花丸「普通怪獣チカチーと、万能超人ヨーソロー」back

花丸「普通怪獣チカチーと、万能超人ヨーソロー」


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むかしむかしあるところに、普通怪獣チカチーがいました。
チカチーはいつも暗い海の底から、外の世界を見上げていました。
海の中には幼なじみの万能超人ヨーソローがいて、時々陸に上がって困った人を助けていました。
チカチーはそんなヨーソローの背中を、いつも見送るだけでした。
そしてたった独り、海の中で泣いていたのです。
海の中なら、涙を流しても誰にも知られることはありません。
だからチカチーは毎日、暗い海の底から、空を見上げて泣いていたのです。
   ――国木田花丸『普通怪獣チカチーと、万能超人ヨーソロー』
3:
千歌「ヒーロー?」
梨子「うん、次の曲のイメージにどうかなって」
千歌「うーん、ヒーローかぁー。なんだか想像付かないなぁー」
梨子「私もまだメロディの断片が浮かんだくらいだから、ゆっくりで良いよ。花丸ちゃんやみんなに聞いてみたらどう?」
千歌「うん、そうしてみる!」
4:
花丸「ヒーローずら?」
千歌「うん、次の曲にどうかなって梨子ちゃんが」
花丸「マルはあんまりテレビを見ないから、ヒーロー番組や映画は詳しくないずら」
千歌「そうだよねー……」
花丸「そうだ、そういうのはきっと善子ちゃんが詳しいずら!」
千歌「そっか、善子ちゃん"ニチアサ"はかかさず見てるって言ってたもんね」
千歌「かくいう私も中学のころまでは毎週みてたんだけど」テヘヘ
5:
善子「ヒーロー? フフフ、愚問よ、目の前に答えは立っているじゃない」
千歌「善子ちゃん、ヒーローだったの!?」
善子「ヨハネよ! ククク……このダークヒーローヨハネの魔眼が全ての罪を暴き出す!」ドヤ
千歌「そういうことなのかなぁ……」
善子「つまり、歌詞を作るならこの堕天使ヒーローヨハネが協力するわよ!」マントバサッ
千歌「えー前に善子ちゃんが書いたら難しい漢字の羅列になってみんな混乱してたじゃんー。しかも読み方が全部ドイツ語だったしー」ブーブー
善子「あ、あれはそもそもバベルの塔が崩壊したことを発端に、人が天界言語を放棄したことに起因する完全翻訳不可能性が――」
善子「……ハァ、わかったわよ。身近な人に聞いてみればいいんじゃないの?」
千歌「身近な人?」
善子「想像がつかないということは、遠くの出来事に感じているのよ。だったら身近な世界でそれを見つけるしか無い」
善子「あんがい、ヒーローは近くにいたりして、ね……」
千歌「あ、今のって"千歌"と"近く"をかけて――」
善子「――ないわよ!」
6:
千歌「うーん、身近な世界かー」テクテク
果南「どうしたの、千歌。めずらしいね、深刻そうな顔して」
千歌「果南ちゃんひどいよぉ! 千歌だってたまには悩んだりするんだからね!」プンプン
果南「ごめんごめん。でも悩みなんて千歌らしくないよ。話、聞こうか?」
千歌「そっか……身近な人」
果南「ん?」
果南「そっかぁー、ヒーローか。考えたこともなかったよ」
千歌「だよねぇ」
果南「でもわかる気がするな。善子ちゃんの言うこと」
千歌「どういうこと?」
果南「身近な人のこと、考えてみればいんだよ。例えば私にとっては――ダイヤがヒーローなのかな」
千歌「そうなの?」
果南「意外?」
千歌「そうだよ、果南ちゃんってヒーロータイプじゃん。鞠莉さんはお姫様みたいなヒロインって感じで……ダイヤさんは……マスコットキャラ?」
果南「あははっ! ひどいよ千歌!」
果南「ダイヤはね、私と鞠莉をずっと守ってくれてたんだよ。大好きだったスクールアイドルへの気持ちを隠してまで。二年間も、ずっと」
果南「友達のために大好きを隠しちゃうなんて。ちょと悲しいけどさ……カッコイイと思わない?」
千歌「! ……そうだね!」
7:
高海家
千歌(まだ小さな頃。海に飛び込むのを怖がってた私に、果南ちゃんは手を差し伸べてくれた)
千歌「ヒーローって、案外近くにいるんだ」
千歌「私にとってのヒーローって、一体なんなんだろう」
梨子「千歌ちゃん」
千歌「梨子ちゃん!? めずらしいね、梨子ちゃんからベランダに出てくるなんて」
梨子「ヒーローについて、何か思いついた?」
千歌「うん。みんなに話を聞いて、ちょっとずつわかってきた気がする。ヒーローって案外近くにいるんだなって」
梨子「そうだね」
千歌「ヒーローについて考えてみて、最初に思い浮かんだのはμ'sのことだった。特に、穂乃果さんのこと」
千歌「でもμ'sに対する憧れを歌った歌詞は、今まで何回も書いてきた。それじゃダメなんだよね」
千歌「私にとってのヒーロー。遠くの、手に届かないアイドル(偶像)じゃない、もっと私自身の中にあるもの」
千歌「それがヒーローなんだよね」
梨子「うん」
梨子「千歌ちゃんの言うとおり。私にとってもヒーローがいる。この曲は、ヒーローへ捧げるラブソング」
千歌「梨子ちゃんの、ヒーロー? それって……」
梨子「うん、その人は私の人生を変えてくれた人。私との出会いを奇跡だって言ってくれた人……」
梨子「その人は、私の目の前にいる人――」
梨子「大好きよ、千歌ちゃん」
8:
千歌「――!」
千歌「……」ポロポロ
梨子「……千歌、ちゃん?」
梨子「嫌だった? ……ごめん、気持ち悪いよね、こんなの。私なんかが――」
千歌「ちがっ……違うの……梨子ちゃんは悪くないよ。すごく嬉しくて……梨子ちゃんにそう言ってもらえて……なのに……」ポロポロ
千歌「なんだか涙が出てきて……だって私、ヒーローなんかじゃないよ……梨子ちゃんにそんなこと言ってもらう資格なんて……」グスッグスッ
梨子「そんなことっ!」
千歌「あるよ! そんなことあるよ! 私ね……梨子ちゃんの前ではカッコつけてたけど、本当は何も出来ないんだよ!」
千歌「何も続かなかった……中途半端が嫌いなんて言い訳して……何もかも諦めてきた!」
千歌「そんなの――ヒーローなんかじゃないよ」
梨子「千歌、ちゃん……」
千歌「ごめんね、梨子ちゃん。梨子ちゃんの気持ちは嬉しいけど、やっぱり私はヒーローじゃないよ」
千歌「また明日ね」
梨子「……また、明日」
そうして窓が閉ざされた。
9:
普通怪獣チカチーには、かつて翼が生えていました。でもそれは蝋でできた翼だったから。
万能超人ヨーソローと同じ世界を目指して空を飛んだあの時。
太陽に近づきすぎたから。太陽が眩しかったから。
蝋の翼は溶け落ちて、チカチーは海に落ちてしまったのです。
チカチーは今も空を見上げて、ヨーソローと飛んだあの時を思い出します。
そしてまた、涙を流すのです。
   ――国木田花丸『普通怪獣チカチーと、万能超人ヨーソロー』
11:
次の日
曜「えっ、千歌ちゃん今日休み!?」
梨子「うん……」
曜「……梨子ちゃん、何か知ってるの?」
梨子「きっと、私のせいだから……」
曜「詳しく話してみて?」
曜「ヒーローかぁ」
梨子「私が千歌ちゃんのことをヒーローだって言ったら、泣き出しちゃって」
梨子「もしかしたら、千歌ちゃんが以前"普通怪獣"って言ってたことと関係あるのかも」
曜「普通怪獣?」
梨子「聞いたことないの、曜ちゃん?」
曜「う、うん……」
 カクカクシカジカ
曜「千歌ちゃんがそんなことを……」
梨子「もしかしたら千歌ちゃんは明るいように見えて、心の中には負い目みたいなものを感じてるのかな」
曜「負い目……?」
梨子「千歌ちゃん、誰かに期待される気持ちを知らなかったって言ってた」
梨子「ずっと無力感を抱えてたとしたら。それがスクールアイドルをはじめた今でも変わってないとしたら……」
曜(千歌ちゃん……!)
曜「私、行ってくる!」ダッ
梨子「曜ちゃん!?」
12:
鞠莉「どこへ行くのデスカ??」
曜「鞠莉ちゃん!?」
鞠莉「まだ授業がありマース。Oh、イッツサボタージュ! 理事長としては見逃せまセーン」
曜「ごめん、でも千歌ちゃんが……」
鞠莉「……混乱しているのね、曜。そんな状態じゃちかっちだって頭がコンフューズするわ」
鞠莉「話してみて」ニコ
曜「……」コクリ
14:
曜「前に言ったよね。私、全然そんなこと無いのに要領いいとか思われちゃってて」
曜「それってきっと小さい頃、千歌ちゃんにこう言われたのがきっかけだったんだと思う」
曜「『曜ちゃんってなんでも出来てすごいね、まるでヒーローだね』って」
曜「そう言って笑ってくれる千歌ちゃんを見るのが嬉しくて」
曜「飛び込みも最初は千歌ちゃんがはじめたんだ。私は一緒に何かやりたくて後から初めて」
曜「だけど千歌ちゃんはやめちゃって、いつのまにか私一人になってた。千歌ちゃんは観客席から拍手して、笑いかけてくれて」
曜「千歌ちゃんに笑ってほしくて、いろんなこと頑張ってきた。だけど……」
曜「千歌ちゃん、自分のこと普通怪獣って……ヒーローって言葉は、千歌ちゃんにとってそんなに辛いものになってたなんて……」
鞠莉「曜……」
曜「何も知らなかった。気付こうともしてなかった。目をそらしてた」
曜「ずっとずっと、小さい頃からずっと。私が千歌ちゃんを苦しめてたんだって」
鞠莉「だったら、ちかっちのところにいってどうする気だったの?」
曜「そんなの謝るに決まって――」
鞠莉「――それじゃちかっちはもっと傷つくよ」
曜「っ……!」
鞠莉「日本には『灯台下暗し』という言葉がありマース。近すぎると見えなくなるものもあるということね」
鞠莉「曜はずっとちかっちのことを見てきたのでしょう?」
鞠莉「だからこそ、見えなかったものがある。きっとちかっちは、一番近くにいた曜だからこそ、その弱みを見せたくなかったのね」
曜「千歌ちゃん、私と一緒にやることをずっと探してたって。スクールアイドルがそれなんだって……」
曜「それまで、ずっと引け目を感じてたんだ」
曜「だから謝らないとって」
鞠莉「謝られたらきっともっとつらくなる。曜がかけてあげるべき言葉は、そうじゃないと思う」
曜「……」
鞠莉「ちかっちに会いに行くのは、それを見つけてからでもいいんじゃないの?」
曜「……うん」
15:
曜「とは言ったものの、どうすればいいんだろう」
ダイヤ「あら、曜さん。悩み事のようですわね」コホン
ダイヤ「よければ生徒会長にしてスクールアイドルのわたくしがお話を聞きましょう」ドヤガオ
曜「あ、いいです」
ダイヤ「なぜですの!?」
曜「じょ、冗談ですって」アセアセ
 カクカクシカジカ
ダイヤ「なるほど、ヒーローですか。あの千歌さんがそんな悩みを」
ダイヤ「悩みなんてなさそうに見えますのに」
曜「ですよね」アハハ
曜「でも思えば、千歌ちゃんって繊細なところがあって、中途半端が嫌いで……」
曜「だからこそ、本気になった時はすごくて。そうだ、小学校の頃運動会の二人三脚に一緒に出ることになったんですけど」
曜「毎日暗くなるまで練習して、一位になったんです」
曜「あの時の千歌ちゃんは私を引っ張ってくれて……かっこよかったなぁ」
曜「その時から私、千歌ちゃんと一緒に何かできたらなって。そうすれば、私は空を飛べるって」
ダイヤ「空を?」
曜「千歌ちゃんは海の中から空を見るんです。空は大きすぎて、太陽が眩しすぎるから、みんな目をそらすのに」
曜「千歌ちゃんとなら、太陽を目指せるって。そう思ったんです」
ダイヤ「……私が言うことなど、もうなかったようですわね」
曜「え?」
ダイヤ「その気持ちを伝えればいいのです」
曜「それって……どういう」
ダイヤ「ほら、昼休みは終わりですわよ」
16:
帰りのバス
曜(結局、放課後になっても言葉は見つからなかった。今日は千歌ちゃんが休みで雨も降りそうだったので練習は休みになった)
善子「何よ、ため息なんて。らしくないわね」
曜「そう、だよね」ハァ
善子「よ、よければこの堕天ヒーローヨハネが懺悔を聞いてあげてもいいわよ!」
曜「……」
 カクカクシカジカ
善子「……それは、蝋の翼だったのよ」
曜「蝋の翼?」
善子「太陽が眩しすぎたから」
善子「普通怪獣は元々、翼があったのかもしれないわね。だけどそれは蝋の翼で――太陽に近づきすぎたから」
善子「海の底に、落ちてしまった」
善子「だから今は暗い暗い海の底で、空を見上げてる」
曜「善子ちゃん……」
善子「行くが良い。万能超人ヨーソロー!」
善子「半人前の翼でも、二人で手を繋げば一人分になるかもしれない」
善子「たとえ堕ちてしまっても、赦しあえば天使になれる!」
曜「ぜんっぜん意味わからないけど……ありがとう、わかった気がする!」
曜「全前進、ヨーソロー!」
17:
高海家
千歌(風邪ひいた……)
千歌「みんな心配してるだろうな」ハァ
 ドタドタドタドタ
千歌「この足音は……!」
 ガラッ
千歌「曜ちゃん!」
曜「ハァ……ハァ……」
曜「千歌ちゃん、私、私ね……!」
曜「あれ、何言おうと思ってたんだっけ」
千歌「ちょっと曜ちゃん、ヘンだよー」アハハ
曜「あれ、千歌ちゃん?」
千歌「ん?」
曜「落ち込んで、無いの?」
千歌「どうして? 風邪引いたから休んだだけだよ?」
曜「私のせいで、悩んでたんじゃ……」
千歌「あー……ごめんね、心配かけちゃった」
曜「そ、そんなぁー」ヘナヘナ
20:
千歌「……私ね、曜ちゃんと一緒に何かしたかった。曜ちゃんは私にとってのヒーローだったから」
千歌「私は普通怪獣チカチー。だけど、それでも……」
千歌「曜ちゃんと何かしたかったんだ。だってヒーローは孤独だから」
曜「孤独?」
千歌「曜ちゃんはすごいよ。飛び込みも、なんでも、私よりも、誰よりもできて」
千歌「それを鼻にかけたりしない。かっこよくて、優しくて。昔からずっと曜ちゃんはヒーローだった」
千歌「曜ちゃんの周りにはたくさんの人がいて」
千歌「だけど……」
千歌「いつしかだれも曜ちゃんの隣に立てなくなった。大きな翼で空を飛ぶ曜ちゃんの背中を見上げるだけになった」
千歌「そんなの寂しいじゃん。曜ちゃんはみんなの期待に答える。曜ちゃんは特別。曜ちゃんにみんなが願いを託した」
千歌「だけど曜ちゃんの願いを叶える人はどこにいるんだろう」
千歌「……そう思って、私は飛び込みをやめた。運動会の二人三脚で、曜ちゃんと一緒に一番になろう、そう思った。だから走る練習をしたんだ」
千歌「でもね、わかっちゃったんだ」
千歌「いくら練習しても、結局曜ちゃんが私の走るさに合わせてくれた。私は曜ちゃんの隣に立ててるんじゃない」
千歌「曜ちゃんが私の隣にまで、降りてきてくれたんだって」
曜(そうか、その時千歌ちゃんの翼は溶けて……)
千歌「海の底で、ずっと叫んでた」
千歌「助けて――ここには何もない、って」
千歌「私は曜ちゃんのヒーローにはなれなかった」
千歌「私の世界にはなにもない。だから私はヒーローじゃないんだよ」
21:
曜「それで、梨子ちゃんにヒーローだって言われて……」
千歌「……恥ずかしいけど、やっぱり悔しいじゃん」
曜「……だって、梨子ちゃん」
曜の携帯『ええ、これで腑に落ちたわ』
千歌「え……?」
梨子「千歌ちゃん! 曜ちゃん!」
千歌「梨子ちゃん!? 聞いてたの!?」ガラッ
梨子「ええ、全部聞かせてもらった。みんなもね」
曜の携帯(花丸)『えっとこれで話せば良いずら? ……もすもす?』
善子『もうまどろっこしいわね、貸しなさいずら丸! えっと、千歌。あなたに堕天使で良いって言われて、救われた奴が一人くらいいるってこと、知っときなさいよね!』
ルビィ『千歌ちゃんがスクールアイドルに誘ってくれなかったら、ルビィ、勇気を出せなかったと思う。千歌ちゃんががんばルビィ! って、勇気をくれた!』
ダイヤ『わたくしを誘ってくださったのも千歌さんですわ。……感謝、してるんですからね』
果南『千歌、わたしたちは千歌がいたから一つになれたんだよ。だから千歌は――』
鞠莉『そうデース! ちかっちは私たちにとっての――』
「「「「「「「「ヒーロー!」なんだよ!」です!」よ!」ずらー!」ですわ!」だよ!」デース!」
22:
千歌「……」ポロ
千歌「はは、私、こんなにも近くにいたのに」
千歌「気づいてなかった。仲間がいて、こんなにも思ってくれる人たちがいて」ポロポロ
千歌「私の世界、何もないわけじゃなかったんだ」
千歌「もうゼロじゃ、なかったんだ……!」
千歌「ありがとう、みんな」
千歌「ありがとう、曜ちゃん……」グスッグスッ
千歌「ありがとおおおおおおおおおおおおうわあああああああああああああああああああ!!!!!!!」ガシッ
曜「千歌ちゃん……やっと素直になれたね」ヨシヨシ
曜「だから私も素直に言うよ――」
曜「大好きだよ――千歌ちゃん」
千歌「……曜ちゃん、何か言った?」グスグス
曜「……」クスッ
曜「もう、いいんだよ。今はね」
曜「そうだ、今日は泊まっていくよ! もう遅いし。久しぶりに、二人っきりのお泊まり会だ!」
千歌「ヨーソロー!」
23:
次の日
梨子「で、風邪が感染って曜ちゃんが休み、と」
千歌「あはは、面目ない……」
梨子(あのあと野暮かと思ってカーテンをしめたんだけど、風邪が感染るような"行為"をしてたのかしら)モヤモヤ
千歌「昨日ね、曜ちゃんと共同作業してたんだ」
梨子「きょ、共同作業!?」ガタッ
梨子(それは性的な意味で!?)
千歌「そ、そうだよ。なにその剣幕」
梨子「なんでもないわ」
千歌「それで完成したんだ――歌詞!」
千歌「名付けて、Aqours☆HEROES!」
千歌「悩みなんてふっ飛ばしちゃうような強いイメージで!」
千歌「昨日、みんなが元気をくれたみたいに。聞いてくれた人に元気を届けたい!」
千歌「だから、ね」
千歌「ヒーローって言ってくれて、ありがとう」
千歌「一緒に強くなっていこう――梨子ちゃん!」
梨子「うん! ……あっ、その髪飾り……」
千歌「気づいた?」
千歌「曜ちゃんがプレゼントしてくれたんだ。四葉のクローバー」エヘヘ
梨子(やれやれ、これじゃあ、前途多難ね)
 ――ピアノ弾いてるとね、空飛んでるみたいなの!
梨子(もう私にはあの時みたいな翼はないけど。この人といるとまた、空だって飛べそうな気がするの)
梨子(だから私も負けないわよ、曜ちゃん)
曜「ヘップシ! ……誰か私の噂でもしてるのかなぁ。きっと千歌ちゃんかなぁー」///
24:
花丸「一件落着ずら」
ルビィ「花丸ちゃん、何書いてるの?」
花丸「おとぎばなしずら」
ルビィ「面白そう! 完成したらルビィにも読ませてね!」
花丸「……ルビィちゃんは、マルのヒーローずら」ボソッ
ルビィ「花丸ちゃん、何か言った?」
花丸「なんでもないずら。さぁ、書くずら?」
26:
普通怪獣チカチーはある日、陸から海へ旅をしてきた音の精霊リリーと出会いました。
リリーは音の力を失って、それを探しに旅を続けていました。
チカチーと出会ったリリーは、泣いているチカチーと同じように、海の底から空を見上げました。
そこからは、太陽の光が見えました。陸から見ても、空から見ても眩しすぎるその光は。
海の底からだと、はっきり見つめることが出来ました。そしてその光こそが、海の音だと気づいたのです。
チカチーはずっと海の底にいました。だからこそ、チカチーだけが海の音を知っていたのです。
そして二人は海の音から生まれた、海の歌を歌いました。その歌を聞いた万能超人ヨーソローは、海の中へ戻っていきました。
チカチーの涙に気づいたヨーソローはチカチーに手を差し伸べ。リリーと共に三人で陸へ上がっていきました。
陸は怖い場所だけど、仲間がいるから怖くない。
やがて歌に惹かれ、もっとたくさんの仲間達が集まってきて。太陽を目指して旅に出ました。
チカチーの世界は、もうゼロじゃなくなったのです。
だからもう涙を流さなくても、よくなったのでした。
これで普通怪獣チカチーのお話はおしまい。
   ――国木田花丸『普通怪獣チカチーと、万能超人ヨーソロー』
27:

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