にこ「12月27日は」海未「ピーター・パンの日」back

にこ「12月27日は」海未「ピーター・パンの日」


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【音ノ木坂・屋上】
穂乃果「辞めます」
パーン
穂乃果「…っ」
海未「あなたは──」
穂乃果「…ひどいよ」フルフル
海未「えっ」
穂乃果「ことりちゃんにもぶたれたことないのに!」
海未「は、はあ?」
にこ「ひどいわね」
凛「ひどいにゃ」
花陽「ひどい…」
真姫「そうね」カミノケクルクル
希「鬼やんな」
絵里「ほんとにね」
海未「わ、私は穂乃果が」
穂乃果「そんなことする海未ちゃんは…今日からビンターパンって呼ぶよ!」
真姫「イミワカンナイ」
にこ「ビンターパンね」
凛「ビンターパンにゃ」
花陽「び、ビンターパン…」
希「ビンターパンやね」
絵里「ハラショー」
海未「な、何ですかビンターパンって…」
穂乃果「ビンターパン!私たちをネバーランドへ連れてってよ!」
凛「凛も行きたいにゃ。ビンターパン♪」
希「ウチも連れてって。ビンターパン♪」
のぞほのえりにこまきりんぱな「ビンターパン!」
海未「や、やめてください!私はビンターパンではありません!私は──」
2:
海未「うーん…私は…私はビンターパンでは…」
「ねえ、あなた…大丈夫?」
海未「え…?」
「よかった。ちゃんと生きてるみたいね」
海未「あ、あなたは…?ここはどこです?私は学校に居たはずでは…」
「そんないっぺんに訊かれても困るわ。ここはロンドン。私はウェンディ・モイラー・アンジュ・ユーキよ」
海未「ロンドン?…ウェンディ…?」
あんじゅ「あんじゅでいいわ。あなたは…ビンターパン?」
海未「園田海未です!海未と呼んでください」
あんじゅ「うみ?…それって、七つの海の海?」
海未「その海に未…未来の未と書いて海未です」
あんじゅ「海のひつじ?…そんなのいるの?」
こころ「ひつじは陸で暮らす動物ですよ」
ここあ「ひつじ、しってる!ふわふわのモコモコなの♪」
海未「この子たちは…?」
あんじゅ「こころとここあ。私の妹たちよ」
こころ「こころです」ペコ
ここあ「ここあだよ♪」
海未「はあ」
ここあ「おねえちゃんはにこにーじゃないの?」
あんじゅ「今回だけ私がお姉ちゃんよ。よろしくね♪」ナデナデ
こころ「はい。お姉さま」
ここあ「はーい♪」
にこママ「ウェンディ?…いつまで起きてるの?」
あんじゅ「あっ、いけない…お父さんに見つかったら大変よ」
海未「大変?」
こころ「父はとても厳しい人なんです」
ここあ「ママはやさしいけど、パパはコワイの!」
あんじゅ「こんな夜中によその子を部屋に連れ込んでるなんて知られたら…海未さん、あなたは窓から逃げて」
海未「窓から!?…でもここ、二階ですけど…」
あんじゅ「あなた、空を飛べるんでしょ?窓から飛び込んできて、天井にぶつかって落っこちたのよ。私のベッドに…」
3:
海未「私が…空を、飛べる?」
ここあ「海のひつじさんはとべるのー?」
こころ「そうみたいですね」
にこママ「ウェンディ?…聞こえてるの?」コンコン
あんじゅ「ほら、急いで!」
海未「ちょ、ちょっと待っ…わぁ!?」
ここあ「またね!ひつじさん♪」
こころ「お気をつけて。ビンターパンさん」
海未「園田海未ですっ!」
海未(窓から飛び降りると…自然に体が浮いて、不思議な光に包まれています。本当に空を飛べるみたいです…私は夢を見ているのでしょうか?)
「ビンターパン!」ジリリリ
海未「えっ。その声は…花陽?」
花陽「そうだよ。私は、かよティンカーベル」
海未「かよティンク?…声はすれども姿は見えず…」
花陽「もう。どこ見てるのぉ?私はここだよ!」バシッ
海未「いたっ…な、何ですか?…この生き物は、いったい…?コウモリ?」
花陽「ち、違うよぉ…どう見ても妖精でしょ!?」ジリリリ
海未(私と同じように光に包まれて飛んでいる小さな生き物…よく見ると確かに花陽ですが…)
海未「ずいぶん縮みましたね…ちゃんとごはん食べてますか?」
花陽「私はもともとこれくらいだよ。そんなことより早く帰ろう。この家、犬がいるよ…犬が起きないうちに離れなくちゃ」
海未(花陽はトンボのような透明の翅で飛んでいるようですが…時折、自転車のベルに似た音がします)
海未「そうですね…もう夜も遅いですし、帰らなくては…」
ビューン
海未「帰る?…でも音ノ木坂へは、どっちへ行けばいいんでしょう…?」
花陽「なに言ってるの。帰るって言ったらネバーランドだよ」
海未「ネバーランド…?」
『ビンターパン!私たちをネバーランドへ連れてってよ!』
海未「私はビンターパンではありません。園田海未です!」
4:
「…海未さん?」
海未「そうです…私は、ビンターパンでは…」ムニャムニャ
「大丈夫ですか?海未さん…学校、休みますか?」
海未「えっ。…学、校…?」
「もう朝ですよ。…弓道の練習を再開したのでしょう?」
海未「お母様…おはようございます」
母「はい。おはよう海未さん」ニコ
海未(…やはり、あれは夢だったのですね…空を飛んだり、花陽が小さくなっていたり…そんなこと、あり得ませんからね)
母「ことりさんが居なくなって、寂しい気持ちはわかりますけど…海未さんも今しかできないことを──」
海未「ですが、ことりもまだ迷っ…て?」
『ことりさんが居なくなって──』
海未「!?…今日、何日ですか!?」
母「ど、どうしたの?急に…」
海未(ことりの誕生日を過ぎている…そんな!?…穂乃果が辞めると言い出したのは昨日だったはずなのに)
海未(とにかく穂乃果に連絡を…いや、今はやめておいた方が良いでしょうね…)
【音ノ木坂】
海未「そうですか…もうロンドンへ行ってしまったんですね…」
希「って、海未ちゃんが一番よく知ってるはずやんな。…どうしたん?」
『ここはロンドン。私はウェンディ──』
海未(そうか…あの夢は私の願望の表れ。もし空を飛んでロンドンへ行けたなら、ことりに会えると思ったのかもしれません…)
海未(…でも今更、夢の中で会えたところで…もう…)
希「穂乃果ちゃんのこと、気にしてるん?」
海未「…そういえば穂乃果は?」
希「学校には来てるんやないかな?…ほら、仲良しの三人が穂乃果ちゃんを励ましてくれてたみたいやから」
『おーい。穂乃果ー!』
『穂乃果ちゃん♪』
『私たちに任せて!』
海未(仲良し…か。…私たちは、あの三人のようにはなれなかった…どこで間違えてしまったんでしょう…)
キラッ
海未「!?(あの光は…屋上?)」
5:
海未「あれは…花陽?」
希「ああ…にこっちと凛ちゃんと花陽ちゃんの三人はスクールアイドル続けるんやって。毎日練習してるみたい」
海未(様子を見に行くくらいなら…大丈夫ですよね)
海未(…でも、あれは…眼鏡だったような…練習のときはコンタクトにしたはずでは…?)
【屋上】
ガチャ ギィ…
海未「花陽…?」
海未「…っ(眩しい…な、何ですか!?この光は──)」
「…パン」
海未「えっ。…穂乃果!?」
「なに言ってるの。私だよ。ビンターパン!」ジリリリ
海未「花陽!…また縮んでしまったのですか?」
花陽「縮んだんじゃなくて、もともと私はこれくらいなの。そんなことより…」
ツバサ「あなた…影がないわね」
海未「えっ」
ツバサ「影を取り戻さないと、元の世界へは帰れないわよ」
海未「!?…そ、それは…どういう…?」
ツバサ「ごきげんよう」クスクス
海未「ちょっ…待ってください!あなたは──」
花陽「ビンターパン!影をどこかで落としてきちゃったのぉ!?」ジリリリ
海未「ビンターパンではありません。海未です!」
海未(空を飛ぶ私と花陽は不思議な光に包まれていて…小さくても花陽には影があります。でも私だけ本当に影がない…)
花陽「このままじゃネバーランドへ帰れないよぉ…海未ちゃんの影を探さなくちゃ」
海未(影をなくす…なんてことが本当にあるのでしょうか…)
『窓から飛び込んできて、天井にぶつかって落っこちたのよ。私のベッドに…』
海未「あるとすれば…やはり」
\ワンワン!/
花陽「ピャァ!?…い、犬がいるよぉ」ビクビク
海未「あ、あれは…まさか…穂乃果!?」
穂乃果「わんわんわん!」
6:
あんじゅ「こっちよ!ビンターパン!」
海未「は、はい」
にこママ「もう…なあに?夜中に吠えたりして…野良犬でもいたの?」ファー
穂乃果「くーん♪」スリスリ
にこママ「ふふ…ほら、もう寝なさい。ウェンディの部屋に戻って」ナデナデ
【二階】
ここあ「わー!ひつじさん♪」キャッキャ
こころ「こんばんは。ビンターパンさん」
海未「園田海未です!」
あんじゅ「きっとまた来てくれると思ってたわ。…あなた、影を忘れていったでしょ?」
海未(私のものと思しき影が確かにあるようですが…)
海未「…くっつきませんね」
花陽「な、なんとかならないのぉ!?」
穂乃果「わふっ♪」
海未(穂乃果が私の影にじゃれて遊んでいますね…犬のような耳としっぽがありますが、どう見ても穂乃果です)
あんじゅ「穂乃果ちゃん。ちょっとそれ貸して。私がくっつけてあげる」
穂乃果「わん♪」
海未「あんじゅ…それをどうするんですか?」
花陽「影をくっつけるなんて…人間にそんなことができるのぉ?」
あんじゅ「まかせて。私、裁縫は得意なの♪」
うみぱな「裁縫?」
ここあ「おねえちゃんは、どんなふくでもなおせるんだよ♪」
こころ「それに私たちの服や小物も作ってくれますし…」
穂乃果「わふっ♪」
花陽「ピャァ!?…こ、こっちに来ないでぇ」ジリリリ
あんじゅ「ふんふんふんふふーんふふふん♪」チクチク
海未(なんだか…ことりを思い出しますね)
7:
海未「ことりはロンドンにいるはず…あんじゅ。南ことりを知りませんか?」
あんじゅ「小鳥さんならロンドンにもたくさんいるけど…どの子があなたの知り合いなのか、私にはわからないわよ」
海未「そうじゃなくて…穂乃果はどうです?ことりがどこに住んでいるのか知りませんか!?」
穂乃果「くーん♪」スリスリ
海未「ほ、穂乃果…」
あんじゅ「できたわ。海未さん、ちょっと動いてみて」
海未「ええ。…こうですか?」
花陽「ちゃんと影もついてくる…」
あんじゅ「よかった。これで、もう大丈夫ね♪」
海未「ありがとうございます。あんじゅ…では私はそろそろ失礼します」
ここあ「かえっちゃうのー?」
こころ「もう夜も遅いですし、泊まっていかれては?」
穂乃果「わふっ♪」
花陽「ピャァ!?…こ、こんなところに泊まれないよぉ」ジリリリ
あんじゅ「あなたたち…ネバーランドへ行くんでしょ?」
海未「なぜそれを…」
あんじゅ「やっぱり!…ねえ、私も連れてってくれない!?」
ここあ「ねばねばらんどってなに?」
こころ「ねばねばではなくネバーランドですよ」
花陽「空を飛べない人間はネバーランドへ行けないよ」
あんじゅ「どうすれば飛べるの?」
花陽「…それは」
穂乃果「わんわん♪」フワフワ
あんじゅ「えっ。…穂乃果ちゃんが浮いてる!?」
ここあ「わー♪わんこってとべるのー!?」キャッキャ
こころ「そんなはずは…犬は私たちと同じ陸の生き物ですよ。翼もないのに…」
海未「おそらく花陽に触れたから…だと思います」
ここあ「とびついてペロペロなめてたね」
こころ「妖精さんをなめると飛べるようになるんですか?」
花陽「や、やめてよぉ…」ヒヤアセ
8:
海未「花陽。嫌なら自分から魔法をかけてあげてください」
花陽「で、でも…本当に連れて行くの?…この子たち全員?」
海未「あんじゅに影を縫ってもらえなかったら、私も帰れなくなるところでしたし…一度くらいは連れて行っても良いでしょう?」
花陽「しょうがないなぁ…」ハァ
あんじゅ「…魔法?」ワクワク
花陽「ダメだよ。目を瞑ってて!」
あんじゅ「目を閉じればいいのね?」
花陽「…///」チュ
あんじゅ「!」フワッ
こころ「お姉さまが…」
ここあ「とんでるー!」
あんじゅ「こ、これが魔法?」
海未「ええ。今は浮いているだけですが、慣れれば私たちのように飛べますよ」
花陽「あとはあなたたちで勝手にやって!」
あんじゅ「えーと…?」
ここあ「ここあもとびたいー!」
海未「魔法をかけられた人は、ほかの人にその力を分けてあげられるはずです」
あんじゅ「…ということは」
穂乃果「わふっ♪」ペロペロ
ここあ「くすぐったいよー♪」フルフル
こころ「お姉さま…」ドキドキ
チュッ
あんじゅ「…これでいいの?」
ここあ「わー!すごい♪」キャッキャ
こころ「ほ、本当に体が浮いています…」
9:
にこママ「ウェンディ?…まだ起きてるの?」
あんじゅ「も、もう寝るところよ!おやすみなさい。お母さん」
こころあ「…」ハラハラ
にこママ「おやすみ。…あまり夜中に騒がないでね」
あんじゅ「は、はい」
こころあ「…」ホッ
海未「…では行きましょう。飛ぶときは、このように──」
ドサ
海未「いたた…えっ。…ここは、学校…?」
真姫「海未?…何やってるのよ」
海未「真姫…」
真姫「まったく…こんな擦り傷つくるなんて、あなたらしくないわね」
海未「すみません…ちょっと寝ぼけてたみたいで」
真姫「…まあ、無理もないわよね。あんなに仲が良かった二人が居なくなって…」
海未「…二人?」
真姫「ことりと穂乃果に決まってるでしょ。…まだ寝ぼけてるの?」
海未「穂乃果はまた学校を休んでるんですか?」
真姫「なに言ってるの。ことりがロンドンへ連れて行っちゃったでしょ」
海未「そうですか。ことりとロンドンへ…」
海未「えぇ!?」
真姫「ヴェぇ…い、いきなり大声出さないで!」
海未「ちょ、ちょっと待ってください。ことりは一人でロンドンへ行ったはずでは…留学なのですから」
絵里「困ったわね…私たちは穂乃果を次の生徒会長に推薦しようと思っていたんだけど」
花陽「穂乃果ちゃん、あんなに音ノ木坂が好きだって言ってたのに…」
凛「それ以上に、ことりちゃんが好きってことじゃないかにゃ?」
にこ「ことりがいなくなるならμ'sも辞める、なんて言い出すくらいだし…」ハァ
海未(本当に穂乃果もロンドンへ…いったいどうなっているんでしょう?)
海未「希!この間は穂乃果も学校に来ていると──」
希「海未ちゃんがいいんやない?」
海未「えっ」
絵里「そうね…成績もいいし、しっかりしているし…後輩から人気もあるみたいだし」
10:
海未「な、何の話ですか…?」
真姫「聞いてなかったの?…次の生徒会長を誰にするかって話よ」
海未「それが何故私の話に…まさか」
絵里「ええ。海未を次の生徒会長に」
海未「ちょっ…待ってください!…無理です」
希「どうして?…海未ちゃんも音ノ木坂、好きやろ?」
海未「それはそうですが…生徒会長なんて私には…」
ヒデコ「園田さんに一票♪」
フミコ「私も海未ちゃんがいいと思う♪」
ミカ「ほら、みんなも言ってるし。観念して生徒会長に──」
海未「わ、私は失礼します!」ダッ
にこ「あっ、逃げた!?」
凛「追いかけるにゃー♪」
海未(な、何故こんなことに…ことりと穂乃果のせいですよ!)
海未「!?(木が──)」
ドン
海未「いたたた…あ、あれ?」
あんじゅ「ここがネバーランド…?」
花陽「そう…だけど…」ヒヤアセ
ここあ「わあ、おっきいふねー♪」
こころ「海の上のようですね…」
穂乃果「わん♪」スリスリ
海未「穂乃果!…ことりとロンドンへ行ったのではなかったのですか?」ナデナデ
穂乃果「くーん?」キョトン
「その名を気安く口にしないでもらえるかなぁ?」
ほのうみぱなこころあん「!」
英玲奈「我々の船に突撃してくるとは…命が惜しくないようだな」
ツバサ「勇気があるのはいいけど…ちょっと無謀すぎると思わない?」
11:
海未「ことり…何をしてるんですか?」
ことり「私はキャプテン・フック…アキバーランドの海を統べる者だよ」
ここあ「こおってないのにすべるのー?」
こころ「そのすべるではありませんよ」
海未「キャプテン・フックって…ちゃんと両手が揃ってるじゃないですか」
英玲奈「ミナリンスキー船長は世界一の服作りの達人なのだ」
あんじゅ「それでキャプテン…服!?」
ことり「はい♪…というわけで、侵入者は排除しちゃいますね♪」スッ
えれツバ「アイアイサー!」
海未「ま、待ってください!ことり…私たちは襲撃に来たわけではありませんよ」
花陽「そ、そうです…ただ向こうの世界から帰ってきたら、偶々ここに出てきちゃっただけで…」
ことり「ふーん。…じゃあ、犬と妖精さんだけ置いていってくれる?」
海未「いいえ。むしろ私は、ことりも連れて帰るつもりです」
ことり「それはダメ♪」
海未「理事長みたいなことを…」
ツバサ「私たち海賊が、黙って船長を引き渡すわけないでしょう?」
英玲奈「かかって来い!ビンターパン!」
海未「くっ…(いくら私でも、一度に三人を相手にするのは…)」
穂乃果「わんわんわん!」
ことり「きゃ!?」
海未(穂乃果が、ことりに飛びかかって──)
ことり「穂乃果ちゃん♪」ナデナデ
穂乃果「くーん♪」スリスリ
海未(じゃれ合っていますね…)
あんじゅ「妹たちに手出しはさせないわよ?」
ここあ「おねえちゃん!かいぞくなんてやっつけちゃえ!」
英玲奈「…」
こころ「こ、ここあ。私たちは隠れていましょう…」
12:
ツバサ「これでも食らいなさい!」ヒュッ
ブワッ
海未「!?…急に強風が…」
花陽「ピャァ!?ダレカタスケテー!」
海未「花陽!」
ツバサ「フフフ…空を飛ぶあなたたちを撃退するために船長が作った特別な扇よ」
英玲奈「オウギだけに切り札というわけだな」
ことほのうみこころあん「…」
「ちょっと寒くないかにゃー?」
海未「その声は…凛!?」
ポテッ
凛「かよちん。大丈夫ー?」
花陽「た、助かったぁ…」
希「ウチらが援護するから、今のうちに脱出して!」
英玲奈「船長!蛮族どもが小舟で攻めてくるぞ!」
ことり「砲撃で蹴散らしちゃえばいいんじゃないかなぁ?」
ツバサ「よーし!総員、弾込めー!」
\アイアイサー!/
海未「みんな!今のうちに脱出です!」
あんじゅ「でも穂乃果ちゃんが…」
海未「穂乃果!こちらへ──」
ことり「ダメだよ。穂乃果ちゃんは返さない♪」
ツバサ「まだ懲りないようね?」ブン
ビュォォォ
海未「くっ…穂乃果!ことり!私は必ず、戻ってきます…!」
穂乃果「くーん…」
ドーン
凛「危ないにゃ><」
希「こんなん一発もらったらバラバラになっちゃうやん!?」
「にっわにっわにー!」
ことり「あ、あの声は…」ヒヤアセ
13:
希「…時計ワニやな」
海未「時計?…でも、ことりはちゃんと両手がありましたけど…」
「大海原ナンバーワニアイドル!やざワニこ参上!」ザバッ
ことり「雑魚はどうでもいいよ!ワニさんを狙って砲撃!」
えれツバ「アイアイサー!」
凛「凛知ってるよ。あのワニさん、時計と一緒に人の時間を食べちゃうんだよねー」
海未「時間を…食べる!?」
希「そう。食べられた時間は失われ…何もしないまま時間だけが過ぎてしまう」
凛「あのキャプテンフックもワニさんだけは怖いみたいだよー♪」
海未(もしかして…私たちが何もできないうちに、ことりが留学してしまったのも…?)
こころ「あのワニさん、どこかで見たような…」
ここあ「にっこにっこにー♪」
にこ(…こころ、ここあ)スーッ
凛「あれ?…あのワニさん、凛たちの舟の横を素通りしていったよー?」
希「ホンマやね…なんでウチらは襲われないんやろな?」
こころあ「?」
ドーン
ツバサ「ダメです!このままではワニに船底を食い破られます!」
ことり「くっ…」
英玲奈「一刻も早く、この海域を離脱しましょう!船長!」
ことり「とーりかーじ!」
【陸】
海未「助かりました。あなた方は、いったい…?」
希「ウチらはアキバーランドの奥地に住むμ族や」
あんじゅ「ミューぞく?」
凛「そう。凛はμ族の勇者、タイガーリリィだよ♪」
海未(タイガーというより猫のような…)
希「今回は海賊を追い払うために手伝ったけど…キミたちとウチらは違う」
凛「異界の者を凛たちの村に近付けるわけにはいかないにゃ。ここでお別れだよ」
海未「そうですか…わかりました」
14:
あんじゅ「どうするの?…ロンドンへ帰る?」
海未「今からまたロンドンまで飛ぶのは…私はともかく、あの子たちの体力がもちませんよ」
ここあ「つかれたぁ…」
こころ「飛ぶのも結構大変ですね…」
海未「私たちの隠れ家へ行きましょう。花陽、案内してください」
花陽「で、でも…よそ者に隠れ家を教えちゃって大丈夫?」
海未「もう仲間ですよ。…特に花陽は、あんじゅにキスしたじゃないですか」クス
花陽「あ、あれは魔法をかけるために仕方なく…」
あんじゅ「あら。私は嬉しかったけど♪…うふふ」
花陽「…///」
ここあ「でも、わんこが…」
こころ「穂乃果さんを置いてきてしまいましたね…」
海未「ですが、海賊たちは花陽も狙っていたようですし…また現れると思いますよ」
『ごきげんよう』
海未(…あの海賊にはロンドンで一度会っています。どうやってアキバーランドの外へ出たのかはわかりませんが、何か目的があるはず…)
ジリリリ
海未「うーん…花陽…羽音がうるさいですよ…」ムニャムニャ
パチ
海未「ん?…花陽にしてはずいぶん硬い…って、時計ですか…」
海未(時計…ワニ?)
『人の時間を食べちゃうんだよねー』
海未「!?」ガバッ
海未(私の部屋…そうですよね。ことりが海賊なんて…あり得ません)
海未(…でも、ことりが穂乃果を連れて行ってしまったのは…現実と同じ…)
母「あら?…ふふふ、海未さんったら。早く着替えていらっしゃい」
海未「え?…もう制服を着ていますが…」
母「さすがに夏服では、もう肌寒いでしょう?」
海未(…まさか)ヒヤアセ
『食べられた時間は失われ…何もしないまま時間だけが過ぎてしまう』
海未(もう十月になっているなんて…)
15:
【音ノ木坂】
真姫「まったく…海未が逃げ回ってたおかげで私が生徒会長なんて」ハァ
花陽「でも真姫ちゃん成績もいいし、人気あるし…ぴったりだと思うよ」
海未(そういえば…真姫はまだ夢の中に出てきませんね。…もう一人いますが)
希「まあ、ウチらはμ'sがなくて時間に余裕ができたし…時々は手伝うよ」
絵里「そうね。海未には弓道部があるんだし…無理言って悪かったわ」
海未「いえ…」
凛「かよちーん!練習に行くにゃー」
にこ「もう一度あるわよ!ラブライブ!」
海未(第二回ラブライブ…にこ達三人だけで出場を目指すのですね。少し心配ですが…)
海未(それにしても…いよいよただの夢とは思えなくなってきました。時間を食べるワニの話…そして起きると何日も経過していて…)
花陽「無理だよぉ…」シクシク
凛「勝ち目がないにゃ」
にこ「なに言ってんのよ!やるったらやる!」
海未(なんだか…穂乃果を思い出します)ホロリ
希「どうしたん?」
花陽「今回のラブライブは地区予選があって…私たち」
凛「A-RISEに勝たないと敗退になっちゃうにゃ」
真姫「…無理ね」カミノケクルクル
にこ「決めつけないでよ!これが最後のチャンスなのよ!?」
海未(そういえば…三年生にとっては最後の大会になるんですね…)
絵里「練習のサポートくらいならできるけど…そうだ」
にこ「なに?」
絵里「合宿をしたらいいんじゃないかしら?」
にこりんぱな「合宿?」
真姫「…なんで私を見るのよ?」
海未(夏合宿を思い出します…全員が心から楽しめたのは、あれが最後だったのかもしれません…)
海未(真姫の別荘に泊まって…みんなで…)
バシッ
海未「んぐっ!?」
16:
花陽「海未ちゃん!起きてよぉ…」ジリリリ
海未「いたた…顔にぶつかってこないでください…」
海未(かよティンカーベルの姿になると、花陽は少しだけ攻撃的になる気がします…)
真姫「そんなに疲れてるの?…特別なお薬でも注射してあげましょうか?」
絵里「誤解を招く発言はやめてよ。真姫…おかえりなさい。海未」
海未(ここが私たちの隠れ家…真姫と絵里はアキバーランドでの私の仲間なんですね)
絵里「時計ワニを退治して、失った時間を取り戻せばいいんじゃないかしら?」
真姫「それより海賊よ!あの人たちとは決着をつけないと…どうせまた性懲りもなく襲ってくるわよ」
あんじゅ「みんな。ごはんできたわよ♪」
ここあ「わーい♪」
こころ「私もお腹ぺこぺこです…」
海未(あんじゅが家事をひととおりやってくれているみたいです…人は見かけによらないというか)
あんじゅ「こころとここあがいればワニさんに襲われる心配はないんじゃないかしら?」
ここあ「えっ」
こころ「私たち…ですか?」
あんじゅ「ええ。あのとき…ワニさんは二人を見ていたわ」
絵里「小さい子は襲わないってこと?」
真姫「“時間”を主食にしているから…かもね」
海未(でも海賊はそうはいきませんし…こころとここあを連れて行くのは危険ですね…)
海未「では二手に分かれて行動しましょう」
あんじゅ「どうするの…?」
海未「私と絵里、花陽の三人で海賊船を追います。あんじゅと真姫はμ族と交渉して時計ワニ対策を考えてください」
ここあ「ここあはー?」
海未「こころとここあは、あんじゅと一緒にμ族の集落へ行ってください」
こころ「わかりました」
あんじゅ「三人だけで大丈夫?」
海未「私たちは飛ぶのに慣れていますし、海賊とも互角に戦えますから」
真姫「まあ、私たちがそっちに行っても足手まといになりそうだし…ついでにμ族に海賊退治の協力も要請してくるわ」
海未「お願いします」
海未(真姫は医者のタマゴですからいざという時は頼りになるのですが…だからこそ、こころとここあがいる方に行ってもらいましょう)
17:
真姫「じゃあ…出発よ」ハァ
凛「せっかくの合宿なんだから、もっと元気にいっくにゃー♪」
真姫「どうしてメンバーじゃない私が、あなたたちの合宿に一緒に行くのよ…」
花陽「ま、まあ真姫ちゃんちの別荘だし…それにやっぱり作曲は真姫ちゃんじゃないと…」
真姫「別に作曲だけなら合宿まで行く必要なくない?」
にこ「カタい事言わないでよ。短い間だったけど元仲間でしょ」
真姫「まあいいけど…ただ遊びに行きたいだけなんじゃないの?」
にこ「なに言ってんの。最後の大会よ。気合い入りまくってるに決まってんでしょ!」
凛「楽しみだねー♪」ワクワク
花陽「山で食べるお弁当は最高だよね♪」
にこ「こらー!遊びに行くんじゃないのよ!」ウキウキ
真姫「…」ハァ
海未(四人は合宿に行ったようですね…私もスクールアイドルを続けていたら今頃…)
海未(…と、後悔していても仕方ありません。これで元μ'sの中で東京に今いるのは私を含めて三人だけですか…)
希「夢?…えっと、将来の?」
海未「いえ…眠っている間に見るほうの夢です」
希「そか。…どんな夢なん?」
海未「私が空を飛べるようになって…最初はロンドンへ行くんです。それから──」
希「なるほどなあ…」
あんじゅ「どう思う?…ワニさんに食べられた時間は取り戻せるかしら?」
凛「凛知ってるよ。あの時計ワニは神のつかいだって言われてるんだよねー」
ここあ「かみさまもおつかいするのー?」
こころ「おつかいするのはワニさんですよ」
希「そやね。退治なんてとんでもない…μ族は海賊退治には協力しても、ワニには手を出せないよ」
真姫「退治しないでどうやって時間を取り戻せっていうのよ?」
希「神のつかいってことは、ワニをアキバーランドの海へ寄越した神さまがいるはずやろ」
凛「じゃあ、その神さまにお願いすれば…ワニさんに食べられちゃった時間を返してもらえるのかにゃ?」
真姫「できるの?そんなこと…」
ここあ「かみさま。おねがいします♪」
あんじゅ(海未さんたち、無事かしら…?)
18:
【海賊船】
絵里「ほら、こっち側には誰もいないわ」
花陽「チャンスだね…」
海未(ことりにさえ会えれば、連れ去ってしまうことも…)
英玲奈「ご苦労だったな」
ツバサ「ヘタに動くと吹き飛ばされちゃうわよ?…フフフ」
海未「…っ!?隠れて待ち伏せしていたのですか?…まさか、罠…」
絵里「ふふっ…素人にしか見えない」
花陽「え、絵里ちゃん…?」
絵里「悪かったわね。今まで騙して♪」
海未「絵里…最初から私たちの味方のふりをしていたのですか…?」
絵里「私はキャプテン・フックの才能に興味があるだけよ。あなたが敵とか味方とか、どうでもいいの♪」
花陽「そ、そんなぁ…」
ことり「みんな。妖精さんを捕まえちゃって♪」
えれツバえり「アイアイサー!」
穂乃果「くーん…」
ツバサ「もうお邪魔虫はあなただけよ。世界の果てまで吹っ飛びなさい!」ブォン
海未「私が何の対策もしてこないと…思いますか!」スチャ
英玲奈「なんだ…?」
ことり「あれは…日舞の扇子!?」
海未(夢と現実がリンクしているなら…きっと持ち込めると思っていました)
海未「そう…風を起こせるのは、あなただけではないのですよ!」シュバッ
ビュォォォ
ツバサ「な、なんで!?あんな小さな扇子に負k…きゃあ!?><」
英玲奈「ツバサ!」
ドボン
「にっわにっわにー!」
ことり「ま、また…こんなところまで!?」
ツバサ「ぷはっ!…え、あ、あれは…時計ワニ!?」
19:
英玲奈「ツバサ!早く上がってこい!」
ツバサ「そ、そんなこと言われても…」ガクブル
海未「!」
絵里「あっ、海未!逃げる気!?」
海未「花陽!ついて来てください!」
花陽「う、うん」スタッ
にこ「お時間いただきニコッ」ガバッ
ツバサ「ひっ」
海未「ツバサ!こっちです!」
ツバサ「!」
バシャ
にこ「ちょっとー!あんた、どっちの味方なの!?」プンプン
ツバサ「あ、ありがとう…でも、どうして…?」
海未「少し、あなたと話をしたかったんです。…なぜロンドンにいたのですか?」
ツバサ「それは…探していたの」
海未「探す…?」
ツバサ「ええ。…あのとき、あなたが自分の影を探していたように…私たちにも何かが足りない気がしていたの」
海未「それは見つかったのですか?」
ツバサ「わからない…ただ、ミナリンスキー船長がいて、穂乃果さんや絵里さんも来て…何人増えても、何かが違うような…誰か大事な人を忘れているように感じていて。私だけじゃなく英玲奈も…」
『そう行っちゃうのー? 追いかけないけど♪』
海未(そうか…彼女たちはA-RISE。夢の中とはいえ、一人欠けてもダメなのですね。現実の私たちのように…)
ツバサ「…今日は居ないのね?あの子…」
海未「あんじゅのことですか?」
ツバサ「あんじゅ…そうよ。やっぱりそうだったんだわ!」
にこ「おとなしく時間を寄越しなさい!」バシャバシャ
花陽「だ、ダレカタスケテー!」ビューン
ことり(今のうちに逃げちゃおっと…)
20:
ツバサ「英玲奈!」
英玲奈「ツバサ…何のつもりだ?」
ツバサ「気づいているんでしょう?…私たちが本当は誰と一緒にいるべきか…」
英玲奈「…そうだな」
絵里「ちょっ…まさか二人とも裏切るつもり!?」
海未「絵里…あなたがそれを言うんですか?」
絵里「は、ハラショー」
ことり「穂乃果ちゃん。しっかり捕まってて」
穂乃果「くーん」ギュ
海未「あっ…ことり!」
ことり「ごめんね。バイバイ♪」ヒラリ
海未(パラグライダーのような物で…向こうの島へ飛んで行ってしまいました)
ガサガサッ
希「お。来た来た♪」
ことり「!?」
凛「神妙にお縄を頂戴するにゃ♪」
海未(ことりが向かった島の林には希と凛が隠れていて…)
真姫「ご苦労さま」
ことり「…やられた」ガクッ
あんじゅ「おかえり。穂乃果ちゃん♪」
穂乃果「わんっ♪」ペロペロ
ここあ「わーい!わんこ♪」
こころ「無事でよかったです♪」
花陽「うぅ…ひどいよぉ…」クスン
海未「すみません…よく頑張ってくれましたね」ナデナデ
海未(ことりを捕らえ、穂乃果も帰ってきた…これで全部うまくいくはずです)
21:
チュン(・8・)チュン
凛「やっぱりダメだったにゃ…」シュン
花陽「仕方ないよ…東京のスクールアイドルはレベル高いから…実質3枠に入るのってすごく難しいもん」
海未(一次予選の結果、敗退…にこのラブライブは終わったのですね…)
にこ「…」
海未「にこ…」
にこ「ことりの衣装なら…九人いれば…μ'sだったら…」
海未(夢の中で穂乃果とことりを連れ戻しても、現実は変わらない…わかっていたはずなのに)
にこ「なんでよ…なんでみんな一緒にやってくれないの…穂乃果はよくて私じゃダメなの!?」
海未「にこ…それは違います。みんな目標があったから…それを達成して、仲間が去っていって…以前のようなモチベーションがもう無いんです」
にこ「わかってるわよ…そんなことわかってる…私にはそんなこと言う資格ないってことも」
海未「資格なんて…」
にこ「無いの!…もういいわ。教えてあげる」
海未「え…?」
【矢澤家】
こころ「お姉さま」
ここあ「お姉ちゃん♪」
海未「こころに、ここあ…にこの妹だったんですね」
にこ「そうよ。…それから」
海未「このポスター…何ですか、これ」
にこ「見ての通りよ。…私、ずっと嘘ついてるの…家でも、あんたたちにも」
海未(にこだけがアイドルで、μ'sの残り八人はバックダンサーということになっている…らしいです)
にこ「…これでわかったでしょ。誰も信じてない私に、誰もついて来てくれなくて当然だって」
海未「にこ…ですが、みんなに本当のことを話せば今からでも…」
にこ「なに言ってんのよ。もう最後の大会は始まって、私たちは敗退したの…ことりも穂乃果も、もういない…もう遅いのよ。何もかも…」グス
海未(失われた時間は戻らない…だから夢の中で、にこは独りぼっちのワニになって…人の時間を食らう存在になっていたのでしょうか?)
22:
海未「…あんじゅは?」
ここあ「かいぞくのおねえちゃんたちと、行っちゃった」
『あなたも、もう十八歳。自分のことは自分で決めなさい。…憧れていたんでしょう?ネバーランドに』
こころ「って、お母さまが…」
『では行こう』
『よろしくね。あんじゅ』
『ええ。こちらこそ!』
海未(ここでもA-RISEは三人で旅立つことができたのですね…羨ましいです)
海未(とにかく、にこの件を解決しなくては…このままでは何も変わりません)
凛「神さま?…わかんないにゃ」
希「ウチも…信じてはいるけど、どこの誰ってことまでは…」
海未「そうですか…」
絵里「そういえば…キャプテンフックが時計ワニ以上に恐れてる相手がいるって聞いたことがあるけど」
海未(ことりの才能に興味があるという絵里も結局、ことりと一緒に帰ってきました)
真姫「何なのよ?ことりが恐れる時計ワニ以外の存在って」
ことり「知らないもん」プイッ
穂乃果「あ、私知ってるかも」
海未「穂乃果!?…喋れるのですか?」
穂乃果「うん。アキバーランドでは喋れるってこと忘れてたよ…エヘヘ。…ほら、ワニさんも喋ってたでしょ?」
花陽「そういえば…」
『ちょっとー!あんた、どっちの味方なの!?』
ことり「もう。穂乃果ちゃん…喋ったらまたさらっちゃうからね!」
穂乃果「いいよ。私、ことりちゃんと一緒に居たいから♪」スリスリ
ことり「穂乃果ちゃん///」キュン
花陽「そ、それで…ことりちゃんの恐れる相手って…?」
穂乃果「お母さんだよー♪」
希「きぃちゃん?」
穂乃果「じゃなくて、ことりちゃんのお母さん」
絵里「へー。理事長…」
海未「なるほど…子供にとって母親は唯一絶対の神のような存在というわけですね」
海未(しかし、問題は時計ワニを生み出した神の存在…この世界では母親という人に会ったことがありませんし…)
23:
『お姉さま』
『お姉ちゃん♪』
海未(現実のにこなら家族がいるのですが…ん?)
『いつまで起きてるの?…もう寝なさい』
海未「…もしかして」
【ロンドン】
にこママ「あ、あなたは…?」
こころ「ビンターパンさんです♪」
ここあ「海のひつじさんだよ♪」
海未「園田海未です。事情がありまして…ちょっとアキバーランドまで来てほしいのですが」
にこママ「あんじゅのため…?」
海未「いえ。違います…ほかに会ってほしい方がいるのです」
【再びアキバーランド海域】
にこママ「にこ!」
にこ「!?」ガバッ
チュン(・8・)チュン
にこ「は…ははは(変な夢…)」
こころ「おはようございます。お姉さま…あら」
ここあ「あー!おねえちゃん、せいふくまちがえてるー」クスクス
にこ「なに言ってんの。もう衣替えはとっくに…」
こころ「そうですよ。もう夏なのですから…冬服では暑すぎるでしょう?」
にこ「え」
ジリジリジリ…
にこ(どういうこと…?ことりと穂乃果がいなくなって、秋になって…二回目のラブライブって…なのに)
\ダイスキ♪/
にこ(ワンダーゾーンがない…オープンキャンパスが終わったあたりか)
にこ(これって…チャンスじゃない?)フルフル
にこママ「あら、まだいたの?…朝練、あるんでしょ?」
にこ「あ、あのね…ママ。私…」
ママこころあ「?」
24:
【音ノ木坂】
海未(ことりと穂乃果どころか、全部戻ってしまうなんて…)
穂乃果「最近ことりちゃん、早く帰っちゃうんだよね…」
海未(しかも、みんなは気づいていない様子…このままでは同じ事の繰り返しに…)
にこ「海未。…ちょっと」
海未「にこ?…どうしたんですか?」
にこ「家族に…話したわ。本当の事…」
海未「にこ…それって、秋に…」
にこ「やっぱり…あんたと私だけみたいね」
海未「私たちが何とかしないと…同じ事の繰り返しになってしまいますね」
にこ「阻止するわよ。絶対!…今度は私だけじゃなく、あんたと…みんなのために」
海未「にこ…」
にこ「だって嫌でしょ?…ことりと穂乃果のいない修学旅行なんて。…あんた、ほかに友達いなさそうだし」クス
海未「い、居ないわけじゃありませんよ…ただ」
にこ「わかってる。一番、大切なんでしょ?」
海未「そうです。…でも」
にこ「?」
海未「私の一番は…二人だけではありませんよ?」ギュ
にこ「な、なに言ってんのよ。…バカじゃないの///」
海未(この先どうなるか…変えていかなければならない以上、私たちにもわかりません)
にこ(でも今度は後悔しないように、嘘のない私で…)
海未「効果的な練習はもちろんですが、食事にも気をつけなくてはいけません」
希「そやね。夏バテ防止のためにはスタミナをつけないと。やっぱり、お肉」
にこ「いいえ。私の考える夏バテ防止メニューは…これよ!」
絵里「これは…?」
にこ「とろろにオクラ、めかぶに納豆!」
穂乃果「うわぁ、見事に全部ネバネバだぁ…」
えりにこまき「がんばらねーばねーばねばぎぶあぷ♪」
『ねばねばらんどってなに?』
海未(これが本当のネバネバランドですね…)
25:
【秋】
にこ「はぁ!?…何よそれ…どういう趣味なのよ」ドンビキ
海未「別に全部私の願望というわけでは…偶々、にこはワニだったんですよ」
にこ「んで、穂乃果が犬で花陽が妖精?」
海未「ええ」
にこ「…」
海未「後ずさりしないでください!夢の中の話ですし、私の意思で決めたわけじゃないのですから…」
にこ「ワニねえ…ビッグマウスってこと?」
『当然でしょ!私を誰だと思ってんの?』ドヤァ
海未「ああ、それもあるかもしれませんね」
海未(あれから…ロンドンやアキバーランドの夢は見なくなりました)
にこ「失敗した現実…だと思ってたのも、夢だったのかしら…?」
海未「わかりません…でも、やり直せるなんてこと普通はありませんから…」
にこ「そうね。神様か何だか知らないけど、チャンスを貰ったんだから…今度こそ成功させましょ!」
海未(…夢の影響なのか、真実を知ったせいか…最近、にこの事が気になるようになってしまいました)
にこ(海未がいるのは心強いけど…同時に、海未ばっかり見てて失敗しないように気をつけなきゃいけなくなったわ)
『お母さんだよー♪』
海未(大切な人って)
にこ(苦手な人でもあるのかも…ね)
26:
【冬】
にこ「勝ったのね…今度こそ、夢じゃないわよね…?」
海未「夢にしてはリアルすぎましたよ…あの大雪も、痛いほどの寒さも…」
にこ「あー、あんたたちは本当に大変だったわね…本当に空でも飛べたらよかったのに」クス
海未「できれば必要に迫られてではなく、もっと気楽に夢のある飛び方をしたいものです」ハァ
にこ「…飛んでみる?」
海未「え…?」
にこ「いや、私は三月で卒業でしょ。…んで、海未の誕生日もあるでしょ。だから…そ、その…たまには、二人で…」
海未「海外旅行ですか?」
にこ「いや、まあ…お金かかるし、海外じゃなくても…っていうか、何なら日帰りでもいいんだけど」
海未「ふふっ…いつものビッグマウスはどこへ飛んで行ってしまったんですか?」
にこ「う、うるさいわね…とにかく、どこでもいいから付き合いなさいよ!」
海未(ビッグマウスといえば…)
『大銀河宇宙ナンバーワンアイドル!』
海未「宇宙…とか?」
にこ「大きく出たわね…と言いたいとこだけど、宇宙はダメよ」
海未「どうしてですか?」
にこ「宇宙って、ものすごく老化が早くなるらしいのよ。…アイドルとしては致命的でしょ?」
海未「そ、それは…まずいですね」
にこ「空を飛ぶのはいいけど、飛びすぎないようにしないとね」
海未「やっぱり夢の世界くらいが身の丈に合っているのでしょうか…」
にこ「…まあ、海未とだったらそれも…」
海未「え?」
にこ「いや、ほら…もし一緒に寝たら、二人で同じ夢見ることもあるのかなって」
海未「…にこ///」
にこ「と、とりあえず帰りましょ!寒いし…」
海未(空を飛んでも、飛べなくても…私が行きたい場所は決まっています)
にこ(場所っていうか…海未がいればいいのよ。どこでも///)
おわり
32:
※関連?スレ
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http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1468833550/
33:

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