曜「私と魔法使い」back

曜「私と魔法使い」


続き・詳細・画像をみる


ある村に渡辺曜という元気で活発な娘がいました。曜は働き者で食べる事が大好きな普通の女の子です。
曜はダイヤ、善子、梨子という3人の友達とともに暮らしています。家計はそれほど余裕はありませんが、4人で協力しながら楽しい生活を送っていました。
ある日、村の中であるニュースが広まり、話題になりました。その内容は、都で舞闘会が行われ優勝者は現チャンピオンと戦う事ができる。そしてチャンピオンを打ち負かすと都の要職に就くことができるというものでした。
善子「ちょっと聞いた?」
梨子「聞いたよ。村中がこの話題で持ちきりだよね」
ダイヤ「まあ非力なわたくしたちには関係のない話ですわ。…都会で働けるのは少々魅力的ですが」
曜「楽しそうだねー!よーし頑張るぞー!ヨーソロー!!」
善子梨子ダイヤ「!」
2:
3人は忘れていました。勝負事が大好きで運動神経も良い曜の事を。
すっかりやる気の曜に問い詰めます。
善子「曜、あなた出るの?」
曜「もちろん!こんな村じゃ面白い事なーんにもないし」
梨子「良いんじゃない?曜ちゃんなら優勝できそう」
曜「へへっ、そう?負けるつもりはないけどね!」
ダイヤ「ちょっと待つのですわ!」
善子と梨子は曜の出場に異論はありませんでしたが、ここで待ったをかけたのは最年長のダイヤです。
ダイヤは梨子と善子に耳打ちします。
4:
ダイヤ(あなた方、よく考えてください)
善子(何をよ)
ダイヤ(曜さんが出場したとして、万が一チャンピオンに勝ってしまったらどうなりますか?)
梨子(どうなるって…あっ)
善子(え?)
梨子(曜ちゃんが、ここからいなくなっちゃう)
ダイヤ(そうですわ!曜さんは都会で働くことになってしまうのでこの家を出ていくことになってしまいます)
善子(そうだとしたらヤバイじゃない!家は曜が精一杯働いてくれるからもっているのに!)
ダイヤ(そういうことです。だから曜さんを出場させてはいけません)
6:
梨子(なるほど、曜ちゃんには悪いけど何か対策を考えなきゃいけないね)
ダイヤ(ええ、ではその対策ですが…)
曜「ねーねー何話してるの?私にも聞かせてよ!」
善子梨子ダイヤ「ダメ(ですわ)!」
曜「な、何で?ケチ…」
突然内緒話を始めた3人。あぶれた曜は不満そうです。しかし、3分も経てばお腹へったなーと食料を探しに外に出ていきました。
これからおそろしい事が起こるとも知らずに。
7:
数日後、舞闘会当日
曜は朝のトレーニングのためにいつも早く起きます。走りに行こうとスポーツウェアに着替えようとタンスを開きました。
曜「あれ?」
タンスを開いてもスポーツウェアはおろか、靴下も鉄アレイも、運動に関わるものは一つもありませんでした。
曜「ま、いっか。スウェットでも走れるし」
気を取り直して玄関に向かいます。
曜「ええっ!靴も無い…」
いくら探してもスニーカーは一足も無く、あったのは木でできた靴の1足のみ。とても走るのには適しません。
曜「何だよ、走れないじゃん…」
とりあえず今日は諦めよう。そう思い、せめてプロテインでも飲もうと冷蔵庫を開きます
8:
曜「はは、やっぱりないよね…」
予想通り、特別に作ったプロテインはボトルごと消えていました。
ダイヤ「おはようございます」
曜「あ!ダイヤさん、私のスポーツウェアとか知りませんか?」
ダイヤ「知らないですわ」
知らないわけありません。隠したのは3人の友人たちなのですから。
ダイヤ「それより曜さん、今日はこの仕事をこなしておいてくださいますか?」
曜「へ?」
ダイヤが渡した紙には家事や畑、家畜の世話など仕事がびっちりと書かれた紙でした。その量の多さに曜は目を見開きます。
9:
曜「こ、こんなに無理ですよ!それに私舞闘会が…」
ダイヤ「や れ ま す よ ね !?」
曜「はい…」
ダイヤを怒らせると面倒くさいのを曜はよく知っています。だから渋々聞き入れる事にしました。
善子「おはよ」
梨子「おはよう」
他の二人も起きてきました。4人揃ったら朝食が始まります。
曜(もやもやするけど、ご飯を食べて切り替えよう)
善子「はい、あんたの分」
10:
曜「え…これだけ…?」
渡されたのはパン一つとスープのみ。普段ご飯を3杯、卵3個分の目玉焼きをたいらげる曜にはとてもじゃないけど足りません
曜「ちょっと!さっきから私何かしたの!?」
温厚な曜もさすがに堪忍袋の緒が切れました
ダイヤ「正直曜さんは食べ過ぎですわ。家計が余裕が無いのに、あなたの食費が嵩んでおりますのよ」
曜「だからって…」
ダイヤ「いらないなら下げますわよ?」
曜「いります!いりますからっ!」
11:
食べないよりは良いだろうと手をつけますが、あっという間に無くなってしまいました。お腹は1分目にも達しておらず、空腹が曜を襲います。
梨子善子ダイヤ(ごめんね…)
3人とも何も曜の事が嫌いなわけではないのです。ただ、これからの生活を考えたらそうせざるを得なかっただけ。スポーツウェアを隠したのも食事を減らしたのも少しでも曜の意欲を削ぐためでした。しかし、しょんぼりする曜を見ると胸が痛みます。
朝食の後、曜はダイヤから言われた仕事をしに行きました。朝からそんな仕打ちをされて本当はやりたくなかったのですが、引き受けたものは仕方がありません。それにやらなければダイヤが面倒くさいのです。
12:
いくつもの仕事をこなしているとあっという間に夕方になりました。舞闘会は夜の7時から。都までは馬車で2時間はかかるのでそろそろ出なければ間に合いません。
ダイヤ「曜さん、仕事は終わりましたか?」
曜「まだです…」
ダイヤ「そうですか。では、舞闘会には参加できませんね」
曜「うう…」
ダイヤ「わたくしたちは見学に行ってきますから帰るまでにちゃんと全て終わらせておいてくださいね」
曜「はい…」
見学なんて嘘です。万が一曜が都に来てしまった時に追い払うために三人は都に乗り出すのです。
そうとも知らず、曜は少しでも参加するために余った仕事をやり続けるのでした。
13:
曜「うう、終わらないよ…」
ぐぅ?
曜「お腹、減ったなぁ…」
時刻はもう夕方の5時を経過していました。
曜「もう無理かなぁ…」ジワ
曜は悲しくて空腹で泣きそうになりました。その時です。
「Good evening!!ピザ屋デ-ス♪」
14:
曜「!? 誰?ピザなんて頼んでないし、この村にピザ屋なんて無いよね?」
曜「とりあえず、出てみよう…」
曜「あの、ウチはピザなんて頼んでませんが…」ガチャ
??「失礼しまーす♪マリーピザです♪ちょっと入るわね!」
曜「えっ!ちょっ困りますよっ!」
ピザ屋と名乗るその女は勝手に家の中に入ってきました。曜は慌てて押し返します。
曜「不法侵入ですよ!警察に言いに行きますよ!」
??「あら?別に突き出しても構わないけど、あなたお腹減ってるんじゃない?」
15:
曜「え…」
??「ほーら美味しいピザがこんなにあるのよ?」
曜「ゴクッ…」
その女が開いた箱の中には定番のマルゲリータはもちろん、シーフード、照り焼きチキン、何種類ものチーズが載ったもの等、様々なピザがありました。
曜「食べて良いの?」
??「良いわよ♪どうぞ召し上がれ♪」
曜「お金取らない?」
??「取らないわ、早く食べないと冷めちゃうわよ?」
曜「い、いただきます!」
16:
勢いよく曜は食べ始めました。朝から胃袋の中は空っからだったので温かいピザが身に染みます。
予想外の優しさに触れ、曜はまた泣きそうになってしまいました。
??「そんなに掻き込んで食べたら胃がもたれちゃうわよ」フフ
曜「…ありがとう。ありがとう」グスッ
幸せそうに食べる曜の姿を見てその女も満足そうです。曜は泣きながらピザを5枚もたいらげました。
17:
曜「ふぅ…美味しかった!」
??「そう、それなら良かったわ♪」
曜「本当にありがとう…えっと、名前は?」
鞠莉「マリー!マリーって呼んで♪」
曜「鞠莉ちゃん」
鞠莉「マリー!」
曜「鞠莉ちゃん!」
鞠莉「……あなたって結構頑固なのね」
曜「へへ…私の事は曜って呼んでね」
鞠莉「曜、曜ね。良い名前じゃない」
曜は鞠莉を見ます。綺麗なふわりとした金色の髪、髪色と同じ色の瞳、優しさを孕んだ大人びた表情
お姫様みたいだと思いました
18:
曜「鞠莉ちゃんは何で私の所に来たの?」
鞠莉「あっそうだったわ!本題に入らなきゃ」
鞠莉「曜は舞闘会に出たいんでしょう?」
曜「うん…でも、スポーツウェアも靴も何もかも取られちゃって出られないんだ。もう時間も時間だし…」
鞠莉「その願い、叶えてあげましょうか?」
曜「えっ…できるの?」
鞠莉「Yes!だってマリーは魔法使いですもの♪」
曜「…本当かなぁ」
鞠莉「んまっ!疑ってるのね!じゃあ何かしてほしいことを言いなさい?」
19:
曜は鞠莉が魔法使いと聞いても全く信じることができませんでした。しかしまあ話のネタとしては面白いかもしれないと思い、付き合うことにしました。
曜「じゃあ、残った仕事を片付けてほしいな」
鞠莉「仕事?どんなのがあるの?」
曜「ここに書かれてるんだけど…」
曜はダイヤから渡された紙を見せます
鞠莉「OK♪そんなのアサメシマエよ!シャイニー☆」
鞠莉が杖をその紙にかざし、シャイニーと唱えると周りのものが自動で動き始めました
洗濯物は自動で畳まれ、収納され、台所もどんどん片付いていきます
20:
曜「えっ?えっ?」
曜は目の前で起こっている現象が信じられませんでした。そして、3分もしないうちに仕事は全て終わっていました。
鞠莉「ふふん、どうどう?これで信じてくれた?」
曜「す、すごいや!魔法使いって本当にいたんだ!」
鞠莉「イエース♪ね、この調子であなたを舞闘会に行けるようにしてあげる!」
曜「う、うん!」
鞠莉「まずはその服ね、シャイニー☆」
服に杖をかざすとたちまちただのスウェットが一流アスリートが使うウェアに変化しました。
曜「うわあ…」
曜はその肌触りに感動します。それは自分が使っていたものよりも何倍も良い材質でできていました
21:
鞠莉「舞闘会と言うことは戦うのよね?じゃあサポーターとマウスピースも必要ね♪」
鞠莉はポンポンと必要な道具を出していきます。その早さと不思議さに曜は目をひかれていました。
曜「でも鞠莉ちゃん、もう時間が…」
時計を見ると5時30分を過ぎていました。都までは最低2時間かかるのでもう間に合いません。
鞠莉「なーに言ってるの!30分もあれば余裕で着くわよ」
曜「またまた?、ウチには馬車も何もないんだよ?そんな訳…」
鞠莉「……」キョロキョロ
曜「鞠莉ちゃん?」
鞠莉「良い船があるわね」
22:
鞠莉が指差したのは部屋に飾られている船の模型でした。一生懸命働いて買い何日もかけて組み立てた立派なものです
曜「こ、これはダメ!」
曜は船の前に立ち塞がります。これは唯一の宝物、簡単に渡すことはできません
鞠莉「曜は舞闘会に出たくないの?」
曜「出たいよ…出たいけど」
鞠莉「大丈夫、一定の時間が経ったら元に戻るから」
曜「そうなの?」
鞠莉「ええ」
曜「あ、でもさっき片付けてくれた仕事は…?」
鞠莉「あれは戻さないようにしといてあげるわ♪」
曜「っ…!鞠莉ちゃん!」ギュッ
23:
曜は鞠莉の優しさに胸がいっぱいになりました。初対面なのにこんなに色々してもらって感謝してもしきれません
鞠莉が船に杖をかざすと、それはそうな自動車に変化しました
曜「何だこれ…」
鞠莉「さ、行くわよ!乗って!」
鞠莉に連れられてやっと都に向かって出発できた曜。
車は自動で運転され、ビュンビュンと風を切り、ものすごいスピードで進んでいきます
曜「いい!楽しいねぇこれ!」
鞠莉「そうね♪」
24:
ぐぎゅるるる…
曜「あはは、また鳴っちゃった…」
鞠莉「さっきあんなにピザ食べたのに」
曜「私、人よりたくさん食べちゃうんだよね…」
鞠莉「もう、仕方がないわね、何が食べたいの?」
曜「…ハンバーグ」
家計の都合上頻繁には食べられませんがハンバーグは曜の大好物です。
鞠莉「ハンバーグね、はいどうぞ♪」ポンッ
鞠莉はいとも簡単に鉄板で焼かれたハンバーグを出して見せました。
曜はそれにかぶりつきます。
ナイフを入れると肉汁が溢れ、上にかかったチーズはとろとろで、口に含むとその柔らかさと芳醇な肉の味に曜は感動しました
25:
曜「美味しい…こんなハンバーグ食べたこと無いや…!」
鞠莉「ふふっ」
ハンバーグを食べ終え、しばらく鞠莉とたくさんの事を話しました。
善子、梨子、ダイヤの事、毎日の仕事の事、村の事、、鞠莉は聞くのが上手で話が尽きません
曜は舞闘会なぞより鞠莉と話していたいなと思い始めていました
26:
曜「何か、鞠莉ちゃんと話してる方が楽しいな」
鞠莉「私も曜とおしゃべりするの楽しいわ♪」
曜「舞闘会出るの止めようかな…」
鞠莉「……」
鞠莉「ダーメ♪一生懸命頑張ってきなさい♪」
曜「うん…」
曜「ね、鞠莉ちゃんは初対面の私にどうしてこんなに優しくしてくれるの?」
27:
鞠莉「…初対面じゃないのよ」
曜「え?」
鞠莉「私が一方的に知ってただけだけどね」
曜「どういうこと?」
鞠莉「数ヵ月前に高飛び込みの大会が行われたの覚えてるかしら?」
曜「ああ、あれ?私出てたんだよ!」
鞠莉「ええ。偶然そこを通りかかってあなたの演技を見たの。高飛び込みの事はよく分からないけど、素晴らしかったわ」
曜「そ、そうなんだ…ありがと」
鞠莉「それからあなたのファンになっちゃったの。応援してる人が困ってたら助けてあげたいじゃない?」
曜「そっかぁ、うん、嬉しい」
予想外の答えに曜は心が温かくなるのを感じました
これほど応援してくれているのだったら頑張らない訳にはいきません
28:
そうこうしているとあっという間に都に到着していました。
もう鞠莉とはお別れです。それを実感し、曜は非常に寂しく思いました
鞠莉「曜、タイムリミットは24時。これを過ぎたら服とか全て元に戻っちゃうからそれより前に出てくること!」
曜「うん…」
鞠莉「あと、これは魔法じゃなくてあなたへのプレゼント」
曜「これは…」
それは靴でした。軽くて通気性の良い、スポーツシューズです
鞠莉「頑張っていらっしゃい。曜ならできるわ」
鞠莉が頭を撫でます。その手つきは穏やかで離れたくないと思ってしまいます
曜「また、会えるよね」
鞠莉「会えるわよ、必ずね」
29:
寂しいし離れたくないけれど、鞠莉の優しさを無駄にはできません。曜は決意しました
曜「じゃあ行ってきます!」
そう言うと勢いよく車を飛び出し、会場に向けて駆けていきました
鞠莉「チャオ?♪ファイトよ!曜!」
鞠莉は曜の姿が見えなくなるまで手を振り、見送ります。そして、姿が見えなくなると元来た道を引き返していきました
30:
舞闘会の会場にはあの三人が見張りをしていました。
曜はそれをいとも簡単にすり抜けます。いや、すり抜けると言うよりは三人とも気づかなかったのです。
それもそのはず、三人は来るとしても曜はスウェットと木の靴で来ると思い込んでいるからです。
曜はエントリーを済ませ、出番を待ちました。
それから数試合を行いましたが連戦連勝。するすると勝ち進み、曜は優勝者になりチャンピオンに挑む権利を得ることができました。
曜(鞠莉ちゃんのおかげだよ…)
31:
善子「ね、あれ曜じゃない!?」
ダイヤ「なぜ!なぜ曜さんがここにいるのですか!?」
ようやく三人も気づきましたが後の祭り、曜はリングの上でチャンピオンの登場を今か今かと待っています。
ファンファーレが鳴ると大きな扉が開かれました。チャンピオンのお出ましです
果南「さーて、今年の挑戦者は強いのかな?」
チャンピオン、果南。通称グレートカナン
抱え込みからの投げ技が得意な根っからのファイターです。ここ3年は玉座を守っている強者で、あふれでるオーラも凄まじいものでした。
32:
曜「っ…!」
曜も今までの相手とは違う雰囲気を感じとります。これは本気で挑まないとすぐにダウンを取られると。
曜(大丈夫、私にはスピードがある、それに、鞠莉ちゃんも応援してくれてるんだ!)
ゴングが高らかに鳴り響き、試合が始まりました。
両者ともまずは間合いをとります
曜(攻めなきゃ負ける!)
攻撃を仕掛けたのは曜でした。常人には見えない程のスピードで動きまわり、的確にジャブをいれていきます。
果南は一瞬怯みましたがさすがチャンピオン。すぐに立て直し、反撃の機会を伺っていました
34:
果南「つーかまーえた」
曜「!?」
動き回っていた曜を抱え、投げの姿勢に入ります
曜(まずい!このままじゃ)
ダイヤ「曜さん!ふんばりなさい!!簡単に負けるんじゃありませんわ!」
善子「そうよ!勝ちなさい曜!」
梨子「曜ちゃん行けー!ぶっとばせー!」
三人の応援の声が聞こえます。あんなに酷いことをされたけど元気が出てきました
35:
曜「うおおおおお!」
曜は抱え込まれたまま、果南の胸を蹴りあげました。
果南「うぐっ…!」
鉄腕と言われた果南の腕の力が緩みます。曜はそれを見逃しませんでした
曜「いけええええ!」
体勢を直し、渾身のアッパーを繰り出します。
果南「っ…!」
曜「決まった…!」
36:
常人なら落ちるはずのアッパー。曜はそれが決まってもう勝ったと思い込んでいました
果南「油断は、、禁物だよっ…!」
曜「あっ!」
それは一瞬でした。果南は常人ではありません。曜のアッパーで確かにダウンしそうになったのですが、根性で持ちこたえていたのです。
そしてすかさず曜を捕まえ、場外に投げ飛ばしました
38:
曜「はは、負けちゃった…」
果南「ナイスファイト、最後油断したのがダメだったね」
果南「でも、久しぶりに本気になれたよ、楽しかった」
果南は曜を立ち上がらせ、そう言いました。負けたのは悔しかったけど、現チャンピオンにそう言わせた事に周りがざわつきました
果南「また来年挑みにおいで、待ってるよ」
曜「ええ、必ず!」
果南「それで、要職は与えられないけど一応優勝者だから副賞があるんだよね」
曜「!!」ハッ
曜は大事な事に気付きます。時間です。果南との試合は想像以上に長引いてました
39:
曜「今何時ですか!?」
果南「今?えっと、11時50分…」
曜「まずい!帰ります!」
果南「えっ?副賞は?いらないの?」
果南「黒毛和牛一年分なのに、勿体ない」
曜は後ろを振り向くことなく靴も脱げることなく駆け出しました。会場の外には鞠莉が用意してくれたのか馬車があり、それに颯爽と乗り込んで家に帰ります
曜「ごめんね、鞠莉ちゃん負けちゃったよ」
一人、馬車の中でそう呟くと曜は知らない内に眠っていました。今日は色々あってクタクタだったのです
40:
……
………
…………
梨子「ねぇ善子ちゃん」
善子「何よリリー」
梨子「曜ちゃん、ずーっと玄関見てるよね」
善子「ああ、時間があれば見てるわよね、何かあるのかしら」
曜「鞠莉ちゃん…」
舞闘会が終わってから数日が経ちましたが鞠莉とはあれ以来会えずにいました
時間が経てば思いは消えるだろうと思っていましたが全く逆で、どんどん思いが募っていきます
42:
曜「……」ピッピッ
梨子「曜ちゃんどこに電話してるの?」
曜「ピザ屋」
ダイヤ「なっ!ピザですって!?そんな高いもの認められませんわ!」
曜「あっ、もしもし…」
ダイヤ「ちょっと、曜さん!」
曜「あの、マリーちゃんっていますか?」
曜「………」
曜「そうですか、すみませんでした…」
43:
善子「あんたピザ屋で何頼んでるのよ…」
梨子「マリーちゃんって、まさかっ…曜ちゃん!?」
ダイヤ「でりばりーされるのは女子なのですか?曜さん!あなたいつのまにそんな事をっ!」
曜「ち、違います!誤解ですって!」
曜は必死に弁解しましたが三人ともなかなか聞き入れてくれず…
めんどくさくなったので、今日は早々に部屋に引っ込むことにしました
44:
曜「やっぱりもう会えないんだよね…」
船の模型は元の位置に戻っています。この船が自動車になって舞闘会まで運んでくれたなんて、と曜はあの日の事を思い出していました
コンコン
曜「ん?」
部屋の窓がノックされたようです。
曜「鳥かな?」
45:

続き・詳細・画像をみる


【朗報】「おしゃべりガイコツ」創刊号199円wwwwww

なんでこんな可愛いコが銭湯の番台やってんのwww客が緊張するだろwww

【画像】ワイのセフレが入浴してたから隠し撮りしたったwwwwwwww(※画像あり)

5万円もするマットレスを買いたいんだが背中を押してくれ

故マイケル・ジャクソン役に“白人起用” 娘パリス(18)さん「吐きそう」

アホ「ロッテは何で中後クビにしたの?見る目無さすぎw」

妊娠出産を期にコーヒーが全く飲めなくなった。それまではブラックをガブガブ飲んでたのに・・

【えろえろ画像】上坂すみれさん、明らかに意図的に太ももを開示wwwww

【前編】女装してた時に助けてあげた女の子に惚れられた話をする

彡(^)(^)「おっ!川の中洲にええ場所あるやん!テント張ったろ!」

【FGO】ぐだお「カッコよく、潔く、俺らしく」

【モバマスSS】 Time trap 【SF注意】

back 過去ログ 削除依頼&連絡先