女の子「私は、星のお姫様」back

女の子「私は、星のお姫様」


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1:
男「やっと週末だ...帰ったらのんびりゲームしよう」
男「あー、月が眩しいなぁ...」
男「お、流れ星だ!」
男「女の子とセックスしたいセックスしたいセックスしたい」
男「よし。これで大丈夫」
女の子「あの」
男「えっ?」
女の子「呼ばれたから来たんですけど」
男「あっ...いや、流れ星にね...」
女の子「きらきらきらりん♪そうです、私は彗星から流れ星に乗って来た星のお姫様」
女の子「お願いされたので、さっそく来ちゃいました」
男「えぇ...嘘だろ...」
女の子「ちなみに私一人だけがお願いを叶えてるので、選ばれる確率はまさに天文学的です。運が良いですね。きらきらん♪」
               
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2:
男「本当に彗星から来たお姫様なの?」
女の子「当たり前ですよ」
男「証拠は?」
女の子「出た。きらきらっ♪それ本で読みました。人間は目に見えるものや証明できるものしか信じないんでしょう」
女の子「でも安心して下さい。ちゃんと信じて貰いますから。そうですね」
女の子「何か簡単な...つまり、確率的に比較的起こりやすい願い事を言ってみて下さい。それをサービスで叶えてあげますよ」
男「何でも?なら可愛くて優しい彼女が欲しい」
女の子「それは無理ですね。もっと現実的なやつでよろしく頼みます」
               
          
3:
男「...は?やっぱり嘘つきかよ」
女の子「嘘つきじゃありません」
男「なら今すぐ俺に彼女つくってくれよ。あ?出来ねぇのか?彗星のお姫様なんだろ?」
女の子「むっ...」
女の子「......仕方ないですね」
女の子「信じて貰わないといけないし...少しの間ですが、私が彼女になってあげます。これなら私の意思であって確率的な問題はないですから良いでしょう」
男「えっ...本当に?」
女の子「願い事叶いましたね。良かったですね。ほんと童貞はチョロい。きらきらきらりん♪」
男「彼女になってくれるの?」
女の子「はい、それはさておき本題に入りましょう。私の使命はあなたのお願い事を叶える事です」
               
          
5:
女の子「では...改めてお聞きします」
女の子「あなたのお願い事は?」
男「もちろん、女の子とセックスする事!」
女の子「最低ですね」
男「ラブホとか俺も初めて行くんだけど...き、緊張しなくていいからね?」
女の子「駄目です。ラブホには行きません」
女の子「言い忘れてましたが、お願いには二つルールがあります」
               
          
6:
女の子「一つ、絶対に無理そうなことはお願いできない。0.0000000000000000000000000000001%くらいの確率で起こる事ならぎりぎり叶えられますが、それ以下の確率を操作するとなると他への影響が大きくなりすぎて世界の調整が難しく、叶えられません」
女の子「一つ、私に直接関わることはお願いできない。星の住人は確率を操作して願い事を叶えるのですが、自分に関わることに使えば身を滅ぼしてしまうんです。自分の運命は確率変動の能力で変えてはいけないのです」
女の子「それとあなたとのセックスは個人的に嫌なので拒否します」
女の子「以上。これらを踏まえた上で、さぁどうぞ」
男「え...なんか泣きそうなんだけど...」
女の子「猶予は夜が明けるまでです。あと10時間49分42秒以内に言って下さいね」
男「...思い付かない...」
男「...ていうか寒いし、そこの喫茶店入らない?コーヒーくらい奢るから」
女の子「きらきらきらりん♪ありがとうございます。入りましょう」
男「何なのその口癖」
               
          
7:
メイド「ご注文はお決まりになりましたか?」
男「あ、僕はコーヒーを...」
女の子「私はイチゴパフェとオレンジジュース」
メイド「オリジナルコーヒーとイチゴパフェとオレンジジュースで宜しかったでしょうか?かしこまりました。ごゆっくり」
女の子「...」
男「結構頼むな...」
               
          
8:
女の子「残り10時間34分11秒。どうしますか?」
男「何にしよっかな...彼女がいない事以外はそんなに困ってないし...」
女の子「うーん。それは困りましたね」
女の子「私も珍しく地球に降り立ってする仕事が失敗なんて嫌ですからね。一緒に考えましょう」
男「ありがとう。何が良いかなぁ...」
男「そう言えば、願い事とは関係ないんだけど。彗星のお姫様って言ってたよね?普段何してるのかとか詳しく教えてよ」
女の子「えっ...私の話ですか。そうですね。何から話しましょうか」
               
          
9:
女の子「...じゃあまず私たちについて。私たちは星の神です」
女の子「神と言っても、人間や虫や魚の分類のように便宜上の呼び方に過ぎないんですけど」
男「異星人って事?」
女の子「そう言っても良いんじゃないでしょうか」
男「普段は何で地球の人に見つからないの?隠れてるの?」
女の子「それは、人間は技術を得たじゃないですか。技術を使うには代償が必要です。何かを見るためには別の何かが見えなくなるんです。灯りを点ければ照らされる代わりに、暗闇が無くなるように」
               
          
10:
女の子「要するに、望遠鏡とかプラネタリウムとかが出来たので私たちは必要なくなったんです。古代ギリシャの時代には私たちがまだ見えてたみたいですけど」
女の子「私たちが殊更に隠れてるわけでも、見えなくしてるわけでもないです。ただ必要がないので見えないというだけの話です」
男「分かったような分からんような...」
女の子「そんなに重要じゃないので、忘れても良いです」
メイド「...お待たせいたしました。コーヒーとイチゴパフェとオレンジジュースです」
男「あ、どうも...」
メイド「ごゆっくりどうぞ」
               
          
11:
女の子「いただきます」
女の子「もぐもぐ。あ、このパフェ美味しいです。むっ...そんな顔してもあげませんよ」
女の子「...さて、次は私について話しましょう」
女の子「サン・テグジュペリの『星の王子さま』って読んだことありますか?」
男「あると思うけど、内容覚えてないな」
女の子「星の王子さまは一人で星に住んでいるんです。私もお姫様と名乗ってはいますが、基本的にこれと同じシステムなんです」
男「じゃあ一人で彗星に?」
女の子「月の女神様がセレーネであるように、金星の女神様がアフロディーテであるように。私は私の彗星のお姫様、とでも思って下さい。彗星が私であり、私が彗星なのです」
               
          
12:
男「寂しくないの?」
女の子「私は一人じゃないですし、私の境遇を想像して寂しいと感じるのはあなたが人間だからでしょう。きらきらりんっ♪」
男「...地球に来るのは珍しいって言ってたよね。彗星ってことは、ずっと昔から生きてたんじゃないの?」
女の子「はい。私は彗星の姿としては37万歳で直径10kmのただの岩石なんです。地球に通りすがった時に落としたのは、私の身体の一部である流れ星です」
男「じゃあ、本当の君は今地球にいないの?」
女の子「私は既に地球と月くらいの距離まで離れています。太陽系を周回して、次に地球に戻ってくるのはおよそ400年後でしょう」
               
          
13:
男「えっ...いや、でも君はここにいるじゃないか」
女の子「欠片という身代わりみたいなものなので、役割を終えれば消えます。まぁ役割を終えなくても、朝になれば期限切れという事でいなくなるんですけどね」
男「えぇ...そんな...」
女の子「悲しいですか?」
男「せっかく彼女ができたのに...」
女の子「またそれですか。...それはそうとして、お願い事は決まりましたか?」
               
          
14:
男「決まってないけど...考えてる事はある」
女の子「何ですか?」
男「どうやったら君が消えないでいられるか...だって朝になればいなくなるんだろ」
女の子「次に会えるのは400年後です。まぁあなたが生きてたらですが」
男「消えないで済む方法とかないの?」
女の子「ないですね」
男「...」
               
          
15:
女の子「日の出まであと9時間57分32秒。時間はまだありますからじっくり考えましょう」
男「うーん...」
女の子「あっメイドさん。すみません、イチゴパフェ一つ追加でお願いします」
女の子「...そんな顔しないで下さい。一口あげますから」
               
          
16:
男「セックスも駄目、地球に引き留めるのも駄目...駄目なものが多過ぎるよ!」
女の子「そうですか?宝くじで一等当てたいとかないんですか?そのお金でソープにでも行けば良いじゃないですか」
男「いや...俺は彼女に童貞をあげたいんだよね」
女の子「何言ってんですかこの人は」
男「はぁ...もうやだ...ようやくできた彼女とも数時間でお別れだし...こんな辛い思いをするならいっそ...」
男「......」
女の子「どうかしました?」
               
          
17:
男「俺も彗星になれないの?そしたら一緒にいられないかな」
女の子「は?...それは...可能なんでしょうか」
男「...たとえば、地球に小惑星をぶつけて粉々にすれば、その欠片に俺がなる事も出来るんじゃない?」
女の子「...地球を砕くほどの威力を持つ質量の小惑星が衝突するのは...確率的には...億年単位のスパンで見ても不自然ではないですね」
男「なら、それをお願い事にするよ」
女の子「皆死にますよ?良いんですか?」
               
          
18:
男「もともと退屈な人生だったし、星になって宇宙を漂うのも良いかな。それに、君といられるしね」
女の子「...こういうのを、傲慢と言うんですかね。私は構いませんし、決めるのはあなたですけど」
男「まぁ、最後の時までコーヒーでも飲んで待とうよ。俺がこのコーヒーを飲み終わる頃に、地球に小惑星を衝突させてよ」
女の子「...はぁ、分かりました。仕様がないですね。私もイチゴパフェをもう一つ頼みます」
女の子「そうだ、今度はあなたのお話を聞かせて下さい。あなたの人生のお話をね。なにせ時間はたっぷりあるんですから」
               
          
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