【良スレ】変わる決心をしたback

【良スレ】変わる決心をした


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1:
色々と経験して、心を入れ替えて頑張ることにした
良かったら経緯を聞いてくれると嬉しい
忘れたくないことがたくさんあるから、書かせて欲しい。
pickup
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3:
何を経験したの?
5:
以前も同じ名前のスレッドを立てて
途中で落ちちゃったんだ
覚えてくれている人はいるだろうか?
ログは残ってるのでしばらく前のスレの内容と同じ事書いていくよ
6:
俺、現在大学3年、一浪経験したのち地元の大学へ。
ブサメン、ブサメン。なんかバナナマン日村っぽい。
友達はいないほうじゃないと思う。
大学も、割とフツーに楽しんでる
毎日が特につまらないということはない
7:
けっこう時間かかるかも、ごめん。
俺にはずっと好きな人がいた。
好きな人ってより、大切な人って言ったほうがしっくり来る
コテコテかもしれないけど、幼馴染。
幼稚園〜高校まで、ずーっと一緒だった女の子がいた。
9:
なんでこんなブサメン2ちゃんねらーにそんな幼馴染がいたかって言うと
彼女は近所に住んでる女の子だった
彼女の家は、少し坂を登った小高い場所にある煙草屋だった
そこの店の孫だった。
俺の家は、その坂を下った場所にある
小学校に通うとき、いつも坂を登るとそこに煙草屋があって
彼女がいるのがよく見えた
8:
覚えてるよー!
好きだったけど、書くの遅すぎ
完結してください
10:
>>8
そのつもりだよ
あれからまた本当に色々あった
けど逃げるつもりはない
今度はちゃんと書ききるよ
11:
物心ついた時から一緒で
地区のイベントだったり学校のイベントも一緒になって
本当に幼馴染だった
でも年齢を重ねるたびにその思いは変わっていった
彼女は可愛かったんだ
中学に上がった頃くらいから、彼女は自分とは違う世界の人間なんだと気づき始めた
12:
学校だと彼女とまったく話せなくなった
だから俺は学校の帰りに、あの小高い坂の上にある煙草屋に寄ったんだ
そこは煙草屋だけどアイスとかお菓子も売ってたから
俺は買い食いをするフリして、彼女に会いに行っていた
でもほとんど会える日はなかった
彼女は塾も部活もしていたしね
忙しかったんだ
14:
だからいっつも彼女の婆ちゃんと話してたんだ。
いっつもニコニコしてたなあの婆ちゃん
きっと俺の気持ちに気づいてたんだろうな
当時はそう思わなかったけど、今だからそう確信できる
彼女の婆ちゃんがいつも番台に立っててさ
俺が外のベンチに座ってアイス食ってた
たまに煙草を買いに来る常連さんに
「今日もいるんだw」とか言われてた
15:
彼女の婆ちゃんがまたいい人でなあ
中学生男子のわがままとか、どうでもいい悩みとか、よく聞いてくれたんだ
思えば、俺は本当に良い田舎に生まれた
いい人達に囲まれてた
16:
学校帰りに、自転車で坂をくだる直前に、ドキって
胸がうずくんだよな
彼女の家、煙草屋を見て。
今日は寄ろうか、どうしようか?みたいな
寄ったってどうせ彼女には会えない
でも行ったら、今日は、彼女がいるかもしれない、みたいな
いっつも家に帰る直前でそんな葛藤を心でするんだよなw
17:
そーんな悩むなら、帰る方向マジで一緒なんだから
「一緒に帰ろう」って簡単なこと、一回くらい言えば良かったのにな。
本当馬鹿だよ
いっつも下らない期待だけして一人で帰ってた
でもとある日、一度だけ彼女に出くわしたことがあった
18:
俺がいつもどおり、アイス買って帰ろうとしたら
番台に彼女が出てきたんだ、いらっしゃいって
夏だったから、真っ白なTシャツ着てうちわパタパタさせて。
店番しててもおかしくはないけど、初めての事だったから驚いたな
「あ、◯◯君じゃん、なんかいつも来てるんだってね」って言うんだ
俺が通ってたこと、知ってた
19:
すごく興奮して嬉しかった
妄想が実現したもんだから、本当にドキドキした
今思えば、ある意味人生最良の日だったかもしれんな
彼女は笑って、「アイスなんかただでいいよ」って言った
で、二人でチューペット半分こにして食べた
番台に立つ彼女をジーっと見つめながら
外のベンチでかっこつけてチューペット食ってたなw
20:
俺もう本当に夢見心地だった
学校の皆が誰も知らない彼女の一面を
自分だけ知ってる気がして、自分がすごいカッコイイことしてるような気分になって
でも、彼女は不意にこんなことを言ったんだ
「なんで毎日ウチに来るの?」
そう、俺の家のもっと近くにはコンビニがあった
俺が毎日彼女の家に寄るのはけっこう不自然なことだった
21:
何も言えなかった
俺はこの一言がなんかショックだった
彼女は続けて
「学校でももっと話そ」みたいに言っていた
俺はそれから、彼女の家に寄り付かなくなった
なんだか、彼女に見透かされてる気がして
嫌な思いをさせてるような気がして
今思えば中学生らしいな〜とも思うけど
俺はその日からまったく彼女の家に寄らなくなった
22:
もちろん、ブサメンで卑屈になっている俺は
学校でモテモテ、明るい彼女に話しかけることはなかった
話しかけたい、と何度も思ったけど
彼女の取り巻きが怖いし、周りの男子の目もあるし
俺と話してたら、周りから
「え、◯◯なんかと友達だったの?」ってなるかもしれない
23:
学校だと俺から避けてるフシもあったし
彼女と俺が実は仲がイイなんて誰も知らなかった
だからこそ、俺は彼女ん家の煙草屋さん、
通称「坂の上」に通っていた
坂の上の煙草屋だから、坂の上。
よく「坂の上で煙草買ってきて」とかいう風に使ってた。
学校でも話しかけないし、坂の上にも行けない
彼女との距離はどんどん離れていった
24:
変わりたいと思ってる奴は(特にビップラには)ゴマンといる
彼らと君との違いはなんだろう?
見つけられたらがんばってほしい
27:
>>24
特に違うことはないと思う
ただ俺の場合は行動に起こしただけで
25:
そんなこんなで俺は高校になったが
彼女と距離をつめることもなく
お互いただただ、昔の幼馴染、という存在になっていった
俺は、とても大好きだったのにね
そして一気に話がとんでしまうが、このあたりから本筋
俺が受験で見事に滑って、
悲しい悲しい浪人生活がスタートするわけですよ
26:
浪人は本当にキツイ
ただただキツイ、もし考えてるヤツいたら、けっこう覚悟いるぞ
俺は自宅からひたすら毎日予備校に通っていた
ひたすら勉強、やることなんて特になく
まわりはみんな新生活スタート
ただひたすらに落ち込んだな、あの時は
28:
同級生がみんなはしゃいでて
浪人した俺のことなんてみんな忘れちゃうんじゃないかって不安になった
事実それでだいぶ荒れた
世界に独りにでもなったような気分になるのよね
親にも随分反抗して、本当申し訳ないことしたな
でも、焦りと、不安と、なんとも言えない気持ちに襲われるんだ
それが毎日
29:
何を思ったか、俺はある日
予備校の帰りに、久々に坂の上に寄ろうと思った
もしかしたら彼女がいるかも、なんて一縷の望みもあったが
懐かしいものにふれて、少しでもリラックスしたかった
彼女の婆ちゃん、話聞いてくれるかな
なんて淡い想いを抱きながら久々に路肩に自転車を停めた
30:
がらっと戸を開けると
そこには随分久しぶりに見る彼女の姿があった。
見慣れない、おしゃれな私服の姿で。
古ぼけた番台に、真新しいパソコンを広げてカタカタやっていた
驚いた、なんで彼女がいるんだろう
大学に行ったとは聞いていたけど、夢の様な光景に本当にびっくりした
31:
俺「久しぶりぃー…」
彼女「あ、◯◯君だーw」
相変わらず、明るくて人に好かれそうな雰囲気だった。
俺「何してるの…?」
彼女「今日ね、大学半日だから。お手伝いw」
俺「なるほどー…」
彼女「前にもこういうことなかった?w」
32:
驚いたな、彼女覚えてた
あんな何気ない日のこと
嬉しいんだか、もったないんだか。
俺「あーあったねぇ…」
彼女「聞いたよ。◯◯君浪人でしょ?大変そう」
俺「あー…まあね…」
彼女が俺のこと知っててくれたことに感動した
ちなみに彼女は割と頭良かった
俺より一年先に地元の大学に行っていた
33:
俺しか見てないか?
いいペースだ
続けろ
34:
俺はその日、アイスを買ってベンチで食べた
でも、それ以上彼女が話しかけてくることはなかった
気を使ったのかもしれないな いい子だから
俺はそれでもいいなって思った
しばらくここに通えば彼女の顔が見れる
今度「なんで来るの…?」って聞かれたら正直に言おう
そんな心持ちだった
36:
単純だったな 俺は
彼女に会える可能性があると知った途端
毎日が急に色づいたような気がした
それから俺は、予備校帰りにかなりの頻度で坂の上に寄って帰るのが日課になった
彼女がいる日も、いない日もあった
でもそんな繰り返しが楽しかった
いない日はいない日で、次に会えるときの事を期待できるからね。
37:
そんなこんなで夏くらいまでは坂の上に通うのが日課だった
とは言え、受験生。
デート誘うなんてとんでもないし、彼女とメールすることなんて一切なかった
ただ、予備校帰りの一瞬、たとえ話さなくても、彼女の顔が一瞬見れるだけでよかった。
それが本当に楽しみ楽しみで、毎日頑張ってひたすら勉強した。
38:
彼女は「何で来るの?」とは言わなかった
聞かれたら「好きなんだ」くらい言うつもりでいたが
彼女は俺が来ることになんら特別な気持ちはないようだった
まるで遠い昔の関係性が戻ったように
俺が顔を出すと彼女は決まって忙しそうに何かの作業をしていた
俺に気付くと顔を上げて
「お疲れ様、毎日大変だね」と決まって笑いかけてくれた
40:
夏になると、とても焦る
まだ春でいた気分が
夏になると、「あ、やばい受験が来る」
って凄い焦る
それでいて浪人生の夏はすごく短く感じる。
俺は8月になると、ほぼ毎日のように坂の上でアイスを買って
ベンチで食べて帰っていた
坂の上に行くと、焦る気持ちが本当に和らいだ
42:
ベンチに座って街を見下ろして
「俺、何やってんだろう」
って虚しくなることもしょっちゅうあった
なかなか眺めのいい場所で、座るたびに虚しくなった。
勉強しなくていいや、って思うことも多々あった
でもそのたびに彼女と話して
早く勉強して大学行って、正々堂々と彼女に向かい合おう、って思った
45:
正直、夏の坂の上はお世辞にも居心地が良いとは言えなかった
太陽がガンガン照りつけるし、本当に暑い。
虫もたくさんよってくるし、蝉は狂ったように鳴いててやかましい
でも、眺めだけはそれなりに良くて
散歩がてらとか、イイ気分転換に、ってわざわざ煙草を買いに来るお客さんは沢山いた
俺もそれでアイスを食べに来るわけだが
もちろん俺の目的は彼女だった
46:
暑さも少し衰えてきた頃、
坂の上で彼女をほとんど見かけなくなった
それだけを頼みの綱に生きていた俺は、嫌な予感がした
何かあったんだろうか
何かあったんだ。
まあ当然っちゃ当然
あんだけ可愛くて素朴な子だ
48:
彼女に恋人が出来た
坂の上に行った時
彼女本人から、伝えられた 彼女の言葉で
「彼氏ができちゃった」
楽しそうに笑う彼女を見て、俺はおめでとう、って笑った
49:
嬉しそうに話すんだ
何も知らずに、写メまで見せてきやがって
とても優しそうで、人のよさそうなメガネの男性がいた
先輩らしい
うん、これなら安心だ って自分を納得させた
彼女が好きになった人だ、間違いなくいい人なんだろう
50:
悔しかった
正直、めっちゃ泣いた
なんか傲慢だけど全てを失った気がした
ぜーんぶ、俺が悪いんだけどね。
それからは再びまったく坂の上に行かなくなった
ひたすらに勉強に打ち込むようになった
現実逃避で勉強に夢中になった
52:
それからは瞬く間に時が過ぎて
センターも、特に緊張することはなかった
死ぬ気で勉強して、まったく滑る気なんてしなかったんだ
誰に応援されることもなかったが
とにかく早く大学に行って、俺も遊んでやろうって考えていた
センター問題なし、2次試験も。
俺は危なげなく、志望通り地元の大学に通うことになった
ただ、気にかかっていたのは
国立2次の前日に彼女から
「頑張ってね」ってメールが来ていたことだった
53:
こうして一年遅れで俺は彼女と同じ大学に通うことになった
とは言え
学部が違うので最初はほとんど会わなかった
俺は怒涛のように渡される新歓コンパのビラを一切受け取らなかった
あれだけ大学をエンジョイしようと考えていたのだが
実際大学に入ってみるとどうでもよく感じられ
何もやる気がなくなった
54:
それでも、大学の暮らしは決して悪くなかった
学部に仲の良い友人もでき
女っ気こそないものの、バイトも始めて楽しい日々を過ごしてた
5月にハタチの誕生日を迎えしばらく経った頃
俺は一丁前に煙草を吸い始めた
本当にただのかっこつけだった
55:
そんな俺は、大学帰り
本当に何も考えず、坂の上に行った
そういえば、ここで煙草を買ってみたいなって、純粋に思った
ひどい夕立で、急いで走って坂の上に駆け込んだのを覚えてる
まだコンビニで買うのも微妙に抵抗があったし
ちょうどいいなって思ったんだ
56:
そこには無表情で、メガネをかけてパソコンをいじる彼女がいた
俺は手にタオルを持ったまま放心した
「いらっしゃい…」
そう言って彼女も俺と同じように驚いたようで、ピタっと動きが止まった
大学でも一度も顔を会わせたことがなく、本当に久々だったので
俺は心底動揺した。
まさか、彼女がいるなんて思っても見なかった
そんな期待、していなかったのだ
58:
「久しぶり、凄い雨。大丈夫?」
そう言って彼女は喋り出した。
俺は、あぁ…みたいな良く分からん相槌を打ってしまった
「暖かいもんあったかな?」と言いつつ彼女は一旦に中に引っ込んでしまった
「あったよ〜」と言いつつ、彼女は熱いお茶を持って再び現れた
俺は目の前で起こっていることに対応しきれず、
お茶をもらって「う、うぃす…」
みたいにまったく意味不明の態度をとっていたw
59:
彼女はお茶を飲んでいる俺をじーっと見つめていた
もう、緊張してお茶どころじゃなかった。
彼女「メール返ってこなくて心配してたけど、良かった。」
唐突に彼女は言い始めた。
俺「え?」
俺は一瞬なんのことかサッパリ分からなかった
60:
あのメールのことだった
入試の前日に、突然やってきた激励のメール。
俺は、別にわざと返さなかったわけではない
本当に嬉しかったし、勇気が出た
でも彼女に恋人がいたのも知っていたし
俺が彼女に変に関わってしまうのも申し訳ないだろうと思い
色々考えた結果、返信しなかった
それが俺なりのけじめだったし、
彼女を無理に諦めるためになかば強引に返事を我慢したのだ
62:
幼なじみかわいいの?
64:
>>62
美人だと思うよ
63:
まあよく考えればメールの一通くらい返すのが常識だろ、と思うけど
その一通がダメだったりする
俺はそう考えていた
俺「あ、うん…あれはごめん…でもありがとう」
彼女「お母さんに聞いたんだよ、◯◯君合格したんだって。
本当によかったね。」
そのあと、しばらく沈黙して、嫌な時間が続いた
俺は目の前にいる彼女に、何を言えば良いかさっぱり分からなかった。
65:
俺「あのさ、彼氏さんとはどう?」
とっさに出た一言がコレだった。
彼女はうつむいた 初めて見るような表情だった
彼女「別れたよ…」
彼女はまたうつむいて黙った
俺「そうなんだ、ごめん…」
どうして?とは聞けなかった
何か事情ありげだったから、聞けなかった
66:
創作でないの?現実味がないくらいめっちゃいい話だとおもうが
創作なら創作といいきってくれた方が楽しく読めるんだが
リアルならリアルと断言してくれ
67:
>>66
体験談だよ
だからすごいオチがあるとかでもないけど聞いてくれたら嬉しい
69:
俺は、その後クールぶって
「CABIN一つ。」と言って、店を飛び出た。
土砂降りの雨の中、思いっきり走った
もうどうでも良かった
やった やった!!
俺は手を思いっきり握りしめて全力で走った
もう本当に嬉しくなって楽しくなって
ひたすらテンションが上がった
71:
彼女が別れたってのに、喜ぶなんてひどい話だが
現に、彼女は悲しんでいるだろうに…
でもそんなことは、ほんっとうにどうでも良かった
彼女が、ひとりに!!
もうその想いしかなかった
今度こそ、今度こそ!
絶対に彼女に向き合おう、俺はただそう考えて
一人で本当にハイになった
80:
今まで、どれだけ彼女を見て、彼女に焦がれてきたかことか。
今度こそ、彼女に伝えよう、彼女と向き合おう
そう思うと胸がワクワクしてドキドキして、いてもたってもいられなくなった
彼女に何を言おう?彼女とどこへ行こう?
今まで色んな制約でとどめていた彼女への想いが、一気に爆発した。
何をしたら喜んでくれるかな、何を言ったら笑ってくれるかな
俺の心のなかはあっという間に彼女で一杯になってしまった
81:
大学で、毎日彼女を探すようになった
毎日、坂の上を見に行くようになった
もう、なにも取り繕う必要はない
自分に嘘をつく必要はない
彼女を心から好きになっていいし、目一杯彼女のことを想っていい
そう考えた瞬間、本当に急に毎日が楽しくなった
「ああ、生きてるなあ」ってひしひしと感じるようになった
82:
それから、彼女とはたまーに一緒に帰るまでになった
電話とかもちょいちょいするようになった
来ている…来ている。
俺はもう毎日が楽しくて仕方なかった
夏休みが待ち遠しくて仕方なかった
ずっと思い焦がれていた子と気兼ねなく仲良しでいられる
それだけで、本当に嬉しかった
83:
夏休みになったらすぐだ
俺からデートに誘った
生まれてはじめて女の子を遊びに誘ったよ
待ち合わせ場所に、彼女がいる喜び
俺は嬉しくて死にそうだった
二人顔あわせて「いこっか」って行って歩き出す
何もかもが初めて
そして目の前に最高の相手、夢のようだった
84:
よく分からない俺はボーリングに誘った
映画とか、カラオケの方が良かったのかな?
二人で電車に乗って街へ出てボーリングした
ほんと、中学生みたいだなw
でも、何をしてても彼女は本当に楽しそうにしてくれるので
俺は安心だった
85:
俺がストライクとると
「すごー!」って言って
手を叩いて喜んでくれる
自分がストライクとるとピョンピョン跳ねて喜んでさ
本当に可愛いかったよ
で、テキトーに買い物行ったりフラフラして
二人で一緒に帰って、坂の上に戻ったんだ
86:
坂の上のベンチに二人で座ってアイス食べた
俺にとっての思い出の場所。
きっと、彼女にとってもそうだろう
暑くて蝉がうるさくて、とても居心地が悪いんだけど
何度も来てしまう
そして今は彼女と二人で
87:
隣を見ると、彼女笑って嬉しそうにアイスを食べてる
その光景が可笑しくて微笑ましくて
なんとも幸せな気持ちになった。
俺は最高の気分だった
彼女のことをずーっと想おうって考えていた
そして、俺と彼女の最初で最後のデートは終わった
88:
夏休みが明けると、彼女は大学を中退していた
あまりに突然のことで、俺も最初はまったく整理がつかなかった
何があったのか、さっぱり分からない。
彼女から突然
「ごめんね、私大学辞めました。もう会うのは難しいよ」
というメールが届いたのだった
90:
一体何があった?
91:
その後、彼女から電話でことの経緯を聞いた
どうやら、彼女の昔の彼氏が
煙草屋からたびたび目を盗んでは売上金を盗んでいたらしい
そして、彼女は彼氏と別れたそうなんだが
その件で父と母が散々揉めたらしい
93:
もともと彼女の両親はそんなに仲良くなかったのだが
その一件でめっちゃ揉めて夫婦仲が一層悪くなったらしい
最初は彼女の一件でもめていたのが次第にエスカレートし
なんと父親は不倫までしていたということが明らかになったらしく
両親は離婚
彼女の母が実家に帰ってしまったらしく
父の事を本当に許せない彼女も
母と一緒に家を出ていったらしい、大学をやめて
94:
まじか…
これはキツいな
95:
俺も耳で聞いただけだから
どうしてそういう決断に至ったかはよく知らないし
きっと色々事情があったんだろう、彼女の家なりの
ただ、俺にとってはそんなことはクッソどうでも良かった
重要なことはただ一つ
彼女が目の前からいなくなってしまったということだけだった
96:
バカなんじゃないのか?
と思った どうしてまたどっか行ってしまうんだ?
彼女の母の実家
彼女のいる場所は、俺の家から車でゆうに8時間以上はかかった。
遠いなんてもんじゃない
下手したらもう一生会えないんじゃないのか?俺はショックだった
97:
彼女が大学をやめて遠方の地に行ってからの俺は
空っぽだった
マジで抜けがら。
講義も単位ぎりぎりまでサボった
家で煙草をふかして一日中パソコンに向き合うことも多くなった
最初のうちは彼女に何度か電話したが
向こうで仕事に就いたらしく
次第に連絡も少なくなった
99:
3ヶ月くらいが経ったのち
寒くなってきた頃、
坂の上はシャッターを下ろした。
彼女のお婆ちゃんが体調を崩し
店番をする人がいなくなった店は
二度とシャッターが開くことはなかった
身の回りの、彼女の面影があるものがどんどん消えていった
100:
年が明けると
一緒に行ったボウリング場も潰れた。
本格的に、彼女が本当にこの街にいたのか怪しくなってきた
幼い頃から、本当に一緒に過ごしてたのか
記憶だけになってしまった彼女を思い出すのが本当に辛かった
俺は車の免許を取ることにした
幸い非リアでバイト充だった俺は
貯金はそれなりにあったのだ
101:
冬休み、春休みを利用して教習所へ。
免許をとって、自らの手で彼女のいる所へ
どうして車じゃなきゃいけなかったのか分からんが
なんとなく公共の交通機関じゃなく、車で行きたかった
でも、通い始めて気づいたけど
自動車教習ってクソだるいんだよな
102:
なんとか、冬休み春休みを返上して
免許はとれそうだった
路上教習になったあたりから
一人の女の子とよく時間がかぶるようになった
彼女は大学進学を控えた高校生で
しきりに「免許とったら何する?」って聞いてきた
104:
俺はその子が苦手だった
妙に騒がしくて、うろたえてしまう
「あたしはねー、友達と旅行行くのー」
と聞いてもないのに話してくれた
それで俺に
「ねーねー俺さんはどこ行くのー?」
と聞いてくる
105:
おそらく、今時のどこにでもいるいい子なんだろうが
俺は嫌だった
一番触れてほしくないところに土足で踏み込んでくるような
今思えば、俺はなんてつまらん人間だったんだろうな
「どこも行かないよ」
そう言うとその子は冷ややかな目で俺を見て、口をきかなくなった
てきとーに答えたの、ばれたんだろうな
106:
青春ストーリーだな
107:
それからその子と教習の時間がかぶることも多く
待合室が気まずかった
意地はったこと後悔した
正直に、何をしたいか言えばよかったのに
俺の中で、まだ遠くに行った彼女のことを
想い続けてることに、恥ずかしさがあったんだろうな…
108:
その子とは卒検がかぶった
試験のあと、その子を呼び止めて
「今までありがとう」と言ってみた
すると意外にもその子は笑って
「こちらこそ」と嬉しそうに言ってくれた
俺は思い切って
「車で好きな人に会いに行ってみる」と言った
馬鹿にされると思ったけど
その子は笑って頷いてくれた
109:
良い子だなその子も
110:
免許をとると休みは終わり
学年が一つ上がった
段々暖かくなってきて、季節の変わり目と言ったところ
授業は目一杯つめこまれており
いつ彼女に会いにいくか途方に暮れた
夏休みしかないな、ってこのあたりで感づいた
111:
忙しさからなのか
俺のことを忘れたのか
この頃から彼女とはあまりメールできなくなっていた
もう半分諦めてたもんな、連絡つけばラッキー、くらいに
5月の頭くらいに、彼女に
「8月に休みとってほしい。できるだけ長く。」
とメールを打った
112:
案の定メールはしばらくなかった
一週間くらいしてから
「分かったよ。」とだけ返事があった
離れてしまってから、お互い連絡を本当に控えていた
俺は、離れてしまったら絶対結ばれることはないし
彼女の変な足かせにならないように、と連絡を遠慮していた
彼女もそうだったんだろうか
距離が、お互いに気を使わせる原因だったのかな
113:
追いついた
青春小説みたいだ
なんかそれがコミカライズされた状態で頭の中で再生される
114:
俺はそれから
無心で過ごしていた
彼女のことを考えないようにして
浮かないように上手いこと周りにも合わせつつ
日々をやり過ごした
あまり面白くはなかった
友人は好きだったけど
楽しくはなかった
116:
段々暑くなってきて
夏休みも目前に迫ってきた頃
彼女から一通のメールが来た
「8月、来るの?」
俺は、「行くよ。たくさん話そう。」と返した
すると、「風鈴買っとくね」
という意味不明なメールがあって、メールはそこで切れた
117:
必要以上の連絡のやりとりを全くしなかった俺達
それが良い事か悪いことかもよく分からなかったけど
8月になって、とうとう彼女の家に向かう日となった
運転にはだいぶ慣れていたが
初の長距離運転に、不安を感じずにいられなかった
118:
田舎から田舎に移動するという、
あまり変わり映えのしない旅ではあったが
途中一人でSAによって煙草をふかしたり
写真を撮ったりして
一人で長距離運転で旅するのは悪くなかった
すっかり夏で、少しノスタルジーな音楽をかけながら
冷房をきかせて高をひたすらに走るのは、
とても気持ちがいいものだった
119:
夕方になった頃、高を下りて下道になると
それなりの田舎が広がっていた
というか、山だった。山のふもと?
本当に何もない、山間部にぽつりと集落があるような…
近くまで行くと彼女に電話した
しばらくすすんだ道の脇に彼女が立っていた
日が傾いたとは言え、炎天下の中で、
汗ばんで笑って手を振っていた
120:
ドキッとした
一瞬で彼女だと分かった
会いたくて仕方なかった人だ。
白いブラウスに麦わら帽子という
なんとも妙ちくりんな恰好で、雰囲気も何もなかったが
楽しそうに手を振って呼び寄せるものだから
すごく胸がときめいてしまった
121:
信じられないくらい嬉しくて
ワクワクしてる自分がいることにすぐ気付いた
窓越しに近づいてきた彼女は
彼女「こっちこっち!この細い道曲がってまだ奥がウチだから!」
俺「そっか、とりあえず乗りなよ」
ひとまず彼女を車に乗せた
俺「なーんでそんな恰好なんだよw」
彼女「だって熱いからさー、母さんがかぶってけって言うんだもん」
127:
秒5センチメートルを思い出してしまう
138:
脇の細い道に入ると
しばらく上り道のようなものが続いた
ぎりっぎりで車2台がすれ違えるかどうか、くらいの広さの道
両端は草だらけ
場所によっては川で、落ちそうでヒヤヒヤした
とても冷房のきいた車内
彼女「冷房さっむいー」
俺「切ろっか、窓開けよう」
139:
窓を開けると、熱気が一気に押し押せた
俺「うわ、あっち…」
彼女「そうかなー?これくらいがいいよ」
笑って話す横顔を見て、ここまで来て良かったって思った
再び細い道を曲がって、
下って、小さな川にかかる橋を渡った。
彼女「この橋渡ればもうすぐだよ。」
俺「けっこう来たな…よくあそこまで歩いたね。」
彼女「まあね」
140:
橋を渡って、道なりに進んだ
彼女「ここ!この家!」
俺「おお、ここなら車が入れやすい」
道の角に、庭が面している家で昔ながらの素朴な家だった
庭には草や花が生えている
そして勿論大量の虫もぶんぶん飛び回っていた
俺「虫飛んでる…おりたくねー…」
彼女「はー?w」
141:
でも、広くてとても綺麗な庭だった
エンジンを切る、車を降りるとけたたましい蝉の声
この瞬間肩の荷がおりて楽になったが、すごく遠くに来たように感じた
もう夕方で、日は沈みそうだった
俺「おー、いい空気だ。遠かったー」
彼女「あー…お疲れ。早く休みなよ」
142:
玄関に向かうと、外の水道場みたいなとこに人がいた
彼女のお婆ちゃんだ。
俺「あ…こんにちは」
お婆ちゃん「おやおや、これが言ってたお客さんかい?」
彼女「そうだよー」
初対面だけど、優しそうな人だとすぐ分かった
お婆ちゃん「今、茄子洗ってるからね。あとで食べてね」
とニコニコして話してくれた
143:
玄関に入ると、勢い良く彼女の母さんが迎えてくれた
母「〇〇君、久しぶりー。遠かったでしょー」
俺「いえいえ、楽しかったですよ」
とても久しぶりに見た気がする、けど小さい頃から気心知っている人なので
こうして元気に暮らしていることを実感できてとても安心した
母「夕飯まではもう少し時間かかるから、ゆっくししててね」
と言われたので、ひとまず空いている部屋に荷物を放り投げ
一階で冷たい飲み物をいただくことにした
145:
彼女が、
「カルピスしかねーw」って笑いながら持ってきた
そう、俺は小さい頃はあまりカルピスが好きじゃなかった
俺「いや、今はわりと好きだから大丈夫w」
彼女「そうなの?ならよかったw」
居間の隣の縁側の窓が開いていたので
そこに座ることにした
146:
俺「割と風通しよくていいね」
彼女「窓あけとけば割とねー。虫は寄ってくるけどw」
チリンチリン、と音が鳴った
上を見ると青い風鈴が風に揺られて鳴っていた
ああ、これがメールで言ってた…と思ったけど
俺はあえて触れないで、黙っていることにした
雰囲気とかもあったけど、単純に疲れててあんまり言葉が出なかった…んだと思う
147:
特に話すことも無くて、どんどん赤く染まる空を眺めてた
外からお婆ちゃんがじゃぶじゃぶと茄子を洗う音と、蝉が鳴く音が聞こえて
時たま風鈴の高い音が響いた
信じられないくらい夏、って感じ
俺もそこにいて、少し感動してしまうくらい、日本の夏だった
ぼーっとして、本当に時間がゆっくり流れてるんじゃないかと思うくらい
148:
いい雰囲気だなーとしみじみ思いつつも
やはりあまり無言もよろしくない、と思った俺は
無理にでも口を開こうと思った
庭を見渡して、沢山の花が咲いていたので
俺「沢山花があるよね。一杯生えてるあのピンク色のは…」
彼女「ああ、さるすべりかな?素朴で綺麗だよねー」
俺「まあどこにでも生えてそうでいいね…」
彼女「何それー」
149:
綺麗な文章だな
夏の情景が浮かぶ
150:
俺「もっとこうさ、ばーっとひまわりが生えてるようなとこはないの?」
彼女「あるよ、少し歩くけどね」
俺「あるんだー、向こうにはひまわりってあんまり生えてなかったもんな」
彼女「うん」
この時、向こうの話になってしまってハッとした。
それから、またしばらく無言
喋らず、夏の音が頭に響いた
やっちまったかな、って思った
151:
日が沈んで暗くなり始める頃
彼女のお爺ちゃんが畑から帰ってきた
みんなで居間で畳に座って食卓を囲った
その日の夕飯は夏野菜のカレーだった
オクラが並んでて、ビックリした
彼女「〇〇君オクラ好きだったよねーw」
俺「いや、これマジ納豆の次に最強っしょ」
と笑いながらご飯を食べた
オクラが好物なんていいね、と爺ちゃんと婆ちゃんに笑われた
152:
ご飯を食べ終わると、
有無を言わさずテーブルにスイカが出てきた
塩をかけるかかけないかで揉めたw
スイカまで頂いてこのままはいけんな、と思い
俺は台所に行って食器洗いを志願した
彼女と二人で食器をいそいそと洗った
慣れないことなので彼女に
「へったw」
と小言を言われながらも黙々とこなした
153:
食器洗いを洗い終えると、
みんなで居間でテレビを見ながらマターリしてた
煙草吸うんじゃない?って言われて
彼女のお母さんがガラスのでっかい灰皿を持ってきた
俺「いやいや、ここで吸うのは…」
と言って俺はそそくさと縁側に移動した
154:
縁側に腰掛けて
一人で煙草を吸っていると
黙って彼女が隣に座った
ハっとして振り向いたもんだから、笑われた
俺「臭いぞ?」
彼女「◯◯君いっつも臭いもんー」
俺「はー?w」
彼女「うそうそw」
156:
煙草を吸ってリラックスしていたので話やすかった
俺「で、どーなのよ?」
彼女「何が?」
俺「こっちは。元気でやってるの?」
彼女「うん。いいところだし、仕事も楽しいよ」
俺「そっか。寂しくはないの?」
157:
彼女「その質問卑怯だねーw
寂しくないワケないじゃん…」
俺「ごめん…」
風鈴の高い音に混じって、ジーっとかリリリリ…と虫の鳴く声が聴こえた
普通に考えれば、今は隣にいるけどまたすぐ離れ離れ
俺もなんだか落ち込んでしまった
158:
良いわー
159:
彼女「お酒飲む?」
俺「いや、いいかな」
酒を飲むには最高の場だったけど、純粋に味わっていたかった
煙草にカルピス、くらいがちょうど良かった。
俺「明日さ、出かけよう」
彼女「え、そりゃそうでしょ」
俺「ひまわりあるんでしょ?見に行きたい」
彼女「いいよー。まあそれだけじゃないし、色々見て回ろっか。」
160:
それから、あまり言葉を交わすこともなく
部屋に入って一緒にパソコン見たりして遊んだ
風呂に入って、自分の部屋に戻って、一段落
長い一日だった
車で大移動して、彼女に会って
ずっとここにいたいな、と思った
162:
窓を開けて、持っていたペットボトルを灰皿にして、一服。
目の前をひゅんひゅん虫が飛んでいた
空を見ると、思った以上に星が見えた
何故か知らんけど、この時俺泣きそうだった
喉のあたりがなんか詰まって熱くて、
「あ、俺泣きそうなんだな」って悟った
163:
次の日の朝なんだか俺は早起きしてしまった
下に降りると、彼女の母さんが朝ごはんの支度をしていて
「あら、早いねー。〇〇まだ寝てるから、起こしてきたら?」
と言われた
居間ではお爺ちゃんとお婆ちゃんがテレビを見ていた
俺も一緒にテレビを見ていると、彼女が下りてきた
彼女「朝ごはんまだだよねー?」
母「まだー」
というやりとりを交わした
164:
すると彼女は俺に向かって手招きをした
一瞬なんのことだか分からずぽけっとしていたら
「来て!」と声に出して言われた
玄関から外に出た
彼女「一緒にやってもらおうと思って」
俺「何を?」
彼女「花の水やりだよ」
165:
俺「ああー、でもこの時間はまだ涼しくていいね。」
彼女「でしょ?この時間外に出ると気持ちいいんだよ」
そう言いながら彼女は水道からホースを引っ張ってきた
俺「朝顔なんてあるんだ」
彼女「ま、一応ね。そっちにじょうろあるから適当にまいといてw」
俺は言われたとおりそこら一帯の花々に水をかけた
本当にいい朝。
166:
一緒に庭で花に水やって
なんていい時間だったんだろう
今でも夢のようだ
ふざけてこっち向かって水うってきたりするんだ
やめろよーwなんつって、中学生か俺らは、って感じ
あーあ…
そんでその爽やかな気分のまま朝飯へ
168:
ご飯に魚に味噌汁という、日本の朝
彼女はバタバタして卵を食卓に持ってきた
彼女「やっぱこれがないとさーw〇〇君もかけるでしょ?」
と言って卵を割る
皆で笑いながら卵かけご飯
かくいう俺は卵+納豆かけご飯という最強タッグ
171:
それ俺もやるわw
最高の朝メシだよなー
172:
最初こそ、俺がここにいて良いのかという疑問があったが
彼女の家の人はみんなとても優しい
もうすっかり俺はなじんでいた
そのまま婿に行きたいくらいだった
俺「今日はどうする?たっぷり時間があるよ」
彼女「出かけようー夏を堪能しようよ」
俺「車出す?楽だし」
彼女「はー?w歩くに決まってるだろー」
体力には自信がないけど、もっともだなと思った
173:
出かける頃は、すでに暑かった
太陽本領発揮と言った感じだ
俺「うぇ、すでにあちいなー」
彼女「今日は一杯歩くからタオルと水は持ってよね」
そう言うと彼女はタオルを渡してきた
案の定昨日と同じように麦わら帽子をかぶっていて、なんとも決まらない恰好だった
俺「なんとかならんの、それw」
彼女「うっさいよー」
と言いつつもその姿が段々と可愛いと思えてきた
174:
まず、きた道をたどる
橋と小さな川が見えてくる
俺「車じゃ全然分からんかったけど、この川いい感じだねー」
彼女「涼しげだよ」
俺「よく分からんけどやたらと花が生えてる」
彼女「私もよくわからんw唐松草くらいかな分かるの。」
と言って彼女は楽しそうに俺を呼び寄せた
175:
橋の上からじゃよく分からないので
俺たちは川辺におりた
俺「あの花は?あのちっこいの」
彼女「わっかんないwこれは唐松草ー」
と言って彼女は俺にギザギザした花を渡してくれた
川いいなーと思って俺は靴を脱いで川に足を入れて遊びはじめた
177:
最初は彼女もためらっていたが、サンダルを脱いで参戦した
水はひんやり冷たくて、なんとも爽快だった ただ痛い
俺「気持ちいいねー夏だわーw」
彼女「涼しいねー」
俺「ただこれ気をつけないと怪我するね、痛い」
川に足をつけてぼーっとしてると彼女が水をかけてきたので
お互い、「綺麗に見えてこの水汚かったらどーする!」
とか言いながら水をかけあった
179:
少しはしゃぎ過ぎて疲れて、
川辺で二人で座って休んでいたら
彼女の母さんが車で通りがかった
母「こんなところにいたwあのさー」
彼女「どうしたの?」
母「もし時間あったら畑言って野菜とっておいてくれないー?
今日おじいちゃん達出かけるんだってー」
彼女「分かったー」
俺はぼーっとしてそのやりとりを眺めていた
180:
彼女「だってさ」
こっちを向いて楽しそうに笑った
俺「じゃあ、行くか?」
彼女「行こう行こうー、夏野菜の収穫を味わえるとは幸せなことだよw」
野菜の収穫なんて、小学生のときの授業以来じゃなかろうか
思えば、その時の授業も彼女と一緒だったっけ
181:
すると、彼女は急に走りだした
俺「ええ?どこいくの?!」
彼女「追いかけないとはぐれるよーw」
と面白がって駈け出した
俺「勘弁してよw」
と言って俺はハアハア言いながら彼女に走って追いついた
彼女「うそうそw一回家に戻るんだよ。」
182:
家に着いて、俺は外で携帯灰皿片手に一服決めて、
彼女が出てくるの待っていた
煙草を吸うのもしんどい、
太陽の熱射線と、蝉の声が体をついた。
玄関の奥からバタバタと音がして、彼女が出てきた。
でも、さっきと何ら変わらない白いシャツにショートパンツ
てっきり農作業の恰好でもしてくると思ったのだが。
183:
俺「あーれ、てっきり着替えてくるのかと。ジャージとか」
彼女「違うよー、これ!」
そう言って彼女はグイッとトートバッグのようなものを突き出した。
彼女「それに〇〇君と一緒なのにジャージとか嫌だよー」
俺、この時妙にこの一言にドキッとしたけど、
今思えば本当にどういう意図だったのか
俺「でも麦わら帽子はかぶるんだね」
彼女「仕方ないじゃん」
184:
ふーむ、切ないような懐かしいような
引き込む文章だな
185:
俺「でも、そんなに肌出てて大丈夫?虫とか日焼けとか」
彼女「大丈夫だよ、気をつけてるし」
確かに彼女は白かった
気を使ってなさそうで、案外そういうことに気をつけてるんだろう
俺は、玄関の脇の水道で顔をおろして水を飲んだ
すっげえ美味かった
でも蛇口が上を向かないから飲みにくいのなんの。
186:
俺はそのまま彼女から渡されたタオルを冷水にジャブジャブと濡らした
すげえひんやりして気持ちいい。
俺「おい!これマジでやばいぞ!」
彼女「えー…」
彼女は最初こそ怪訝な顔をしてこちらを見ていたが
いざ、試してみると
彼女「何これー超いいじゃん!」
俺「だろー?」
そう言って二人で笑って、並んで冷たいタオルを首にかけて歩いた
188:
来た道とは逆。山にそって道をゆっくり登っていく
あまり言葉も浮かばず、しばらく黙って歩いた。
ミミミミミミ…と蝉の声だけが耳を突いた
木陰を通っていたので直射日光こそなかったが、
むせかえるような暑さ。
彼女が大丈夫か、俺は常に
隣をチラチラ見て気にかけた
190:
歩いていると、畑に着いた
俺「おお、けっこう広いんだね」
彼女「今日は、昨日使っちゃったんでまずは茄子をとります。」
そう言うと彼女は嬉しそうに軍手をポケットから取り出した
俺「俺のは?」
彼女「あ、素で忘れたwごめん、そのままやってw」
悪気なくこういうこともするんだ
191:
楽しそうに野菜を採る彼女を見ていると、
なんだかとても可愛らしくて仕方なかった
畑にぼーっと突っ立って、自分が改めて恋をしていることに気付いた
とは言え野菜をとらないワケにはいかないので、俺も手伝う。
彼女「とうもろこしなってるかな、とってっちゃえ」
そう言うと彼女は器用にとうもろこしをとり始めた
俺も悪戦苦闘しながら手伝った
192:
彼女「たくさんとれたねー。〇〇君ありがとー」
彼女はトートバッグいっぱいに詰まった野菜を見て笑った
俺「野菜をとるなんて、なかなか貴重な体験だね。楽しかった」
重い?なんつってトートバッグの持つ取っ手みたいのを
二人で片方ずつ持った
まるでトートバッグを介して手を繋いでるように
ってかまあ、そうしないと本当に重いってのもあったんだけど
195:
二人でトートバッグを持って歩いていると、
彼女、終始クスクス笑うんだ
「どしたの?」って聞いても
「言ーわない」って笑うだけ
歩いていると、畑にいた知らないおばさんに話しかけられた
「あー、〇〇ちゃん、仲良しさんねー」
と、やや遠巻きに声をかけられた
彼女は笑って「あ、どーもーw」
と言ってたけど、俺も恥ずかしかった
196:
「ちょっと持ってて」と言って彼女は走りだした
何やら、おばさんと談笑してる模様
けっこう遠くだから、もやで霞んで見えたけど、かなり仲良さそうに
俺はそれを見て、彼女は新しい土地でも
彼女なりに頑張って、色んな人に愛されてるんだなぁって悟った
戻ってくるなり、
「もらったーw」
と言って得意げに俺にトマトを見せてきた
「よかった」と笑いつつも、なんだか嬉しくてほっこりした
198:
彼女「けっこう時間かかっちゃったね
一回家帰って、お昼にしよっか?」
俺「それは名案。ちょっと休もうぜー」
そういうと彼女は黙って笑ってうなずいた
登ってきた道を、彼女と二人で下っていく
彼女「せっかくもらったし、冷やしトマトして…」
彼女は一人で料理の構想を言い始めた
俺は笑って、うんうん、とうなずいていた
199:
今でもあの木陰と陽の光が入り混じった下り道が懐かしい
空気を読まずに蝉が鳴いてて、楽しそうに語る彼女
家に着くと、彼女は「ただいまー!」と大きな声を出した
誰もいないのに、彼女のテンションは高かった
野菜を台所に運んで、居間の窓を開ける
窓をあけると、若干風が入ってきて風鈴が音を立てた
彼女「扇風機まわそうぜー」
と言って奥から彼女が扇風機を出してきた
200:
すげえ情景だ
めっちゃノスタルジーだわ
201:
彼女がガタガタとお昼ごはんを作り始めた
おもむろにテレビもつけて、なんだか家の中が妙に活気で溢れた
俺が「手伝うよー」と言ったけど
「男は座ってろーw」と言われてご飯ができるのを待つことに
なんとなく手持ち無沙汰で、俺が扇風機に向かって「あ”ーっ」
ってやっていると、彼女はこっちを向かず台所から
「何やってんのw」と言って笑った
203:
しばらくすると彼女は、テーブルに
ガラス食器に並々入ったそうめんと氷を持ってきた
それに、冷やしトマトにチーズが乗っかったヤツと、キュウリの浅漬け
彼女「手抜きでごめんねーw」
俺「いやいや、いいじゃない。まさに夏って感じだね。」
事実、暑くてクタクタだったからこの上ないご馳走だった。
彼女に「とうもろこし茹でる?」
と聞かれたけど、「夜にしよう」ってことになった
204:
他にも料理はあった気がするけど、細かくは覚えてない
ガーーっって扇風機が回る音と、遠くから聞こえるようなテレビの音
二人で冷たくてうめーっていいながら夢中でそうめん食べてた
ご飯を食べていると、空が曇ってきていて、一雨きそうな感じだった
彼女「あー…なんかちょっと嫌な天気」
俺「だねー、外に洗濯物なかった?」
彼女「あったね…」
なんて他愛もない会話をしていた
214:
こっちでした
217:
そんなこと言ってご飯を食べ終わる頃、
雨が突然降り始めた、
彼女が「まずいまずいー」って言ってサンダルを履いて外へ飛び出た
「〇〇君も早く来て!」
と言われて二人で大慌てで洗濯物を取り込んだが、
途中でなんだかおかしくなって、二人で大笑いしながら洗濯物を中に入れた
それくらい、突然通り雨がやってきた
中に入って一息ついた
彼女「通り雨だし、すぐやむんじゃない?涼しくなっていいねー」
と言って彼女は洗い物をしていた
219:
彼女の言った通り、しばらくするとまた陽が出てきた
しばらく二人で携帯いじったり、テレビ見て
風鈴の音も心地よく、ぼーっとしていた
すると彼女が突然
彼女「携帯なんていつでもいじれるわー」
と言って立ち上がった
俺「どうしたの?」
彼女「早くしないと夕方になっちゃう」
そう言って彼女は俺の背中をパシッとたたいた
220:
玄関を出て、また陽の中へ
雨が降って、若干空気は澄んでいたものの、暑さはより一層増している気がした
俺「うわあ…あちぃー」
彼女「何言ってんだよ、ひまわり見に行くんでしょ?」
俺も、嫌がる素振りは見せていたものの、実はひまわりを見たくて仕方なかった
俺「うんうん。で、どのくらいかかるの?」
彼女「けっこう歩くけどね、まあ日が沈む前には帰ってこれるでしょw」
221:
車で来た道を戻り、橋の方へ歩く
その道に日陰はなく、ひたすら日光が突き刺さる。
川の水が若干増えていて、気持ちのいい水の音を立てていた
さすがに俺たちも歩いて暑さと戦ってる時はあまり話さない
とは言え、もう陽が傾きはじめる時間だったので、
暑さもお昼に比べれば和らいではいた、
家から出た瞬間は本当に暑く感じたのだが
222:
けっこう入り組んだ道を進んだ
俺「おいこれ、大丈夫?帰れるの?」
彼女「さあねーw」
と言って俺を茶化して笑っていた
俺はもう一人になったら絶対に帰れない自信があったw
家から離れて少し経つと、ミーンミーンという蝉の声に混じって
スイッチョスイッチョ、というつくつくぼうしの声も聞こえた
山の小さな、車一台通れるかという不安定なアスファルトの道を進んでいった
223:
遠くで、ガァーッというトラックが往来する音が聞こえた
蝉の声が止む気配もない
黙って、俺の右少し前を顔を赤くして、麦わら帽子をかぶり歩く彼女を見ていて
ふと色んな想いが巡った
ずっと惹かれていて、中高時代は憧れの的だった彼女が
今、俺の隣を歩いている
それもこんな遠い、俺しか知らない場所で
でもそれは言い替えれば、今が終われば
また隣からいなくなってしまうということだった
224:
この時、彼女も同じようなことを考えていたんだろうか
こんな距離を隔ててしまった俺達が、これからひっくり返ってもそばにいられない事
黙って、ただひたすらに歩いた
真夏の山道を、無心に歩いた
正直、ひまわり畑に行ったところで何が起こるわけじゃない
俺は歩きながらふと色んな不安が押し寄せてきて
そんな考えにまで至っていた
225:
そろそろ、陽が傾いて空に橙が帯びていた
日が暮れ始めるところだった
彼女「ねえ」
俺「ん?」
彼女「このまま、ずっとひまわり畑探してたいね」
とっさに意味が分からず黙っていた
少し間があいてから
俺「迷ったの?」
と間抜けな答えをしてしまった
彼女「迷ってないよ、残念ながら」
と彼女は真剣に答えた
226:
それからしばらく歩くと、ひらけた場所が見えた
彼女「あの先、下ってくとあるよ!」
俺「うおお、けっこう歩いたな、やっとか!」
二人共俄然テンション上って少し小走りになる。
もう、すっかり日は傾いていて、あたりは夕焼けに包まれていた
俺は、はしゃいで走っていく彼女を先に行かせた
元気に駆けていくその後ろ姿を追いかけて
俺も斜面をくだっていった
きっとこの先に期待した光景が広がっているとワクワクして。
228:
お、おいついた・・・不思議な時間旅行してきた気分だ・・・
231:
そこは、決して凄く広いわけではなかったが、
視界一帯、見渡す限りにひまわりが咲いていた
筆舌では表せない、とはこのことかも、
うまく書けないくらいに綺麗だった
綺麗だったってより、ずっと歩いてきたから、見つけた感激の方が大きかった。
すっかり夕方だったので、ひまわりも鮮やかな黄色ではなく、
すこし赤みがかった橙に近い濃い黄色に見えた。
少し離れた所から、
彼女「ね、ちゃんとあったでしょ!」
と言ったが、ひまわりの背が高くて見えなかった
232:
俺は、面白くなって、
俺「どこにいるんだよーw」
と言ってきょろきょろした
すると彼女は味をしめたのか、ひまわり畑をがさがさと歩き始めた
彼女「どこにいるかなーw」
とは言っても完全には隠れてるわけじゃないから、すぐにわかるw
「そこだ!」と言ってひまわりの間を駆け抜いて彼女とはちあわせした。
彼女「はい、ここですw」
と言われて思わずドキッとしてしまい、俺は黙って笑うしかなかった
233:
きてたか
頭の中で浮かんだぞ、情景が
なんだこれは…
234:
オレンジに溶けるひまわりの中で、彼女はじっと俺を見つめていた
笑うことなく、あの綺麗な目で俺を見つめていた
何を待っているのか、俺は分かっていた
彼女の今までの行動も、彼女の俺に対する想いも全てを分かっていた
分かっていた上で、全て傷つけないように、壊れないように、見ないふりをしてきた
言うなら、今しかないぞ…この先ずっと…
そんな想いが俺の心のなかをぐるぐると回った
235:
今も思い返す。
本当に、俺の人生を決める瞬間だった、あとさきずっと変えることのできない…
言え。言えば良かった。
言ったところで、こんなに離れているんだ、伝えたところで彼女を縛り付けてしまうだけ…
ならいっそ、このまま友達として永遠に…
そんなこと、関係ない。
言え、何故言わない。言うなら未来永劫今しかないぞ!
今だからなんとでも言える。
俺は、彼女と見つめ合ったまま、黙ってしまった。
236:
目の前にいる彼女が、とても綺麗に映った
しばらく俺が黙って立ち尽くしていると、
彼女は不意にかぶっていた麦わら帽子をとり、そばに咲いていたひまわりにかけた
彼女「仕方ないんだよね」
俺「…なにが?」
彼女「わたしのせいなんだもん」
俺はドキっとした、何を言いたいのか、すぐに分かった
238:
彼女「こっちはね、楽しいんだ。〇〇君も、気に入ったでしょ?」
俺「そうだね」
彼女「急にいなくなってごめんね」
彼女は、一年前のことに触れだした
彼女「こっちで見る空は高いし、向こうと同じように夜空は綺麗だけどさー」
彼女「それでも、足りないんだよねー」
俺は、ただ黙って彼女の顔を見て、
彼女の言うことに真剣に耳を傾けた
239:
彼女「◯◯君がいないとさ」
彼女はうつむいて、恥ずかしそうに言った
夕焼けのせいなのか、日に焼けたのか、彼女の顔は赤くなっていた
そう言うと彼女は立ち上がって、もう一度深々と麦わら帽子をかぶり直し、
急いで駈け出した
ああ、俺はこれでいいのか。
俺も、彼女に伝えることがあるんじゃないのか。
一緒に来たこのひまわり畑で、ずっとずっと彼女に言いたかったことがあるんじゃないのか。
彼女「ほら、早くしないと暗くなっちゃうよー!」
といって笑って手を振った
240:
夕焼けの中、走りだして行く彼女を見て、
もうこのまま一生捕まらないんじゃないか、と錯覚した
俺も急いで走りだして、彼女を追いかけた
アスファルトの山道を、濃い夕焼けのオレンジが照らす中
ただ黙って彼女と一緒に歩いた
さっきまでのことが嘘かのように。彼女はもうすっかり元通り
彼女「今日の夕飯は何にするって言ってたっけなー」
彼女「アイスでも買って帰るー?」 とか
俺は、これで、よかったんだろうか
まとわりつくような夕焼けのオレンジ色が妙にうっとおしく感じた
241:
あああああああああああああああああああああああああ
へたれぇぇぇ!
243:
だんだん辺りも暗くなり始めて
麦わら帽子をかぶった彼女の少し後ろを黙って歩いた
彼女に語りかけるべき言葉が思い浮かばず、何も言えなかった
彼女は時々振り向いて、
「ここ段差あるから気をつけて」
「見て、◯◯が咲いてる」
とか笑って言うだけだった
244:
家に着いた頃には、空は紫がかった夕焼けだった
家にはもう、俺達以外の人たちは帰っていて、夕飯の準備をしていた
母「おかえりー、もうすぐご飯なるよ」
彼女「遅くなってごめんー」
彼女は、母さんに「手伝う」と言っていたようだが、
「〇〇君と一緒にいなよ」と諭されたようだった
そして二人でご飯ができるまで縁側に座って他愛もない話をしていた
245:
ご飯の時間も、みんなは笑って楽しく食べているが
俺だけ、どうしても腑に落ちなかった
何か、イガイガしたものが喉につまっているかのような
彼女の方をまともに見れずにいた
平静を装ったフリして、
言いようのない後悔と、やるせない気持ちでいっぱいだった
彼女と、俺 これからどうなってしまうのか
俺はここに住んでいるわけじゃない
246:
夕飯のあと、俺が居間で茹でてもらったとうもろこしをかじっていると
台所の方から彼女の声がした
「あー、アイスないじゃんかー」
すると彼女の母さんが、
「あら、なかった?ごめんねー」
と言っていた
俺「俺が買ってきましょうか?」
「確かここに来るまでの道でコンビニがあった気が」
と言って買い物をかって出た
247:
母「あら、いいの?」
彼女「それなら私も一緒に行くよー」
俺「いや、いいよ。すぐ戻ってくるからさ。家でゆっくりしてて」
そう言って、リリリリリ…と虫が鳴く外に出た
街灯があるとはいえ、辺りは真っ暗だった。
正直、何か一人になるタイミングが欲しかった
少し車を走らせて、気分転換をしようと考えた
248:
俺は無心で、車を走らせた
来る時、彼女と合流した場所も越えて、
記憶を頼りにコンビニへと向かった
無事、コンビニには着いてテキトーにアイスを何個か買った
アイスが溶けないうちに…と急いで車を出す。
進む…きた道を戻るだけ…のはずだったが…
どこを曲がったのか分からない。
暗いせいもあって、昨日彼女と合流した曲がり角がどこだったか分からなくなってしまった
249:
困ったな…と思いつつ
しばらく行ったり戻ったり、を繰り返していた
しかしどの小道に入ったか分からない…
そんな事をしていると彼女から着信があった
彼女「アイス買えたー?」
俺「買えたんだけど…迷っちまった」
彼女「はー?めんどくさいなぁ」
彼女「昨日落ち合った場所わかんないの?今からそこ行くから」
俺「いや、待って。こんな時間に一人で歩いたらあぶないぞ…」
と言った時には電話は切れていた。
250:
俺はその後何回か彼女に電話したが
まったくつながる気配がなかったので諦めて行ったり来たりを繰り返した
10分ほどたってからだろうか、
道を走っていると、こちらを見て手を振る女の子が見えた
彼女「あー、良かった見つかって」
俺「ありがとう、でもこんな時間に一人で出てきたらあぶないだろー」
彼女「自分が迷ったくせにw」
俺「あー…ごめん」
彼女「それに大丈夫だよ。◯◯君があのまま帰ってこない方が嫌だもん」
と言ってシートベルトを巻きながら彼女は笑った
251:
うはぁ
252:
俺はそれを見て、彼女のことがたまらなく大切に思えた
心配して、わざわざ歩いて来てくれたんだろう…
でも、それを決して言葉にできなかった。
車を走らせて家に近づくと彼女が口を開いた
彼女「そこの川で車停めてよ」
俺「いいけど?」
彼女「もうアイスダメになっちゃったかなー」
俺「多分バーのやつはもうダメかな…カップのならいけるっしょ」
彼女「降りよ、せっかくだし橋の上で食べよ」
と言って車を降りだした
253:
彼女はにこにこして「早く!」と俺を急かした
アイスの袋を持って彼女の元へ近づく
俺「ここ車置いても平気なの?」
彼女「大丈夫だよ、だーれも通らないからw」
橋の柵に腕を置いて、二人でアイスを食べ始めた
二人で「美味いね」「ん、そだね」とかつぶやきながら
彼女「ここって、運がいいと蛍が見えるんだよー」
俺「へー、いいねえ」
彼女「今年はもう、見えないかな。まあ私も見たことないけど」
俺「なんだよそれw」
【衝撃】うちの妹(14歳)が胸をネットに晒した末路wwwwあほすぎwwww
254:
あたりは本当に静かで、
水のかすかなせせらぎの音と、リリリリリ…と虫の鳴く声しかしなかった
車の排気音も、人々の喧騒も、何も無い。
街灯の灯りで、かろうじて視界がある。
そんな不思議な空間で、彼女はアイスを食べなから
何度もこちらを見ては俺と視線が合った。
そのたびに「フフ」って笑っては嬉しそうにする。
彼女に伝えろ。言いたい一言を、
言うべき言葉があるはずだろ?
そう思って、グッと拳を握っては、言えずにためらっていた
255:
「大好きだ」
そんな簡単な一言がどうして言えないのか
今だからそんな風に思えるが
この時、彼女を隣にした俺は、どんなに勇気を振り絞ってもそれを口にできなかった
前にも書いたけど、俺は色々と考えすぎていた
「好き」と伝えてしまえば
その一言が彼女を縛り付けてしまうんじゃないか
お互いこんなに遠く離れて、会うことすら難しいのに
それを伝えてしまえばお互い辛い想いしかしない
大好きだからこそ、黙っておかなければならないこともある
この時はそれで納得していたし、それが真実だと思っていた
そんなの、真実でもなんでもない、って知ったのが遅すぎたんだけどね
256:
考えぬいた俺から出た言葉は本当に情けないものだった
俺「今日かぶってた帽子さ」
彼女「…え?」
俺「変とか言ったけど…けっこう可愛かったよ」
彼女「あはは、ありがとうーw」
彼女は屈託のない笑顔で笑った
それを見るたびに、胸がしめつけられるように痛かった
260:
橋で、二人でアイスを食べ終わったあとは
お互い何も喋らず、橋の上でしばらくぼーっとしていた
橋から下の川を見下ろすと
水の流れる音は聞こえるけど何も見えなくて
「落ちたら怖いね」とか言ってた
それを言うのも彼女で
俺は何も言えなくて彼女の顔を見たり
下を見たり、そんなことを繰り返していた
261:
そのあと彼女に
「帰ろっか」
って言って幸せな時間に自ら幕を下ろした
「暗いから気をつけて」と言って
彼女を車に誘導して
もうすぐそこなのに車で家と向かった
「アイスおいしかったー!」と言って彼女はご機嫌なようで
なんだか俺もほっこりとした気分になった
262:
せつないねぇ
263:
家について、真っ暗な庭がやけに怖く見えた
草むらから虫の声がするんだけどそれも寂しくて
この夜が明けたら明日はとうとうお別れになってしまう
もう覚悟もしていた
彼女に俺の気持ちを伝えなかったことを後々悔やんだとしても
これが俺の選択だったんだから仕方ない
264:
俺より先に玄関に向かった彼女はけだるそうにして
「今日は疲れたねーw」と言った
確かに色々あった一日
彼女は何を思っていたんだろう。
俺は溶けてしまったアイスを申し訳なく彼女のお母さんに渡して
縁側に座って煙草を吸う事にした
265:
その後、風呂に入ってさっぱりした後
縁側で彼女と二人でビールをあけた
暗がりの中に照らされる彼女の顔が今でも忘れられない
「これが最後かもしれない」
「もう二度と無い」
と思っていたから、忘れられないのも無理はない
「苦いー」と言ってしかめっ面して彼女は飲んでた
266:
その日の夜はなかなか眠れなかった
色んな思考が頭の中を巡ってしまって
その日あったことや話したこと、彼女の顔が頭から離れなかった
間違いなく彼女のこと「好き」だったのに
それを伝えられなくて、めっちゃもやもやとしてた
部屋の中もムシムシして
とても長い夜に思えた
267:
次の日起きると
俺以外のみんなは既に起きているようで
家の中は賑やかな生活音が響いていた
下に降りると、居間に彼女の姿はなく
お母さんに「〇〇なら外にいるよー」と言われた
外に出てみると、元気に水をまいている彼女の姿があった
「おはよー」と言って俺に水をかけようとしてくる
「やめろ、やめろw」と言いつつもそれが楽しかった
268:
朝ごはんを食べ終えると、俺は家族のみんなに
「短いあいだでしたが、大変お世話になりました」と挨拶をした
「また来てねーw」と笑ってくれた
それから帰宅の準備を進めた
来た時はあんなにワクワクしていたのに
帰る時はこんなにも物悲しい
そうこうしているウチに、彼女の姿が見当たらなくなっていた
269:
俺が「あれ…?」と言ってキョロキョロしていると
彼女のお母さんも「あの子ったらどこ行っちゃったのかしら」と困っていた
なんとなくその時の心境にぴったりな気がして
俺は逆に踏ん切りがついた
彼女がどこに行ったかは分からないし
お母さんには「彼女には俺から連絡入れときます」と行って
荷物を持って車に乗り込んだ
これなら後ろ髪をひかれることもないし、スムーズに帰れる…と思った
270:
俺は彼女に
「そろそろ帰るよー色々ありがとね」
とだけメールを打った
見るかどうか分からないけど、帰る前に一言連絡を入れておいた
俺は諦めの気持ちで車を発進させた
彼女のお母さんに何度も何度も会釈して、
家の庭を離れた。
271:
近くの川の橋にさしかかった所で、
橋の向こうに女の子が立っているのが見えた
「もしかして…」と思って車を徐行させて停まると、
それは案の定彼女だった
不覚にもとてもドキっとしてしまい、急いで窓を開けた
俺「何してるの?」
彼女「待ってたw」
俺「お前…またその帽子…w」
彼女はまた麦わら帽子をかぶっていた。
彼女「昨日似合ってたって言ってくれたからーw」
と言って笑っていた
272:
彼女「はいこれ、唐松草」
俺「え、なんて?」
彼女「昨日一緒に見た花だよー、集めるのけっこう大変だったんだから」
俺「え、ありがとう…」
彼女「向こう帰ってもそれ見てこっちのこと思い出してねw」
そう言ってニコニコして笑う
「やられたなぁ」と思った
帰り際にこんな事されて、あんな笑顔を見せられるとは思わなかった
274:
「ありがとう、本当に楽しかった」
それだけ言って、俺は窓を閉めた
彼女はずっと立ったままこちらを見ていた
土だらけになった手を、いつまでも振っていた
そこから数時間車を走らせたわけだが
助手席に横たわる唐松草を見るたびに
心がチクチクと痛くなって
生きた心地がしなかった
275:
俺は彼女と過ごした夏休みのあと、
またしばらく彼女には会えなかった
夏休みが終わって大学が始まる
特に変わったこともなく、平々凡々な毎日が再開したのだが
とある人との再会で、日常の交友関係に少々変化が生まれた
276:
車の免許をとる時に一緒だった後輩の子に大学で出会った
なんのことはない、学食で昼飯を食べていたら偶然出会って
「あれ…」とお互いなり「あーあの時の…」と言った具合だ
むしろ夏休みが過ぎるまで出会わなかったことの方がすごいかもしれない
そこから気軽に連絡先を交換して
たびたび連絡をとるようになった
「免許をとる」って何気ないことだけど
一生に一度しか無いことだから、その時の記憶って案外鮮明だったりする
そのためか分からないけど、お互い悪い感情はなかったんだと思う
278:
ここまでが前のスレに書いた内容です
ここからが新しく書いていくところです
半年越しになってしまいましたが、続きを書いていこうと思います。
281:
いいね
きれい
282:
後輩と大学の学食で再開した時は流石にテンションが上がったが、
それ以降連絡が来ても特に何も思うことはなかった
夏休みが終わって大学が始まった頃の俺は
ほとんど人と関わらないように必要以上の外出はしておらず
彼女のことがとても尾を引いていて、まったく覇気がなかった
後輩との再開という本来おいしい展開にも
何も感じなかったし、どうでもよかった。
287:
気づけば俺は大学にもほとんど行っていなかった
クズ人間、ここに完成である
彼女と過ごした夏休みの数日間のことが何度何度も脳裏によぎって
その度に何も出来ない自分がいることに無力感を感じるだけ
でも親に迷惑をかけるわけも行かず、
必修の単位だけはとらなくちゃいけないなと思い
秋口にはポツポツと再び大学に顔を出すようになった。
288:
この間、俺が何度彼女に電話をかけようと思ったことか
電話帳で彼女の番号を開いて、数分固まる。
夜な夜なそんなことをするのが悲しい日課になってしまった
今思えば、かけろよ!とも思うのだが…
そんな中で久々に大学に行き、
夕方講義終わって小腹が空いていたので
購買でおにぎりなんかを買おうと思って
弁当コーナーをフラフラしていた
289:
俺がおにぎりを手にとって見てぼーっとしていると
「あっ!」というあどけない声が聞こえた
俺なんかしたか?と思って横を見ると、あの後輩が立っていた
後輩「久しぶり…です!」
俺「あ…お、おー」
はにかむって言うんだろうか苦笑いしてきまり悪そうに話しかけてきた
290:
後輩「授業終わったところ…なんですか?」
俺「そうそう。腹減っちゃってなんかねえかなぁと思ってw」
後輩「この時間お腹すきますよねーw」
と、とても自然に会話の流れになった
不思議と俺も構えずに会話ができていた。
後輩「もう今日は終わりなんですか?」
俺「終わりだよ。帰れるーw」
291:
後輩「私もなんですよーw電車ですよね?」
俺「うん、駅に向かうよー」
後輩「あ、じゃあ一緒に行きましょうよw」
ポンポンと話が進んでいく。
正直あんまり話したこともないのにマジか…って思ったけど
女の子だし一緒に帰れるならそれもアリか〜とも思えた
292:
さすがに一緒に歩きながらおにぎり食うのはまずいよな…
と思って購買の前でササッと食べて、そのまま二人で大学を出た
歩いていると、後輩が意味もなく笑い出した
後輩「ウケますよね…w」
俺「何が…?w」
後輩「え、だって免許とる時に一緒になって、大学も一緒なんてw」
俺「あー…」
後輩「けっこう凄いですよね?」
293:
まあ確かに大学で再会するなんて、あまりない偶然だよなとは思った
しばらく教習所の話題で盛り上がった
「あの教官はうざかったよね」とか「テストは緊張した」とか
非常に他愛もないものだったけど、
俺が最初に不安だった気まずさは全然なかった
すごい賑やかな子で仕切りに話しかけてくる
学年はいっこしか違わないけど、俺は浪人してるから実質2つ下。
元気に見えるのもそのせいだったのかもしれない
295:
騒がしいのは教習の時から変わってないなーwとか思ってると気づいた
俺「ってか、なんで敬語?w敬語だったっけ?w」
後輩「あ、いやー…だって大学の先輩じゃないですか…」
律儀な子だなぁと思ったけど敬語はなんか鬱陶しかった
俺「いやいいよwタメ口でさ。学年も一個しか変わらないし」
後輩「あ、でもー…」
俺「お願い」
後輩「え、うん…」
296:
タメ口で話して、と言った途端急に無口になって
あまり話さなくなる後輩
なんだか面白い子だなwって頭の中で思ってると不意を突かれた
後輩「そういえば…好きな人には会いに行ったの?w」
ってニヤニヤしながら聞かれた
くそ…覚えてやがった…
俺「あー…会いには行ったけどね…」
後輩「え、あれ本当だったんだ!wすごっ!」
297:
この話はどう終息するんだろうな
支援
298:
俺「嘘ついてどーすんのw」
後輩「で、で?どんな感じだったの?超気になるw」
俺「いや、それはさ…」
元気な後輩が畳み掛けてくる。
後輩「遠距離なの?えーすごーいw」
俺「いや、そういうんじゃなくてさ…」
後輩「え、じゃあなんなのーw」
無邪気な追撃が俺に迫る
299:
俺「なんというか…」
後輩「あ、フラレちゃったんだー?w」
俺はこの一言で火がついてしまった。
俺「そんなんじゃないって言ってんだろ?」
後輩「あ、ごめん…」
静かな口調ではあったが俺があまりに表情を変えたからか
後輩は驚いてしまった
無邪気な一言、悪気はない
分かっていても、俺が日々悩んでいることに土足で踏み入れられた気がして
俺は大人げないことをしてしまった
300:
駅に着いても、俺らが口を開くことはなかった
後輩は明らかにションボリした様子で、
俺もなんて言ったらいいか分からなかった
何も知らない子に酷なことしちまったって既に後悔してたけど
そして最悪なことに、乗る電車も一緒のものであった
電車に乗っても何も話さない。
俺が先に降りるので、「じゃ、また…」と言うと
後輩は少し笑って会釈だけした
301:
こっからまた自己嫌悪した
家に帰ってからも「なんであんな態度とったんだ」とずっと思い出してばかり
と同時にやっぱり彼女のことも思い出して
もうなんか何もやる気が起きなくなってその日はそのまま寝てしまった
朝になると後輩からメールが来ていて、
「今日は本当にごめんなさい。何も考えず変なこと言っちゃって…」
といった内容のメールだった
昨日のメールだヤバイ、と思った俺は
「こちらこそあんな事でむきになってごめんね」
という感じのメールをすぐに返信した
303:
俺はその日、学校休んでバイトだけ行った
夕方くらいになると後輩から返事があって
「返信あってよかった。ところで明日は大学いつ終わりですか?」
という感じのメールが来ていた。
俺が、何時くらいに終わるよ、という旨のメールを返すとその日の返信はなかった
正直俺は次の日も大学に行く気はなかったのだが
後輩からメールもあったし、たまには真面目に大学行くかって思った。
304:
翌日、俺は授業が終わると「昨日のメールはなんだったんだ」
って思いながらフラフラ購買へ向かった。
すると入り口で待ち伏せていたかのように後輩が立っていた
純粋にビックリした、なんでいるんだって。
後輩「あの…この前はごめんなさい…」
俺「あ、いやもう本当に…こっちこそなんかごめんね…」
本当に申し訳なさそうに、困って俺の前で俯いていた
305:
わざわざ時間を合わせてまで、謝りに来てくれるなんて思ってもいなかった。
俺「後輩は、講義いつまで…?」
後輩「あ、私…次もある…」
俺「じゃあ俺待ってるからさ、終わったらここにおいでよw」
後輩「え、いいの…?」
俺「うん、大丈夫。」
固まっていた後輩の表情が笑顔に変わってくれた
306:
後輩「私が勝手なことしただけなのにわざわざ…」
俺「いいからいいからw早くしないと遅刻しちゃうよw」
後輩「あ、じゃあ行ってくる…」
後輩は笑って俺に手を振って走っていった。
自分でもよく分からなかったけど、俺は後輩を待つことにした
どうしてそんなことを言ったんだろう
多分後輩の誠意に触れて、少し後輩のことが知りたくなったんだと思う
307:
俺はその後、大学の近くのコンビニに行って
煙草を吸ったり漫画を立ち読みしたりして時間を潰した
誰かを待つなんて普段ほとんどしない。
時間を潰した先に誰かがいてくれるってことにウキウキした
この時から俺の気持ちは少しだけ後輩に傾いていったんだと思う
はたから見れば可愛らしくて元気な後輩だ
心動かない方がおかしいのだけど
312:
ちょっと前に似たような心境になったことがあったからこの話辛いわw
316:
>>1
を妻夫木
坂の上の女の子を柴咲コウ
後輩を堀北真希
でイメージ
320:
時間はあっという間に過ぎて
コンビニでダラダラしてる内に後輩の講義の終わりの時間が近づいた
俺は早歩きで購買へと向かった
ぼーっと突っ立っていると終業のチャイムが鳴って
人の群れが流れてきた
やべえ、けっこう人多いな…後輩見つかるかなって少しそわそわした
321:
すると遠くで友達と歩いている後輩を見つけた
途中で手を振って友達と別れたようで
そのまま一人になって購買に向かってきた
わざわざ友達と離れて来たのか…と思うと少し悪いことしたなって思った
こっちへ歩いてくる後輩に向かって俺は小さく手を挙げた
すると後輩も笑って手を振ってくれた
後輩「ごめん遅くなって…」
俺「いやぁ、フラフラしてたし全然w」
322:
俺「どうする?学食でご飯でも食べてく?」
後輩「あ、うん…」
正直気まずかった。
もう悪い感情はなくなっていたけど、この前の気楽さがなかった
学食に行って一緒に夕飯?を食べたのだけど
食べている最中も特に会話もなし
後輩はまだこの前のことを気にしてるのか
俺も何を喋っていいか分からずで、よくわからない雰囲気になっていた
323:
帰る頃にはすっかり暗くなっていた。
帰り道で「今日は本当に待たせちゃってごめん…」
と言いながら付いてくる後輩を見て
俺はたまらなくなってちゃんと話す決意をした
俺「あのさ…俺、好きな人には会いに行ったんだ」
俺が話始めると後輩は優しく笑って俺の方を見た
俺「でも…」
その日俺は後輩に全てを話した
324:
今まで、誰にも言えなかったこと
誰に言うべきことでもなかったこと
ずっと想い続けていた幼馴染がいて、近くに住んでいたこと
今はその「坂の上」」はもうないこと 彼女は遠くに引っ越したこと
そして気持ちを伝えられなかったこと
遠距離恋愛に踏み出す勇気がまったくないこと
気づけば俺たちは自販機のある駐車場に端に座り込んで話していた
黙って頷いて話を聞いてくれた後輩
325:
今まで誰に言うこともなく、ずっと胸に秘めていたこと
それを初めて誰かに話した
俺「いきなりこんな事話しちゃってごめん…」
後輩「ううん、話してくれてありがとう。」
後輩「なんというか…応援するよ」
俺「ありがとう。」
そう言うと後輩はクスっと笑って、
「辛くなったらいつでも話して、聞くよ」と小さく言った
326:
後輩は立ち上がると、
ガラガラの駐車場の中を駆けて出ていった
俺「あ、待ってよw」
後輩は振り向いて楽しそうに笑ってみせた
後輩「でもなんだか、素敵だね。」
「絶対さ、その恋は叶えたいよね」
まっすぐな目で俺を見て言うんだ
俺「でもな…」
後輩「でもじゃないよ、絶対でしょ?」
327:
そう言ってまた後輩は駅の方向へ向かって走りだした
俺「ちょ、なんでw待ってよw」
後輩「みなさーん、ここに一途な恋をしてる人がいまーすw」
俺「おいw茶化すなよw」
そうこう言ってる内に俺は後輩に追いついて、「まったくw」と言って息をついた
すると後輩が「ごめんw」と言って笑ったので
俺も「いいよw」と言って二人して声を出して笑ってしまった
328:
そのあと駅についてからは非常に和やかなムードだった
俺も言いたいことを全部言えてとてもすっきりしたし
こっちが話したことで後輩もより心を開いてくれたのだろうか
後輩と別れて電車から降りると、その日はとても星が綺麗な日だった
アホみたいに空を見上げて歩きながら
「よっしゃもうちょっと前向きに生きてみるか」って思えた
それもこれも後輩のおかげだった
あの子が現れて、話すことができたおかげで、気持ちの整理ができたんだ
334:
今まで、誰にもいえずにウジウジしていた俺の気持ち
それを話せる理解者が現れたことで、
俺の気持ちは急に後輩に寄っていった
でも俺の「好き」という気持ちは幼馴染の彼女から動いていなかった
後輩への好意は恋心のそれではなかった
季節が過ぎて寒さが増してくると
後輩からの連絡も増えていった
335:
楽しみ
俺もこういう境遇がよかったな…
がんばって大学はいろう
336:
俺は後輩に頻繁に話を聞いてもらうようになった
時間を合わせて大学で会ったり
一緒に帰ることをよくするようになった
俺は自分がずっと昔から抱えてきた悩みを聞いてもらえるという認識だったけど
後輩は自分のことや自分の恋愛については語ろうとせず
いつも笑って茶々を入れたり話を聞いているだけだった
俺は話を聞いてくれる本当に良い友人を持ったと思っていた
337:
マジか…
338:
クリスマスも近づいた12月になると
ますます後輩からの連絡が頻繁になって
ほとんど毎日のようにメールをしてくるし
学校でもコンタクトをとってくるようになった
後輩が一緒にいてくれるのは嬉しいけど
俺はこの間も彼女に電話してみたりメールしてみたり
気持ちはまだまだ彼女にあった
339:
さすがの俺でもこれには感づいた
後輩はもしかして…と
でも俺はたった一人で抱えていた悩みを話せる理解者を失いたくなかったし
その現実をあまり考えようとしなかった
本当に自分勝手な奴だよ、俺は
いつもニコニコして話しかけてくる後輩を見ていると
やっぱり楽しくて、そんなことはどうでもいいかって思ってしまうんだ
340:
クリスマスが一週間後くらいに迫ったある日、
後輩から誘いを受けた
「クリスマスどこかに行こうよ!」
それは間違いなくデートを意味するものだった
ずーっと一人か男だけで過ごしてきたクリスマスに、女の子からのお誘い
こんなに嬉しいことがあるだろうか?
でも俺はその誘いをどうするか、死ぬほど真剣に悩んだ
342:
ここで、行くのか行かないのか。
俺にとってそれは
遠く離れた所にいる彼女を追い続けるか
近くにいて楽しく話せる後輩を選ぶか、というくらい重要なものだった
すごくすごく悩んだ
悩んだ結果、俺は見栄をとった
大学の男友達、家にいる家族
クリスマスに女の子と一緒にいられるという事実をとった
それは後輩の想いを無下に扱うようなものだと思う
本当にクズな奴だよ俺
343:
クリスマスの日、俺は人生で初めて女の子と過ごすことになった
その相手は彼女ではなく、後輩だったワケなんだが。
二人で一緒に映画でも見てご飯を食べようかって感じだった
お昼ごろ待ち合わせ場所に着くと、深緑のマフラーを巻いた後輩がいた
俺を見つけると、
「こっちこっちーw」
って言って楽しそうに手を振った
それを見て俺は可愛いと思ったし
なんだか幸せだなぁってウキウキもした
344:
今が3回生ってことは去年の出来事か
話に関係ないかもだけど、1は身長どれくらい?
346:
>>344
今3年です。
170ないくらいですかね?w
345:
二人で並んで一緒に映画館に歩いて行って、
二人で並んで映画を見て。
はたから見れば完全にカップルだったろう
事実後輩と話しているときはいつも笑いが絶えなかったし
俺もこの子と一緒になれたら本当に楽しいんだろうってつくづく感じてた
348:
そのあとは二人で少し小洒落た小さなレストランに行った
周りは当然家族連れORカップルばかりw
実はこの店、後輩が予約を入れていたらしい。
脳天気そうに見えて、意外とできる子だ
店をで出て帰る頃にはあたりはすっかり真っ暗になっていた
二人で「おいしかったねー」「楽しかったー」と
微笑ましく語りながら車を停めてある駐車場に向かって歩き出した
349:
車に乗って走りだすと、しんみりした表情になって後輩が
「なんか夜景とか見えるとこ行きたくない?」
と言った。
せっかくのクリスマスなんだし、そういうのもいいかなと思った俺は
夜景が見える場所…と自分の脳に相談した
ある。いくつか、ある
俺の家の方、坂の上の、もっと先…
母校の中学があるあたりは、下の町を見下ろせるな…と思った
350:
隣の助手席を見ると、夜の光に映えた後輩が座っている。
正直、助手席に座った女の子って卑怯じゃないか?それも夜。
それは可愛いと思ってしまうだろう…
そう思いながらも、その助手席に彼女が座ったあの日のことがどうしても思い出されて
自分でもなんて言ったらいいか分からないくらい複雑な気持ちになった
351:
しばらく車を走らせ続けて、
俺の家の近くを通り過ぎた。
そして坂をのぼっていって、坂の上の横も通り過ぎた
今は閉まってしまった、昔彼女の住んでいた坂の上。
もちろん、後輩にはそんな事は言わない
でも通り過ぎる瞬間、少しだけ胸が疼いた
どんどん道をのぼっていく
母校の中学近辺の舗装されていない駐車場に着き、車を停めた
352:
言うほどの絶景ではない
でもそれなりに高さがあるので、下界の街の灯りがぽつんぽつんと見えて
なかなか綺麗に見える、我ながらの穴場スポットだ。
後輩「うわーこんな所があるんだ…!」
俺「綺麗だよね。静かだしいいよねーw」
中学の頃はたまにここに来てたりもした。
353:
古ぼけた柵に寄りかかって、二人でしばらく黙って夜景に見とれていた
俺が気を遣って離れた所で煙草を吸おうとすると、
後輩「いいよ!ここで吸ってw一緒に見ようよ。」
と言ったので
俺はその場で「あ、ごめ…」と情けない声を出して
一服をしていた
そんな風にしていると後輩が遂に口を開いた
354:
後輩「あのさぁ…」
俺「ん?」
後輩「俺さんは、彼女さんのことずっと好き…だよね?」
俺「うん、まあ……」
来たか。来てしまったか。
後輩「すごく離れてるのに、それでも想い続けるってすごい。」
俺「そんなことないwただ、諦めきれない俺がいるだけで…」
355:
俺「俺だって、正直どうしたらいいか不安だよ。」
後輩「すごく一途なんだよね、本当に…」
俺「いや、そんなことは…」
すると、後輩が鼻をすすって泣き始めた
後輩「いいなぁ…彼女さん、俺さんにそこまで想われて…」
俺「あ…」、
後輩「私も俺さんのことが好きなんだよ…でも、そんなことずっと言えなかった…」
俺「…」
357:
後輩「いつも俺さんは彼女さんの相談を私にしてくれて…」
後輩「それでどれくらい想ってるのか本当に伝わってきて」
俺「うん、うん…」
後輩「私がこんな事言っちゃったら絶対ダメだって思ってたけど…けど…」
俺「…」
後輩「私、俺さんのことが好きなんです、良かったら一緒にいてください…」
俺は後輩から告白を受けてしまった。
358:
人生で初めて告白をされた。一体どうしちまったんだ俺?
なんでこんな俺に?
後輩の真っ直ぐで純粋な想いが伝わってきた。
相手も真剣だから、俺も真剣に応えなきゃいけないと思った。
俺「ありがとう…。すごく嬉しいよ、でも…」
後輩「え…」
俺「すごく真剣なのが伝わってきた、だからこそ今すぐには返事はできないよ…」
俺「時間をちょうだい」
後輩「…分かった。」
そう言うと後輩は涙を貯めた目で笑ってみせた
すごく勇気を振り絞って伝えてくれたんだろう
359:
後輩もいい子だなほんと
36

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