【前編】幼い頃から従姉と二人で暮らしていて「両親は死んだ」と聞かされていたが理解していなかった。が、小学校に上がり人と関わるようになると「他の家庭とは違う」と気付き始めたback

【前編】幼い頃から従姉と二人で暮らしていて「両親は死んだ」と聞かされていたが理解していなかった。が、小学校に上がり人と関わるようになると「他の家庭とは違う」と気付き始めた


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1:
初スレ立てだから拙い部分もあるけど許してな
最近の自分語りスレのように
虐待やら貧乏生活やら過酷な人生ではないし、山もないオチもないだらだらとした話になるから、暇つぶしに読んでくれ。
2:
スペック
都合上、仮のフルネームつけとく
俺 山下一次 現在17才高2
従姉 山下みよ 現在28歳事務員
幼心がついた時から、俺は従姉と二人で暮らしてた
とりあえず、俺の記憶を辿って書いていく
3:
聞いてやる(上から
4:
結構歳離れてるな
7:
10歳と21歳か。悪くない
9:
みよ姉は教育熱心で、俺が小さい頃からとにかく読書を勧めていた。
小学校入学前にして、ひらがなだけでなく、小1レベルの漢字も読めていた。
暗算有段者であるみよ姉は、俺にそろばんを教えてくれた。
出来がいいと心底褒めてくれて、
俺を撫でたり抱きしめたりして愛情をすごく注いでくれていた。
そんなみよ姉が大好きだった。
12:
小学校に入学した。
両親は死んだと聞かされていたけど、よく理解していなかった。
みよ姉がいるからたいして重要な事ではなかった。不自由なく暮らせていたし。
みよ姉から日頃、礼儀作法には厳しくしつけられていたし、勉強も出来たので、俺は天才だともてはやされた。先生からえこひいきされるのは非常に気分が良かった。
そんな時、初めての授業参観があった。
ちなみに、みよ姉は授業参観に行けないと言ってたので、教室にみよ姉がくる事は期待していなかった。
けど、他の子達が、自分の親に手を振ってるのを見て、なんかもやっとした。
たくさんの大人に囲まれての授業はすごく緊張した。
けどどの大人も俺のことなんか見ちゃいないんだって気づくとどうでもよくなった。
やっぱりみよ姉に来てもらえば良かった、なんで来なかったんだろう、とかいろいろもやもやした。
そのトドメに、友達が
一次くんのママどこ?って聞いてきた。
「ママとかいない」ってぶっきらぼうに答えたら「えー来てないの?」とかさらに聞いて来たからシカトした。
授業参観が終わって、クラスメイトが自分の親の元に笑顔で駆けつけていくのを横目に見ながら下校した。
この時はじめて劣等感を抱いた。
16:
その夜、みよ姉に授業参観の話をした。
たくさんの大人がいて緊張した。
けれどいっぱい発表して先生に褒められた。とか、みよ姉が喜ぶ顔を見たくて、話を盛りつつ会話した。
最後に、みよ姉に来て欲しかった、次の授業参観は来て、と頼んでみた。
みよ姉は あー とか生返事をして、学校(みよ姉は専門学校に通ってた)やバイトの時間とかぶらなかったらね って答えた。
これは次も来ないなと直感した。
だからしつこく言うのをやめた。
次の日の朝の会で、みんなのうたの「輪になって踊ろう」という歌を歌った。
なんだか泣けて来た。
孤独だなあって感じた。
あれはまじで良い歌。今でも思う。
17:
みんなと遊んでいて、俺の家族はちょっと違うんだと薄々気づき始めた。
だからみんなの前で家族の話をする事はなるべく避けた。
パパが休みの日にどこどこへ連れて行ってくれた、とか、そういう話を聞くたびに少し嫉妬した。
毎朝お仏壇に飾ってある父母の写真を見ては、なんで死んだんだろーて思った。
でもみよ姉には聞きにくかった。
俺も子供なりに遠慮してたのかもしれない。
小2になった。
みよ姉は専門学校を卒業し、資格を生かして税理士事務所に務めだした。
みよ姉に勧められ、俺は空手を通いはじめた。
自信をつける為だとか、後から言われた。
この頃から、玄関掃除と風呂掃除、植物の水やりは俺の役目になっていた。
最初は任せられた事が嬉しくて進んでやってたけど、途中から飽きた。
さぼってるのがばれたらみよ姉は当然怒った。
「任せられた事はちゃんとこなしぃよ!それが誠意ってもんよ!」
はぁ?て感じだったけどしぶしぶ続けた。
18:
小3
クラス替えで仲の良い友達とは離れ離れになった。
新しいクラスで友達をつくろうとしたけど、だめだった。
俺に親がいない事は学校中に広まっていた。それプラス先生のえこひいきが原因だった。
そもそも、全校生徒200人程度で、クラスには男女10人ずつしかいない小さな学校だ。
別学年の人からは、好奇の目で見られ、同学年の奴からは異色の目で見られた。
だんだんと学校の居心地が悪くなった。
仲の良かった奴も別クラスで友達をつくっていて、もうつるむ事はなかった。
19:
自分の家族について考えるようになって、俺は人生やら存在理由やらについて考えるようになった。
学校に行っても休み時間は寝てるフリか読書かのどちらかだった。
頭がいいから嫌われるんだと思って、わざとテスト間違えたり、授業の発表も消極的になった。
家に帰っても遊びに行かずに、パソコンをした。
みよ姉に学校での様子とかを聞かれるのが苦痛になってきて、みよ姉を遠ざけるようになった。
みよ姉は干渉してこなかった。
それで良かったんだけど、少し淋しかった。
みよ姉は成人式に、叔母(みよ姉からすれば母親)のお下がりの振袖を着ていった。
その振袖は祖母が叔母の成人のお祝いに買ったものだそうだ。
その振袖を見せてくれた時、俺は思い切って家族の事を聞いてみた。
どうして親は死んだのか。どうしてみよ姉と暮らしているのか。
みよ姉は「まだ君には早いーね。10才になったら話すけぇ。それまでに一次は見聞を深めて、大人になるんよ」と言った。
20:
俺ははじめてみよ姉にキレた。
自分では、他の同級生より大人だと思ってたから、そんな事言われるのは悔しかった。子供扱いするな!母親面するな!って怒鳴って泣いた。
今までのもやもやを全部晴らすように泣いた。
ずっとみよ姉のいう事を素直に聞いて育ってたから、みよ姉はすごく驚いてた。
みよ姉は俺を抱きしめようとしたけど、俺はその腕を振り払って自分の部屋に閉じこもった。
部屋でとにかく泣いた。
どうして俺だけこんな不幸なんだろうって考えると、涙は止まらなかった。
ようやく興奮が冷めてきた頃、みよ姉が小さくノックして部屋に入ってきた。
ファンタの缶を二つ持って。
俺はベッドの上で胡座かいていて、シカトしたけど、みよ姉は勝手に勉強机のイスに座った。
ファンタを一つ俺の方に投げてもう一つは蓋を開けて飲みはじめた。俺も真似してファンタを飲みはじめた。
みよ姉はいきなり話をきりだした。
「私の家族は、もう君しかいないんよ。
じゃけぇ、十分の愛情を持って接しとるんよ、君には」
それから沈黙。
俺が何か言おうか迷っていると、みよ姉はまた口を開いた。
「親がおらんで、辛い思いさせるいね...。けど、悲観せんで。
背筋を伸ばして堂々と生きーさいね」
声が震えていて、独り言みたいだった。少し泣いていたと思う。
きっと、みよ姉自身にも向かって言ったんだと思う。
俺も単純なもんで、みよ姉の言葉を聞いて、堂々と生きようと思った。
21:
10才、小4
空手をやめた。だるかった。
みよ姉は、やる気がないなら月謝無駄だし。と言って簡単にやめさせてくれた。
それでも玄関掃除や風呂掃除は続けた。この頃になって、あの時みよ姉が言った言葉が解るようになった。
誠意。
言った事は成し遂げると書いて「誠」。
これは今も忘れずに心止めている。
27:
俺もみよ姉が欲しい
28:
みよ姉は何故に自分のご両親とは住まずに従弟と2人で暮らしてるんだろう。
働きに出るまでお金はどうしてたんだろう。
気になることいっぱいだわ。
30:
>>28
俺も気になったけど、遺産的な感じかな?って思って読んでた
33:
言った事は成し遂げると書いて「誠」
俺に足りないのはこれだ!
41:
人間関係がめんどくさくなって、昼休みに俺は保健室に行って寝る事が多くなった。
もう俺だめ人間w
何に対しても意欲が湧かないし、ただだらだらと生活していた。
いつ死んでもいいやって思うけど、自ら命を絶つのもめんどいし、楽して死にたいなあとか普通に考えてた。
あーなんでこんなにつまんない人生なんだろう。
それは自分がつまらない人間だから?じゃあなんでこんな風に育ったんだ?
親がいないから育ちが悪かった?けどみよ姉はちゃんと俺を育ててる。育て方が違った?みよ姉のせい?どうしてみよ姉は俺を育ててる?どうして俺は育てられてる?俺は生きなきゃいけないの?死にたいんだけど。
そんな終わりの見えない自問自答を繰り返しては時間を潰してた。
もうね、達観した気でいた。この年にして悟りを開きかけてる俺天才w
とか、ほんのちょっと思ってた。
ぐだぐだ考えていたけれど、10才になったら家族の事を教えてくれるっていう約束があったから、誕生日までなんとか生きとくかーって結論に毎回なった。
43:
話は変わるけど、小4になってはじめて同じクラスになったトシという奴がいた。
サッカーが上手くてかっこよかったから、クラスカーストでいうトップグループに所属してた。
もちろん俺との接点なんてほとんどなかったから、気に留めてなんかいなかった。
はじめの頃は。
ゴールデンウイークが明けてから、トシはよくキレるようになった。
掃除をさぼってるのを注意されてはキレ、
給食当番でマスクしていないのを注意されてはキレる。
そんな些細な注意でも、トシは机を蹴って椅子で先生を殴ろうとしたりするほどキレた。「何こいつ怖」と本気で思った。
そのうちトシの父親がちょくちょくクラスに来て、トシの様子を見に来るようになった。
父親の前ではキレなかったので、味をしめた担任は、トシに影響され悪ぶりだした他の連中の親も呼んだ。
ちょっとした授業参観になりだした。
そんな奴らにお構いなく、俺はいつも通りの生活を送っていた。
中間休みには本を読み、昼休みは保健室で寝た。
その日も保健室で寝ようと思い、保健室へ向かっていたら声をかけられた。
トシだった。
44:
何かされるのかと思い身構える俺。
トシ「おう、一次。どこ行くん?」
俺「保健室」
トシ「あー、いつもそこにおるんや。
俺も行っていい?」
俺「いいけど」
トシ「一次友達おらんのんやね。やっぱあの噂まじなん?」
俺「噂?」
トシ「親がおらんけぇお手伝いさんと住んどるって噂。知らんかったん?」
知らなかった。
俺の知らない所でそんな噂が広まっていたとは。てかみよ姉はお手伝いさんとかじゃないし。
俺は家でも学校でも人と話す事が少なかったし、喋る事すら面倒だったから本当
口下手というか話が下手になってた。
だからその噂を訂正しようと思ったんだけど、どこまで話せばいいのか迷った。
俺の言う事が伝わるのかどうかさえ怪しかったから、結局まあいいやってなった。
俺「その噂は嘘やけどね」
トシ「そうなん、でも親おらんのやろ?
なんで?」
結構ぐいぐい来るからうっとおしかった。
けどキレたトシを思い出して、ちょっと
控えめに抗議した。
俺「トシには関係ないやろw俺保健室行くから」
トシ「え、待とうや。ちょっと相談があるんやけど」
俺「え?」
トシ連れられ、屋上にのぼる階段をのぼった。屋上は空いてないから、屋上のドアの前で座り込んだ。
46:
広島か
53:
誤字脱字多くてすまん
トシに連れられ屋上のドアの前に座り込んだ。当たり前だけど屋上は開いてない。
トシは自分からここへ連れてきたくせに何も話さずずっと黙ってた。
俺もトシと話すことなんてないので沈黙。
ただ屋上のほう見ながらぼうっとしてた。
そろそろチャイム鳴るかなーって時に、
トシがようやく話しはじめた。
トシ「俺の両親、離婚したんよねぇ」
俺「・・・うん」←でっていう心境w
トシ「俺の父さん、ちゃんと働いてなくてバイトをかけもちしとるんよ。
じゃけー家計が苦しくて、生活できんで、
母さんがヒステリック気味で...」
ぽつりぽつり話すトシにただうなずいてた。
みんな辛い思いしてんだなあ、とは感じた。けどかける言葉がわからん。
だからみよ姉の言葉を借りた。
「片親になって辛いんやな。
けどあんま悲観せんでいいと思うよ。
堂々としぃよ、父親を支えてやりぃ」
トシに言っておきながら、
俺もみよ姉を支えなきゃって思った。
トシは俯き、ありがとうって俺に言った。
チャイムが鳴り、二人で教室に戻った。
なんだかトシとの関係が深くなったようだった。
54:
あ、トシは父親に引き取られたんだって。
トシは父子家庭になった。
家庭内のストレスが学校で爆発して、
よくキレていたトシだけど、
俺に悩みを打ち明けてからキレる事は
少なくなった。ゴールデンウイーク前の、
サッカーが上手くてかっこいいトシに戻った。
あの日以来、俺はトシとつるむようになった。
傷の舐め合いだなって思っていたけど、
友達ができたのは素直に嬉しかった。
自然にトシのとりまきのグループとも
仲良くなって、俺はクラスに馴染んでいった。
55:
というのも、俺はイジメを受けていたわけじゃない。ちょっと距離を置かれていただけ。
トシの計らいで、わりとすぐ仲良くなれた。以前まで連中の事は冷めた目で見ていたけど、仲間になってからそんな事はなくなった。
学校で笑えるようになって、冗談も言えるようになって、初めて学校が楽しいと思えた。
トシと俺は二人きりの時、もっぱら哲学的な話ばかりしてた。
死んだらどうなるのか、とか
「強い」とはどういうことか、とか
これって中二病だったんかな?思春期?
よく分からんけど、そういう話し相手になっていた。
そんなある日、トシが俺の家に遊びに行きたいと言いだした。
友達を家に呼んでいいか、みよ姉に聞いてみた。
俺「明日、友達を家に呼んでいい?」
姉「えっ、友達っ?!構わん構わん、あ、
掃除しとかんにゃいけんわ!」
とか慌ててた。友達の話とか全くしてなかったから、友達いないと思ってたんだろうね。みよ姉が嬉しそうで何よりだった。
58:
俺の家は、曾祖父が建てた普通の二階建て。祖父がそろばん教室を開いていたので、家の隣にトタン張りの平屋もあった。
新築じゃないから、たいして凄いと思った事はなかったけど、トシはずっと凄い凄い言ってた。
みよ姉はめったにお菓子とか作らないのに、ホットケーキを作ってくれた。
姉「トシ君たくさん食べてねーw
こんなお構いしかできんけどw」
トシ「ありがとうございますw一次の姉ちゃんかわいいw」
姉「うん、知ってるw」
俺「ちょw」
とか、わいわいしてた。
ホットケーキが焼けて、みよ姉がお皿に移す。
姉「バターはお好みでどうぞw」
トシ「はーいw」
トシはあのバター塗るやつでバターを塗った。そして塗り終わった後、バター塗るやつをベロリと舐めた。
そしてまたバター塗るやつでバターをとり、ホットケーキに塗った。
そしてまたバター塗るやつを口に含んで、それに着いてるバターを舐めた。
俺どん引き。
人の家でそれはしないだろ。
トシが帰った後、みよ姉はバターが残っているにもかかわらず、バターとバター塗るやつを捨てた。
みよ姉はそれ以来二度とホットケーキをしなくなった。
60:
トシ・・・(´・ω・`)
62:
親友なら教えてやれwwwそれはやってはいけない行為だとw
でも親がちゃんと教育してないとそういうことって身に付かないからな
しょうがないことでもある
64:
>>62に同意
捨てるか・・・まあ捨てるな
66:
それからもトシはちょくちょく遊びに来たけど、初回よりも扱いは雑になった。
夏休みに入って、トシは俺の家に泊まる事が多くなった。
昼間はみよ姉は仕事なので、俺が昼ご飯を賄ったりしてあげてた。
トシの父親が朝昼晩とバイト三昧なのでろくな食事ができないらしい。
三百円じゃイイもん食えねーよって毒づいてた。
はじめのうちは良い顔してたみよ姉だけど、だんだんストレスになってきているのが目に見えて分かった。
血のつながった子を育てるのと他人の子を育てるのはやっぱ違うんだろうね。
最終的に、トシは自分の父親も俺の家へ呼んできた。
67:
トシwwwwwwwwww
68:
トシヒドス
69:
トシはその日も遊びにきてたんだけど、
夕方帰って、夜に父親連れて家に来た。
みよ姉は風呂上がりだったからすごく嫌な顔してた。
とりあえずリビングへ二人を上がらせる。
(俺)(みよ姉)
−−−−−−

−−−−−−
(トシ)(トシ父)
みよ姉「こんな夜にどうされたんですか。もう寝る準備してたんですけどねえ」
トシ父「いやーごめんね、本当w今日は親子二人で泊まらせて貰えるかな?w」
俺もみよ姉も目が点。
みよ姉「なんでですか?」
トシ父「アパートから追い出されちゃってw荷物は今車にあるんだけどwとりあえず今日一日だけwホテル空いてなかったんだw」
みよ姉「どうしてアパートから追い出されたんです?」
トシ父「半月くらい払ってなくてw」
みよ姉「でも働いていらっしゃいますよね?」
トシ父「まあそうだけどwいろいろ出費があってwちょっと喉乾きません?w」
みよ姉「全く」
みよ姉はお茶出さなかった。
俺からしてもこの父親はダメだなと分かった。誠意がないんだわ、トシ父。
年は三十才くらいだったけど、俺はトシ父を見下した目でみた。
トシ父「隣に平屋あるでしょ?あそこでいいからw君も女の子だし、さすがにここに泊まるのは悪いw」
みよ姉「そうお思いなんでしたら、こんな夜にこの家庭を選びませんよ。とりあえず、トシ君のお父様のお話を聞く限り急用ってほどでもないので、お引き取りください。私達も余裕のある暮らしじゃないんです」
この父をお父様と呼べるみよ姉すごいなって思った。
トシはずっと黙ったままだった。
70:
トシ父「いや急用じゃないってw今の話の通り、住む所ないんだよw」
みよ姉「でも笑ってらっしゃるじゃないですか。それほど切羽詰まってる感じには見えませんがね」
トシ父「いや、本当。頼むよ」
みよ姉「トシ君から聞いたんですよね?
私達が二人暮らしだと」
トシ父「ああ、そうだよ」
みよ姉「頼みやすそうですもんね、保護者が二十代の女だと」
トシ父「いやいや、そんなことは...」
みよ姉「ねえトシ君、今日はさすがに無理なの。我慢して車で寝てくれる?」
トシ父「いや、車は荷物でいっぱいなんだ」
みよ姉「外に出しといたらどうです。誰も盗みませんよ」
俺はトシと目があった。
申し訳なさそうに見えたけど、本当はどうなんだろうか。これは演技なのか。
みよ姉はトシの様子を察して言った。
みよ姉「トシ君。ハナから他人を頼っちゃいけんよ」
親子は帰って行った。
71:
せつねええええええええええええ
1いいぞ もっとやれ
72:
みよ姉しっかりしてんなぁ
惚れそうだわ
74:
帰ったあと、みよ姉はすごく大きなため息をついてた。
姉「あー怖かった!」
俺「そうなん?」
姉「だって年上の男の人とタイマンしたん よ!ちびるかと思ったー」
俺「トシに悪かったかなあ」
姉「仕方ないよ、親がああやし。そりゃ就職できんわ。人に頭下げる事ができないなんてあり得んやろ。年下の女なら簡単に頼めると思ったんかね?ふざけんなっつうの」
姉は珍しくぐちぐち言ってた。
トシの事が気がかりだったけど、
姉が決めた事だから仕方ないなと思い込んだ。
平屋くらい貸しても良かったんじゃ...と、
少し思ったけど。
次の日の昼、チャイムが鳴った。
トシ親子はまた来た。
75:
ここが踏ん張りどころだな
77:
みよ姉、昨日はあんだけ文句いってたのに、玄関で二人を追い払わずまたリビングへあげた。
みよ姉「昨日の夜はよく眠れましたか」
トシ父「ええまあ。それで、実家に帰る事になりました」
みよ姉「実家に?という事はトシ君、転校するん?」
トシ「はい」
俺唖然。まじか。まじか。
ずっと「まじか」は脳内をぐるぐるしてた。
トシ父「それでですね...あの、実家が石川なんですよwちょっと遠いんですよね」
みよ姉「そうですね」
トシ父「単刀直入にいうと、お金貸して欲しいんです」
みよ姉絶句。
俺ですら、こんな父親ならいらんわって思った。子供の前で金貸せとかwわろすw
84:
んで、あからさまにトシ父が俺ら子供の方を見だした。
トシ父「子供の前じゃ何なんで...」
みよ姉「私は構いませんよ、子供の前でも。というかもう話し始めたなら一緒ですよ」
トシ父「(無視)一次君、悪いけどトシと一緒に遊んでてくれる?二階で」
子どもに話フるとか、今考えるとずるいよなw
俺はみよ姉の反応を待った。
みよ姉「ここにいなさい、一次」
俺の手を握って、みよ姉は俺の行動を阻止した。
でもトシが立ち上がって、俺を引っ張った。
トシ「行こーや、俺ら居ない方がいいって」
どうしたらいいか迷ったけど、俺はトシを選んだ。
85:
現実にこんな父親いるんだな
87:
トシと二階の俺の部屋に入った。
俺「転校するん?」
トシ「うん。まだ他の友達には言ってないけど..」
俺「そうか...」
トシ「いろいろありがとな」
俺「こっちこそ。トシのおかげで友達ができた」
トシ「俺は、お前のおかげで辛い思いしなかった。自分より不幸な人間がいるって大事だな」
俺「...は?」
トシ「トイレ借りるわ」
トシは一階へ降りてった。
はぁ?って感じ。俺不幸じゃねーし
てかそんな目で見てたんだなぁ...
あー、友達だと思ってたのは俺だけか。
俺の勘違いか。
そこまで考えたら、ぼうっとし始めた。
泣いちゃだめだ泣いちゃだめだ、トシが戻ってきたら泣いてるのばれる!そんなん恥ずかしい、俺が一人で友達出来たと喜んでたなんてな。
考える事をやめた。
そーいやみよ姉どうなったんだろう、
てかトシ戻ってくるの遅くね?
と思い、一階に降りてみた。
89:
リビングに入ると、トシ父とみよ姉とトシがいた。
俺「あれ、トシ、いたの」
トシ「あーうん、もう帰るから」
俺「そっか。じゃあ...」
トシとトシ父はさっさと帰って行った。
みよ姉は無事だった。
俺「なんか....複雑」
姉「そーやねぇ...ねぇ一次。
トシ君さぁ、....いつ頃トイレ行った?」
そんな変な質問してくるもんだから、
一気に不安になる俺。
俺「二階に上がって、ちょっと経って、かな」
みよ姉はダッシュで鏡台に駆け寄った。
90:
うっっっわ・・・・・・・ひでー
91:
金とられたんじゃ・・・
92:
鏡台の引き出し開けて、みよ姉は黒い長財布をとりだした。
普段みよ姉が使っている財布じゃなくて、
多分大元のお金だと思う。
みよ姉の行動がどういう事か、俺にもわかった。
俺「え、嘘やろ?」
姉「わからん」
みよ姉はバッと札入れを見開いた。
空っぽだった。
みよ姉はその場に座り込み、俺は立ち尽くした。
二人とも無言だった。
93:
泣ける・・・
94:
トシ・・・。
ホットーケーキの時からそれ狙いだったのか?
95:
みよ姉はやりきれなかったろうな・・・
1が連れて来た不幸を被ってしまって
98:
友達がそういうことするのはショックだなあ。
あと、>>1はともかく、みよ姉も幸せになってほしい
99:
俺「...ごめん」
姉「...なんで一次が謝るんよ。君が盗ったんやないやろ」
俺「でも、俺が、トシと友達になっちゃったから、こんな...」
姉「いいよ。友達になって、楽しかったんやろ?ならいいよ」
俺「よくないよ、お金....」
みよ姉がお金にうるさいのはよく知ってた。二人で暮らすには十分の収入があるのに、節電しろ節水しろとよく言っていた。
成人したお祝いに買った車も、借金はしたくないと言って現金支払いだった。
姉「こうなるやろうと、薄々わかっとったし。あの親子との手切れ金だと思えば安いもんよ、6千円」
姉はその長財布に大金をいれてなかったらしい。こうなる事を見越して。
101:
姉はその長財布に大金をいれてなかったらしい。こうなる事を見越して。
↑これが本当ならみよ姉はネ申。
103:
つか、本当に良く出来た女性だね。
たいした女だ。
104:
みよ姉は教えてくれた。
トシがしょっちゅう家来るようになって、
たまにお金が合わなくなる事があった事を。
最悪の場合を考えて、みよ姉はクレジットカードや印鑑、通帳を別の所へ隠し、
お金がよく無くなる財布にはレシート9割千円札1割をいれるようになった。
厚みをだしてお金ごまかしてたんだとw
六千円っていうには、今までに盗まれたお金の総額。
その時盗まれたのは2千円だった。
トシ父がみよ姉を引き止め、トシが盗むっていう役割りがあったんじゃないか。あの二人はグルだったんだと思う。
みよ姉はそう言った。
信じられなかった。
みよ姉「人間ってそーゆーもんよ。
だから人に依存せんで、自立せんにゃいけんのんよ」
人間不信になりかけたけど、みよ姉の言うとおり、そういうもんだと割り切るようにした。
じゃないとやっていけない。
105:
とりあえずみよ姉が嫁なら家任せられるな
106:
みよ姉すてき
109:
夏休みが開けて、学校が始まった。
トシの姿はなかった。
他の連中は、突然俺に冷たくなった。
トシがいなくなったからだろう。
また俺はぼっちになった。
少し寂しかったけど、元々ぼっちだったから過ごし方は知っていた。
もう誰も信じない、そこそこの付き合いをしよう。深い所まで関わっちゃだめ、同情しちゃだめ、人は人はだ。
とか、いろいろ自分を律した。
そんなこんな毎日を過ごしてたら誕生日になった。
俺もただじっとしてこの日を待ってたわけじゃない。アルバムを引っ張り出して父母の顔を見たり、家系図を探したり、なんだかんだ足掻いていた。
毎年通り、ケンタッキーを食べてケーキを食べた。
いつ話してくれるんだろうってドキドキしてたけど、夕食では何事もなかった。
結局夜になった。
俺はみよ姉の部屋を訪れた。
去年みよ姉がそうしたように、
ファンタ2つを持って。
110:
いよいよ核心だな
111:
ついにか…
114:
みよ姉は布団の上に、俺も見た事のあるアルバムを広げて待っていた。
ファンタを一つ、みよ姉に放り投げて
みよ姉の隣に並んで座った。
みよ姉はアルバムの一枚の写真を指差した。
姉「これが森中家。私と君のおじいちゃんおばあちゃんの家ね。そこに生まれたのが、私の母さんと君のお父さん」
そして写真と照らし合わせながら、
森中家の家系図を説明してくれた。
祖父母の間に伯母と父ができて、
伯母が嫁いだ先が川上家。
俺の母方の家が山下家らしい。
この時点で俺は森中一次、みよ姉は川上みよ、という名前だ。
117:
なんか、伏線が効いて来た!みよはなぜに山下!
118:
伯母と父は仲が良くて、しょっちゅう家族ぐるみで遊びに行ってた。
俺が4歳の夏、その日も二家族で遊びに行った。
けれど帰り道、事故が起きる。
その場にいあわせたのは父、母、俺、伯母、伯母夫、従姉の長女(17才)、従姉の次女みよ(15才)の8人。
結果助かったのは3人のみ。
みよ姉、俺、伯母夫。
事故として処理されたけど、
みよ姉はそれは違うと言った。
自分の父が心中を企てたんだと、みよ姉は言った。
119:
( ゚д゚)ハッ!
121:
みよ姉によると、伯母夫は誠実で真面目な人だった。けれど勤め先の中小企業が倒産、同僚が新しい小会社を立ち上げるのに伯母夫は協力してお金を投資、けれどその事業は失敗、借金だけが残ったそうだ。
伯母夫は家族の保険金で借金を返済した後、自殺した。
これは前の会社の人から葬式に聞いた話で、会社が倒産したのも、お金を投資していたのも、そればかりか借金をしていたこともみよ姉は知らなかった。
122:
みよ姉ェ…(´;ω;`)
123:
みよ姉は、県内トップレベルの進学校を高1で中退し、俺と一緒に祖父の家で暮らすようになった。
川上家と俺の家族が住んでいた家や車は売ってお金に替えた。
みよ姉は資格をとるため専門学校に通った。俺は幼稚園に預けられた。
冬、祖父は階段から転倒して亡くなった。
祖父の痴呆と体の衰えが原因。
本当にそうかはわからない。
俺の断片的な記憶を信じると、少し違う気がするけど。
125:
>>123
「俺の断片的な記憶」って何?
128:
>>125
うろ覚えなんだけどね
じいちゃんが階段から落ちた時、俺もそこにいたんだ
階段下でうずくまってるじいちゃんと、
階段上でじいちゃんを見下ろしてるみよ姉
っていう構図がすごい記憶に残ってる
124:
ん。。。?
127:
法的な手続きとかは、俺の母兄がしてくれたらしい。
俺とみよ姉は、母兄の養子となった。けど母兄は自分の家庭をもってる。
姉「だから、君と二人暮らししようと決めたんよ。君を施設に預けたくなかったし」
俺の背中をさすりながら、
「けどね、私も、いつまでも君と一緒ってわけにはいかないけん。
君はいずれ、一人で生きていかんにゃーいけん。その時がくるまでに、自立した人になるんよ」
祖父が経営してた駐車場と貸し家があるんだけど、母兄が、その収入をみよ姉の口座に振り込まれるようしてくれた。
二家族と祖父の財産や、みよ姉のバイトの給料 とかで十分暮らせるお金はあったらしい。
129:
イッポン見るからまた明日
130:
>>129 
いやぁぁぁぁぁぁぁ!
私がお題に答えるから続きを早く・・・。
133:
その年齢にして達観というか諦観している感のある、みよ姉を思うとその人生を想像して哀しくなる
それにしても>>128…最悪なことしか考えられない…
134:
じいちゃん殺す意味は?
136:
>>134
保険金目当て?
137:
子供の頃の曖昧な記憶は確実じゃないよ
「こうだったかな?」と思った事に穴があると親しい人でその部分を埋める事もよくある
このケースの真偽は知らないけどね
一応誰にでもよくある話
139:
姉「家族の事やトシ君の事とかで、多分ナーバスになっとるじゃろーけど。そんな事に囚われないでいいけんね」
悲観せずに。
堂々と生きーさいね。
みよ姉は去年と同じ事をまた言った。
その日は久しぶりにみよ姉と一緒寝た。
みよ姉のぬくもりを感じて、
あー俺孤独じゃないんだなあって思えた。
静かに泣いたら、みよ姉は頭を撫でて抱きしめてくれた。
おやすみ。
141:
いいお姉ちゃんだな。
146:
たしかに山はないけど谷はあるな
あと7年分……気になりすぎて
引用元: ・従姉と暮らした日々を淡々と書く【後編】幼い頃から従姉と二人で暮らしていて「両親は死んだ」と聞かされていたが理解していなかった。が、小学校に上がり人と関わるようになると「他の家庭とは違う」と気付き始めた
※12:24 公開予定
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