【SS】彼女達との思い出back

【SS】彼女達との思い出


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ほう
36: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/02(金) 09:26:57.67 ID:9VTtiWa+0
栞里と別れて、僕は自由を満喫した。
お遊びというか、悪ふざけから始まった、僕のファンクラブというのは恐ろしいもので、ファンクラブ内でルールが出来上がっているようだった。
抜け駆け上等。お互いの邪魔をしない。情報は共有。隠し撮りOK。僕が迷惑しているといわなければ何をしてもOK
今考えてもお遊びを超えた悪ふざけではある。僕も正直、楽しんでいた感もあり、こんな奇妙なコミュニティーが出来上がってしまった。
ファンクラブという名の悪ふざけ集団は15人くらいのもので、その活動の大半は
?学校内で、突然僕を取り囲んで、奇妙な歌と踊りをする
?サークル活動先のお店でテーブルを占拠し、その中心に座らされて全員のスプーンでカレーを一口ずつ食べる
?修羅場という名の寸劇を、棒読みで打ち合わせ通りに繰り広げる
?なぜか僕が事件に巻き込まれたことになっており、ファンクラブ内のだれが犯人か、ヒントを頼りに探し当てる
とまあ、罰ゲームに近いものまでいろいろあった。
先述したが、そんな悪ふざけ集団でも、ガチの信者が出てきた。
三人。
一人目は、お弁当を作ってきてくれた子。祐希。
二人目は、小倉優子似の子。優子
三人目は、柳原可奈子似の子。可奈子
祐希は基本的にクールビューティーで、ツンとしていて人を寄せ付けないオーラがある。
そのくせ、こんな悪ふざけに付き合ってくれた。たまに、はにかんだ姿は、見ているこちらが恥ずかしくなる。
優子は後輩男子の中でもトップレベルの人気を博していて、独特の世界観を持っている子。
節約家で達筆。余談だが弟がいて、弟も超イケメン。
可奈子は、ちょっと病的に僕の考えを崇拝していて、本当に宗教のように僕のファンクラブの勧誘活動をしていた。
飲み会になると、延々と僕の素晴らしさを熱弁していた。ただ、僕には触れてはいけないと思っているようで、まさに崇めてくれていた。
まあ、多少奇妙な学生生活ではあったが、楽しかった。
そんなファンクラブ活動で、ちょっとした事件が起きた。
37: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/02(金) 09:44:22.68 ID:9VTtiWa+0
優子が病気になり、2か月ほど入院をしたのだ。
詳しくは聞いていないが、手術が必要らしい。
ファンクラブ内の奇妙な結束力で、その間は僕への活動が一時停止になった。
つかの間の休息?が訪れた。
と思いきや、優子が、突然、パジャマ姿で、サークルの部室に現れた。
僕「え?優子?何してるの?パジャマ姿やん。大丈夫なん?」
優子「はい。なんだか退屈で、病院を抜け出してきちゃいました。先輩、暇なら遊んでください。」
僕「ええ・・・いやいや。病人なんだから遊ぶとかダメでしょ」
優子「でも病院って暇なんですよ?やることなくて。」
僕「しかもなんでパジャマ!ここ大学だし。その格好でどうやってここまで来たの?」
優子「タクシーに飛び乗りました!すごいでしょ!」
僕「凄すぎるわ!怖いわ!」
部室にいた他のサークルメンバーも心配した。何せ秋。カーディガンを羽織らせたり、温かいお茶を用意したり。
少し談笑し、落ち着かせた。
と、不安は的中。
優子はその場に倒れた。
僕「優子!ほらもう、言わんこっちゃない。僕、今日はたまたま車で大学に来ているから、病院まで送ってくよ。」
優子「・・済みません。お願いします。ごめんなさい。。」
病院まで連れて行った。
病院には、急用でどうしても大学に行かなければいけなくなり、無理をさせてしまったと適当に言い訳をし、僕は、関係者の方にこっぴどく怒られた。
だが優子は、また病院を抜け出すと言ってきかない。
僕は条件を出した。
僕「じゃあ、こうしよう。僕が、授業が終わってバイトが始まるまで、病院に来てあげる。他の子も都合がついたら来てもらえるように頼んでみるから、病院を抜け出すのはやめてくれ。」
優子「先輩が来てくれるんですか?うーん。じゃあ、抜け出すのやめます!」
僕「よし、交渉成立な。無茶すんなよ」
優子「はい!でも無茶した甲斐がありました!」
僕「ええ・・・」
僕は、極力、病院に行くようにした。
まあ、そうなると、二人の距離は一気に縮まる。退院して大学に通えるようになるころには、僕と優子の間には特別な感情が芽生えていた。
38: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/02(金) 10:24:51.03 ID:9VTtiWa+0
翌春、僕は4回生になり、それを機に優子に告白した。
優子の返事はOK。だが、そのことは内緒にしようということになった。
実は、優子は打算的な女子で、自分がモテることを知っている。サークルの他の男子からプレゼントをもらったりもしている。
なので、今のチヤホヤ状態を失いたくないというのが理由だった。
僕も、(今では考えられないが)当時それなりに持ち上げられていたので、優子の提案に乗った。
僕は、優子のことは好きだったが、それよりも、優子の体に興味があった。
透き通った、白い肌。柔らかそうな唇。
少し幼い体型。
優子と付き合えば、それが自分のものにできる。
正直、ヤりたい。
僕ももう4回生だ。もうすぐ就職先も決めなくちゃいけない。
就職したら、きっと地元には残らない。
ヤり捨てでもいいや。どうしてもモノにしたい。
優子も、性的なことには興味があるらしく、でも自分のイメージを崩したくないのもあって、そういうことは拒否してきたらしい。
お互いに利害関係も一致し、まあ1年間、二人だけの秘密として、好き勝手やろうということになった。
最初は、雑居ビルの踊り場だった。
優子「先輩、けっこう大胆なんですね」
僕「優子だって。興奮してるんだろ?」
踊り場で、人目を気にしながら、舌を絡ませる。
付き合って初日。
デートの帰りに、この雑居ビルの踊り場に連れ込んだ。
少し小さな胸を、興奮しながら揉む。
優子「ふぅ・・・あっ。せんぱい・・子供っぽい体型で・・ごめんね・・・っ」
余計に興奮する
僕「揉んだら・・・大きくなるかな?俺は気にしないよ。気持ちいいし」
優子「ねえ・・・いっぱい・・・キスして・・・」
僕は、何度も、キスをした。
39: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/02(金) 10:31:48.59 ID:9VTtiWa+0
1か月ほど経過した時、ドライブに出かけることになった。
帰りの車中。
人気のない、山中に車を停めた。
僕「あれだな。」
優子「そうね。」
僕「僕たち、絶望的に性格が合わないな。」
優子「びっくりするくらい、合わないね。」
そう、会うたびに喧嘩していた。
やることなすこと、気に入らない。
お互いの打算的なところが見えて、本当にイライラする。優子も頭の回転が良く、考え方も似ていたため、
相手が何を考えているのか、本当によく分かる。
でも、僕は最後の所で、我慢した。
なんだかんだで、優子は、僕の要求にこたえてくれた。
僕「あーイライラする!」
優子「私も!もーなんなの?なんで先輩はいっつも自分勝手に」
僕「うるさい!」
無理やりキスをする!
暴れるが、すぐに大人しくなる。
濃厚なキスをし、僕は怒りにまかせて優子が座っているリクライニングを倒した。
優子は少し驚いていたが、無視した。
そのまま、馬乗りになった。
毟り取るように、シャツを脱がした。
優子「ちょっと!やめてよ!」
僕「知るか!」
強引に、ブラを引きはがした。
優子「やんっ・・見ないで・・・」
僕「はぁ?見るに決まってるだろ。ほら。良く見せてみろよ!」
優子は、恥じらうように、胸を隠す。
その手を、僕の手が強引にどかす。
そして、小ぶりだが形の良いバストがあらわになる。
優子の顔が赤くなる。
優子「・・・キスしたら、許してあげる・・」
僕「口には、しないからな。」
僕は優子の華奢な腰に、キスした。
優子「あ・・ん・・きもち・・いい・・」
僕「いいね。興奮する」
優子「耳・・耳にもして・・」
僕は、優子の耳を、口に含んだ。
ビクビクしながら、先ほどまでとは打って変わった表情を見せる優子
そのまま、僕は、優子のスカートをめくり、その中にある下着に、手をかけた。
優子は少し強張ったが、抵抗はしなかった。
下着をおろす。
僕は、胸を揉みながら、顔を、スカートの中に突っ込んだ。
優子「ちょっと・・・え?やだ・・・んっ・・・汚いから・・・え?・・・あっ・・・」
僕は、初めて、女性のアソコを、舐めた。
汗ばんだ匂い。決してイヤじゃなかった。
むしろ、そのトロトロとした舌触りが、今までに感じたことのないような興奮を引き出した。
僕「ぷはっ・・・はぁ・・はぁ・・どんな・・感じだった?」
優子「うん・・・変な気持ち・・・・でも汚いよ?」
僕「ん?汚く思わないけどなぁ。逆に、僕のアレって、汚く思う?」
優子「え・・いや?汚いと思わないよ。たぶん普通に触れるよ?」
優子はそういうと、いきなり僕のズボンのチャックをおろした。
僕「うわ!ちょっ」
優子「うふふ。形勢逆転!ほらじっとして!今度は私の番!」
そのまま戸惑う僕をしり目に、ベルトも外され、トランクスもおろされた。目の前には、優子の手、
恐る恐るという感じで、僕のいきり立ったアレを、そっと触った。
40: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/02(金) 10:47:33.50 ID:9VTtiWa+0
優子「ほら。やっぱり、別に汚いと思わない」
ニギニギと、あれを触りながら、優子が言った。
僕「あっ・・・ちょ・・優しく・・・」
優子「さっき、そういうのを無視したのは誰だった?え?」
ギュっと、玉のほうを握りやがった
僕「痛い!痛っ!おまえ馬鹿か!」
本気で痛かった。優子は慌てた。
優子「ご、ごめんなさい!そんなに痛いって思わなくて・・・」
僕「次やったら・・・本気で優子のこと、再起できないくらいに、めちゃくちゃにしてやる・・・」
うずくまる僕。情けない。
優子「ごめんね・・・お詫び・・」
優子は、そう言うと、僕のアレを、口に、含んだ。
ゾワゾワとした感触が、僕の股間に集中した。
こんなかわいい子が、僕のアレを、おそるおそる、口に入れている。
優子の髪が、僕の股間周辺をくすぐる。
達成感。なんというか、優子を支配したような錯覚。
これが、フェラか。
優子も初めてで、どうしたらいいのかわからないみたいだった。
優子「どう?どうすればいい?どうしたら気持ちいい?むちゅっ」
僕「舌を使わなくて・・いいよ・・あっ・・気持ちいい・・」
優子「先輩、されたこと・・あるの?」
僕「ないよ・・気持ちいい・・優子は?」
優子「ないから・・ん・・ちゅ。。聞いてるんです・・ちょっとしょっぱい・・」
すっかり毒気を吸い取られた二人。
童貞と処女。
これだけで十分満足だった。
心の整理がつくまで、お互いに本番まではナシにしようということになった。
SEXはやっぱりいろいろなリスクがある。
もちろん興味はある。だけれど。
避妊具を使っても、妊娠しないとも限らない。
ま、別にいいや。フェラまでしてくれるならそれでも、飽きたら別れよう。
この時はそう思っていた。
42: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/02(金) 16:10:06.30 ID:9VTtiWa+0
時は少し遡り、僕の大学の学祭。僕は、学祭の担当ではなかったので、サークルの子とは別にフラフラしていた。
京介・堅と合流する。
僕「お待たせ」
堅「遅い。何してたんだ」
僕「あー。見て回ってた。あそこの玉せん美味いよ。」
堅「なんやそれ。あ、そうだ。今日、怜奈ちゃんと絵里奈ちゃん、誘ったから来るよ。」
僕「わお。久しぶりだね。どうしてるんだろう。」
京介「まあ普通に女子大生やってるみたいだな。あ、俺ちょっと用事があるからあとで合流するわ。」
京介は、別の大学に彼女ができたらしい。バイトつながりだそうだ。
きっと、その彼女と合流するんだろう。
堅は、きっと怜奈を誘う口実が欲しかったのだろう。
絵里奈か。
あれ以来、あまり連絡をしていない。
今日も、学祭に来ることを知らなかった。
絵里奈「先輩!お久しぶりです!」
突然、背後から抱きつかれた。
僕「おわ!絵里奈か。相変わらず元気だな。久しぶり!」
やっぱり
絵里奈「もー、先輩、全然連絡くれないから、こっちから会いに来ちゃいましたよ!」
絵里奈は
僕「なんだそれは。僕が悪い感じ?まあせっかく来たんだしゆっくりしてきなよ好きなもん奢ってやるからさ。」
まぶしくて、綺麗で、可愛い。
僕は、サークルの仲間に見られないように、サークルとは離れたところを案内した。
自然と腕を組んでくる絵里奈。
しっくりとくる、この感触。
わかってる。気づいてた。
僕は、
高校時代から、
絵里奈のことが
好きだったんだ。
彼女は、高校時代、高翌嶺の花のような後輩だった。
大学生になって再会した時、こんな奇跡があっていいのだろうかと思った。
でも、彼女には彼氏がいる。
彼氏から奪いたいとは思わなかった。
彼氏のことは、死ぬほど羨ましかったが・・・
でも、今日、その彼氏はいない。
だから、
今日だけは、
学祭が終わるまでは、
僕のものでいてくれ。
学祭が終わりに近づいて、暗くなった頃。
僕と、絵里奈は、あの日以来の、キスをした。
結局僕は、
絵里奈とまた、連絡を取り合うようになってしまった。
絵里奈を抱きたい。
でも抱いてはいけない。
その鬱憤を晴らすかのように、
きっと、
優子を貪ったのだと思う。
43: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/02(金) 16:36:59.91 ID:9VTtiWa+0
4回生になり、就職先も決まり、あとは卒論という時期になってきた。
その頃、大学の研究室に閉じこもるようになった。
研究が、夜通し行われたりもするからだ。
優子は、よくその夜通しの研究にも付き合ってくれていた。
優子「はい。コーヒー。」
僕「お、ありがとう。」
優子「てかさー。いつまで研究してるの?そんなに卒論って大事なわけ?」
僕「うるさいな。貴重な時間を使ってるんだ。時間をかけるなら、それなりの論文にしたいだろ。論文にかける時間が無意味になる」
優子「適当でいいじゃん。就職先だって決まったし、研究室に残るわけじゃないし、就職したら遊ぶ時間減るよ?今のうちに遊ばないと!」
僕「もうお前どっか行ってろよ!邪魔するなよ!」
優子「はぁ?わざわざ研究に付き合ってあげてるんでしょう?なんで私が怒られなきゃいけないの?」
僕「相変わらずその一言が余計なんだよ!」
いつもそうだ。
いつも喧嘩ばかり。
そんな時、携帯が、鳴った。
画面上には、絵里奈の文字が映った。
僕は、優子の目の前で、取った。
僕「もしもし。どうした?」『ちょっと、電話の子、誰よ!』
僕「あー、いいよ良いよ全然。ちょうど話がしたかったんだ!うんうん。あははは!」『聞いてるの?ねえ!あなた何様のつもり?!』
僕「あ、ごめん。ちょっとうるさいから、移動するね!」
僕は、優子を研究室から追い出し、鍵をかけた。
優子は怒り狂い、研究室のドアを蹴りまくった。
電話を終え、ドアを開ける。
そこには、怒りに満ちた目で、仁王立ちする優子がいた。
44: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/02(金) 16:39:07.16 ID:9VTtiWa+0
あとは夜以降の更新になると思います。
45: 以下、
>>1のメンタル強すぎね?
47: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/04(日) 10:08:05.14 ID:PSFzspRt0
>>45
若い時は、特に責任感も失うものもなかったので・・
48: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/04(日) 10:30:38.98 ID:PSFzspRt0
優子「じゃあ、ちょっと話をしようか。」
僕「何の?」
優子「今の電話の子、誰?」
僕「誰だっていいだろ。お前だってよく他の男と電話してるだろ。」
優子「それとこれとは別でしょ。今はあなたの話をしてるの。」
僕「何言ってるのお前。僕の詮索するなよ。自分がやられて嫌なのなら、お前もするなよ。」
優子「つまり、やましい関係だと?」
僕「え?お前、他の男とやましい関係なの?」
優子は、怒りに満ちた目で、僕をビンタした。
一瞬、何が起きたかわからなかったが、自分の頬がジンジンと痛み、ああ、僕はビンタをされたんだと知った。
優子は、泣いていた。
僕は、言葉を柔らかくした。
僕「・・ごめん。言いすぎた。今の子は、高校時代の後輩。やましくないよ。優子と喧嘩しちゃってたから、意地悪したくて、わざと電話に出た。ごめん。」
優子は、何も言わず、泣いたまま、僕に抱き着いた。
僕「電話されるの、イヤだったの?」
優子「そんなんじゃない。なんか、侮辱された気がして情けなくなった。」
僕「僕たちの関係、何なんだろうな。」
優子「もう、無理なのかもね。」
僕は、優子を、研究室のソファーに横たえた。
優子「明かり、消してよ。」
素直に、研究室の明かりを消す。
もう最後かも。
最後なら、思いっきり、穢してやる。
その後のことまではもう、知らない。
49: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/04(日) 10:48:14.00 ID:PSFzspRt0
優子の服を、全部脱がせた。
優子の体は、相変わらず、透き通るように白くて、綺麗だった。
でも、この当時の僕は、見慣れすぎていて、何とも思わなかった。
ただ、揉んで、舐めて。それだけだった。愛情なんてなかった。
この日、全身を舐めまわした。
優子は、感じるそぶりも見せなかった。ただ、何もせず、事務的に寝ていた。
僕は、そこで一旦とまり、僕も全部の服を脱いだ。
初めて、優子が、びくっとする。
優子「え?何するの?」
僕「決まってるだろ。」
優子「・・本気なの?」
僕「ああ。我慢するのをやめよう。お前も興味あるんだろ。」
優子「・・・うん。」
優子は、上半身起き上がり、僕のアレを、舐めた。いつもはしょうがなくだったが、この日は、ぎこちない感じだった。
これから起こることに、不安を感じているようだった。
僕の指が、優子のアソコを、なぞる。
優子「んっ。少し怖い。」
僕「小指なら、どんな感じ?」
優子「あ、あんまりかき回さないで・・・ん・・あっ・・だ、大丈夫。」
僕「ちょっと、緩めて。」
優子「だって・・怖いし・・」
僕「大丈夫だよ。・・・・・中指でも行けるよねこれ」
僕はおもむろに小指を抜き、中指を、ゆっくりと、付け根まで、入れ込んでみる。
優子「あああん・・うん・・いいよ・・・大丈夫みたい・・・」
手鏡があったので、優子に見えるように、その部分を見せてやった
僕「ほら。見えるだろ。」
優子「いや。。見せないで・・あっ・・・指が…入ってる・・・やだ・・・」
優子は言葉と裏腹に、まじまじと手鏡から見える風景を眺める。
僕は、あらかじめ用意したゴムを取り出した。
優子「ねえ。私に着けさせて。」
僕「いいよ。失敗しても予備もあるから。」
優子は、不慣れな手つきで、ゴムの袋を破り、中身を僕のナニにつけようとした。
僕「痛っ。爪当たってる。そんなにきつく持たないで。痛いって!もういいよ僕が付けるから!」
優子「やだ。頑張ってつける!」
そんな一生懸命な優子は、少し可愛かった。
また、ぎこちない手つきが、僕のアレを最大限までギンギンにさせ、はちきれそうになって、すごく痛かった。
なんとか、ゴムをつけ終え、僕は、万感の思いで、優子に、挿入した。
50: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/04(日) 10:59:54.99 ID:PSFzspRt0
優子「あ・・・ああん・・・んっ・・あっ・・・少しずつ・・ゆっくり・・ゆっくり入れて・・・ゆっくり・・ゆっくりゆっくり!!」
僕「これくれい・・・このペースでいい?」
優子は、痛がることはなかったが、急に中に広がってくる異物に恐怖を感じるようだった。
奥まで入ると、優子は安堵した。
僕「どう?大丈夫?」
優子「うん。落ち着いた。」
優子は、ギュッと僕を抱きしめた。
僕は、ゆっくりと腰を動かした。
優子「はっ・・・あっ・・・んっ・・・あっ・・・気持ち・・・いい・・・あっ・・・あっあっあっ・・・」
僕は、アレが抜けないように気を付けながら、一心不乱に腰を振った。
大して気持ち良くない。
これじゃあ、イケないよなぁなんて考えながら、それでも目の前の行為には興奮しながら、
ずっと腰を振り、腰を優子に打ち続けた。
すると、今までにない膨張感がアレを襲い、これはひょっとしてと考えるまでもなく、射精してしまった。
僕「あっ・・・あ・・・・ふぅ・・・」
急に衰えを見せるアレ。
僕は、優子とSEXしたんだ。僕は、優子に挿れ、優子はそれを受け入れ、ゴム付きだけれど、優子の体内に、僕の発射されたものを、入れたのだ。
汗ばんだ二人、抱きしめ合った。僕は久しぶりに、優子がとても愛おしく思えた。
どれくらい腰を振り続けていたのかも覚えていない。5分だったのか。20分だったのか。
とにかく、僕と優子は、童貞・処女を卒業した。
52: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/04(日) 23:51:37.79 ID:37hHMBZq0
残りの大学生活は、あっという間だった。
卒論発表までは延々と研究室に閉じこもり、合間に優子と会う。優子とはそれから何度も体を重ねた。
たまに、京介や堅、絵理奈・玲奈と飲みに出かける。
研究室の同期とは、いろいろあり、あまり仲良くなれなかった。
まあでも、卒業旅行なんかは一緒に出掛けた。
気が付けば、卒業式。
京介達と一緒に講堂で卒業式を迎え、それから僕は優子の待つサークルへと向かった。
サークルでは、ファンクラブの子達が、僕を迎えてくれた。
大量の花束。体重の軽い僕は、本当に胴上げで空中まで飛んだ。
そして、その夜、サークルで卒業記念飲み会が開かれた。
後輩「先輩、お疲れ様でした!乾杯!!」
わいわい飲んでいると、そこに、栞里がやってきた。
栞里「卒業おめでとう。」
僕「栞里もな。お互いいろいろあったけど、いい学生生活だったな。」
栞里「うん・・」
栞里は、ぎこちなく、笑った。
僕「・・?どうした?」
栞里「約束、覚えてる?私は、待ったよ?」
優子とのことは、サークル内で秘密だったので、栞里はまだ僕が優子と付き合っていることを知らなかった。
僕「・・・ああ。でも、結果は、分かってるだろ?」
栞里「そうだね・・・ほら、例の、親友と思える男の子がいるって話、したでしょ?」
僕「うん。」
栞里「このままいくと・・私は、彼と・・・付き合っちゃうことに・・なりそうなの・・」
知っていたが、敢えて知らないふりをした。
僕「そうなんだ・・良かったじゃないか。」
栞里「あなたは、それでいいの?」
僕「いいよ。僕に義理を通して、今まで付き合わなかったんだろう?もう、僕の呪縛から離れるべきだ。僕は、君が思うような男じゃないよ」
本音だった。
栞里は、すっきりした顔で、にこやかに笑った。
僕「いい笑顔じゃん」
栞里「はっ。結局私、あなたに振られるんだね。」
僕「わかってたことだろ。」
栞里「うん。あなたは、私の恋愛ごっこに付き合ってくれていたんだね。ありがとう。」
それはちがう。当時、間違いなく、僕は、彼女を愛していた。
僕は、栞里のおかげで、人並みの感情を持てた。
栞里のおかげで、嫉妬を知り、人を思いやることを知り、罪悪感を知った。
感謝しかなかった。
僕「そうかもしれないな。ま、僕なんか忘れて、好きに生きなよw」
僕は嘘ぶいた。
最後に、栞里と乾杯して、別れた。
僕はこの日以来、栞里とは会っていない。
53: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/05(月) 00:19:31.28 ID:lKUJzLuG0
卒業飲み会。別名、追い出し会。
追い出し会において、主役は僕たちだ。
主催者は、後輩。
後輩の進行のもと、追い出し会が進む。
余興が始まり、僕のファンクラブ解散式なるものが始まった。
全員と祝杯を。それぞれに交わす。
10人以上いたので、10杯以上、飲んだ。
最後に、ファンクラブによる、僕の競売が始まった。
追い出し会終了時間まで、僕を好きにできる権利だそうだ。
最初は、1円からスタート。
最終的に、優子は100円。祐希は自分のストッキング。可奈子がデコピン2発となり、その中から僕が選ぶことになった。
僕は、可奈子を選んだ。
可奈子は、いい悪いは別にしても、本当に真面目にサークル活動をし、僕にも良くしてくれた。感謝の意味を込めた。
あまり直接は話をしたことがなかった。
可奈子は、泣きながら、僕の隣に座った。
可奈子「私、本当に、先輩にはお世話になりました・・・寂しいです・・・」
僕「何言ってんだ。可奈子なら、もう十分に立派な先輩じゃないか。このサークルだって、お前なしじゃ回らない。今まで本当にありがとう。」
可奈子「そう言ってもらえて・・・嬉しいです(涙)」
僕「あ、ごめん。ちょっとトイレ。」
そう言って席を立つと、可奈子も席を立った。
可奈子「私もお供します!」
僕「あほかw座ってろよww」
可奈子「追い出し会が終わるまでは、先輩は私のものです!逃しませんよ!」
どさくさに紛れて、可奈子は僕の腕に絡みつく。
追い出し会の観衆から、熱い声援が飛ぶ。
「可奈子ー!!いけー!!押し倒せー!!」
「今日こそ思いを遂げるんだ!!」
「隣の個室、空いてるから使っていいぞ!!」
可奈子は、隣の個室に僕を連れていき、鍵をかけた。
外からは、黄色い声援が飛んでいる。
僕「あの・・トイレに行きたいんですけど・・・」
可奈子「わかってますってw」
可奈子はにっこり笑うと、目を閉じて、僕に顔を近づけてきた。
その眼には、涙が。
可奈子は、笑いながら、泣いていた。
僕は、そっと、すこしだけ、キスをした。
可奈子のにこやかな笑顔は、次第に、くしゃくしゃな泣き顔になった。
可奈子「先輩・・・ずっと・・・本当に・・・大好きでした・・・」
汚い泣き顔だった。でも、とても、綺麗に見えた。
僕「ありがとう・・・その気持ちには答えられないけれど。可奈子に出会えて、本当に良かったと思ってる。ありがとう。ありがとう・・・」
少しの間だけ、抱きしめる。
と、可奈子は、僕から離れ、個室のカギを外し、外へ出た。
可奈子「皆さん、わたくし、可奈子は、たった今、先輩に告白して、見事に振られました!!えへへへ!!今日は飲むぞーwww!!」
ぐしゃぐしゃの泣き顔のまま、可奈子は笑って、ビールの入ったコップを飲み干した。
「「「ええええ!!」」」
「うわ、お前最低だなwww」
「お前、ちゃんと責任とれよwww飲めやww」
そんなこんなで、さらに飲まされた。
オークションの途中から冷ややかな視線を送っていた優子も、それを見て安心したのか、僕にビールの入ったコップを押し付けて
「ほらほらwwwのめのめwww」
と煽ってきた。
可奈子、ありがとう。
今でも、つらいことがあった時、あの頃のバカ騒ぎを思い出して、元気をもらっているよ。
54: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/05(月) 02:19:19.04 ID:lKUJzLuG0
追い出し会の帰り道、送ってくれたのは、祐希だった。
祐希「飲み過ぎだよ・・・」
僕「しょうがないだろ・・・おええ・・気持ち悪い・・・」
ベンチにもたれる。
祐希「ほら。お茶。」
僕「ありがとう・・・」
お茶を飲むが、味なんてわからない。
胃を洗浄する程度のものだ。
僕「・・・ああダメだトイレ」
そのまま胃の中のものを公衆トイレに流し込む。
ベンチまで戻り、お茶をまた飲む。
僕「気持ち・・・悪い・・・」
もう歩けない。
祐希「はぁ・・あのねぇ。私だってたくさん飲んだよ?それでも、節度を持って・・」
僕「はいはいスミマセンデシタもういいでしょ文句があるなら帰ってください。」
気まずい雰囲気というよりかは、お母さんと子供に近い雰囲気。
祐希「あなたを放っておけないでしょう・・これでも・・・」
僕「何よ。これでもって。」
これでも、あなたのファンクラブなのよ?ってか・
祐希「これでも・・・その。。。初めて好きになった人なんだから・・・」
えっ。
僕が・・
初めて好きになった人?
祐希は、小・中・高と女子学校に通っていたのは聞いたことがある。
そうか。今まで男子との接点がなかったのか・・・
僕「・・・まあ、ファンクラブに入ってくれたくらいだからね・・・」
祐希「栞里ちゃんが、本当はうらやましかった。だから、嫌がらせもしたことがあるわ。」
それは知っている。
祐希「さっきだって、可奈子ちゃんに嫉妬してた。」
僕「振っちゃったけどね」
祐希「そうだけど・・私には、今まで、そんな勇気がなかったもの・・」
僕「・・・」
祐希は、泣いていた。
僕「え・・おい・・・えと・・」
祐希「私、知ってる。優子ちゃんとも付き合ってるんでしょう。私・・・私・・・」
僕は、正直、祐希のことは苦手だ。でも、泣かれると、弱い。
そりゃあまあ、祐希は美人だし、僕ら同級生の中でも、人気はある。
体系のことを今までふれなかったが、実は色白でグラマラスだ。
そんな子に好意を持たれるのは、嬉しい。
でも・・・
僕「祐希は、どちらかというと、僕からすると、うーん。気の合う友人としか見れないよ・・・」
祐希「それも・・・わかってる。」
祐希は、泣きながら、身を預けてきた。
僕は、そっと、抱きしめた。
祐希「ありがとう。。。嬉しい。。。私は・・・これで・・満足。」
祐希はこれから、親元を離れ、県外に就職する。バリバリのキャリアウーマンになって、僕を見返すらしい。
それでいい。
こうして僕の、充実したサークルの出来事は、終わりを告げる。
これから僕も、県外に出て、就職する。
優子とも、遠距離恋愛をするつもりはなかった。
友人も恋人も。何もかも一新して再スタートだ。
僕は前しか見ていなかった。
だから、これから社会人になって起こる、自分の心境の変化には、心底驚かされた。
55: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/05(月) 02:43:46.42 ID:lKUJzLuG0
スミマセン明日の仕事の準備があるので本日はここで終了です。
読んでいただいている方、ありがとうございました。
次回は、社会人編になります。
僕はここから(これまでもひどいかもしれませんが)ひどい人間になっていきます。。
因果応報。ひどいことをすれば、それなりのことが返ってきます。
もし質問や疑問・リクエストなどあれば書いておいてくださればできるだけ回答・善処します。
それではお疲れ様でした。
56: 以下、

57: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/05(月) 11:22:19.87 ID:4rIlbJtc0
卒業し、就職先の手配したアパートに引っ越すまでの間、春休み中の優子と頻繁に出かけた。
そして、体を重ねた。また、他の友達とも出かけた。
絵里奈とも、何度かデートした。
でも、絵里奈とは手をつないで出歩き、帰り際にキスをするだけ。
それ以上は踏み込まなかったし、踏み込む隙もなかった。
そんな日が続き、とうとう、引っ越す日が来た。
優子「これから頑張ってね。」
僕「ああ。また一からやりなおしだ。向こうでも頑張るよ。」
お互い、ドライだ。
だから、直前まで、お互い、これから訪れるであろう解放感を待ちわびていた。
某駅の新幹線改札口。
最終便があと10分で行ってしまう。
僕「じゃあな。着いたらたぶん連絡するわ。」
優子「うん。別にいらないよ。」
僕「そうか。元気でな。」
僕は、ふいに後ろを向き、改札口を通り、一気に階段を駆け上がった。
僕は、泣いていた。
少しだけ、振り返った。
優子は、改札口の前で、座り込んで、俯いて泣いていた。
どうしてかはわからない。
今まで身近だったものが、急になくなる喪失感。
ああ、僕は、優子から離れるんだ。
そして、優子は、僕の就職先のことも碌に教えられず、僕から離されたんだ。
そのことに、たった今、気づいた。
あふれる涙。
あんなに喧嘩したのに、あんなに煩わしかったのに、正直、体だけが目当てだったのに、
その瞬間、僕は、大切なものを失うという意味を、知った。
58: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/05(月) 11:22:59.35 ID:4rIlbJtc0
アパートに着くと、優子からたくさんのメールが来ていた。
「まさか、自分が泣くとは思わなかった。」
「自分でもわからない。パニックになっているどうしていかわからない」
「いつでもいい。連絡が欲しい」
「行かないでほしい。帰ってきてほしい。」
「帰ってきてくれるなら、他にはなにもいらない」
僕はすぐに電話をした。
優子はずっと泣いていた。
僕「ごめん」
優子「謝らくていいから、帰ってきて」
僕「それはできなよ。僕は、会社に就職して、それから」
優子「そんなこと知らない。帰ってきて」
僕「ごめん」
優子「目の前から、あなたがいなくなった。」
僕「ごめんなさい。」
優子「分かってた。就職先の相談もなかったし、就職先の場所を聞いた時、大事にされてないことくらい知ってた。」
僕「ごめん」
優子「それならそれでいいと思ってた。あなたなんていなくていいと思ってた」
僕「ごめん」
優子「帰ってきて!もうわがまま言わないから・・・帰ってきて!」
僕は夜通し謝った。
優子は許してくれなかった。
僕は、この日から、毎日、電話をかけ、何時間も謝り続けた。謝る日々は、3か月続いた。
僕には、彼女しかいない。
彼女のために、僕は一生懸命働こう。
そして、彼女を、迎えに行こう。
彼女と、結婚したい。
僕「優子、聞いてくれ」
優子「・・何?」
僕「僕は、今の会社でキャリアアップしたい。」
優子「うん。」
僕「そのために、5年。5年は今の会社で頑張る。」
優子「うん。」
僕「それまで、会ってくれるのなら、毎週、会いに行く。」
優子「・・・うん。」
僕「もしこっちに遊びに来てくれるなら、その費用は僕が全部出す。」
優子「・・・うん。」
僕「だから・・・」
優子「・・・だから?」
僕「この関係が、5年続いたら・・・」
優子「・・・続いたら?」
僕「結婚してほしい。」
優子「・・・・」
僕「返事は、今じゃなくてもい」
優子「待ってる。それまで、私も待ってる。私も、もっといい子になれるように頑張る。ずっと、一緒にいていいの?」
僕「・・・ああ!いいよ!じゃあ、今週末、会いに行くから!」
優子「・・・うれしい・・・・ありがとう・・・」
こうして、僕と優子の遠距離恋愛が、始まった。
59: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/05(月) 13:57:50.67 ID:4rIlbJtc0
僕の就職先は、上場企業で、僕は研究職として入社した。
新入社員は数百人いる。
最初の3か月は、社員研修ということで、営業職・研究職等全員が本社に集められ、ビジネスマナーや業界のルール等を徹底的に教え込まれる。
10人ずつくらいに班分けされ、その班で行動。研修期間中に採点されて、最終結果で優秀な班にはそれなりの厚遇が待っていた。
僕たちの班は、幸運にも、トップの採点を受けた。
僕はタイムテーブルを作成し、それぞれのみんなの希望配置先を聞き、研修の種類ごとにリーダーを決めた。
研修は、社会・会社の縮図だ。せっかくの機会なので、配属されるまでに予行演習をしようと提案し、みな、賛成してくれた。
研修期間はあっという間に終了し、それなりに充実した毎日だった。
人事部長に、呼ばれた。
部長「まあ、入って。」
僕「はい。失礼します。」
部長「君、研究職希望だったよね?」
僕「はい。大学で勉強したことを生かせる職種・・・」
部長「ああ、そういうのはいいから。実はね・・今回の研修を見ててね。君を・・・」
僕「はい?」
部長「経営企画室に配属したいんだが、いいかな?」
僕「・・えと・・・すみません。業務内容が分かりかねます。」
部長「要は、マーケティングや中長期戦略を立てる際の調査。主に、目先の利益より、今後の『金のなる木』を探す仕事だね。」
僕「大変興味がありますが、私でいいんでしょうか。」
部長「うん。誰でもいいんだ、最初は。もし、適性がなくても元々の研究職にいれてあげよう。研究職に着いた後、目先にとらわれないような考え方を持っていても不利にはならないよ。」
僕「聞くまでもなく推測できますが、なぜ私なのでしょうか。」
部長「まあ、君のいた班がトップだったのもある。あの班は、もともと成績優秀者を集めていた。」
僕「そうだったんですね・・・私がそこに入っていることに驚きました。」
部長「謙遜はいい。で、営業希望の子がね、今回の研修のトップ成績だったんだけれど、君のことを推薦していたよ。「彼のようなヤツと一緒に仕事がしたい」と」
僕「ああ。彼は優秀でしたね。私は、彼のやりたいことをサポートできるような体制をとっただけですが・・」
部長「昨今、潤滑油ですなんて言う新入社員が増えているが、君は、いい意味で潤滑油だよ。これからも、営業の役に立つようなバックアップを、経営という観点から考えてみてくれ。」
僕「・・こんな私でよければ、お願いします。頑張ります。」
僕は、本社の、経営企画室に配属された。
新入社員で配属されたのは僕ともう一人。もう一人も、同じ班にいた人だった。
彼とは今でも交流がある。
60: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/05(月) 14:18:23.36 ID:4rIlbJtc0
配属先について、優子に連絡を入れた。
ちょうど、先述の通り、許してもらった直後くらいだった。
優子は喜んでくれた。かっこいいねと。
(補助金は出るが)自腹でいろいろ参考書物も揃えた。
最初は、先輩のかばん持ちに近かった。
簡単な書類作成。現地視察。展示会。報告書を先輩の代わりに書く。
勉強することが多く、あっという間に夜。
報告書は一般的なソフトで作成だが、提案書やマーケティング資料はイラストレーターやページメーカー・フォトショップなんかも使って編集した。
また、データ解析はオラクルやアクセスなんかも使った。
その技術習得に加え、マーケティング等の理論の勉強。時にはCGのソフトまで使っていた。
当時はまだスマホもない。デジカメも普及するかどうかの時代だ。覚えることは山のようにあった。
それでもなんとか22時には帰宅し、それから優子に数時間電話。
朝起きて・・・を繰り返した。
週末は、基本的に優子に会いに行った。
正直、体力は限界だったし、貯金も全くなかった。
それでも、とても充実していた。
優子は、そんな僕を、いつも癒してくれた。
優子が長期の休みになると、僕のアパートに来てくれて、半同棲のような時期もあった。
僕の自由があるかぎり、優子に費やした。
同期であつまれば、優子を連れて行ったし、優子のイベントがあるときは、忙しかったが平日でも有給が取れれば会いに行った。
半年ほど、そんな生活が、続いた。
僕「僕たちにとって、この距離が、ちょうど良かったんだね。」
優子「そうだね。会う時に、充実して会える。会えない時は、他のことに集中できる」
僕「まさに、そう。僕は今幸せだ。ありがとう」
優子「こちらの方こそ、ありがとう。」
優子は、大手メーカーに就職が内定していた。
僕の休みに合わせて休める職種だった。
彼女は優秀だ。氷河期と呼べる時期に、数社から内定をもらっていた。
優子「あなたのおかげです。アドバイスが参考になりました!」
僕「優子の実力だよ。よかったな。」
こんな関係がずっと続けばいい。
そう思っていた。
61: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/05(月) 14:20:59.08 ID:4rIlbJtc0
今回はここまでです。
62: 以下、
まじか
64: 以下、
待ってるよ
65: 以下、
乙です
67: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/06(火) 07:57:16.95 ID:+nN4Qjqt0
申し訳ないです。
昨日は23時には手が空いたのですが、そのまま寝てしまいました。
今日もこれから出かけて、PCの前に座れるのは夜です。
更新はそれ以降になりそうです。
ちなみに、社畜時代のエピソードが続きます。
他の女性との出会いもそれなりにありましたが、あくまで、かなり仲良くした方しか登場しません。
エロ展開は当面出てきませんので。。。
68: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/06(火) 10:12:17.01 ID:mU3CoupcO
と言いつつも、せっかく待ってる方がいらっしゃるのでスマホから。
年末年始になり、帰省した。実家を宿にしたが、特に両親とは話をしない。
優子の家に挨拶に行き、優子とイケメン弟(長瀬智也似、以下智也)を連れ出す。
僕「智也君久しぶり!髪色レインボーになってる!」
智也「久しぶりっす。僕さんも髪色変わったんスね。」
僕「先輩の影響かな。うちの部署、そういうのに寛容なんだよ。」
智也「イイっすね。俺またバイト先の店長に怒られて。。」
僕「姉ちゃんから聞いたよ!ダメだよ勝手に店長の車持って帰ってきたら!」
智也「だって彼女がどうしてもカーセックs」
優子「トモ!変な話してないで前向いて運転しなさい!」
僕「あはは後でまた続き聞かせてくれよ!」
僕たちは郊外の居酒屋で飲み明かした。
智也「ねえ、2人って結婚すんの?」
優子「こら!」
智也「いいじゃん聞かせてよ。」
僕「このまま進めばねー」
智也「うわw今からにいちゃんって呼ぶことにする!」
僕「ヤメロw」
智也「そうだ連絡先交換してイイっすか?」
僕「いいよ。これからもよろしくね」
年始になり、京介・堅、絵里奈、玲奈と会った。
70: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/06(火) 11:32:12.83 ID:mU3CoupcO
堅「久しぶりー」
僕「久しぶり。どう、元気にしてる?」
堅も京介も、地元を離れて就職した。就職してすぐのGWに会って以来だった。
京介「まあぼちぼちだな。お前音信不通すぎるんだよ今まで何してたんだ?」
僕「ごめんごめん。ちょっと忙しくてさ。連絡はしたかったけど。。」
2人とも、残業は皆無だった。2人とも研究職。会社第一主義ではないし、社会人を満喫している風だった。色々話をし、次のGWもまたどこかに行こうと話をした。
絵里奈「最近、本当に連絡くれないよね。。私、暇なんだけど。。春休み長すぎる!」
僕「学生時代しかそんな休みはないんだから、今のうちに遊んでおかないと!!」
絵里奈「その、遊んでくれる人が、目の前にいて、遊んでくれないって言ってるんですけど?」
僕「え?僕?彼氏でしょそういう役目は。」
絵里奈「え?彼氏?この2年くらいいないけど。。」
衝撃だった。絵里奈はずっと彼氏持ちだと思っていた。僕は少しだけ動揺した。
僕「ええ。。なんか衝撃。。」
絵里奈「私も春から就職だし。。その。。春休みの間。。そっちに。泊まりに。。行きたいんだけど。。」
一年前なら間違いなく喜んだ。でも、この時の僕は、そうじゃなかった。
僕「僕は、彼女がいるし、さすがに泊めることはできないな。」
この時は、本音だった。
絵里奈は、初めて、悲しそうな顔をした。
絵里奈「ちょっとみんな聞いてよ!私が先輩の家に泊まりたいって言ってんのに、こいつ彼女がいるから無理とか言うんですけど!ありえなくない?私のことなんだと思ってんの?」
僕「おいおい落ち着けって。」
絵里奈「信じらんない!来るなとか」
僕「そうは言わないよ。みんなで遊びに来ればいいじゃん。案内するよ。でも社会人になってからな。」
絵里奈「なんで?」
僕「春までは本当に忙しいんだ。毎日10時くらいまで仕事だし。」
絵里奈は不満そうだったが、GWに一緒に遊びに来ることになった。
71: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/06(火) 12:01:15.06 ID:mU3CoupcO
正月が明けて、会社に行くと、辞令が出ていた。同じ部署に配属されていた同期(田村淳似、以下淳)が異動になっていた。
僕「あれ淳、異動願い出したん?」
淳「この前のミスが響いて、開発に行けってさ。まあ俺も開発希望だったしな。」
僕「大したことじゃないと思ったけど、いろんな部署に迷惑かかって、発売も少しだけずれたもんなぁ。でも厳しすぎないかそれ。あんなの、新人に任せていい案件じゃなかったよね。」
淳「案件の規模が分からず、自信満々に進めた結果だよ。フォロー助かった。お前はここで頑張りなよ。また連絡するな。」
そう言って、淳は机周りの整理を始めた。
会社は怖い。そう思った。
昼前に、社長がフロアに来られて、新年の挨拶をされた。
社長「我が社は今、困難な情勢にある。それもこれも、皆が真面目にやらないからである。君たちは、3人いればこなせる仕事を、5人でやっている。ボーナスは今後出さない。もっと営業の要望を叶える仕事をしなさい。」
その後、部長に呼ばれた。
部長「まあ、社長があんな感じだ。うちの部署もこれから厳しくなるな。淳くんの補充はナシ。君が案件を引き継いでくれ。」
僕「キャパを超えると予想できますが。。」
部長「そうだな。だから、君の抱える案件は、これから全て課長を通すように。申請書としてあげるんだ。やってもいい案件だけ判子を押す。その他は部長命令の下、やってはいけない。」
この頃、いろんな先輩のサポートや営業所からのサポートをしていたが、毎日のレベルで様々な案件を処理していた。
部長は、その全てに申請書を出せと言っているのだ。
僕「そう言う命令ならば、今後そうします。」
僕の仕事は、予想通り、増えた。
73: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/06(火) 23:43:09.30 ID:+nN4Qjqt0
眠いけれど作業が・・
合間でよろしければ少しでも書きます。
74: 以下、
無理しないように
75: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/06(火) 23:49:30.08 ID:+nN4Qjqt0
ありがとう。
76: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/07(水) 00:24:40.73 ID:gXmY7ffH0
部長の指示を受けて申請書を出して作業をするようになってからは、僕の仕事の比率は営業所の支援が大半を占めるようになった。
つまり、部署内のサポートの仕事は激減した。
?メイン:営業所サポート
?サブ:課長のサポート
?サブ:一人の先輩のサポート
これくらいになった。
課長は本当に多忙だ。
週の半分以上は出張でいない。
また、出張のないときはだいたい会議だ。
課長「よし、じゃあ、週明けまでに、この資料をまとめておいてくれ。私はこれから出張だから。」
僕「はい。では、○○のようなイメージで作ればいいですか。」
課長「そうすると、△△のあたりで矛盾してくるだろうから、○△の資料を参考にして。」
僕「となると、□の部分にしわ寄せが・・・」
課長「とりあえず作って。メール飛ばしておいて。出張先で確認してまた電話するから。」
僕「はい。」
こんな打ち合わせを会議室で行い、自分のデスクに戻る。
そうすると、だいたい、各営業所から問い合わせの電話ありのメモ書きが何枚か貼ってある。
折り返す。
営業所からの依頼は様々だ。
その電話内で済むものも多い。ちょっと調べてメールを送ったり電話だけで終わることもある。
その電話を切ると、また問い合わせありのメモ書きが何枚か追加される。
そうやって電話をすると、電話だけでは処理できない案件が出てくる。そうなると、課長に申請書を出さなければ作業できなくなる。
申請書を作成し、課長に渡す。課長が出張でいないときは、部長に渡す。
大体の案件は似通っているので、提案書や展望書などのフォーマットに適当に落とし込めばなんとかなる。
フォーマットは、あまりにも問い合わせが多かったので、何種類か作って流用することにした。
今思えば、おそろしく拙く、ミスも多かった。
それでも、営業所の方達は喜んでくれた。
なんでも、客先の要望に、いち早く提案書などを持っていくことが大事なんだそうだ。
内容は正直二の次。客先は、自分たちの意見が反映され、自分たちのためにいち早く動いてくれる営業マンが好きなんだと。
流石は営業マンだ。あんな資料でよくもまあ客先へいけるものだ。
そう。僕の資料は、絶望的にセンスがなかったのだ。自分でも、イヤになるほどだった。
僕がそういう悩みを抱いたとき、参考にする先輩がいた。
それが、?に挙げた先輩だ。(沢村一樹似、以下沢村さん)
僕「沢村さんお疲れ様です。」
沢村「ん?お疲れ様。どうした?」
僕「□△の案件なんですが・・・参考になるような提案書がないでしょうか。場所を教えてもらえれば自分で調べます。たたき台が出来たら見てほしいです。」
沢村「んー、俺が作ってやるよ今から。ちょっと時間あるし。」
僕「え、いいんですか。ありがとうございます。」
沢村さんは、僕だったら1週間は悩んでかかるであろう資料のたたき台を、いとも簡単に、解説付きで、わずか1時間で作り上げてしまった。
しかも、僕が作るよりもわかりやすく、視覚に訴える。
沢村「こんな感じかな。あとは同じように作ってみなよ。あとで添削してやるから。」
僕「本当に助かりました。ありがとうございます。相変わらずのセンスに脱帽です。。」
沢村「お前はさ。難しく考えすぎなんだよ。お前の資料は読んでて疲れる。」
僕「そうでしょうか。もし具体的に気づくことがあるのでしたら、指摘してください。」
沢村「お前は、顧客のニーズが分かってないよ。顧客が求めてるのは、うちの会社の製品を買ったら、うちと契約したら、うちに投資したらどんないいことがあるのかを知りたい。」
僕「はい。」
沢村「言い換えると、向こうはその道のプロだ。正直、うちの提案書なんかなくたって大体の事情は知ってる」
僕「まあそうですね。」
沢村「顧客はな。自分の思った通りの提案書が出てくることを望んでるんだよ。わかるかな。」
僕「そんなもんでしょうかね。」
沢村「お前の書類は、必ずリスクの説明が入るんだよ。そんなの、顧客は望んでない。新規の案件だぞ?顧客を不安にさせてどうするんだよ」
僕「しかし、過去には同様のリスクが存在したわけで、ちゃんとそのあたりを説明した方が・・・」
沢村「新規の案件で、これから何が起こるかわからないものに、過去の事例を、新人の私見で盛り込むことの方がリスクだと俺は思うよ」
僕「確かにそうです・・・」
沢村さんの仕事は早い。そして、非常に美しい。
正直、退屈な会議が多い。
しかし、退屈な会議でも、沢村さんの提案する時間だけは、だれもが釘付けになる。
社長ですら、沢村さんを知っていた。
沢村さんは、天才だった。
そして、頭の回転がかった。先見の目もあった。
だから、自然と、僕は、沢村さんの弟子のようになり、いつしか、沢村さんの部下のような立場になっていった。
77: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/07(水) 00:50:11.09 ID:gXmY7ffH0
そんな沢村さんだが、沢村さんにも欠点はあった。
彼の提案することは奇抜で、だれもが納得できる内容で、誰もが引き込まれる。
だから、誰もがその案件に飛びつくのだが、提案の根拠となる資料は、一切ない。
彼は感覚のみで作業をし、裏付けのない資料で利益計算をする。
なので、契約後・進行後に辻褄が合わないことがあるのだ。
なので、僕が、裏付け調査や確固たる根拠を探すサポートをした。
僕には、そういうサポートの方が向いているらしい。
お客様「君、沢村さんが褒めてたよ。」
僕「え?私をですか?」
お客様「うん。彼の知識は凄いと。彼に聞けば、間違いなく納得できる資料が出てくるってさ。」
僕は、沢村さんの役に立っているんだ。
そう思うと、嬉しかった。
営業所からの問い合わせは、定時までしかない。
僕は、定時までは営業所からの応対やサポートをし、定時過ぎてから課長と沢村さんのサポートをするという毎日を送っていた。
沢村さんも、いつも夜遅くまで働いていた。
彼の周りには、いつも女性がいた。
同じフロアの子であったり、他部署の子であったり。
沢村さんは、本当にモテた。そして、変態だった。
爽やかに女性を見送り、僕に呟く。
沢村「あいつ、いいケツしてるよな。このコーヒーを、あのケツに、流し込んでやりたい!」
僕「ええ・・趣味悪いですよ・・・」
沢村「ああ・・そうして・・あの子の表情が・・・苦悶のそれに変わって・・・ウヒヒ」
僕「ひどい・・・」
沢村「そうだお前、うちのマンションに引っ越して来いよ。」
僕「え、あのマンション高そうですからやめときますよ」
沢村「大丈夫だよ。会社に申請すれば家賃全部持ってくれるから。」
僕「そうなんですか!このご時世、通りますかね?」
沢村「俺が通してやるから気にすんなよ。あそこはいいぞ。防音がしっかりしてる。」
僕「それは魅力的ですね。」
沢村「ああ。防音は大事だぞ!悲鳴が外に漏れない!」
僕「ええ・・・」
帰宅は、午前様になることも出てきた。
このころは、仕事が楽しくてしょうがなかった。ただ、他部署の同期が定時付近で帰宅しているのを見ると、うらやましくもあった。
気づけば、毎晩のようにしていた優子への電話もだんだん短くなり、いつしか数日に1回の電話になり、メールでやり取りする程度になっていった。
そして、会う頻度も、毎週だったものが、隔週になり、月1になった。
優子は、気が付けば大学を卒業し、社会人になっていた。
毎日はあっという間に過ぎ、GWがもうすぐ来ようとしていた。
78: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/07(水) 01:15:32.82 ID:gXmY7ffH0
GWは完全にオフにできた。嬉しかった。
沢村「俺はタイで過ごすわ。あっちは物価が安いからな。豪遊できるぜ」
僕「いいですねぇ。行ってらっしゃい!」
沢村「ああ・・お前も連れてってやりたい・・・(自主規制)の楽園に・・」
僕「・・・・ええ・・・」
淳「俺は帰省だ。お前は帰省するのか?」
僕「いや。まだ引っ越したばかりだし、片づけもあるしな。友達や彼女は来てくれるんだってさ。」
僕は、沢村さんの住むマンションに引っ越していた。
間取りもいいし、快適だ。
僕「なんなら、淳もこっちに引っ越して来いよ。駐車場代も会社が持ってくれるし、こっちの方が得だと思うよ。」
淳「ああ、そうか・・・こっちの方がジムも近いしなぁ。考えておくよ」
それぞれが、それぞれの思惑で、休みを過ごす。
優子が遊びに来てくれた。久しぶりだった。
僕「優子!会いたかったよ!」
優子「私も!ゆっくりしようよ。」
僕「ああ。どこか行きたいところある?一緒に行こう。」
優子「とりあえずは、ご飯食べよう!作りたい!」
僕「いいね!買い出しに行こう」
優子は上機嫌だった。
優子、愛している。
僕は、料理をしている優子を後ろから、そっと抱きしめた。
僕「優子、愛してるよ。」
優子「・・・」
顔を覗き込むと、真っ赤だった。
僕「どうしたの?」
見ると、ちょっと小刻みに震えていた。
僕「?」
優子「ねえ・・・どうしよう・・・」
優子は、僕の手を、自分のスカートの中に、入れた。
その下着越しでも、ぐっしょりと濡れているのが分かる。
優子「今、あなたに・・抱きしめられただけで・・・こうなっちゃった・・・」
僕は、包丁を取り上げ、優子を抱きかかえた。そのままベッドに放り投げる。
僕「もう我慢できない。優子、脱げ」
優子「ちょっとww久しぶりなんだから優しく」
僕「知らん!自分で脱がないなら・・脱がしてやるww」
優子「キャー変態、ちょっとどこ触って・・・くすぐったい・・ちょっと・・・あっ・・ん・・・もう・・もっと・・」
優子の足先から、指の先まで、撫でた。そして、下を這わせた。
彼女の全てが欲しかった。
彼女のぬるぬるぐしょぐしょになったアソコは、いとも簡単に僕のアレを受け入れ、挿入と同時に彼女はのけ反り、ビクンビクンと波打った。
僕も、数秒で果てた、初めてだった。
優子「あたまが・・・ボウっと・・・する・・・動けない・・」
僕「寝てなよ。僕がご飯作るから」
優子は裸のまま毛布に包まり、僕が料理をするのを見ていた。
僕は、幸せを感じていた。
まさか、その翌日、この幸せに亀裂が入るなんて、想像もしていなかった。
79: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/07(水) 01:40:47.67 ID:gXmY7ffH0
翌日は、観光して回った。
費用は、僕が出した。
夕ご飯は、レストランで済ませた。
そのレストランで、事件は起きた。
僕「優子、提案があるんだけれど。」
優子「何?」
僕「今までは、僕が社会人であったし、優子は学生だったわけじゃない?」
優子「そうだね。今までは学生って立場だったから、甘えまくってた」
僕「そうなんだよね。これからは、対等な立場になる。」
優子「うん。」
僕「実は・・僕は今、あまり貯金がないんだ。遠距離恋愛の費用は僕が全部出していたし、この場所に引っ越ししたり、会社の付き合いもゼロじゃないし。」
優子「つまり?」
僕「言いにくいんだけど・・これから二人で会ったり、何かした時は、一部だけでも負担してもらえないだろうか?」
今思えば情けない提案だけれど、当時の僕は切実だった。
これから結婚などを視野に入れれば、貯蓄は必要だ。今のままでは、全く貯蓄ができない。
優子「ええ・・イヤよ。今まで払ってくれたのに、急に負担しろって言われても・・」
僕「優子は地元に就職したから、実家から通ってるわけだし・・・金銭的余裕はあるんじゃないの?」
優子「え?あるよ?そのために実家から通えるところにしたんだもの。」
僕「僕は、この一年、貯蓄できずにいたわけで、その大半の理由は優子と付き合うためで・・」
優子「それは、あなたが提案したことよ?いい?私は社会人になったの。これからやりたいこともあるし、将来への不安もある。貯蓄はできるうちにしたいの。」
僕「僕も去年全く同じことを考えてたよ・・」
優子「なら私が貯蓄したいのもわかるよね?それに、私もこれから休みが取れなくなるよ?社会人の付き合いって多いのよ?」
僕「うん。多いよ。僕は、それを断ってきたんだよ?そして。この一年、正直白い目で見られることも多かったよ?あいつは付き合いが悪いって。」
優子「なら、私が社会人の付き合いを大事にしていきたいっていうこともわかるわよね?」
僕「え・・・」
絶句した。
僕は、優子が社会人になれば、僕のこの一年間の苦労・大変さが本当の意味で身に染みてわかってくれるものだと思い込んでいた。
ああ、毎週会いに来ることってこんなに大変なことなんだ。
ああ、毎晩電話することって、こんなに大変なことなんだ。
ああ、貯金せずに遠距離を頑張るって、こんなに大変なことなんだ。
僕の優子への愛情が、こんなに深いものなんだ。
そう、理解してくれるものだと思い込んでいた。
この時、自分の中で、何かが壊れた。
優子「正直、私は今まで、籠の中の鳥だったわ。社会に出てよくわかった。社会に出たら、やりたいことが山のようにある。」
僕「・・ああ。全くの同意見だよ」
優子「私には可能性がたくさんある。遠距離恋愛でその可能性が減ってしまうのなら・・」
僕「減ってしまうのなら?」
聞いてはいけない。
この先は聞いてはいけない。
僕「減ってしまうのなら、なんだよ!!」
優子「私は、あなたと一緒には歩いていけなくなるわよ!」
彼女は、そのまま何もしゃべらなくなった。
そして、部屋に帰ると、荷物をまとめ、帰っていった。
80: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/07(水) 02:07:46.35 ID:gXmY7ffH0
翌日は、なにもやる気が起きなかった。
優子からの連絡は、ない。
僕はふてくされて、そのまま寝て過ごした。
その翌日、堅と絵理奈、玲奈が遊びに来た。
本当にうれしかった。
僕「まあ上がってよ。」
堅「引っ越ししたばかりって感じだな。ほれ、お土産。」
地元のお酒を買ってきてくれた。
京介は職場に呼び出されて来れなくなったらしい。
僕たちは、観光もそこそこに飲み始めた。
くだらない会話で、馬鹿笑いをする。
この時間が、僕をいやしてくれた。
気が付けば深夜になっていて、全員がゴロ寝していた。
なぜか、玲奈が僕に抱き着いて寝ていた。僕はそれをそっと外すと、堅の方へ押し込んだ。
玲奈は、パッと目を開けた。玲奈は、起きていた。
僕「起きてたのか。」
玲奈「うん」
僕「ほら、寝るならあそこで寝なよ。」
玲奈「いいじゃんここでも。ここで寝て不都合でもあるの?」
僕「うーん・・そうじゃないけど・・」
玲奈はニヤリと笑った
玲奈「絵理奈と二人になりたいの?w」
僕「GW前までなら否定したw」
僕と玲奈は椅子へと移動し、缶ビールを開けた。
そして、優子とのことを話した。
玲奈「はっきり言っていいですか?」
僕「うん。」
玲奈「その彼女、やめときなよ。打算的すぎるよ?信用されてないよ。」
僕「まさか玲奈にそんな説教されるとは・・」
玲奈「先輩、イケメンなんだし、仕事熱心だし、すぐ新しい彼女もできるよ。なんなら絵理奈を今ここで襲っちゃえばそれで」
僕「お前は・・自分の友達を何だと・・・」
玲奈「それを言うなら、先輩にとって、絵理奈はなんなんですか?いっつもいっつも一緒にいたがるくせに、彼女がいるから何とかとか」
僕「うっ」
玲奈「絵理奈だって、バカじゃないですよ?いままで先輩にされてきたこと、何とも思ってないとでも?」
僕「・・・言葉もありません・・・」
玲奈「堅君が知ったら、どう思うんですかね?」
僕「・・説教なら聞きたいくない。寝るわ」
玲奈「だいたい、こんな状況にあって、襲わない方が失礼というか・・その・・」
あれ?何か状況がおかしい。
玲奈の顔が近づく。
これは、ヤバイ。
それだけはいけない。手を出してはいけない。
この時、玲奈に彼氏がいるかどうかまでは知らない。でも、親友が気にかけている子にまで手を出したら、それは人として終わっている。
僕の手は、なんとか、彼女を押し留めようと動こうとした。
きっと、数日前なら、拒否して張り倒していた。
でも、その日、僕は、近づいてくる玲奈の顔を、遠ざけることが出来なかった。
と、玲奈がニヤっと笑った
「私が、キスすると思ったんでしょwそんなことするわけ」
最後までは聞かなかった。
僕は、遠ざかろうとする玲奈の顔を両手で抑え、そのままキスした。
81: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/07(水) 02:27:58.90 ID:gXmY7ffH0
玲奈は試したのだ。冗談で済ませようとしただけだ。
本当は冗談のつもりだった。でも、先輩が本気にして、成り行きでキスしてしまった。そういう筋書きが欲しかったのだろうと思う。
玲奈は少しだけ抵抗するそぶりをしたが、すぐに僕の顔を両手で抱え、包み込むようなキスをしてきた。
僕は、そのまま、手を腰に回す。
そして、僕の腰を、玲奈の腰に擦り付ける。
僕のアレは、はち切れそうになっていた。
玲奈がそれに気づき、目を開け、キスをしたまま、顔を横に振った。
「それはダメ」と言いたかったのだろう。
僕は、無視し、玲奈のジャージ(そういえばいつの間にか着替えていた)を下した。
玲奈は抵抗する。
「あんまり騒ぐと、堅も絵理奈も起きてくるんじゃないかな?」
玲奈の顔が赤くなる。
僕は、薄暗い中、玲奈の真っ白な太ももを直視した。
舌で、太ももを、なぞる。
玲奈「ちょっと・・・先輩・・ダメですって・・・んっ・・・」
そのまま、舌を、下着にまでもっていく。
玲奈の両手は、僕を拒もうと、必死で押し返してきた。
僕は、ガラ空きになった胸を、両手で揉んだ。柔らかな感触が両手に返ってくる。
玲奈「ダメです!本気で叫びますよ!」
僕「叫べば?」
玲奈はそれを聞き、力を緩めた。
玲奈「楽しいですか?こんなことして。」
僕「楽しくはないな。興奮してる。できれば、玲奈も楽しんでくれる方がイイな。楽しもうよ。」
玲奈「・・・秘密に・・・してくれますか?私・・・純情なキャラで通してるんです・・」
僕「パンツぐしょぐしょで何言ってんだよ。わかった誰にも言わない。」
玲奈は、急に態度を変え、激しく求めてきた。
薄明りの中でも、玲奈は、美しかった。
最初で、最後。僕は、彼女の中を、突き上げた。音だけは、立てないように気を付けた。
興奮した。
背徳感に、完全に、負けた。
あの時は、どうかしてた。
いまだに、後悔している。
行為の後、二人でシャワーを浴びた。その間中、抱きしめあった。
そして、体をふいた後、念を押した。
「二人だけの秘密だ。二度と関係を持たない。」
これだけは誓える。
この後、玲奈には特別な感情を持ったことは一切ないし、関係を持ったこともない。
そしてもう一つ言える。
僕は、クズだ。
82: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/07(水) 02:28:57.87 ID:gXmY7ffH0
今日はここまでです。
おやすみなさい。
84: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/07(水) 16:15:00.50 ID:q8PQdfB40
翌日、何食わぬ顔で、観光をした。玲奈は少し、僕に近づきたがっていた。
堅は、絵里奈に近づきたがり、絵里奈は堅に近づいていた。(すみません、前回の書き込み、漢字間違ってましたね・・)
僕は、言い表せない苛立ちを覚えた。
皆の感覚が、大学生とは違ってきている。
僕だってそうじゃないか。
人は、時が経てば、考え方は変わる。人の感情だって変るものだ。
その夜、僕は、酔ったふりをして、絵里奈に抱きついた。絵里奈は、嫌がった。
続いて、玲奈と堅を、同時に抱きしめ、二人をぴったりとくっつけ、離れなれないようにした。
ただの嫌がらせだった。
僕はそのまま、寝た。もう、どうでもいい。
真夜中、目が覚めた。
電気が点いたままだ。絵里奈が、一人、座って飲んでいた。
堅と玲奈は、抱きつたまま寝ていた。
僕「ああ・・頭痛い・・・」
絵里奈「・・起きちゃったんだ。ごめん。うるさかった?」
僕「僕、飲みすぎるとすぐ起きちゃうから、違うと思う。」
絵里奈に新しいビールを渡し、ぬるくなった方を貰って飲んだ。
僕「ふー。なんだか疲れた。何やってるんだろう、僕。」
絵里奈「私たちが来て・・・迷惑だったの?」
僕「まさか。来てくれて助かったし・・・う・・うれしくて・・」
絵里奈「・・なんで泣いてるのよ・・意味わかんない。」
いろんな感情が渦巻いていた。
僕「そうだよなぁ。僕、仕事のしすぎで疲れてるのかな。性格まで変わってしまった気がするよ。」
絵里奈「そんなとこないよ。僕君は、目の前のことに情熱を注いで、興味のあることには時間もお金も惜しみなく使う。」
僕「ああ・・・その通りだ。」
絵里奈「向上心の塊みたいで、そのくせ、妙に子供っぽいところも、何も変わってないよ。」
絵里奈は、そっと、僕にキスしてくれた。
僕「・・・そんなキスが・・したかった・・・」
絵里奈は、僕が眠りにつくまで、膝枕をしてくれた。
翌朝、すっきりした気持ちで3人を見送った。
僕「気を付けて帰れよ。また今度集まろうな。次は、お盆かな。堅の働き先だな。みんなで行くよ」
堅「いいね。みんなで来てよ。」
玲奈「じゃあ先輩、またね」
僕「ああ!仕事忙しそうだけど、ちゃんとメシ食えよ!」
絵里奈「今度は、ちゃんと相手してもらうからね!」
僕「わかったわかった。また連絡するよ!」
僕のGWは終了した。
GW過ぎると、優子との連絡は激減した。
連絡しても、何を言っても、揚げ足を取ってくる。
なんだか、嫌いになる理由を探しているようだった。
優子「私も忙しいの!今だって、ようやく帰ってきたところなのよ?こんな夜中にかけてこないでよ!」
僕「・・僕、まだ会社で働いてるんだけど・・・ちょっと休憩中に電話をしているわけで・・」
優子「こんな時間まで働いて、何やってんの?仕事の能力ないんじゃないの?」
僕「えっ。だから、5年間は仕事に打ち込んで・・・」
優子「趣味とかないわけ?仕事するしか能がないの?」
僕「・・もう、いいよ・・・」
優子「いいって何?私の貴重な時間を奪っておいて、いいってどういう意味?」
僕は、限界を感じた。この日を境に、お盆まで、連絡を取らなかった。
優子からも、連絡はなかった。
そんな時、意外な人物から電話が来た
僕「もしもし?どうしたの?」
智也「久しぶりっす。ちょっといいですか?」
智也。優子の弟だ。
85: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/07(水) 16:54:50.29 ID:q8PQdfB40
智也「どうしても、我慢できなくて。」
僕「・・・一応、聞こうか。」
智也「姉ちゃん、たぶん浮気してますよ。」
僕「そっか・・・まあそうなるよな・・・」
智也「え?僕さんも気づいてたんスか?」
僕「いや、最近、妙によそよそしかったから。。。」
智也「え?そうじゃなくて・・・」
僕「・・・え?」
智也「最近のことじゃなくて、今年に入ってすぐぐらいから、たぶん浮気してますよ、姉ちゃん。」
僕「・・・」
絶句した。
どうやら、年明けから、優子がたまに車で送り迎えをしてもらっているらしい。
誰だろうと思っていたら、春先から、毎朝出社する時に、同じ人が迎えに来ている。
家を出て、少し歩いたところに車が止まり、隠れるようにその車に乗っていくと。
最近は、あまり隠すつもりがないらしい
断片的な情報を取りまとめると、どうやら、同じ会社の先輩らしい。
就職活動中に企業訪問で知り合い、それから親しくなったようだった。
智也「本当なら、僕さんには内緒にしたかったんスけど・・・どうしても姉ちゃんが許せなくて・・スンマセン」
僕「あはは。そうか。だからか。なんかすっきりしたよ。ありがとう。教えてくれて」
智也「・・やっぱり、姉ちゃんと別れちゃうっすよね・・」
僕「まあ、あくまで浮気の可能性だしな。お盆には帰省するから、その時に話し合って考える。」
智也「僕さんは。。。優しいんスね・・」
僕「そんなんじゃないよ」
そんなんじゃない。
僕は、自分が納得して、別れたかった。
それだけだった。
GW明けてから、仕事は混沌としてきた。この頃法改正があり、本社も営業所も大混乱していた。
新入社員は、うちの部署には配属されなかった。
いつしか、営業サポートの仕事は違う部署でやってくれることになった。
専門のグループができ、部署内の数人がそちらに異動。他の部署からのスタッフとともに支援にあたるようになった。
法改正にかかわるメリット・デメリットの資料集めが、僕のルーチンワークになった。
うちの業界のあり方を考える社会問題も発生し、その問題提起への対応も、僕の仕事になった。
課長も、それ関係の出張が増え、週1日くらいしか会社にいなくなった。
仕事は忙しかったが、とてもやりがいを感じた。
おそらく、法改正問題やその手の対応については、その業界で僕が一番詳しかったと思う。
対応について、プレゼンを依頼され、皆の前でプレゼンもするようになった。
新入社員の在り方について、今の社会情勢について、新入社員研修に講師としても呼ばれた。
プライベートの充実度が下がれば下がるほど、会社内での僕の評価が上がる。
いや、会社内での評価じゃない。上司の評価が上がる。
僕は、基本的に会社主催のイベントには参加しない。
優子との時間を優先したからだ。
そんな僕が、偶然、脚光を浴びてしまった。
同期および近い年代の一部から、冷たい視線を浴びるようになったのは、この時くらいからだったと思う。
87: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/07(水) 17:32:05.59 ID:q8PQdfB40
社長は、年始に「ボーナスはない」と仰った。
だが、実際には、(多くはなかったが)ボーナスが出た。
ボーナスの支給額は、人によって違う。そう、査定によって差が出ていた。
本社でS評価だったのはただ一人、沢村さんだった。
そして、同期でただ一人、僕だけがA評価を貰い、あとの同期はBCD評価だった。
「人事部曰く、同期で一人だけAだったやつがいるらしい」
「誰だろうな。営業のやつじゃないか?」
「営業で2年目でA評価ってヤバいだろう。」
まさか、自分が最高評価だとは思わなかった。
きっと、営業支援というのが社長の言いたいことを実現させたということなんだと思った。
僕は、沢村さん以外には誰にも言わなかった。
沢村さんは、じゃあ祝杯をあげようと言ってくれた。嬉しかった。
この評価は、1年続く。同じ働きをすれば、また好評価が出るだろう。
それはつまり、自分が出世コースに乗ったということでもある。
出世。
やってやる。どこまでも昇ってやる。
最初は、優子のためだった。でも今は自分のためだ。自分のために、自分を磨こう。
GW前、懇親会があった。
同じ部署での飲み会であったが、参加したのは初だった。
ここでちょっとした事件があった。
僕のことを面白く思っていない先輩に、取り囲まれた。
88: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/07(水) 17:35:21.20 ID:q8PQdfB40
河村隆一似、以下河村さん
河村「よお、やっと出てきたか、僕君よ。お前付き合い悪いよな。そんなんで、うまくやっていけると思ってんの?」
伊藤淳史似、以下伊藤さん
伊藤「お前痩せてんな。ちょっと脱いでみろよwいいじゃねえか俺も脱ぐからよw」
鈴木亮平似、以下鈴木さん
鈴木「おっしゃ!俺も脱ぐぞwwそれ!お前もぬーげ!ぬーげ!ぬーげ!」
本人たちは、たちの悪いいたずらのつもりだったろう。
そして、僕の困った姿を見て、笑いたかったのだろう。
きっと、去年の僕なら、そんな反応をしたと思う。
気の毒そうにこちらを見る女性先輩社員。
気にも留めない男性先輩社員。
笑い転げている上司。
僕は、不愉快だった。
ああ。いいさ、受けて立ってやるよ!
僕がサークル時代、どんな感じだったか知らないんだろう。
僕は、真面目くさったボンボンじゃない!
スイッチが入った。
僕「よっしゃ!僕の肉体美、とくと見せてやる!ひょおおおおおおおおっ!!」
河村・伊藤・鈴木「え・・・うおおおお!いいぜその乗りィィィ!!!脱げ脱げ!!」
僕「うわさむっ!こおおおおおおおっ!!」
河村「やっぱガリガリじゃねーかwwwおらこっちこいやマジックで乳首黒く塗ってやる!」
僕「河村さんだって汚いギャランドゥー見せないで下さいよ!伊藤さん、ライター!」
伊藤さんは意図を察して、すばやくジッポーを手渡す。
僕「喰らえ!チ○ゲファイヤー!!」
シュボッ
河村「?!?!あつっ!おまっアチチチ!!」
懇親会は大爆笑に包まれた。
鈴木「お前いいやつじゃねーかwビールついでやるよ飲め!」
僕はそのビール瓶を奪い、瓶のまま一気飲みした
皆が盛り上がってくれ、拍手をしてくれた。
僕「?!ゴフッ。ゲホゲホ。ガボボボボ!!」
僕は失敗し、瓶の中身があふれ、店内は大惨事になった。
店員「お客様?!ちょっと!困ります!」
一時間後、僕と河村さん・鈴木さん・伊藤さんは、上半身裸のまま、課長の前に正座させられていた。
課長「お前たちな・・・週明け、部長に今回の件について、俺が報告することになっちゃったじゃないか・・」
店員さんに、警察を呼ばれてしまった。
僕「すみませんでした。僕が学生の雰囲気のまま飲んでしまいました。」
鈴木「いやいや。僕たちのいたずらが過ぎました。僕君は悪くないので、責任なら先輩の3人で・・・」
課長「まあ、楽しかったからそれはいいさ。監督責任は俺だからな。懇親会で盛り上がりすぎた。今後の仕事で仲良く仕事をして挽回するので勘弁してください。部長への報告はそれでいいな?」
河村「はい。お任せします。申し訳ありませんでした。」
部署内での僕の評価は、よくなったのか悪くなったのかわからない。
すくなくとも、冷たい視線は、なくなった。
それから、なぜか、女子社員とは仲良くなっていった。
近寄りがたい雰囲気がなくなったのは間違いなかった。
89: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/07(水) 17:43:18.08 ID:q8PQdfB40
出かけるのでここまでです。
夜、時間があれば再開します。
90: ◆71vVbFpf.c 2016/12/07(水) 18:03:07.67 ID:DyefMgGCO
訂正です。GW前に懇親会があったと書きましたが、お盆前です。失礼しました。
91: 以下、

92: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/08(木) 09:52:35.91 ID:FHQvacEn0
お盆に帰省するつもりだった。
帰省して、優子としっかり話し合おう。
その返答次第では、優子とはもう会わないでおこう。
そう、心に決めて、優子に電話をした。
優子「もしもしー。久しぶりー。元気だったの?」
僕「ああ。相変わらず、仕事ばかりの毎日さ。そっちは?」
優子「こっちも仕事ばっかりだよ。社会人って、大変ね。」
案外、普通に話せた。
お互い、GWからお盆までにあったことを話し、笑いあった。
ふと、間ができた。
お互い、次の言葉が何になるのか、予想がついた。
僕「とまあ、僕が電話したのは、日常会話がしたかったわけではなく。」
優子「・・・そうだね。こういう話は、男側からするのがいいのかな?」
僕「優子がその方がいいのなら。」
ああ。
そうか。
もう、会って話すまでもない。
なぜ、今、楽しく話せたのか。
僕はもう、優子に興味がないんだ。だから、憎くもない。ただ、普通に、世間話を、楽しくしただけなんだ。
優子「・・・私は、そばにいてほしかった。」
僕「そうだろうね。そこに関しては、謝る。悪かった。」
優子「誕生日も、一緒にいられなかった。私の卒業式も。」
僕「うん。」
優子「卒業式の時、惨めだった。他の友達は、彼氏が迎えに来てくれたのに・・・私だけ一人だった。」
僕「平日だったからね・・・社会人になった今ならまた考えも違うだろうけど、当時は悲しかったろうな。」
優子「うん。今の私なら、理解したかもだけれど、やっぱり当時は許せなかったし、今でもしこりとして残ってる。」
僕「なるほど。」
優子「私が寂しい時、駆けつけてくれなかった。逆に、あなたが寂しい時、すぐには駆けつけられない。」
僕「遠距離だからね・・」
優子「最初は、それなら、そっちに就職して住めばいいと思ってた。」
僕「・・・そう思ってくれる時期があっただけでもうれしいよ」
優子「でも、いざ就職していろいろ考えも変わった。」
僕「お互い、まあ最近は連絡も取ってなかったけれど、もう連絡を取るのをやめようと思う。」
優子「そうだね。別れましょう。」
僕「よくもった方だと思うよ。学生時代のあの感じから。」
優子「・・・はっきり言っていい?」
僕「うん」
優子「あなたと付き合って、後悔してる。付き合わなければよかった。」
僕「そうか・・」
優子「あなたのために就職先を限定しちゃったし、あなたのために貴重な大学生活を使っちゃった。時間を返せと言いたい。」
僕「そっくりそのまま返すよ。僕の社内の評価もむちゃくちゃだ。もっと早く別れてればよかったよ。」
感傷には浸らなかった。
最後まで、喧嘩した。
僕「・・・僕はもう疲れたよ。清々する。次に誰と付き合うかしらないけど、次はもっと合うヤツと付き合いなよ。」
優子「友達にも言われたよ。もっとマシな男と付き合いなさいって。」
僕は、モヤモヤしてる気分のまま、いきなり電話を切った。もういい。
もう飽きた。
優子のことをもう、思い出さなくてもいいんだ。
僕の部屋には、僕と優子が仲良く頬を寄せている写真立てがある。
僕はそれをパタンとたたみ、引出しの中にしまった。
93: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/08(木) 10:50:08.71 ID:FHQvacEn0
翌日、土曜日。特に予定もない。時間は昼過ぎ。
来週のお盆を控え、堅たちに会うため、旅行の荷物を整理していた。
玄関のチャイムが鳴った。
淳「よお。ちょっといいか?」
淳は、僕と沢村さんのいるマンションに引っ越してきた。
そして隣の部屋に住んでいる。
僕「どうした?」
淳「実はさ、同期の子達と遊びに行った帰りなんだ。」
僕「ほうほう。それで?」
淳「結衣ちゃん(新垣結衣似)と翼ちゃん(本田翼似)いるだろ?俺とお前合わせて4人で、これから出かけないか?」
外には、淳の他に、結衣と翼がいた。
僕「・・・んー、ああ、ちょうど暇だったし、いいよ。」
淳「よし。じゃあ俺はちょっと準備があるから、結衣ちゃんと翼ちゃんを部屋にあげてもらってもいい?」
僕「え・・・お前の部屋でいいだろ。いったんそっちの部屋に集まろうぜ。」
淳「(部屋、片付いてないんだよ!頼むよ!俺が結衣ちゃん好きなの知ってるだろ!)」
僕「(そうだけど、いきなり来るヤツがあるかよ!こっちだって片づけが・・・)」
翼ちゃんが、不審そうな顔をしている。
翼「何コソコソ話してるの?私、淳君の部屋なんて行かないよ?結衣も行かせないよ?僕君は信用できるけど・・・」
僕は苦笑した。前途多難な恋路だ。
僕「わかったよ。翼ちゃん、結衣ちゃん。僕の部屋で待ってなよ。ペットボトルのお茶が何本かあるから、適当に飲んで待ってよう。」
結衣「え?いいの?じゃあお邪魔します!」
翼「おじゃましまーす!わあ、綺麗に片付いてる!っていうか物がない!」
淳「物なさすぎだろ!どうやって生活してるんだここで!」
僕「まあ、基本仕事して帰って寝てるだけだからな・・・てか淳ははやく出かける準備してこいよ・・」
淳「わかってるって!あ、ちょっとこっち来てくれ。」
淳「(なあ、なんとか結衣ちゃんを俺の部屋に来させられないかな。30分くらいで片づけるから、それまで繋いでてくれ)」
僕「(お前は、さっきの会話を聞いてなかったのか?信用させてないのに部屋に上がってくれるわけないだろ)」
淳「(それをできるのがお前だろ?)」
僕「(アホか!そもそも無計画すぎ・・・)」
結衣「・・・淳君、何たくらんでるの?」
結衣が後ろにいた。
94: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/08(木) 10:52:39.07 ID:FHQvacEn0
淳「いや、あの、その・・・と、とりあえず支度してくるから!」
淳は逃げるように出て行った。
僕「淳にも、困ったもんだな。」
僕は苦笑した。
結衣「ほんとだよね。下心が丸見えというか。悪い子じゃないんだけど、露骨なんだよね・・」
二人で苦笑した。
結衣とはそれなりに仲良くやっていた。
出会いは、入社試験にまで遡る。
その日、試験会場に来ていたのは2人だけ。実は特別採用枠だった。
彼女は美術系の大学出身で、商品展開や初期イメージ図なんかを作りたいと言っていた。PR資料として、大学時代に描いたスケッチや
パースを持参していた。正直、可愛かった。
結衣「お互い入社できたら、仲良くしてくださいね。」
僕「ああ、その時はよろしくね。」
次に会ったのは、内定式の時。
結衣「あ!僕くん!内定貰ったんだね、お久しぶり!」
僕「久しぶり。本当に同僚になるとはw」
ちょっと2人で抜け出し、お互いの自己紹介などをした。
ずっと付き合ってる彼氏がいて、遠距離になる。
自分は一つしか見えなくなるから、振られないか心配。
会社に入るのが不安
そんな感じの話をしたと思う。
新人社員研修では、彼女もまた僕と同じ班だった。翼もだ。
結衣と翼はその後、商品開発部に配属され、2人で深夜まで働いていることは知っていた。
たまに、社内メールをやり取りしていた。
結衣「久しぶりの休みだし、本当はゆっくりしたいんだけど。。」
僕「ゆっくりすれば?僕の部屋・・はちょっとあれだけど、淳なんて放っておいて、適当にドライブとか。あ、体動かすの好きなんだっけ?
近くに打ちっぱなしあるし、行く?」
結衣「ゴルフやったことないw」
僕「え?僕もないよww」
結衣「なにそれww楽しそう。いっちゃう?w」
そんな雑談をしていたら、リビングにいた翼が歓声を上げた。
95: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/08(木) 10:57:47.17 ID:FHQvacEn0
翼「ああ!これって僕君の彼女??かわいいね!!」
翼は、勝手に引き出しを開け、物色していたのだ。
僕「ええ・・翼ちゃんなにやってるの・・・」
結衣「あ!本当だ!可愛い!この子が、例の彼女?確か、もう少ししたら結婚するんだよね?!」
翼「ええ!そうなの?なに幸せなんじゃん!!」
・・・
僕「・・・あのさ・・何勝手に僕の机を・・・」
結衣「頬なんてくっ付けちゃって、ラブラブなんだね!僕君のイメージにないよww」
僕「・・話を・・聞いてるのか・・・?」
翼「ねー。僕君の写真、ニヤニヤしてるww」
八つ当たり。
本当に、ただの八つ当たりだった。
この2人だって、楽しむネタが欲しかったのだろう。
でもこの時の僕には、この2人が、憎悪の対象に見えてしまった。
僕「人の話をちゃんと聞け!!」
場が凍った。
翼「・・え?何?・・え?」
僕「何勝手に僕の机開けてるんだよ!勝手に触るな!お前は僕のオカンか?え?」
翼「あ、えと・・ごめんなさい・・」
僕「結衣ちゃんも、そんなに僕のプライベートを暴くのが楽しいの?なんなの?放っておいてくれよ!詮索するなよ!」
結衣「・・・すみません。。」
僕「出て行けよ!淳んとこにでも行って来い!」
僕は2人を押し出して、隣の淳の部屋のドアを蹴とばした。
ドン!!
ドン!!
僕「おい淳!!早く出てこい!!」
驚いた淳が、顔を出す
淳「な、なに?どうした・・・」
有無を言わさず、結衣と翼を押しこめ、ドアを閉めた。
そして、僕は自分の部屋に戻り、鍵をかけた。
ふざけるな。
何が幸せそう!だ・・
ふざけるな・・・
ふざけるなよ・・・
何やってるんだろう僕は・・・
その10分後、チャイムが何度か鳴らされた。
ドアスコープ越しに覗き込むと、結衣が、申し訳なさそうに、そこに立っていた。
僕は、無視した。
翼と淳はどうしたのかは知らない。
ただ、結衣は、それから1時間ほど、僕の部屋のドアの前で、立っていた。
気が付くと、もういなかった。
最悪だ。
最悪な人間だ。
最悪な僕。
僕は、最悪な気分のまま、週明けを迎えた。
96: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/08(木) 11:46:26.39 ID:FHQvacEn0
月曜日、始業前に、僕は開発部に顔を出した。
淳に会った
僕「土曜は悪かったな。」
淳「ん?ああ、いいよ。あの後ちょっと話し込んで、意外と盛り上がってさ。最後は3人で飲みに行ったんだ」
僕「そうか。まあそれならそれで良かったか。」
淳「なんかお前の逆鱗に触れたって言ってたぞw何やったんだよw」
僕「気にするなw」
ああ、気を使わせちゃったな。
なんだかんだ、皆、頭の回転がく、物わかりがいい。
午後の業務前に、商品開発部へ顔を出した。
もちろん、結衣と翼に謝るためだ。
翼はいなかったが、結衣はPCの前で仕様図と睨めっこしていた。
僕「結衣ちゃん。その・・」
結衣「!僕君!この前はごめんね!急にお邪魔しておいて、失礼なことばかりして!」
僕「いやいや・・ちょっといろいろあって、ナーバスな日だったんだ。こちらこそごめん。翼ちゃんは?」
結衣「翼は今日、出張だから、帰ってきたら伝えておくよ。」
僕「そうか。申し訳なかった。また遊んでね。」
結衣「いいの?ありがとう。じゃあ、この案件が終わるのが上期終了くらいだから・・・10月くらいかな?みんなでどこか行こうか。」
僕「いいね。車出すよ。それまで仕事に打ち込もうか。」
結衣「はーい。うーむ。この仕様が分からない。。なんでいきなりこの仕様が追加されたのか・・」
僕「ごめん、その仕様図の追加項目に、僕が口を出すのはあれだけど・・」
結衣「ん?」
僕「それ、誤記だと思うよ・・・僕の方には何件か同じような問い合わせがあったんだけど、だいたいはクライアントの勘違いだったんだ。どこのだれが開いてか知らないけど、一度確認してみなよ。」
それだけ言うと、僕は自分のフロアに戻った。
後で聞いたが、やはりクライアント側の理解不足による仕様追加だった。未然にトラブルが解消できて、とても感謝された。
僕は、人のアラを探すのが得意らしい。
たまに、校正もやった。
鈴木「おまえ・・重箱の隅をつつき過ぎだろ・・・」
僕「でも、ここに矛盾が出ちゃうと、結果的に結論変わっちゃいますよ?事業部長に迷惑が掛かって、部長に降りてきて、この資料作ったの誰だって話になった時、困るのは鈴木さんですよ?」
鈴木「ヌケヌケと涼しい顔して、怖いこと言うなよ!」
僕「今のうちに河村さんのあの資料を使って補足するだけじゃないですか。ちゃちゃっとやっちゃいましょうよ」
鈴木「他の案件もあるんだから、時間がもったいないだろ・・・」
僕「じゃあ、僕がやりますから、データください」
鈴木「お前頑固だな。わかったよやればいいんだろやれば!自分でやるよ・・・ったく・・・」
後ろで、沢村さんがクスクス笑っている。
僕「何ですか沢村さん?」
沢村「いや、お前もすっかり溶け込んだなと思ってただけだよ。」
そういいながら、沢村さんはコーヒーを飲みながら、資料に落書きを始めていた。
僕「ほら、沢村さんもその資料、今日中にやるんですよね?今日中にやらないと、結果的にお盆休みに出勤しないといけなくなりますよ!」
沢村「え?あれ?そうだっけ?俺他の案件抱えてたっけ?」
僕「何言ってるんですか!部長の提案、お盆前までに書類にするって言ってたじゃないですか!まだラフも無いんじゃないですか?」
沢村「ほんとだやべえ!」
経営企画部は、とても優秀な方たちの集まりではあるが、どこかフワフワしていた。
タイムキープという考えが低い。
この頃、大きなプロジェクトの進捗管理は、なぜか僕がすることになっていた。
いつまでに何をするのか。
業界を揺るがした法改正は、確実に変化をもたらせていた。
今までは、出来上がった時が製品・サービスの発売日・開始日だった。
これからは競争がさらに厳しくなる。
開始日は厳守だ。
100の%の完成度の仕事を10日かけていたら、もう間に合わない。
80%の完成度で、6日でやる。こんな感じだった。
それでも業務がこなせたのは、ひとえに先輩方の能力の高さがあったからだと思う。
今思えば、そこまでして必死に業務をこなさなくてもよかったのだと思うが、当時は、必死になって、全員で業務をこなしていた。
97: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/08(木) 12:54:04.24 ID:FHQvacEn0
お盆に入った。
本当は帰省するつもりだったが、取りやめた。
堅と京介、玲奈、絵里奈とは、別の行楽地で落ち合った。
現地集合で出発。なんだか、社会人という感じだ。
京介は飛行機で。
玲奈と堅は、堅の車で。
絵里奈と僕は新幹線で。
指定の場所で待ち合わせ、堅の車で出発。
ランクルは快適だ。
堅「じゃあ早行こうか。温泉地へ!」
一同「おー!」
堅は運転が好きだ。
だから、最後まで自分で運転すると言ってきかない。
じゃあそれでいいやということで、朝から社内でビールを開ける僕と絵里奈。
3列目で、2人で飲みながら寝た。
気が付くと、最初の観光地についていた。
こう見えて、寺社仏閣に興味がある一同である。
温泉地近くの神社により、ワイワイと散策し、近くのそば打ち道場へ。
堅は几帳面で、生地はボロボロだったが等間隔にそばを切った。
京介は、ゴミを作った。
玲奈は不格好ではあったが、一般的なソバを作った。
絵里奈は、美味しそうなソバ出来上がっていた。
僕のは・・・全員に妨害され、最終的に道場の人に怒られ、没収された。
絵里奈め。あとで(主に夜)仕返ししてやる。
その後チェックインし、絵里奈と怜奈は早風呂へ向かった。
男たちは、売店で買った地酒とおつまみで一杯始めた。
僕「今から飲んで、晩御飯いけるかな・・」
堅「いつもそういいながらおかわりしてるじゃん・・そのくせ太らないという」
京介「俺と同じでヤセの大食いだな。」
僕「お前はもうヤセじゃないだろ・・なんだよそのお腹・・」
僕は京介の腹にボディをかます。
以前なら、硬質な感触が返ってきた。
この時は、柔らかかった。
僕は、普段、食事に時間をかけない。その時間がない。
だから、早めしになってしまった。
当時、体温は35.4度くらいしかなかった。
僕「ま、こういう時くらいはダラダラすごしたいもんだな。」
堅「そういうことだ。まあ飲もう。なくなったら下から買ってこればいいさ。」
女子たちが帰ってくるころには、3人は出来上がっていた。
絵里奈「ええ・・・なんでみんな寝てるの・・・」
堅「ん?・・・・お休み・・・」
玲奈「おいっ!起きてよちょっとこれから散策行くんでしょ!」
京介「行ってらっしゃい・・・」
絵里奈「僕君は・・・僕君は・・・行ってくれるよね・・・?」
僕「ぐーぐー」
ガコっ!
絵里奈は無言で、僕の頭を、躊躇なく蹴った。
僕「えっ・・・ちょ・・・」
絵里奈「起きてるんじゃん。早く行くよ?何?まだ目が覚めない?」
僕「はい起きます起きます!」
絵里奈「堅君は?」
堅「お、起きます!」
京介「俺も起きてるよ!」
絵里奈「お利口さんだね。じゃあ行こう」
気分は最悪だ。
98: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/08(木) 13:12:54.88 ID:FHQvacEn0
お盆と言っても、滝の近くは涼しくて気持ちがいい。
僕「あー、酔いも冷めた。気持ちいいな。」
絵里奈「でしょ?感謝しなさいよ」
堅「ええ・・感謝って無理やり連れてきて・・」
玲奈「ナ・ニ・カ・イ・イ・マ・シ・タ・カ?」
堅「い、いや・・・あ、イワナ売ってる。食べよう食べよう」
京介「美味そう。お、こっちの混ぜご飯パックもおいしそう。これも食べよう」
僕「美味いじゃんこれ。おかわりも買ってこう。もぐもぐ。あ。もうない。もう一つ買おう。」
堅「もぐもぐ。買い過ぎだろ・・・もぐもぐ。美味いなこれ。おかわり買おう。」
玲奈「・・・これから晩御飯だよ?・・・もぐもぐ。美味しいわねこれ。私もおかわり買おう」
店員「あのう・・・?(多少怒り気味)」
僕「はい?」
店員「うちの商品。。。全部食べちゃいましたよ?」
一同「ええ・・・」
そんなこんなで満腹になって宿に戻った。
僕「ど、どうしようこんな状態で晩御飯食べられないよ・・・」
絵里奈「あの滝横にあった売店がいけないのよ!美味しすぎたのが悪い!」
堅「これは、あの店に損害賠償を請求する必要があるな!」
京介「そうだそうだ!玲奈、お前の事務所でこの案件を受けもて!訴訟だ!」
玲奈は法律事務所で働いていた。
玲奈「・・・冗談はさておき、晩御飯どうしようね・・・」
一同「・・・」
僕「な、何言ってるんだ。僕たちは若い。なせば成る。なさねばならぬ何事も!」
中居さん「お客様、晩御飯の準備ができましたので、別棟の食事場までどうぞ。」
僕たちの決戦は始まった。
出てきたのは、山の幸。
おそるおそる、食べる。いけるのか?本当に?この量を?
僕「もぐもぐ・・うん・・・」
堅「どう思う?この量・・・」
京介「はっきり言おうか・・?」
絵里奈「きっと答えはみんな同じだよ。」
玲奈「そうね。これなら」
一同「完食できる!」
さすがにおかわりはできなかったが、
皆で一気に食べた。美味しかった。
いつもの食事は味気ない。
カロリーを摂取する作業の一環でしかない。
でも、この日の食事は、量は多かったが、
確かにおいしかった。
まあ、残念だったことと言えば、その後にどうしてもアルコールが入らなかったことと、
お腹が苦しすぎて、みな唸りながら何もすることなく寝てしまったことだ。
99: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/08(木) 13:27:51.76 ID:FHQvacEn0
2日目、グループ行動ではあったが、もはや、堅と怜奈は、隠すこともしなかった。
2人で、手を繋いで歩いていた。
就職先はそれぞれが別の地域なのに、毎週、堅が車で遊びに行っているようだった。
そうか。2人は正式に付き合うことにしたんだな。よかった。
京介は、彼女と遠距離を続けているらしかった。このままいくと結婚するらしい。
となると、僕だ。僕の横には、絵里奈がいる。
絵里奈は、自然と、僕の手を握る。
僕も、気にすることなくそうやって歩く。
きっと、誰が見ても、2人は付き合っているように見えるだろう。
でも付き合っていない。
この時、僕は別れたてだ、じゃあ別れたから絵里奈に「付き合ってくれ」というのも何だかとってつけたような感じがして、言い出せなかった。
今となっては分からないが、絵里奈はこの頃、僕の誘いを待っていたと、信じたい。
この旅行の間は、僕と絵里奈は恋人。
きっと、そんな契約のようなものが、暗黙の了解であったのかもしれない。
この日の夜、僕と絵里奈は、抱き合いながら、キスしながら、眠りについた。
それだけで幸せだった。
いつか、この関係が、発展するのだろうか。
この時は怖かった。
今の関係が後退してしまうことが。
僕にもう一歩踏み出せる勇気があれば、二人の人生は、変わっていただろうと思う。
楽しかった旅行はあっという間に終わり、僕はマンションに帰ってきた。
残りの休みは、一人でぶらぶら過ごした。
お盆明けからはまた激務だ。
秋口までは、もう何もできない。
100: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/08(木) 14:23:02.20 ID:FHQvacEn0
秋口になるまでに、うちの部署では大きな仕事が待っていた。
つまり、今後の短期計画?中期計画において、商品やサービスの見直しを迫る。
簡単に言えば、売れ筋や金のなるものは残し、不採算のものは切る。
各分野においてのシェア分析もする。
シェアが高くても、赤字な製品もある。
逆にニッチな需要があれば、少数でも利益が出る。
ただ、利益率が高くても、販売数が少なければわが社の屋台骨を支えることはできない。
ある程度不採算でも必要な分野は存在する。
そんなさまざまな製品・サービスを分析し、どれを残すか考える。
また、新たな分野はないのか模索する。
各部署から提案・発売されたものに対して、予測を立て、短期計画に上乗せする。
こうして取りまとめ、経営陣に報告する。
もちろん、その場には他部署の取締役クラスも参加し、また調整し・・を繰り返す。
最終的にまた取りまとめ、販促部・広報部から世間に情報がリリースされる。
その情報をもとに、株価は左右されるし、情報リリース直後は問い合わせが殺到する。
沢村「今回は、お前の慎重さのおかげで、世間からの信用度は上がったな。」
僕「それに気づいたのは沢村さんだし、確固たるソースを用意したのは伊藤さんですよ。」
沢村「まあ、そうだな。それでも、それからの出先・営業所からの対応は迅だったよ。あれは他の会社じゃ無理だろうな。」
ある競合他社が、法改正に絡んだ事案で、先延ばしもしくはごまかしを図った。そして、それが公的機関によってバレた。
当社は、沢村さんや伊藤さんが、部長とタッグを組んで、積極的に前面に押し出した。
そのバックアップは僕がした。沢村さんはもっと華のある内容にしたかったようだが、僕が反対した。
法改正に絡んだ事案なら、僕が一番精通している。沢村さんも折れ、堅実なプランを進めた。
その甲斐あってか、たまたま公的機関のサンプリングに抜擢され、当社の事案が理想モデルとして採用された。
その事案は、その後軌道に乗り、一部は特許化され、登録者名はなぜか僕になっていた。
激動な社会情勢の中、ひとまずの激務は、いったん終了した。
103: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/09(金) 02:28:56.24 ID:xpSFFwiC0
沢村「はいお疲れさん。」
沢村さんは、ねぎらいの言葉をかけてくれた。
部署内に柔らかな空気が流れる。
年内までは、特に早急の案件はない。
仕事は沢山あったが、納期のために胃が痛くなるようなことはなかった。
この頃、沢村さんと市場調査という名目で様々なところへ出かけた。
どこへ行っても、沢村さんはモテた。
出張中、夜になると、沢村さんはおしゃれなバーに連れて行ってくれた。
そして、女性を確保していた。
爽やかに、女性を釣る。僕は、本当に感心した。
ただ、沢村さんは変態だった。
正直、女性なら誰でもよかったんじゃないかと思えるようなレベルの女性でも、誰でも相手にした。
沢村さんは言う。
沢村「女性は、顔じゃない。」
諸君、勘違いしてはいけない。沢村さんは女性は性格重視と言っているわけではない。
その女性の性癖や胸の大きさ・腹のたるみ具合、乳首の色味やア○ルの拡張具合で女性の魅力が決まると言ってる、ただのド変態だ。
もちろん美しい女性は大好きなようで、そういう女性にたどり着くために、人脈を広げるという目的もあるようだ。
沢村「いいか、ヤれるチャンスがあれば、必ずヤるんだ。それが男だ。」
沢村さんは社内でも有数のイケメンだ。そして、社内で最も優秀な人材の一人だ。
そんな彼は、爽やかに、にこやかな笑顔で、変態行為をしゃべる。
沢村「お前は、マダムキラーだよな。きっと、年上受けするよ。それを生かさない手はないぞ!」
僕「マダムキラーっていうより、若い子は沢村さんが持って行っちゃうから、余った年増の方が僕に来るんじゃないですか!僕は相手にしませんよ!」
沢村「ほらほら!そういうクールな態度が、マダムたちを虜にするんだよ!で、たまに甘えてみろよ。コロっといけるぜ。」
僕「遠慮しときます・・」
沢村さんは、よく、趣味のビデオを貸してくれた。
本当に、変態な内容のものばかりだった。
あの爽やかな笑顔の裏にこの欲望が渦巻いていることに戦慄した。
沢村「お前はまだ若い。もっと年齢を重ねれば、俺の言いたいこともわかってくるさ。」
断言しよう。いくら年齢を重ねても、沢村さんの領域にはたどり着けない。
104: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/09(金) 02:31:29.43 ID:xpSFFwiC0
ある出張先、2人で、混浴に行った。
おばさまが、一人で入っていた。
沢村さんは、堂々と、隠しもせず、爽やかに挨拶した。
沢村「(爽やかに)こんにちは!いいお湯ですねここ!どちらからいらしたんですか?」
僕「(うわマジかよ趣味悪すぎだろ)こんにちは。僕たちは出張中で、たまたま寄ったんですよ。なんかスミマセンこんな粗末なものを見せてw」
おばさま「あらいやだ//目の保養かしらww」
おばさまもノリノリだ。
成程ね。確かに、ちょっと楽しい。
盛り上がってワイワイしていると、綺麗なお姉さんが入ってきた。
その女性は今でも思い出すくらい、ナイスバディだった。
沢村さんは凄い。ほかの男性客なら絶対に釘付けになるであろう体なぞ見ずに、爽やかに挨拶する。
沢村「(爽やかに)こんにちは!いいお湯ですねここ!どちらからいらしたんですか?」
僕「(マジか本当にすごいわプロだこの人)こんにちはー。なんかスミマセンこの人頭おかしいんです・・」
お姉さん「え?今日はお2人で来たんですか?」
沢村「ええ、そうですよ!ここのおばさまたちとは今知り合ったばかりです!お姉さんもお話ししましょう!」
僕「本当にごめんなさい。この人変態なんです・・・」
なんだかんだ楽しく話した。
お姉さんは、気にしたそぶりも見せず、タオルをハラリと取り、その見事な体を披露し、湯船に浸かった。
おばさま「まあキレイ。いいわねぇ若いって。」
沢村さん「いえいえ。おばさまも十分お綺麗ですって。」
僕「本当にすみませんこの人精神障害なんです。」
お姉さん「あはは。楽しい人ですねw」
僕「まあ、飽きないですけれど・・」
もう本当に理解不能であるが、沢村さんは、おばさまをロックオンしていた。
おばさまと沢村さんは、ちょっと湯船の隅に移動し、なにやらヒソヒソ話を始めた。
僕の目に焼き付けたくない光景が、始まってしまった。
いやまあ、最終的な行為までは行ってないが、まあ、触ったり触られたり。本当に変態だ。
僕とお姉さんは、さらに2人かは距離を取った。
僕「本当にもう・・お姉さんどうか通報したりしないでくださいあんな変態でも会社からいなくなると困るんです。。」
お姉さん「まあ・・ねぇ・・よくもまあこんなところでできるわよね・・」
本当にごめんなさい。僕は、目の前で繰り広げられる光景を見て、横には素敵な女性。興奮しないわけがない。
お姉さんと目が合った。
お姉さんは、目を伏せて、ちょっと、自分の体を隠すようにした。
僕「あ・・スミマセン・・その・・・意識しちゃって・・」
お姉さん「そ、そうね・・・あなたもやっぱりちょっと変な気分に・・なるわよね・・・」
旅の恥はかき捨てないといけない。
あそこまでは大胆にはできないが、僕は、湯船の中で、お姉さんの手に触れた。
お姉さんは、固まっていた。どうしようか、判断に迷っているみたいだった。
僕は、その手を握り、こっちに引き寄せた。
お姉さんがこちらまで引っ張られる。
これはいける。
僕は、その手を、僕の股間へ持って行った。
いきり立った僕のアレに触れる。
お姉さんは少し困った顔をしたが、僕のアレを手で包んでくれた。
僕は、お姉さんの見事なバストを、浴槽の中で、揉んだ。
軽く、キスだけした。
お姉さん「ハイここまでw」
僕「なんかすんませんww気持ちよかったですw」
僕「変態は放っておいて、僕はもう出ますwちょっと処理してきますw」
お姉さん「若いなw行ってこいw私はしばらく入ってから帰るからw」
まあ、言うほどエロい体験でもなかったが、沢村さんの人となりを知るエピソードを書きたかったので、あえて文章を割いた。
105: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/09(金) 03:22:44.49 ID:xpSFFwiC0
12月に入り、とあるメーカー主催で、勉強会なるものが開かれた。
そのメーカーの主要取引先である数社が合同で招かれ、そのメーカーの商品の説明や工場見学をし、最後に懇親会をして宿泊し、翌日も勉強会をして帰ってくる。
僕の会社にも声がかかった。
宿泊付の勉強会となると、いくら相手の会社持ちの出張とはいえ、なかなかそこまでの時間が取れない人が多い。
結果、うちからは本社から僕だけが行き、そのメーカーに関係する営業マン数人が、地方営業所から参加することになった。
集合場所は、とある地方。
現地に赴くと、観光バスが出迎えてくれた。
行ってみて、驚愕した。
勉強会とは名ばかりの、接待旅行だった。
メーカーの本社に行き、勉強会が始まる。勉強会は10分で終わり、その後、工場内を30分で見て、もう終了した。
あとは、その地方の高級ホテルに移動し、大広間でひたすら食べて飲むだけ。
昼から、極上の料理と酒がふるまわれる。しかも、メーカー持ちだ。なんという幸せな出張だ。
まず、昼の食事中は、コンパニオンが付いた。
ピンクコンパニオンではないようだった。
何十人といるコンパニオン。その中に、一人だけ、極上に可愛い子がいた。
僕は、その子に目を付けた。
僕「君、可愛いですね。お話ししましょう!」
爽やかに声をかけた。
(山本梓似、以下梓)
梓「可愛いだなんて・・嬉しいですw」
僕「でもさぁ、すごい人数のコンパニオンだよね!大きな会社かな。コンパニオンの派遣会社さんは」
梓「えっと、私たちのほとんどは学生で、アルバイトで今回募集されたんです。だから、私は初めてですね。」
僕「そうなんだ。おっさん相手にお酒注ぐのも大変だなwイヤな思いしないといいけどな。」
梓「それイヤですね・・あの子なんて、完全に絡まれてますよね・・迷惑そうな顔してる。」
そこにいるのは、スケベそうなオヤジだった。
そのブースにいる人たちは、ひときわ目立っていた。
知っている。先ほど、名刺交換した。
僕たちの業界のトップに君臨する、誰もが知っている大企業の人たちだ。
スケベそうなオヤジは、自分の膝に無理やりコンパニオンを乗せ、口移しでエビフライを食べさせようとしていた。
見ていて寒気がした。
106: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/09(金) 03:24:48.18 ID:xpSFFwiC0
僕「よっしゃ見てな。」
梓「え?」
僕「ちーっす!先ほどはどうもw」
クソオヤジ「ん?ああ、先ほどのw楽しんでますか?w」
僕「楽しんでますよwそちらは?」
クソオヤジ「ああw楽しいわww」
僕「今、カラオケ始まったじゃないですか。○○さん、歌上手そうっすよね。」
クソオヤジ「え?俺?そりゃ上手いよ?スナックで歌いまくってるからな!」
僕「うはw聞かせてくださいよww」
クソオヤジ「え?いいよww歌っちゃう??」
仮にも業界トップのクソオヤジだ。そんな声が出ると、クソオヤジの周りが一斉にヤツを盛り立てた。
「よっ!○○さん!今日も一発聞かせてくださいよ!」
「今日も、始めはあの曲かな?」
その取り巻きも、コンパニオンの苦境を助けたかったが、クソオヤジの機嫌を損ねたくなかったようで、僕の機転に乗ってくれた。
こうして、コンパニオンはそそくさと逃れることができた。
自分のスペースに帰ってきた。
僕「あーすっきりしたw」
梓「やりますねwなんか爽快ですw」
僕「あんなことされたら、君だってイヤだろwしかもバイトでしょ?不憫すぎる。」
梓「確かに、エロそうなオヤジとか、寒気しますw」
僕「なんだそれは。僕だったら大丈夫なのか?ww」
梓「え?いいですよ私は僕さんとならw」
ひょいっと、僕の膝の上に乗った。そして、僕の方に向いた。
梓「ほらw私軽いでしょw」
僕「あ、うん。いやまあ柔らかくて気持ちいいけれどw」
梓「エッチw」
僕は、梓に、フルーツを食べさせた。
梓「あら。これ美味しいですね。どうぞ!」
僕「もぐもぐ。お、本当だ。」
そんな感じで、昼食の間中、梓は僕の膝の上に乗っかっていた。
夕食になった。また、同じコンパニオンが来ていた。
今度は、各ブースに最初からコンパニオンが座っていた。
どうやら、夕食は各会社ごとに担当コンパニオンが決まっているようだった。
梓を探すと、まあ予測できたが、トップ企業の担当だった。そりゃそうだろう。一番かわいかったから。
僕も、業界の人だ。流石に、ここでトラブルを犯すようなことはしない。
梓のことは気になったが、普通に食べて飲んだ。
楽しく飲んでいたが、ふと、梓の方を見た。
あのエロオヤジが、無理やり飲ませていた。
どうしようかと迷った。でも、うーん。
流石に2回邪魔をしたら、何かとマズいよなぁ。
そんなことを考えていたら、また、カラオケタイムが始まった。
エロオヤジは今度、なんと僕のところに来た。
クソオヤジ「おう!さっきはどうも!どうだ、今度は歌ってくれませんか?俺はこいつとデュエットしたかったんだけど、こいつが知ってる曲がないんだ。」
こいつとは、梓のことだった。
僕「あら、そうなんスね!えっと、梓ちゃん?でいいのかな?歌えるデュエットある?僕が知ってるのなら、一緒に歌おうよ。」
クソオヤジ「わははwいいねw歌って歌ってw」
梓はほっとした顔をして、僕とデュエットを歌った。
僕はカラオケが好きだったので、デュエットは大いに盛り上がった。
ついでに、何曲か歌った。
梓は、ずっと近くにいてくれた。
エロオヤジはその頃には、別のコンパニオンに絡んでいた。
歌い終わると、梓は僕のブースに来ていた。
僕「梓ちゃん向こうにいないとまずいんじゃない?」
梓「えーイヤですよあそこw飲むなら僕さんと楽しく飲みたいww」
そういってまた、僕の膝に乗ってきた。
僕「あ、ごめん!ちょっと今は・・・」
梓の太ももが、僕の股間に触れていた。
それで、梓は、何が言いたかったか察知する。
梓「あら・・ひょっとして・・・w」
ニヤリと笑われる。
107: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/09(金) 03:51:14.97 ID:xpSFFwiC0
隠れて、浴衣の上から、触られた。
梓「(カッチカチじゃん・・・w)」
僕「(梓のせいでしょw)」
梓「(スケベ・・w)」
僕「(男はスケベに決まってるだろwちょっと外行こうw)」
僕はトイレに行く振りをして、外に出た。
梓も、ちょっと間をおいて出てきた。
ちなみに、コンパニオンは、全員チャイナドレスを着ていた。
ホテルの踊り場に、連れ出した。
誰が来るかわからない。
僕は、興奮を抑えきれず、いきなりキスした。
梓「ん?むっ・・・むちゅっ・・・はぁ・・んっ・・レロ・・・」
梓とのキスは、なんだか、スポーツのような感じだった。
酔っているからだろうか、勢いで激しいキスになった。
梓の弾力ある胸を揉みしだきながら、チャイナドレスをスリットからたくしあげた。
梓「やんっ!大胆!」
僕は興奮しながら、ストッキングをパンティーごと引きずり落として階段の手すりに乗っけた。
梓も負けじと僕のベルトを外し、ズボンとトランクスを下した。
キスをやめ、いきなり僕のアレを口に入れた。
上手とか下手とかじゃない。もう勢いだった。勢いのまま、僕のアレをしゃぶりつくした。
僕は、その間中、梓の頭を掴んでいた。そして、そのまま、梓の頭を僕の股間に打ち付ける。
梓「んっ。んんんん!!!。んー!!んんんーー!!! ゲホっ!!ゲホ!!」
イラ○チオをされ、少し恨めしそうな顔を僕に向ける梓。
僕は、そんな梓を手すりにしがみつかせ、アソコを舐めまくった。
梓「やだ・・ちょ・・・あっ・・・くすぐったいから・・・んっ・・・あっ・・ひゃっ・・・」
クチュクチュといういやらしい音が、踊り場に響く。
僕はもう抑えられず、そのまま、ゴムもつけず、一気に挿入した。
梓「ちょっと・・ゴム・・あ・・ないか・・・ティッシュあるから・・・あっ・・・外に出して・・・んっ・・・あっあっあっ」
僕は、バックから、のしかかるように、ズンズンと、腰を、梓の尻に、押し込む。ズン。ズン。
梓「やっぱり・・・こういうことって・・・んっ・・んっ・・よくあるんですか・・・あっ・・・んっ・・・」
僕「さあっ・・・ねっ・・・僕はっ 初めてっ・・・だよっ・・・!」
興奮はすぐに最高潮になり、僕は、直前で引き抜き、階段にまき散らしてしまった。
梓はをれをティッシュで丁寧に拭き取り、僕のアレも拭いてくれた。最後に自分のアソコも拭きとっていた。
梓「はぁーっ。やっちゃった・・・何してんだろ私・・・」
僕「傷つくこと言うなよ・・僕は気持ちよかったよ・・・」
梓「ああそうでしょうね!私も気持ち良かったですけど!」
僕「宴会がお開きになる前に戻ろう・・・」
梓「そうですね。。なんか疲れました・・」
僕「僕も・・」
宴会はちょうどお開きになるタイミングだった。
コンパニオンはそれで帰り、しかし宴会後の2次会・3次会は延々と続いた。
梓に会うことは、二度となかった。
108: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/09(金) 03:52:32.22 ID:xpSFFwiC0
見てくださった方ありがとうございます。
寝ます。
109: 以下、
お疲れ様
おやすみ
110: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/09(金) 10:10:35.21 ID:E+Q2IVME0
事業部長「はい。みなさん、今年は激動の一年でした。これから休みに入りますが、あまり無茶しないように。しっかり英気を養って、新年に備えてください。」
そんな〆の言葉とともに、今年の仕事は終了した。
僕「沢村さんは、今年もタイですか?」
沢村「ああ!地元の彼女と会って、こっちの彼女と出かけて、それからタイだな!」
僕「ええ・・・」
淳「お疲れー。お前もこれから行くんだろ?一緒に行こうぜ」
僕「そうだな。いったんマンションに荷物置いてくるだろ?」
淳「もちろん。俺は今日飲めないから、店まで乗っけてってやるよ」
僕「お、ありがとう!」
同期で、お疲れ様会が開かれる。
淳に連れられ、会場に来た。
同期は数百人いた。本社に配属されたのはおぼろげだが100人くらいだったと思う。あとは営業所配属だ。
本社といっても、労務課や人事部もいれば、本社内の工場などに配属された子も入っている。一般事務職の子も多い。
集まる前に調べてみたが、まだ丸2年経っていないが、もうすでに3割ほど辞めていた。
この日集まったのは30?40人くらいだったか。
みな、社会人の顔つきになっていた。
その地域では知れたホテルの会場。仕切ったのは、生産システムのホープ、豊(竹野内豊似、以下豊)。新入社員研修で同じ班だったヤツだ。
彼は大学・大学院時代に遊びまくっていて、今でもいろいろ手を出している。頭の回転は非常にい。
豊「はいー。みなさん、お疲れ様でしたー。ここには同期しかいません!大いに騒いで結構!今夜は飲みましょう!」
途中からの進行は、僕がした。
ありきたりのビンゴゲームもした。景品は、豊から依頼を受け、僕と翼、結衣の3人で選んで買ってきていた。
ビンゴの器具は、ホテルが無料で貸してくれる。景品を包む作業は、今回の飲み代から経費で外注した。
よくわからないが、飲み代の半分くらいは会社から出ていた。なので、一応会社の行事の一環に近いのだろう。
僕「はい40番。そろそろビンゴ出ますかねー。お!マジか!最初のビンゴは・・・淳!」
淳「よっしゃ!好きなの選んでいいんだよな!」
僕「ああ、どうぞ!」
淳「じゃあこのテーマパークのペアチケット食事券つき!」
僕「はいよ!誰と行く気だー??」
歓声が上がる。
淳「(バ、バカ!煽るな!)」
僕「(いいじゃん!かましてこいww)」
淳「秘密!あとで誘ってくる!!」
僕「今行って来いw」
淳「じゃあ結衣ちゃん!俺と一緒に」
結衣「はいゴメンナサイww!!」
会場は爆笑に包まれた。
つつがなく一次会が終了し、二次会はバラバラに散って行った。
111: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/09(金) 11:39:32.50 ID:E+Q2IVME0
二次会。僕は、新入社員研修の時のメンバーで飲みに行った。
と言っても、本社に残っているのは淳・豊・僕・結衣・翼・あきこ(雛形あきこ似)の6人。
6人が集まるのは、研修以来だった。
あきこ「私はただの事務だから業務内容はよくわからないけれど、」
豊「うん。」
あきこ「みんなの話はちょくちょく聞こえてくるよー」
淳「え?まじで?」
あきこ「淳君は、ミスして異動ww」
淳「wwwあれはビビったwwでも今はそれで良かったと思うぞ。毎日CADと睨めっこさ。落ち着く。」
僕「豊も聞いたよ。この前の発売のやつ。お前が担当したんだってな。」
豊「先輩の万全のサポートの中、名前を出しただけだよあれ。この規模の会社で、俺たちがメインになる仕事なんてないさ。」
僕「そういう意味では、結衣や翼は即戦力だよね。お客さん所に出向いて、自分でプレゼンするんでしょ?」
翼「私達、開発部なのにね・・・でも仕様が一番分かるから。あと、なんだかんだで女性っていうのは武器だよ。」
翼は、地元の超有名校を首席で卒業している。それは会社内では有名な話だ。その分、自尊心が強く、トラブルも多いらしい。
ただ、ハマる仕事にはこの上ない戦力になる。
結衣は、おっとりしたタイプ。誰からも好かれる。ただあまり前に出ないので、案件を抱え過ぎてつぶれてしまうこともあるようだ。
僕「結衣も・・もうすこし他の人を頼った方がいいよ?違うヤツから漏れ聞こえてきたけれどさ・・」
結衣「・・・そうね。でも、自分の仕事は自分で解決したいの。」
僕「そういうところ、僕は嫌いじゃないw」
淳「人の事言ってるけど、一番働いてるのは、お前だろう?お前と沢村さんの話はよく聞こえてくるぞ。」
僕「それはあれだろ。沢村さんが有名だからだ。」
あきこ「沢村さん・・・wうちの先輩に手を出したwwwあの人カッコイイもんねw」
結衣「え・・?うちの先輩も確か・・・」
僕「スミマセン・・・それ系の話は聞かなかったことにしてください・・・」
豊「まあ実際、経営企画室の人たちは、少し浮いてるよな。毛並みがみなさんとは違いますけど?って感じがする。」
僕「それは、まあ、あると思う。ちょっとお高く止まってる気がするよ。」
豊「お前が同期だからこうやって和やかに話しているけれど、できれば経営企画室の人たちにはかかわり合いたくないね。」
あきこ「そうだねぇ。こっちが一生懸命やってることを急に中止にさせたり、全然違う事業を提案したり・・」
耳が痛い。うすうす感じてはいた。
経営という観点と、実際の現場ではずれがある。どっちが正しいかなんて結果論でしかない。
淳「まあまあ、仕事の話はこれくらいにしようぜ。せっかく集まったんだし、楽しく飲もう。俺はこれから車で帰省だから飲めないけどな。」
助かった。淳はこういう所での助け舟が上手い。
淳とあきこが帰り、残るは4人になった。
豊「帰ったか。」
僕「うん。」
豊「じゃあ、今度の旅行の計画を決めようか。」
翼「はーい。楽しみ!」
結衣「淳君にばれると厄介だからね。。」
実は、前々から、4人で遊びに行こうと話をしていた。
結衣に危害があるといけないので、淳には話を持ちかけなかった。
泊りがけの、スキーだ。
結衣「保養所しか抑えてないから、これから決めなきゃね。」
僕「ギリギリすぎるwwもう来週の話なのにw」
豊「まあ車は俺が出すし、もう用品は揃えてあるんだろ?」
何週間か前に、僕と翼でスキー用品店に一式を買いに行った。
豊と結衣は経験者で、僕と翼は初心者だ。
僕「まあね。でもボードとか不安しかない。」
結衣「大丈夫よ!僕君運動神経良さそうだし。」
翼「私は、年内に一回、彼氏に教えてもらうー」
豊「じゃあ完全な初心者はお前だけだな!」
僕「あ、お手柔らかに。。。」
豊「そうだ。俺年末年始暇だから、2人で特訓しに行く?予定は?」
僕「地元に帰る予定はないよ、友達もこっちに遊びに来るし、その遊びの予定以外は何にもない」
豊「寂しいやつだな。じゃあ日程決めて、行こう。」
僕「うん。ありがとう。」
こうして、年末年始の予定は直前に埋まった。
112: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/09(金) 11:54:05.52 ID:E+Q2IVME0
急な案件が入ったので、ちょっと週明けまでアップできなさそうです。
とりあえずここまで
113: 以下、
ゲッまじか
待ってるよ
114: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/12(月) 01:41:43.33 ID:IV3lvoqA0
(まだ仕事の書類が残っているので、本格的再開は明日夜になりそうな予感)
115: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/12(月) 02:01:33.80 ID:IV3lvoqA0
すみません。僕自身への先入観をなくすために、文章中の僕への呼び名を「僕」としていましたが、無理が出てきました。
そこで、便宜上、僕自身の名前を仮名で付けさせていただきます。
僕の名前: 藤原 竜也
でお願いします。
116: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/12(月) 02:26:25.04 ID:IV3lvoqA0
僕と豊は、年を越す前に2人でスノボーに出かけた。
当時流行った、ステップインのボード。珍しい、表が緑・裏が白のボードだった。ミリタリーっぽいウェアもなかなかいい感じだった。
豊「お、なかなか決まってるじゃん。形から入るのは大事だな。」
僕「豊もいいね。手練れのボーダーって感じ。」
実際、豊は上手だった。
ハーフパイプには行かず、普通に滑っていた。そして、何気ないコブで180や360を華麗に決める。
そのスキー場はそれなりの規模だったが、豊が一番輝いていた。
豊「じゃ、適当に滑ろう。楽勝だって。」
ただ、相手が男性となると、教え方が致命的に下手だった。
結局、僕は、大きな痣と首の痛みを増やしただけで午前中を終えた。
そして、豊の特訓を拒否した。
僕「もういいよ豊。滑ってきなよ。僕はスクールに入る。」
その日、有料ではあるが、スクールを開催していた。
豊「あー。まあそれも手だな、じゃあ、ちょっと上から滑ってくる。後で合流しよう。」
僕「あいよ。連れてきてくれてありがとうね。」
そうして、僕はスクールに入った。
スクールでは、目から鱗のことばかりだった。
膝を使ってはいけない。
手は進行方向へ。
体重移動のコツ。
片方のビンディングを外したままでの滑り方。
2時間ほどの講習で、初心者コースだけなら問題なく滑ることができるようになった。
教えてくれた先生も、いい人だった。
「スピードだけは、出し過ぎないようにね!ボードとスキーは進行方向が違うから。」
この教えは今でも守っている。
ロッジで休憩しようと、移動した。
すると、ボードを外した豊が、知らない女性2人と立ち話をしていた。
僕「あれ、豊。もう滑らないの?」
豊「ああ。ちょっとボードのメンテしてなくって急に上級者コースに行ったから、途中でビンディングが壊れて外れちゃった。」
僕「うわ。大丈夫だった?」
豊「大丈夫。滑って降りるだけなら、片足で十分滑ってこれるから」
豊「おっと。紹介するよ。こいつがさっき言ってた竜也ね。こいつと2人で来たんだ。よかったらこれからロッジで休憩しよう。奢るよ」
豊はナンパしていた。
女子?「えー。どうしようかな。」
僕「ちょうど僕も休憩したかったから、いいよ。奢るよ。まあ、君たちが来なくても休憩するし。僕今日がボード初めてだからもう滑れない。足腰痛い。」
女子?「あ、私も初めてなんです。頭打ちませんでした?」
僕「打ちまくったwwバカになったら豊とスキー場訴えるww」
女子?「www私も体痛いから休憩しよっかなw」
女子?「ホント、だらしないなぁ。いいよ。じゃあ休憩しよう。一緒に行ってあげるから奢ってよね。」
余談だが、豊は、この女子?と結婚することになる。
女子?のその後?
まだ登場は先になる。
この女子?は、
その後、僕の彼女になる。
そして、僕の人生を左右することになる。
人生を左右する。主に原因は僕にある。彼女になんの罪もない。
117: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/12(月) 04:01:12.03 ID:IV3lvoqA0
年が明け、僕と豊、結衣、翼はスキー旅行に出かけた。
翼「楽しみ!ちゃんとエスコートしてねー」
豊「あ、うん。一応女子だし、レクチャーはするよ。竜也は多少上達したから、翼も負けんなよ。」
翼「え?そうなの?竜也君ずるい!私、彼氏と喧嘩しちゃって、ボード教えてもらってないんだよ!」
僕「そう言われても・・・まあ、何とかなるって。」
翼「うわ・・あからさまに関わりたくない雰囲気を出してる・・・そんなんで女子に持てると思ってるの?うわー。引くわー」
僕「翼ちゃんにモテたいわけじゃないし・・・僕が教える立場じゃないしなぁ」
翼「え?一緒に上達しようよ!とかないわけー?」
僕「結衣ちゃーん!手取り足取り教えてねー!」
結衣「え?私?・・・そうだね!教えるよ!翼も一緒にね!今日は滑るっていうよりかは、みんなと遊びたいだけだから、みんなと一緒ならなんでもOKだよ!」
僕「ん?結衣ちゃん、・・・うん!楽しく行こう!」
豊「なんだよ竜也。変な間を作るな。」
僕「豊は前見て運転しろ。ちゃんと宿に着いたら労ってやるから。」
豊「はいはいー。」
僕は、結衣の表情が気になった。
彼女は、年末くらいから表情がよくない。仕事だろうか。貯め込む癖があるので、ちょっと気がかりだ。
SAでの休憩の際、少しだけ探りを入れた。
僕「寒いねー」
結衣「ほんと。吐く息が白いね。」
僕「・・・仕事のこと、考えちゃってるの?」
結衣「・・・え?・・んー、あはは。気にしないでw今日は楽しみにしてたんだから、仕事の話は無しで!」
僕「・・・ま、それもいいな。じゃあ、今だけ言っとくね。何かあったら、部外者だからこそ聞ける話もあるよ。頼りないけれど、吐き出したい時は言いなよ。」
結衣「・・・優しいね。竜也君は。」
僕「ほら。笑顔で行こう。仕事だか何だか知らないけど、旅行中は考えたって何にもならないよ。」
結衣「そだね。気分転換!」
翼「そろそろ出発だよー」
結衣「はいはい。行こう!竜也君。」
僕「はいはい。じゃあ出発!」
少しずつ、いろんな歯車が動き出す。
何の関係もない出来事に思われることが、ふとした切っ掛けで、つながることがある。
人生ってそんなものの気がする。
120: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/12(月) 10:05:25.91 ID:k6IVEhkr0
翼の運動神経は、想像よりも悪かった。いや、運動神経というより、彼女のスノボーに対するセンスは、絶望的に悪かった。
翼「もー何なのよ!このビンディング、雪が詰まって全然セットできないじゃない!」
僕「僕が買いたくても買えないモデルを買ったくせに・・・」
翼は、Burtonの当時の最新モデルだった。僕は高くて全然手が出なかったのに、彼女はそれを買った。
翼「竜也君はいいね!使いやすそうだね!」
僕「たぶんだけど、慣れだよ・・もうちょっと頑張ろう」
翼「もうやだ休憩する」
豊「よし休憩してろ竜也行こう」
僕「さすがにそれは・・」
豊「・・・ったく。じゃあ俺もちょっと休憩するか。」
結衣「竜也君、一緒に滑りに行こう。」
僕「あら付き合ってくれるのありがとう。」
結衣「もう中級コースくらいなら行けそうだね!」
僕「コースよりもリフトに乗るのが怖い!足元が巻き込まれそう!」
結衣「大丈夫だよ。あっちのコースはゴンドラだから、ボードは外して乗れるよ!」
僕「確かにその方が安全だな。じゃあ結衣ちゃんよろしくー」
結衣は上手で丁寧な滑りだった。僕のペースを見ながら、ニコニコしながら後をついてきてくれた。
好きな所へ行っていいよーというスタンスだった。
結衣「やっぱり滑ると気持ちいいね!」
僕「気持ちいけど!足が痛い!頭打った!逆エッジ怖い!」
結衣「あはは!慣れるよそのうち!竜也君上手だよ!2回目なんて思えない!」
僕「ごめんしゃべる余裕がない!!ぎゃーっ!!」
結衣「だ、大丈夫!?きゃー!」
結衣は、急にコケた僕に気を取られ、逆エッジになり、派手に転んだ。
その日は新雪だったので、僕たちの周りに雪が舞った。
僕「はー。ちょっと休憩。」
結衣「そうだね。休憩休憩。」
ペットボトルの水を飲む。
僕「結衣ちゃん上手いねホント。よく来るの?」
結衣「んー、大学が東北だったから。彼とよく行ってたなー。」
彼とは遠距離恋愛。
就職先もかなり離れているらしく、最近はなかなか会えずにいるらしい。
結衣「だから、最近ちょっとさみしい。」
僕「お正月は会わないの?」
結衣「うーん、彼は会いたがってたんだけどね・・・彼の空いてる日程には私の都合がつかなくて。会えるのは2月かな。」
僕「そっかそっか。会えるときに会っておいた方がいいよ。じゃないと、僕みたいになっちゃう。」
結衣「え?!竜也君別れちゃったの?!」
僕「うん・・」
滑りを再開し、かいつまんで話した。
結衣「竜也君モテそうだし、すぐ彼女できるよきっと。」
僕「だといいですけどw」
結衣「・・・私も、遠距離・・・無理なのかな・・・」
僕「・・・・」
結衣「・・・・」
僕「別れちゃった僕が言うのもなんだけど、」
結衣「ん?」
僕「僕以外の友達は、まだ遠距離続いてるんだ。結衣ちゃんもだけど。」
結衣「そうなんだ。」
僕「大学の友達もそう。この春に、結婚する子もいる。」
結衣「そっか。離れて大切さがわかるって感じなのかな。」
僕「きっとそうだね。」
結衣「心細い時、側にいてほしいほしいもんなぁ。彼に。」
僕「そんな時、次に会う時までその思いを大切にしようと思うのか、それとも、別の出会いを求めるようになるのかの違いじゃないかな。別れる別れないって。」
結衣「心に余裕があるときは、良くわかる話ね、でも、やっぱり心細いのには、耐えられない時があるな。」
僕「・・・心に迷いがあると、悪意あるヤツに付け込まれるよ。僕がその悪いヤツかもしれない。気をつけなよ。」
スキー場で良かった。夜、飲みながらこんな話をされたら。。。無理 矢理何かしてしまうかもしれない。
結衣「大丈夫よ。竜也君のこと信頼してるから。」
心が痛かった。
僕「はいはい。裏切らないように頑張りますよー。」
結衣「・・・あのね竜也君」
僕「どしたん?」
結衣「・・・今夜、ちょっと相談していいかな・・・?」
僕「ああいいよ。」
その夜の相談内容は、僕の想像を超えるものだった。
124: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/12(月) 17:25:27.65 ID:IV3lvoqA0
なんだかんだナイターまで満喫し、会社の保養施設に帰ってきた。
豊は運転の疲れがあったのか、お風呂に入ってビール一杯で寝てしまった。
翼は彼氏への悪態をつきながら、さんざん絡んできた。でも、早い時間に寝た。彼女は彼女なりに頑張ったのだろう。
そんな醜態を見せられるほど、気の許した同期が僕たちということなのかもしれない。
僕は筋肉痛の体を労わるように、洋酒をストレートでチビチビ飲んでいた。
結衣が、隣に座る。
何とも言えない、気まずい雰囲気が流れる。
僕「・・・今日は楽しかったなぁ・・・体中が痛いよ。」
結衣「・・・私も久々だったから、ちょっと忘れちゃってた。楽しかった、かな。」
結衣は、何から話そうか、悩んでいるようだった。甘いカクテルの缶を飲んでいる。
僕「なんか不思議だよね。同期ってだけなのに、こうやって、保養施設で泊まってるって。」
結衣「そうだね。彼氏には言えないなぁ。怪しまれちゃうよ。でも・・」
僕「でも?」
結衣「現に、私たちはやましい関係じゃないし、本当に変な感じw」
僕「うんwまあ僕も淳には言えないなw殺されるw」
ちょっと談笑して、その当時流行ってたことととかテレビの話とかをした。
と、結衣が、寂しげな表情をした。
結衣「私・・・・私ね・・・・」
表情が、さらに、悲しそうな顔に歪んでいる。
結衣「彼に・・・相談できなくて・・・」
僕「・・・うん。」
結衣「同じ部署の人にも・・言えなくて・・・」
ぽろぽろと涙があふれてきた。
僕は、そっと、近くにあった毛布を肩にかけてやる。
結衣は、僕に寄り添ってきた。
僕「・・・言えなくて?」
結衣「翼には、知られたくなくて・・・・」
僕「知られたくないことがあるんだね。」
結衣「どうしていいかわからなくて・・・」
僕「わからないんだね・・そっかそっか。」
結衣「今も、竜也君に・・・すがりたくて・・でも、言うのが怖い・・」
僕は、そっと抱きしめた。
結衣は、ずっと泣いていた。
10分くらいだろうか。
結衣は、キッとした目をこちらに向けてきた。
結衣「よしっ。」
僕「うん。しゃべっちゃえ。」
結衣「・・・わ・わたし・・・わたしは・・」
声は震えている。
結衣「拒否したのに・・・強く・・・つ、強く、い、言えなくて・・」
僕「誰かに、何か・・・言われたの・・・?」
結衣「わ・・私の体を・・・から。、、体を!」
結衣は、また泣き出した。
僕「もういいよ・・・結衣。結衣は悪くない。悪くないから、目をつむって、こうしてなよ。」
結衣「ひっく・・・ひっく・・・」
もう、言葉にならない声しか出さなかった。
2時間ほどかけて、話してくれた。
結衣は、10歳年上の先輩から、執拗なセクハラを受けていた。
125: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/12(月) 17:52:43.30 ID:IV3lvoqA0
詳しく聞きすぎると、それはセカンドレ○プになってしまう。
断片的な情報をかき集める。
・結衣は、この春から移動してきた10歳年上の会社の先輩(命名:蛇野郎)から、言い寄られている。
・最初は、ニタニタとデートを誘ってくるくらいだった。やんわりと断っていた。
・とある案件で一緒に仕事をした。そこで、結衣が致命的なミスをした。
・蛇野郎は、そのミスをフォローしてくれた。すこし見直した。
・少し気を許してしまったら、残業中に2人きりになった時に、軽くボディタッチされた。やんわりと拒絶したつもりだったが、相手はその気になってしまった。
・以来、事あるごとに一緒に残業をしたがるようになり、2人きりのタイミングを見計らって軽く触られるようになった。
・この年末時期になると、エスカレートしてきた。
・直近では、(おそらく)胸を触られた。しかも(これも推測)ブラウスのボタンを外され、ブラにまで手をかけられ、ホックまで外された。
・必死で抵抗しようとしたが、仕事をフォローしてもらった弱みと、蛇野郎の目が怖くて強く拒否できなかった。
・自分は女だ。何かあれば、首を切られるのは男ではなく女の私だ。
・蛇野郎もいるし仕事もきついから嫌で嫌で仕方がないが、私はこの仕事にやりがいを感じているので、辞めたくはない。でも、誰にも知られたくない。
結衣「ひっく・・・私・・・あの感触が・・・頭から取れないの・・・ひっく・・」
僕「結衣は悪くないよ。悪くない。よく一人で頑張ったよ・・・えらいよ・・・悪くないからね。」
結衣は、僕の胸で、ずっと泣いていた。そして、そのまま寝てしまった。
僕「・・・」
僕は考えていた。
僕にできることってあるのだろうか?
はっきり言って、ない。
今の世の中ならば、これは完全なセクハラだし犯罪だ。コンプライアンス云々どころの騒ぎじゃない。
でも、当時はまだそこまでセクハラ・パワハラに対する意識も低い時代だった。
また、10歳も年上の先輩に対して、他部署のペーペーの僕が太刀打ちできる要素は全くない。
僕と同じフロアにいる事業部長の電話が漏れ聞こえたことがある。
事業部長「はい。我々の提案を拒否するということですね。それでよろしいですね?では私はこれから○○と△△と□□の会社に出向いて談合をしてきますので。」
事業部長「は?何言ってるの?おたくはこの条件飲まないんでしょ?いいよ。飲まなくて。徹底的に潰すから。後悔するなよ。」
事業部長「じゃあ、最初から『自分に決定権はありません』て言えよ。こっちは遊びでやってんじゃないんだよ。お前じゃ話にならんよ。上司を今すぐ出せ。出せないならもういい。お前の会社は2か月後にないからな。」
こんな会話が聞こえることは(ごくたまに)あった。
つまり、何が言いたいかというと、世の中、まっとうな会社ばかりではない。会社は不祥事を隠そうとするし、それをもみ消すためなら何でもやる。
だから、歯車である自分が、やれることというのは、何もないのだ。
できること。
それは、結衣を抱きしめてやることだけだった。彼氏の代わりとして。
帰り道、結衣はすっきりした顔をしていた。
結衣「私、頑張ってみる。蛇野郎先輩は2週間くらい出張だから、それまでにいろいろ考えてみる!」
僕「うん。大見得切ったけど、僕には何にもできない。ごめんね。」
結衣「ううん。ありがとう。すっきりしたよ!」
嘘だ。
きっと、会社の女子寮に帰ったら、またきっと悩んで暗くなるんだ。
結衣、なんとかしてやりたい。
僕は、あることを思い出した。
126: 以下、
クソ野郎は何処にでもいるな
127: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/12(月) 22:53:41.82 ID:IV3lvoqA0
<ピンポーン>
年末年始の休みが終わる。この日は最終日。
僕は、インターホンを押した。
沢村「はいー。なんだ竜也か。どうした?入れよ。」
僕「すみません突然に。お邪魔します。」
僕は、同じマンションにいる沢村さんに、思うところがあって話をしに来た。
沢村さんの部屋は、同じマンションとは思えない。
壁には自作の棚がはりつけてあり、ネクタイがショップのように陳列してある。
バーカウンターも用意されている。脇には高価な洋酒が何本も置いてあった。
手慣れた手つきで、ショートカクテルを入れてくれた。
僕「いただきます。あ、これどうぞ。」
僕は、手土産に、スキー場の帰りにお土産として買った、新鮮なチーズを取り出した。
沢村「お、いいね。じゃあ俺は白にしよう。確か、辛い奴が一本あったはず。」
そういうと、沢村さんはワインセラーから白ワインを持ってきて、開けた。
僕「この部屋って、すごいですよね。もてなす感が。」
沢村「そりゃそうさ。この印象で、ここに来た子が股を開いてくれるかどうかが決まるからな。」
僕「たぶんですけど、この部屋に来た時点で、相手は開く気満々だと思います。」
沢村「いやいや。違う違う。それは初心者の考えだ。まずは、気軽に誘う。そして、気軽に返す。」
僕「はぁ。」
沢村「俺の家は、誰でも、気軽に入れる。そういうイメージが大事だ。そして、敷居を下げるんだ。」
僕「さすが・・・経験者は語りますね・・」
沢村「蟻地獄の世に・・・ウヒヒ・・・ちょっと・・ウへへ・・足を入れたら・・ヒャヒャ・・・」
僕「・・・帰ろうかな・・」
沢村「まあいい。で、何の話があるんだ?」
僕「単刀直入に聞いていいですか。」
沢村「おう。」
僕「商品開発部に、沢村さんの下僕っています?」
沢村「・・・おいおいww 人聞き悪いこと言うなよww 俺は別に・・・」
僕の顔を見て、茶化すのをやめる
沢村「意図が分からない。」
僕「そうですよね・・・詳しくは言えないのですけれど・・・商品開発部の、蛇野郎という人の弱みが握りたいんです。」
沢村「蛇野郎さんか。知ってる人だな。俺の大学の先輩だ。」
僕「で、どうですか。商品開発部の内情にに詳そうな『お局様』経由で、蛇野郎さんの弱みが握れないかな、と考えたんですが。」
沢村「ふむ。答えはYesだ。だが、俺にものを頼むんだ。『詳しくは言えない』じゃあ話にならん。」
僕「ですよね・・・詳細までは言いません。僕の言葉のニュアンスで察してください。さらっと話します。協力お願いできませんか。」
僕は、少しぼやかして話した。
沢村「だいたいわかった。簡単に言うと、竜也の同期の子が蛇野郎さんにセクハラを受けてるから、撃退してほしいってことだな。でも、同期の子はそれを周りに知られたくないと。」
僕「・・・察しが良すぎます。沢村さん・・・」
沢村「お前が嘘つくのが下手なんだよ。しかし許せんな。セクハラなんてまかり通る時代じゃない。今後、世の中はもっとそういう問題に対して厳しくなる。今のうちに芽を摘んでおいた方がいいかもな。」
僕「しかし、僕たちでは限度があります。」
沢村「ふん。任せておけよ。弱みを握る?探す?面倒だな。弱みなんて作っちゃえばいいんだよ。」
僕「・・・どうやってですか?」
沢村「蛇野郎さん、これから2週間くらい出張じゃないか?」
僕「はい。そういってました。何で知ってるんですか?」
沢村「ああ・・・お前の考えはビンゴだよ。確かに、商品開発部に、俺の『下僕』の一人がいる。俺の言うことならだいたい聞くだろうな。」
僕「こわっ。」
沢村「その下僕が、これから2週間出張って言ってたんだよ。同じ部署の気持ち悪い男の先輩と一緒だって言ってた。きっとそれが蛇野郎さんかなと思ったんだよ。」
僕はひょっとしたら、とんでもないお願いを、沢村さんにしてしまったのかもしれない。
128: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/13(火) 00:36:25.96 ID:r7ul+eXo0
年始早々、そのニュースは社内に広がった。
なんでも、商品開発部にいる男性社員が、年明けの長期出張の初日に、同行していた女性社員を酔った勢いで押し倒し、出張に居合わせた重役に見つかって謹慎処分を受けたらしい。
これも噂であるが、その女性社員と重役は秘密の関係らしく、自分の女に手を出した男性社員に激怒。二度と出世できないように左遷されるらしい。
沢村「へぇ。世の中には不届きな男性社員もいるもんだな。性の乱れは風紀の乱れ。竜也も気をつけろよ!」
何食わぬ顔で、平然とそう言ってのけた沢村さんに戦慄した。
僕「えっと。。何したんですか沢村さん・・・」
沢村「は?何が?男性社員のことお前知ってるの?」
とぼけているが、表情はにやけている。
つまり、そういうことだ。
きっと、女性社員というのが沢村さんの下僕だ。重役とも関係を持っていたらしい。そして、ハニートラップを仕掛けたのだろう。
世の中には、知らない方がいいこともある。
僕は、結衣にメールをした。
「因果方法ってあるんだろうね。」
返事は、すぐ帰ってきた。
「もう、社内に広まってるんだね・・・」
「ああ。とにかく、これからは仕事に集中できるね。」
あっけなかった。
因果応報。
こんなやり取りの後、僕と結衣の関係は、より親密になっていく。
129: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/13(火) 00:37:57.06 ID:r7ul+eXo0
結衣の心のうちは、実際は分からない。
でも、僕は心で、いつも言い聞かせていた。
「僕は、結衣にとっての『仮の恋人』」
そう。遠距離恋愛で埋められないものを、僕が埋める。
決して、関係を持ってはいけない。
不思議と、性欲は沸かなかった。同情が強かったのか、彼氏や淳に遠慮したのか。
その週末、結衣に会った。
結衣「ありがとう。」
僕「何が?」
結衣「根回ししたの、竜也君でしょ?」
僕「ちょっと意味が分からないよ。」
結衣「お局に呼ばれたわ。『結衣ちゃん!怖い思いさせてたんだね!もう大丈夫だからね!何かあったらすぐ言ってね!』って言われた。」
僕「冷静に考えなよ・・・お局って誰?僕、その人と接点ないよ・・・」
結衣「あるよ。お局、重役さん以外にも沢村さんとも関係持ってたってこっそり聞いたよ?」
僕「あのね。ドラマじゃないんだから、そんなことがあるわけないでしょ?」
結衣「じー。」
結衣は、本当に可愛い。その大きな瞳で、まっすぐに見つめられると、一瞬で恋に落ちてしまうくらいに。
僕「・・・何、襲われたいの?僕、今けっこうイライラしてるよ?呼び出しておいて、僕を犯人みたいに問い詰めるの?いい加減にしなよ。」
結衣「ごめん。助けてもらったのに詮索しちゃった。本当に感謝してるの。それだけなの。」
僕「感謝される筋合いは、特にないからさ、恩を感じる必要はないよ。結衣は今まで通り仕事に打ち込みなよ。ほら、ご飯さめちゃうよ。食べよう。」
結衣「うん・・・」
帰り際に、言われた。
結衣「やっぱり、貸しは作りたくない。」
僕「頑固だな・・・貸し借りなんでないよ・・」
結衣「私を馬鹿にしないでほしい。私は守られてる子じゃない。ちゃんとした社会人よ?」
僕「・・・」
結衣「社会人として、受けた恩はきっちり返します。」
僕「逆に言うよ。結衣が、僕に返せるものって何?僕は何も望んでないよ。今まで通りに良い同期として付き合ってくれ。それだけだよ。」
結衣「・・・私、自分がモテてる自覚あるよ?」
僕「・・・それで?」
結衣「その・・・お礼としてなら・・・ひ、一晩くらいなら・・」
結衣の顔は真っ赤になっていた。
僕はなんとなく断った。
きっと、結衣のことを何とも思ってなかったのなら、喜んで乗っただろう。
僕にとっては、結衣というのは社会人前からの知り合いなわけで、信頼できる同士でありたいと思っていた。
結衣も、分かってる。僕に恋愛感情なんてないはずだ。
僕「いいよそういうの。彼氏がいるくせに、恥を知れ。」
僕は冷たく言い放った。
結衣「本当だよね・・私何言ってるんだろう・・混乱してるのかな。」
僕「ま、愚痴はいくらでも聞くから、いつでもいらっしゃい。そのかわり」
結衣「そのかわり?」
僕「襲われても文句言うなよw」
結衣「おいwさっきと話が違うだろwwでもその時はその時でどんとこいw」
こうして、不思議なつながりを持つ同期ができた。
結衣は、その後、困難を乗り越え、数年後に遠距離恋愛中だった彼と結婚する。
そして、彼の仕事先の地方に転勤願を出し、その地方で暮らす。
2人だけの秘密。2人だけの関係。
誓って言える。彼女とは、肉体関係はなかった。
しかし、それ以外の確かなつながりが、あった。
130: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/13(火) 00:46:07.09 ID:r7ul+eXo0
ここのところ睡眠時間が全然ないです。
もう寝ます・・・
またの機会に。失礼します。
132: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/13(火) 09:30:00.84 ID:ZFEkVD+S0
年始から年度末にかけて、部署内は慌ただしい。僕も(まだまだ分からないことだらけだが)それなりに仕事に慣れ、自分だけの案件も持ち始めていた。
新人研修の時に同じ班だった営業の男がいる。
綾野剛似、以下剛。
剛は、先述したが、新人トップの成績で研修を終えている。
希望の配属先は田舎で、希望通りの営業所に行った。
当時の彼女を配属先に呼び、すぐに結婚した。
以降、特に接点はなかった。
僕「お電話変わりました。」
剛「竜也君?久しぶり。綾野です。元気にしてた?」
僕「剛君か。久しぶりだね。元気元気。そっちは?子供産まれるんだっけ?」
少し、懐かしい話をする。
剛「んで、本題なんだけれど。実は、お客さんの話を聞いてるうちに、ちょっとしたアイデアが浮かんだんだ。」
僕「アイデア?それなら、申請書のフォーマットあるから送ろうか?最近、僕もちょっとした問い合わせ以外は上司に申請出さないと動けないんだ。どんな案か知らないけれど、現場の声は書類で残しておいた方がいい。」
剛「俺も忙しいから、書類となると敷居が高くなるな。できれば、そっちで書いてくれないかな。」
僕「んー、じゃあ、今、話を聞くから、それを聞いて僕が書類に書くべきだと感じたら、現場の声からこんな意見があるよって形で書類にする。それでいい?」
剛「ああいいよ。俺は書類書くより現場でお客さんと話してる方が割に合ってる。」
僕「書類は大事だよ?いざ自分を守るのは、ペラペラの紙1枚だからね。」
剛「まーね。じゃあしゃべるから、竜也君の方で判断してくれ。」
内容は、案としては興味深いものだった。
法改正に絡んだ仕組みは各社作られ、市場は落ち着きつつある。いいこともあったが、一部のお客様にとっては窮屈に感じる事態もあるだろう。
そんな窮屈さを解消する、とてもニッチな商品・サービスだった。
僕の頭の中で、自分の知識と現場の声がリンクする。
直感的に、これは新規分野の開拓として調査くらいならしてもいいんじゃないかと判断する。
僕「それ、うまくいけばモノになるかもしれない。そのままだと微妙だけど、何かと組み合わされば・・・法改正後に生まれる、ちょっとした市場開拓くらいにはなるかも。」
剛「まー、そこまで大それたことじゃないんだけどさ、何かのアイデアの足しにてくれよ。じゃあ、またな。」
電話を切り、僕は、アイデアを具現化するために、企画提案書を作成した。
それは、A4で1枚の、走り書きのようなものだった。自分の中の案件として、仕事のレベルではABCD評価でD。
Aは新規事業開発提案。
Bは事業見直し案。
Cは現行品に企画追加案。
D。それは、「とりあえず調査だけしてみよう」という、片手間に処理する「調査案」
そう、この時は、ただの紙切れ1枚の、市場調査案だった。
まさか、この市場調査案が、僕の環境を一変させる内容に変わるなんて想像もしていなかった。
133: 以下、
小さな事程大切な事が多いよな
135: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/13(火) 10:12:01.31 ID:ZFEkVD+S0
>>133
確かに。その積み重ねの中に、原石が紛れ込んでいる。そんな気分
134: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/13(火) 10:10:06.75 ID:ZFEkVD+S0
D案はすぐに終わるため、だいたい申請書が通る。
僕は課長にすぐさま判子を貰い、書類の片隅に入れておいた。
数日後、手が空いたので、ネットで情報を集めてみる。少し興味深い記事が、他分野で出ていた。
社内の意見書がデータベース化されているので、イントラネットで類似の要望がないか検索する。
全く同じ要望はなかったが、うちの商品を提供するにあたってこんなことができたらいいなという要望書に目が止まる。
年末に沢村さんと出かけた展示会に、ある商品が出ていた。その時は気にも留めていなかったが、組み合わせると・・・
僕「沢村さん。ちょっといいですか?」
沢村「ああ。会議があるから、それが終わってからならいいよ。」
僕「はい。えー。じゃあ1時間後ですかね。横の打ち合わせ室予約しときます。」
沢村「あいよ。すぐ終わる?」
僕「30分くらいで。」
沢村「OK」
1時間で、簡単にまとめる。
沢村「お疲れ。どうした?」
僕「実は、こんな案件が出てきたんです。で、この商品とこのサービスを組み込んで、このアイデアを使ったら、ちょっとした市場開拓になりませんかね?」
沢村「・・・ほう。」
沢村さんの目つきが、変わった。
僕「どうですか?面白くないですかこれ。」
沢村「市場規模は不明だが・・・」
僕「ですよね・・・」
沢村「作り手の立場としては、恐ろしくやりがいを感じる内容だな。」
僕「やっぱりそうですか。それでいて、大変な作業の割に、市場の規模が見込めない。」
沢村「なるほどな。でも、だからこそ、大手では手を出さない分野だな。」
僕「そこにチャンスがあるかなと。幸い、法改正に絡んでるので、僕なら詳しいですよこの分野。」
沢村「これは・・D評価か。今すぐ書き直せ。C評価に変更だ。いいクリエイター紹介してやるよ。あ、お前の名前だと他部署が動かないかもしれないな。俺の名前で書き換えとけ。俺も口出しできるし、お前も動きやすいだろう。」
僕は、言われるまま、申請書を書き直し、提案書を添付した。
紹介されたクリエイターは、その業界ならだれもが知る、超大物だった。
クリエイター(柴田恭平似、以下柴田さん)
柴田「お世話になります。ご無沙汰してましたね。」
沢村「いつもお世話になっております。お元気そうで何よりです。」
簡単に僕を紹介してくれる。名刺交換する。
沢村さんは、僕の原案を書き直し、柴田さんに提案書を出した。
柴田「なるほどね。なかなか面白そうじゃない。僕の仕事は何をすればいいわけ?」
沢村「今のところ、ちょっとぼやっとしてるので、具体的に、こんな商品・サービスに具現化できますという何らかの「形」が欲しいですね。イメージ図でもいいので、何か描けないですか。」
柴田「ふむふむ。1週間くらいもらえる?また打ち合わせしましょう。その時に、アイデアをいくつか出してみるよ。それを引き取るなら、アイデア料ね。」
沢村「承知しました。」
こんな感じで、スタートした。
136: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/13(火) 10:39:01.13 ID:ZFEkVD+S0
柴田さんのアイデアとラフは、この企画を一気に格上げするものだった。
すぐに、課長へ申請書を提出した。
課長は、何も言わずに判子を押してくれた。
課長「正直言うと、それほど需要は見込めないと思う。ただ、君たちがやる気になっているし、投資額は多くなさそうだ。俺の考えが古いのかもしれんから判断できない。お前たちがやりたいなら止めない。部長には話を通しておく。そこから先の他部署への交渉や進捗管理はお前たちがやれ。」
つまり、好きなようにやれというGOサインだった。
僕は、沢村さんの手助けの元、商品開発部に話を通した。
翼「竜也君、沢村さんの案件来たよー。面白そうだね。私も手助けすることになりそう。」
僕「お、そうなんだ。よろしくね。イメージや戦略の資料はそれなりにあるから、送るよ。」
翼「うん。うちの先輩に送ってあげて。あと、社内LANで共有かけておいて」
僕「そうだね。わかった。」
2月半ばになると、設計開発にも話が進んでいた。
淳「沢村さんの案件、こっちまで下りてきたぞ。俺も設計に加わるからな。」
僕「お、いいね。他部署の連携が感じられてうれしい。」
淳「ちょっと仕様がわからないところがあるから補足資料作ってくれ。」
僕「あいよ。あと翼ちゃんも絡んでるから、商品開発部にも確認取りやすいと思う。活用しなよ、横のつながり。」
淳「そうだな。参考にするよ。」
そして、経営企画・商品開発・設計開発が合同で会議し、正式にGOサインが出た。
その次の会議は、広報と生産管理も出席した。
沢村「・・・以上が、今回のプロジェクトの概要になります。」
相も変わらず、沢村さんの提案は全員を魅了した。
この会議には、商品開発の翼と生産管理の豊も、先輩と同行していた。
商品企画「発売日は・・GW前を予定しています。生産管理としてはどうですか。」
生産「ほぼ生産として何かやることはないから問題ないです。ラインナップに関して、現行品の在庫調整や変動が必要な予測ですか?」
広報「大々的に〇〇のラインナップをメインに商品展開していきますので、〇〇の在庫は増やしておいた方がいいかもしれないですね。」
沢村「どれくらいの需要が見込めるかは、今週中にウチの方から展開します。」
商品開発「開発としても、納期に問題はないです。」
広報「プロモーションは4月頭には行いますので、CGでも結構ですので3月20くらいまでには資料が欲しいです。」
・・・
商品企画「では、納期はシビアですが、『先んずれば制す』です。このプロジェクトは、市場に出したもの勝ちです。迅にやりましょう。以上です。」
会議は終了した。
137: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/13(火) 11:21:00.92 ID:ZFEkVD+S0
事業部長に、うちの部長・課長が呼ばれたらしい。
課長「事業部長に呼ばれたよ。」
僕「何か言われましたか?」
課長「『この忙しい時期に、開発費をかけて無駄な投資をし、見込めない需要の商品展開をするとは何事だ。』だとさw」
僕「・・・じゃあ、プロジェクトは中止ですかね・・・」
課長「いや、ちゃんと君たちの資料を見せて通したよ。」
僕「ありがとうございます。なんか済みません・・」
課長「『こんなもの、月に5セット売れれば俺の負けだ』が捨て台詞だったw何としても月に5セット以上売ってくれw」
5セット。少ないと感じるかもしれない。
ちなみに、5セット売ると5万ほどの利益にしかならない。
しかし、この商品は特殊で、これ単品を購入しても意味がない。当社のラインナップを導入して初めて利用価値が出る。
つまり、5セット商品が売れると、当社のシステムが5件採用されることになる。
5件採用されると、純利益は100万にも上る。
だが、ライフサイクルを考えれば、会社を動かして展開するには少なすぎる額だ。
GW、A4用紙1枚で始まった案件が、プロジェクトとなり、商品として具現化し、発売された。
その発売は、業界に一石を投じることとなった。
法改正があって1年。市場が動いた。
前年に、公的機関から「理想モデル」と評された事案があったが、そのラインナップと今回の商品は抱き合わせで展開された。
広報「今回の販促費は、過去最高額だったよ。商品サンプルが高額過ぎた。」
沢村「そのかわり、反響も大きかったんじゃないですか?」
広報「ああ。初めてだよ。お客様から直接電話がかかってきて『こういうものを待ってた!』と喜ばれたのは。」
事業部長の予測は外れた。この商品発売前、展開していた事業のラインナップは月に50件程度の採用だった。商品発売後に問い合わせが殺到し、
ラインナップは月に平均300件以上売り上げるものとなる。
実際にその商品を組み込むお客様は月に100人ほど。その商品を組み込まなくてもいい。組み込めるよという対応力が受けた。
他社も、これから開発費と研究費をかけて追随するだろうと、うちの部長が言った。だがもう遅い。これから、価格競争が始まるだろう。
僕たちの商品は、先に発売し、他社が発売するまで、利益を貪る。
他社が同じものを出しても、うちと同じ金額では販売できない。また、割愛するが、他社では絶対に安くできない秘密の強みがあった。
完全に独占。鑑賞だった。
沢村さんの評価が、また上がった。
僕もうれしかった。
沢村「この案件はドル箱だったな。」
僕「そうですね。沢村さんはやっぱり凄いです。」
沢村「俺は今回手助けしただけだ。これはお前の仕事だと言っていいよ。」
僕「実際、僕が展開したら失敗してますよでも。」
沢村「ま、会社っていうところはそういうところだ。」
こうして、些細な提案は、当社の屋台骨を支える一環となった。
余談であるが、課長はこの案件が評価され、数年後に他の事業部へ「部長」として昇進する。
そして、沢村さん。
沢村さんは、この案件がきっかけで、
他業種から引き抜きを受けることになる。
138: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/13(火) 11:56:48.78 ID:ZFEkVD+S0
話は遡り、2月。
残業は慢性的であったが、週末はしっかり休めていた。
僕はスノボーにはまり、豊達と毎週出かけていた。もちろん、翼や結衣、淳とも滑りに行っていた。
僕「翼ちゃん、上手になったよね。中級くらいなら全然問題ない」
淳「そうだね。あーあ。俺も一緒にお泊りしたかったな!なんで内緒だったんだよ!」
僕「根に持つなって。下心丸見えのやつなんて呼べるかよ。」
結衣「あはは。それから何回か一緒に滑りに行ってるから許してよーw」
翼「私の目の黒いうちは、お泊り厳禁だよ!」
豊「あー。今日も楽しかったな。また滑りに行こうな。」
帰り際、相変わらず車を出してくれた豊が、そう言った。
僕「いつもありがとう。楽しかったよ。」
豊「あ、そうだ。あとで時間ある?」
僕「うん。解散後?」
豊「そう。」
僕「あるよ。じゃあコーヒーでも飲みながら。」
豊「OK奢るよ。」
僕「どした?」
豊「去年、ナンパした子覚えてる?」
僕「そういえば、そんなことしたな。」
豊「また会おうってことになった。」
僕「・・・すごいね。よくやるね。で、僕も誘ってくれるのかな。」
豊「そうなんだけど」
僕「そうなんだけど?」
豊「今から飲みに行くことになった」
僕「早いよ展開が!これから?!いいねそういう無茶振り大好き!」
土曜深夜23時。スノボー帰りに、その2人に会った。
上村愛子似(以下愛子)、広末涼子似(以下涼子)
豊「愛子ちゃん久しぶり!!」
愛子「久しぶりー。意外と近くに住んでてびっくりした。」
豊「運命だねきっとw」
愛子「はいはいw急に来てくれてありがとうねwあの日以来に涼子ちゃんと遊びに出かけて、今飲んでたの。」
僕「それで、あの日の話題になって、連絡くれたのかな?」
涼子「うん。ごめんなさい。愛子ちゃん、言ったらきかなくて・・」
僕「いいよいいよ。覚えていてくれてありがとう。
涼子「うん・・」
愛子は、よくしゃべる。そしてノリが良かった。
豊もよくしゃべる。明らかに愛子狙いだった。
2人は意気投合し、とても楽しそうだった。
反して、涼子はそれほど乗り気ではないようだった。
あまり表情を変えない。
涼子は背が高く、色白の美人だった。ただ、美人。それだけ。
僕は、差しさわりのない会話をしたと思う。
よく覚えていない。
少なくとも、盛り上がらなかった。
でもまあ、会社の話とかはした。
朧げに覚えているのは、彼女が個人経営に近い事務所の事務をしていて、とても優秀で、難関の国家資格取得に向けて勉強しているということだったと思う。
美人ではあったけれど、対して興味も湧かなかった。
相手も、楽しそうじゃなかった。
そして、その日は終了した。
だから、その翌日、涼子から「また時間が合ったらどこか行きませんか」というお誘いメールが来るなんて、想像もしていなかった。
139: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/13(火) 12:27:56.67 ID:ZFEkVD+S0
お互いに忙しい身だ。
2週間後くらいに再会した。
近くのマックで軽く食べ、当時流行っていた映画でも見ようという話になった。
僕「本当に近くに住んでるんだね。30分くらいで会えちゃうんだ。」
涼子「そうみたいですね。びっくりしました。」
涼子は、本当に美人だ。
その小さな口で、ポテトだけをつまんでいた。
僕「ポテトだけ食べるの?そっちのハンバーガーは残しちゃうの?」
涼子「うん。そんなにお腹が空かない人なんです。」
僕「さすが女子。ていうか、ハンバーガーもったいない・・」
涼子「ポテトだけ頼むのも、なんだか申し訳ないので。」
僕「あの、もったいないので、僕が食べてもいいかな?口つけてもいないみたいだし。」
涼子「え?・・・ええ。どうぞ。ファストフードでも、やっぱり捨てるのはもったいないですか。」
僕「もったいないよ。どんな調理過程でも、どんな内容物でも、やっぱり、頼んだ以上は残さない。僕はそうしてる。」
涼子「・・・そうですか。」
ちょっと、涼子の性格がわかった気がした。
僕「映画、好きなんだね。」
涼子「はい。大学時代から、文学として興味があります。」
僕「エンターテイメント性は求めないんだね。」
涼子「どちらかというと、フランス映画のような作品が好きです。」
僕「うーん、見たことがないから分からないなぁ」
涼子「あの、良くわからないエンディングがたまらないんです。」
僕「ふーむ?」
涼子「有名な映画だと・・・」
いくつか知っている作品を列挙してくれた。
僕「ああ、意外と知ってるもんだなぁ。ほら、この作品て彼女の出世作だよね?あのシーン、良かったよね。ここのセリフとか。」
涼子「??藤原君て、意外と物知りなんですね・・私もあのシーン、好きですよ。」
何というのか。
お互いの休息。
静かな時間だった。
雑踏の中、周囲のざわめきを気にせず、何気ない風景になる2人。
涼子とは、月に数回、ちょっとした息抜きで、一緒に食事や休息を取る。そんな関係になった。
別に、彼女自体にはそれほど興味はなかった。
恋愛の対象には見えなかった。自分も忙しく、あまり恋愛に時間をかけたくない時期でもあった。
涼子も、それを望んでいるようには見えなかった。
食事の時は、涼子はあまり食べなかった。
だから、涼子の食事の半分は僕が食べた。
回数を重ねると、涼子は最初から自分の分を取り分けて、残りは僕にくれるようになった。
あの数か月は、僕にとっても涼子にとっても、平穏で安らげる空間を作り上げていた。
春を迎え、また涼子と会った。
涼子「すみません。花粉症なんです。」
その抜群のスタイルとセンスある服装。モデルのような体型でマスクをすると、芸能人であるように錯覚する。
会うたび、涼子はさらに綺麗になっていた。
その日は、夕方に会った。
そして、ちょっとオシャレなビルで、食事をした。
食事の際、ちょっと飲んだ。
2人で、並んで座っていた。
いつもと少し違う、物静かなレストラン。
お互い、特に会話もしない。それが少しだけ心地よかった。
開放的な窓から、夕日が差し込む。
いつしか、夕日が沈もうとしている。
とてもロマンチックで、とても静かな時間だった。
僕の腕が、涼子の腕に触れた。
涼子は、僕の手を、握ってきた。
僕は、自然と、手を握り返した。
涼子の頭が、僕の肩に乗せられる。
その瞳が、僕の瞳を追った。
僕と涼子は、レストランの風景のように、その場で、優しく、キスをした。
140: テスト ◆71vVbFpf.c 2016/12/13(火) 12:44:24.74 ID:ZFEkVD+S0
次回更新は夜以降です。
お疲れ様でした。
141: 以下、

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