美優「三角関係……」【前半】back

美優「三角関係……」【前半】


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※※スレの諸注意※※
・モバマスアイドルでやるオリジナルのSFネタSSです。これが最初です。
・>>1はデレステをプレイしながら進行するので途中進行が止まる場合があります。モバマスもやります。
・というかデレステの手が空いているときしか投下しません。なので投下ペースは非常に遅いです。
・稀に他作品のネタが入るかもしれません。
・作業量的にデレステに支障が出ることになったらエタらせます。
※※※このスレでは他板や他スレの会話はしないでください。その場合はスレを終了します※※※
2:以下、
――外宇宙、アウズブラ級大型宇宙航行艦『アウズブラ』(ブリッジ)
「レーダーでの環境測定、一覧の出力と再展開の準備はどうなっている?」
「解析中です、6分後に展開できます。一次計測後に再度レーダーを展開、索敵班には作業通達を展開済みです」
「よし、ではレーダー再展開可能後、目標惑星の調査を行う。降下部隊は格納庫で待機だ」
「環境測定が完了次第、スーツの環境設定を合わせて目標惑星に向けて降下を開始する」
ピピピッ! ピピピッ!
「艦長、通常レーダーに反応があります」
「む、どうした?」
「これは……何かが高で艦に接近しています! レーダー反応は3!」
「度的には小惑星でもないのか? モニターに映せ」
「了解、モニター出します……ヒッ!?」
「なっ!? なんだコイツは――」
――
――――
3:以下、
――星間航行技術が発達してから数十年、人類が外宇宙での惑星探査中に初めて宇宙生命体と遭遇した映像記録は、ここで途切れていた。
4:以下、
――極僅かの映像記録から該当する生命体の外見を知った国際連合軍は、人類にとっては未知となる宇宙生命体を『キラー・ビー』と呼称した。
5:以下、
――だが、映像記録に残っていた外見的特長以外、彼等のことは何も分からないままだった。調査隊は全滅し、遺族へは無念の感情を伝えることしかできなかった。
6:以下、
――数年後、木星圏、巡航行船『エイル』(客席)
「あらお嬢さん、もしかして今日は1人で船に乗ったのかしら?」
「はい。地球で働いている父と母に会いに行くので」
「そうなの……1人だと色々大変でしょう? 私も夫と一緒に地球にいる息子に会いに行くところなの。ご両親は、どんなお仕事をしているのかしら?」
「どちらも軍で働いています。ここから火星圏のギチトーに着いた後は、父の友人が迎えに来てくれるみたいなので……」
「それなら火星圏から地球までは安心ね。ここから地球までは距離もあるから、お嬢さん1人っていうのは難しいものね」
「そうですね。あまり、他の方のご迷惑にはなりたくはありませんが……」
「偉いのね。それなら、ギチトーに着くまでは――」
ガコンッ!!
ビビビビビッ! ビビビビビッ!
「わぁっ!?」
「な、何!?」
「なんだ、どうした!!」
「あ、あああ……アレ、そ、外!!」
「外……」
「ヒィッ!?」
ズドォォォンッ!!!!
――数年後、キラー・ビーは人類が住む宙域で目撃された。木星圏宙域を航行していた巡航行船、エイルは大破。記録上、乗員乗客は全員死亡とされている。
7:以下、
キラー・ビーによる攻撃から、国連本部はキラー・ビーを敵対因子と判断。軍事産業複合企業「オート・クレール社」に宇宙用戦闘機の開発を発注した。
その後、初の宇宙用戦闘機「グレイプニール」が完成。プロトタイプ1号機は発注を受けてから4ヶ月という短い期間で生産された。
人類はグレイプニールを用いて木星軌道を航行中の巡航行船「エイル」を再度襲撃したキラー・ビーに対して応戦、これを退けることに成功。
戦闘結果によりグレイプニールの実用性が認められ量産される。以降、人類と外宇宙からの侵略者であるキラー・ビーとの長い争いが始まった。
――――
――
8:以下、
――数年後、土星圏宙域、アウズブラ級大型宇宙航行艦『ユミルS-01』(メインブリッジ)
黒井「馬鹿か貴様は」
大佐『馬鹿なことを言っているつもりはないんだがねぇ、黒井大佐……だが、どうだ? 悪い話じゃないだろう?』
黒井「ナンセンス、私の艦に貴様のところにいる糞ガキを置く趣味など無い」
大佐『そうか……仕方が無い』
黒井「ふんっ! 分かったのなら通信は……」
大佐『これなーんだ?』
ガタッ!!
黒井「き、き、き……貴様!! な、何だそれは!?」
大佐『うーん、何時の飲み会の記録画像だったな……麗奈君から転送されてきたものなんだが』
黒井「きっ、き……くっ、う、お……」プルプル
大佐『それにしてもお前がなぁ……いくら酔っ払ってしまったとはいえ、飲み屋の若い娘の尻に頬ずりするとはねぇ……セレブなお前が、ねぇ』
黒井「……貴様――」
大佐『さて、珍しいものだし広報に配布紙面のネタにでも使ってもらおうかね』
黒井「貴様ぁぁあああああああ!!!!」ガタガタガタガタッ!!!!
9:以下、
大佐『まぁ、交渉成立ということでどうだね。人事には私のほうから話しておこう』
大佐『なあに、私も彼には期待していてね。土星圏でのキラー・ビーたちとの戦闘も激しいし、経験を積ませておこうかと思っているだけだよ』
黒井「んんっ! んっ! っと……だが私はやはり気に食わん」
大佐『どうしてだい?』
黒井「お前は新人と言うが、偶然私が木星圏に立ち寄った際に奴の初出撃を見たが……何が新人だ」
大佐『新人だよ、間違いない。そういえば、臨時でナシヤマの迎撃隊の指揮をしていたね。彼の初出撃だったか……』
黒井「ふん、新人だろうがなんだろうが、とにかく生意気な奴だ。私は気に入らん」
大佐『初出撃からすまし顔で戻ってくる新人なら、確かにお前は気に食わなく思うだろうな。ただ、彼は素直でいい子だよ』
大佐『まあ、しばらくの経歴はデータベースのほうを見てくれ。面倒かもしれんが、これも仕事だと思って頼む』
黒井「……さっきの記録画像は消去しておけよ、必ずだ!」
大佐『分かったわかった。それじゃ、私は失礼するよ』
ピッ!
黒井「……ふん、気に入らん」
黒井「何が新人の教育だ……こちらの事情が分からん貴様でもないだろう」
……
…………
10:以下、
――木星圏宙域コロニー『ナシヤマ』、強襲戦闘艦『ヴェールJN-06』(格納庫)
少佐「貴様等ぁー!! 何をモタモタしている!」
ピピッ! ピピッ!
「……」ピッ……ピッ……
「……っ!」ピッ……ピピッ……
少佐「3次元飛行を行うキラー・ビーに対抗するには、グレイプニール各所に搭載された大小のスラスターを用いての立体機動戦闘が必要不可欠だ!」
少佐「立体機動からの直線加への切り替え、背面取り、すべてを無駄なく行わねば奴等の粒子砲の的になるだけだ!!」
P「……」ピッ、ピッ……ピピッ! ピピッ! ピピッ! ピピッ!
少佐「死にたくなければ次の出撃までにマニューバを身体に叩き込んでおけ!!」
11:以下、
JN-06艦長「まったく少佐、あまりそう部下を苛めるなよ」
少佐「艦長……いえ、これくらいは当然です。後方の私たちもこれくらいせねば、土星圏で戦っている者たちに申し訳ない」
JN-06艦長「とはいえ、私たちもこちらの宙域に出没している蜂との戦闘はある。今月の出撃は3回、多い月だと5回はあるだろう」
少佐「……出撃数の話しをしてしまえば、尚更です。土星圏のユミルは随時、宙域を哨戒しています……戦闘も、我々とは比べるまでもなく」
JN-06艦長「そうだな……まあ、この話はやめにしよう。P少尉を借りてもいいか?」
少佐「奴をですか? 構いませんが……ああ、あの件ですか。正式通達が?」
JN-06艦長「うむ、私としても彼を指名されたのは惜しいのだがな……ともあれ、これも軍の決定だ」
少佐「……はっ、了解です。稼働中のシミュレーターが完了次第向かわせますので」
……
…………
12:以下、
――数十分後、ヴェールJN-06(艦長室)
パシュンッ!
P「失礼します」
JN-06艦長「来たかね。どうだい、訓練のほうは?」
P「特に問題はありません。スコアも下がらなかったので」
フォン……
JN-06艦長「ふむ、キミのスコアは……確かこの記録シートだったか。なるほど、第1世代……G1のシミュレーターでここまでのスコアを出すのか」ピッ、ピッ……
P「はっ……いえ、表示上されているスコアは更新できていませんので……」
JN-06艦長「このシミュレーターに記録されている上位スコアは、全宙域にいるパイロットが出しているオンラインスコアだよ」
JN-06艦長「まったく、訓練を終えて配属されてから2年目のキミが、スコアボードに名前を載せているのは驚きだよ……もっとも」ピピッ!
JN-06艦長「最上位のスコアを更新できないのは、仕方が無いがね。ここまで行くと本当の化け物揃いの領域だよ」
P「精進します」
JN-06艦長「さて、そんな話をするために来てもらったわけではない。以前、少し話したとは思うが……土星圏の異動の件だ」
P「土星圏……ユミルへの異動ですか?」
13:以下、
JN-06艦長「CSL-654、アウズブラ級大型宇宙航行艦ユミル……そのS-01への異動が決まった。何か質問はあるかね?」
P「グレイプニールはS-01にある物を使用することになるのでしょうか?」
JN-06艦長「いや、キミが使っているG1を持っていく。シャトルに乗せて運ぶ予定だ。他には?」
P「それ以外は特に……まあ、行ってみないと分からないことのほうが多いでしょうし」
JN-06艦長「若いね。土星圏はここよりもキラー・ビーたちとの戦闘が激しい。普通なら行きたくはないと思うだろうが」
P「まあ……そうですね。どうせ宇宙に出るなら蜂と戦うよりは、ゆっくりとグレイプニールに乗って遊覧飛行でもしたいですが」
JN-06艦長「ははは。とはいえ、時期的には少し残念ではあるがな」
P「残念?」
JN-06艦長「つい先日、共有データベースのアルヴィスが更新されていた。土星圏で展開している広域光学レーダーが蜂の巣を観測している」
P「わざわざそうおっしゃるということは……中規模以上の蜂の巣ですか」
JN-06艦長「ちらほら見かけるようになったらしい。中規模以上の巣となれば一仕事だ。キミも、異動直後から前線任務に充てられるだろう」
P「前線か……とはいえ、仕方がありません。私の仕事は前線任務ですし」
JN-06艦長「そうだな……まあ、頑張ってほしい。私も大佐も、キミには期待しているからね」
P「大佐ですか。しばらくは直接会っていませんが……了解です。こちらでの担当の引継ぎは済ませておきます」
JN-06艦長「頼むよ。詳細については通達を転送しておく」
P「はい。では失礼します」
……
…………
14:以下、
――土星圏宙域、ユミルS-01(艦長室)
麗奈「で、アンタ、あの大佐から押し付けられた新人どうする気?」
黒井「知らん」
麗奈「適当ねぇ……ま、アタシほとじゃないけど。誰か適当につけてやりなさいよ」
黒井「っとに、私は忙しいんだ。適当な奴に任せてしまうか……」
ピピッ!
『黒井大佐、哨戒任務時の定期集計データの件でお話しが……』
黒井「ん? 入れ」ピッ!
『失礼します』
パシュンッ!
黒井「どうした、高垣中尉」
楓「はい……ええと、S-02からの連絡もあったんですが……前回の戦闘で逃したキラー・ビーの群れが、あちらで対処していた蜂の巣と合流したようで……」
黒井「ふんっ、それくらい向こうで対処しろと伝えておけ」
楓「ですが……その、今回の集計データ、そのときのキラー・ビーとの戦闘データを入れていますので、対応数が合わなくなるので……」
黒井「全く面倒な……であれば向こうの艦長とは話しておく。データは送っておけ、承認しておく」
15:以下、
楓「分かりました、では……」
黒井「待て高垣中尉、この前話したものとは別にもう1つ仕事をくれてやる」
楓「お仕事……ですか?」ピクッ
黒井「近々ウチに新入りが1人来る。適当に物を教えてやれ」
楓「はあ……分かりました。では」フワッ
パシュンッ!
麗奈「……アンタさぁ」
黒井「なんだ」カタカタカタッ
麗奈「よりにもよってアイツに頼むの……」
黒井「何の問題がある。中尉は能力もあるし仕事については問題ない」
麗奈「そういう話しじゃないけど……新入りって男?」
黒井「ああそうだ。アイツのところにいた気に食わん奴だ」
麗奈「ウチの艦の男たちにシメられなきゃいいけど……」
……
…………
16:以下、
――ナシヤマ、ヴェールJN-06(Pの部屋)
大佐『どうだね? 木星圏から土星圏の異動については』
P「まあ願ったり叶ったりというか……ありがとうございます」ピッ、ピッ……
大佐『キミの評価は艦長からも聞いているよ。まぁとんでもない新人が来たってねぇ』
P「大げさですよ。昔から散々シミュレーターで乗り回していただけで、実戦はこうして軍に入隊してからなんですから」カタカタカタッ
大佐『大げさじゃなかったら私もわざわざこんな人事回さないんだがね……』
P「ん、なんですか?」
大佐『ああいや、何でもないよ。ところで、さっきから手元で何をやっているんだね?』
P「G1の調整データの作成ですよ。あとで整備班に渡そうと思って……最近、もう少し度が出ないかと悩んでいるんですけどね」
大佐『G2かOPF……はいまのキミに支給するのはちょっと難しいねぇ。いや、実力が伴っているなら私はいいと思ってるんだがね』
P「どうせならOPFがいいです。G2は鈍足過ぎてダメです。あれじゃG1をバージョンアップしてOPFを作り直すのも仕方がありません」
大佐『第2世代は不評だから仕方が無いか……まあ、何はともあれ向こうでも頑張りたまえ』
P「了解です」
……
…………
17:以下、
――2週間後、土星圏宙域コロニー『ホクドウ』、ユミルS-01(メインブリッジ)
黒井「まったく、S-03の出航が遅れたせいでこちらの作業も……」ブツブツ
「はぁ?い黒井大佐、そんなときはスッキリ爽快フルーティーな味わいのスペシャルウサミンドリンクは如何でしょうか?」スッ
黒井「むっ」ピクッ
「ほらほらぁ、ホクドウに戻ってきて食堂も一般食が食べれるようになったんですから、もうちょっと気楽にいきませんと、ね?」
黒井「……ふんっ、中尉の言うことも一理あるか。たまには庶民の考えに倣ってみるのも悪くない」
パシュンッ!
麗奈「ほらちょっとアンタ、艦長席でニヤニヤしてんじゃないわよ」
黒井「ぶぅっ!? だ、誰がニヤニヤしているというのだ! 誰が!」
麗奈「アンタよアンタ。んで、これ編成どうすんのよ。グレイプニールの編成もそうだけど、ヴェールも、中破した2番は入れ替えなんでしょ?」
黒井「現在哨戒任務に当たっているヴェールを積む予定だ。グレイプニールの編成は駒が揃ってからだ」
麗奈「あ、そう。それじゃアタシはもうちょっとシミュレーターで遊んでるわ」
パシュンッ!
「……入れ替えで新しいヴェールが入るんですか?」
黒井「今回の長期哨戒任務での戦闘で、それなりに修理しなければならなくなったから仕方が無い。中規模以上の蜂の巣との戦闘が増えてきている現状もある」
黒井(まったく……この忙しいときにアイツは……)
……
…………
18:以下、
――土星圏宙域、ヴェールSN-05(ブリッジ)
「艦長、間もなく艦が安全航路にはいります。短距離索敵用レドームを解除します」
SN-05艦長「これでホクドウに戻るまでは安全か……皆、よくやった」
「でも戻ったらS-01に配備だもんねー」
「ホント、いつ休暇取れっていうんだか」
SN-05艦長「まあ、貧乏くじを引かされてしまったというところか。すまんがもうしばらくは頑張ってくれよ」
「人使い荒いもんねー」
美優「そ、そうですね……」
ピピッ! ピピッ!
美優「レーダーが……?」ピクッ
ピピッ! ピピッ!
「ちょっと三船少尉、見せて……艦長、蜂です!」
SN-05艦長「何ぃ? このタイミングでか!」
「数は……F型が7、ホーネットはいません。蜂の巣は無し!」
SN-05艦長「ようやく一息つけるところで7匹か……コンディションレッド! 総員戦闘態勢!」
「グレイプニール小隊の出撃準備を行います。パイロットは発進準備願います」
「オートメーション機能により戦闘信号を自動発信します。現宙域を安全航路圏から除外、周囲を航行中の民間船に警報を出します」
美優「レ、レーダーは……せ、先頭のF型と、艦との距離は4100……元々、宙域にいたキラー・ビーのようです」カタカタカタッ
SN-05艦長「蜂共め……!」ギリッ!
……
…………
19:以下、
――同時刻、土星圏戦闘宙域後方
P「……暇」
整備士「暇って……そんなこと言わないでくださいよ。こっちだって暇なんですから」
P「いや、だってさ……どこのコロニーにも寄らないで真っ直ぐホクドウ向かってるし……整備士、何か面白い話しない?」
整備士「突然言われても……それよりちゃんと運転してくださいよ」
P「助手席に座ってる奴は、運転手が退屈しないように盛り上げる仕事があるんだぞ」
整備士「いやいや――」
ピーッ!
20:以下、
P「ん、どうした整備士?」ピクッ
整備士「ちょっと待ってください……どうやら自動発信されている信号を受信したみたいです。安全航路圏でキラー・ビーとの戦闘が開始されているようです」
P「何? てことはここら辺での戦闘か?」
整備士「そうみたいです。前方のほうでヴェール艦がキラー・ビーと交戦、周囲の民間船はやかに退避せよとのことです」カタカタカタッ!
P「俺たちには関係ないな。よし整備士、運転代われ」
整備士「えっ、もしかして出撃するんですか?」
P「当たり前だろ。安全航路付近で戦闘なんて、逃げ遅れた民間船がいたら大変なことになる。戦闘宙域の状況は確認できるか?」フワッ
整備士「ちょっと待ってください。レーダー情報……キラー・ビーが7匹、グレイプニール小隊が3です」
P「12機での戦闘か……土星圏は精鋭揃いとはいえ蜂1匹に対して2、3機で当たるとすれば少し数が足りんな……」
整備士「恐らく哨戒任務の帰還途中での戦闘だと思います。出撃できるグレイプニールに余裕がなかったんでしょうね」
P「急いだほうがいいな。このままG1に乗る。後部ハッチを開いてくれ」
整備士「えええっ!? パイロットスーツは?」
P「急いでると言っただろ。ほら、早くしてくれよ」パシュンッ!
……
…………
21:以下、
――戦闘宙域
蜂「……!」ズドォォンッ!!
『ぐおおおおおおっ!?』
ドガアアアアアアンッ!!
『ヨコヤマー!』
『ちくしょう! よくもヨコヤマを!』
『落ち着け! コンビネーションマニューバを組みなおす。プランはY03だ!』
『了解!』
蜂「……!」ギュンッ!
『ちぃっ! 立体機動なんぞに!』
『お前たち、ヴェールから援護射撃がくるぞ、散開!』
……
…………
22:以下、
――ヴェールSN-05(ブリッジ)
SN-05艦長「主砲フォトンメーザー砲ティルウィングを装填、グレイプニールと小隊と距離が離れすぎている。艦を少し前進させろ」
「迎撃用ミサイル、アルヴァルディ全弾発射しました……着弾確認、ですがF型残り7匹です」
SN-05艦長「くぅっ……出せるグレイプニールは無いのか!」
美優「せ、整備班からも……いますぐ出せる機体はないと……」
ピーッ! ピーッ!
「F型の1匹がグレイプニール小隊を抜けてこちらに接近!」
SN-05艦長「オートメーション機能で対空近接機関砲ブリンガーを自動掃射させろ! 取り付かせてはいかん!」
「ブリンガー1番と4番自動掃射!」
ドガガガガガガガッ!!
蜂「!」ヒュカカカッ!
「ダメです! 避けられました!」
蜂「……!」ギュオオオオオオッ……
「F型、粒子砲の発射態勢を取っています!」
SN-05艦長「艦の向きを変えろ! 右に回れ!」
美優「ひっ……!」
23:以下、
ズドォォォォンッ!!!!
蜂「……」ブ……ブブ……
ドガアアアアアンッ!!
SN-05艦長「なに……?」
「え……F型撃破……後方から第1世代グレイプニールが1機……」
SN-05艦長「み、味方か?」
ピッ、ピッ、ピッ……
美優「そ、そのまま艦を通り過ぎて……戦闘宙域に行きました……」
SN-05艦長「どこの部隊の者だ? 誰か通信を出せっ」
……
…………
24:以下、
――戦闘宙域
P「くそっ、こっちに来る前に貰ったリニアカノン、さっきの1発でエネルギー切れかよ……試作品なんて使うもんじゃねえな……」
ピピピッ! ピピピッ!
P「なんだ整備士か? いま戦闘中だから少し待ってくれ」ピッ!
プツッ……
P「っと……そうはいっても前線の味方には通信しておかなきゃな。どこかチャンネルが拾えるか……」カタカタカタッ!
『……から来るぞ、気をつけろ!』
P「繋がった! そこで戦闘しているグレイプニール小隊、聞こえるか!」
『何だ!?』
P「通りすがりだが援軍に来た。そちらはもう3小隊編成でマニューバを取っているようだから、こちらは単独で戦闘を行う」
『待て貴様、どこの所属だ! 部隊は!』
P「ああいや、実は異動のためにこっちに来たばかりで……まあいいや、とりあえず終わったらまた通信します」
『おい待て! 1人でのマニューバは……』ピッ!
P「さて……」ガシャンッ!
蜂「!」ギュンッ!
蜂「!」ギュンッ!
蜂「!」ギュンッ!
25:以下、
P「宙域の蜂は6匹、2匹は手前の2小隊が潰そうとしているか……奥の4匹は残りの1小隊が引きつけている」カタカタカタッ!
P「軌道予測ルート算出、3小隊のマニューバプランのデータ入力完了。よし……!」ギュオオオオオオッ!!!!
P「そこで追い掛け回されているGN小隊! 誰でもいいから蜂1匹にミョルニルを撃ってくれ!」ピピピッ!
『何だと!? こっちはいまそれどころじゃ……!』
P「このまま引きつけ役をやるよりは早く終わるぞ」
『くっ……ターゲット、3連装ミサイルランチャー、ミョルニル発射!』
ボシュシュシュッ!!
蜂「!?」ギュンッ!
P「1匹足並みが崩れた! そこだ!」ギュオオオオオオッ!!
ガションッ!
P「高プラズマ粒子砲グラム……発射!」ズドォンッ!!
蜂「!」ドガアアアアアンッ!!
P「1匹!」
26:以下、
『あの機体、そのままこっちに突っ込んで……』
蜂「!」ギュンッ!
蜂「!」ギュンッ!
蜂「!」ギュンッ!
P「今更気付いたか! だがもう遅いぞ!」ヒュカカカッ!
蜂「!」ブブゥゥゥンッ!!
P「その立体機動は想定している! ドラウプニル!」ガションッ!
ドガガガガガガガッ!!
蜂「……」ブブ……
ドガアアアアアンッ!!
P「2匹……!」ギュンッ!
……
…………
27:以下、
――ヴェールSN-05(ブリッジ)
SN-05艦長「なんだあのG1は……小関大尉が乗っているのか?」
「いえ、小関大尉は現在はホクドウにいるはずなので……」
SN-05艦長「通信はどうなった?」
美優「それが……向こうから切ってしまったようで……」
SN-05艦長「だ……誰が乗っているんだ……?」
「艦長、GNS-001と002小隊がF型2匹を撃破しました! あと……援護にきたG1のほうでもF型4匹、撃破しています。コンディショングリーンです」
SN-05艦長「そうなれば5匹……この短時間で、たった1機で5匹のF型を撃破したのか、あの機体は……!」
美優「通信、通信……繋がらないかしら……」ピピピッ、ピピピッ……
ピッ!
……
…………
28:以下、
――戦闘宙域
P「終わった、か」ピピッ!
P(蜂が7匹……土星圏ではこれくらいの戦闘は日常茶飯事ってことか……)
ピピピッ!
『お前凄いな! 突然出てきて何しに来たと思ったら……!』
P「いえ、緊急時でしたから……」
『礼もしたいし、うちの艦に寄ってってくれないか? こっちは仲間を回収してからになってしまうが……』
P「それなら、こちらにはシャトルが1隻あります。一緒でも大丈夫ですか?」
『構わんよ。後で艦で会おうか』
ピッ!
P「ホクドウに着く前に土星圏のヴェールに拾ってもらったか。まあ、それはそれでいいか……」
ピピピッ!
P「ん、ヴェールからの映像通信……?」
ピッ!
29:以下、
フォンッ……
美優『あの……』
P「はい」
美優『……』
P「……はい?」
美優『あ……あっ、すみません……その、艦を助けて頂いて、その……』
P「安全航路圏での戦闘ですし、民間船が巻き込まれる前にと思ったので援護にきました」
美優『……えっと、所属……は、どちらの……?』
P「私ですか? 私は……」
P(所属、か……さっきも聞かれたけど一応通知で来ていた配属先でいいか……)
P「……国際連合防衛本部宇宙軌道防衛軍所属、第6防衛隊のP少尉です」
……
…………
30:以下、
――ヴェールSN-05(格納庫)
パシュンッ!
P「ふぅ……しっかしパイロットスーツ無しで戦闘ってのも怖いもんだな……」バサッ!
「おう兄ちゃん! モニター見てたぞ、お前よくやるなぁ!」フワッ
P「いえ、合流のときに射撃支援も頂いたので……すみませんが機体はどこに移動させればいいでしょうか?」フワッ
「置いといていいぞ。こっちで移動させとくから艦長のとこ行ってくれ」
P「そうですか。あと、連れのシャトルもあるんですが……」
「搬入口から入れる準備をしている。後でそっちも面倒見てやるよ」
P「ありがとうございます。お願いします」フワッ
……
…………
31:以下、
――ヴェールSN-05(ブリッジ)
SN-05艦長「いやあ、助かった! S-01配属予定のパイロットとは、あれほどの操縦技術を持つ者はそうは見ないぞ」
P「いえ、私はずっと木星圏での防衛に当たっていたので……こちらでの戦闘は初めてだったのででどうなるかと」
SN-05艦長「謙遜しなくてもいい。こちらも助けてもらったのは事実だ……と、あまり無駄話をしても仕方が無いな」
P「安全航路圏での戦闘後ですし、宙域索敵後の再指定は?」
SN-05艦長「手配はさせておく。こちらも哨戒任務の帰還途中でな、巣との戦闘も2、3終わらせた後だ」
P「蜂の巣……!」
SN-05艦長「そうか、土星圏以外ではまだ蜂の巣は観測されていなかったな。うむ……まあ、こちらに来るということはそういうことだ」
P「いえ、資料であればアルヴィスの更新履歴から映像記録で何度か」
SN-05艦長「まあ気負う必要は無い。キミなら対蜂の巣との戦闘も十分行える」
P「ありがとうございます」
SN-05艦長「さて……すぐホクドウに戻りたいところだが、ここからでもまだ3日は掛かる。すまんがそれまでは待機してもらえるか?」
P「了解です」
SN-05艦長「それじゃあ部屋を用意させる……三船少尉、彼の案内を」
美優「は、はいっ……」
……
…………
32:以下、
――ヴェールSN-05(通路)
シュッ
美優「……」チラッ
P「……」
美優「……」チラッ
P「……」
美優「……」チラッ
P「……あの、何か?」
美優「あ……い、いえ」
P「ちゃんと付いてきていますよ。艦内移動用のガイドコンベアは木星圏のヴェールにもありましたから」
美優「そ、そうですよね……すみません……」
P「……」
美優「……」チラッ
……
…………
33:以下、
――数分後、ヴェールSN-05(Pの借部屋)
パシュンッ!
美優「あの……こちらで、お願いします」
P「うちの整備士と共用でいいんですよね? 俺は手前のベッドにしようかなぁ……」フワッ
美優「……」
P「あっと、すみません……案内してくださってありがとうございます。えっと……」
美優「……あ、その、三船……美優、少尉です」
P「三船少尉、ありがとうございます。P少尉です、ホクドウに着くまでの間はよろしくお願いします」
美優「は、はい……えっと、何かあれば、いつでもご連絡して頂いて、構いませんので……」
P「ありがとうございます。他所の艦にお邪魔することはあまりなかったので助かります」
美優「……ずっと、木星圏に?」
P「たまに流れ着いてきていた蜂の対処に……っと、部屋の場所は覚えたので、そろそろ格納庫に戻ります。連れと荷物を持ってこないと」
美優「あっ……す、すみません、お邪魔してしまって……」
P「いえ、そんなことは……それでは、失礼します」フワッ
シュッ!
美優「……P、少尉」
……
…………
34:以下、
――数時間後、ヴェールSN-05(格納庫)
整備士「それにしても、ほら、部屋に来てくれてた三船少尉、可愛いですよねぇ」
P「ん? ああ……」カタカタカタッ!
整備士「ちょっと、聞いてます?」
P「聞いてる聞いてる」カタカタカタッ!
整備士「絶対聞いてないでしょ……何やってるんです?」
P「G1のバランサー調整だよ。主翼の裏側についてるスラスターの吹かし具合が左右でイマイチなんだ」
整備士「イマイチって……さっきの戦闘だって上手くやれてたじゃないですか」
P「立体機動に切り替えてドラウプニルを展開するときに少しもたついたんだ」
整備士「まあ……どうせホクドウに着くまでの間、僕も整備班に混じって作業することになりましたし、スラスターのほうもフィードバックしておきますよ」
P「頼むよ。さて……俺も仕事しなきゃ」カチャッ、カチャッ
整備士「どこ行くんですか?」
P「G1は整備してもらうとして、それまでやることないからってことで清掃班の仕事手伝うことになったんだ」
整備士「ずいぶんな雑用押し付けられましたね」
P「乗せてもらってる身だしそれくらいやるさ。それじゃ整備士、こっち頼むよ」フワッ
整備士「はいはーい」
……
…………
35:以下、
――1時間後、ヴェールSN-05(休憩所)
パシュンッ!
P「えっと、倉庫ブロック終わったら休憩所の清掃、あと浴場の清掃と消耗品交換と……」
「おっ、少尉じゃないか」
P「お疲れ様です。清掃にきました」
「おいおい、パイロットが掃除かよ? 俺たちの援護に来てくれたときの勇ましさはどこに行ったんだか」
P「タダ飯食らいよりは気楽ですから。それに、こっちの環境にも慣れておきたいですし」
「時間あるなら後でシミュレーターに付き合ってくれよ。少尉の機体の動かし方、参考にさせてくれ」
P「俺のでよければ。っとと、清掃のスケジュールも決まってるみたいだから急がないと……」
「悪い悪い。後で声掛けるよ」
……
…………
36:以下、
――更に1時間後、ヴェールSN-05(通路)
P「ちょっと遅れたな……浴場の清掃時間、ギリギリか?」フワッ
P「浴場……こっちか」シュッ
……
…………
37:以下、
――ヴェールSN-05(浴場)
パシュンッ!
P「ここか。さて、消耗品の交換から――」
パシュンッ!
美優「ふぅ……」
ピチャッ……
P「……」
美優「……」
P「……」
美優「……」
P「……失礼、また来ます」
美優「……ひっ――」
パシュンッ!
……
…………
38:以下、
――ヴェールSN-05(通路)
P「やべぇ……」シュッ
P「作業時間も押してるし……てか女性クルーの全裸見たとか下手すりゃ懲罰もんだぞ……」
P「とりあえず先に展望室の清掃に行くか……にしても」
P(ありゃ相当デカイな……)
……
…………
39:以下、
――数時間後、ヴェールSN-05(食堂)
P「……」モグモグ
美優「……」プルプル……
P(なんで飯のタイミングが被るんだよ……)
P「……」モグモグ
美優「……」プルプル……
P(しかもずっとこっち見てるし……てか身体震わせすぎだろ……いや、さすがにこっちから謝っておくか……)
美優「……」プルプル……
P「……すみません、先ほどは、その……清掃班の作業を手伝っていたので」
美優「……」プルプル……
P「あの、そんなプルプルされても……」
美優「……たか」
P「はい?」
美優「み……見ました……か……?」
P「……一瞬」
美優「っ!?」バッ!
P「いや、あの……一瞬過ぎてあまり記憶に残ってないし……まあ、残っている記憶も早めに消しておきます」
美優「……」
40:以下、
P「……それにしても、話し逸らしてしまうんですが、ヴェールでペースト食を食べたのは初めてです。味気ないけど、意外と食べれるもんですね」
美優「……土星圏では任務中は、いつキラー・ビーと戦闘になってもいいようにと……大量に所持できて、保存が効くペースト食が提供されているので……」
P「それじゃコロニーに寄らないと普通のご飯はないんですか。慣れるまではちょっと口が寂しくなりそうだなぁ……」
美優「お食事が……好き、なんですか?」
P「まあ人並みには。自分で作ったりもしますし……三船少尉は?」
美優「わ、私は……その……あまり、難しいものは作れませんけど……」
P「へぇ、でもこの仕事やってると自分で作る機会も減って物足りないですよね」
美優「そっ、そ……そうですよね。はい……」
P「ふぅ……ごちそうさま。それじゃあ三船少尉、これから格納庫に行く用事があるので失礼します」ガタッ
美優「あ……はい……」
P(色々言いたそうな顔していたけど、特に誰にも言わないでくれるって感じか……一応は謝ったけど、感謝しておかんと)
……
…………
41:以下、
――翌日、ヴェールSN-05(通路)
美優「あの……大丈夫ですか……?」フワッ
P「これくらいなら別に……使い古した配線や媒体も溜め続ければ箱2つ分にはなるか」ガサゴソ
美優「すみません、ブリッジの不用品の廃棄は私のお仕事ですけど……」
P「大丈夫ですよ。俺のほうが暇しているんで、雑用くらいはやります」
美優「……あの」
P「はい?」
美優「……」モゾモゾ
P「……」
美優「……」
P「……そういえば、三船少尉はずっと土星圏で任務を?」
美優「えっ……あ、はい。今年で3年目で……」
P「そうでしたか。俺はまだ2年目なので、何かあったら色々教えてください」
美優「はっ、は……はい……」
P(ちょっと不安だな……まあ悪い人じゃなさそうだし)
……
…………
42:以下、
――数分後、ヴェールSN-05(倉庫)
美優「えっと、ボックスへの廃棄は……えっと……」
P「こいつはこっちか。この配線は素材が……」ポイポイポイポイッ
美優「あっ、あの……分別……」
P「ああ、整備班の作業も少し手伝ったことありますし、知らない物じゃなかったら大丈夫です。っと……この媒体は?」
美優「あ、これは……上のボックスで……」
P「ほいっと、ありがとうございます」ポイッ
P「これで全部かな? それじゃあ戻りましょうか」フワッ
パシュンッ!
美優「……」
……
…………
43:以下、
――数時間後、ヴェールSN-05(Pの借部屋)
整備士「Pさーん」ゴロゴロ
P「んー?」ペラッ、ペラッ……
整備士「三船さん可愛くないですか?」
P「お前昨日もそんなこと言ってたな」
整備士「だってぇ……Pさんよく三船さんと仕事してるじゃないですか」
P「雑用だよ。なんだ、三船少尉と話したいなら呼べばいいじゃん。連絡したら来てくれるみたいだぞ」
整備士「え、ホントですか?」
P「ホクドウに着くまでの間に面倒見てくれるらしい。今日聞いたら経歴も俺の1個上だし……まあ、ちょっと頼りない感じだけど」
整備士「いやぁどうしようかなぁ……声掛けてみよっかなぁ」
P「何でもいいけど、仕事の邪魔にはなるなよ……」ゴロッ……
……
…………
44:以下、
――数時間後、ヴェールSN-05(格納庫)
パシュンッ!
P「ふぅ……こっちのシミュレーター、新しい筐体で動かしやすいですね」
「木星圏だとそうでもないのかい? こっちは任務中も時間があれば訓練だからな」
P「大変ですね……まあ、こっちだとそれくらいやら無いとダメってことですか……」
「そうそう。それより少尉の立体機動、あれどうやってんだ? OPFでもないのにあれだけ蜂の立体機動についていけるなんて、先読みでもしてるのか?」
P「いえ、戦闘中に予測軌道ルートを算出して機体の回避運動パターンを少し弄っています。あとは見たまま動けばなんとか」
「ってことは飛行中にコンソール叩いてるってことだろ? 腕2本しか無いのにどうやってんだか……」
「まあでもそこら辺は才能か。小関大尉も目で見て動けっつうし」
P「小関大尉?」
「土星圏きっての化け物パイロットだよ。単純に蜂との戦闘だったら、大尉がいてくれれば何とでもなるくらいだ」
P「へぇ……凄い人なんですね」
「凄いも何も、ありゃマジで化け物って言葉がしっくりくる人だ。S-01に所属しているから、機会があれば少尉も一緒にシミュレーター飛ばしてもらえばいい」
P「小関大尉か……そうですね。機会があればお願いしてみます」
……
…………
55:以下、
――ヴェールSN-05(通路)
P(さすがにここの人たちの操縦技術は高いな……コンビネーションマニューバも組んでもらってシミュレーターも動かせるし)フワッ
P「ん……」ピクッ
P(なんだ、俺の部屋の前に……)ササッ
美優「……」フワフワ
美優「……」チラッ
美優「……」フワフワ
美優「……」ハァ……
P(何やってんだあの人……ガイドコンベア掴んだまま部屋の前を右往左往して……)
P「あ、そうだ」
……
…………
56:以下、
――数十分後、ヴェールSN-05(食堂)
整備士「いやーすみません、S-01への僕たちの分の荷物も一緒に持ち出し申請出してもらっちゃって」モグモグ
美優「……いえ」
P「……」モグモグ
整備士「三船さん、ブリッジのオペレーターなんですよね? こっちでの任務はやっぱり大変ですよね?」
P「……」モグモグ
美優「まあ……」チラッ
P(意外とペースト食もいいな……次は器で渡されるものじゃなくて、チューブのやつも食べてみるか……)モグモグ
美優「……」ハァ……
整備士「それで僕たちが木星圏から来たときに……」
……
…………
57:以下、
――ヴェールSN-05(美優の部屋)
美優「……」
美優『あの……』
P『はい』
美優『……』
P『……はい?』
美優『あ……あっ、すみません……その、艦を助けて頂いて、その……』
P『安全航路圏での戦闘ですし、民間船が巻き込まれる前にと思ったので援護にきました』
美優「……はぁ」
美優「また言えなかった……」
……
…………
58:以下、
――翌日、ヴェールSN-05(艦長室)
SN-05艦長「S-01の黒井大佐には連絡している。SN-05もホクドウ帰還後はS-01へ異動する予定だっただから、キミたちの分の手続きも処理しておこう」
P「ありがとうございます」
SN-05艦長「大体はこちらに来る前に済ませているとは思うが、まあついでだよ」
P「……ヴェールの入れ替えをするということは」
SN-05艦長「前回のS-01の長期哨戒任務が厳しかったらしくてな、随伴機のヴェールが1隻中破してしまったらしい」
P「ヴェールが……」
SN-05艦長「よくあることだよ。それに、長距離レーダーによって中規模の巣がいくつか観測されている。ユミル艦隊も戦力補充が必要だろう」
SN-05艦長「キミなら上手くやれるだろう。S-01への正式配属後も頑張ってくれたまえ」
P「ありがとうございます」
SN-05艦長「私たちの艦の者も、一部はS-01配属に移る。三船少尉も異動予定だから、向こうでも何かあったら彼女を頼ってくれて構わんよ」
P「そ、そうですか……」
……
…………
59:以下、
――ヴェールSN-05(展望室)
P「……」
SN-05艦長『前回のS-01の長期哨戒任務が厳しかったらしくてな、随伴機のヴェールが1隻中破してしまったらしい』
P(……そうだよな、戦艦でも落ちるんだよな)
P「……」
『彼の両親は?』
『残念ながら……』
『……』
『そうか……いや、まったく残念だよ』
『中佐、ここからはオフレコでお願いしますが……1名……少佐のお子さんが奇跡的に……ですが、容態もよろしくないようで、いま研究中の……』
『何? 分かった、後でそちらさんとは話しておく……P君、非常に残念だが……どうだね? もしよければだが……』
P「……今度は俺が、ここまで来る番になったか」
パシュンッ!
美優「あ……」
60:以下、
P「ん……お疲れ様です」
美優「お、お疲れ様です……」
美優「あの、P……少尉、ここに……」
P「え、ああ、手が空いて時間を持て余していたので休憩をしていて……何かありましたか?」
美優「い、いえっ、そういうわけでは……」フワッ
美優「……あ、あの」
P「はい」
美優「あ……すぅ、す、好きな……こと……」
P「は?」
美優「……ち、違った……」
P「……最近はそうですね、ナシヤマ勤務だった頃は、休暇中は町をぶらついているのが好きでしたね」
P「あとは……G1に乗っているときかな」
美優「……グレイプニールに、ですか?」
P「別に、蜂と戦うのが好きってわけじゃないんですけどね。ただ、G1に乗って飛行していると……ああ、うちの親もここで仕事してたんだなぁって思って」
61:以下、
美優「ご両親も、軍に……?」
P「まあ、もう2人とも死んでしまったので」
美優「あっ、す、すみません……私……」
P「もう随分前のことだから別にいいですよ。俺も本当に小さかった頃ですから」
美優「……あの」
P「はい?」
美優「……あ、あの……たす、助けて、くださって……あ、ありがとうございます」
P「……」
美優「その……言おう言おうって……思って、いたんですけど……」
P「……」
美優「……」
P「……いえ、俺も間に合ってよかった。あのときはF型が1匹抜けてきたところでしたからね」
美優「わ、私も……ダメかなって、思っていたので……」
美優「だから……P少尉が、来てくださって……嬉しくて……」
P「……」
美優「あっ、やっ……その……あ、あぅ……」
P「ありがとうございます。次の戦闘でもなるべく上手くやれるよう頑張ります」
美優「……」モジモジ
……
…………
62:以下、
――翌日、ヴェールSN-05(Pの借部屋)
整備士「ホクドウに着きましたね」
P「何だかんだここで世話になったな」
整備士「入港手続きも一緒にやってくれたのは楽ですけどね。艦長には上手くやってくれって言われてるだけでしたし」
P「しかしあれだな、最初のとき以外は戦闘もなかったなぁ」カタカタカタッ!
整備士「まぁ、安全航路圏ですしね。でも他所だと戦闘はあるんじゃないですか?」
P「三船少尉から聞いたけど、さすがに哨戒宙域だと戦闘はあったらしい。所属艦じゃないしミーミル使えないのは不便だよな」
整備士「へー……そういえば三船少尉もS-01に異動って聞きましたよ」
P「あー、こっちの艦長さんがそんなこと言ってたなぁ。何かあったら少尉を頼れって」
整備士「お、ホントですか? ラッキー」
P「よかったじゃん」
63:以下、
整備士「やっぱいいじゃないですか。三船さん可愛いし」
P「華があるのも大事だな」カタカタカタッ
整備士「面倒見てくれる人が可愛いと嬉しいじゃないですか……って何やってるんですか?」
P「G1のバランサー設定の見直し」
整備士「またやってるんですか? いつも調整してますよね」
P「そりゃ自分が乗る機体だからだろ。俺にとっちゃコイツのほうが大事だよ」
整備士「そんな頻繁に調整する人なんてあんまり見ませんよ」
P「そうか?」
整備士「装備だって変わらないし、そんなに調子変わるもんなんですか?」
P「好きな奴ならこれくらいやるよ。データ後で反映させに行かないと」カタカタカタッ!
……
…………
64:以下、
――数時間後、ホクドウ、ヴェールSN-05(ブリッジ)
黒井『ようやく来たな、歓迎してやる』
SN-05艦長「相変わらず手厳しいな大佐は。哨戒任務での戦闘記録はアルヴィスで見させてもらった。中々大変だったそうじゃないか」
黒井『フンッ、小規模の巣が1つに極小規模の巣が3つだ。あとは雑魚の群れと、これくらいわけはない』
黒井『それに次は中規模の巣との戦闘だ。これくらいでもたついてはおれん』
SN-05艦長「まあそうだな……しばらくは世話になるぞ」
黒井『せいぜい落ちないようにな』
SN-05艦長「お互いにな」
「艦長、S-01にヴェールを収容しました。アーム固定完了しました」
SN-05艦長「うむ、艦制御はS-01に譲渡しておいてくれ。黒井大佐、あとで直接会おうか。そちらに行くウチの艦の者たちのことは頼むぞ」
美優「……」
……
…………
65:以下、
――ホクドウ、港(通路)
整備士「それじゃPさん、僕は整備班のほうに招集掛かってますから」
P「ああ、俺は部隊のほうに行かなきゃならん。時間が合えばどこかで顔合わせるか」
整備士「そうですね。それじゃ、先行きます」フワッ
P「……さて、俺はヴェールのメンバーとは別口で艦長室に行くんだったか」
美優「P……少尉」フワッ
P「ん、三船少尉。お疲れ様です」
美優「お、お疲れ様です……あの、いまからS-01に移動ですよね?」
P「はい。三船少尉はブリッジに向かうんですよね」
美優「ええ……あの、場所、分かりますか……?」
P「え? まあユミルに乗ったことはありませんけど、場所くらいなら……」
美優「あっ、案内……案内します」
P「いや、別に艦構造なら……」
美優「あ、案内……! Pさん、迷ってしまったら困りますし……」
P「……それじゃあ、お願いします」
美優「は、はいっ!」
……
…………
66:以下、
――数分後、ユミルS-01(通路)
P「それじゃ俺は艦長室に行くので、ここで大丈夫です」
美優「そ、そうですか……それじゃあ、私はブリッジに行くので……」
P「……」
美優「では、失礼します……」フワッ
P「……三船少尉」
美優「はっ、はいっ!」ビクッ!
P「俺は……こっちの事情はあまり詳しくないので、何かあったらまたよろしくお願いします」
美優「……はい、こ、こちらこそ……お願いします」
P「それじゃあ、失礼します」シュッ
美優「……よろしく……よろ、しく……」ボソッ
……
…………
67:以下、
――数分後、ユミルS-01(艦長室)
黒井「……」
P「……」
黒井「ヤツのところのガキか……」
P「P少尉です。よろしくお願いします」
黒井「せいぜい死ぬ気で任務に当たることだ。貴様が思っているほど土星圏での戦闘は甘くはない」
P「了解です」
黒井「あと貴様の配属する部隊は新設されたばかりのところだ。不本意だが、ここに来たからには成果は出せ」
P「分かりました。あの、黒井大佐」
黒井「なんだ」
P「ここに来る前に、大佐から言伝を預かっていましたので」
黒井「ヤツから? なんだ、わざわざ貴様を使って」
P「えっと……しり、だったかな。その二文字で分かると言われたんですが」
黒井「きっ、き、き……貴様ああああああ!!」ガタッ!!
68:以下、
P「な、なんですか!?」ビクッ!
黒井「何を知っている……何を知っているうううう!!!!」
P「いえ、何も! それ以上何も聞かされていませんから!!」
黒井「あの男がああああああ!!!!」ガタガタガタッ!!!!
P(な、なんだよ……)
ピピッ!
黒井「ああああああ!!」ブンブンブン!!
P「黒井大佐、コールが鳴っています」
黒井「なんだ」ピッ!
P(この人切り替え早いな……)
『艦長、高垣です』
黒井「来たか。入れ」
『失礼します』
パシュンッ!
69:以下、
「……」フワッ
P「……」
「……」チラッ
黒井「この前話した件だ。そこにいるガキがラピッドストライカー隊に配属される。艦周りと雑務については適当に面倒を見てやれ」
「この前の……分かりました」
黒井「高垣中尉だ。貴様がここにいる間、色々教わっておけ」
楓「高垣楓……中尉です」
P「P少尉です。よろしくお願いします」
楓「はい……こちらこそよろしくお願いします」
……
…………
70:以下、
――ユミルS-01(通路)
楓「……」フワッ
P「……」フワッ
楓「……」
P「これからどこに?」
楓「あっ……えっと、まずは住居ブロックへ……」
P「分かりました」
楓「……」
P「……」
……
…………
71:以下、
――ユミルS-01、住居ブロック(Pの部屋)
P「1人1部屋なのか……」
楓「パイロットとブリッジ要員は……他班は相部屋だったりしていますけど……」
P「そういえば、中尉もラピッドストライカー隊なんですか?」
楓「そう……ですね。えっと……なんでしたっけ……」
ピピッ! パシュンッ!
「オート・クレール社と黒川重工で作った試作兵装のテスト運用をする部隊ですっ!」
P「ん?」クルッ
菜々「ハートウェーブピリピリーンッ! っと、そのラピッドストライカー隊の隊長がこの私!」
菜々「ウサミン星から地球を守るためにやってきたウサミン星人!」
菜々「ナナでーすっ☆」ビシッ!
72:以下、
P「……」
菜々「キャハッ☆」
P「…………」
菜々「……」
P「………………」
菜々「……あの、顔が徐々に作画崩壊したみたいに崩れていくのやめてくれませんか?」
P「……はっ、し、失礼しました」
菜々「えーっと……安部菜々中尉です」
P「……P少尉です。隊長、これからよろしくお願いします」
菜々「隊長……」
P「はい。木星圏から来たばかりですが……」
菜々「隊長……隊長……たいちょう……」ジーン……
P(何だこの人……)
73:以下、
楓「あの……菜々ちゃん……?」
菜々「ハッ!? そ、そうでした……ええっと、P少尉、部隊のお話しは後でナナのほうからしますので……」
P「はぁ……そうですか」
菜々「ちょっとナナはこれから急いで黒川重工のところに行かなきゃならないので、それではウサミンは失礼しまーす☆」フワッ
パシュンッ!
P「……」
楓「……」
P「あの、あの人なんで制服の上からエプロン掛けてるんですか?」
楓「そういう人ですから」
P(いいのか……?)
……
…………
74:以下、
――ユミルS-01(休憩所)
楓「報告書のフォーマットは転送したもので……必要ならある程度、崩して大丈夫ですので……」
P「ミーミルの利用申請はどうすればいいですか?」
楓「えっと……艦の共有ローカルに申請台帳があるので、それで……場所は、ブリッジか資料室で……」
P「そうか、ユミルだから資料室があるのか……了解です」
「高垣中尉!」
P「ん?」ピクッ
楓「あ……はい」
「休憩中ですか? こっちに来るなんて珍しいですね」
楓「あ……そうですね」
P「……」
75:以下、
「ん? 中尉、こいつは……?」
楓「あ……P少尉です。本日付で配属されましたので、色々艦のことを教えているところで……」
「へえ……」
P「P少尉です。よろしくお願いします」
「パイロットか。あまり中尉に迷惑掛けるんじゃねえぞ」
P「了解です」
「それじゃ中尉、失礼します」フワッ
P「中尉、いまの方は?」
楓「さあ……」
P「えっ」
楓「たまに話しかけてくる人なんですけど、私もどなたかは……」
P「……」
77:以下、
楓「えっと……あとは、提出書類は、私のほうに回して頂ければチェックしますので……」
P「そうですか……ん、中尉が?」
楓「はい」
P「あれ、ラピッドストライカー隊の部隊長は安部中尉じゃあ」
楓「試作兵装のテストで……稼動データ収集のためのオペレーター業務も、私がやることになっちゃったので……そのついでみたいです」
P「そ、そうですか」
楓「……私のほうからは、以上ですが……何も、ありませんよね?」
P「とりあえずは……大丈夫です。何かあったらまた聞きます」
楓「そうですか。それじゃあ、今日はこれでおしまいで……」ガタッ
P「はい。ありがとうございました」
楓「……」フワッ
P(……物静かな人だな)
……
…………
78:以下、
――ユミルS-01(格納庫)
菜々「というわけでぇ、部隊運用の内容について説明しちゃいまぁす☆」
P「はぁ……」
菜々「だから顔面作画崩壊気味に反応しないでくださいって」
菜々(この人ふざてもノッてくれないタイプですね……)
菜々「えっとですねー……ちょっとお話しはしましたけど、ラピッドストライカー隊は新兵装のテスト運用をする部隊になります」
菜々「これはオート・クレール社がグレイプニールの開発ノウハウをある程度蓄えることが出来て、兵器開発のほうに手を出せる余裕が出てきたからです」
菜々「いまは次世代型のグレイプニールの開発が進行しているようですけど……まあそれに合わせた新兵装が色々考案されているみたいで」
菜々「ナナたちのほうでテストした兵装の評価により、今後のグレイプニールに搭載される武器の仕様がある程度変わるというわけです」
P「……思ったより重要ですね」
菜々「はい! 特に次のグレイプニールは黒川重工とある程度連携して開発している部分があるようです」
菜々「それにあわせて兵装のテストをするわけなので……まあまあ色んなものが送られてくるらしいです」
菜々「とはいえ、現行の部隊や小隊でテストすると他との連携が取り難くなって戦術プランを変えざるを得なくなるのも事実!」
菜々「そこで菜々が部隊長のラピッドストライカー隊を新設して、そこでテストしようって話しなんですよぉ!」
P「なるほど。分かりました」
79:以下、
菜々「で、で、で! 黒井大佐から聞いてたんですけどぉー」ススススッ
菜々「P少尉って新人の中でも結構デキるって評判らしいので、ナナとしても色々期待しちゃうんですけどぉ??」
P「ま、まあ……期待に応えられるよう頑張りますので……」
菜々「まぁー、ナナもOPFでの戦闘はそこそこ覚えがありますので、まぁまぁいざとなったら隊長を頼りにしちゃってください♪」
P「OPFに乗っているんですか? それは……凄いですね」
菜々「1.5世代はまだちゃんと配備されきってないですからね。実はナナもテスト部隊に選ばれたっていうことで、今回新しく貰っちゃったんですけど……」
菜々「まあまあ、とりあえずお話しすることはしたので……せっかく格納庫に来たのでちょっとシミュレーター動かしましょうか」
P「シミュレーターですか!」
菜々「う、嬉しそうに言いますね……」
P「いえ、こっちに来るまでの間にG1の設定を色々弄っていたので、具合を見ておきたいと思っていたんですよ」
菜々「それじゃあシミュレーターの準備しましょうか」イソイソ
……
…………
80:以下、
――仮想戦闘空間
菜々「それじゃあ、最初はキラー・ビーの出現設定は1匹にしているので、コンビネーションマニューバはI02で行きましょう」
蜂「……」ギュンッ!
P『了解です。軌道ルートを予測します。予測後弾幕を展開し、グラムで牽制します』カタカタカタッ!
P『ミョルニル発射……!』ボシュシュシュッ!
蜂「……!」ギュンッ!
菜々「それじゃあナナはこのタイミングで前に出て……」
P『そこだっ、グラム!』ズドォッ!!
蜂「……」ブブ、ブ……
ドガアアアアアアンッ!!
菜々「えー……」
P『前回の戦闘データのおかげでルート計算が早くなったな……やっぱり7匹纏めて戦闘すると向こうの飛行パターンも色々出てくるか』
81:以下、
菜々「あのー……P少尉?」
P『はい』
菜々「えーっと……ま、まぁ、1匹ですし開幕射撃で撃破することもありますよね! F型とS型1匹ずつ出しましょうか」カタカタカタッ
P『マニューバはどうしましょうか』
菜々「I05でいきましょう。ナナが1匹落としますので、P少尉はその間はもう1匹をひきつけておいてください」
ピッ!
蜂「……」ギュンッ!
蜂「……」ギュンッ!
P『了解です。先頭のS型を引き離します』ギュンッ!!
蜂「!!」ギュンッ!
P『グラム発射! S型はさすがに早いか……ミサイル相手に遊んでもらう……!』ボシュシュシュッ!
蜂「……!」ブブブゥゥゥンッ!
82:以下、
菜々「P少尉がS型を引き離してくれたうちにF型を撃破しますよ! それまで持たせてくださいね!」ギュンッ!
P『了解です』
菜々(高機動のS型との戦闘で1対1はグレイプニールだと逃げ回るしかないから……ここでナナがF型をさくっと落として!)
ギュオオオオオオッ!!
蜂「!」ギュンッ!
菜々「F型ならナナでも!」ズドォンッ! ズドォンッ!
蜂「……!」ブブゥゥンッ!
菜々「立体機動の距離に入られる前にぃ!」ギュンッ!
ズドォンッ!
蜂「……!?」ギュンッ!
ドガアアアアアンッ!!
菜々「よぉーし、P少尉! こっちは片付きましたのでいまからそっちいきますね!」
P『了解です。だが……これで終わりだ!』ドガガガガガッ!
ドガアアアアンッ!!
菜々「ってええええええっ!?」ギュンッ……
……
…………
83:以下、
――1時間後、ユミルS-01(格納庫)
菜々「……」ズーン……
P「S型とは2、3回しか戦闘経験が無かったけど、これまでの戦闘データが使えてよかったな……」カタカタカタッ
P「足がいだけでやってくることはF型とは一緒だし、あとは機体のレスポンスが……」
菜々「ナナでもF型1匹なら1人で倒せるのに……麗奈ちゃんもスゴイって褒めてくれたのに……」ブツブツブツ……
P「中尉、4回目のシミュレーター起動で動いたS型ですけど……」クルッ
菜々「P少尉はまだ2年目なのに……ナナは隊長なのに……隊長……隊長……」ブツブツブツ……
P「中尉?」
菜々「なんですか」グルンッ!
P「いや、あの4回目のS型の……」
菜々「あっ……すみません、えっと……なんでしたっけ?」
麗奈「ん、菜々アンタ何やってんの?」
84:以下、
菜々「あっ、麗奈ちゃん」
麗奈「シミュレーターやってんの。まあ次の作戦もあるしね……ってコイツ誰?」チラッ
菜々「P少尉ですよ。今日からラピッドストライカー隊に来てもらいました」
P「P少尉です。よろしくお願いします」
菜々「この人は小関麗奈大尉ですよ。すっごいパイロットなので少尉も色々教えてもったらいいと思いますよ」
P(小関大尉か……SN-05で話に聞いた人か)
麗奈「アンタが大佐の……まあいいわ、アタシこれから本部行かなきゃダメだからまた今度ね」
菜々「あれ、そうなんですか?」
麗奈「客が来てんのよ。作戦前だからアタシも遊びたかったけど、まー黒井に言われたから行かなきゃなんないのよ」
菜々「大変ですねえ」
麗奈「んっとに……菜々あとでシミュレーターに付き合いなさいよ」
菜々「ナナは大丈夫ですけど……」
麗奈「それじゃアタシ行くわ。またね」フワッ
P「お疲れ様です」
……
…………
91:以下、
――数時間後、ユミルS-01(Pの部屋)
P「最初から手こずると困るし、週報は少しずつ書いていくか……面倒だな」カタカタカタッ
P「それにしても新しい小隊か。新兵装のテスト運用とか……というか、だから俺に来るときリニアカノン持たせたのか」
ピピッ!
P「ん? メールか」カタカタッ
P「三船少尉からか……」
『P少尉、新しい配属先はどうですか? 私のほうは早オペレーター用のマニュアルを渡されて机上シミュレーターを実施しました』
『明後日からは観測されていた蜂の巣の攻略が始まるようなので……P少尉も今日から訓練でしょうか? 頑張ってくださいね』
P「律儀な人だな。返信しておくか……何書こうか」
P「……」カタカタカタッ
……
…………
92:以下、
――ユミルS-01(美優の部屋)
ピピッ!
美優「あっ……P少尉からメール……」カタカタカタッ
美優「……メール、この時間に返してもらえたなら……もう、グレイプニールの訓練も終わっているのかしら」
美優「……」カタカタカタッ
美優「……」カタカタカタ……
美優「すぐメール返すの、悪いかしら……P少尉も、疲れていたら……やめておこう、かな……」
美優「……ふふっ」
……
…………
93:以下、
――ユミルS-01(美優の部屋)
ピピッ!
美優「あっ……P少尉からメール……」カタカタカタッ
美優「……メール、この時間に返してもらえたなら……もう、グレイプニールの訓練も終わっているのかしら」
美優「……」カタカタカタッ
美優「……」カタカタカタ……
美優「すぐメール返すの、悪いかしら……P少尉も、疲れていたら……やめておこう、かな……」
美優「……ふふっ」
……
…………
94:以下、
――ユミルS-01(楓の部屋)
楓「はぁ、新しい人のお世話なんて……すぐ覚えてくれる人ならいいけれど……」
楓「はぁ……知らない人と話すなんて……」
楓「はぁ……」
楓「菜々ちゃん、通常業務の分も私の代わりに教えてあげてくれないかしら……」ハァ……
楓「はぁ……」
カシュッ!
楓「はぁ……」ゴクゴクゴク
楓「はあああああ……」
……
…………
95:以下、
――翌日、ユミルS-01(格納庫)
パシュンッ!
菜々「いやー、P少尉の援護がイイ感じなのでナナも動きやすくて助かりますねー♪」
P「安部中尉のマニューバがとても良いのでこちらも合わせやすくて助かりました。それにしてもこの誘導ミサイルも中々便利ですね」
菜々「外付けですからミョルニルと一緒に弾幕にも使えますからねー」
P「機体バランスが調整し直しなのがちょっと面倒なんですけどね……まあでも、選択肢が増えるからこっちのほうがいいか……」
菜々「次のグレイプニールは場面や用途に合わせて、今よりも色んな武装選択をできるようにする話もあるみたいですね」
P「基本性能もうちょっと上げてくれると嬉しいんだけどな……立体機動はまだリスクも高いし」
菜々「そこは仕方が無いですよねー。麗奈ちゃんも立体機動はやりやすくしろーって文句言ってますけど」
P「まあないものねだりをしても……っと、そういえば今日はホクドウの町に行くんでしたよね?」
菜々「あー、P少尉はこっちに来たのも初めてってことですからね。午後の半休時間にでもと……だけどナナ、この後ちょーっと別件がありまして……」
菜々「前までいた小隊の引継ぎが全部終わってないのでそれの消化が……上からも早くやっとけって言われちゃって」
96:以下、
P「それなら1人で行ってきますよ。まあ、本部の場所くらいは覚えておきたいですし」
菜々「ああっ、そんなことはさせませんよ! 一応楓さんに連れてってもらうようお願いしているので、一緒に言ってきてください」
P「高垣中尉か……」
菜々「ありゃ? 楓さんとじゃ嫌ですか?」
P「いや、そういうわけじゃないんですが」
菜々「あー……楓さん、ちょっと人見知りしちゃう人ですからね」
P「まあ、いまのうちにある程度話してもらえるようにはしておきたいので……」
菜々「それなら良い方法がありますよ!」
P「え?」
菜々「うーん、うーん……それじゃあ本部の場所の確認が終わったらナナに連絡ください。そのときにナナのほうからちょーっと話してあげますから」
P「はぁ……?」
……
…………
97:以下、
――数時間後、ホクドウ、軍管区(車内)
楓「そこの道に入ってください」
P「こっちですね」
楓「……あの、車」
P「え? ああ、一応自分で動かして道覚えておきたかったので、大丈夫ですよ。それにレンタカー代は安部中尉が出してくれましたし」
楓「……」
P「あぁ、この直線に入ったら本部まで1本道か……なるほど、分かりました」
楓「大丈夫……ですか?」
P「大丈夫です。ありがとうございます」
楓「いえ……」
P「っと、そうだ安部中尉に連絡しないと」ピピピッ!
98:以下、
菜々『はーい、ナナでーす☆』
P「Pです。安部中尉、いま本部前に着きました。この後はホクドウにある町の専用区画に行こうかとは思っていますが……」
菜々『あーそうですか。そこ立ち寄るならもう夕方頃になりますよね? ついでにP少尉の歓迎会しましょうか』
楓「え……」
P「歓迎会? いえ、あの、作戦前なのですが……」
菜々『作戦前だからですよぉ。明日からまたペースト食しか食べれませんし、パーッとやりましょうよパーッと!』
楓「あの……菜々ちゃん……」
菜々『てわけで楓さん、やることやったらP少尉をオススメの居酒屋に連れてってあげてください。ナナも後で行きますから』
楓「でも、その……」
P(めっちゃ面倒臭そうな顔しとる……)
99:以下、
菜々『ほらほらぁ、ラピッドストライカー隊の新設祝いも兼ねて飲みましょうよ。ナナが全部おごっちゃいますから』
楓「おごりですか」ガバッ!!
P「うおっ」
菜々『せっかくですし、ドーンとナナに任せちゃってください! あ、でもあまり高いお酒は……』
ガシッ! ピッ!
楓「P少尉、行きましょう」
P「えっ」
楓「早く、用事を終わらせて……飲み……歓迎会をしましょう」
P「いやあなた飲みたいだけじゃ……」
楓「さあ、ほら、早く……」グイッ!
P「は、はぁ……」
……
…………
100:以下、
――ホクドウ(工業ブロック)
P「ここは……区分けされている場所じゃないんですね」
楓「元々は他のコロニーとシティの作りは一緒だったみたいですけど……土星圏で軍の関係者も多いので、一部区画が居住ブロックと工業ブロックに分かれたみたいです」
P「まあ確かに、奥に見える施設はナシヤマでもあったな……」
楓「あとは工業ブロックの先にはオート・クレール社と黒川重工があります。もしかしたら……部隊の都合で行くことがあるかもしれませんけど」
P「新兵装のテスト関係であれば機会があるかもしれないですね。了解です」
楓「さて……もういいですよね? こっちのコロニーにある専用施設の場所とかは分かりましたよね?」
P「まあ、大体は……」
楓「それじゃあ行きましょう。ほら、今すぐに」
P「え、どこに?」
楓「飲み屋です。私の行きつけの場所がありますので」
P「あ、ああ、その話し……分かりました。場所教えてください」
……
…………
101:以下、
――夕方、ホクドウ、居住ブロック、居酒屋『世紀末歌姫』
楓「ビールでいいですか?」
P「あ、大丈夫です」
楓「それじゃあおじさん、生中2つに焼き鳥の盛り合わせと、枝豆、土星揚げ、あとトマト」
P「……随分テンション高いですね」
楓「……」ハッ!
「はいよ生中2つ」ゴトッ、ゴトッ!
楓「……」ゴクゴクッ
楓「……そうでしょうか」
P(戻った……)
P「いやぁ……飲むの、好きなんですか?」
楓「……それなり、です」ゴクゴクッ
P「そうですか。この土星揚げってどんな料理なんですか?」
楓「えっと……なんて言えばいいんでしょう……火星丼の親戚みたいな……ご飯の無い火星丼というか……」
P「へぇ……中尉は好きなんですか?」
楓「ここに来たらよく頼みます。あとは……やっぱり焼き鳥と……」
P「居酒屋来たら焼き鳥は結構頼みますよね」
楓「そ、そうですよね。あとは……」
……
…………
102:以下、
――数十分後
楓「3軒先にあるお店は、ここと同じ値段なのに付いてくるフライが2枚も少ないんですよ。ヒドイと思いませんか?」ゴクゴクッ
P「そ、そうですね……近場でそれだけ違うと行きにくいお店になりますよね……」
楓「そうなんです。お酒の種類もここと変わらないし……悪いお店なんです、あっちは」ゴクゴクッ
P(この人よくもまぁ居酒屋の話しだけでこうぺちゃくちゃ喋り続けられるな……)
楓「ホント、料理も出てくるのが遅くて冷めちゃっているものもあって……きっとお店の懐も冷え冷えなんですよ」ゴクゴクッ
P(うわぁ……)
楓「P少尉もそう思いますよね?」ズイッ!
P「は、はい……まあ酷い店ですね……」
楓「本当にそうなんです。あ、すみません生おかわり」
P「すみません、つくねも」
「へい」
楓「P少尉、飲んでますか? せっかく菜々ちゃんがご馳走してくれるんですから、たくさん飲まないと失礼ですよ」
P「は、はい。そうですね、いまのグラス空にしたらもう1杯頂きますので」
P(安部中尉、早く来てくれ……!)
……
…………
103:以下、
――ユミルS-01(格納庫)
菜々「あのー……まだ上手くいきませんかね?」
「すみません中尉、中尉が担当していたマニューバの部分がどうも……もう1回お願いします」
菜々「い、いえいえ! 戦闘で手間取ったら大変ですもんね! ナナもバッチリ教えちゃいますよ!」
菜々(P少尉、今頃楓さんと2人で大丈夫でしょうか……)
「よーしお前ら、菜々さんが付き合ってくれるそうだぞ。もう1回だ!」
「うーっす!」
菜々(ああ……居酒屋の楓さん……ダメですよね、P少尉……すみません)
……
…………
104:以下、
――数時間後、ホクドウ、居住ブロック、居酒屋『世紀末歌姫』
ピピピッ!
P「メール……安部中尉からか」ピッ!
『すみませえええええん!! いま引継ぎ終わったんですけどもう遅くなっちゃったので歓迎会はまた今度にしましょう……』
P「ええええ……ここの支払いどうすんだ……」チラッ
楓「……ねぎま……追加……あと、生も」ゴクゴクッ
P(ありゃダメだわ……)
P「まあそろそろ引き上げるか……高垣中尉、安部中尉が来れないそうなのでそろそろ帰りましょう」
楓「んー……ぅ」ブツブツ
P「飲みすぎなんだよ……すみませんおじさん、お会計お願いします」
「おうよ」
P「……俺払うか」
……
…………
105:以下、
――ホクドウ(ショッピングモール)
P「くそー……レンタカーは返しちまったし、こんなときにタクシーも見かけないし……」
楓「P少尉、もう1軒……もう1軒行きましょう……」グイッ!
P「ちょ、ちょっと肩貸してるのに引っ張らないでください」
楓「いえいえぇ、私は肩は借りていないです。返すときに痛そうなので……」フラフラ
P「どんだけ飲む気だよ……ほらほら、碌に歩けてない状態でこれ以上飲むと明日に響きますよ。二日酔いなんて嫌でしょう?」
楓「飲みすぎて二日酔いから酒っと立ち直れなくなる……なんて」フヒッ
P「んな下らないこと言わなくてもいいですから。ほら、ちゃんと歩いて……」
楓「……」ピタッ
P「中尉?」
楓「……ぷっ、う……っぷっ、うっ……」ガク、ガクガク……
P「ん? お、おい……まさか……」ビクッ!
楓「うぼぉろろろろろげええええええ!!!!」ビチャビチャビチャビチャッ!!
P「うぐおおおおおおおっ!?」
……
…………
106:以下、
――数十分後、ホクドウ(広場)
楓「……」ズーン……
P「あの、これどうぞ、水……」
楓「……」ズーン……
P「……大丈夫ですか?」
楓「……すみません、その、服……汚して」
P「いや、まあ半休で私服だったから別に……」
楓「そ、そうだ……あの、の、飲み代のお金……」ゴソゴソ
P「いや、あの、ゲロ触りまくった後の手でお金渡されても……」
楓「そっ、そうですよね……」ガーンッ!
P「あ、しまった……」
楓「そうですよね……タダ飲みだからって調子に乗って飲みすぎて吐いちゃうような人のお金なんてもらいたくないですよね……」
P「いや、あの……」
楓「……」グスッ、グスッ……
107:以下、
P「……その、高垣中尉がすごく楽しそうに飲んでるから、まあ俺もいいかなと思ったので」
楓「でも……P少尉の、歓迎会で……」
P「いやぁ、俺の歓迎会でそんなにたくさん飲んで色んな話しをしてくれたじゃないですか! ほら、高垣中尉、昨日はまだどんな人なのかなーと思っていたんですけど」
P「今日の中尉を見て、中尉となら楽しく仕事やれるかなって思いましたよ」
楓「……調子に乗ってゲロを吐いちゃうような女もでも、ですか?」
P(あ、ああ言えばこう言う……)
P「ま、まあほら、今日1日でゲロをかけても気にならないくらい親睦を深めたということで俺は全然……」
P(俺は半休潰してゲロを掛けられた上に一体何を言っているんだ……)
楓「……」ピタッ……
P「だからまあ、私服1着くらいは……どうせ普段は制服ですし」
楓「……そ、それじゃあ……許して、くれますか……?」
P「まあまあ、これくらいは気にしませんよ」
P「それに困ったときは俺のほうが頼らせてもらいますから、これくらいはもう……むしろどんどん吐いちゃっても構いませんので」
楓「いえ……あの、それはさすがに……」
P「は……はは……」
P(まあ……とりあえず昨日の感じから更にテンション低くされても困るし……まあいいか……)
……
…………
108:以下、
――ユミルS-01(通路)
P(臭いはだいぶ消してから戻ってきたけど大丈夫だよな……まあ後でちゃんとやるか)
P「あ、お疲れ様です」
楓「お疲れ様……です」
「お疲れ……ってお前、何か少し臭うぞ……」
楓「あ、あの……それは私……」
P「いやすみません、実は隊の歓迎会をやってもらったんですけど、飲みすぎてやらかしちゃって……」スッ
「っとに……大丈夫ですか中尉」
楓「は、はい……」
「お前、あまり高垣中尉に迷惑を掛けるなよ」
P「はい。気をつけます」
「まったく……」
109:以下、
――数十分後、ユミルS-01(Pの部屋)
パシュンッ!
P「はぁ……まさか異動早々にゲロの洗礼を浴びせられるとは……まあ、中尉は取っ付き難かったし、これでちょっとは話せるようになればいいか」
バサッ!
P「くせぇ……さすがに服は捨てるか……後はシャワーでも浴びておくか……」ピッ、ピッ
カタカタカタッ!
P「安部中尉は何やってたんだろうか……」
ピピッ!
P「ん、メール着てたのか……安部中尉のメールしか見てなかったけど、誰からだ?」カタカタッ
P「三船少尉からか……」
『あの……今日は、午後は半休ですよね。その、P少尉はホクドウに来たのは初めてだと思いますから、施設の案内をしようと思っているんですけど、午後は大丈夫ですか?』
『規模が違うので軍管区の場所も他とは違いますし、こっちのコロニーにしかない施設もありますから、それも一通り場所を教えますので……終わったとは食事をしませんか?』
P「しまった、せっかく誘ってくれたのに悪いことしたな……隊のほうで施設の案内はあったけど、謝っておくか」カタカタカタッ
ピピッ!
P「はぁ……疲れた。シャワー行くか……」
パシュンッ!
……
…………
110:以下、
――ユミルS-01(美優の部屋)
ピピッ!
『すみません、隊のほうで本部や施設の案内があって……歓迎会のほうもして頂いていました。連絡が遅くなってすみません』
『明日辺り、時間が合ったら食堂で一緒に食べましょうか。俺のほうは午後一は休み時間みたいなので、その時間は食堂に行ってます』
美優「P少尉……部隊のほうで、先約……あったのね……」
美優「でも……明日の午後は、私もお昼休みだから……」
美優「食堂……明日、お昼はすぐ行かないと……」
……
…………
111:以下、
――ユミルS-01(楓の部屋)
ボフッ!
楓「……」
楓「……」ゴロゴロ
P『ま、まあほら、今日1日でゲロをかけても気にならないくらい親睦を深めたということで俺は全然……』
楓「……P少尉……怖い人じゃなさそう、ね」
楓「……」ゴロゴロ
楓『……そ、それじゃあ……許して、くれますか……?』
P『まあまあ、これくらいは気にしませんよ』
楓(怒鳴られたらどうしようかと思ったけど……良い人そう、かも……)
楓「……」スンスン
楓「……とりあえず、シャワー浴びないとダメね」スンスン
……
…………
112:以下、
――翌日、ユミルS-01(格納庫)
P「旋回砲塔機銃か……」
菜々「試作品の1つですけど、近中距離用の装備ですねぇ……どうせなら接近戦に合わせてスラスターも増設してくれればいいんですけどね」
P「まあドラウプニルと併用して近接戦闘時に上手く立ち回るしか……」
菜々「まだ他にも装備あるんですけどね。ちょっと一気に積むと機体バランスの調整も大変ですから少しずつやりましょう」ピッ、ピッ、ピッ
黒井『これより艦は中規模蜂の巣攻略作戦を開始する。各自巣との遭遇予定ポイント到達までに作戦概要を叩き込んでおけ』
菜々「あら、艦内放送」
P「出航か……ていうかこんな適当でいいのか……」
菜々「まあ黒井大佐ですからね。作戦内容覚えておかないと困るのは自分たちですし、みんなやることはやりますよ」
P「まぁ……指定宙域ポイントまでの移動中はどうしているんですか?」
菜々「移動中に何度かは蜂との戦闘も起きるでしょうし、主力の隊は温存しつつ進行ですね」
P「俺たちの出番ってあるんですか?」
菜々「一応移動中の戦闘にはなるべく出撃するように編成してもらっているので、ナナたちは本番までの間頑張りましょう!」
P「移動中の戦闘か……まあ試作兵装担いだまま本作戦に参加するのも難しいか……?」
菜々「そんなものですよ。まあラピッドストライカー隊の初めての作戦ですから、頑張りましょうね!」
P「了解です」
……
…………
113:以下、
――数時間後、ユミルS-01(食堂)
P(ホクドウを出てしばらく経ったか。資料室っでミーミルを触ったが、別宙域では今日も戦闘があったみたいだが……)
「ちょっと、食券は?」
P「あ、すみません。お願いします」
「はいよ。B食ね」
P(ペースト食……SN-05でも食べたが、しばらくはこれか……)
楓「あら、P少尉?」
P「高垣中尉……お疲れ様です」
楓「お昼ご飯ですか?」
P「はい。安部中尉と交代で……ブリッジのほうはどうですか?」
楓「いまは交代で休憩時間を取ってて……あの、昨日は……」
P「あ、いえいえ。昨日のことは別に……っと、後ろの邪魔になるか。それじゃあ失礼します」
楓「あ……はい」
……
…………
114:以下、
――ユミルS-01(食堂)
美優「……」キョロキョロキョロ
美優「あ……」
P「……」モグモグ
美優(P少尉、別の配給場所にいたのね……急いで行けば間に合うかも……)
「食券出してください」
美優「あっ、す、すみません……これで……」
……
…………
115:以下、
――ユミルS-01(食堂)
楓「……」ボー……
「食券出してね」
楓「あ、はい」
楓「……」
楓(一緒に食べる人いない……)ボー……
楓(そうだ……P少尉のところに行けば……)
楓「どこの席に座ってるのかしら……」
……
…………
116:以下、
――数分後
美優「……」
楓「……」
P「……お疲れ様です」
美優「は、はい……あ、えっと……お疲れ様です、高垣中尉……」
楓「お疲れ様です」
P(ん?)
P「お2人とも顔見知りですか?」
楓「お互い作業場はブリッジですから……挨拶もしましたし……」
美優「そ、そうですね……あの、P少尉は、高垣中尉とは……」
P「同じ隊なんです。ラピッドストライカー隊ってところで」
美優「お、同じ部隊……ですか……」
楓「あの……P少尉」
P「はい?」
楓「ご飯……一緒に食べても、いいですか?」
P「え?」
楓「その……一緒に食べる人が、いなくて……」
P「そ、そうなんですか……」
楓「たまに、知らない人から声を掛けてもらえることもあるんですけど……知らない人は怖くて……」
P「は、はぁ……まあ、それなら……三船少尉も一緒に食べますか?」
美優「ぅぇえっ、わ、私……」チラッ
楓「……」ボケー……
美優「は、はいっ、それでは……し、失礼します……」
……
…………
117:以下、
――数分後
美優「……」チラッ
楓「……」モグモグ
美優「……」モグモグ
楓「……」チラッ
P(この2人お互いのトレーの中を覗き見してやがる……なんなんだ……)
P「……た、高垣中尉は何を頼んだんですか?」
楓「ゼリー食です。お味噌汁味の」
美優「へぇ……」
楓「……」モグモグ
美優「……」
P「……三船少尉は?」
美優「わ、私は……フルーツのペースト食、です……」
楓「……」ジーッ……
美優「……」モグモグ
P(め……面倒くせぇ……)
118:以下、
楓「あの……P少尉」
P「はい」
楓「何度も言ってしますんですけど、昨日は、その……すみませんでした」
P「いえ、別に……」
美優「何か……あったんですか……?」
楓「それが、昨日は私……P少尉に、恥ずかしいところをたくさん見られてしまって……」
美優「えっ!?」ガタッ!
P「もういいじゃないですか。昨日の話しですし……」
楓「ですけど……その、ほら……やっぱり、お詫びとか……」
美優(恥ずかしいところ……恥ずかしいところ……昨日、P少尉……隊で歓迎会が……まさか……)
ポワポワポワポワ……
119:以下、
楓『P少尉……その、あまり見ないでください……私の恥ずかしいところ……』
楓「あっ、そんな……ダメですよ。そんなところまで見ちゃうなんて……あっ……』
ポワポワポワポワ……
120:以下、
美優「……!」ブンブンブンブン!!
P「いや、別にあれくらいは……ほら、よくあることですし……」
楓「でもせっかくの歓迎会で……」
美優「わっ……!」
楓「わ?」クルッ
美優「わっ、わたっ、しも……P少尉に……恥ずかしいところ……見られ、て……」プルプルプルプル……
楓「えっ?」
P「うっ……」
P(清掃のときのことか……なんでこんなタイミングで……)
楓「恥ずかしいところ……」
ポワポワポワポワ……
121:以下、
美優『うっ……おっ、おえっ……おえええええ……』
美優『はぁっ、はぁっ……す、すみません……こんな恥ずかしいところ、見ないで……』
ポワポワポワポワ……
122:以下、
楓「……三船さん、もしかして……お酒、好きですか?」
美優「えっ?」
P「えっ、何故突然……」
楓「ほら、つい飲みすぎちゃうと……色々やらかしちゃうところとか……」
美優「ええ……わ、私は別に――」
ビーッ! ビーッ!
P「……!」ピクッ!
楓「……」ピクッ
123:以下、
美優「警報……」ビクッ!
『コンディションレッド、コンディションレッド。前方距離4000、キラー・ビー出現』
P「蜂か……安部中尉」ピピピッ!
菜々『出撃しますよ! 許可も出ています!』
P「了解です。パイロットスーツに着替えて向かいます」フワッ
菜々『ナナのほうも準備してカタパルトに向かってますね!』ピッ!
楓「三船少尉……私たちもブリッジに」
美優「は、はいっ……あ、P少尉……!」
P「はい?」
美優「その、き、き……気をつけて……」
P「了解です。行ってきます」
美優「……」ホッ……
楓「……」
……
…………
124:以下、
――数分後、ユミルS-01(カタパルト)
P「安部中尉、今回の出撃小隊のリストは分かりますか?」カタカタカタッ!
ピピピッ!
菜々『データ回ってますから転送しますね。S-01とSN-03、SN-05からそれぞれ2、3小隊ほど出るみたいです』
P「蜂の数は12か……俺たちはどうすればいいですか? 後ろで援護ですか?」ピッ、ピッ、ピッ!
菜々『それじゃ部隊運用になりませんよぉー! ウチはGRS-1で別途小隊コードが振られています。こちらでも通常マニューバで戦闘しますからね!』
P「了解です。機体装備は?」
菜々『ナナのOPFは旋回砲塔機銃を装備しています。P少尉のは別口で来ていた単装ビーム砲塔を積んじゃってます!』
P「機体設定間に合うかぁ……? 了解です、マニューバはI02ですね」カタカタカタッ!
菜々『それでオッケーです!』
ピピピッ!
楓『ハッチ開放しました。各小隊出撃してください』
菜々『楓さん、ナナたちもいきますね!』
楓『はい。稼動データの収集はこちらでやっておきます』
P「よろしくお願いします」カタカタカタッ!
ピッ!
125:以下、
ピピピッ!
P「ん? なんだまた通信なんて……」ピッ!
楓『あの、P少尉……』
P「高垣中尉? どうしましたか?」
楓『えっと……頑張ってください』
P「……了解です」
P(変なところは律儀だなこの人……)
菜々『よーし、それじゃいきますよ! GRS-1小隊からRS-01、安部菜々出撃しまーすっ!』
P「……RS-02、G1で出撃します」ギュンッ!!
……
…………
126:以下、
――戦闘宙域
P「識別コード登録。中尉、先頭キラー・ビーとの距離3100です」
菜々『はっ、はっ……はいいいいいい……!!』
P「ちょっ、出撃前と違ってめっちゃ上がってませんか?」
菜々『えっ? いやっ、そっ、その……初めてのナナの隊の戦闘なので……いや、全然大丈夫……ううっ!? な、何だかお腹が……』
P「おいおい……」
ピピピッ!
楓『各機、支援のためSN-03が出撃しました。転送したポイントに対してアルヴァルディで弾幕展開します』
P「ヴェールからの弾幕支援か……安部中尉、こちらの初動は……」
菜々『はっ、はひっ……!』
P「……」ハァ……
P「中尉、アルヴァルディ着弾後の蜂の挙動から予測飛行ルートを算出します。データ算出後は転送しますのでマニューバの参考にしてください」
菜々『ええっ……い、いやぁ……でも戦闘中に……』
P「装備の都合上、立体機動戦闘に入った場合は中尉のOPFのほうが上手く立ち回れます。俺のほうは援護射撃を行います」
P「敵とかち合うまでは他小隊と一緒に射撃戦で数を減らしていきましょう」
菜々『はっ、はいいいいいい!!』
127:以下、
ズドドドドドドドドドッ!!!!
蜂「!」ギュンッ!
蜂「!」ギュンッ!
蜂「!」ギュンッ!
P「アルヴァルディが来たか……! 蜂が散ったこのタイミングで」カタカタカタッ!!
ピッ、ピピッ!
P「安部中尉、予測飛行ルート算出しました。転送します」
ピピッ!
菜々『りっ、了解でぇすっ!』ギュンッ!
P「おいおい突っ込むなよ……他の小隊も一部前に出てるか……!」ギュンッ!
P「こっちに流れてきた蜂は……F型3匹か。接触する前に減らしておかんと……!」ガションッ!
P「このビーム砲塔はスコープ付きかよ……こんなもんで照準合わせするくらいなら!」ガコンッ!
ギュオオオオッ!
128:以下、
蜂「……!」ギュンッ!
P「単装ビーム砲塔……発射!」ズドォンッ!
蜂「……」ギュンッ!
P「避けるか……照準補正、いまの軌道なら……ミョルニルで飛行ルートを制限する!」ボシュシュシュ!!
蜂「!?」ギュンッ!
P「そこだ!」ズドォンッ!
蜂「……」ブ、ブブ……
ドガアアアアアアンッ!!
菜々『ゲェッ!? 近距離戦に……ええいっ!』ギュンッ!!
蜂「!」ギュンッ!
蜂「!」ギュンッ!
P「安部中尉……結局2匹とも引っ張ってきたのかよ! もう1匹はこっちでやっておかんと……!」カタカタカタッ!
129:以下、
ピピッ!
菜々『えっ、P少尉? この射線……』
P「旋回してください。ミサイルを撒いた後にこちらで1匹受け持ちます」
菜々『お、お願いしますっ!』ギュオオオオオッ!!
P「ここだ……!」ボシュシュシュッ!!
蜂「!?」ギュンッ!
菜々『バラけた! 1対1なら!』ギュンッ!!
P「いまのうちに……!」ズドォンッ! ズドォンズドォンッ!
蜂「!」ギュンッ!
ドガアアアアアアンッ!!
P「よし、このまま……!」
……
…………
130:以下、
――ユミルS-01(メインブリッジ)
「GRS-1小隊、F型撃破しました。GNS-004小隊と合流します」
麗奈「へぇ……」ピクッ
黒井「……」
麗奈「ねえちょっと、アンタ」
黒井「なんだ、戦闘中だぞ」
麗奈「アイツ、菜々のとこに行った大佐んとこのガキ、ちょっと面白いんじゃない?」
黒井「そんなことは知らん。成果さえ出れば何でも構わん」
麗奈「へぇー……いいじゃん、あのオヤジよくあんなモン用意したわね」
麗奈「マニューバは……戦闘中に軌道計算してるわけか。マルチタスクができるなら大したもんじゃない」
麗奈「目も良さそうね。蜂も単機で捌いているし……あーあ、菜々もぺーぺーにフォローされちゃって……いいじゃないの、アイツ」ニヤニヤ
美優(P少尉……よかった、大丈夫そう……)ホッ……
楓「P少尉、ビーム砲のエネルギー残量がありません、通常兵装に切り替えて対応してください」カタカタカタッ!
楓「菜々さん、機銃も弾切れになります。P少尉と合流して戦闘を……」
楓(……問題なさそう)カタカタカタッ!
……
…………
139:以下、
――数十分後、ユミルS-01(カタパルト)
パシュンッ!
P「ふぅ……」フワッ
菜々「Pーしょーさー!」フワッ
P「安部中尉、お疲れ様です」
菜々「やっ、やりましたぁっ! やりましたよ! ラピッドストライカー隊の初出撃、大成功ですっ!!」フワフワ
P「ええ、他の小隊は一部被弾もあったみたいですけど、無事に終わってよかったです」
菜々「イェーイ!」ブンッ!
P「……?」
菜々「い、イェーイ!」ブンッ!
141:以下、
P「……ああ」スッ
菜々「わーい♪」パァンッ!
P「出撃から戻ってハイタッチなんて中々やらないので……」
菜々「いいんですよぉ、こういうのはノリよくやりましょうよ!」
P(ま……こういうのもいいか)
P「でも出撃してテンパらないでくださいよ」
菜々「あっ、あれは部隊の初出撃だったからで……ふ、普段はちゃんとやってますからぁー!」
P「まあいっか……それじゃ戻りますか」
菜々「そうですね。機体も整備班に渡さなきゃいけませんし」
……
…………
142:以下、
――1時間後、ユミルS-01(格納庫)
楓「リニアカノンの使い勝手はどうでしたか?」
P「総発射数が少ないから使い勝手が悪いですね。すぐエネルギー切れになるのがダメですね」
P「慣れるとグラムよりは当てやすくなるとは思いますし、狙いは付けれるからスコープはいらないかなぁ……」
菜々「2門で射撃できるのは便利そうですけどね」
楓「スコープはいらないっと……」カタカタカタッ!
P「安部中尉、機銃のほうは?」
菜々「あれは使いやすかったですねー。混戦だと立体機動戦闘をする機会も増えますし、ただ射角がもうちょっと欲しいなと……」
楓「射角がほしいっと……」カタカタカタッ!
菜々「次の出撃はどうしますか?」
菜々「次も是非! と言いたいところですけど、機体整備もありますからね。1回お休みです」
P「それじゃあいまのうちに機体の調整でもしておくか……」
菜々「あ、でも機体調整の前に試作兵装の稼動評価上げておきましょう。どこかで場所取ってやりたいですけど……」
P「さすがにこのタイミングで格納庫に居座るのはダメか……会議室使いますか?」
楓「3人で会議室を使うのも……あ、そうだ」
楓「P少尉の部屋に行きませんか?」
P「え」
143:以下、
菜々「あ、いいですね。そうしましょうか」
P「いや……俺の部屋ですか?」
楓「はい……ダメですか?」
P「別に、構いませんけど……俺の部屋ですか」
菜々「ナ、ナナのお部屋はちょっと……お、乙女の秘密といいますか……」
P「はぁ……そうですか」
楓「私もちょっと……お部屋に誰かに見られるのはちょっと恥ずかしくて……」
P「あー、酒瓶が転がっているとか?」
楓「……」
P「あっ、す、すみません」
楓「ちゃんと……片付けてる、はず……です」
P(転がってるのか……)
……
…………
144:以下、
――数十分後、ユミルS-01(メインブリッジ)
黒井「サブブリッジでの監視は続けさせろ。レーダーの採取パターンは随時変更しておけ」
「了解です。サブブリッジに通知出します」
美優「えっと……SN-03からの報告を受信……現在はこちらの整備班と合わせて艦チェック作業を行っています」
楓「さて、と……黒井大佐」ガタッ
黒井「なんだ」
楓「隊のブリーフィングがあるので少し席を外します」
黒井「そうか」
美優「高垣中尉、どちらに……?」
楓「ちょっとPさんのお部屋に行ってきます」フワッ
美優「そうですか……」
楓「戻ってくるまでの間、お願いします。それじゃあ」
パシュンッ!
美優「……え?」ガタッ!
……
…………
145:以下、
――ユミルS-01(通路)
「中尉、お疲れ様です」
楓「あ、どうも……お疲れ様です」フワッ
「これから休憩ですか? 俺のほうも休憩なんで、もしよければ一緒に食堂でもいきませんか?」
楓「すみません……これから、P少尉のお部屋に行くので……」
「は?」
楓「それじゃあ、失礼します……」フワッ
楓(誰かしら、あの人……?)
……
…………
146:以下、
――1時間後、ユミルS-01(Pの部屋)
P「評価報告、こんな感じでいいですか?」カタカタカタッ!
菜々「まーそうですね。とりあえずこれでオート・クレールに渡しましょうか」
楓「……」キョロキョロ
P「これ出撃したら毎回書かなきゃダメなんですか?」
菜々「これがお仕事ですしねぇ……」
P「面倒くさ……」
楓「……」カパッ、カパッ
菜々「というわけでP少尉、出撃後は忘れずに評価報告書を書いてくださいね! 隊長からの命令ですよ!」
P「あ、それずるくないですか? せめて交代で書きましょうよ」
菜々「いえいえ、これも若いうちのお仕事だと思って……」
楓「……」ゴソゴソ
147:以下、
P「……あの、高垣中尉」
楓「はい?」
P「人の部屋の冷蔵庫漁らないでくれませんかね。部屋の冷蔵庫なんて小さいから物もあまり入ってないはずなんですけど」
楓「え……」
P「何でそんな意外そうな顔されなきゃならないんですか」
楓「その……すみません、私……もうP少尉とは冷蔵庫の中を見ても何も問題ない間柄だと思っていたので……」
菜々「いまの発言どこまで本気で言いました?」
楓「えっと……どこかしら……」
P「……」
菜々「あーでも、ナナも男の子お部屋には入ることなんて無かったのでちょっと色々気になってたり……」キョロキョロ
P「こっち来たばかりですし、特に何もありませんよ」
楓「そうですね……あまり、面白くない冷蔵庫ですね」パタンッ、パタンッ
148:以下、
菜々「こう、枕元やベッドの傍にはお約束のものとか……」ゴソゴソ
P「こいつら……」
菜々「こらっ! 隊長に向かってなんて口の利き方ですか!」
P「す、すみません……って隊長って言葉を都合よく使いすぎだろ……」
楓「P少尉、エナドリもらってもいいですか?」カシュッ!
P「言いながら封開けないでくれませんかね!」
菜々「どうせ次の戦闘は出れませんしテレビでも見ますか?」ピッ!
P「いや待機を……」
ピピピッ!
菜々「あ、通信……はーい、ナナでーっす☆」ピッ!
麗奈『ちょっと菜々、アンタいま暇?』
菜々「あ、麗奈ちゃん。どうしたんですか?」
149:以下、
麗奈『アイツいる? ほら、大佐んとこから来たヤツ』
菜々「P少尉ですか? いま隣にいますよ」
麗奈『ちょっと代わって頂戴』
P「お疲れ様です。何かありましたか?」
麗奈『アンタ暇なら格納庫来なさい。遊んであげるから』
P「遊ぶ?」
菜々「ああ、麗奈ちゃんがシミュレーターやろうってお誘いに来てるんですよ」
P「シミュレーターか……行ってもいいですか?」
菜々「いいですよー。麗奈ちゃんに色々教えてもらったらいいですよ!」
楓「それじゃあ解散ですか?」
P「すみませんがそういうことで……小関大尉、すみませんがよろしくお願いします」
麗奈『それじゃ待ってるからさっさと来なさい』
P「了解です」
……
…………
150:以下、
――ユミルS-01(格納庫前)
P「小関大尉は……」フワッ
「おい」
P「はい?」
「お前、最近こっちに来た安部中尉の部下だよな?」
P「はい、ラピッドストライカー隊のP少尉です」
「楽しいか? 高垣中尉たちと一緒に仕事できてよ」
P「いや……」
「あぁ? 何だって?」
P「だって、報告書押し付けられたり部屋荒らされたりで……2人とも階級が上だからあまり止めてくれとは言い難いし……」
「お、おお……」
麗奈「ちょっとアンタたち、何やってんの」フワッ
151:以下、
「小関大尉……いや、ちょっと新入りに挨拶をと思っただけで……」
麗奈「んっとにアンタ、誰だっけ? えーっと……そうそうジョージ、何新入りにちょっかい出してんのよ」
「ジョージじゃねえ! 俺はジョシュアだ!」
P「ジョシュア……まさか、アメリカのジョシュア中尉ですか?」
「そうだよ……なんだ、お前も俺のこと知ってんのか」
P「木星圏にいた頃、アルヴィスの戦闘記録のログでいくつか中尉の戦闘記録がピックアップされていたものを仲間と見ていたので」
麗奈「はいはいそんなのいいから、ほら行くわよ」
「なんだ大尉、コイツに何か用でもあるんですか?」
麗奈「ちょっとこれから遊ぶのよ。ほらジョンソン、アンタもこんな所でサボってないでさっさと仕事に戻りなさい」
P「し、失礼します」
……
…………
152:以下、
――ユミルS-01(格納庫)
麗奈「アンタそっちのシミュレーターね」カタカタカタッ
P「あの、大尉……」
麗奈「何よ」
P「いや、シミュレーターといっても私と大尉は別小隊ですし、いまマニューバの訓練をしても……」
麗奈「細かいヤツねぇ。いいのよ、コンビでも単独でも好きなようにやっていいから」
P「そうですか」
麗奈「アンタさぁ」ピッ、ピッ、ピッ
P「はい」
麗奈「今日の戦闘、どうだった?」
P「問題なく対応できました。安部中尉にフォローが必要な場面がありましたが……」
麗奈「アンタ1人で動いたほうが楽でしょ?」
P「……いえ」
麗奈「まぁ、あのオヤジに仕込まれたらそうなるか……木星圏なんて練度の低い奴らしかいないし」
P「いまは、安部中尉が隊長です。隊長と共に戦闘に出るのが私の仕事です」
麗奈「あっそ。まあほら、シミュレーター動かすわよ」
P「了解です」
……
…………
153:以下、
――仮想戦闘空間
蜂「……!」ギュンッ!
蜂「……!」ギュンッ!
蜂「……!」ギュンッ!
P「距離2600でF型6、S型2……」カタカタカタッ!
ピピピッ!
麗奈『アンタちょっと1人でやりなさい』
P「待ってください。蜂10匹相手に1人は……」
麗奈『落とせるだけ落としなさい。アンタが落ちたらシミュレーター止めるから』
P「……了解」ギュンッ!
蜂「!」ギュンッ!
P(先頭の4匹が分かれたか……左は粒子砲の発射体制に入っている。中央と右はそのまま来るか)カタカタカタッ!
P「砲撃はさせん。ミサイルで遊んでおけ」ボシュシュシュッ!
蜂「!?」ギュンッ!
154:以下、
P(どうせ距離は詰められる……なら奥にいる奴らと手前にいる奴らは分断させる……!)ギュンッ!
ズドォンッ! ズドォンッ!
蜂「……」ヒュカカカッ!
P(やはり足のいS型が前に出てきたか……奥の奴らとは距離が空いた。1匹が射程に入ったこのタイミングで……!)ガションッ!
P「ドラウプニル……落ちろ!」ギュオオオオオオッ!!
ドガガガガガガッ!
蜂「!?」ドガアアアアアンッ!!
麗奈『おっ……S型相手でも立体機動勝負には勝てるのね』
P「もう1匹S型を落とせば後は……!」ギュンッ!
蜂「……!」ギュオオオオッ……ズドォンッ!
P「粒子砲……当たるか!」ギュンッ!
ボシュシュシュッ!
P「奥の奴らと合流される前に……!」ギュオオオオッ!!
……
…………
155:以下、
――十数分後、ユミルS-01(格納庫)
パシュンッ!
P「……」ハァ……ハァ……
麗奈「蜂8匹相手にしてG1の被弾判定は2ね。アンタ、面白いじゃない」
P「そりゃあ……どうも……」ハァ……
麗奈「こんなんで疲れてどうすんのよ」
P「単独戦闘で……8匹を同時に相手したことは、なかったので……」
麗奈「ま、こっちでも単独出撃で8匹相手にすることなんて普通は無いわよ」
麗奈「けどアンタ、レイナサマ程じゃないけどちょっと異常ね。菜々でもF型と1対1くらいが限界なのに……大佐から何教えられたの?」
P「……シミュレーターを多めに弄らせてもらったのと……まあ、それくらいです」
麗奈「まーたそういう無茶ばかりできるようなモンになったのね」
P「何の話ですか?」
麗奈「何でもないわよ。こっちの話しだから」
P「そうですか」
麗奈「まっ、でもアンタの戦闘、結構面白いしいいじゃないの! 次はアタシも混ざってあげるから、もう少し遊ぶわよ」バシバシッ!
P「痛っていって……ちょっ、叩かないでください」
麗奈「ほらほら、早く準備しないさい。レイナサマが遊んでやるんだから、アンタも真面目にやりなさいよ!」カタカタカタッ!
P「真面目にやってるっつうの……」ハァ……
麗奈「あぁ? 何か言った?」
P「いえ、何も」
……
…………
156:以下、
――数十分後、ユミルS-01(Pの部屋前)
美優「……」フワフワ
美優(P少尉……楓さんと2人で何を……しているのかしら……)
美優「……」ウロウロ
美優「……」ウロウロ
美優「……」ハァー……
美優「……っ」ピッピッピッ
ピピッ!
楓『はい』
美優「たっ、高垣中尉の声……あ、あの、三船、です……」
パシュンッ!
楓「三船少尉、どうしたんですか?」
美優「」ピシッ!
美優(せ、制服を脱いで……)
美優「あっ、あ……あのっ、せ……せい、ふ……」
楓「え? ああ、これ……すみません、いま盛り上がっていたところで……」
157:以下、
美優「盛り上がっ……!? P、少……」
菜々「楓さーん、次の番回ってきましたよー」
楓「あ、はーい。すみません……いまちょっと余生ゲームをやってて……」
美優「え」
楓「知りませんか? 定年退職したキャラクターを、ルーレットで決められたマスの分だけ進めて第2の人生を過ごすゲーム……」
菜々「あ、お友達ですか?」
美優(エプロン……?)
菜々「一緒にゲームやりませんかー? ナナがゲーム機ごと持ってきちゃったんですけどぉー」
美優「え、ゲーム……? え……?」
楓「はい……打ち合わせに飽きたのでゲームを……」
美優「あの、P少尉は……?」
楓「P少尉なら格納庫に行ってますけど……」
美優「……どうして、P少尉のお部屋でゲームを?」
楓「……どうしてなんでしょうか」
……
…………
158:以下、
――数時間後、ユミルS-01(艦長室)
黒井「……」
P「……」
麗奈「……ふわぁ、眠い」ゴロゴロ
黒井「何故貴様がここにいる」
P「小関大尉に呼ばれました」
麗奈「シミュレーターも飽きたのよね」ゴロゴロ
黒井「帰れ。作戦行動中に用も無く艦長室に来る馬鹿がいるか」
P「了解です。では……」
麗奈「あ、ちょっと待った。アンタいいもの見せてあげるから」
P「はい?」
黒井「まったく、なんでこのガキが……」ガタッ
159:以下、
麗奈「これね、アタシもこの前……」ピッ、ピッ
黒井「チッ、また採掘場の方面で戦闘があったとは……直接被害は無いからいいが、こうも続くと……」ブツブツブツ
『んふぅ……あぁいいいぃぃぃ、この艶のある柔らかな肌触りこそがセレブである私の……』
黒井「ぶふぅぅぅ!?」ガタガタガタッ!!
P「……」
麗奈「ね? こいつ変態でしょ」
黒井「き、貴様……それは……」ガクガクガクガク
麗奈「え? アンタが前に飲み屋で女の尻に頬ずりして悦に浸ってたときの動画」
P「……」
黒井「な……なんだその目は……なんだその目は!!」
P「いえ、別に」
黒井「言いたいことがあるならはっきりと言え!」ガンッ!
P「いや……これはヤバイんじゃないかと」
黒井「貴様あああああああ!!!!」ガンガンガンガンガッ!!!!
P「何で俺が怒鳴られなきゃならないんだよ!!」
160:以下、
ピピピッ!
大佐『やあ……おや、楽しそうじゃないか』
黒井「貴様!! あの画像は消せと言ったはずだぞ!!」
大佐『画像? ああ……いや、アレ麗奈君の動画の切り抜きだし、私も貰った側だし……』
黒井「消せ! 今すぐ動画を消せええええええ!!」
麗奈「いやさすがにこれ消すのは勿体無いわよ」
P「これ完全にセクハラオヤジですよ」
黒井「上官に向かってなんだその口の利き方はぁ!!」
P「す、すみません。これは擁護が出来ないと思いまして……」
黒井「がああああああああ!!!!」ブンブンブンブン!!!!
大佐『……まあ楽しそうだしいいか。また後で通信するよ』
P「お疲れ様です。大佐」
麗奈「あ、ちょっとアンタ、次通信したときにちょっと話しあるから」
大佐『うむ、分かったよ』ピッ!
……
…………
164:以下、
――数分後、ユミルS-01(通路)
P「黒井大佐も意外だったな……」フワッ
美優「あっ……」ピクッ
P「お疲れ様です」
美優「あ……P少尉……あの……」
P「はい?」
美優「えっと……その、お部屋に……高垣中尉が……」
P「えっ、あの人たちまだいたのかよ……」
美優「……」ジーッ
P「どうかしましたか?」
美優「いえ……楽しそうにしていらしたので……」
P「俺は楽しく無いけど……しかしあそこに戻るのも面倒臭いな……」
P「少し休憩所で時間潰してるか……それじゃあ少尉、失礼します」
美優「あ、あの……」
……
…………
165:以下、
――数分後、ユミルS-01(休憩所)
ガコンッ!
P「はいどうぞ、エナドリ」
美優「あ、ありがとうございます」
P「ブリッジは交代時間ですか。巣の攻略前だし、あまり戦闘は起きて欲しくないですね」
美優「そうですね……ですけど、アルヴィスのほうから哨戒記録が更新されていて……まだ何度かは戦闘が起きると思いますね……」
P「まあ仕方が無いか……そういえば、少尉はサブブリッジのほうは担当しないんですか?」
美優「わ、私はメインブリッジの専任で来たので……人手が足りないとき以外は……」
P「へぇ……」
美優「……」
P「……」
美優「あの……P少尉」
P「はい?」
美優「……その、P少尉のお部屋、高垣中尉が……その、よくお部屋に来ているんですか?」
P「いや、初めてですけど……」
166:以下、
美優「は、初めてなんですか……よかった……」ホッ
P「いや、この艦に来たのもつい最近ですし」
美優「そっ、そうですよね、来たばかりですもんね。そんなすぐに……」
P「まあ中尉2人は揃って少し面白い人たちだから、上手くやっていけそうですけど」
美優「そうですか……」
P「まあ、いまの隊なら戦闘も結構出ることになりそうだし、こっちとしてはまあよかったというか」
美優「……P少尉は、戦闘に出るのは嫌じゃないんですか?」
P「……」
美優「キラー・ビーとの戦闘も、やっぱり前線のほうが大変ですし……」
P「……まあ、戦闘に出るのは嫌じゃありません」
美優「そうですか……そうですよね、パイロットですし」
P「……」
『彼の両親は?』
『残念ながら……』
P「そうですね。俺は、パイロットですから」
……
…………
167:以下、
――翌日、戦闘宙域
菜々『P少尉、コンビネーションマニューバはI03で行きましょう!』
P「了解です、6連装ミサイルコンテナで前線の弾幕支援ですね」
菜々『その通りです。GNS-007と008小隊の後方についていきましょう』
P「003と004とグループ回線を開きます。こちらRS-02、GRS-1が援護します」ピピピッ!
『こちら003、了解!』
『004だ頼むぞ』
蜂「……」ギュンッ!
蜂「……」ギュンッ!
蜂「……」ギュンッ!
P「宙域の蜂は8匹か……中尉、手前の2匹にミサイルを撒きます」カタカタカタッ!
ボボボボボボシュンッ!!
菜々『続いてこっちも次の2匹にミサイル撒きますよ! 003と004小隊は今のうちに残った4匹の対処を!』
ボボボボボボシュンッ!!
P「後は射撃支援か……」
……
…………
168:以下、
――数十分後、ユミルS-01(格納庫)
菜々「今回のミサイルコンテナは使いやすいですねー」
P「ミョルニルだけだと援護も難しいですからね。単純に弾数が多くなるし、こっちのは有効範囲も広いですね」
菜々「ただ大きいコンテナを懸架してるから下に回りこまれたときの迎撃が難しいですね。ドラウプニルの稼動範囲が狭くなってますし」
P「配置が悪いですね。使い終わったコンテナをパージできれば身軽になりますけど……」
菜々「一応持ち帰らないと怒られますからね……まあコンテナを小型化してくれればある程度解消できそうですけど」
楓「……」フンフン……
P「まあそこら辺は評価報告に書いておきますか」
菜々「それじゃあP少尉、報告書のほうは……」
P「中尉、お願いします」
菜々「隊長命令ですよ!」
P「いやいや……」
楓(お腹すいた……)
……
…………
169:以下、
――数日後、ユミルS-01(メインブリッジ)
「艦長、レーダーで巣を捕捉しました。距離は4700」
「中規模級の巣が1つ、現在確認できるキラー・ビーはF型11、S型6です」
黒井「ようやくか。フンッ、手間を掛けさせおって……ホーネットはどうした」
「確認できません。まだ巣の中にいるかと」
ピピピッ!
SN-05艦長『大佐、こちらも出撃するぞ。出撃後はユミルの前に出る』
黒井「予定通りにな」
美優「ハッチ開放します……SN-03、SN-05から譲渡されていた艦システムを返却します」カタカタカタッ
楓「各グレイプニール小隊、出撃準備に入ります。ヴェール発進後に順次出撃します」
黒井「これより戦闘を開始する。ミサイル発射管1番から20番にアルヴァルディを装填、21番から30番には多目的粒子減衰ミサイルを装填しろ」
「ミサイル発射管準備します」
楓「SN-03、SN-05配置に付きました。グレイプニール小隊も出撃します」
……
…………
170:以下、
――ユミルS-01、カタパルト(G1機体内)
P「……」ピッピッピッ!
P(現在確認できている蜂の数は17……巣からの増援も勘定にいれれば30はいるか……)
『GNS-001小隊、出撃します』
P「ん、俺たちも出撃か……」
ピピピッ!
菜々『P少尉、聞こえますか?』
P「はい、大丈夫です。拡散ビーム砲塔の確認をしていました」
菜々『接近戦用の兵装ですから、使うときは蜂の動きに気をつけてください。巣との戦闘は初めてって聞いていますけど、大丈夫ですか?』
P「事前にアルヴィスの戦闘記録を見ました。赤いヤツについても確認済みです」
菜々『お勉強熱心ですね。赤い蜂、ホーネットは下部から針を飛ばしてくるので気をつけてくださいね』
P「了解です。中尉も気をつけて」
菜々『ナナはベテランですからね、なーんにも心配することありませんから!』
P「ベテランですか」
菜々『あ゛っ!? い、いえ! ナナはリアルJKなので蜂との戦闘もちょーっとかじったくらいで……』
P「JKなら軍に所属していないんだよなぁ」
171:以下、
菜々『も、もうっ! そんなこと言ってると素行不良で実績つけますよ!?』
P「ちょっ、やめてくださいよ」
ピピピッ!
楓『GRS-1、出撃お願いします』
菜々『あ、はーい。出撃しますね!』
P「了解です」カタカタカタッ!
楓『……あの、P少尉』
P「はい」
楓『頑張ってくださいね』
P「了解です。RS-02、出撃します」ギュンッ!
……
…………
172:以下、
――ユミルS-01(メインブリッジ)
楓「……あの、P少尉、頑張ってくださいね」
ピピピッ!
楓「……ふふっ」カタカタカタッ
美優「……」
……
…………
173:以下、
――戦闘宙域
P「レーダー情報をいまのうちに……」
ピピピッ!
P「はい、こちらRS-02」
『おいお前』
P「ジョシュア中尉?」
『本命との戦闘だから主要の小隊が出撃している。ちょっとは動けるらしいが、邪魔すんじゃねえぞ』
P「了解です」
『ふんっ』
ピッ!
174:以下、
ピピピッ!
菜々『あ、お話し終わりました?』
P「聞いてたんですか?」
菜々『男同士のお話しということで黙っていたので……ジョルジュ中尉と何かあったんですか?』
P「少し前に絡まれただけです」
菜々『そうですか。っと、それはいいとして……蜂が来ていますよ』
P「こちら側にはF型4、S型1が流れてきましたね。中尉、初動はどうしますか?」カタカタカタッ!
菜々『S-01とSN-05から弾幕支援が飛んできます。それに合わせて展開します。P少尉は蜂の軌道予測ルートを算出してください』
P「了解、弾幕支援に合わせてこちらもミサイルを撃ちます。算出したルートは転送しておきますので飛び出してきたやつらの狙撃は頼みます」
菜々『よーし、行きますよ!』
ギュンッ!
……
…………
175:以下、
――ユミルS-01(メインブリッジ)
「多目的粒子減衰ミサイル、散布しました。粒子散布率は70%です」
「アルヴァルディ発射……着弾確認しました」
楓「ミサイルの着弾に合わせて前線のグレイプニール小隊が戦闘を開始しました。GNS-001からGNS-008小隊、展開しています」カタカタカタッ!
黒井「高エネルギー単装砲レーヴァテイン1番2番を装填! ミサイルの再装填を急げ!」
美優「蜂の巣、近付いています。距離4000……SN-03が前進します」
黒井「こちらは動くな。足を動かすのは強襲艦でいい」
楓「GN-005、F型を撃破しました。RS-01、F型を撃破……」
……
…………
176:以下、
――戦闘宙域
P「中尉!」ギュオオオオオッ!
蜂「!」ズドォンッ!
菜々『当たりませんよ! ドラウプニル!』ガションッ!!
ドガガガガガガガッ!!
蜂「……」ヒュカカッ!
菜々『ゲェーッ! 外したぁっ!?』
P「このっ!」ズドォンッ!!
蜂「……」ブ、ブブ……
ドガアアアアアンッ!!
菜々『うひゃぁっ!? ちょ、ちょっと立体機動しているところにグラムの射撃は怖いですって! 助かりましたけど!』
P「当たらなくてよかったです。こっちは後F型とS型が1匹ずつか……」
ピピッ!
菜々『巣からの増援も来ていますよ! F型もう4匹です!』
P「多いな……被弾して後退している機体もいるのか……」
ピピピッ!
『おいおいビビッてんのか!』ギュンッ!
177:以下、
P「ジョシュア中尉!」
『お前たちがちんたらやってる間にこっちの蜂共は片付けたんだよ! 後ろで援護でもしてな!』
ズドォンッ! ズドォンッ!
ピピピピピッ! ピピピピピッ!
菜々『P少尉!』
P「ん、レーダーが……! ジョシュア中尉!」
『あぁん? なん――』
ズドォンッ!!
ドガアアアアアアアアンッ!!!!
……
…………
178:以下、
――ユミルS-01(メインブリッジ)
「GN-004ロスト!」
黒井「何ぃ!?」
ピピピピピッ!
楓「……艦長、増援です。巣後方より蜂が出ました」
黒井「何だと!」
楓「恐らく、宙域をさ迷っていた蜂かと……数は9です」
黒井「ええい、蜂の分際で!」ガンッ!
美優「GNS-003、006小隊はGNS-002小隊のフォローをお願いします……前進を止めてください」
美優(P少尉……)
……
…………
179:以下、
――戦闘宙域
蜂「!」ギュンッ!
蜂「!」ギュンッ!
P「ジョシュア中尉! くそっ……増援かよ!」ギュンッ!
菜々『距離を取りますよ! この数で混戦になるとこっちがもちません!』
P「ちぃっ!」ズドォンッ!
蜂「……!」ギュンッ!
P「こういうときにミサイルコンテナのほうを持ってきてたらよかったんだが……!」ガションッ!
ボシュシュシュッ!
菜々『無いものねだりはだめですよぉ! み、味方が浮き足だっててこのままじゃ前線が崩れちゃって――』
180:以下、
ドシュシュシュッ!!
『ぐああああああっ!?』
ドガアアアアンッ!!
ピピピッ!
P「何っ!? レーダー……こいつは、ホーネットか!」
赤蜂「!!」ギュオオオオッ!!
菜々『こんなときに……もうっ! ちょっとユミル、前線がキツイですよぉ!』
ピピピッ!
楓『巣からホーネットが出現したのは確認しています。ミサイルによる弾幕支援を行いますのでその間に距離をとってください』
菜々『P少尉、距離をとってください! G1の度じゃ赤蜂にすぐ捕まっちゃいますよ!』
P「S型と同等の度でこの大きさか……! このっ!」ヒュカカッ!
ボシュシュシュ!!
蜂「!?」ドガアアアアアンッ!!
181:以下、
ビビビッ!
P「ミョルニルを撃ち尽くしたか……チッ、周りのグレイプニールも立体機動戦闘から抜け出せていない……それなら!」カタカタカタッ!
ピピッ、ピピッ!
菜々『ちょっと少尉!?』
P「周りの戦闘状況を見てもユミルからの弾幕支援はあまり期待できません。いっそこっちから立体機動戦闘を仕掛けます」ギュンッ!
菜々『え゛え゛っ!? ちょ、ちょっとやめてくださいよ!』
P「中尉は射撃支援をお願いします。どうせなら拡散ビーム砲塔も使い潰しますよ……!」ピピピッ!
蜂「!!」ギュンッ!
蜂「!!」ギュンッ!
P「射程距離はこれが限度か……上は取らせん!!」ギュンッ!
ズバァンッ!! ズバァンッ!!
蜂「!?」ドガガガガガァンッ!
P「当たった……思った以上に範囲が広い。この状況なら味方を巻き込む可能性が……!」ギュンッ!!
ピピピッ!
麗奈『ちょっとアンタ!』
P「小関大尉!?」
182:以下、
麗奈『根性あるじゃないの! そのまま突っ込みなさい!』
P「は?」
麗奈『は? じゃないわよ! ほら、さっさとやる!』
菜々『え!? ちょっと麗奈ちゃん!』
麗奈『菜々! アンタはコイツの援護しなさい! レイナサマのことは気にしなくていいわよ!』
菜々『いやいやそういうお話じゃなくて!』
麗奈『アンタたちがしょーもないから手貸してやるのよ! ありがたく思いなさい!』
P「了解!」ギュンッ!
菜々『あーもう!! ナナはこんなところで落ちたくないんですけどぉ!』ギュンッ!
……
…………
183:以下、
――ユミルS-01(メインブリッジ)
麗奈『ちょっとアンタ、これから菜々たちと遊びにいってくるから後よろしく!』
黒井「馬鹿者! 何を勝手なことを言っている!」ガンッ!
麗奈『アタシは指揮系統が違うからいいでしょ! ほら、アタシたちのほうでホーネットまで片付けとくから、さっさと他の蜂の相手しなさい!』
P『黒井大佐、増援にきた蜂にGNS-001と002、003小隊が足を止められています。こちらで先行してホーネットを抑えておきます』
黒井「勝手なことをするな!」
麗奈『よっし、それじゃ巣から出てきた蜂を落としながらホーネットのところ行くわよ、付いてきなさい!』
P『了解です』
ピッ!
ピピピッ!
菜々『す、すみませーん大佐……その、後でナナのほうからちゃんと言っておきますから……その、えっとぉ……』
黒井「な、菜々ちゃん……っと、チッ! 後であのガキには覚えておけと言っておけ!」
菜々『は、はーい……』
ピッ!
……
…………
184:以下、
――戦闘宙域
P「小関大尉、こちらの拡散ビーム砲塔の有効射程範囲は……」
麗奈『知ってるから気にしなくていいわよ。それよりアンタ、それ持ってるんだから雑魚の片付けはやっておきなさいよ!』
ギュンッ!
麗奈『あと、OPFにしっかり付いてきなさい!』ズドォンッ!
P「立体機動もしてF型の処理もしてで無茶を言う……やってやるよ!」ピピッ!
ズバァンッ!! ズバァンッ!!
麗奈『雑魚が調子に乗ってんじゃないわよ!』ギュオオオオオッ!
ドガガガガガッ!!
蜂「!?」ドガアアアアンッ!
菜々『ちょっと2人とも前に出過ぎですよー! ナナが追いつけないんですけどぉ!』
麗奈『しっかり付いてきなさい!』
P「中尉、左から1匹F型が来ています! 対処お願いします」カタカタカタッ!
菜々『もぉー! もおおおおおお!』
……
…………
185:以下、
――ユミルS-01(メインブリッジ)
楓「小関大尉のOPF、GRS-1小隊、巣から出てきた蜂と交戦中、既存の蜂と増援に来た蜂の群れと距離が空きました」カタカタカタッ!
黒井「アルヴァルディ発射だ! 前線の足並みを揃えさせろ!」
楓「P少尉たちが奥の敵を引きつけているいまのうちなら……」
「了解しました。アルヴァルディ、発射します」
美優「P少尉……大丈夫かしら……」
「アルヴァルディ……着弾確認、各グレイプニール小隊、キラー・ビーの群れと距離をとります」
楓「艦長、GRS-1小隊が間もなくホーネットと戦闘を開始します。蜂の巣への対応はどうしますか?」
黒井「ヴェールに前進の指示を出せ。射線を確保した後、主砲で巣の破壊をさせろ」
「了解です」
……
…………
186:以下、
――戦闘宙域
P「グラム発射!」ズドォンッ!
蜂「!」ドガアアアンッ!!
P「S型は落とした! あとは……」
赤蜂「……!」ギュンッ!
麗奈『次はアンタの番よ赤いの! 菜々!』
菜々『はい! ミョルニル発射……これで最後ですよ!』ボシュシュシュッ!!
赤蜂「!」ギュンッ!
P「い……!」
麗奈『止まるんじゃないわよ! あと、針には気をつけなさい!』
P「了解!」ギュオオオオッ!
赤蜂「!」ズドォンッ! ズドォンッ!
P「粒子砲……ぐおおおおお!!」ガガガガガガッ!!
菜々『少尉! 大丈夫ですか!?』
P「立体機動ではG1だと厳しいか……!? 外装一部破損、稼動には影響ありません!」カタカタカタッ!
187:以下、
麗奈『コイツ!』ギュンッ!
赤蜂「……!」ヒュカカカカッ!
麗奈『来る……!』
赤蜂「!!」ドシュシュシュッ!!
麗奈『レイナサマが針なんかに当たるわけないでしょ!』ギュオオオオオッ!!
P「あれが針か……しかし動きがい……それなら!」ガションッ!
ギュオオオオオオッ!!
菜々『P少尉!』
P「安部中尉! 射撃で転送したポイントにホーネットを誘導してください!」カタカタカタッ!
ピピッ!
菜々『ええっ!? もうっ!』ズドォンッ! ズドォンッ!
赤蜂「……!」ギュンッ!
麗奈『アンタ、下に回りこまれてるわよ!』
P「問題ない!」カタカタカタッ!
188:以下、
赤蜂「……」ヒュカカカカカッ!
P「G1でも来るポイントが分かれば関係ない!」ガションッ!
赤蜂「!!」ドシュシュシュッ!!
P「ドラウプニル!」ドガガガガガガッ!!
ガキキキキィンッ!!
麗奈『コイツ……針を機関砲で撃ち落して!』
P「拡散ビーム砲……そのまま落ちろ!」
ズバァンッ!! ズバァンッ!!
赤蜂「!?」ドガアアアアアアンッ!!
菜々『ほ、ホーネットを撃破した……』
P「よし……!」ギュンッ!
麗奈『アンタよくやったわね! こっちの仕事は終わりよ、巣はヴェールとユミルに任せなさい!』
P「了解……戻りがてらに残りの蜂の対処をしましょう」
麗奈『バカ、ミサイルも使い切って拡散ビーム砲塔の使いすぎで機体のエネルギーもだいぶなくなってるでしょ。大人しく帰るわよ』
菜々『そっ、そうですよ! 後は他の小隊にお任せして帰艦しましょう、隊長命令です!』
P「……了解」
……
…………
189:以下、
――数十分後、ユミルS-01(カタパルト)
パシュンッ!
P「……ふぅ」
菜々「P少尉!」フワッ
P「安部中尉……」
ギュウウウウウッ!!
P「いっ、いてててててて!?」
菜々「ダメじゃないですか! いくら前線が崩れそうだからって、無理して前に突っ込むなんて!」
P「す、すみません……とはいえ混戦状況だと艦砲射撃や援護も期待できなかったので、それならいっそと……」
菜々「でもも何もありませんっ! ナナは隊長で、P少尉には落ちてもらいたくないんですから、こういうときは隊長の言うことをしっかり聞いてください!」
P「り、了解です……」
190:以下、
麗奈「なーにアンタたちは乳繰り合ってんのよ」フワッ
菜々「どぅわっふ!? な、ナナは乳繰り合ってなんかいませんよぉ! そういうのは若い子たちがすることであってですね……!」
麗奈「はいはい分かった分かった。で、アンタ、結構やるじゃない。シミュレーターのときよりもいい動きしてたわよ」
P「ありがとうございます……ですが、増援の対処が遅れてジョシュア中尉が……」ググッ……
麗奈「……ま、アイツも腕は悪くなかったんだけどね。残念だわ」
ピピッ!
菜々「……ほ、ほらほらぁ、戦闘も終わったみたいですよ! コンディショングリーンで、巣も破壊できたみたいです! 作戦は成功しましたから」
P「……そうですね。成功して、よかった」
菜々「はいっ、ラピッドストライカー隊、色々あったけど今回も作戦成功です! お疲れ様でした」
P「はい、ありがとうございます」
菜々「というわけで、ナナたちは一足先に帰艦した身ですし、さっさとグレイプニールを整備班に引き渡しましょうか」
麗奈「そうね。戻ってくる奴らの邪魔になるし」
P「……」
……
…………
191:以下、
――数十分後、ユミルS-01(艦長室)
黒井「馬鹿者!!」
P「……」
麗奈「アーッハッハッハ! 怒られてやんの!」
黒井「貴様は黙っていろ! 貴様如きが隊の動きを乱してどうする! 何か問題が起きて、他部隊に被害が出た場合は安部中尉の責任にもなるのを分かっているのか!」
菜々「ま、まあまあ大佐、何だかんだでナナも一緒にハッスルしちゃったので……」
麗奈「そーよ、別にいいでしょ。それに、レイナサマが連れ回したんだから菜々のせいでもないし」
P「……罰則は受けます」
菜々「黒井大佐……P少尉にはナナのほうからしっかり言っておきますから……その、許してあげてくれませんか……?」ウルウル
黒井「うっ……」
P「……」
黒井「……戦闘記録から、ラピッドストライカー隊で実施している試作兵装の検証も、今回は十分なデータが取れたと運用から報で言われている」
黒井「罰としてホクドウに帰還するまでの間、清掃班の雑用をやっておけ!」
192:以下、
P「了解しました」
麗奈「ま、掃除くらいならいいんじゃないの?」
菜々「大佐ぁ! ありがとうございますっ!」
黒井「いいか貴様、決して安部中尉の頼みを聞いたわけではない! 私の艦にいる間は勝手な行動は許さんぞ!」
P「はい」
黒井「勘違いをするなよ、安部中尉の頼みだからではない!」
P「分かりました」
麗奈「はいはい、ほらもういいでしょ。Pも菜々も、もう帰っていいから評価報告も済ませちゃいなさい」
菜々「は、はーい。P少尉行きましょうか。黒井大佐、失礼しますっ」
P「失礼します」
黒井「フンッ!」
パシュンッ!
……
…………
193:以下、
――数十分後、ユミルS-01(Pの部屋)
楓「えっ……清掃班のお仕事、ですか?」
P「まあ……」
楓「そんな……P少尉、頑張ったのに……」
菜々「ナナがしっかり麗奈ちゃんとP少尉を止めないで一緒になってハッスルしちゃったからなんですよぉ……」
P「とはいえ、仕方が無いです。報告書終わったら清掃班のほうに行ってきますので」カタカタカタッ!
楓「そうですか……せっかく作戦も成功したのに、何だか残念ですね」
P「無事に終わっただけで十分です。機体のほうも外装修理だけで済みそうですし」
楓「P少尉が被弾したとき……私、ちょっと焦っちゃいました」ガチャッ!
楓「スクリーンで状況を見たときは、蜂の群れの中にいましたし……」カシュッ! ゴクゴク
P「あの、勝手に冷蔵庫開けてエナドリ飲まないでくれませんかね」
楓「違いますよ、これはスタドリです」
P「どっちでもいいので飲まないでくれませんかね……」
菜々「まあまあ、スタドリでもエナドリでも、後でナナが買ってあげますよ!」
菜々「色々ありましたけど、蜂の撃破数もP少尉が凄く伸びていましたしね! ナナから頑張ったで賞をあげちゃいます!」
P「俺は子どもか……まあ、ありがとうございます」
楓「お掃除、頑張ってくださいね」ゴクゴク
P「はぁ……SN-05でも清掃班の仕事やったばかりだっていうのに……」
……
…………
205:以下、
――1時間後、ユミルS-01(通路)
P「……」ウィーン……
美優「……あら?」ピクッ
P「……」ウィーン……
美優「あの、P少尉……?」フワッ
P「あ、お疲れ様です」ウィーン
美優「……何を、やっているんですか?」
P「清掃です」シュゴー
206:以下、
美優「ど、どうして……ですか?」
P「まあ、戦闘行動のときの罰則で」シュゴー
美優「そんな、酷い……あの戦闘、P少尉と安部中尉が頑張ったから何とかなったのに……」
P「結果的に上手くいっただけで、仕方ないといえば仕方ないですよ」ウィーン
美優「でも……」
P「気にしてくれてありがとうございます。まあ……俺も気分転換のつもりでやっているから大丈夫ですよ」
美優「そ、それなら……あとで一緒に、し、しょく……」
P「はい?」
美優「食堂……行きませんか?」
P「……それじゃあ、終わったらメール送ります。時間が合ったら行きましょうか」
美優「は、はいっ」
P「じゃ、俺は次の場所に行きますから」
美優「が……頑張ってくださいね」
……
…………
207:以下、
――数十分後、ユミルS-01(休憩所)
パシュンッ!
P「失礼しまーす」
「お、少尉何やってんだ?」
P「清掃です。黒井大佐から罰則もらっちゃって……」
「あー……俺たちは助かったっちゃ助かったんだけどな。でも艦長なら説教しちまうか」
P「そんな感じですよね。それに、ジョシュア中尉も……」
「中尉か……中尉は残念だったな。中尉の身辺整理は同じ隊のほうでやっているみたいだが」
P「……」
「ま、お前はあまり気にするなよ。お前はお前で十分やったよ」
P「ありがとうございます」
「というわけだ、掃除は頑張れよ」
P「了解です」
……
…………
208:以下、
――更に1時間後、ユミルS-01(艦長室前)
P「次は艦長室か。説教貰った後で行くのもな……仕方ないか」
黒井『貴様は黙っていろ! 貴様如きが隊の動きを乱してどうする! 何か問題が起きて、他部隊に被害が出た場合は安部中尉の責任にもなるのを分かっているのか!』
P「……ま、大丈夫か。黒井大佐、見た目通りしっかりしてるし」
P「失礼します。清掃にきました」ピピッ!
パシュンッ!
……
…………
209:以下、
――ユミルS-01(艦長室)
パシュンッ!
P「…………」
菜々「はぁーい♪ それじゃあこれから、このとーっても苦いコーヒーをナナの魔法であまーくしちゃいまーす☆」
黒井「やったぁ!」
菜々「黒井大佐も、ナナと一緒に魔法を掛けてくださいね♪ いきますよー……せぇのっ!」
菜々「あまーいシロップを混ぜてー……ミミミンミミミンウーサミーン☆」
黒井「ミミミンミミミンウーサミーン☆」
菜々「ミミミンミミミンウーサミーン☆」
黒井「ミミミンミミミンウーサミーン☆」
菜々「くるくるかき混ぜてー……ウサウサウーサ?」
黒井「ウーサミーン☆」
P「……」ゴトッ!
菜々「あ……」ピタッ
黒井「……」ピシィッ!
P「……」ガサゴソ
P「失礼します」
パシュンッ!
……
…………
210:以下、
――ユミルS-01(通路)
シュッ!!
P「ガイドコンベア早く動けよおおおお!!!!」
パシュンッ!
黒井「待て貴様あああああああ!!!!」シュバッ!!
P「ひぃっ!?」ビクゥッ!
ガシィッ!!
黒井「何を見た……何を見たああああああああ!!!!」ブンブンブンブンブン!!
P「俺は何も悪くないだろおおおおお!!!!」ガクガクガクガクガクッ!!
菜々「あちゃー……」
……
…………
211:以下、
――数分後、ユミルS-01(通路)
P「やべえよアレ……てか俺は被害者だろ……」ケホッ……
P「っとに、安部中尉も何やってんだか……まあいいや、次の場所は……」ピピッ!
P「浴場か……」
P「……」
P『ここか。さて、消耗品の交換から――』
美優『ふぅ……』
P「……まあ、気をつけるか」
……
…………
212:以下、
――ユミルS-01(浴場前)
P「よし」
ピピッ!
P「清掃でーす。失礼しまーす」
P「……反応が無い、つまり誰もいない。いたとしてもシャワー使っている最中のはずだ。よし」
……
…………
213:以下、
――ユミルS-01(浴場)
パシュンッ!
P「いまのうちにさっさと済ませて……」
パシュンッ!
楓「はぁ……」プルンッ
ピチャッ……
P「……」
楓「……あ」
P「失礼――」クルッ
<ソレデサー、ツギノコウタイノトキニ……
<ハヤクシャワーアビテゴハンニ……
楓「……」ピクッ
P(しまった、他の人間が……!?)
楓「こっち……」グイッ!
P「あっ……」
パシュンッ!
……
…………
214:以下、
――浴場(個室シャワー内)
ピッ!
シャー……
楓「一応シャワー出しますけど……濡れないように、気をつけて……あと静かに……」
P「……は、はい」
パシュンッ!
「レーダー記録もアルヴィスに無かったし、ようやく戦闘も休憩かぁ」
「早くホクドウ戻りたいねー。あたし休暇申請出してるんだけどさ」
「何か予定あるの?」
「ほら次のライブ、スクリーンのほうで見たいし」
「あー、あたし抽選漏れちゃったんだよね」
P(無駄話してないで早くシャワーでも入ってくれよ……!!)
楓「あの……あまり、動かないで……」モゾモゾ
215:以下、
P「す、すみません……」
楓「あっ、み、見ちゃダメ……」ギュウウウウッ……!!
P「な……なんで……だきつくんです……か……」ギギギギ……
楓「そ、その……こっちのほうが、見られないと思って……」ハァ、ハァ……
「あっ!? あたしブリッジに端末忘れてきちゃった」
「えー、持ってこないとダメじゃん」
「もうめんどくさ……取りにいかないと」
「はいはい、それじゃ早く行こっか」
「むー……」
パシュンッ!
216:以下、
P「……」
楓「……」ピッ!
パシュンッ!
楓「……誰もいなくなりましたね」キョロキョロ
P「そ、そうですか……」
楓「いまのうちに……どうぞ」
P「は……はい、失礼しました……」
楓「丁度、ブリッジの交代時間の直後なので……他の人もまだ来るでしょうし、少し待ってから来たほうがいいかもしれません」
P「そうでしたか。それじゃあ……そうします」
楓「はい……あの」
P「はい?」
楓「……あの、あまり見ないでもらえると……嬉しいといいますか」モジモジ
P「失礼しました」ダッ!
パシュンッ!
楓「……ゲロ吐いたときより、よっぽど恥ずかしい……わね」
……
…………
217:以下、
――ユミルS-01(通路)
P「やべえ……やべえよ……」
P「というか……制服少し濡れてしまった……」キョロキョロ
P「くそぉ、なんでこう……はぁ、いまのうちに倉庫のほう行くか……」フワッ
P「浴場は後でまた行くとして……にしても」
美優『ふぅ……』
楓『はぁ……』
P(小さかったな……)
……
…………
218:以下、
――数時間後、ユミルS-01(Pの部屋)
ドサッ!
P「ようやく終わった……SN-05より相当広いから余計しんどかった……」ハァ……
P「……」ゴロゴロ
P「疲れた……疲れた……」
P「……1日に2回、多くて4回。安全航路から外れたら、土星圏はこれだけ戦闘するのか」
P「そうだよな……アルヴィスの戦闘記録も頻繁に更新されているし、そういうもんなんだよな」
P「俺は……そういうところに来たかったんだよな」
『そうか……軍に入りたいかね。私は止めないよ。キミがそうしたいなら、やれるだけやってみるといい』
『少しくらいなら、背中を押してあげよう』
P「……」
ピピピッ!
P「ん……」ピクッ
219:以下、
P「……はい、Pです」ピッ!
美優『あの……P少尉、三船です』
P「少尉……お疲れ様です」
美優『あの、その……まだ、お掃除中ですか……?』
P「おっと……いえ、ついさっき終わって部屋に戻ったばかりです」
美優『そ、そうですか……それなら、あの……』
P(そういや食堂に行くって話しだったな……)
P「少尉、ブリッジの交代時間は大丈夫ですか?」
美優『は、はいっ』
P「それじゃあ食堂行きましょうか。もしかして、もう済ませましたか?」
美優『いえっ! ま、待ってた……ので、い、行きます』
P「分かりました。それなら食堂に行ってますから、後は席のほうで」
美優『は……はい……』
ピッ!
P「はぁー……よし、行くか」
……
…………
220:以下、
――数分後、ユミルS-01(食堂)
P「さて……三船少尉は……」
美優「P……P少尉」フワッ
P「お疲れ様です。次の交代時間、いつ頃ですか?」
美優「まだ……しばらくはお休みなので……」
P「それならゆっくりしましょうか。こっちも掃除で疲れて……」
美優「そ、そうですね。それなら、ゆっくりお休みしましょう」
P「さーてと、飯何にしようかな……」
美優「……」
……
…………
221:以下、
――数分後
P「え、次ホクドウに戻ったらしばらく出撃はないんですか?」
美優「はい……S-01も今回の作戦前に、長期哨戒任務を終わらせた後ですし……艦のメンテナンスもあるみたいですから」
P「へえ、その間俺たちはどうするんですか?」
美優「S-01が受け持っていた宙域は、次は今ホクドウの防衛任務についているS-04が哨戒するみたいなので……そこと交代になりますね」
P「こっちは艦の遣り繰りも大変だな……まあ、出ずっぱりも無理があるし、防衛任務なら仕方ないか」
美優「私も……しばらくSN-05は外に出ていたので、久しぶりに休暇が取れそうです……」
P「大変ですね。俺もこっちに来てからは他人事じゃないけど、休暇はしっかり休まないとな……」モグモグ
美優「……」
P「……」モグモグ
美優「そ、そういえば」
P「はい?」
美優「P少尉……あの、ホクドウは……町のほうには、行きましたか?」
222:以下、
P「え、まぁ、行ったには行きましたけど……夜にちょっと立ち寄ったくらいで、ほとんど工業ブロックと居住ブロックにしか行かなかったですね」
美優「そうですか……」
P「でもホクドウの町は他のコロニーと違って縮小しているんですよね? 町のほうって何があるんですか?」
美優「一応、他のコロニーと同じく必要な施設は大体ありますよ。軍用施設の割合が多いからその分、一般人用の市街地とかが減らされているだけなので」
P「んー……それじゃあ休暇取れたら町のほうに行ってみるか……」
美優「……そっ、それ、じゃあ」
P「ん」ピクッ
美優「わ……私と、町まで……行きませんか? 時間が、合えば……ですけど」
P「んー……まぁでも、ナシヤマと同じような町の配置なら困ることもないしな……」モグモグ
美優「……そ、そうですか……そう、ですよね」
美優「Pさんも……お休みの日は、ゆっくりしたい、ですよね……」
P「まぁ、一緒に町まで行く知り合いもこっちにいないし……それなら、一緒に町に繰り出しますか?」
美優「……」ピクッ!
P「防衛任務があるなら少尉は管制室の業務があるんでしょうけど――」
美優「い、行きましょう!」ガタッ!
P「……はい」
……
…………
223:以下、
――翌日、ユミルS-01(格納庫)
菜々「え、ホクドウに戻った後の休暇申請ですか?」
P「ええ、どうすればいいですか?」
菜々「部隊から申請出しますからね。どうしましょうか……あー、楓さんに出してもらった回してくれると思いますよ」
P「了解です。出しておくか……」
菜々「あら、お休み取るんですか」
P「はい」
菜々「何か予定でも?」
P「ホクドウに戻ったら町のほうにでも行こうかと」
菜々「非番のときに行っちゃえばいいんじゃないですか?」
P「まあ、ナシヤマにいたときから休暇申請も出してなかったし、丁度いいかなと」
菜々「あらら、お仕事熱心ですね……まあナナの部隊は出撃以外は暇してますからね。いいと思いますよ」
P「それじゃ休暇日決めたら連絡します」
菜々「はーい。よし、ちょっと休憩しましたしもう1回シミュレーター動かしましょうか」
……
…………
224:以下、
――数日後、戦闘宙域
菜々『P少尉、誘導弾残ってますか!』ギュンッ!
蜂「!」ギュンッ!
P「さっき1発打ち込んだのであと1発分なら!」カタカタカタッ!
ピピッ!
蜂「……」ブブゥゥゥンッ!
P「そこだ!」ズドォンッ!
ドガアアアアアアンッ!!
菜々『蜂が集まるポイントで打ち込みましょう! 巻き込んで一気にドカンの流れで!』
P「了解、残りの蜂は5匹か……飛行ルートを算出して発射ポイント割り出します。中尉は各小隊に通知を」
菜々『はーい!』
P「この戦闘が終われば安全航路圏だ、1匹も逃さんぞ……!」
……
…………
225:以下、
――数時間後、ユミルS-01(Pの部屋)
菜々「はー……ようやく安全航路に戻れましたねぇ……」ボフッ!
P「人の部屋のベッドに転がらないでくれませんかね」
菜々「まあまあ、そう言わずに……」ゴロゴロ
楓「P少尉、今回使った兵装の評価報告のほうを……あれ、エナドリ入ってませんよ?」ガチャッ!
P「ええ、また俺ですか? ていうかあなたたちが俺の部屋の冷蔵庫漁りまくるから全部なくなりましたよ」
楓「スタドリしかない……まあいいです」カシュッ! ゴクゴク
菜々「えーと、この前のセーブデータは……」ポチポチ
P「ゲームやるなよな……」
P「……あ、そうだ高垣中尉」
楓「はい?」
226:以下、
P「ホクドウに戻った後なんですけど、休暇申請出してもいいですか?」
楓「お休みですか?」
P「ええ、ちょっと町まで出かけようかと思って」
菜々「次のダンジョンは……」
楓「あらいいですね。それなら申請は承認しておきますから、ホクドウに戻ったら一緒にわた――」
P「お願いします。三船少尉と約束していたので」
楓「し……」
菜々「……!」ピクッ
P「特に目的はないんですけど、まあこっちのコロニーの町も見て歩こうかなと」
菜々(それは……もしかしなくてもデート……これが若さ……!)
楓「……?」
P「……」
楓「えっと、休暇申請ですか?」
P「はい」
227:以下、
楓「……ええと、私は……その申請、承認しなきゃダメなんですか?」
P「え、まあ、出来ればそうしてもらえると……」
楓「……」
菜々「……」ポチポチポチッ!
P「……ん? あれ、もしかして部隊のほうで何かありましたか?」
楓「いえ、何も……」
楓「……じゃあ、承認……しておきます」
P「すみません、お願いします」
楓「……」
菜々「あっやばっ! 全滅しそう……!」ポチポチッ!
……
…………
233:以下、
――数日後、ユミルS-01(Pの部屋)
菜々「P少尉ー、ナナのドリンク取ってくださーい」ポチポチ
P「はいはい……」ガチャッ
菜々「おおおっと……ここで必殺技出せないと……」
P「てか人の部屋でゲームやってないで自分の部屋に戻ればいいじゃないですか」ポイッ
菜々「どうせ部隊行動するときはここに集まったりしますしいいじゃないですか、楽ちんで」
P「俺の休憩時間を潰さないでくれませんかね」カタカタカタッ
菜々「まあまあ……ところでP少尉、何やってるんですか? 1つ前に出撃したときの評価報告って出してますよね?」
P「いや、週報書いてて」カタカタカタッ
菜々「あー、まだ提出してなかったんですか? いけませんねぇ、毎日ちゃんと書かないと」
P「いや……毎日書いてたんですけどね、一応。だけど……」
234:以下、
楓『ここの書き方がダメです。実稼動時間とローカルに溜まってる稼動履歴が合ってません』
楓『あっ、ここもダメです。部隊行動でシミュレーターやブリーフィングをやってるなら、短い時間の分も全部内容は書いてください』
楓『あとは……えっと……ここ、書き方が何となく好みじゃないので直してください』
235:以下、
P「ダメ出しされまくったんですよね」
菜々「楓さんなら書式くらい綺麗にしてくれますけどね、ナナのも手入れてもらってますし」
P「俺と中尉との差が激しい……まあ俺はこっち来たばかりのぺーぺーだし、思ったより厳しい人だったんだなぁ」ピッ、ピッ、ピッ……
菜々「ふーむ……楓さんにしては珍しい」
P「明日ホクドウに戻りますし、今日中には終わらせたいんですよね」
菜々「そうですよね。艦はメンテに出しますし、本部に移るときの個別認証手続きもさっさとやっておきたいですからね」
P「そうでなんですよね。それに作業残して三船少尉との約束も飛ばしたくないし」
菜々「あー、デートの話しですか。ホント若い子は見せ付けちゃって……」
P「デートじゃないです。一般施設の案内ついでに適当に町に繰り出すだけです」
菜々「人、それはデートといいます。楓さんに案内してもらったときは軍用施設と工場だけでしたっけ?」
P「なのでいい機会かと。利用する機会はあまり無いと思うんですけどね」
菜々「あーあ、ナナもP少尉みたいにデートとかしてみたいですねー。あ、でもやっぱりやめとこ」
P「どっちなんですか」
菜々「やっぱりナシ、ナシで! ほらぁ、やっぱりこういうのって色々やりつくした後でもいいかなとか……」
P「何の話ですか?」
菜々「あ、いや、こっちの話しです……」
P「はぁ……?」
……
…………
236:以下、
――ユミルS-01(メインブリッジ)
「それじゃあ稼動データと測定ログはこっちで更新するから、引継ぎ事項は他にあるかしら?」
美優「えっと……あ、あとホクドウに戻った後の、各班の補給申請リストがまだ全部出ていないので……」
「そっちは後でフォロー出しておくわね。他には?」
楓「ローカルに明日からの各隊毎の一時異動先と活動スケジュールが入っているので、新しく来た分も一覧に追加しておいてください」
「了解、それじゃ交代ってことで」
楓「はい。よろしくお願いします」
パシュンッ!
……
…………
237:以下、
――ユミルS-01(通路)
美優「明日は入港だから……管制室の業務マニュアルを貰って覚えておかないと……その次の日が……」ブツブツ
美優「約束の日だから、休暇申請も出しているし……」ブツブツ
楓「三船少尉」フワッ
美優「あ……高垣中尉、お疲れ様です」ピクッ
楓「……」
美優「……あの?」
楓「三船少尉」ススススッ
美優「はい……」
楓「少し」ススススッ
楓「お聞きしたいことが」ススススッ
楓「あるんですけど」ズイッ!
美優「ちっ、近い……近いです、中尉……」
楓「あ……すみません」
238:以下、
美優「えっと……何のお話し、でしょうか……?」
楓「一時異動の時期に、どこかお休みの日や、非番で時間がある日とかありますか?」
美優「えっ……?」
楓「そうですね……例えば、2日後とか」
美優(2日後……Pさんに約束してもらった日……)
美優「えっと、その日は……」
楓「実は私……三船少尉と一緒に、どこかに、一緒にいきっ……行きたいなと思って……」
美優「えっ?」
美優(噛んだ……)
楓「その、私たち……一緒にホクドウの管制室の業務を振られたじゃないですか。2人だけですし……その、三船少尉と、もう少しお話ししておきたいなと思って」
美優「そ……そういえば、そうですよね……」
美優(確かに……高垣中尉とお話しする機会もそこまで多くないかも……この先のことも考えると、いまのうちに少しでも……でも、Pさんとの約束も……)
楓「私、ホクドウでお気に入りのお店とかあるんです。そういうところとか、一緒に行きたいなと思っているんですけど……ダメ、ですか?」
美優「う……うう……」
……
…………
239:以下、
――数時間後、ユミルS-01(Pの部屋)
P「よーし終わったぁ!」ボフッ!
菜々「あーっ! ちょっとベッド揺らさないでくださいよぉ! 週報できたんですか?」
P「ここ俺の部屋ですからね? ようやく高垣中尉からオッケーもらったんですよ」
菜々「ずいぶん長かったですねー。P少尉、報告書とか書くの苦手ですか?」
P「いやいや、結局評価報告も書いてるの俺ですからね? 今日持っていったらすんなりオッケーもらいましたよ」
菜々「もしかしたら楓さんの機嫌がよかったんじゃないですかね?」
P「そうかもしれません。まあ、終わったし何でもいいか」ゴロゴロ
菜々「うーコイツ強い……ちょっとPさん、2P側やってくださいよぉ」ポチポチポチ
P「俺ゲームとか苦手なんですよ。そういうの動かすの難しいし」
240:以下、
菜々「いやいや、グレイプニールの操縦のほうが全然難しいと思いますけど? ほらほら早くコントローラー握ってくださいよ。隊長命令ですよ」
P「部隊行動外なので聞きませーん、聞こえませーん」ゴロゴロ
菜々「さて、後でP少の活動実績に命令無視、素行不良の実績を入れておかないと……」
P「あ、ちょっと! 卑怯ですよそれ!」
菜々「知りませーん、聞こえませーん。ナナも最近耳が遠くなってきちゃって……」ポチポチ
P「ちくしょう……」
菜々「あ、そうそう、明日はホクドウに戻りますし、ちゃんと準備しておいてくださいね?」
P「艦を降りたら部隊で本部まで移動ですか?」
菜々「楓さんは一緒の部隊ですけど、管制室業務になりますから明日はナナと2人で行きましょう。楓さんのこっちの手続きはナナのほうでやりますから」
P「了解です」
……
…………
241:以下、
――2日後、ホクドウ(ショッピングモール)
P「1つ聞いていいですか?」
美優「は……はい……」
楓「さあ、早く行きましょう。夕方にお店も予約しているんですから」
P「なんであの人がいるんですか?」
美優「それが、その……わ、私は、断ろうと思ったんですけど……」ボソボソ
楓「どうしたんですか?」スススッ
P「あ、いえ……えっと、中尉は今日は……」
楓「暇だったので」
P「え?」
楓「暇だったので」
P「はい」
242:以下、
楓「それじゃあ行きましょうか。あれ、どこに行くんですか?」
美優「……最初はカトーナノカドーに行こうかと思ってました」
楓「お買い物ですね。ふふっ、お酒コーナー行きたいですね、美優さん?」
美優「え? は、はぁ……」
美優(せっかくPさんと一緒に行く場所、決めてたのに……)
P「まぁ中尉、そんな急がなくても」
楓「ダメです」
P「ええええ? 何が……」
楓「今日は非番じゃなくてわざわざ休暇を取っているんですから、オフなんですよ。中尉はダメです」
P「あ、そっち。じゃあ……楓さん」
美優「!」
楓「はい」
P「さっさと行きますか……それじゃあ、三船少尉」クルッ
美優「……」ジー……
P「……」
美優「……」ジー……
P「……美優さん」
美優「は、はいっ、行きましょうか……」ビクッ!
……
…………
243:以下、
――ホクドウ、ショッピングモール(百貨店内)
楓「どうですか美優さん、こっちの服もいいと思いますけど……」
美優「わ、私は、色が派手ですし……こっちのほうが……」
楓「それならこの上着と合わせて……」
P「……」
P(まあ、女2人いればこうなるか……)
美優「それなら楓さんはこのほうが……」
楓「でもそれは……」
P(ま、いいか……あの2人話すのもぎこちなかったし、今日で仲良くなってくれればいいか)
ピピピッ!
P「ん……はい、Pです」ピッ!
大佐『やあ、いま大丈夫かね?』
244:以下、
P「お疲れ様です。今日は休暇なので問題ありませんが」
大佐『休暇中だったか。悪いね、また後で通信したほうがいいかね?』
P「いえ大丈夫です。何かありましたか?」
大佐『巣の攻略戦が無事終わったと報告があってね。どうだったかね?』
P「……そうですね。俺は、こういうところに戻って来たんだと思いました」
大佐『そうか。当時はキラー・ビーこそ観測されていなかったが、キミのご両親も同じように土星圏で任務にあたっていた』
大佐『あと、黒井はキミのことを散々に言っていたが、まあ褒めていたと思うよ。麗奈君は面白いヤツを寄越してきたと言ってきたよ』
P「お2人には同じようなことを言われました。部隊の力になれたのなら、私としてもよかったです」
大佐『更新されたアルヴィスの戦闘記録を見たが、ホーネットとも交戦したみたいだがどうだったかね?』
P「やはり聞いていたとおり、G1での戦闘は少々厳しかったです。度が圧倒的に足りません」
大佐『ふむ……まあそうなるだろうね。G1か……私からはOPFを渡してやることはできないが……』
245:以下、
P「他部隊もG1で戦闘している者もいます。現状の運用で何とかしていこうかと思います」
大佐『まあ、そうなってしまうか……いや待てよ、そういえばキミはオート・クレールと黒川重工の共同で実施している試作兵装の運用テスト部隊に配属されたね』
P「はい。ラピッドストライカー隊です」
大佐『分かった。しばらく待ってもらうことになるかもしれんが、私のほうで少し手を回しておこう。それまでは頼んだよ』
P「わざわざありがとうございます。まあ、使いやすいモノが来るなら私だけではなく安部中尉も助かります」
大佐『分かった。それじゃあ失礼するよ』
P「お疲れ様です」
ピッ!
P「大佐のほうで何かやってくれるのか……まぁOPFが来るってことはないだろうが」
美優「Pさんっ……す、すみません、お待たせしてしまって」タタタッ
P「ん、ああいいですよ。終わりましたか?」
246:以下、
楓「色々見るだけ見て結局何も買いませんでした……誰かから通信ですか?」
P「いえ、前の部隊で一緒だったヤツからのメールです。特に何かあるわけでもなかったので」
楓「そうですか? それじゃあ、次はどこに行きましょうか」
美優「えっと……次は、シティホールの場所を……」
楓「あら、他の場所でお買い物しないんですか?」
美優「え、でも、元々はPさんの……」チラッ
P「……まあ、俺はいいですよ。店も何があるか分かりませんし、さすがに中に入ってる店はナシヤマにあった店と違いますからね」
美優「そ、それじゃあもう少しお店のほうを……歩きましょうか」
P「了解」
楓「ささっ、行きましょうか」
……
…………
247:以下、
――数十分後
美優「やっぱりぴにゃこら太がいいですよね」
楓「部屋着用のシャツ、これ買っちゃおうかしら……」
美優「Pさんはこの2着のシャツなら、どっちがいいと思いますか?」
P「いや、そのキャラ可愛くないし……俺こっちの猫のキャラクターのほうが……」
美優「……」
楓「……」
P「え」
楓「ダメですね。Pさん、失望しました」ハァ……
美優「残念です……」
P(なんでここまで言われなきゃならんのだ……)
……
…………
248:以下、
――更に数十分後
楓「試供品のお酒が……」タタタッ!
ガシッ!
P「楓さん! お酒はせめて夜にしましょう! ね! ね!?」
楓「Pさん……上官に向かってなんですかその態度は……!」グググッ……!
P「いや昼間からあんなことになるよりは……じゃなかった、ほら、楽しみは夜に取っておくということで……ほら、美優さんも」
美優「えっ? そ、そうですね……楓さん、お酒は……夜まで我慢しませんか?」
楓「美優さんがそう言うなら……ちょっと勿体無いですけど、我慢します」
P「……」ホッ
楓「Pさん? 何か言いたそうですけど……」
P「いえ、何も」
美優「?」
……
…………
249:以下、
――ホクドウ、軍本部、宿舎(菜々の部屋)
菜々「……」ソワソワ
菜々「……」ウロウロ
ピピッ!
菜々「きた!」ガバッ!
ピッ、ピッ……
菜々「……」
『I@LPの適性判定から、残念ながら――』
菜々「……はぁ」ピッ
ボフッ!
菜々「また適性判定、ダメだったなぁ……」ゴロゴロ
250:以下、
菜々「もう、年齢的にも適性判定受けれなくなる頃だし……」ゴロゴロ
菜々「黒井大佐には色々手伝ってもらってるのに……」
菜々「やっぱり、ダメなのかなぁ」
菜々「でも、まだ適性判定は出せるし……」
菜々「ナナも小隊長になれたし、もうそろそろ……」
菜々「でも、もう1回……受けれる間はせめて……」
菜々「……」
菜々「今頃P少尉、何やってるのかな……そういえば楓さん、今日はお仕事でしょうか……」
……
…………
251:以下、
――数時間後、夕方、ホクドウ、居住ブロック、居酒屋『世紀末歌姫』
「注文は?」
美優「え、えっと……」
P「適当に選びますか?」
楓「生中3つに焼き鳥の盛り合わせと、枝豆、土星揚げ、キャベツ、揚げ豆腐」
P「すみません、あとモツ鍋も」
「へい」
美優「……」
楓「今日1日たくさん歩いて疲れちゃいましたね」
美優「ほ、本当はPさんに町の案内を……」
P「まあ、ほとんどショッピングモールにいましたからね。今度適当に歩き回ってみますよ」
美優「す、すみません……」
252:以下、
「はいよ生中3つ」ゴトゴトゴトッ!
楓「それじゃあ……かんぱぁーい」ガチャッ!
P「乾杯」
美優「ど、どうも……」
楓「私、美優さんと一緒に飲むの楽しみにしてたんですよ」ゴクゴクゴクッ!
美優「そ、そうなんですか……?」
楓「ええ、私と同じみたいですし」
美優「え?」
P「何の話ですか?」
楓「ふふふっ……あ、生おかわり」ゴクゴクゴクッ!
P「ペース早すぎだろ……」
楓「さあさあ、美優さんもたくさん飲みましょう?」
美優「は、はい、いただきます……」ゴクッ
……
…………
253:以下、
――数十分後
美優「……」ヒック、ヒック……
楓「あ……あら……?」
P「美優さん、美優さん、大丈夫ですか?」
美優「う……んんん……」ヒックッ
P「ちょっと楓さん、美優さんに飲ませすぎですよこれ……」
楓「え、えええ……? でも、美優さん……」
P「これ大丈夫かな……まあ店出るときに起こすか……」
楓「美優さん、お酒大好きなんですよね?」
P「え、それどこからの情報ですか?」
楓「え? だって美優さん、私と同じでPさんに恥ずかしい姿を見られたって……ゲロを吐かれたって……」
P「え?」
楓「え?」
P「いや、俺、美優さんのそんな姿は見たことないんですが……」
楓「え、あら?」
美優「うー……」ヒック!
楓「……2人で飲みましょうか」
……
…………
254:以下、
――数時間後、夜、ホクドウ(住居ブロック)
P「……」ズルッ、ズルッ……
美優「……」ヒックッ
楓「P、さ……あまり、揺らさないで……」ヒックッ
P「飲みすぎです。起きた美優さんに追い討ちで飲ませるし……ほら、ちゃんと捕まって」ズルッ、ズルッ……
美優「……う、うっ……うっぷ……」ガクガクガク……
楓「っぷ……う、うううう……うっ……」ガクガクガクガクッ!
P「ま、まさか……」
楓「う、うぼぉろろろろろおおおお!!!!」ビチャビチャビチャビチャッ!!
美優「おっ、お……おえええええ……!!」ビチャビチャビチャッ!!
P「ああ……ああああああああ……なんで、またこんなことに……」
……
…………
255:以下、
――ホクドウ、軍本部、宿舎(菜々の部屋)
菜々「よし! 大体は反省したし、明日からまた次の適性判定までウサミン星人として頑張るぞー!」オーッ!
ピピピッ!
菜々「おっと通信……はい」ピッ!
P『……安部中尉』
菜々「あらP少尉、どうしたんですか? あっ! まさか三船少尉との惚気話ですかぁ? やめてくださいよもうっ!」
P『すみません、助けてください』
菜々「えっ」
……
…………
262:以下、
――1時間後、ホクドウ、ショッピングモール(広場)
菜々「クサッ!?」
P「直球ですね」
菜々「いや、だって……」チラッ
美優「……」ズーン……
楓「……」ズーン……
菜々「あの2人が灰色になっているんですけど」
P「まあ、美優さんは仕方が無いというか……あ、楓さんは自爆しただけですから」
菜々「大体分かります」ゴソゴソ
菜々「とりあえず……どうぞP少尉、着替えのシャツ」
263:以下、
P「すみません、ありがとうございます。こんな時間に来てもらって……」
菜々「いやまぁ、ナナはいいですけど。それにしても2方向からゲロの攻撃なんて散々ですね……」
美優「……」ドスッ!
楓「……」ドスッ!
P「ははは……まあ服は捨てますから」
菜々「まあいいです。とりあえずそこでグロッキーになっている2人とも、帰りますよ」
楓「はい……」
美優「す……すみません……私、まだ……」ウップ……
菜々「まさか次の波が……」サササッ
P「しゃあない……美優さんは落ち着いたら俺が送ります」ハァ……
菜々「そうですね。ほら楓さん、ナナたちは先に帰りますよ。レンタカーの中でぶちまけないでくださいね」
楓「だいじょうぶ……です……」フラフラ
菜々「P少尉、明日は総合訓練がありますから、ちゃんと来てくださいよ」
P「了解……」
……
…………
264:以下、
――数十分後
美優「……」ズーン……
P「……」
美優「……」
P「……」
美優「……すみませんでした」
P「いや、気にしていませんから。一応安部中尉に着替えも持ってきてもらえましたし」
美優「嘘、ですよね……だって、酔っ払いに吐き掛けられて、気にしない人なんて……いるとは思えません」
P「一応楓さん相手で経験済みなので、特別驚くことはなかったので……」
美優「え」
P「歓迎会のときに、盛大にゲロを吐き掛けられて……ははっ、あのときも散々でしたし、今日も楓さんが来たときに何となく覚悟してました」
美優「そんな……」
265:以下、
P「それに楓さんも多分、美優さんがお酒を飲める人だと勘違いしていたんですよ」
美優「そ、そうなんですか? どうして……」
P「美優さんがダウンしているときに2人で飲んでいたんですけど、そのとき……」
楓『美優さん、お酒大好きなんですよね?』
P『え、それどこからの情報ですか?』
楓『え? だって美優さん、私と同じでPさんに恥ずかしい姿を見られたって……ゲロを吐かれたって……』
美優「恥ずか、しい……?」
美優『わっ、わたっ、しも……P少尉に……恥ずかしいところ……見られ、て……』
美優「それ……楓さんが、勘違いしていると思います」
P「あ、やっぱり」
美優「私が恥ずかしいって言ったのは……Pさんに、その……は、はだっ、裸……見られたときで……」
P「ああ、そっち……」
266:以下、
P「ええと……それは、その……すみませんでした」
美優「い、いえ……Pさんも、お仕事の途中でしたし、私も……もう気にしていませんから……」
P「とはいえ、さすがに申し訳ないなとは思っていたので……何かお詫びでも出来ればと思っていましたけど」
美優「……」ピクッ
P「とはいえ、お詫びといっても裸見てしまったお詫びなんて何をどうすればいいのか……」
美優「そ、それなら……」
P「はい?」
美優「それなら……もう少し、このままで、いいですか……? もう少し、酔いが覚めるまで……Pさんの、膝……」
P「あぁ、横になるにしてもベンチは硬いから頭も痛いだろうし、いいですよ。男の膝でも枕にすれば、硬いベンチよりはマシでしょうし」
美優「はい……」
美優(Pさんの、膝……温かくて、とても……)
P(……何だか、緊張してきたな。安部中尉に煽られたからってわけじゃないが)
美優「……」
……
…………
267:以下、
――1時間後、ホクドウ(ショッピングモール)
美優「……」スヤスヤ
P「お、起きやしねえ……タクシーも捕まらねえし……結局担いで帰らなきゃならないのかよ……」ハァ、ハァ、ハァ……
……
…………
268:以下、
――翌日、ホクドウ、軍本部(休憩所)
P「……」ズーン……
菜々「あのー……ものすごく疲れきった顔してますけど、大丈夫ですか?」
P「……はい」
菜々「ダメそうですね。はいスタドリとエナドリ」
P「すみません」カシュッ! ゴクゴク
菜々「災難でしたね」
P「高垣中尉と酒飲むのはやめたほうがいいかなと」
菜々「あ、うー……でも楓さん、P少尉や三船少尉と一緒に飲めて凄く楽しかったって言ってましたよ」
P「本当ですか? あの人、ただひたすら飲み続けているだけでしたけど」
菜々「昨日、『美優さんにはとっても悪いことをしてしまいました。明日謝らないと……』と言っていたので、最低限の申し訳なさはあると思いますよ」
P「うーん……まあ、本人たち同士で上手くやってくれれば」
菜々「次もし悲惨な事故が起こる可能性があるときは、言ってくれればナナもついていきますから……」
P「是非お願いします」ゴクゴクゴクッ
菜々「さてと、それ飲んだらいきましょうか。もうそろそろで訓練始まりますよ」
P「了解」
……
…………
269:以下、
――数十分後、ホクドウ、軍本部(訓練場)
菜々「えっ、訓練プログラム変更ですか?」
「うむ、地球から来る予定だった教導員の到着が遅れている」
「そのため本日予定していた総合戦闘技術訓練の予定を変更し、小隊毎にグレイプニールによるコンビネーションマニューバプランのシミュレーター消化をしてもらう」
P「わざわざ地球から来るのか……まあ、随分遠いんだけどな」
菜々「あれ、もしかしてP少尉って地球出身ですか?」
P「ええ、一応」
菜々「地球出身ってことは、もしかして重力圏内での飛行経験ってあったりしますか?」
P「まあ……何度かは」
菜々「うわー、うわぁ……いいですねぇ、ナナは宇宙生まれ宇宙育ちのウサミン星人ですから羨ましいですよ」
P「一応訓練中ですからウサミン星人はやめてください」
270:以下、
菜々「まあまあ、地球から来るっていうお偉いさんも来ないみたいですし……」
菜々「そういえば、前の戦闘でお亡くなりなったジョシュア中尉も地球出身って聞きましたよ」
P「ジョシュア中尉もか……」
菜々「ええ、確かアラスカだかアメリカだかメキシコだとか……忘れちゃいました」
P「ジョシュア中尉は……残念です」
菜々「そうですね。中尉、口は悪い人でしたけど操縦技術はバッチリな人でしたからね。P少尉といいジョシュア中尉といい、地球出身の人って何か違うんですかね?」
P「さあ、あまり変わらないと思いますけど」
菜々「ナナはいつ隊長の地位を脅かされないかと冷や冷やものですよ……さて、訓練始めましょうか。小隊毎のマニューバですからこっちのタイミングでやりましょう」
P「迎撃隊の任務があるまでは訓練か……何だかなぁ」
……
…………
271:以下、
――ホクドウ、管制塔(管制室)
美優「……」カタカタカタッ……
楓「……」チラッ
美優「……」カタカタカタッ
ピピピッ!
楓「はい、こちら管制室です」ピッ!
美優「……」チラッ
楓「補給艦の入港ですね。入港手続き時に発行されたコードの転送をお願いします」カタカタカタッ
美優「……」
……
…………
272:以下、
――午後、ホクドウ、管制塔(食堂前)
美優「ええと、食券は……」
楓「今日は何を食べようかしら……」
美優「あっ……」ピタッ
楓「あっ……」ピタッ
楓「ど、どうぞお先に……」
美優「いえ、その……高垣中尉、お先に……」
楓「いえいえ、美優さんのほうが……」
美優「中尉が……」
「おーい何やってんだよ、列詰まってるんだから早くしてくれよ!」
楓「す、すみません……!」
美優「い、いま……どきますから……」
……
…………
273:以下、
――数分後
美優「すみません……食券、頂いてしまって」
楓「昨日、私のせいで迷惑を掛けてしまったので……お詫び、です」
美優「そ、そうですか……そうですね」
楓「はい……その、私が美優さんに無理やり飲ませちゃったせいで、Pさんにゲロを吐き掛けさせちゃって……」モグモグ
美優「カレー食べているときによくそんなお話しできますね……」
楓「カレーとゲロって違いますよ?」
美優「いえ、そうじゃなくて……見た目とか……」
楓「美味しそうに見えませんか? 食堂のカレーですけど、結構美味しいですよ?」
美優「いえ、あの……もういいです」
274:以下、
楓「……」モグモグ
美優「……」モグモグ
楓「……ぁ」ボソッ
ピピピッ!
楓「!?」ビクッ!
美優「あ、すみません……端末が……広報からの連絡でした」ピッ
楓「そ、そうですか」
美優「……」モグモグ
楓「……あ、あの」
美優「はっ、はい?」ビクッ!
楓「その……ま、また今度……一緒に、お買い物、行きませんか?」
美優「え?」
275:以下、
楓「あの、その……私、あまり一緒に、お出かけする人、いなくて……」
楓「美優さんと、Pさんと……1日外に遊びに行けて……楽しくて……」
美優(親近感を感じる……)
楓「だから、その……よ、よかったら、なんですけど……でも、私、お酒で酔うと調子に乗ってゲロ吐くまで飲んじゃう女で……」
美優「わ、私は……全然、その、私も……普段、一緒にお出かけする人も、いなくて……」
楓「……!」
美優「だから、その……また、町まで行きましょうか」
楓「は……はい……!」
……
…………
276:以下、
――ホクドウ、軍本部(訓練場)
ピピピッ! ピピピッ!
パシュンッ!
菜々「ふーっ、意外とI08のマニューバも形になってましたね」
P「いままではI02からI04までのプランしかやってませんでしたからね……もう少し詰めたほうがいいですけど」
菜々「まあそのうちに……一通りのマニューバはやっておきますか?」
P「時間はありますから無理しない程度に……安部中尉、端末鳴ってますよ」
菜々「あららホントだ……」ピッ!
菜々「……」ピッ、ピッ
P「せめて小隊が通常最低限の3人だったらY02からのマニューバの訓練もやれたけど……」ブツブツ
菜々「……へー」
277:以下、
P「ん、どうしました中尉?」
菜々「いえ、楓さんから連絡が来てました」
P「高垣中尉から? 何かあったんですか?」
菜々「『美優さんとお友達になりました! 次の非番にまた2人でお出かけします!』ですって」
P「えええええ……チャレンジャーだな三船少尉も……」
菜々「仲良くなれたようで何よりです。そういえば、P少尉はお2人とは仲良くなれましたか?」
P「まあ、容赦なくゲロを吐き掛けられるくらいの気心知れた仲にはなったと思いますよ」
菜々「それ、本人たちの前で言わないでくださいね。多分、結構ダメージあると思いますから」
P「……そうですね」
……
…………
278:以下、
――数時間後、ホクドウ、軍本部(資料室)
P「ようやくミーミルが空いたか……本部だから台数は多いがやっぱり混むか」カタカタカタッ
P(アルヴィスの更新履歴……リトット方面での戦闘記録が多いな……)カタカタカタッ
P(ホクドウからは宙域も離れているが……リトットのほうはレアメタルの採掘場もあるし、駐在している部隊も多いから何とかなっているのか)
ピッ!
P(ん、同じ宙域の戦闘記録で見れないものがある……なんだ、俺のIDについている権限レベルだと閲覧できないのか?)
P(であれば宙域で何かあったんだろうが……次の戦闘記録は参照できるし、リトットに特別被害が出ているという一般報道もないし、何があったんだろうか)
P「……」
P「……」ガタッ
……
…………
279:以下、
――ホクドウ、軍本部、宿舎(菜々の部屋)
ピピピッ!
麗奈「ちょっと菜々、端末鳴ってるわよ」ゴロゴロ
菜々「はいはーい。誰ですかっと……P少尉からだ」ピッ
麗奈「ん、アイツ?」ゴロゴロ
菜々「麗奈ちゃんいますかー? って来てますよ」
麗奈「何か用って聞いといて」ゴロゴロ
菜々「はーい。麗奈ちゃんならウサミン星のホクドウ拠点に遊びに来ていますっと」ピッ!
ピピピッ!
菜々「おや、もう返信が……え゛っ」
麗奈「ん?」
菜々「P……P少尉が……」
麗奈「あん? アイツがどうしたって?」
280:以下、
ピピッ!
菜々「ひぅっ!?」ビクゥッ!!
麗奈「誰か来たわね……はい、誰よ」
パシュンッ!
P「失礼します」
菜々「うぎゃー!?!?」
麗奈「アンタ何しにきたの?」
P「小関大尉、少しお時間よろしいですか?」
菜々「あーっ! あーっ! ダメですよP少尉! ウサミン星は不可侵の条約が……」
麗奈「んっとに仕方ないわね……まあ暇してたしいいわよ」
P「すみません、それじゃあ外に」
麗奈「まったく……」
パシュンッ!
菜々「……ナナは無視ですか、そうですか」
……
…………
281:以下、
――ホクドウ、軍本部、宿舎(通路)
麗奈「で、話しってなによ」
P「今日、アルヴィスの更新履歴からリトット方面の戦闘記録を参照していたんですが、一部閲覧できなかった記録がありました」
麗奈「ああ、それ」
P「私の権限レベルでは参照できなかったので、小関大尉なら――」
麗奈「その戦闘、蜂の新種が出たのよ」
P「……やはりそういった類の話か」
麗奈「何よ、気になるの?」
P「一部だけ高権限の情報でしたので、まあそれなりに」
麗奈「……1つ聞くけど」
P「はい?」
麗奈「アンタ、新種の蜂のことどう思う?」
P「どう思う、ですか」
282:以下、
麗奈「何でもいいわよ。思ったこと言いなさい」
P(……)
麗奈「ほら、どうなの」
P「……直接見てみないことには何とも」
麗奈「へー、つまり見てみたいってわけ」
P「まあ、出来ることなら」
麗奈「それじゃ任せなさい。レイナサマが何とかしてあげるから」
P「本当ですか? それなら……すみませんがよろしくお願いします」
麗奈「はいはいっと。それじゃアタシ戻るわ」
P「はい、お疲れ様です」
……
…………
283:以下、
――翌日、ホクドウ、軍本部(食堂)
P「……」
菜々「……」
『S-01所属ラピッドストライカー隊については、衛星調査隊への一時異動とする。下記期間中はリトット方面での――』
菜々「……何故? 異動? 迎撃隊のお仕事は?」
P「あの人上に何話したんだ……」
ピピピッ!
P「……はい」ピッ!
麗奈『あ、アンタの端末これで合ってる? 通知きてた? お望みどおり出向許可貰っておいたわよ。レイナサマも一緒だから感謝しなさいよ』
P「……さいですか」
……
…………
289:以下、
――夜、ホクドウ、軍本部(休憩所)
楓「あの……なんでそんなお話しになったのでしょう……?」
菜々「いや、ホントなんででしょうか」
P「……」
麗奈「そりゃコイツが新種見たいって言い出したからよ」
P「見たいとは言ってなかったはずですが」
麗奈「細かいこと言ってんじゃないわよ! 丁度レイナサマも見に行きたかったからアンタのことダシに使っただけよ!」
菜々「あのー麗奈ちゃん、ナナたち……オート・クレールと黒川重工が作った試作兵装のテストが……」
麗奈「ああ、それスタッフも連れていくわよ」
菜々「いやいや、それ契約どうするんですか」
麗奈「それに、どうせユミルはメンテ中だし、その間はアンタたちの仕事だって営業停止でしょ」
麗奈「今回の作戦で使った兵装の稼動データとグレイプニールの戦闘記録を解析するのと、向こうはやることも多いでしょ」
楓「ログのフィードバックと、オート・クレールの工場で今後テスト予定の兵装を組む作業もあるみたいですからね」カタカタカタッ!
290:以下、
菜々「でもぉ、リトットに行くっていつまでいるつもりなんですかぁ?」
麗奈「いつまで? んー……適当でいいでしょ。1ヶ月くらい」
P「1ヶ月後ならS-01のメンテはとっくに終わっていると思いますが……」
麗奈「いいのいいの、アンタたちがいなくても何とでもなるでしょ。調子に乗ってんじゃないわよ」
菜々「いやそういうわけじゃないんですけどね!?」
P「……まあ、気になってリトット側の民間船の運航状況を確認してみたら、出航スケジュールが減っていました」
P「細かい話しはアルヴィスのほうも公開されていませんが、何かしらあるのは確かだと思います」
楓「その新種? の対応が難しいんでしょうね。記録映像でももらえたらいいんですけど」
麗奈「ま、その辺は調査隊の異動もあるし、一部権限も開放されるでしょ」
菜々「あああぁぁ?……もう、わざわざ新種見つけて殴り込みに行くなんて……」ハァー……
P「仕事であれば仕方ないですよ」
291:以下、

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