るのになんで手間取るんだよ!」
東条「……私がいるからでしょう」
最原「一応、もう一度言っていくけど、絶対に置いて行かないからね!」
最原「くそ。せめて安全地帯でもあれば……!」
バイソンH「もおーっ!」
最原「ま、曲がり角から!? しまっ……!」
田中「バイソンたちよ! 我が業を見よ!」
バイソンs「!」ピタリ
最原「えっ。止まった?」
田中「アンリミテッド・ムツゴロウ・ワークス!」ナデナデ
バイソンs「……もおー」
最原「あ、あれ。暴走……しなくなった……」
最原「……始まりも意味不明なら終わりも意味不明だな……」ズーン
132: ◆SxyAboWqdc 2017/03/21(火) 20:50:02.99 ID:xYwlCVAB0
最原「と、とにもかくにも脱出だ! 待ってて東条さん!」ダッ
校門周辺
赤松「……あっ、さ、最原くーーーん!」
最原「あ。赤松さん。おはよう」
赤松「おはよう。じゃなくって!」
赤松「心配してたんだよ! あんな暴走バイソンの群れの中に入ったら死んじゃう……って、東条さん!?」
最原「ご、ごめん。心配は嬉しいけど、話は後で! 罪木さんはいる!?」
赤松「あ、あっちで簡易テントを作って、怪我人の手当してるけど……」
最原「なんかやたら準備いいな!」
最原「まあ、いいや! もうすぐだよ東条さん!」ザッ
キラリン
赤松「!」
赤松(……東条さんの首にかかってたの……あれ……?)
赤松「……」
134: ◆SxyAboWqdc 2017/03/21(火) 21:00:50.81 ID:xYwlCVAB0
おっと。今日のところは終了です。また明日の夕方に続きをやります
133: 以下、
さすが東条さん、偶然を装いながら略奪愛に全力出してるな
136: 以下、
なんという良いところで切るんだ、キルミだけに
137: 以下、

クソッ先が気になる
140: 以下、
メイドって主人の愛人も務めるんでしょ(エロゲ脳)
141: ◆SxyAboWqdc 2017/03/22(水) 20:26:50.96 ID:wQV6U+YS0
簡易的野戦病院
東条「……」
東条「知らない天井だわ」
最原「冗談言えるくらいなら、結構余裕ありそうだね。安心した」
東条「……意識が朦朧としていたから、あんまりハッキリはしていないのだけれども」
東条「……ごめんなさい。私が不覚を取ったばかりに、あなたに迷惑をかけてしまったみたい」
最原「いいって。僕ばっかりが東条さんに助けられっぱなしっていうのも、なにかおかしいしさ」
東条「右足、折れてるわね。その他は比較的無事のようだけど……」
最原「割とあちこち打撲痕や切り傷擦り傷だらけだから、とてもじゃないけど右足以外も無事じゃないよ……」
東条「……! ……!? ……ッ!?!?」ガビーンッ
最原「ん? どうかした?」
東条「ネックレスはッ!?」
最原「ああ、安心してよ。ちゃんと僕が預かってるからさ。治療の邪魔だからって罪木さんが取り外したんだ」
最原「ほら。もう治療は一段落したから」チャリリ
東条「……よかった」ホッ
142: ◆SxyAboWqdc 2017/03/22(水) 20:32:16.59 ID:wQV6U+YS0
最原「学園はひとまず休校だってさ。バイソンがあちこち荒らしまわったせいで、とてもじゃないけど授業できないって」
最原「怪我人も結構出てるしね。死人は奇跡的に一人もいないんだけど」
東条「……最原くん、頬のあたり、どうしたの? 絆創膏があるけど」
最原「ああ。うん。なんか引っかけてたみたい。どこでなのかは無我夢中だったからわかんないけど」
東条「本当、追い詰められると無茶するわね」サワッ
最原「くすぐったい。ていうか頬を撫でないでくれるかな。恥ずかしい」
東条「……ふふ」
最原「……はは」
143: ◆SxyAboWqdc 2017/03/22(水) 20:37:28.84 ID:wQV6U+YS0
赤松「……」
罪木「……あれぇ? あなたもケガをしてる人、ですかぁ……?」
赤松「あ、いや、そういうわけじゃ、ないんですけど……」
罪木「……あっ。ここは東条さんの病室ですね。そっか、クラスメートだからお見舞いなんですねぇ?」
赤松「……」
赤松「……お見舞いは、いいや」
罪木「ふえ?」
赤松「最原くんが、いるみたいだから……」
赤松「……」スタスタスタ
罪木(深く傷ついたような表情……あれ? 本当にケガはしてないんですよね……?)
144: ◆SxyAboWqdc 2017/03/22(水) 20:46:48.18 ID:wQV6U+YS0
怪我人ダイジェスト
終里「バイソンだと!? 俺とどっちが強ぇのか勝負だグヘッ!」ゴシャンッ
アンジー「バイソン? ちょうどいいねー! 神様へのイケニエが不足してたところだったんだよひでえぶすっ」ゴシャンッ
大神「バイソン? ふむ、修行の相手にはちょうどいいかフンヌッ!」ブオオオンッ!
罪木「とまあ、このように、東条さん以外の怪我人の怪我の原因は自業自得」
罪木「更に悪い言い方をするなら、いらない怪我なんですよねぇ……」
日向「ちょっと待て。最後のは効果音が違くなかったか?」
罪木「あ、大神さんはバイソンとじゃれたときについた掠り傷だけだったんですよぉ……」
日向「すごっ!」
豚神「実質上、一時災害の煽りを受けていたのは東条のみ、というわけか」
豚神「ふむ。どこかのバカが避難誘導でもしてたのか?」
百田「へくしょんっ」
145: ◆SxyAboWqdc 2017/03/22(水) 21:03:58.57 ID:wQV6U+YS0
簡易的野戦病院 東条の病室
最原(さて……何もかもが唐突に始まり、唐突に傷ついて行ったバイソン事件)
最原(その事件の真犯人は、というと……)
夢野「イヤじゃあああああ! バイソンとお別れなんてイヤじゃあああああ!」ビエエエン!
バイソンs「もおー!」
田中「ええい、いい加減にするがいい! そもそもアメリカバイソンは特定動物だから認可なしに飼育はできんのだ!」
最原(田中くんとバイソンの取り合いをしていた)
夢野「……わかった。そこまで言うのなら」
田中「ようやく納得したか」
夢野「共に逃げるぞバイソン! 地平線の向こうまで!」
夢野「ライドオン!」ジャキィィンッ
バイソンs「もおーーー!」ドタドタドタ
田中「貴っっっ様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
最原(そして、バイソンと共に逃げた夢野さんと、動物の真の幸せを信じる田中くんとの激しい戦いが始まり)
最原(後にこの物語は『田中眼蛇夢の奇妙な冒険2』として、またも紙芝居化、映画化されるんだけど……)
最原(……限りなくどうでもいいので、この話は割愛しよう)
146: ◆SxyAboWqdc 2017/03/22(水) 21:05:56.02 ID:wQV6U+YS0
最原「人の病室の外で何してんのさ……」
東条「……あの。最原くん。相談があるのだけれども」
最原「ああ、うん。話さないといけないよね」
東条「……全力カウンターのこと」
最原「あー……まずい。これ絶対まずいよなぁ……!」
147: ◆SxyAboWqdc 2017/03/22(水) 21:11:43.94 ID:wQV6U+YS0
東条「希望ヶ峰学園の技術力を総結集しても、全治二週間はかかるらしいわ」
最原「つまり、その期間はどうしても全力は出せない。右足が折れてるからね」
東条「無理をすればできないことはない、と思うけど……」
最原「絶対に無理はさせないからね。となれば、残る手段は……」
王馬「そう! すべての黒幕たる、俺に泣きつくことなのでした!」ニョキッ!
最原「うわぁ!」
最原(ベッドの下から王馬くんが生えてきた!)
148: ◆SxyAboWqdc 2017/03/22(水) 21:19:54.06 ID:wQV6U+YS0
王馬「いいよ! 今日一日くらいはカウンターの期限は猶予してあげる!」
最原「……一日猶予されたところで、あと二日残ってるんだけど」
王馬「ん。大丈夫。そっちも救済処置くらい取るって」
王馬「そうだな。じゃあこうしようか」
王馬「最原ちゃんが東条ちゃんに対して全力で奉仕した分も、カウンターに加算してあげるよ!」
最原「えっ?」
東条「!?」
最原(……なんだろう。王馬くんにしては、随分と甘っちょろい処置だな……)
最原(もっとエグい交換条件を付きつけられると思ったんだけど)
東条「待って。それは。王馬くん……メイドとして、かなり屈辱的なのだけれども」
王馬「メイドとして? いやいや、わかりやすい嘘を吐くな東条ちゃん!」
王馬「個人的に恥ずかしい、って言いなおせば?」
東条「……」
149: ◆SxyAboWqdc 2017/03/22(水) 21:24:19.22 ID:wQV6U+YS0
王馬「あ。そうだ最原ちゃん。一つ、どうでもいい情報を教えてあげるよ」
最原「どうでもいい情報?」
王馬「なんで東条ちゃんが最原ちゃんの部屋に侵入できていたのか、気にならなかった?」
最原「……ん? そういえば」
王馬「実は俺、最原ちゃんの鍵のスペアを持っていたから、それを特別に東条ちゃんに貸してあげてたんだよね!」
最原「ええっ!?」
王馬「……以上。これが俺のどうでもいい情報なのでした」
王馬「なんでこの話をしたのかは、その内にわかるんじゃないかな?」
王馬「じゃ、奉仕頑張ってね。あ、時間経過によるカウンター減少は猶予するけど、加算は普通にされるから」
王馬「バイバイ!」スタスタ
最原(一方的にまくし立てて、帰って行ってしまった……)
150: ◆SxyAboWqdc 2017/03/22(水) 21:30:49.16 ID:wQV6U+YS0
最原「ともかく、彼にしては破格の譲歩だ。今度は東条さんにやられてた分、僕がご奉仕すればいいだけだからね」
最原「……東条さん。今は病衣だけどさ、寝るときはキチンとパジャマがいいよね?」
最原「僕の部屋に常備されてるだろうから、取ってくるよ」
東条「……あの。最原くん。私は……」
最原「遠慮はなし! もうこうなったら一蓮托生だよ!」
東条「……そう、ね。でもその……これだけは言っておくわ」
東条「死ぬほど恥ずかしい……奉仕される側は慣れてないの。お手柔らかに、ね?」カァァ
最原(な、なにを今更……)ズーン
152: ◆SxyAboWqdc 2017/03/22(水) 21:34:28.44 ID:wQV6U+YS0
東条「……ゆっくりでいいから。あまり急がずにお願いね」
最原「うん! わかった!」
王馬「……にしし。破格の譲歩、だって?」
王馬「違うね。全然違うよ。『こっちの方がつまらなくなさそうだったから』だよ」
王馬「……スペア、もう一つあったりして。そしてそれを誰かさんに渡しちゃったりして」
王馬「にしししししし」
153: ◆SxyAboWqdc 2017/03/22(水) 21:41:28.24 ID:wQV6U+YS0
最原の自室
最原「……よし。パジャマの準備はできたっと……」
最原「あと東条さんが使ってた歯ブラシと……これは櫛かな? 化粧道具も……」
最原「……いつの間にやら、相当数あるな。東条さんの私物」
最原「うーん。病院に化粧道具とかって必要かな……?」
最原「……はあ。まあ、ひとまずこれでいいか」
最原「ゆっくりでいいって言ってたし……疲れたし、ちょっとベッドで横になろうかな……」バタンッ
最原「……起きたら東条さんのところ、に……」スヤァ
ガチャリンコ
赤松「……」
160: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 06:18:19.72 ID:ne3Q8hlF0
一時間後
最原「……?」
最原(んん……誰かに抱き着かれてる……)
最原(東条さんかな。病院を無理に抜け出して、抱き枕になりにきたとか?)
最原(無理はさせないって言ったのに……)
最原「んん……東条さん。今日は抱き枕役はいいって……」パチリ
赤松「……」
最原「……」
赤松「……ごめんね。東条さんじゃなくって」ニコニコ
最原「……」
最原「……ゑ?」
161: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 06:22:08.07 ID:ne3Q8hlF0
最原(……落ち着こう。落ち着いて考えるんだ。どうしてこうなったのか)
最原(まずは現状把握からだ。僕と一緒に赤松さんがベッドに入ってて)
最原(僕は赤松さんに抱きしめられていて)
最原(そしてここは僕の部屋で……)
最原(うわあああああ! もう考えるのを放棄したい! これ絶対ヤバいよなぁ! だって!)
赤松「……ずっと東条さんがどこで寝泊まりしてたのか疑問だったけど」
赤松「これだけ証拠があれば、もう確定だよね?」ニコニコ
最原(部屋中には東条さんの私物がたくさん! これで気付かない方がどうかしてる!)アワアワ
162: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 06:26:43.70 ID:ne3Q8hlF0
最原「あ、あの……赤松さん。ところで何故、僕と一緒にベッドで寝てるのかな?」
赤松「王馬くんに最原くんの部屋の鍵を貰った」
最原「いや侵入手段も気になるけど、そっちじゃなくって」
赤松「……最原くん」ギシッ
最原(赤松さんは上体を起こし、しかし尚もこちらへ視線を向けることをやめない)
最原(やたら熱っぽい視線だ。愛とか憎とかない交ぜになった感じの)
最原(真宮寺くん風に言うなら、醜くも美しい妙な魅力に溢れていた)
赤松「……」シュルリ ヌギヌギ
最原(そしてにこやかに笑いながら、ゆっくりと服を脱ぎ始めて……)
最原「って、何ィーーーッ!?」ガビーンッ!
163: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 06:30:47.88 ID:ne3Q8hlF0
最原「ストップストーーーップ!」ガシッ
最原「なななな、なにしてんの!? 男性と一緒のベッドで、女性が服を脱ぎ始めるって!」
最原「それかなり危ないっていうか無防備すぎるっていうか、どういう意味かわかってるの!?」
赤松「最原くん……流石に私、そこまで初心じゃないんだけど」ニコニコ
最原(さっきからそのニコニコ笑顔が超怖い!)
赤松「……手、放して? それとも……」
赤松「最原くんが、脱がせたい?」
最原「あい?」
赤松「私の服」
最原「」
164: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 06:37:22.91 ID:ne3Q8hlF0
最原(さっきから赤松さんの行動が理解できない)
最原(例えばこの部屋の現状を見て、赤松さんが僕の頬に思い切りビンタするなら、理解できる)
最原(罵って、失望して、落胆して、僕のもとを去るのなら理解できる)
最原(でもこれはなんだ!? 明らかに赤松さんは、むしろ僕の懐に飛び込んでこようとしている!)
最原(一度行ったら取り返しのつかない領域まで!)
赤松「……東条さんとも、シたんでしょ?」
最原「えっ」
赤松「なら私とも、シようよ。恋人相手なんだから、簡単だよね?」ニコニコ
最原「……」
最原(んんーーー!? 余計に謎が深まったぞーーー!?)
最原(だ、だが、なんとなくわかった。赤松さんは明らかに僕と東条さんの仲を誤解してる!)
最原(理論武装だ! どうにか納得してもらわないと!)
赤松「……」ヌギヌギ
最原(あ、ダメだ! むしろ相手が武装解除してるもの!)ガビーンッ!
165: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 06:42:08.38 ID:ne3Q8hlF0
最原「赤松さん! 確かに僕は東条さんと一緒にこの部屋で生活してた!」
最原「でもそれには事情があったんだって!」
赤松「ふーん」ニコニコ
最原「あと言っておくけど、僕と東条さんはそういうことしてないから!」
最原「完璧に誤解だから!」
赤松「東条さんを抱き枕にしてたみたいだけど?」
最原「」
最原「……い、いや! それと肉体関係があったかどうかは別だよ!」
赤松「……へー」ヌギヌギ
最原「だから脱ぐのをやめてって!」ガシッ
166: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 06:46:14.22 ID:ne3Q8hlF0
赤松「……じゃあ仮に、最原くんの言っていることが百歩、千歩、万歩譲って本当だとしてさ?」ニコニコ
赤松「それが何なの?」ニコニコ
最原「え?」
赤松「例えば私の部屋に百田くんが『なんらかの事情』で住み込み始めたとして」
赤松「『やむを得ない事情』で百田くんが私の抱き枕になったとして」
赤松「最原くん、どう思う?」
赤松「仮にそういうこと一切抜きの関係だったとしてさ」
赤松「……どん底の気分になるよね? 少なくとも愉快じゃないよね?」ニコニコ
最原「……」
最原(せ、正論ーーーッ! 反論の余地がなーーーい!)ガビーンッ
167: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 06:55:05.90 ID:ne3Q8hlF0
赤松「……ふふ。あはは。見て、最原くん」
最原「ん?」
赤松「やっぱり私も緊張してるみたい。ブラのホックがうまく外せないよ」ニコニコ
最原「う、うわあああああ! もう本当にそこまでにしてーーーッ!」ガシッ! グイッ
赤松「きゃっ!」
ドサッ
赤松「……最原くん」
最原(もう思い切り止めるしかなかった。僕は赤松さんの体を引っ張り)
最原(ベッドに引き倒して、両手を掴んで、組み敷いて……)
最原(目をビックリさせたようにパチクリさせる彼女を見下ろして……)
最原(うーん、なにか余計にまずい構図になってる気がするなァ! 彼女下着姿だし!)ガビーンッ!
168: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 07:03:36.96 ID:ne3Q8hlF0
最原「赤松さん。僕の話を聞いてくれ。僕は……」
赤松「……いや。聞きたくない」
最原「……だ、だよね……確かに、そうだろうね。キミを悲しませてる僕の話なんて、聞きたくないよね」
赤松「それもそうだけど」
赤松「むしろ最原くんが私の話を聞いて」
最原「ん?」
赤松「……最原くんに告白されたとき、嬉しかった。これは本当」
赤松「東条さんは大事な友達。これも本当」
赤松「でもさ、二人が私が知らない何かを知っててさ……」
赤松「私を除け者にして、二人で笑いあっててさ……」
赤松「……最原くんに命がけで守ってもらえる東条さんが、とても、とても羨ましくってさ……」
最原「……」
169: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 07:09:19.13 ID:ne3Q8hlF0
赤松「私の気持ちを知らずに、東条さんに構っている最原くんが……」
赤松「とても憎らしくてさ」
赤松「殺したいくらいに」
最原(……これ冗談じゃないな……)
赤松「でさ。色々考えて、本当に色々考えてさ……」
赤松「東条さんに嫉妬しないで、最原くんを憎まない方法なんて」
赤松「……もう、これしか思いつかなくって」
赤松「私が東条さん以上の、最原くんの『唯一』になるしかないって思ってさ」
最原「……」
赤松「……ねえ。最原くん」
赤松「私に、魅力はないのかな?」
最原「……ッ!」
173: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 07:18:24.40 ID:ne3Q8hlF0
赤松「あのステージで告白されてから、私の全部は最原くんのもの」
赤松「なら、最原くんも私に全部くれてもいいんじゃない?」
最原「……」
赤松「……私のこと、傷つけてもいいんだよ? 心以外ならどこだって……!」
最原(……これは、誰にでもわかる。赤松さんの精一杯の誘惑だ)
最原(期待にうるんだ目。興奮によって早まる鼓動。お互いに吹きかかる息。それら全てがわかる至近距離)
最原(否応なしにでも意識してしまう、白い肌。上下する胸。お互いの体温)
最原(ちょっと気を抜けば、赤松さんのすべては僕のものになるだろう)
最原(……その代わり、僕のすべても赤松さんのものになるけど、代償としては安すぎる方だ)
最原(でも)
最原「ごめん赤松さん。まだそういうことはできない」
赤松「ッ!」
最原「……まだ終わってないんだ。『一週間』は」
174: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 07:25:31.67 ID:ne3Q8hlF0
最原(他言厳禁。これが僕に話せる限界。赤松さんを納得させることはできない)
最原(でも今ここで、赤松さんのことを傷つけてしまったら……)
最原(そのときの僕に、東条さんに対して『全力奉仕』するだけの余裕と精神は残ってない)
最原(だって、それすら赤松さんに捧げることになってしまうから)
赤松「……」
赤松「……どいて」
最原「うん」
最原(赤松さんの顔から笑顔は消えていた。さっきまで目に灯っていた熱さも、氷のように冷え切って)
最原(さっきまでのことが嘘のように、赤松さんは服を着なおして)
赤松「……」
スタスタスタ
最原(何も言わずに、僕の部屋から出て行ってしまった)
最原「……」
最原「……これしかなかった。これしかなかったんだ……!」
最原「ごめん、赤松さん……!」
175: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 07:40:29.49 ID:ne3Q8hlF0
最原「……あ、そうだ。東条さんのところに戻らないと……」
最原「……うっ」フラッ
最原「くそ。ダメだ。疲労感でまともに立てそうにない……」
最原「あの誘惑、跳ねのけるの内心相当苦労してたからなぁ……」ガタガタ
最原「あ。まずい。涙も出てきた……」
ウワァァァァァ ヤメロォォォォォ!
最原「ん? この声、百田くんか……?」
ギュイイイインッ! ドガガガガガガ!
最原「んっ!? なんだこの衝撃!? まるで隣の部屋から壁を高で叩くような……!」
ドカァァァァンッ!
東条「話は聞かせてもらったわ」デェェェェェン!
百田「俺の部屋の壁ーーー!」ガビーンッ!
最原「東条さんが壁をドリルで破壊してこっち来たーーーッ!?」ガビビーンッ!
176: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 07:46:18.36 ID:ne3Q8hlF0
最原「東条さん!? ケガはどうしたの!?」
東条「当然、まだ治ってないわ。今の衝撃で更に悪化した可能性もあるわね」
最原「無理はさせないって言ったよね!?」
百田「うおおおお……滅茶苦茶じゃねーか。俺の部屋の壁……」
東条「尊い犠牲よ。今度直すわ。私のケガが治ったら」
東条「話はすべて、百田くんの部屋から聴診器を壁に当てることによって、私に筒抜けになってたわ」
東条「……ごめんなさい。すべて、私のせいね」
最原「……いや。違うよ。すべて、運が悪かった……それも違うか」
最原「僕のせいだ。僕の……」
東条「……」
177: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 07:51:05.30 ID:ne3Q8hlF0
東条「私は自分の命を諦めるつもりはない。だから、まだ最原くんにご奉仕は続けるわ」
東条「でも、それによって、あなたたちの関係が悪化したら本末転倒よ」
東条「……ということで」ゴソゴソ
最原「ということで?」
東条「入間さんの部屋から、こんなものを盗んで……借りてきたわ」
最原(今盗んだって言ったな……)
最原「何それ? 錠剤?」
東条「これを飲むと……なんと、私が女ではなくなるのよ!」シャキィィィン!
最原「えっ」
東条「ごくりんこ」ゴクリ
最原「あっ」
東条「入間さん……あなたは下品で下劣な人間だったけども……」
東条「発明に関しての技術は信用してるから……」
最原「吐いてェーーー! お願い、吐き出してーーー! そこまでする必要はないからーーー!」アワワ
東条「うぐっ」ドクン!
最原「と、東条さーーーん!」
178: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 07:53:49.42 ID:ne3Q8hlF0
同時刻 入間の研究教室
入間「ああー? おっかしいな。アレがどこにもないぞ?」
キーボ「アレって?」
入間「飲むと性転換する薬……」
キーボ「またロクでもないものを作りましたね……」
入間「……の、隣にあった、もっとヤバい薬がなくなってる」
キーボ「それよりも更に危ない薬があるんですか!?」
入間「ダサイ原に調査させっかー。流石にアレを誰かが飲んだらシャレにならないからな」ポチポチ
179: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 07:58:19.86 ID:ne3Q8hlF0
prrrr ポチリ
最原「……はい。こちら最原」
入間『ようダサイ原! くだらない話だから、片手でマスかいててもいいぜ!』
最原「……要件は?」
入間『ひう……なんだよぉ。いつもより数割増しでテンション低くねぇか……?』
入間『まあいいか。実はな、俺様の研究教室から薬がなくなってたんだ。危ないヤツだから回収してほしくってな』
最原「……それって、飲むと女でなくなる薬?」
入間『あ? いや。そういう薬もあるし、瓶もカプセルも似たような形と色をしてるから間違えやすいけどよ』
入間『仮に飲んだところで性別は変わらねーよ』
入間『性別はな』
最原「ああ……そう……」
最原「……」
180: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 08:04:03.60 ID:ne3Q8hlF0
入間『聞いて驚くなよ! なんと、その錠剤を飲むとなー……!』
猫条「にゃー」
入間『猫になっちまうんだ! ロシアンブルーだぞ! ヒャッハー! 驚いたかー!』
最原「……」
最原「……なんてものを……なんてものを……作ってくれたんだ……」ズーン
百田「驚いたぜ。東条が服を残してどっか行っちまったと思ったら、中から猫が出てくるんだからな」
百田「だが、なるほどな。コイツが東条だったのか」
東条「……」ペロペロケヅクロイ
入間『じゃ、詳細は後でメールで送るから、調査頼むぜー』
入間『まあ効き目はせいぜい三日もねーだろうから、そこまで致命的なことにはならないとは思うけどな』
入間『じゃ、そういうことで!』ブチッ
最原「……世界はどうして僕をここまで追い詰めるのか……」ズーン
181: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 08:09:09.97 ID:ne3Q8hlF0
東条「……ガジガジ」
最原「しかも腕時計は猫の体形に合わせて収縮したのか、取れてないし……」
最原「ああ、ほら、ダメだよ東条さん。不愉快なのはわかるけど腕時計をかじらないで」
東条「にゃー」
最原「……」
百田「東条の服はどこかに畳んで置いておくか。壁の件は俺が寮長に報告してやらぁ」
百田「まあ『うっかり俺が壊しちまった』で言い訳は通るだろ。反省文は書かされるだろうが」
最原「……ごめん百田くん」
百田「困ったときはお互い様だ!」
184: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 08:13:29.28 ID:ne3Q8hlF0
百田「じゃあ、俺は寮長のところに行ってくる。お前は東条と一緒にいろ」
百田「ちゃんと見てろよー」スタスタ
最原「……は、はははははは」
最原「東条さんが猫になって、赤松さんには失望されて……」
最原「絶望的だな。もう……八方ふさがりだよ」
東条「にゃー」ペシペシッ
最原「ん? どうしたの東条さん。僕のパソコンがどうかした……?」
最原「……」
最原「……あっ! キーボード!」
東条「にゃー!」
185: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 08:18:55.07 ID:ne3Q8hlF0
東条『ちょっと予定は狂ったけど、でも問題はないわ』カタカタ
東条『どういう仕組みなのかはわからないけど、骨折や細かい怪我も治っているみたいだし』カタカタ
最原「いや問題大ありだよ! 猫だよ!? 猫になってるんだよ!?」
東条『……そうね。ちょっと強がりを言ったわ』
東条『流石に猫の状態では、どう頑張っても料理はできないわね。子守歌もにゃー、としか唄えないし』
東条『ごめんなさい。焦ってたみたい。余計にあなたの足を引っ張ってしまったわ』
最原「……とにかく、後で百田くんが帰ってきたら、東条さんについてどうするか考えてみるよ」
最原「傍から見たら『東条さんが消えた』ようにしか見えないんだからさ」
最原「入間さんの発明品の存在を知っている人間じゃないと、猫になったなんて誰も信じられないよ」
東条「……にゃー」
186: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 08:24:56.27 ID:ne3Q8hlF0
ちょっと休憩!
191: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 11:00:56.51 ID:ne3Q8hlF0
希望ヶ峰学園
霧切響子(結構時間がかかってしまったわね。まあでも、監査対策は東条さんにお願いしたし……)
霧切(彼女なら滅多なことはないでしょう。期限は日曜までだけど、それでも時間は充分すぎるでしょうし)
霧切(さて、もう授業も終わって放課後でしょうけど、顔を見せるくらいはしておきましょうか)
校庭「」グチャァー
窓ガラス「」バッキバキー
校舎「」ボロッボロー
霧切「……」
霧切「…………!?!?」
苗木「あ。霧切さん。今日はバイソンの大量発生で学園は休校だよ」
霧切「………………ふっ」
霧切「これは夢……悪い夢……ふふふ」ガタガタ
苗木「霧切さん!?」ガビーンッ!
192: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 11:08:58.35 ID:ne3Q8hlF0
霧切「東条さんはどこ? 私が探偵の仕事をしている間、学園に関するアレコレを頼んでおいたのだけれども」
苗木「今は野戦病院って聞いたけど」
霧切(本当に学園で何が起こってたの!?)ガビーンッ!
霧切「……わかったわ。野戦病院、ね。そこに向かえば……」
罪木「あっ! 霧切さん、苗木さぁん! 大変ですよぉ!」
罪木「東条さんが病室から抜け出して、どこにも見えないんですぅー!」
霧切「」
苗木「きっ、霧切さん大丈夫!? 白目剥いてるよ!?」
霧切「……ふ。ふふふ。ふふふふふ。大丈夫。まだ慌てるような時間じゃないわ」
霧切「大丈夫。東条さんがいなくっても、学園長がいればまだどうとでも言い訳が……」
苗木「学園長ならマンウィ●の全国ライブのおっかけに行って、今は留守だけど」
霧切「」バターンッ
苗木「霧切さんがぶっ倒れたーーーッ!」ガビーンッ!
194: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 11:23:26.89 ID:ne3Q8hlF0
霧切「……監査」
苗木「えっ?」
霧切「監査対策のノウハウは東条さんしか持ってない。今まで本当にそこらへんは頼りっきりだったから」
霧切「仮に学園中の超高校級を集めたところで、対策が間に合うかどうか……」
霧切「理論上間に合うとして、果たしてマイペースな人の多い超高校級が、そもそも協力してくれるかどうか」
苗木「監査? 対策? それが間に合わないと、どうなるの?」
霧切「政府から支給される希望ヶ峰学園の支援金がゴッソリカット……とかもありえるわね」
霧切「犯罪者系の才能を持つ人の保護も難しくなるわ……私たちのクラスにも何人かいるでしょう?」
苗木「そっか。うん……それはちょっと大変かもね」
苗木「……あのさ。手伝えることがあるんなら、ボクも手伝うけど?」
霧切「東条さんを探して。仮に怪我をしていたのだとしても、口が利ければアドバイスくらいは貰えるわ」
霧切「あとは私が全部なんとかするから!」
苗木「わかった! 希望ヶ峰学園の生徒用掲示板にも東条さんの情報を流してみるよ!」
苗木「きっと見つかる! 東条さんが猫にでもなってない限り!」
苗木「猫にでもなってない限りは!」
霧切(例えがちょっとおかしいわね)
195: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 11:38:57.63 ID:ne3Q8hlF0
そんなことは露知らず。最原と百田の自室
百田「普通に薬の効果が切れるのを待てばいいんじゃねーか? 別に誰に言う必要もねーだろ」
最原「え? そ、そうかな?」
百田「よく考えてみろ。東条が勝手に入間の研究教室から薬を盗んで、それを勝手に使用した」
百田「それを入間が知ったらどうする? アイツ、絶対にそれをネタにして一生東条をコキ使うぞ」
百田「危ない発明品の人体実験に使うかもな」
最原(た、確かに……)
百田「アイツは悪人じゃねーが、面倒だからな……」
猫条「にゃー」カタカタ
東条『私も百田くんの意見に賛成。最原くんは後で入間さんに、薬の瓶と余った薬しか見つからなかった、と報告を』
東条『頭の悪い犯人が頭の悪いお薬を入間さんの研究教室から盗んだつもりで』
東条『うっかり猫化の薬を間違えて盗み、自爆した。今頃犯人は猫と化して、にゃーにゃー鳴いているはずだ』
東条『……というストーリーでどうかしら?』
最原(ほぼ実話じゃん、と言ったら東条さんが怒るだろうから黙っておこう)
196: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 11:47:16.48 ID:ne3Q8hlF0
東条『はあ。でも、不幸中の幸いね。薬を飲む前に、監査対策を終わらせておいて正解だったわ』
最原「あ。そういえばそんな話してたね」
最原「病室を抜けて、百田くんの部屋に来るまでに終えたんだ?」
東条『ピンポイントで監査に関わるような機関と知り合いだったから簡単だったわ』
東条『唯一の心残りは、監査対策が終わってることを依頼主に伝える前にこうなってしまったことだけど』
東条『……まあ、どうにかしましょう。この体でもできることはあるわ』
最原「流石だなぁ」
東条『あ。最原くん、私のスマフォを取ってくれるかしら?』
最原「メールするんだね? わかった」
猫条「にゃー」ふにっ
スマフォ『指紋を正常に認識できません』
猫条「にゃっ!?」ガビーンッ
最原「早躓いた!」
百田「猫の肉球じゃあな……」
197: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 11:54:17.36 ID:ne3Q8hlF0
東条『大丈夫よ。その場合はパスワードで開ければいいだけだから』
東条『まあいつもは指紋認証でロックを解除してるから滅多に使わないのだけれども』
東条『セキュリティトークンが私の服の胸ポケットに……』
猫条「……にゃっ!?」
最原「そ、そうだ。東条さんの服は、バイソンに揉まれてボロッボロになってた!」
最原「胸ポケットは現状行方不明だよ! もちろんその中身も!」
百田「なんでスマフォのロック程度にセキュリティトークンなんか付けてるんだよ!」
東条『仕事用の特別なスマフォだから……』
198: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 12:07:47.36 ID:ne3Q8hlF0
最原「……連絡は後回しにしよう? 日曜までに薬の効果が切れれば全部解決だしさ」
猫条「にゃあー」
百田「そうだな。三日ももたない、ってことは『最長三日』って意味だ」
百田「案外、明日元に戻ったりしてな!」
最原「そういえば、入間さんが詳細はメールで送るって言ってたな」
最原「多分、薬の効果の詳細とかだと思うんだけど、いつ来るんだろう……」
百田「まあそれは後回しにするか」
百田「終一。それよりも大事な話がある」
最原「ん?」
百田「寮長はすぐにでもここを修理したい、とか言い出してな」
百田「俺は別にしばらくこのままでいい、と思ってたんだが……」
百田「この部屋はしばらく使えない。お前の部屋もだ。もう一つの大きな部屋みたいなもんだけど」
百田「しばらくは別の場所に引っ越せ、だとよ」
最原「別の場所って?」
百田「女子寮の近くにある物置小屋。もう使ってないから好きにしろ、だとよ」
最原「間違っても人が住む場所じゃないッ!」ガビーンッ
199: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 12:13:33.29 ID:ne3Q8hlF0
百田「まあいいじゃねーか! 二人一緒ならきっと楽しいぜ! 秘密基地みたいで!」
百田「じゃ、俺は適当に荷物を纏めたらすぐ行くぜ」パッパッ
百田「できたぜ!」
最原「早ッ!」
百田「先に行ってるから、終一も東条もすぐ来いよー!」ダッ
最原「あっ! 百田くん!」
東条『流石のさね』
最原「ポジティブすぎるなぁ。物置小屋なら空調設備とかもないし、居住性は最悪だと思うんだけど……」
201: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 12:18:30.27 ID:ne3Q8hlF0
百田「ふんふふーんふーんふーんふーん」ルンルン
春川「……百田? こんなところで何してんの?」
百田「おっ! ハルマキ! しばらく女子寮の近くで世話になるぜ!」
春川「は?」
百田「俺の部屋が諸事情あって壊れちまってな! 修理が終わるまで女子寮近くの物置小屋で暮らすことになったんだ!」
百田「よろしくな!」
春川「物置小屋って……」
春川「……」
春川「……私の部屋に来れば?」
百田「は?」
※その後、なんやかんやあって百田のみは春川の部屋に泊まることになった
204: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 12:25:09.84 ID:ne3Q8hlF0
物置小屋
最原「……凄くどんよりとした雰囲気。湿っぽいし……」
猫条「にゃあー」
最原「あ、ごめん東条さん。パソコンを開くのはちょっと待って」
最原「軽く掃除したいからさ」
猫条(……普段なら私が掃除するのに……)
最原「それにしても、百田くんは先に来てるはずなんだけどな……」
ユーガッダメール
最原「あ。メール。百田くんからだ」
百田『別の場所に泊まれることになった。恥ずかしいので場所は伏す。本当にすまない』
百田『今度ラーメン奢るから許してくれ。チャーシュー増し増しでも可だ』
最原「ん? よくわからないけど……まあいいか」
205: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 12:34:09.83 ID:ne3Q8hlF0
最原「さてと。掃除をしようか。幸い電気は通ってるみたいだし」
猫条「……」ソワソワ
最原「あ、いいって。東条さんはじっとしてて」
猫条(早く元に戻りたい……!)ワナワナ
女子寮
アンジー「ねえねえ知ってるー? なんかねー。物置小屋に誰かがお引越ししてきたんだってさー!」
茶柱「はっ!? 女子寮近くのアレに!? 人が住む場所じゃないんですけど!?」
アンジー「一応まだ電気通ってるし、ベッド代わりに使える段ボールとかもあるから、暮らそうと思えば暮らせるよー!」
アンジー「水道やトイレは近くの公園で事足りるしねー!」
アンジー「どうする? 挨拶とか行っとく?」
茶柱「……いえ。遠慮しておきます。そんなことより、転子は東条さんを探さなくては」
アンジー「斬美を?」
茶柱「あ。アンジーさんは生徒用の掲示板とか見なさそうですもんね」
茶柱「東条さんがいなくなったそうなんですよ。現状行方不明らしいです」
アンジー「あ、そなの? じゃあアンジーも斬美を探すー! ご挨拶は後後!」
茶柱「ええ……」
アンジー「不服?」
茶柱「超不服です……」
206: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 12:49:44.68 ID:ne3Q8hlF0
最原「できた!」
猫条「ふしゃー!」
猫条(できてない! なってない! 全然!)
最原「はあ……今日はもう疲れちゃったな……よっこいせっと」ズルズル
猫条(ちょっと待って最原くん。その段ボールをどうする気? まさか……)
最原「ご、ごめん……もう眠気を抑えきれない……おやすみなさい」スヤァ
猫条(か、掛布団もなしに……! こんな堅い床で! 段ボールをベッド代わりに……!)
猫条(く、屈辱だわ……私がいながら、主人にこんな……!)ワナワナ
最原「……ん」パチリ
最原「東条さん……不安なの?」
猫条(不服なのよ……)
最原「……大丈夫。今まで助けてもらってた分、僕が東条さんを助けるから……」
最原「だから……安心……」
最原「……」スヤァ
猫条(……最原くん)
猫条(……せめて、お腹を冷やさないように、一緒に寝てあげましょう)
猫条(おやすみなさい……)
207: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 12:57:52.87 ID:ne3Q8hlF0
入間の研究教室
入間「……これにより、異なる遺伝子情報を持つ人間と猫の相互的な変身能力の発現を促すものになるはずだったが……」カタカタ
入間「変身のスイッチの設定に不備があり、現状では失敗作だと断定せざるを得ない」カタカタ
入間「……およそ三日の間、変身が勝手に解けて人間になったり」
入間「逆に、急に変身を起こして猫になったりと、不安定な効果を発揮し続けるだろう……っと」
入間「あー。レポートなんて久しぶりに書いたぜ。巨乳も相まって肩こっちまったなー」
入間「さて、ささっとドピュッとダサイ原にメールで送りつけるか」ピロリンッ
入間「おっし、しゅーりょー! クソして寝るー!」
208: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 13:07:00.08 ID:ne3Q8hlF0
六日目
茶柱「……だ、ダメですね。東条さんの影どころか、手がかりすら掴めないまま朝になってしまいました!」
アンジー「んー。終一ならこういうとき大活躍なんだろうけどなー」
アンジー「……ま、いっか。ひとまず捜索は打ち切り打ち切りー!」
アンジー「そろそろ物置小屋に引っ越してきた物好きに挨拶しに行くよー!」
茶柱「んん……一度部屋に戻って休息を取りたいのですが……」
茶柱「まあ、でも物置小屋に越してきたのがもし男死だったとしたら、先制攻撃の必要がありますね」
茶柱「転子もついて行きますよ!」
211: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 13:14:12.97 ID:ne3Q8hlF0
物置小屋前
百田「ん?」
アンジー「あ」
茶柱「あっ」
茶柱「……物置小屋に越してきたのって、もしかして百田さん……?」
百田「いや違う。正確に言うと、物置小屋に越してくるはずだった男だ」
アンジー「はて?」
百田「事情を説明すると長くなるから後だ。お前らは何の用だ?」
茶柱「あなたこそ」
百田「様子見だよ。終一がここで寝泊まりしてっからな」
アンジー「あ。ここに来てたのって終一だったんだねー!」
百田(東条もいるはずだが……まあそれはいいか。説明は難しいしな)
百田「お前らも用なら、一緒に来るか?」
茶柱「そもそもここ、一応女子寮の敷地なんですけど……なんで我が物顔でしきってるんですか」
百田「まあいいじゃねーか」
ガララッ
百田「終一ー! 遊びに来たっ……!?」
全裸の東条「……ん……」
最原「……むにゃ……」
バタンッ
百田(これ茶柱に見せたら終一が死ぬな……)ダラダラダラ
アンジー「どしたの? 急にドアを閉めて」
212: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 13:20:51.37 ID:ne3Q8hlF0
百田「テメェーら……腹減ってんだろ」
茶柱「は?」
百田「俺が朝飯を奢ってやるよ! 何がいい? 何が食べたい? 何か食べたいだろ?」ニカッ
アンジー「あれ? 微妙に目の焦点がこっちに合ってないよ?」
百田(こいつこういう勘だけは鋭いんだよなぁ!)
茶柱「……怪しいですね。ハッ、まさか……!」
茶柱「中にいるの、最原さんだけじゃないんですか!?」
百田「!」ギクリ
茶柱「ま、まさか……あの男、ついに赤松さんに手を……!」ガタガタ
百田(ああーーー! それならまだ救いようはあったかもしれないんだけどなーーー!)ガビーンッ
213: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 13:24:21.22 ID:ne3Q8hlF0
百田「ま、待ってくれ! 待ってくれ! 俺と話をしよう! な!?」
茶柱「何の話をですか?」
百田「……」
百田「う、宇宙の話、とか?」
茶柱「オープンザドアー」ガララッ
アンジー「やっはー! 終一、遊びに来たよーーー!」
百田「何でだよ! 宇宙凄いんだぞーーー!」
百田「うわあああああああ! 終一ーーー!」
最原「……ん。百田、くん?」パチリ
猫条「……くあー」
百田「あっ?」
百田(やっぱり猫のままだ……見間違いだったのか?)
214: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 13:34:52.87 ID:ne3Q8hlF0
最原「……あれ。茶柱さん、とアンジーさんも」
猫条「にゃー」
茶柱「……」キョロキョロ
茶柱「なんだ。最原さんと猫一匹だけですか」
茶柱「よかった。いや女子寮の敷地内に男死がいることは救い難いですけど」
最原「ん?」
最原「……ふああ……ちょっと着替えてくるね……パジャマのままじゃ格好つかないからさ」スタスタ
猫条「にゃあー」スタスタ
百田(終一はそう言って、東条と共に小屋の奥にあったしきりに入っていく)
百田(……いやなんで東条も? まさか普段から着替えの手伝いとかさせてんのか?)
百田(……はあ、しかし見間違いのせいで、朝から肝が冷えたぜ。何事もなくて良かった良かった)
ボウンッ
東条「……きゃあっ!」
最原「ええええええええええッ!?」
茶柱「ん? 今、東条さんの声が聞こえませんでした?」
アンジー「ていうかそれ以前に終一の悲鳴がこだましてるんだけどなー?」
百田(やっぱり何か異変が起こってるみたいだ!)ガビーンッ!
215: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 13:40:41.53 ID:ne3Q8hlF0
最原「最悪だ……まさかこのタイミングで……」コソコソ
東条「茶柱さんに見られたら……首の骨……」コソコソ
最原「い、いやだ……」コソコソ
茶柱「やっぱり仕切りの向こうから東条さんの声がしませんか?」
アンジー「ていうか終一と喋ってない?」
百田「ああーーーッ! 見ろ! こんな真昼から流れ星が!」アタフタ
茶柱「黙ってください」
百田(非力な俺を許してくれーーーッ!)ウワァァァ
217: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 13:46:08.88 ID:ne3Q8hlF0
ボウンッ
最原「あっ」
猫条「にゃ!?」
茶柱「東条さん! そこですか!?」バッ
最原「うわっ」
茶柱「きゃあああああ! なんで服を脱いでるんですか最原さん!?」
最原「着替えるって言ったじゃん!」
猫条「……にゃあ」
最原「……あれ?」
百田「……ああ?」
218: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 13:54:55.83 ID:ne3Q8hlF0
十分後
最原(しばらくして、茶柱さんとアンジーさんが帰った後、僕は寝ている間に入間さんが用意したレポートを読んでいた)
最原(彼女の割にはまともに書かれていたレポートで、その内容のほとんどを理解することはできなかったけど)
最原(最後の文章だけは見過ごすことができなかった)
最原「変身のスイッチが不安定……?」
東条『なるほど。だから危険だと言っていたのね。もしも昨日、引っ越しの時点で人間に戻っていたらと思うと……』
百田「こ、怖ぇーこと言うなって」
猫条「にゃあ……」
東条『しかも最悪なことに、この状態だと五体満足だけど、人間状態に戻るとそうでもなくなるのよ』
百田「あ?」
最原「……足の骨折も元に戻ってたんだよ。だから逃げることもできなかったんだ」
百田「マジか……」
東条『全力カウンター、赤松さんとの不仲、不安定な変身状態の私』
東条『負担は増えるばかりね』
最原「大丈夫。絶対なんとかする」
百田「……」
百田「……ん? 全力カウンターってなんだ?」
最原「あっ」
猫条「にゃっ」
腕時計『ビーッ! ルール違反ヲ検知! ルール違反ヲ検知!』
猫条「うみゃっ!?」
220: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 14:06:34.12 ID:ne3Q8hlF0
腕時計『ぺーなーるーてぃー! 爆発マデアト十秒!』
猫条(……い、いけない! 巻き添えにしないよう、すぐに離れないと!)
ボウンッ!
東条「……こ、このタイミングでッ!? 痛ぅ!」
最原「東条さん!」
東条「最原くん、逃げて!」
最原「……」
最原「ダメだ! それはできない! こうなったら無理やり外して……!」
東条「最原くん!」
ビーッ! ドカァァァァァァァン!
221: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 14:13:24.70 ID:ne3Q8hlF0
最原「……あれ?」
百田「おい。今、爆発が起こったか?」
百田「どこかで」
最原「……………………どこかで?」
東条「……ここじゃなくって?」
東条「……あっ」
最原「東条さん……気付いた?」
東条「王馬くん……」
最原「……他言したら爆発させる、って言ってたけど」
最原&東条「この時計を、とは言ってなかった!」
腕時計『コノ時計ガ爆発スルノハ、全力カウンターガゼロニナッタトキダケ、ダヨ! ゴメンネ!』
最原「ごめんね、じゃないよ!」
東条「じゃあ一体、今の爆発はどこで……」
222: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 14:16:04.70 ID:ne3Q8hlF0
爆発アフロ江ノ島「」チーン
戦刃「じゅっ、盾子ちゃーーーんッ!」ガビーンッ
朝日奈「えっ、ど、どうしたの!?」
江ノ島「わ、わけわかんないんだけど……何故かアタシが抱き枕に使ってたモノクマが大爆発を……ぐはっ」ガクリ
戦刃「うわああああああん! なんでえええええええ!?」
223: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 14:19:34.56 ID:ne3Q8hlF0
最原「……他言厳禁のルールのみは王馬くんの嘘だったんだ!」
最原「ああっ、くそっ! もっと早めに気付いていれば!」ギュウッ
東条「あの。最原くん。そろそろ離れてくれるかしら?」
最原「んっ?」
最原「……なんで僕は東条さんに抱き着いてるんだろう?」
東条「さあ……? 咄嗟に、爆発から私を守らないと、とでも思ったのかしら?」
百田「おい。まずいぞコレ」
最原「え? 何が? 爆発が起こった場所が?」
百田「アレ」
最原「アレ?」
赤松「……」
最原「アレアレーーーッ!?」ガビーンッ!
228: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 14:30:32.91 ID:ne3Q8hlF0
最原「……」
最原(落ち着け……他言厳禁のルールが嘘とわかった以上、もう何も僕を阻むものはない!)
最原(正直に言おう! 正直に、真実を……!)
最原「あ。東条さん。全裸はまずいから、まず僕の制服の上着を着て」
赤松「!」
百田(終一は気付いていないな。今の何気ない行動も赤松の癇に障ったみたいだぞ)ダラダラ
最原「よし! 赤松さん、真実を話すよ! もう何も怖くないんだ!」キラキラ
赤松「もう話しかけないで」
最原「」
229: 以下、
そういえば最原童貞だった
230: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 14:35:16.52 ID:ne3Q8hlF0
最原「……い、いや! ここで引き下がったら、それこそ今までの苦労が水の泡になるんだ!」
最原「赤松さん! 聞いてくれ! 今までのは全部王馬くんのせいだったんだよ!」
最原「全力カウンターのせいだったんだ!」
腕時計『違反検知。爆発スルヨ』
ドカァァァァァンッ!
最原「あ、あれ。これもしかして他言する度に爆発するの?」
最原「で、でも仕方ない! もう止まれないんだ!」
戦刃「今度は盾子ちゃんの観賞用モノクマが爆発したーーーッ!」ガビーンッ
江ノ島「アツゥイ!」
朝日奈「いやアツゥイじゃ済まない怪我だよーーーッ!」
231: 以下、
むっつり童貞ラブホギャンブラーだからね
仕方ないね
232: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 14:41:58.04 ID:ne3Q8hlF0
最原「確かに、東条さんとはここ数日でかなり仲良くなったよ!」
最原「全力カウンターのお陰で!」
腕時計『違反検知ー』
ドカァァァァァンッ! ジュンコチャーン!
最原「でも僕にとって、恋愛的な意味で大事な女性は赤松さんだけだ!」
最原「つまり、全力カウンターがくれたものはマイナスなものばかりじゃなかったんだ!」
腕時計『違反検知ダヨー』
ドカァァァァン! ジュンコチャーン!
最原「えーっと、えーっと、それから……」
最原「そう! 全力カウンター事件は……」
腕時計『マタモ違反ー』
ドカァァァァァンッ! モウヤメテー!
最原「あと一日すれば終了なんだ! 全力カウンターは解除されるんだよ!」
腕時計『マタマター』
ドカァァァァァンッ! イヤァァァァァ!
百田「さっきから誰か犠牲になってないか?」
最原「気のせいだと思いたい……!」
234: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 14:46:38.02 ID:ne3Q8hlF0
最原「えーっと……だから……だから……!」
最原「……違う……こんな言い訳みたいなことを言いたかったわけじゃない……」
赤松「……」
最原「……ごめん。理由はどうあれ、僕は最低だ。キミをこんなにも悲しませて……傷つけて……!」
最原「僕は……僕は……!」
赤松「……ふふっ」
最原「ん?」
赤松「はははっ。冗談だよ、最原くん! ちょっと怒ってみたフリをしただけ!」
最原「え?」
百田(とてもじゃないがそうは見えんかったぞ!?)ガビーンッ!
235: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 15:00:38.17 ID:ne3Q8hlF0
赤松「なんだかよくわからないけど、最原くんが東条さんに何かしないと、まずいことが起こるんでしょ?」
赤松「うん。そんなことだろうと思ってた! だって!」
赤松「……信じてたからね。最原くんのこと」
百田(どこか底冷えするものを感じるのは何故だろう)
最原「あ、赤松さん……!」
百田(終一は無邪気に感動しているみたいだし、別にいいんだが……)
百田(余計な不安要素を抱えてる気がするぞ……!)
赤松「……王馬くん。王馬くん、ね……ふふ」
237: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 15:05:01.73 ID:ne3Q8hlF0
最原「よ……よかった……」
東条「……あ。そろそろ変身も安定してきたかしら?」
東条「最原くん、あれを……」
最原「あ。うん。ちゃんと預かってるよ。はい、ペンダント」
赤松「ッ!」
百田(笑顔が一瞬引きつったぞ……)
赤松「……」ニコニコ
最原「……赤松さん。もう一度、落ち着いて話をしよう。ここ一週間の真実についてさ」
赤松「うんっ、そうだね!」ニコニコ
百田(コイツいつか刺されるな……)
239: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 15:12:02.07 ID:ne3Q8hlF0
かくかくしかじかどかんどかん(江ノ島は死ぬ)
赤松「……そっか。むしろ東条さんはずっとキューピッドしてくれてたんだね」
赤松「だらしないなぁ、最原くん」
最原「ご、ごめん……でも、この一週間が終わったら、キチンと赤松さんに応えられるように成長するよ」
赤松「……ふーん」
最原「……じゃあ、変身も安定してきたことだし……そろそろ東条さんを野戦病院に送り届けないと」
赤松「……」
東条「一人で行けるわ」
最原「ダメだよ。カウンター稼ぎのためにも、僕がやらないとさ」
最原「着替えを手伝って、病院に着くまで簡易的にギプスも付けて……それから……」
赤松「……」
百田(赤松はすべてを許している。それは間違いない)
百田(が、それはそれとして、感情が死んでるわけじゃない)
百田(わかってるのか終一! お前、重機で墓穴掘ってるんだぞ! 全力で!)ガタガタ
240: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 15:22:02.26 ID:ne3Q8hlF0
赤松「……あ。そうだ。私、用事があったんだった!」
赤松「そろそろ私も行くね?」
赤松「あ、そうだ。その前に」
最原「その前に?」
赤松「……」グイッ
チュッ
最原「……むっ……!?」
最原(何の前触れもなかった。そういう素振りもなかった)
最原(唐突に、僕は赤松さんに襟首を引き寄せられ、口にキスをされた)
最原(長い時間、唇を合わせ、気が遠くなってきたところで赤松さんはやっと襟首を放す)
赤松「……」チラリ
東条「!」
最原(そのとき、気のせいかもしれないが……東条さんに視線を投げかけた気がした)
百田「……」ガタガタ
241: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 15:24:37.65 ID:ne3Q8hlF0
赤松「……じゃあね!」スタスタ
最原「ビックリした……急にキスされるなんて……」
東条「……赤松さん、意外と意地悪ね」
最原「なんて?」
東条「なんでもないわ」フッ
東条「……すべては、明日で終わるのね」
東条「私の取り分はないみたい」
百田「東条……」
最原「……えっと……」
東条「戯言よ。気にしないでいいわ」
245: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 15:37:44.64 ID:ne3Q8hlF0
十分後 野戦病院に向かう道中
最原「ふう……百田くんとトレーニングしておいてよかった」スタスタ
東条「重くないかしら?」
最原「大丈夫だよ。これくらいならまだ」
最原「……でも野戦病院をまだ使う意味ってあるのかな。もう普通の病院に移った方がいいんじゃ」
東条「学園側は医療系の才能を持つ生徒の活躍が見たいようね」
東条「まだしばらくは、このまま学園の力になることにしましょう」
東条「……いや、学園に助けられる、と言った方がいいのかしら?」
最原「助けられることが、巡って相手を助けることになるって、僕たちみたいだね」
東条「そうね」
247: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 15:42:24.73 ID:ne3Q8hlF0
野戦病院
罪木「……あっ……ああっ! あああああ!」
最原「あ。罪木さん。どうしたの? そんな大声出して……」
罪木「霧切さん! 霧切さーーーん! 東条さんが帰ってきましたよーーー!」
霧切「っ! っ! っ!」ドタドタドタ
東条「……あ。しまった。元の姿に戻ってから、彼女に電話してなかったわね」
霧切「東条さん。災難だったわね。まさかバイソンの群れに襲われるなんて……」
霧切「……」
霧切「……本当に、なんで学園にアメリカバイソンの群れが現れたのかしら……」
最原「本当にね! わけわかんないよね!」
248: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 15:47:49.72 ID:ne3Q8hlF0
霧切「とにかく、監査についての進捗を今の今まで聞くことができてなかったから、本当に焦ってたのよ」
東条「大丈夫。既に終えているから」
霧切「……ありがとう。本当に助かったわ……」ホッ
最原「……えーっと、そろそろ彼女を病室に戻してきていい?」
霧切「ああ、ごめんなさい。つい長話になってしまったわね」
霧切「そうだ。懸賞金のことなのだけれども、あとであなたの口座に振り込んでおくわね?」
最原「何の話?」
最原「……いや、後にしようか。じゃあね」スタスタ
249: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 15:56:05.04 ID:ne3Q8hlF0
病室
最原「……よし。これでOK。疲れたー!」
東条「お疲れ様。最原くん、後で私が紅茶でも淹れて……」
東条「……この足じゃ、無理だったわね」
最原「本当に仕事が好きなんだね……」
最原「さてと。これで全力カウンターはどの程度溜まったのかな」
東条「……もう明日、何もしなくっても大丈夫なくらいには溜まったわ」
最原「えっ」
東条「というか、百田くんにうっかり口を滑らせたあのときにね」
東条「あなたが必死に私を助けようとした、そのときにかなり溜まってたのよ」
最原「……そっか」
最原「じゃあ、僕たちの関係も、これで解消かな」
東条「そうなるわね」
最原「……色々あったなぁ」
250: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 16:04:49.87 ID:ne3Q8hlF0
東条「……」
東条「考えてしまうの」
最原「ん?」
東条「最初の一日、あなたに『好きな女の子は誰』と聞いたあのとき」
東条「最原くんが好きな女の子が、もしも私だったら、って」
最原「……いや、悪いけど考えられないな。そんな可能性」
東条「一途ね。一緒に暮らしてる間、色々と私も隙を見せていたのだけれども。一切靡かなかったわ」フフ
最原「いや、一切ってのも言い過ぎだと思うけどさ……」
最原「でも今回はなかった。そんな可能性は、一切さ」
最原「……キミは僕にとっての友人だった。ずっと」
東条「……そう。残念ね」
東条「とても残念だわ」ニコリ
251: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 16:10:28.49 ID:ne3Q8hlF0
最原「あ、でもそうだ。最後にこれだけは言っておくよ」
東条「なに?」
最原「楽しかった。この一週間、ずっとさ!」
東条「ッ!」
最原「……それだけだ。じゃあ、僕はこれで。ゆっくり休むといいよ、東条さん」
スタスタスタ
東条「……楽しかった、か……」
東条「一週間だけ、だったけど。いい夢は見れたわね」
東条「……私もよ、最原くん」
252: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 16:18:17.40 ID:ne3Q8hlF0
病室の外
最原「え? 五千万円?」
霧切「知ってて東条さんを連れてきた、わけではなかったのね」
最原「ちょっと待って。そんな大金受け取れないよ!」
最原「ていうか、そんな懸賞金、どこから捻り出して来たのさ!?」
霧切「十神くんに事情を話したらポンと」
最原「ポンと!?」ガビーンッ!
最原「……いや、真相は『彼女はずっと僕の傍にいて、僕たちは騒ぎに一切気付かなかった』って間抜けなものなんだよ!?」
最原「これで賞金貰ったら完全に狂言誘拐じゃないか!」
霧切「それでも、私たちが必死に探しても『最原くんの自室で痕跡が途切れていた』のは事実」
霧切「超高校級の探偵である私を騙し切った、その賞金だと考えれば、ある意味では妥当じゃないかしら?」
霧切「ときに探偵にはズルさも必要よ」
最原「ええーっ……」
253: ◆SxyAboWqdc 2017/03/23(木) 16:25:11.76 ID:ne3Q8hlF0
最原「と言っても、五千万円なんて大金貰っても使い道が……」
最原「……」
最原「……あるかもな。使い道」
霧切「?」
271: ◆SxyAboWqdc 2017/03/24(金) 20:13:44.27 ID:tN1zGCAb0
東条の病室
王馬「……にしししし。健気。超健気。泣いちゃうくらい健気だね東条ちゃん」ニョキッ
東条「……王馬くん」
王馬「うう。うっかり涙ぐんじゃったよ。悪の総統なのにさ……」
王馬「うわあああん! 最原ちゃん酷いよー! こんなにも尽くしてくれた東条ちゃんを期日が来たらポイってー!」ビエエン!
王馬「こんなにも純粋に、純情に、裏も何も無く尽くしてくれたのにー!」
王馬「本っっっ当に一切、悪だくみとか無しに尽くしたのにー!」
王馬「……なんて……」
王馬「全部嘘だけどさ」ニヤァ
東条「……」
王馬「つまらなくなかっただろ?」
王馬「……俺と共謀してお膳立てした大義名分はさあッ!」ギンッ
東条「……」
272: ◆SxyAboWqdc 2017/03/24(金) 20:20:11.55 ID:tN1zGCAb0
約一週間前 日曜日 最原の教室
最原「……明日テストなんだけど。ついでに今日は日曜なんだけど」
最原「なんでみんなで集まってるんだろう」
東条「王馬くん主催で勉強会……の、はずよ」
赤松「来ないと私の噂をあることないこと駄々流しにして困らせるって言うから仕方なくって……」
百田「まあいいじゃねーか。王馬主催ってのは確かに不安だけどよ」
白銀「……で。肝心の王馬くんは?」
prrr
東条「……私の携帯ね。王馬くんからだわ」
ピッ
王馬『やっほー東条ちゃん! 勉強道具を運ぶの手伝ってー! 玄関ホールにいるから!』
ブツッ
東条「……玄関ホールにいるみたい。連れてくるわね」シュッ
白銀「あ。行っちゃった。相変わらず地味に素早いよね」
最原「……せっかく集まったんだし、本当に勉強会しようか」
273: ◆SxyAboWqdc 2017/03/24(金) 20:27:33.42 ID:tN1zGCAb0
玄関ホール
王馬「東条ちゃんって最原ちゃんのこと好きなの?」
東条「唐突ね。そして答える必要のない質問ね」
王馬「……にしし。まあいっか。俺も別に答えて欲しくて訊いたわけじゃないし」
王馬「この前、組織で面白いものを作ってさー! 実験台が欲しかったんだよ!」
東条「……やらないわよ」
王馬「なら他の誰かにやらせようかなー」
東条「!」
王馬「あ。そうそう。この面白いものっていうのはね、爆弾付きの腕時計なんだ!」
王馬「特定の誰かに対して全力を尽くし続けないと爆発しちゃうんだよ! 凄くね!?」キラキラ
東条「……」
王馬「尽くす方の設定を東条ちゃんに。尽くされる方の設定を最原ちゃんにするけど……」
王馬「でもって、この共犯関係は、バレたとしても俺があらゆる泥を被るつもりだけど」
王馬「どうする? どうする?」
王馬「……キミがやらなきゃ、赤松ちゃんあたりにこの時計を付けてもらおうかな……」ニヤァ
東条「……詳細だけは聞いておくわ」
274: ◆SxyAboWqdc 2017/03/24(金) 20:35:47.98 ID:tN1zGCAb0
現在 東条の病室
王馬「んでもって、俺の用意した『細工付きのトランプ』を利用し、わざと最原ちゃんを一抜けさせて」
王馬「東条ちゃんがわざとビリになったと」
王馬「……ねえ。結局どこからどこまでが計算で、どこからどこまでが誤算だったの?」ニヤニヤ
王馬「俺の見立てでは、本当に最原ちゃんを落とす気だったと思うんだけど!」
王馬「誤算はどこかな? 夢野ちゃんの呼んだバイソン? 赤松ちゃんの恋に対する闘争心?」
王馬「……最後の最後まで自分に振り向かなかった最原ちゃん?」
王馬「当初の予定は、途中で最原ちゃんが東条ちゃんに靡いて、優しい赤松ちゃんが身を引く的な展開だったんじゃない?」
東条「……答える必要はないわ」
東条「それに、私はメイドとして、そんな邪まなことは考えてないもの。答えようがないのよ」
王馬「……ふーん。まあこの件に関しては、その嘘を信じるとして」
王馬「じゃあ次の質問」
東条「何?」
王馬「……なんで明日なにもしなくっても大丈夫なんて嘘吐いたの?」
王馬「まだカウンター、ギリギリ溜まってないんだけど」ニヤァ
東条「……」
275: ◆SxyAboWqdc 2017/03/24(金) 20:49:14.83 ID:tN1zGCAb0
東条「尽くされるのに疲れただけよ」
王馬「それこそバレッバレの嘘なんだけど」
王馬「……単純に、失恋して燃え尽き症候群になってるだけでしょ」
東条「……」
王馬「ま、いいけどさ。死にはしないよ。滅茶苦茶熱いだけ。これは嘘じゃないからさ」
王馬「ただ……全治二週間じゃ済まないよ」
東条「……あなたが解除してくれれば全部解決なのだけれども」
王馬「ヤダね!」
東条「……」
王馬「じゃあね!」シュッ
東条「……本当に、あの人は……」フゥ
東条「……あっ。彼に口留めするの忘れたわね」
東条「すぐに身支度を……」
ボウンッ
猫条「んにゃあ」
猫条(……好都合、かしら)
277: ◆SxyAboWqdc 2017/03/24(金) 21:10:30.97 ID:tN1zGCAb0
三時間後
最原「……ううん。やっぱり断られるかなぁ……どう考えてもあっちに理があるからなぁ……」
赤松「あれ。最原くん、どうしたの?」
最原「うわあ! 赤松さん!」
赤松「ひ、酷いな。そんな幽霊を見たみたいにさ……」
最原「あっ、ごめん! あまりにもタイミングが良すぎてさ……」
赤松「ん? 何? またデートしたいの?」
最原「……いや……ごめん。まだそういうわけにはいかないんだ」
赤松「え?」
最原「明日も東条さんと過ごしたいからさ……」
赤松「……」
赤松「最原くん。私も聖人君子じゃないんだよ?」
最原「わかってる。だから取引しよう」
赤松「取引?」
最原「……左手を貸してほしい」
赤松「左手? こう?」スッ
278: ◆SxyAboWqdc 2017/03/24(金) 21:17:14.07 ID:tN1zGCAb0
キュッ
最原「……よかった。計算通り。キッチリはまったよ」
赤松「……ん?」
赤松「んんんんん?」
赤松「左手……の、薬指に……?」
赤松「……」
赤松「ええっ!? ええええええ!? な、ななな、何のつもり最原くん!?」
赤松「ここに指輪を嵌めるのって……そのつまり、なんだ、あれっ!?」アワアワアワ
最原「わかってる。冗談でもない。本気だ」
最原「ピアニスト的に指輪はNGかもしれないけどさ……まあ形式的なものは大事だから」
最原「すぐに外されちゃう儚いものだけど、それでもどうしても必要だったんだ」
赤松「う、うん。確実にピアノを弾くのに邪魔になるから外しちゃうかな」
赤松「でも大丈夫。紐を付けて首にかければいいだけだから……じゃなくって!」
279: ◆SxyAboWqdc 2017/03/24(金) 21:24:50.79 ID:tN1zGCAb0
最原「……キミのすべては僕のもの。なら、僕のすべてをキミに捧げないと、釣り合いが取れない」
最原「確かにそうだ。これ以上ないくらいの正論だ」
最原「でも、あと一日待ってほしい。東条さんは平気だって言ったけどさ……」
最原「ここまで二人三脚で来たんだ。彼女とは、最後まで駆け抜けたい」
最原「……一日待ってほしい。そうしたら、僕のすべてをキミに捧げるよ」
最原「愛も、体も、時間も、僕の持っているもの全部をあげる」
最原「だから一日待ってほしい! これが僕の取引だ!」
赤松「……」
最原(……さ、さすがに都合が良すぎるか……?)
最原(くそ! やっぱり僕なんかじゃ無理なのか!)
赤松「……はは。バカだな。最原くん……本当に……バカすぎるよ」
最原「だ、だよね……そうだよね……じゃあ……」
赤松「いいよ。取引は成立で」
最原「……」
最原「えっ」
280: ◆SxyAboWqdc 2017/03/24(金) 21:33:29.76 ID:tN1zGCAb0
赤松「用事があるって言ったよね。元から日曜は空いてなかったし、別にいいんだ」
最原「そ、そうなの?」
赤松「あ。そうだ最原くん。王馬くんを見なかった?」
最原「王馬くん? 見てないけど……」
赤松「そっか。そっかそっか……ここまで見つからないとなると、やっぱり避けてるのかな……?」
最原「?」
赤松「なんでもない。とにかく王馬くんに用事があったからさ」
赤松「……ところで、なんで私の指のサイズがわかったの?」
最原「昨日、散々揉み合ったからね……何度も触るチャンスはあったよ」
赤松「それでサイズを覚えてたの? 凄いね」
最原「いや、そうでもないよ。あのときのことは衝撃的すぎて忘れられないからさ」
赤松「……うわ。冷静に考えると顔が熱くなってきた」
最原「……はは。やっぱり無理してたんだね」
赤松「当然だよ。焦ってもいたしさ……」
赤松「……ふふ。一日。一日、だよ? 最原くん」
赤松「今度は何が何でも断らせないから……ね?」
最原「……」ゾクリ
最原(ん? なんで寒気がしたんだろう?)
281: ◆SxyAboWqdc 2017/03/24(金) 21:43:48.33 ID:tN1zGCAb0
赤松「じゃ、私は引き続き王馬くんを探してくるから!」
赤松「……じゃあね!」
最原「あ、うん。じゃあね」
赤松「……よし。いよいよ王馬くんを見つけないと、ね」
赤松「ふふふ」スタスタ
最原「……」ゾクゾク
最原(……風邪でも引いたかな。背中の寒気が取れない)
最原「……はあ。でも、どうしようかな」
最原「結局店で一番高い指輪を買っても、まだお金余ってるし……」
王馬「最原ちゃんも最原ちゃんで愛が重いよねぇ!?」
最原「うわぁ!? お、王馬くん!?」
282: ◆SxyAboWqdc 2017/03/24(金) 21:47:10.88 ID:tN1zGCAb0
王馬「……でもそっか。俺が焚きつけなくっても、東条ちゃんと過ごすつもりだったんだね。最原ちゃんはさ」
最原「焚きつける?」
王馬「……にしし。最原ちゃん大正解! 東条ちゃんと何が何でも過ごすべきだよ!」
王馬「だって、カウンターが期日分きっちり溜まったなんて、東条ちゃんの真っ赤な嘘だからねぇ!」ギンッ
最原「……」
最原「……は?」
283: ◆SxyAboWqdc 2017/03/24(金) 21:51:23.05 ID:tN1zGCAb0
今日も短いけどここまで! 続きは明日の夕方!
284: 以下、

東条…
285: 以下、
妻妾同衾にしちゃおうよ。
286: 以下、
キルミーの本心を知ってからはじめから読み直すと辛い…
287: ◆SxyAboWqdc 2017/03/25(土) 19:01:10.67 ID:SvBDWTlL0
最原「……!」サァァ
王馬「あ。顔色変わったね。嘘じゃないことがわかったんだ?」ニヤァ
最原「東条さん!」ダッ
王馬「……ゲームスタート。頑張れ最原ちゃん」
ねこふんじゃったー ねこふんじゃったー
王馬「ん? 何この曲。どこから……」
赤松「み、つ、け、た」ニヤァ
王馬「あっ」
288: ◆SxyAboWqdc 2017/03/25(土) 19:09:01.51 ID:SvBDWTlL0
東条の病室
最原「……服を残して消えてる。まずい、これは……どう見ても!」
最原(でもなんで東条さんはこんな嘘を……)
最原(……いや。決まってる。これも東条さんの奉仕の一環だからだ)
最原(あのバイソンの事件が起こって以来、僕と東条さんの関係はトラブルの種だった)
最原(ついさっきやっと他言厳禁のルールから解放されて、赤松さんと仲直りできたけど……)
最原「ダメだ、東条さん。キミを犠牲にした幸せなんて、僕はいらないんだよ!」
最原(なんでもいい! 手がかりを! 誰でもいい! 手助けを!)
最原(東条さんを助けなくっちゃ!)
289: ◆SxyAboWqdc 2017/03/25(土) 19:13:51.71 ID:SvBDWTlL0
最原「まずは王馬くんに電話を! なんだかんだ彼に頼るのが一番だ!」
最原「応じるとは思えないけど、カウンターの停止を頼まないと!」ポチポチ
prrrr ガチャ
最原「あっ! 王馬くん! お願いがあるんだけど」
王馬『最原ちゃん! 助けて! 助け……うぎゃああああああああ!』
ねこふんじゃったー ねこふんじゃったー
ブツリ ツーツー
最原「くそっ! 意味不明な嘘で誤魔化された!」
291: ◆SxyAboWqdc 2017/03/25(土) 19:24:36.00 ID:SvBDWTlL0
最原「……百田くんに頼ろう。事情を知っているから手っ取り早い!」ポチポチ
prrr ガチャ
最原「もしもし? 百田くん! 助けてほしいんだ!」
百田『お?』
五分後 東条の病室
百田「……マジだ。消えてる……」
最原「多分、これも東条さんの奉仕の一環だと思う」
最原「ここ数日、僕らの関係はトラブルの種だったからさ……」
百田「おい。お前、それ本気で……」
百田「……いや。俺が言うべきことじゃねぇか」
最原「……」
292: ◆SxyAboWqdc 2017/03/25(土) 19:31:34.67 ID:SvBDWTlL0
百田「だがいいだろう。よく俺を頼った! 全力で終一の力になるぜ!」
最原「百田くん……!」
百田「まずは……召喚呪文を使うぞ!」
最原「うん! ……うん?」
百田「東条は今、猫になってるんだろう? なら専門家を呼ぶしかねぇ!」
百田「俺たちのクラスには、動物と会話できるヤツがいただろうが!」
百田「行くぞ! 俺に続いて呪文を唱えろ! ヨロレイヨロレイヨロレイヒー!」
最原「……よ、よろれいよろれいよろれいひー……?」
最原(何をしているんだ僕は……)ズーン
ドカァァァァァンッ!
獄原「誰か、ゴン太を呼んだ!?」キラキラ
最原「本当に来ちゃったよ!」ガビーンッ!
293: ◆SxyAboWqdc 2017/03/25(土) 19:37:23.03 ID:SvBDWTlL0
百田「もう一人、仲間を呼ぶぞ! 儀式召喚だ!」ジャキンッ!
最原「百田くん? ちゅ?るなんて出して、どうするつもり?」
百田「こうするつもりだ!」ビリッ
百田「ちゅ?るうめぇ! ちゅ?るうめぇ!」ナメナメチューチュー
最原「うわあああああ! やめてよ百田くん! それ猫のお菓子だよ!?」
最原「人間としてやっちゃダメだよ! 春川さん見たら泣くよ!?」アワアワ
ドカァァァァン!
星「やめろおおおおお! 猫のおやつに手を出すなああああああ!」ズガァァァン!
最原(星くんがこんな大声出してるの初めて見た!)ガビーンッ!
294: ◆SxyAboWqdc 2017/03/25(土) 19:42:15.36 ID:SvBDWTlL0
百田「さてと……これで役者は揃ったわけだ」ドンッ
星「たっく……猫のおやつを……お前ってヤツは」ドンッ
獄原(ゴン太も食べたいなー)ドンッ
最原(いや召喚のされ方がどれもアレだったから、今更キメ顔されても……)
295: ◆SxyAboWqdc 2017/03/25(土) 19:47:50.86 ID:SvBDWTlL0
十分後
星「なるほど。猫に変身した東条が全力で逃げている」
星「早めに捕まえないと腕時計に仕組まれた爆弾が爆発して大怪我、か……」
星「中々にハードな事件に巻き込まれたみてーだな」
獄原「そ、そんな……大変だよ! 東条さん、ただでさえ怪我してるんだよ!? そんなの……」
最原「うん! 絶対に阻止しないといけない。だから手を貸してほしいんだ!」
星「いいだろう。ただし、お前は抜きだ」
最原「え?」
星「……聞こえなかったか? お前は抜き。東条は俺たちだけで探すと言ったんだ」
最原「……!」
296: ◆SxyAboWqdc 2017/03/25(土) 19:57:11.43 ID:SvBDWTlL0
獄原「え? どうして? 超高校級の探偵の最原くんがいれば、百人力だと思うんだけど」
星「赤松が良い顔しないだろう? なあ?」
最原「……」
百田「……そう、だな。実際そういうトラブルがイヤで東条も逃げたんだ」
百田「お前が追跡グループにいるとわかったら、いよいよ気合入れて逃げるかも、だ」
最原「大丈夫。彼女には『明日一日は東条さんと過ごす』って言ってあるんだ」
星「まさかここまで必死こくハメになるとは思ってないだろうさ」
星「東条は俺たちが探す。最原は結果だけを受け取ればいい。目の前に引きずり出してやるよ」ギンッ
最原「……僕も参加するって」
星「やれやれ……」
297: ◆SxyAboWqdc 2017/03/25(土) 20:04:23.30 ID:SvBDWTlL0
星「じゃあこの質問に答えられたら同行を許そう」
最原「何?」
星「東条と赤松、どっちが大切だ?」
最原「!」
星「……答えられないだろう。なあ? だからダメなんだ」
星「アンタは誰かを切り捨てるには、あまりにも優しすぎる」
星「……いや。俺も甘い言い方はよそうか」
星「アンタは何かを決断するには、あまりにも弱すぎるんだよ」
星「誰も彼もを笑顔にしようと四苦八苦して、その先に何があるかを教えてやろうか」
最原「……」
星「……破滅だ。圧倒的で、唐突な」
星「既に真綿で首を絞められているような感覚があるんじゃないか?」
星「……それは決して気のせいなんかじゃないんだぜ?」
最原「恋愛的な意味で大切な女性は赤松さんだけだ」
星「……微妙に俺の質問の答えから外れてるぞ? 誤魔化すな」ギンッ
最原「……!」
298: ◆SxyAboWqdc 2017/03/25(土) 20:13:53.62 ID:SvBDWTlL0
星「……アンタは手を引け。最大限な。最後の最後のおいしいところだけを持っていけばいい」
最原「……」
最原「……断る」
星「何?」
最原「破滅してもいい……何を犠牲にしたっていい……」
最原「最後の最後で、全部取り返せばいい!」
最原「第一、未来のことがどうなるかなんて、誰にもわからないんだ!」
最原「僕は何も失わず、誰も破滅しない可能性に賭けたい!」
最原「東条さんを……助けたいんだ!」
獄原「最原くん……!」
星「……」
星「ちっ。どうなっても知らねーぞ」
百田(……)
百田(星の言うこと、わからないでもない。実際に傍にいた俺は知っているからな)
百田(……終一。頑張れよ)
313: ◆SxyAboWqdc 2017/03/26(日) 05:36:13.64 ID:tr5FO2v40
学園某所
王馬「が……ガハッ……ま、まさか、こんなことになるなんて……」ガタガタ
赤松「……確かに貰い受けたよ。さてと。まだ準備があるから私は行くね」
王馬「ふ……ふふふ。確かに最原ちゃんなら、キミがどんなプレゼントをしても喜ぶだろうけど……」
王馬「流石にこれはやりすぎじゃないかなぁ……悪の総統の俺も怖くて仕方ないんだけど」
赤松「王馬くん。もう黙っててくれるかな?」ニコニコ
王馬「スミマセンデシタ」
赤松「……あ、でもありがとうね。私のお願い、聞いてくれて」
王馬「オヤスイゴヨウダヨ」
王馬「……最原ちゃん終わったな……まさに破滅の秒読みだよ」
赤松「何か言った?」ニコニコ
王馬「ナンデモナイヨ」
314: ◆SxyAboWqdc 2017/03/26(日) 05:44:54.62 ID:tr5FO2v40
東条の病室
最原「現状、ここに残っている証拠の中で、一番東条さんの現在地がわかりそうなものは……」
最原「やっぱりコレかな。東条さんの仕事用携帯」
百田「アイツ、本当になりふり構わず逃げてるな。仕事大好きで休みの日が嫌いなはずなのに」
最原「いや。一応、持っていこうとはしてたみたいだ」
最原「だってほら。よく見てよ。スマフォの端の方に猫の噛み傷がある」
最原「最後の最後までこれだけは持ち出そうとしてたんだ」
獄原「そんなに仕事が大好きなんだ……」
星「アイツが治すべきなのは足じゃなくってワーカーホリックなんじゃないか?」
最原「逆に、時計が起爆して何もかもが終わるまで、彼女はここに戻ってくる気はないっていう意思を感じる」
最原「一週間が終わってしまえば、そのとき僕にできることは何一つとして無くなってるからさ……」
315: ◆SxyAboWqdc 2017/03/26(日) 05:59:53.82 ID:tr5FO2v40
最原「問題があるとすればパスワードがわからないから、東条さんのスマフォの中身の閲覧が不可ってこと」
最原「……入間さんあたりに頼んでみるって手もあるけど……」
百田「危険だな。東条が薬を使ったことがバレかねない」
最原「なんとか丸め込むよ。そもそも彼女には、コレが東条さんの携帯だなんてわからないんだ」
最原「そこを利用すればなんとか……!」
星「俺とゴン太はここからは別行動だ。東条のことを地道に足で探す」
獄原「任せて! 虫さんや野良猫さんに聞き込み調査してみるよ!」
最原「ありがとう。頼んだよ!」
最原「……よし。まずは入間さんのところに行こう。多分研究教室だ」
316: ◆SxyAboWqdc 2017/03/26(日) 06:09:39.03 ID:tr5FO2v40
入間の研究教室
入間「あァ? スマフォのパスを開けろ、だぁ?」
入間「ちょっと貸してみろ」
最原「うん」
入間「……俺様に不可能はねー。しっかりきっちり開けられるぜ? 三日でな!」
最原「二十四時間でやって!」
入間「ああ!? 無理に決まってんだろうが! 舐めてんのか!」
入間「……あと俺様は『開けられる』と言っただけで『開けてやる』と言った覚えはねーぞ!」
百田「ああん!? なんだそりゃ!」
最原「いいんだ、百田くん。これも想定の範囲内」
百田「終一?」
最原「代償は支払うよ。いくらほしい?」
入間「そうだなぁ。一千万円とかどうだ!?」
入間「ま! 天才の俺様にとっちゃはした金だが、童貞のダサイ原には一生かかっても揃えられない大金――」
ドサッ
最原「はい一千万」
入間「」
百田「ええーーーッ!?」ガビーンッ!
最原(おつりが残ってて助かった……!)
317: ◆SxyAboWqdc 2017/03/26(日) 06:18:21.33 ID:tr5FO2v40
入間「え? え? な、なんなの……俺様、もしかしてやばいことに巻き込まれてない?」ガタガタ
入間「この中身、もしかして相当な厄ネタだったりするんじゃねーか……なぁ?」ガタガタ
百田「いや、そういうわけじゃ……」
嘘弾発射!
最原「うん実はそうなんだ! これの中身は、国家の存亡を脅かす秘密結社の情報でいっぱいなんだよ!」ズギャァァン!
百田「マジかお前。おい。マジか」
最原「彼らは二十四時間以内にテロを起こすつもりで、それまでに中身が見れないと、みんなの命が危ないんだ!」
入間「ふ、ふふふ、ふざけんなっ! 俺様、そんな厄介ごとに首を突っ込みたくねーぞ! オイ!」
最原「残念だけど、キミは僕と話した時点でヤツらに目を付けられている!」
最原「残された道は、僕らと一緒にヤツらを潰すことだけ! 消される前にさ!」
入間「無理だっつってんだろぉ!? これ結構ロックが厳重で……」
入間「せ、せめてセキュリティトークンが揃ってれば話は別だけどよぉ! むしろ十二時間くらいでやれるけどぉ!」
最原「トークン……トークン、か」
百田「探すぞ終一! どっかにはあんだろ!」
318: ◆SxyAboWqdc 2017/03/26(日) 06:30:55.51 ID:tr5FO2v40
ドタドタドタッ!
獄原「大変だよ二人とも! 今すぐゴン太と一緒に来て!」
百田「ゴン太?」
獄原「大事件なんだ! 早く!」ダッ
最原「……東条さんに何かがあったのかもしれない!」
百田「ま、まさか事故……」
最原「東条さんっ!」ダッ
五分後
TV『ご覧ください! こちら名古屋城周辺に、バイソンが押し寄せています!』
TV『名古屋城の頂点には、やはりバイソン! そしてなにやら殺気立った高校生二人が!』
夢野『うおおおお! 負けるかあああああ!』ドドドド
田中『長きに渡る貴様との因縁に、引導を渡してやろう!』ギンッ!
獄原「夢野さんと田中くんがついに最終決戦を!」
百田「どうでもいいわッ! 少なくとも今は!」
最原「名古屋城まで走って行ったんだ……」
最原「……ん?」
最原「……あれ。夢野さんが乗っているバイソンの角、何か引っかかって……」
トークン『』チャリンチャリン
最原&百田「あっ」
319: ◆SxyAboWqdc 2017/03/26(日) 06:41:53.77 ID:tr5FO2v40
最原「ここから名古屋までは片道四時間くらいか……」
百田「ま、まさかお前……」
最原「いや。往復だと八時間だから行けないけどさ」
最原「夢野さんの方からこっちに来るんなら話は別だよ!」
百田「勝てぇーーー! 田中、勝ってくれーーー! そして夢野をこっちに帰してくれーーー!」
最原「田中くーーーん!」
獄原「頑張れ田中くーーーん!」
ソニア「田中さーーーん!」
田中『……聞こえる。俺の背中を押す誰かの声が!』ゴゴゴゴゴ
夢野『な、なにィ!? 魔力が更に上昇するじゃとぉ!?』ガビーンッ!
田中『インフィニティ・アンリミテッド・フレイム!』ドカァァァン!
夢野『ウチの負けじゃああああああ!』
最原&ソニア「やったーーー!」ウオオオオ!
百田「……いつの間にか人数増えてんぞ?」
最原「あ、ソニアさん」
ソニア「おはこんばんちわ! です!」
320: ◆SxyAboWqdc 2017/03/26(日) 06:48:31.04 ID:tr5FO2v40
名古屋城周辺
田中「何? バイソンの角? む。確かに何か引っかかってるな」
田中「これを夢野に持たせて東京に送り返せ? ふむ……了解した」ピッ
夢野「んあああ……バイソン……お別れ……い、いやじゃあ……」エグエグ
田中「安心しろ。悪いようにはせん」
夢野「うわああああああん!」ビエェェェン!
321: ◆SxyAboWqdc 2017/03/26(日) 06:52:07.02 ID:tr5FO2v40
希望ヶ峰学園
最原「ありがとうソニアさん。田中くんへの連絡、助かったよ」
ソニア「この程度ならお茶の子さいさいです!」
最原「……夢野さんが帰ってくるのに四時間。入間さんがロックを解除するのに十二時間」
最原「つまり合計で十六時間かかる」
最原「どの程度カウンターが溜まっているのかわからないから、これで間に合うかどうか……五分五分かな」
百田「祈るしかねぇだろ」
最原(東条さん……!)
323: 以下、
 
東京都私立帝東学院中等部
3年A組クラス名簿
 
Now Remaining 2 students.
students' plofile→■
男子1番 相葉優人
(あいば・ゆうと)女子1番 朝比奈紗羅
(あさひな・さら)
男子2番 芥川雅哉
(あくたがわ・まさや)女子2番 上野原咲良
(うえのはら・さくら)
男子3番 雨宮悠希
(あまみや・ゆうき)女子3番 荻野千世
(おぎの・ちせ)
男子4番 池ノ坊奨
(いけのぼう・しょう)女子4番 如月梨杏
(きさらぎ・りあん)
男子5番 川原龍輝
(かわはら・りゅうき)女子5番 小石川葉瑠
(こいしかわ・はる)
男子6番 木戸健太
(きど・けんた)女子6番 財前永佳
(ざいぜん・ひさか)
男子7番 榊原賢吾
(さかきばら・けんご)女子7番 佐伯華那
324: 以下、
<<女子一番 朝比奈紗羅 女子三番 荻野千世>>
女子二番 上野原咲良(うえのはら・さくら)
身長168cm
体重52kg
誕生日3月30日
血液型O
部活動美術部
友人池ノ坊奨
木戸健太
城ヶ崎麗
真壁瑠衣斗
朝比奈紗羅
上野原咲良
高須撫子
鳴神もみじ
(城ヶ崎グループ)
愛称咲良
出身小帝東学院初等部
親の
職業会社役員(父)
能力値
知力:
体力:
精神力:
敏捷性:
攻撃性:
決断力:
★★★★☆
★★★★★
★★☆☆☆
★★★★★
★☆☆☆☆
★★★☆☆
柔らかな物腰と愛らしい容姿により帝東学院のマドンナ的存在だが、本人は無自覚。
ピアノや絵画などを好む芸術肌だが、祖父が総合武術“葉鳥神道流”の師範をしており幼い頃から道場に通っていたため武術全般も嗜んでいる。
高須撫子とは共に武術を学んだ幼馴染。
代々城ヶ崎麗の家に仕えてきた家柄で、『有事の際には城ヶ崎家を守ること』が家訓だが、実際は幼い頃から麗の傍にいて、周りと揉める麗を池ノ坊奨と共に窘めてきた。
木戸健太と付き合っている。
保健委員。
325: 以下、
女子二番・上野原咲良
326: 以下、
2012年4月27日――
私立帝東学院――
大東亜共和国の中ではトップクラスの歴史と偏差値を誇る、大東亜国民であるなら知らないものはいない有名な学校であり、初等部から大学部までの一貫教育を行っている共学校である。
初等部から大学部までをずっと帝東学院で過ごす生徒もいるが
327: 以下、
 
No.003
 
2012年4月27日――
私立帝東学院――
大東亜共和国の中ではトップクラスの歴史と偏差値を誇る、大東亜国民であるなら知らないものはいない有名な学校であり、初等部から大学部までの一貫教育を行っている共学校である。
初等部から大学部までをずっと帝東学院で過ごす生徒もいるが、中等部・高等部・大学部から推薦入試や一般入試を経て入学する者も少なくない。
初等部からの生徒には、政治家の子息息女や経営する会社の跡取や社長令嬢などの比較的裕福な家の子どもや、“帝東学院出身”という肩書を与えたいと願う親にわけがわからないままお受験をさせられた子どもが多い。
一方中等部からの生徒は、難関と言われる通常入試を勝ち抜いての入学を果たすため学力が総じて高い。
同時に部活動が盛んなため、通常入試で合格するには学力が及ばなくとも、何らかの特技を活かして一芸入試で合格して入学する者も多い。
つまり帝東学院とは、家柄、学力、スポーツなど、何か1つは秀でているものを持つ者たちが集う場所である。
そのような学校ではあるが、朝登校して授業を受け、授業の後に部活動を行う――このサイクルは他の学校と大差ない。
財前永佳(帝東学院中等部三年A組女子六番)も6時間の授業を終えた後は部活動のために美術室へ向かい、キャンパスと油絵用の画材を用意し、前方に置いた果物たちを描くことに没頭していた。
328: 以下、
「ひーさかちゃんっ」
心の中に渦巻き始めていた黒い靄を優しく包み消していくような柔らかく温かい声が永佳の名前を呼び、永佳は顔を上げた。
きっちりと着こなした制服、胸元まで伸びた艶やかな黒髪、小さな口とすっと通った鼻筋、大きく優しい瞳――クラスメイトでもあり部活仲間でもある上野原咲良(同・女子二番)がにっこりと笑みを浮かべて永佳を見下ろしていた。
初等部の頃から類い稀なる愛らしい容姿をしていた咲良は、今や中等部どころか高等部にまでファンクラブができている程異性からの人気が高く、帝東学院のマドンナと称されているのだが、当人は自分の人気の高さを自覚していない。
329: 以下、
蓮井未久(女子十三番)がにこにことした笑みを浮かべて立っており、その陰に友人である阪本遼子(女子八番)がじっと利央を見上げていた。
細い目を一層細めて穏やかな雰囲気の未久と小柄ながらその性格のきつさが目に現れている遼子はぱっと見では合わないように見えるが、確か教室ではいつも一緒にいたと記憶している。
他に、いつもジャージの上着を身に付けた個性的な印象の小石川葉瑠(女子五番)や、両親が元スポーツ選手という血を受け継いで運動神経抜群の平野南海(女子十四番)、クラスで1番身長が低く(といっても遼子も大差ない)小 学生が紛れ込んだのかと思わせるような無邪気さのある広瀬邑子(女子十五番)、こちらも遼子とほとんど変わらない小柄な背丈の邑子よりはやや大人しいがそれでも元気一杯の山本真子(女子十九番)といった面々
330: 以下、
西側を東へ向かう蓮井未久(女子十三番)の足取りは、酷く重かった。
それは、未久だけではなく、前を歩く芳野利央(男子十九番)も後ろを歩く阪本遼子(女子八番)も同様だった。
331: 以下、
巻き込まれずにここまで生き残ってきた(未久は、親友の平野南海(女子十四番)によって、左腕に怪我を負ったが)。
しかし、班の数は減り、クラスメイトも減った。
誰がやる気になっているのかという情報も入手したので、危険人物は粗方特定することもできた。
もう、待つ理由はなかった。
未久たちは、生き残るため攻めに転じる覚悟を決めたのだ。
しかし、残る数少ないクラスメイトを探すために別の集落へ向かっている途中に、クラスメイトに出くわした――正確には、クラスメイトの亡骸に、だ。
仰向けに横たわり、普段見たことのないような穏やかな表情を浮かべてまるで眠るように事切れていた原裕一郎(男子十三番)と、その側でうつ伏せに倒れ、地面を赤黒く染めていた室町古都美(女子十八番)――小石川葉瑠(女子五番)が最期に残してくれた情報によれば、プログラムに乗り、葉瑠とそのチームメイトでリーダーだった相葉優人(男子一番)を死に追いやった2人だ。
仲の良かった葉瑠の仇――しかし、憎しみは湧かなかった。
憎んだところで、2人ももう死んでしまった。
虚しさと、クラスメイトの亡骸を見てしまった気分の悪さが残った。
332: 以下、
ている木戸健太(男子六番)と朝比奈紗羅(女子一番)、武道を嗜んでいるという咲良と高須撫子(女子十番)、頭脳で右に出るものはいない真壁瑠衣斗(男子十六番)と、敵にすれば厄介な面子が残っているので、油断はできない。
6班――唯一メンバーが誰一人欠けていない、開始早々から乗らないと宣言をしていた麗たちを襲った、要注意の班。
中心にいるのは、恐らく利央の部活仲間の榊原賢吾(男子七番)だろう。
また、未久の部活仲間の湯浅季莉(女子二十番)にも気をつけなければならない――普段、部活中は未久に懐いていた季莉が、未久に襲い掛かるだなんてとても想像できないのだけれど。
残りのメンバー、松栄錬(男子九番)と鷹城雪美(女子九番)は、運動も頭の回転も、そう警戒することはなさそうだ。
333: 以下、
卓也(男子十七番)と、卓也と恋仲で季莉や早稀といつもつるんでいた財前永佳(女子六番)の2人だ。
発見されてし
334: ◆SxyAboWqdc 2017/03/26(日) 08:18:36.56 ID:tr5FO2v40
百田「……終一。夢野からトークンを受け取るのは俺がやる」
百田「それを入間に届けるのも俺がやる」
百田「お前は休んでろ」
最原「えっ?」
百田「多分明日、七日目は長丁場になる」
百田「今のうちに休んでおかないと体が持たないぞ」
最原「……そうかな」
百田「それに、お前にやれることはもうないしな」
百田「よく考えておけ。最後の最後。東条に、どんな全力を尽くすのかをな」
最原「……うん」
最原(終わる……もうすぐ。すべてが)
最原(僕たちの全力を出して来た一週間が……終わる)
最原(……僕が、終わらせる)
335: 以下、
←スクリーン押したと思ったんやで22:52
いかにテキストを見てないかわかるな22:55
コトダマにない不親切設計なんだよなあ22:57
アホやな23:16
空気が美乳になったから忘れちゃったんだな23:29
カーソル合わせても何を指してるか教えてくれないのか
336: ◆SxyAboWqdc 2017/03/26(日) 08:35:15.59 ID:tr5FO2v40
猫条「……」
東条(どこからどこまでが計算で、どこからどこまでが誤算だったか……)
東条(わからないわね。もう、私自身にも)
東条(メイドとしての私は全力で最原くんの望みをサポートしていたけど)
東条(……メイドじゃない私自身は?)
東条(あのステージ裏で、最原くんに提案したとき、私はどこかで『彼にできるはずがない』と高をくくってなかったかしら)
東条(実行に移した彼の背中を見て、驚いてなかったかしら?)
東条(最原くんに抱きしめられる赤松さんを見て、胸が少し痛まなかったかしら?)
東条(……幸せそうな二人が、眩しくなかったかしら)
東条(……もう考える時間もないのだけれど)
東条(明日ですべてが終わるもの。全部が手遅れになった後、平然と野戦病院に戻ったら……)
東条(治療を受けて、怪我をキチンと治して、いつも通り学園に通って……すべて元通り)
東条(……それでいいの)
337: 以下、
<1995年度 第10号プログラム対象クラス>
  福岡県立沼川第一中学校 三年一組クラス名簿(※クリックでネタばれ)
男子 1番 内野翔平(うちの・しょうへい)女子 1番 荒川良美(あらかわ・よしみ)
男子 2番 江田大樹(えだ・だいき)女子 2番 宇津井弥生(うつい・やよい)
男子 3番 岡山裕介(おかやま・ゆうすけ)女子 3番 香山ゆかり(かやま・ゆかり)
男子 4番 乙原貞治(おとはら・さだはる)女子 4番 岸田育美(きしだ・いくみ)
男子 5番 神山 彬(かみやま・あきら)女子 5番 古山晴海(こやま・はるみ)
男子 6番 霧崎礼司(きりさき・れいじ)女子 6番 佐久間智実(さくま・ともみ)
男子 7番 窪永勇二(くぼなが・ゆうじ)女子 7番 芹沢小夜子(せりざわ・さよこ)
男子 8番 里山 元(さとやま・はじめ)女子 8番 谷川絵梨(たにがわ・えり)
男子 9番 佐野栄司(さの・えいじ)女子 9番 月波明日香(つきなみ・あすか)
男子10番 白凪浩介(しらなぎ・こうすけ)女子10番 七海 薫(ななみ・かおる)
男子11番 武田純也(たけだ・じゅんや)女子11番 西田明美(にしだ・あけみ)
男子12番 津山洋介(つやま・ようすけ)女子12番 日向美里(ひゅうが・みさと)
男子13番 鶴崎 徹(つるさき・とおる)女子13番 本田 慧(ほんだ・けい)
男子14番 野間 忠(のま・ただし)女子14番 間宮佳穂(まみや・かほ)
男子15番 萩岡宗信(はぎおか・むねのぶ)女子15番 三浦美菜子(みうら・みなこ)
男子16番 藤村賢二(ふじむら・けんじ)女子16番 宮前直子(みやまえ・なおこ)
男子17番 文島 歩(ふみじま・あゆむ)女子17番 矢島 楓(やじま・かえで)
男子18番 松川 悠(まつかわ・ゆう)
男子19番 横山広志(よこやま・ひろし)
男子20番 米沢 真(よねざわ・まこと)
男子21番 若山 聡(わかやま・さとし)
338: 以下、
 1995年6月10日
 福岡県立沼川第一中学校、三年一組のバスの中は騒がしかった。これからこのバスで向かう先は、博多駅。目的地は京都・奈良。その目的は、たいして興味のそそられることのない大仏や寺の見学がメイン。それでも気分が高翌揚し、テンションが高くなってしまうのは、やはり中学校行事の花形、“修学旅行”だからだろう。
 その中でも前日から興奮しすぎて眠れなかったのか、何人かは静かに眠りについていた。バスの座席の右側の列、前から三番目の通路側に座っている古山晴海(女子5番)もその一人である。クラスの中でも比較的小柄な部類に入る彼女の頭は、現在小刻みに前へと揺れている。そのたびに、彼女のトレードマークともいえる二つ結びの髪が、規則正しく機械的に動いていた。
 その光景を、座席の左側の列、前から五番目の通路側に座っている萩岡宗信(男子15番)は静かに見つめていた。飽きもせず、じっと見ていることなんてよくできるな、なんて我ながら思うのだが。
 
「おい、見すぎじゃないのか?」
 
 ふいに隣から声をかけられ、反射的に顔をそちらに向ける。声の主は友人の一人、白凪浩介(男子10番)だった。
 
「そうか?」
「そうだよ。そんなに分かりやすいと本人に気付かれるぞ。」
 
 ハーフっぽい整った顔立ちに、よく似合う少しだけ低めの声。成績も運動神経もよく、そして身長はクラスで一番高い。コンプレックスに思うほど身長がクラスで一番低く、顔もまぁ普通―中の中くらいの宗信にとっては“生まれ変わるならこんな風になりたい”。そう思うほど、大変羨ましい存在であった。
339: 以下、
はわかりやすいんだからさ。」
 
 浩介は一言付け加える。その意味はよくわかっていた。
 
 浩介の言っている意味――それは宗信が晴海に対して、“恋”とか“愛”とかそういう類いの”好き”という感情を抱いている。それが、目に見えてバレバレである。そのことだろう。
 
 確かに本人に知られては困るので、晴海の方を見るのはやめることにした。そして座席に座り直す。ふいにあくびが出た。
 
――やっぱ、俺も寝不足か。
 
「めずらしいじゃないか。」
 
 再び浩介が会話を続ける。あまりペラペラしゃべるほうではないので、宗信からすればそれもまた“めずらしい”。もしかしたら、普段クールなこの男も、“修学旅行”というイベントに興奮して眠れなかったのだろうか、なんて想像する。
 
「宗信が座席におとなしく座っているなんて。よっぽど寝れなかったのか?」
「まぁな。」
 
 正直に答える。浩介は大変勘が鋭く、嘘はあまり通じない。それがわかっているので、最近はあまりごまかしたりしないことにしている。
 宗信自身も思う。どちらかというと、座席におとなしく座っているよりも、狭いバスの中をせわしなく歩き回っている方が似合っている。“元気だけど、落ち着きがない”。それが大概の通知表に書かれる担任の感想であった。
 
「浩介こそ、いいのか?}
 
 そう言うと、視線で宗信自身が先ほどまで見ていた方を示す。
340: 以下、
「いいんだよ。俺はお前と違って女々しくないからな。」
「ひでぇな?。まぁ、顔はそう言ってないけど?」
 
 軽く毒を吐く浩介に、皮肉をこめて返す。これはいつものことなので、宗信も慣れていた。最初の方は、少々カチンときたことがあることは、内緒だけれども。
 
「彼女、中々鋭いからな。あんまり露骨に態度に出さないようにしてるんだよ。」
「さっさと告っちまえばいいのに。浩介絶対OKもらえるって。」
「俺のこと、絶対何とも思ってないって。玉砕覚悟で告白するのは、卒業式とかそんな時だろ?今はまだ、このままの関係でもいいから続けたいんだよ。」
 
 それこそ女々しくないか?と思ったが、これは口に出さないことにする。宗信にしたって、人のことは言えないのだ。
 
「宗信こそ、告白は?」
「俺みたいな奴、不釣り合いだって。あんなに可愛いのにさ。」
「お似合いだと思うけどなぁ。」
 
 こんな会話をしているのは、他人が聞いたらどう思うのだろうか。浩介が“恋愛”の話をしているなんて。それこそ隕石が地球に衝突するとか、いやいや火星人が侵略してきましたとか、そのくらいのレベルで信じられないだろう。
341: 以下、
 白凪浩介という人間のことを、”人間の姿をしたロボット”という輩もいる。浩介は秘かにファンが存在するほど人気があり、所属している剣道部には一時期黄色い声援が飛び交っていたことは、この時浩介と違うクラスであった宗信でも知っていた。ならば、当然告白されたことも数知れない。けれど、浩介はそういうミーハーな女子が大変嫌いなのだ。そんな子が告白してきても、優しくやんわりと断るようなことはしない。はっきり、ズバッと、「興味ないから」とか、「うっとおしい」とか、歯に衣きせぬ言い方で相手を傷つける。それ故に、大体の人間が浩介のことを「性格に難あり」とか「女の子には冷たい」と認識していた。浩介と親しくなり、好きな人を知るまでは、宗信もそう思っていた。
 
「お二人さん。恋愛話は終わった?」
 
 前の座席から、突然話しかけられる。いつのまにか聞かれていたのかと思っていたが、相手を見てほっとする。友人の一人、乙原貞治(男子4番)だったので。
 
「貞治、盗み聞きは趣味悪りぃぞ。」
「別にいいじゃない。俺もう知ってるしさ。大体バスの中でするような話じゃないって。そういうのは、修学旅行の部屋の中で、枕を並べてする話でしょ?」
「武田とかがうるさいだろ。」
 
 浩介が今挙げた人物、武田純也(男子11番)は宗信と同じ野球部に所属しており、クラスのムードメーカーともいうべき存在だ。ムードメーカ故なのかは知らないが、なかなかうるさく、宗信以上に落ち着きがない。そしてよく人をからかう。悪気があるわけじゃないので、腹はたたないが(それでもたまにはカチンとくる)、はっきり言うとあまり弱みを握られたくない人物ではある。宗信が晴海を好きなのは、野球部全員が知っているのであまり問題はないが、浩介の好きな人は宗信と貞治以外は知らない。浩介がそういうのも無理はなかった。
342: ◆SxyAboWqdc 2017/03/26(日) 08:46:07.24 ID:tr5FO2v40
七日目 物置小屋 朝十時
最原「……」
ユーガッダメール
最原「ん。百田くんからだ」
百田『ロックが開いた。今から物置小屋にスマフォを持っていく。待ってろ!』
最原「……いよいよか。爆発してないといいけど」
最原(……すべてが終わった後、全部元通りとはいかないよなぁ)
最原(まあいいか。やろう)
最原(東条さんを爆発させたりなんかしない!)
343: ◆SxyAboWqdc 2017/03/26(日) 08:56:47.69 ID:tr5FO2v40
十分後
百田「星とゴン太から捜査の結果を聞いてみたが、やっぱりダメだ。東条のヤツ、完璧に逃げおおせてる」
百田「……妙じゃねーか? 不安定な変身状態のまま、そんな遠くまで行けるとは俺には到底思えないんだが」
最原「……彼女なら薬の効果を自力で捻じ曲げて、変身能力を習得してもおかしくなさそうだよね」
百田「んっ?」
百田「……あ。確かに。なんとなく想像できるな」ズーン
最原「百田くん、スマフォは?」
百田「ほらよ。つっても、中身が多すぎてどれが重要なのかは俺にもわからないんだが……」
最原「とにかく場所や施設、土地名に集中して斜め読みしてみる。僕が知りたいのは彼女の居場所だから」
最原「変身能力を習得していようが、彼女は文字通り何も持ってないんだ。そう遠くには行けない」
最原「そう遠くには……」
百田「……おい終一。ところで一つ聞きたいんだけどよ」
最原「なに? 百田くん」
百田「……この部屋、前来たときより綺麗になってないか?」
最原「……」
最原「……あ、ああああああああッ!? 掃除されてるーーー!」ガビーンッ
344: ◆SxyAboWqdc 2017/03/26(日) 09:13:50.36 ID:tr5FO2v40
百田「これやったのって、もしかして……」
最原「東条さんだよ! 間違いない! 一週間過ごしてきた僕ならわかる!」
百田「いつからこの状態になってたんだ!? 終一が寝てる間にやったのか!?」
最原「……いや。違う。それはありえない。だって、僕はここに帰ってきてから一睡もしてなかったからね」
百田「あ!? 休めっつったろ!」
最原「ごめん。どうしても眠れなくってさ……」
最原「ともかく、この部屋が掃除されたのは僕が帰ってくる前だ」
最原「そして……今から注意してみればわかるけど、この掃除は『途中放棄』されてるってことがわかる」
最原「あくまで百田くんが前に来たときより綺麗になっただけだ」
最原「……流石に、部屋の中で物音がしたら、僕にもわかる。僕が帰ってきてから、この部屋のものは何一つとして動いてない」
最原「なら、考えられる可能性は一つだけだよね?」
百田「……!」
バタンッ!
百田「ドアは閉めたぞ! 窓は!?」
最原「元から閉まってる! 開けるにはそれなりの力が必要だ!」
最原「捕まえたぞ! 東条さん! キミはこの部屋のどこかに隠れている!」
345: 以下、
 白凪浩介という人間のことを、”人間の姿をしたロボット”という輩もいる。浩介は秘かにファンが存在するほど人気があり、所属している剣道部には一時期黄色い声援が飛び交っていたことは、この時浩介と違うクラスであった宗信でも知っていた。ならば、当然告白されたことも数知れない。けれど、浩介はそういうミーハーな女子が大変嫌いなのだ。そんな子が告白してきても、優しくやんわりと断るようなことはしない。はっきり、ズバッと、「興味ないから」とか、「うっとおしい」とか、歯に衣きせぬ言い方で相手を傷つける。それ故に、大体の人間が浩介のことを「性格に難あり」とか「女の子には冷たい」と認識していた。浩介と親しくなり、好きな人を知るまでは、宗信もそう思っていた。
 
「お二人さん。恋愛話は終わった?」
 
 前の座席から、突然話しかけられる。いつのまにか聞かれていたのかと思っていたが、相手を見てほっとする。友人の一人、乙原貞治(男子4番)だったので。
 
「貞治、盗み聞きは趣味悪りぃぞ。」
「別にいいじゃない。俺もう知ってるしさ。大体バスの中でするような話じゃないって。そういうのは、修学旅行の部屋の中で、枕を並べてする話でしょ?」
「武田とかがうるさいだろ。」
 
 浩介が今挙げた人物、武田純也(男子11番)は宗信と同じ野球部に所属しており、クラスのムードメーカーともいうべき存在だ。ムードメーカ故なのかは知らないが、なかなかうるさく、宗信以上に落ち着きがない。そしてよく人をからかう。悪気があるわけじゃないので、腹はたたないが(それでもたまにはカチンとくる)、はっきり言うとあまり弱みを握られたくない人物ではある。宗信が晴海を好きなのは、野球部全員が知っているのであまり問題はないが、浩介の好きな人は宗信と貞治以外は知らない。浩介がそういうのも無理はなかった。
346: 以下、
1○ 日比野迅(男子15番)
 水田早稀(女子17番)v.s. 春川英隆(男子14番) ×
 望月卓也(男子17番)
 財前永佳(女子6番)
 広瀬邑子(女子15番)
(春川英隆・望月卓也・財前永佳・広瀬邑子 撤退)
2○ 榊原賢吾(男子7番)
 松栄錬(男子9番)
 鷹城雪美(女子9番)
 湯浅季莉(女子20番)v.s. 雨宮悠希(男子3番) ×
 川原龍輝(男子5番)
 佐伯華那(女子7番)
 山本真子(女子19番)
(5/31 7:52a.m. 雨宮悠希 退場)
(5/31 7:54a.m. 川原龍輝 退場)
(5/31 7:56a.m. 佐伯華那 退場)
(5/31 8:01a.m. 山本真子 退場)
347: 以下、
1班男子一番・相葉優人男子八番・宍貝雄大女子三番・荻野千世女子五番・小石川葉瑠
2班男子二番・芥川雅哉男子十五番・日比野迅女子十一番・奈良橋智子女子十七番・水田早稀
3班男子三番・雨宮悠希男子五番・川原龍輝女子七番・佐伯華那女子十九番・山本真子
4班男子四番・池ノ坊奨男子十六番・真壁瑠衣斗女子二番・上野原咲良女子十番・高須撫子
5班男子六番・木戸健太男子十番・城ヶ崎麗女子一番・朝比奈紗羅女子十二番・鳴神もみじ
6班男子七番・榊原賢吾男子九番・松栄錬女子九番・鷹城雪美女子二十番・湯浅季莉
7班男子十一番・田中顕昌男子十九番・芳野利央女子八番・阪本遼子女子十三番・蓮井未久
8班男子十二番・内藤恒祐男子二十番・林崎洋海女子四番・如月梨杏女子十六番・星崎かれん
9班男子十三番・原裕一郎男子十八番・横山圭女子十四番・平野南海女子十八番・室町古都美
10班男子十四番・春川英隆男子十七番・望月卓也女子六番・財前永佳女子十五番・広瀬邑子
348: 以下、
「さ?あお待たせしました皆様!!
 ようやく第三試合ですっ!!
 実に半年以上経ってしまいました!!
 思っていたより読者が多くて嬉しい限りです!!
 あなたのアイドル、曽根崎凪紗でっす☆」
曽根崎凪紗がマイクを持って叫ぶ。
「アホか…
 ちなみに第一試合は因幡・相模組vs江原・今村組。
 激しいゼリーの食い合いの結果、因幡・相模組の勝利だ。
 第二試合は土方・水城凛組vs水原・鳥江組。
 わんこそうめん対決は最終兵器云々で大変な事になっていたが、
 僅差で土方・水城凛組が勝ち上がっている。
 以上、今までの経過だ。
 オレは自称唯一とも言える常識人、和久瑛介だ」
349: 以下、
「テンションが低いぜ和久瑛介!!
 この武器使用アリ、妨害アリのフードロワイアル!!
 ぶっちゃけ壊れた方が勝ちのこのゲーム、
 喰って喰って喰いまくって胃袋の限界に挑めっ!!
 というわけで、管理人の受験も終わって更新再開だぜ!!
 食はオレに語らせろ、机割りはオレに任せろ、サトルだっ!!」
机を早くも叩いているサトル。
この意思の疎通もクソもない3人が、FBRの実況だ。
忘れている方のために、念のため。
「さぁ、第三試合選手の入場ですっ!!
 藁路文雄君&依羅ゆたちゃんvs瀬戸口北斗君&天道千夏ちゃん!!」
盛り上がる観衆。
「大きな古時計(甲子園Ver.)」をBGMに、4人が入場してきた。
 
オレ――瀬戸口北斗(男子6番)は闘志をメラメラと燃やしている。
いや、別にワラ(藁路文雄・男子20番)と依羅(依羅ゆた・女子20番)に対してじゃない。
そっちはどうでもいいわけじゃないけど、こっちに比べればどうでもいい。
オレは観客席を指差した。
「彰人、お前は倒すっ!!」
彰人(因幡彰人・男子1番)――オレの大事な大事な大事な大事な大事な幼馴染、晶(相模晶・女子8番)をたぶらかすオレの親友。
…いいよ、この際“元”親友になったって。
350: 以下、
・小説コンテスト参加中:大賞となれば書籍化します
・皆様のご支援で、最終選考に進めるか否か決まります!
・下記リンクは、小説へのリンク、ご支援(5分かからない)の方法など記載しています。
各小説へは、ロゴまたはこちらをクリックください。
● 更新履歴
351: 以下、
● 説明
ハウスシリーズの派生作品(動画、マンガなど)の紹介をしています
バイノーラルシリーズ:柚木、冬雛、蘭光らの立体音響音声となっています
ネタハウス  :ハウス登場人物達の番外編動画。ネタ
マンガ  :(準備中) pixivで連載予定のハウス番外編マンガ
● バイノーラルシリーズ
最新動画
過去の動画(上に行くほど新しい)
柚木優芽:【立体音響・ASMR】微ヤンデレ/微Sっ子ver.3-3【炭酸音etc】
冬雛萌希:【立体音響・ASMR】微ヤンデレ/微Sっ子ver.3-2【シャンプーetc】
柚木優芽:【立体音響・ASMR】微ヤンデレ/微Sっ子ver.3-1【ハサミ・耳舐めetc】
桐生京我:【立体音響・ASMR】ツンデレ系男子ver【ドライヤー・耳舐めetc】
柚木×冬雛:【立体音響】微ヤンデレ/微Sっ子ver.2【添い寝・耳舐めetc】
蘭光愛莉:【立体音響】高飛車/従順メイドver【添い寝ボイスetc】
柚木×冬雛:【立体音響】微ヤンデレ/微Sっ子ver【耳かき・シャンプーetc】
● ネタハウス
最新動画
過去の動画(上に行くほど新しい)
【ネタ】クリスマス?なにそれ?美味しいの?【ハウスメンバー】
【ネタ】温泉ハウス【オマケ】
【ニコニコ動画】【ネタ】温泉ハウス【後篇】
【ニコニコ動画】【ネタ】温泉ハウス【前篇】
【ネタ】殺し合いハウス講座【柚木とマスターの場合】
【ネタ】殺し合いハウスセカンド講座【桐生と汐音の場合もセカンド】
生放送録音:話し合いハウス?ゲーム参加者の素顔に迫る!?一周年記念生放送? TS
【ネタ】殺し合いハウス講座【秋山と伊集院と神崎の場合】
【ネタ】殺し合いハウス【福永ハウスの場合】
【ネタ】殺し合いハウス講座【桐生と汐音の場合】
● マンガ:ちゃけのこハウス
準備中:予告編
352: 以下、

続き・詳細・画像をみる


『ソードアート・オンライン』キリトさん超カッコいい! SAOのキリトさんって男の理想像の一つだよな!

武内P「女性は誰もがこわ……強いですから」

佐々木希・渡部建夫妻が美男美女カップルであることがよく分かる画像wwwwwwwww

【訃報】雪崩で死んだアニ豚高校生、全国に晒されるwwwwwwww

【ニューダンV3】最原「東条さんが本気出してくる一週間」

光速で移動できるロケットがあれば、未来へのタイムトラベルは可能である。ただし浦島太郎状態となる。

back 削除依頼&連絡先