渋谷凛「恋心グラサージュ」back

渋谷凛「恋心グラサージュ」


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1:
バレンタインでもらって何よりも嬉しいもの、って何だろう。
そんなことを少し考える。
やっぱり意中の相手からのチョコレートかな。
となると、女の私にはよく分からない。
ああ、うん。逆チョコ、なんてのもあるみたいだけど、もらったことはないし、よく分からない。
じゃあ、私は何だと思うか。
それはね……。
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2:
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
午前5時。ぴぴぴ、と携帯電話のアラームが私を起こす。
眠たそうな目をぱちぱちさせて、私を見るハナコに小さく「ごめんね、起こしちゃったね」と声をかけ部屋を出た。
下の階に降りて、冷蔵庫に入っている箱から簡単なラッピングが施されている小さな包みを一つを取り出す。
中身は、前日に作ったチョコムースだ。
たくさん作るのはお店屋さんになった気分で少し楽しかったけど、大変だったのは個包装。
一個一個丁寧に包んでいくのは作業じみていて正直、疲れた。
でも喉元過ぎればなんとやらって感じでさ。冷蔵庫に入ったたくさんのそれを見てると、不思議と笑みがこぼれた。
まぁ、なんというか、つまるところ渡す分のチョコレートは前日のうちに作ってあるんだ。
なら、何故こんな時間に起きのか、って言うと寝る前の私のせいなんだけど。
ごろんとベッドに横になって、携帯電話を眺めているとバレンタイン特集のサイトが目に入ってさ。
そこで見つけたのが有名なケーキ屋さんのチョコムースでね、表面がグラサージュしてあって。
あ、私もこれやりたい。って思っちゃったんだよね。
そんなわけで今に至る、って感じ。
3:

さぁ、やるぞ。
そんな気持ちでエプロンをつけて髪の毛を後ろで結んで、準備は完了。
ボールに材料を入れて、ゆっくりゆっくり混ぜ合わせ火にかける。
つやが出てきたら火を止めゼラチンを加えて、またゆっくりゆっくり混ぜ合わせる。
へらで混ぜるだけの単純で単調な工程なのに、苦ではなくて、なんだか変な気分だった。
4:

綺麗に混ざったら、今度は人肌くらいの温度まで冷やす。
丁度いいくらいの温度になったことを確認して、包みからチョコムースを取り出した。
上にちょこんと乗ったラズベリーを取って、お皿の上に一時避難。
何も乗っていないチョコムースにグラサージュしていく。
すると、みるみる内にペールブラウンだった表面がつやつやのダークブラウンに早変わり。
思い付きだったけれど、悪くない、それどころか会心の出来だ。
あまりの出来栄えに、写真を撮って卯月や未央に送ろうとしたくらい。
送らずに踏みとどまれた理由は、まだ朝の6時前ってことと、何より卯月や未央達にあげる分にはグラサージュしていないことに気が付いたからだ。
あー、舞い上がってるなぁ。私。
なんて、自分がおかしくなっちゃってることに苦笑しながら、もう一回チョコムースを包み直した。
5:

ハナコに餌をやって、散歩に行って帰ってくると、花の競りに行く前の支度中のお父さんとばったり会った。
「おはよう、凛。早いな」
「うん、おはよ。……あ、ごめん。ちょっと待ってて」
そう言ってハナコのリードをお父さんに預け、ばたばたと家へ入る。
冷蔵庫からチョコムースの入ったカップをひとつと、引き出しからスプーンをひとつ取り出して、またばたばたと店の方へと戻った。
「はい、これ。ハッピーバレンタイン」
「ああ、そっか。ありがとう」
「ふふ、食べたらお仕事頑張ってね」
「ああ、凛も学校頑張って」
「うん。またね」
6:

お父さんを見送って、私も制服に着替えて支度を始める。
私の支度が終わる頃には、お母さんが起きてきて「ああ、またか」とでも言いたげな顔で私を見ていた。
「お母さんおはよう。今日は朝ご飯いいや。コンビニとかで買って食べるよ」
「いつも学校に行く時間には1時間以上あるわよ?」
にやにやしてお母さんはそう言う。
分かってるくせに。
意地が悪い。
「今日はちょっと用事があって」
「そう。気を付けてね」
「うん。行ってきます」
にやにや顔のお母さんの「はい、行ってらっしゃい」という声を背中で聞いて家を出た。
7:

いつもより1時間以上早く家を出たわけ、それは事務所に寄るため。
別に深い理由はないけど、ただなんとなく、サプライズで渡したいな、と思っただけ。
それだけの理由で学校へ行く前に事務所に寄った。
事務所は、始業にはまだ少し時間があるからか、あまり人はいないみたいだった。
とりあえず、目指すはプロデューサーのデスクだ。
8:

薄くドアを開いて、室内を確認する。
残念ながらプロデューサーはまだ来ていないみたいだ。
それならば仕方ない。部屋に入って、プロデューサーのデスクの上に小さな箱を置いた。
もちろん中身は自信作である特別製チョコムース。
そうして、簡単な書き置きを残して事務所を後にし、学校へと向かった。
9:

今日最後の授業の終鈴のチャイムが校舎に響く。
その後、帰りのホームルームが終わりクラスメイトは各々の目的地へと散っていく。
私もその一人だ。
これから一旦家に帰って、たくさんのチョコムースを持って事務所へ。
みんなの手作りがどんなのか楽しみだなぁ、とこれからもらえるであろう友チョコの数々に胸を弾ませながらの帰り道、その途中で携帯電話が鳴った。
プロデューサーからだった。
10:

「もしもし」
『お疲れ、俺だけど今電話大丈夫か?』
「お疲れ様。うん、平気」
『なら、よかった』
「それで、何か用?」
『ああ、うん。……チョコ、おいしかった。ありがとう』
「ふふっ、でしょ。自信作なんだ」
『また後で、レッスン終わりにでも顔出すからさ、そのとき改めてお礼を言わせて』
「なら、楽しみにしてる」
『じゃあ、また』
「うん。ばいばい」
私のその言葉から少し間を置いて、電話が切れる。
真っ暗になった画面に映る、にやけた自分の顔が少し恥ずかしかった。
11:
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
バレンタインでもらって何よりも嬉しいのは、たぶん……。
ううん、きっと。
大事な人達からの「ありがとう」なんだと思う。
おわり
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