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みほ「愛里寿ちゃんスイッチ?」


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――大洗女子学園 学園艦
みほ「愛里寿ちゃんがまたうちにやってくるんですか?」
杏「なんかね、西住ちゃんに用があるんだって」
愛里寿「みほさんに渡したいものがあるの」スッ
< 『○まだ愛里寿』 >
みほ「これって?」
愛里寿「愛里寿ちゃんスイッチ」
みほ「愛里寿ちゃんスイッチ!?」
愛里寿「わたし、人とのコミュニケーションが苦手で……。それで、自分を変えようとおもう」
愛里寿「これを押して、いろんなわたしの可能性を試してみたいの」
愛里寿「みほさんになら、押されてもいいとおもったから……」モジモジ
みほ(かわいい)
愛里寿「五十音順になってるから、順番に押していってね」
----------------------------------------------------------------------------
2: 以下、
『あ』あまだ愛里寿(海女だ)
ザザーン… ザブーン…
みほ「愛里寿ちゃんから、海岸に来てねって誘われたけど……どこにいるんだろう」キョロキョロ
ザッパーーン!!
愛里寿「獲ったどーーっ!!」ザバーッ
みほ「!?」
愛里寿「ほら、サザエにアワビ……ウニも。きょうは大漁」
みほ「うわあ??っ! すごい!」
愛里寿「密漁だけど」
みほ「愛里寿ちゃんっ!?」
愛里寿「私、小さい頃から手のかからない『いい子』っていわれてた」
愛里寿「だけど、たまにはちょっと羽目を外して、ちょっぴり悪いこともしてみようかなって」
みほ「悪さのスケールがちょっとおかしいよお……」
愛里寿「みほさんも何かそういう悪さって、したことあるでしょ?」
みほ「わ、わたしは……うう?ん……アハハ……すぐには思いつかないけど……」
3: 以下、
愛里寿「中 学生の頃クレイジーピエロって名前で有名人のブログを荒らしてたって、ほんとう?」
みほ「それはわたしじゃないよっ!!!」
愛里寿「じゃあ、10年以上前、握手会イベントのときに衣装がキツくて、もうかゆくてしょうがなくて」
愛里寿「こっそりお尻をかきながら握手してた声優は高橋美佳子って、ほんとう?」
柚子「!!?」
杏「……マジ?」
愛里寿「マネージャーさんがやめなさいって言ったけどやめられないくらいかゆかったんだって」
4: 以下、
『い』いまだ愛里寿(今だ)
沙織「はあ……せっかくの夏休みなのに、ヒマね……」
麻子「だからってうちに入り浸ることはないだろ……」
沙織「あ?あ、桑田佳祐の歌に出てくるような夏の過ごし方した?い……」
麻子「桑田佳祐が理想って……ほんとうにそれでいいのかお前」
沙織「モテた?い……」
愛里寿「話は聞かせてもらった」ガラリ
沙織「!?」
愛里寿「すぐに出発ね。大洗海水浴場でナンパされに行きましょう」
沙織「そ、そんなこと言っても準備が……」
愛里寿「いつやるか?」
愛里寿「今でしょ」ドヤァ
沙織「そ、それにまだ今年の水着だって買ってないし……」
愛里寿「じゃあいつ買うか?」
5: 以下、
愛里寿「今でしょ」ドヤアア
愛里寿「ちなみに、私はすでに着こんでいる」バッ
< 『6?2 島田』 >
沙織「すッ! スクール水着……!?」
愛里寿「これを着ると、ナンパされる確率がぐっと上がるらしい。大学のみんなに教えてもらった」
沙織「いやいやおかしいでしょ!?」
麻子「それで『おっ? ナンパするぞっ!』ってなる男はヤバすぎるだろ……」
愛里寿「いつナンパされるか?」
愛里寿「今でしょ」ドヤアア
愛里寿「今でしょ!」ドヤアアン
沙織「その顔はなんなのよもうー!」
6: 以下、
『う』うまだ愛里寿(馬だ)
愛里寿「みほさんは、センチュリオンは好き?」
みほ「うう?ん……乗ったことがないからわかんないや……うちはだいたいドイツ戦車だったし……」
愛里寿「戦車じゃないよ」
みほ「へっ?」
愛里寿「次のレースは、センチュリオンに賭けようとおもう」
愛里寿「連対率も悪くない馬だし……複勝に突っ込むから、手堅い買い方を教えてほしい」
みほ「競馬っ!?」
(※センチュリオンは実在する馬名)
愛里寿「みほさんは、馬に詳しくないの?」
みほ「う、うん……でもなんでそうおもったの?」
愛里寿「みほさんのお母様の服、太もものあたりがふくらんでいる作りでしょ?」
みほ「そうだよ。ドイツの軍服がモチーフだから……」
愛里寿「あのふくらみは、もともと馬に乗るときに布がきつくならないようにするため」
(※本当です)
愛里寿「だから、西住流は馬にも詳しいのかとおもって……」シュン
7: 以下、
みほ「が、ガッカリしないで愛里寿ちゃん……」
愛里寿「このままだと、今月のおこづかいがぜんぶ呑まれていっちゃう……」
愛里寿「トータルでは、トータルでは勝ってるんだけど……」ブツブツ
みほ「その歳で言う言葉じゃないよっ!!!」
※馬券の購入は20歳になってから
8: 以下、
『え』えまだ愛里寿(絵馬だ)
――大洗磯前(いそさき)神社
優花里「やってきましたガールズ&パンツァーの聖地のひとつ!」
華「わたしたちが写った大きな看板がありますね」
優花里「実はここ、ちょっとした裏話がありまして」
優花里「漫画版『リボンの武者』の作者さんが、ここの神社の階段を戦車で下っていくシーンはどうかと打ち合わせで提案したところ」
優花里「それは劇場版でやろうとしてるから、できれば違う描き方にしてくれと頼まれたそうです」
愛里寿「へえ?っ」
優花里「結果として、3巻ではああいう描写になったわけですね。由緒正しい、文字通りの聖地です!」
沙織「わあっ! あたしたちが描かれてる絵馬がこんなに!」
みほ「せっかくだから、わたしたちも絵馬を納めよっか」
愛里寿「うんっ」
< 『ずっとなかよし みほ&ありす』 >
9: 以下、
『お』おまた愛里寿(お股)
愛里寿「みほさんに教えてもらいたいことがあるの」
みほ「なにかな?」
愛里寿「みほさんが私くらいの歳のとき、もう毛が生えてた? まだだった?」
みほ「!?」
愛里寿「私の周り大学生ばかりだから、身体つきがぜんぜん違うのが不安で……」
愛里寿「個人差があるから気にすることはないと本には書いてあるけど、知識ではなく実際に見聞きしたことのほうが大事」
愛里寿「でもお母様に聞いたら、機嫌が悪くなるのがわかってるし……」
みほ「そ、そうなんだ……」
愛里寿「私だって年頃の女の子。自分の身体のことが気になるのは、おかしいことではない」
愛里寿「『アンネの日記』の中にも、アンネ・フランクが自分の身体のことが気になって、鏡を使って観察したという記載がある」
(※児 童書などの書籍では、大人の事情で削除されています)
愛里寿「だからみほさんと一緒に、お風呂に入りたい」
みほ「ふえっ!?」
10: 以下、
愛里寿「私の身体、変じゃないか見てほしい」
愛里寿「それから、正しい洗い方とかあったらそれも教えて」
みほ「そういわれても……わたしも自信ないよ」
みほ「それに、こういうことは沙織さんに聞いた方が詳しいとおもう……」
愛里寿「みほさんがいいの」グイッ
みほ「ふええっ!?」
愛里寿「さあ、大浴場へれっつごー」グイグイ
みほ「ちょ、意外と腕力が……愛里寿ちゃんッ!?」ズルズル
11: 以下、
『か』かまだ(き)愛里寿(釜炊き)
――大洗駅前
みほ「ここで待っててねって言われたけど……」
プップー キキーッ
ツチヤ「やっほー!」
ナカジマ「おまたせ、西住さん!」
みほ「自動車部のみなさん、あれ、どうして……?」
スズキ「さっそくだけど、乗ってちょうだい」
ホシノ「案内するからさ」
みほ「ど、どこへですか……?」
ホシノ「まあ?、大洗からだと……1時間ちょっとかな」
ナカジマ「あたしのドリフトなら、もっと早く着くけど!」
みほ「えええっ!!?」
スズキ「ダメだよ、安全運転で!」
12: 以下、
――70分後 筑波山神社前
< 『筑波山 縁むすび』 >
みほ「ここって……おにぎり屋さん?」
愛里寿「いらっしゃいませ」
みほ「愛里寿ちゃん!?」
愛里寿「みほさんのために、一生懸命にぎったよ」スッ
みほ「うわあ、かわいいおにぎり!」
愛里寿「この『縁むすび』は、粘りと甘み豊かな最高級コシヒカリ『常陸小田米』を、昔ながらのお釜でふっくら炊きあげたもの」
愛里寿「味は梅やツナマヨ、おかかなど定番の味をいくつも味わえるし、1つ100円のお手軽さ」
愛里寿「筑波山の山頂で食べるおにぎりは格別だし、お土産にも最適」
みほ「ありがとう、でも、どうしてこんなところまで……?」
ナカジマ「考えてみれば、西住さんは大洗に転校してきてさ、ずっと戦車のことばっかりだったよね」
ホシノ「だから、茨城のいろんなところをゆっくり観光したことがないんじゃないかとおもって」
ツチヤ「そうそう! それに、大洗以外にもいいところがあるって広めるチャンスだし!」
みほ「みなさん、ありがとうございます!」
スズキ「『筑波山 縁むすび』は筑波山神社の名物! 場所は大鳥居のすぐ前!」
ホシノ「男体山(なんたいさん)の山頂に向かうケーブルカーの『宮脇駅』からも徒歩ですぐ!」
ツチヤ「筑波山観光のお供に、ぜひご利用ください!」
愛里寿「一緒に食べよ?」モグモグ
みほ「うんっ! おいしいね!」モグモグ
13: 以下、
『き』きまだ愛里寿(奇魔だ)
愛里寿「アンタップ・アップキープ。先攻なのでドローは無し」
愛里寿「島をセットして青マナ。『膨れコイルの奇魔』を召喚してターンエンド」
 < 『膨れコイルの奇魔』 >(青/赤) 1/1
 クリーチャー:奇魔
 あなたがインスタント呪文かソーサリー呪文を1つ唱えるたび、膨れコイルの奇魔はターン終了まで+1/+1の修正を受ける。これをアンタップする。
みほ「アンタップ・アップキープ・ドロー」
みほ「平地をセットしてターンエンドです」
愛里寿「アンタップ・アップキープ・ドロー」
愛里寿「もうひとつ島をセット」
愛里寿「0マナで『極楽のマントル』を設置。1マナで奇魔に装備させる」
 < 『極楽のマントル』 >(0)
 アーティファクト:装備品
 装備(1)
 装備しているクリーチャーは「T(タップ):あなたのマナ・プールに、好きな色1色のマナ1点を加える能力」を持つ。
愛里寿「島と奇魔をタップ。マナ・プールには青と赤マナ1つずつ」
14: 以下、
愛里寿「さらにライフを2点支払い『ギタクシア派の調査』。私のライフは20点から18点に」
 < 『ギタクシア派の調査』 >(Φ)>>0?Φ)は青マナでも2点のライフでも支払うことができる。
 ソーサリー
 プレイヤー1人を対象とし、そのプレイヤーの手札を見る。
 カードを1枚引く。
愛里寿「奇魔の能力が誘発。奇魔は2/2となりアンタップ。すぐタップしてマナ・プールには青・青・赤」
愛里寿「呪文を解決。みほさんの手札を見て……そのあとカードを引く」
愛里寿「青マナで『血清の幻視』」
 < 『血清の幻視』 >(青)
 ソーサリー
 カードを1枚引く。
 占術2(あなたのライブラリーの1番上から2枚のカードを見る。そのうち望む枚数をあなたのライブラリーの1番下に、残りを1番上に望む順番で置く。)
愛里寿「奇魔の能力が誘発。奇魔は3/3となりアンタップ。すぐタップしてマナ・プールには青・青・赤」
愛里寿「占術は……これを下に、これは上に」
愛里寿「青マナ『手練』」
 < 『手練』 >(青)
 ソーサリー
 あなたのライブラリーのカードを上から2枚見る。そのうち1枚をあなたの手札に加え、もう1枚をあなたのライブラリーの1番下に置く。
15: 以下、
愛里寿「奇魔は4/4となりアンタップ。すぐタップしてマナ・プールには青・青・赤」
愛里寿「青2マナで『留まらぬ発想』」
 < 『留まらぬ発想』 >(青)(青)
 ソーサリー:秘儀
 カードを3枚引く。ターン終了時にカードを3枚捨てる。
愛里寿「奇魔は5/5となりアンタップ。すぐタップしてマナ・プールには青・赤」
愛里寿「もう1回ギタクシア派の調査。奇魔は6/6。私のライフ残り16」
愛里寿「血清の幻視。奇魔は7/7」
愛里寿「手練。奇魔は8/8」
愛里寿「ギタクシア派の調査。奇魔は9/9。私のライフ残り14」
愛里寿「血清の幻視。奇魔は10/10」
愛里寿「赤と青の2マナで『ぶどう弾』。対象はプレイヤーのみほさん」
 < 『ぶどう弾』 >(1)(赤)
 ソーサリー
 クリーチャー1対かプレイヤー1人を対象とする。ぶどう弾はそれに1点のダメージを与える。
 ストーム(あなたがこの呪文をプレイしたとき、それを、このターンそれより前にプレイしされていた呪文の総数に等しい回数だけコピーする。あなたはそのコピーの新しい対象を選んでもよい。)
愛里寿「いままでに唱えた呪文は9つ」
16: 以下、
愛里寿「よってストームは9回なので、ぶどう弾は9発コピーされる」
愛里寿「みほさんのライフに合計10点のダメージ。残り10点」
愛里寿「奇魔は11/11でアンタップ状態。これでアタック」
みほ「……対応ありません」
愛里寿「みほさんのライフはマイナス1点。私の勝ち」
みほ「」
愛里寿「私のいまの主力『奇魔ストーム』」
愛里寿「カードを引く軽量呪文ばかりを揃えて、サイズアップとストームを稼ぐコンボデッキ」
みほ「……た、たった2ターンで……」プルプル
17: 以下、
『く』くまだ愛里寿(熊だ)
――ボコミュージアム内
?♪や?ってやる や?ってやる やあ?ってやるぜ?♪
?♪い?やな あ?いつを ボ?コボコに??♪
ボコ「おいらボコだぜ!」
みほ「きゃーボコーーッ! ボコーーッ!!」ブンブン
沙織「相変わらずすごいテンション……」
優花里「申し訳ありません西住殿……。私、どうしてもこのノリだけにはついていけそうにありません……」
麻子「それが普通の反応だ。気にするな」
華「あら、島田さんは……?」キョロキョロ
みほ「もうすぐ来ると思うよ? きょうはね、視聴者参加型イベントなの!」
沙織「?」
愛里寿(ボコ着ぐるみ)「……おまたせ」トコトコ
優花里「!?」
18: 以下、
『あ?あ、ヒマだぜ?』
『こんな日は、カワイイ女でも引っかけるに限るぜ!』
『おっ? 客席のあんなところに、イケてる熊がいるじゃねえか』
『よ?し、みんなでさらっちゃえ?!』ゾロゾロ
愛里寿(ボコ着ぐるみ)「キャーーッ♪ たすけてーーっ♪」グイグイ
華「ああ、そういう……」
ボコ「オイお前ら!」
『ああん?』
ボコ「オイラの妹に手を出すとは命知らずもいいとこだな!」
『知ったことかよ。やっちまえー!』
ボコ「オゴウッ! ウグウッ!」ドカッ! バキッ!
愛里寿(ボコ着ぐるみ)「ボコ兄ちゃんがんばれー! お兄ちゃーーん!!」
みほ「がんばれ、がんばれーっ! ……いいなあ。あんな近くで応援できて」
華「そういうものでしょうか……?」
ボコ「グハッ……! ウグッ……」ドサッ
19: 以下、
『ちっ! てんでザコじゃねえか』
『なんだか冷めちまった。女はもういらねえ。あばよ』ゾロゾロ
愛里寿(ボコ着ぐるみ)「お兄ちゃん! お兄ちゃんっ!」ダキッ
ボコ「へへっ……すまねえなアリス。こんなダメな兄貴でよ……」ピクピク
みほ「いいなあ……ボコに名前を呼んでもらえるなんて……」ウットリ
麻子「ほんとうにそれ、いいものなのか?」
優花里「本人が楽しんでいますから、もうそれでいいじゃありませんか……」
愛里寿(ボコ着ぐるみ)「お兄ちゃんはダメなんかじゃないよっ!」
愛里寿(ボコ着ぐるみ)「ごめんね、ごめんね……私のために頑張ってくれたんだよね」
愛里寿(ボコ着ぐるみ)「誰が何と言おうと、お兄ちゃんは私にとって、ヒーローだよ……」
< 『終劇』 > ジャーン!
みほ「……グスッ う、うう??っ……! 感激で涙がとまらないよう……」ポロポロ
沙織「世界観がよくわからないんだけど」
20: 以下、
『け』けま(り)だ愛里寿(蹴鞠)
愛里寿(公家装束)「おほっほっほっ♪」
愛里寿(公家装束)「おほっほっほっほっほっ♪」
愛里寿(公家装束)「蹴鞠をせぬか?」
エルヴィン「そ……!」
おりょう「その格好……!」
カエサル「その笑い方、間違いない……!」
左衛門佐「宗尊親王(むねたかしんのう)だーーッッ!!」
みほ「誰!?」
沙織「確か、日本史の授業で聞いたような……」
優花里「後嵯峨天皇の皇子で、鎌倉幕府の6代目将軍。歴史上初の、皇族でありながら征夷大将軍となった人物ですね」
麻子「ところが文永3年(1266年)、北条時宗によって京都へ追放され、その後は出家した」
華「生涯に3000以上の和歌を作歌し、勅撰の『続古今和歌集』には190首も収録されています。歴史的にも、文化的にも、鎌倉時代の中心だった人のようです」
エルヴィン「そのとおり。教科書に書かれている範囲では、それだけ押さえておけば十分だ」
21: 以下、
カエサル「だが私たちが知っている宗尊親王はそんな情報にとどまらない」
おりょう「2001年の大河ドラマ『北条時宗』に出たときのインパクトはすさまじかったぜよ」
佐衛門佐「頭の中心部だけがきれいにタテ1列だけ剃り上げられた落ち武者のような髪型」
カエサル「まさに逆モヒカンとしか言いようがなかった」
エルヴィン「それに、キレたかと思いきや急に和歌を口ずさむイカれた精神状態」
佐衛門佐「キレる → 歌う → やっぱりキレる → 歌う → 顔面どアップで『失意のうちに死亡』とナレーションが入る」
おりょう「見る者すべてを笑い殺すつもりかとおもったぜよ」
カエサル「大河ドラマ史上、最もブッ壊れた描かれ方をされた人物といっていい」
優花里「そんなにやりたい放題で……苦情はなかったんですか?」
エルヴィン「もちろんあったさ。だが、それ以上に面白すぎて、絶賛する声が上回ってしまったそうだ」
愛里寿(公家装束)「おほっほっほっほっほっ♪」
みほ「ホントにこんな笑い方なんですかっ!?」
22: 以下、
『こ』こまだ愛里寿(駒だ)
愛里寿「私はただの手駒……」
みほ「!?」
愛里寿「私は島田流の家のためだけに生かされている人形にすぎない」
愛里寿「13歳で大学に飛び級したのも、そのため」
愛里寿「大学を卒業するときには17歳で、そのまま親が決めた許婚(いいなずけ)と結婚して、判で押したような暮らしが待っている」
愛里寿「ふつうの生活も恋愛も知らず、家柄を続けるためだけの人生が決まっているの」
愛里寿「……私は何も考えなくていい。誰かに操られるままのお人形さん」
みほ「そんなことないよう……。そんなさみしいこと言わないで……」ポロポロ
愛里寿「そうおもってたとき、ボコに出会ったの」
みほ「……えっ?」
愛里寿「ボコは、どれだけボコボコにされても立ち上がる、とっても強い子」
愛里寿「ボコは負けない」
愛里寿「やられちゃうことはあるかもしれないけど、絶対に負けることはない」
23: 以下、
愛里寿「だってボコは、やられた後でも次は勝つぞと言うんだもの」
愛里寿「私はそんなボコが大好き」
愛里寿「ボコが好きなみほさんとも出会えて、私、幸せを見つけたとおもった」
みほ「愛里寿ちゃん……」グスッ
愛里寿「……でも、私の役割は、西住流を倒すこと」
愛里寿「ほんとうは、大好きなみほさんを傷つけたくない!」
愛里寿「だけど、だけどそうしないと、お母様が愛してくれない……!」グスッ
愛里寿「ウッ……ウウ……ヒッ ヒック……」ポロポロ
愛里寿「どうして……どうしてふたりは戦車道の家に生まれてしまったの……?」
みほ「……ねえ、愛里寿ちゃん」ギュッ
愛里寿「…………?」ギュッ
みほ「…………ふたりで、逃げちゃおっか」
愛里寿「…………えっ?」
みほ「…………ボコだけ持って、戦車に乗って、どこか遠くへ……」
みほ「わたしもね、どんなにつらい目にあっても、ボコがいるから頑張れた」
24: 以下、
みほ「そんなボコが好きな愛里寿ちゃんと一緒なら、どこでだって、なんとかやれる気がするの」
愛里寿「みほさん…………」
みほ「愛里寿ちゃん……だいすき…………」ギュッ
愛里寿「私も…………」ギュッ
――こうして2人の逃避行が始まった
沙織「!??」
優花里「何か始まりましたよ!?」
――だが、戦車が通った履帯の跡をたどられ、追手が迫るのにそう時間はかからなかった
麻子「アホすぎるだろ……」
みほ「愛里寿ちゃん……今度生まれ変わったら、一緒になろうね」
愛里寿「うん…………」
――果たして2人の運命は!?
――ガールズ&パンツァー劇場版「ロみほと愛里エット」近日公開!
沙織「語呂が悪過ぎ!」
華「このタイトルを許したスタッフ一同、大きなバスか何かにひかれるべきですね」
25: 以下、
『さ』さま(ー)だ愛里寿(サマー)
あけび「青い空!」
忍「白い雲!」
妙子「真っ赤な太陽!」
典子「夏は砂浜でビーチバレーだ!」
あけび「根性ーーっ!!」
忍「そーーれッ!」バシーン
妙子「愛里寿ちゃんそっち行ったよーっ!」
愛里寿「わっ、わわっ……」アタフタ
愛里寿「はプうッ!?」バチーン
愛里寿「」パタリ
典子「あっ……」
あけび「が、顔面に……」
忍「ビーチボールだから大事にはならないだろうけど……大丈夫?」
妙子「そうだよね……天才少女って騒がれても……身体能力は普通のこどもだもんね……」
26: 以下、
愛里寿「…………!」プルプル
愛里寿「う、うぅ…………!」ジワッ
忍(まずいですよキャプテン!)
あけび(このままだと、島田流に目をつけられて……)
妙子(バレー部復活の妨げになるような、圧力がかかってしまうんじゃ……)
愛里寿「だ、だいじょうぶ……平気……泣かない」ゴシゴシ
愛里寿「このくらいでへこたれたりはしない。試合を再開してください」
典子「おおっ……! なんて立派な根性なんだ!!」
あけび「感動しました!」
忍「よーっし!! バレー部奥義っ! アヒルさんアターーック!!」バシーン!
愛里寿「はプうッ!?」バチーン!!
愛里寿「ふええっ……!」ブワッ!
4人『あっ……!』
27: 以下、
『し』島田アリサ
アリサ「!!?」
愛里寿「愛里寿ちゃんスイッチ特別バージョン『アリサちゃんも可』」
アリサ「勝手に巻き込まないでくれる!?」
ケイ「いいえアリサ。これはあたしが頼んだことなの」
アリサ「隊長!?」
ケイ「大学戦車道連盟の理事長は、島田流の家元さんが務めているというのは知っているわね?」
アリサ「ええ」
ケイ「つまり大学に入ると、戦車の戦術は多少なりとも島田流の影響を受けるというわけ」
ケイ「大学に入学して即戦力を目指すなら、いまから島田流の教えを頭に入れておく必要があるの」
アリサ「一理ありますが……」
ケイ「そーいうワケで、いまからアリサには、アリスの服を着てもらうわ」
アリサ「!?」
ケイ「ユニフォーム交換だなんて、スポーツマンシップに基づいていて素敵ね!」
アリサ「いやいやこの子のコレ私服じゃないですかっ!!」
28: 以下、
――数分後
愛里寿(サンダース制服)「…………」キリッ
ケイ「ファンタスティック!! とっても似合っててベリーナイス!!」
アリサ(愛里寿の服)「?????ッッ!!」プルプルプル
ナオミ「……アリサがそういう服を着てると……なんていうか『赤毛のアン』って感じだな」
アリサ(愛里寿の服)「どういう意味ですかっ!!!」
優季「うわあ???っ! かわいい???っっ!!」
アリサ(愛里寿の服)「!?」
あや「その姿、タカシさんに送ったらどうです?」パシャリ
梓「きっと喜んでくれるとおもいますよ」パシャリ
アリサ(愛里寿の服)「撮らないでよっ!」
紗希「………………」ニッコリ
アリサ(愛里寿の服)「似合ってるって? ……あ、ありがと」
29: 以下、
『す』すまた愛里寿(素股)
みほ「アウトオオオオオッッ!!!」
優花里「アウトですよおおおおっ!!!」
沙織「ダメでしょおおおおおっっ!!???」
愛里寿「素股……?」
みほ「な、なんでもないよ愛里寿ちゃん」
沙織「そうね……これは知る必要のないことだとおもう……」
愛里寿「股間交接によって快楽を得る行為のことだよね」
みほ「!!?」
愛里寿「性器接吻に類似しているにもかかわらず、避妊具を介することがないから感染症のリスクが高い。性風俗店では手軽で安全に見えるけど、実は思ったよりも危ない行為」
沙織「!??」
愛里寿「勉強したの。正しい性知識は、結果として自分の身を守るためにつながる」
愛里寿「性教育はタブー視されがちだけど、女の子は特に、きちんと知っておかなければならないとおもう」
沙織「正論だけど……」
30: 以下、
優花里「島田殿の口からこういう単語が出ると、ショックが大きいです……」
みほ「ウッ……ご、ごめん……ちょっと吐きそう……」フラフラ
愛里寿「私が性に関して無知な風潮があるけど、それは、こうあってほしいという幻想にすぎない」
愛里寿「興味のある年頃だし、少女はそうした知識と経験を積み重ねて大人の女になるのだから」
みほ「やめてっ! リアルな話はやめてっ!」
華「でも、こういう子がバッチリそういう知識を持っているということの方が、なんだか興奮しませんか?」
沙織「しないよっ!!!」
31: 以下、
『せ』せまだ愛里寿(狭だ)
愛里寿「わかる人の範囲が狭すぎて伝わらないこと、言っていい?」
みほ「?」
愛里寿「漫画版『リボンの武者』に、ヤイカって人がいるでしょ」
みほ「うん。確かボンプル高校の」
愛里寿「あの人の髪型、どこかで見たことがあるとおもったら」
愛里寿「ゼノグラシアの敵キャラにいたよね」
みほ「わかんないよ……」
華「わかる人っています?」
優花里「ゼノグラシアで心当たりがあるといえば……」チラッ
沙織「う?ん……」チラッ
麻子「見るな見るな私を見るなっ!」
32: 以下、
『そ』そまだ(し)愛里寿(杣出し)
(※杣出し:材木となる木を山から取り出すこと)
愛里寿「与作??は?木?を切る??♪」
愛里寿「ヘイヘイホ??♪ ヘイヘイホ??♪」
愛里寿「ヘイヘイホ??♪ ヘイヘイホ??♪」
ドルッ ドルルル……
ヴウウウウウウウウウウウウウウウウッ!!!
バリバリバリバリ!!! ズズーーーン……
みほ「そこはチェーンソーで切るんだ……」
優花里「木こりの与作のイメージぶち壊しです……」
沙織「ていうかチェーンソー扱えることの方が驚きなんだけど……」
愛里寿「島田流も日本戦車道連盟の一員として、やるべきことがある」
愛里寿「試合でやむを得ず破壊されてしまう樹木を再生するため、『みどりの戦車道』を企画したの」
みほ「みどりの戦車道?」
愛里寿「島田流が主催する戦車道の試合では、その収益の一部を公益財団法人 国土緑化推進機構に寄付する」
33: 以下、
愛里寿「島田流は環境に配慮した戦車道というスローガンのもと、良質な履帯、良質な砲弾、地球環境との共生」
愛里寿「この3つのこだわりを中心に、環境との取り組みを進めて参ります」
愛里寿「島田流は『戦車で笑顔に』を掲げ、いつもお客様の近くでさまざまな絆を育み、『戦車と健康』のよろこびを提案していきます」ニッコリ
麻子(!?)
沙織(絵に描いたような営業トークと営業スマイル……)
優花里(島田流主催のイベントのたびに、言わされたんだろうなあ……)
華(家元の家に生まれると、いろいろ大変ですよね……)
みほ(愛里寿ちゃんしっかりしてるなあ……わたしなんか全然なのに)
34: 以下、
『た』たまだ愛里寿(玉田)
――知波単学園
愛里寿「ごめんください」
福田「くっ くせものーーッ!!」
絹代「どうした福田!」
福田「わが知波単に、アメリカ生まれのセルロイド人形のような人物が!」
絹代「なにッ!? 青い目をしたお人形さんだと!?」
愛里寿「……ちがう。それに私は玉田さんに用があって来たの」
玉田「?」
愛里寿「あなた、玉田流戦車道の後継者?」
玉田「!?」
愛里寿「日本国内の戦車道には、島田流、西住流のほかに、玉田流や村上流などが存在することが分かっている」
愛里寿「外国にはグデーリアン流や、フラー流などがあることも」
絹代「おおッ、それは頼もしい! 家元の娘とは、知波単の戦車道により一層の厚みが加わる!」
35: 以下、
玉田「いえっ、別に私にそのような設定は……」
愛里寿「そうなの? 残念……」
愛里寿「玉田流がどんなものか、見せてもらおうとおもったのに……」ショボーン
玉田「あっ、ああ……ガッカリしないでください」オロオロ
絹代「ふむ……。なんだかよく分からないが、こんな小さな異人さんが悲しむ顔は見たくない」
絹代「戦車の代わりに、わが知波単学園が総出でもてなそうではないか!」
福田「名案であります!」
玉田「さっそく取り掛かりましょう!」
ワイワイ ガヤガヤ
愛里寿「……異人って。……私、日本人だよ?」
36: 以下、
『ち』ちまた愛里寿(巷)
愛里寿「ちまたでウワサの、みほさんたちに関する情報を集めてきた」
 ・西住みほのウワサ:コンビニに滞在する時間がとっても長く、30分は軽い
みほ「そ、そんなことないよ普通だよ……。みんなはそうじゃないの?」
 ・秋山優花里のウワサ:女の子なのにパンチパーマをあてていた
優花里「恥ずかしながら、そうだったんです……」
 ・五十鈴華のウワサ:大食らい
華「わたし自身には、自覚はないのですが……」
 ・冷泉麻子のウワサ:ねぼすけ
麻子「事実だが、4文字で雑にまとめられるとイヤだな……」
沙織「みんなダメな情報ばっかりじゃない……」
沙織「ま、その点あたしはバッチリ女子力を高めているから、いいウワサでしょ?」
 ・武部沙織のウワサ:中学校のころ、ジャニーズ系夢小説を書いてた
沙織「」
みほ「夢小説?」
優花里「どういう小説ですか?」
愛里寿「もしも自分が有名人の彼女だったらという架空のお話のこと」
華「あらあらウフフ。香ばしい黒歴史の匂いがします」
麻子「イヤな予感がする……」
愛里寿「ちなみに、コレ」スッ
沙織「!!???」
37: 以下、
『櫻井キャスター』
はぁ・・・今日はあたしの誕生日。
だけどあたしの彼氏、櫻井翔は仕事で会えない。
いつものことだし分かってたけどやっぱり寂しい。
携帯『アラシ?アラシ♪』
翔から電話だ!
沙織「もしもし」
翔「もしもし沙織?今からZERO出るから絶対見てね!じゃっ」
え、今日月曜日じゃないのに・・・
担当の曜日変わったのかな?なんて思いながらテレビをつける。
アナ「続いては月曜の顔櫻井翔さんです。今日は緊急に伝えたいことがあるそうです」
翔ちゃん!!USO!!本当に出てる!なんで?
翔「わたくしごとではありますが、今日は大切な人に伝えたいことがあるので話させてもらいます」
・・・大切な人?もしかして・・・あたし?
翔「沙織、お誕生日おめでとう!会いに行けなくてごめんずっと一緒にいような」
翔・・・ありがとう・・・涙で画面が見えないよ・・・
私たちが離ればなれになる確率なんてZEROだもんねずーっと一緒だよ
38: 以下、
麻子「オゴォwwwwww腹がちぎれるwwwwwww」
華「最後の文の破壊力wwwwww」
優花里「月曜なのか月曜じゃないのかハッキリしてくださいwwwwwww」
みほ「USOwwwwwwwUSOwwwwwww」
愛里寿「着信音がデビュー曲なのは、古参ファンをアピールするため?」
沙織「いっそ殺してよ……」
39: 以下、
『つ』つまだ愛里寿(妻だ)
愛里寿「戦車道の目的とは、良妻賢母にふさわしい、よりよい女性の育成のため」
愛里寿「つまり『良き女性の姿とは何か』という考え方の違いが、そのまま流派の違いにつながってる」
愛里寿「みほさんのお母様と私のお母様を見比べてみれば、よくわかるとおもう」
優花里「なるほど。西住流の理想は、たくましい女性像」
華「島田流の理想は、物腰柔らかな女性像というわけですね」
沙織「でも、みぽりんはそんなにたくましい感じはしないよね」
みほ「ふえっ?」
麻子「いわゆる西住流とはちがって、何だかふわふわしてるぞ」
みほ「そ、そうかな……」
まほ「みほは、自分の戦車道を見つけたからな」
みほ「お姉ちゃん!?」
まほ「もしも、みほが結婚したらどんな家庭になるだろう? きっといまのウチとは全然違う雰囲気だろうな」
みほ「結婚!? そ、そんなこと考えたこともないよ……」
40: 以下、
まほ「だけど、ひとつだけハッキリしていることがある」
みほ「?」
まほ「みほの結婚式のとき、お母様は泣く」
みほ「お母さんが……!?」
まほ「フフフ。きっとボロボロ泣くぞ」
まほ「お母様は、みほが自分なりの戦車道を歩むことを許しているし、望んでいる。ただ、それを口に出すきっかけがないだけで」
みほ「うん……」
まほ「家のことは心配しなくていい。みほはみほの道を行くといい」
みほ「……お姉ちゃん、ありがとう」
愛里寿「私も結婚したら、お母様は泣くかな?」
まほ「泣くだろう。もしかしたら、うち以上かもしれない」
愛里寿「やった。勝った」フフン
沙織「勝ったの!?」
41: 以下、
『て』てまだ愛里寿(手間だ)
愛里寿「みほさんは餃子は好き?」
みほ「うん。好きだとおもうけど」
愛里寿「お手軽でおいしいけど、いざ自分が作るとなると手間がかかる料理のひとつ」
愛里寿「そのくせ、食べるときはあっという間になくなっちゃう」
みほ「フフフ……そうかも」
愛里寿「大洗も、宇都宮みたいに餃子が名物の店が多いんでしょ?」
愛里寿「私、せっかくだから本場の茨城の餃子が食べてみたい」
みほ「ご、ごめん……わたし、そういうのよくわかんなくて……」
沙織「だったらみぽりん!」
華「ええ、あそこへ行くしかありませんね」
優花里「案内します!」
麻子「おうよ」
みほ「みなさん!?」
42: 以下、
――大洗 磯浜町
優花里「大洗でも大評判のお総菜屋さん『カワマタ』さんですよ!」
沙織「見て見て! あたしの等身大パネル!」
麻子「そのとなりには、店主のおばちゃんの等身大パネルもあるぞ……!?」
みほ「うわあ、これ全部沙織さんのピンバッジ!?」
華「すごい数がズラーーッと飾られていますよね」
華「観光地というよりもむしろ地元の方に愛されているお店ですが、現在ではすっかり聖地の一部になっているそうですよ」
優花里「ここの餃子は絶品なんです!」
沙織「餃子だけじゃないよ? じゃじゃーんっ!」
 < 『さおりんの手作り肉じゃが 200えん』 >
みほ「こんな商品まで……。味がしみてておいしそうです」
優花里「餃子、買ってきましたよ!」
麻子「基本的にテイクアウトの店だから餃子は生の状態だが、ここで食べたいと言えば焼いてもらえるぞ」
みほ「う?ん、どうしよっか?」
愛里寿「持ち帰って、みんなで食べたい」
愛里寿「学園艦からここまでちょっと手間がかかったけど、来てよかった」
沙織「喜んでくれてうれしい♪」
優花里「お惣菜の店『カワマタ』は、大洗駅から徒歩で約15分!」
華「旅行の際、大洗駅周辺で素泊まりのときの、晩ごはん代わりのご利用にもおススメですよ♪」
43: 以下、
『と』とま(と)だ愛里寿(トマト)
愛里寿「トマト、苦手……」
愛里寿「チーズも、アンチョビも、オリーブオイルも……ぜんぶ苦手」
アンチョビ「まいったなあ」
ペパロニ「ウチに通うのは無理ッスね?」
みほ「だめだよっ! 愛里寿ちゃん、そんなに好き嫌いがあると……」
愛里寿「……大きくなれないっていうの? こども扱いしないで」
みほ「好き嫌いがあると、プリキュアに選ばれないよ?」
愛里寿「何の話!?」
杏「プリキュアシリーズは、小さい女の子が見るでしょ?」
ナオミ「そのため描写の上で、いくつかのルールがあるんだ」
ダージリン「対象年齢からいうと、ちょうど食べ物のマナーを親から教わる年頃。だからキャラクターに好き嫌いがあったり、食べ物を粗末にするシーンは描かないことになってるの」
まほ「もし仮に苦手な食べ物が出てくる話でも、必ず克服して、そのおいしさに目覚めさせる展開にする」
エルヴィン「亜久里がニンジンを食べられるようになったのも、そういう背景があるわけだな」
44: 以下、
カルパッチョ「はーちゃんがどぎつい青空色のスープをおいしそうに飲んでたのも、そのためなんですね」
カエサル「それはちょっとちがうとおもうけど……」
カチューシャ「そーいうわけで、どれか1つでもいいから克服してみなさいよ! 大きくなれないわよ?」
愛里寿「あなたに言われたくない」
カチューシャ「ムキーーッ! よくもぶじょくしたわね! こうなったら無理にでも食わせてやるわっ!」
カチューシャ「……ってアラ? トマトがない」
エリカ「チーズもないわね。どこへ行ったのかしら?」
ミカ「モグ……フフフ…………さあね?」ポロローン♪
45: 以下、
『な』なまだ愛里寿(生だ)
愛里寿「これが、みほさんの戦車?」
みほ「そうだよ。?号戦車だけど、乗ってみる?」
愛里寿「……へえ。こういう景色なんだ」
優花里「うわぁ……! 生だ! 生の島田愛里寿殿です!」キラキラ
愛里寿「……なに?」
みほ「あ、優花里さん」
優花里「あらためて見ると夢のタッグです! 西住流と島田流の家元の子が、一緒にいるところを見られるなんて!」
愛里寿(なんだ。ミーハーな子か)
優花里「?号も、西住殿が乗っているときとはぜんぜん違った風格が出ましたね!」
愛里寿「……!?」
優花里「島田流の?号はどんな動きになるんでしょう……きっと我々とは違う、トリッキーな走法があるのかも……」ブツブツ
愛里寿「……あなたって、変わった人ね」
優花里「はい?」
46: 以下、
愛里寿「私を見てちやほやしてくれる人はたくさんいた。でもそれは、家元の娘だからとか、こどもなのに大学生だとか、そういう好奇の目でしかなかった」
愛里寿「でもあなたはさっき、私が乗ったとき、私じゃなくて戦車がどう見えるかを考えていた」
愛里寿「ほんとうに戦車が好きなのね」
優花里「いやあ……そんな……照れちゃいますよおエヘヘ……」
愛里寿「戦車は生き物」
優花里「……へっ?」
愛里寿「誰が乗るかで、その性質は大きく変わるってこと。島田流のふるい教え」
愛里寿「きっと、あなたの考え方も同じかもね」
優花里「…………ッ!」プルプルプル
愛里寿「……?」
優花里「ヒヤッホォォォウ! 最高だぜぇぇぇぇ!!」
愛里寿「!?」ビクッ!
優花里「まさか島田流の真髄を教えてくれるなんて!! ありがとうございます!!」
愛里寿「……名前は?」
47: 以下、
優花里「申し遅れました! 私、大洗女子学園普通?科2年C組、秋山優花里!」
優花里「戦車内では、装填手を担当しております!」ビシッ
愛里寿「そう。あなたがあのとき、みほさんの戦車にいた……」
優花里「はいッ!」
愛里寿「こんな人が友達にいるなんて、みほさんがうらやましい」
みほ「ふえっ!?」
優花里「とんでもない! 私の方こそ仲良くさせてもらって、光栄の極みであります!」
愛里寿「ちょっと話を聞かせてほしい。あのときの大洗の戦術の組み立ては……」
優花里「それはですね! …………」
みほ「…………」
沙織「みぽりん、ゆかりんを取られちゃったから、ちょっと妬いてる?」クスクス
みほ「そ、そんなこと……」
華「大丈夫ですよ。優花里さんはみほさんに一生ついていくって言ってましたから」クスクス
みほ「……もうっ! みんな知らない!」プイッ
48: 以下、
『に』にま(ん)だ愛里寿(2万)
愛里寿「2万円あったら、何に使う?」
みほ「けっこう大金だよね」
杏「干し芋なんかどう?」
みほ「あ、会長」
杏「大洗まいわい市場の『ガールズ&パンツァー 生徒会御用達干し芋(特典付き)』なら税込2,500円。ちょうど8つ買えるよ」
みほ「!?」
桃「いや、ここは『カワシマ食品のキムチセット 桃ちゃんキムチ入り』(税込1,910円)を買うのがいいぞ。私の顔が描かれた桃ペースト入りキムチが2つ、にらキムチが1つ、さらに全国的に珍しい『ゆばキムチ』という珍味が1つ。合計4個入りセットはギフトにも最適だ」
みほ「河嶋さんまで!?」
ダージリン「あら、それでしたら飲み物も要るわ。わたくしたちが描かれたこの『茶?ちる歩兵煎茶』(税込520円)を一緒にお求めになった方がよろしいかと」
みほ「聖グロリアーナなのに紅茶じゃないんですか!?」
オレンジペコ「煎茶と戦車をかけたダジャレのために、犠牲になったのだとおもいます……」
ダージリン「でも、少しでも大洗まいわい市場のためになるのなら、わたくし不満はないわ。そう。大洗まいわい市場のためならね」
愛里寿「大洗まいわい市場には、魅力的な商品がたくさん置いてあるんだ」
桃「そうとも。大洗まいわい市場でしか売っていないグッズもたくさんあるし、これからも新商品が続々と出てくるぞ。大洗まいわい市場は毎日欠かさず要チェックだ」
杏「そんな大洗まいわい市場をよろしくね! 大洗まいわい市場だよ!!」
みほ「あからさますぎますよ……」
49: 以下、
『ぬ』ぬまだ愛里寿(沼だ)
(※ネット用語としての「沼」はいろんな意味があるが、ここでは「あるジャンルに対して、抜け出せないほどドップリハマっている」の意。また、夢中になっていることを「沼に落ちている」と表現することがある)
愛里寿「みほさんは、いつボコ沼に落ちた?」
みほ「う?ん……いつからだろう。たぶん子供のころ再放送で見た『ボコ黄門』シリーズからかなあ」
愛里寿「私もそれ知ってる。確か助ボコさんと格ボコさんとボコ黄門様が、まとめてボコボコにされるやつだよね」
みほ「うんうん! 3人とも善戦はするんだけど……結局はやられちゃうんだよね」
愛里寿「だってそれが」
みほ「ボコだから!」
愛里寿「フフ、フフフ……」
みほ「ウフフ……ぷっ……クスクス……」
愛里寿「『静まれーい! 静まれ静まれ!……この紋所が……静まれーい!!』」
愛里寿「『静まれ静まれ……ここにおわすお方を……し、静まれーーいっ!!』」
愛里寿「『静まれ……静まれってばあ???っ!!!』」
みほ「ウフフン懐かしいwwwそうそうwww話を聞いてもらえないwww」
50: 以下、
愛里寿「そのあとの『うるせえーーッ! やっちまえーーッ!!』のほうが有名なセリフだよね」
みほ「味方のハズなのに、ボコの手に風車がなぜか刺さっちゃったりしてねwww」
愛里寿「確かに、アレを見てしまったらもう抜け出せない。みほさんもやはり正当なボコ沼への落ち方をしてる」
みほ「やっぱりそうだよね! 愛里寿ちゃんもそうなの?」
愛里寿「私……実はうっかりボコ兵衛が好きで……」
みほ「あっ! ……もしかしてアレ?」
愛里寿「わかっちゃうウフフ? ……そうそうアレ」
愛里寿「ボコ兵衛がうっかりお砂糖と洗剤を間違えてケーキを焼いちゃって、黄門様たちを全員集団食中毒に叩き込んだ話でもう耐えられなくてムフフ……」
みほ「ウフハッ! ……そ、そりゃ無理もないよフフッ……う、うっかりしすぎてて、何回みても笑うもん」プルプル
麻子「洗剤……? ケーキ……? 時代劇じゃないのか……?」
沙織「どーいう時代でどーいう世界かまったく意味わかんないんだけど……」
51: 以下、
『ね』ねまだ愛里寿(寝間だ)
愛里寿「みほさん、きょうは一緒のベッドで寝たい」
みほ「うんっ」
愛里寿「…………むにゃ、おやすみ」
みほ「おやすみ」
愛里寿「ZZZ……」
みほ「…………」
みほ(……こうしてみると、大学生だなんて信じられない)
みほ(どこにでもいる、普通の女の子だよね……)
愛里寿「ううん……んっ……」モゾモゾ
みほ「?」
愛里寿「…………おかあさま…………さみしい……」グスッ
みほ「愛里寿ちゃん……」
みほ(……そっか、そうだよね。さみしいよね)
みほ(無理もないよ……親元を離れる歳にしては、ちょっと小さすぎるもんね)
52: 以下、
みほ(…………だいじょうぶだよ、愛里寿ちゃん)ギュッ
愛里寿「んむ……おかあさま……?」ギュッ
みほ(きょうはこっそり、お母さんの代わりになっちゃおうかな)ギュッ
みほ「ええ、ここにいるわよ愛里寿」
愛里寿「うれしい…………ZZZ……」
みほ(いい夢みてね、愛里寿ちゃん……)
…モゾモゾ…サワサワ…
みほ(……ん?)
愛里寿「おかあさまぁ……」モミモミ
みほ(??ッッ! あ、愛里寿ちゃん……胸を……)モミモミ
愛里寿「んっ……おちつく……ZZZ……」モミモミ
みほ(ふええ??っ! ど、どうしよ???っ……)モミモミ
53: 以下、
『の』の(ー)ま(る)だ愛里寿(ノーマル)
――ノーマルな愛里寿の場合
愛里寿「みほさんが一緒にボコのDVDを見ようと誘ってくれる」
愛里寿「それで、ボコがボコボコにされているとき、みほさんと一緒に応援するの」
みほ(かわいい)
――アブノーマルな愛里寿の場合
愛里寿「みほさんが一緒にボコのDVDを見ようと誘ってくれる」
愛里寿「それで、ボコがボコボコにされているとき、みほさんがいきなり私の首を絞めるの」
みほ「!!?」
愛里寿「ボコが苦しんでいるとき、私も苦しませることで臨場感をプラスさせる」
愛里寿「これが4DX劇場だよって言いながら……」
みほ「絶対違うよ……」
みほ「……ってコレ、よっぽどわたしのほうがアブノーマルになってる!!!」
54: 以下、
いったん休憩します
今日中には完成の予定です
56: 以下、

微笑ましいな
57: 以下、
『は』はまだ愛里寿(浜田)
愛里寿「ダウンタウンは浜ちゃん派」
みほ「どうして?」
愛里寿「ボコを思いっきりシバき倒してくれそうだから」
愛里寿「ボコボコにするときの楽しそうな姿が目に浮かぶ……」キラキラ
みほ(愛里寿ちゃん、Sなのかな……?)
愛里寿「それに、面白い天然ボケエピソードが満載」
愛里寿「トンカツを食べてたとき、おもむろにそのお皿の黄色い模様にグイッとカツを押しつけて」
愛里寿「口に運んでひと言『やっぱりからしをつけて食べると味が全然違うな! こっちのほうがうまい!』」
愛里寿「……ってウフフン言い放った話が大好きフフッwww」
みほ「フヒャッ!そんなことがンハフフwww面白いねwww」
優花里「松本殿は、やっぱり松本人志のほうが好きなんですか?」
エルヴィン「ブッ!」
優花里「どうしました松本殿?」
エルヴィン(松本里子)「ンフ……急に本名で呼ばないでくれっ! ビックリするだろっ!!」
カエサル「本名呼ばわりでイジられる私の気持ちが少しはわかっただろ? なあリコちゃん?」
エルヴィン(松本里子)「やめろおっ!」
58: 以下、
『ひ』ひまだ愛里寿(ヒマだ)
メグミ「きょうは島田師範による直々のお達し」
アズミ「戦車道の練習のない日、隊長は寮でどんな生活を送っているのか?」
ルミ「その1日をこっそり撮影して、報告しなければならない!」
――AM7:30 起床。ジョギング
愛里寿「んしょ、んしょ……」グッ グッ
メグミ(あれはなにをしているのかしら?)
アズミ(島田流の体操方法らしい。実家でも毎朝の日課だそうよ)
――AM9:00頃 大学へ。ボコのテーマを歌いながら構内を散歩
愛里寿「やってやる やってやる やあ?ってやるぜ??♪」
愛里寿「い?やな ア?イツを ボ?コボコに??♪」
ルミ(かわいい)
メグミ(かわいい)
――AM10:00 キャンパスのすみっこにある花壇の手入れ
愛里寿「???♪」
59: 以下、
アズミ(こんなことしてたって……知ってた?)
ルミ(貴重なシーンね……)
――PM1:00 大学図書館にて読書、勉強
メグミ(努力を怠らない……さっすが天才だわ?っ!)
――PM3:00 戦車道練習場へ顔を出し、自主練の学生たちと交流
ルミ(人見知りを克服しようと……こういうところなのよね。隊長がみんなに好かれる理由は)
――PM4:00 買い物後、寮へ帰宅
アズミ「何を買ったの?」
メグミ「ええと文房具に……飲み物に……ほんとに必要最低限のものって感じかしら」
ルミ「隊長……家元の娘なのに、質素で謙虚……♪」
アズミ「さっそくまとめて報告ね! ……ってアラ?」
メグミ「どうしたの?」
アズミ「島田師範からは『一般的な女子大生の私生活と比べるため、あなたたちの1日もレポートしなさい』って……」
ルミ「ウソでしょ!? そんなことバカ正直に報告してみなさいよ!」
60: 以下、
――PM1:30 起床
『んあ……眠っ……。寝すぎて疲れて逆に眠いわ?……』
『だけどおなかすいたわ……なんかあったっけ?』ガサゴソ
『袋ラーメンしかないわ……まあいっか。どうせ料理できないし』
『面倒だから鍋ごと直接すすろっと……ズズ……熱ッ!』
――PM3:00
『はあ?あ』ゴロゴロ
『ネットをあさっても、とくに面白いニュースもネタもないわね……』ポチポチ
――PM6:00
『あっ、もう夕方? 早いわ?』
メグミ「師範に殺されるわね」
アズミ「ええ確実に殺られるわ。そのためにも、なんとか充実した1日をでっち上げなければ……」
ルミ「その前に……」
(ごっちゃあ?)
『このどーしよーもなくとっ散らかった部屋をどーにかしないとーーッ!!!』
61: 以下、
『ふ』ふま(ん)だ愛里寿(不満)
愛里寿「むう??っ……」ムスー
メグミ(た、隊長の機嫌が悪過ぎる……!)
アズミ(とにかくこの空気なんとかしなくちゃ……。ご機嫌をとるのよ、いいわね?)
ルミ(わかったわ)
メグミ「あ、あの……隊長?」
愛里寿「……なあに?」ジロッ
アズミ「た、隊長がいつも抱いてる熊のぬいぐるみ、素敵だな?っておもって」
ルミ「そうそう! どことなく愛嬌があって、かわいいですよね?」
愛里寿「……これのこと?」スッ
愛里寿「こんなものっ! かわいくなんてないっ!!」バシーン!!
『!!???』
< 『ボン太くん』 >
3人『なんか違う????ッッ!!!??』
愛里寿「お母様が……出張先で見つけたご当地限定ボコっていうから期待したのに……」グスッ
62: 以下、
愛里寿「これじゃない……欲しかったのはこれじゃない……」グスッ
愛里寿「ボコミュージアムのスポンサーなのに、ボコのこと知らないなんてひどいよ……」ポロポロ
メグミ「隊長……」
ルミ「……私も覚えがあります。小さいころ、誕生日プレゼントはリカちゃん人形をねだったのに、親は何かのニセモノらしい着せ替え人形を買ってきました」
アズミ「親にとっては同じようなものに見えても、実はぜんぜんちがうのに……」
メグミ「そうよね……。でもどうして親って、こういうものの区別がつかないのかしら」
ルミ「老いて知能が衰えたからよ」
アズミ「ブフッ! ……アンタ、ド直球のビーンボールで来たわね」
メグミ「でも、大事な娘のプレゼントを間違えるかしら? 忙しすぎてボケたんじゃない?」
アズミ「そう言われれば確かに、娘には甘いあの親バカ溺愛者な師範が、なぜ……」
千代「…………そうね。なぜかしら?」
ルミ「」
アズミ「」
メグミ「し、師範…………どうしてここに…………」
63: 以下、
千代「愛里寿へのプレゼントの取り違えがわかったので、急いで取り寄せて戻ってきたのです」
千代「はい愛里寿、こっちが本物よ。うっかりして悪かったわ」スッ
愛里寿「お母様っ! ありがとうございますっ!」パアア
千代「ちょっとお話があるから、愛里寿は先に帰ってらっしゃい」
愛里寿「はいっ」トコトコ
千代「…………」ニコニコ
3人『』ダラダラダラ
千代「あなたたち3人、好きな戦車でかかってきなさい」
3人『!?』
千代「3対1の殲滅戦。私に勝てたなら、先の件は不問とします」
メグミ(し、師範が直々に……!?)
アズミ(でもこれ以上ない条件よ。バミューダアタックが訓練どおりに決まれば……)
ルミ(さしもの師範だって、ひとたまりもないはず!)
3人『受けます!』
千代「よろしい。では私は自宅から持ってきたチャレンジャー?で行きます」
3人『』
(※チャレンジャー?:現在のイギリス陸軍の主力戦車)
ズガーン! ズガーン!! バゴーン!!! ズズーン……
ギャアアア……!! ヒエエエッ……!! イヤアアアアッ……!!
64: 以下、
『へ』へまだ愛里寿(ヘマだ)
愛里寿「あう……あうあ……」プルプルプル
愛里寿「ボコのアニメの録画……失敗した……」
愛里寿「時間がズレて……わけのわからない通販番組になってる……」ガタガタガタ
ミカ「人は失敗する生き物だからね。大切なのはそこから何かを学ぶってことさ」ポロローン♪
愛里寿「誰?」
ミカ「ただの通りすがりさ。風に誘われてね」
ミカ「ところでそこのお茶菓子、もらってもいいかな?」
愛里寿「う、うん……」
ミカ「できれば、飲み物もあるとありがたい」モグモグ
愛里寿「……いちごミルクでいい?」
ミカ「ゴク……。ふう、ありがとう。ひと心地ついたよ」
愛里寿(私、見知らぬ相手に何やってるんだろう……?)
ミカ「さて、君が撮り損ねたという番組だけど、ほんとうに価値のないものかな?」
愛里寿「どういう意味?」
65: 以下、
ミカ「自分の好みじゃないからって、見もしないで無駄と決めつけるのはよくないってことさ」
ミカ「じゃあね。風が呼んでいるからもう行かなきゃ」ポロローン♪
愛里寿「…………」
愛里寿「……どういうことだろう。とにかく、見てみようかな」ピッ
『ハロー、ジム!』
『ハロー、ジョージ! 調子はどう?』
『まあまあだ。どころでジムは最近、ゴルフに凝ってるんだって?』
『ああ。始めたころと比べて、ずいぶんうまくなったとおもうよ』
『ベストのスコアは?』
『75さ』
『なるほど大した腕前だ。でも、第2ホールではもうちょっと頑張らないとダメだな?』
『HAHAHAHA!!』
『HAHAHAHA!!』
愛里寿「なんなの……」
『そんな熱心なジムに紹介したいのが、このゴルフクラブ「ティーガー・ウッズ」シリーズ!』
66: 以下、
『まるでティーガー戦車のような力強いショット! 弾道の向上に加え、粘りを生む気流を発生させる』
『それに特殊チタン製だから軽くて、かつ、壊れにくい!』
『そう、たとえばこんなことをしてもね!』ブンッ
ボコ『ウグウッ!』ドスッ!
愛里寿「!!???」
ボコ『ウグッ……ウウ……』ピクピク
『たとえゴルフをプレイ中に熊に襲われても、これ1本で安心さ!』
『さらにいまなら「パンター・パター」に「よく飛びマウス」をつけて、驚きの19,800円!』
『先着30名様には、このボコられグマキーホルダーもプレゼントしちゃうぞ!』
愛里寿「わああっ……!」パアア
愛里寿「で、電話……電話番号は……?」ワクワク
67: 以下、
『ほ』ほ(う)ま(ん)だ愛里寿(豊満)
愛里寿「大きくなったら、もっと豊満なスタイルになりたい」
愛里寿「声優でいうと、竹達彩奈(たけたつ あやな)さんのような人が理想」
愛里寿「かわいいし、何より声がいい。他人の気がしない」
みほ「スタイルの良さを声優さんで例えられてもピンと来ないよ……」
愛里寿「やっぱり、吉野家の牛丼をたくさん食べると大きくなるのかな?」
みほ「何の話!?」
愛里寿「でも別の牛丼屋のコマーシャルに出ている声優さんは別に豊満じゃないから、一概に言えないかも……」
みほ「なんかわかんないけど絶対に謝っておいた方がいいとおもう!!」
68: 以下、
『ま』ままだ愛里寿(ママだ)
千代「私が愛里寿のママこと、島田千代です。どうぞよろしく」
優花里「うわあ??っ! ホンモノの島田流家元さんです!」
沙織「きれいな人……やっぱり戦車道は女の子を美しくするのね」
華「貴婦人然としたたたずまいがありますね。まるで一輪の花のようです」
千代「フフフ……みんなそう言ってくれてうれしいわ。ありがとう」
千代「実は私、このたび雑誌の取材があってね」
優花里「ええっ! そうなんですか!?」
千代「そうなの。『婦人公論』に小さいながらもインタビューが載ったのよ」
千代「ほかにも『ほんとうにあった恐い戦車』『戦車と私』『戦車クッキング』などからも取材があったわ」
千代「劇場版で私の部屋の本棚にいくつかの雑誌が並んでいたのは、そういうことよ」
沙織「すごーい!」
ワイワイ ガヤガヤ
愛里寿「…………」ムッスー
みほ「…………愛里寿ちゃん?」
69: 以下、
愛里寿「お母様のああいう見栄っ張りなところ、すごくイヤ」
愛里寿「恥ずかしくて、とてもじゃないけど一緒にはいられない」
みほ「あ、あはは……気持ちはちょっとわかるなあ……」
千代「これは、愛里寿が3歳の頃の写真。もう割り算ができたのよ?」
沙織「かわいい???っ!!」
千代「これが7歳の頃。難しい言葉もすぐに覚えてしまったの。それでこっちは……」
愛里寿「……んもうッ!! お母様ッッ!!!」
千代「なあに愛里寿?」
愛里寿「会う人ごとにいちいち私のことを自慢しなくてもいいじゃありませんかっ!」
愛里寿「何度も同じことを聞かされる私の身にもなってください! もううんざりですっ!」
千代「そんなこと言ったって……私はただ愛里寿のことを皆さんに知ってもらおうと……」
愛里寿「じゃあお母様のことも皆に知られるべきですっ! いいですね!」
千代「?」
愛里寿「これは、お母様が7歳当時のときの作文です!」バン!
千代「!!?」
70: 以下、
優花里「家元さんの作文ですかっ!?」
沙織「すっごーい! そんなものがまだ残ってるなんて、流石だね!」
華「いったいどのようなことが書かれているのでしょう?」
『 ハワいにいきたい 1ねん2くみ しま田千よ 』
みほ「ふひゃあwwwゲホゲホッwwwハワいwww」
沙織「ハワイって書けてないwwwかわいいwww」
千代「なっ、ななっ……!」カアア
 『 ハワいにいきたい。だってハワいは ビーチサンダルがやすいとおもう 』
華「フフッwwwブフフゥwww理由がフヒャヒッwwwwww」
優花里「ンフハァこどもらしさ全開ですねウフフンwwwwwwww」
千代「あ、ああ……家元として積み上げてきたイメージが……」ガタガタガタ
71: 以下、
『み』みま(ん)だ愛里寿(未満)
愛里寿「私は大学生だけど、未成年であることに変わりはない」
みほ「うん。そうだね」
愛里寿「だから、のれんをくぐれない」
みほ「のれん?」
愛里寿「レンタルビデオ店にかかってる、18歳未満お断りのあやしいのれん」
みほ「成人コーナーのことっ!?」
愛里寿「大学戦車道のみんなと映画を借りに行ったとき」
愛里寿「何も知らないフリしてあそこに近づくと、みんな必死で止めようとするの」
愛里寿「……フフ、そのときの焦った顔がかわいくて……」
みほ「愛里寿ちゃん意地悪だよう……」
72: 以下、
『む』むまだ愛里寿(夢魔だ)
(※夢魔:悪夢を見せるもの。また、悪夢そのものをさす)
アリス『フフ、フフフ……。私はナイトメア・アリス』
アリス『夢の中に入り込んで、イタズラしちゃう小悪魔』
アリス『あっ、あそこにちょうど良く寝ぼけてる女の子が』
麻子『ZZZ……』
アリス『どんな夢を見てるのか、のぞいてみよう』スーッ
 そど子『?♪ ド?はそ?ど子のド??♪』
 麻子『?♪ レ?はれま子のレ??♪』
 みほ『?♪ ミ?はみ?ぽりんのミ??♪』
アリス『ウフフ……みんなで歌ってて、かわいい夢ね。だけどちょっぴりイタズラしちゃえ♪』パチン
 ナオミ『?♪ ファ?はファイアフライのファ??♪』
 『!!???』
 ドッカーンッ!!
73: 以下、
 ウワー! ギャー! タスケテー!
アリス『あっはは! イタズラ大成功!』
アリス『じゃあ次は……ボーっとしてるあの子なんか良さそうね』
紗希『…………』
アリス『頭の中、見せてもらうわ』スイーーッ
 『…………』
アリス『…………ん?』
『…………』
『…………』
『 見 た な ? 』
アリス『』
74: 以下、
アリス『ひッ! たっ たすけ――』ガシッ
紗希『…………つかまえた』ニッコリ
アリス『あ、ああっ……! あああ…………』ガタガタガタ
愛里寿「ううっ……うう?ん…………」ブルブルブル
みほ「愛里寿ちゃん、こんなにうなされて……。こわい夢でも見てるのかな……」
75: 以下、
『め』め(ん)まだ愛里寿(メンマ)
愛里寿「ここに瓶詰めの『桃屋のメンマ』がある」スッ
桃「『桃』屋だって!?」ガタッ
柚子「桃ちゃん座って」
愛里寿「これを半分に裂いて、さらにもう半分ずつ。4つに裂く」
愛里寿「裂くときのコツは、端っこをつまむんじゃなくて、中央の部分をつまんでひねること」
愛里寿「これを3、4本分ほどつくって、どんぶりの中央に盛れば、具の脇役が主役に早変わり」
愛里寿「ボリューム感のあるメンマラーメンの完成」
愛里寿「細く裂いたメンマは口当たりが良くって、味もついているから、ライスのお供にもバッチリ」
愛里寿「チャーハンの具として入れても、おいしいよ」
小梅「チャーハン!?」ガタッ
まほ「座れ赤星。それに、そんなものは邪道だ。ラーメン道の王道からは外れる」
みほ「ラーメン道!?」
愛里寿「あなたは、西住流ラーメン道後継者の……!?」
みほ「うちにそんな流派があるなんて初耳だよう……」
76: 以下、
まほ「グデーリアンは言った。『遅いセットメニューより、早い替え玉』と」
優花里「いやいやあの方がそんなお昼のサラリーマンみたいなこと言うわけありませんよ……」
まほ「西住流ラーメン道は九州ラーメンの直系の流れ、とんこつ細麺を至高とするもの」
まほ「アツアツのバリカタ麺を一気にすすりあげるのが正しい食べ方だ」
まほ「トッピングやセットなどいらない。替え玉でじゅうぶん満腹になる」
愛里寿「そうやって、西住流は庶民の自由な食べ物であるはずのラーメンを形式主義に陥らせた!」
愛里寿「やわらかめを頼んで何が悪いの? あなたたちはただの生煮え麺を崇拝している邪教徒」
まほ「何いっ!?」カチーン!
愛里寿「島田流ラーメン道は、無数にある食べ方に対応できる」
愛里寿「鶏ガラをベースにしたシンプルなしょうゆラーメンは、100年たっても変わらず愛される力がある」
愛里寿「コショウをかけても、酢を入れても、たとえ麺がのびたって、そのおいしさが揺らぐことはない」
まほ「言わせておけば……! ならば勝負だ!」
愛里寿「受けて立ちます」
――これは、戦車道とは別の、もうひとつの戦い
みほ「!!?」
77: 以下、
――乙女のたしなみとして知られる「ラーメン道」
杏「アハハ……これは別に、大洗女子学園で復活させなくてもいいかなあ……」
桂利奈「ええ?っ! そんなあ??っ!」(※好きな食べ物:ラーメン)
――全国の学園艦で修業を積んだ少女たちが、それぞれの思いを乗せたラーメンを発表する
ダージリン「わが聖グロリアーナの生徒は、一滴たりともスープを残したりはしないわ」ズズッ
オレンジペコ「高血圧が心配ですね……」
アリサ「ウチのラーメンは、バカでも作れるレシピつきで、バカでも接客できるマニュアルつきよ!」
ナオミ「自慢になってないぞ」
ペパロニ「ウチはスープスパゲッティで参戦ッスか?」
アンチョビ「ダメだ! パスタの麺は、すすっちゃマナー違反だろ!」
カチューシャ「プラウダの冬には、あつーいバターラーメンが一番ね! ……あちち!」
ノンナ「私が、ふうふうして冷ましてあげます」
アキ「……ねえミカ。なんでウチは二郎系なの?」ドッサリ
ミカ「どんな盛りつけの食べ物でも、尊いのさ」ズズッ ズルルー
78: 以下、
――新番組『ガールズ&ラーメン』始まります!
杏「略称はきっと『ガルメン』だね。ガルメンはいいぞ?」
みほ「ええ??っ……」
杏「ラーメンがテーマとなると、応援大使はあの人しかいないかな」
みほ「……誰ですか?」
杏「今までに7000杯以上のラーメンを食べたことがあるという、プロレスラーの蝶野正洋さん」
みほ「結局その人になるんじゃないですかっ!!!」
79: 以下、
『も』もまだ愛里寿(MoMaだ)
(>>>0?oMa:MTGのデッキ名。現在では禁止指定されたカードがじゃんじゃん入ってる超凶悪デッキ)
愛里寿「まず『Black Lotus』を設置」
みほ「何で持ってるのっ!?」
(>>>0?lack Lotusは禁止カードですが、プレミアがついて現在でも数十万円くらいします)
愛里寿「次はみほさんの番」
みほ「イヤだよう……どうあがいても全盛期のMoMaに太刀打ちできっこないし……」
みほ「それに、ギャザのネタは『き』でもうやったでしょ? さすがにちょっとくどいんじゃ……」
みほ「知らない人にとってはちんぷんかんぷんだよ」
愛里寿「みほさん、それ」
みほ「ふえっ?」
愛里寿「『マジック・ザ・ギャザリング』のことを『ギャザ』って略して呼ぶのは変だとおもう」
愛里寿「最初の文字をとって普通に『マジック』でいい」
みほ「なッ!」カチーン!
みほ「そっ そんな言い方しなくてもいいじゃない!」
愛里寿「じゃあみほさんはガールズ&パンツァーのことを『ルズパン』って略すの?」
80: 以下、
みほ「そんな『留守番』みたいな呼び方はしないよっ!」
みほ「別にいいじゃない! 真ん中をとる略し方だって普通にあるでしょ!『スマブラ』とかっ!」
愛里寿「ウチの地域では、みんな『大乱(だいらん)』だった」
みほ「ウソだよっ!」
愛里寿「ウソじゃないもん!」
みほ「よしんば本当だったとしても『大乱』はメジャーじゃないよっ!」
愛里寿「メジャーだもん! 『マクド』と同じくらいメジャーだもん!」
みほ「またウソついて! 『マック』に決まってるのに!」
優花里「あ、あの……おふたりとも落ち着いて……」オロオロ
みほ「優花里さんはどうおもうっ!?」
優花里「うえっ!?」
みほ「マクドナルドの略し方は、どう考えても『マック』だよねっ!!?」
愛里寿「ちがう。最初の3文字をとって『マクド』が正しい」
みほ・愛里寿『どっちっ!?!?』
優花里「あ、あのう……私は……」
81: 以下、
優花里「うちは小さいころからずっと『マクナル』でしたが……」
愛里寿「!!?」
みほ「聞いたことがないよ! マックですらないのっ!?」
優花里「はい。ご存じありませんか? お母さんがわが子に『うまくな?る♪ マクナ?ル♪』っていうおまじないをかけてハンバーガーを食べさせるあのCMを……」
みほ「ど、どこでそんなクレイジーなコマーシャルが流れてたの……!?」
優花里「うちのテレビですが……」
みほ「秋山家のテレビおかしいよっ! ていうか学園艦ヤバすぎる電波受信してるよっ!!」
82: 以下、
『や』やまだ愛里寿(山田)
ジャーン ジャーン ジャーン♪
テテテ テッテレー♪
ピロリロリ♪
と?れないボールが あ?るものか?♪
か?まえたミットが う?けとめる?♪
ああ青春?のストライク?♪
ズバ?ン?と いか?した? あいつ?だぜ??♪
気?は優し?くて ち??からもち♪
あ?かるい 笑顔が きょうもゆく??♪
がんばれ♪ がんばれ♪ ガルパン♪
愛里寿(明訓高校ユニフォーム)「や??まだ愛??里寿??♪」
みほ「9割ドカベンの歌じゃん……」
愛里寿(明訓高校ユニフォーム)「ノンナのモデルは岩鬼で、カチューシャのモデルは殿馬なんでしょ?」
みほ「違うよっ!?」
83: 以下、
愛里寿(明訓高校ユニフォーム)「でも、実はガルパンと野球は無関係じゃない」
愛里寿(明訓高校ユニフォーム)「シナリオの着想は、ちばあきおの『キャプテン』から得ている」
(※本当です)
みほ「えっ? そうなの?」
愛里寿(明訓高校ユニフォーム)「そうだよ。『強豪校からの転校生が、実績のない弱小校を率いて成長させ、全国大会へ導く』という大まかな流れ、共通しているでしょ?」
みほ「野球漫画が元ネタにあっただなんて……」
愛里寿(明訓高校ユニフォーム)「といってもあっちの主人公、谷口タカオは転校前の野球部では補欠だったんだけどね」
愛里寿(明訓高校ユニフォーム)「それでも周囲の期待にこたえようと必死で特訓して、キャプテンになって、墨谷二中を強豪校にするの」
愛里寿(明訓高校ユニフォーム)「プロ野球選手の愛読者もたくさんいる。野球漫画の金字塔」
みほ「へえ?っ。名作なんだね」
84: 以下、
『ゆ』ゆ(ー)まだ愛里寿(UMA)
みほ「愛里寿ちゃんに頼まれて、ボコの着ぐるみを着たのはいいけど……」
愛里寿「ぴょん、ぴょん」
みほ「?」
愛里寿「ルーンヤ、ルーンヤ」ピョコピョコ
みほ「なにその鳴き声?」
愛里寿「チュパカブラの鳴き声らしい」
(※諸説あります)
みほ「チュパカブラ?」
愛里寿「そう。いまの私はチュパカブラ」
愛里寿「えいっ!」バッ!
みほ「あっ!?」
ドサッ
愛里寿「チュパカブラは、動物の生き血を吸うという」
愛里寿「そう、たとえばここに……熊がいたとしたら、狙われちゃう」ニヤリ
85: 以下、
みほ「ふえっ? 愛里寿ちゃん、なにを……」
愛里寿「あむ、あむっ……チュッ……」ペロペロ
みほ「やっ! やめてくすぐったいウフフ……首をかまないでっ……」
愛里寿「みほさんの生き血、いただいちゃう」カプッ
みほ「きゃんっ! 強くしないでっ!」
愛里寿「耳たぶ……あむっ!」ムグムグ
みほ「ふあっ……ひやあ……むずむずするぅ……」ゾクゾク
愛里寿「指……むぐっ……」チュパチュパ
みほ「あ、愛里寿ちゃん……ダメだよう……いけないようこんなこと……」ビクッ
愛里寿「いまのみほさんはボコなんだから、抵抗しちゃイヤ……」ペロペロ
愛里寿「私のされるがままに、なっておけばいいの……」ペロペロ
みほ「だっ! ダメえーーっ!!」
86: 以下、
『よ』よまだ愛里寿(夜間だ)
愛里寿「…………」コックリ コックリ
愛里寿「…………」ウツラ ウツラ
愛里寿「……はッ! 寝てた……」ビクッ
みほ「無理しなくていいんだよ愛里寿ちゃん……夜更かしなんかしなくても」
愛里寿「せっかくみほさんとお泊りだもん。一緒にボコをリアルタイムで見て応援するの」
愛里寿「もしも私が寝てたら、すぐに起こして」
みほ(こういうところは強情なんだよね……)
みほ「あ、始まった」
 < 『ボコられグマのボコ 第〇〇話 ボコとチャンピオンベルトの巻』 >
 蝶野正洋『ウラァ! オラァ!』ゲシッ!
 ボコ『グワーッ!』ゴロゴローッ!
 蝶野『オラァAsk him! Ask him!!』ギリギリギリ…
 (※「彼に聞け」の意。敵のギブアップの意思を確かめろとレフェリーに言っている)
 『ギブ!? ギブ!?』
87: 以下、
 ボコ『ア、アガガ……グギギ……ノオォ……!!』プルプルプル
愛里寿「がんばれっ、がんばれーっ!」
みほ「最初からクライマックスだ……ボコがんばれーっ!」
 蝶野『うおおおっ……オラア!』
 ボコ『ギャーーッ!!』ズガーン!
 『ケンカキックが決まったーーーッ!』
 『そしてフォールだ……ワン! ツー!! スリーー!!!』
 カンカンカン! ワー! ワー!
 ――9分58秒 ○ 蝶野正洋 ケンカキック → 片エビ固め ボコ ×
愛里寿「今週も面白かったね」キラキラ
みほ「うん。面白かったけど……いつもとちょっとノリが違ったよね……」
愛里寿「私はしばらくこの路線でもいいとおもう」ワクワク
みほ(ほんとうにそうかなあ……?)
88: 以下、
『ら』らまだ愛里寿(ラマだ)
愛里寿「生まれ変わったら、金髪のおてんば美少女になりたい」
みほ「?」
愛里寿「現在のダライ・ラマ14世が、英国紙サンデータイムズのインタビューで発言したもの」
みほ「!?」
愛里寿「大洗にも、金髪の人がいるよね」
 ・佐々木あけび(ややおてんば)
 ・大野あや(おてんばじゃない)
 ・エルヴィン(おてんばじゃない)
 ・ねこにゃー(おてんばじゃないが、筋肉に関してはこの限りではない)
みほ「いるにはいるけど、みんな『おてんば』とは違うとおもう……」
愛里寿「ほかの学校にはいないの?」
みほ「う?ん……ええと……金髪ならダージリンさん、アッサムさん……はおてんばじゃないし……」
みほ「サンダースのケイさんはちょっと近い気がするけど……」
みほ「……あ! いた! いたいた! あの人がいたよ!」
89: 以下、
――プラウダ高校
カチューシャ「このカチューシャが高僧の生まれ変わりですって!?」
ノンナ「はい。『金髪』『おてんば』『美少女』このすべてを満たしているのはカチューシャだけだそうです」
カチューシャ「まったくそんな記憶、ないんだけど……」
ノンナ「生まれ変わりましたから、そういうものです」
クラーラ「カチューシャ様の偉大なカリスマ性は、前世から引き継がれたものだったんですね」
カチューシャ「そう! ならカチューシャを崇拝させるために、何か新しい呼び方を考えなきゃね。アンツィオの『ドゥーチェ』みたいに」
クラーラ「それなら『雷帝(ツァーリ)』がよろしいかと。偉大なロシア皇帝の名です」
ノンナ「カチューシャ。あなたは今日から気高きツァーリです」
カチューシャ「ツァーリを讃えなさい! ツァーリをあがめなさい!」
ワー! ワー! 
『ツァーリ!』 『ツァーリ!』
『ツァーリ!』 『ツァーリ!』
愛里寿(生まれ変わりたいって言った本人はまだ生きてるんだけど……)
みほ(カチューシャさんたちが楽しそうだから、いっか……)
90: 以下、
『り』りま(りー)だ愛里寿(remarry)
(>>0??emarry:再婚する)
愛里寿「私に、新しいお父様ができました」
みほ「!?」
愛里寿「いままでお母様が寂しい思いをしていたから、よかった」
みほ「話が急展開すぎてついていけないんだけど……」
愛里寿「みほさんはいいよっ」
みほ「?」
愛里寿「みほさんにはお父様の名前があって、職業もあって、わずかだけど後ろ姿も公式の絵に写ってて」
愛里寿「早婚の設定とか、性格はみほさんに似ているとか、いろいろな要素がはっきりと公開されているもん」
愛里寿「私のお父様のことなんか、誰も触れてない……」
みほ「……た、確かにそれはかわいそうだけど」
愛里寿「あんまり出ていなさすぎて、うちが母子家庭の設定でもなんの違和感もないでしょ?」
みほ「そ、そんなすねないでよ愛里寿ちゃん……」
愛里寿「家族がふえるね! やったねありすちゃん!」
みほ「アウトオオオオオッッ!!!」
優花里「アウトですよおおおおっ!!!」
沙織「どこで覚えたのそんな言葉あああああっっ!!???」
91: 以下、
『る』るま(ん)だ愛里寿(ル・マン)
『――もう昔の話さ』
『ル・マン24時間豆戦車レース……』
『あたしたちはかつて日本勢初参戦なんて夢をみちまってねえ……』
『あとちょっとのところまでいったんだけど……』
『結局、3人乗り戦車を推す主催側のレギュレーション変更で 2人乗りの豆戦車は大会から締め出されちまった……』
『あたしたちは 永遠の幻となった――』
愛里寿「誰?」
みほ「『リボンの武者』2巻に出てきた『なんかオーラのあるおばあさま』たちだね」
愛里寿「リボンの武者に私の出番、あるとおもう?」
みほ「う?ん……わかんないけど、ちらっと写るだけで、戦いはしないかな。わたしもそうだったし……」
アンチョビ「出番がほしいなら、ウチに来ないか?」
みほ「アンチョビさん!?」
アンチョビ「私はリボンの武者では準レギュラーだし、タンカスロン用の戦車もたくさんある」
92: 以下、
アンチョビ「もしも島田愛里寿がアンツィオに来てくれるなら、そのツテでいくらでも……」
アンチョビ「ちょっとだけ、ちょっとだけでいいんだ。組まないか私とっ!」
アンチョビ「なぁ島田愛里寿。ただ強くなるだけではつまらんぞ。キミのその強さ……他人のために使ってみないか?」
愛里寿「……別にいい」
ペパロニ「ここぞとばかりに姐さんグイグイいってますね」
カルパッチョ「ドゥーチェのこの強引なスカウトっぷり、どこかで見た気が……」
カエサル「バキの大擂台賽(だいらいたいさい)編に出てきた寂海王(じゃくかいおう)だな」
カルパッチョ「たかちゃん!」
アンチョビ「私はあきらめないからなあっ!」
93: 以下、
『れ』れま(こ)だ愛里寿(れま子)
愛里寿「じーーっ……」
麻子「…………なんだ?」
愛里寿「あなたも、飛び級したの?」
麻子「……お子様に見えて悪かったな」
愛里寿「だって、天才なんでしょ」
麻子「大したことじゃない。ものを覚えるのがちょっとだけ早いだけだ」
麻子「頭の中身に大した違いはない。普通に物忘れだってするから、テストで100点ばかりじゃないぞ」
久子「またそうやって成績にあぐらをかいて遅刻ばかりしてるんじゃないだろうね!」
愛里寿「!?」ビクッ!
麻子「げっ! おばあ……」
久子「ちょっとばかし要領がいいからってね、ひと様に迷惑をかけてるようじゃ何にもなんないよ!」
久子「偉い人たちが残した成功の秘訣っていうのは、結局平凡なことなんだ」
久子「他人に嫌われず、骨身を惜しまず働く。突き詰めれば2つのことでしかないのさ」
久子「近頃の若いもんは、それのまったく逆をやるのが魅力的に見えて、安易に食いついている」
94: 以下、
久子「つまり、他人を利用して、自分のためだけに生きるべきだってね」
久子「そんなことじゃあ世の中を良くする人間はできないじゃないか!」
久子「だからこそ、きちんとした教養や作法を身に付けて……」クドクド
麻子「うう……なんでこんなことに……」
久子「アンタ、麻子の友達かい?」
愛里寿「…………うん」
久子「賢そうな顔してるじゃないか。きっといい家に育ったんだね」
久子「うちの麻子はこんなんだけど、仲良くしてやっておくれ。それじゃ」スタスタ
愛里寿「…………うん」
麻子「……悪かった。よくわからんことに巻き込んで」
愛里寿「……あんなこと言う人、私の周りにいなかったから新鮮」
95: 以下、
『ろ』ろま(ん)だ愛里寿(ロマン)
ミカ「戦車道には、人生の大切なすべてのことが詰まってる。でも多くの人はそのことに気づかないんだ」
アキ「戦車道にはほんとうに、人生の大切なことが詰まってるね!」
愛里寿「戦車道にロマンがあるのは分かった」
愛里寿「でも、戦車道は女の子のもの。男の子の人生に大切なロマンはなに?」
ミカ「ボーグバトルかな」
愛里寿「ボーグバトル!?」
ミカ「ボーグバトル。それは人生の縮図、男のロマンである、ってね」
ミカ「形も少し戦車に似ているだろう? もしかしたら、共通するものがあるのかもね」
愛里寿「ぜったい違う……」
ミカ「チャージ3回、フリーエントリー、ノーオプションバトル」
ミカ「私の『ファイレクシアン・ドレッドノート』と勝負、するかい?」
愛里寿「強そうだけど、すぐ自滅しそうな名前……」
96: 以下、
『わ』わ(ん)ま(ん)だ愛里寿(ワンマン)
愛里寿「や?ってやる や?ってやる やあ?ってやるぜ?♪」
愛里寿「イ?ヤな ア?イツを ボ?コボコに??♪」
『隊長が歌いだした!』
ズガアン!!
『あいたーーっ!』
ズガアン!!
『地雷?』『違う、敵にやられたの』
ズガアン!!
『レバーが折れちゃった……』
ズガアン!!
『タンケッテ最強??ってうわああっ!!』
愛里寿(――私の攻勢で、試合は一気にひっくり返ったかに見えた)
愛里寿(でも、負けた。負けた理由は分かっている)
愛里寿(私がたったひとりのワンマンアーミーだったから)
97: 以下、
愛里寿(みほさんたちのような連携がとれていなかった)
愛里寿(空砲による奇襲。あれは双方の深い信頼関係がなければ成り立たない)
愛里寿(あのとき生き残っていたメグミと私が組んで、同じことができただろうか……?)
愛里寿(……ううん、いまならきっとできる)
愛里寿(メグミたち3人の副隊長と友達になれた)
愛里寿(みほさんという友達もできた。みほさんというライバルもできた)
愛里寿(以前までの私じゃない。私は、変わったんだ)
愛里寿「みほさん」
みほ「?」
愛里寿「私、みほさんに会えてよかった」
みほ「ど、どうしたの急に愛里寿ちゃん……」
愛里寿「ひとりじゃないってことが分かったの」ギュッ
みほ「ふええっ!?」ギュッ
愛里寿「愛里寿ちゃんスイッチにつきあってくれてありがとう」
みほ「あ、う、うん」
98: 以下、
愛里寿「楽しかった。また遊ぼうね」スタスタ
みほ「……なんだったんだろう?」
杏「いや?、でもなんとなく分かっちゃったかも。愛里寿ちゃんの気持ち」
みほ「会長?」
杏「西住ちゃんにはふしぎな魅力があるってこと」
優花里「ですよね! そうですよね!」
杏「たぶん、次に会うときにはもんのすごお?く強くなってるとおもうよ、あの子」
みほ「うええっ……それはちょっと怖いなあ……」
まほ「問題はない。私たちがいれば」
みほ「お姉ちゃん!?」
まほ「次は、わだかまりのない戦車道で彼女と戦えるということだ。素直に実力を見せてもらおうじゃないか」
まほ「ところでさっき、ひとりではないと島田のあの子は言ったな」
みほ「うん」
まほ「では我々はその上を行く。私たちは、ひとつだ」
まほ「その大きなかたちの中心にいるのが、みほなんだ。みほがいるから皆がついてくるんだ」
99: 以下、
まほ「みほがいる限り、負けない」
みほ「ありがとうお姉ちゃん……」
まほ「ところでみほ、ちょっとこれを受け取ってほしい」
みほ「?」
< 『お姉ちゃんスイッチ』 >
みほ「これって……」
まほ「あの子を見ていたらうらやましくなってな。私も羽目を外してみたくなった。押してくれ」
みほ「……嫌な予感がする」
まほ「例えば『あ』なら西住あほとなるから……ちょっと待ってくれ、金太郎の腹掛けを準備する」
みほ「アホの坂田の格好したお姉ちゃんなんて見たくないよっ!!!」
おしまい
100: 以下、

読みごたえがあった
101: 以下、
おまけ
ダージリン「島田愛里寿さんに、この言葉を贈るわ」
 『世界は美しい。悲しみと涙に満ちてさえも』
 『瞳を開きなさい』
 『やりたい事をしなさい』
 『なりたい者になりなさい』
 『友達を見つけなさい』
 『焦らずに、ゆっくりと大人になりなさい』
オレンジペコ「物理学者の一ノ瀬鴻太朗(こうたろう)博士が、娘に残した言葉ですね」
オレンジペコ「『CLANNAD』の登場人物、一ノ瀬ことみのお父さんです」
オレンジペコ「そういえば、彼女も天才少女という扱いでしたね」
ダージリン「自己紹介の仕方が印象的だったわ。『ひらがなみっつで、こ・と・み』ってね」
ダージリン「ねえちょっとアナタ言ってごらんなさいよ。きっと似てるから」
ミカ「……それを私に言わせることに意味があるのかな?」ポロローン♪
102: 以下、
おまけ2
まほ「お姉ちゃんスイッチを吟味した結果、あることが分かった」
みほ「……なに?」
まほ「日本語には意外と『○ほ』で終わる2文字の言葉は少ないということだ」
まほ「というわけで、お姉ちゃんスイッチは『ほ』だけで我慢しよう」
 『ほ』西住ほほ(頬)
みほ「……つまりどういうことなの?」
まほ「ムツゴロウさんばりのほっぺスリスリを行う」
みほ「」
まほ「んん??っ♪ よお??しよしよし?♪」スリスリスリスリ
みほ「やっ! やめてよお姉ちゃんいい歳してっ! 放してっ!!」スリスリスリスリ
まほ「んん??これもひとつの戦車道なんですね??♪」スリスリスリスリ
みほ「ソレ便利な言葉として使わないでよっ!!!」
ほんとにおしまい
103: 以下、
以上です
いろんな愛里寿ちゃんといろんなボコが書けて満足です
過去作↓
みほ「プロ戦車道1日訓練?」
みほ「未公開シーン?」
みほ「笑ってはいけない西住流?」
みほ「笑ってはいけない西住流の未公開シーン?」
みほ「○んしゃ道?」
みほ「ガンシャ・ウォー!」
みほ「逆ドッキリ?」
105: 以下、
乙!
元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1474622859/
ガールズ&パンツァー もっとらぶらぶ作戦です! 7 (MFコミックス アライブシリーズ)
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