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にこ「1月19日は」絵里「いい空気の日!?」


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【一昨年・秋】
絵里(生徒会長になったわ。これで、やっと…前からやりたかったことを実現できる!)
希(二年)「へ?…空気?」
絵里(二年)「そうよ。脳が正常に働くためには充分な酸素が必要なの。まずは生徒会室の空気から良くしていかなくちゃ」
希「ふーん。まあいいけど…なけなしの予算で空気清浄機でも買うん?」
絵里「希…あなた、神田明神の巫女さんでしょう?」
希「え?…まあ、そうだけど」
絵里「古き良き日本文化の中心にいるような人が、そんな機械に頼ること最優先の考え方でいいの?」
希「そんなこと言われても…エリちはスピリチュアルとかはあんまり信じてないやろ?」
絵里「何もオカルトだけが伝統文化の象徴じゃないでしょう。機械がなくても空気を良くする方法はある」
希「じゃあ…窓を開けて換気?」
絵里「それもあるけど…空気をきれいにするのは、植物よ!」
希「ああ、なるほど。光合成やね」
絵里「見て楽しみ、育てて慈しみ、そして空気をきれいにする!素晴らしいと思わない!?」
希「まあね。じゃあ、何かの鉢植えでも置こうか」
絵里「そうね。私と希で一つずつ好きな植物を選ぶ…というのはどうかしら?」
希「それくらいなら予算を使わなくても自腹で何とかなりそうやね」
絵里「ええ♪」
希(生徒会長になって最初にすることが、植物の鉢植えを置くって…エリちも女の子やなあ)クス
希(…でも)
【後日】
絵里「…なに?これ」
希「豆苗」
絵里「いや、テレビのCMで見たことあるけど…それって野菜でしょう?」
希「うん。水と陽光だけでよく育つんよ♪」
絵里「もう切り取った後じゃない…それで光合成なんてできるの?」
希「一週間くらいでまた伸びてくるから、収穫できるはずや」
絵里「もう!私は空気をきれいにしようって言ったのよ。野菜を食べるためだったら生徒会室に置かなくてもいいじゃない」
希「ここのほうがウチの部屋より陽当たりがいいんよ。早く育ってくれたほうが、たくさん食べられるやろ?」
2:
絵里「はぁ…もういいわ。私はこれよ♪」
希「まだ小さい苗木って感じやね。それ何?」
絵里「紫式部よ♪」
希「紫式部って、あの紫色の実がいっぱいなるやつ?」
絵里「ちょっと違うわ。実をたくさんつけるのはコムラサキといって、似てるけど別の品種なんですって」
希「へー」
絵里「紫式部はコムラサキほど実をたくさんつけないけど、初夏には小さくて可愛らしい花が咲くのよ。…ほら、こんなの」
希(あくまで空気をきれいにしようって話なら、普通はあまり手のかからない観葉植物が定番やと思うけど…)
絵里「ね、素敵でしょう?」ニコニコ
希(やっぱりエリちは可愛いなあ♪…たぶん手間のかかる物選ぶやろと思って、ウチは簡単なのにして正解やな)
【数日後】
絵里「すごく伸びてきたわね…」
希「うん。なんか買ったときより伸びた気がするよ…」
絵里「豆苗って、どうやって食べる物なの?」
希「んー、基本は炒め物かなぁ…ある程度水分というか、シャキッとした食感が残る調理法がいいみたいや。火を通しすぎるとかたくなって残念な感じやし」
絵里「なるほどね…もう収穫しちゃうの?」
希「うん。…エリちもやってみる?」
絵里「ええ♪(実はちょっとやってみたかったのよね♪)」
希「なるべく根元に近いところから切って。変なところを切らないようにね」
絵里「こう…?」チョキン
希「そうそう。上手やね♪」ナデナデ
絵里「えへへ(結構楽しい♪)」
希「紫式部のほうは…いつ実がなるん?」
絵里「もうちょっと育たないと…まずは来年、花を咲かせてからね」
希「あの実って食べられるんかな?」
絵里「一応食べられるはずだけど、あまり美味しくないって聞いたわよ。…食べたいの?」
希「いや、美味しくないんやったら別に…」
4:
絵里「紫式部は10月21日の誕生花でもあるみたい♪」
希「エリちの誕生日やね。…でも花が咲くのは初夏やから、全然時期が合わないけど…」
絵里「希の誕生日の頃に花が咲いて、私の誕生日の頃に実がなるのよ♪」
希「へー」
絵里「花言葉は…知性、聡明、愛され上手。ですって♪」
希(賢い可愛いエリーチカやな)クス
【修学旅行】
絵里「ふー。まだ結構暑いのね…」
希「そやね。でも空気は東京よりきれいやろ?」
絵里「本当ね。海も綺麗だし、素敵♪」
にこ(…退屈。沖縄なんてアイドル関連以外興味ないわ)ファー
絵里「矢澤さん!」
にこ(二年)「…なによ」
絵里「ハイビスカス、きれいね♪」
にこ「そーね」
希「沖縄では一年中どこかで咲いてるみたいやね」
えりにこ「へー」
絵里「矢澤さんの頭にも咲いてるわ♪」
にこ「はぁ?…人をバカみたいに言わないでくれる」
絵里「そうじゃなくて…ほら、そのリボン。ハイビスカスの花にちょっと似てない?」
にこ「いや、赤いだけでしょ。言うほど似てないわよ」
絵里「そう…?」シュン
にこ「…花、好きなの?」
絵里「大好き♪」
希「おおっ!?ついにエリちが、にこっちに愛の告白」
絵里「ち、違うわよ。花が好きって話!」
希「でもハイビスカスの花言葉は“新しい恋”やんな♪」
絵里「ほかにもあるでしょう。“勇気ある行動”や“あなたを信じます”とか…」
にこ(…ふーん。なんかいけ好かない奴って感じだったけど、絢瀬も意外と可愛いところあるのかしら)
5:
【後日・音ノ木坂】
絵里「これ…カビ生えてない?…なんか枯れちゃってるみたいだし…」
希「うーん。もうアカンかな…ここ、陽当たりは悪くないと思うんやけど」
絵里「もう寒くなってきたし、水栽培は意外と難しいんじゃないかしら?」
希「そうかもね…完全に腐っちゃう前に諦めたほうが良さそうやな」
絵里(残念だけど豆苗とはお別れね…結構楽しかったんだけどな)シュン
希「じゃあ引き継ぎやな。次の役員になる植物を選挙で決めるよ!」
絵里「そうね。…ふふふ」
【10月21日】
希「エリち。ハッピーバースデー♪」
絵里「ありがとう♪新しい植物?」
希「うん。カロライナジャスミンや。これも10月21日の誕生花なんよ」
絵里「へー」
希「ただ、毒があるみたいやから…本物のジャスミンみたいにハーブティーにはできないけどね」
絵里「それは…ちょっと残念ね」
希「ジャスミンに似てるのは香りだけで、これは黄色いラッパみたいな形の花が咲くんやって。別名イブニング・トランペット」
絵里「花が咲くのが楽しみね♪」
希「ちなみに花言葉は誘惑、甘いささやき♪」
絵里「そ、そうなの?それを…私に?///」
希「まあ“素直”とか“長寿”っていうのもあるみたいやけど」
絵里「長寿?…ああ、豆苗はすぐ枯れちゃったから…」
希「そうそう。今度は長生きしてもらわないとね♪」
絵里「紫式部は、常に土が湿ってるくらい頻繁に水やりしたほうがいいみたいだけど…」
希「カロライナジャスミンは土が充分乾いてから水をやったほうがいいんやって」
絵里「やっぱり種類によって性質が違うのね。忘れないようにしなくちゃ…」
希「蒸れさき式部に、カラカラいいなジャスミンと覚えよう♪」
絵里「いや、カラカラになる前にお水をあげてよ?」
6:
【十一月】
絵里「なかなか育たないわね…」
希「そやね。…こっちの新入りさんは元気なんやけど」
絵里「紫式部は“知性”の花だし…能ある鷹は爪を隠すってところかしら?」
希「いや、爪どころか翼も伸びてない感じやん?」
理事長「紫式部は地植えに向いてるみたい。鉢植えだと根詰まりを起こしやすくて難しいんですって」
絵里「そうなんですか…」
希「まあ低木っていうくらい大きくなる物やし、室内の鉢植えではいずれ限界が来るやろね」
理事長「陽当たりがいい場所に植えてあげて。実がなるのを楽しみにしてるわ♪」ナデナデ
絵里「は、はい。…ありがとうございます///」
希「このへんでいいかな?」
絵里「そうね。…でも、生徒会室の空気を良くする目的からは遠ざかってしまったわ」
希「外でもきれいな空気は大事やろ?…生徒会室に置く植物はまた新しく探そうよ」
絵里「また引き継ぎね。新しい役員を選挙で決めなくちゃ!」
【十二月】
希「ふー。今日も冷えるなぁ…」
絵里「おはよう。見て見て、希♪」
希「おはよ、エリち。今度は何を持ってきたん?」
絵里「モミジアオイっていうの。ハイビスカスの仲間なんですって」
希「へー。モミジ(紅葉)なのにアオイ(青い)とは、これいかに」
絵里「基本的には花が咲く九月頃の誕生花だけど、一応10月21日の誕生花になってることもあるみたい」
希「そうなん?花が咲くのはずいぶん先やんな」
絵里「花言葉は優しさ、思いやり、努力の賜物…ですって。素敵でしょ?」
希「なるほどなあ。思いをこめて大切に育てたら、頑張って冬を越して花を咲かせてくれるかな?」
絵里「かなり寒さに強いっていうから、これにしたの」
希「意外やね。ハイビスカスは南国の花のイメージやったけど…」
絵里「似てるけど性質は違うみたいね。花言葉もハイビスカスとはずいぶん違うし…」
希「冬の鉢植えなら水やりは毎月一回でいいんやって。お手軽やね♪」
『人をバカみたいに言わないでくれる』
希(にこっちのリボンみたいな赤い花か。…にこっちの努力も、いつか花を咲かせられるとええね)
7:
【12月24日・矢澤家】
にこ「…よし、あとは焼くだけね」
パタン
ここあ「ケーキ?チキン?」ワクワク
にこ「まだ焼けないわよ。換気扇、回してくれる?」
こころ「はい。お姉さま」
ここあ「ガスつかってないよー?」
こころ「オーブンを使うから火と同じでしょう?」
にこ「そうよ。何か焼くときは必ず換気!」
ここあ「そっか。ここあやるー!」
パチ
ここあ「ワレワレハうちゅーじんダ♪」
にこ「扇風機じゃないし全然届いてないわよ」
こころ「ふふふ」
ここあ「えへへ」
♪デーデッデー
ここあ「でんわー?」
にこ「希…じゃない、絢瀬?」
ここあ「あやせってだれ?」ヒソヒソ
こころ「お姉さまのお友達かしら?」
にこ「…何?」
『矢澤さん、時間ある?…もしよかったら、イヴを一緒に…』
にこ「いや、今忙しいんだけど。もっと早く言いなさいよ」
『そ、そうよね…ごめんなさい』
にこ「つーか、希がいるでしょ?」
『希はバイトなの。サンタクロースのかっこうでケーキを売るんですって』
にこ「またベタなバイトね…」
ここあ「ベタってなにー?」
こころ「熱帯魚です。赤や青のきれいな魚ですよ」
ここあ「へー♪」
8:
『じゃあ、メリークリスマス…と、よいお年を…かしら?』
にこ「気が早いわね」
『え?』
にこ「クリスマスじゃなくてもいいでしょ?…別に恋人同士じゃないんだし」
『そ、そうよね。じゃあ…明日は大丈夫?』
にこ「日没まではクリスマス…だっけ?」
『ええ』
にこ「そ。じゃあ、明日ね」
『ハラショー♪ありがとう矢澤さん』
にこ「まだ何も約束してないじゃない」クス
『あ、そうね。じゃあ音ノ木坂で、時間は──』
【一月・神田明神】
ドン
にこ「うわ!?」
絵里「矢澤さん!」ギュ
にこ「あ、ありがと///…それにしても、混みすぎ!」
絵里「仕方ないわよ。東京で一番有名な神社でしょ?」
にこ「はぁ…これだけ人が大勢いると空気も濁ってるような気がしてくるわ」
絵里「そうね…実際みんな呼吸してるわけだから、ものすごい量の二酸化炭素が…」
にこ「想像したら気が滅入ってくるわね。さっさとお参りして帰りましょ」
希「お詣りだけに参ったって感じやな」
絵里「今日も冷えるわね…」
にこ「そーね。寒い寒い…」
希「二人くっついてたらあったかいんやない?」ニヤニヤ
にこ「そういうあんたは初詣に連れて来る彼女くらいいないの?」
希「ウチは巫女さんやからいいの」
絵里「似合うわね。いつもの五割増しくらい美人に見えるわ♪」
にこ「三倍くらいじゃない?」
希「いつものウチの評価低すぎない!?」ガーン
9:
チャリン カランカラン
えりにこ「…」パン パン
絵里(カロライナジャスミンと紫式部とモミジアオイの花を無事に咲かせて…それから)チラ
にこ「…」
絵里(…矢澤さんと、もっと仲良くなりたいです///)
にこ「じゃあ行きましょ」ギュ
絵里「矢澤さんは何をお願いしたの?」
にこ「別に…人に言うようなものでもないでしょ。クリスマス前の子供じゃないんだから」
絵里「そう…(アイドルの事かしら?)」
にこ「…フン///」
【一週間後・音ノ木坂】
絵里「な、なにこれ!?」
希「めっちゃ伸びてる…」
絵里「カロライナジャスミンが…モミジアオイに巻きついちゃってるわよ!?」
希「あー、カロライナジャスミンって、つる植物なんやね。何かに巻きついてどんどん伸びるみたいや」
絵里「こんなの、そのままにしてたら机や椅子にも巻きついちゃうんじゃない?」
希「きっと床や壁を這って窓のほうへ伸びるんやないかな?陽光のある方向へ行くはずやし」
絵里「このまま鉢植えで育てるならアサガオみたいに支柱がないと無理よ」
希「そやね…とりあえず巻きついたの外さな、モミジアオイが枯れちゃう」
絵里(丈夫なのはいいけど、冬休みの間に伸びすぎたカロライナジャスミンは…結局、外に出して地面に植え替えることにした)
理事長「春に花が咲くのね。楽しみね♪」
絵里「そうですね…」
希「よし、新役員候補を探して引き継ぎや!」
絵里「今度はもう少し慎重に選びましょ…誕生花じゃなくてもいいから」
10:
【後日】
希「というわけで早持ってきたよ♪」
絵里「…野菜くず?」
希「にこっちがくれたんよ。にんじんの端っこ、葉っぱが生える部分を残して水につけておくと…」
絵里「確かに葉は伸びてきてるけど…育ててどうするのよ?」
希「葉っぱが出るんやったら花も咲くんやない?…それに人参の葉っぱも食べられるし、根の部分より栄養もあるらしいよ♪」
絵里「おいしいの?」
希「さあ?ウチは食べたことないし」
絵里「…」
希「まあ、にこっちが育ててるくらいやから、きっと美味しいんやないかな?」
絵里(光合成は一応するんだろうけど、空気をきれいにする効果があるかどうか)ハァ
【一週間後】
絵里「だいぶ伸びたわね…」
希「にこっちに見せてあげたいね♪」
絵里「わざわざ呼ぶの?…にんじんの葉っぱが伸びただけで」
希「んー。まあ、撮って送るだけでいいかな?…気が向いたら見に来てってことで」
絵里(矢澤さんが来てくれるなら私は嬉しいけど…でも)
※絵里の妄想
にこ「くだらないことで呼ばないでよ!私は忙しいんだから」
絵里(…って言われそう)
希「でも、これだけ伸びるとちょっと楽しみやない?」
絵里「まあね…切り取って料理するの?」
希「花が咲くかもしれないし、もうしばらく様子を見ようよ」
12:
【二月】
にこ「はい。一応手作りよ」
絵里「ありがとう矢澤さん♪じゃあ私」
にこ「ちょっと。いつまで苗字で呼ぶつもり?」
絵里「え。…名前で呼んだほうがいい?」
にこ「そうしてくれる。私も絵里って呼ぶから」
絵里「じゃ、じゃあ…にこ、さん?」
にこ「にこでいいって。…それ、くれるの?」
絵里「え、ええ。どうぞ…にこ」
希「二個あげるん?」
絵里「いえ、一個だけど…にこにあげるの」
にこ「人の名前で遊ぶんじゃないわよ」ペシッ
希「お。ウチにもくれるん?」
にこ「あんたのはついでよ。ついで」
希「じゃあウチからも二人に、ありがたいチョコレートを授けよう♪」
絵里「ありがとう♪」
にこ「って、ただのチロルチョコじゃない」
希「タダやないよ?値上げと増税のせいで一個21円、場合によっては22円もするんや!」
絵里「きなこもち…って書いてあるけど」
希「そう。一番人気の(?)きなこもち味や♪」
絵里「チョコレートじゃないの?」
にこ「食べてみればわかるわよ」
希「エリちはウチにはくれないの?」
絵里「あ、いけない。忘れるところだったわ…はい、希」
にこ「そのまま忘れててもよかったのに」
希「ウチの扱いってそんなもんだよね…」クスン
絵里「そ、そんなことないわよ。私、希のことだって大好きよ?」
希「だって?」
絵里「にこがいるから…///」
希「あー暑い暑い。チョコが溶けるわ」
にこ「私もあげたでしょ。感謝して食べなさいよ。希の分は手作りじゃないけど」
13:
希「この扱いの差…って、これ…まさか」
にこ「森永チョコボール。キャラメルよ!」
希「…」ガクッ
絵里「希?」
希「にこっち…ウチのこと嫌いなん?」シュン
にこ「なによ。チロルチョコより高級でしょ?しかもキャラメル味は一番人気なのよ!」ドヤァ
絵里「そうなの?」
にこ「特に昭和生まれのベテラン層に圧倒的人気みたい。昔からある物みたいだし」
絵里「昭和っていうと…私たちの親世代ね」
希「今からでもチロルチョコと交換してほしいくらいや」シクシク
絵里「あら、どうして?」
希「ウチ苦手なんよ。キャラメル…ほかは何でも食べるけど、これだけが唯一」
絵里「もしかして…にこは知ってたの?」
にこ「えー?にこ、わかんなーい♪」クネクネ
希「じゃあウチからもにこっちにお礼しないとね。にこっちの成長のために」
にこ「ちょっ、やめなさいよ!冗談よ、冗談。ほら、希の分!」
絵里「ちゃんと手作りのを用意してたのね」
にこ「んで、いらないならキャラメルのは返してよ」
希「ほい」
絵里「そういえば…結局、にんじんは枯れちゃったわね」
にこ「寒すぎるのよ。ここ夜は人いないし、持って帰らなければ枯れて当然よ」
希「豆苗もそれがアカンかったんかなぁ…また新しい役員に引き継ぎが必要やね」
14:
理事長「え?…私に?」
にこ「はい。今日はバレンタインデーなので」
理事長「ダメよ?学校に関係ない物持ってきちゃ…私が預かるわ」
にこ「っていうか、そのまま貰ってください」
理事長「あら、これ…懐かしいわね♪」
にこ「好きですか?チョコボール」
理事長「ええ♪特に、このキャラメルのが…」
絵里「…なるほど」
希「最初から理事長にあげるつもりやったん?」
にこ「さあね」
【生徒会室】
絵里「では、次に生徒会室に置く植物を決めるための会議を始めます」
希「みんな揃ってるね?番号、いち!」
にこ「に」
絵里「さん」
にこ「…いや、私は関係ないでしょ?生徒会のことなんだから、あんたたちで勝手にやんなさいよ」
絵里「でも、そもそもの目的は空気をきれいにすることだから…」
希「空気を入れ換えるという意味でも、第三者の意見があったほうがいいんよ」
にこ「空気ねえ…それって居ても居なくても同じって意味じゃないの?」
絵里「そういう使い方をする人もいるけど、空気がなければ人は生きていけないでしょう?」
希「そうそう。ないのと同じって意味で使ってる人こそ、空気の大切さに気づいてないってところやな」
にこ「大切なものは目に見えないってやつ?」
絵里「テグジュペリね」
希「星の王子さまやね」
にこ「じゃあ…薔薇?」
希「ああ、王子の旅は薔薇の花から始まるんやったっけ」
にこ「薔薇ならやっぱり赤よね♪」
絵里「でも薔薇ってトゲがあるでしょ?生徒会室に置くのはちょっとね…」
にこ「なんでよ?」
15:
希「イメージの問題かな?空気をよくするっていうのは何も物理的なことだけやなくて…」
絵里「ええ。他者を寄せ付けないイメージというのは、生徒の代表として良いとは言い難いわ」
にこ「ふーん…じゃあ、どんな植物がいいのよ?」
希「野菜がいいんやない?食べた人を元気にするやろ♪身を切ることで自己犠牲って意味合いにもなるし」
絵里「でも水栽培はもう少し暖かくならないと長持ちしそうにないわ」
にこ「じゃあ野菜の苗をプランターとか鉢植えにすればいいの?」
希「夏はきゅうりやゴーヤーが人気やんな。緑のカーテン♪」
絵里「いや、つる植物は屋外にしましょうよ…あくまで今は生徒会室の話よ」
にこ「絵里はどんな植物を置きたいのよ?」
絵里「私は、やっぱりきれいな花が咲く植物がいいな♪見て楽しむこともできるし、育てるのも楽しいでしょ?」
希「ウチは実用性も捨てがたいと思うけどね。野菜以外にもハーブとかいろいろあるし」
にこ「ハーブって聞くと怪しい物を連想しちゃうわね…」
希「それこそ風評被害やん?悪い物をハーブなんて呼んでた人らが悪いよ」
絵里「そうね。本来ハーブって素敵な物だったはずだし。ハーブティーや香辛料とか」
にこ「まあ、ハーブは置いといて…」
希「置いとかれた!?」
絵里「スイートピーなんてどうかしら?…6月9日の誕生花にもなってるみたいだし♪」
希「ウチの誕生日やね」
にこ「はぁ?六月?スイートピーって春の花じゃないの?」
絵里「私も最近までそう思ってたんだけど、春咲きと夏咲きのスイートピーがあるのよ」
希「マメ科やから豆ができるけど、毒があるのが残念やね」
にこ「食べちゃダメよ。食べたいなら最初から食べられる豆を育てなさいよ」
希「っていうか、豆なら結局つる植物やんな」
絵里「あまりツルが伸びない品種もあるみたい。まあ、茎が伸びてきたら早めに支柱を立てれば大丈夫よ」
にこ「水やりの目安は…土の表面が乾いたら充分に水をやればいいのね」
希「紫式部とカロライナジャスミンの中間くらいかな?」
絵里「花言葉は、ほのかな喜び…」
希「…ほのか?」
にこ「なによ?希」
希「いや、何かを思い出しかけたような…?」
16:
絵里「スイートピーでいい?」
にこ「スイートピーならやっぱり赤よね!」
希「言いたいことはわかるけど…今そのこだわりは必要ないやろ?」
絵里「モミジアオイが赤だから、できれば違う色にしたいんだけど…ピンクなんてどうかしら?」
にこ「まあ、ピンクも好きだからいいけど。っていうか、そもそも私は生徒会じゃないし」
希「カロライナジャスミンが黄色、スイートピーがピンク、モミジアオイが赤で、紫式部の実が紫。それぞれ葉っぱの緑もあるし、なかなかカラフルやね♪」
にこ「あとは青、白、オレンジあたりが欲しいわね」
絵里「黒い花もあるわよ。いろいろ増やしていくのも楽しいわね♪」
【三月】
凛(中3)「先生ーっ♪」
花陽(中3)「矢澤先生…お世話になりました」ペコ
にこママ「あら、今日も二人一緒なの?ホントに仲良しね。あなたたち」クス
凛「えへへ。うらやましいですかー?」ギュ
花陽「り、凛ちゃん///」
にこママ「仲良しなのはいいけど、ほかの子とも仲良くしてね?せっかく二人そろって音ノ木坂へ行くんだし、新しい友達もできるでしょ?」
凛「じゃあ友達ができたら、かよちんの半分くらい仲良くなります♪」
花陽「アハハ…できるように頑張ります…」
にこママ「ふー。寒いけど換気が必要ね(職員室はストーブつけっ放しだから)。そこの窓、開けていってくれる?」
花陽「はい」
凛「はーい♪」
にこママ「ありがとう。二人とも元気で…頑張ってね。特に星空さんは勉強もちゃんとするのよ?」ナデナデ
凛「うぐっ…ま、まあ何とかなるにゃ」
花陽「ふふふ…ありがとうございました。先生もお元気で…」
凛「またねーっ♪」
にこママ(いつも元気な凛ちゃんに、お花の世話をしてくれてた花陽ちゃん…二人がいなくなると寂しいわね)
にこママ「何かの鉢植えでも置こうかしら…」
若い女教師「矢澤先生?園芸好きなんですか?」
にこママ「園芸っていうか…擬人化よ」
若い女教師「へ?…擬人化?」キョトン
17:
【四月】
理事長「廃校」
穂乃果「」
海未「穂乃果!?…か、換気を…!」
ことり「…」フーッ
海未「ことり?…な、何してるんですか?」
ことり「私の息で穂乃果ちゃんの空気を入れ換えようかなって♪」
海未「…いや、呼気は酸素より二酸化炭素でしょう?逆効果なのでは…」
穂乃果「ちゅんちゅん(・8・)」
海未「!?…ほ、穂乃果?」
穂乃果「あははっ♪まだ廃校になったわけじゃないもんね。大丈夫だよ、海未ちゃん♪」
海未「はあ。…いや、一番ショックを受けていたのは穂乃果ですよね?」
穂乃果「んー?そうだったかなぁ?どう思う?ことりちゃん」
ことり「入学希望者が定員を上回ればいいって言ってたよ。だから大丈夫♪」
穂乃果「そっか。よかったぁ♪入学希望者が増えるといいね。海未ちゃん♪」
海未「こののんびりした口調と性格は…ことり?」
ことり「え?なあに?海未ちゃん」
海未「まさか…ことりの息を吸った穂乃果に、ことりが伝染した…?」
穂乃果「なに言ってるの?海未ちゃんったら」クスクス
海未(確かに空気は変わりましたが…)
ことり「ちゅんちゅん♪」
穂乃果「ちゅんちゅん(^8^)」
海未「危機感が無さすぎる…やはりバランスが大事ですね…」
18:
【中庭】
穂乃果「わあ、何?すごくいい香りがするよ」
海未「確かに…何でしょう?花の香りのような…」
ことり「ジャスミンに似てるね。どこかで咲いてるのかなぁ?」
絵里「あら、あなたたちも気づいた?」
ことほのうみ「えっ」
絵里「私たちが育てたカロライナジャスミンの花が、やっと咲いたの♪…ほら」
穂乃果「かろらいな…?」
海未「ラッパのような形の黄色い花ですね」
ことり「あ…この花だよ。ジャスミンみたいな香りがするの」
絵里「そうよ。見た目や性質は全然違うけど、香りだけがジャスミンに似ていて…だからカロライナジャスミンっていうの」
ことほのうみ「へー」
穂乃果「ツルがいっぱい伸びて巻きついてるね…」
ことり「お花きれいだね♪とってもいい香り♪」
穂乃果「うん♪なんか元気な感じがして好きだなぁ♪」
絵里「そうね。気に入ってもらえて嬉しいわ♪」
海未「ここまで育つのにどれくらいかかったんですか?」
希「去年の秋から育ててるん。最初は鉢植えで、今年になってから外に植え替えたんよ」
絵里「花言葉は“長寿”…古くからあるこの学校が、これからもずっと続いていくようにと思いをこめて、やっと花を咲かせたのに…」
穂乃果「そっか…音ノ木坂、廃校になっちゃうかもしれないんですよね」
絵里「そんなことになってほしくないけど…南さん。理事長、何か言ってなかった?」
ことり「いえ…私も今日知ったので…」
絵里「そう…」
海未「入学希望者が定員を上回れば、廃校にはならなくて済むんですよね?」
絵里「ええ。…でも、このままでは…」
穂乃果「入学希望者を増やすためには…受験生に音ノ木坂のいいところを知ってもらわなくちゃ!」
希「んー。音ノ木坂のいいところかぁ…ウチは、古くてスピリチュアルな場所ってだけでも興味津々やけど」
穂乃果「す、すぴ…?」
絵里「じゃあ、みんなで音ノ木坂のいいところを考えてみましょう!」
希「そやね」
ことほのうみ「はい!」
19:
【生徒会室】
穂乃果「なんか、甘い香りがする…?」クンクン
希「ここが生徒会室や」
ことり「ここにもお花があるんですね♪」
海未「スイートピーですね」
絵里「ええ。花言葉は、ほのかな喜び」
ほのうみ「穂乃果?」
ことり「穂乃果ちゃん?」
絵里「ど、どうしたの?」
希「あ…そっか。キミは、確か…」
穂乃果「はい。高坂穂乃果です♪」
絵里「ほのか…な、喜び?」
穂乃果「えへへ。そうですね…きれいなお花を見せてもらえて嬉しいです♪」
絵里「ほむら?」
穂乃果「はい。神田の和菓子屋なんですけど…三百年くらい前からあるんですよ♪」
絵里「三百年…じゃあ江戸時代!?」
希「そういえばスイートピーも日本へは幕末の頃に入ってきた花やったね」
海未「独特の甘い香りと、豆ができるのでニオイエンドウ、ジャコウエンドウなどと呼ばれていたみたいですね」
ことり「じゃあ150年くらい前の穂むらにもスイートピーが咲いてたりしたのかなぁ?」
穂乃果「江戸は海外の文化も集まってくる場所だったし、あったかもしれないね♪」
希「でもスイートピーには毒があるから、豆大福にしたらアカンよ?」
穂乃果「しませんよ…うちは古くて小っちゃくてお客さんも少ないけど、お菓子だけはちゃんとしてますから!」
絵里「ふーん…今度お店にお邪魔してもいい?」
穂乃果「ぜひ来てください♪お茶とお菓子、サービスしますよ!」
絵里「ふふふ。楽しみにしてるわ♪」
希「それより廃校を防ぐ方法やろ?受験生にアピールできるところを見つけなきゃ…」
20:
【夕方・高坂家】
ガララ
穂乃果「空気の入れ換えでーす♪」
雪穂「おかえり。…何やってるの?」
穂乃果「空気をきれいに!」
雪穂「別に汚れてないよ。早く閉めて」
ピシャ
穂乃果「ただいま。雪穂ー♪」スリスリ
雪穂「なによ///」
穂乃果「ごはんにする?お風呂にする?それとも…和・菓・子♪」
雪穂「いや、それって今帰ってきた人じゃなくて待ってたほうが言うんじゃないの?」
穂乃果「んもう、雪穂ったら♪そんなに私の帰りを」
雪穂「はいはい。じゃあ一緒にお風呂入る?」
穂乃果「うん♪…あれ、これ何?」ペラ
雪穂「ああ、UTXね。私、来年受けるんだ」
穂乃果「へー」
トプン ザバー
ほのゆき「ふー」
穂乃果「雪穂のバカ!意地悪!ダンゴムシ!」
雪穂「何よダンゴムシって…」
穂乃果「おだんごを蒸す人?」
雪穂「いや、違うよね?」
穂乃果「そんな薄情な子に育てた覚えはないよ!」
雪穂「お姉ちゃんに育てられた覚えもないけど…お姉ちゃんは育ったよね♪」ムギュ
穂乃果「ひゃぁ!?エッチ!」ペチッ
雪穂「いたっ」
穂乃果「もう!雪穂なんてふやけちゃえ!」バシャバシャ
雪穂「いや、お湯かぶっ…かけなくても浸かってればふやけぶっ」
21:
雪穂「こらっ。そんなイタズラする子には…」グイ
穂乃果「あ」
チュゥー
ほのゆき「…///」
パタン
穂乃果「あったまったねー♪」ホカホカ
雪穂「そうだね」ホカホカ
穂乃果「あ、お風呂の換気してないや」
雪穂「まあ、換気扇のところから空気はある程度勝手に入れ換わるんじゃない?回さなくても…」
穂乃果「そうなのかな?」
雪穂「そうでしょ。完全な密室じゃないもん」
穂乃果「だからお風呂で歌うと声が外に聴こえたりするんだ!?」
雪穂「いや、それは換気扇がなくても同じじゃないかな…」
チュン(・8・)チュン
【秋葉原・UTX前】
穂乃果「空気をきれいに…ふんぬっ」グググ
にこ「ちょっ!?…あんた、何してんのよ!」グイ
穂乃果「いや、窓を開けて空気を入れ換えようかなって」
にこ「そこは開かないわよ!バカなことやってないで、こっち来なさい!」
穂乃果「あ、あなたは誰…?」
にこ「通りすがりのアイd」
穂乃果「あい?」
にこ「あ、アイムジャパニーズ!」
穂乃果「あはは♪(なんか面白い人!?)」
にこ「…」ジーッ
穂乃果「あ、あのぉ…?」
にこ「カロライナジャスミン…」
穂乃果「えっ」
22:
にこ「その黄色いリボン、なんかカロライナジャスミンの花みたいね。…香りもちょっとするような…?」クンクン
穂乃果「あ…昨日、近くで見たんですよ。音ノ木坂で…そんなに匂います?」クンクン
にこ「制服に花粉でもついたのかしらね?」
穂乃果「あなたも、お花好きなんですか?」
にこ「特別好きってほどじゃないけど…まあ嫌いじゃないわよ」
穂乃果「いい香りだし、きれいですよね。カロライナジャスミン♪」
にこ(変な後輩になつかれたわ)
\♪キャナイドゥーアイテーキベービ/
穂乃果「これだ…見つけた!」
にこりんぱな「えっ」
穂乃果「よし、行きましょう!」ギュ
凛「にゃっ!?な、なにー?><」
穂乃果「学校、行くでしょ?遅刻しちゃいますよ。先輩!」
凛「凛は先輩じゃないですよー?」
にこ「こらこら。私はここよ。誰の手を握ってんのよ…」
穂乃果「あ、あれっ?間違えちゃった…エヘヘ」
にこ(大丈夫かしら?この子)
【音ノ木坂】
キーンコーンカーン…
絵里「でも!このまま何もしないわけには」
希「エリち」
絵里「理事長!」
理事長「えっ。…あ、東條さん!」
希「へ?」
理事長「空気を…」
希「はあ」
ガチャ
のぞえりりじ「ふー」
23:
【二年教室】
海未「アイドルは無しです!」
ことり「はい」ガラッ
海未「ことり?…どうしたんですか?急に窓を開けたりして…」
ことり「空気をきれいに♪」
穂乃果「スクールアイドルだよっ!やるったらやる!」
海未「ほ、穂乃果…叫んでもダメですからね。無しったら無しです!」
【屋上】
穂乃果「はぁー。…やっぱり、ここが一番空気がきれいな感じがするよね♪」
希「…」ジーッ
穂乃果「!」キュピーン
穂乃果「今こそ空気を!」タタッ
希「えっ」
穂乃果「きれいに!」ガチャ
希「ちょっ…」
穂乃果「…あれ、副会長さん?」
希「あ、アハハ…おはよ。高坂さん」
【音楽室】
真姫「イミワカンナイ!」
穂乃果「待って!空気を…」
真姫「はぁ?…空気?」
穂乃果「ほら、こうやって窓を開けて換気すれば…」バタン
真姫「花の香り…」
穂乃果「あ、ホントだ…カロライナジャスミンかな?」
真姫「…」パタ
穂乃果「えっと…?」
真姫「もう一曲弾くわ。…何かリクエストあります?」
穂乃果「え。…私のために?」
真姫「別に…そんな気分なの」
\ススーメッ トゥモーロー♪/
24:
【本校舎1F廊下】
『空気をきれいに!』
にこ(空気ねえ…)
ガチャ ガラッ
穂乃果「わぁ!?」ドタッ
にこ「!?…あんた」
穂乃果「いたたた…えっ」
にこ「何やってんの?そんなとこで…」
穂乃果「先輩!…練習です♪」
にこ「転ぶ練習?…受け身?」
穂乃果「違います。アイドルですよ。スクールアイドル!」
にこ「はぁ?…あんたが、アイドル?」
穂乃果「そうですよ。海未ちゃんは私には無理だって思ってるみたいだけど、やればできるってところを…」
にこ「いや、無理でしょ?」
穂乃果「えぇ!?先輩までそんなこと…」
にこ「仕方ないわねー。特別に私が手本を見せてあげるわよ」ドヤァ
穂乃果「えっ」
【弓道場】
ことり「海未ちゃーん」タタタ
海未「…ことり?」
ことり「ここって換気には困らないね」
海未「まあ、半屋外ですし…」
ことり「あとは流れる水と植物があれば完璧かなぁ?」
海未「いや、どこの庭園ですか…それより私に何か用があるのでは?」
25:
【生徒会室】
にこ「つーわけで、こいつら新入部員よ!」
穂乃果「部員Bです!」
ことり「部員Cです♪」
海未「えっ。…ぶ、部員Dです…」
穂乃果「違うよ。海未ちゃんはAでしょ?」
海未「なぜ私がAなんですか?」
希「なるほど。それでにこっちがAAってわけやね♪」
にこ「誰がAAよ!?ケンカ売ってんの!?」プンプン
絵里「ま、まあまあ…空気を入れ換えましょう」バタン
ことほのうみのぞえりにこ「ふー」
ことり「鉢植えのスイートピーに、お外のカロライナジャスミンの香りがほんのちょっと混じって…」
海未「窓を開けると本当に空気が変わる感じがしますね…」
絵里「それより新入部員って…あなたたち三人とも二年生でしょ?」
穂乃果「はい。でもアイドルは全く未経験なので実質一年生です!」
海未「見習いです」
ことり「初心者マークです♪」
絵里「そういうことじゃなくて…どうして急にスクールアイドルを?」
にこ「使えそうな人材を見つけたからよ。どうせ私は一年以内に卒業なんだから、一年でも二年でも同じよ」
希「四人でアイドルグループを結成するん?」
にこ「その予定よ」
絵里「あなたたち…もしかして」
希「じゃあ、承認っと」ポン
絵里「ちょっ…希!」
希「いいやろ?アイドル研究部はすでに正規の部活動なんやし」
にこ「よし。じゃあ早練習を始めるわよ!」
ことほのうみ「はい!」
絵里「にこ!…あなた、アイドルで廃校を阻止するつもりなの?」
にこ「…私は、やりたいことをやるだけよ」
パタン
26:
絵里「にこ…」
希「…寂しい?」
絵里「別に…そんなんじゃないわ」
希「そ」
【後日・神田明神】
チュン(・8・)チュン
希「んーっ」ノビー
希(ここはいつもそうやけど、特に朝の空気ってスピリチュアルな感じやんな)
ドタバタ
海未「あと五往復ですよ!」
穂乃果「も、もう無理…」ゼーハー
ことり「」フラフラ
希(…今日は、ちょっとホコリっぽいかな?)
【音ノ木坂・生徒会室】
絵里(スイートピーの仄かな甘い香り…でも)
絵里(やっぱり一人だと、ちょっと静かすぎるわね…)
バタン
「みずがー♪なくちゃたーいへん」
絵里「…あら?…あれは」
【中庭】
花陽(ここの空気は大好き♪いろんな植物の香りもするね)
絵里「…あなた」
花陽「ピャァ!?…ご、ごめんなさいぃ」
絵里「いえ、まだ何も言ってないんだけど…」
花陽「す、すみません…えっと、生徒会長さん…ですよね?」
絵里「ええ。…あなたが花壇の世話をしてくれていたのね」
花陽「は、はい。この間始めたばかりですけど…」
27:
絵里「お花、好きなの?」
花陽「は、はい。好きです…」
真姫「ヴェぇ!?」
えりぱな「?」
真姫「」サッ←隠れた
『好きです…』
真姫(あ、あの子…おとなしくて地味っぽい感じなのに、あの生徒会長に告白するなんて///)
絵里「ふふ…きれいね♪」
花陽「そうですね…(生徒会長さんも///)」ドキドキ
絵里「あのカロライナジャスミン、私たちが植えたのよ♪」
花陽「そうなんですか…たち?」
絵里「希…副会長と一緒にね。…紫式部も見た?」
花陽「え?…えーと、木の…?」
絵里「ええ。去年、苗を植えたんだけど…」
花陽「わかりません…あの、実がなる前の木を見たことがないから…」
絵里「そうよね。…向こうにあるけど、見てみる?」
花陽「はい。…確か、常に土が湿ってるくらいじゃないと…」
絵里「詳しいのね?…それ、私が持つわ」
花陽「え?…でも」
絵里「私も植物とか好きだから…花たちのために何かしたいの」
花陽「じゃあ、お願いします…」
サァァァ…
絵里「これくらいでいいわよね?」
花陽「はい。いいと思います…このまま順調に育てば、来月か再来月くらいには…」
絵里「そうね。私も花が咲くのを楽しみにしてるの♪」
花陽(生徒会長さん…可愛いな///)
28:
【五月・神田明神】
穂乃果「夜の神社って…」
海未「はい?」
穂乃果「オバケが出そうだよね!?」
ことり「えぇ!?」
海未「な、何を言ってるんですか。ここは神聖な境内ですよ。そんな禍々しい空気とは無縁です」
ことり「そうだね…お寺は仏像やお墓とかあって、ちょっと怖そうなイメージだけど…」
にこ「まあ、昼間より空気が澄んでるような感じはするわね」
海未「昼間は少し汗ばむくらい暖かくなりましたからね…」
ことり「ひんやりした空気が心地いいよね♪」
穂乃果「こーんなふうに!」スーッ
海未「ひゃ!?…な、何するんですか!やめてください!」
にこ「…あんたたち、うるさいわよ。近所迷惑でしょ」
にこ(明日はいよいよ私たちのライブ…不安もあるけど、こいつらと一緒だと空気が変わるわね)クス
【翌日・音ノ木坂】
にこ「あんたにピンクを譲るのは今回だけだからね!」
穂乃果「にこ先輩、黄色も似合いますね。可愛い♪」
にこ「フン…当たり前よ。何色を着ても私が一番セクシーに決まってるでしょ!」ドヤァ
穂乃果「せ、せくしー?」
【生徒会室】
花陽「あ、あのぉ…」
絵里「あら、小泉さん。どうしたの?」ニコ
花陽「ライブ…よかったら、一緒に…」
絵里「…にこたちのライブ?」
花陽「は、はい。講堂で…」
希「おおっ、デートのお誘い!?」
絵里「なに言ってるの。希も行くでしょ?」
希「んー。どうしよっかなー?」
絵里「あの子たちにずいぶん協力的だったじゃない。…今になって興味がなくなったの?」
希「そんなことないよ。ただ…」
29:
凛「換気するにゃー!」バタン
花陽「り、凛ちゃん?」
凛「かよちん達に負けてられないよ!行きましょう、副会長さん♪」
希「キミは…えっと、星空さんやったっけ?」
絵里「もう蕾があったのよ♪今月中には花が咲くんじゃないかしら?」
花陽「私も見ました♪楽しみですね…」
凛「ふーん…ムラサキシキブって、原始人の本を書いた人しか知らなかったにゃ」
希「ああ、あの原始時代の…氷づけのマンモスが動き出すシーンは大迫力やったね!」
凛「そうそう♪鋭い牙でズドーンって氷を割って出てくるの!」
希「って違うやん!紫式部は原始人やなくて、源氏物語を書いた人や」
凛「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり…」
希「最後は源氏に追い詰められて次々と…ってそれは平家物語や!」
凛「あはは♪ねえねえ、かよちん…あれ?いなーい><」
希「エリちと二人で先に行っちゃったみたいやね…」
凛「もう五月なのに、なんだか空気が冷たいにゃ…」
希「窓閉めて行こ」パタ
【講堂】
真姫(…もしかして)
絵里「…と思ったら結局春咲きだったの。色を選んでるうちに季節のほうをうっかり忘れてて…」
花陽「そうなんですか。でも初夏には紫式部の花が咲きますよ♪」
凛「風がふーいてーいるー♪」
希「それはいきものがかりやね」
真姫(…私だけ一人!?)ガーン
フミコ「もうすぐ始まるよ?」
真姫「あの…先輩」
フミコ「なに?」
真姫「私の隣に座ってください!」
フミコ「え!?」
30:
海未(…き、緊張します…)ガクブル
穂乃果「空気を変えるためには!」
ことり「風通しをよくする?」
穂乃果「そう!こんなふうに♪」バサ
海未「あっ!?…ほ、穂乃果!何をしてるんですか!///」
穂乃果「えへへ。…ほら、空気が変わったでしょ?」
海未「穂乃果…まったく」クス
にこ「そろそろ時間よ」
ことほのうみ「はい!」
ことり「C」
穂乃果「B」
海未「A」
にこ「AA…って違うわよ!番号!」
穂乃果「いち!」
にこ「に」
ことり「さん♪」
海未「よん」
ことほのうみにこ「…」
絵里「にこー!」フリフリ
フミコ「穂乃果ちゃん♪」
穂乃果「…なんか、いつものメンバーって感じ?」
にこ「ま、最初はこんなもんでしょ。…いくわよ!μ's」
ことほのうみにこ「ミュージック・スタート!」
\アイセー♪/
絵里「どうするつもり?」
にこ「言ったでしょ。私は、やりたいことをやるだけよ」
絵里「にこ…」
にこ「私が歌いたいと思ったら、たとえ客席に誰もいなくても…」
絵里「それはないわ」
にこ「えっ」
絵里「私がいるでしょ?」
にこ「…フン///」
海未「ふふっ」
ことほの「あははっ」
31:
【後日】
凛「凛が!」
真姫「私が!」
花陽「た、タスケテ…」
絵里「小泉さん!」
まきりんぱな「えっ」
絵里「紫式部の花が咲いたわ!見に行きましょう♪」
花陽「ホントですか!?行きm」
凛「ずるいですよ!生徒会長さんは彼女いるでしょ!?」
真姫「こっちはそれどころじゃないんです。…ほら、行くわよ」グイ
絵里「なに言ってるの。私は先に約束してたのよ」グイ
凛「かよちんは凛が連れて行くって言ったでしょ!」グイ
花陽「だ、ダレカタスケテー!」
えりりんまき「チョットマッテテー」
ことり「小さくて可愛いお花だね♪」
海未「楚々とした佇まいが慎ましくも可憐で…」
穂乃果「きれいだねー♪」
希「ホンマやね♪」
にこ「いや、一緒になって和んでんじゃないわよ。あんたたちは練習!」
ことほの「はーい…」
【六月】
絵里「スイートピーとカロライナジャスミンの花期も終わって…ちょっと寂しいわね」
希「そやね。…まあ、もともと空気をきれいにするための植物やし」
絵里「…え?」
希「え?やないよ。…なに、忘れてたん?」
絵里「そ、そんなわけないでしょ。そう…空気よ、空気!」
希(完全に忘れてたみたいやね…)
絵里「紫式部の花はまだ咲いてるわよ。見に…」バタン
ザァァァ…
32:
ザァァァ…
穂乃果「どしゃ降りー」
にこ「しょうがないでしょ。人数も増えて、部室じゃ練習は無理だし…」
ことり(花陽ちゃんたち三人が入ってくれて、μ'sは七人になったんだよね♪)
真姫「あの部室、余計な物が多すぎるのよ」
凛「まるで物置だにゃーぁ…」
穂乃果「物置なら百人乗っても大丈夫だけど、あの部室じゃ五人でも無理だよ」
にこ「余計な物なんかないわよ!アイドル研究部なんだから、アイドルを研究する資料が必要でしょ!」
花陽(保存用の伝伝伝は部室に置かなくてもいいんじゃ…?)
海未「では今日の練習は休みに」
凛「空気をきれいに!」ガチャ
ザァァァ…ビシャビシャ
にこ「ちょ、なんで開けるのよ!空気じゃなくて雨が入ってくるでしょ!」
花陽「床が濡れちゃったね…」
にこ「凛!あんたは拭いてから帰りなさい」
凛「えー!?><」
【後日・生徒会室】
希「お。雨が止んだみたいや…エリち」バタン
\ニッコニッコニー!/
希「エリち?」
絵里「…」Zzz
希(寝ちゃってる…珍しいなぁ)
希(雨上がりの空気って、いつもよりきれいな感じがしてええね)
33:
亜里沙「お姉ちゃん」
絵里「おいしそうな匂いがするわね…お菓子?」
亜里沙「うん。クッキー焼いてみたの♪」
絵里「へー。…あら、変わった形ね?これは…Ш?」
亜里沙「ううん。キリル文字じゃなくて、Eなの」
絵里「E?…ああ、横にするのね…もしかして」
亜里沙「お姉ちゃんの名前♪絵里のEだよ」
絵里「Eの形のクッキー?」
亜里沙「そう。Eクッキー♪」
絵里「いーくっきー?…いい空気!?」
凛「ちょっと寒くないかにゃー?」
絵里「!?」ガバッ
絵里「…な、なんで星空さんが…亜里沙と私の家に入ってくるの?」
にこ「はぁ?…何言ってんのよ絵里。…寝ぼけてる?」
絵里「私、いつの間に寝ちゃって…あら、ここは…どこ?」
にこ「テントよ。絵里がここにテント張って泊まるって言い出したんでしょ」
『ちょっと寒くないかにゃー?』
絵里(ちょっと寒いと思ったら…そっか、もう十月…私たち、山へ合宿に来たんだったわ)
絵里「真姫は?」
にこ「別荘に戻ったみたい。曲、作ってるんじゃない?」
絵里「そう…うまくいくといいわね」
にこ「大丈夫でしょ。一度も失敗したことないんだから」
絵里「まるでドクターXね」クス
にこ「私、失敗しないので」ドヤァ
絵里「そうそう♪」
絵里(…でも“群れを嫌う一匹狼”とは違って…私は結局μ'sに入った)
『μ'sに入ってください!』
『九人や。ウチを入れて』
34:
にこ「…まだちょっと焦げ臭いわね」
絵里「ちゃんと消してくれた?」
にこ「当たり前でしょ。焚き火で山火事なんてことになったらシャレになんないし」
絵里「この辺りの空気を入れ換えたい気分ね」
にこ「風でも吹けば自然に入れ換わるわよ。それか雨とか…」
絵里「雨はちょっと…せっかくの合宿なんだし」
にこ「そーね。…もう寝ましょ」ファー
絵里「ええ。おやすみ。にこ」
にこ「…おやすみ」ギュ
絵里「…にこ?///」
にこ「寒いから…くっついてたほうがあったかいでしょ」
絵里「そ、そうね」ドキドキ
にこ「…///」ドキドキ
【後日・音ノ木坂】
絵里「ほら、今度こそ…にこのリボンに似てるでしょ♪」
にこ「もっとハイビスカスに近いのかと思ったら…変わった形ね」
絵里「にこの頭にも二つ咲いてるわ♪」
希(ちなみに生徒会は穂乃果ちゃんたちに引き継いで、ウチらは生徒会室の主じゃなくなったんやけど)
にこ「…まさか、それだけの理由でその花にしたの?」
絵里「モミジアオイよ。きれいでしょ♪」
にこ「…そ、そんなに私のことが好きなの?」
絵里「好きよ♪…ずっと前から」ギュ
にこ「…絵里///」
希(お二人さーん。ここ生徒会室ですよー)
35:
真姫「へー。これが紫式部…」
花陽「実がなってるとわかりやすいね」
凛「きれいだにゃー♪」
真姫「確か、花言葉は知性、聡明、賢さ?」
花陽「うん。愛され上手っていうのもあるけど…」
凛「でもこれ、花じゃないよねー?」
花陽「まあ、秋の誕生花扱いになってるなら実がなる季節だし…実でもいいんじゃないかな?」
真姫「この実、凛に食べさせたら賢くなるんじゃない?」クス
凛「むーっ。今は賢くないみたいに言わないでほしいにゃ」
花陽「そうだよ。紫式部は何した人なのか、凛ちゃん知ってるよね?」
凛「それくらい凛だって知ってるよ!村の掟を破って仲間外れにされた人でしょ?」
真姫「それは村八分」
凛「巨人の三塁手?」
花陽「村田修一だね」
【沖縄】
ザァァァ…
穂乃果「くっ。空気を…」
ことり「ダメだよ、穂乃果ちゃん。今は窓を開けちゃ…」
海未「台風が通り過ぎるのを待つしかありませんね…」
穂乃果「うぅ…逸れろー。逸れろー」
【十二月】
花陽「…く、空気はきれい…だよね?」フルフル
にこ「つーか、天気が空気読まなさすぎでしょ!なんなの、この雪!」ガクブル
希「まあ、今日歌う曲を考えたら空気を読みすぎたくらいやけど…」
凛「それなら歌うときだけ降ってくれればいいにゃ…」フルフル
真姫「そういえば、カツサンド持ってきたんだけど」
絵里「それって、今からみんなで…」
のぞえりにこぱな「食う気!?」
凛「ちょっと寒くないかにゃー?><」ガクブル
36:

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