善子「再会と夢と、2人の天使」back

善子「再会と夢と、2人の天使」


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2:
?とある1つの天界?
天使????「こ、こんにちは。は、はじめまして」モジモジ
天使????「こんにちは! あなた、だあれ?」
天使????「ま、まるは……まるえる……です……」モジモジ
天使????「まるえるちゃん! よろしくね! わたしはよはえるよ!」
天使マルエル「よはえる……ちゃん。よ、よろしくね」モジモジ
天使ヨハエル「まだまだみならいの天使どうし、なかよくしましょ!」
3:
??????
ヨハエル「まるえるちゃん! ここまでとんでこれる?」ヒュン バサアッ
マルエル「よはえるちゃん、はやい、たかーい! すごいよ、まって?!」バサバサ
ヨハエル「そんなちょうしじゃ、いちにんまえの天使にはなれないわ!」
ヨハエル「わたしたちにはまだ、たった2まいのつばさしかないけれど……」
マルエル「はぁ、はぁ……やっとおいついた……」バサアッ
ヨハエル「はやくいちにんまえになって、しょうかくをくりかえして……」
ヨハエル「12まいのつばさをもつ、してんしになるのよ!!」
5:
マルエル「し、してんし……。この天界においては、まだだれもとうたつできてない、でんせつのかいきゅうだね……」
ヨハエル「そう! すべてのてんしたちのちょうてんよ! わたしたちは、そこをめざすの!」
マルエル「よはえるちゃんは、ゆめがおっきいねぇ」
ヨハエル「なにいってるのまるえるちゃん!」
ヨハエル「あなたも、わたしといっしょにそのたかみへめざすのよ!」
マルエル「え、ええ?!? ま、まるも??!?」
ヨハエル「そうよ! まだ天界のことはよくわかんないけど……」
ヨハエル「いつか、わたしたち2人で、なにかをかえられたらいいわね!」
6:
??????
主天使ヨハエル「ねえ、マルエル……」
主天使マルエル「何? ヨハエルちゃん」
ヨハエル「私、下界を……人間界を覗いてて、最近思うの……」
ヨハエル「人間界には、たくさんの困ってる人間たちがいる……だから……」
マルエル「だから……?」
マルエル「ま、まさか……」
ヨハエル「私、そういう人たちを助けたい! 手を差し伸べたい!」
マルエル「……ヨハエルちゃん」
マルエル「それは……無理だよ……だって……」
7:
ヨハエル「分かってるわよ!」
ヨハエル「天界の、人間界不干渉の掟……これがある限り、私たち天使は……」
ヨハエル「人間界には介入できず……人間への接触は……固く禁じられている……」
マルエル「……そうだね……。遠い昔に天界議決によって定められた、重大な掟だもんね……」
ヨハエル「でも! それなら、私たちは! 困ってる人たち、苦しんでる人たちを!」
ヨハエル「ただただ見過ごせって言うの!? この遥かなる高みから、見下ろしてるだけしかできないの!?」
マルエル「…………」
マルエル「……だったら……変えればいいんじゃないかな……」
マルエル「マルたちが」
8:
ヨハエル「!!」
マルエル「天界の掟には……女神様には、絶対に逆らえない……。それなら……」
ヨハエル「……そうか……」
ヨハエル「そうよ! そのためになればいいのよ……! 熾天使に!!」
ヨハエル「熾天使になれば……きっと……きっと! 女神様に、意見を言えるようになるはず!」
ヨハエル「熾天使になって……発言力を手に入れて! 天界議会を揺るがすの!!」
ヨハエル「この天界を変えるのよ!!」
ヨハエル「私たち2人で!!」
マルエル「……うん……、そうだね!」
9:
?煉獄?
智天使ヨハエル「ここが……煉獄……」
座天使マルエル「無数の魂が行きかう場所……」
ヨハエル「禍々しさと神々しさが入り混じったような場所ね……」
マルエル「ここが、輪廻転生を司る地、なんだね……」
ヨハエル「人間たちは天国と地獄の存在を信じているけど、実際はそんなもの存在しない」
マルエル「うん……天界に天国なんてないし、同じように、魔界に地獄なんて存在しない……」
ヨハエル「あるのは……輪廻転生のみ……そして、それが行われるのが煉獄……」
マルエル「マルたち天使だって、不死身じゃない……死ぬことも、輪廻転生からも、逃れられない……」
10:
ヨハエル「……見学はここまでにしましょ。気味が悪いし」
マルエル「……そうだね」
ヨハエル「よーし、帰ってもっと勉強しなきゃ! 熾天使になるために!」
マルエル「ヨハエルちゃん、もう智天使だもんね。もうすぐだよ」
ヨハエル「アンタは早く、座天使から智天使に上がってきなさいよね!」
マルエル「うん! ヨハエルちゃんは、智天使序列1位を目指して頑張ってね!」
マルエル「熾天使になる前に、まずは天使たちのリーダーにならなくちゃいけないんだから!」
ヨハエル「ええ、頑張るわ! アンタもね!」
11:
??????
智天使ヨハエル「魔界……聖なる天界とは真逆の、邪悪なる世界……」
智天使マルエル「人間界と同じく、干渉できない世界だね」
ヨハエル「そう……天界と魔界は、戦争が起きないよう、互いに不可侵協約を結んでいる……」
マルエル「天使と悪魔は……そして、女神様と皇魔帝は……どちらも、決して干渉してはならない……」
ヨハエル「魔界も、人間界に大規模に干渉することはない……これは少しだけ安心ね」
マルエル「でも、悪魔は直接人間界に危害を加えたりはしないけど、」
マルエル「『契約』を持ちかけることで、人間とは何度も接触している……それの多くは災いをもたらしてるよ」
ヨハエル「そうね……こちら側が人間と接触して、その災いを食い止めることができないのが、口惜しいわ」
12:
マルエル「それも込みで、天界のルールを変えていこうね」
マルエル「なんたって、今のヨハエルちゃんは……」
ヨハエル「……エッヘン!」ドヤァ
マルエル「この天界における、女神様に次ぐナンバー2の地位にいるんだから」
ヨハエル「ふふふっ。天使の中ではナンバー1よナンバー1! 一番偉いのよ!」
ヨハエル「この天界の全ての天使たちを統括する、天使たちの長!! 智天使序列1位!!!」
ヨハエル「それが、私!! 智天使ヨハエル!!!」ギラン
マルエル「ふふっ。これが熾天使だったらもっとかっこいいんだけどね」
ヨハエル「もう目前よ!」
13:
ヨハエル「なれるわよ! なるわよ! 絶対なってやるんだから――熾天使に!!」
マルエル「うん! ヨハエルちゃんなら絶対になれるよ!」
……
…………
――――――
善子「………………」ムクリ
善子「またこの夢……か……」
善子(あいつと再会してから、不思議な夢を見始めた……)
善子(私のような天使と、あいつに似ている天使……)
善子「ここのところ、ずっと同じ内容ね……」
善子「続きは? 続きはどうしたのよ! まったく!」
14:
善子「っていうか私はヨハネよ! 何よヨハエルって!」
善子「あと、私は天使じゃなくて堕天使よ!」
善子「でも、天使たちの頂点……熾天使、っていうのはちょっとだけかっこよかったりして……」
善子「いやいやいや! 熾天使だろうがなんだろうが、私は堕天使ヨハネよ!」
善子「それから……」
善子「マルエルってやっぱり……ずらまる……よね……?」
善子「全く……あいつはあいつで、何が天使よ!」
善子「あいつはただの人間よ! 天使なんて名乗る器じゃないわよ!」
15:
??????
花丸「はい、これ今日のプリント」
善子「ありがと」
花丸「あとノート、写せるだけ写しちゃって」
善子「……悪いわね、毎日毎日」
花丸「別にいいよ。でも善子ちゃん」
善子「何?」
花丸「早く学校に来てね」
16:
善子「…………」
花丸「みんな、待ってるから」
花丸「誰も善子ちゃんの自己紹介のことなんて、気にしてないから」
善子「どうせみんな、私のことなんて興味ないんでしょ」
花丸「待ってるって言ったずら。そんなことないよ」
善子「……どうだか」
花丸「もう、早くノート写しちゃってよ」
善子「はいはい」
善子「ねえ、ずらまる」
17:
花丸「何?」
善子「アンタ……天使って、興味ある?」
花丸「天使……ね。そういう本も読んだことあるし、うん」
花丸「好きだよ。天使」
善子「!」
花丸「ああ、幼稚園の頃の善子ちゃんは、天使を名乗ってたよね」
善子「ううう、うるさい! あ、あれは黒歴史よ! ///」
花丸「ええ?、可愛かったのになぁ」
善子「今の私はヨハネ! 堕天使ヨハネなんだから!!」
18:
??????
――――――
…………
……
?神聖の間?
この天界を統べる女神「智天使序列1位、ヨハエル」
智天使ヨハエル「はいっ!」
女神「現時点を以って、あなたを、熾天使序列1位に任命します」
ヨハエル「…………!!!」
ヨハエル「ありがとうございます……!!」
女神「左右5対の10枚翼を持つあなたに、新たに2対の翼を授けましょう」
19:
女神「翼を展開なさい」
ヨハエル「はい……」フワッ キラキラキラ
ヨハエル「!!!」バササササササッ
女神「これであなたは左右6対、12枚の白翼を持つ天使となりました」
女神「この12枚の翼は、熾天使である証にして、その力の象徴です」
女神「あなたはこの天界において、類稀なる優秀な天使です」
女神「今後も、この天界を良い方向に導くよう、尽力してください」
熾天使ヨハエル「はいっ…………!!!」
女神「この天界における、初の熾天使の誕生です!!!」
パチパチ パチパチ パチパチ パチパチ パチパチ パチパチ パチパチ パチパチ
20:
??????
熾天使ヨハエル「マルエル!! やったわ!! ついに、ついに……! 認められたわ!!」
智天使マルエル「おめでとう! 本当におめでとう、ヨハエルちゃん!!」
ヨハエル「熾天使よ熾天使!! 念願の熾天使!!」
マルエル「うんうん! やったね、ヨハエルちゃん!!」
ヨハエル「なんたって熾天使序列1位よ!!」
マルエル「ふふふっ、たった1人なのに、序列1位もなにもないんじゃないかな」
ヨハエル「いいじゃない、そこも喜んだって! 私は偉い、私はすごい!」
21:
ヨハエル「女神さまを除いて、この天界で一番偉いのよ!」
マルエル「はいはい。熾天使になる前の智天使序列1位の時から、ヨハエルちゃんは全天使中ナンバー1だったでしょ」
ヨハエル「まあ、智天使と熾天使じゃやっぱり格が違いすぎるからね。他の天界ではともかく、ここでは伝説上の階級扱いだったし」
マルエル「そうだね。他の天界と比較すれば、長らく熾天使が存在しなかったこの天界は、ちょっと珍しいよね」
ヨハエル「おかげで熾天使としてのライバルがいなくて助かったけどね」
ヨハエル「さて、熾天使になった記念に、あなたにも何か命令してあげようかしら?」
マルエル「ヨハエルちゃん……素敵な志はどうしたの? 権力を乱用する気?」
ヨハエル「冗談よ冗談。ああでも、今やあなたが智天使序列1位なのよね。この天界におけるナンバー3、智天使マルエル」
22:
マルエル「うん……そうだね。マルも、ここまで来るの、とても長かったなぁ……。長い道のりだった」
ヨハエル「何言ってるの。まだまだよ」
マルエル「まだまだ……かぁ」
ヨハエル「そうよ。……やっぱり1つ、あなたに命令するわ」
ヨハエル「あなたも早くここまで……熾天使の地位まで昇ってきなさい。そして……」
ヨハエル「この天界を変える私を、いつまでも支え続けなさい」
マルエル「ヨハエルちゃん……」
マルエル「分かった。その命令、承るよ」
23:
?天界議会?
女神「熾天使ヨハエルの意見に賛同のものは?」
マルエル「…………」スッ
シーン…
女神「智天使マルエルだけですか……ふむ……」
女神「いくら天使のナンバー1とナンバー2の意見と言えど……」
女神「ここにいる大勢の天使たちが反対するとなれば、否決せざるを得ませんね」
ヨハエル「お、お待ちください! 先ほど主張したように、わずかでもいいのです!」
マルエル「ほんの少しでも規則を緩めることはできないのですか!?」
24:
女神「何より、この私が同意しかねます」
女神「天使2人程度の意見では、天界議決によって定められし重大かつ根幹の掟を改定することは認めません」
ヨハエル・マルエル「「…………!!」」
女神「ヨハエル、マルエル。あなたたちは、全ての天使たちの模範となるべき存在です」
女神「考えを改めるべきなのはお2人の方であると私は思います」
ヨハエル「…………」
マルエル「…………」
25:
??????
ヨハエル「まさか、私がここまで人望がなかったなんて……」
マルエル「そんなことないよ。ヨハエルちゃんはみんなから好かれてるよ」
マルエル「ただ、みんな……人間たちと関わりたくないだけだよ……」
ヨハエル「…………」
ヨハエル「女神様の考えを変えるのは至難の業ね……。とりあえずは後回し」
ヨハエル「まず、あなたは熾天使になることに専念しなさい。女神様の不興を買ったらなりにくくなる」
マルエル「……うん……わかった……」
ヨハエル「その間に私は、私の意見に賛同してくれる仲間を、同志を募ってみるわ」
29:
……
…………
――――――
善子「………………」ムクリ
善子「夢の内容が進んだ……! やっと進んだ……!」
善子「私、えらく順調に熾天使になったわね……。まあ所詮夢なんだし、そんなもんか」
善子「困難はここからってところかしら?」
??????
キラリ! あつくなる 自分見つけたよ
このひかりは きれいだよね もっとキラリ まぶしい希望
ダイスキがあれば ダイジョウブさ
30:
??????
善子(これが、スクールアイドル、か……)
善子(せっかくチラシ貰ったんだし、雨の中来てやったけど)
善子(少しは、その甲斐があったかな)
善子(ハプニングはあったけど……まあ、悪くはなかったんじゃない?)
善子(たまになら……こうして見に来てやっても、いいかもね)
花丸「(善子ちゃん、善子ちゃん)」ヒソヒソ
善子「!!」
31:
善子「(は、花丸……!? どうして……あ、いや!)」ヒソヒソ
善子「(人違いではなくて? ど、どなたかしら?)」
花丸「(善子ちゃん……サングラスだけじゃバレバレだよ)」
善子「(あっ! さっきマスク外したんだった!)」ゴソゴソ
花丸「(また付けるんだね……マスクがあったってバレるよ)」
善子「(あ、アンタじゃなきゃバレないわよ! ほぼ学校来てないんだから!)」
花丸「(じゃあなんで変装する必要があるの……)」
善子「(うぐっ……! ね、念のためよ!)」
32:
花丸「(本当に変装したいなら髪型変えなきゃ。そのお団子は目立つよ)」
善子「(こ、これは、私なりの堕天使ヨハネとしての象徴で……!)」
花丸「(髪型変える他に、帽子被ってたらもっといいかもね。それでも、マルならきっと分かるずら)」
善子「(何よ、アンタのその自信は……)」
花丸「(まあいいや。とにかく、こんな形でも学校に来てくれて、マルはとても嬉しいずら)」
善子「(ふん……ただの気まぐれよ。また引きこもってやるわ)」
花丸「(何偉そうに言ってるの……)」
善子「(ところで……ずらまるはスクールアイドルに興味あるの?)」
33:
花丸「(うーん……本当に興味があるのはおらのお友達の方なんだけど……)」
花丸「(でも、おらもこうして応援はしていきたいかな、って思うよ)」
善子「(ふーん……まあ、私もそうしようかな)」
花丸「(善子ちゃん、徐々に学校に復帰できそうだね。楽しみだよ)」
善子「(それは嫌よ!)」
??????
――――――
…………
……
34:
ヨハエル「あれから……随分長い年月が経ったわね」
マルエル「そうだね……」
ヨハエル・マルエル「「……ごめんなさい!!」」
ヨハエル「……どうしてあなたが謝るの?」
マルエル「ヨハエルちゃんこそ……」
ヨハエル「私……ずっと、天使のみんなに呼びかけ続けた……私の想いを訴え続けた……でも」
ヨハエル「誰も私に賛同してくれなかった……誰も、私の同志になってくれなかった……」
ヨハエル「誰にも……全然……理解されなかった……」
35:
ヨハエル「だから……ごめん……」
マルエル「ヨハエルちゃん……」
マルエル「ヨハエルちゃんは悪くないよ……悪いのは、全然ヨハエルちゃんを支えてあげられないマルの方」
マルエル「昇格のためにいろいろ勉強して、たくさんの職務を果たし続けてきたけど……」
マルエル「未だに女神様に認められてないんだ……」
ヨハエル「マルエル……」
マルエル「そりゃそうだよね……熾天使なんて、この天界では伝説上の存在だったんだから……」
マルエル「マルはヨハエルちゃんみたいにすごくない。ただの平凡な天使」
ヨハエル「そんなこと……」
36:
マルエル「だから、マルは……熾天使になって、ヨハエルちゃんを支えてあげることができない……」
マルエル「あの時、命令されたのに……約束したのに……」
マルエル「力になれなくて、ごめんね……」
ヨハエル「……マルエル」ギュッ
マルエル「……ヨハエルちゃん」ギュウ
ヨハエル「マルエルは何も悪くないわ」
マルエル「ヨハエルちゃんもね……」
ヨハエル「……こうしましょう」
37:
ヨハエル「次の天界議会で再び進言して……意見が通らなかったら……」
マルエル「……どうするの?」
ヨハエル「私は……独断で動く」
マルエル「……え?」
ヨハエル「あなたに止められると困るから……教えるのは、これだけね」
マルエル「ええ!? ちょっと!」
マルエル「何をするのか知らないけど、危険なことなんでしょ!?」
マルエル「だめだよ! 絶対にだめ! 女神様からどんな罰が下るか分からないよ!?」
38:
ヨハエル「別に悪いことをするわけじゃないわよ」
ヨハエル「私は……困ってる人たちのために動くの」
マルエル「ヨハエルちゃん!!」ウルウル
ヨハエル「ごめん……言わなきゃよかったかしら」
ヨハエル「でも……言わなかったら後でもっと、あなたが悲しむかもしれないと思ったから」
マルエル「うう……」グスッ
ヨハエル「だから今のうちに……泣いといてちょうだい」ナデナデ
マルエル「……ぅ……ぁぅ……くっ」ポロポロ ギュウ
39:
??????
マルエル(結局、天界議会でヨハエルちゃんの意見が通ることはなかった……)
マルエル「ヨハエルちゃん、議会の後、ちょっと用事があるから待ってて、って言ってたけど……」
マルエル「一向に戻ってこない……さすがにこれ以上待つのも……」
マルエル「!! ま、まさか……!!」
女神の声『全ての天使たちに告げます。人間界にて複数の「奇跡」の執行を確認しました』
マルエル「! 女神様……え!? き、『奇跡』の執行!?」
女神の声『執行者は熾天使序列1位、ヨハエル……。彼女は禁忌を犯しました」
40:
女神の声『智天使序列1位マルエルを除く全智天使たちは、熾天使ヨハエルを生け捕りにして私の下へ連れてきなさい」
マルエル「!? マルを除く……!? よ、ヨハエルちゃんを生け捕り……!?」
マルエル「……でも……その場で処刑じゃなくてよかった……」
女神の声『座天使以下の天使たちは、これまで通り職務を全うしなさい。以上です』
マルエル「ど……どうしよう!? どうしようどうしようどうしよう!!」
マルエル「……とりあえず、今のマルにやるべき職務は特にないし……」
マルエル「女神様のところへ行ってみよう!!」
41:
?神聖の間?
マルエル「女神様!」
女神「何の用ですか? 智天使マルエル」
マルエル「あの……どうして私だけ、ヨハエル捕獲作戦に参加しなくてもよろしいのでしょうか?」
女神「それはですね……」
女神「あなたには重要な役割があるからですよ」
マルエル「じゅ、重要な役割……ですか」
女神「そうです。熾天使ヨハエルが捕らえられるまで、おとなしく待っていてください」
マルエル「あ、あの……ヨハエルへの処遇については……」
女神「あなたの役割と合わせて、後でお話しします」
42:
??????
ヨハエル「ぐっ……!」ドサッ 
智天使序列2位「ぶ……無事……捕獲しました……」ハァハァ ハァハァ
マルエル「ヨハエルちゃんっ!!」
女神「あれだけの軍勢でありながら……随分と手を焼かされたみたいですね」
智天使序列2位「も、申し訳ありません……予想以上に激しく、凄まじい抵抗の中での生け捕りだったもので……」ゼェゼェ
女神「まあいいでしょう……確かに、あなたたち天使たちにとっては、熾天使の力は強大ですしね」
女神「さて……」
女神「智天使マルエル。熾天使ヨハエルを処刑しなさい」
マルエル「なっ……!?」
43:
智天使序列2位「女神様、ここは神聖の間。処刑場ではありません。移動なされた方がよろしいのでは」
女神「ここで構いません。この神聖の間にて、ヨハエルの死刑を、マルエルの手によって執行します」
マルエル「め、女神様! それはどうかお許しを!」
マルエル「ヨハエルに罪を償わせる機会をお与えください!!」
女神「智天使序列1位マルエル。この私の勅令が聴けないのですか?」
女神「あなたがヨハエルの息の根を止めた暁には、マルエル。あなたを2代目熾天使に任命します」
マルエル「…………っ!!」
ヨハエル「……殺りなさいよ」
ヨハエル「殺りなさい、マルエル」
45:
ヨハエル「私に構わず、あなたの手で、私を殺しなさい」
女神「口を慎みなさい、ヨハエル」
女神「さあマルエル。ヨハエルを始末しなさい」
マルエル「…………」
マルエル「できません」
女神「勅令です」
マルエル「できません」
マルエル「ヨハエルを……ヨハエルちゃんを殺すというのなら……!」
マルエル「この私……マルも! 一緒に殺してください!!」
46:
ヨハエル「!!」
ヨハエル「な……何言ってるのマルエル!! そんなの駄目よ!!!」
女神「ヨハエル、黙りなさい」
マルエル「殺すなら2人一緒に殺してください!! お願いします!!」
女神「…………ふむ」
女神「……仕方ないですね。次期熾天使であるマルエルの、その想いに免じて、処刑は取りやめましょう」
マルエル「め……女神様!!」
マルエル「あ、ありがとうございます!!!」
女神「ヨハエルは追放処分とします。この天界から出て行ってもらいます」
女神「天界堕天条例に則り、熾天使の地位も、『ヨハエル』という名も剥奪します」
47:
女神「ヨハエル。現時点を以って、あなたの名は堕天使『ヨハネ』です」
堕天使ヨハネ「……はい……」
ヨハネ「……分かりました……」シュウウウウ
マルエル「!!」
マルエル(よ、ヨハエルちゃんの12枚の白翼が……黒く染まっていく……!)
女神「もしも再び、人間界で奇跡を起こしたならば……次はないと思いなさい」
ヨハネ「…………はい」
女神「そうですね……熾天使の12枚の白翼……今は黒翼ですが……智天使たちにとっては、少し厄介ですね……」
女神「元々、翼を12枚にしてあげたのは私の力によるものです。あなたは熾天使の地位を失いました」
女神「天界追放の他に、もう一つ罰を受けてもらいます」
48:
女神「あなたの力を半減させます。……マルエル」
マルエル「は……はい……」
女神「堕天使ヨハネの片側6枚の翼を、消し飛ばしなさい」
マルエル「!!」
女神「最大限の譲歩です。これに従わなかった場合は即座に、この私が直々に、ヨハネという存在の全てを消し去ります」
マルエル「…………!!!」
マルエル「…………分かり……ました……」
マルエル「ヨハエルちゃん……」
マルエル「ごめんね……」
49:
ヨハネ「いいのよ……あと、私の名前は……今はもう……ヨハネよ……」
マルエル「……片翼…………じゃあ、ヨハエルちゃんの左側の翼……マルが貰うね……」
ヨハネ「あげるわ……好きにしなさい……」
マルエル「じゃあ、いくよ……」
マルエル「…………」
マルエル「…………」ヒュン
ズバッ ズバッ ズバッ ズバッ ズバッ ズバッ
ヨハネ「…………」
50:
マルエル「……せっかく貰った6枚の翼……本当は大事にしたいけど……」ギュッ
マルエル「……消し飛ばすよ」フワッ
ヨハネ「お好きにどうぞ」
マルエル「……………………」ゴゴゴゴゴゴゴ
カッ
バシュウウウウウウウウウウ…
ヨハネ「…………」
マルエル「女神様……完了いたしました」
女神「いいでしょう」
女神「さあ、堕天使ヨハネ……即刻この天界から立ち去りなさい」
54:
??????
熾天使マルエル「…………」
女神「マルエル。どうしてここに呼ばれたか、分かりますか?」
マルエル「……いいえ……分かりません」
女神「堕天使ヨハネが、人間界で再び奇跡を執行しました」
マルエル「!!!」
女神「彼女は、自分の命よりも人間たちの方が大切であるようですね」
マルエル「……そのようですね」
女神「人間は我々にとって、見守るべき存在です」
女神「我々が直接手だししてはならない……関与するものではない……」
55:
女神「彼女には、なぜそれが分からないのでしょうか」
マルエル「…………」
女神「あなたも、ヨハネの意見には常に賛同していましたね」
マルエル「はい」
女神「あなたには期待しています……彼女と同じ過ちを犯して欲しくないものです」
マルエル「……はい」
女神「熾天使マルエル。なぜ長らく、この天界において熾天使が存在しなかったのか……」
女神「あなたは分かりますか?」
マルエル「いえ……」
56:
女神「熾天使は裏切るものである……私はずっと、そう思っていたからです」
マルエル「……その……根拠などは……」
女神「この女神から与えられし左右6対、12枚の白翼は強大な力を秘めています」
女神「無論、強大と言っても、この私の力の前には虫けら同然の如く捻り潰され、」
女神「それどころか、大勢の智天使たちに襲われても勝つことができない程度のものですが」 
マルエル「…………」
女神「まあ、それでも最上級天使。天使たちの中の頂点です」
女神「驕り高ぶって、自分の考えこそが正しい、自分こそが絶対……と、そのように思い始めるのは時間の問題であろう」
女神「……私は、熾天使とは、そのような存在であるという直感がありました」
58:
マルエル「…………」
女神「他の天界を否定する気はありませんが、ここは私の天界。ここでは、熾天使の存在は認めない……そう考えていました」
女神「しかし、元熾天使であった堕天使ヨハネは極めて優秀な天使でした……」
女神「現熾天使であるあなたも、ヨハネには劣りますが、ヨハネに次ぐ秀抜さを誇っています」
女神「あなたたちには期待していたのですよ……天界を正しい方向に導くことができる、素晴らしい熾天使になってくれるだろうと」
マルエル「…………」
女神「結局ヨハネには失望しましたが……あなたは違うはずです」
女神「あなたには、卓越していたヨハネに勝っている部分があります……彼女よりも分別があり、身の程を弁えている点です」
マルエル「…………」
59:
女神「あなたはヨハネのようにはならないと、彼女とは違うと……そう信じていますよ」
マルエル「……ありがとうございます」
女神「では、話を戻します」
女神「人間界で再び奇跡を起こした堕天使ヨハネを」
女神「始末してきてください――あなた1人で」
マルエル「……………………」
マルエル「…………分かりました」
マルエル「その代わり、お願いしてもよろしいですか」
60:
マルエル「ヨハネの討伐にどれだけ時間がかかっても、最後まで私1人にこの任務をお任せください」
女神「相手は片翼、たった6枚の翼。対してあなたは12枚の翼」
女神「天使の翼とはすなわち、力の象徴です。ならば、その差は歴然のはず」
女神「時間はそうかからないと思いますが」
マルエル「…………」
女神「まあいいでしょう。熾天使マルエル、あなたにすべてを任せます」
マルエル「……ありがとうございます」
女神「信じていますよ」
61:
?煉獄?
マルエル「天界を追放された堕天使は普通、次第に心が悪に染まって魔界へ行きつくもの」
マルエル「そして、悪魔の仲間入りを果たす……でも」
マルエル「ヨハエルちゃんはとっても心優しいから……今も、困ってる人間を助けているから……」
マルエル「また、天使は生まれ育った天界から別の天界に移り住むことができない……堕天使なら尚のこと……」
マルエル「だとしたら……ヨハエルちゃんは天界にも魔界にも属せない……だとしたら……」
マルエル「ヨハエルちゃんの居場所は……」
ギュオン
マルエル「!!」パシイッ
マルエル「よ、ヨハエルちゃん!?」
62:
ズドン ズドン ズガァン
マルエル「な、何のつもり!? やめて!」パシイッ パシッ パシイッ
片翼の堕天使ヨハネ「なんのつもり……ですって……!?」ギュン
マルエル「!!」サッ
ヨハネ「マルエル! あなた……私を殺しに来たんでしょう!?」キュイイイイイイン
マルエル「ち、違うよ!! マルは……!!」
ヨハネ「嘘付かないで!!」バリバリバリバリ ピシャーーーーーン
マルエル「嘘じゃない!! マルも、ヨハエルちゃんと一緒に……!」ヴォン ズババババッ
ヨハネ「私は堕天使ヨハネ! ヨハエルじゃなくてヨハネよ!」ゴゴゴゴゴ
マルエル「ふふっ……。マルにとって、ヨハエルちゃんはヨハエルちゃんだよ」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
63:
??????
堕天使ヨハネ「ま……負けた……マルエルに負けた……」ハァハァ ハァハァ
熾天使マルエル「しょうがないよ。だってヨハエルちゃん、片翼だもん」
マルエル「両翼揃ってたら、マルが負けてた」
ヨハネ「それでも……悔しいわ……」ハァハァ
マルエル「いやー、12枚も翼を持っておきながら6枚の翼に力負けしたら、熾天使として名折れだよ……」
マルエル「…………ごめんね」
マルエル「ヨハエルちゃんを片翼にしちゃって……」
64:
ヨハネ「気にしてないわ。……マルエル」
マルエル「何?」
ヨハネ「熾天使就任、おめでとう」
マルエル「手放しで喜べないけどね……こんなことになっちゃって」
ヨハネ「ごめん……全部私が悪いのよ……。片翼の堕天使になったのも自分のせい……」
ヨハネ「あなたにいっぱい苦労をかけさせてしまったのも、全部……全部……」
マルエル「……まあそうだね……ほんっとにね!!」
マルエル「確かにそうだ!! なんってことしてくれてんのヨハエルちゃん!!」
ヨハネ「……ごめんなさい」
65:
マルエル「そのせいで、マルは、マルは……」ウルッ
マルエル「……おっと、いけない……マルはもう泣かない……!」ゴシゴシ
ヨハネ「マルエル……」
マルエル「ヨハエルちゃん」
ヨハネ「何? 私を殺す気になった?」
マルエル「ううん、違う……マルね、ヨハエルちゃんのお手伝いをすることに決めたの」
ヨハネ「私の……手伝い……」
ヨハネ「でも! そんなことしたらあなたが……! あなたが殺されちゃう!」
66:
ヨハネ「居場所は、地位はどうするの! 天界に居られなくなっちゃう!」
ヨハネ「せっかくの熾天使の地位が……なくなっちゃう」
マルエル「ヨハエルちゃんと同じだよ」
マルエル「居場所や地位よりも……困ってたり、泣いていたり、苦しんでいたりする人々を救済したい」
マルエル「マルたちにはそれができる力がある……見過ごすことなんてできないよ!」
ヨハネ「マルエル……」
マルエル「それに……マルの居場所はね」
67:
マルエル「ヨハエルちゃんが居る所だよ」
ヨハネ「なっ!! ///」
ヨハネ「こっ、こらマルエル! 恥ずかしいこと言わない!! ///」
マルエル「恥ずかしいことかな? 本心を言ったまでだよ」
ヨハネ「……ふんっ! ///」
ヨハネ「……ありがと」
マルエル「ヨハエルちゃん」
ヨハネ「……何よ」
68:
マルエル「人間界の各地に、2人で奇跡を起こして回ろう」
マルエル「困っている人たちに、手を差し伸べにね!」
ヨハネ「……ええ! もちろんよ!」
「そこまでだ!!!」ドヤドヤドヤ
ヨハネ・マルエル「「!!?」」
智天使の軍勢「「「…………」」」ゾロゾロゾロ
智天使序列1位「やはり女神様のおっしゃっていた通りだな」
智天使序列1位「熾天使というものは信用ならないと」
マルエル「!!!」
69:
マルエル(女神様……やっぱり、最初から信じてくれる気などなかったんだね……)
ヨハネ「またアンタたちか……私とやる気ね?」
智天使序列1位「貴様だけじゃない……熾天使マルエルもだ」
ヨハネ「!!!」
ヨハネ「まっ!? 待ちなさいよ! 私だけでいいでしょ!? マルエルはアンタたちのリーダーでしょ!?」
ヨハネ「マルエル!! もういいわ、ありがとね!! あなたと会えて、本当によかった!!」
ヨハネ「あなたのこと、死んでも忘れないから!! 絶対忘れない!! だから、早く、私を殺」
マルエル「ヨハエルちゃん、逃げて」ザッ
70:
ヨハネ「え!? な、何言ってるのよ! 逃げるのはアンタの方よ!!」
ヨハネ「っていうか早く私を殺しなさいよ! そうすればアンタは……アンタは……助かるから……」
マルエル「マルは、ヨハエルちゃんに死んでほしくない」
マルエル「ここはマルが食い止めるから、その隙に……」
ヨハネ「嫌よ」ザッ
マルエル「ヨハエルちゃん!! 片翼で何ができるっていうの!!」
ヨハネ「これは私の問題だから……あなたには関係ないから……」
マルエル「関係なくなんかないよ!!」
71:
智天使序列1位「…………やれやれ」
智天使序列1位「その辺にしておけ。これ以上は、私は待ってやらんぞ」
ヨハネ・マルエル「「!!」」ピタッ
智天使序列1位「今回は生け捕りではなく、この場において2人とも処刑せよとの、女神様からのご命令だ!!」
智天使序列1位「皆の者!!! 一斉にかかれ!!!」
智天使の軍勢「「「おおおおおおおお!!!」」」
ヨハネ「こんなこと言い合ってる場合じゃなかったわね!」
マルエル「仕方ない、一緒に戦おう!」
マルエル「マルたち2人なら!!」
ヨハネ「絶対に負けないんだから!!!」
72:
??????
マルエル「よ……ヨハエルちゃん!! ヨハエルちゃん!!!」ジワッ
マルエル「しっかりして!!! や、やだよ……逝っちゃやだよ!!!」ポロポロ
ヨハネ「マ……マルエル……私のことは、いいからっ……!」
ヨハネ「早く逃げっ……! う……うし……ろっ……!」
ドスドスドスッ バシュッ ドゴォッ ズドッ ザシュッ
マルエル「かはっ…………!!」
ヨハネ「マル……エル……っ」
メキメキメキッ グシャッ ドシャァッ ズガァッ ドスッ
73:
??????
マルエル「………………………………」
ヨハネ「………………………………」
智天使序列1位「はぁ……はぁ……はぁ…………手こずらせおって…………」ゼェゼェ
智天使序列1位「処刑は無事完遂された。引き上げるぞ! 女神様にご報告だ!!」
智天使の軍勢「「「はっ!!!」」」
マルエル「………………………………」
ヨハネ「………………………………」
……
…………
――――――
善子「い、嫌ああああああああああああああああああああ!!!!!!」ガバァッ
76:
善子「はあ……はあ……はあ……はあ…………」
善子「う……ぐ……っ」グスッ
善子「あ……ああ……ああああ……!」ポロポロ
善子「マ……マルエル……マルエルぅぅぅぅ…………」ポロポロ
善子「こ……こんな……こんな終わり方って…………!」ポロポロ
善子「そんなの……ないじゃない……! なんで……なんで……!」ポロポロ
善子「マル……エルぅぅぅ…………」ポロポロ
善子「ひっく……結局……なんのための……えっぐ……夢だったのよぉぉ……」ポロポロ
77:
??????
善子「…………」ソワソワ ソワソワ
善子(まだかな……まだかな……)
善子(早く……来ないかな……)
善子(早く……あいつに……)
善子(無性に……会い……)
ピンポーン
善子「!!」
タッタッタッタッタッ ガチャッ
78:
??????
花丸「あの……これ……今日のプリント、なんだけど……」
善子「…………」ジーーー
花丸「な、何……!?」
花丸「さっきから……マルのこと見つめて……///」
善子「う……ううう……」ジワッ
花丸「善子ちゃん!?」
善子「う……うぅ……」シクシク
花丸「どうしたの!? 善子ちゃん!!」トトトッ ギュッ
善子「あ…………」ギュウ
善子(あったかい……)グスッ
79:
??????
花丸「落ち着いた?」
善子「……ええ……。ありがと……」
善子「……みっともないところを見られちゃったわね」
花丸「どうしたの? ……何か悲しいことでもあったの?」
善子「ちょっとね……」
善子「……今朝、その……悲しい……夢を……見ちゃって……」
花丸「夢……か……」
花丸「気にはなるけど、思い出させちゃ悪いから……聞かないでおくよ」
善子「うん……そうして……」
80:
善子(たかが夢、の話……だけど……)
善子「ねえ、ずらまる……」
花丸「何? 善子ちゃん」
善子「私のこと……ヨハエ……」ハッ
善子(いや、これは……万が一あいつの口から出てくる可能性を考えて、黙っておくべき……)
善子「よ、ヨハネって呼んでよ……一度くらい」
花丸「ふふっ……。マルにとって、善子ちゃんは善子ちゃんずら」
善子「!!!」
81:
?????????????????????????????????????????????
ヨハネ「私は堕天使ヨハネ! ヨハエルじゃなくてヨハネよ!」ゴゴゴゴゴ
マルエル「ふふっ……。マルにとって、ヨハエルちゃんはヨハエルちゃんだよ」ゴゴゴゴゴゴゴ
?????????????????????????????????????????????
善子「………………」
花丸「ねえ、善子ちゃん」
善子「………………」
花丸「今日、ちょっと大事な話があるんだけど……いいかな」
善子「………………」
花丸「……善子ちゃん?」 ?
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)
82:
善子「………………」
花丸「ちょっと! 聞いてる? 善子ちゃん」ユサユサ
善子「…………ル……」ガクガク
花丸「る?」
善子「……エル……」
花丸「……? る、える…………?」
花丸「……っ!?」ドクン
善子「……はっ!?」
善子「ああっ!! いや、な、なんでもない!!」アセアセ
83:
善子「なんでもないから!! えっと、えっと……」
花丸「…………」ドクン ドクン
花丸(……な、何……? なんか……心臓が……)ドクン
善子「ええっと! は、話! そう、話、ね! 何? ずらまる!」アセアセ
花丸「あ、うん……。えっとね……」
花丸(あ……心臓の高鳴り……収まったみたい……)
花丸「…………」
花丸「あのね……おら……」
花丸「スクールアイドル……やってみることにしたんだ」
84:
善子「……へ?」
花丸「わ、笑わないでほしいんだけど……おらの……お、お友達のために……」
花丸「その子と一緒に……スクールアイドルを……やってみようって……」
善子「…………」
善子「別に笑わないわよ」
花丸「!」
善子「いいじゃない、スクールアイドル……アンタに合ってるかは置いといて」
善子「やってみればいいんじゃない」
85:
善子「アンタの……お友達……も、きっと……喜ぶわよ」
花丸「……ありがとう」
花丸「……それでね……それで……」
花丸「放課後……忙しくなるから……だから……」
花丸「もう、こうして……毎日のように善子ちゃんの家に……来ることはできないや……」
善子「!!!」
花丸「これからは、プリントとか届けるのも……放課後に空いてる、別の人に……頼もうかと……」
善子「……っ」
善子「そ……そうなんだ…………」
86:
善子「…………そっか…………」
善子「…………」
花丸「…………」
花丸「あのね……善子ちゃん」
花丸「マルは……できれば、善子ちゃんも一緒に……」
花丸「スクールアイドル……できればなって……」
善子「………………」
善子「む……無理よ……」
善子「私なんかには……無理……」
花丸「その気持ちは分かるよ」
花丸「マルだって……マルも、自分なんかには、スクールアイドルなんて無理だって……今でも思ってるから」
87:
善子「じゃあ、なんで……」
花丸「それでも……それでも、まずはやってみないと始まらないって……分からないって……そう思うから……」
善子「…………」
花丸「最初はお友達のためにやってみるつもりだけど……もしかしたら……もしかしたら……」
花丸「本当に……心から…………好きになれるかもしれないから…………」
善子「…………」
花丸「まあ、スクールアイドルの話はもういいや……」
花丸「おら……明日からこれなくなるから……」
善子「…………」
花丸「善子ちゃん……」
花丸「できるだけ早く、学校に来てね……」
善子「…………」
花丸「待ってるから」
88:
??????
――――――
…………
……
マルエル「………………………………」
ヨハネ「………………………………」
マルエル「………………」ズル…
ヨハネ「………………」ズル…
マルエル「………………」ズル…ズル…ズル…
ヨハネ「………………」ズル…ズル…ズル…
マルエル・ヨハネ「「…………」」ピトッ ギュッ
89:
マルエル「よ……ヨハ、エル……ちゃん……」
ヨハネ「ま……マル……エル……」
マルエル「よかった……まだ、息が……あったんだ、ね……」
ヨハネ「あなた……こそ……」
マルエル「死ぬ……前に、さ……マルの、願い、でも……聞いて……もらおう、かな……」
ヨハネ「……ええ……」
マルエル「ちょうど……煉獄に、いるし、ね……」
ヨハネ「早く……聞かせ、なさい……」
90:
マルエル「生まれ、変わったら、マル……人間に……なりたい、な……」
ヨハネ「奇遇ね……私も、よ……」
マルエル「……2人で……人間、に……生まれ……変わったら、さ……」
ヨハネ「ええ……」
マルエル「また……マルの……友達、に……なって……くれる、かな……」
マルエル「ヨハエル……ちゃん……」
ヨハネ「もちろんよ……」グスッ
ヨハネ「当たり前じゃない……」ポロポロ
91:
マルエル「あり、がとう……」ギュウ
マルエル「……ヨハ……エル………………ちゃ……ん……………………」
マルエル「………………………………」
ヨハネ「……マル……エル…………?」ポロポロ ギュウ
マルエル「………………………………」
ヨハネ「マル……エル…………」ポロポロ ポロポロ
マルエル「………………………………」
92:
ヨハネ「逝っちゃった……のね…………」ポロポロ
ヨハネ「より、長く……生き残ったのは……私……」ポロポロ
ヨハネ「この、勝負、は……私の……勝ち、ね……」ポロポロ
ヨハネ「ふふっ…………」ポロポロ
ヨハネ「……ああ、私、も……そろそろ……眠……い……」ゴシゴシ
ヨハネ「生まれ……変わった、ら……人間、に……」
ヨハネ「また……マル……エル…………と………………」
ヨハネ「………………………………」
93:
??????
????「こ、こんにちは。は、はじめまして」モジモジ
???「こんにちは! あなた、だあれ?」
????「ま、まるは……はなまる……です……」モジモジ
???「はなまるちゃん! よろしくね! わたしはよしこよ!」
はなまる「よしこ……ちゃん。よ、よろしくね」モジモジ
よしこ「いっしょにあそぼ! なかよくしましょ!」
94:
??????
よしこ「はなまるちゃんに、わたしのひみつをおしえてあげるね」
はなまる「なになに!? よしこちゃんのひみつって!」
よしこ「わたし、ほんとは天使なの! いつかはねがはえて、天にかえるんだぁ!」 
はなまる「ずぅらぁぁぁぁぁ!!」キラキラ
よしこ(ほんとは天にかえれるかはわかんないけど、天使なのはまちがいない! ぜったい!)
よしこ(なんか、そんなきがする!!)
95:
はなまる(よしこちゃんと天使……ぴったり!)
はなまる(……天使……、天使かぁ。……なんか、すごくみじかなひびき……!)
はなまる(なじみがあるような……まるで、きのうもきいたようなくらい、みじかなような……)
はなまる(ふしぎずら??!)
よしこ(でも……わたしだけじゃなくて、はなまるちゃんだってほんとは……天使にぴったりだよね!)
はなまる(……あれ? なんか、おらも……ううん、そんなわけないよね。天使さんは、よしこちゃんただ1人ずら!)
96:
……
…………
――――――
善子「………………」ムクリ
善子「夢の続き……あったんだ……」
善子「あれが最後じゃ……なかったんだ……」
善子「ふ……ふふっ……」ジワッ
善子「どうして、天使たちが死別する夢を……見た後に……」ウルウル
善子「今度は、私の幼い頃の夢なんて……見たんでしょうね……」ポロポロ
善子「ふふっ……」ポロポロ
善子「たかが夢のくせに……何泣いてんだろ、私……ふふっ……」グスッ
97:
?浦女・昼休み・屋上?
善子「……来てしまった……」
善子「……なぜ私は、いきなり屋上に来てるんだろう……」
善子「あ、あいつに会うためにやってきたけど、教室は気まずいからここにいる、とかじゃないんだからね!」
ガチャッ
花丸「…………」キョロキョロ
善子(!? は、花丸!!?)サッ
花丸「……何かの気配を感じるずら……」テクテクテク
善子(なあっ!? け、気配って何よ!?)コソコソ
98:
善子(く、来るな!! 来るな???!!)コソコソ
花丸「…………」テクテクテク ピタッ
善子「…………あ」
花丸「善子ちゃん」
善子「……な、何よ」
花丸「やっと来てくれたんだね……」
花丸「マルは嬉しいよ……すごく……すごく」
善子「…………そりゃ…………どうも…………」
善子「…………」
99:
善子「ねえ……ずらまる」
花丸「何? 善子ちゃん」
善子「もう一度あなたにお願いするわ……」
善子「私のこと……一度でいいから呼んでよ……ヨハネ、って……」
善子「お願い……! 私を助けると思って! 花丸!!」
花丸「……そんなに言うなら……」
花丸「分かったずら」
花丸「ヨハエルちゃん……」
善子「……っ!!?」
花丸「あれ……?」
100:
花丸「今、おら……なんて……」
善子「…………っ」ジワッ
善子「……ずらまる…………える」ウルウル
花丸「……える……?」ドクン
善子「花丸……える」ウルウル
花丸「………………」ドクン ドクン
善子「マルエル!!」ポロポロ
花丸「…………!!」ジワッ
花丸(……あれ……? なんで……?)ウルウル ドキドキ
101:
花丸(まただ……心臓の鼓動が……高鳴る……)ウルウル ドキドキ
花丸(どうして……目頭が熱くなるんだろう……)ウルウル ドキドキ
花丸(マル……エル……)ウルウル ドキドキ
花丸(なぜ、なんだろう……)ウルウル ドキドキ
花丸(……懐かしい……響き……)ドキドキ グスッ
善子「…………」グスグス
花丸「…………っ」ポロポロ
花丸「ねえ…………善子ちゃん…………」ポロポロ
花丸「なんで……泣いてるの……?」ポロポロ
善子「あなた、こそ……」ポロポロ
103:
善子「………………」タタッ ギュッ
花丸「………………」ギュウ
善子「………………」
花丸「………………」
善子「ねえ、マル……」
花丸「ねえ、ヨハ……」
104:
善子(マルエル……いいえ…………違うわね)
花丸(ヨハエルちゃん……ううん…………今は違うね)
105:

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