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男「俺が坦々麺を食うだけの話」


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俺は坦々麺が好きだ。
といっても坦々麺にはちょっとうるさいとか、
有名な店は欠かさずチェックしているとか、そういうことはない。
「通」だとか「玄人」だとかでは全くなく、あくまでただの「好き」である。
好きなわりに、日常生活の上で坦々麺を食べる機会はなかなか巡ってこない。
自宅の近くには中華料理屋はないし、勤務先の近くには中華料理屋自体はあるのだが、
坦々麺はやっていないのだ。
また俺自身、一つの料理のためにどこかに出かけることをするタイプでもない。
なので、出かけた先で食事時になり、たまたま坦々麺をやっている店を見つけた時などは、
ほぼ必ず食べることにしている。
そういった意味では、やはり俺にとっては特別な料理の一つといえるかもしれない。
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2: 以下、
この日、俺は免許証の更新を終えていた。
あとは家に帰るだけなのだが、この日訪れた地域はそれこそ免許の更新なんて用事でもない限り、
まず訪れることはないであろう場所だった。
すぐに帰るのもなんだかもったいないと思い、俺は駅の近くをぶらぶらと歩いていた。
歩いていると、お腹が空いてきた。そういえばまだ昼を食べていない。
そんな時、一軒の中華料理屋が目に入った。
店の前にある看板には、幸いにも「坦々麺」の文字。
俺はこの店に入ることにした。
3: 以下、
ランチタイムから時間は外れていたので、店内には客が二人いるだけだった。
「いらっしゃいませー」
カタコトの日本語でしゃべる店員さんに案内され、席につく。
お冷やがテーブルに置かれる。
「お決まりになりましたら、お呼び下さい」
「はい」
とはいえ、頼むものはもう決まってるのだが。
俺はメニューをペラペラとめくり、悩むふりをしてから、店員さんを呼ぼうとした。
4: 以下、
ここでふと、「ライス」が目に入る。
危険な誘惑。
坦々麺は800円であり、ライスは200円。坦々麺はセットメニューなどはないようで、
坦々麺ライスにしてしまうと1000円になってしまう。
たかが免許の更新程度のお出かけで、1000円ランチを食うというのは抵抗がある。
しかも、いわゆるラーメンライスなるものが、あまり体によろしくないということは
俺も重々承知している。
二つの意味で、ここでライスを頼むのはまずい。
財布のためにも、健康のためにも、ここは坦々麺だけで済ますべきだ。
5: 以下、
その時、心の中からこんな声が聞こえていた。
「カイジ君……下手っぴさ……。欲望の解放の仕方が下手……。
 本当は坦々麺ライスにしたいのに、坦々麺単品で頼むなんて……。
 800円と1000円なんてたった200円の差……。
 飲み物を二本も我慢すればお釣りがくるじゃないか……。
 それに健康のためにというけど、もしここで下手に我慢してしまったら、
 そのストレスでかえって健康を損なってしまうんじゃないのかい……?
 なあにご飯一杯分のカロリーなんて、あとで腕立て伏せでもすればチャラ……。
 贅沢は……小出しじゃ駄目っ……!」
俺はカイジでもなんでもない(ついでにいうと名字も伊藤じゃない)のだが、
なぜか漫画『カイジ』に登場する「班長」の声が完璧に脳内再生された。
俺は自分自身が生み出した「班長」に逆らうことができなかった。
6: 以下、
店員さんを呼ぶ。
「坦々麺と……ライスを」
「ライスは無料で大盛りにできますが、どうしますかー?」
無料なら、もらっといた方がいい。
庶民の悲しきサガ。
「大盛りで」
7: 以下、
注文を済ませると、俺は読みかけだった小説を読む。
エリート銀行員が殺されるという筋書きのためか、やたらと金融業界のウンチクが続く。
本筋にもあまり関係なさそうだし、つい飛ばし読みになってしまう。
「このウンチク、何ページ続くんだよ」
少々辟易してきた頃に、お待ちかねの坦々麺とライスがやってきた。
俺は本をカバンにしまった。
8: 以下、
大きい器の中に、見るからに辛そうな赤くエネルギッシュなスープ。
ラーメンよりはやや太めの麺。
麺の上には、豚肉のそぼろ、ザーサイ、小松菜、ネギが乗せられている。
湯気とともに食欲をそそる香りがたちこめる。
うまそう、という感想しか出てこない。
「ごゆっくりどうぞー」
俺は会釈すると、箸を手に取った。
9: 以下、
とりあえず、まずはスープを味わってみる。
辛い。が、うまい。
癖になる辛さというやつだ。
もう一口。
おお、うまい。
坦々麺の赤い汁が全身に染み渡り、俺の体まで赤く染まっていくかのようだ。
ほっと一息ついたところで、いよいよ麺に挑むことにした。
10: 以下、
麺を勢いよくすする。
辛みを帯びたコシのある麺をある程度口に入れると、咀嚼する。
噛むたびに熱とうま味が広がる。
うまい。うますぎる。
俺は目をつぶり、今の感激を噛みしめた。
大げさでなく、生きててよかった。
11: 以下、
さあ、次はそぼろやネギを絡めて、もう一度麺をいただく。
ずるるっ。
かぁ?、うまい。
豚肉のそぼろのボソボソ感とネギのシャキシャキ感が、麺のうまさを一層引き立てる。
これらを飲み込んだ後、余韻が残るうちにライスをかき込む。
辛みが残る口の中に、米の甘みが広がる。
坦々麺ライスにしてよかった、と俺は心から思った。
12: 以下、
全身から汗が噴き出す。
鼻の下に汗の玉が出来ているのが分かる。
だが不快さはない。むしろ心地よい。
ザーサイをかじる。
汁がたっぷり染み込んだザーサイは、そのシャキッとした歯ごたえとともに、
まさに一種の清涼剤のような風格を漂わせていた。
小松菜もいい味だ。
そして、コップに入った水をゴキュッと飲む。
ぷはーっ。
ただの水なのに、ただの水のくせに、めちゃくちゃうまい。感動をありがとう、ただの水。
お冷やをおかわりして、上着を脱いで、さあ後半戦突入だ。
13: 以下、
箸とレンゲが止まらない。
麺をすすり、スープを飲み、ご飯をかき込み、時々野菜をかじる。
ご飯と麺、どちらをフィニッシュにするか、少し迷ったが、ご飯を平らげてから麺を全部食べた。
さて、残るはスープ。
健康を考えるなら、スープは残すべきだが――
ここで再び班長のささやき。
俺はスープを飲み干した。
ごちそうさまでした。
14: ◆oxhurt84Iw 2016/12/22(木) 20:46:36.87 ID:i7pR/GRDo
財布から野口英世を一枚出し、店員さんの挨拶を背に、俺は店の外に出た。
まだ体に残る汗が風で冷やされ、俺は肌寒さを感じた。
だが、気持ちいい。
なんという充実感だろうか。
なんという達成感だろうか。
大げさでなく、生きててよかった。
「さ、帰るか」
次、坦々麺を食う機会はいつ訪れるのかな、などと考えつつ俺は家路についた。
― 完 ―
15: 以下、
なんとなく好き、乙です
16: 以下、

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