紅莉栖「岡部……えっち、しよ?」back

紅莉栖「岡部……えっち、しよ?」


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3:
世界線・時間軸は映画終了直後。ネタバレ注意。
岡部「フゥーハハハハ!戻ったぞ、我がラボメンたちよ!」
岡部「……」
岡部「なんだ……誰も居ないではないか……このラボの長たる鳳凰院凶ぉぅ真!が戻ったというのに出迎えも無しか!冷たいではないか!」
紅莉栖「みんな岡部のこと心配してたんだからそういう言い方は無し。けど、誰も居ないのは珍しいわね……」
岡部(だが、これは考えようによっては好都合……)
岡部(アメリカで勢い余って思いを伝えてから1年近くが経ってしまった)
紅莉栖「岡部ー、ドクペ飲む?あんたが居ない間もまゆりが買ってきてたのよ」
岡部(しかし、はっきりと恋人同士という関係になるわけでもなく、「友達以上恋人未満」のような状態が続いてきた……)
岡部(紅莉栖も俺のことを、す、好きでいてくれてるのはもはや確定的に明らかなのだ!)
               
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5:
紅莉栖「おい岡部ー?おかべ?」
岡部(恋人同士になるには、今しかあるまい!)
紅莉栖「岡部、聞こえてる?ねえ、大丈夫!?」ズイッ
岡部「ってわあああ!近い、近い!なんだ紅莉栖、急にどうした!」
紅莉栖「急にじゃないわよ、何度も声かけたのに……大丈夫?なんでもないのよね?」
岡部「あ、ああ……ちょっと考え事をしていただけだ」
紅莉栖「あんなことの後だから心配するじゃない……バカ岡部」
岡部「すまない、紅莉栖……」
シーン
岡部(なんか妙な空気になってしまった……だが、俺のことを心配してシュンとなってる紅莉栖はなんだか可愛いな……クッ、静まれ、我が鼓動よ……)
紅莉栖(キャー!「すまない、紅莉栖……」だって!こ、こういう素直な岡部もいいわね……それに助手でもティーナでもなく名前で呼んでくれてる……)モジモジ
               
          
7:
紅莉栖「ゴホン、ところで!」
岡部「な、なんだ!」
紅莉栖「私のこと無視するほど重大な考え事って、いったい何?もしどうでもいいことだったら……」ジトー
岡部「も、もちろん非常に重要な考え事だ!」
岡部「考えてたのは……お前の、いや、お前と俺の事だよ」
紅莉栖「えっ」
岡部「紅莉栖……俺はお前が好きだ」
紅莉栖「な、何を改まって……」アセアセ
岡部「だから、今のお前との関係に、物足りなさを感じている……」
紅莉栖「それって」
岡部「俺はお前と……恋人になりたい」
紅莉栖「!」
岡部「俺と付き合ってくれ、紅莉栖」
               
          
9:
紅莉栖「……」ギュッ
岡部「くっ、紅莉栖?急に抱きt」
紅莉栖「こっちみんな!」
岡部「( ゚д゚)」
岡部「( ゚д゚ )」
紅莉栖「じゃなくて、グスン、えっと、今……わたし、ひどい顔してると思うから……」
紅莉栖「しばらくこうさせて……」
グスン……スン……
紅莉栖「……岡部」
岡部「なんだ」
紅莉栖「私の返事……伝えるから」
紅莉栖「目、つぶってほしいな」
岡部「うむ」
紅莉栖「岡部……私も、岡部のことが好き。誰よりも、大切に思ってる」
紅莉栖「だから……これから、よろしくお願いします」チュッ
               
          
10:
SSっぽい書き方だとなんか書きづらかったのでこっから地の文ありの小説風
 こうして紅莉栖とキスをするのは、もう何度目になるだろうか。
 世界線を越えそれなりの回数を経験したはずだが、全く慣れる気配がない。神経がむき出しになっているかと錯覚するほど鋭敏になった唇からの信号が、ビリビリと脳を痺れさせる。
 唇を触れさせ合う、ただそれだけの行為なのに、脳内を電気信号が激しく駆け回っているのが分かる。軽い眩暈すら覚え、よろめいてソファに座り込んでしまった。
「あっ……大丈夫?岡部」
 紅莉栖が心配そうに声を掛ける。だが、その表情はキスが中断された残念さを隠しきれてないぞ。このHENTAI処女め。
               
          
11:
「少しクラッと来ただけだ」
「体調悪いなら、無理しないで……」
「いや、お前の魅力に、クラッと来たんだ」
 勢いで言ってしまってから、死ぬほど後悔した。顔が熱い。誰かクーラーをつけてくれ。
 見れば紅莉栖も真っ赤になっていて、今にも火を噴きそうだ。
「ば、バカ岡部!こっ、このHENTAI!何言ってんのよ!」
「ふ、フゥーハハハ、天才少女も動揺すると酷く語彙が貧困になるのだな!」
 照れ隠しに軽口を叩く。
 その時、聞きなれた着信音が聞こえてきた。
Beginning of fight……Beginning of fight……
 無視して紅莉栖とイチャつきたいところだが、この携帯の着信は今まで非常に重大な意味を持ってきた。
 この世界線で特殊な電話やメールが来る可能性は低いが、せめて発信元だけでも確認して……なんだ、ダルか。
               
          
12:
「ふぅん!」
 ちょうどいい位置にあったうーぱクッションに向かって携帯を投げつける。
「ちょ、おま……出なくてよかったの?」
「機関の妨害工作だった。俺には今、妨害に屈せず遂行しなければならない任務があるのだ」
 そう、人生初の恋人とイチャつくという重大な任務がな!
「任務?」
 ソファーから立ち上がり、紅莉栖の目をじっと見つめる。そして肩に手を回し……
Beginning of fight……Beginning of fight……
「ダァル……」
「電話、出てきなさいよ。緊急の用事かもしれないし……そ、それに、私とキスとか…する時間はこれから沢山……いや、別に私がキスしたいわけじゃないけど!ほら、岡部がしたいならって!」
 それもそうだ。正式に恋人になったのだからそう慌てることもあるまい。任務遂行は樽型お邪魔虫を一喝してからでも遅くはない。
「ふむ、お前がそう言うなら」
Beginning of fight……Beginning of fight……
 携帯を確認すると、やはり着信はダルからだった。
               
          
13:
「……俺だ」
 くだらない用事だったならば、今度フェイリスにないことないことダルの悪評を伝えてやろう。
 そう思っていたが、耳に飛び込んできたのは全く予想だにしない内容だった。
「何……場所は……分かった、すぐに行く」
 電話を切り、一つ深呼吸する。だが、頭の中は混乱したままで、ちっとも落ち着けそうになかった。
「どうしたの岡部、ひどい顔してる……」
「まゆりが……」
 ここはシュタインズゲート世界線だというのに。ようやく辿り着いた場所だというのに。
「まゆりが倒れた」
               
          
14:
     ( ゙、_.`゙ _n_  .`_゙  , __ __ ::γ,r'"''t!: .
 `''- 、ヽ.゙f!''γ゙ニヽ1| 1!'".゙f! (、_`゙ o::{. {::::::t-r ''~〕! 十 γ゙ニヽ
 f 、__ノソ l:しヽヾ_ィ 」:!_._!L j.l_ ,、,_) i7::ヽヽ ノ_j:: ど,j!、 lレヾゞ
  ~ ̄~ .~  ̄    ̄
―境界領域のライトニングボルト―
               
          
15:
まゆりが死んだ。
 ダルたちラボメンは俺と紅莉栖を二人きりにしようと画策し、みんなでメイクイーンに行っていたらしい。そこで突然まゆりが倒れ、救急車で病院へ。だが、運ばれている時には既に脈が無かったそうだ。
 原因不明の心臓麻痺。らしい。医者からそのような説明を受けた気もするが、本当にそんなことを聞いたのかどうかはっきりしない。どうも、ダルから電話を受けてからの記憶が曖昧だ。
 ただ一つ、はっきりと記憶しているのは。
 体温を失っていく、まゆりの手の感触だけ。
 まゆりは、死んだ。
               
          
16:
気づけば、俺は病院の中庭を一人で歩いていた。
 太陽が高い。携帯を確認すると、どうやらまゆりが死んだ翌日の午前十時。
 昨晩をどう過ごしたのか覚えていない。
 ダルや紅莉栖はどうしたのだろうか。何かを話した気もするが、よく分からない。大方、一人にさせてほしいとでも言って出てきたのだろう。
「まゆり……」
 シュタインズゲートへと来る時に覚悟はしていたつもりだった。シュタインズゲートでは未来はすべて未確定。まゆりも、紅莉栖も、あっさり死んでしまう未来だってあり得ると。
 だが、それにしても。それでも思わずにはいられない。
「早すぎる……」
 どうしてこんなにも早くまゆりが死ななければならないのだ。直前まで元気にしていたというのに。大体なんだ、心臓麻痺だと?原因不明だと!?ふざけるな!!これではまるで。まるで……
「アトラクタフィールドによる、収束……?」
「さっすがおじさん、そこまでわかってるんだ」
 突然、聞き覚えのある声が背後から掛けられた。
「お前は」
「ラジ館屋上に来て。詳しい話はそこで」
 慌てて振り返ると、走り去っていく背中が見えた。見覚えのある後ろ姿だ。
「まったく……7年後に会う約束はどうしたのだ」
 あいつが俺の前に現れる時は、未来がろくでもないことになっている時と相場が決まっている。
 ただでさえまゆりが死んだばかりだというのに、これ以上何をやらせようというのか。
「鈴羽め」
               
          
17:
「やあ、オカリンおじさん。久しぶり……でいいのかな?」
 ラジ館屋上。そこには予想通り、人工衛星のような機械――間違いなくタイムマシンだろう――があり、阿万音鈴羽が待っていた。
 記憶にある鈴羽よりも、少しだけ大人びて見える。
「……久しぶりだな、鈴羽。会いたくなかったぞ」
「うわー、いくら落ち込んでる時だからって失礼なこと言うね!っていうか、私のことほんとに分かるんだねー。お父さんの言ってた通り」
「お前とは、7年後……いやもう6年後の予定か、お前が生まれた時に再開したかったよ」
 心の底からそう思う。
「で、今回はなんなのだ?第三次大戦か?SERNによるディストピアか?」
 自棄になりながら尋ねる。未来の世界がどうなろうと、どうでもいいことだ。
 俺は……まゆりが、紅莉栖が、生きていてくれるだけで良かったのに。
               
          
18:
「さすがオカリンおじさん。何でそこまで分かるの?私は2048年、SERNによってディストピアが築かれた未来から来た」
「それで、俺に未来を変えろと言うんだろう?俺はやらんぞ」
 過去改変はもうこりごりだ。もう……俺は疲れた。
 それに、あれだけ苦労して辿り着いたSG世界線を離れることなど考えられない。
 人生は本来やり直しの効かない物なのだ。俺は偶然にもやり直しの術を手に入れてしまったこともあったが、もうあんなものには頼らない。
 現実を――まゆりの死を――受け入れて、生きていく。
「オカリンおじさんならそう言うだろうって、父さんは言ってたよ」
 それが分かってるなら、さっさと帰れ。
「でもね、聞いてオカリンおじさん。ここは――」
「ここは既に、シュタインズゲートじゃない」
               
          
19:
「シュタインズゲートではない、だと……!?」
「そう、ダイバージェンスで言うと、マイナス0.0000002%ほどズレて……」
「馬鹿な!リーディングシュタイナーは発動していないというのに、世界線が変動しているなどありえない!」
 俺が幾度となく経験してきたリーディングシュタイナーの感覚。眩暈にも似たあの独特の感覚は、この世界線に来てから一度も感じていない。
「世界線の変動がごく小さな物だったから。リーディングシュタイナーが発動しなかったか、発動しても普通の眩暈とかと勘違いしたんじゃないかって、父さんは推測してた」
 眩暈……眩暈だと?まさかあの時。
 ――紅莉栖とキスをした時の、眩暈。
 あの時、世界線が変動したというのか?
「だ、だが!Dメールも使ったわけでもないのに何故世界線が変動したのだ!」
「……ここからする話はオカリンおじさんの話を元に父さんが独自に考えた理論だから。もしかすると間違っている部分もあるかもしれないけど、聞いてほしい」
 この世界線の先ではダルが世界線理論を研究しているのか。ならばこのタイムマシンもやはりダル製なのだろうな。
「聞かせてくれ」
               
          
20:
「SG世界線は、α世界線からもβ世界線からも独立し、アトラクタフィールドの影響を受けない世界線。だから、とても不安定らしいの。世界線を電流に例えるならば、アトラクタフィールドというのはいわば導線のような物。導線の無いところに無理やり電流を流すと……」
 脳裏に、電流の流れる様を思い浮かべる。
「ジグザグに、揺れ動くな。時には分岐もしながら、複雑な軌道を取る。稲妻のように」
「そういうこと。SG世界線はDメールなどの過去への干渉手段を用いずとも、常に揺れ動いていたんだ。リーディングシュタイナーが反応しないような、ごく僅かな範囲で」
 太い世界線の境界領域で揺れ動く小さな世界線のイメージを浮かべる。小さな物が動き回る様は、まるでブラウン運動のようにも思えた。
「こうしてSG世界線が動いた結果、不運にもα世界線のアトラクタフィールド内に侵入してしまった。アトラクタフィールド内の世界線は、糸を束ねて紐になるように『収束』される。そうして他のα世界線群と同じように、椎名まゆりの死に収束したのが、今、この現実だよ」
「だが!だが他の世界線ではまゆりが死んだのは1年も前のことだ!今更それが収束する物なのか!?」
「椎名まゆりの死は毎回ちょうど同じ日時ではなかったって、父さん経由で聞いてるよ」
「……」
 その通りだ。世界線漂流の中で、まゆりの死は1日ずつズレていった。だからといって……
「推測でしかないけど、椎名まゆりの死のタイミングが1年程度違っても、α世界線のアトラクタフィールド内に収まってしまうんだろうね」
               
          
21:
くそ。
 あの憎たらしい「収束」というやつは、また俺から大切な人を奪っていくのか。
「……状況は分かった。納得はしていないがな。それで、お前は俺にどうしろと言うのだ」
「簡潔に言えば、未来から持ってきたタイムリープマシンで、過去を変えてほしい」
 鈴羽はタイムマシンの中からヘッドホン型の機械を取り出す。紅莉栖が作った物より小型だ。耳当ての部分に小さく印字されている「FG203」が、何故かやけにくっきりと見えた。
 だがタイムリープでは駄目だ。タイムリープマシンの弱点は俺が誰よりも知っている。
「無理だ。タイムリープマシンで過去の俺の行動を変えても、世界線の収束に阻まれ、結果を変えることはできない」
 俺は何度も何度も、何度も何度も何度も何度もまゆりを助けることに失敗してきた。
 あんな思いは……もう、したくない。
「その通り。だけど、今回の場合は事情が違う」
「なぜだ!俺は何度も失敗して……」
「ここがSG世界線だからだよ」
               
          
22:
「……お前は、さっき『既にSG世界線ではない』とかなんとか言っていたではないか」
「あれは言葉の綾というか、なんというか。
アトラクタフィールドに取り込まれてはいるけれど、今いるこの世界線はSG世界線と『連続』してる。
タイムリープマシンで過去へと辿っていけば、アトラクタフィールドに侵入する前のSG世界線に戻れるはず。
そして、『自由に揺れ動く』特性を持つSG世界線ならば、オカリンおじさんの行動を変えるだけで微細なダイバージェンス変動を起こし、アトラクタフィールドから離れることが出来る……全部、父さんの受け売りだけどね」
「……」
 SG世界線の特殊性、というべきか、不安定さに関してはつい先日身をもって体験したところだ。そして、SG世界線でタイムリープマシンを使ったことは無い。鈴羽の――未来のダルの言うことを、信じてみてもいいのかもしれない。
「それで……俺は、具体的にどうすればいいのだ?」
「それを説明する為には、この世界線が辿る歴史を知ってもらう必要がある」
 俺は鈴羽から未来の歴史を聞いた。俺が2020年に不慮の事故で死ぬこと。紅莉栖は失意のどん底に落ち、その後は俺を助ける為にタイムマシン開発に生涯をささげること。
その為にSERNへと入り、SERNは紅莉栖から得た時間干渉技術でディストピアを構築する――これが、2048年。
 アトラクタフィールドの一番端に引っかかっただけだからか、俺の知っているα世界線の流れと随分違うところも多い。
               
          
23:
「オカリンおじさんにここまで話せば、どうすればいいかは分かってくれるはずだって、父さんはそれ以上教えてくれなかったんだけど……」
 ダルめ。可愛い娘に作戦を伝えることが出来なくてヘタれたな。
 やるべきことは簡単だ。紅莉栖がSERNに入ってまでタイムマシンを作ろうとするような動機を無くせばいいのだ。
 そして、リーディングシュタイナーの発動したタイミングを考えれば、やるべきことは自明である。
――俺が、紅莉栖と恋仲になったことを無かった事にする――
 それだけ。単純なことだ。
               
          
24:
「このタイムリープマシンが戻れる限度は48時間なんだ。タイムリミットを忘れないで」
「分かった」
 俺が紅莉栖に告白したのは昨日の午後二時頃だったはず。余裕を持つならば……
「明日の正午にはここに来る、待っていてほしい。」
 やるべきことは分かった。本来なら今すぐにでも過去へ飛ぶべきなのだろう。だが、俺には決心出来なかった。
 せっかく紅莉栖と恋人同士になれたというのに。それを「無かった」ことにする勇気が無かったのだ。
 我ながら馬鹿馬鹿しい。今までだって多くの人の思いを無かったことにしてきたというのに。
 女として生きるルカ子を無かったことにした。父親と仲良く過ごす瑠美穂の生活を無かったことにした。ラボメンとして楽しく過ごした鈴羽の数日間を無かったことにした。
 だというのに、紅莉栖の――そして自分のことになると、途端にもこんなに惜しいものか。身勝手にもほどがある。
               
          
26:
気づけば、足は自然とラボへと向かっていた。
 今ラボメンと顔を合わせたとして、いったい何を話せばいいのだろう。
 ラボの鍵は開いていた。
「ただいま」
「おかえ……岡部!連絡つかないから心配したじゃない!」
 ラボに居たのは紅莉栖だった。
「わた、私、まゆりの後を追って、あんたまで居なくなったらどうしようかって心配で……ヒグッ」
 俺は紅莉栖をそっと抱き寄せる。
「悪かったな。心配かけた」
「携帯も全然繋がらないし!何してたのよ、もう!」
「……病院で電源を切ってそのままだったようだ」
「馬鹿!馬鹿岡部!」
「悪かったよ……」
 そっと紅莉栖の髪を撫でる。嗚咽が止まるまで、ずっとそうしていた。
 紅莉栖が落ち着いたところで、並んでソファーに腰掛ける。
 数日前までの距離間より僅かに近い。直接触れてはいないけれど、互いの体温は感じる微妙な距離。
 ささいなことだけれど、とても愛しく、そして惜しく感じられた。
               
          
28:
「それで……何があったの?岡部」
「何とはなんだ?」
「ごまかせるとでも思ってるの?今のあんた、酷い顔してるわよ……自分がまゆりを殺してしまったような……いや、まるで『これから大事な人を殺しにいくんだ』みたいな、怖い顔」
「!!」
「言っておくけど、まゆりの死に責任を感じてるなら筋違いよ。医者だって原因不明だって言ってたし、誰にも防げなかった……」
 いや。そうではない。俺が、俺が世界線を動かしたから……
「違う、違うんだよ紅莉栖……」
「じゃあ、何が違うって言うのか説明しなさい。岡部から聞いた話だと、今まで私は何度も相談に乗ってあんたのことを助けてきた。でしょ?
遠慮せず頼りなさいよ。その、か、彼女なんだし」
「分かった、お前には辛い話になるかもしれないが……と、前置きして話すのも二度目か」
「知らないわよ」
 紅莉栖は苦笑した。
               
          
30:
「何よそれ、ばっかじゃないの?まゆりの命と、私との関係。釣り合うわけないじゃない」
 紅莉栖は呆れていた。そりゃそうか。そうだよな。
「私は大丈夫だから。まゆりを……私の大切な友達を、助けて。お願い」
「そうだな、だが俺は……お前との関係を無かったことにしたくない」
「私は大丈夫だと言って――」
「お前じゃなく!俺が嫌なんだ!俺が!!お前と恋人同士でありたいんだ!!」
「岡部……」
 最低だ、俺は。自分勝手なことを紅莉栖に怒鳴り散らして、いったい何がしたいんだ。
「ごめんね、岡部」
 やめろ。謝るな。どうかしてるのは俺だ。
「岡部の気持ち、考えて無かった。岡部がそんな風に思ってくれるの、とてもうれしい」
 別に紅莉栖の為と考えたわけじゃない。俺のエゴイズムだ。
「……それでね、岡部。私に、提案があるのだけれど」
「なんだ」
「ええと、その……私と……え……」
「何だ、はっきり言え」
「岡部。えっち、しよ?」
               
          
31:
……は?今こいつはなんと言った?「えっち」とか抜かしたか?
「こ、こっこっこのHENTAI処女があああ!こっちは真面目に話をしとるというに、何を言い出すかあ!」
「わ、私だって真面目に言ってる!そ、それにもうすぐ処女じゃなくなるし……」
「だぁまれセレセブHENTAI処女ゾンビがあ!」
「だ、だって!まゆりを助けたら私たちは恋人同士になれないわけでしょ?そうしたら、する機会はもう来ない」
「だから今のうちにしようと!?HENNTAIめ!」
「じゃあ岡部はシたくないの?」
「…………」
「………………」
「………………………………シたいが」
 そりゃ当然。恋人同士ならそういうこともしたい。
               
          
32:
「それにね、岡部。岡部は世界線を越えても記憶を継続できるのよね?」
「ああ、リーディングシュタイナーの能力でな」
「私も、岡部ほど完全な形ではないかもしれないけど、世界線を越えて記憶を保持している。
今、……することで強烈な記憶を残しておけば、その記憶をまゆりが生きる世界線へ持っていけるかもしれない。
それに、今度の世界線移動は、跳躍ではなく少し揺れ動く程度なんでしょ?記憶を保持できる可能性は高いんじゃないかしら」
「それは……そうかもしれないが」
「今、この世界線の記憶を私も岡部も持っていけたなら……まゆりを生かすために、アトラクタフィールドに接触しないために、恋人同士になれなかったとしても……きっと頑張れるって、そう思わない?」
「そう……かもしれないな」
「だからね、岡部……えっちしよ?」
               
          
33:
紅莉栖の考えは分かった。恋人になった記憶を持っておきたい気持ちは痛いほど分かる。だが……
「だが断る」
「……こんな時まで用語使うな」
 真面目にえっちがどうとか話してられるか。ちょっとくらい茶化さねばやってられんのだ。許せ。
「俺とて不純異性交遊に勤しみたい気持ちはある。あるが、そういうものは必要に駆られて無理にするものではないだろう?必要が無くとも、お互いに求めあって行為に至る……そういうものではないかね、助手よ」
「つまりヘタれたんですねわかります」
 お前こそ@用語が漏れてるぞ。
「……まあいいわ、私もその……いきなり最後まで、とかは怖かったし。無理しない範囲で記憶に残るような行為をするってことでどう?」
「まあ、そのくらいならよかろう」
               
          
35:
「そうと決まれば……ていっ」
 ソファに押し倒された。思い切り押された胸が少し痛い。
「おまっ、何をする紅莉栖っムグ」
 そのまま口を塞がれてしまった。
「ん……ぷはっ。時間は今日のうちしかないんでしょ?楽しむわよ」
「まてお前、ここでか?誰か来るかもしれないぞ」
 まゆ氏が亡くなった直後に盛ってるとかマジありえねー、とかダルに言われたら……考えるだけでも死にたくなる。死なないが。
「それもそうね、私のホテルに来なさい」
「いいのか?ではお言葉に甘えて……おい紅莉栖、お前がどいてくれないと起き上がれない」
「ホテルには行く、行くと言ったが、その時の指定まではまだしていない……岡部もそのことをどうか思い出して頂きたい……もう1回、キスしてからでもいい?」
 結局、ホテルへと向かったのは5回ほどキスをした後のことだった。
               
          
37:
「おーかべー!」
「のわっ!」
 ホテルに着くなり、ベッドに押し倒されてしまった。
「ムフフ……ここなら遠慮なく何でもできるわよー」
「おいどうしたのだ紅莉栖そのテンションは」
 明らかに紅莉栖のテンションがおかしい。無理して明るくしているような……
 そうか。きっと俺がまゆりのことを意識しないようにしてるんだな。
「さて、何からしようかしら、まずは……この辺の味見を……はむ」
「んっ……くぅ」
 いきなり耳たぶをくわえられた。紅莉栖の鼻息が耳にかかってこそばゆい。
「レロ……チュプ……岡部、女の子みたいな声出てる。かわいい。気持ちいいの?」
 ええい、耳元で囁くな、耳元で!
「ちょ、ちょっと驚いただけであって、ンむ!こら、そんなに舐めるな!」
「ンチュ……ジュル……駄目?」
 駄目かどうかと聞かれれば。
「駄目じゃないが……んっ!」
「ふふ……岡部の反応面白いわね……これは全身くまなく、調べなくちゃ」
               
          
38:
いかん、紅莉栖の目が完全に実験大好きっ子の目をしている。
 俺はさながら被験体だ。
「次は首に行ってみようかしら……ん、岡部?」
「い、息が……かかって……」
 紅莉栖が顔を移動させ、首筋に吐息がかかる。産毛が僅かに揺られるその感覚に、ビクリと体が反応をする。
 首など自分で触ってもなんともないのに。愛する人と体を密着させ、愛する人に触れられると、ささいな刺激が稲妻となる。
「へえー。息だけでこんな反応だなんて、舐めたらどうなっちゃうのかしら。行くわよ」
 紅莉栖は軽く首筋にキスをした後、ペロペロと舐め始めた。微妙な舌先の動き一つ一つに体が跳ね上がってしまう。
「岡部って首筋弱いんだー、本当に面白い。
……くすぐったさっていうのは動脈が近い危険部位を触れられた時の信号だっていうけれど、危険信号を気持ちよく感じちゃうのって不思議ね。
危険を勘違いするって意味では、吊り橋効果に近いのかしら?じっくり研究してみたいわ」
「べ、別に気持ちよくなど」
「ないの?」
「……あるが」
「ふふ、素直な岡部って本当にかわいい」
 面白い実験が出来て生き生きとしてる紅莉栖もなかなか可愛いぞ。
               
          
39:
だが、やられっぱなしというのは性に合わない。
「吊り橋効果というよりは、ジェットコースターなどに近いのではないか?」
「え?どういう意味?」
「ジェットコースターは言わば『安全の保障された危険』を楽しむ遊びだ。今やっていることも似ていると思わないか?安全が保障されているからこそ……信頼しきっている相手だからこそ良いのだ」
「面白い見解ね。検証してみる価値はあるか――」
「ならばその検証、お前の体でやってやろう!」
「きゃあっ!ちょっと、岡部!」
 体を返し紅莉栖の上に覆いかぶさる。
 やられた分はきっちりやり返してやろう。
 約束した明日の正午まで、時間はまだまだあるのだから。
               
          
40:
「そろそろ時間か」
 午前11時。まだ寝ている紅莉栖の頭の下から、そっと腕を引き抜き起き上がる。
「んぅ……すぅ……」
 良かった、起こさずにベッドを抜け出すことが出来た。
 起きて下手に話をしてしまうと、名残り惜しくなってしまうだろうからな。
 紅莉栖が寝ていてくれて助かった。
「さて、服を着なければ……なんでこんな所まで服が吹っ飛んでいるのだ?ええとこれとこれと……そっちは紅莉栖の下着だな、見なかったことにしよう」
 ちなみに今は二人とも全裸だ。「実験」をするために邪魔だったのだからしょうがない。
 紅莉栖の奴、本当に全身くまなく検証したからな……
 念のために、まだ俺が童貞であることも併せてお伝えしておこう。
 ヘタレなのだ。ご了承ください。
 いそいそと服を着て、準備を整える。
「さて、さらばだ紅莉栖。また、二日前に会おう」
 紅莉栖の髪をそっと撫でる。
「お前の記憶が、少しでも引き継がれることを祈るよ」
 そう小声で言い残し、俺はホテルを後にした。
               
          
41:
「オカリンおじさん、待ってたよ」
 ラジ館の屋上では約束通り鈴羽が待っていた。
「タイムリープの時間設定はどうする?」
「今から約47時間前、二日前の午後1時で頼む」
 そうすれば、おそらく紅莉栖と一緒にラボへと向かっているくらいのタイミングのはずだ。
 後は、ラボについた後に俺が告白しなければ良い。
「分かった……準備できたよ。こっちでやり残したことはもう無い?」
「大丈夫だ……いや待て、行く前に確認しておきたいことがある。」
 俺はヘッドギアを被りながら一つ尋ねる。
「お前、2048年から来たって言ってたよな?ということは今はさんじゅっ」
「女性に歳を聞くんじゃない!跳べよおおおおおおお!」
「う、うおおおおおおお!」
               
          
42:
「――ハッ」
「どうしたの岡部?すごい汗……」
「なんでもない……ちょっと恐ろしい形相で睨みつけられただけだ……」
「恐ろしい形相って……そんな人いた?どこ?」
「もういない、大丈夫だ」
 話しながらそっと携帯の時計を確認する。
 確かに、二日前の午後1時に戻ってきていた。
「ところで紅莉栖、俺の一番の『弱点』を知っているか?」
「弱点?なんの話よ?……とりあえず、脳に電極挿しまくったら死ぬわよね」
 ……どうやら。
 紅莉栖は、『実験結果』を覚えていないらしい。
「そうか……ならいい」
「ならいいって、何よ今の質問は」
「いいんだ、気にするな」
 紅莉栖に顔を見られないようにしながら、ラボへと歩いた。
               
          
43:
ラボへ戻っても、俺は予定通り交際を申し込まなかった。
 それからは特筆すべきことは何もない。
 まゆりは翌日になっても死ぬことは無かった。3年が経った今も、元気に暮らしている。
 紅莉栖はアメリカへと戻り、物理的距離の離れた俺たちは自然と疎遠になった。
 稀に機会があれば会うこともある程度の、遠くの友達。
 まゆりなどはメールなどでやりとりをしているようだが、俺はほとんど連絡も取らなくなっていた。
「――これで、いいんだ」
 そう、俺には僅かな時間とはいえ紅莉栖と恋人同士だった記憶が確かにあるのだから。
 紅莉栖の方だって、そのうち何かのきっかけで思い出すかもしれない。
 それだけで、俺は頑張れる。この世界線を、生きていける。
 そう、思っていた。
               
          
46:
「紅莉栖……」
 昔を懐かしみ、半ば無意識に名前が口からこぼれる。
「おお?オカリンの口から見知らぬ女性っぽい名前が出た件について。しかもなんか物憂げな表情。ちょっとkwsk」
 ラボに居たダルが、何故か食いついてくる。
「見知らぬってなんだよ。紅莉栖だぞ、牧瀬紅莉栖。お前もよく知ってるだろ?」
「牧瀬……紅莉栖?誰なんだお?あれだけフラグを立てておきながら誰とも付き合わなかったオカリンにもついに春が来たのかお!?」
 何をふざけているんだこいつは。
「何を言ってるんだ、牧瀬紅莉栖。17歳にして飛び級で大学を卒業した天才少女にして、我がラボのNo.004だ」
「はあ?No.004は桐生氏っしょ常考。ってか天才少女がこんなラボに入る意味が分かんねーし。それ、オカリンの脳内の住人?」
 駄目だ、ダルでは話にならない。
「まゆり、まゆり!」
「どうしたのオカリン?そんな大声出さなくてもまゆしぃは聞こえるのです」
「まゆりは覚えてるよな?紅莉栖のことを……この間もメールしたと言っていただろう!」
               
          
47:
「くりす……ちゃん?まゆしぃのお友達にはくりすって名前の子はいないかなー」
「何を……」
 何を、言っているんだ。まゆりは。
「でもね、なんか懐かしい気がする名前なのです。オカリンの知り合いなら、会ってみたいなー」
「……そうだな、会わせてやるよ」
 この状況は、何度も経験してきた。
 周りの人間と、俺だけが話が噛み合わない。記憶に齟齬がある状態。これはまさに。
 ――世界線移動。
 ならば、俺のやるべきことは決まっている。
「まゆり、必ずお前を紅莉栖と会わせてやる!」
 紅莉栖のいない世界など……俺は認めない!
「お、オカリン?」
「待っていろ、まゆり!」
 俺はラボを飛び出した。
               
          
48:
走りながら携帯でネットを調べるが、結果は予想通り。
 牧瀬紅莉栖という人間がいた痕跡は一切なかった。間違いない、紅莉栖が居ない世界線に、リーディングシュタイナーの発動しないうちに移動している。
 なぜ世界線が動いてしまったかは分からない。
 だが、世界線を元に戻すならば電話レンジないしはタイムリープマシンが必ず必要になるはずだ。
 記憶を頼りにいくつもの店を回り、パーツを集めていく。
「岡部倫太郎!」
 具体的にどうすれば元の世界線に戻れるかは分からない……だが、それを考えるのは電話レンジを作りながらでも良いだろう。
「ちょっと、岡部倫太郎ってば!」
 誰だ、やかましい!今俺は忙しいのだ!
「悪いが今は急いでいる、さらば……って、鈴羽サ―ティではないか」
「さ、サ―ティ……なにその失礼な呼び方は!」
 ドビシィッと音を立ててローキックが突き刺さる。左ふくらはぎが破裂するかと思った。
「ちょ、ちょっとした冗談だ、鈴羽よ。して、要件を聞こうではないか」
「うん、でもここじゃちょっと話づらいから……」
「ラジ館屋上か?」
「さっすが岡部倫太郎、分かってるじゃん」
               
          
49:
鈴羽と共にラジ館へと向かった。発砲を受けて壊れた鍵を見るのも、これで何度目だろうか。
「それで鈴羽よ、何故お前がこの時代に来たか説明してもらおう。あれ?鈴羽?」
 鈴羽の姿が見えない。確かに俺より少し早く屋上に入ったはずだが。
「おーい鈴羽?ったく、なんの遊びだ」
「岡部倫太郎!ここだよここ」
「うおっ?」
 目の前に鈴羽が突然現れた。何もない所から現れたように見えたぞ。なんだこれは、新手の未来ガジェットか?
「ごめんごめん、ちょっと色々と不安定でさ。いきなり消えたり現れたりするかもしれないけどそういうもんだと思って」
 は、はあ?何を言ってるのかこいつは。
「普通、人間は消えたり現れたりせんぞ」
「まあまあ、その辺も説明するから。
――私は2048年、第三次大戦が起きた未来から来た。その未来を変えるためにも、岡部倫太郎。君には、牧瀬紅莉栖を救ってもらいたい」
 また、どこかで聞いたような話だな。
「俺もつい先ほど紅莉栖救出の為に動き出したところだ。とりあえず電話レンジ作成に着手したが、何故紅莉栖が消えたかが把握できていない。それについてはどこまで分かっている?」
               
          
50:
「それについては……あれを見てもらうのが分かりやすいかな」
 鈴羽はタイムマシンのハッチを開け、中から何かを取り出した。
「それは、ダイバージェンスメーターではないか」
 いつか見たのと同じ……いや、桁数が一つ多いか?とにかくそっくりのダイバージェンスメーターだった。
 表示されている数字は、1.048956――最後の一桁が読めない。チカチカと表示が次々に変わり、時には数字が重なっていることもある。
「これ、未来の岡部倫太郎が作った世界線の座標を表示する装置なんだけどさ。最後の一桁が常に動いてるでしょ?今まさにこの世界線は微小な変動を繰り返している極めて不安定な状態なんだ」
「不安定、か。同じことを別の阿万音鈴羽にも聞いたぞ。SG世界線は稲妻のように常に揺れ動いていると」
「それだけならここまで不安定になることはないんだけどね。この世界線は、β世界線のアトラクタフィールドに捕まってしまった」
「……」
 せっかくα世界線のアトラクタフィールドを脱したというのに、今度はβ世界線か。
 2本の導線に挟まれたわずかな隙間に、電流を通す。SG世界線はまさに、奇跡の産物なのだろう。
               
          
51:
「この世界線の辿る未来について説明するよ。まず、牧瀬紅莉栖は、今から――10年後だったかな、アメリカで結婚して子供もできた頃になってから、過去の世界線の記憶を思い出すんだ。君との思い出も、ね」
「何……!?」
「そして、別世界線の記憶を元に、時間移動の研究に着手する。タイムマシンで牧瀬紅莉栖が何をしたかったのかは分からない――だけど問題は、彼女の書いた論文にロシアが興味を持ったことなんだ」
 思い出があれば、この世界線でも生きていける。
 そう言っていたのは紅莉栖だというのに、何を思ってタイムマシンを作るのだろうか。
 いや、思い出したからこそ辛いこともあったのだろうか。
 「なぜ今更思い出すのか」と思ったかもしれない。
 想像することしかできないが、あるいは使命を忘れて生きていた橋田鈴――「失敗した」阿万音鈴羽――のように、苦しみを味わったのかもしれない。
 そして中鉢論文。β世界線においてDr中鉢がロシアへと持ち込んだあの論文も、元はと言えば紅莉栖の書いたものだった。
「論文を元に、大国同士のタイムマシン開発競争が始まり、それが第三次大戦の引き金となる。私が来た未来は、そういう世界」
               
          
52:
「……なるほど、β世界線にそっくりだな」
「うん、私はβ世界線については岡部倫太郎から聞いただけだけどね。牧瀬紅莉栖が死んだ世界……なんだよね」
「そうだ。だがお前の話からするとこの先の未来では紅莉栖は生きているのだろう?なぜ今の紅莉栖は消えて……誰からも認識されなくなってしまっているのだ!」
「この世界線が、β世界線に近づきすぎているから。アトラクタフィールドの収束に巻き込まれて、この世界線でも牧瀬紅莉栖は死んだことになりかかっている」
 だがおかしい。紅莉栖が現時点で死んでいるならば、未来で論文は書かれない。
 ならば戦争も起きない。β世界線の状況に近づくことも無く、アトラクタフィールドの収束も受けない……?
「紅莉栖の存在が……矛盾を引き起こしている?」
「気づいたみたいだね、岡部倫太郎。これは親殺しのパラドクスだよ」
「!!」
「β世界線に収束するならば牧瀬紅莉栖は死んでいなければおかしい。だが牧瀬紅莉栖が死んでいてはβ世界線に近づかない。
そのためにこの世界線は、『牧瀬紅莉栖が生きている世界』と『牧瀬紅莉栖が死んでいる世界』が、いわば重なり合ったようになっているんだ」
               
          
53:
そんなことが……起こり得るのか?
「案外、今父さんや椎名まゆりにでも電話すれば、普通に牧瀬紅莉栖の事を覚えてるかもよ?牧瀬紅莉栖はいたりいなかったリしているんだ。さっきの私、みたいにね」
「鈴羽、お前……」
「いやー、未来から無理やり不安定な世界線を遡ったからね、私の存在自体がかなり不安定になってるみたい。ま、予想した通りだけど」
「それは……未来へと帰れば元に戻るのか?」
「多分無理かな?あはは、そんな顔しないでよ岡部倫太郎!君がしっかり、SG世界線を安定させてくれれば済む話なんだからさ!」
「SG世界線を安定させる、だと……?そんなことが可能なのか!」
「可能だと、そう言ったのは君だよ。いや、これから随分先の未来で言うんだ」
 また、未来の俺か。自分に対して言うのもナルシストのようで変な気分だが、それなりに信頼は出来るのかもしれない。なんせ、SG世界線へと俺を導いた実績があるからな。
 それに、信頼できようができまいがやるしかない。紅莉栖だけじゃない、鈴羽の存在もかかっていると知ってしまったのだ。
               
          
54:
「それで、具体的にはどうすればいい?」
「まず、君にはタイムリープマシンを作ってもらう。設計図は未来の君が用意したから、今渡すね。ハイこれ」
「ほう、準備のいいことだ。だがタイムリープマシン自体を持ってくるのではまずかったのか?」
「そうすると、私と同様にタイムリープマシン自体の存在が不安定な物になる危険性があった。タイムリープの瞬間にマシンが『無かったこと』になったら……どうなるか想像もつかないでしょ?」
 なるほど、それはちょっと考えたくないな。
「それで、俺はいつに戻って何をすればいいんだ」
「そう、それは……実は……」
「うむ」
「実は……」
「実はなんなのだ。焦らすでない」
 みの○んたではあるまいし。
「…………教えてくれなかった!」
「な、な、なんだとう!」
               
          
55:
「テヘッ☆」
「テヘッではないわこのアラサーが!あ、ごめんなさい謝りますからその目はやめて頂けますでしょうか、はい、申し訳ございませんでした。」
 殺されるかと思った。Mr.ブラウンに匹敵する殺気だ。
「よろしい……岡部倫太郎は、具体的にどうすればいいかは教えてくれなかったけど、ヒントはくれたよ」
「何、それをさっさと言え!」
「ええと、『収束において、人間の生死は非常に大きな意味を持つ。収束の力によっても、複数の人間を強引に殺すことはできない。』だってさ」
「む、むぅ……?」
 なんだか分かるような分からんような……
「あれ?何をすればいいか分からない感じ?こう言えば岡部倫太郎なら分かるはずだって……」
「とりあえず、現時点では分からん」
「あ、そういえばもう一つ未来の君から伝言があった」
               
          
56:
「だから、そういうことはさっさと言えと!」
「『分からなかったらタイムリープマシン作りながら考えろ。たまにはその残念な脳細胞を働かせろ』ってさ」
「ぬわぁんだとぅ!このIQ170の灰色の脳細胞を残念だと!」
 聞き捨てならん、そんなことを言った馬鹿をここに連れて来い!論破してやる!
「ちょ、ちょっとそんなに怒らないでよ!それ言ったの未来の君だからね!とにかく伝えることは伝えたから!私はこの時代観光してくるー!」
 そう言い残して、アラサーとは思えない健脚で走っていく。
「待てえい鈴羽!あ、おいコラほんとに待て!連絡手段とかー!くっ、本当に行ってしまうとは……ここからは俺一人でやれということか」
 今まで何度も俺の行動の指針を示してくれた鈴羽がいないというのは、少し不安な気持ちになる。
 だが、未来の俺がこれで大丈夫だと判断したのだ。それを信じようではないか。
 手のひらに残されたタイムリープマシンの設計図に目を落とす。
「まずは……パーツの買い物だな」
               
          
57:
「ダル!まゆり!新たな未来ガジェットを製作するぞ!歴史的発明を手伝う栄誉をくれてやろう!」
「はいはい、今度はどんなガラクタを作るんだお……」
 ダルにコピーした設計図を1部渡してやる。
「ん、これ設計図?なんぞこれ?何をする機械なのかさっぱり分からん件。ってかこんな複雑なんオカリン書いたの?」
「ふっふっふ、それは確かに俺が書いた物だ。ちなみに機能は……今は秘密だ」
 俺が書いた。ただし未来の。
「いやオカリンが書けるとは思えないんだけど……ところどころに書き込んである注意書きがオカリンの字っぽいんだよなー」
「未来ガジェット作るの?久しぶりでまゆしぃはなんだかうれしいのです。ごはん買ってきたり飲み物買ってきたりしてお手伝いするねー」
「よろしい。いざ、ラグナロックを始めん!」
「一体オカリンは何回終末を迎えるつもりなんだお……」
               
          
58:
タイムリープマシンを作りながら、俺は未来の俺に言われた言葉について考えていた。
「人の生死が重要……それも複数の、か……」
 α世界線では、死ぬ時期に多少の差異はあれど、必ずまゆりが死ぬ。β世界線では、紅莉栖が死ぬ。世界線の収束は、多少の出来事などの変化は許容できても、人間の生死の違いは許容できないのだろう。
 だから、世界線が収束する時はかなり強引にでも人を殺して辻褄合わせをする。
 だが、「収束は複数の人間を殺せない」。世界線の収束力と言えど、人間をいきなり心臓麻痺にするような横紙破りは一人が限界なのだろうか。
……つまり、α世界線にとってのまゆり。β世界線にとっての紅莉栖のような人間が他にもいれば、SG世界線は両者からの収束の影響を受けない、完全に自由な世界線となることができる……?
「ねえねえオカリン、何か難しい顔をしてるよ?」
「ああ、ちょっと考え事をしていてな」
 いかんな、まゆりが心配するような顔をしていたか。
               
          
59:
「そういう時は知的飲料だよ!はい、ドクペドゾー」
「ドモドモー」
 ゴクリと飲むと、脳細胞へとエネルギーが充填されていく気がする。疲れた脳で考えても良い閃きは来ないものだ。まゆりには感謝だな。
 しかし、まゆりや紅莉栖のような人間が他にもいれば、か。そんな人間が居ないから収束の影響を受けているというのに。居もしない人間を作り出すことなどできは……
 ん?人間を作り出す?
 人間を……
「ブブウー!!!!」
 まてまてそれはあり得ないだろ常識的に考えてそんなまさか
「ちょ、おまオカリンきったね!つうかパーツにドクペかかってるお!いい加減に汁」
 いやいや、ない無いナイない。さすがにねーから。
「何ブツブツ言ってるお……あーあ、このパーツは駄目だわ。オカリンさっさと替えを買ってくるお!」
               
          
60:
「3980円でーす」
 地味に痛い出費になってしまった。まあ仕方がない、自分がパーツを駄目にしたのだから……
 だが、外出したことで少し落ち着いてきた。これなら冷静に先ほどの考えを検証できそうだ。
 人間を作り出す……すなわち、子作り。
 考えるだけで恥ずかしくなってくるが、ちょっと真面目に検証してみようではないか。
 仮にタイムリープマシンで過去へ戻り、紅莉栖との間に子供をもうけたとしよう。
 紅莉栖で考えるのは、仮定の話でも他の女性となど考えられないからだ。悪しからず。
               
          
61:
さて、仮に子供が出来たとすると、紅莉栖が死んでしまうβ世界線には間違いなく存在しない人間となる。
 その状態でβ世界線の収束範囲に触れるとどうなるか。紅莉栖とその子が死んでβ世界線へと収束する……ことにはならないらしい。
 未来の俺がどう検証したかは分からないが、「複数の人間が収束に殺されることはない」からだ。
 同様に、α世界線において紅莉栖と俺の間に子供ができたというような話は聞いたことが無い。
 あの世界線でのラウンダーの襲撃以降のことを考えれば、子供ができた可能性は非常に低い。
 つまり、α世界線に対しても、まゆりと紅莉栖の子の二人が存在しない人間になり、強引な収束は不可能になる。
 あれ?これいけるのではないか?
 いやいや待て待て、俺は紅莉栖とヤりたいが為に無意識に結論を誘導してはいないだろうか。タイムリープしてヤってみて「駄目でしたー」ってなったらどうする。
 はあ、ヤるべきかヤらざるべきかとか真剣に考えていると、自分が非常に残念な人間に思えてくるな……
 まさか未来の俺、『残念』な脳細胞を働かせろって、こういう意味だったのか……?
               
          
62:
数日後。
 結局他の手段は思いつかなかった。上手くいく確証はないが、こうなればやってみるしかあるまい。
 もしも本当に未来の俺が子作り作戦を考えていたなら、鈴羽に詳しい作戦を教えなかったのも納得できるというものだな。こんなん伝えられるか。
 俺がヤるぞヤるぞと犯罪者じみたかなり危ない意思を固めていた時、不意にダルが声を上げた。
「ふぅーう、できたお」
「何、本当かダル!さすがは我がラボの誇るスーパーハカー!」
「ハカーじゃなくてハッカーでよろ。というか、ハッキング能力関係ねーしこれ。つーか人が頑張ってる時に言い出しっぺのオカリンは何ドクペ飲んでくつろいでるん?」
 だって、俺でも手を出せるような場所がなくて……じゃない、我が右腕の力を信頼していただけのことよ!
「ごくろうだったダルよ。貴様も飲むがいい」
「ここでキンキンに冷えたダイエットコーラとは、オカリン分かってるぅー!」
「あーあダル君に負けちゃった、競争してたのに。でも……これでコスも完成っと♪」
               
          
63:
俺は完成したタイムリープマシンを見る。
 かつて紅莉栖が考案し作り上げた物と比べると、ヘッドホン部分は変わらないものの本体が随分と大型だ。SERNにハッキングをかけてLHCを借りずとも、これ単体でタイムリープが可能になっているらしい。
 俺がダルの協力を得られない、あるいはハッキングに失敗する可能性を考慮したのだろうか。不確定要素は少ない方が良いと未来の俺は考えたのだろう。
「で、勢いで完成させちゃったけど……オカリン、なんぞこれ?」
「フムン、では使う所を見せてやろうではないか。そうすればこれが何か、おのずと分かるであろう」
 嘘だ。これを使う所を見たところで何の機械か分かることはない。
 あえて説明しないのは、ダルたちにこれが何か説明するのが面倒というのもあるが、ちょっとした保険でもある。
 リーディングシュタイナーの能力は誰でも持っているもの。ならば、別世界線の記憶を元にタイムリープマシンを作り上げてしまう可能性は、少しでも低い方が良い。
 マシンのセッティングをし、ヘッドホンを頭に装着する。
 移動先は……3年前。俺が紅莉栖と恋人同士になり、またそれを無かったことにした、あの日がいいだろう。
 あの日へと戻り、俺は……紅莉栖と子作りをするのだ!
「フフフフ、フゥーハハハハ!いくぞダル、まゆり!マシン起動!」
「うわ、なんだこれ!熱っ!放電!?放電だ!」
「お、オカリン大丈夫ー?」
「フゥーハハハ!これより!ラグナロックは!最終局面へと到達する!」
               
          
64:
「かべ……岡部?ねえ、どうしたの岡部?」
 懐かしい声……そう何年も聞いていないわけでもないのに、随分久しぶりに聞く気がする、愛しい声が呼びかけてくる。
「……俺だ、機関の……機関が、なんだったか……くっ、追って連絡する」
 俺は慌てたふりをしながら、携帯をポケットにしまう。さりげなく日時を確認するのも忘れない。確かに、あの日の……ラボに帰る途中だな。
「ちょっと、突然止まったと思ったら、妄想電話の内容思いつかなかったとか?プークスクス」
「妄想などではない!これは……」
「はいはい分かりました、鳳凰院凶真さん」
「くっ、助手の分際で愚弄しおって」
 今までタイムリープや世界線移動のたびに周囲に心配をかけてしまったが、これだけやればさすがの俺も学習する。
 今の演技は我ながら素晴らしかった。紅莉栖は全く不審に思っていないようだ。
 これから恋人に……いや、近いうちに家族となる相手に、余計な心配はかけたくない。
 この後ラボに誰もいないことも俺は知っている。だが、自然に演技しきってみせようじゃないか。
               
          
65:
「フゥーハハハハ!戻ったぞ、我がラボメンたちよ!」
 無人の室内に俺の声が響きわたる。
「なんだ……誰も居ないではないか……このラボの長たる鳳凰院凶ぉぅ真!が戻ったというのに出迎えも無しか!冷たいではないか!」
 ラボメン達が俺と紅莉栖を二人きりにするためにメイクイーンで時間を潰しているのも知っている。その温かさにニヤけそうになる。
「みんな岡部のこと心配してたんだからそういう言い方は無し。けど、誰も居ないのは珍しいわね……岡部ー、ドクペ飲む?あんたが居ない間もまゆりが買ってきてたのよ」
 以前は返事をせずに紅莉栖を心配させてしまったな。そこまで再現する必要もあるまい。
「うむ、頂こう。ありがとう紅莉栖」
「ふぇっ!何よ急にそんな……どう、いたしまして……」
 ふっ、名前で呼んだだけで照れるとはな。テレスティーナめ。
 くぅーッ、赤くなる紅莉栖を眺めながら飲むドクペはいつもの3倍うまいな!
 さて、我が灰色の脳細胞にエネルギーがいきわたった所で、いよいよ勝負と行こうか。
               
          
66:
「紅莉栖……大切な話がある、聞いてくれ」
「うん……」
 真剣な雰囲気を感じてか、恥ずかしがりつつもまっすぐこちらを見つめてきた。
「紅莉栖、俺はお前が好きだ」
「ちょっと……どうしたのよ?改まって」
「だから、今の関係に物足りなさを感じている」
「!!それって」
「俺はお前と、恋人になりたい。付き合ってくれ、紅莉栖」
「岡部……嬉しい」
 紅莉栖の目が潤んでいる。今にも涙がこぼれそうだ。だが、以前と違い、しっかりこちらを見つめてきている。
「私、ずっと岡部と恋人同士になりたかった。岡部から聞いた、別の世界線の話でも説明がつかないくらい。ずっと、ずっと長い間、そうなりたかったような気がするの」
 もしかすると。俺と恋人になれなかった未来の記憶も、なんらかの形で今の紅莉栖に受け継がれているのだろうか。
「だから、岡部。これから、よろしくお願いします」
 そう言って、紅莉栖は俺にキスをした。
 唇からの信号が、脳をビリビリと痺れさせる。懐かしい痺れに、俺は……
               
          
67:
「!!プハッ!」
 紅莉栖を突き飛ばした。
「キャッ!お、岡部……?」
 なぜ忘れていたんだ!あの時、キスと同時に眩暈に襲われて……おそらくはリーディングシュタイナーが発動し、α世界線へと入ってまゆりは死んだのだ!
 だが、今の所、眩暈は感じていない……リーディングシュタイナーは発動していないのか?
「岡部、真っ青な顔してる……大丈夫?」
「すまない、紅莉栖……突然突き飛ばしたりして……大丈夫だ」
 冷静になれ。もしまゆりが死んでしまったとして、鈴羽がタイムリープマシンを持ってきてくれる……はずだ。まだ取り返しのつかない状況ではない。
 だが、現時点でまゆりが無事かは確認しておきたい。
 目の前では紅莉栖が不安そうな顔で俺のことを見ている。
「紅莉栖……すまない、非常に大事な電話を一本入れなければならない。少しだけ、ここで待っていてくれるか?」
 紅莉栖の前で電話をしてもいいのだが、まゆりの安否確認などしてはこいつに余計な心配をかけてしまうだろう。
「岡部……本当に大丈夫なの?体調とか……」
「大丈夫、すぐ戻るよ。……愛してる、紅莉栖」
「あ、愛し……」
               
          
68:
紅莉栖が機能停止した隙に、ラボの玄関を出て電話を掛ける。
 相手は……ダルがいいか
「もしもーし、オカリーン?無事戻ってきたお?」
「ああ、そのことは大丈夫だ。……まゆりはそばにいるな?」
「まゆ氏?いるけど電話かわる?」
 思わず息をつく。どうやら現時点ではまゆりは無事なようだ。
「いや、その必要はない。特にまゆりに変わった様子はないな?」
「うん、元気にオムライス食べてるお。なになに、そんなにまゆ氏の事が心配なのかお?ハーレム爆発しろ!」
「別にハーレムではない。ではまた」
 電話を切り、紅莉栖の元へと戻った。すぐに戻ると約束したからな。
「すまなかった紅莉栖。こんな大事な時に突然電話などと」
「駄目、許さない」
 くっ……先ほどの精神攻撃(愛してる)からは既に復帰していたか。
「どうしても許してほしければ……キス、して」
「お安い御用だ」
 ふぅ、どうやら致命的に嫌われたわけではないようだな。安心したぞ。
 そっと紅莉栖を抱き寄せ、唇を重ねた。
 ちなみに、完全に許してもらうまでは10回のキスが必要となった。
               
          
70:
なぜまゆりが無事なのか。
 以前鈴羽は、SG世界線ではタイムリープマシンで過去の行動を変えるだけでも微細なダイバージェンスの動きがあると言っていた。
 おそらく、俺の行動が微妙に変わったことの影響で以前とは違う世界線の動きになり、まだα世界線のアトラクタフィールドに侵入していないのだろう。
 だが、世界線の動きをコントロールできているわけではない。
 今、この瞬間にもまゆりが倒れるかもしれないのだ。
 急いでミッションを達成せねばならない。
「それじゃあ、入るぞ」
「ど、どうぞ。ちょっと散らかってるけど」
 俺は紅莉栖の泊まるホテルの部屋に来ていた。
 付き合い始めたその日のうちにホテルとか我ながら軽く引くが、紅莉栖はそこまで嫌がることはなく連れてきてくれた。
 嫌がられず良かった。余計に時間をかけるほど、アトラクタフィールドに侵入してしまう可能性も上がるだろう。
 すなわちそれは、まゆりの死の危険が上がっていくことを意味するのだから。
               
          
71:
「岡部ー、ドクペ飲む?それともコーヒーがいい?」
 時間をかけるのはよくない。
 ならば、すぐにでも――
「岡部?どうしたの……キャッ、急に引っ張らないで!」
 紅莉栖の手を引き、そのままベッドに押し倒す。
 紅莉栖のシャツのボタンを外していく。紅莉栖が動くのでなかなか外せずもどかしい。
「おかっ、べ、待って!その、心の準備が…おかべ、おかべ!」
 うるさい、急がないとまゆりが――
「岡部!」
 紅莉栖に思い切り突き飛ばされた。
「岡部……怖いよ……」
 紅莉栖の目の端から一粒の涙が落ちる。
 俺は――何をやっているんだ。
 これではレイプではないか。
 紅莉栖を……誰より大切な人を……また、傷つけてしまった。
「……すまない」
 そんな言葉しか出ない自分に嫌気が差す。
 どうしていいか分からず、紅莉栖に背中を向けて座った。
               
          
72:
「岡部……さっきはごめんね」
 後ろから少し震えた声を掛けられる。紅莉栖はまだ泣いているのだろうか。
「何を言っている。完全に俺が悪い」
「ううん、私も。急だったからびっくりしちゃっただけで、こうやって、求められるのは……その、嫌じゃない、っていうか。
それなのにあんな風に拒絶しちゃって……岡部の気持ちも考えないで、ごめんね」
「相手の気持ちを考えなかったのはこちらのほうだ。すまない」
 ふと、背中に体温を感じた。紅莉栖が、背中に寄り掛かって座っているようだ。
 苦笑まじりに、紅莉栖が言う。
「じゃ、お互い様、おあいこってことで。けど、さっきの岡部すごい形相だったわよ?童貞乙、必死だなwwwって感じで」
「……」
 俺は、いったいどんな顔をして襲い掛かっていたのだろうか。想像もしたくない。
「あのさ、岡部。何をそんなに焦っているのか知らないけど。『どうしても今やる必要があるんだー』、みたいな顔してたよ?
こういうのって、なんというか……必要に駆られて無理にするものじゃないでしょ。単に、理由なんて無くお互いに求めあって行為に至る、そういうもの……
って、何こんなこと真面目に話してるんだろ私、恥ずかし」
――そういうものは必要に駆られて無理にするものではないだろう?
 いつか、俺が紅莉栖に言った言葉。
 紅莉栖の方に向き直る。
「紅莉栖……すま……いや、ありがとう」
 そっとハグして、頭を撫でた。
「岡部……良かった、いつもの顔に戻った」
 そのままキスをする唇が触れるか触れないかという程度の、軽い接触。
「ん……岡部、やっぱり優しいね。そういう所、とっても好きよ」
 ならば、精一杯優しく触れ合おうではないか。
 焦ることはない。まゆりのことは今は考える必要はない。もしものことがあっても、最悪タイムリープという手もあるのだ。
 今は、目の前の、愛しい人のことだけを見て、感じて、愛し合おう。
               
          
73:
割れ物を扱うように、そっと紅莉栖の体を寝かせる。
 先ほどと違い、安心した表情で身を任せてくれている。そのことがたまらなく愛おしく感じ、思わずキスをする。
「んう……おかべぇ……」
 紅潮させた頬、滑らかな首筋、小さなおでこ……紅莉栖のすべてが可愛らしく見えて、そこらじゅうにキスをしていく。
「おかべ……好き……」
 そう言われては、全力を出さずには言われない。紅莉栖には悪いが、「予習」の成果を使わせてもらおう。
 わざと少し耳に息がかかるようにして、そっと囁く。
「俺も、紅莉栖が好きだ」
 紅莉栖が体をビクりと震わせる。構わずに、耳たぶを口に含み、チロチロと舐める。
「んぅっ、く……ふぅ……」
 必死に声を抑えようとしているが、それでも声が漏れてしまうようだ。恥ずかしさに顔を真っ赤にしている。
 徐々に舐め方を大胆にしていく。時々ピチャリと音を立てるようにするのも効果的なのを俺は知っている。
「ん!ああ、やあ!」
 もはや全く声を抑えられていない。舌の動きに合わせて紅莉栖の体がビクビクと跳ねる。
 耳を舐めながら手を太ももに這わせる。ストッキングの手触りをしばらく楽しんだ後、軽く爪を立てて内ももをなぞる。
「―――!!はあっ、やめっ!」
 目を白黒させながら身をよじって逃れようとする。だが、逃がしてやらない。こうやって爪を立てられるのも好きだと知っているからだ。悪いな。
「おかべ、おかべ!んっ!……んちゅ……」
 執拗な責めに耐え切れなくなったのか、頭を掴まれて強引にキスされてしまった。できるならもうちょっと耳を味わいたかったのだが。
「はぁ、おかべ……すごい……これ、検証……証明、しないと……」
 息も絶え絶えといった様子で、舌も回っていない。その目を見れば何をしようとしているか手に取るように分かった。実験大好きっ子の目だったからだ。
 紅莉栖に覆いかぶさる姿勢から、体を入れ替えてやる。
 俺たちは、お互いが研究者であり被験者だ。
               
          
74:
一通り全身の「実験」が終わったあたりで、いよいよ切り出す。
「紅莉栖……入れたい。入れて、いいか?」
 紅莉栖は横を向いて目をそらした。
「紅莉栖、俺の目を見てくれ」
 そっと頬に手を当て、しっかりと紅莉栖の目を見て告げる。
「責任は取る。信じろ」
「………バカ」
 また、プイッと横を向かれてしまった。
「岡部、またさっきみたいな焦ってる顔になってるわよ?」
「!!……そんな顔、してたか」
「……ちょっとだけ。大体、入れたいって言っても、避妊具も用意してないでしょ?そのまま……やるの?」
「ああ……責任は、取る」
「バカ……そんな簡単に言って……」
 やはり無理があっただろうか。こうなれば仕方がない。後日に……
「でも、そんな顔で頼まれたら断れないじゃない」
「!!」
「私の勝手な思い込みかもしれないけど。岡部は自分の為に無理な頼みをするタイプじゃないと思ってる。
なんでこんなことしてるか全然想像つかないけど……何か理由があるんでしょ?」
 こいつは、本当にいつも俺の考えを見通しているな。
「ああ……そうだ」
「いつか話せ。それなら許す」
「ああ……約束しよう」
「絶対だからな」
 紅莉栖がキスをしてくる。
 長い、長いキスだった。
               
          
75:
紅莉栖の体に手を這わせ、茂みの奥の谷間を目指す。
 初めてならば、指でほぐしてからの方がいいだろう。
「つっ……優しく、触って」
「すまない……こうか?」
 話をしている間に乾いてしまったようだ。キスをしながら、恐る恐る愛撫してみる。
 そのうち、徐々に指先に濡れた感触がしてきた。
「ん……いけるかも……ちょっと、指、入れてみて」
「分かった、痛かったら教えてくれ」
「ん」
 手探りで見当をつけ、そっと指を入れていく。指が温かな感触に包まれる。深い。どこまでも沈んでいきそうだ。
 紅莉栖の表情を見ながら、そっと動かしてみる。
「どうだ」
「大丈夫……ねえ岡部、私……早く、『実験』進めたい……かも」
「そんなこと言われたら止まれんぞ」
「やめる気ない癖に……それに、こ、これは『実験』なんだからな……何も、問題はないわ」
 言っている意味が良く分からないが、単に恥ずかしいのだろう。
 俺も恥ずかしいので、ここは紅莉栖にのっておく。
「じゃあ、次の実験に移るぞ」
 紅莉栖に覆いかぶさり、このあたりが入口だろうというあたりにあてがう。
「行くぞ、紅莉栖」
 ぐっと押し付けてみる……全く入っていく気配がない。
 位置か?角度の問題か?いや、紅莉栖のこわばった表情から推測するに、緊張で力が入ってるのか?
「紅莉栖、ゆっくり深呼吸をしてみろ」
「う、うん……」
 頭を撫でながら話しかける。
「大丈夫だから。力を抜いてみろ」
「じゃあ……キスして。キスしてくれたら、安心できる……気がする」
「分かった」
 そっと唇を重ねる。そのまま腰に力を込めてみると、ずぷりと沈み込んだ。
               
          
76:
そのまま押し込んでいくと……ブチ、と何かを引きちぎる感触があった。
「つ……」
 紅莉栖が苦悶の表情を浮かべる。
 その表情が。肉を引きちぎる感触が。ラジ館で紅莉栖を刺し殺した時を思わせ。
 強烈なフラッシュバックに襲われる。
 思わず唇を離す。
「う……ああ……」
「ちょっと岡部?……って、何であんたが泣いてんのよ。普通逆じゃないの?」
 紅莉栖が苦笑している。
「大丈夫だから。少し痛いけど、嫌な痛さじゃないっていうか。大丈夫だから、そのまま来て」
 穏やかな笑みを向けられて、フラッシュバックが治まる。落ち着け、紅莉栖だって不安だろうに、俺が取り乱してどうする。全く、情けない姿を見せてしまった。
「ああ、ありがとう。いくぞ」
 再び、少しずつ押し込んでいく。取り乱した間に少ししぼんだおかげか、するりと奥まで入ってしまった。
 熱い物に覆われた感触と、ぴたりとくっついた互いの下腹部が、確かに二人が繋がっていることを伝えてくる。
「入った……んだよね」
「ああ」
「ふふ……なんか不思議な感じ。でも、すごく嬉しい」
「ああ、俺もだ……」
「おかべ……」
「紅莉栖……」
 どちらからともなく、キスをする。紅莉栖の目の端に涙が溜まっている。俺も、不思議と勝手に涙がこぼれそうになった。
 俺たちは繋がったまま、何度も何度もキスを繰り返した。
               
          
77:
「……少し、動いてみるぞ」
「うん、いいわよ」
 キスをしている間に、すっかりと硬さを取り戻していた。動いて大丈夫かは不安だったが、もう我慢ができない。
 ゆっくりと腰を前後させる。
「んっ……くぅ……」
 自分のわずかな動き一つ一つが紅莉栖に伝わり、反応が返ってくる――そのことが、伝わる感触以上に俺に快感を与える。
「んっ……不思議ね……出そっ…うと思ってないのに勝手に声が出るなんて……んっ……データを……とらなきゃ……」
 紅莉栖がつぶやき、悪戯っぽい目をこちらへと向ける。
「だから、もっと、して?」
 それを聞いた瞬間、俺の中で何かが爆発した。
「紅莉栖、紅莉栖、紅莉栖!」
 わけもわからず紅莉栖の名を呼ぶ。腰が自分の意思と関係なく動いている。
「おかべ、おかべ!きて!おかべ!」
 名前を呼ばれるたびに、頭が白く塗りつぶされていく気がする。
「紅莉栖!っはあ、はあ、紅莉栖!」
「おかべ!おかべ!」
 どんどん白くなる。
「紅莉栖ー!」
「おかべっ!」
 そして、完全に世界が真っ白になった。
               
          
78:
真っ白な世界から戻ってくると、ガクリと全身から力が抜けた。
 眩暈がし、急激に眠気が襲い掛かってくる。意識を無理やり吸い出されていくかのようだ。
「紅莉……栖」
 力を振り絞り、声を掛ける。
「愛している」
 キスをしようとした所で、意識が暗転した。
               
          
79:
これは夢……だろうか。
 世界がグルグル回るような不快感。頭がボーっとしてうまく働かない。この感じは、子供の頃に熱を出した時の夢……?
 誰かが俺のことを心配そうに見ている。紅莉栖だ。
 子供の頃に熱を出した時なら紅莉栖がいるはずないのに。
 まあ、夢ならなんでもいいか。
 目を覚ますと、目の前に紅莉栖の顔があった。
「……おはよう。今何時だ?」
 紅莉栖がやけに心配そうな顔をしているのが気になる。
「4時よ。ちなみに午後の」
「なに?随分と寝過ごしてしまったようだな」
 慌てて体を起こす。寝すぎたせいか……それとも昨日の『実験』がこたえたか、体がだるい。
「そのまま寝てなさい。あなた、すごい熱出してるんだから」
「そうだったか、心配かけたな。だが、熱はもう下がった気がするぞ」
 話しているうちに、寝ぼけた頭がすっきりしてきた。熱っぽい感じはない。
「本当?」
 紅莉栖が額同士を合わせてきた。
 そんなに顔を近づけたら、また熱が上がるかもしれないだろうが。
「んー、確かに下がってるわね。けど無理しないで寝てて」
「すまないな、お言葉に甘えさせてもらうとしようか」
               
          
80:
横になりながら考える。
 寝ている時に感じていた感覚はきっと夢なんかじゃない。子供の時、2000年問題の時と全く同じ感覚に、同様の高熱。ならば、世界線の分岐点で発動したリーディングシュタイナーの可能性が高い。
 では、その分岐とはどのような物か。推測だが、「SG世界線がα世界線に飲み込まれる」場合と「SG世界線が独立を保つ」場合の分岐だ。
 そして、熱が収まったということは分岐点を通りすぎ、世界線が確定したと考えられる。
 現時点で紅莉栖が慌てたりしている様子が無いので、まゆりの身に何かあったということは無さそうだ。つまり、ここはα世界線ではない。
 以上のことから導き出される結論は――
 俺は、枕元に置いてあった携帯を手にし、耳に当てる。
「俺だ。ついに機関の殲滅に成功した。……そうだな、以前の約束通り、俺は組織を抜けさせてもらう。
ああ、これが世界の――いや、俺の責任という物だ。エル・プサイ・コングルゥ」
 携帯を置くと、紅莉栖が呆れ顔でこちらを見ていた。
「そんな馬鹿やってる余裕があるなら本当に平気そうね。私、コンビニ行くけど、ごはんは普通の物食べられそう?」
「ああ、なんでも大丈夫だ。助かる。それと、一つ頼みたいことがある」
「なに?」
「……タウンワークを持ってきてくれ」
 これから要りようになるだろうからな。
               
          
81:
俺の推論が正しければ、俺と紅莉栖の子が生まれる世界線で確定した可能性がある。
 いずれは結婚して家庭を持つかもしれないということは妄想することはあったが、まさかこんなに早くとはな。
 俺はまだ大学生だし、紅莉栖はアメリカでの研究だってある。これからは忙しくなりそうだ。
 だが、これも――
「これもシュタインズゲートの選択、か」
               
          
82:
     ( ゙、_.`゙ _n_  .`_゙  , __ __ ::γ,r'"''t!: .
 `''- 、ヽ.゙f!''γ゙ニヽ1| 1!'".゙f! (、_`゙ o::{. {::::::t-r ''~〕! 十 γ゙ニヽ
 f 、__ノソ l:しヽヾ_ィ 」:!_._!L j.l_ ,、,_) i7::ヽヽ ノ_j:: ど,j!、 lレヾゞ
  ~ ̄~ .~  ̄    ̄
―境界領域のライトニングボルト―       完
               
          
83:
くぅ疲。これにて終了。
無駄に長いし駄文だが楽しんでくれる人が一人でもいてくれたら嬉しい
ちょっとエロ描写に恥ずかしくなってきたので枕に顔うずめてバタバタしてくる
               
84:
乙!面白かったし完走してくれて良かったよ!
着床成功ハッピーエンドってことでいいんよね?
               
85:
>>84
ありがとう
ハッピーエンドだけど岡部の甲斐性で養っていく未来が見えない
家計をクリスに頼って呆れられてそう
                    
          
86:
面白かった!
               
          
87:
オマケ―省略された実験風景の一部
「ふむぅ、耳と内ももが弱いか……」
「べ、別に弱いと証明されたわけじゃないし、もっとデータを取って検証すべき///」
「いや、次の段階に移る。両方を同時に刺激するとどうなるかを試そう」
「そ、そんなことをされたら私……キャッ」
「レロ……チュパ……」
「やあっ……っ無理……やめっ!」
「むぅ、逃げるでない。データがまだ足りんぞ。それともこれは駄目だったか」
「いや、駄目じゃないんだけど……駄目というか。その…………すごくいいんだけど体が勝手に逃げちゃうの」
「ふむ、すごくいいか」
「そこだけ切り取るな!」
「では次は逃げられないようにしっかり捕まえて実験をしよう」ガシッ
「え、ちょっと待って岡部、無理、無理だから!」
               
          
88:
〜30分後〜
「かべ……おか…へ…」ピクピク ビクン
「うつろな目で体を痙攣させている……やりすぎたか……っておま、紅莉栖!紅莉栖大丈夫かそれ!?」
「え……ふぇ?そえってなんのころ?」
「鼻血!」
「え……なんぞこれー!?なんぞこれー!!」
「ほらティッシュ!」
「ありがと岡部……」
「……面白い実験結果が出たな」
「脳内麻薬の過剰分泌により血圧が急上昇、毛細血管にダメージを与えたのね……確かに興味深いけど、岡部」ギロ
「はい」
「今度からやりすぎないように」
「申し訳ありませんでした」
               
          
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