相模「それでは文化祭の定例ミーティングを始めます」back

相模「それでは文化祭の定例ミーティングを始めます」


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黒髪ショートで大人しめな清楚系女子。海老名さんから腐属性を抜いた感じ。
雪乃のせいであまり目立たないもののトップレベルの美少女。
体型は雪乃と陽乃の間くらいで運動神経は中の下。
優しい性格と清楚な見た目から隠れファンは多い。
趣味は料理、特技は裁縫、好きなものはひなたぼっこ。
だがそれは彼女の表の顔にすぎない。
179: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/10(土) 19:50:03.42 ID:b0vYx5HF0
陽乃「どうしたの二人とも、そんなに怯えちゃって」
八幡「きゅ、急に出てこられたら誰でもびっくりしますよ。それより今どこから……」
陽乃「まあまあ、そんな小さいことは置いといて。二人でなんの話してたのかな?」
八幡「文化祭の話ですよ。二人とも文実なんだから当然じゃないですか」
陽乃「へえ……」
相模「な、なんですか?」
陽乃「それならどうして『過去を変える』だなんてファンタジーな単語が出てくるのかな?」
八幡「なっ……!」
八幡(この人どこから聞いてたんだ……?)
八幡「それは……」
相模「あ、アニメの話です!!」
八幡陽乃「え?」
相模「まどマギってアニメの!ね!」
八幡「あ、ああ。そうなんですよ。過去に戻れる力を持った魔法少女の話をしてたんです」 
陽乃「えー。ほむらちゃんの話してるようには見えなかったけどな。本当はなんの話を──」
八幡相模「まどマギ知ってるんですか!?」
180: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/10(土) 19:51:01.04 ID:b0vYx5HF0
陽乃「へっ?あ、う、うん。まあ一通りだけど」
八幡「どうしてそれを最初に言ってくれないんですか!言ってくれたら表面上だけでも仲良くしたのに!」
相模「そうですよ!それを言ってくれればウチだってあんなに怖がらなかったのに!」
陽乃「ご、ごめん……えっとそれでさっきの話──」
八幡「そんなことはもうどうでもいいです。それより誰が好きですか?」
陽乃「ま、マミさんかな……」
八幡「あー、なるほど。まあマミさんもいいですよね」
相模「ウチはほむらちゃん一筋です!」
陽乃「そ、そうなんだ……あの」
相模「比企谷は?」
八幡「ふっ、俺は……まどかのお母さんだ!」
相模「つまり現実でいうと平塚先生が好きなの?」
陽乃「ねえ」
八幡「お前、冗談でもそういうこと言うのやめろ。あの人のことだからそんなこと言われたら本気で俺に迫ってくるかもしれないだろ」
相模「さすがにそれは……いや、ありえるかも……」
陽乃「ちょっと」
八幡「だろ?」
相模「でも珍しいとこ狙うね。さすがは比企谷、捻くれてる」
陽乃「…………」
八幡「褒めるなよ」
相模「いや褒めてないから」
陽乃「わ、私そろそろ戻るね?」
八幡「え、ああ、さようなら」
相模「さようならです」
八幡「それよりもお前がほむら派っていうのもなんか……」
ワイワイガヤガヤ
陽乃(なんか負けた気がする……)トボトボ
190: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/10(土) 22:47:36.47 ID:b0vYx5HF0
廊下
八幡「なんで付いてきてんの?」
相模「ウチはクラスに用事があるだけ」
八幡「……もしかしてホシミュ?」
相模「比企谷も?」
八幡「当たり前だろ。戸塚の劇を見ないで何見るんだよ」
相模「本当に戸塚君好きだね……っていうか昨日も見たんじゃないの?それで結衣ちゃんとハニトー食べたんでしょ」
八幡「……なぜそこまで知っている」
相模「さあ、なんででしょう」
八幡「おおかた由比ヶ浜にでも教えてもらったんだろ」
相模「そんなすぐ見抜かなくても……」
八幡「ま、そんなことよりとっとと教室に行こうぜ」
小町「あれ……お兄ちゃん……?」
八幡「この声は……小町か!」
相模「リアクションがちょっとうざい」
八幡「どうした小町、一人で来たのか?」
小町「う、うん……それよりお兄ちゃん!この人誰!」
相模「あ、初めまして小町さん。比企谷君のクラスメイトの相模南です」
小町「え、あ、ご丁寧にどうもです。私は比企谷小町です。いつも兄がお世話になって……」
相模「いえいえとんでもない!比企谷君にはいつもよくしてもらって……」
八幡「なんか学生には似合わない会話だな」
小町「お兄ちゃん!お兄ちゃんにもついに春が来たんだね!」
相模「え!?///」
八幡「いや違うから。俺の春を連れてくるのは戸塚だから」
相模小町「うわー」
八幡「シンクロして引くな。あ、そうだ小町、お前このあと暇?戸塚見に行こうぜ」
相模「せめてホシミュって言おうよ」
小町「お兄ちゃん。実は小町はこのあといろいろと忙しいのです」
八幡「そうなのか?」
小町「だからお兄ちゃんは相模さんと二人でホシなんとかを見てくるのです!」
相模「ウ、ウチが比企谷と!?」
八幡「まあ構わんが……一人で遊んで迷子になったりするなよ?アナウンスで呼び出されるとか嫌だからな」
小町「大丈夫!お兄ちゃんの妹なんだから一人には慣れてるよ」
八幡「確かにそれなら心配いらないな」
相模「納得しちゃうんだ……」
小町「それじゃ行ってくるね!相模さん、こんな捻くれた兄ですがどうぞよろしくお願いします。あ、今の小町的にポイント高い」
八幡「はいはい」
小町「じゃあねー!」トタタ
八幡「んじゃ、俺たちも行くか」
相模「そ、そうだね」
192: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/10(土) 23:40:50.47 ID:b0vYx5HF0
>>191あ、そうでした……神奈川の地名にするの忘れてました……
じゃあモブ子の名前『綾瀬 妖(あやせ あや)』に変更で。
あと今日はここまでにしておきますー。
おやすみなさい!
217: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/19(月) 19:10:48.15 ID:5B6LB1WG0
よし!モブ子のことはもういっそ忘れよう!
ってことで今から投下していきますー
218: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/19(月) 19:13:46.06 ID:5B6LB1WG0
2?F前
八幡(戸塚最高だった……)
八幡(くそう、なぜ俺は葉山の立ち位置になれなかったんだ)
八幡(文実にさえなってなければ……おのれ葉山ァ)
八幡「はあ……」
相模(比企谷がさっきの劇で葉山にアツい視線を送ってたけど……ま、まさかもう目覚めちゃったの!?)
相模(キマシタワー!!!……って違う!ウチがそっち側に行ってどうするの!)
相模(だ、大丈夫だよね?比企谷はまだノーマルだよね?)
八幡「なあ」
相模「ひゃい!」
八幡「そろそろ体育館でいろいろやるっぽいし、その写真を撮りに行かなきゃならんから俺はもう体育館行くが……お前はどうする?」
相模(こ、これってもしかして……遠回しに一緒に行こうって言ってくれてる!?)
相模(比企谷が……ウチのことを……)
相模(でも……)
相模「……ごめんね、ウチまだ見てないとこいくつかあるから」
八幡「そうか。んじゃまた後でな」スタスタ
相模「うん、また後でねー」
相模「……………………」
相模(…………さようなら、比企谷)
220: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/19(月) 21:01:56.59 ID:j2UXjMbx0
舞台裏
八幡(舞台裏も写真残しとくか……)カシャカシャ
雪乃「あらサボリ谷君。ここでは仕事をしているのね」
八幡「なんだよ、俺は見た目はきっちり仕事してるだろ」
雪乃「見た目だけでも仕事をしていたら、屋上で女子と密会なんてしている暇はないと思うのだけれど?」
結衣「そうだし!屋上行くならあたしも呼んでくれたっていいじゃん!」
八幡「なんでお前呼ばなきゃならないんだよ。屋上で相模に会ったのは偶然だ」
結衣「うー!」
雪乃「ほら、あなたが仕事をこなさず異性といちゃいちゃしているから由比ヶ浜さんが日本語不自由になってしまったわ」
八幡「もともとだ」
雪乃「そう言われればそうね」
結衣「ゆきのん!?あたし日本語はできるし!」
雪乃「そんなことより」
結衣「そんなことなんだ……」
雪乃「あなた、相模さんとなにかあったの?」
八幡「別になにもないが……なんてそんなこと聞く?」
雪乃「相模さんの話をするときだけ、あなたがいつもと違う表情をしている気がしたからよ」
八幡「気のせいだ。つーかそんな細かいことが分かるほど、俺のこと知らないだろ」
八幡(……意味なんてないのに、トゲのある言葉を言ってしまう)
相模『ねえ、最近雪ノ下さんとどう?』
八幡(あいつが思い詰めてたのはこれのことか……?)
雪乃「……そうね。あなたのことなんて知らないわ」
八幡「だろ。お前は俺のことなんか知らない」
雪乃「…………」
モブ子「あのー……」
221: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/19(月) 21:03:20.74 ID:j2UXjMbx0
結衣「ん?どうしたの?」
結衣(良かった!あたし空気になってたから話せる人が来てくれて助かった!)
モブ子「あ、あの、用があるのは比企谷君でして……」
結衣「……」ショボン
雪乃「……」ジトー
八幡「どうした。なにか問題か?」
モブ子「そこまでのことじゃないんですが、委員長の居場所知らない?」
八幡「いや知らんが……相模がどうかしたのか?」
モブ子「そろそろエンディングセレモニーの打ち合わせしたいんだけど、どこにもいなくて。比企谷君なら知らないかなって」
八幡「別にあいつと仲いい訳じゃないから頼りにされても困る。まあどうせ、どっかのクラスで時間忘れて楽しんでんじゃねえの?」
モブ子「それが……お店を出してるクラス全部探したのにどのクラスにもいないの」
八幡「……それ、結構やばくないか?」
雪乃「なにかあったの?」
八幡「相模がいないんだと」
葉山「相模さんが?」
八幡「うおっ。お前はどっから出てきた」
葉山「ずっと君の側にいたけど……」
八幡(なにそれ怖い)
223: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/19(月) 21:05:09.48 ID:j2UXjMbx0
葉山「それよりも大丈夫なのか?彼女がいないとエンディングセレモニーが出来ないだろ」
モブ子「ど、どうしよう……」
雪乃「……比企谷君。あなたなら相模さんを何分で見つけられる?」
八幡「分からん。そもそも見つけられるかどうかも分からない」
葉山「……10分なら引き延ばせる」
八幡「厳しいな」
雪乃「ならあと10分」
八幡「それなら……だがどうやって引き延ばすんだ?さすがに葉山たちのグループだけ20分延長なんて出来ないだろ」
雪乃「誰が葉山君に引き延ばしてもらうと言ったのかしら」
八幡「どうやって……」
雪乃「……姉さん、頼めるかしら」
陽乃「そうなると思ってたよ。けどそれは命令かな?」
雪乃「そうだと言っても聞かないのでしょう?だから姉さんにとってのメリットを提示するわ」
陽乃「ふうん……で、私にとってのメリットってなにかな」
雪乃「私に貸しを作れる」
陽乃「へー……成長したね、雪乃ちゃん」
雪乃「私は昔から変わっていないわ。姉さんが知らなかっただけよ」
八幡「…………はっ」
モブ子「どうしたの?」
八幡「いや、ちょっとな」
224: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/19(月) 21:08:40.91 ID:j2UXjMbx0
八幡(知らなかっただけ、か)
八幡(そうだよな。お前が俺を知らないように、俺だってお前を知らない)
八幡(なのに知った気になって、こいつでも嘘を吐くなんて当たり前のことに失望して。そんなことを考えた自分にまた失望して)
八幡(けど、知らないなら知っていけばいい。失望なんてする余地すらないほど)
八幡(きっとそれでも失望する。だからまた知っていく)
八幡(俺は多分、そんなものを……言葉にはできないけど、そんな本物が欲しかったんだ)
雪乃「比企谷君。姉さんの説得は終わったわ」
八幡「あいよ。見つけるなんて約束はできないが、まあ頑張って探すわ」
雪乃「ええ……信じているわ」
八幡(信じる、か。まさか雪ノ下からそんなことを言ってもらえる日が来るなんてな)
八幡(ある意味相模のおかげだ)
八幡(…………)
八幡「なあ雪ノ下」
雪乃「なにかしら?」
八幡「引き延ばす時間、あと10分……いや5分増やせないか?」
雪乃「5分……出来るとはいいきれないわね。」
八幡「できる限りで構わないさ。つーかそもそも歌どうするんだよ。さすがにお前と陽乃さんだけじゃ無理があるだろ」
雪乃「そうね。だから平塚先生に頼ることにするわ」
八幡(先生この場にいないのに決めちゃっていいのかよ)
八幡「三人……誰が歌うんだ?」
雪乃「ボーカルはもう決まってるわ。ね、由比ヶ浜さん」
結衣「ええ!?あたし!?」
雪乃「……頼んでもいいかしら」
結衣「え、あ、その……うん!」
雪乃「ありがとう」
八幡「これで四人か……」
225: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/19(月) 21:10:36.39 ID:j2UXjMbx0
雪乃「あと一人は欲しいわね。最悪楽器が使えなくても歌唱力さえあれば……」
八幡「……。なあ、えっと……」
八幡(そういや俺こいつの名前知らねえわ……)
八幡「……なあ」
モブ子「ん?もしかして私?」
八幡「ああ。お前って歌とか歌えないの?」
モブ子「む、無理無理無理!!歌なんてめったに歌わないし!」
八幡「いやでもお前の声って結構綺麗だから、歌ったらかなりいい感じになると思うんだが……」
モブ子「き、綺麗!?」
八幡「ああ。それに可愛いから観客受けも良さそうだし」
モブ子「綺麗……可愛い……」
八幡「……ダメか?」
モブ子「……………………大丈夫」
八幡「よし!サンキュー!愛してるぜ!!」
モブ子「愛して……!?」カアア
八幡「じゃ、もう探してくるから。後は頼んだ!」トタタ
モブ子「あ、愛されちゃった……」
全員(比企谷……恐ろしい子っ!!)
233: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/20(火) 08:47:19.76 ID:fNz8APgB0
八幡「うおっ。お前はどっから出てきた」
葉山「ずっと君の側にいたけど……」
八幡(なにそれ怖い)
これは素で怖いわ
236: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/20(火) 20:20:26.56 ID:7uh0np170
???
八幡(材木座や川なんとかさん、それに他の生徒にも聞き込みをしたおかげでだいぶ情報が集まった)
八幡(あいつは間違いなく屋上にいる)
八幡(だから俺は──)
237: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/20(火) 20:32:56.06 ID:7uh0np170
奉仕部部室
ガラガラ
八幡(奉仕部の扉を開けた先にいたのは、頬を涙で濡らしながら外を眺める相模の姿だった)
八幡(誰もいない教室で少女が一人、儚げに佇むその絵は思わず目を奪われてしまいそうなほど美しいもので声を掛けるのをためらってしまう)
八幡「……よう。ずいぶんとくつろいでるみたいだな」
相模「ひき……がや?な、なんで……」
八幡「なんで屋上に行かなかったか、か?」
相模「…………」
八幡「一人になりたいときは屋上に行く。屋上の鍵は壊れてて誰でも入れる。それにちょっと聞いて回っただけでお前が屋上に向かって階段を上ったって証言も手に入った」
相模「なら……」
八幡「だから絶対にそこにはいないと考えた」
相模「…………」
八幡「手がかりが多すぎんだよ。あんなの俺に疑えって言ってるようなもんだ」
相模「あ……」
八幡「……なあ、お前がなんで今になってこんなことをしたのかは、多分、エンディングセレモニーまでの時間を引き延ばさせるためか?」
相模「それをしてウチになんのメリットがあるの?」
八幡「俺と雪ノ下との不和の解消」
相模「……すごいね、バレちゃった」
八幡「やけに俺と雪ノ下とのことを気にしてたみたいだからな」
相模「うん……ウチが過去を変えたせいで比企谷と雪ノ下さんが仲直り出来なくなるんじゃないかってすごい不安だったから……」
八幡「……お前のおかげでなんとかなりそうだ」
238: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/20(火) 20:34:01.13 ID:7uh0np170
相模「ねえ、なんでここだって分かったの?」
八幡「エンディングセレモニーを引き延ばすためには見つからないことが絶対条件だ。ならお前は絶対に誰にも見つからないところに行く。そうなれば必然的に鍵のかかる教室が最も手っ取り早く隠れられる」
八幡「だから職員室に行って、お前が鍵を借りたかどうか確かめた」
相模「確かに借りたけど……ウチは他にもフェイクでいくつか借りてたよ?」
八幡「フェイクの鍵は全部、面する廊下が人通りのある教室だ。鍵をかけたって中を覗かれたらバレる危険性はある。それに対してこんなとこ誰も通ったりしないからな。だからここの予備用の鍵を借りてきた」
相模「そっか……二周目なのに、ウチはまだまだ詰めが甘かったんだね……」
八幡「ああ、まったくだ」
相模「……ごめんなさい。もう体育館行くね」
八幡「あー、その、だな」
相模「?」
八幡「雪ノ下に無理言ってエンディングセレモニーをちょっと長めに引き延ばしてもらってる。だから……」
相模「だから?」
八幡「少し話でもしていこうぜ」
253: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/23(金) 23:05:18.25 ID:87E0Exyr0
相模「は、話……?」
八幡「……一つ、ずっと気になってることがあるんだよ」
相模「なに?」
八幡「見舞いに行ったあの日……なんで泣いてたんだ?」
相模「……っ」
八幡「無理に話せとは言わないが……」
相模「なんか意外だな。比企谷がそんな踏み込んだこと聞いてくるなんて」
八幡「俺もそう思う。けど……気になって、頭から離れないんだよ」
相模「……いいよ。こんなことしてるんだから、そのくらいは教える」
八幡「悪いな」
相模「不安……なんだ」
八幡「不安?今日のことがか?」
相模「ううん。今日の後のこと」
八幡「後……」
相模「過去に戻ってきた人ってさ、それが偶然にしろ必然にしろ、なにかしらの目的を持ってるじゃない?ウチにとっての目的は、比企谷の未来を変えること」
八幡「ああ。その目的についてはもうほとんど達成されただろ」
相模「達成されたらウチはどうなるのかな」
八幡「え……?」
相模「いっつも夢に見るの……。今ここにこうしているのは全部夢で、文化祭が終わったらウチの目が覚めて、なにも変わらない未来が待ってるって夢」
八幡「……夢の話だろ」
相模「うん……でもさ、タイムスリップして精神が過去に戻るなんてことよりも、全部夢でしたって方が有り得そうじゃない?」
八幡「けどこれは夢じゃない。現実だ」
相模「知ってるよ!知ってるけど……信じられないんだよ……。またみんなと文化祭ができて、その上比企谷とこんな風に話せてるなんて幸せすぎる……ホント夢みたい」
八幡「……相模」
相模「なに?」
八幡「お前はどうしたいんだ?未来を変えたいのか、それとも今にしがみついていたいのか」
相模「……今が……いい」
八幡「…………」
相模「だって……もし未来を変えられても、ウチは比企谷と一緒にはいられないじゃん……嫌だよそんなの……だったら例え夢でも……」
八幡「俺と一緒にいたってろくなことにならねえよ。今だってこうやって……お前を悲しませてる」
相模「それでも……それでも!ウチは比企谷とずっと一緒にいたい!」
八幡「…………っ」
相模「でも……比企谷と一緒にいれるのは今日までなんだよ……。これがもしも現実だとしても、どのみちウチには比企谷といれる資格なんてないもん……」
八幡「……ふざけんな」
254: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/23(金) 23:06:25.62 ID:87E0Exyr0
相模「え……?」
八幡「ふざけんなって言ったんだよ。俺と一緒にいる資格がない?バカかお前は。どうして俺が誰と一緒にいるかをお前に決められなきゃならねえんだよ。俺が誰と一緒にいるかは俺が決める」
相模「比企谷……」
八幡「今まで俺は誰かと一緒にいたいと思わなかったし、思ってもらったこともなかった。だから俺はぼっちだった。
八幡「けどお前とは一緒にいたいと思ってる。だからこうして時間作ってもらってまで話してるんだろ」
相模「でも……ウチは……」
八幡「お前の言ってる未来はもう変わったんだろ?だったらお前の言う未来なんて存在しない。存在しない未来でのお前の罪なんて、無いと同じなんだよ」
相模「そんな優しいこと言わないでよ……」
八幡「ただ事実を言っただけだろ。優しいことなんて少しも言ってねえよ」
相模「……ありがと。少し気が楽になったよ」
八幡「そら良かった」
相模「そろそろ戻らなきゃね」
八幡「……そうだな」
相模「よし、それじゃあ行こっ!」
八幡「……もし」
相模「?」
八幡「もしこれがお前の言うとおり夢で、未来に帰ってもなにも変わってなかったら……その時は」
相模「その時は?」
八幡「……未来の俺を救ってやってくれ」
相模「……うん、助けるよ。絶対にウチが比企谷を助ける」
八幡「頼んだ。じゃ行くか」
相模「ウチの最後のステージ……ちゃんと見ててね」
八幡「……気が向いたらな」
260: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/24(土) 21:18:46.28 ID:imm73lKo0
体育館
モブ子「ここからは私のステージだー!!!」
観客「いえーい!!!」
結衣「それじゃあサビ行くよー!!!」
観客「フゥゥゥウウウ!!!」
モブ子「今という!風は!何を伝えるたーめ」♪
結衣「お前のもとーに吹く!強く強く!blowin up!」♪
モブ子「明日がー!夢がー!まだ見ーえーなーくてーもー!」♪
結衣「そこ限界?せーいっぱい!生きて!いると!言えるなら!」♪
八幡「なんか予想してたのとだいぶ違うんだが……」
相模「う、うん……一周目とすごく違う……」
八幡(つか、なんであいつら仮面ライダーの曲演奏できんの?そこが超知りたい)
モブ子「ドンセイノー!」♪
結衣「ジャスリブモアー!」♪
モブ子「みんなー!ありがとー!」
結衣「あたしたちのライブまだまだ続くからねー!!」
観客「おおおおおおおお!!!」
八幡(お前らのライブじゃねえよ!)
八幡(つーかあいつら何分延ばすつもりなんだ……)
261: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/24(土) 21:47:56.15 ID:imm73lKo0
舞台裏
雪乃「はぁ……はぁ……。まさかあれからさらに五曲も弾くことになるとは思わなかったわ……」
陽乃「……ふぅ。さすがの私も疲れちゃった。比企谷君肩揉んでー」
八幡「嫌です無理ですお断りします」
平塚「ぜぇ……はぁ……。こ、この疲れは最近運動してなかったからで……決して年齢のせいじゃないぞ……」
八幡「誰に対して言い訳してるんすか……」
結衣「けどホント疲れたー。もう喉ガラガラ!」
八幡「お疲れさん。ほれ水だ」
結衣「ありがとー!」
モブ子「…………」チーン
八幡(一人死んでるぞ……)
八幡「お、お疲れ。水飲むか? 」
モブ子「比企谷君……」
八幡「な、なんだ?」
モブ子「私……どうだった……?」
八幡「ああ、なんつーか……凄かったぞ。思わず見惚れるくらい」
モブ子「な、なら……よかった……ガクリ」
八幡(そこらへんに寝かせておこう……)
262: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/24(土) 22:07:22.39 ID:imm73lKo0
城巡「相模さん。エンディングセレモニーの挨拶そろそろだから準備してもらってもいいかな?」
相模「は、はい!大丈夫です!」
八幡「んな固くなんな。かっこよく決める必要なんてない。お前らしくやっくりゃいいさ」
相模「……うん!」
八幡「よし、行ってこい。ここから見とくから」
相模「行ってきます!」
263: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/24(土) 22:19:18.70 ID:zLl6d2Id0
最後の挨拶
相模「みなさん、今年の文化祭はどうでしたか?去年よりも大いに盛り上げることができて、委員長として嬉しい限りです」
八幡(相模の挨拶は、ここまではセレモニーと同じようにつつがなく進んでいた)
八幡(だがまぁ、彼女にとってこの文化祭は人生で四度目の、本来は存在しない文化祭だ。その挨拶をあいつが冷静に読めるはずなんて……もちろんない)
相模「う、ウチは……この文化祭の実行委員長になったとき、正直一人では何もできないようなただの……ただの生徒でした」
八幡(その声は震え、ところどころにしゃくりあげるような音が入る)
相模「迷惑ばかりかけて……みんな頑張ってるのに一人だけ体調壊して休んだりもして……」
八幡(ついに瞳から、涙がこぼれ落ちる。それにつられて客席や舞台裏からも泣きだす者が出てくる)
相模「みんな……委員会はもちろん生徒会や……先生方……それに生徒のみんなが力を合わしてくれたおかげで……こうして無事文化祭を成功させることができました」
八幡(……やばい、ちょっと俺もうるうるし始めた)
相模「ほ、ホントは……このまま時が止まっちゃえばって思うけど……やっぱり始まったものは終わらせなきゃいけない……から……」
八幡(そして彼女は一呼吸おいてから、精一杯の笑顔でこう続けた)
相模「きっとウチはそこにはいないけど、来年の文化祭も楽しいものにしてください!」
八幡(過去に戻り、今にしがみついていた彼女は……最後に、未来に希望を託したのだった)
264: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/24(土) 22:41:39.66 ID:zLl6d2Id0
屋上
相模「部室行かなくていいの?」
八幡「今日は疲れたからな、報告書はここで少し休んでから書きたいんだよ」
相模「……そっか」
八幡「お前こそ、打ち上げいかなくていいのか」
相模「比企谷と一緒がいいの」
八幡「……おう」
相模「…………」
八幡「…………」
相模「ウチは……」
八幡「?」
相模「ウチは比企谷のことが好き」
八幡「……さすがに知ってるっつーの」
相模「やっぱりバレてたんだね……」
八幡「そりゃ、あんだけされて気づかない訳ないだろ」
相模「じゃあ結衣ちゃんや雪ノ下さんの気持ちにも気づいてるんだよね」
八幡「いや……それは……」
相模「ちゃんと向き合ってあげてね。振られるよりも振ってさえもらえないことの方が辛いんだから」
八幡「じゃあお前は」
相模「ウチはいいよ。どうせ比企谷が答えを決める前に未来に帰っちゃうんだから」
八幡「まだそうだって決まったわけじゃないだろ」
相模「……そうだね。もしそうならちゃんと比企谷に振ってもらいたかったかも」
八幡「振るって決めてるわけじゃないぞ」
相模「そうやって希望を持たせるのやめてよ」
八幡「……悪い」
相模「よろしい」
八幡「…………」
相模「ねえ……」
八幡「なんだ?」
相模「……もしさ、ちゃんと未来が変わってて、そこで再開できたらさ」
八幡「できたら?」
相模「比企谷に言ってもらいたいことがあるんだ」
八幡「……あんまりかっこいいことは言えないぞ」
相模「そういうのじゃないよ。多分比企谷だって何百回も言ったことのあるような当たり前の言葉だよ」
八幡「……?」
相模「─────」
八幡「…………ああ、なるほどな」
相模「……いい?」
八幡「絶対に言ってやるよ。約束だ」
相模「ありがと」
265: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/24(土) 22:42:18.27 ID:zLl6d2Id0
八幡「俺にしておきたいお願いは他にはないのか?」
相模「そうだね……ウチが未来に帰ったら、この時間の相模南の心がこの体に戻ってくると思うんだけど、多分訳分からないと思うからフォローしてあげて」
八幡「了解。まあ気づいたら文化祭終わってんだからな、そりゃ混乱もするだろうしきっちりフォローするさ」
相模「よろしくね」
八幡「それだけか?」
相模「ホントはもっといっぱいあるけど……もうただのワガママになっちゃいそうだからやめとく。ただウチがしたお願いは忘れないでね」
八幡「自分を犠牲にしない、ちゃんと向き合う、この時間の相模南のフォロー、それに……未来でお前に会ったらあの言葉を言う。結構多いが……まあ安心しろ、忘れないさ。お前も俺のお願い忘れんなよ」
相模「未来が変わってなかったら、ウチが比企谷を助ける、でしょ?ウチも忘れないから安心して」
八幡「……まあきっと変わってるだろうけどな」
相模「そうだといいな」
八幡「…………ありがとな」
相模「え?」
八幡「お前のおかげで今まで嫌な思い出しかない文化祭が、初めて楽しいって思えた」
相模「どういたしまして。ウチのほうこそありがとう。比企谷のおかげで……本当の恋ができたよ」
八幡「……ああ」
相模「まあ失恋に終わっちゃったけどね、あはは」
八幡「……そうとも限らないんじゃないか?」
相模「え?そ、それってどういう──」
キーンコーンカーンコーン
八幡「……? 妙だな、こんな時間にチャイムなんて」
相模「…………」フラッ
八幡「……相模?」
相模「…………」バタン
八幡「お、おい相模!」
266: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/24(土) 22:44:31.32 ID:zLl6d2Id0
相模「あはは……もうタイムリミットみたい」
八幡「なっ……じょ、冗談はよせよ……!」
相模「……怖いなあ、未来に帰るの。けど……比企谷に抱かれながら帰れるなら嬉しいかも……」
八幡「なんでだよ……本当に帰っちまうのかよ……」
相模「だから言ったじゃん……今日で役割が終わっちゃうんだから……」
八幡「それでも……もう少しくらい……」
相模「ここまで一緒にいれただけでも奇跡だよ……」
八幡「そんな……悟ったようなこと言うなよ!」
相模「悟ってなんかないよ……けど信じてるから」
八幡「何をだよ……」
相模「どんな未来でも、また比企谷に会えるって」
八幡「……っ!」
相模「比企谷が信じさせてくれたんだよ? だから比企谷も……」
八幡「ああ……!絶対に未来でまた会おう」
相模「ふふ……数年待たせちゃうけど……未来で待っててね……」
八幡「何年でも待っててやるよ。だから安心して未来に帰れ」
相模「うん……それ、じゃあ……またね…………」ガクッ
八幡「…………相模……」
八幡(絶対に……また会おうな)
267: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/24(土) 22:46:04.42 ID:zLl6d2Id0
未来 相模の部屋
相模「ん……」
相模(ここは……)
相模「……!! 今日の日付は!?」
相模(あの文化祭の翌日だ……)
相模(けど、西暦は二年後。ってことは……)
相模「夢じゃなかった……!!」
相模(良かった……良かった……!!)
相模母「南ー!そろそろ起きないと一限に間に合わないわよー!」
相模「分かったー!すぐ行くー!」
相模(夢じゃなかったとしても……この未来は変わってるのかな……)
268: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/24(土) 22:50:38.33 ID:zLl6d2Id0
相模家リビング
相模母「ほら!早く着替えて!」
相模「ちょ、なんでそんな慌ててるの!まだそんな時間じゃないじゃん!」
相模母「何言ってるの!お友達と待ち合わせするから早く家出るんでしょ?……あ、もしかしてお友達じゃなくて彼氏だったかしら?」
相模「え、ちょ、なんの話を……」
ピンポーン
相模母「ああ、ほら!ゆっくりしてるから来ちゃったわよ!ほら早く!」
相模「お、押さないでって!行くから!」
相模(ウチに一緒に大学行くような友達いたっけ……?)
相模(あ、そっか。ちゃんと未来も変わったんだ)
相模(あれ……じゃあもしかして……お友達って……)
相模母「それじゃあ行ってらっしゃーい!」
相模「う、うん!行ってきます!」
ガチャ
八幡「よう。遅いじゃねえか」
相模「比企谷……?」
八幡「そうだけど」
相模「う、あぁ…………比企谷!」ダキッ
八幡「ぬわっ!?おま!ちょ、こんなところで急に抱きつくなよ!」
相模(本物だ……未来の……もう会えないと思ってた未来の比企谷だ……)
相模「うわああああああああん!!!比企谷ぁぁぁあああ!!」
八幡「あ……そっか今日は……。じゃあお前もしかして、あの相模か?」
相模「うん……!そう、そのウチだよ!」
八幡「そっか……」ナデナデ
相模「比企谷…………約束覚えてる?」
八幡「当たり前だ。忘れた日なんかねえよ」
相模「じゃあ……」
八幡「ああ」
八幡「……ただいま」
相模「おかえり!」
269: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/24(土) 22:51:06.09 ID:zLl6d2Id0
終わりっ!
299: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/31(土) 20:33:35.67 ID:7Nf/jTwP0
後日談
八幡(あのあと、これと言った説明をするでもなく大学に行った)
八幡(いや時間無かったんだもん。遅刻すると俺そろそろやばいことになるし……)
八幡(というわけで今は大学の終わった午後3時)
八幡(場所は相模からカミングアウトを受けたあの公園だ)
八幡(ここで今日までの説明をするためにベンチに腰掛けているのだが……)
相模「ふふ……そりゃ今までの記憶無いもん……分からなくてもしょうがないよ……ふふ、ふふふ……」
八幡「だ、大丈夫か?」
八幡(相模がちょっと現実に打ちのめされているためまだ説明が出来ていない)
八幡(相模も過去に戻ってからこちらに戻ってくるまでの間の記憶がないことは覚悟していたらしい)
八幡(だが、現実はもっとひどい)
相模「ふふ……なにあの大学……初めて聞いた名前なんだけど……」
八幡(一周目で行った大学とは場所も科目も全く違う場所に行っていたらしい)
八幡(その結果『興味すら持ったことのない授業を理解できてないまま数時間受ける』という地獄を味わったそうだ)
300: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/05/31(土) 20:43:02.91 ID:7Nf/jTwP0
相模「こんなの絶対おかしいよ……」
八幡「お前……明日からもやっていけるのかよ」
相模「うん……ま、まあ……明日からはなんとかなるはず……」
八幡「なんかアテでもあるのか? 」
相模「実は少しずつだけど、ウチが過去から戻ってきてから、今日の朝目が覚めるまでの二年間の記憶が頭の中に入ってきてるんだ」
八幡「おー、そりゃ良かった」
相模「うん……でも入ってきただけでまとまってないっていうか……。比企谷にちゃんと説明してもらえばちゃんと理解できると思うんだけど……」
八幡「んじゃ、ぼちぼち話していくか」
相模「よろしく」
309: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/06/15(日) 19:27:36.15 ID:Ohrpgl6X0
八幡「お前はなにから聞きたい?」
相模「えっと、じゃあ……まず文化祭の後、ウチがどうなったか教えて」
八幡「あー……」
相模(え、なんでそこでそんな辛そうな顔するの)
八幡「あのあとのお前は……そうだな、簡単に説明すれば……」
相模「……」ドキドキ
八幡「しょっちゅう吐いてた」
相模「……は?」
八幡「文化祭の後のお前にもフラッシュバック的な感じで一周目の未来の記憶が頭の中に入ってきてたらしいんだよ。その頭の中に入ってくる時の感覚がかなり気持ち悪いらしくて吐いてた」
相模「……へー」
八幡「お、おい相模?なんか俺並に目が腐ってるぞ」
相模「いやだって……吐くって……それないわー、マジないわー」
八幡「ショックすぎて戸部みたいになってんぞ。……まあほら、人前で吐くなんて誰でも体験することなんだからあんま気にすんな。俺も一回結衣の料理食べて吐いたし」
相模「それは最低じゃない!?女の子の手料理食べて吐くなんて──」
八幡「お前も吐いてたぞ」
相模「まあ吐いても仕方ない時だってあるよね、うん」
八幡「見事な手のひら返しだな……。でも本当にあれは吐かなきゃやばかったレベルだし……」
相模「そんなひどかったんだ……その時の記憶だけ戻らないてくれないかな」
八幡「……あの時見た結衣の泣き顔と雪乃の視線と三途の川は今でも忘れられない」
相模「よ、よし、次の話題に行こう!」
八幡「そうだな」
相模(あれ、そういえば今の比企谷の発言に何か引っかかるところがあった気がしたんだけど……まあいいや)
311: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/06/15(日) 22:19:27.70 ID:Ohrpgl6X0
相模「次は……修学旅行だね」
八幡「あれか……」
相模「なんでまた辛そうな顔するの?聞くの怖いんだけど」
八幡「いやこの件に関してはお前はノーダメージだ。いつも通り吐いてただけだから」
相模「それだけで充分辛い……。それで、どうやって修学旅行乗り切ったの?」
八幡「俺と雪乃の二人がかりで戸部の告白が成功するって自信を全部失わせた」
相模「最悪!」
八幡「本当は海老名さんに告白してパパッと終わらせたかったんだがな……お前が『告白したら……吐くよ?』って脅してくるもんだから」
相模「あの……もうウチが吐いてた時の話はやめて……辛い……」
八幡「あ、うん……」
相模「しゅ、修学旅行の次は……生徒会選挙?」
八幡「それに関しちゃ多分一周目と同じだと思うぞ」
相模「え、じゃあ雪ノ下さんとすれ違い起こしちゃったの?」
八幡「まあな。そんで俺が……まあ色々したおかげでなんとかなった」
相模「……泣きながら本音を言ったんでしょ?」
八幡「なんで知ってんだよ……」
相模「結衣ちゃんが言ってた」
八幡「あいつ……」
相模「まあまあ。いいじゃん、たまには人前で泣くのも。……人前で吐くよりずっといいじゃん……」ズーン
八幡「……悪い」
相模「……仲直りした後は?」
八幡「あの後が一番大変だったな」
相模「なにがあったの?」
八幡「奉仕部対雪ノ下家」
相模「え」
318: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/06/16(月) 22:22:19.48 ID:olRCFcsA0
八幡「まあ勝ったがな」
相模「勝ったの!?雪ノ下さんの家ってかなり権力あるんでしょ!?」
八幡「まあ奉仕部で戦ったとは言ったが、実際は沙希とか平塚先生とかはるるんにも力貸してもらったから、正直奉仕部だけで勝ったっていう実感はあんまないんだよな……」
相模「……ねえ」
八幡「ん?」
相模「……さっきからなんとなく違和感はあったけどさ……比企谷、やけに女の子のこと親しげに呼ぶよね」
八幡「…………」
相模「比企谷、ウチが一番聞きたかったこと聞いてもいい?」
八幡「……ああ」
328: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/06/17(火) 06:17:50.02 ID:G1hf5KuP0
相模「じゅ、13人かー。たたたたくさんいるね」プルプル
八幡「お、おい大丈夫か?」
相模「だだだだ大丈夫だだだだよよよよ」
八幡「バグってるじゃねえか……」
相模「ち、ちなみにハーレムのメンバーは?」
八幡「えーと……まず、お前も予想できてるだろう雪乃と結衣だ。それに……クラスメイトにいた川崎沙希って分かるか?文化祭で衣装作ってたやつ」
相模「あの不良みたいな……あの子もハーレムなんだ」
八幡「次に生徒会長やってためぐめぐといろはすだな」
相模「あだ名で呼んじゃってるよ……」
八幡「あとはるるんと、平塚先生と……」
相模「そのはるるんってもしかして」
八幡「ああ、陽乃さんだ」
相模「あの魔王さんも落ちたんだ……」
八幡「アプローチはあの人からしてきたけどな」
相模「そうなの?」
八幡「……高校時代、どっかの誰かさんが俺が陽乃さんのことを好きだなんて本人の前で言い放ってな」
相模「…………」
八幡「それ以来意識しちゃったんだと」
相模「へ、へー、そんなとんでもないこと言う人いるんだー」
八幡「本当だよな。こんなこと言うなんてどんなやつなんだろうな」
相模「…………」
八幡「…………」
相模「ごめんなさい」
八幡「よろしい」
329: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/06/17(火) 06:18:52.95 ID:G1hf5KuP0
相模「そ、それで今七人でしょ?残りの六人は?」
八幡「中学の同級生の折本に……ルミルミ」
相模「……小学生にも手を出したんだ」
八幡「今は中学生だ。つかなんでルミルミのこと知って……いやだいたい分かった、結衣か」
相模「うん」
八幡「……あいつの今日の晩飯は抜きだな」
相模「いやいや理不尽だよ!それ一周目の話……って、え?晩御飯一緒に食べてるの?」
八幡「今日はな。明日は陽乃さんとだ」
相模「…………」
八幡「急に黙るなよ。怖いだろ、こわいです」
相模「まあ言いたいことは色々あるけど後にするとして……他のメンバーは?」
八幡「文化祭で最後に歌ってた……ほらあの……モブみたいなあいつと」
相模(名前覚えてないんだ……)
八幡「それに小町と彩加と……」
相模「ストップ」
八幡「あん?どうした?」
335: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/06/18(水) 08:11:52.40 ID:LXfoKsAK0
相模「どうした?じゃないよ!ウチの聞き間違いじゃなかったら今小町って言ったよね!?小町ちゃんもハーレムなの!?」
八幡「そうだけど?」
相模「倫理的にも法律的にもアウトじゃん!」
八幡「……まさかお前がそんな小さなことを気にするやつだとは思わなかったよ……残念だ」
相模「なんでウチが失望されてるの!?」
八幡「別にいいだろ、妹をハーレムメンバーにしたって。俺ちゃんと小町のこと愛してるし」
相模「えー……。まあその話も後にするとして……彩加って誰?折本さんと同じで中学の同級生?」
八幡「苗字で言えば分かるか?戸塚だよ」
相模「……え?」
八幡「だから戸塚だって、テニス部の戸塚彩加」
相模「……き」
八幡「き?」
相模「キマシタワー!!」
八幡「」
345: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/06/21(土) 18:46:41.37 ID:uuk50FfK0
相模「ひ、比企谷はもちろん受けだよね!戸塚君に攻められて堕ちていく比企谷……ぐ腐、ぐ腐腐腐……」
八幡「…………」
相模「……あっ。ち、違うの!今のは……今のはそう!ちょっと海老名さんに人格を乗っ取られただけなの!」
八幡「いや海老名さんにそんなトンデモ能力付け足すなよ」
相模「だって……今引いたでしょ?」
八幡「その程度じゃ引かねえよ。海老名さんでだいぶ耐性がついたからな。ただあと50センチくらい俺から離れてくれないか?」
相模「どん引いてるじゃん!」
八幡「冗談だ」
相模「うー……まあいいや。それで……最後の一人は?」
八幡「最後の一人はな……」
相模(う、ウチかな……ウチだよね。この流れで他の人が出てくるわけないし、きっとウチ──)
八幡「けーちゃんだ」
相模「誰!?」
346: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/06/21(土) 18:48:53.21 ID:uuk50FfK0
八幡「え、お前あのけーちゃん知らないのか」
相模「ゆ、有名人なの?」
八幡「いや、沙希の妹だが」
相模「一般人じゃん!っていうか川崎さんの妹ってことは……また中学生に手を出したんだ……」
八幡「俺をあまり甘く見るなよ」
相模「え?ああ、そうかウチらはもう大学生なんだから妹さんが高校生ってことも──」
八幡「まだ小学生だ」
相模「変態だー!」
360: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/06/25(水) 22:22:10.64 ID:y8NsdyCl0
八幡「いやだってけーちゃんがハーレムに入れてくれってずっと言ってくるから……」
相模「だからってなんで認めちゃうの!?」
八幡「けーちゃん、多分ハーレムの意味を分かってないから」
相模「あー……」
八幡「まあこんな感じで13人のハーレムメンバーがいるってわけだ」
相模「ウチはいないんだ……」
八幡「まあそうだが、勘違いするなよ。俺がお前にフられたんだからな」
相模「へ?」
八幡「『ウチは比企谷の好きになったウチじゃないから』って」
相模「ウチなら言いそうなセリフ……」
八幡「その後、傷ついた俺のことを狙ってきた女子たちに見事俺は落とされたってことだ」
相模「ハーレムができたのはウチのせい……?」
八幡「お前のせいとも言えるしお前のおかげとも言える」
相模「じゃあさ」
八幡「ん?」
相模「ウチが今ここで、『ハーレムを捨ててウチを選んで』って言ったら……比企谷はどうするの?」
361: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/06/25(水) 22:36:16.15 ID:y8NsdyCl0
八幡「……俺は、ハーレムのメンバーが好きだ」
相模「…………」
八幡「こんな俺を選んでくれた皆のことが好きだ」
八幡「他の誰でもなく、こんな俺を選んで本気で愛してくれてる皆のことが……大好きだ」
相模「そっか」
八幡「それでも俺はお前のことが一番好きなんだ」
相模「え?」
八幡「時間を遡るなんてとんでもないことをしてまで俺のことを助けようとしてくれたお前のことが……他の誰よりも好きなんだ。だから俺はお前を選ぶ」
相模「比企谷……」
八幡「相模、聞いてほしいことがある」
相模「……うん」
八幡「好きです、付き合ってください」
相模「……はい」
362: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/06/25(水) 22:46:10.84 ID:y8NsdyCl0
相模「でも……ハーレムメンバーのことは?ウチはその……14人目でも」
八幡「ハーレムっていうのは全員を同じくらい本気で愛してるから成り立つものなんだよ。誰か一人のことを他のやつよりも好きなんて思ってたらそんなの浮気と変わらない」
相模「そういうものなのかな」
八幡「俺は杉崎鍵からそう学んだ」
相模「結局ラノベなんだ」
八幡「けどなあ……13人……まあけーちゃんは除くとして12人をフりに行かなきゃならないのか……」
相模「ウチもついてくよ」
八幡「……いや、俺一人で行く。これは俺の責任だ」
相模「で、でも」
八幡「頼む」
相模「……分かった」
八幡「ありがとう」
相模「じゃあウチはいつでも救急車呼べるように待ってるから、刺されても安心してね」
八幡「おい待て怖いこと言うんじゃねえ。あいつらなら本気でやりかねないだろ」
相模「だからついてくって言ったんだけど」
八幡「……やっぱりついてきてくれないか?」
相模「か、かっこ悪い……」
八幡「どんなにかっこ悪くても刺されるよりはマシだ」
相模「えー……」
八幡「よし、じゃあ行くぞ!」
363: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/06/25(水) 23:16:44.83 ID:y8NsdyCl0
八幡(こうして俺は心が折れそうになりながらも12人をフりに行った)
八幡(涙を流す者)
八幡(怒りだす者)
八幡(無反応な者)
八幡(刃物を……いやこの話はやめておこう)
八幡(全員が違う反応をする中、一つだけ皆が共通して言ったことがある)
八幡(『なんとなく予感はしてた』)
八幡(口調にこそ違いはあれど、皆はそう言ったのだ)
八幡(そして)
364: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/06/25(水) 23:18:31.74 ID:y8NsdyCl0
数日後の公園
八幡「……ふぅ……」
相模「……やっぱり……申し訳ないね……」
八幡「……だな」
相模「けど、だからってナイフを向けてきた人間に『お前の気が済むまで刺してくれ』って言うのはなしだからね?」
八幡「そんくらいしなきゃ償いにはならないだろ」
相模「……もう」
相模(刺されるのが怖くてウチを呼んだのに……どうしてああいうときだけは真っ正面から受け止めようとしちゃうかな……)
相模「ところでさ、このあとはどうするの?」
八幡「どうもこうも家に帰るに決まってんだろ……」
相模「小町ちゃんいるのに?」
八幡「あー……」
相模「良かったら……ウチ来る?」
八幡「行く行く、って答えたいとこだが……お前の親いるんだろ」
相模「二人で旅行に行ったから今日はウチ一人だけだよ?」
八幡「いやお前……その方がまずいだろ」
相模「こ、こんなところでヘタレないでよ。どうせ比企谷は女の子たちと……け、経験済みなんだから」
八幡「…………だ……」
相模「ん?」
八幡「俺はまだ童貞だ」
相模「……へ?」
八幡「俺のヘタレっぷりを甘く見るなよ。どんなに誘惑されても襲わなかったせいではるるんに『理性の化け物』って言われるレベルのヘタレなんだぞ」
相模「かっこよくないんだけど……え、っていうことは……ウ、ウチが初めてになるかもってこと?」
八幡「おう」
相模「そっか……ち、ちなみにどこまでしたの?」
八幡「意外とぐいぐい聞いて来るな……」
相模「き、気になるんだもん!」
八幡「詳しくは説明しないが……大体のことはしたぞ……めぐりんと」
相模「城巡先輩と!?」
八幡「あの人結構凄いんだぞ。二人きりになると即欲情するから」
相模「聞きたくなかった……」
八幡「お前が聞いたんじゃねえか……はあ、んじゃ行くぞ」
相模「へ?どこに?」
八幡「お前んち、行くんだろ?」
相模「う、うん!」
365: ◆0NaiNtVZPPaZ 2014/06/25(水) 23:23:39.38 ID:pojMdg+B0
八幡(一人の女の子のために誰を傷つけても構わない)
八幡(かっこよく聞こえないこともない言葉だが、実際に当事者になってみればただの最低な人間だ)
八幡(だがしかし)
相模「こっちだよ!ほら早く!」
八幡「分かったからそう急ぐな」

八幡(どれだけ最低でも、この決意が全く揺らがないのは……やはり間違っていることなのだろう)
八幡(だから俺は青春ラブコメを間違え続ける。今までもこれからも、相模と一緒に)
このあと滅茶苦茶セックスした
めでたし、めでたし
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タグ : SS 俺ガイル やはり俺の青春ラブコメはまちがっている 相模
- [2016年10月11日08:06]
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