【モバマス×龍虎の拳】リョウ・サカザキ「俺がアイドルのプロデューサー?」back

【モバマス×龍虎の拳】リョウ・サカザキ「俺がアイドルのプロデューサー?」


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リョウ「……師範どの、俺たちは……」
師匠「……ええ。ですがそれは私の杞憂だったようだ。どうやらあなた方は本気でいらっしゃるようだ。それならば、同業者という点で、かえって安心して有香を送り出せる」
師匠「……坂崎殿。どうか、有香を、何卒……!何卒宜しくお頼みします……!」
ザッ
リョウ「師範殿……確かに、承りました。こちらの方こそ、有香を、大事なお弟子さんを、お預かりさせて頂きます」
ザッ
465: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/04(水) 01:10:53.20 ID:dUTS+pg10
師匠「……ところで坂崎殿。有香は一体いつ頃デビュー出来る予定なのですかな?」
リョウ「え?い、いや、現時点ではまだなんとも……」
師匠「左様ですか……それでは!もし有香のデビューが決まったならば!すぐにお知らせを!すぐにですからな!」
リョウ「え、は、はい。え?」
師匠「ふふふ……楽しみだなぁ……それではこれで失礼します、坂崎殿」
リョウ(まさかここ(応接室)で一戦やる羽目になるかと思ったが……食えねえ人だなあの御仁は)
466: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/04(水) 01:19:48.55 ID:dUTS+pg10
東京・某所
???「フッ……極限流、日本まで来て何をやっているかと思えば、まさかアイドル事務所とはな」
???「大方、ロバート・ガルシアの気まぐれだろうが、随分と呑気なものだ」
???「……ハハハ、しかしアイドルか。なるほど、それもまた一興か。ハハハハハハ!」
475: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/04(水) 19:44:51.36 ID:dUTS+pg10
翌日
事務所
ガチャ
ロバート「おう、おはようさん!リョウ、おるか!?」
リョウ「おはよう、ロバート。そりゃいるよ。住んでるんだからな」
ちひろ「おはようございます、社長」
ロバート「ちひろさんもおはようさん!……それより、覚えてるか?以前話した、スカウト以外でのアイドルを雇う計画……」
476: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/04(水) 19:49:11.18 ID:dUTS+pg10
リョウ「ああ、聞いたな。……まさか?」
ロバート「せや!実はこっそり裏で進めとったんや。ロバートプロダクションアイドル募集企画!」
ロバート「ネットの芸能事務所の求人サイトとかで募集をかけててな……まぁ出来たばかりの無名振興事務所やから、めちゃくちゃ応募があったわけやないが、それなりの数の応募はあった。改めて、この国ではアイドルになりたいと願う女の子はたくさんおるっちゅうこっちゃな」
リョウ「いつの間に……」
478: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/04(水) 19:54:09.59 ID:dUTS+pg10
ロバート「ワイもただフラフラしとっただけやないっちゅうことや!送られてきた履歴書と写真でワイの方で大方の一次審査は済ませてある」
ロバート「2次審査……ていうか最終審査の面接に残ったのが5名……ほんで、今の6810プロはすでに3名のアイドルが所属……当初の計画として5名のアイドルを揃えて活動を始める予定やから、この5名の中から出来れば2名、最低でも1名は採用したいところやな」
ロバート「とは言っても一次審査の時点でワイの目によるある程度のビジュアル面での基準はクリアしとる娘ばかりや。なんで、後は実際の面接でその娘がやっていけるかを見極めることになる。そんで、その面接にはリョウ、お前も当然参加してもらう」
リョウ「面接か……限られた時間の中で、ほとんど知らない相手の人となりを判断するのはかなり難しいな……拳を交えれば一発なんだが」
ロバート「アホ!全員と組手する気か!……まぁそれはそうやけど、面接にはワイも参加する。そんで、二人で話し合って合否は決めたらエエ」
479: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/04(水) 20:01:18.25 ID:dUTS+pg10
リョウ「そうか……で、面接はいつなんだ?」
ロバート「今日の午後からや。やから、それまでにこの5人の履歴書に目を通しとってくれや」
スッ
リョウ「今日なのかよ!急だな!ったく……」
ペラ
ロバート「どうせ期間空けたって別にお前の判断基準は変わらんやろ……それにこの募集費用やらなんやらでプロダクションの資金もかなり厳しくなってきとる。もうあまりゆっくり動いてもいられんのや」
リョウ「そういうことなら仕方ないな……」
ロバート「まぁこれも慣れへん仕事やろうけど、美波ちゃんも言うてたやろ、挑戦や挑戦」
480: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/04(水) 20:08:02.85 ID:dUTS+pg10
午後
会議室
ロバート「それでは、自己紹介と自己PRを」
女の子A「はい!○○といいます!趣味は料理で、特技は日本舞踊です!」
リョウ「日本舞踊?」
女の子A「はい、幼いころから仕込まれてますので……」
ロバート「それでは、志望動機を」
女の子B「志望動機?実は募集を見て、勝手に親が応募して?」
女の子B「けど?、テレビで出てる女の子って?、ぶっちゃけアタシよりカワイイ娘いないし絶対イケるなって思って?」
リョウ「大した自信だな」
女の子B「は?」
481: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/04(水) 20:13:38.15 ID:dUTS+pg10
ロバート「どうぞ」
女の子C「実はあたしモデルの経験あって、ルックスには自信あるんですよ」
女の子C「それにスタイルの維持にも普段から気を使っていますし、今朝も朝食はスープだけです」
リョウ「大丈夫か……もっとしっかり朝飯食って来いよ」
女の子C「スタイル維持の方が大事なんです!」
482: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/04(水) 20:20:29.43 ID:dUTS+pg10
女の子D「テレビで見たアイドルの人が、観客の人をみんな笑顔にしてて……私もあんなふうになれたらなって憧れてっ!」
リョウ「憧れだけで出来る仕事じゃないかも知れないぞ」
女の子D「やっぱり、私みたいな子どもじゃ難しいですか……?」
リョウ「年齢は関係ないと思うぞ」
リョウ(しかし細いなこの子は……)
483: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/04(水) 20:25:19.18 ID:dUTS+pg10
女の子E「どんな厳しいレッスンにも耐えられます!体力には自信がありますから!」
リョウ「おっ、元気良いな。普段から運動してるのかい?」
女の子E「はい!色々なスポーツをやってます!バスケにサッカー、野球にアメフト……」
リョウ「幅広いな」
リョウ(……わからん!)
ロバート「……はい、今日はおおきに。すぐに合否を発表するんで、30分ほど応接室で待っとってや」
484: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/04(水) 20:33:53.89 ID:dUTS+pg10
リョウ「……ロバート、こういっちゃあなんだが全然わからなかったぞ」
ロバート「ルックスはワイが直々に写真を審査しただけあって皆カワいかったな。実物見ると印象ちがうのもおったが」
ロバート「ただまぁ、面接やからそんな自分にマイナスな事言う娘はそうそうおらんわな」
リョウ「しかし、ほとんどの娘とはちゃんと会話を出来た感じがなかったな……それは質問をする俺の方の技量不足のせいなんだろうが……」
ロバート「正直ワイも判断しかねるんやが、フィーリングやフィーリング……ん?電話か?」
プルプル
485: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/04(水) 20:38:35.26 ID:dUTS+pg10
ロバート「はい、もしもし、ロバート・ガルシアですが……え?今からすぐでっか?……わかりました、向かいます」
ピッ
ロバート「……すまんリョウ、急用や。待たしとる子らには悪いけど、後日結果を連絡するからってんで今日のところは帰しといてくれ」
リョウ「お、おいロバート」
ロバート「詳しい事は帰ってから伝えるわ。ほなとにかく頼んだで!」
バタバタ
リョウ「……急に帰せって言われてもな……」
リョウ「……そうだ、せっかくだし少しくらいならいいだろう……」
486: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/04(水) 20:43:49.70 ID:dUTS+pg10
応接室
ガチャ
リョウ「みんな待たせてすまないな」
女の子A「!いえ、結果が出たのですか!」
女の子B「ならさっさと発表して欲しいんですけど?」
リョウ「それなんだが、すまない。選考が難航しててな。結果は後日改めて連絡させてもらうことになる」
487: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/04(水) 20:50:17.98 ID:dUTS+pg10
女の子C「ええ……じゃあ今日はこのまま解散ですか?」
リョウ「ああ、それなんだが……せっかく来てくれたのにこのまま帰すのは悪い。なんで、今日はうちのレッスンを少し体験してもらおうと思う」
女の子E「!本当ですか!?レッスンはダンスですか、ボイスですか?」
リョウ「ああ……とりあえず事務所に貸し出し用のジャージがある。それにみんな着替えてくれ」
488: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/04(水) 21:10:47.13 ID:dUTS+pg10
都内某所
ロバート「……そんな、余りにも急すぎるんとちゃいます?交渉も複数回重ねてて、もう最後の詰めの段階だったはずやで」
???「だから先ほどから何度も謝罪しているだろう……本当に申し訳ない」
ロバート「そんないくら口先で謝られても、ずっと交渉してきたウチを蹴って、後から交渉してきたプロダクションの方に行くなんて納得できへんわ」
489: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/04(水) 21:14:27.50 ID:dUTS+pg10
ロバート「それもまぁ契約ごとやからしゃーないっちゃあしゃーないけど……一体ナンボ積まれたんです?」
???「契約内容の事は向こうとのこともある。当然明かすことはできない」
???「……だが、君の所のプロダクションに私が不義理を働いたのも事実だ」
???「信じてもらえないかもしれないが、金額で向こうに決めたわけではない、とだけ言っておく」
490: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/04(水) 21:20:17.02 ID:dUTS+pg10
ロバート「はっ、どうだか……何にせよウチのボイストレーナー探しはまたイチからや。もうあまり時間もあらへんのに……」
???「それについても、私のツテを当たってみて、もし紹介できそうな者がいれば連絡させてもらう」
ロバート「……もう部外者のアンタにそこまでしてもらう義理はないけど、今のウチは藁にも縋りたい状況や。期待せんで待たしてもらいまっせ。ほな」
事務所
ロバート「……戻ったで?……全く由々しき事態やで……」
ちひろ「おかえりなさい、ロバート社長」
491: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/04(水) 21:24:56.61 ID:dUTS+pg10
ロバート「……あれ?リョウは?」
ちひろ「プロデューサーさんなら、少し前にランニングに出られました。受験者の子たちと一緒に、体験レッスンだと言って」
ロバート「なん……やと……」
フラッ
ロバート「アカン!ちひろさん、なんで止めんやったんや!アイツはアホやぞ!そんな事したら、女の子全員……ハッ、携帯!まだ間に合う!連絡を……」
ピッ
プルルル
492: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/04(水) 21:30:02.79 ID:dUTS+pg10
机の上の携帯「プルルルル」
ロバート「……」
ロバート「携帯しとらーーーーん!あのアホ、置いて行っとるーーーー!!!」
ロバート「ああ……もうダメやぁ……おしまいやぁ……」
ちひろ「あっ、社長、事務所の前にタクシーが停まりましたよ……」
ロバート「……まさか」
493: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/04(水) 21:36:56.08 ID:dUTS+pg10
ガチャ
ツカツカ
女の子A「……」
女の子B「マジあり得ないしこの事務所」
女の子C「私はアイドルになりに来たんです。オリンピック選手なら他を当たってほしいです」
女の子E「アタシスポーツは観る専だし」
ゾロゾロ
ロバート(やっぱりーーーーー!!)
494: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/04(水) 21:41:17.89 ID:dUTS+pg10
女の子A「あ、社長さん。丁度いいです、今回のお話、無かったことにさせて頂きます」
女の子B「アイツマジヤバくね?ていうかこの事務所あり得無くね?」
ロバート「あ、あ?、あのアホがなんかとんでもない事してしもたみたいやけど、ほんと普段はこんなことない……」
女の子E「ウソだ!あのプロデューサー、『今日はお試しだからいつもの半分のさで走ろう』とか言ってたぞ!つまり普段はあの2倍のさで延々走らされるんだ!ふざけんな!」
495: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/04(水) 21:46:32.43 ID:dUTS+pg10
女の子C「とにかく、これはタクシー代の請求書です。払わないとは言わせませんよ?プロデューサーの方が『タクシー代は社長に請求してくれ』って言って私たちを乗せたんですから」
ロバート「おお……」
ヨロヨロ
女の子A「それではごきげんよう。2度と来ることはないでしょう」
女の子B「バーカ!一生流行んねーよこんな事務所!」
ロバート「……」
496: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/04(水) 21:52:25.97 ID:dUTS+pg10
リョウ「……そうか、背の高さがコンプレックス……」
タッタッタ
女の子D「コンプレックスっていう程じゃないんですけど……私、可愛くなりたいんですっ。けど、背が高い子って可愛くないんじゃないかって」
タッタッタ
リョウ「女の子だもんな、俺たち男にはわからん、そういう悩みもあるだろうが……別に可愛い可愛くないに身長は関係ないだろう?本人の愛想の問題だと思うが」
タッタッタ
女の子D「はいっ、実は最近見たテレビに出てた、私よりも身長の高いアイドルの人が、すっごく可愛くってっ!可愛いに身長は関係ないんだ、私もあんな風になりたいって!」
タッタッタ
497: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/04(水) 21:57:59.95 ID:dUTS+pg10
リョウ「さっきの面接でも話してたな……というより、君がこんなに体力があるのに驚きだ。面接では話さなかっただろう?」
女の子D「実は、背の高さでちょっと不安だったんですけど、そのうえいっつも陸上部で走ってばっかりって知られたら、あんまり可愛いって思ってもらえないかもしれないと思って……」
リョウ「そりゃ困る。こっちはただでさえ面接の経験不足で、しかもあの短時間で君たちの人となりを見なきゃいけないんだ。その上隠し事までされたんじゃ、もう俺にはどうしようもないぞ」
女の子D「あっ……ごめんなさい……」
シュン
リョウ「それに、陸上やランニングは君が普段から本気で取り組んでることだろう?なんであれ、本気でやってることをマイナスに捉えるような奴はウチにはいないさ」
女の子D「……!」
498: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/04(水) 22:03:19.25 ID:dUTS+pg10
リョウ「……それに、君がこうして一緒に走ってくれたおかげで、しっかり話が出来た。少しだが、君の……乙倉悠貴さんだったかな?ユウキさんの人となりを知ることが出来たよ」
リョウ「他の娘たちは残念ながら早々にリタイアしてしまったから、イマイチ人となりを知ることが出来なかったが、後はロバートと話しをして合否を決めるしかないな」
リョウ「……それより、君について、身長よりも気になってたことがあるんだが……」
女の子D「はいっ?なんでしょう?」
499: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/04(水) 22:08:24.10 ID:dUTS+pg10
リョウ「……その、君は、しっかりメシを食ってるか?」
悠貴「え?」
リョウ「ユウキさん。事務所に帰る前に、メシ食っていこう。俺の奢りだ」
悠貴「???は、はいっ!ありがとうございますっ!」
悠貴「それと、悠貴って呼び捨てで良いですよっ!さん付けなんて、慣れてなくって、なんだか照れちゃいますっ!」
リョウ「そうか、じゃあユウキ!そこのファミレス寄って帰るぞ!」
悠貴「はいっ!」
512: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 21:08:42.46 ID:xYwaDdoS0
ファミレス
リョウ「思うに、君は良く走っているんだろう?それに対して食べる量が少ないと思うんだ」
リョウ「ユリが……妹が言っていたんだが、消費するカ口リーに対して摂取するカ口リーが少ないと人はどんどん痩せていくと」
悠貴「そうですね……他の友達の子たちと比べても食べる量は普通か、ちょっと少ないくらいかもしれませんっ!」
513: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 21:12:47.19 ID:xYwaDdoS0
リョウ「そうだろう?……まぁ、君は格闘家やプロスポーツ選手になりたい訳ではないだろうから無理して詰め込む必要はないが、ユウキは今13歳か?まだまだ育ち盛りなんだから、沢山食べるに越したことはない」
リョウ「それでも、沢山食べるのにはそれなりに訓練が必要だから、まずは好きな物でもいいから、食べる量を増やしていこう……と料理が来たな……む」
悠貴「?プロデューサーさん、どうしましたっ?」
リョウ「……いや、なんでもない。ユウキが頼んだのはハンバーグセットか。好きなのか?」
514: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 21:18:14.15 ID:xYwaDdoS0
悠貴「はいっ、というより大体のものは好物なんですけど……ただ……」
リョウ「ただ?」
悠貴「生野菜だけはちょっとニガテで……えへへっ」
リョウ「……本当なら好き嫌いなく食べるんだ!と言いたいところなんだが……それに関しては、俺もちょっとな」
悠貴「えっ、プロデューサーさんにもニガテな物があるんですかっ?大人なのにっ」
515: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 21:23:14.27 ID:xYwaDdoS0
リョウ「ぐっ……まぁ、俺は漬物全般がちょっとな……あの独特の臭みというか、後味というか……」
悠貴「……あっ!付け合わせのお漬物!だからさっき微妙なお顔したんですねっ!」
リョウ「び、微妙な顔なんてしてないぞ!……いや、したかもな」
リョウ「よし!それなら俺はこの付け合わせの漬物。ユウキは付け合わせの生野菜サラダ。お互いちゃんと残さずに食べること!」
516: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 21:27:52.26 ID:xYwaDdoS0
悠貴「は、はいっ!でも、もしどうしても食べられなかったら……」
リョウ「食べる前から食べられなかったときのことなんか考えるな!だが……」
リョウ「……その時は、行儀は悪いがサラダと漬物を交換だ。内緒だぞ」
悠貴「は、はいっ!」
517: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 21:35:07.96 ID:xYwaDdoS0
事務所
リョウ「戻ったぞ……。じゃあユウキ、シャワーを浴びたら着替えて、今日のところは解散だ。合否は改めて連絡するk」
ロバート「いや!悠貴ちゃん!待たすまでもない、君は合格や!おめでとう!」
ズイ
悠貴「えっ!?社長さんっ!?ホントですかっ!?」
リョウ「ロバート?合否はごじ」
ロバート「ああ!合格や!実は今のランニング、これが最終試験やったんや!だから、リタイアしてしまった他の娘は残念やけど不合格や」
リョウ「そ、そうなのか?俺はなにm」
ロバート「けど、見事悠貴ちゃんはやりきった!お見事!君こそウチのプロダクションにふさわしい!というわけで、ウチの事務所に入ってくれるよな!?な!?」
ズズイ
518: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 21:40:00.37 ID:xYwaDdoS0
悠貴「(しゃ、社長さん、ちょっと怖いですっ)は、はいっ!ぜひともよろしくお願いしますっ!」
ロバート「よっしゃ、今日はもう疲れたやろ、シャワー浴びて、後日正式契約や」
悠貴「はいっ!ありがとうございましたっ!プロデューサーさんも、ごちそうさまでしたっ!」
ペコ
リョウ「あ、ああ」
519: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 21:45:29.61 ID:xYwaDdoS0
リョウ「おいロバート、さっきの話、俺は聞いてないぞ。どういう……ロバート?」
ロバート「聞いてへんはこっちのセリフやぁ……!お前、どういうつもりやねん!なんで勝手にランニングに!今日は帰せ言うたやろが!」
リョウ「ああ、それなんだがな。やはりさっきの面接だけでは彼女たちの人柄を知るのに不十分だと思ってな。かといって、組手をやるわけにもいかんから、とりあえず軽くランニングにしたんだ」
ロバート「や・か・ら!!軽ぅない!軽ぅないんやお前の軽くは!お前、たまたま今集まっとる女の子たちがみんな基礎体力があったからって、世の女の子みんなそうやと思うなや!あの悠貴ちゃん以外はみんな怒って帰ってもうたわ!こんな訳わからんシゴキやってられへんって!」
520: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 21:51:36.22 ID:xYwaDdoS0
リョウ「な、なんだって……?じゃあさっきのユウキ以外不合格ってのは……」
ロバート「あっちの方からお断りされたって話や!不合格はどっちかというとこっちの方じゃ!ドアホ!」
リョウ「そうか……残念だ……」
ロバート「残念どころの話やないで……今回の募集で2名獲得できればプロダクションとして本格的に始動できたのに……」
ロバート「せめて一人は絶対に逃がすまいと悠貴ちゃんには即合格を伝えたけど、もし彼女がダメやったらもう終わりやで……」
521: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 21:57:35.69 ID:xYwaDdoS0
リョウ「……今回の件に関しては俺の勇み足だった。それは謝る」
リョウ「だが、ユウキに関しては、間違いない人選だと断言できる。あいつは間違いなく伸びる」
ロバート「……ほう?まぁあの子に関しては面接でも光るものはワイも感じ取ったが、お前がそこまで言い切る根拠はなんや?まさかお前のランニングに付いて来れたから、なんて言うつもりやないやろなぁ?」
リョウ「まぁ体力もそうだが、性格の問題だ。さっき少し話しただけだが、彼女は本当に素直だぞ。それに向上心があるし、努力を厭わない。そういうやつは絶対に伸びる。それはもちろん導いていく俺たちが間違えなければ、だが」
522: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 22:06:26.98 ID:xYwaDdoS0
ロバート「……まぁお前がそこまで言うなら悠貴ちゃんの素質は確かなんやろ。やけど、5人目などうするんや。当然もう一回募集をかけて、なんてのは時間的にも資金的にも無理やぞ。……それに、よくないニュースもあるしな」
リョウ「よくないニュース?」
ロバート「以前話しとったアメリカ帰りのトレーナー。別のプロに横取りされた。トレーナー探しはまたイチからや」
リョウ「なんだって!?……じゃあ、まだレッスンは始められないのか……」
ロバート「ワイも急いで代わりを探しとるけど、ボイストレーナーかダンストレーナー、せめてどっちかは早急に決めたいところや……」
523: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 22:12:44.93 ID:xYwaDdoS0
ロバート「……まぁトレーナーの方はワイの方でなんとかする。リョウの方は最後の5人目、これはもうお前になんとかスカウトしてきてもらうしかない」
リョウ「……それについてだが、5人目にぜひ誘いたい娘がいる」
ロバート「なに……?お前にこっちでツテがあるんか?まさか藤堂の娘か……?」
リョウ「いや、違う。それに別にツテって程のものじゃない。前に街中で一回声掛けて断られたことがあるだけだ」
524: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 22:17:53.45 ID:xYwaDdoS0
ロバート「なんじゃそりゃ?ホンマに全然ツテやないやんけ、それに断られたって……こんな緊急の時に、そんなじっくり勧誘するヒマはないで。それとも、そんな食い下がりたいほどの逸材やったんか?」
リョウ「……どうだろうな。容姿は優れていたと思うが、それよりも彼女のあの眼……そればかりが思い浮かぶ。なんというか、あのまま放っておくことが、俺には出来ない。そんな眼をしていた」
ロバート「よくわからんけど……まぁスカウトに関してはもうお前に一任しとる。けど、あんまり入れ込みすぎたらアカンで?もし見込みがなさそうやったら次に切り替えていくんや」
リョウ「ああ、わかった」
525: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 22:22:07.36 ID:xYwaDdoS0
数日後
都内・バイキング
リョウ「さあ!着いたぞユウキ!ここは時間内ならどれだけ食ってもタダだ!沢山食べるんだ!」
悠貴「はいっ!たくさん食べられるように頑張りますっ!」
拓海「いや、ハズいテンションだな!……まぁ食い放題だからな、気持ちはわかる」
526: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 22:31:57.43 ID:xYwaDdoS0
美波「社長さん、今回の契約お祝いがバイキングなのは悠貴ちゃんの希望なんですか?」
ロバート「いや、なんかリョウが……とにかく腹一杯食える処が良いだろうって……まぁ確かに細いなぁとは思うけどな……」
有香「でも、悠貴ちゃんここに来る前のランニングでは一番坂崎プロデューサーについていけてました!その体力、私も負けていられません!」
リョウ「よし、ユウキ!とりあえず俺が食い物を皿に盛る!好きな物を言うんだユウキ!」
悠貴「あ、ありがとうございますっ!何があるか一緒に見に行きましょう!」
527: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 22:38:46.85 ID:xYwaDdoS0
拓海「……なぁ、なんかサカザキのヤツ、妙に悠貴には構うというか……世話を焼くというか……そんな感じしねぇ?」
美波「そ、そうかな?でも悠貴ちゃん、ちょっと話したけどすっごく素直で可愛くて、世話焼きたくなるのもわかるかな……」
悠貴「戻りましたっ!はい、みなさん、お飲み物ですっ!」
拓海「おっ!気が利くじゃねえか……ん?なんだこのジュース……」
有香「美味しいですが、飲んだことありませんね?」
528: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 22:47:39.87 ID:xYwaDdoS0
悠貴「ここのドリンクバー、色々種類があってっ!それでちょっと混ぜて作ってみましたっ!どうですかっ?」
美波「うん、美味しいよ、悠貴ちゃん!」
リョウ「待たせたな」
ドンッ
拓海「いや、盛りすぎだろ!それ全部悠貴に食わす気か!?」
リョウ「そ、そうか?育ち盛りだからこれくらいイケるかと思ったが……」
529: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 22:51:14.55 ID:xYwaDdoS0
悠貴「いえっ!プロデューサーさんにせっかくよそってもらいましたからっ!いただきますっ!」
パクパク
悠貴「うんっ!おいしいですっ!」
ニコッ
リョウ「……っ」
ロバート「……!」
美波「……っ」
キュン
530: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 22:55:50.96 ID:xYwaDdoS0
悠貴「あ、ちひろさん、拓海さん、飲み物無くなってますよっ!注いできますね!」
ちひろ「あっ、悠貴ちゃん!今日の主役は貴方なんだから、そんなの気にしなくていいのに」
悠貴「良いんですっ!何か飲み物リクエストありますかっ?」
拓海「いや、特にねーよ。また悠貴ミックスで頼むぜ」
悠貴「はいっ!任せてくださいっ!」
パタパタ
531: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 23:03:03.44 ID:xYwaDdoS0
拓海「なぁサカザキ……お前なんか悠貴に甘くねーか?いや、甘やかしたい気持ちはわかるけどよ。口リコンなのか?」
リョウ「……!?そ、そうか!?そんなこと……ないだろう……」
リョウ「……ただ……まぁ……確かにユウキと話してると、ユリの……一番素直な頃の妹と話してるみたいな気持ちになってくるような……いや、いかんいかん……まだ修業が足りねぇな俺も……」
美波「わかります……素直な年下の兄弟って、ほんとに可愛くて……」
ロバート(リョウはまぁシスコン気味やからわかるけど……このワイも不意に胸をときめかされるとは……悠貴ちゃん、恐ろしい娘……!)
532: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 23:11:11.09 ID:xYwaDdoS0
悠貴「それでは改めましてっ、乙倉悠貴ですっ!社長さんっ!ちひろさんっ!先輩のみなさんっ!そしてリョウさ……いえっプロデューサーさんっ!よろしくお願いしますねっ!」
有香「はい!よろしくお願いします!悠貴ちゃん!」
拓海「おう!よろしく!悠貴!」
美波「よろしくね、悠貴ちゃん」
ちひろ「悠貴ちゃん、よろしくお願いしますね」
533: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/06(金) 23:19:15.01 ID:xYwaDdoS0
ロバート「おう!ほんで、恒例の二つ名は……6810プロの『恐るべき13歳』やな」
悠貴「お、恐るべきっ!?私って、こ、怖いですかっ!?」
リョウ「いや、気にしなくていい……よろしくな、ユウキ」
リョウ(これでアイドルが4人……アイツはまだ、街にいるだろうか?)
543: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/08(日) 00:14:45.49 ID:mhtdpTgV0
翌日
駅前広場
リョウ「ここ数日は姿を確認できなかった。もうこの街を離れた、なんてことはないだろうが……」
数時間後
リョウ「……」
リョウ(いないな……)
???「……」
コソッ
544: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/08(日) 00:21:30.13 ID:mhtdpTgV0
翌日
駅前広場
リョウ「……」
???(あの人……今日もいる……誰に声をかけるでもなく……誰かを探してる?……まさか……いや、そんなはずないよね……学校行かなきゃ……)
数時間後
リョウ「……」
???(うわ……まだいる……もう諦めればいいのに)
コソッ
???(早く諦めちゃえば、楽なのに)
545: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/08(日) 00:24:57.03 ID:mhtdpTgV0
リョウ「……」
リョウ「……」
フゥ
スタスタ
???(あっ、帰った)
???(……)
546: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/08(日) 00:28:14.74 ID:mhtdpTgV0
事務所
リョウ「……戻った」
ロバート「おう、お疲れ、リョウ。首尾は?」
リョウ「……ここ数日、姿さえ見えない。引っ越した、なんてことはないとは思うんだが……」
ロバート「……なぁリョウ。スカウトをお前に任せたのはワイやし、お前の意向は反映させてやりたい。やけど、姿も見えないし、挙句一回断られて、会えたとしてもスカウトできる保証もないんやろ?……だったら、その娘は一旦保留してくれ、とお前に言わざるを得んわ」
547: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/08(日) 00:35:01.02 ID:mhtdpTgV0
リョウ「……」
ロバート「お前がスカウトに行ってる間も、今事務所にいる娘は自主的にお前と普段走ってるコースをランニングしてくれてる。けど、もうじきそれも終わりや」
リョウ「……なに?」
ロバート「実は、今日、以前交渉していた例のアメリカ帰りのトレーナー、彼女から連絡があってな。彼女の友人が、ダンスの専門家でこそないけど、ダンスレッスンを見てくれるらしい。ウチのアイドル達はみんなまだダンス経験ゼロやからな。お願いすることにした」
リョウ「!」
548: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/08(日) 00:42:20.60 ID:mhtdpTgV0
ロバート「その友人はもうすぐこっちに来てくれるらしい。……来てくれたら、それはつまり活動の本格的なスタートを意味しとる」
リョウ「……つまり、5人目を決めるのに、いよいよ時間がないってわけか」
ロバート「そういうことや。やから、本当はこんな事言いたないけど、もうハードルは落としてもいい。とにかく1人確保してもらいたいんや」
リョウ「……ロバート、あと一日。一日だけ俺にくれ。もし明日ダメだったら、お前の言う通りにする」
ロバート「……わかった。お前がそんなに入れ込むんはどんな娘か、ワイも興味あるしな。けど、明日一日だけやで」
リョウ「ああ、ありがとうロバート」
549: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/08(日) 00:44:51.07 ID:mhtdpTgV0
翌日
駅前広場
リョウ「……」
キョロキョロ
???(今日もいる……やっぱり誰か探してる……)
???(……学校いこ)
550: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/08(日) 00:48:49.93 ID:mhtdpTgV0
数時間後

???(今日は遅くなっちゃった……あの人はもう流石に帰ったかな)
リョウ「……」
???(……まだいる!)
???(……もう!)
551: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/08(日) 00:56:56.49 ID:mhtdpTgV0
リョウ(結局、いない、か)
???「ねぇ、アンタさぁ……毎日毎日誰を探してんの?」
リョウ「……いるんじゃねぇか」
???「……え?」
リョウ「君を探してた。もう一度話したくてな」
???(やっぱり……私を……)
552: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/08(日) 01:00:10.42 ID:mhtdpTgV0
???「……話って?アイドルの件ならもう断ったけど?」
リョウ「その件だ。改めて、アイドルに興味はないか?」
???「……しつこいな。嫌って言ったら嫌なんだってば!アイドルなんて、なれるわけないでしょ!?アタシはそんな人間じゃないんだから……」
リョウ「どうしてなれるわけないんだ?現に今君はスカウトを受けているじゃないか」
553: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/08(日) 01:03:17.73 ID:mhtdpTgV0
???「……アタシ、小さい頃から病弱でさ。長く入院してたし、学校も休んでばっかで、友達も少なかったし。何かにまじめに取り組んだこともなかった……」
???「アイドルになるなんて、テレビの中だけの夢物語。報われない努力なんて、するだけ無駄でしょ。それに、アタシはその価値も素質も、何もないから……」
リョウ「……本当に、そう思うのか?」
???「え……?」
554: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/08(日) 01:08:35.43 ID:mhtdpTgV0
リョウ「少なくとも俺には、君は燻っているように見える。言葉では何もかも諦めているようなことを言っているが、君は自分を諦めきれていないはずだ」
???「アタシの事、何も知らないくせに、随分知ったようなこと言ってくれるんだね。『自分の価値を自分で勝手に決めつけるな』ってやつ?」
リョウ「ああ、俺は君の事を何も知らない。だからこその、客観的な視点ってやつだ。俺は全然化粧とかに詳しいわけじゃないが、君のその爪も、髪型も、自暴自棄になってるやつのものではないと思うんだがな?」
???「……っ、別に勝手でしょ、アタシがどんな格好したって……」
リョウ「そうだな、すまん。俺はよく女心がわからないと言われるからな、許してほしい」
555: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/08(日) 01:13:53.68 ID:mhtdpTgV0
リョウ「だが、女心はわからずとも、それなりの数の人間と会ってきたんだ。その人間の心に火が点いてるのか、燻っているのか、それとも完全に消えているのか。それくらいはわかるつもりだ」
???「……」
???「……わかった、わかったよ。でもアタシさぁ、さっきも言った通り病弱だったから体力ないし、努力とか練習とか、気合と根性!とかそういうキャラじゃないんだよね。それでも良い?」
リョウ「こちらから誘っておいてなんだが、努力できない奴を置いておく余裕はウチのプロダクションには無いし、俺も一緒にやるつもりはない。それなら他を当たる」
???「ええっ!?」
556: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/08(日) 01:21:12.75 ID:mhtdpTgV0
リョウ「だが、君は今まで入院ばかりだと言っていたな?だったら、それは努力できないんじゃない、努力の仕方を知らないだけだ。だったら大丈夫だ。俺は歩く気のない奴を待つほど気は長くないが、歩みの遅さが気になるほど短気じゃない」
リョウ「歩こうという意思がある限り、俺は君の背中を押し続けてやれる」
???「……厳しいんだか、優しいんだか……」
???「……でも、アンタ今までアタシの周りにはいなかったタイプの大人だね。わかった、良いよ。アンタに言いくるめられてあげる。えっと……」
557: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/08(日) 01:24:20.19 ID:mhtdpTgV0
リョウ「改めて名刺を渡しておく。この前は返されたからな」
スッ
???「坂崎さん、ね」
加蓮「アタシは加蓮。北条加蓮。とりあえずよろしくって言っておくね、プロデューサーさん?」
リョウ「ああ、よろしく、北条さん」
567: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/08(日) 23:58:33.05 ID:mhtdpTgV0
事務所
リョウ「ここがウチの事務所だ。で、そこに座っているのが事務員の千川ちひろさん」
ちひろ「どうも、よろしくお願いします。プロデューサーさん、その娘が?」
リョウ「ええ、話していた娘です。名前は」
加蓮「北条加蓮。……どうも」
568: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/09(月) 00:07:07.98 ID:bLSphXJt0
ロバート「ほ?、その娘がお前がどうしてもって譲らんかった娘か。よろしくな加蓮ちゃん」
加蓮(譲らなかった……?)
加蓮「……誰?この人……」
リョウ「ああ、このロバートプロダクションの社長をやっている、ロバート・ガルシアだ」
加蓮「社長!?……正直、全然見えなかった。軽そうだし」
569: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/09(月) 00:12:17.12 ID:bLSphXJt0
ロバート「……いきなりご挨拶やな」
加蓮「それで、契約書は?今日はもう疲れたし、用事終わらせてさっさと帰りたいんだけど」
ロバート「お、おう」
加蓮「……はい、これでいいんだね?じゃあもう帰るよ」
570: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/09(月) 00:20:23.93 ID:bLSphXJt0
ロバート「あ、ちょい待ってや。ウチのプロでは伝統的に契約祝いとメンバーの親睦を深めるために歓迎会を開催するんや。で、新メンバーの希望で場所は決めるんやけど、どこがエエ?なんか食いたいモンがあるなら、それで……」
加蓮「別にいらない」
リョウ「……え?」
加蓮「アタシはそこのプロデューサーがアイドルにしてくれるって言うから来たの。別に他の人たちと馴れ合う気もないし、必要もない」
571: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/09(月) 00:31:24.88 ID:bLSphXJt0
ロバート「……おいおい、随分突っ張るやんけ。他のメンバーに顔見せだけでもしとこうと思わんか?これから一緒にやっていく仲間やで」
加蓮「別に顔見せならこの事務所でやれば済む話でしょ?どうしても何か開きたいならアタシ抜きでやってよ。んで、そこでアタシの紹介しとけばいいでしょ」
リョウ「……」
加蓮「もういいでしょ?じゃあ帰るから」
ロバート「……今日はもう暗い。車で送っていかせるから、少し待ってや」
加蓮「へぇ?一応そういう気遣いもできる事務所なんだ、ここ。じゃあ、それにはお言葉に甘えようかな」
ロバート「……もしもし、カーマンか?送迎頼むわ」
574: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/09(月) 00:37:44.33 ID:bLSphXJt0
ロバート「……リョウ、ホンマにあの娘がお前が入れ込んでた娘なんか?」
リョウ「なにか誤解を招きそうな言い方はやめろ……そうだ」
ロバート「なんや、今までの娘……特に直前が悠貴ちゃんだっただけに、とんでもなく毛色が違って感じるんやが……」
リョウ「俺も深く話したわけではないから確実なことは言えないが……情熱はあると思う」
ロバート「……まぁ今更言うてももう契約したし、時間もないし、あの娘はお前に任せる。くれぐれも、他の娘たちとトラブルにならんようにな……」
575: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/09(月) 00:44:29.84 ID:bLSphXJt0
翌日
事務所
リョウ「……というわけで、新しく加入した北条加蓮だ」
加蓮「……どうも」
拓海「……不愛想だな。なんかこう、自己紹介のひとつもねえのかよ」
加蓮「……なに?悪いけど先輩風吹かせないでくれる?」
拓海「……ああ?」
576: ◆z4l4K/HkZ2 2017/01/09(月) 00:51:58.85 ID:bLSphXJt0
リョウ「おい」
加蓮「だってそうでしょ。事務所に入ったのはほんの少しそっちが先かもしれないけど、聞けばデビューどころか、走ってばっかりでまともなレッスンも受けてないっていうじゃん」
美波「……」
加蓮「だったら、別にアタシと立場は変わんないんだし、先輩でもなんでもないし。あ、もしかして年上だからって威張るタイプ?怖いなー」
拓海「テメェ……!」
577:以下、

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