【デレマスSS】森久保乃々「旅くぼ」モバP「リトルバスツアーズ!」back ▼
【デレマスSS】森久保乃々「旅くぼ」モバP「リトルバスツアーズ!」
続き・詳細・画像をみる
※
【デレマスSS】乃々「もりくぼ、Pさんに騙されたいみたいなんです」
【デレマスSS】乃々「最近Pさんがひどいんです」奈緒「はぁ……」
あたりと関連性あり。
【デレマスSS】森久保乃々「病みくぼは甘やかすべきだと思うんですけど」
の続きです。
3:
4:
乃々「…………」
P「…………」
乃々「…………」
P「……?」
乃々「……そのフレーズ、なんか……微妙に不吉なんですけど」
P「そうか?」
乃々「いえ、ネタバレ感あるんで多くは語りませんが、今から温泉旅行のツアーバスに乗るって時に、そのフレーズはあまり聞きたくなかなーって……」
P「乃々のそれも芸人さんの旅番組みたいだよな。
ちなみに、ツアー名は一泊二日、秘湯の旅だ!」
乃々「バスツアーに秘湯も何もないと思いますけどね……」
P「だよなー」
乃々「あと、もりくぼ、一応、アイドルの端くれなんですけど……一般のお客さんに混じってプライベートで旅行って……大丈夫なんでしょうか……」
P「変装してるし大丈夫じゃないか?
平日のプランだけに他の客は……うん、ご年配の夫婦ばっかりだ。ほれ、手」
乃々「あ、ありがとうございます……。よっと。
……本当ですね。バスの中はご老人ばかりです。
これならアイドルランク『ミジンコの触覚の切れ端』程度であるもりくぼは、きっとバレませんね」
P「総選挙上位入賞者の言うセリフじゃないけどなー」
5:
乃々「それにメガネもつけてますしね」
P「めちゃくちゃ似合ってるよな」
乃々「……髪型も変えてますしね」
P「ドリルじゃない乃々も普通に美少女だよな」
乃々「…………」ぼすぼす
P「殴るな殴るな。猫撫でパンチでも脇腹は普通に痛い。可愛いけど」
乃々「…………」////
P「俺逹の席は後部の方な、あと、乃々は窓際がいいよな?」
乃々「……はい」
P「気分悪くなったら言えよー」
乃々「……はい」
P「色々持ってきてるから何か食べたくなったり飲みたくなったりしたら言えよー」
乃々「……はい」
P「お昼はお弁当の支給があるらしいけど、ちょっと早起きして、乃々の好物の唐揚げを用意してきたぞ。
ウチだけこっそりお弁当グレードアップだ。楽しみだろ?」
乃々「……はい」
P「眠たくなったら肩使っていいからなー」
乃々「……はい」
P「…………」
乃々「…………」
P「……なんか大人しいな」
乃々「Pさんがいつもより二割り増しくらいで優しいからなんですけど!
あと二人きりの旅行なんて初めてだから緊張してるんですけど!」
P「あー。なるほど。それは何となくわかるわ。
俺も、髪下ろした乃々が横にいると、保護欲を掻き立てる華奢で儚げな美少女が同席しているように錯覚して、つい、よそよそしくなるなぁ」
乃々「……普段はどういう風に見られてるんでしょうか」
6:
P「どういう風にって言われてもな……。
……ああ、さっき色々言ったけど、他にもして欲しいことあったら何でも言ってくれよ」
乃々「もりくぼが夢うつつで、もたれ掛かってきたら、頭を鷲掴みにして反対側の窓ガラスに押し付けて欲しいんですけど」
P「そういう風に見えてるんだよっ!!
昔の保護欲を掻き立てる華奢で儚げな美少女、森久保乃々はどこに行ったっ!?」
乃々「なるほど」
P「納得するし」
乃々「It’s no use crying over spilt milk. ……覆水盆に返らず。あの頃のもりくぼはもう戻ってはこないんですよ……」
P「なぜ英語で言った? 開き直ってるし」
乃々「こぼれたミルク……。ミルク……(意味深)」
P「おい!?」
乃々「It’s no use crying over spilt milk at night. 」(夜の過ちは取り返しがつかない)
乃々「Of course you mean that sexually, don't you?」(もちろん性的な意味でね?)
P「ネットスラングっぽい改変はやめろっ! あと自分のキャライメージを大切にしろ、もりくぼォ!」
乃々「中学生は学校で教わったことをやたらと使いたがるものなんですけど……」
P「そんなことを教える義務教育機関は嫌だなぁ……。あと、どちらかというと高校じゃね?」
乃々「帰ったら飛鳥さんにも布教しようと思います」
P「やめなさい。最近はヘレン襲名の為の修行で疲れてるみたいだから、お前はアイツにとっての癒しでいてあげなさい」
乃々「……その前にそれ止めません?」
P「……俺にヘレンさんを止められるとでも?」
乃々「無理ですね」
P「真顔で即答ありがとう。せめてそこは、少し考えてから、むぅーりぃーって言って欲しかった」
乃々「……むぅーりぃー」
??「あははっ」
P・乃々「!?」
7:
??「静かなおじいちゃんおばあちゃんばかりかと思ったら、若い人達もいたんだね」
P「き、君は?」
並木芽衣子「あっ。後ろから急にゴメン。楽しそうな話と愉快なツッコミが聞こえたからさ。
私は芽衣子。並木芽衣子。22歳!
趣味が旅行で、見ての通り同じツアーにソロで参加中。後ろの席だし、お兄さんの方とは歳も近そうだから、仲良くしてくれると嬉しいです。よろしくお願いしますっ!」
乃々「お兄さん……」
P「お。おお。よ、よろしく。えーっと、並木……さん?」
芽衣子「芽衣子でいいですよ。うーん。もりくぼさん、って呼んだらいいんですかね?」
P「…………」
芽衣子「……もりくぼさん?」
P「えっ? ああっ! 俺のことか。
えーっと。こいつと紛らわしいから下の名前でPって呼んでくれ。敬語も無しでよろしく」
乃々「…………」
芽衣子「うん。分かった。よろしくね。Pさん!
と、あと、妹さんの名前は……」
乃々「……もりくぼです」
芽衣子「?」
P「乃々っ。
乃々です。乃々。乃々って呼んでやって下さいっ!」
芽衣子「? うん。じゃあ、よろしくね、乃々ちゃん!」
乃々「……よろしくお願いします」
芽衣子「兄妹で旅行? 仲いいんだね。
……あっ、今さらだけど、兄妹……だよね?
あれ? けどよく考えたら、お兄さんが妹を苗字で呼ぶのって……」
8:
9:
乃々「こんやk」
P「はい。そうです! 兄妹ですっ!
いやぁ! 親に妹のお守りを頼まれちゃってね!
まぁ、仲がいいのは確かにだし、付き合ってやるかって感じで!
さっき苗字でツッコンでたのは持ちネタみたいなもんなんで深く考えないで下さいっ!」
乃々「兄妹じゃ…」
P「お近づきのしるしに、これどうですかっ!
って言っても売店で買ってきた、ただのペットボトルのお茶なんですけどねっ!」
芽衣子「あ、いいの? ありがとっ。 あとで私のオヤツ分けてあげるねっ」
P「いえいえ、お気になさらず。あはは」
乃々「…………」
芽衣子「楽しい旅行になるといいねっ。
じゃ、またあとで……」スッ
P「…………」
P「ふー……。急だったからびっくりしたな……」
乃々「…………」
P「…………」
乃々「…………」
P「乃々?」
乃々「…………」
P「の、乃々さーん? ……お、怒ってる?」
乃々「……兄妹じゃないんですけど」ボソ
P「う。……い、いやぁ、おじいさんやおばあさんならともかく、相手は普通に若い女性だしさ、乃々の正体がバレる可能性高そうじゃん?
バレた時、家族でもない男と一緒だったらマズイかなぁ、と思ってさ……」
乃々「それは……分かりますけど……」
10:
P「それに兄妹だって思われてた方が色々お得かもしれないぞ。気兼ねなく仲良くできるしさ」
乃々「う……」
P「心配しなくても俺はちゃんとお前のこと妹なんかじゃなくて」
芽衣子「ねぇ、Pさん!」ヒョコ
P「ふぁいっ!?」
芽衣子「わっ!? な、何、そのリアクション」
P「い、いえいえ、何でもありませんよ?
と、ところで、何用でしょうか?」
芽衣子「うん? ああ、ほらっ。オヤツ開けたから食べてっ! ポッキー!」
乃々「発車前から……気が早いんですけど……」
芽衣子「はい。あーん!」
P・乃々「!?」
芽衣子「口開けてっ。ほらっ」
P「いや、自分でと…むがっ!?」
芽衣子「おいしい? 旅のお供には定番だよねっ」
P「…………」
乃々「…………」
P「う、美味いっす」
芽衣子「そ。良かった! 乃々ちゃんには小袋ごとあげよう!
また欲しかったら、遠慮なく言ってね。
調子にのって色々買い過ぎちゃって……えへへ」
P「そ、そっすか」
乃々「……ありがとうございます」
11:
芽衣子「あちこち行きたい性質だから、普段はバスツアーってあんまり利用しないんだけど、たまにはこういうのもイイね!
なんか修学旅行とか遠足を思い出すかも!」
P「あー、言われてみれば確かに……」
芽衣子「うん。あ、でも、オヤツは300円分以上あるから、遠慮は無用だよ。食べ放題!
いつでも呼んでねー。じゃっ!」スッ
P「…………」
乃々「…………」
P「…………」
乃々「…………」
P「ふ、不可抗力!」
乃々「……何も言ってないんですけど」
P「い、いやー。き、気さくな子だね」
乃々「……とてもフレンドリーですね」
P「うんうん」
乃々「……とても可愛くて綺麗な人ですね」
P「う……ん?」
乃々「……フラグ……立てたらダメですよ?」
P「立てないよっ!?」
乃々「……浮気は厳禁なんですけど」
P「しないしない」
12:
乃々「……スカウトも駄目ですよ?」
P「…………」
乃々「……Pさん?」
P「……シナイヨ」
乃々「……ふぅ。……分かりやす過ぎなんですけど」
P「乃々に呆れられた……。
いや、しないぞ。いくらデリカシーのない俺でも乃々との私的な旅行中に仕事は持ち込まないよ」
乃々「……ふーん」
P「乃々がっ! 白い目でっ! 冷たい目でっ! 反抗期っ! ちょっと興奮するっ!」
乃々「セクハラなんですけどっ!?」
※ ※ ※ ※ ※
13:
3時間後
P「乃々、乃々。起きろ乃々……」
乃々「むにゃ……?」
P「サービスエリア……ってわけではないけど、休憩所に着いたみたいだ。
お手洗いと昼食をここで済ませるらしい」
乃々「……おひるごはん?」
芽衣子「乃々ちゃん起きた?」
P「あー。目は覚ましたけど……これは結構しっかり寝ぼけてるな。
おーい。乃々ー?」
乃々「…………」
乃々「……ここは……バス?
ああ、旅行中に……高に乗ったところで、もりくぼ眠ってしまって……」
P「もう高は降りて、山道に突入中だけどな。辺り一面、木、木、木って感じだ」
芽衣子「ちょっとワクワクするねっ」
P「うむ。これからいよいよバスで山を登っていくみたいだぞ。
あんまり期待はしてないけど、秘湯を目指しての秘境感は出てくるかもな」
乃々「秘境……」
P「ちなみに乃々に貸した俺の右肩は、その口から湧き出るヨダレで大変なことになってたり」
乃々「……!?」バッ
芽衣子「Pさんデリカシーな?い。
あ、乃々ちゃん、寝顔は可愛かったから気にしなくてもいいと思うよ?
涎ギトギトでもセーフセーフ!」
P「それはフォローになってるのか?」
芽衣子「なってますーっ。 Pさんよりはマシだしっ!」
P「まぁ、寝顔が可愛かったのには同意!」
芽衣子「このシスコンっ。 でも、だよね!」
14:
乃々「…………」
乃々「い」
P・芽衣子「い?」
乃々「いちゃいちゃしないで欲しいんですけどっ!?」
芽衣子「いちゃっ!?」
乃々「ていうか、もりくぼが寝てる間に、何か仲良くなってません!?
息がぴったりなんですけどっ!?」
P「な、なななってないよっ!?」チラッ
芽衣子「べ、別に何もなかったよねっ!?」チラッ
乃々「これでもかってくらい挙動不審なんですけどっ!?」
P「……何もなかったよなー?」
芽衣子「……ねー?」
乃々「のぉぉぉぉぉぉ!!」(怒)
※ ※ ※ ※ ※
15:
プシュー…
芽衣子「バスの外に追い出されちゃったねー。可愛くてつい、からかい過ぎちゃったかな?」
P「あー。……まぁ、一人で身嗜み整えてから出てきたいんでしょう。
俺、先にお手洗い済ませてくるんで、少しだけ乃々を待っておいてもらえます?」
芽衣子「別にいいけど……」
P「けど?」
芽衣子「敬語! また敬語になってる!
旅仲間で年の差もそんなにないんだから、タメ口、呼び捨てでっ!」
P「あっ」
芽衣子「その方が……仲良くなれると思わない……かな?」
P「う……」
P(遠慮がちな笑顔で上目遣い……)
芽衣子「?」
P「り、了解。分かった。
……こ、交通量もほとんどないから大丈夫だと思うが、少し乃々を頼む」
芽衣子「! こっちも了解っ! 任せといてっ!」
P「じゃ、すぐ戻ってくるから……」スタスタ
P「…………」
P「う?ん。素質は……あるよなー……」
P「…………」
16:
※ ※ ※ ※ ※
ジャー…
P「ボロいトイレだったな。さて、乃々はバスから降りてきたかなー……っと?」
きゃー!
キャー!
なんですけどーっ!
P「えっ!? 悲鳴?
この声は……バスガイドさんと、芽衣子と……乃々っ!」
ダッ!
乃々「渡さないんですけどーっ!」
バスガイド「いやーっ!?」
芽衣子「ダメーッ! 乃々ちゃん逃げてーっ!」
乃々「ぼのーーーっ!!」
猿「ウキャーッ!!」
P「…………」
P「…………」
P「……なんだこれっ!?」
17:
P(芽衣子はさっきまでと変わらぬバスの外。
バスの前方、開きっぱなしの乗降口では乃々が手にビニール袋を握りしめ踏ん張り、その先、それを奪おうと引っ張っているのは……野生の猿っ!?)
芽衣子「ダメだよ乃々ちゃん。奪われてもいいから離してっ!」
バスガイド「きゃーきゃー!?」
芽衣子「バスガイドさんは乃々ちゃんの陰に隠れてないで止めてっ!」
乃々「このお弁当はPさんともりくぼの分なんですけどーっ!」
芽衣子「張り合っちゃダメっ!」
P(ふむふむ。要するに……支給された弁当箱を持って乃々が降りてこようとした所で、バスの乗降口まで猿が飛び込み、弁当箱を手提げ袋ごと奪おうとした……と)
P「…………」
P「いやいや、冷静に状況を認識してる場合じゃねーっ! なんだよこれっ!
とりあえず、乃々っ。
そいつはくれてやれっ!
危ないから抵抗するなっ!」
乃々「うー。袋が引き千切れそうなんですけどー!」
P「だから放せって言ってるだろっ、もりくぼォ!」
猿「ウキャーッ!」
※ ※ ※ ※ ※
18:
乃々「…………」ヒックヒック
P「おーい。……泣きやめー……?」
乃々「ヒック。ヒック。ご、ごめんなさい。ごめんなさい。
もりくぼが至らないばかりに、お弁当が奪われてしまいました。
ごめんなさい」ヒックヒック
P「いや、全然気にしなくていいぞー。お前が無事だったらそれだけで充分だ。
むしろ、俺としては、ああいう危ないことはしないで欲しかったというのが本音…」
乃々「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。嫌いにならないで下さい。役立たずでごめんなさい。
ごめんなさいごめんなさい。捨てないで下さい。言うことを聞かなくてごめんなさい。
ごめんなさいごめんなさい。だらしなくてごめんなさい。ヨダレギッシュでごめんなさい。
ごめんなさいごめんなさい」
P「お、落ち着けっ! 怒ってない。もう全く怒ってないから。泣くなって。
なんか鬼気迫るラップかポエムみたいになってるぞ。
……って、ヨダレギッシュ!?」
乃々「で、でも、役立たずなゴミくぼのせいでお昼ご飯が……」
P「じ、自虐的過ぎィ……!
昼飯なんてどうとでもなるからっ。もう気にするな!」
乃々「ま…周り一面、樹ばっかりで何か買えそうな所もないんですけど……。
それでもこんな愚図くぼを許してくれるんですか……?」
P「やめてっ! なんか心が痛いから、それ以上自分を貶めないでっ。
大丈夫。もりくぼの為なら断食の1日や2日余裕だから!
一食なんて、断っても断ってないようなもんだから!」
乃々「Pさん……」
P「よしよし。むしろ、駆けつけるのが遅れて悪かったなー。ぎゅってしてやるから落ち着けー」
乃々「うう?」
19:
P「……はー。よしよし。怖かったな?」
乃々「…………」
P「…………」
乃々「…………」
P「…………」
乃々「…………」くぅ?
P「…………」
乃々「…………」
P「…………」
乃々「……お、お腹空いたんですけど……」
P「……だよなー」
P(朝は駅ナカの立ち食いウドンを一杯食べたっきり。
状況が落ち着いたら、そりゃ、お腹も空くわなー)
20:
P「確かに腹は減ったな……さて、どうするか……」
乃々「も」
P「も?」
乃々「もりくぼを食べちゃうとか?」
P「食わねーよっ!?」
乃々「あ、あっちに濃いめの草むらがあるんですけど……」
P「調子が戻ってきたようで何よりだな、もりくぼォ!」
乃々「ご休憩時間はまだ30分以上残ってるんですけど……」
P「休憩に意味深な「ご」を付けるなっ!」
乃々「…………」
P「……ちょ、こらっ。無言で引っ張るなって! 相変わらず肉食系だな、もりくぼォ!」
芽衣子「おっまたせー。わ。ひっついて、本当に仲良しだねー」
乃々「!?」バッ
P「おおっ!?」
芽衣子「ありゃ。離れなくてもいいのにー。
はい。お弁当」
乃々「えっ?」
P「こ……これは?」
芽衣子「私の分だよー。盗られたのはPさん達ふたりの分だけだからね。
これを3人で分けよっ」
21:
P「い、いや。それは流石に悪いんだが……」
乃々「…………」
芽衣子「気にしない。気にしない。私、結構少食だからさ。
3人で分けても全然へーきだよ。
ほら。じゃーん。意外と具沢山♪」
P「お。おう。……いや、しかしだな」
芽衣子(断ったら乃々ちゃん余計に気にしちゃうよ。だから、ここは……ね?)コソッ
P「う。そ、そうだな。じゃあ……お言葉に甘えて……」
芽衣子「うんうん」
P「……あっ!」
芽衣子「どしたの?」
P「そう言えば支給されたお弁当とは別に、紙のお弁当箱に入れて唐揚げ持ってきてたんだった。
こっちは無事だぞ、乃々っ!」
芽衣子「えっ。いいないいなー。もしかしてPさんの手作り?
いいなー。私にもちょうだい?」
P「どうぞどうぞ。ほら、乃々も食わないと全部食われちゃうぞ。多めに作ってきたけど、数に限りはあるからなっ」
芽衣子「そんなにとらないよっ!? たぶん!」
P「たぶん!?」
芽衣子「たぶん!」
P「たぶん!」
乃々「…………」
P「…………」チラッ
芽衣子「…………」チラッ
乃々「…………」
22:
乃々「…………」
乃々「そ、その……な、並木さん」
芽衣子「……なに?」
乃々「あ……ありがとうございます」ぺこり
芽衣子「!! ……うんっ!」
乃々「……お、お弁当。いただきます」
芽衣子「どうぞどうぞ。食べて食べて?。
あと、歳の差は気にせず芽衣子って呼んでくれていいよ??」
乃々「め、芽衣子……さん」
芽衣子「よし! おっけー!」
P「メイコゥ!」
芽衣子「それだけはやめてっ!!」
乃々(……何か幼少期のトラウマでもあるんでしょうか?)
※ ※ ※ ※ ※
23:
1時間後、バスの中にて
乃々「た、食べ過ぎたんですけど……」
芽衣子「バスのおじいちゃんおばあちゃんが、大量にお裾分けしに来てくれるのは想定外だったねー」
乃々「ほぼ孫扱いだったんですけど……」
芽衣子「私もだよー。いやー、嬉しいけど、まいったね。太っちゃう」
P「……俺、爺様方にパセリの集中攻撃受けたんだけど……」
乃々「この後、バスはずっと山道なんですか?」
芽衣子「だねー。しばらくしたら温泉街に着くみたい」
P「…………」
乃々「秘湯かどうかはともかく、楽しみなんですけど……」
芽衣子「一緒に入ろうねー、乃々ちゃん!」
乃々「……はい」
P「…………」
P「…………」
P「…………」
P「ちょっとっ!!」
芽衣子「わっ。どうしたの?」
乃々「……前の席でうるさいんですけど」
P「酷いっ! 返してっ! こっちの席に乃々を返してよっ!」
24:
芽衣子「えーっ……」ぎゅっ
乃々「は、恥ずかしいので抱きしめないで欲しいんですけど」
芽衣子「あー。乃々ちゃんは可愛いなーっ♪」ナデナデ
P「もう30分以上経ったよ。交代。乃々権交代っ!」
乃々「なんなんですかそれは……」
芽衣子「あと5分!」
P「却下っ!」
芽衣子「ケチー!」
乃々「…………」のそっ
芽衣子「あ。行っちゃうの?」
乃々「……もりくぼはPさん家の子なので」
芽衣子「また後で来てねー。今度はチョコパイと甘栗も用意しておくよ!」
乃々「はい……わかりました」
P「おかえりー乃々ー」
乃々「…………」
乃々(なんなんでしょうか、これは……。モテ期?)
P「さぁ、近う寄れ近うよr…」
キキッ!!
P「うおっ!?」
乃々「!!」ぼすっ
25:
P「っとと、ナイスキャッチ。
急ブレーキか。やっぱ走行中は立ち歩いちゃいかんね」
乃々「…………」
P「うん。どうした? 大丈夫か、乃々ー?」
乃々「…………」
乃々(やっぱりこっちの方が……Pさんに抱かれる方が落ち着きます……)
芽衣子「……ねぇ、Pさん。さっきさ、この山道、ガードレールもない一本道で怖いね?って話をしてたよね?」
P「うん? 急にどうした?」
芽衣子「結構切り立った細い山道を、流石のプロの仕事で走るドライバーさん。それは良しとするね」
P「おう?」
芽衣子「車体が大きいのもあって、窓から覗いても走ってる足元の道路は全く見えないくらい。……やっぱり怖いね」
乃々「?」
芽衣子「ここで問題です。正面から自家用車が向かってきて鉢合わせた場合、このバスはどうするつもりなんでしょうか」
P「えっ?」
乃々「へっ?」
P・乃々「…………」
26:
芽衣子「急に止まってどうしたのかなーと思ったら、対向車がきてますよ。どうするつもりなんですかね?」
P「ここ、一方通行じゃなかったのかっ!?」
乃々「……道幅的に絶対すれ違えないんですけど」
芽衣子「あ。道の端っこの方に少しだけ出っ張った部分があるよ。
その向こうはやっぱり崖で、下は樹々の茂る森林地帯だね。
気のせいかバスがその出っ張りに向かってる気がするねっ」
P「……えっ? ここですれ違う気?
あのちょこっとあるスペースを利用して?
いや、正気か? 無理だろ?」
乃々「…………」
芽衣子「崖ギリギリに寄せて……。あっはっは。足元が見えないのは幸いだね。
きっと大丈夫なんだよ。プロ的に!」
P「いやー、これ、ちょっとでも崩れたらアウトじゃないか? なぁ、乃々?」
乃々「…………」
乃々「Pさん、崖から落っこちたら異空間を構築して、2人で永遠の学園生活を送りましょうね?」にこり。
P「ああっ、乃々が既に安らかな顔で死を受け入れようとしてるっ!」
芽衣子「あは。あははっ!」
P「後ろの座席では芽衣子が壊れた笑い声を!」
「ナンマイダーナンマイダー」
「生まれ変わっても、また二人一緒に……」
27:
P「周りのお年寄りも覚悟を決めてるっぽいんですけどっ!」
乃々「口癖をマネしないで欲しいんですけどっ!」(怒)
P「乃々の沸点が分からないっ!」
芽衣子「Pさん、最期だから私、自分に素直になるね。実は一目見た時から…」
P「諦めるなーっ! 君は強い子のはずだろーっ!? 諦めるなよーっ!」
ぐらっ。
P「ぎゃーっ!?」
乃々・芽衣子「ぎゃーっ!?」
一同「ぎゃーっ!?」
バスガイド「…………」(白目)
※ ※ ※ ※ ※
28:
プシュー…
バスガイド「皆さんお疲れ様でした。15時30分、安全運転で何事もなく、無事温泉旅館に到着です。
お忘れ物のないようお気を付けて、焦らず順番にお降りください♪」
P「…………」
乃々「…………」
芽衣子「…………」
一同「…………」
P「……俺が……バスツアーで秘湯って(笑)って馬鹿にしたからバチが当たったのかな……」
乃々「……ここは本当に現実の世界なのでしょうか。
実はもりくぼ達の身体は奈落の底で、今いるのは精神の成長を試されるループの異空間だったりするんじゃないでしょうか……」
芽衣子「……こ、こここ、これだから旅はやめられないね! スリル満点っ!」
P「……ニワトリかな?」
芽衣子「しゃらっぷっ!」
バスガイド「はーい。皆さん慌てずに降りましょう。
……ていうか、降りていいんですよー? 降りましょう?」
P「みんな立つ気力もないな……」
乃々「バスガイドさんの膝も笑ってるんですけど」
P「あのバスガイド、猿の時も乃々を盾にしてたよな……。
他の人に変えてくれないかなー……」
芽衣子「そんなこと言っちゃだめだよPさん。
うん……まぁ……気持ちはわかるけどさ……」
乃々「…………」
P「…………」
芽衣子「…………」
運転手「あー、……死ぬかと思った」
P・乃々・芽衣子「お前が言うなっ!!」
29:
※ ※ ※ ※ ※
旅館の一室にて
P「へぇ。部屋は普通にきれいでいい感じだなー。外観はちょっとボロかったけど」
乃々「特別広くもないですけど、二人で泊まる分には充分ですね……」
P「芽衣子は隣の部屋らしいな」
乃々「夜這いは…」
P「しねーよっ!!」
乃々「食い気味に……」
P「乃々の言いそうなことは大体予想がつくからな。
……まぁ、とりあえず、晩飯まで時間はあるし、ひとっ風呂浴びにいくか!」
乃々「いいですね……。混y…」
P「混浴でもねーからなっ!」
乃々「……い、以心伝心なんですけど」
P「物は言いようだな……」
30:
※ ※ ※ ※ ※
女湯にて
カコン…
乃々「……普通に広いお風呂なんですけど」
芽衣子「そこのドアから出たら露天風呂もあるみたいだよ。
身体をさっと洗ったら行ってみよっか! ちょっと寒そうだけど!」
乃々「せっかくですしね……」
芽衣子「秘湯って唄うだけあって、混んでないのに、ちゃんとした温泉だね。
いい感じ。よし。ゴーゴー!」
乃々「わ。わ。手を……手を引っ張ったら……」
乃々「…………」
乃々「……ふふ」
31:
※ ※ ※ ※ ※
男湯にて
チャプチャプ…
P「あー。いいーゆーだーなー」
P「…………」
P「乃々の面倒見てくれる人に巡り会えたのは良かったし、安心して任せられるけど……」
P「…………」
P「穴場過ぎて他の客が全くいねぇ……。
バスに乗ってた、じさま連中は、まだグロッキーかな?」
P「…………」
P「ちょっと寂しい……」
32:
※ ※ ※ ※ ※
女湯 露天風呂にて
乃々「ああ?……」
芽衣子「外気が冷たい分、お湯の温かさが沁みるねぇ?」
乃々「指先がピリピリするんですけど?……」
芽衣子「気持ちいいね?。景色も綺麗。ほとんど樹しか見えない森だけど」
乃々「はい?……」
芽衣子「しかも貸し切りだよ?」
乃々「とても落ち着くんですけどぉ?……」
芽衣子「そだね?。あ!」
乃々「うぅ? どうかしたんですか?」
芽衣子「いや、だったら男湯の方はPさん1人なのかなー、と」
乃々「……そうかもしれませんね」
33:
芽衣子「…………」
乃々「…………」
芽衣子「……突入する?」
乃々「だっ、ダメなんですけどっ!?」
芽衣子「……ぷっ。流石に冗談だよ?。乃々ちゃんは可愛いなー♪」
乃々「ううっ……! わ、分かってたんですけど……!」
芽衣子「あははっ。そして乃々ちゃんはお兄さんの事が大好きなんだなー♪」
乃々「う、あうあぅあぅぅ」ぶくぶく
芽衣子「お。否定はしないのか。いいお兄さんだもんね?。ちょっと性格は軟派気味だけど」
乃々「!?」
乃々「……ちょ、ちょっと聞き捨てならないんですけど……。
ど、どういうことですか?」
芽衣子「おっ? ……えーっ? 聞きたい?」
乃々「…………」コクコク
芽衣子「うふふ。ほら、乃々ちゃんが寝てる時間、しばらくあったでしょ?」
乃々「あ、ありましたけど……」
芽衣子「あそこで結構お喋りしたんだよね。お兄さんと」
乃々「……つ、つまり、そこで」
芽衣子「いやぁ、お世辞半分だとは思うんだけどねー。
お綺麗ですねとか、随分可愛らしいですねーとか、声も素敵ですねーとか……」
乃々「…………」
乃々(……浮気は万死に値するんですけど)
34:
芽衣子「あとは、地元では何をされてるんですかー? 学生さんですかー? とか?
お兄さんったら積極的で……」
乃々(……。あっ……。違うんですけど。
これ、多分探りを入れてるだけですね……)
芽衣子「もう、こっちはそんなつもりないのに、困っちゃうよねー? えへへ。
まぁ、不思議とそんなに嫌な気はしないんだけど♪」
乃々(…………)
乃々「め、芽衣子さんは……!」
芽衣子「うん?」
乃々「Pさんのこと……どう思いますか? まだ会ったばかりだし……す、好きだったりは……しないですよね?」
芽衣子「へっ? あ、当たり前でしょ。
そりゃ、最初会った時から印象は悪くなかったけど……。
趣味の旅人として、行く先々で知り合ったイイ男に、いちいち惚れたりはしないものさ」
乃々「……はぁ」
乃々(イイ男……?)
芽衣子「一期一会、一つ一つの出会いは大切にしなきゃだけど、深入りし過ぎはつらいものもあるからね。
旅仲間はあくまで旅仲間。友人以上の感情は抱かないようにしてるわけよ。ふふん!」
乃々「なるほど」
芽衣子(……まぁ、この旅以外にも何らかの縁が続いたら、どうなるかは分からないけど) ぽそっ
乃々「…………」
35:
芽衣子「うん! けど、やっぱりお兄さんのこと、気になるんだね? 乃々ちゃんは」
乃々「…………」
乃々「べ、別に……Pさんが綺麗な女の人に声を掛けるのは、いつものことですし……」
芽衣子「あー、いつものことなんだ……」
乃々(微妙に残念そうに見えるんですけど……)
乃々「だから、Pさんがどこで何をしてようと、ぜ、全然気にならないんですけど……」
芽衣子「……。あれ? そういえば乃々ちゃんってさ……」
乃々「?」
芽衣子「お兄さんのこと、お兄ちゃんって呼ばずに、名前で呼ぶんだね。
何でだろう……?」
乃々「!!」
乃々(そ、それは兄じゃないからなんですけど……!
けど、勝手に白状したらPさんに怒られるかもしれませんし、何より迷惑をかけて嫌われてしまうかもしれません……。
それだけはイヤです……)
芽衣子「うーん……」
乃々(ま、まずいです……。どうすれば……)
芽衣子「あ。分かった!」
乃々「!?」
芽衣子「恥ずかしいんでしょ? Pさんを、お兄ちゃん、って呼ぶのが」
乃々「…………」
乃々「……ふぇ?」
36:
芽衣子「あー。分かるなー。うん。わかる。難しいお年頃だもんね。
ちょっとそういうのに敏感になって、抵抗が出てくる頃だよねー。うんうん」
乃々「……えーっと」
芽衣子「けどね、乃々ちゃんっ!」
乃々「は、はいっ!」
芽衣子「お兄さんはきっと寂しがってると思うよ!」
乃々「は、はぁ……」
芽衣子「可愛い妹が素直に甘えてくれない。ちゃんと兄と呼んでくれない。
その事にきっと辛く、悲しい思いをしているに違いない。私はそう思う」
乃々「えーっと、そ、それは……」
芽衣子「だから、チャレンジ!」
乃々「ちゃ、ちゃれんじ?」
芽衣子「そ。お兄さんにもっと素直に甘えてみよう! そんな乃々ちゃんチャレンジっ!」
乃々「い、いや、それは結構普段から……」
芽衣子「問答無用っ! お風呂からあがったら早実行だっ!」
乃々「え、ええ……?」
乃々(この人、微妙に人の言うこと聞かないんですけど……!)
芽衣子「よし! 楽しくなって…、もとい、燃えてきたっ!」
乃々(言い換えてもどの道迷惑なんですけどっ!)
37:
※ ※ ※ ※ ※
遊具室にて
P「お、俺の五百円玉が一瞬で飲み込まれた……。レトロゲーのクセに生意気な……」
芽衣子「わー。ゲームセンターだー。お待たせー。 今、上がったよー」
P「おーう。お、浴衣か。似合うな。いい感じじゃん。可愛いよ」
芽衣子「う、うん。ありがと」
P「あれ? 乃々は?」
芽衣子「脱衣所で瓶の牛乳飲んでるよ。先に行ってて欲しいって言われたから、出てきたの」
P「ふーん。なるほどな。ともあれ、乃々の面倒みてくれて、ありがとな、芽衣子」
芽衣子「き、気にしないで」
芽衣子(自分で言い出しといて何だけど、男の人に名前で呼び捨てにされるのは慣れないな?)
P「?」
芽衣子(けど、Pさんは慣れてるっぽいし、今も浴衣のこと、さらっと褒めるし……。
やっぱり見かけによらず、そういう人なのかな?)
P「しかし、レトロゲーはいかんな。内容は微妙なクセに、あっという間に金が食われる。
他に何か……おっ?」
芽衣子「うん? ああ、卓球台! こういう所の定番だねっ」
38:
芽衣子「うん? ああ、卓球台! こういう所の定番だねっ」
P「ふーむ……」
芽衣子「折角だし、やろっか!」
P「えっ?」
芽衣子「趣味が旅行だからねー。こう見えてもそれなりに得意なんだよ」
P「いや、でもなぁ」
芽衣子「乃々ちゃんが来るまで、より多く点を取った方が勝ちっ!
負けた方は勝った方の言うことを何でもひとつ聞くこと。オッケー?」
P「……な、何でも」
芽衣子「そう、何でも! 負けないよーっ!」
P「よ、よし。じゃあ……」
芽衣子「いざ尋常にっ!」
P「勝負っ!」
※ ※ ※ ※ ※
39:
乃々「なんですか……これは」
芽衣子「はぁー、はぁー。やるね。Pさん」
P「くっ……! 手強い!」
芽衣子「さすらいの卓球娘と呼ばれたこの私と、ここまで渡り合うとは……!
けど、乃々ちゃんが来た以上、次でゲームはお終い。
今は同点。あと1点、先に取った方が勝ちね!」
P「ぐ。卑怯な……!」
芽衣子「卑怯?」
乃々(芽衣子さん、浴衣がはだけてるんですけど……。せくしーです……。
Pさんの目が、塩水に浸かった断末魔の金魚並みに激しく泳いでるんですけど……)
芽衣子「よくわからないけど、勝負の世界は非情っ。ラストサーブは私っ。本気でいくよっ!」
P「こ、こっちも本気だっ! もう紳士の仮面は脱いで投げ捨てるっ!」(ガン見)
乃々「む……」
芽衣子「乃々ちゃん、応援よろしくっ!」
乃々「えっ? が、がんばれー、芽衣子さんー?」
芽衣子「違う! Pさんに、お兄さんに、応援を!」
乃々「!? ……ああ」
P「御託はいい、さっさと打ってきなっ!」(ガン見)
乃々「…………」
40:
芽衣子「いくよっ!」
P「こいっ!」(ガン見)
乃々「が、がんばれー」
芽衣子「やっ!」カコッ
P「!!」
乃々「Pお兄ちゃん……っ!」////
P「!!?」
カッ
芽衣子「サービスエース! 私の勝ちっ!」
P「…………」(白目)
乃々「…………」
芽衣子「……あれっ?」
乃々「……Pさんが……立ったまま気絶して動かないんですけど」
芽衣子「ほ、ほんとだ。Pさん、Pさん? おーい?」
P「…………」(昇天)
乃々「…………」
芽衣子「想像以上の効果……。まぁ、多分喜んでるから問題なしっ!」
乃々「そ、そういうものなんでしょうか……」
P「…………」(浄化)
※ ※ ※ ※ ※
41:
P「あー、死ぬかと思った。あのまま天に召されるかと思った……いもくぼ可愛い。いもくぼエンジェル」
乃々「大袈裟なんですけど……。あとその呼び方、やめて下さい」
芽衣子「いやー、喜んでもらえたようで何より。
ねっ? お兄ちゃんって呼んでみて良かったでしょう?」
乃々「……複雑なんですけど」
芽衣子「そっかー。やっぱり恥ずかしいよねー」
乃々「…………」
P「…………」
芽衣子「あ、大広間。ここだね。晩御飯はここに用意されてるんだって」
乃々「……まだそんなに人は集まってませんね」
芽衣子「結構時間の幅をとってあるみたいだからね。
後からゆっくり来る人も多いんだと思うよ」
乃々「……なるほど」
P「ちなみに目玉メニューは、名物カツオのたたき!
なんとおかわり自由、食べ放題だ!」
芽衣子「おおっ!」
42:
乃々「……生ものって、そんなに大量に食べられるものなんでしょうか?
いえ、食べたこと自体あまりありませんが……」
芽衣子「事前に調べた限りだと、なかなか美味しいらしいよー。無理しない程度に、じゃんじゃん食べよう!」
P「よし、その意気だ!」
乃々「……はぁ」
芽衣子「テーブルはここだね。事前に私と一緒にしてって頼んでおいたから、同席だよっ」
P「さすが、根回しがいいな」
芽衣子「えへへ、まーね。
あ、給仕の女の人が大っきなお皿を持ってきたよ。すごーい」
P「へー。本当だ……な……!?」
乃々「? どうかしたんです……か……!?」
「お待たせしましたぁ。メインのカツオのたたきですよぉ」
芽衣子「わー。すごい。たくさん!食べ切れるかなー」
「うふ。おかわりも自由ですから、いつでも言って下さいねぇ……Pさん?」
P「…………」
乃々「…………」
43:
芽衣子「わぁ。可愛い制服ですね。和風ウェイトレスって感じ! リボンがいっぱい!」
「うふ。ありがとうございます。今日の為に自分で作った自信作なんですよぉ」
芽衣子「へぇー!」
P「…………」
乃々「…………」
「では、他のご飯やお味噌汁も運んできますから、待ってて下さいねぇ……Pさん」
P「…………」
乃々「…………」
芽衣子「はい。お願いしますっ」
「うふふ……」
P「…………」
乃々「…………」
芽衣子「はぁー。可愛いウェイトレスさんだったねー。まるで芸能人さんみたい……。
あれ? Pさんに乃々ちゃん、どうしたの?」
P「…………」
乃々「…………」
P「……な」
44:
芽衣子「……な?」
P「……なんでも……ないよ」
乃々「……Pさん」
P「……言わなくていい」
乃々「今のウェイトレスさん、どう見ても……」
P「いいから!」
乃々「ま」
P「気のせいっ! 気のせいだからっ!」
「お待たせしましたぁ。ご飯とお味噌汁です。Pさん、お酒はビールでいいですかぁ?」
P「あ、アルコールは……え、遠慮するッス!」
「乃々ちゃんも、ご飯おかわりしたい時はいつでも呼んで下さいねぇ」
乃々「アッ、ハイ……」
P「…………」
乃々「…………」
芽衣子「? どうしたの二人共、なんか様子がおかしくない?」
P「キノセイ、キノセイです。キノセイダヨ?」
乃々「…………」
芽衣子「なんか急に挙動不審!? 何があったのっ!?」
P「…………」
乃々「…………」
「うふふ……」
45:
※ ※ ※ ※ ※
芽衣子「あー、美味しかった。いっぱい食べたねーっ」
P「おう。なんだかんだで結構食ったな……」
乃々「……ごちそうさまでした。美味しかったんですけど……」
「食後の温かいお茶をお持ちしましたぁ」
P「お、さんきゅ。悪いな、まゆ」(深く考えるのをやめた)
乃々「ありがとうございます、まゆさん」(受け入れた)
芽衣子「? ありがとうございます」
まゆ「うふ。後で一緒に内風呂に入りましょうね、Pさん」
P「いや、それはちょっと、流石に……」
乃々「どうせなら、もりくぼも含めて3人で入りたいって話ですか?」
P「違うよっ!?」
芽衣子「…………」
P「ああっ!? さっきから芽衣子の視線が痛いっ!?」
46:
47:
まゆ「仲良しですねぇ……。また他の女の子を増やすんですかぁ?」
乃々「Pさんのいつもの悪い癖なんですけど……」
P「人聞き悪っ! 君ら息ぴったりだなっ!」
芽衣子「…………」
P「その目やめてっ! 違うからっ! 本当にそういうんじゃないからっ!」
芽衣子(会ったばかりのウェイトレスさんまで、いつの間に……)
P「って感じの冷たい目やめてっ! 誤解だから!」
まゆ「うふ」
乃々「…………」
乃々(まゆさんはどうやってここまで来たんでしょうか……)
※ ※ ※ ※ ※
48:
食後 廊下にて
芽衣子「ふー。食べ過ぎたかもー。
この後は少しゆっくりしたいね。そっちの部屋にいってもいい?」
P「ん。問題ないぞ。しかし本当によく食ってたな」
芽衣子「えへへ。ちょっとリミッター外し過ぎちゃったかも」
P(昼間、俺らに弁当分けてくれるって言った時の、自称少食はやっぱり嘘だったんだよな……)
乃々「…………」
乃々(Pさんの目つきが変わったんですけど……)
乃々(ワンフォーオール、オールフォーワン。
Pさんはこういう子が大好きですからね……。仕方ないんですけど……)
乃々「…………」
乃々「この後の予定ってどうなってるんでしょうか……」
P「ん? そうだな……今日はもう自由時間だな。
お風呂は深夜の清掃時間以外開放されてるみたいだから、好きな時に好きなだけ入っていいみたいだぞ」
芽衣子「お部屋には内風呂もありますしね」にっこり。
P「ぐっ。笑顔で敬語はやめてっ!?」
乃々(まゆさんと結託して、つい親愛度は下げてしまいましたが……)
乃々「まぁ、なるようになりますよね……」
芽衣子「えっ。なんの話?」
乃々「こっちの話なんですけど」
芽衣子「こっち?」
乃々「Pさんのハーレム事情のお話です」
P「もりくぼォ!」
乃々(正妻ガードなんですけど……)
49:
※ ※ ※ ※ ※
カラオケルームにて
芽衣子「ここわぁーん、山頂のぉー、さぁーびぃすえりぃあぁぁ?♪」
P「選曲が渋いなー。
ていうか、ゆっくりしたいとか言いながら、あると知ったらいきなりカラオケかよ……」
乃々「おじいさん達が大盛り上がりなんですけど……」
P「あのペンライトはどこから持ってきたんだ……。
よし、乃々はアン◯ンマン◯ーチで対抗だっ!!」
乃々「なんでですかっ!?」
P「孫力を全開にするんだ!」
乃々「なんか字面が金色になる人っぽいんですけどっ!」
芽衣子・まゆ「えんかじゃ?ぁ、ねぇ?んだろぉ?♪」
乃々「デュエットしてるんですけどっ!?」
P「…………」
50:
※ ※ ※ ※ ※
旅館自室にて 就寝
P「乃々?電気消すぞー?……って何してるんだ?」
乃々「……日記をつけてるんですけど。すぐ終わるので待って下さい」ポチポチ
P「旅行のこと、ブログには上げられないぞ?」
乃々「個人的なやつなので安心して下さい……と、これでオッケーなんですけど」
P「よし。じゃあ、消灯?」
カチッ
P「…………」
乃々「…………」
P「…………」モゾ
乃々「……Pさん、あんまり動かないで欲しいんですけど。お布団の隙間から冷たい空気が入ってきます」
51:
P「…………」
P「……おう」
乃々「…………」
P「…………」
乃々「ん……」
P「…………」
乃々「やっぱりこうやって触れ合ってる方があたたかいですね……」
P「…………」
P「……そうだな」
…………
………
……
…
※ ※ ※ ※ ※
52:
チュンチュン…
バンッ!
芽衣子「おはよーっ! そろそろ朝ごはんだよーっ!」
P「むぅ……おはよぉ……。もう朝か……」
乃々「……寝足りないんですけど」
芽衣子「…………」
P「…………」
P「……ん? どうした芽衣子。硬直して……」
乃々「あふぅ……」
P「って、乃々っ。服っ! 浴衣が酷いことになってる! ちゃんと着ろっ!」
まゆ「ふぁ、つい寝過ぎましたねぇ」
P「まゆはいつの間に俺の布団にっ!? そして浴衣すら着てないっ!?」
まゆ「うふ。寝相が悪くて……」
P「寝ぼけ眼は可愛いけど! その脱げた浴衣はどこにあるんですかねぇ!?」
53:
芽衣子「…………」////
P「うん。これは誤解するね! 硬直もするよね!
とりあえず弁解の余地をいただきたいっ!」
まゆ「昨晩はお楽しみでしたよぉ……」
P「まゆは黙って!」
乃々「なんていうか、もう、フラグバッキバキですね……」
P「お陰さまでねっ!!」
乃々「ちなみにPさんも半裸なんですけど……」
P「マジかっ!?」
芽衣子「…………」////
※ ※ ※ ※ ※
54:
朝食後 バスの中にて
乃々「この後はどうするんですか? もうこのまま帰っちゃうんでしょうか……」
P「うーん。あとはバスで各所のお土産屋さんを回りつつ、よく分からない博物館や謎のモニュメントを見たりしながら、そのまま帰りの高に……って感じかな」
芽衣子「もうじきこのツアーも終わりかー。あっと言う間だったね。なんか寂しい」
P「まぁ、温泉メインのまったりツアーだからなー。二人とも堪能したか?」
乃々「手足がふやけるくらい入ったんですけど……」
芽衣子「うん、そうだね。乃々ちゃんやまゆちゃんとは、一緒に入って洗いっことかもしたし」
P「ほう!」
乃々「食いつかないで欲しいんですけど……」
芽衣子「ひとり旅もいいけど、やっぱり旅先で仲間ができると、ぐっと楽しくなるね」
乃々「……そうですね」
P「…………」
芽衣子「……それこそ……お別れが寂しくなるくらいに」ぽそ
乃々「…………」
P「…………」
芽衣子「…………」
乃々「…………」
乃々(ていうか、まゆさんがいつの間にか姿を消してたんですけど……。
どこに行ったんでしょうか……)
55:
※ ※ ※ ※ ※
どさっ。
芽衣子「わぁー。Pさん、お土産たくさん買ったね」
P「これでも大きいのは郵送の手続きしてきたんだけどな。
何せ数が多くて……、こっちのは輝子、小梅、美玲、幸子、あと美優さんに、木場さん、ちひろさん、
他にも有香の分、ゆかり、法子、響子の分、それから……」
芽衣子「…………」
乃々「…………」
乃々(お土産の数だけ芽衣子さんが自分を見る目が、稀代のたらし男になっていってるのに気付いてないんですけど……)
乃々(軽蔑通り越して、ちょっと悲しみと憐れみの混じった目に変わりつつあるんですけど!)
P「ん? 何か言ったか、乃々?」
乃々「……言ってないんですけど」
芽衣子「…………」
乃々「あ。芽衣子さん、みかん大福、一緒に食べませんか? 一箱開けたんですけど……」
芽衣子「わぁ、いいね。貰う貰う。
バスの発車まで少し時間あるし、自販機でお茶買ってくるよ」
乃々「そ、それは悪いんですけど……。もりくぼも一緒に……」
芽衣子「いいからいいから。バスの中で待ってて!」
P「ん。俺も行くよ」
芽衣子「!」
乃々「…………」
56:
※ ※ ※ ※ ※
ガコン
P「いち、にー、さん……と、ここから高にのったら先は長いから、ちょっと多めに買っておくか」
芽衣子「……う、うん。そうだね」
P「……なんか元気なくないか?
旅慣れてるとはいえ、さすがに疲れたか?」
芽衣子「そ、そうかな? うーん。もうすぐこの旅行も終わりだと思うと、ちょっとセンチメンタルな気分にねー」
P「なるほど。……ああ、そうだ。
これ、貰ってくれないか?」
芽衣子「えっ? 小ちゃな紙袋……これ、私に?」
P「おう。さっき寄った何とかっていう有名なデザイナーさんのジュエリー展?
そこの売店で売ってたパワーストーン的な置物だ。
そんな高いもんじゃないし、土産に持って帰って玄関にでも飾ってくれたら嬉しい」
芽衣子「そ、そんな……悪いよ」
57:
P「気にしない気にしない。乃々の面倒見てもらったりしたからな。そのお礼みたいなもんだ。
ちなみに乃々にも同じものを買ってあるぞ」
芽衣子「う……。それは自分も楽しかったし……男の人にプレゼント貰っちゃうと、その……」ごにょごにょ
P「荷物になって悪いとは思うけどな。そんなに重くはないだろ?」
芽衣子「それは大丈夫だけど……」
P「あと、中身見るのは帰ってからにしてくれよ。
深い意味はないけど、なんか照れ臭いからさ」
芽衣子「う、うん……。わかった……」
P「よーし。乃々が待ってるし、バスに戻るぞー。
こんな所に置いていかれたらシャレにならん」
芽衣子「…………」
芽衣子「……なんだかなー。調子が狂うっていうか……。
今まではこんなことなかったのに……なんで私……」
P「おーい。置いてかれるぞー?」
芽衣子「ま、待って。今行くからっ!」
※ ※ ※ ※ ※
58:
2時間後
P「乃々、乃々。起きろ乃々……」
乃々「ふがっ……?」
P「バスが駅に着いたぞ。降りて解散。
ここから俺達は電車だな」
乃々「ばす……?」
芽衣子「乃々ちゃん起きた?」
P「起きたよ。例によって寝ぼけてるけどな」
乃々「んむぅ……」
P「仕方ない。よっと!」
乃々「??」
芽衣子「わ。お姫様抱っこ!」
P「周りに迷惑は掛けられないからな。とりあえずこのまま降りちゃおう」
乃々「な、なんですか? 何が起こったんですか?」
P「はいはーい。じっとしてろ。暴れるなー」
乃々「恥ずかしいんですけどっ!?」
芽衣子「…………」
芽衣子「……いいなぁ」
芽衣子「……って何言ってるんだか」
※ ※ ※ ※ ※
59:
P「ほい。もりくぼ着陸っと」
乃々「うう?。辱しめられたんですけど……」
芽衣子「おつかれー。着いちゃったねー」
P「……そうだな」
芽衣子「よし。あんまり居ても名残惜しくなるだけだし、私はこれで!」
P「あれ? バスのトランクには荷物積んでないんだっけ?
今から下ろすみたいだけど……」
芽衣子「うん。最低限の荷物しか持ち歩いてないからね。このショルダーバッグだけ。
あとは勇気と直感と度胸でなんとか!」
P「逞しいなぁ……」
芽衣子「じゃ、Pさん! 乃々ちゃん! 楽しかったよ!
また、縁があればどこかでっ!」
P「……おう! また会えることを祈ってるよ!」
乃々「……楽しかったです」
芽衣子「ばいばーい!」タッタッタッ
P「…………」
乃々「…………」
※ ※ ※ ※ ※
60:
芽衣子「ふぅ、思わず走って来ちゃった……。
あのまま残ってたら、ますます別れにくくなりそうだったから……」
芽衣子「…………」
芽衣子「いつもはこんなことないんだけどなー?」
芽衣子「…………」
芽衣子「あ、そうだ。Pさんにお土産貰ったんだよね。
帰ってから開けろって言われたけど、もう本人いないし、開けても大丈夫だよね?」
芽衣子「…………」
芽衣子「えーっと……あれ?」
ピラッ
芽衣子「なんか箱に紙が挟まってる。……これは?」
芽衣子「…………」
芽衣子「…………!?」
※ ※ ※ ※ ※
61:
P「…………」
乃々「走って行っちゃいましたね……」
P「…………」
乃々「呼び止めなくて……スカウトしなくて良かったんですか?」
P「……ん?。したくなかったわけじゃないけどな……」
乃々「…………」
乃々「じゃあ……追いかけましょう」
P「乃々?」
乃々「私に気を遣ってるのなら、もう大丈夫ですよ。
帰るまでが旅行ですが、メインのイベントは終了しましたし、これ以上私のワガママに付き合う必要はありません」
P「ワガママだなんて、そんな……」
乃々「それに今は……むしろあのお姉さんと一緒にお仕事をしてみたいとさえ思っています」
P「!!」
乃々「だから……追い掛けてあげて下さい。きっとあの人……芽衣子さんもそれを望んでくれてるはずです」
P「乃々……」
62:
乃々「これは正妻の余裕です。正妻の余裕ですが……」
P「乃々……?」
乃々「許してあげるのはアイドルとしてのスカウトだけですよ?
恋愛的な意味で浮気をしたら……制裁余裕なんですけど!」
P「お、おう!? い、いえっさー!」
バスガイド「ぎゃああああぁぁぁっ!?」
まゆ「まゆですよぉ」
乃々「なんか後ろでバスのトランクから、まゆさんが出てきてバスガイドさんが悲鳴をあげてますが、気にせず行って下さい」
P「めっちゃ、気になるんですが、それは」
乃々「気にしないで下さい」
まゆ「原作リスペクトですよぉ」
乃々・P「なんのっ!?」
まゆ「ガソリンが漏れ出してきたら身を呈して塞ぐ覚悟でした」
P「ネタが分かりにくいっ!
じゃ、じゃあ、まぁ、行ってくるわ!
今から行って会えるかどうか分からんけどな!」
63:
乃々「はい。行ってきて下さい。って……あれ?」
まゆ「乃々ちゃんは甘いですねぇ。……あら?」
P「うん? 二人ともどうしたんだ? 俺の後ろ? ……あれ?」
芽衣子「…………」はぁはぁ
P「あれ? 芽衣子? 走って帰ったんじゃあ……」
芽衣子「これ! どういうことっ!?」ぴっ!
P「あっ」
乃々「何ですかその紙切れ……名刺?」
芽衣子「Pさんがくれたお土産の中に入ってたんだけどっ!
えっ、何っ? アイドルのプロデューサーさんだったのっ!?」
P「帰る前に見ちゃったか……。まぁ、そう……ですよ?」
芽衣子「大量に女の子を囲ってる最低なナンパ野郎じゃなくてっ?」
P「えっ!? 俺、そこまで評価低かったのっ!?」
乃々(完全に誤解ではないんですけど……)
芽衣子「な、なんで言ってくれなかったの!」
P「いやまぁ、オフだったし……」
芽衣子「じゃあ、これは……私への贈り物に、この名刺が入ってた意味はっ!?」
64:
P「…………」
乃々「…………」
まゆ「…………」
P「あー、こほん」
芽衣子「…………」
P「並木芽衣子さん、あなた、アイドルに興味は…」
芽衣子「ありますっ!」
P「おう!? 食い気味でっ!?」
芽衣子「興味はありますっ!」
芽衣子(アイドルにも、あなた達にも、あなたにも……)
P「えーっと、一歩踏み出してみませんか的な説得をしたかったんですが……」
芽衣子「興味があるのでお話聞かせて下さい! ていうか、やっぱお互い敬語はなしね!
話、聞かせてっ!!」
65:
P「……ここまで、ぐいぐいくる娘は珍しいな……」チラッ
まゆ「…………」
芽衣子「アイドルって色んな所に行ってお仕事するんだよね。
楽しそうだし、私向きかも!」
P「……言われてみればそうだな」
乃々「…………」
芽衣子「実は実家の方でお仕事してるんだけどね。もう、さくっと辞めて上京するよ!」
P「待って! 恐ろしい度で話を進めないで。
話を聞かせてって流れすら置いてかれてる!」
まゆ「押しが強いですねぇ……」
乃々「意外と積極的なんですけど……」
P「お前らが言うなっ!」
66:
芽衣子「うん! 楽しくなってきた!
東京でのお家が見つかるまでは、しばらくPさん家にお邪魔するね?」
P「なんで!? 普通に考えてダメだよね?」
乃々「普通の感覚が残ってたんですね」
P「乃々はちょっと黙ってて!
いや、だからね! 若い女の子が男の家に転がり込むなんて言語道…」
芽衣子「けど、Pさんに拒否権はないよっ」
P「へ? なんで?」
芽衣子「卓球勝負! 負けた方は勝った方の言うことを……?」
P「……なんでも聞く」
芽衣子「正解!」
P「ええーっ。ここであれを持ち出してくるのかっ!?」
芽衣子「面白くなりそうだね!」
まゆ「面白くないですねぇ……」
乃々「まぁ、諦めた方が良さそうなんですけど……」
まゆ「……乃々ちゃん、ちょっと楽しそう?」
乃々「……どうですかね?」
67:
P「いや……けどなぁ……」
芽衣子「乃々ちゃん、これからよろしくねっ!」
乃々「…………」
乃々「……はい。ふふ」
芽衣子「お姉ちゃん、って呼んでくれてもいいよ! 予行練習的な意味で!」
乃々「それはお断りするんですけど」
芽衣子「ざんねん!」
「あ、あのー……?」
「す、すまないんじゃが……」
乃々「え? バスに一緒に乗ってたおじいさんとおばあさん?
みんな揃いも揃って、今度はなんなんですか?」
老夫婦一同『森久保乃々ちゃんのサインは貰えんかね?』
乃々「…………」
乃々「バレてたんですけどっ!」
68:
P「やっぱりか……」
まゆ「最近はご年配の方のほうがテレビを見ますからねぇ……」
乃々「囲まれたんですけど! 逃げ場なく囲まれたんですけどっ!
助けて欲しいんですけど!」
P「じゃあ、芽衣子とはとりあえず喫茶店にでも入って話をしよっか」
芽衣子「おっけー!」
まゆ「…………」
乃々「置いていかないで欲しいんですけどぉ! 見捨てないで欲しいんですけどぉ!」
その後、宣言通り仕事を辞めた芽衣子は、すぐさま上京。
アイドル見習いとして活動を始めることとなる。
そしてしばらくの間、P宅玄関には同じデザインのパワーストーンの置物が2つ並ぶことにもなるが……それはまた別のお話。
あい◯りからテラ◯ハウスへエンド。
69:
おまけ。
もりくぼ旅行記
Pさんと二人きりの旅行です。
きっとアダルティな展開にもなるに違いありません。
今から、わくわくします。
休憩中、みんなが出て行ったバスの中で
興奮したお猿さん(意味深)に襲われました。
必死に抵抗したけど、もりくぼは無力で、ついには奪われてしまいました。
不覚です。
Pさんには抵抗するんじゃないと言われ、少し怒られました。
反省。
そうですよね。抵抗なんてしちゃだめですよね。
今後は言うことをきいて、絶対抵抗したりしないので、嫌いにならないで欲しいです。
70:
旅館に着きました。
お風呂にはきっと一人で入ることになるんだろうな、と思っていたんですが、色々あって二人で入ることができました。
ちょっと恥ずかしかったけど、楽しかったです。
お風呂上がり、汗だくでプレイ中のPさんを、お兄ちゃんって呼んでみたら、凄く喜んでくれました。
そういう趣味があったんですね。
その後は食事です。夜に備えて体力をつけようと、たくさん食べました。
とても美味しかったです。
そして、ご飯を食べた後、密室でPさんに無理やり……いえ、何でもありません。
ただ、さすがにあれは、ちょっと恥ずかしかった、とだけ書き残しておきます。
お部屋は二人でひとつ。今からお布団に入ります。
まだまだ色々書きたいことはありますが、せっかちなPさんが電気を消そうとしているので、ここまでにしておきますね。
それでは、ちひろさんも、良い夜を。
71:
乃々(送信、っと)
P「よし。じゃあ、消灯?」
カチッ
乃々「定時報告ってこんな感じで良かったんでしょうか?」
P「……ん? 何か言ったか?」
乃々「いえ、何も言ってないんですけど」
千川ちひろ「アアアアアアアアッッッッ!!
こぉのっ! バカップルがぁぁぁっっっ!!」
なお、ちひろの命でまゆが撮影していた映像作品、「ぼののといっしょ。四国旅行編」は公式サイト限定販売にもかかわらず異例の売れ行きをみせ、荒んだちひろの心と財布を潤したという。
おしまい。
72:
長々と失礼しました。
ちなみに、ガードレールのない道ですれ違うバスと、弁当をめぐりバスの中で猿と争う少女と、その背後に隠れるバスガイドは、実話です。
あと、あい◯りもテラス◯ウスも、まともに見たことはありません。
すみません。
73:
続き・詳細・画像をみる
【悲報】「君の名は。」また映画界から微妙な扱いを受ける
蘭子「芳乃ちゃんが闇に飲まれた」
モバP「アイドルに慰められたい」
東急広告「ヒールが似合う人がいた 美しく座る人だっだ」 ← 難癖クレーマーで大炎上
ルビィ「今日は花陽ちゃんのお誕生日!」
ガラガラヘビ(体長1.5m)の一年間の食事内用が予想に反して凄かった!
はじめての誕生日パーティ。サプライズが過ぎて泣き出す赤ん坊w
バイトしてる会社の社長にマッサージを1時間したら1万円貰った。今後も週2回で頼まれたけどありえない話?
【スプートニク】NOトランプ! 抗議の参加手当て額をマスコミがすっぱ抜き
善子「リリーがいつの間にか千歌を性奴隷にしてた……」
ゲームの選択肢は「はい」と「いいえ」のみにするべき
善子「リリーがいつの間にか千歌を性奴隷にしてた……」
back ▲ 過去ログ 削除依頼&連絡先