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うまい棒配ってたら人生変わったでござるの巻


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1:
去年の正月1通の年賀状が来た。
その年賀状には可愛い文字でこう書かれていた。
「明けましておめでとうございます。来年悟くんと結婚します。」
この年賀状の差出人は俺の元カノまりあだ。
まりあとの出会いは俺が憧れの1人暮らしを始めたころに遡る。
まりあは俺が住むマンションの隣人だった。
このスレは、俺が人生で初めて付き合ったまりあとのお話です。
チラ裏だが少しの間付き合って下さい。
pickup
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4:
第1章 おふくろとの別れ
3年前の春。超が付くほどの4流大学を卒業した俺は就職のために1人暮らしを始めた。
ずっと憧れていた1人暮らし。
物件選びのため不動産屋に行くのすらワクワクする。
何件かの不動産屋を廻り
やっと家賃と自分の希望に見合った部屋を見つけた。
間取りは1DKで居住空間は10帖。
まずまずの広さだ。
6:
外観も内装も手入れを入れたばかりとかで小奇麗にできている。
部屋が決まったその週末には引越しで実家を出た。
苦労を掛けたおふくろとの別れ・・・。
中・高とグレた俺はおふくろにいつも心配を掛けていた。
8:
中学で親父が他界。
それからはおふくろが女手一つで俺を育ててくれた。
そんなおふくろの苦労も知らずに、家の貧しさから俺はグレた。
学校や警察から呼び出しをくらうのは日常茶飯事。
その度におふくろは昼夜を問わず俺を迎えに来てくれた。
そして涙を浮かべながら、必死に頭を下げてくれた。
帰り道、おふくろと並んで歩く・・・。
そしておふくろはいつもこの台詞を言う。
「貧乏でごめんね・・・」
9:
中学で親父を亡くしたのに高校でグレるとはなんてやつだ!
9:
>>9
いや。親父亡くしたのは中1
半年後には既にタバコ吸って
そこから高校までは結構悪質なグレ方をした
15:
>>12
悪質なグレ方ってやっぱりトッポの先までチョコが入ってなくてキレたりとかそういうの
>>15
あんまり大きな声では言えないけど
ケンカに刃物は使ってた。
あの時は何考えていたんだろう
11:
引越し業者が俺の荷物を積み込んでくれた。
俺も車に同乗させてもらうことにした。
玄関を出る時俺はおふくろに言った。
「じゃ行ってくるね!体に気をつけてね・・・」
おふくろは昔の様に目に涙をためて俺の手を握った。
そして「これを持って行きなさい」と言って茶封筒を握らせた。
13:
おふくろに見送られて俺は車に乗り込んだ。
「今度この家に帰ってくるのはいつだろう?」自分の育った家を眺めてそう思った。
茶封筒の中身を見た。
そこには1枚のメモと10万円が入っていた。
貧しい母に苦しい捻出だったに違いない。
申し訳ない気持ちと有り難い気持ちが交錯する。
メモ書きを見た。そこには・・・。
「元気でいてくださいね。お野菜はちゃんと食べてくださいね。あなたはいつまでも
母さんの子供です。」と書いてあった。
引越し業者にバレずに、声を押し殺して泣くのは大変だった。
17:
第2章 まりあとの出会い
「二宮光輝」
俺は郵便受けと部屋のネームプレートに出来るだけ丁寧な字でそう書いた。
こういうことはキチンとしたい。
新しい暮らしを始めるにあたって、俺はそれを1番にすることに決めていた。
マンションの玄関に行って郵便受けにプレートを入れる。
そして部屋に戻ってプレートをはめる。
これでよし。新た人生の始まりだ!
21:
>>17
待て待て。それは本名か?
>>21
似てるけど偽名です
24:
引越し業者が運んでくれた荷物を丁寧に分ける。
これは今日1日で終わらないかもしれない・・・。
そう思いながらも地道に部屋作りに取り組む。
気が付くと夕方になっていた。
そうそう大事なことを忘れていた。
ご近所に挨拶をしなければ。
家を出る数日前。俺が引越しの荷造りをしているとおふくろが
「これをご近所さんにお渡ししてね」
と言って丁寧に包装された箱を2つ持ってきた。
中身はバスタオルと石鹸のセットだった。
俺は今どきご近所廻りなんてするかな?そう思いつつもそれを受け取った。
27:
別にして損することでもないし、こういうことは「年の功」があるおふくろの
言う通りにしておこう。
荷物整理の手を止め両隣の部屋へ挨拶に向かう。
このフロアは4部屋。
俺の部屋は303号室。まずは301号室に行った。
2度ほどインターホンを押したが反応無し。
留守なのか・・・。
今度は隣の302号室へ。
インターホンを押してみる。しばらく待つ・・・ここも反応無し。
もう1度押して出て来なかったら日を改めよう
そう思った矢先。
インターホンのマイクから「ガチャ」っという音がした。
続けて「はい」という声。
若い女だなと分かる。
28:
「あの、今日から隣に越してきた二宮と申します。引っ越しのご挨拶に参りました」
そうインターホンに向かって言うと、ガチャリとドアが開いた。
第一印象で年下だなと思った。
どうやら部屋でくつろいでいたらしく、化粧はしていなかった。
それでもどことなく整った顔をしているのがわかる。
>>28
wwwすごいなお前。一行目なんかそのままじゃん。
お前続き書くか?
30:
一応コテにしとく
「今日隣に越してきた二宮です。引越しのご挨拶に伺いました」
女性は慌てた様子で
「すみません。すぐに出ます」と答える。
別に慌てなくていいのにな・・・。
そんなことを思いながらドアの前で待っていた。
1分程度待つとドアがガチャリと開いた。
なぜか半開き・・・。チェーンから覗いているのに気づく。
女性はこちらの顔を伺いながら「はい」と言った。
33:
そうか。女性はこれくらい用心しなきゃいけないよな。
物騒な世の中だもん。
「向かいに越してきた二宮です。引越しのご挨拶です。これどうぞ」
俺は母親が用意してくれた箱を出した。
女性は一旦ドアを閉めチェーンを解除してドアを開いた。
「わざわざありがとうございます」
この時女性の全身が初めて見えた。
ドキッとした。可愛かった・・・。正直言って好みのタイプだった。
小さくて少し丸い顔。大きな目。髪は黒くてショート。
身長は小柄だがトレーナーでも分かるほどの大きな胸。年齢は20歳前後だと思う。
俺は少し緊張した。
35:
「これつまらない物ですが・・・・」改めて箱を彼女に差し出した。
「どうもすみません」女性は箱を受け取ってニコッと笑った。
やっぱり可愛い。
女性は
「私は引越しのご挨拶しなかったな。でもちゃんとするべきですよね」
意外にも話掛けてきた。
不意を突かれた会話に少し戸惑いながら
「僕も母親が持たせたものだから・・・」
そういって「これからも宜しくお願いします」で締めくくった。
女性と話すことは出来るが、好みのタイプと話すのは少し緊張する。
彼女は「なにか分からないことがあったら、気軽に聞いて下さいね」
そんな優しい言葉を掛けてくれた。
俺は失礼しますと言って302号室のドアを閉めた。
名前を聞くのを忘れていた。
40:
改めて302号の表札を見た。
しかし名前は無かった。女の1人暮らしがバレないための用心なのか?
304号は空室のはずだ。物件案内の時に不動産屋がそう言っていた。
挨拶の必要はない。
部屋に戻ってって少しウキウキした。
あんな可愛い子がお隣さんだなんて。
でもあんまり慣れ慣れしくするのはよしておこう。
変態と思われても住みにくくなる。
廊下で会った時に挨拶する程度がいいな。
41:
俺は挨拶廻りのあと少し部屋を片付け近所のスーパーへ買い物に行った。
初めての1人暮らしだ。
これからは自分で食事も作らなければいけない。
夕飯のメニューはカレーにした。
今はこんなものしか作れない。
でも料理初心者の俺は妙にワクワクしていた。
「美味いカレーを作ってやる!!」
子供の頃から料理番組を見るのは好きだった。
料理の知識も多少なりともあると思っていた。
人参・玉ねぎ・じゃがいも・牛肉・牛脂(無料)・牛乳・マッシュルーム・二段熟カレー(辛口)
を買って帰る。
部屋にキーを差し込むのがなんとも良い。
自分の部屋なんだぁ。ここは。
俺も大人の男になったもんだ・・・。
しみじみとそう感じた。
43:
初めての料理は散々だった。
まず玉ねぎの切り方が分からなかった。
真ん中で半分に切ったまでは良かった。
その半分を繊維に沿って切るのか?はたまた逆か?
適当に切ってみた。目が痛く涙が出た。
それでもカレーなんて適当にやれば出来るだろ!?
甘かった。水の分量を間違えたのか
妙にバシャバシャの水カレーになってしまった。
ご飯も水が多すぎた。
カレーと合わさるとなんとも締まらない味の食い物になった。
それを1人で背中を丸めて食った。
TVはまだ付いていない。
1人の静かな食事・・・。
お袋の笑顔を思い出した。
少し寂しい気分が襲ってきた。
その時インターホンが鳴った。
46:
妙に大きな音なのでビクッとする。
「お客さんだ!でも誰だ??」
なぜか焦ってドアまで行った。
ちゃんとドアホンも付いているのに・・・。
無防備にドアを開けた。
そこに立っていたのはオタクの男だった。
こいつも20歳くらいか?
ちょいピザで髪は妙にベタとしている。
肌も油ぎっていた。
でかいメガネを掛けているのだが、それが少し曇っている。
背も低い160cmあるかないか??
「誰だ?コイツは?」心の中でそう思った瞬間。
「301号の油田ですが・・・」
そいつはボソリとそう言った。
「ああ・・・」
そういえば買い物に出かける時に留守だった
301号のドアポストにメモ書きを入れたっけ。
48:
「303号室に引っ越してきた二宮です。
改めてご挨拶に伺います」
大体こんな内容だった。
俺は「ちょっと待ってて下さい」と言って一旦部屋に入り
おふくろが用意してくれた
バスタオルと石鹸のセットを取ってきた。
それを油田に渡し「よろしくお願いします」と言った。
油田は「はぁ・・・どうも」と言ってそれを受け取り
301号へと戻っていった。
若い奴が多いな。このフロアは。
そんなことを考えながらまた不味いカレーを頬張っていた。
50:
なんか凄いスイーツ臭がするんだがこのスレ
読んでないが
>>50
いや。間違いない
51:
しばらくすると
ピンポーンとまたインターホンが鳴った。
「誰だよ!また油田か?」
面倒くさいなぁと思いつつ今度はドアホンで応答した。
受話器から若い女の声がした。
「新田です。」
新田?誰だ?
「隣の新田です」
隣のあの可愛い子だ!心臓がバクバクする。
あの子は新田という名前なんだ!
俺は慌てた様子を悟られないように「少し待って下さい」と言って
受話器を置いた。
あの子が一体なんの用なんだ?
55:
色々考えつつドアを開けた。
新田さんはニコリと笑いながら
「これカレーです。引越し初日で大変でしょ?温めて食べて下さい」
そう言ってカレーが入ったビニールケースを手渡してきた。
俺は驚いた。
こんなご近所付き合いが本当にあるんだ・・・。
田舎の方ではありそうな話だが
人間関係が希薄になったといわれる現代社会において
ましてやこんな若い子がそんな文化を継承しているとは。
新田さんは「あの・・・。ご飯ありますか?」と聞いてきた。
俺はこれ以上迷惑を掛けてはいけないと思い。
「あります。大丈夫です」と答えた。
新田さんは「容器はドアの前に置いておいて下さい」と言うと
部屋へ戻っていった。
俺は早そのカレーを食べた。
新田さんのカレーは美味しかった。
俺のカレーとは比べ物にならなかった。
適度にトロみもあった。
食後、俺は近所のコンビニで飲み物の買出しに出た。
そこで運命の再会をした。
この再会が俺の1人暮らしライフを一変させる。
56:
東京タワーのパクリかね?
>>56
あれは田舎から都会
俺はまぁまぁ都会からまぁまぁ田舎
57:
>>二宮
これ何時くらいに終わる予定?
>>57
俺自信もよく分からなくて
63:
第3章 油田という男
コンビニに入る。
チラッと雑誌コーナーの前を通るとなにやら見覚えのある姿が。
立ち読みしているその男は・・・。
油田だった。
マイナーなエロマンガ雑誌を立ち読みしている様子だ。
俺はためらった。挨拶すべきか?
気づかぬフリでやり過ごすか?
でも後で油田に気づかれ
無視したと思われのもウザったい。
俺は油田に近づくと「こんばんわ」と声を掛けた。
油田はこっちを向くとメガネの奥に
キョトンとした瞳を泳がせ。
「ああ・・・どうも。こんばんわ」とボソリ・・・。
終わりでいいかな?
64:
なんという展開wwwww
コンビニで新田さんに会ってフラグたつかと思ったじゃねぇか!
65:
>>64
だから油田とフラグなんだろ?
66:
俺は「それじゃ」と言ってその場を離れた。
数本の飲み物を購入しレジに向かう。
すると俺の後ろに油田が並んだ。
こうなると無視できなくなる。
空気読んでもう少ししてから並べよ!心の中でそう呟く。
俺は仕方なく話しかけた
「油田君はあそこのマンションいつから?」
確実に年下だろう。タメ語でOKだ。
「大学入った時からだから・・・。1年くらいです」
ということは今が2回生。
20歳前後はまんざらハズレでもなさそうだ。
「あそこに住むのになにか注意する点あるかな?」
話すことが無いので無理やり話題を作る。
「う〜ん。そうですねぇ」
油田が答えようとした瞬間。
69:
「次の方どうぞ!」レジのお姉さんに促された。
会話途中の中断。
これは会計が終わった後も油田を待つ流れなのか?
タイミングが悪いよ。
そう思いつつ会計をする。
油田はさっさと答えを言えばいいのに
律儀に俺の会計を待っている。
結局俺は油田を待つ事にした。
油田が会計を済ませると
どちらからともなく一緒に店を出て並んで歩いた。
マンションまで10分程度。
俺の頭は話題を探すのにグルグルと回転していた。
73:
2人で歩きながら油田はボソッと
「あそこで注意する点は・・・ないですね」と言った。
ああ。そうなのね。もっと早く答えて欲しかったよ。
川沿いを歩く。
土手には桜が植えられていて、この時期は夜桜が綺麗だった。
俺は今後、幾度となく通るこの川沿いを歩きながら
この街に決めて良かったなぁ等と考えていた。
俺は隣を歩くオタクに話掛けた。
「ウチさぁ。まだテレビ付けて無いから暇なんだよねぇ」
俺はほんの世間話程度のフリだった。
しかしその瞬間油田のメガネの奥が一瞬キラリと光った。
「それじゃ・・・ウチに遊びに来ます?」
74:
アーッ
77:
マジかよ!?そんな社交性あるの?このオタク。
「え・・・ああ。そうだね・・・」
ダメだ。不意を突かれすぎて上手い断り文句が出て来ない。
「マンガも結構ありますし、気に入ったのがあれば貸しますよ」
なおも油田はガンガン押してくる。
冷静な時なら「片付けが済んでないから」等の言い訳も思いついただろう。
しかしこの時の俺は
「じゃ・・・少しだけお邪魔しようかな?」と答えていた。
言った瞬間激しい後悔が押し寄せてきた。
「ゆっくりしていって下さいよぉ」
粘っこい口調でそういった油田は不気味な笑顔を浮かべていた。
81:
こっからどうやってまりあに持って行くか楽しみだな
85:
俺と油田はマンションの入り口に到着した。
気が重い・・・。
2人でエレベーターを待ちながら考える。
なんでこんなことになったんだ?
どこにミスがあったんだ?
すると到着したエレベーターから女の子が降りてきた。
新田さんだ!
今は髪をゴムで束ねている。やっぱり可愛い。
両手にゴミ袋を持っていた。
そうか今日はゴミの日だ。
俺はカレーのお礼を言わねばと「さっきはどうも・・・」と言いかけた瞬間
意外な言葉を聞いた。
「やぁ!ゴミ出し?」
爽やかに新田さんに話掛けた人物。
油田だった。
89:
俺はお礼の言葉を飲み込んだ。
このオタク・・・新田さんとやけに慣れ慣れしくないか?
「こんばんわー。ゴミ回収明日だよ。油田くんも今晩中に出したほうがいいよ」
新田さんも笑顔で返す。
えええーーーーーーっ!!!???
この2人はどうやら相当親しい様子だ。
普通ならお互い「こんばんわ」で終わりじゃないか?
しかも「油田くん」と読んでいる。
これは2人の新密度を如実に物語っていた。
俺と油田はエレベーターに乗り込んだ。
俺は新田さんに頭をペコリと下げる程度しか出来なかった。
隣のオタクは「ばいばーい」等とほざいていた。
新田さんも俺に頭を下げた後
油田に手を振って「またね」と言っている。
90:
>>1の文才に惚れた
これってフィクションだっけ?
>>90
完全実話だよ
93:
俺はエレベーターの壁にもたれ掛かり
オタクの後ろ姿を眺めながら
フリーズしていた。
エレベーターが3階に到着する。
すぐ前が油田の部屋だ。
油田がガチャガチャとカギを開ける。
この後この中でこの男と数分を共にするのか。
考えただけで気が滅入った。
油田の「どうぞ」という言葉に促され室内に入る。
俺は目を疑った。
こんな部屋が現実にあるのだ。
壁一面に張られたアニメポスター。
なにやらピンクの髪をした女が
短いセーラー服のスカートから太ももを出している。
またあるポスターは黄色い髪をツインテールに束ねた
女の子がピースをしている。
そんなポスターが壁一面に張られていた。
そうだ。油田は外見だけでなく
正真正銘のオタクだったのだ。
99:
アニメといえばサザエさんくらいしか観ない俺には
1人として名前の分かるキャラクターはいない。
棚に目をやる。
例外になく美少女?のフィギアが所狭しと並んでいる。
本棚には同人誌?と思われる雑誌が丁寧に並んでいる。
借りたい本などこの中にあるワケが無い。
「その辺適当に座って下さい」
油田に促されてとりあえず腰を下ろした。
俺は小刻みに震えていたかもしれない。
中・高と散々ケンカをしてきた俺だが
この恐怖心はそれらとまた違ったものがあった。
なにをされるのだろう?
単純に湧いてくる恐怖心を拭い去ることが出来ない。
当の油田は、こんな部屋に住んでいるのに
俺に見られても恥ずかしい様子は全くないようだ。
その心理がまた新たな恐怖を生み出す。
「コーヒーでも入れてきますね」台所に消えていく油田。
コーヒーなど入れられた日には帰るに帰れない。
「あ・・・。どうぞお構いなく!」つい敬語になってしまう。
102:
しかしそんな俺の言葉はお構いなしに
油田はカップを2つ持って出てきた。
「どうぞ」と言ってその1つを俺の前に置いた。
飲む気になれない。
何を盛られていても不思議はない。
話題が見つからない。
しかし油田はそんなこともお構いなしにコーヒーを啜っている。
そうだ!新田さんについて聞いてみよう。
なぜこのオタクが新田さんと親しげな関係なのか?
それはおおいに気になるところであった。
「そ・・・そうだ。油田くん。さっきすれ違った新田さん。
隣の部屋の。親しいの?」
油田は上目遣いに俺を見るとニヤリと不気味に笑い。
「ああ・・・。まりあちゃんですね。同じ学校なんですよ」
ま・・・まりあちゃん!!??
104:
この小デブ。言うに事欠いて「まりあちゃん」だと!!
油田は続けて「そんなことより・・・」
そ・・・そんなことより・・・なんだ??
「こっち系は興味あります?」
そういって右手に持っていたのは
なにやら美少女?のアニメのDVDだった。
「いや。ごめん。全く無い」
俺は即座に答えた。
なにそれ?とでも言おうもんなら
どんな説明を受けるか容易に想像できる。
「二宮さんは・・・。そうでしょうね。フヒヒ」
フヒヒの意味がよく分からない。
そういうと油田は収納の奥をゴソゴソと探り
1つのダンボール箱を出してきた。
「これ貸しますよ。」そういってダンボール一杯に入った
「はじめの1歩」を俺に渡した。
「50巻くらいまでありますよ」
そんなことより新田さんの話は??
105:
「返すのはいつでもいいんで」
そういって油田はニヤリと笑った。
これ以上ここにいても新田さんの話は聞けそうにない。
それならばサッサと本を借りて退散したほうが得策だ。
「ありがとう。それじゃ。お邪魔しました。」
俺はダンボールを抱えてそそくさと油田の部屋を後にした。
この日を境に俺と油田の距離が急に接近していく。
しかし、この時の俺にそんなことを知る由も無かった。
106:
VIPにありえない程の反応の無さww
読者も少ない様子なので少し休憩します。
スレがあったらまた書きますね。
107:
>>106
頑張れよーww
108:
続き気になる
しかもバッドENDなんだろ
誰が悟なんだよ
あと新田はヲタなんかよ
112:
油田はカイジの眼鏡の裏切り豚でおk?名前忘れた
119:
第4章 社会という厳しさ
その日から2〜3日は新田さんにも油田にも会うことは無かった。
マンションにおいて隣近所の付き合いといえば
案外そんなものかもしれない。
生活パターンが違えば数ヶ月顔を合わせなくても不思議はない。
それだけに引越し初日。
油田の部屋まで行ったことが
非現実的なこととすら思えてきた。
その油田に本を返すのは憂鬱の種であった。
しかし油田のお陰でヒマ潰しが出来たのも事実であった。
借りた「はじめの一歩」は意外に楽しかった。
実は俺もボクシング経験者なのだ。
121:
二宮待ってたww
122:
そうこうしているうちに入社の日を迎えた。
俺はこのために実家におふくろを残し
1人暮らしを始めたのだ。
その朝、俺はスーツを着てネクタイを締めた。
玄関を出るとき「おふくろ頑張ってくるね!」心の中でそう呟いた。
会社へは3駅。俺は少し早めに家を出た。
電車に揺られる。
俺はこれから毎日毎日通勤電車に乗って
年をとっていくのか・・・。
そう思うと無性に不安な気持ちになった。
おふくろの顔が浮かんでは消えた。
俺が就職したのは中堅の映像制作会社だった。
同期は7人いた。皆新卒入社だ。
最初の1時間は先輩による会社案内だった。
専門用語がバンバン出てくる。
同期の皆も全く理解出来ていない様子だ。
先輩は「そのうち分かる言葉だから今は考えなくていい」と言った。
簡単な会社案内が終わると新入社員はそれぞれの部署に配属された。
俺は制作1部という部署に配属された。
7人のうち俺と同じ制作系は4人いた。
あとの3人は技術系の部署だった。
128:
俺は自分に割り当てられたデスクに腰を下ろした。
5分ほどデスクの引き出しなどを開けて時間を潰す。
しかし誰も何も声を掛けてこない。
なにをすればいいのだ?
妙に落ち着かない。不安な気持ちが襲ってくる。
みんなが俺の一挙手一投足を監視している気がする。
これが会社という場所なのか。
ふと同期に目をやる。
他の同期は先輩と話をしながら早くも仕事を始めている様子。
焦りが出てきた。
その時。
陰気臭いオッサンが「二宮くん・・・」と声を掛けてきた。
50過ぎの背の低い男。
スーツがクタクタで貧乏臭い印象だ。
しかし眼光は鋭い。
仕事が出来るといった感じの眼光ではない。
なんというか「人の気持ちを全て見透かしたような眼光」とでもいえばいいのか。
その男は赤松と名乗った。
133:
俺の直属の上司になるという。
このオッサンの下で働かないといけないのか。
さらに気持ちは沈んだ。
赤松は俺を会議室に呼ぶと一冊のパンフレットを差し出してきた。
「このVPを創る。ロケは2週間後。ディレクターはフリーの志村という男だ。」
VPって何??
「詳しい話は志村から聞いてくれ。志村の指示通り動くように」
そういうと赤松は会議室から消えていった。
混乱した。
VPってなんだ?
フリーのディレクターってことはこの会社にいないのか?
志村という人物はどんな人間なのだ?
赤松に付いていけるか?
不安が波のように押し寄せる。
俺は自分の席に戻って赤松に貰ったパンフレットを見た。
そこには怪しげな機械を
太ももにあてがっている女性の写真があった。
ドライヤーの先端部分に丸い金属が付いているような機械だ。
美容器具らしい。
その金属を当てた部分はなんとスリムになるというのだ。
かなり怪しいぞ。
136:
昼休憩の時間がきたので赤松の許可を貰い昼食に出た。
妙に開放された気分だ。
会社の1階で同期の女の子に出会った。
渡辺とかいう子だったと思う。
渡辺はなにやらオロオロしていた。
「どうしたの?」
俺が話掛けると渡辺はこっちを振り向いた。
目には涙を溜めている。
「昼ごはんを食べるところを・・・」
俺は昼食に渡辺を誘った。
彼女は短大を出た20歳だった。
彼女は女の子でありながら技術系の部署に配属された。
カメラや三脚。その他の荷物を担いで動くのは
男でも大変な部署だ。
俺は昼食を食べながら渡辺に聞いた。
「さっき泣きそうな顔をしてたよな?」
渡辺は不安気な表情を浮かべてこう話した。
「配属のあと先輩に機材の説明を受けたんだけど
全くなにがなんだか理解できなかった。
技術部は電気系統のことも理解しなきゃいけないし・・・。
やっていけるか不安で・・・」
137:
みんな不安は同じなんだな。
俺の制作部も理解出来ない言葉は飛び交うが
技術部よりマシだろう。
ラーペ
フォーペ
NP1
トライ
プロミスト
ハツハツ
こんな意味不明な言葉を平気で使うのが技術部だ。
またこれらの言葉を理解しなければ技術部の資格はない。
初日に・・・矢継ぎ早にこんな専門用語を聞かされた
渡辺の不安は計り知れない。
しかしこの渡辺は数年後立派なカメラマンになる。
まだまだ男性社会が色濃くのこるこの業界で
男性には絶対的に劣る体力面をカバーし
渡辺はカメラマンになったのだ。
素晴らしい努力家といえる。
俺と渡辺は昼食をしまし会社に戻った。
渡辺の部署は1階だ。
エレベーターに乗り込む俺に不安げな表情を見せた渡辺。
俺も不安なんだよ。
心の中でそう呟いた。
139:
昼食後、赤松に連れられ例の会議室へ。
そこには30歳前後の小太りの男がいた。
「志村です。君が二宮くん?」
気さくに話しかけてくる志村に好感を持った。
「僕も2年前はこの会社にいたんだ。
今回は僕のADについてくれるんだね。よろしく」
俺はホッとした。この人となら・・・この人なら
付いていけそうだ。
しかし世の中はそんな甘いものでは無かった。
141:
赤松が「志村あとはヨロシク!」と言って会議室を出て行った。
さて、なにをお手伝いすればいいのだろう?
俺は志村に
「すみませんVPってなんでしょうか?」と尋ねた。
その瞬間、志村の顔色が変わった。
「VPぃぃぃ??そんなことも分からんのか君は?」
さっきまでの気さくな志村はどこにもいなかった。
何か汚いものでも見るような目つきで俺を見下ろし。
「ビデオパッケージ」とだけ言った。
そのビデオパッケージも意味不明だ。
俺は正直ビビった。
世の新入社員は皆こんな感じなのか?
だって新入社員だ。
全ての言葉が理解できるわけがない。
それとも俺が勉強不足なのか?
俺は急に志村に話掛けにくくなった。
142:
なかなかリアルな描写だな
こんな奴いるわ
143:
嫌なやつだなぁ
144:
ちょっと待ってくれ
隣人のまりあたんからからだいぶ離れていってるんだが
この流れだとVPのモデルがまりあたんとしか思えない
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146:
ちょっと待て、渡辺はかわいいのか?
147:
>>146
渡辺は俺の嫁
149:
それでも勇気を振り絞って声を掛ける。
「あの・・・志村さん。僕は何をすれば・・・」
完全にビビっていた。
どんな言葉が飛んでくるのか?
それが恐怖になっていた。
学生時代なら一瞬でボコボコにしていたような
小デブが社会で怖いのだ。
「これ。今回の台本。読んで」
ドサッと置かれたのはA4のコピー用紙をクリップで束ねたものだった。
これが台本というものか。
俺はそれに目を通した。
日本語なので理解は出来るが
本当の意味での、業界的な意味での理解はモチロン出来ない。
俺は一通り目を通してから
「読みました」と志村に声を掛けた。
「そう。それじゃ明日までに香盤表よろしく」と志村は言った。
香盤表・・・なにそれ??
志村は席を立つと
「んじゃ俺帰るから。お疲れ〜」と言葉を残し
部屋を出ようとした。
151:
「ちょ・・・待って下さい」
俺は志村を引き止めた。
ここは曖昧に出来ない。
言葉の意味すら分からないものなんて
引き受けられるわけがない。
志村はまたあの視線を投げかけてきた。
そう。汚いものを見るようなあの目。
「香盤表ってなんですか?」
やれやれといった様子で志村は答えた。
「撮影の順番だよ。それをスタッフが見て
次はこれを撮影すのか。って確認する表だよ」
それだけ言い残して志村は部屋を出た。
フリーなのでいつ帰っても誰も文句を言わない。
志村の声が聞こえる。
「赤松さん。それじゃ〜また〜」
おいおい。マジかよ。
マジで帰ったのかよ?
俺は途方に暮れた。
155:
実はいま考えても志村のこの行動は暴挙であった
香盤表というものは1つの撮影において
かなり重要なものである。
40人程度の全てのスタッフがそれを元に動く。
この香盤表が適当に作られたものだと
撮影終了時間が大幅にズレ込んでくる。
すると外部スタッフの費用や
スタジオ費用が大幅にUPしてしまうのだ。
かといってタイトにスケジュールを組んでも
あまりに無茶な香盤表だとスタッフに反感を買う。
ひどい場合には技術スタッフに殴られかねない。
香盤表を作成する作業は撮影を熟知し
なおかつ技術的に必要な時間まで理解しないと
到底作れるものではないのだ。
157:
かなりリアルな話だ こんな理不尽な上司終わってる
160:
ブラック会社に入社したんですね、わかります。
162:
「志村を殴って会社を辞めてやろうか」
入社5時間程度で本気でそう考えた。
志村が帰っていなければ実行していたかもしれない。
あまりにも無茶苦茶だ。
それでも分からないなりに取り組んでみる。
しかしヒントの1つも無い状態では全く何もできない。
仕方無い。赤松に聞こう。
しかし赤松がいるべきデスクにその姿は無かった。
俺は焦った。あんな陰気臭いオッサンでも最後の拠り所なのだ。
ホワイトボードで確認する。
「赤松 A代理店打ち合わせ→直帰」
終わった・・・。
入社初日で完全な絶望感に襲われた。
俺はフラフラと社内を彷徨った。
どうすればいいのか全く分からない。
その時1人の男が声を掛けてきた。
「お前新入社員だろ?どうした?顔色が悪いぞ」
163:
田畑さんである。
志村の1つ後輩にあたるこの人は
社内でも有名な変わり者だ。
タバコとコーヒーを愛しひたすら仕事をしている。
1度会社が停電になった時も
皆パニック状態の中で彼だけは
我関せずといった感じで台本を書き続けていた。
とにかく会社の人間と距離を置き
理想の演出のみを探求する人であった。
この当時、釣り番組をメインに担当していた彼は
のちに天才演出家として社内のエースディレクターとなる。
165:
いま考えてみても、この時田畑さんが
俺に声を掛けてきたのは全くの気まぐれだったのだろう。
俺は目に涙を溜めていたかもしれない。
数時間前の渡辺の状態だ。
俺はとにかく嬉しかった。
荒野にポツンと1人置き去りにされた様な
状態でどうすることも出来ない俺。
そんな俺に声を掛けてくれた人物がいる。
例えそれが誰であれ救われた気持ちになった。
「お願いします。香盤表の書き方を教えて下さい。お願いします」
この時田畑さんがどんな人物ななんて知らない。
いまにして思えば天才演出家に香盤表の書き方を聞くなんて
恐れ多い行為であった。
しかし・・・しかし。俺はこの人を逃すとどんな状況になって
しまうのか想像すら出来なかった。
田畑さんは「香盤表?」と言って目を丸くした。
170:
田畑さんは「ちょっと待ってろ」と言って自分のデスクに向かった。
そして一冊の台本を手に戻ってきた。
「その1番後ろのページが香盤表だ。参考にすればいい」
神様に見えた。
一筋の光明が見えた瞬間であった。
俺は「ありがとうございます。ありがとうございます。」と何度も
頭を下げた。
田畑さんは「じゃ」と言って自分のデスクに戻りかけた
そして「P(プロデューサー)は誰?」と聞いてきた。
俺は「赤松さんです」と答えた。
「D(ディレクター)は?」
「志村さんです。」
田畑さんは少し考える様な表情をして「・・・そうか」と言い残し去っていった。
173:
今北産業
174:
まりあ
ヲタク
映像
176:
>>173
香盤表
二宮
清純
177:
>>173
赤松
志村
うしろ
178:
>>173 
度 
遅いが 
おもしろい
182:
>>174-178 thanx
まったく意味分からんwwww
ログ読んでくるwwww
179:
それから俺は必死になって香盤表を作った。
この撮影時間はどれくらい掛かるのだ?
分からない。
休憩時間は入れたほうがいいのか?
分からない。
食事はやっぱり60分確保するべきなのか?
分からない。
全て分からないが田畑さんに貰った香盤表のお陰で
書き方は分かる。いまはそれでいい。
無茶苦茶な段取りでも知るかっ!
任せたほうが悪いのだ。
そう思いながら作業に没頭した。
しかし1日で全ての撮影を終える香盤表はなかなか出来ない。
時間はみるみる流れていった。
19時。20時。21時。まだまだ終わらない。
180:
入社初日になにやってんだ?俺は。
時々そんな思いが去来してくる。
その度におふくろの顔が浮かんでくる。
おふくろは俺がこんな思いをしてるなんて
きっと知らないんだろうな。
知ったら悲しむかな?
切なさと戦いながらもやっと香盤表は完成した。
今にすればなかり滅茶苦茶な時間の割り振りだったと思う。
しかしその時の俺は空中を見上げながら「やっと帰れる・・・」
そう思うのが精一杯であった。
184:
>>180
まじでそんな気持ちになったな。今では挫折してニートになっちまったが
185:
これで悟もマリアも会社関係なかったらどうすんだよって話だなw
181:
遅いけど面白い
初めて一人暮らしした時の気持ちを思い出して泣きそう
186:
第5章 まりあのカレー屋さん
入社初日はなんとか切り抜け自宅に帰った。
1人暮らしをしていて良かった。
もし実家通いで初日からこんな時間に帰ってきたら
おふくろが心配してしまう。
俺は飯も食わず風呂にだけ入って寝た。
布団の中で思った。テレビ・映像業界の厳しさは
噂どおりだったと。
2日目の出社。この日からは私服だ。
これはこの業界で数少ない良い部分であろう。
来社した志村にさっそく香盤表を見せた。
「この撮影がこんな短時間でできると思ってんの?
こんな無茶苦茶な香盤で撮影できるわけないじゃん。
やり直し」
あっさりと俺の作った香盤表は付き返された。
「志村いつか殺す!」
そう思いながらまた香盤表を作る。
志村を殺してやりたい!それしか仕事の原動力は無かった。
実際志村をボコる姿を想像してニヤニヤ笑うという
不気味な行動もあったと思う。
189:
すごい忍耐だな。 おれなら次の日から行けなくなる。まじで
190:
とにかく2日目は丸1日香盤表を作った。
志村の許可が下りない事には終わらないこの作業。
勉強ならば自分がやらなければ
テストの点数が悪いだけだ。
いつかは終わる。
しかし社会は上司がOKを出すまで終われない。
いや終わらない。
その日の18時とうとう香盤表は完成した。
10回以上作り直してやっと志村を納得させたのである。
もちろん「俺の最初の試練に良く耐えたな!これから二宮は
俺の立派なパートナーだ!」なんて言葉はない。
志村は「次これパソコンで清書してくれ」と言って台本を渡してきた。
この小ブタはワードを使えない。
台本は全て手書きなのだ。いい加減にしろや!
しかし俺はそれをやるしかないのだ。
嫌なら辞めるか、自らがディレクターになるしかない。
194:
そんな毎日が続く中、ある日ポツンと暇な日が出来た。
赤松も志村もいない。
今日は早く帰れるチャンスだ。
俺は定時になるとササッと会社を飛び出した。
18時に会社の外にいる自分。
こんな早い時間に自由を手に入れた自分。
俺は酔いしれた。
そして電車に飛び乗った。
地元の駅に着くと空腹感に見舞われた。
そういえば入社以来まともに晩飯を食べていない。
俺は帰り道にある某有名カレーチェーンに入った。
メニューを見る。納豆フライドチキンカレーに決めた。
少しグロだと思うかもしれないが
俺はこれが大好きだ。
お決まりですか?女性定員が声を掛けてきた。
俺はメニューから顔を上げた瞬間「あっ・・・」と声を漏らした。
まりあだった。
まりあも驚いた表情で「あ・・・。二宮さん」と言った。
199:
やっと出てきたか
197:
まりあはニコッと笑うと「お仕事帰りですか?」と聞いてきた。
俺は焦りながらも「はい・・・そうです」と答えるのがやっとであった。
それにしても。
カレー屋の制服も見事に似合う。
やっぱり可愛い。
俺は注文を済ますと油田のことを思い出した。
そういえばアイツにマンガ返してなかったな。
まりあが納豆・フライドチキンカレーを持って来た。
「ごゆっくりどうぞ」と微笑み掛けてくれた。
それで胸が一杯になった。
500gは多すぎた。
俺がカレーを食べていると「お疲れ様でしたー」という声が
カウンターから聞こえてきた。
なに?まりあの上がり時間なのか?
厨房の奥に消えていくまりあ。
俺は少しがっかりしつつもカレーを食べた。
すると突然前の席に人が座る気配を感じた。
カレーから顔を上げるとそこにはまりあがいた。
203:
目をパチパチさせる俺を見てまりあは言った。
「いまバイト上がったんです。食事終わるまで待ってるんで
一緒に帰りませんか?」
俺は最初言葉の意味が理解出来なかった。
誰と誰が一緒に帰るって??
俺とまりあか!!??
「うん。すぐ終わるから」そう言って俺は必死にカレーをかっ込んだ。
まりあは笑いながら「ゆっくりでいいですよ。本当に」と言ってくれた。
笑顔が本当に可愛い。
しかし会話が必要だ。
俺は油田から仕入れた情報を元に話掛けた。
「大学生なんだよね。ここはバイト?」
当たり前のことを聞く。
「そうなんですよ。週3日か4日入ってるんです。カレーが好きなんです」
バカみたいな理由だ。しかしバイト選びなんてそんなもんか。
「そういえば俺の引越し初日はカレーありがとう。美味しかったです」
容器はまりあの玄関に置いておいたがお礼はちゃんと言えていなかった。
204:
なんだ
いい子だな
210:
「油田くんとは友達?」これも気になる。
もしかして彼氏ってことは無いよな?
「そうなんですよ。
彼とは授業が一緒で
そのうち同じマンションって気づいたんですよ。
それからは学校で会っても話する仲になりました。」
なるほど。特別親しい間柄ではなさそうだ。
まりあちゃんと呼ぶ程の仲でもない気がした。
後に分かったことだが油田は
少し知り合いになった
女の子に慣れ慣れしくすることで
自分を大きく見せる癖があった。
211:
俺はカレーを食べ終えるとまりあと一緒に店をでた。
並んで歩く。
マンションまで10分程度の距離。
ついこの前、油田と並んで歩いた時とは大違いだ。
幸せだった。
しかしあっという間にマンションに到着してしまった。
「それじゃまた!」と言って各々自分の部屋へ入る。
俺は幸せの余韻に浸っていた。
これからもっと仲良くなれるかも・・・。
しかし俺の幸せは長く続かなかった。
鞄の中でマナーモードに設定していた携帯。
その携帯に24回もの着信があったこと。
その着信の主が志村であったこと。
この時の俺は自分の置かれた状況に
まだ気づいていなかった。
217:
志村恐すぎw
220:
しむらwwwwwww
俺までなんかムカついてきたwwwwww
212:
ごめん。さすがに疲れたよ。
少し休憩下さい。
218:
気になる展開すぎる
ゆっくり休憩してくれ
223:
1の文才に嫉妬
230:
読むのめんどくさいから産業で
231:
>>230
カレー
カレー
志村
233:
>>231
把握した
236:
第6章 地獄
俺は部屋に帰った後ご機嫌でシャワーを浴びた。
シャワーから出ると冷蔵庫から缶ビールを出して
一気に飲み干した。
うまい!
TVのスイッチを入れた2本目の缶ビールを開ける。
俺は先ほどのまりあとの出来事を回想していた。
表情が勝手にほころんでくる。
頭の中はまりあの笑顔で一杯だった。
何気なく鞄の中の携帯を取り出す。充電しなければ。
携帯がピカピカ光っていた。着信か?
携帯を開いた俺は目を疑った。
「着信24件」
誰だ?24件もの着信なんて。
履歴を見る。一気に背筋が凍りついた。
志村 志村 志村 志村 志村・・・・・
全てが志村からの着信だった。
ドクン・・・。心臓の高鳴りが分かった。
238:
ちょい復活します
239:
帰ってきたぁあ〜
240:
気になって授業どころじゃない
242:
酔いは一気に吹っ飛んでいた。
まりあの笑顔も消えていた。
まさか・・・仕事でなにかあったのか?
俺は震える手で志村に電話した。
怖かった。
これから聞かされる事実は一体どの様なものなのだ?
想像すらつかない。
着信音がなる。1回・・・2回・・・。
ガチャ。
ドキッ・・・。繋がった・・・。
いきなり志村の怒鳴り声が飛び込んできた。
「貴様!いまどこだ!?」
俺は驚いた。志村がまさかこんな声を出すとは。
今まで散々なことを言われたが、それは嫌味を含んだ
ねちっこい言い方だった。
その志村が怒鳴っている。
余程の事体ということは容易に想像できる。
245:
「すみません。自宅ですが・・・」
もう既に謝っている俺がいた。
「お前台本はどうしたっ!!俺がお前に清書を頼んだ台本だ!」
「それでしたら清書の後に志村さんにFAXしていますが・・・」
「バカヤロー!そんな事じゃねーよ。今日代理店に持って行く日だろが!
清書したデータをよ!」
俺は目の前が真っ暗になった。
そうだ・・・。今日は清書した台本をROMに焼いて代理店に提出する日だった。
完全に忘れていた。
「テメーのお陰でフリーの俺に電話がジャンジャン入ってんだよ。
いくらお前に電話しても繋がんねーし。
代理店誤魔化しきれないんだよ!」
もはや志村の怒鳴り声よりも、数段上の恐怖が俺に襲いかかっていた。
時計を見る。22時・・・30分・・・。血の気が引いた。
俺はとにかく志村に言った「すみません。今すぐ代理店に行きます。切ります」
俺は部屋を飛び出した。
手が震えていてキーがドアに入らない。
カギはもういい。とにかく急がなくては!
249:
こんな恐ろしいプレッシャーの中で仕事できる奴ってスゲェと思う。ますます社会が恐くなった。
ニート脱出できない・・・
250:
ワクテカがとまらないんだが
大学の義務的なクソ授業より勉強になる件
251:
俺は駅まで全力で走った。汗がダラダラ流れる。
しかし関係ない。
駅に着く。
この時既に23時前。電車はまだ十分にある。
しかし・・・しかし・・・。
ここで俺の失態がどんなものか説明しておこう。
通常1本のVP(企業の説明や、商品の紹介ビデオと思ってもらってよい)は
スポンサー→広告代理店→制作会社の流れで発注される。
我々制作会社の人間はスポンサーに会うことは滅多にない。
せいぜい撮影日か完成試写で顔を会わす程度だ。
スポンサーフォローは全て広告代理店の業務だ。
そしてスポンサーの意向を俺たち制作会社に伝えるのが
広告代理店の仕事だ。
つまり。俺たち制作会社は代理店から仕事を貰っている。
それは今までの実績や信用で仕事が貰えるのだ。
252:
なぜか脳内で桂正和絵に変換してしまう…面白い!エロなくてもおk
254:
おおむね>>1と同じ内容の仕事だ
まーデザイン関係だが…
スポンサー→広告代理店→制作会社の流れは同じ
だから志村/赤松は余計に腹立つ!
259:
>>1が忘れるのも悪いが志村のリスク管理がなっていないな。
まぁ志村もこんなこと経験してるのか。
ただ理不尽なだけなのか。
次に生かすんだ。と、ポジティブに
263:
>>259 そうだなリスク管理だ
>>1だけのせいでは無いはず
264:
>>263
だが、新人だからリスク管理とかよくわからず
ってな感じか
カレーくいてぇ
266:
>>264 昼カレーにしたwwww
玉子落としたヤツなんだぜ?
255:
そして今日・・・。
俺は18時に代理店へ台本を持って行く約束をしていた。
代理店は19時にスポンサーへ台本を持っていく。
・・・と言っていた気がする。
それを思い出した俺は更なる恐怖に襲われた。
ドクン・・・。また心臓が高鳴った。
それは正に言葉で表現仕切れるものではない。
今までに味わったことの無い恐怖としか言いようがない。
今日の19時に一体どんなことが起きていたのであろう。
スポンサーはもちろん怒り狂っただろう。
中小クラスの企業にとって新製品のVPは正に社運を掛けている。
社長クラスが打ち合わせに来ていたかも知れない。
少なくとも幹部クラスは確実に全員集合だ。
256:
そこに代理店の人間が行って
「すみません。台本が入手できていません」と言うのか・・・。
代理店の苦痛を想像すると死にたくなる。
そして・・・。
やがてその代理店の苦痛は怒りに変わり
制作会社に向けられる。
この仕事が飛ぶことすらあるかもしれない。
万一それを免れたとしても、その代理店からウチに仕事が来ることは
二度とないだろう。
260:
もはや俺のような新人が想像できる範囲の事態ではない。
いま乗っている電車から飛び降りて死にたい。
早く着いてくれよ!頼むから!
電車のスピードが異常にもどかしい。
たった3つの駅がこれほど遠いと感じたことは無い。
駅に到着した俺は改札へダッシュした。
自動改札へ定期を入れる時間ももったいない。
俺は駅員の窓口を駆け抜けた。
仮に駅員が何か言ってきても止まる気は無い。
俺は会社に飛び込んだ。
もう誰もいなかった。
俺は壁の電気を乱暴に付けると自分のデスクへ走っていった。
引き出しを引っかき回して目的のCD−DOMを持って
会社を飛び出した。
267:
時計を見る23時30分前。
常識的に考えてもう無理だ。
絶対確実に無理だ。
万一代理店の人間がいたら、怒り狂っているはずだ。
どうやって謝ればいいのだ?
肺が痛い。
電車を降りてからずっと走りっぱなしだ。
ウチの会社から代理店までは走って5分の場所だ。
代理店の入っているビルに到着した。
上を見上げる。
代理店の入っているはずのフロアの電気は消えている。
玄関のドアを開けようとしたが開かない。
ビル全体がロックされていた。
268:
俺は財布をあさった。
確か代理店の人間に貰った名刺があるはず。
見つけた。俺は急いで代理店に電話を掛けた。
真っ暗なフロアを見上げながら・・・。
何度も何度も掛け直したが、とうとう電話は繋がらなかった。
筆舌にし難い感情が全身を襲う。
俺はその場に跪いた。
目には涙が浮かんだ。
明日が見えなかった。
269:
これで長期休息をもらいますね。
背中痛いっす
270:
その時、志村は何処に?
怒鳴り散らしておいて放置?
なんにしても>>1の文章はオモローだな
279:
1おつ〜
おもろかったわ 続き待ってるぜ〜
280:
実際にこの時点で 電車男や痴漢男よりおもろい件
27

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