花丸「呪いの鬼の面」back

花丸「呪いの鬼の面」


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?部室?
鞠莉「という訳で、来週の節分の日、マルのお寺の節分イベントのお手伝いをしマース!!」
曜「幼稚園の子達を豆まきに招待して、私たちが鬼役になるんだよね」
千歌「なんだか楽しそう! よーし、はりきって鬼になるぞー!」
善子「フフフ、トゥインクルスター☆堕天使ヨハネちゃんにお任せよっ!」
果南「ダイヤは、怖い鬼役とかぴったりそうだよね?」
ダイヤ「なっ! どういう意味ですか!!」
ワイワイ
善子(でもせっかくなら、本格的で迫真の堕天使役――もとい、鬼役をこなしてみたいわね・・・・・・)
2:
善子「ね、ね、ルビィ」ヒソヒソ
ルビィ「善子ちゃん?」
善子「しっ、静かに。ちょっと、頼みがあるんだけど・・・・・・」ボソボソ
ルビィ「?」
3:
?女子トイレ?
ルビィ「ええっ・・・・・・ルビィのおうちに!?」
善子「そう! ルビィの家って、古い旧家だし」
善子「昔のお面・・・・・・能面みたいなやつとか、あるんじゃない?」
ルビィ「確かに、庭の隅のお蔵の中に、そんなのがあったような・・・・・・」
善子「ね、お願い! それ、ヨハネに貸して!」
ルビィ「ええっ!? で、でもぉ・・・・・・」
善子「だって、どうせ鬼役やるなら、本格的にやってみたいじゃない」
善子「それに昔のお面とか、いかにもオカルトチックなアイテムだし!」
4:
ルビィ「そういうのは、花丸ちゃんに相談した方が・・・・・・」
ルビィ「花丸ちゃんのおうちも、お寺だし」
善子「ずら丸って、そういうことにはちょっとうるさそうじゃない」
善子「『古いものを無闇に使ったらバチが当たるずら?!』って感じに」
ルビィ「だ、だけど・・・・・・」
善子「ね、ね、お願いルビィ! ヨハネとリトルデーモン4号の仲でしょ??」
ルビィ「うゅぅ・・・・・・」
5:
?放課後 黒澤家の蔵?
ギィ…
ルビィ「うう・・・・・・やっぱり、勝手に入ったら、怒られるよぉ・・・・・・」
善子「大丈夫、大丈夫。ダイヤさんは生徒会の仕事だし、お父さんとお母さんも、留守なんでしょう?」
善子「お面をひとつ、借りるだけなんだから大丈夫よ」
ルビィ「ううう・・・・・・」
善子(にしても、この蔵の中、すごい埃っぽい・・・・・・もう何年も人が入ってないみたい)
善子(所狭しと、色んなものが仕舞われてるし・・・・・・)
6:
善子「ルビィ、お面はどこにあるの?」
ルビィ「ルビィも、小さい頃にちょっとだけ覗いたことがあるだけだから・・・・・・」
ルビィ「お父さんには、勝手に中に入ったらいけない、って言われてるし」
善子「しょうがない、手分けして探しましょ。ルビィはそっちをお願い」
ルビィ「み、見つけたらすぐ出るからね! 約束だよ!」
善子「分かったわよ」
ガサゴソ
8:
善子(埃っぽい蔵の中を探し始めて、10分ほど経った頃――)
善子「・・・・・・ん?」
善子(私は、蔵の奥の方に、古びた行李があるのを見つけた)
善子(周りの荷物の陰になって、まるで隠されているかのように置かれている行李――)
善子(・・・・・・なんだろう?)
ゴソゴソ…
ズズズ…
善子(引っ張り出すと、意外と軽い)
善子(行李の蓋の上には、変色と虫食いでボロボロになった和紙が貼られていて、)
善子(かろうじて読めた、その和紙に書かれていた文字は――)
『鬼 封 面』
善子「・・・・・・!」
9:
善子(『きふう、めん』――って読むのかしら?)
善子(でも、『鬼』と『面』ってことは――この中に、鬼のお面が!?)
ググッ…
カパッ
善子「・・・・・・?」
善子(行李を開けると、さらにその中に、古びて黒ずんだ木箱が入っていた)
善子(随分、古そうな木箱だったけど――)
善子(異様だったのは、その木箱に、べたべたと紙が貼られていたこと)
善子(変色して、虫食いだらけだけど――文字みたいなのが書いてある)
善子(これ――お札? お札が、木箱にいくつも貼ってあるの?)
11:
善子(私は――直感した。オカルト雑誌や、心霊番組で、何度も見たことがある)
善子(きっとこの中には、いわくつきの、『ヤバいやつ』が入ってる――!)
善子「」ワクワク…
善子(だけど、不思議と私の中では、怖いという気持ちより、好奇心が勝ってた)
善子(興味はあったけど、今まで本物といえるような、オカルトアイテムは見たことがなかった――)
善子(一体、この中に、何が――?)
ビリリッ…
12:
善子(私は、好奇心に負け)
善子(まるで――何かにとり憑かれたかのように)
善子(木箱の、蓋と箱の継ぎ目に貼り付けられた、お札を剥がして・・・・・・)
カパッ…
善子(箱の中には――ボロボロの布に包まれた、“何か”)
善子(恐る恐る、その布をめくると――)
善子(現れたのは、)
善子「・・・・・・・・・!!」
13:
善子(出てきたのは――)
善子(“お面”だった)
善子(でもそれは、私が想像していた、能の般若の面などとは、似ても似つかない――)
善子(まるで土をこねて、そのまま焼いたかのような、黒ずんだ土面――)
ゾゾゾゾッ!!
善子「――!!!」
14:
善子(その面を見た瞬間――激しい悪寒が、私の全身を襲った)
善子(のっぺりとしていて、でもどこか、苦しむように歪んでいて)
善子(目のくぼみ、鼻のふくらみ、歪んだ口元、それらがかろうじて人の顔の面だということを示していた)
善子(口元と鼻に空いた穴、そして、目のくぼみに空いた、ふたつの黒い穴――)
善子(まるで、そのふたつの穴の奥の目と、目が合ったような気がして――)
善子「!!!」ゾクッ!!
善子(駄目だ――これは、本当にヤバいやつだ!!)
善子(見ちゃ駄目なやつだ!! 見たら駄目だ!!)
善子(駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ――)
15:
ルビィ「善子ちゃん!」
善子「!!」ビクッ!
ルビィ「ね、あっちで見つけたよ! これ、能面っていうのかな? 鬼のお面!」
ルビィ「・・・・・・? 善子ちゃん、そんなところで、どうしたの?」
善子「なっ・・・・・・なんでもないわよ!」
ササッ!
善子(私は、“これ”はルビィにも見せちゃいけないやつだと思って――)
善子(咄嗟に、木箱から取り出したお面を、包んでいた布ごと、傍らに置いていた自分の鞄の中に突っ込んだ)
16:
ルビィ「善子ちゃん、今、何か仕舞った・・・・・・?」
善子「な、なんでもないったら!!」
善子「わ、私・・・・・・なんか、気分悪いから・・・・・・」
善子「も、もう帰るっ! ごめん!」
バッ!
ルビィ「あ、善子ちゃん!?」
17:
?その夜、善子の部屋?
善子母「・・・・・・大丈夫? 本当に、ご飯食べなくていいの?」
善子「うん・・・・・・なんか、気分悪いから・・・・・・」
善子「ひとりにさせて・・・・・・」
善子母「あんまり調子が悪いようなら、明日、病院に行きなさいよ」
パタンッ
善子「・・・・・・・・・」
18:
善子(私の鞄の中には、あのお面が入ってる・・・・・・)
善子(なんだか、触ることすら怖くて。そのまま、部屋の隅に置いてある)
善子(気のせいかな。お面を入れた鞄から、冷たい冷気みたいなのが、流れてくるような・・・・・・)
ゾク…
善子(き・・・・・・気のせいよ。あまりに気持ち悪いお面だったから、そんな風に感じるだけよ)
善子(だけど・・・・・・気持ち悪いお面とはいえ、勝手に持ってきちゃった訳だし・・・・・・)
善子(明日、ルビィに謝って、返そう。そうしよう)
善子(あんな気持ち悪いお面、ずっと手元に置いておきたくないし・・・・・・)
善子(とりあえず・・・・・・なんだか、体が重いけど・・・・・・寝よう・・・・・・)
善子(・・・・・・・・・)
19:
…………
……
ゴォォォ…
メラメラ
………ア………ヅイ………
……アヅ………イ………
………アヅ…イ……アヅイ………
20:
「あづいいいいいいよおおおおおおおお」
「あがぇあぅああああああああああああ」
21:
善子「!!!」
バッ!!
善子「・・・・・・・・・・・・」ゼェハァ
チュンチュン…
善子「朝・・・・・・? 夢・・・・・・?」
善子(なんなの・・・・・・あの、夢・・・・・・)
善子(地獄みたいな、火に包まれた場所で・・・・・・)
善子(全身、焼けただれた・・・・・・人、なの? あれ・・・・・・)
善子(あれが、なにか滅茶苦茶に叫びながら、迫ってきて・・・・・・)
善子(顔が・・・・・・無かった)
ゾクッ…
22:
?沼津駅前 バス停?
善子「・・・・・・・・・」
善子(体が・・・・・・だるい・・・・・・まるで、自分の体じゃないみたい・・・・・・)
善子(気分も悪いし・・・・・・やっぱり、あのお面のせい・・・・・・?)
善子(ルビィに返さないといけないから、今、鞄の中に、あのお面が入ってるけど)
善子(正直・・・・・・1秒だって、そばに置いておきたくない・・・・・・)
善子(なんなの・・・・・・!? ほんとに、これ・・・・・・)
曜「おーい、善子ちゃーん!」
23:
善子「あ・・・・・・曜、さん・・・・・・」
曜「おはヨーソロー!」
曜「あれ? 今日は、『だからヨハネよ!』って言わないんだ?」
善子「・・・・・・・・・」
曜「・・・・・・善子ちゃん? 調子悪いの?」
曜「なんだかすごく、顔色悪いし・・・・・・」
善子「う、うん・・・・・・ちょっと朝から、気分が悪くて・・・・・・」
曜「そう・・・・・・なんだ。無理、しないでね」
善子(駄目・・・・・・曜さんに、迷惑かける訳には・・・・・・)
24:
?1年生の教室?
善子「・・・・・・・・・」
ガラッ
ルビィ「あ、善子ちゃん!」
ルビィ「おはよう。ねえ、昨日はどうしちゃったの?」
ルビィ「急に、帰っちゃって・・・・・・お面は、もういいの?」
善子「う、うん・・・・・・ごめん・・・・・・」
善子「それで・・・・・・あの、ルビィ・・・・・・」
ルビィ「?」
善子(・・・・・・・・・)
善子(駄目・・・・・・言い出せない・・・・・・私が、あの蔵の中からお面を盗ったなんて・・・・・・)
善子(それに、ルビィにまで、悪い影響が出たりしたら・・・・・・)
花丸「・・・・・・・・・」
25:
花丸「・・・・・・ねえ、善子ちゃん」
スタスタ
善子「ずら丸・・・・・・?」
花丸「何か、あったずら?」
善子「!!」
花丸「なんだか・・・・・・善子ちゃんから、すごく悪い気配を感じるずら・・・・・・」
ルビィ「は、花丸ちゃん?」
花丸「もし、何かあったなら・・・・・・」
善子「なっ・・・・・・なに馬鹿なこと言ってるのよ!」
善子「今日はほら、アレの日なの! だから、ちょっと調子悪いだけで・・・・・・!」
善子「別に、なんでもないから!」
タタタ
ルビィ「善子ちゃん・・・・・・?」
花丸「・・・・・・・・・」
26:
?放課後、屋上?
ダイヤ「さあ、練習始めますわよー」
梨子「なんだか、天気が悪いね・・・・・・」
曜「うん。今にも、降り出しそう」
善子「・・・・・・・・・」
善子(駄目・・・・・・どんどん、具合が悪くなってく・・・・・・)
善子(立ってるのも・・・・・・つらい・・・・・・)
27:
果南「はい、ワン・ツー、ワン・ツー」
パンパン
善子(体が、重い・・・・・・倒れそう・・・・・・)
善子(でも・・・・・・みんなに、心配かける訳には・・・・・・)
ジッ
善子「――?」
善子(視線?)
善子(向こうの、柵の間)
善子(誰かが覗いて、)
28:
  {:i:i:i:i:i:i:i:/      \:i:i:i:i:i:i:i:i:i:\
 メ:i:i:i:i:i:i〈      ,,,,,,、  ヽ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ヽ
  〃丿:i:i:i:i:i:i:|      ,〃""´``  ヽ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i、
 ル':i:i:i:i:i:i:i:i:i:}  ,,,,,,,    "//´ ̄ヾi}.  ヽ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i、
ノ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i{  〃"´´`ェ、   (;;( ● ノ;ノ   .V:i:i:i:i:i:i:i:i:i:}
:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:iハ.  ii /;;/´●`;;}   ヾニニ"  V:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ヽ
:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ハ.  ゙ヾヽ、__ノノ      .'、:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:
〉:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:} `  ̄ ̄       1:i:i:i:i:i:i:i:ir-、
29:
善子「きゃあああああああ!!?」
千歌「善子ちゃん!?」
梨子「どうしたの!?」
善子(な、なんで、あのお面が、お面が、あそこに!?)
善子(き、消えてる・・・・・・)
善子「あ、あ・・・・・・!」
ガタガタ
ルビィ「どうしたの、善子ちゃん! しっかりして!!」
花丸「マルたちで、保健室に連れてくずら」
鞠莉「ど、どうしちゃったの? 善子・・・・・・」
曜「なんだか朝から、調子が悪そうだったけど・・・・・・」
ダイヤ「・・・・・・・・・」
31:
善子「う・・・・・・うう、う・・・・・・」
善子(私が・・・・・・あのお面を、見ちゃったから? 黙って持ってきちゃったから?)
善子(私が、悪いことをした罰なの? 私が、悪かったから・・・・・・謝るから・・・・・・)
善子(許して・・・・・・お願い・・・・・・ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・・・・)
ルビィ「善子ちゃん、顔色が真っ青だよ・・・・・・しっかり!」
花丸「・・・・・・・・・」
花丸「ルビィちゃん・・・・・・もしかして、何か、知ってる?」
ルビィ「えっ・・・・・・!? そ、その・・・・・・」
花丸(これは・・・・・・)
花丸(本当に、まずいかもしれないずら・・・・・・)
32:
善子「・・・・・・・・・」
花丸「ほら、善子ちゃん、保健室に着いたずら」
ルビィ「保健室の先生、いないみたいだけど・・・・・・とりあえず寝て、善子ちゃん・・・・・・!」
善子「・・・・・・・・・」ボーッ…
ルビィ「なんで・・・・・・善子ちゃん、こんなことに・・・・・・!」
花丸「・・・・・・・・・」
花丸「ルビィちゃん、やっぱり何か、知ってるね?」
ルビィ「・・・・・・!」
ルビィ「う、うん・・・・・・実は、昨日・・・・・・うちの庭にある、お蔵に入ったの・・・・・・」
花丸「蔵?」
ルビィ「あの、善子ちゃんが・・・・・・節分のイベント用に、鬼のお面がほしい、って言って・・・・・・」
ルビィ「それで、探してたんだけど・・・・・・善子ちゃん、奥の方で何かを見つけたみたいで・・・・・・」
ルビィ「それから、様子がおかしくなって・・・・・・」
花丸「・・・・・・!!」
花丸(まさか――)
33:
善子「・・・・・・・・・」ゼェゼェ
善子「私、が・・・・・・悪いの・・・・・・」
ルビィ「善子ちゃん!?」
善子「ごめん・・・・・・ルビィ・・・・・・私、悪い子なの・・・・・・」
善子「蔵の、奥で・・・・・・行李に入った、木箱を見つけて・・・・・・」
善子「その中に、あった・・・・・・お面、を・・・・・・持って帰っちゃって・・・・・・」
花丸「――お面!!?」ガタッ!
善子「だから・・・・・・こんな、ことに・・・・・・!」ポロポロ
花丸「お面!? 善子ちゃん、そのお面、見たずら!!?」
善子「お面は・・・・・・私の、鞄の中に、あるから・・・・・・」
善子「ごめんなさい・・・・・・ごめんなさい・・・・・・ごめんなさい・・・・・・」ポロポロ
34:
ブス…
善子「・・・・・・・・・?」
ブス……ブス……
善子(なに、これ・・・・・・)
善子(何かが、焼け焦げたような、臭い)
善子(誰かが)
善子(保健室の扉の陰から、覗いて、)
35:
  {:i:i:i:i:i:i:i:/      \:i:i:i:i:i:i:i:i:i:\
 メ:i:i:i:i:i:i〈      ,,,,,,、  ヽ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ヽ
  〃丿:i:i:i:i:i:i:|      ,〃""´``  ヽ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i、
 ル':i:i:i:i:i:i:i:i:i:}  ,,,,,,,    "//´ ̄ヾi}.  ヽ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i、
ノ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i{  〃"´´`ェ、   (;;( ● ノ;ノ   .V:i:i:i:i:i:i:i:i:i:}
:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:iハ.  ii /;;/´●`;;}   ヾニニ"  V:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ヽ
:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ハ.  ゙ヾヽ、__ノノ      .'、:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:
〉:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:} `  ̄ ̄       1:i:i:i:i:i:i:i:ir-、
36:
善子「いいいいいやああああああああっ!!!!」
善子「お面が、お面があああああああああっ!!!!」
ルビィ「善子ちゃん!!?」グスッ
花丸「しっかりするずら!!」
善子「来ないで来ないで来ないで来ないでぇぇぇぇぇ!!!!」
善子「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だいやだああああああっ!!!!」
善子「熱いっ!! 熱い熱い熱い熱いいいいい!!!!」
善子「あづいいいいいいよおおおおおおおお」
善子「あがぇあぅああああああああああああ」
ドスンバタン!!
37:
花丸「ルビィちゃん、善子ちゃんの体、押さえつけて!!」
ルビィ「だ、だけど・・・・・・すごい力・・・・・・!!」
ルビィ「どうしちゃったの、善子ちゃん!?」ポロポロ
花丸「気休めぐらいにしか、ならないだろうけど・・・・・・!!」
花丸「観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空 度一切苦厄・・・・・・」
花丸「舎利子 色不異空 空不異色 色即是空 空即是色 受想行識亦復如是・・・・・・」
バシッ! バシッ!
ルビィ(花丸ちゃんが、お経?を詠んで、善子ちゃんの肩とか背中をバシバシ叩いて、) 
ルビィ(それでもしばらく、善子ちゃんは叫びながら暴れて、私は必死で善子ちゃんの体に抱きついてて――)
38:
善子「ううううぐうううう・・・・・・」
ルビィ「お、収まったの!?」
花丸「その場しのぎにしか、なってないずら・・・・・・このままじゃ、善子ちゃんは・・・・・・!」
ガラッ!
ダイヤ「何か、大きな音と、叫び声が聞こえましたが・・・・・・!!」
鞠莉「What!?」
果南「一体、どうしたの!?」
千歌「・・・・・・!? 善子ちゃん・・・・・・!?」
ルビィ「お、おねぇちゃ・・・・・・みんな・・・・・・」グスッ
39:
曜「善子ちゃん・・・・・・!? 善子ちゃん!?」
梨子「目の焦点が合ってない・・・・・・何があったの!?」
ダイヤ「一体・・・・・・これは、どうしたというのです!?」
善子「ああっ・・・・・・あうああああああっ!!」
花丸「曜ちゃん、果南ちゃん、善子ちゃんを押さえて!!」
果南「善子、しっかり!!」
曜「す、すごい力・・・・・・!!」
千歌「なんなの、善子ちゃん、病気なの!?」グスッ
梨子「救急車呼ばなきゃ・・・・・・!!」
41:
花丸「ううん・・・・・・!! オラのお寺に、運んでほしいずら!!」
鞠莉「Why!?」
千歌「な、なんで!?」
花丸「それと、ダイヤさん・・・・・・!! 今すぐ、黒澤家の人たちを集めて!!」
ダイヤ「お父様や、お母様を!? それは・・・・・・」
花丸「昨日、ルビィちゃんと、善子ちゃんが・・・・・・“蔵”に、入って・・・・・・」
花丸「善子ちゃんが・・・・・・『鬼封面』を、見たらしいずら・・・・・・」
ダイヤ「!!!!」
43:
ダイヤ「ルビィぃぃぃぃぃぃぃっっ!!!!」
ガシッ!!
ルビィ「ぴぎぃっ!?」
ダイヤ「なんということを・・・・・・!! なんということを!!!」
ダイヤ「あれほど、あれほど蔵には入ってはいけないと、お父様から言われていたでしょう!!?」
ルビィ(お姉ちゃんは、今まで見たことのないほどの剣幕で――)
ルビィ(私の両肩を掴んで、涙を流しながら、叫んでいた)
47:
ルビィ「ご、ごめん、なさ、おねぇちゃ・・・・・・!!」ボロボロ
ダイヤ「善子さんは、見たの!!? 見たの、あの木箱の中身を!!!!」
ルビィ「た、たぶん・・・・・・!!」ガタガタ
ダイヤ「貴方は、見たの!!? 見たの、ルビィ!!!!」
ルビィ「み、見て、ない、よ・・・・・・!!」グスッヒグッ
鞠莉「ダイヤ!!」
花丸「落ち着くずら!!」
ダイヤ「・・・・・・・・・っ」ハァハァ
ダイヤ「・・・・・・!!」
ギュッ
ダイヤ「うう・・・・・・うう、う・・・・・・!!」ポロポロ
ルビィ「おねぇ、ちゃ・・・・・・ごめん、なさい・・・・・・ごめ・・・・・・!!」ボロボロ
48:
ルビィ(・・・・・・それから、すぐにお父さん、お母さん、家の使用人さんたちが集まってきて)
ルビィ(お父さんも、お母さんも、血相を変えてて)
ルビィ(お父さんが、小さく一言、『なんということを・・・・・・』って呟くのが、聞こえました)
ルビィ(そして、善子ちゃんは、使用人さんが運転する車に押し込まれて)
ルビィ(私たち全員と一緒に、花丸ちゃんのお寺に急行しました)
ルビィ(すぐに、善子ちゃんのお母さんもやって来て・・・・・・善子ちゃんのお母さんは、泣いていました)
50:
?花丸の寺 本堂?
花丸「ルビィちゃんのお父さん、お母さん・・・・・・」
花丸「単刀直入に言います。善子ちゃんは、昨日、蔵に入って、『鬼封面』の封印を解いて、面を見てしまいました」
花丸「しかも、その面をそばに置いたまま、一晩を過ごしてしまいました」
黒澤母「・・・・・・!!」
黒澤父「なんてことだ・・・・・・!」
花丸「ご存知の通り、『鬼封面』の呪力は強力です」
花丸「このままだと・・・・・・善子ちゃんは、確実に狂い死にます」
善子母「そん、な・・・・・・!!」
善子母「ううううっ・・・・・・!!」
51:
ルビィ「うう・・・・・・うううう・・・・・・!!」
ルビィ「うわぁぁぁぁぁぁんっ!!!」ガバッ
ダイヤ「ルビィ・・・・・・!!」
ルビィ「ごめんなさいごめんなさい!! ルビィが、言いつけを守ってれば、こんなことには・・・・・・!!」
ルビィ「ごめんなさい、善子ちゃん、ごめんなさい!! うわあああぁぁぁんっ!!!」
梨子「そ・・・・・・そんな・・・・・・!!」
鞠莉「善子が・・・・・・死ぬ・・・・・・!?」
千歌「やっ・・・・・・やだよ、そんなの!!!」
千歌「どうにかならないの!? 助けられないの!?」ポロポロ
53:
花丸「もう時間はありません――」
花丸「今すぐ、ここで、祓います」
黒澤母「!!」
黒澤父「しかし――!!」
花丸「はい。運悪く、父と祖母は、京都のお寺さんに出向いていて、不在です」
花丸「今、この寺に残っているのは、オラひとり」
花丸「だから――」
ゴクッ
花丸「――オラがやります」
花丸「先程――父とも、電話で話して、決めました」
54:
ダイヤ「花丸さんが――!?」
黒澤父「無茶だ!! 年若い君が、『鬼封面』の呪を祓うなど――!!」
花丸「でも――こうするしか、ないんです」
花丸「父の帰りを待っていたら、確実に善子ちゃんは手遅れになります」
花丸「オラは、そんなの、嫌だ――!! 善子ちゃんは、オラたちの、大切な友達ずら!!」
ルビィ「・・・・・・・・・!!」
花丸「オラだって怖い・・・・・・だけど・・・・・・!」カタカタ
花丸「オラは、大切な友達を――助けたいんです!!」ポロッ…
55:
a
56:
誰か来たみたいなので続きは明日書きます
73:
ザァァァーッ
ビュウウウッ
ガタガタ…
花丸「うん――お父さん」
花丸「準備、出来たずら」
ルビィ(お堂の中で、正座する花丸ちゃん)
ルビィ(千歌ちゃんが、その横に立って、花丸ちゃんのお父さんと通話の状態にした携帯電話を、花丸ちゃんの耳に当てています)
ルビィ(そして、花丸ちゃんの目の前には、)
ルビィ(奇声を上げながら暴れて、曜ちゃんと果南ちゃんに押さえつけられている、善子ちゃん――)
善子「あづうううういいいいああああああ!!!!」
曜「善子ちゃん・・・・・・!!」
果南「もう少しの、辛抱だから・・・・・・!!」
74:
花丸「うん――うん」
花丸「全部、用意したずら」
ルビィ(押さえつけられている善子ちゃんの、四方の床には、お皿に盛った塩)
ルビィ(そして花丸ちゃんのそばには、大きな桶に入れた水?と、火の灯った蝋燭、お札・・・・・・)
花丸「うん――大丈夫」
ギュッ…
花丸「――始めるずら」
75:
花丸「観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空 度一切苦厄」
花丸「舎利子 色不異空 空不異色 色即是空 空即是色 受想行識亦復如是」
パシャッ!
パシャッ!
善子「うあああああいいいいいい!!!」
ルビィ(花丸ちゃんが、お経を唱えながら、桶の中の水をすくって、善子ちゃんに浴びせて――)
ルビィ(水をかけられるたび、善子ちゃんは大声で叫び、暴れようとする)
鞠莉「ジーザス・・・・・・」
梨子「ううっ・・・・・・善子ちゃん・・・・・・」グスッ
ダイヤ「・・・・・・・・・っ」ギュッ
77:
花丸「舎利子 是諸法空相 不生不滅 不垢不浄 不増不減」
花丸「是故空中 無色 無受想行識 無眼耳鼻舌身意 無色声香味触法」
ポッ…
ハラハラ
ルビィ(続いて、花丸ちゃんはお経を唱えながら、手に持ったお札に、蝋燭で火を点け――)
ルビィ(桶の水の中に、その灰を落とし、それを水に溶かすように手でとく)
ルビィ(そして――)
花丸「ごめん、善子ちゃん――我慢して」
花丸「曜ちゃん、果南ちゃん!! 口、開けさせて!!」
78:
ズゾッ!
花丸「無眼界 乃至無意識界 無無明亦 無無明尽 乃至無老死 亦無老死尽」
花丸「無苦集滅道 無智亦無得 以無所得故 菩提薩? 依般若波羅蜜多故・・・・・・!」
ルビィ(花丸ちゃんは――灰を溶かした水にひたした手を、善子ちゃんの口に突っ込みました)
善子「げあぎぃいええぇぇぐううううう!!!!」
ルビィ(善子ちゃんは一層激しく暴れ、突っ込まれた花丸ちゃんの手に食いつき――)
ルビィ(花丸ちゃんの表情が、痛みに歪んだ――その時、)
ドンッ!
ルビィ「!!?」ビクッ
79:
ドンッ! ドンドンッ!!
ルビィ(お堂の中に、何かを激しく叩くような音が響きわたりました)
ルビィ(それは――天井から聞こえて)
ルビィ(天井裏で、誰かが飛び跳ねているのかと――思いましたが)
ルビィ(明らかにそれは、部屋の内側から、天井を叩くような音で――!!)
チカチカッ
曜「うわぁ!? 電気が点滅してる!?」
ドドドンッ!! ドンッ!!
梨子「いや、いやあああ・・・・・・!!」ポロポロ
千歌「な、なんなの・・・・・・なんなの!?」グスッ
80:
花丸「心無?礙 無?礙故 無有恐怖 遠離一切顛倒夢想 究竟涅槃」
花丸「三世諸仏 依般若波羅蜜多故 得阿耨多羅三藐三菩提――」
花丸「・・・・・・うぅ・・・・・・まずい・・・・・・オラには・・・・・・」
花丸「どうしよう、お父さん・・・・・・うん、うん・・・・・・」
花丸「うん――わかった」
キッ!
花丸「みんな、お経唱えて!!」
花丸「一緒に詠んで!!」
千歌「ええっ!?」
鞠莉「お、オキョーなんて・・・・・・」
梨子「し、知らないよぉ・・・・・・!!」
81:
花丸「“南無阿弥陀仏”って唱えるだけでいいずら!!」
花丸「それで、心の中で、善子ちゃんを助けたいって強く念じて!!」
花丸「早く!!!!」
ルビィ(その時――)
ルビィ(私は、見てしまいました)
ルビィ(気づいてしまいました)
ルビィ(天井の、影)
ルビィ(私たちの、誰の影でもない)
ルビィ(四つんばいになって、天井に張り付いた影のようなモノが、)
ルビィ(尋常でないさで、天井を這いずり回っていることに――)
82:
ルビィ「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏・・・・・・!!」
「「「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏・・・・・・」」」
ルビィ(私たちは、とてつもない恐怖と、花丸ちゃんの剣幕に、一心不乱になって唱え続けました)
ルビィ(みんな、泣いていたと思います。泣きながら、必死で唱えました)
ルビィ(お願い・・・・・・助けて助けて助けて・・・・・・!!)
ルビィ(どうか・・・・・・善子ちゃんと・・・・・・私たちを、助けて・・・・・・!!)
ドンドンッ! ドンッ!!
善子「あづいいいいあづあああいいいいあああああ!!!!」
花丸「故知般若波羅蜜多 是大神呪 是大明呪 是無上呪 是無等等呪」
花丸「能除一切苦 真実不虚 故説般若波羅蜜多呪 即説呪曰・・・・・・!!」
83:
花丸「羯諦 羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆訶!!」
ズボッ!
善子「おごえおおおおおお!!!」
ゴボボッ!
ベチャベチャッ!
ルビィ(花丸ちゃんが、善子ちゃんの口から、手を引き抜くと――)
ルビィ(善子ちゃんの口の中から、灰色のドロドロした塊が、吐き出されました)
花丸「やった・・・・・・!! 出た!! 出たずら、お父さん!!!」
花丸「助かる・・・・・・!! 善子ちゃんは、助かるずら!!!」
84:
ルビィ(それから、さらに10分ほど、花丸ちゃんはお経を唱えながら、善子ちゃんの体に水を振りかけ――)
ルビィ(やがて、善子ちゃんは、すっかり大人しくなり)
ルビィ(天井を蠢いていた影も、大きな音も、消えていました)
ルビィ(その時――私は、気づきました)
ルビィ(善子ちゃんの四方の床に置いてあった、真っ白だったはずの盛り塩が、腐ったように黒ずんでいることに――)
花丸「お、終わった・・・・・・出来た・・・・・・出来た・・・・・・!!」
花丸「・・・・・・うわあああああん!! 良かった、良かったずら、善子ちゃああああん!!!」
ルビィ「うう、うわああぁぁぁぁんっ!! わぁぁぁぁぁん!!!」
85:
ダイヤ「う・・・・・・う、う」
梨子「ぐすっ、ひぐっ」
千歌「ううっ・・・・・・うわあああん!!」
ルビィ(みんな、大泣きでした)
ルビィ(花丸ちゃんも、私も――お姉ちゃんも、千歌さんも、曜さんも、梨子さんも、鞠莉さんも、果南さんも)
ルビィ(善子ちゃんのお母さん、私のお父さんやお母さんまで――)
ルビィ(本当に怖かったのと、それが過ぎ去った安堵で、みんな泣いていたんだと思います)
ルビィ(ただひとり、目を閉じた善子ちゃんだけが、魂が抜けたかのようにぐったりしていました――)
86:
?花丸の寺 離れ?
善子「」スー…スー…
花丸「とりあえず、善子ちゃんは大丈夫だと思うずら」
花丸「だけど、心配だから、善子ちゃんの周りにいたみんなも含めて、オラのお父さんに後でお祓いしてもらうずら」
ダイヤ「善子さんのお母様には、別の部屋で、私の両親が事情を説明しておりますわ」
曜「あ、あの・・・・・・その、事情、ってやつ・・・・・・」
果南「私たちにも、説明してもらえない?」
千歌「正直、訳がわからないよ。なんで、こんなことになったのか・・・・・・」
千歌「善子ちゃんの身に、何が起きたのか」
ダイヤ「・・・・・・・・・」
ダイヤ「そうですわね。最早、皆さんは部外者ではありませんし」
ダイヤ「ただし、これから話すことは、他言無用でお願いいたします」
87:
ダイヤ「事の発端は――善子さんが、私の家の蔵で、ある“面”を見てしまったことですわ」
ダイヤ「その面の名は、『鬼封面』」
鞠莉「キフーメン?」
ダイヤ「鬼を封じる面、と書いて『鬼封面』ですわ」
ダイヤ「これは、黒澤家に昔から伝わる――」
ダイヤ「有り体に言えば、“呪いの面”ですの」
梨子「の、呪い!?」ビクッ
88:
ダイヤ「この面の力は、強力で――見てしまった者が、どうなってしまうかは、善子さんを見ればわかる通り」
花丸「今は、善子ちゃんの鞄に入ったまま、本堂のご本尊の前に置いてあるずら」
花丸「流石に、あの面自体の呪いを祓うことは、マルには出来ないから――」
花丸「いや、完全に祓うことは、マルのお父さんにだって無理」
花丸「せいぜい、力を弱めて、封じることぐらいしか出来ないずら」
ダイヤ「それほど強力な呪力を持っている、と言えばおわかり頂けますでしょうか」
曜「だ・・・・・・だけど、そんなにヤバい呪いのお面が、なんでダイヤさんの家に・・・・・・?」
89:
ダイヤ「・・・・・・・・・」
ダイヤ「・・・・・・ここからは、身内の恥ずべき逸話をさらすことになりますわ」
ダイヤ「私の家、黒澤家が、この内浦の網元の家柄であることは、皆さんも知っておりますわね?」
ダイヤ「今でこそ、名ばかりの網元ではありますが、昔の時代にあっては、漁村における網元とはその地の支配者であるも同義」
ダイヤ「かつての黒澤家は、並の大名に勝るとも劣らない威勢を誇っていたと聞いています」
ダイヤ「そして――その頃の黒澤家には、“分家”が存在していたのですわ」
鞠莉「ブンケ――!?」
果南「そんな話、初めて聞いたよ!?」
ダイヤ「もう、大昔――江戸時代頃の話ですし――」
ダイヤ「――“分家”は、闇に葬られましたから」
ルビィ「・・・・・・!」ゾク…
90:
ダイヤ「分家の名は、『重須(おむす)家』と申しました」
ダイヤ「当時の内浦は、表を黒澤家、裏を重須家が支配する構造になっていたそうですわ」
梨子「表と、裏――?」
千歌「どういうこと?」
ダイヤ「網元として、地元の漁業権を掌握し、“表”で村を支配するのが黒澤家」
ダイヤ「そして、分家である重須家は――表向き、黒澤家が出来ない、“裏”での仕事を請け負っていたと聞きます」
果南「“裏”での仕事?」
ダイヤ「警察的な立場――と言えば、聞こえはいいですが」
ダイヤ「その実、黒澤家、重須家に徒(あだ)なすものを取り締まる――」
ダイヤ「率直に言えば、粛清し、“恐怖”で村を支配する」
ダイヤ「そういった、黒澤家の負の面――“裏”稼業を一手に担っていたそうですわ」
曜「なっ・・・・・・!?」
91:
ダイヤ「漁村において、漁獲物を盗むことは、極刑にあたりました」
ダイヤ「ですから重須家は、特にそうした、漁獲物を盗んだ人間に対しては、熾烈な私刑を加えたそうですわ」
ダイヤ「無論、その過程で命を落とした方も多くいらっしゃるでしょう」
千歌「そんな・・・・・・昔の内浦で、そんなことが・・・・・・」
ダイヤ「ですが、事実ですわ。そして、私の黒澤家の先祖が、そうした行為に手を染めていたことも事実」
ルビィ「・・・・・・・・・」
ダイヤ「・・・・・・話を戻しますわ。そんな中、ある貧しい百姓が、黒澤家の漁獲物の盗みに手を染めてしまった」
ダイヤ「記録によると――天明年間のことだそうですから、今から200年以上も前のことですわね」
梨子「天明って、確か――江戸の、天明の大飢饉の――」
ダイヤ「そう。当時、大飢饉の影響で、貧しい農民、漁民は生活に困窮し、餓死する者が後を絶たなかった」
ダイヤ「そんな中、窮乏の極みに達したひとりの貧しい百姓が、黒澤家の漁獲物を盗んだのですわ」
92:
ダイヤ「すぐさま重須家に捕らえられたその百姓は、苛烈な拷問を受けた」
ダイヤ「しかし、重須家は、それだけでは飽き足らず――」
ダイヤ「ある、恐ろしい“刑”を、その百姓に下したのです」
千歌「・・・・・・・・・」ゴクッ
ダイヤ「重須家は、盗みを働いた百姓と、その妻、幼い子どもを、土蔵に閉じ込め――」
ダイヤ「――火を放ったのですわ」
鞠莉「なっ・・・・・・!?」
ダイヤ「しかも――百姓に対しては、ただ殺すだけではなく」
ダイヤ「顔面を、硬い粘土で覆った」
曜「ね・・・・・・粘土・・・・・・!?」
93:
ダイヤ「口と鼻には、呼吸のための穴を空け」
ダイヤ「百姓が、呼吸困難で死ぬことのないように――最後まで、火に焼かれて、苦しみぬいて死ぬように――」
ルビィ「・・・・・・・・・っ!!」ゾッ…
ダイヤ「そうして、百姓とその家族は、逃げ場のない土蔵の中で焼き殺され――」
ダイヤ「焼け跡には、“焼き上がった”土の面が残る」
ダイヤ「つまり――彼らは、生きたまま、“デスマスク”を作ったのですわ」
梨子「うっ・・・・・・!!」
鞠莉「い・・・・・・イカレてる・・・・・・」
94:
ダイヤ「そう――正気の沙汰ではありません」
ダイヤ「二度と黒澤家、重須家に徒なす者が出ないようにと、見せしめの意味もあったのでしょうね」
ダイヤ「黒澤家の血を引く者として――先祖と、分家の行いに、恥ずべき思いですわ」
果南「それじゃ・・・・・・まさか・・・・・・」
果南「善子が見た、お面っていうのは・・・・・・!!」
ダイヤ「――その通りですわ」
ダイヤ「百姓と、その家族を焼き殺して作り上げた土面こそが、『鬼封面』です」
ルビィ「そんな・・・・・・」
ルビィ「そんな、ひどいこと・・・・・・!」カタカタ
96:
花丸「・・・・・・“鬼”という言葉には、想像上の怪物という意味の他に、“人間に害なすもの、徒なすもの”という意味も含まれてるずら」
花丸「当時の、黒澤家や重須家の人たちにとっては、自分たちの財産である漁獲物を奪うような者は、最早人間ではない」
花丸「人間以下の存在、畜生、“鬼”同然――そんな風に思ってたのかもしれないずら」
ルビィ「・・・・・・・・・」
花丸「そして、そんな“鬼”共を、逆らわないように“封じこめた”面――」
果南「それが――『鬼封面』の正体って訳だ」
97:
ダイヤ「しかし――話は、それだけでは終わらなかったのですわ」
ダイヤ「百姓を焼き殺した後――焼き上がった『鬼封面』は、重須家に飾られていた」
ダイヤ「それから、間もなく――重須家の当主が、発狂して死んだ」
梨子「・・・・・・!!」
ダイヤ「次の日には、当主の奥方と弟が、同じく狂って死んだ」
ダイヤ「その次の日には、4人の子どもたちも、もろとも――」
千歌「・・・・・・っ」ゾッ…
ダイヤ「僅か、3日3晩のうちに、重須家の全員が息絶え――」
ダイヤ「あっさりと、重須家は断絶してしまったのですわ」
曜「嘘・・・・・・」
98:
ダイヤ「面の呪いであると噂が立ち、黒澤家は面を処分しようとしましたが――」
ダイヤ「面を処分しようとした者、触れた者、ただ見ただけの者ですら、死んでしまったのですわ」
鞠莉「アンビリーバブル・・・・・・」
ダイヤ「どれだけ、その面に、焼き殺された百姓の強い怨念が籠っているか、おわかりになるでしょう」
ダイヤ「進退窮まった黒澤家の人間達は、村の寺の住職に相談した」
梨子「まさか、それが――!」
花丸「そう――」
花丸「マルの、ご先祖ずら」
100:
花丸「でも、流石のご先祖でも、怨念と呪力の塊になった面を祓うことは出来なかった」
花丸「そこで、ご先祖と黒澤家の人たちは――『鬼封面』を、封印し――」
花丸「それを代々、黒澤家で管理することに決めたずら」
果南「黒澤家で、管理――!?」
曜「なんでそんな、危ないものを――」
ダイヤ「贖罪――のつもりだったのかもしれませんわね」
ダイヤ「かつて、村を支配するため、残酷な刑罰で人を殺めた家の血筋を引く人間――」
ダイヤ「そうした、“罪の意識”を、決して消さないように」
ダイヤ「そうして黒澤家は、代々封印した『鬼封面』を、表に出ないように管理し続けてきたのですわ」
101:
ダイヤ「これは、黒澤家の人間が18歳を迎えた時、代々語り継がれることになっていますの」
ダイヤ「ですから私も、この事実を知ったのは、つい先日」
ダイヤ「今回は、この事実を知らないルビィが、善子さんを蔵に引き入れてしまい――」
ダイヤ「このような事態になってしまったのですわ」
ルビィ「うぅ・・・・・・ううう・・・・・・!」
ルビィ「そんな・・・・・・そんな、怖いものがあるなんて、し、知らなくて・・・・・・!!」
ルビィ「ごめん、なさい・・・・・・ごめんなさい・・・・・・!!」ボロボロ
102:
花丸「ルビィちゃん・・・・・・ルビィちゃんのせいじゃないずら」
ルビィ「ううん・・・・・・ルビィが、ちゃんとお父さんの言いつけを守ってれば、善子ちゃんは・・・・・・!!」
ダイヤ「ええ――ルビィだけのせいではありません」
ダイヤ「元は、黒澤家の先祖が行った非道が招いたこと」
ダイヤ「ごめんなさい・・・・・・善子さん・・・・・・」
ダイヤ「ごめんなさい・・・・・・」ポロポロ…
花丸「ダイヤさん・・・・・・」
ザァーッ…
104:
?節分の日、花丸の寺の境内?
ワイワイ
キャハハハ
「ふくはーうち! おにはーそと!」
パチーン
梨子「きゃっ! 痛いっ!」
曜「こらー、やったなー!」
千歌「ちかっち鬼が、食べちゃうぞー!」
ワーワー
アハハハ
善子「・・・・・・・・・」
105:
花丸「ふふっ。千歌ちゃんたち、すっかり幼稚園のみんなの人気者ずら」
花丸「案外みんな、鬼役が似合ってるずらね」
善子「まあね・・・・・・子どもっぽいだけじゃない?」
花丸「でも、善子ちゃんが元気になって、ほんとに良かったずら」
善子「うん・・・・・・ありがとね、ずら丸。ずら丸がなんとかしてくれてなかったら、私・・・・・・」
ルビィ「本当に・・・・・・本当にごめんね、善子ちゃん」
ルビィ「ルビィと、うちにあったお面のせいで・・・・・・!!」
善子「ああもう、それはもう聞き飽きたから?! あれから、ルビィもダイヤさんも、顔を合わせれば謝ってばっかり!」
善子「もういいって・・・・・・それに、元はと言えば、私が悪いんだから」
善子「・・・・・・ごめんね」
ルビィ「善子ちゃん・・・・・・」
106:
善子「・・・・・・あのお面は、結局どうなるの?」
ルビィ「うん。花丸ちゃんのお父さんに、改めてお祓いをしてもらって、封印して・・・・・・」
ルビィ「また、黒澤家で預かることに決めたよ」
善子「・・・・・・怖くないの?」
ルビィ「うん・・・・・・怖いよ、正直」
ルビィ「でも、あんな話を聞いた後じゃ・・・・・・ますます、他のどこかに置いておいたらいけない、って思って」
ルビィ「お姉ちゃんの言ってた通り・・・・・・ご先祖様が、酷いことをしちゃったなら・・・・・・」
ルビィ「子孫の私たちも、そのことを忘れずに、ちゃんと責任もって守り続けないといけない、と思うから」
花丸「勿論それは、マルの家も同じ」
花丸「もしまた、ルビィちゃんたちに何かがあったら、マルが絶対助けるずら!」
善子「そっか・・・・・・」
善子「強いのね。ずら丸も・・・・・・ルビィも」
107:
善子「・・・・・・・・・」
善子「福は内・・・・・・鬼は外、か」
善子「あんな目に遭った後じゃ、鬼は外、っていうのも馬鹿に出来ないわね」
花丸「・・・・・・・・・」
花丸「節分では、“福は内、鬼は外”って言って、豆をまくのが定番だけれど」
花丸「実は、地方によっては――特にお寺では、“福は内、鬼も内”って言うところもあるずらよ」
善子「鬼も内?」
ルビィ「鬼なのに・・・・・・?」
花丸「仏様の前では、鬼はいないとするお寺――他にも、鬼を神様として祀ってる神社とか」
花丸「そうやって、鬼を追い払わないところも、意外と多いずら」
善子「へぇ・・・・・・」
ルビィ「知らなかった」
108:
花丸「――あのお面のことを、『鬼封面』なんて呼ぶのも、間違ってるのかもしれないずら」
善子「どういうこと?」
花丸「あのお面を被せられた人は、鬼でもなんでもない、普通の人間だったはず」
花丸「だけど、昔の人たちは、彼を人間以下の存在、忌物として扱い、“鬼”として命を奪った――」
ルビィ「・・・・・・・・・」
花丸「この前も言った通り、“鬼”とは“人間に害なすもの、徒なすもの”――」
花丸「もしくは、“忌むべきもの、恐ろしいもの”という意味もあるずら」
花丸「でも、そんなものは、人間の弱い心、邪な心が生み出しただけ」
花丸「そんなことを思って、誰かを“鬼”扱いする人の心こそ――マルは、“鬼”そのものだと思うんだ」
善子「・・・・・・・・・」
109:
花丸「“鬼”も、見方を変えれば神様にだって変わる」
花丸「鬼を追い払おうとするだけじゃなく、時には受け入れる心もあれば――」
花丸「悲しい出来事だって、起こらなくなるかもしれないずら」
善子「・・・・・・・・・」
ルビィ「そう、だね・・・・・・」
ルビィ「そうかもしれない」
善子「鬼も内、か・・・・・・」
110:
?花丸の寺 門前の石段?
ルビィ「じゃあね、花丸ちゃん」
善子「また明日!」
花丸「うん――あ、そうそう、善子ちゃん」
花丸「もう大丈夫だとは思うけど――念のため、しばらくは定期的にお寺に来てね」
花丸「お父さんに、簡単なお祓いをしてもらうから」
善子「わかったって。まったく、ずら丸は心配症なんだから」
111:
花丸「お面の力は、強力だから――約束ずらよ、善子ちゃん!」
善子「もー、わかったー! それと、善子じゃなくてヨハネ!」
善子「じゃあねー」
タタタ
ジッ
善子「・・・・・・・・・?」ピクッ
112:
ルビィ「・・・・・・? どうしたの、善子ちゃん?」
善子「あ、ううん・・・・・・なんでもない」
善子(一瞬、視線を感じた気がしたけど・・・・・・)
善子(気のせいよね)
善子「待ってよー、ルビィ!」
タタタ
……
…………
……………………
113:
  {:i:i:i:i:i:i:i:/      \:i:i:i:i:i:i:i:i:i:\
 メ:i:i:i:i:i:i〈      ,,,,,,、  ヽ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ヽ
  〃丿:i:i:i:i:i:i:|      ,〃""´``  ヽ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i、
 ル':i:i:i:i:i:i:i:i:i:}  ,,,,,,,    "//´ ̄ヾi}.  ヽ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i、
ノ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i{  〃"´´`ェ、   (;;( ● ノ;ノ   .V:i:i:i:i:i:i:i:i:i:}
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