西住しほ 「これが私の戦車道」back

西住しほ 「これが私の戦車道」


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1:
※西住さん一家が崩壊します。
※特にお母さまは完全に壊れます。
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2:
大洗女子学園…
「ちょっと…、なにあれ…」「あの歳でセーラー服って…」
「AVの撮影でもやってるの?」「BBA無理すんな」
沙織「へイ彼女!一緒にお昼…あ…、ちょっと失礼…」
華「ちょっと沙織さん!あんな人に声かけてどうするんですか!」
沙織「ごめん…、今日に限ってメガネ忘れちゃって…」
華「一体どういう人なんでしょう、老けて見えるっていっても限度がありますよ」
沙織「ヤバい病気で何年も入院してたとかそういう人なのかな?」
しほ「どうしたの?私、西住しほ16歳!しぽりん16歳って呼んでね♪」
沙織「じゅっ…、16歳…?」
華「16歳なんですか…」
3:
しほ「転校してきたばっかりなの!よろしくね!」
沙織「はあ…」
華「あの…、しぽりん16歳、生徒会の人が呼んでるみたいですよ」
杏「あのさあ、必修選択科目なんだけどさあ、戦車道取ってね、よろしく」
しほ「キター!来ましたわ!これはアレでしょ?優勝しないと廃校とかそういうアレでしょ?」
杏「あ、あれ?なんで知ってるの?」
桃「察しがいいなあ」
しほ「筆頭師範から家元になることが内定して、娘たちも大きくなり、夫も単身赴任、青春を取り戻す最後のチャンス
だと思って思い切って入学した甲斐があったわ!こういうの待ってたのよ!」
杏「まあ快諾してもらえたようで良かったよ、断られても脅しが通用する相手とは思えなかったし」
桃「でも大丈夫かなあ…」
柚子「ちょっと不安だね…」
5:
桃「えー、我が校の戦車道を再開するにあたり、特別講師をお招きした。陸上自衛隊富士教導団、戦車教導隊所属の
蝶野亜美一等陸尉だ」
亜美「みんなよろしくね!まあそんなに難しく考えないで、戦車なんてバーっと動かしてダーっと操作してドーンと撃てば…、あっ…」
しほ「…」
亜美「えーっと…、その…」
しほ「どうしたの?続けなさいよ」
亜美「…」
8:
しほ「それにしても、バーっと動かしてダーっと操作してドーンと撃て?最近じゃそんなアバウトな指導が許されるのねえ、
あなた自身はどんな教官について習ったのかしら?その教官の顔が見てみたいわ。ああ失礼、鏡を見ればよかったわねえ」
亜美「すみません…、勘弁してください…」
沙織「なにこの嫁姑劇場」
華「お昼の連ドラを見てるようです」
杏「『地獄!指導が気に入らないと教官をいびる戦車道家元の鬼姑!』ってな感じ?」
桃「懐かしいなあ、ワイドYOU」
柚子「あれは鬼姑じゃなくて鬼嫁でしょ」
麻子「おばあがアレ大好きだったんだよなあ」
優花里「あんたら歳いくつですか」
10:
杏「いやあ、座学もその後の実技も、みんなしぽりん16歳のワンマンショーになっちゃったねえ」
華「蝶野教官は完全に空気になってましたね」
沙織「かわいそうに…」
しほ「それにしても、ここは戦車がショボいわねえ、こんなのじゃ私の実力が発揮できないわ」
優花里「仕方ないですよ、こういう逆境をはねのけて努力!友情!勝利!ってのがこの手のスポ根物の定石ですから」
杏「あー、秋山ちゃん、そういうメタ発言はやめてね」
しほ「ちょっと待ってね、今もっとマシな戦車を…あ、もしもし常夫さん?私だけど、うん、元気でやってるわ。私の制服姿見てくれた?
え?3人目は男の子がいい?もー気が早いんだから?それでね、こっちでも戦車道始めたんだけどロクな戦車がなくて困ってるの。ダーリン
の力で何とかして欲しいんだけど、大至急。え?今すぐだと国籍とかバラバラになる?それは構わないわ。流石はマイダーリン、頼りになるわあ。
このお返しはベッドの中で?ダーリンの好きなセーラー服とかブルマとか大事なとこがジッパーで開くスクール水着とか用意しとくから?え?何?
艦これの島風?もー、こんなおばちゃんにあんな格好させてどうするのよ、ダーリンも好きねえ?じゃあね?浮気なんてしたら根元から切断して
パンに挟んで食わせるから?」
12:
しほ「というわけで、マイダーリンが新しい戦車を手配してくれることになりました」
桃「おおっ!ありがとうございます!」
沙織「いいのかなあ…」
数日後…
杏「みんなー、新しい戦車が来たよー」
・あんこうチーム ティーガー?改・試製ガスタービンエンジン搭載モデル
・カメさんチーム パンターF型改・試製自動装填装置搭載モデル
・アヒルさんチーム 五式中戦車チリ
・カバさんチーム ブルムベア
・ウサギさんチーム T26E4 スーパーパーシング
優花里「おおっ!これはすごい!」
桃「勝てる!これなら勝てる!」
しほ「流石はダーリン、相変わらずいい仕事してくれるわ」
沙織「なんだかなあ…」
19:
第2話「聖グロと練習試合です!」
ダージリン「こんな言葉をご存知かしら?『民族の高等下等はその民族のトイレの作り方で判断できる』」
オレンジペコ「木村徳蔵と新渡戸稲造ですね、なんでそんな格言が出てきたのか皆目わかりませんが」
ダージリン「今日は練習試合ですがお互いに悔いのない…、あら?あなたは…」
しほ「西住しほ16歳です!しぽりん16歳って呼んでね♪」
ダージリン「…」
オレンジペコ「…」
アッサム「…」
優花里「うわぁ…、聖グロの人たちがドン引きしてる…」
沙織「無理もないよ、見慣れてる私たちでもアレな時があるし…」
20:
ダージリン「あの…、角谷さん?あの人は一体…」
杏「ウチの隊長の西住ちゃん16歳だよ。何か問題でも?」
ダージリン「ヤバい病気で何年も入院してたとかそういう人なのですか?」
杏「いや、いたって健康だよ?何故かみんなそう尋ねるんだよねえ」
ダージリン「なんかヤバいことになりそうなのでさっさと済まして帰りましょう」
アッサム「そうですね…」
21:
『試合開始!』
アッサム「ダージリン、向こうの戦車は我々のチャーチルやマチルダ?よりも性能は上です。車輌数が同じで
ルールが殲滅戦では正直勝ち目は薄いです」
ダージリン「こんな言葉をご存知かしら?『まともじゃない人間の相手をまともにすることはない』」
オレンジペコ「伊達政宗ですね」
ダージリン「市街戦に持ち込むことが出来ればまだ勝機はあるわ」
22:
ルクリリ「ちょっと!なんなのあのスピードは!」
しほ「おーっほっほっほ!ガスタービンエンジンの力をなめてもらったら困るわ!流石はマイダーリン!
完璧なエンジン調整だわ!」
沙織「ちょっと麻子!スピード出し過ぎ!履帯がもたないよ!」
優花里「70km/hくらい出てるんじゃないかなあ…」
華「これはさすがにレギュレーション違反なのでは…」
23:
『試合終了!5対0で大洗女子学園の勝利!』
アッサム「まさかここまで一方的な展開になるなんて…」
オレンジペコ「戦車の性能差だけじゃなくて隊長の指揮もすごかったですね」
ダージリン「こんな言葉をご存知かしら?『だめだこりゃ』」
オレンジペコ「いかりや長介ですね、ちょうどコントの爆発オチみたいな格好になってますし」
アッサム「ドリフ大爆笑のオチのジングルが聞こえてきそうです…」
しほ「勝った!勝ったわ!みんな!あんこう踊りをやるわよ!」
沙織「ええっ!勝ったのに!?」
しほ「勝利の喜びを体で表現したいのよ!さあみんな!早くタイツに着替えて!」
桃「お前ら何をやっとるんだ!しぽりん16歳がこう仰ってるんだぞ!早く言われた通りにしないか!」
杏「みんなー、悪いねえ、西住ちゃんもこう言ってるからさあ、あたしの顔を立てると思って、ね?恩に着るからさあ」
沙織「ううっ…、やだなあ…」
24:
熊本・西住家
まほ(お母さまが『青春を取り戻す最後のチャンス!』などと言って姿を消してから3か月…、お父さまや
菊代さんとは連絡を取り合っているようだがどこで何を…)
みほ「お姉ちゃん!大変だよ!」
まほ「みほ、どうした?」
みほ「これ!これ見て!」
まほ「なに?YоuTube?」
『変態全身タイツおばさん渾身の舞!』
まほ「な…、なにをやっとるんだあの人は…」
みほ「既に50万HITだよ…、もう表を歩けないよ…」
まほ「なにが青春だ…、青春病院で診てもらえ…」
しほ『燃やして焦がしてゆーらゆら♪』
34:
第3話「戦車喫茶ルクレールでの再会です!」
戦車喫茶ルクレール店内…
優花里「聖グロから日東ティーバッグとダイソーの紙コップが贈られてきたそうですよ」
麻子「『二度と関わりたくない』という意思表示らしいな」
華「あんな負け方したら無理もないでしょうね」
優花里「なんか悪いことしちゃったかなあ」
しほ「…でね、私も最初はいやだったのよ。でもね、ダーリン…常夫さんに開発されるうちに…」
沙織「そっ…、それで!?その後は!?」
華「あの…、しぽりん16歳、公共の場所でその手の話題を大声で話すのはどうかと…、
沙織さんも興味があるのはわかりますけど…」
沙織「華!今いいとこなんだから!」
35:
みほ「あ」
まほ「あ」
しほ「あ」
エリカ「あ…、師範?」
しほ「お…、お姉ちゃん?」
まほ「誰がお姉ちゃんだ」
しほ「いや、私16歳だし」
みほ「厚かましいにも程があるよ…、志村けんのバカ殿が尺八のBGMとともに
刀に手を掛けるレベルだよ…」
38:
エリカ「あの…、師範、こんなところでそんな格好して一体何を…」
まほ「おいエリカ、師範ってこんなのがまるで私たちの身内みたいな言い方だな」
エリカ「いや、どう見てもこの人、隊長たちのお母さまじゃ…」
みほ「逸見さん、まさかあんな変態セーラー服おばさんが私たちの母親だと?」
エリカ「いや、でも…」
まほ「なあエリカ、お前はまさか黒森峰が隊長と副隊長の2人を敵に回してもやっていけるような
甘いところだと思ってるんじゃないだろうな?」
エリカ「いや、あの…」

まほ「もしこのことを他言したら…、わかるな?みほ、今年度の戦車道における死亡事故の発生件数は何件だ?」
みほ「まだ0件だよ。でも、黒森峰から第1号が出たら大変だね」
まほ「エリカ、西住家の力は知ってるな?」
みほ「お姉ちゃん、逸見さんは利口な人だからそんなに念を押さなくてもわかってくれるよ。ね?」
エリカ「は…、はい…」
39:
麻子「向かいのテーブルからものすごく重い空気が漂ってくるんだが」
優花里「まあ娘さんたちの気持ちもわかりますよ、もし自分の母親がこんなだったらと思うと、
背筋が凍る思いですから」
しほ「うえええん!お姉ちゃんたちに無視されたあああ!」
華「こういうときは何かおいしいものを食べて気を紛らわすのが一番ですよ。すみませーん、アップルパイと
海鮮丼のセットを大盛りで!あ、セットの飲み物はドクターペッパーでお願いします!しぽりん16歳は
何にします?」
しほ「じゃあ豚骨パーコーメンを半チャーハンセットで!セットの飲み物はペプシモンブランね!」
沙織「私たち先に帰るね…」
優花里「どうぞごゆっくり…」
麻子「付き合いきれん…」
40:
ウェイトレス「お待たせしました、大洗シーフードカレーセットです」
みほ「お姉ちゃん、カレーが来たよ」
まほ「いやあ、楽しみにしてたんだ」
みほ「あ、これ、おいしいね」
まほ「そうだな、食べログの評価も高かったからな、おや?エリカ、どうした?食が進まないようだが」
エリカ「すみません…、今なに食べても味がわかんないです…」
53:
第4話「サンダース大学付属高校との1回戦です!」
秋山理髪店…
優花里「しぽりん16歳と一緒にサンダース大学付属高校に潜入してきました」
沙織「2人で行ったの!?」
優花里「1人で行くつもりだったんですが、どうしても連れてけって頼まれて…」
しほ「潜入なんて初めてだったからもうワクワクしちゃって♪」
優花里「それで、これがその映像です」
『実録!突撃!!サンダース大学付属高校』
麻子「凝ってるなあ」
優花里「まだ仮編集なんですが」
華「これで仮なんですか…」
54:
優花里『我々は今、サンダース大学付属高校に来ています。店員に変装してコンビニの貨物船に密航してきました』
優花里『ではトイレでサンダースの制服に着替えましょう』
沙織「うわぁ…、透け透けの赤レース…」
麻子「派手な下着だなあ」
しほ「ピーチジョンの新作なのよ。他に色違いで3着持ってるの、黒と紫のやつ」
華「あの…、下、剃ってらっしゃるんですか?」
しほ「ブラジリアンワックス使ってるのよ、ダーリンの趣味で。見る?」
麻子「見たくない見たくない」
沙織「見せなくていいから!」
優花里「ちょっと!人の部屋でパンツ脱がないでください!」
55:
優花里『2人で歩いてるとサンダースの皆さんの視線が突き刺さってきます』
しほ「もー私ったらどこ行っても注目の的なんだから♪」
沙織「悪目立ちしてるだけだと思うけどなあ」
しほ『ハーイ!』
サンダース生『!?』
優花里『目も合わさずに逃げていきました』
しほ『噂と違ってシャイな人が多いみたいね』
沙織「そうかなあ…」
56:
優花里『あっ!お巡りさんがこっちに来ます!どうやら不審者として通報されたようです!』
しほ「まったく、失礼しちゃうわねえ」
華「無理もないと思いますけど…」
優花里『もはや潜入レポートどころではありません!戦略的撤退であります!』
     完
沙織「ちょっと…、なにこれ…」
優花里「申し訳ありません、有効な情報を入手できませんでした」
沙織「ゆかりん、次回からは1人で潜入してね」
57:
麻子「しかし、情報を入手できなかったのは残念だな。編成とかがわかれば優位に立てたのに」
しほ「大丈夫よ!任しといて!『我ニ秘策アリ』よ!」
華「今度はなにを始めるんでしょう?」
沙織「不安だなあ…」
優花里「あの…、いい加減パンツ穿いてください…」
しほ「あら、私としたことが。なんか涼しいと思ったら」
試合編に続く
64:
ケイ「はーいアンジー!今日はよろしくね!」
杏「やあやあ、こっちこそよろしく頼むよ」
ケイ「あら?あなたは…」
しほ「西住しほ16歳です!しぽりん16歳って呼んでね♪」
ケイ「あの…、先日学園艦で目撃された変質者にそっくりなんだけど…」
杏「彼女はウチの隊長の西住ちゃん16歳だよ、何か問題でも?」
ケイ「16歳って…、ヤバい病気で何年も入院してたとかそういう人なの?」
65:
杏「なんでみんなそう言うのかなあ、いたって健康だよ?ねえ?」
しほ「そうそう、この間の健康診断でも病院の先生に『まだ20代後半の肉体です』って言われちゃって?」
ケイ「まだ20代後半って…、16歳じゃないの?」
沙織「もうなにがなんだか…」
67:
『試合開始!』
優花里「それで、しぽりん16歳の『秘策』ってなんですか?」
しほ「これよこれ!今大会のために用意した秘密兵器!無線傍受装置!」
優花里「ええっ!いいんですか!?」
沙織「確かにルールブックには記載されてないけど…」
麻子「限りなくグレーゾーンに近いな」
しほ「黙ってりゃわかんないわよ、いい?まずは空中アンテナを展開するためにこのバルーンを…」
華「あの、あっちも何か風船が上がってますけど…」
しほ「ああっ!先を越された!」
68:
しほ「おのれぇぇ!汚い手をぉ!」
優花里「えーっと…、どの口が言いますか?」
しほ「カバさんチーム!アヒルさんチームと合流!2輌で図上H20地点へ!」
沙織「ちょっと、何する気?」
エルヴィン「アヒルさんチームとともにH20に到着」
しほ「了解!アヒルさんチーム、ブルムベアを踏み台にして最大限の仰角を取れ!三式対空榴弾装填!信管VT!
目標!10時方向の敵バルーン!」
典子「了解!射撃準備完了!」
しほ「撃て!」
どーん
69:
優花里「敵バルーンの撃墜を確認」
しほ「これでよし、これでこっちが無線傍受やり放題!未来永劫こっちのターン!」
沙織「いいのかなあ…」
麻子「なんだかなあ…」
『サンダース大学付属高校フラッグ車、走行不能!よって、大洗女子学園の勝利!』
71:
しほ「勝った!勝ったわ!」
杏「いやあ、1回戦突破だねえ」
優花里「いいんでしょうか?なんか釈然としないなあ…」
杏「いいのいいの、勝ちゃーいいのよ」
しほ「そうそう、勝てば官軍!」
杏「おケイが『フェアじゃない!』って怒ってたけど、お互いさまだよねえ?」
華「フラッグ車の車長の人が何とも言えない表情でこっちを見てましたねえ」
柚子「あの…、会長、戦車道連盟の人が次回からは傍受装置使わないでくれって…」
優花里「ほら、やっぱり」
しほ「ええっ、高かったのに…、まあいいわ、2回戦もこの調子で頑張りましょう!」
沙織「この調子って…、ずっとこんな感じなのかなあ…」
72:
第4話終、次回第5話「アンツィオ高校との2回戦です!」に続く。
84:
第5話「アンツィオ高校との2回戦です!」
優花里「というわけで、またしぽりん16歳と一緒にアンツィオ高校に潜入してきました」
沙織「ゆかりん!1人で行けってあれほど…」
優花里「ご心配なく、前回の反省から今回は私が調査している間、しぽりん16歳はコンビニで待機してもらいました。
では映像をご覧ください」
『秋山優花里のアンツィオ校潜入大作戦』
?中略?
優花里『と、いうわけで、アンツィオの秘密兵器とはイタリア軍唯一の重戦車、P40でした。では、しぽりん16歳を
 回収して帰還します』
客『おばちゃん、メビウス1個』
しほ『煙草は番号でお願いします』
優花里『ちょっと!いつまで店員やってるんですか!帰りますよ!』
しほ『店長が来週からパートで入ってくれないかって言ってるんだけど…』
優花里『好きにしてください』
杏「うーん、今回はまともな潜入レポートになったねえ」
優花里「でもP40って資料が少ない幻の戦車って呼ばれてるんですよねえ」
しほ「心配ないわ!図体は大きくても火力と機動力がそこそこで装甲が紙の典型的なイタリア戦車よ!
負ける要素が見当たらないわ!」
杏「おー頼もしい」
沙織「大丈夫かなあ…」
85:
試合当日…
杏「やあチョビ、今日はよろしく」
アンチョビ「絶対負けないからな!…ってなんだそのおばはんは?」
しほ「…あ?」
ペパロニ「おばちゃん、父兄の観覧席はあっちっすよ。そんなコスプレまでして気合いの入った応援っすね」
杏「彼女はウチの隊長の西住ちゃん16歳なんだけど…」
しほ「…」
カルパッチョ「16歳って…、ヤバい病気で何年も入院してたとかそういう人なのですか?」
杏「なんか変なスイッチが入ったみたい。知ーらないっと」
86:
しほ「あいつらぁぁぁ!ふざけやがってぇぇぇ!美容院の美容師も呉服屋の店員もみんな
『奥様、お若いですね』って言ってくれるのにぃぃ!」
華「それは社交辞令なのでは…」
しほ「ゆかりんのお父さんだってこの間顔剃りに行ったとき、『本当に若いですねえ、家内と
同い年とは思えませんよ』って言ってくれたのよ!」
優花里「すっ…、すみません…、父の不用意な発言がみなさんに迷惑を…」
沙織「いや、理容師さんってみんなそんな感じじゃないかなあ…」
麻子「秋山さんやお父さんのせいじゃないと思うぞ」
しほ「一人残らず血祭りに上げてくれるわ!」
87:
『アンツィオ高校フラッグ車、行動不能!よって、大洗女子学園の勝利!…って発砲をやめてください!
 だから勝負ついたからもう撃つなって言ってんだろがぁ!失格にするぞゴルぁ!』
優花里「勝つには勝ったけど、罪悪感が半端じゃないんですが…」
華「虎の子のP40を完全に廃車にしちゃったから、全員号泣してましたねえ」
麻子「あいつら再起不能だろうな」
杏「うーん、チョビ子に泣きながら『お前らに食わせるパスタはねえ!』って言われちゃったよ。
試合後の宴会楽しみにしてたのになあ」
カエサル「ひなちゃんに絶縁されてしまった…、『もう二度と顔も見たくない』って…」
しほ「戦車道やってたらこんなの日常茶飯事よ?私なんて試合の後、友達なくすどころか、不幸の手紙は届くわカミソリレターは届くわ、
ひどいときには猫の生首や小包爆弾は届くわ、自宅に放火されたり轢き逃げされそうになったりしたんだから」
沙織「私、戦車道やめようかなあ…」
華「いままでどんな戦い方をしてきたのか目に浮かぶようです…」
優花里「娘さんたちが嫌がるのもわかるなあ…」
88:
第5話終、次回第6話「プラウダ高校との準決勝です!」に続く。
95:
第6話「プラウダ高校との準決勝です!」
杏「次の試合からそど子ちゃんたち風紀委員の3人が助っ人に来てくれることになったよ」
しほ「というわけで彼女たちのために常夫さんが用意してくれたゴージャスな新戦車がこれ!
フランス軍試製重戦車、ARL40よ!」
優花里「おおっ!本物初めて見た!実在してたんだ!」
しほ「本当は発展型のARL44にしたかったんだけど」
優花里「いや、あれは戦後の型だからまずいでしょ」
ゴモヨ「こんなの3人だけで動かすの無理だよ…」
そど子「仕方ないわね、サド香とマゾ江にも手伝ってもらうわ」
パゾ美「そうだね…」
96:
華「次の相手のプラウダ高校といえば前回の優勝チームですね」
優花里「そうですね、決勝戦での黒森峰との試合は伝説ですからね」
沙織「確か黒森峰のフラッグ車の子が川に落ちた仲間を助けようとして川に飛び込んだんだよね」
優花里「ええ、テレビで見てて涙が出ましたよ。試合は逃したけどスポーツマンシップに溢れる行動でした」
麻子「雑誌で読んだんだが、危険を顧みず勝負を捨ててまで仲間を救ったのが評判になって、副隊長と隊長の
株がチームの内外でぐっと上がったんだってな」
しほ「なによ!いくら評判が上がっても負けたら意味ないでしょ!」
優花里「いや、でもそのおかげで戦車道のイメージが良くなったって話ですし…」
しほ「勝利が全てなのよ!姉妹2人ともこっぴどくお仕置きしてやったわ!」
沙織「うわぁ…」
華「せっかくの美談が台無しですね…」
97:
しほ「でもそれ以来2人ともまともに口利いてくれなくなっちゃって…」
麻子「当たり前だ」
しほ「なんか家にも居辛くなっちゃって、こうしてここに来たんだけど」
沙織「そんなサイドストーリーがあったんだ」
優花里「なんだかなあ…」
103:
杏「やあやあ、今日はよろしくね」
カチューシャ「今日は絶対負けないわ!…ってあの人は…」
杏「ウチの隊長の西住ちゃん16歳だけど何か問題でも?」
しほ「しぽりん16歳って呼んでね♪」
カチューシャ「…なんかヤバい人みたいね、いろんな意味で」
ノンナ「スルーした方がよさそうですね」
104:
『試合開始!』
?中略?
沙織「包囲されちゃったね…」
優花里「戦車の性能に頼り過ぎて相手をなめてましたね、あんな見え見えの陽動に引っかかるなんて…」
麻子「寒さでみんなの士気が下がってる、この休戦の間になんとかしないと」
華「でもどうすればいいのか…」
しほ「ここはあんこう踊りよ!」
105:
沙織「えっ?」
優花里「はあ?」
しほ「とおっ!さあみんな私に続いて!」
麻子「なんでピンクのタイツなんて穿いてるのかと思ったら下にあんこうスーツ着てたのか」
華「てっきり冷え性対策なのかと思ってました」
沙織「あの…、トイレに行きたくなったらどうするの?全部脱ぐの?」
桃「何をしてるんだ!早く一緒に踊らないか!」
沙織「でも準決勝からはテレビ局来てるし…」
杏「あー大丈夫、深夜に『熱闘戦車道!』でダイジェストやるだけだから誰も観てないって」
優花里「いや、それにしたって…」
106:
観客席…
「わはははは」「いいぞー、おばちゃん」「BBA無理すんな」
みほ「…」
まほ「…」
エリカ(ひぃぃぃっ!隊長と副隊長が血の涙を流してる!)
まほ「勝ったな…」
みほ「そうだね…」
エリカ「へ?」
まほ「みほ、帰るぞ。ヤツを倒さない限り我々に未来はない」
みほ「うん、みんなには悪いけど帰ったら地獄の特訓だね…」
エリカ「あわわわわわ」
しほ『味噌で醤油でアッツアツ♪』
『プラウダ高校フラッグ車、行動不能!よって、大洗女子学園の勝利!』
114:
杏「というわけで、いよいよ決勝戦なわけだが」
しほ「はっきり言って私の娘…もといお姉ちゃんたちはいままでの相手とはレベルが違うわ」
優花里「そうですね、確かに戦車の性能はこちらが上ですが、搭乗員の錬度は向こうがずっと上です。
更に向こうはルールの上限の20輌でくるはずですから数の上での劣勢はいかんともしがたいです」
杏「自動車部の4人と猫田ちゃんたちのネトゲ仲間が助っ人に来てくれることになってるんだけど」
麻子「実戦経験の乏しいのが2輌増えても焼け石に水じゃないかな」
柚子「自動車部のみんなはともかく猫田さんたちはどうかしら…」
しほ「ここはやはり更なるテコ入れが必要ね」
115:
沙織「今度は何が始まるの…」
しほ「あ、もしもし常夫さん?私だけど。うん、今度まほたちと戦うことになったんだけど、
テコ入れが必要かなあって。え?そうくると思って準備してた?素晴らしい!エンジニアの
鑑だわ!宇宙戦艦ヤマトの真田さんみたい!ありがと?このお礼はベッドの中で?え?
ラクス・クラインとキュアロゼッタ?もー女房に娘と同じ声のキャラのコスプレさせて
どうすんのよ?ダーリンったら?愛してるわ?浮気なんてしたらハンマーで2個とも叩き潰すから?」
116:
しほ「というわけで、ダーリンがまた助けてくれることになりました」
数日後…
杏「みんなー、新しい戦車が来たよー」
・マウス改・試製ワルターエンジン搭載モデル 8輌
桃「おおっ!これなら勝てる!」
優花里「うーん…、なんぼなんでもやり過ぎなのでは…」
杏「いやー、このワルターエンジンってすごいねえ、マウスこんなに大きいのに普通の戦車と変わらない機動力じゃん」
華「ペーパープランだけだったとはいえこんなのが存在してたなんて、まさに『ナチスの科学力は世界一ィィィ!』ですね」
しほ「あ、そうだ、触媒の過酸化水素には気をつけてね。常夫さんのとこの若い人がうっかり頭からかぶって骨だけになったから」
優花里「ひぇっ…」
沙織「うわぁ…」
麻子「普及しなかった理由がわかるな」
117:
熊本・黒森峰…
まほ「いよいよ大洗女子学園との決勝戦だ、エリカがストレス性十二指腸潰瘍で入院してしまった今、
赤星と直下の2人が隊の要だ。私とみほを助けてくれ」
みほ「私からもお願い!」
小梅「まかせてください!」
直下「でもエリカさんが突然血を吐いて倒れたときはびっくりしました」
まほ「意外とデリケートなやつだったんだな。あ、そうだ、みほ、ちょっと」
みほ「なに?お姉ちゃん」
まほ「わかってると思うが、この先何があっても『試合中の事故』だ。いいな?」
みほ「うん、お母さんには悪いけど、これ以上恥をさらすよりも、一思いに楽になってもらった方が…」
試合編に続く。
120:
試合当日…
マウス改8輌登場、黒森峰の選手全員瞳のハイライト消失。
『隊長・副隊長、両者、礼!』
みほ「お母さん…、さんざん恥をさらしておいて、今またこんな…、私やお姉ちゃんがどんなに…、
そんなに私たちが憎いの!?ねえ!答えてよ!」
まほ「みほ、よせ、私たちのお母さまは死んだんだ。あれは我々の生涯の敵、変態セーラー服おばさんだ」
桃(なにこの空気…、胃に穴が開きそう…、副隊長なんて引き受けるんじゃなかった…、柚子ちゃん助けて…)
121:
ヒッサツ!!マッテローヨ!!
しほ「な…待ちなさい貴女たち!!偉大なる私の頭脳をこの世から消してはなりません!!」
イッテイーヨ!!
みほ・まほ「逝っていいってさ…」
しほ「ま、待ちなさい貴女たち!落ち着いて、やめて!やめなさい、まほ、みほ!」
しほ「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
ズドーン
みほ・まほ「さよならお母さん(様)…私たちの未練…」
こうなるんですか、わかりません
122:
『試合開始!』
沙織「もう来た!」
優花里「森の中をショートカットして来たんだ…、それも陣形を保ったままフルスピードで…」
しほ「おーっほっほっほ!全部お見通しよ!だってその戦術教えたの私なんだから!全車輌砲撃開始!」
杏「いやー、やっぱマウスの装甲はすごいねえ。この距離でも75mmや88mmどころかヤークトティーガーの
122mmもはね返していくんだから」
ねこにゃー「こっちだけズルしてずっとボーナスステージだにゃ」
そど子「あーっはっはっは!こんなに強くてなにがマウスよ!」
ゴモヨ「そど子、すごくうれしそうだね…」
エルヴィン「まるで第1次大戦のソンムの戦いにおけるドイツ軍の機関銃隊の活躍を見てるようだ」
カエサル「いや、どっちかと言えばマリアナ沖の七面鳥撃ちだろう」
カバさんチーム一同「それだ!」
123:
沙織「これじゃ試合というより弱いものいじめだね」
華「ちょっと気が引けますね…」
優花里「数の劣勢を兵器の質で補うという大戦末期のドイツの戦略思想は間違ってなかったってことですね」
麻子「そうかなあ…」
みほ「お姉ちゃんごめんなさい!」
まほ「みほ!おのれぇぇ!よくもぉぉ!」
沙織「なんかフラッグ車が突っ込んで来るんだけど」
まほ「やらせはせん!やらせはせんぞ!貴様如き変態に黒森峰の栄光を!私のプライドを!やらせはせん!」
杏「あー、なんかティーガー?の後ろにでっかい悪魔みたいなの見えるんだけど気のせいかなあ?」
桃「気のせいじゃありません!」
柚子「なにあれ…」
しほ「情無用!ファイア!」
どーん
125:
『黒森峰女学園フラッグ車、行動不能!よって、大洗女子学園の勝利!』
しーん
しほ「勝ったわ!優勝よ!…ってあら?皆さんドン引きね、どうしたのかしら?」
沙織「そりゃライオンがシマウマを捕食するとこ見て喜ぶ人ってあんまりいないでしょ?」
杏「面倒だなー、勝ちゃーいいのよ勝ちゃー」
しほ「そうそう!勝利こそ全てなのよ!」
理事長「あ…、あの、西住さん?あんまりこういう真似されると戦車道の品位とか風格といったものが…」
126:
華「優勝して廃校を免れたのはいいんですが、その代わり全方位に敵を作ってしまったような気がするんですが…」
しほ「ジョジョ2部のカーズみたいなもんで頂点に立つ者は常に孤独なのよ。まあカーズと違ってセックスはするけど」
優花里「どうしてもそっちの方に話をもっていきたいんですね…」
麻子「いいかげんにしろこの色ボケ」
まほ「みほ…、お姉ちゃんもう疲れちゃった…。何もかも捨てて遠いところに行きたい…」
みほ「それなら2人でカレー屋さんでも始めようか…。前から思ってたんだけどお姉ちゃんの作るカレーって
お金取ってお客さんに出せるレベルだよ…」
まほ「そうか…、それもいいな…」
みほ「あ…、お姉ちゃん、アレがこっちに来るよ…」
しほ「お姉ちゃん、やっと見つけたよ!私の戦車道!」
まほ「あっそう…、良かったね…」
135:
最終回「劇場版です!」
辻「君から説明しておきたまえ」
杏「大洗女子学園は8月31日付で廃校が決定した。廃校に基づき学園艦は解体される」
沙織「戦車道大会で優勝したら廃校は免れるって…」
杏「あれは確約ではなかったそうだ。存続を検討してもよいという意味で正式に取り決めたわけではないそうだ」
桃「なんで繰り上がるんですかああ…」
しほ「みんな落ち着きなさい!こんな時こそあんこう踊りよ!」
桃「そうだ!何をしてるんだ!みんな早くタイツに着替えろ!」
杏「なんでやねん」
麻子「あんたらが落ち着け」
136:
杏「みんな静かに!今は落ち着いて指示に従ってくれ」
柚子「みんな聞こえたよね?申し訳ないけど寮の人は寮に戻って。自宅の人も家族の方と
引っ越しの準備をしてください」
しほ「いや、ここはやはりあんこうスーツではなく、思い切って全裸でしょう」
桃「そうですね!お前ら!早く脱げ!私も脱ぐから!」
杏「だからなんでやねん!あんたら人の話を聞けって!」
優花里「あの…、戦車はどうなるんですか?」
しほ「それなら大丈夫、あれ全部私の私物だから。落着き先が決まるまで常夫さんに預かってもらいましょう」
華「そういえばそうでしたね」
沙織「まあ一安心かな」
杏「みんな…、済まない…」
しほ(パンツ一丁)「あーの子会いたやあの海越えて♪」
桃(パンツ一丁)「頭の灯りは愛の証♪」
杏「って人がしんみりしてんのに何やってんだよ!」
沙織「もう放っておきましょう」
柚子「桃ちゃん…、もう少し自分ってものを持ってよ…」
143:
杏「みんな、試合が決まった!」
柚子「試合?」
杏「大学強化チームとだ!大学強化チームとの試合に勝てば、今度こそ廃校は撤回される!」
杏「無理な戦いということはわかってる、だが必ず勝って、みんなで大洗に、学園艦に帰ろう!」
優花里「西住殿…」
しほ「うん、また常夫さんに骨を折ってもらわないと…」
ナカジマ「社会人を破ったチーム!?」
桃「いくらなんでも無理ですよ!」
杏「無理は承知だよ」
桃「しぽりん16歳はどう思います?」
しほ「向こうの隊長は島田のとこのクソガキね、あいつら昔から大嫌いなのよ!新参者のくせに
西住流に盾突いてきやがってムカつくったらありゃしない!見てなさい、手は打ってあるから。
あのバカ親子、『西住流には勝てなかったよ…』ってM字開脚でアヘ顔ダブルピースさせてやるわ!」
杏「相変わらず頼もしいなあ」
優花里「今度はなにする気ですか…」
144:
試合当日…
沙織「いくらマウス改とはいえ、こっちは8輌で相手は30輌だよ」
華「その上ルールは殲滅戦ですし…」
麻子「なにか策があると言ってたが」
優花里「どうせまたロクでもないことなんでしょうが」
亜美「ではこれより大洗女子学園と大学選抜チームの試合を行ないます。礼!」
『待ったああああ!』
沙織「マウスが4輌こっちに来るよ!」
優花里「あの塗装とマーキングは黒森峰です!」
小梅「大洗女子学園、赤星小梅!」
直下「同じく、直下履帯子(仮名)!」
小梅「以下18名、試合に参戦します。短期転校の手続きは済ませてきました。戦車道連盟の
許可も取り付けてあります」
しほ「ありがとう、赤星さん!」
小梅「いえ、いいんですよ。その代わり、私の次期隊長就任の件、よろしくお願いしますね」
直下「私は副隊長で」
しほ「わかってるわ、2人とも悪いようにはしないから」
146:
沙織「あっちから聖グロとサンダースのマークのマウスが来るよ!」
優花里「こっちからはプラウダのマウスが!」
華「これは一体…」
しほ「ああ、それなりの見返りを払うしマウスもリースしてあげるって言ったらどの学校も
二つ返事で助けてくれることになったのよ。やっぱり持つべきものは友達ね」
沙織「友達かなあ…」
麻子「絶対違うと思う」
カルパッチョ「カバさんチームのたかちゃーん、来たわよー、お金のために」
ペパロニ「世知辛いっすね」
アンチョビ「言うな」
アキ「なんだかんだ言って助けてあげるんだね」
ミカ「違う、お金もらっちゃったからね」
ミッコ「身もふたもないなあ…」
149:
絹代「お待たせしました!昨日の敵は今日の盟友!勇敢なるマウス22輌推参であります!」
ダージリン「増援は全部で22輌って言ったでしょう?あなたのところは6輌」
絹代「すみません!心得違いをしておりました!16輌は待機!」
しほ「おーっほっほっほ!これでウチの戦力はマウス改が30輌!ちよきち!土下座して謝るなら許してあげてもいいわ!」
辻「卑怯だぞ!」
理事長「うーん…、確かにこれは卑怯ですねえ…」
亜美「異議を唱えられるのは相手チームだけです。でもこれは流石にどうかと…」
愛里寿「我々は構いません、受けて立ちます。試合を始めてください」
亜美「いや、でも…」
愛里寿「大丈夫です、こちらはカールが30輌ですから」
亜美「えっ」
しほ「えっ」
杏「えっ」
153:
『試合開始!』
優花里「うわあああ!600mm砲弾の弾幕が来たあああ!」
杏「やーらーれーたー!」
沙織「みんな片っ端から撃破されてるよ!」
しほ「おのれぇぇ!汚い手をぉぉぉ!」
麻子「人のこと言えないだろ」
華「どの口が言いますか…?」
愛里寿「各中隊、間隔を開けて散布界を広げろ。こちらは近接防御能力がないから近づかれたらおしまいだ。
アウトレンジから確実に殲滅しろ」
メグミ「一方的過ぎて心苦しいわ」
千代「おーっほっほっほ!ずっと愛里寿ちゃんのターン!」
愛里寿「あの…、お母さま、危ないから観客席に戻ってください…」
千代「愛里寿ちゃん!今夜は愛里寿ちゃんの大好きな目玉焼き乗せハンバーグにしてあげるわ!びっくりドンキーに
席を予約しといてあげるから!」
愛里寿「本当ですか!?やったあ!」
メグミ「隊長かわいいなあ」
ルミ「びっくりドンキーって…、金持ちなんだからもっと高いとこ行けばいいのに」
アズミ「意外と庶民的な店を利用してるんですね」
157:
ケイ「ナオミ!アリサ!逃げるわよ!」
ナオミ「イエス、マム!」
アリサ「言われなくてもスタコラサッサです」
カチューシャ「逃げるなんて隊長じゃないわ!でも今回はあのおばちゃんが隊長だからカチューシャは逃げても
問題ないわよねえ?」
ノンナ「カチューシャ、賢明な判断です」
ダージリン「しほさん頑張って、戦いは最後の5分間にあるのよ」
しほ「ゴルぁぁぁ!貴様ら逃げるなぁぁぁ!」
沙織「お金で買った絆なんてこんなもんでしょ」
アンチョビ「とりあえず帰ってパスタを茹でよう」
ペパロニ「そっすね、前金で全額もらってることですし」
絹代「後退的撤退ー!」
ミカ「皆さんの健闘を祈ります」
しほ「だから逃げるなぁぁぁ!金返せぇぇぇ!」
158:
『残存車輌、確認中』
『目視による確認終了』
『大洗女子学園、残存車輌なし。大学選抜チーム、残存車輌、カール30輌。大学選抜チームの勝利!』
千代「やーい!バーカバーカ♪」
しほ「ぐぬぬ…!」
愛里寿「あの…、お母さま、恥ずかしいからやめてください…」
桃「もうおしまいだー!」
柚子「終了です!我が校は終了です!」
159:
しほ「待ちなさい!絶望とは愚か者の出す結論よ!まだ希望はあるわ!」
杏「この期に及んでまだ何か策があると?」
しほ「困ったときの常夫さん頼みよ!彼ならきっとなんとかしてくれるわ!あ、もしもし常夫さん?
私だけど。うん、島田の連中が卑怯な手を使ってきて…、このままじゃ廃校に…、うん、そうなのよ、
あのクソ眼鏡さえなんとかすれば…、え?まかせとけ?昔取った杵柄?もー本当に頼りになるんだから?
じゃあよろしく。え?裸エプロンで手料理?君がお湯を注いでくれたペヤングは最高だ?ダーリンったら?
じゃあね?愛してるわ?あ、そうだ、ついでにあのバカ親子も始末しといて」
しほ「というわけで、またダーリンが助けてくれることになりました」
優花里「あの…、ご主人って何者なんですか?」
しほ「あら、言わなかったっけ?彼、私と結婚して堅気になる前は防衛省の非公然活動員で、北や中共のスパイを
何人も血祭りに上げた凄腕のエージェントだったのよ」
沙織「怖ぁ!」
優花里「96時間のリーアム・ニーソンみたいです…」
しほ「2人の出会いは、彼がロシアに情報を流してる自衛官を戦車道の試合中の事故に見せかけて抹殺するのを、
私が手伝ってあげたのが始まりで…」
麻子「やな馴れ初めだなあ」
華「究極の似たもの夫婦だったんですね…」
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