みほ「優花里さんから洗ってない犬の匂いがする…」back

みほ「優花里さんから洗ってない犬の匂いがする…」


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1:
ちゅどーん!!
38t内部
杏「やーらーれーたー! 一か八か突撃してみたけど西住ちゃんには詠まれてたみたいだね」
柚子「桃ちゃんあの至近距離でも外しちゃうんだね」
桃「桃ちゃんと呼ぶなー!」
キュラキュラキュラ…
みほ(今日は殲滅戦の模擬戦。私達あんこうチームは皆の頑張りのおかげで順調に他チームを撃破していっています)
みほ(ただ…)
7:
>>2
一応全部やるわ
優花里(ここは不肖秋山が人肌脱いで空気を盛り上げて…!)
優花里「あははー! あの時の我々は息ぴったりでしたしね!」
優花里「にしてもあんこう踊りと聞けば自然と身体が振り付けをしてしまうのは大洗女子の性でしょうかねぇ!」
優花里「こう、あああんあん? あああんあん?っと?」フリフリ
ムワッ
華「…うっ、くっ!」
沙織「ひっ!」
みほ「あうっ…」
3:
IV号内部
優花里「やりましたね西住殿!残りはカバさんチームだけです!!」
優花里「これも我々のチームワークがあってこそですねぇ!」
華「……」
沙織「……」
麻子「……」
みほ「……」
優花里「…あ、あれどうしました皆さん?」
5:
みほ「あっ、う、うん! そうだね! ねっ皆!」
沙織「う、うんうん! これもあんこう踊りのお陰だったりしてー!」
華「ま、まあ沙織さんったらー」
麻子「……あれがチームワークに貢献していたのなら少し複雑だな」
優花里(……何故でしょう? 撃破したというのにこの意気消沈ぶりは)
9:
>>6
マジだツイてるな
優花里「あの子会いたや?…ってあれ? ど、どうしました皆さん?」フリフ…
麻子「……すまないが秋山さん。出来れば戦車の中で身体を不用意に動かさないでくれるか?」
優花里「……へっ?」ピタッ
沙織「ちょ、ちょっと麻子!」
麻子「特にこういう狭い空間内だと秋山さんの臭い…」
みほ「え、えっと!! あんこう踊りなら模擬戦を終えてから祝賀としてする!…な、なーんてどうかな?」
10:
沙織「そ、そうそう!まだ気を引き締めなきゃね!」
華「ま、舞うならばカバさんチームを撃破してから存分に舞いましょう!」
優花里「わ、私浮かれてました…!戦車乗り失格です!申し訳ないです!!」
沙織「いいのいいの! さ、みぽりんいつものお願い!」
みほ「はい! それではパンツァーフォー!」
キュラキュラキュラ…
みほ(優花里さんから洗ってない犬みたいな臭いがして戦車内が二重の意味で空気悪いです…)
.
11:
沙織「…ちょっと麻子!いきなりあんな言い方ないでしょ!」ボソボソ
麻子「……皆優し過ぎる。私はさっさと本当のことを伝えた方がいいと思うぞ」ボソボソ
麻子「下手に我慢した方があとでバレた時の本人のダメージは大きい」ボソボソ
沙織「でも順序ってもんが…」ボソボソ
みほ(外では気にはなりませんでしたが戦車内という閉鎖空間に入ると驚くべき力を発揮する野良犬臭…)
みほ(優花里さんはとても努力家だし優しいし可愛らしいのに…どうしてこんな…)
12:
みほ(戦車長である私は頻繁に外に顔を出すのでそこまでこの臭いの被害は受けていませんが…)
みほ(他の搭乗員の皆が…、それも取り分け…)
華「ス-…ハァ-…スウゥゥ…ハァァ…」←口呼吸
みほ(嗅覚が敏感な華さんはとても辛いはず…)
みほ(今日の模擬戦内で入弾角度が甘いのが幾つかあった…。やっぱりこの臭いは華さんの照準に狂いを与えている…)
ガタガタガタッ!!
沙織「きゃっ!? ま、麻子どうしたの!?」
麻子「少し岩に乗り上げてしまった」
優花里「だ、大丈夫ですか?」
麻子「………問題ない心配かけてすまない」
みほ(麻子さんの運転も荒さが目立つようになってきた)
13:
みほ(このままじゃ皆が危ない…。模擬戦を終えて一刻も早くこの放置した犬の抜け毛で編んだテントみたいな臭いのする戦車から降りないと…)
みほ(皆の腕や技に悪影響を与えちゃう…!)
ドオォン!!!
みほ「ッッ!!」
沙織「うわわぁっ!?」
華「ぷはっ!?」
優花里「そ、側面被弾!」
みほ(あれはIII突! 低い車高を生かして隠れていたんだ!)
みほ(こ、こんなに発見が遅れるなんて…!?)
15:
III突内
左衛門佐「ふふっまさに風林火山」
エルヴィン「今日こそはあんこうの首を貰う!」
おりょう「暗殺は立派な戦術。現にかの坂本龍馬も凶刃に倒れたぜよ」
カエサル「勝利の光明見たり!」
16:
IV号内
みほ「麻子さん、ジグザグに動いて退避を!」
麻子「了解」
優花里「西住殿、五十鈴殿が!」
華「けほっけほっ…」
みほ「ど、どうしました!? どこか怪我を…」
華「い、いえ大丈夫です、ただ…」
華「びっくりして思い切り鼻から息を吸ってしまい…」ボソッ
みほ「そ、そう…」
みほ(一旦距離を置こうと思ったけれど…やっぱり短期決戦で早く終わらせないと)
みほ「戦車旋回! カバさんを迎え撃ちます!」
17:
III突内
エルヴィン「むっ、向かって来るか!」
左衛門佐「互いに引けない天下分け目の決戦だな」
カエサル「次弾準備完了!」ガシャコン!
IV号内
みほ「次の砲撃をいなしてから装填まで間に撃破しましょう」
沙織「華…がんばってね」
華「一撃で終わらします…自身のためにも…」キュルキュル
優花里「装填は任してください!」ガシャコン
ちゅどーーん!
みほ「今です!回避を!」
麻子「わかった……ッ!」
ぐちゅっ
グラッ
麻子(昨日の雨の水溜り…!しまった車体が傾いて…)
18:
ガギギッ!!
沙織「ひゃー!?」
みほ(弾が装甲を掠った…!)
グラグラッ…
優花里「うわぁーーッ!!」
バタンッ!
華「ひっ!!?」ビクッ
みほ(あっ…優花里さんが華さんに倒れこんで…)
沙織(し、至近距離…)
麻子(……南無三)
19:
優花里「イテテ…はっ!? し、失礼いたしました五十鈴殿! こんなラブコメのような体勢に…」ムワ?
華「」
優花里「……って、あれ? 五十鈴殿…?」
華「」
優花里「気絶!? い、五十鈴殿ぉーーーー!?」
20:
III突内
エルヴィン「IV号完全に沈黙…反撃も回避行動もなし…」
カエサル「トロイの木馬か?」
おりょう「中にいるのが最初から分かってるのに騙されないぜよ」
エルヴィン「いや、もしやスコルツェニーのような大胆不敵な作戦か?」
左衛門佐「死んだふりは立派な忍術の一つという話も聞いたことあるな」
おりょう「というか…今って大チャンスぜよ?」
「「「……」」」
「「「それだぁ!!!」」」
.
21:
IV号内
優花里「五十鈴殿ぉー!!どこか被弾を!?死んじゃダメですぅーー!」
沙織「ゆかりん落ち着いて!」
麻子「ああ、それと目が覚めた時の第一呼吸の為にも下がっていてくれた方が…」
沙織「麻子!!」
みほ(砲手気絶…指揮系統もこれじゃ通らない…完全な隙…ということは)
ドオオォォン!!
白旗「シュポッ」
しゅ?…
みほ(こうなっちゃうよね…)
22:
ーーー
桃「よし、今日の模擬戦は終わりだ!」
みほ「皆さんお疲れ様でした」
「「「お疲れ様でしたー!!」」」
一年「カバさんチームすごいですぅー! あんこうに勝てるなんてー!」
エルヴィン「勝利者は常に同じ者が選ばれるってことじゃない訳だ」
杏「いやーすごいねー! あんこうチーム破るなんてー」
柚子「でも今日のあんこうチーム少し調子が悪かったような…」
桃「あのあんこうが調子悪いとは拍子抜けだな」
杏「座布団いちまーい!」
23:
みほ「……」
沙織「……」
華「……」
麻子「……」
優花里「……」
みほ(犬の臭気から解放されたものの…相変わらず空気は最悪だよぉ…)
優花里「……あ、あの!申し訳ありませんでした!!」
優花里「私があんこう踊りなんて踊った時から空気の流れが悪くなったようで…」
麻子「その前から空気自体は文字通り悪かったぞ」ボソッ
沙織「麻子!シッ!」
24:
優花里「特に私が五十鈴殿に倒れて…おそらく頭を揺らしてしまったのでしょうね…」
優花里「五十鈴殿を気絶させてしまいそれが結果的に…!」
華「き、気にしないでください優花里さん」
沙織「そうだよー!事故だよ事故」
みほ「負ける日だってあるよ、次につなげようよ!」
優花里「しかし…私…!」
26:
優花里「あーーー!! 私、自主訓練してきます! 皆さんはお気になさらずお先にお帰りくださいーー!」ダッ!!
みほ「あっ!優花里さん!」
麻子「脱兎の如し、いや脱犬か」
沙織「ひどいよ麻子さっきから!!」
麻子「……すまん少しイライラしすぎていたらしい」
華「優花里さんが悪くないのは分かってはいるのですが…」
みほ「……」
27:
昨日はここまでで寝ちゃった
弁解しとくけど秋山殿は大好きです
29:
みほルーム
みほ「それじゃあ第1回『何とかして優花里さんの臭いを何とかしよう、略してナントカ作戦』の作戦会議を行います」
沙織「作戦会議といっても…」
華「どうしましょうねぇ…」
麻子「私は前から言ってるぞ」
麻子「正直に伝えるべきだ。『秋山さんは洗ってない野良犬の臭いがする』と」
沙織「そ、そんなの女の子に一番言っちゃダメな言葉だよ!」
麻子「そもそも女の子から一番臭っちゃダメな臭いがするのが問題だろ」
30:
沙織「うっ…」
華「しかし、それは優花里さんが幾ら何でも可哀想な…」
麻子「その優しさが時には刃にもなる。精神的被害は早めの方が浅いはず」
麻子「嫌われるのが怖いのならば私が個人的に伝える」
みほ「ま、待って、面と向かって言うのは最終手段にしない?」
沙織「そうだよ、確かにそれが一番てっとり早いけど…」
華「お互いに最も被害の少ない方法を編み出せればそれに越したことはありません」
麻子「……わかった無理強いはしない」
31:
みほ「とりあえず皆の意見を聞きたいな。結構長い間あの臭いと付き合ってきたから解決法とか各々考えてるんじゃないかな」
沙織「最初は戦車の鉄と油の臭いで花が麻痺してたけど…」
沙織「それに慣れてくるとゆかりんの臭いがどんどん主張してきたよね…」
華「私はかなり早い段階から気づいていました…」
沙織「私としては無理に伝えて関係がこじれるよりも、私達で努力して臭いを封殺するのがいいと思うな」
32:
沙織「というわけで、じゃじゃん! 徳用消臭剤ビッグサイズ?!」
ババーン
みほ「わあ、すごくおっきい!」
沙織「臭気を吸収してフローラルな香りに変換してくれるんだよ?! これを戦車に設置すれば…」
麻子「無駄だ」
沙織「へっ?」
麻子「私も最初は同じ考えでな。先週密かに戦車に忍ばせておいた、その同じメーカーの消臭剤をな」
33:
麻子「それがこれだ」
コトッ
しおしお…
華「まあ…!?」
沙織「ひっ!?何これ消臭ゼリーが真っ茶色でしおしお!」
みほ「し、しかもフローラルどころか犬の足の裏を拭いた後の雑巾みたいな残り香…!」
華「あの…麻子さん、この消臭剤は設置して何日でこの状態に…?」
麻子「半日だ」
沙織「嘘でしょ…」
34:
沙織「で、でも一つでダメなら大量に持ち込んでゆかりんの周りに置きまくって…!」
華「生贄の儀式のような絵面ですね…」
みほ「それはもう『臭い』ってことを直接的に言うよりタチ悪いんじゃ…」
沙織「うっ」
麻子「消臭剤は効果がない。現代科学は臭犬の前に敗北した」
35:
華「では…逆に臭いを利用するのはどうでしょう?」
みほ「利用?」
華「はい、私聞いたことがあります」
華「ある香水には猫の臀部の分泌液が原料の物があると」
沙織「お、お尻!? それってどう考えても香水には不向きなんじゃ…」
華「はい、本来その分泌液はとても臭いのですが…。様々な香りと配合することでそれは見事に華やかな香水に生まれ変わるらしいのです」
麻子「臭いものでも組み合わせ次第では生まれ変われるということか」
36:
華「はい、華道の世界も同じです。単品では不恰好な物でも華同士の助け合いで芸術品になれるのです」
みほ「助け合い…! まるで私達みたいだね…!」
麻子「しかし問題は…」
沙織「どんな香りと配合すればあのわんちゃん臭が緩和されるか…」
華「見当もつかないことですね…」
みほ「でも希望は見えました!その作戦でいきましょう!」
38:
沙織「香水って大人の女性っぽくていいしね!」
麻子「やってみる価値はあるな」
華「大洗に香水の専門店があったはずです」
沙織「明日は久しぶりの着艦だね!!」
みほ「では『ナントカ作戦』から『香水作戦』に転換!」
みほ「パンツァーフォー!」
39:
翌日
大洗ショッピングモール
華「すみません皆さん、私の買い物に付き合ってもらって…」
沙織「お買い物は皆で回るのが一番だからねー!」
優花里「しかし、流石は五十鈴殿! こんなオシャレな香水専門店が行きつけなんて!」
華「よく母に連れられてました。ここの店では百合の華を使った…」
みほ(華さんの買い物にお供という形で入店)
みほ(いきなり優花里さんをここに連行したら勘ぐられるかもしれないからね)
みほ(後はそれとなく優花里さんにも香水進める流れに持っていって、合う香水探す)
みほ(それにしても何か昨日より臭くなってるような……)
40:
ーーー
優花里「え、えー!? 私香水なんて似合いませんよ!」
沙織「いい機会だしやってみようよー! 皆で似合う香水選びっこしよ!」
麻子「興味はないが試すだけなら」
みほ「わー! 私も興味あったんだ!」
優花里「西住殿もですか? なら私も…」
沙織(よし、いい流れ!)
沙織「私はこれかなーこれでまたモテモテになっちゃう?!」
みほ「私はこれが気に入っちゃった」
麻子「いい匂い…」
華「皆さん中々いい審美眼、いえ審美鼻をお持ちですね」
優花里「えーとじゃあ私はー…」
43:
優花里「何々…?『青々とした大草原をイメージ』…」
優花里「まるで富士演習場ですね! 気に入りました!」
みほ「流石優花里さん、目の付け所が違うね」
優花里「えっとここを押せばいいんですかね?」
プシューー
沙織「私にも嗅がしてー」
みほ「私も!」
麻子「気になるな」
華「では私も」
ゾロゾロ
優花里「うわー試供品はまだありますよー!」
みほ(これで優花里さんと香水の香りを同時に嗅いでブレンド具合を確かめる…!)
クンクン…
45:
.
麻子(これは……!)
みほ(……すごい!)
沙織(まるで本当に一面の草原の上に寝転がっているような気分…!)
華(心地よいそよ風まで感じるような…!)
四人(なんて幸せな長閑な香り…)ウットリ
ぽわわーーん…
優花里「み、皆さんどうしました…?ト 何やらうっとりした面持ちで…、ってあれ聞いてますか?」アワアワ
優花里「え、え、何でしょうかこれ、トリップ?」アワワ
47:
???
草原
みほ「気持ちいい…」
沙織「ずっとこの草原で寝ていたい…」
麻子「すぴー…」
華「天国のようですわ…」
ドドド…
みほ「…ん?」
ドドドド…
みほ「なんか…聞こえない…?」
49:
麻子「むにゃっ?」
沙織「草原の地平線の向こうから…」
華「何かこちらに…」
ドドドド!!
野良犬ズ「ハッハッハッハッ!」
四人「」
ドドドドドドドドドドドド!!
野良犬ズ「ハッハッハッハッハッハッハッハッ!!」
50:
沙織「ひいぃぃーー!? なにこの大量の犬たち!?」
みほ「うわーん!」
麻子「よ、寄るな、楽園を汚すな…!」
華「草原がお日様がそよ風が…全て野良犬に塗りつぶされていく…」
ドドドドドドドド!!
みほ「よ、ヨダレがべとべと…!」
麻子「そこは私が寝てた場所だぞ…マーキングをするな…!」
華「この犬の群、終わりが見えません!」
沙織「そして何よりも…!」
四人「すごく臭いーーーーッ!!!」
ーーーーー
ーーー

51:
???
四人「はぅあっ!?」ガタッ!
優花里「うわっいきなり開眼した!」
みほ「げほっげほっ」
沙織「はぁーはぁー…い、今のは…」
麻子「は、白昼夢…」
華「のようですね…」
優花里「大丈夫ですか、皆さん!? 急に目を閉じてうっとりしたと思ったらこの有様で…」アワアワ…
ムワーッ
みほ「……」
52:
優花里「まさかこの香水の仕業…、もしや国際条約で禁止されてるはずのマスタードガスが…」
みほ「優花里さん」
優花里「はっ、はい」
みほ「ステイ」
優花里「えっ」
みほ「ステイね」
沙織「次はこの香水行ってみようか」
華「こちらも試してみましょう」
優花里「み、皆さん何か様子が…」
54:
沙織「ゆかりんに合うのを選ぼうってだけだよ」
優花里「その割には目が誰一人目が笑ってないような…」
みほ「いいからいいから」プシュー
麻子「私たちに任せておけ」プシュー
優花里「ぶわー!? そんなに吹き付けないでくださいー! もう試供品として使っていい量じゃないですよー!?」
沙織「いいから」プシュー
華「いいですから」プシュー
優花里「ひー!?」
ーーー
55:
みほルーム
みほ「結局…」
沙織「どんな香水を吹きかけても…」
麻子「必ず野良犬達が塗り替えていったな…」
華「まさか全ての香水に打ち勝つとは…」
沙織「次の作戦考えよっか…」
麻子「うむ」バサッ
みほ「麻子さん、その雑誌は?」
麻子「書店で見つけた健康情報誌なんだが興味深いことが載っていてな」
56:
麻子「ここだ」
華「『生活習慣によって体臭が変わる』…?」
沙織「あーテレビでやってたー! 不健康な生活をしている人ほど体臭がキツくなるって!」
みほ「食事のバランスが崩れるだけでも変化があるって書いてあるね」
麻子「思うに秋山さんもこれが原因じゃないか」
華「しかし、優花里さんはご両親との実家暮らし。一人暮らしならば生活リズムが崩れやすいと思いますが…」
みほ「いや、もしかするとあるかもね…」
沙織「うん! ゆかりんって戦車道にすごく熱心に取り組んでるじゃん!」
華「なるほど、自主訓練や戦車の研究を優先して私生活を疎かにしている可能性も…」
57:
麻子「あの臭いが不健康な生活によって発生しているのならば」
みほ「健康的な生活に直せば臭いも治るってことだね!」
みほ「それじゃあ優花里さんに健康に暮らしてもらう『すこやか作戦』開始です!」
四人「おーー!」
ーーー
58:
キンコーンカーン…
沙織「お昼だよー!ごはんごはん!」
優花里「あ、あの私もご一緒でいいんでしょうか…」
華「もちろんですよ」
優花里「お気持ちは嬉しいのですが、私、お昼は装填の練習を…」
みほ「えっ、それじゃあお昼はいつ食べてるの?」
優花里「食事の時間が勿体無くて…最近はずっとお昼を抜いて…」
麻子(やはりか)
華「しかしそれでは不健康ですよ。今日はお休みして一緒に食べましょう」
60:
優花里「しかし、今日は食べないつもりだったのでお弁当は…。お金も心許なくて…」
沙織「そんなことだろうと思って…じゃじゃーん! お弁当作ってきたんだー! さ、これ食べて!」
みほ「わぁ、美味しそう?!」
華「彩鮮やかですねぇ」
優花里「そ、そんな悪いですよぉ?」
沙織「いいの! 私の愛妻弁当堪能してね!」
優花里「武部殿…! ありがとうございます! 友達にお弁当を作って頂けるなんて人生初です!」
優花里「感激ですぅ?!」
61:
沙織「あははは…、そんなはしゃいで…、ちょっ、抱きつかないで、うぷっ…」
みほ(沙織さんの特製バランス弁当…! 優花里さんにはお昼だけでも食べてもらってバランスのとれた食事をしてもらわないと!)
麻子(……にしても)
華(やはり…)
沙織(この臭いの中でご飯食べないといけないのはキツイなぁ…)
ーーー
62:
prrrrrrr…
優花里「はい、こちら秋山であります」
沙織「もしもしゆかりん? 私だよー」
優花里「武部殿? どうしたのですがこんな深夜に…」
沙織「それはこっちの台詞! 明日朝練があるのに何でこんな時間まで起きてるの?」
優花里「え、えーと今度の対戦校の試合データをネットで集めてまして…」
沙織「もー、そういう調査も大切だけどいつか倒れちゃうよ?」
63:
沙織「みぽりんもゆかりんを信頼してるんだからそんなことになったらきっと心配で大変になっちゃうよ」
優花里「に、西住殿がそんな…あわわっ」
沙織「さっき麻子にも寝るように電話したんだけど、ゆかりんにも電話してみて正解だったね」
優花里「ありがとうございます武部殿?! 秋山優花里、すぐに就寝態勢に入ります!」
沙織「よろしい! なーんてね! じゃあまた明日ね?」
優花里「はい、おやすみなさいです!」
ツーツーツー…
沙織(よし、これで徐々に早寝早起きになってもらお!)
64:
ーーー
みほ(こうして優花里さんの生活リズムや食生活はどんどん健康的な物になっていきました)
みほ(…………しかし)
ーーー
優花里「では、私はこちらの道ですので! 皆さんお疲れ様でした!」
みほ「ま、また明日ね…」
沙織「ばいばーい…」
四人「………」
65:
麻子「……どうだ」
沙織「どうって…」
華「あれから2週間経ちましたが…」
みほ「控えめに言っても…」
麻子「比較的に健康的な洗ってない犬になっただけだな…」
華「むしろ代謝がよくなったのか微かに汗の臭いも混じって…」
沙織「獣臭さに拍車が掛かったというか…」
みほ「作戦失敗…だね…」
四人「はぁ……」
ーーー
67:
みほ(以降様々な作戦を考えましたが…)
???
沙織「木を隠すなら森の中! 野良犬を隠すなら野良犬の中だよ!」
みほ「なるほど!『101匹わんちゃん作戦』、パンツァーフォー!」
わんわんわんキャンキャンキャン!
桃「西住! なんだこの犬の大群はー!!」
みほ「え、えっと試合中に犬が乱入してきても動揺しない精神力を…」
桃「意味ないだろそんな訓練?!!」
一年「可愛いぃ?!」
杏「これじゃ戦車動かせないね?」
68:
ホシノ「うわー! ギアの間に鼻突っ込んだら危ないって!」
エルヴィン「フンデミーネか…!?」
典子「ぼ、ボール返せ?!」
そど子「犬の持ち込みは当然禁止よ禁止!!」
麻子「パニックで戦車道どころかじゃないな」
華「犬が集まったことで余計に臭いが凝縮されたような…」
優花里「えへへー、くすぐったいですよぉ?」モフモフ?
沙織「にしてもゆかりんの所に異様に集まってるね、犬」
麻子「類は友を呼ぶというアレか」
みほ「これもダメかぁ…」
ーーー
69:
ーーー
IV号に空気清浄機と換気扇を大量に増設する『スーハー作戦』
沙織「自動車部に却下されちゃった?」
みほ「うん…私も内心無理だろうと思ってた…」
麻子「下手するとレギュレーション違反で試合に出れないかもな」
華「出場できても換気扇という弱点を大量に晒すのは…」
ーーー
70:
ーーー
優花里に対ガス兵器用防護服を着させて臭いを漏らさないようにする『とじこめ作戦』
みほ「これどう考えても不審がられるよね」
沙織「対ガス兵器特殊隊員にハマらせれば自分から着るんじゃない? ゆかりん拘れば拘りまくる子だし」
麻子「戦車道どころか日常生活もままならなくなるぞ」
華「周囲の目もありますし…」
71:
ーーー
四人の鼻腔内をバーナーで焼いて嗅覚を完全に殺す『こんがり作戦』
優花里に日常的に冷たく接して戦車道を辞めさせ不登校にさせる『おはじき作戦』
学園艦に伝わる怪しい人体実験書を参考に優花里の臭いを消す改造を施す『731作戦』
四人「…………」
沙織「なんか作戦内容すっごくブラックになってない!? 嘘、これ本当に私たちが思い付いたものなの!?」
華「実らぬ結果に精神がすり減って迷走のスパイラルに陥ったのでしょうか…」
麻子「人間はかくも残酷になれるんだな」
みほ「却下です!どれも却下!」
沙織「怖いよーー!!」
73:
ーーーーー
ーーー
ーー
みほ(どの作戦も失敗、または根底からそもそも成功し得ないものでした…)
沙織「もうダメ…何も思いつかない…」
麻子「他のチームにも相談してみるか?」
華「しかしそれでは優花里さんの臭いのことが周知されてしまいます」
麻子「皆とっくにご存知なんじゃないのか」
みほ「外に出るとそこまで臭いは控えめになるし、戦車の鉄と油の臭いで皆気づいてないと思う…」
麻子「気付いているのは閉鎖空間に共に入る私たちだけか…」
75:
沙織「ゆかりん自身は自分の臭い気づいてないのー!?」
華「自分の臭いだからこそ気づかないのではないでしょうか」
麻子「自覚があれば改めるだろ」
麻子「もうあらゆる手は尽くした。こうなったら面と向かって言うしかない」
沙織「う…」
華「しかしそれはあまりにも…」
麻子「だが四人でコソコソやるよりも、当事者も含めて解決策を模索する方が確率は高いんじゃないか」
沙織「確かにそうかもしれないけど…! あー!ゆかりんの傷付く顔なんて見たくないよー!」
麻子「西住さん、いや隊長。どうする」
みほ「えっ…」
76:
麻子「勝手な行動はしないつもりだ。隊長の判断に任せる」
沙織「最も慕われているみぽりんが決めるのが一番かもね…」
みほ「うぅ…」
華「新たな策を練るか、覚悟を決めて真実を告げるか…」
みほ「そんな、私……!」
3人「……」
みほ「決めれないよ…」
麻子「……すまない、こんな大きな決断を任せるなんて」
沙織「ごめんねみぽりん、また皆で考えよっか」
華「1からやり直しですね」
みほ「うん…」
77:
四人「…………」
みほ「……なんだか最近、あんこうチームの皆で一緒にいないよね」
みほ「いつも優花里さんを抜いて私たちだけ…」
沙織「確かに…」
麻子「放課後はずっとこの作戦会議に当ててたからな」
みほ「どうしてこうなっちゃったんだろうね…、前は皆で戦車ショップに行ったりとか」
みほ「大浴場でおふろ入ったりしてたのに…」
3人「……」
沙織「……ん?」
華「どうしました沙織さん? 何かに気づいたかのような顔で…」
78:
麻子「どうがんばっても自分がモテてない事実にようやく気づいたのか」
沙織「何言ってんの! 違うよ! そもそも私モテモテだし、この前だって街歩いていたら男の人からティッシュを手渡しで…」
みほ「じゃあ何を…」
沙織「えーと…ほら、今みぽりん大浴場の話したじゃん」
麻子「ああ」
沙織「そのー、誰かさ、見たことある?」
華「見たことある…? とは何を?」
沙織「それは…あの…」
80:
.
沙織「ゆかりんが身体や頭を洗っているところ」
みほ「……」
華「……」
麻子「……」
「「「あっ」」」
.
81:
書き溜めがなくなってきた
少しペース落ちる
83:
ーーー
戦車庫
優花里「皆さん改まってどうしました? 放課後にこんな所に呼び出して」
みほ「えーとね…」
沙織「ちょっとしたお話が…」
優花里「なんでしょうか…、まさか不良漫画でよくある『シメる』という展開!?」
優花里「わ、私何か皆さんの気に触ることを仕出かしましたでしょうか!?」
華「そうではなくて、ただお聞きしたいことが…」
優花里「私に質問?」
85:
麻子「単刀直入に聞くぞ」
沙織「麻子!?」
麻子「秋山さんは普段風呂でどんな洗い方をしている?」
優花里「洗い方…ですか?」
みほ「あ、あのね、さっき皆の洗い方の話になったの」
沙織「そう! それで盛り上がってね! ちなみに私はお肌のスキンケアに拘ってるよ!」
華「私は椿の香りのシャンプーが愛用です」
みほ「恥ずかしいけどいつもボコのボディタオルで…」
麻子「この様にそれぞれ個性があってな。秋山さんのも是非教えてほしい」
優花里「へぇー! 確かに面白いですねー!」
87:
沙織(よし! 不自然じゃない話の流れになった!)
華(思えば以前に入浴を共にした時に優花里さんの身体を洗う場面までは注視していませんでした)
みほ(優花里さんの洗い方は誰も見たことのない道の領域…!)
麻子(こうして本人に普段の洗い方を聞いて、仮にそれに不備があれば…)
沙織(それがあの臭いの原因という可能性はある…)
みほ(つまりその洗い方さえ直せば臭いは改善できるはず…!)
優花里「えーとですねぇ、確かに私のは皆さんとは少し違いますね…」
みほ「それは…?」
4人「ゴクリ…」
88:
.
優花里「そもそも私、シャンプーやボディソープ使わないんですよねー」アハハハ-!
「………えっ?」
.
90:
優花里「皆さん『湯シャン』ってご存知ですか? シャンプーなどを使わずにお湯ですすぐだけの洗い方ですね」
沙織「……えっ、一切?」
優花里「はい! でも全然汚いことはなくてむしろシャンプー使う方が頭皮や髪にダメージがあるらしいですよ!」
優花里「お湯だけで汚れ70パーセント…いや80でしたっけ? とにかくいっぱい綺麗になるんですよー!
優花里「頭皮の油を落としすぎると逆にダメなんですよね、理由は知らないけど。ネットに書いてましたよー!」
みほ「……」
華「そ、そんな…嘘…」
麻子「……では、身体の方は?」
優花里「へ? 頭と一緒で身体も洗いませんよ? シャワーだけです」
華「」
フラッ
沙織「華が気絶したぁーー!?」
91:
優花里「お湯でサーっと流すだけで十分ですし時間の短縮になりますしね」
みほ「こ、個性的だね…」
麻子(間違いなくこれが原因だ…)
麻子(しかし、いくらシャンプー無しで水洗いでも本当にあの野良犬臭がするものなのだろうか…?)
麻子(湯シャンにそれなりの効果はあるという記事も見た事あるんだが…)
麻子「秋山さん、その湯シャンなる物にケチを付けるつもりはないがやはりちゃんと洗った方がいいと思う」
沙織「そうだよ! 毎日しっかりシャンプー使って…」
優花里「えー? 私シャンプー嫌いなんですよねぇ…。ただでさえ嫌いなのに毎日なんて…」
みほ「……えっ? 毎日なんて?」
沙織「ちょっと…それってどういう意味…?」
華「うぅっ…」←少し復活
93:
.
優花里「ですから、ちゃんと毎週一度湯シャンしてるのに毎日なんて面倒ですよぉ」
みほ「」
沙織「」
麻子「」
華「」
96:
優花里「そもそも多くの人間はつい数十年前まで毎日お風呂に入っていませんしね。でも汚さで死んだ人間なんていません、ロビンソン・クルーソーだってお風呂なしで生き延びました」
優花里「第二次世界大戦でも満足に身体を洗える兵士は僅かです。それでも多くの兵士が立派に任務を遂行したところを見ると洗わないという事は大きな枷にはならず…」
華「」
沙織「華がまた気絶した…」
麻子「盲点だったな…」
みほ「うん…」
麻子「風呂に入るのは週に一度の上にただの水浴び…」
みほ「『洗ってない犬の臭い』のそもそもの原因は正に『洗ってなかった』から…だなんて」
99:
優花里「何故か母は口煩く入れ入れと言ってましたが最近は諦めてくれました。まあ流石に戦車道でかなり汚れた時にはしっかりシャワーを浴びますがね」
麻子「その上、本人は常にこの臭いの中で生活してるから異常に気づけていない」
麻子「多分入浴時間を殺して得た時間を今まで趣味の戦車に注ぎ込んで来たんだな」
沙織「ゆかりんが友達いなかったのってもしかして…」
みほ「なんと言うか…」
(((『呆れた』……としか言いようがない…)))
.
101:
みほ「これはもう…」
華「強制執行しかありません!」ガバッ!
沙織「わっ!?持ち直した!?」
華「セイッ!!」
ガシッ!
優花里「へっ五十鈴殿?」キョトン
華「沙織さん左の手をお願いします!」
沙織「ガッテンだよ!」
ガシッ!
優花里「な、何ですかー!? 何故ロズウェル事件のような体勢に…!」
みほ「優花里さん……」
優花里「に、西住殿、これは一体…」
みほ「お風呂…はいろっか」ニコッ
優花里「へっ?」
102:
華「さっそく大浴場へ」
沙織「レッツゴー」
ズルズルズル…
優花里「ちょちょちょ、突然何故ですか!?」
みほ「優花里さんをこれからちゃんと洗ってあげるの」
優花里「ちゃ、ちゃんと?」
優花里「お言葉ですが西住殿! 私の入浴方法は無駄な時間のカットを積極的に行った合理的な物ですよ!」
優花里「皆さん中々分かってくれませんが人間が数日風呂に入らないだけで極端に汚れたり病気になったしませんよ!」
優花里「現に私は元気でピンピンしてますしどこも汚いところなんて…」
104:
みほ「麻子さん」
麻子「了解」
ガバッ
優花里「うわっ、何ですかそのカラカラの消臭剤…って近づけないでください!」
優花里「くさっ!? 犬クサッ!! 野良犬を100匹濃縮したみた臭い!」
優花里「な、何ですかこれ! 顔に押し付けないでくださいー!」
みほ「臭い?」
優花里「臭いですよ! もう保健所の檻にダイブしたかのような…」
みほ「それの犬の数を5倍にしたのが優花里さんの体臭だよ」
優花里「えっ」
105:
麻子「いいのか、そんなにダイレクトに言っちゃって」
みほ「完全に自覚がなかったとは言え、優花里さんの落ち度しか見当たらないからね…残念だけど」
優花里「……えっ、これ、私…えっ?」
沙織「混乱してるね」
華「力の抜けた今がチャンスです、大浴場へ運びましょう」
みほ「うん! パンツァーフォー!」
優花里「犬…野良犬…体臭…」ブツブツ
ズルズルズル…
106:
ーーー
大浴場
優花里「う、嘘です! そんな! 私の入浴方法は間違ってないはずです!」
優花里「だって今までだって普通に…!」
沙織「はいはい、動かないでねー」
華「ちゃんと私達が隅々まで洗ってあげますから」
みほ「大人しくしててね。麻子さんそっちの足を抑えて」
麻子「了解」
優花里「やめてください?! シャンプーは嫌ですぅ?!」
みほ「何だか本当にお風呂嫌いのワンちゃんみたい…」
107:
沙織「ほーらゴシゴシ?」
ゴシュゴシュ…
ズルゥッ!
沙織「きゃあぁぁ!? ゆかりんの皮膚が剥げた!?」ビクゥッ!!
華「はだしのゲンで見たことあります…」
麻子「落ち着け、垢の塊だ」
沙織「いや、尚のこと落ち着けないよ!! どんだけ洗わなかったのこの子!?」
みほ「これは徹底的に洗わないと…!」
みほ「『あわあわ大作戦』です、パンツァーフォー!!」
四人「おおー!!」ゴシゴシゴシ!!
優花里「だ、ダメです、そこは流石に自分で……ああっ! そんなとこまで…!」
優花里「ひいぃーー!! 誰か助けてくださいぃーーー!!」
110:
ーーーーー
ーーー

20分後
脱衣場
優花里「お、おおー…!」ツヤツヤ
優花里「す、凄いです…肌にツヤがあるしモチモチになりました…」モチモト
優花里「髪の毛に変な脂も乗っかってません…」フサフサ
優花里「そして何より…」
優花里「さっきまで私が着てた服から物凄い獣臭がする! あの消臭剤と同じかそれ以上!」
優花里「皆さん、どうやら私は今までとんでもないご迷惑を……知らず知らずの内に自分が毒ガス兵器になっていたなんて……!」
沙織「やっと…分かってくれたんだね……!」ジ-ン…
麻子「長かったな」
華「ある意味感慨深いですね…!」ジ-ン…
112:
優花里「私……今までしれっと皆さんに野良犬臭を撒き散らかしていたなんて…謝っても謝りきれません!!」
優花里「秋山優花里! 金輪際皆さんの近くにいられません! ましてや戦車の中の閉鎖空間なんて…!」
みほ「落ち着いて優花里さん、もういいんだよ」
優花里「ち、近づいちゃダメです! 私の野良犬臭が西住殿に移って…」
みほ「落ち着いてってば…ほら」
ぎゅっ
優花里「ひゃうっ!? だ、抱き、抱きつき…」
華「まあ、大胆な抱擁…」
みほ「すんすん……。うん、いい匂い!」
優花里「に、西住殿…?」
みほ「優花里さんは私達がしっかり洗ったもん、臭くなんかないよ」
113:
みほ「確かに今まであの臭いで参っちゃったこともあったけど…」
みほ「優花里さん自体を嫌いになってなんかないよ」
沙織「私もー!」
華「お友達ですもの」
麻子「当然だな」
優花里「皆さん……!」
優花里「私、これから毎日お風呂に入ります! シャンプーだってします! 心を入れ替えます!」
優花里「私は……野良犬臭のする秋山優花里ではなく、いい匂いのする秋山優花里として、」
優花里「皆さんの友達であり続けたいです!!」
みほ「うん!!」
114:
麻子「何はともあれ、一件落着だな」
沙織「本当に良かったー」
優花里「お騒がせしました」エヘヘ
華「あわあわ作戦は完了し、これにてナントカ作戦も大成功ですね」
みほ「いや……まだ終わってはないよ…」
優花里「へっ?」
華「それはどういう…」
みほ「だって優花里さんは長いことお風呂に入らない生活をしてたんだもの」
麻子「また元の生活に戻ってしまわないか少し心配か」
沙織「た、確かに」
115:
優花里「え、えー! 大丈夫ですよぉ、今回は懲りましたよ?!」
華「しかし前科があるとなると…」
みほ「と言う訳で、優花里さんにはしばらく私の家に泊まってもらいます!」
優花里「えぇーーーッ!?」
沙織「みぽりんが監視役って訳だね!」
みほ「うん! 私が優花里さんとちゃんと一緒にお風呂入って見張るから安心して」
華「いい考えですね」
麻子「任せた」
116:
優花里「そんなに信用ないなんてぇ………ん? それって同棲…?」
優花里(しかも、一緒にお風呂まで……)
優花里(……)
優花里(め、めちゃくちゃ役得じゃないですかぁーーー!!)ムッハー!
みほ「優花里さん覚悟してね。私がちゃんと見張って洗い尽くしてあげるから」
優花里「い、いやぁー困っちゃいますねぇーーー!」モシャモシャ
沙織「な、何か嬉しがってるような…」
華「みほさん、まるで保護者のようですね」
麻子「どちらかというと飼い主だな」
120:
ーーー
一週間後
戦車庫
杏「なんか最近、野良犬っぽい臭いしなくなったね?」
桃「ここらを寝床にしていた犬が消えたのでしょうか」
麻子「西住さんの協力の成果か、如実に効果が出てきたな」
沙織「IV号の残り香も消えてきたし、正に大団円だね」
華「私、本当に助かりました」
優花里「皆さんお早いお集りで」
みほ「おまたせ…」フラッ
沙織「おっ噂をすれば…。へいへーい、新婚生活はどうなのー?」
優花里「も、もう!そんなんじゃないですよぉー!」
優花里「私、西住殿のおかげで最近綺麗好きなりました! 自分だけじゃなくお部屋の掃除にも凝りましてね!」
みほ「えへへ、優花里さんにお部屋の掃除を手伝ってもらって大助かりなの……」フラフラ…
122:
沙織「へー! すごいじゃんゆかりん!(……あれ)」
麻子「眼を見張る成長具合だな(……何だか西住さんが)」
華「素晴らしいですね!(……やつれているような)」
優花里「もう野良犬なんて言わせませんよぉ! それでは私、先にIV号の整備の方に参ります!」
タタタタ?ッ
沙織「……みぽりん大丈夫? どこか具合悪いの?」
麻子「何かあったのか?」
華「まさか優花里さんの体臭がまた…?」
みほ「う、ううん、そうじゃないの…。ただ…その…」
みほ「……」
123:
みほ「あの……今日の練習終わったら、またナントカ作戦の会議してもいい?」
沙織「ええっ!? 『何とかしてゆかりんの臭いを何とかしよう作戦』の?」
麻子「それじゃあやっぱり…」
華「体臭がぶり返して…」
みほ「いや、今回の作戦はそっちじゃくて、その…」
みほ「『何とかして優花里さんの寝相とイビキと歯軋りを何とかしよう作戦』……なの」
終わり
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