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花丸「初めての感情」


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花丸(昔から運動は苦手だった…だからという訳でもないけど本ばかり読んでいた)
花丸(この高校生活も、本を読みながらゆったりした時間が流れていくんだと思っていた)
花丸(でも今は、そんなマルがスクールアイドルをしている、というのだから驚きだ)
花丸「ふぅ…」パタン
花丸(読みかけの本を閉じて時計を見ると大分遅い時間)
花丸(もう少し読んでいたいけど)
花丸(早く寝ないと学校と練習に差し支えるかもしれない…)
花丸(電気を消して布団に横になるとすぐに睡魔が襲ってきた)
2:
ー朝
花丸(……カーテンの隙間から入る僅かな光と小鳥のさえずりで目が覚める)
花丸「ふぁ?……あっ忘れてたずら」
花丸(普段なら前日にやっておく学校の準備をし忘れていた)
花丸(今日使う教科書と提出する宿題、読みかけの本とのっぽパンを鞄に詰める)
花丸(朝食を終えて家を出るのは少しおそくなってしまった)
花丸「少し急がないと」
花丸(ルビィちゃんを待たせてしまうかもしれない)
3:
ー通学路
花丸(少し小走りにいつもの待ち合わせ場所に行くと赤髪の小柄な少女)
花丸(小柄なと言ってもマルのが背は低い)
花丸「おまたせ、ルビィちゃん」
ルビィ「あっ、花丸ちゃん!」
ルビィ「今日は遅かったね」
花丸「ちょっと、出るのが遅くなっちゃったずら」
花丸(宿題の事や練習の事を話して学校へ向かっていると見知ったメンバーが前を歩いていた)
鞠莉「あら?花丸とルビィじゃない」
千歌「おはよー!」
曜「いつも仲良いね、お二人さん!」
梨子「おはよう」
4:
ルビィ「今日はお姉ちゃんと果南さんと一緒じゃないんですか?」
鞠莉「んー?そういう事もあるわよ?」
曜「そうそう」
花丸(最近、この二人は仲がいいと思う)
千歌「ほ?れ、飴だよ?ルビィちゃん」
ルビィ「!?」
花丸(千歌さんがルビィちゃんに飴を差し出してルビィちゃんが手を伸ばすと引っ込める)
花丸(このやり取りが千歌さんのお気に入りらしい)
梨子「どうかした?」
花丸「ううん、何でもないずら」
花丸(そんなこんなで学校に着いてみんなと別れる)
5:
ー休み時間
花丸(昼食を済ませた後図書室に来ていた)
花丸(マルは図書委員だけど仕事があってきた訳じゃない)
花丸(昨日、読みかけていた本を読みにきたのだ)
花丸(放課後から夕暮れまでは練習がある、そうするとどうしても本を読む時間が取れなかった)
花丸(カウンターの席に座って本を開こうとすると)
梨子「花丸ちゃん?」
花丸(声をかけられた)
花丸「梨子さん…」
花丸(この時間は大体マルしか来ないから意外だった)
花丸(今日は学校で本を読めない日なのかもしれない…)
花丸(開きかけた本をそっと机の上に置く)
花丸「なにか、借りに来たずら?」
梨子「ううん、作曲のヒントを探しに来てたの」
花丸「作曲の?」
梨子「うん、アイディアが浮かばなくて…)
6:
花丸(梨子さんとお話しをする事はあまりなかった)
花丸(会うときは大体千歌さんと曜さんがいるから、二人きりって初めてかもしれない)
花丸(何を話せばいいのだろう?こういう時に善子ちゃんでもいたらって思う)
梨子「花丸ちゃんは?仕事?」
花丸「うん」
花丸(本を読みに来たそう答えてもよかったけど悩んでるメンバーに本を読みたいから出てけって言ってるみたいで気が引けた)
花丸「作曲のお手伝いはできないけど一つ聞いてもいいかな?」
梨子「答えられることなら、答えるよ」
花丸(そう言ったものの何を話せばいいか分からなかった…)
梨子「花丸ちゃん?」
花丸「えっと…曜さんと鞠莉さん最近仲がいいなって思って」
花丸(咄嗟に出たのは最近疑問に思っていた事だった)
梨子「まぁ…付き合ってるからね」
梨子「曜ちゃんと鞠莉さん」
7:
花丸「え?」
花丸(返ってきた答えは以外な物だった)
花丸(皆んなそれを知ってるのだろうか?マルだけが知らなかったのかも…)
花丸(それは少し寂しい気がした)
梨子「まだ善子ちゃん達には言ってないけどね」
花丸(それで少し安心した、マルだけが知らなかった訳じゃなかった)
梨子「……変だと思う?」
花丸「どうしてずら?」
梨子「……女の子同士だから」
花丸「変…とは思わないずら」
花丸(何よりマルに恋愛経験はまだなかった)
花丸(あったとしても変だと思わなかったと思う)
8:
梨子「そっか、じゃあまた」
花丸「あのっ」
梨子「どうかした?」
花丸(出て行こうとした梨子さんをどうして呼び止めたのか自分でも分からなかった)
花丸「えっと…作曲はできないけど、音楽関連の棚を教える事は出来るずら」
花丸(もう少しお話しをしたかったのかもしれない)
梨子「ううん、もう大丈夫」
梨子「私こそゴメンね?」
花丸「え?」
梨子「仕事じゃなくて、本を読みに来たんでしょ?」
梨子「もう残り時間も少ないけど…花丸ちゃんの時間を取る訳にはいかないから」
花丸(そう言って出て行った)
花丸(見抜かれていたらしい…でもマルの心はどうしてか一冊の本を読み終えたかのように充実していた)
9:
ー放課後
ルビィ「ハァ…ハァもぅうごけないよぉ?」
花丸「ハァハァ」
花丸(今日の練習は凄くハードだった足が鉛のように重い)
善子「だっ、ダラシない…わね」
花丸(足をプルプルさせながら強がる善子ちゃん…でも突っ込む気にもなれなかった)
梨子「お疲れ様」
梨子「はい飲み物、3人ともちゃんと水分補給してね」
花丸「ありがとう…」
花丸(受け取る時に少し触れた指に少しドキリとした)
善子「流石リトルデーモン…気がきくわね」
梨子「はいはい」
11:
ー花丸部屋
花丸(家について畳の上に横になる)
花丸(あの後3人でコンビニに行ったり雑貨屋に行ったりしていた)
花丸(練習であれだけ疲れたというのに遊ぶとなると動き回れるから人の体は不思議だと思う)
花丸(学校で読めなかった本を取り出して栞をしていたページを開く)
花丸(…………)パタン
花丸(内容が頭に入ってこずすぐに閉じる)
花丸(今までなら一度ページを開けばその世界に入り込めたというのに)
花丸(疲れきってしまってるのかもしれない)
花丸(そう思って普段より早く眠る事にした)
12:
ー教室
花丸(今日は昼前の授業が長引いてしまった為に図書室へ行くことを止めて教室で読む事にした)
花丸(たまに周りが賑やかだと本を読めないという人がいるけどマルはそれに当てはまらない)
花丸(喧噪なんていつもなら気にならないのになぜか読めなくて本を閉じた)
善子「ごめん、うるさかった?」
花丸「ううん、そんな事ないずら」
ルビィ「何かあったの?」
善子「そうなの?ならこのヨハネ様に何でも話してみなさい、リトルデーモン?」
ルビィ「善子ちゃんそういうのほんと好きだよね」
善子「善子言うなー!」
ルビィ「でも、何か困ってるならルビィ達に話してね?」
花丸「ありがとう、ルビィちゃん」
13:
ー放課後
花丸(今日の練習はメンバーが用事あったりでお休みになった)
花丸(一度図書室に寄ってから読めてなかった本を家で読もうと考えていた)
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
花丸「?」
花丸(生徒達の喧噪の間を縫って美しいメロディーが聴こえてくる)
花丸(そのメロディーに誘われるように音のする方へ歩いて行くと辿り着いたのは音楽室)
花丸(扉の窓から中を覗くとピアノを弾いている梨子さん)
花丸(ピアノの旋律に乗って体を微かに揺らす姿はキレイだなって思った)
花丸(その姿にマルの心臓はトクトクと高鳴った)
14:
花丸「あっ…」
花丸(ピアノの旋律が止まると同時に顔を上げた梨子さんと目が会う)
花丸(ちょっとだけ聴いているつもりだったのが丸々聴いていたらしい)
花丸(扉を開けて中に入る)
梨子「来てたなら中に入ればよかったのに」
花丸「邪魔しちゃうかなって思って」
梨子「ここに何か用事?」
花丸「図書室行こうとしたらピアノの音が聴こえてきて聴き惚れてたずら」
梨子「そう言ってくれると嬉しいな」
花丸「ねぇ梨子さん、ここで本を読んでもいいかな?」
梨子「ここで?ピアノの音うるさくならない?」
花丸「大丈夫ずら、マルは周りの喧噪とか気にならないから」
花丸(教室では全く読めなかったのによく言うと思ったけど、ピアノの音を聞きながらだと読める気がした)
15:
花丸「マルがいるとお邪魔…かな?」
梨子「全然、聴いてくれる人がいないとやっぱり寂しいもの」
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
花丸(さっきとは違うメロディーが流れてくる)
花丸(鞄から本を取り出しページを開くとさっきまでの自分が嘘の様に本の世界に入り込めた)
花丸(………)
花丸(最後のページをめくり本閉じる)
花丸(途中まで読み進めていたのもあったけど、ここ数日進まなかったのに全部読めた)
梨子「読み終えたの?」
花丸「梨子さん」
花丸(いつの間にかピアノのから離れて窓の外を見ていた)
16:
梨子「凄い集中力だね」
花丸「そんな事ないよ」
花丸「梨子さんのピアノのおかげずら」
花丸(学業と練習忙しい時間の中でこんなにも心地いい時間を過ごせるとは思わなかった)
梨子「ありがとう、でもあの曲以外は弾いてないの」
花丸「え…全く気づかなかった」
梨子「だって凄く楽しそうに読んでたもの」
梨子「私も本はよく読むけど花丸ちゃんほど楽しくは読めないかも」
花丸(読んでる時マルはどんな顔をしてたのだろう?もし変な顔をしてたら恥ずかしい)
17:
梨子「私も、もう少し楽しめたらな」
花丸(少し儚げにそんな事を言った)
花丸(どういう意味だろう?もしかすると梨子さんは…)
花丸「ピアノ楽しくないの?」
梨子「え?」
花丸「マルは梨子さんの弾くピアノ好きずら」
花丸「だから…」
花丸(だからピアノが楽しくないって言って欲しくなかった)
梨子「違うよ、花丸ちゃん」
花丸「え?」
梨子「私に、ピアノの楽しさを思い出させてくれたのはaqoursのみんな、楽しくない訳ないよ」
梨子「ただ次の曲が浮かばなくて」
梨子「この間、図書室で会った時にアイディアを探してるって言ったよね?」
梨子「花丸ちゃんが楽しく本を読めるように私ももっとピアノを楽しめたら」
梨子「いいアイディアも浮かぶんじゃないかなって思ってただけだから」
花丸(ピアノが嫌いじゃない事が分かって安心した)
花丸(でも梨子さんのお手伝いが出来ないのは少しもどかしかった)
18:
梨子「…ありがとう、花丸ちゃん」
花丸「?」
梨子「私のピアノを好きだって言ってくれて」
梨子「それだけでなんか曲が作れそう」
花丸(まっすぐにそう言われてマルの心臓はまた高鳴った)
花丸「オラ何もしてないずら」
梨子「そんな事ないよ、さてと」
梨子「もういい時間だし帰りましょ?」
花丸「…うん」
花丸(もう少しお話ししてたかったけど時間がきてしまっては仕方ない)
花丸(でも…もう少し、だけ)
花丸「あの、途中まで一緒に帰ろう?」
梨子「そうだね一緒に帰ろっか」
19:
ー帰り道
梨子「……」
花丸「……」
花丸(さっきまで普通に話せてたのに会話がなかった)
花丸(何か話さなきゃって思ったけど言葉が出てこない)
梨子「少し意外だったかな」
花丸「えっと、なにがずら?」
花丸(話しかけてくれてホッとする)
梨子「正直ね?善子ちゃんはまぁ同じユニット組んでるからあれだけど」
梨子「私地味だし、花丸ちゃん達とaqoursっていう事を除けば接点がないから、気にもされないかなって思ってた」
花丸「そんな事ないずら、梨子さんのピアノがなければaqoursの曲はないし皆んな感謝してるずら」
梨子「花丸ちゃんは凄いね、そうやって自分の意見をハッキリ言えるって」
梨子「私はできないから」
20:
花丸「……」
花丸(そういう評価をされたのは初めてだったから照れくさかった)
梨子「あっゴメン、折角誘ってくれたのに重い話になっちゃって」
花丸「ううん梨子さんとお話しできてマルは楽しいずら」
梨子「私も花丸ちゃんと色々話せて楽しいな」
梨子「ねぇ次の休みの日一緒に出かけない?もちろん用事がなければだけど」
花丸「行くずら!」
花丸(思いがけないお誘いに心が躍る)
梨子「じゃあ、私こっちだから」
花丸「うんバイバイ梨子さん、次の休みの日楽しみにしてるずら」
梨子「うん、気をつけてね」
花丸「梨子さんも」
花丸(別れた後も普段より楽しい帰り道になった)
21:
ー授業中
花丸(ついに梨子さんとお出かけする日が明日に迫った)
花丸(授業中にも関わらずどこに行くのか、どんな服を着て行こうか考えていた)
花丸(ちょっとお洒落なカフェでゆっくりするのもいいし、本屋さんも行きたいな)
花丸(本を買って梨子さんのピアノを聞きながら本を読んで過ごすのもありかもしれない)
花丸(でもそれだと梨子さんが暇になっちゃうかも)
花丸(なら、何かお互い好みの本を見つけて一緒に見るのなら退屈はしないと思う)
花丸(…なんかこれだとデートみたいずら)
花丸(そう思った途端顔が熱くなった気がした)
22:
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
花丸(授業終了を知らせるチャイムが鳴って機械的に立って礼をする)
花丸「ずらっ!?」
花丸(座って手元を見ると真っ白のノート…何一つ書いてなかった)
ルビィ「どうしたの?花丸ちゃん」
花丸「ノート取るの忘れてたずら」
善子「なにしてたのよ?」
花丸(結局ノートはルビィちゃんに見せてもらった)
23:
ーお昼休み
ルビィ「ねぇねぇ明日おやすみだし、遊びに行かない?」
善子「んー?私は別にいいわよ」
花丸「あっ…そのマルはちょっと用事があって」
ルビィ「ぅゅ…じゃあ仕方ないね」
花丸「ゴメンねルビィちゃん」
花丸(同じ部活のメンバーと出かけるのだから梨子さんと出かける事を言ってもよかったのかもしれないけど)
花丸(マルはどうしてか秘密にしたかった)
24:
ー朝
花丸(天気は快晴だった朝の少し冷たい空気が気持ちいい)
花丸「ふぁ?」
花丸(昨日は遅くまで今日着ていく服で悩んでいたせいか少し寝不足気味だった)
花丸(ちょっと早いけど待たせてしまうよりいいと思って家を出る)
花丸(時間はあるというのに自然と歩くペースが上がって)
花丸(梨子さんと二人でお出かけするそれだけなのにとてもウキウキした)
花丸(でもいくらなんでも家を出たのは早すぎたかもしれない)
花丸(待ち合わせ場所に着いたのは約束の30分前)
花丸(マルは待つ時間というのも好きだったそれを前に善子ちゃんに言ったら変わってるわねって言われた)
花丸(ベンチに座りながら空を見上げると雲一つない快晴と柔らかな陽射し)
花丸「眠くなっちゃうな」
花丸(目蓋を閉じて爽やかな空気と陽射しを浴びるのは凄く気持ちよかった)
25:
「……ちゃん」
花丸(体が軽く揺すられている)
「…丸ちゃん」
花丸(電車の揺れの様に小気味よくそして誰かの呼ぶ声)
「花丸ちゃん」
花丸「……ん?」
梨子「起きた?こんな所で寝てたら風邪ひくよ?」
花丸「梨子、さん?…あっ」
花丸(本当に眠ってしまったらしい)
花丸「ゴメンずら、つい気持ちよくて…」
梨子「その気持ちは分かるな、いい天気だもん」
梨子「……待たせちゃったかな?」
花丸「ううん、マルが早く着き過ぎちゃっただけだから」
花丸(それに時計を見ると約束の10分前だった)
26:
梨子「ここに居ても仕方ないし行こうか?」
花丸「うん、そういえば何処に行くずら?」
梨子「……実は花丸ちゃんに謝らなきゃいけない事があるの」
花丸「謝らなきゃいけない事?」
花丸(特に梨子さんから何かされた覚えはないけど)
梨子「ゴメンなさい!楽しみにしてるあまり何処に行くかとか考えてなかったの」
花丸(凄い勢いで頭を下げられるとこっちが悪い事をした気分になる)
花丸「だっ大丈夫ずら、梨子さんの行きたい所とマルの行きたい所行こう?」
花丸「マルも、今日が楽しみで少し寝不足気味だからおあいこずら」
梨子「ゴメンね…でもありがとう」
花丸(それに梨子さんも今日を楽しみにしてくれてたんだって思うと嬉しかった)
27:
ーカフェ
花丸(とりあえず近場のカフェに入る)
花丸(開店したばかりだからか人もまばらだった)
梨子「花丸ちゃんは行きたい場所ある?」
花丸「う?ん、後で本屋さんに行きたいかな」
花丸(運ばれて来た飲み物を飲みながら計画を立てていく)
花丸「梨子さんは行きたい所とかないの?」
梨子「できれば画材屋さんに行きたいなってこの辺にあるかな?」
花丸「あるけど、梨子さん絵描くの?」
梨子「趣味なんだ、最近描いてないけどね」
花丸「今度見せて欲しいずら梨子さんの絵」
梨子「うん、でもあまり上手くないよ?」
花丸「それでも見たいずら」
花丸(どんな絵を描くのかは知らないけど梨子さんの描く物は凄くキレイなような気がする)
28:
花丸(画材屋さんに入ってから梨子さんは筆やペンを持っては棚に戻しを繰り返している)
花丸(何か違いがあるのかもしれないけどマルには分からなかった)
梨子「花丸ちゃん、ちょっとゴメンね?」
花丸(そういってマルの髪の毛と手に持っていた色鉛筆を照らし合せてる)
梨子「うん、ちょっと買ってくる」
花丸(そう言ってカウンターに向かって行った何がしたかったんだろう?)
梨子「お待たせ、退屈だったでしょ?」
花丸「そんな事ないずら」
花丸(マルには分からない世界だっだけど普段入る事のない所に来るの楽しかった)
梨子「そう?本屋さんに行こうか」
花丸(今度はマルの行きつけの本屋さんへ)
花丸(いつもなら台車を借りていくけど見るだけにするつもり)
29:
梨子「結構大きな本屋さんなのね」
花丸「うん、ここでいつも買ってるんだ」
花丸「梨子さんはどんな本を読むの?」
梨子「どんなって言われても、話題に上ってるようなのしか読まないかな」
梨子「花丸ちゃんは?ジャンルを問わずって感じするけど」
花丸「とりあえず、好きな作家さんと気になったのを買ってる感じかな」
梨子「そうなんだ、今度オススメの本を貸してくれるかな?」
花丸「もちろんずら」
花丸(また一つ楽しみが増えたのが嬉しかった)
花丸(見るつもりだったのが結局一冊本を購入した店員さんに一冊でいいんですかって驚かれたけど)
30:
梨子「これからどうしよっか?」
花丸「もし、ご迷惑じゃないなら梨子さんのお家に行きたいずら」
梨子「いいけど何もないよ?」
花丸「大丈夫ずら」
梨子「そう?なら行こっか」
31:
ー梨子部屋
花丸「お邪魔します」
梨子「何もないけどゆっくりしていって」
花丸「ありがとう、本棚見せて貰ってもいいかな?」
梨子「うん」
花丸(梨子さんがどういうのを読むか分かればマルが本を貸す時に参考になるかもしれないから)
花丸(……?本棚の下の段に薄い本が何冊かある)
花丸「これは?…壁ー」
梨子「!?それはダメーー!」バッ
花丸「ずらっ!?」
花丸(手に取った本をものすごい勢いでひったくられた)
梨子「これはダメ、ダメよ絶対」
32:
花丸「ごっゴメンずら、…でも何の本なの?」
梨子「え?…えぇっと…攻略本かな」
花丸「攻略本?梨子さんはゲームとかするずら?」
花丸(善子ちゃんの部屋によくあるから聞いてみたらゲームの進め方が書いてあるらしい)
梨子「いや、しないけど…そう!人生の攻略本なの!!」
花丸「そんなのあるんだ」
花丸(哲学本みたいのかな?それにしてはページが少なそうだけど)
梨子「だから気にしないで、他は好きに見ていいから」
花丸(そういって机の引き出しにしまう)
花丸(あの本が何だか分かれば梨子さんとの距離がもう少し縮まるのかなって思った)
33:
梨子「せっかく来たんだし一曲聴いてかない?」
花丸「え?」
梨子「新曲じゃないけどいい感じのメロディーができたの」
梨子「よかったら一番最初に聴いてほしいな」
花丸「うん!聞きたいずら」
花丸(一番最初に聴けるっていうのが凄く特別な感じがした)
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
花丸(椅子に座った梨子さんが指を動かす度に穏やかなメロディーが流れる)
花丸(西日でオレンジ色に照らされた部屋の中でピアノを弾く梨子さんが幻想的で目が離せない)
花丸(そしてマルの心臓は音が聞こえてしまうんじゃないかってくらいうるさかった)
34:
梨子「……どうだったかな?」
花丸「………」
梨子「花丸ちゃん?」
花丸「あっ…うん凄く良かったずら、何て言っていいか分からないけれど…」
花丸(正直なところ全く聴いてなかった、メロディーよりもピアノを弾いている梨子さんの姿に目も心も奪われていたから)
花丸(家に帰った後もマルの脳裏から梨子さんの姿が消えることはなかった…)
35:
花丸(梨子さんとお出かけした日からのマルは変だと思う)
花丸(部活の時間が来れば顔は合わせるのに通学する時につい梨子さんを探してたり図書室へ行くとき音楽室にいないか見てみたり)
花丸(一喜一憂する日が続いた)
花丸(そもそもどうして梨子さんの事を考えてるのかも分からなかった)
ー屋上
ダイヤ「しばらくユニット毎に分かれて練習ですわ!!」
花丸(屋上に皆んな揃った途端ダイヤさんがそう叫ぶ)
花丸(何でも次のライブではユニット毎の曲も視野に入れるからしっかり練習しろとのことだ)
花丸(ユニット毎になると更に梨子さんに会うことが出来なくなる…)
花丸(心の中で小さくため息を吐いた)
36:
ダイヤ「何か質問はありまして?」
鞠莉「はいっ!」
ダイヤ「却下」
鞠莉「oh…マリーまだナニモイッテナイ」
曜「はい!」
ダイヤ「どうぞ」
曜「鞠莉ちゃんと会える時間が減ります!」
ダイヤ「知りませんわ、そんな事」
鞠莉「はい!」
ダイヤ「特にありませんわね?」
鞠莉「はいはいはい!」
ダイヤ「うっさいですわよ!何ですの?」
鞠莉「曜といる時間が減ります」
ダイヤ「おだまらっしゃい!練習後に理事長室で逢瀬でも何でもすればよろしいですわよ!」
花丸(そういえばこの二人は付き合ってるらしいマル達の知らない所でなにがあったんだろう?)
37:
ダイヤ「とにかく、さっさと別れますわよ」
ー部室
千歌「それじゃあ、元気出していくよー!」
ルビィ「うん!がんばるびぃ!!」
曜「待って待って、鞠莉ちゃんにメールしてるから」
千歌「もお、曜ちゃん!?」プンプン
ー音楽室
梨子「ねぇ本当にやるの?」
善子「当たり前でしょ?」
鞠莉「やったら意外と楽しいかもよ?」
善子「とにかくやるわよ!」
善子「愛こそすべて!」
梨子「あっ、愛こそすべて…」
鞠莉「曜がすべて!」
鞠莉「あっ間違えちゃった☆」テヘッ
善子「絶対わざとよね!?」
38:
ー生徒会室
ダイヤ「さてと、初めますわよ」
果南「初めるってこの狭い教室で、何から?」
ダイヤ「………」
果南「ダイヤ…もしかして考えてなかった?」
ダイヤ「そっそんな事ありませんわ!まずは…外でも走りましょうか」
果南「ここ来た意味あったの?ねぇ?丸」
花丸(マルのいるAZALEAは三年生の二人に囲まれている)
花丸(この二人にマルの事を相談してみようと思ったけど、何て話せばいいのだろう?)
果南「まーる?」
花丸「ずら!?」
ダイヤ「話、聞いていまして?」
花丸「ゴメン、ちょっとぼーっとしてて…」
果南「浮かない顔してるけど何か困った事でもあった?」
花丸「えっと…」
ダイヤ「言いにくい事ですの?」
39:
花丸(言いにくいというよりは何て言えばいいのか分からない)
花丸(あるメンバーが頭から離れない…もしマルがそんな相談されたら答えられないだろう)
果南「言える範囲でいいから言ってみな、もしかしたら力になれるかもしれないし」
ダイヤ「そうですわ、悩みがあっては満足に練習もできないでしょう?」
花丸「…それがよく分かんないずら」
ダイヤ「意味が分かりませんわ」
果南「まぁまぁ」
果南「例えば、授業とか友達の事とかならどう?」
花丸「友達ずら」
ダイヤ「人間関係ですのね」
果南「ルビィか善子?」
花丸「ううん」
果南「違うか」
40:
ダイヤ「名前とか出さなくていいですから、どう困ってるんですの?」
花丸「頭から離れないずら、いないって分かってても探してたりしてて…」
花丸「マルこんなの初めてで…」
ダイヤ「…」
果南「……」
果南『…ダイヤ、これって』パチッ
ダイヤ『は?海で泳ぎたい?いきなりなんですの?』パチッ
果南『やっぱりそうだよね、でも相手は誰だろう?』パチッ
ダイヤ『熱いお茶飲んでも水中で息はできませんわよ?』パチッ
花丸(目の前で目をパチパチさせてる)
花丸(アイコンタクトで会話できるって未来ずら)
41:
花丸「マルどうかしちゃったのかな…」
ダイヤ「どうかってそれは」
果南「多分丸は、いやでも私達が言っていいのかな?」
花丸「お願いずら、なにかわかったのなら教えてほしいずら」
ダイヤ「言ってもいいのでは?」
果南「ねぇ丸その人を想うとさドキドキしたりしない?」
花丸「する、ずら」
花丸(梨子さんと会えると嬉しかったし会えないと寂しかった)
花丸(ピアノを弾く姿に何気なく見せてくれる笑顔にマルの心は高鳴っていて)
ダイヤ「花丸さん、あなたは」
果南「その人の事が好きなんだよ」
花丸「マルは嫌いじゃないよ?」
果南「その好きじゃなくて、もっと深い」
ダイヤ「恋愛、という意味での好きですわ」
花丸(その言葉を聞いた時、最後のピースがはまって一つのパズルが完成した気がした)
花丸「マルが…梨子さんを?」
果南(梨子だったんだ)
ダイヤ(梨子さんでしたのね)
花丸(その日はそのままお開きになった)
42:
ーお昼休み
花丸(いつも通りルビィちゃんと善子ちゃんとお昼を食べたけど…食事が喉を通らなくて残してしまった)
花丸(ルビィちゃんと善子ちゃんに心配されながらお昼休みは終わりを告げる)
花丸(正直なところここまで悩むとは思ってなかった)
花丸(理由が分かれば解決するって思ったのに)
花丸(空き時間に図書室へ行く途中音楽室から聞いた覚えのあるメロディーが聴こえてきたけど無視した)
ー放課後
花丸「ルビィちゃん?善子ちゃん?」
花丸(練習後正門の前で二人の友達)
ルビィ「花丸ちゃん、お疲れさま」
善子「お疲れ、あと私はヨハネよ」
花丸「どうしたの?」
ルビィ「話したい事があるの、善子ちゃんが」
善子「ヨハネよ!ルビィあんたもでしょ!?」
花丸「?」
花丸(どうやらマルに用があるみたい)
43:
花丸(コンビにでジュースを買って公園のベンチに腰掛ける)
花丸「マルに何か用事?」
ルビィ「うっうん…」
善子「まぁ、単刀直入に聞くけど」
善子「最近、変よ?」
花丸「そうかな?マルはマルずら」
善子「言えないような事?」
ルビィ「……」
花丸「本当に何でもー」
善子「あるわよ!授業中もぼーっとしてるし、今日だってお昼残してたし」
花丸「………」
善子「はぁ…いいわ、ねぇずら丸私はあんたの事を大切な友達だと思ってるわ」
善子「もちろんルビィの事も…だからいつか話してほしいわ」
ルビィ「善子ちゃん…」
善子「ヨハネよ!それじゃまたね」
44:
花丸「待って!」
善子「なによ?」
花丸「二人に聞いて欲しい事があるんだ」
ルビィ「花丸ちゃん?その…ムリはしないで」
花丸「ううん、聞いて欲しいずら」
花丸「マル好きな人ができたんだ」
ルビィ「えぇ!?」
花丸「でもどうしたらいいのか分からなくて…」
花丸「それだけずら」
善子「……その人とどうなりたいの?」
花丸「え?」
善子「え?じゃなくて、その人とどうしたいのよ」
45:
花丸「マルは…」
花丸(梨子さんとどうしたい?)
花丸(お話ししたり、手を繋いだり…一緒に色々なものを見たりしたいけど…今は)
花丸「マルの気持ちを知って欲しい」
善子「そっ…相手って誰?」
ルビィ「ルビィも気になるな…」
花丸「梨子さんずら」
善子「誰かと思ったら梨子さんなのね」
花丸「うん」
善子「お節介かもしれないけど…決心がついたら言ってくれれば梨子さんを音楽室に待たせておくくらいわできるわよ?」
善子「同じユニットだし」
花丸「ありがとう善子ちゃん、でもマル一人でどうにかするずら」
善子「そう?じゃあまたね、バス来ちゃうから」スタスタ
花丸「また明日ずら」
ルビィ「花丸ちゃん、ルビィねー」
善子「言い忘れてたわ、私はヨハネよ!」
花丸「その為に戻って来たずら?」
ルビィ「バス行っちゃうよ?」
善子「あっじゃあね!」ダッシュ
46:
ルビィ「ルビィね花丸ちゃんがいなかったらスクールアイドルできてなかった」
ルビィ「あの時、前に行かなきゃって言ってくれたから今のルビィがあると思う」
花丸「そんな事ないよ、ルビィちゃんはルビィちゃんの力で前に進んだんだよ」
ルビィ「ありがとう花丸ちゃん」
ルビィ「花丸ちゃんもがんばルビィ!」
花丸「うん、がんばルビィずら!」
花丸(マルはいい友達に恵まれてると思う、そして明日マルの気持ちを梨子さんに告げようと決心した)
47:
ー放課後
花丸(朝、家を早く出て正門で梨子さんが来るのを待っていた)
花丸(そして、練習の後に音楽室に残って欲しい事を言った)
花丸(ずっとソワソワしててルビィちゃんと善子ちゃんに落ち着けと何回も言われた)
花丸(そして、マルに運命の時間がやって来る)
48:
ー音楽室
花丸(凄く心臓がバクバクいってる)
花丸「ふぅー」
花丸(深呼吸をして扉を開ける)
花丸「こんにちは、梨子さん」
梨子「練習お疲れ様、花丸ちゃん」
花丸(この間お出かけして梨子さんの部屋でピアノを聞いた時のようにオレンジ色に包まれる音楽室)
梨子「なんか久しぶり練習が別々になっちゃったからかな」
花丸「うん」
花丸(そもそもaqoursがなければ会う事もなかった人)
梨子「さてと、話しがあるのよね?」
49:
花丸(心臓の鼓動が早くなって足が小さく震える)
花丸「えっと…マル……」
花丸「梨子さんの、事が…好きずら」
花丸(怖かったけど真っ直ぐに梨子さんの目を見て)
花丸「だから…だから、マルとつっ付き合って欲しいです」
花丸(最後まで言い切れた…でもまだ)
梨子「えっと…ゴメンね?」
花丸「……っ」
花丸(言葉が出なかった…頭の中はゴメンねの言葉が反響してる)
梨子「そのっ…私、告白とかされたの初めてだから」
花丸(聞きたくなかった梨子さんを見れなかった)ポロポロ
花丸(涙が溢れてきて、直ぐにこの場から立ち去りたかったのに足が動かない)
50:
梨子「本当は私から、言おうかなって思ったんだけど…」
梨子「先越されちゃった」
花丸(……言ってる意味が理解出来ない、だってゴメンねって)
梨子「私も、花丸ちゃんが好きですaqoursのメンバーとしてじゃなくて一人の女性として」
花丸「でも、さっきは…ゴメンねって」
梨子「まさか先に告白されるなんて思ってなかったもの、返答とか考えてなかったし」
花丸「じゃ、じゃあ」
梨子「これからよろしくね?花丸ちゃん」
花丸「うん、うん!」ダキッ
花丸(嬉しくて言葉に出来ないくらい嬉しくて、思いっきり抱きついていた)
梨子「もぉ、いきなり抱きついたら危ないでしょ?」ギュー
花丸(そう言って抱きしめ返してくれるその温もりを手放したくなかった)
花丸「梨子さん、よろしくずら」
51:
梨子「うーん、やっぱりやめようかな?」
花丸「ずらっ!?」
梨子「さん付けじゃ他人行儀すぎるもの」
花丸「え、ぇぇっ?…」
花丸(ずっとさん付けだったから…)
花丸「りっ…」
花丸「梨子ちゃん///」
梨子「ふふ、よくできました」ナデナデ
花丸「まだ恥ずかしいずら///」
花丸(梨子ちゃんに頭を撫でられながらしばらく梨子ちゃんの胸に顔を沈めていた)
花丸(マルのが少し大きい気がした…何がとは言わないけれど)
52:
ー梨子部屋
花丸(あの日からマルと梨子ちゃんはお付き合いをはじめた)
花丸(今日は梨子さんの家に呼ばれている何でも渡したい物があるらしい)
梨子「はい、花丸ちゃん」
花丸(渡されたのはスケッチブック)
梨子「開いていみて?」
花丸「…あっ」
花丸(ページを開くと本を読んでるマルの姿が描かれているしかも凄く上手い)
梨子「前に私の絵を見たいって言ってたでしょ?でも何描くか悩んでたら」
梨子「楽しそうに本を読む花丸ちゃんの姿が浮かんできたから、描いてみたのどうかな?」
花丸「上手いずら!貰っていいのかな?」
梨子「もちろん」
花丸「ありがとう、梨子ちゃん!」ギュー
梨子「だからいきなり抱きついたら危ないって」ギュッ
花丸「でもちゃんと受け止めて抱きしめ返してくれるずら」
53:
梨子「もぅ…ねぇ花丸ちゃん」
花丸「?」
梨子「少し目を閉じてくれる?」
花丸「………///」
花丸(いくらマルでも梨子ちゃんの言いた事が分かった)
花丸(少し顔を上げて目を閉じる)
梨子「」チュッ
花丸「」チュッ
花丸(一瞬だと思うけど凄く長い感じがした)
花丸「//////ファーストキスずら」
梨子「私も」
花丸「梨子ちゃん、大好きずら」
54:

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