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アンチョビ「これが私の戦車道」【後半】


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7:
みほ「このまま207地点に向かいましょう!有利なポイントに移動して長期戦に」
アンチョビ「そろそろか」
ドォォォォォン!
アンチョビ「来た!」
アンチョビ「総員!全力で逃げろ!」
沙織「え?もう!」
梓「いきなりなにこれ!」
桃「森の中をショートカットしてきたのか」
優花里「これが西住流!」
ペパロニ「すげぇッス!」
典子「何も見えない!」
アンチョビ「落ち着け!このまま207地点に迎え!ジグザグに動いて足を止めるなよ!」
みほ「前方の森に移動してください!」
アンチョビ(しかし妙だな…黒森峰の攻撃にしては…あまり激しくない)
アンチョビ「まほは何を狙っているんだ…」
アンチョビ「って三式!何でバックしてるんだ!大丈夫か!?」
ドォォォォォン!
……カッ シュポッ
528:
アンチョビ「三式がやられた…!」
みほ「…大丈夫ですか!?」
ねこにゃー「ごめんなさい…西住さん…もうゲームオーバーになっちゃった」
アンチョビ「怪我はないか…」
ももがー「全員大丈夫です!」
アンチョビ「そうか…よかった」
アンチョビ「みほ!あの作戦を頼む…私とヘッツァーは…別行動を取らせてもらうぞ」
みほ「はい!」
みほ「全車両、もくもく作戦です!」
沙織「もくもく用意!」
優季「もくもく用意!」
典子「もくもく用意!」
エルヴィン「もくもく用意!」
ゴモヨ「もくもく用意?」
ナカジマ「準備完了!」
みほ「…もくもく始め!」
529:
エリカ「煙?忍者じゃないんだし…こざかしい」
まほ「撃ち方止め、全車両、側面を警戒しろ、パンターとヘッツァーが戦列を離れた」
エリカ「逃がしていいんですか?」
まほ「下手に向こうの作戦に乗るな、無駄弾を打たせる可能性が高い」
まほ「この先は坂道だ、向こうにはポルシェティーガーがいる…」
まほ「十分に時間はあるはず…何!?」
まほ「3両で引っ張りあげたのか…なるほど」
530:
みほ「パラリラ作戦です!」
そど子・典子「パラリラ、了解!」
エリカ「……こんな広範囲で煙が広がるなんて…」
みほ「…あと少し…」
アンチョビ「さて…と…てぇー!」
ドォォォォォン!
ガギィン
ドォォォォォン!
ガァン………カッ シュポッ
ドォォォォォン!
ガァン!
桃「やった!二両履帯破壊!」
アンチョビ「こっちはパンター一両を撃破!」
杏「河嶋ー!あたったぞー!」
アンチョビ「よし!次のポイントに行くぞ!」
ペパロニ「了解ッス!」
531:
まほ「深追いはするな…隊の分散が狙いのはずだ」
まほ「………」
まほ(安斎…敵に回すとこれ以上恐ろしい相手はいないな)
まほ(……そもそも安斎が今もいれば…)
まほ(最初の電撃戦で…全てが終わっていたはずだ)
まほ「……全車停止」
まほ「想定よりく陣を構築したな」
まほ「…囲め」
532:
みほ「砲撃、始め!」
ドォォォォォン!
ドォォォォォン!
ドォォォン!
ドォォォォォン!
………カッ シュポッ
………カッ シュポッ
優花里「五十鈴殿!やりましたね!」
華「はい!」
みほ「2両撃破…これで残り17両」
みほ「あれ?向こうは13両…?」
みほ「安斎さん、2両だけ別行動をしていませんか?」
アンチョビ「…あぁ、私もそれが気になっている…何かあるかもしれん」
アンチョビ(まさか…)
アンチョビ「今はとにかく向こうの数を減らそう…そうでないと話にならない」
みほ「はい!」
533:
まほ「ヤークトティーガー…正面へ」
ガァン!ガァン!
華「硬い…」
みほ「…ここを脱出します!アンチョビさん!カメさん!お願いします!」
みほ「これよりおちょくり作戦を開始します!」
…………
直下「あああああああ!直したばっかりなのにー!」
アンチョビ「後方くらい警戒しろよなー、直下!」
直下「た、隊長!?」
ドォォォォォン!
ガァン………カッ シュポッ
アンチョビ「よし!突っ込め!」
杏「とっつげきぃ!」
534:
柚子「こんなすごい戦車相手に二両で突っ込むなんて…」
桃「今更ながら無謀な作戦だな」
アンチョビ「突っ込んだほうが安全だ」
アンチョビ「ペパロニ!行けるか!」
ペパロニ「問題ないっス!」
アンチョビ「撃てぇー!」
ドォォォォォン!
ガァン………カッ シュポッ
………
まほ「…やはり来たか」
まほ「………安斎!」
アンチョビ「……まほ、来るか…」
アンチョビ「……だが!」
まほ「……!」
アンチョビ「悪いが相手してる余裕はないんでね!」
アンチョビ「みほ、このまま前に進め!!」
まほ「敵のペースに呑まれるな!」
まほ「全車!?号を狙え!」
535:
………
カチューシャ「おもしろぉい!」
カチューシャ「さすがチヨーシャにミホーシャね!」
ダージリン「向こうの弱点である突発的な作戦に弱いことを上手く利用しているわね」
ケイ「これで…15対7、しかも包囲網を抜けだした…」
………
ツチヤ「ヒャッホォ!」
優花里「やった!」
麻子「やれやれ…スリル満点だな」
………
ナカジマ「はいはい、大丈夫でちゅよ?」
みほ「走りながら戦車を修理してる…」
優花里「さすが自動車部ですね!」
エリカ「ふふふ、今度こそ…!?」
エリカ「ちょっと…どこ向いて…何やってんのよ!」
エリカ「…転輪が壊れた!?こんな時に…く直しなさい!」
536:
優花里「この先はどうするんですか?」
華「だいぶ離しました」
みほ「この川を渡ります…」
優花里「えええ!?」
みほ「上流にはレオポン、下流にはアヒルさんがいてください!」
みほ「川に流されないように、重い車両から先に進みます」
みほ「全車…前進してください」
みほ「・・・急がないと…」
桂利奈「・・・・あれ?」
桂利奈「・・・あれ?あっ…動かない!」
沙織「みぽりん!ウサギさんチームが…」
みほ「エンスト!?」
桂利奈「全然エンジン掛からないよぉ!」
537:
梓「先輩!私達は大丈夫です!後で追いかけます」
沙織「このままじゃあ…横転しちゃう!」
麻子「だが、向こうも追いかけてきているぞ…」
華「……みほさん」
みほ「……」ガタガタガタガタ…
沙織「みぽりん…手が…」
アンチョビ「…………行け!」
みほ「………!」
アンチョビ「みほ……行け!」
アンチョビ「助けたいんだろ!なら…ためらうな…行け!」
みほ「…安斎さん…!」
沙織「うん、行ってあげなよ…こっちは私達が見るから!」
みほ「沙織さん………優花里さん!ワイヤーにロープを!」
優花里「……はい!」
みほ「…みんな、少しだけ待っててください!」
538:
麻子「前進するより、仲間を助けることを選ぶとはな…」
華「それが…みほさんの戦車道なんですね」
優花里「はい!だから西住殿についていけるんです…だからこそ私達は…」
沙織「…ここまで…これたんだよね」
華「私…この試合…絶対勝ちたいです」
華「…みほさんの戦車道が間違ってないことを証明するために…私、勝ちたいです!」
優花里「その通りです!」
沙織「勿論だよ!」
麻子「無論…負けるつもりはない」
539:
杏「いやー、飛んでるねぇ、西住ちゃん」
アンチョビ「…………あぁ」
アンチョビ(……これが…みほの戦車道だ)
杏「どうしたの…チョビ?」
アンチョビ「………」
アンチョビ「…いや、なんでもない」
………
梓「隊長!ありがとうございます!」
あや「隊長…」
みほ「みんなでこれを引っ張りましょう」
全員「「「はい!」」」
540:
沙織「みんな!みぽりんを援護して!」
ナカジマ「オッケー!」
そど子「隊長!かっこいいじゃないの!」
典子「…隊長を守るんだ!」
エルヴィン「今ほど思ったことはない!回転砲塔が羨ましいと!」
「「「よいしょ!よいしょ!」」」
みほ「…よし!ワイヤーを戦車に!」
梓「…隊長!」
梓「ありがとうございました!」
「「「ありがとうございました!」」」
………
541:
桂利奈「かかってぇ……」
桂利奈「…きたああああ!」
沙織「みぽりん!ウサギさんエンジン復帰したって!」
みほ「…よかった!」
みほ「みんな!ウサギさんに度を合わせて動いてください」
沙織「…抜けた!」
ドン!ドォォォン!ドォォォォォン!
優花里「あと数秒遅かったらやられてましたね…」
エリカ「どこへ向かう気…?」
まほ「…おそらく…市街地」
………
アンチョビ「…よかった…さて、私達も合流して市街地に…」
アンチョビ「………!」
アンチョビ(……思い出した…)
アンチョビ(いや…そんな…でも…アレは…)
542:
桃「隊長ー!」
アンチョビ「…みほー!」
みほ「安斎さん!」
アンチョビ「なんとかここまでこれたな…あれは…?号か」
みほ「?号なら突破できます…行きましょう!」
………
アンチョビ(何だ…3号のこの動き…)
みほ「……!!!」
アンチョビ「……!」
優花里「……あ、あれは…」
アンチョビ「…やはりか…まほが導入するかもって1年の時から言っていたが」
アンチョビ「…まさか…本当に導入するなんて…」
アンチョビ「…マウス!」
優花里「すごい…動いているの…初めて見ました」
アンチョビ「後退しろ!急げ!」
543:
ドォォォォォン!
アンチョビ「カモさんチーム!大丈夫か」
そど子「全員大丈夫です!…何よあの戦車!校則違反よ!」
左衛門佐「……カモさんチームの仇!」
アンチョビ「やめろ!下手に喧嘩を売っていい相手じゃ…」
ドォォォォォン!
………カッ シュポッ
…………
エリカ「そう…わかったわ…」
エリカ「隊長…2両撃破したそうです」
まほ「…そうか…」
544:
次 回
まほ「…フラッグ車だけを狙え!」
アンチョビ「………突撃!!」
エリカ「………風神!!!」
みほ「ここで決着を付けます!」
みほ「…やっと見つけたよ…私の戦車道!」
ガールズ&パンツァー 第一部最終回 
あとには退けない戦いです!
???「………」
???「…状況開始」
具体的に2?3時間後くらい!
546:
エルヴィン「我らの」
カエサル「歴史に」
左衛門佐「今…」
おりょう「幕が降りた」
カルパッチョ「たかちゃん!大丈夫!?」
カエサル「ひなちゃん…私達は…なんとか大丈夫」
カルパッチョ「よ、よかった…」
そど子「冷泉さん!後は頼んだわよ!約束は守るから!」
麻子「おぉー!」
547:
ドォォォォォン!ドォン!ドォォォン!
アンチョビ「…くっ…これはまずいな…?号は撃破したが…」
みほ「市街戦に持ち込むには…マウスの撃破は必須…でも…」
優花里「マウスすごいですね!前も後ろもどこも抜けません!」
沙織「まるで戦車が乗っかかっちゃいそうなくらいだよ!」
みほ「……!」
みほ「沙織さん!ありがとう!」
みほ「カメさん、アヒルさん!少々無茶な作戦ですが、今から指示に従ってください!」
アンチョビ「…何をする気だ?」
548:
桃「まさかこんな作戦とは……」
柚子「やるしかないよ!桃ちゃん…」
桃「…あぁ!」ガリガリガリガリッ
マウス車長「なっ!?ヘッツァーが!?」
あゆみ「撃てるものなら…」
あや「撃ってみろ!」
典子「さぁ行くよ!」
典子「そーれ!」
マウス車長「!?」
典子「ブロック完了しました!」
549:
マウス車長「ちょっとそこの軽戦車!そこをどけ!」
典子「やです、それに八九式は軽戦車じゃないし」
あけび「中戦車だし」
マウス車長「振り落としてやる!」
みほ「そのままなんとか踏みとどまってください…華さん…スリットを狙って…」
華「…はい!」
みほ「…撃て!」
ドォォォォォン!
……………カッ シュポッ
みほ「やったぁ!」
アンチョビ「……黒森峰…あと3分で市街地に到着するぞ…」
みほ「わかりました…皆さん、次の行動に移ってください」
アンチョビ「…」
アンチョビ「…みほには…驚かされるな」
550:
……………カッ シュポッ
桃「……」
桃「…よくやってくれたな、ここまで」
柚子「うん、私達の役目は終わりだね」
みほ「…すみません」
桃「気にするな!いい作戦だった」
柚子「後はお願いね!」
桃「頼むぞ!」
みほ「…はい!」
・・・・・
みほ「こちらは残り5両です」
みほ「ですが、フラッグ車は互いに1両だけです」
みほ「向こうの狙いはフラッグ車である私達あんこうチームです!」
みほ「出来る限り向こうの戦力を分散させてください!」
典子「みんなー、敵を挑発するよー!」
みほ「フラッグ車との1対1にはレオポンさんチームの協力が不可欠です」
ナカジマ「了解!」
551:
梓「先輩!後方のエレファントとヤークトティーガー!私達に任せてもいいですか」
みほ「お願いします!
アンチョビ「…」
みほ「安斎さん…」
アンチョビ「私は…好きに暴れればいいんだな」
みほ「…はい!出来る限り敵チームを撹乱してください」
アンチョビ「あぁ…みほ…」
みほ「…何ですか?」
アンチョビ「…お前はもう…私の…」
みほ「…ふぇ?」
アンチョビ「…ほら!最後の一言がまだ残ってるぞ」
みほ「はい…それでは…これより最後の作戦」
みほ「…ふらふら作戦を開始します!」
552:
沙織「こちらあんこう、448ジャンクション、左折します」
沙織「レオポンとヒョウさんは373左折、アヒルさん373、右折してください」
妙子「373の先、あと3つ直進してください」
忍「はい!」
梓「最後尾、発見 あや、準備いい?」
あや「オッケー!」
あや「とりゃー!」
ドォォォォォン!
あゆみ「怒ってる怒ってる!」
優季「桂利奈ちゃん!その次右折!」
桂利奈「あいー!」
優季「その次も次も次も右折!」
桂利奈「あいあいあーい!」
梓「昨日徹夜で考えた私達の作戦を実行する時が来たよ、名付けて!」
「「「戦略大作戦!」」」
553:
梓「回り込めた!撃てぇ!」
梓「…0距離でも倒せないなんて」
あや「硬すぎる…」
梓「こんなの…もうどうすれば…」トントン…
紗希「……」
紗希「…やっきょう…すてるとこ…」
梓「…!」
あや「紗季ちゃん天才!」
あゆみ「よし!じゃあせーので撃とう」
「「「せーので!」」」
ドォォォォォン!ドォォォォォン!……………カッ シュポッ
エリカ「M3にやられた!?何やってるのよ!」
まほ「フラッグ車だけを狙え!」
554:
黒森峰隊員「このぉ!八九式のくせにぃ!」
典子「やーいやーい」
梓「ヤークトティーガー…絶対に先輩達のところに行かせちゃいけない!」
梓「一か八かだけど…ここで倒すよ!」
あや「どうやって!」
梓「桂利奈ちゃん!くっついて!」
桂利奈「あいー!」
あや「128ミリ超怖いんですけど!」
梓「そこを左に曲がって!」
ドォォォォォン!………バァン!カッ シュポッ
ガァン!バギィイン………カッ シュポッ
梓「すみません…西住隊長!ウサギさんチーム、やられちゃいました!」
梓「全員無事です…あとは皆さんに任せます」
「「「よろしくお願いしますー!」」
555:
みほ「間もなくHS地点です、レオポンさん、ヒョウさん、今どこですか?」
アンチョビ「間もなくHS地点だ、レオポンを先行させている」
みほ「0017に移動してください!」
みほ「…これで!」
エリカ「なっ!しまった!」
・・・・・
まほ「……」
みほ「……」
まほ「西住流に逃げるという選択肢はない…」
みほ「…」
まほ「…こうなったらここで決着をつけるしかないな」
みほ「………受けて立ちます」
556:
アンチョビ「………」
アンチョビ「さて……」
アンチョビ「みほを助けに行くぞ」
ペパロニ「えええ!?どうやって!」
アンチョビ「廃校舎の中を突き抜ける!」
アンチョビ「カルパッチョ…榴弾装填準備!」
アンチョビ「行くぞ!」
エリカ「何やってんのよ!失敗兵器相手に…!」
エリカ「あれは…パンター…でも何であんなところに行くの…」
エリカ「…アンタ達、ここは任せたわよ!」
557:
アンチョビ「…………撃てぇ!」
ドォォォォォン!
アンチョビ「…思った通り…これなら行けそうだ!」
アンチョビ「………突撃!」
ドォォォォォン!
アンチョビ「何!?」
エリカ「……………風神!」
………………
アンチョビ「ペパロニ!急旋回!急げ!」
ペパロニ「うおおおお!」
アンチョビ「カルパッチョ!装填急げ!」
アンチョビ「会長!この度…行けるか」
会長「まっかせておいてー」
アンチョビ「時間がもうない…短期決着だ!」
558:
エリカ「……あなただけは…許さない!」
エリカ「…隊長の心も知らず…あなたは裏切った!」
エリカ「隊長は…あなたのことを今でも思っている…!」
エリカ「……あの人の心には…今でもあなたがいるのよ!」
エリカ「安斎…千代美!」
……………
アンチョビ「撃てぇー!」
エリカ「…撃てぇええええええええ!」
ドォォォォォン!
ドォォォォォン!
ガァアアアン!!
………カッ シュポッ
エリカ「……負けた…」
エリカ「…どうして…どうしてよ…」
エリカ「どうして…私は…勝てないの…」
アンチョビ(……………引き分け…か)
559:
アンチョビ「みほ…履帯がやられた…今から修理しても、もう間に合わない」
アンチョビ「……後は、頼んだぞ」
杏「後は…託すだけだな」
ペパロニ「そうッスね」
カルパッチョ「…あれは?…ティーガー?の…通信手?」
ペパロニ「こっちに向かってくる…」
小梅「……隊長」
アンチョビ「…お前は」
アンチョビ「……?号の」
小梅「…」
アンチョビ「…何の用だ?」
560:
アンチョビ「それと…私はもう隊長じゃない」
小梅「……いえ、今でも…あなたが私の中での隊長です」
アンチョビ「…」
アンチョビ「…そうか」
小梅「……ずっと…彼女に…言えなかったことがあるんです」
小梅「今更…言っても、もうどうにもならないことは…承知しています」
アンチョビ「…」
小梅「でも…どうしても…言いたいんです」
小梅「あの時、周りに押し殺されて、何も言えなかった自分が、悔しくて」
小梅「でも…本当に言ってもいいのかが…すごく不安で…」
アンチョビ「…試合が終わった後に言ってやれ」
アンチョビ「…みほもきっと…少しは救われるはずだ」
小梅「は…はい!」
561:
………カッ シュポッ
典子「こちらアヒルさんチーム…撃破されました!」
ナカジマ「こちらレオポン…もうダメだ…やられたー」
みほ「…やっぱり一撃を回避してその隙を狙うしか…」
みほ「優花里さん!装填時間更に短縮ってできますか!」
優花里「はい!任せてください!」
華「0.5秒だけ停車時間をください確実に撃破してみせます」
みほ「麻子さん、全力で一気に敵車両の後部まで回り込めますか?」
麻子「履帯切れるぞ」
みほ「…大丈夫…ここで決めるから」
麻子「わかった」
みほ「…………………前進!」
562:
みほ「グ口リアーナのときは失敗したけど…今度は必ず」
みほ「撃て!」
まほ「…撃てぇ!」
……
ドォォォォォン!
ドォォォォン!
………
みほ「…………」
まほ「………」
まほ「……ふっ」
蝶野「……黒森峰、フラッグ車、走行不能」
蝶野「よって…」
蝶野「大洗女子学園の勝利!」
563:
みほ「……」
沙織「やったよ!みぽりん!」
華「勝ちました!」
優花里「私達、勝ちました!!」
麻子「うむ」
みほ「…勝った…んだよね」
沙織「うん!」
みほ「…!」
564:
梓「先輩ー!」
典子「ナイスクイック!」
エルヴィン「エクセレント!」
そど子「やるじゃないの!」
ペパロニ「最高ッス!」
カルパッチョ「素晴らしかったです」
みほ「…皆…ありがとう」
沙織「…私達も降りよ…ってみぽりん、大丈夫?」
みほ「ごめん…力が入らなくて…」
みほ「んんっ…よいしょっと…わわっ」
ガシッ…
みほ「…あっ///」
アンチョビ「………」
みほ「………安斎…さん」
アンチョビ「…みほ…」
みほ「…はい…」
アンチョビ「…お疲れ様」
アンチョビ「…よくやったな」
みほ「はい!」
565:
桃「…西住、安斎!」
アンチョビ「何だ?」
桃「この度の活躍…感謝の念に耐えない…」
桃「本当に…ありが…ありが…うわああああああああああん!!!」
柚子「…桃ちゃん…泣きすぎ…」
杏「…西住ちゃん、安斎ちゃん」
杏「これで学校…廃校にならずにすむよ」
みほ「…はい!」
杏「…私達の学校、守れたよ!」
アンチョビ「…あぁ!」
杏「…!」ダキっ
杏「………」
杏「…ありがとね…」
みほ「…いえ、私の方こそ…ありがとうございました…」
アンチョビ「………」
566:
杏「よし、それじゃあそろそろ」
みほ「…あ、ちょっとだけ、すみません」
アンチョビ「……」
みほ「…お姉ちゃん…」
まほ「…」
まほ「…優勝おめでとう、安斎、みほ…」
まほ「…完敗だな…」スッ…
アンチョビ「…」
みほ「…」ギュッ
まほ「西住流とはまるで違う…みほらしい戦いだったな」
まほ「…それと…彼女から伝えたい事があるそうだ」
みほ「…あなたは…」
小梅「…みほさん、私の事、覚えているでしょうか」
小梅「私…あの時に…みほさんに助けてもらった…赤星小梅です」
みほ「……」
567:
小梅「みほさん…あの時は…本当に…」
小梅「助けてくれて…ありがとうございました!」
みほ「……!」
小梅「あの時西住さんが助けてくれたおかげで、私は今、ここにいます!!」
小梅「本当に…ありがとうございました…!」
みほ「……」
アンチョビ「…みほ、あの時、お前のしたことは…」
アンチョビ「やっぱり、間違いなんかじゃなかったんだよ」
みほ「…はい!じゃあ…行くね!」
アンチョビ「……」
みほ「お姉ちゃん!」
みほ「…やっと見つけたよ…私の戦車道!」
まほ「…!」
エリカ「…次は、負けないわよ」
みほ「…はい!」
568:
アンチョビ「…」
まほ「…安斎」
アンチョビ「あの子は…みほは…救われた」
アンチョビ「とても綺麗で…素晴らしい戦車道を…彼女は見つけたんだ」
アンチョビ「彼女は幸せになることが…できた」
アンチョビ「私の役目は終わった」
まほ「…」
アンチョビ「…まほ」
アンチョビ「……みほのことを…頼んだぞ…」
まほ「…!?」
アンチョビ「…それと…」
アンチョビ「また…いつの日か…」
アンチョビ「…いや、いい、この約束は…また今度にしよう」
まほ「………安斎!」
569:
蝶野「優勝!大洗女子学園!」
ダージリン「おめでとう!」
オレンジペコ「おめでとうございます!」
ケイ「コングラッチュレーション!」
カチューシャ「ハラショー!!」
ノンナ「おめでとう…」(ロシア語)
千代「……」パチパチパチ…
千代「行くわよ…愛里寿」
愛里寿「ええ、母上」
千代(…西住みほ…か)
千代(ふふふ、ふふふふふふふふふっ)
しほ「………」
しほ「…ふぅー」パチパチパチ…
570:
みほ「帰ってきた…」
杏「隊長…なんか言え!」
みほ「え?」
アンチョビ「……」
みほ「えっと…あの…え…あっ…」
みほ「………パンツァー・フォー!」
「「「「おおおー!!!」」」」
571:
……………
沙織「ねぇ、帰ったらどうする?」
みほ「え?」
優花里「そうですね…お風呂に入って」
麻子「アイス食べて…」
沙織「…戦車乗ろっか!」
みほ「…はい!」
???「…………」
???「状況開始」
みほ「!?」
アンチョビ(………来たか)
572:
みほ「前方から戦車が接近!」
みほ「優花里さん!なんだかわかりますか!?」
優花里「あ…あれは…」
優花里「…センチュリオンです!」
みほ「全車両!停止!」
みほ「…………一体、誰が…」
愛里寿「……」
みほ「女の子?」
愛里寿「迎えに来たよ…安斎千代美さん」
みほ「ふぇ?」
アンチョビ「……」
みほ「…安斎…さん?」
573:
愛里寿「さぁ、く手を」
アンチョビ「………あぁ」
ガシッ
みほ「……………ぇ?」
愛里寿「中へ入ってください…通信手の席を空けてありますから」
アンチョビ「…わかった」
みほ「…………安斎さん!」
みほ「どうしたんですか…戻ってきてください…安斎さん!」
愛里寿「……状況終了…これより帰還する」
アンチョビ「………」
さ よ な ら
みほ「………………!!!」
574:
みほ「麻子さん!あの戦車を体当たりで止めてください!荒っぽくても構いません!」
麻子「了解」
愛里寿「…」
麻子「!」
みほ「躱された…」
みほ「………全車両!センチュリオンをなんとしても止めてください!」
愛里寿「…装填して」
アンチョビ「おい!こんな市街地で発砲するのか!」
愛里寿「大丈夫…周りに損害が出ないようあの?号だけを…確実に撃破する」
アンチョビ「そういう問題じゃ…」
575:
麻子「来てるぞ」
みほ「麻子さん!もう一度お願いします!」
麻子「了解…」
麻子「くっ…またダメか…!!」
優花里「西住殿!」
みほ「センチュリオンがこっちを向いて…!」
ドォォォォォン!
……………………
みほ「……ハッ!」
みほ「…………また…あの夢…」
みほ「…いや…夢じゃあ…ないん…だよね…」
みほ「………………………安斎さん」
みほ「……どうして…」
576:
……………………
愛里寿「…安斎さん、挨拶を」
アンチョビ「……あぁ」
アンチョビ「今日から大学選抜チームのメンバーに加わることになった…」
アンチョビ「…安斎千代美だ」
590:
…………
全国大会…準決勝
安斎千代美「…終わりだ!プラウダ!」
ドォォォォォン!
………………カッ シュポッ
審判「試合終了…黒森峰女学園の…勝利!」
安斎千代美「…まほ!大成功だったな!」
まほ「あぁ!安斎…!」
591:
アンチョビ「私が西住まほに出会ったのは…高校1年生の時」
アンチョビ「私はその時、勝利することを求めて黒森峰に入学した」
アンチョビ「…まほとはすぐに意気投合した」
アンチョビ「日本戦車道ここにありと言われるほどの実績のある西住流に憧れていた私は」
アンチョビ「まほの誘いを二つ返事で受け入れ西住流に入ることになった」
アンチョビ「……そこで私は…自分で言うのも何だが…才能を開花した…」
アンチョビ「同期や先輩を次々と抜き去っていき…」
アンチョビ「大会の前には黒森峰の副隊長にまで上り詰めていた」
アンチョビ「当時の黒森峰の先輩達は私に対して何も言わなかった…」
アンチョビ「西住流が認める人材なら…問題ないということだったのだろうか」
アンチョビ「そして準決勝…私達は1つの作戦を思い付く」
アンチョビ「部隊を2つに分けて…それぞれの役割を遂行する作戦」
アンチョビ「これがプラウダの立ててきた作戦と噛みあった」
アンチョビ「私達は勝った…そして決勝戦…」
アンチョビ「その相手は…」
592:
安斎千代美「アンツィオ高校?」
まほ「毎年出場していた高校だな、一回戦負けの常連だ」
まほ「だが…ここまで来たということは……実力は確実にあるはずだ」
まほ「油断はしない」
安斎千代美「あぁ…そうだな」
まほ「…安斎」
安斎千代美「何だ…?」
まほ「…勝つぞ」
安斎千代美「…わかっている」
安斎千代美(アンツィオ高校…どこかで聞いたことがあるような…)
安斎千代美(…なんだったかな…)
593:
全国大会 決勝戦
安斎千代美「………」
審判「………試合終了…黒森峰女学園の…勝利」
安斎千代美「……なんだ…これは…」
残存車両 黒森峰女学園 20両 アンツィオ高校 0両
安斎千代美「…なんなんだ…この結果は!?」
………………………
まほ「やったな、安斎!」ギュッ
安斎千代美「…………あ、あぁ…」
まほ「ありがとう…安斎」
まほ「私が黒森峰を優勝に導けたのは、お前がいてくれたからだ」
安斎千代美「…………」
安斎千代美「なぁ…まほ…」
まほ「…どうした?」
安斎千代美「本当に…これで…」
まほ「…?」
安斎千代美「…いや、なんでもない」
594:
アンチョビ「その日以降…アンツィオ高校は高校戦車道から姿を消した…」
アンチョビ「試合後…私は思い出した…」
アンチョビ「あの高校は…私に対して…スカウトを申し出てきた高校だった」
アンチョビ「アンツィオ高校の復興を頼みたい…と」
アンチョビ「私は考慮の末に断ることにした…自分の力を黒森峰で試してみたかったからだ」
アンチョビ「おそらく…今年が最後だったのだろう」
アンチョビ「私は勝つことが正しいことなのかと悩み始めた…」
アンチョビ「周囲の尊敬の反応を受け流しながら…悩んで…悩んで…悩み続けた…」
アンチョビ「そして…みほと出会うことで…みほとの時間を過ごすことで…」
アンチョビ「私は…勝つことだけじゃない…戦車道の楽しさを知ることができた…」
アンチョビ「…だが…」
595:
審判「試合終了…プラウダ高校の…勝利!」
安斎千代美「……クソッ!」
安斎千代美「クソ!クソ!クソ!クソォ!」
風神隊隊員A「……隊長」
風神隊隊員B「……隊長、元気だしてください、あなたはよく頑張りました」
…………
アンチョビ「…私は弱い人間だ」
アンチョビ「誰かを守ることも…救うことも出来ない人間だ」
アンチョビ「私があの場で負けなければ…みほはあんなことにならなかった」
アンチョビ「あの試合のみほのあの判断はただしかった」
アンチョビ「だが…負けてしまった」
アンチョビ「…私のせいだ…私が悪かったんだ」
596:
アンチョビ「…しかし、私の周囲は私のことを一切責めなかった」
アンチョビ「糾弾されるべきは彼女ではなく私でなくてはならないのに…」
アンチョビ「…私は…彼女が壊れていくのを…見ることしか出来なかった」
アンチョビ「…西住みほのせいで負けたという噂だけが広がっていった最悪の状況を前に…私は何もできなかった」
アンチョビ「私は…激しい怒りを覚えた…黒森峰に…そして」
アンチョビ「何も出来なかった自分に」
…………
アンチョビ「今でも…あの日のことを覚えている」
アンチョビ「度重なるいじめで傷だらけのみほ、それでも…目の光はあった」
アンチョビ「…だけど…あの日のあの発言で…」
?号隊員「…あなたの助けなんていらなかった」
?号隊員「……余計なお世話だったって言っているの!」
アンチョビ「彼女の目が…完全に死んだ」
597:
アンチョビ「みほの心は…粉々に砕けた」
アンチョビ「…みほは倒れた…そして私の家で目覚めて…」
みほ「……ごめんなさい…安斎さん…」
安斎千代美「…みほ?」
みほ「もう…私…」
みほ「戦車道…やりたくない」ボロボロ…
アンチョビ「それまで…一度も涙を見せなかった彼女が…ボロボロと涙を流した…」
アンチョビ「……彼女の心を壊したのは…私だ」
アンチョビ「その時に私は決めた…」
アンチョビ「私のの全てを投げ出しても…彼女を救おうと…」
アンチョビ「また…彼女が心から笑えるために…彼女の味方であろうと…」
………
みほ「…あれ?安斎さん!?どこに…」
安斎千代美「ちょっと…学校に行ってくる」
…………
598:
まほ「…安斎?」
安斎千代美「じゃあ…もう一度言ってやる!」
安斎千代美「…彼女を泣かせるような戦車道なんて私は歩みたくない」
安斎千代美「…私は…彼女とともに大洗に行く!」
まほ「…安斎!お前まで大洗に行く必要は」
安斎千代美「…私がいなければ…あの娘はたった一人になってしまう…」
まほ「…安斎…」
安斎千代美「何より…」
安斎千代美「私ももう…ここにはいたくない」
…………
風神隊隊員A「隊長…お久しぶりです…皆隊長がいなくて寂しがってましたよ」
安斎千代美「…風神隊を全員集めろ、話がある」
風神隊隊員A「はい!わかりました…」
………………
安斎千代美「……聞け!」
安斎千代美「今日をもって…風神隊を解散とする!」
599:
風神隊隊員A「ええええええええ!?」
風神隊隊員B「隊長!?それでは私たちは…」
安斎千代美「…………それだけだ、もう二度と…私はここには来ない」
風神隊隊員C「そんな!隊長が居なくなったら私達…」
風神隊隊員D「どうしていいかわかりません!」
安斎千代美「……」
風神隊隊員B「隊長、待ってください!」
安斎千代美「…離してくれないか」
風神隊隊員A「で、でも…」
安斎千代美「…………これ以上…私を…怒らせないでくれ…」
風神隊隊員A「ひっ!」
風神隊隊員C「ま、待ってください!隊長ー!」
600:
しほ「……」
安斎千代美「…失礼します」
しほ「…あなたですか、みほの様子はどうですか?」
安斎千代美「順調に回復しています」
しほ「…そう、一日でもく戦車道に戻るようにと…伝えなさい」
安斎千代美「……」グッ
安斎千代美(まだ…そんなことを言っているのか…)
安斎千代美(みほがいま…どういう状況なのかも知らずに…)
安斎千代美「…いえ、彼女は…もう…戦車道はやりません」
しほ「…そんなことが、西住流に生まれたものとして…許されるとでも?」
安斎千代美(……そんなに…)
安斎千代美(そんなに西住流は偉いのか…)
601:
安斎千代美「詳しい話は……もうそろそろ…」
prrrrrrrrrrrr
しほ「…はい…」
しほ「……………」
しほ「…………」
しほ「………もう、勝手にしなさい」ピッ
安斎千代美「……」
安斎千代美「…それでは…失礼いたしました…それと、一言だけ言わせてください」
安斎千代美「私はあなたを尊敬していました」
安斎千代美「…ですが…今は違います」
安斎千代美「…あなたは……最低の母親です」
しほ「…!」
安斎千代美「…それでは」
安斎千代美「……もう、会うことはないでしょう」
602:
アンチョビ「それから……まほや黒森峰の戦車道履修生、西住しほとは…転校するまで二度と会うことはなかった」
アンチョビ「時々、まほからメールや電話でみほの様子を聞いてくるくらいだった」
アンチョビ「その後黒森峰がどうなったのかは…私は知らないし…知るつもりもなかった」
アンチョビ「寮を引っ越して住所を変えて…みほと…二人っきりでの生活が始まった」
アンチョビ「料理店でアルバイトを始め…空いている時間はすべてみほのために費やした」
アンチョビ「朝も昼も夜も…みほと一緒に過ごした」
アンチョビ「そして…半年後…なんとかみほは…回復できた」
アンチョビ「私の前では笑顔を見せることが出来るようにもなった」
アンチョビ「そして私達は…大洗に転校した」
…………
アンチョビ「大洗に戦車道を復活させる…」
アンチョビ「そう聞いた時…私はみほの元へ急いだ」
アンチョビ「…彼女の目からまた…光が消えていた」
アンチョビ「私はなんとか戦車道をさせないように交渉したが…向こうは聞くつもりがない」
アンチョビ「西住の名は…ここでも彼女を苦しめるのか…」
アンチョビ「しかし…驚いたことがひとつあった」
アンチョビ「彼女は悩んでいた…彼女は…彼女なりに……戦車道にもう一度向きあおうとしていた」
アンチョビ「…私は…みほの判断に身を委ねることにした」
アンチョビ「そして…彼女はもう一度戦車道を歩みだした」
603:
アンチョビ「私は…みほが大洗で戦車道をやると決めた時こそ不安だった」
アンチョビ「また…あの時に逆戻りしてしまうのではないかと…」
アンチョビ「だが…それは杞憂に終わった」
アンチョビ「友人に囲まれて楽しそうに笑いながら戦車に乗っていた彼女を見て…」
アンチョビ「私は安堵した…」
アンチョビ「…信頼できる友や仲間が見つかったことで…私がみほの側にいる必要はなくなった」
アンチョビ「みほは…救われた…」
アンチョビ「だが…その居場所が…今年で無くなろうとしている」
アンチョビ「みほの居場所が…また奪われる…優勝しなければならない…絶対に…」
アンチョビ「しかし、準決勝の翌日…ある一本のUSBデータ…その動画を見た時」
アンチョビ「私は…驚愕の事実を知ることになった」
604:
千代「こんばんは、それともこんにちはでしょうか」
千代「安斎さん、決勝進出おめでとうございます」
千代「さて…用件ですが…早話していきたいと思います」
千代「まずはパンターのエンジンですが…あれは私からのプレゼントです」
千代「せっかく決勝に上がったのに…本来の力を使えずに敗退などというのは…見たくなかったですから…」
千代「料金は請求しません…好きな様にお使いください…」
千代「そして…ここからが本番です」
千代「安斎さん…あなたは今、大洗女子学園が廃校危機を迎えている…という事実を聞かされていますか?」
千代「…おそらくあの試合の中で聞かされていると想定しています」
千代「…包囲されてからの後半戦以降…あなたの眼の色が変わったのがわかりました」
千代「あの試合は…なかなかいいものを見せてくれましたね…」
千代「そして…廃校の話について詳しく調べてみたところ…どうやらかなり深いところまで進んでいたようで…」
千代「おそらく、大洗女子学園がここまでの快進撃を行うとは誰も思わなかったのでしょう」
千代「…大洗が決勝に進出しても廃艦の流れで物事は動いています…」
千代「……向こうはそちらとの約束を反故にするつもりでしょう」
千代「…正式な書類があるなら…優勝すれば問題はないでしょうが…おそらく、口約束でしょう」
605:
千代「…私は…」
千代「あなた達のこの戦いが…ただの無駄なあがきにしかならないことが…許せません」
千代「さて…安斎千代美さん…」
千代「学園艦…守りたいですか?」
千代「…もしあなたが…大洗を…西住みほの居場所を守りたいのならば…」
千代「同梱されている画像ファイルを開いてみてください」
千代「希望はまだ…残されていますよ…」
アンチョビ「………!」
千代「……そこに…書かれているのは…学園艦の取引表です」
千代「廃艦になった場合、学園艦は解体か買い取りかのどちらかの道をたどることになります」
千代「これはその買い取りのレート表…大洗も掲載されていますね…まだ決まってるわけではないのに…」
千代「頭金1億に…学園艦の運営費…」
千代「…つまり、これだけの金額があれば……大洗を救うことが出来ます」
千代「最高でも5億…といったところでしょうか」
606:
千代「…それだけあれば大洗は廃校の危機を免れます、生徒もそのまま、来年からも何も変わりません」
千代「しかしあなたに5億なんて資金はあるわけがない…」
千代「では…何故私があなたにこれを見せたのか…」
千代「実は…近々、大学選抜だけでなく中学生や高校生の頃から島田流での育成を行おうと計画を立てていまして…」
千代「…ちょうど…私達の願いと…一致するんですよね…」
千代「あなた達は学園を守りたい…私は…学園艦が欲しい」
千代「………大洗を島田流の育成機関として存続させることであるならば…廃校を阻止することが可能です」
千代「…そのために…私が提示する条件はたった1つです」
千代「大洗で実績を残しつつ生徒数を増やすためには…」
千代「戦車道と島田流の2つを全面的に押し出して、学生を呼びかける必要があります」
千代「そのためには…大洗女子学園出身で島田流の選手としてプロや大学などで活躍していく広告塔が必要となってきます…」
千代「…もう、ここまで言えば…わかりますよね?」
千代「私の話は…これで終わりです…」
千代「………どうするかはあなた次第です…では」
607:
アンチョビ「優勝したら文科省は約束を守るかもしれない…」
アンチョビ「だが…誓約書がない以上…その保証もない」
アンチョビ「…もし廃校が決まってしまったら…その時には何もかもが手遅れになるかもしれない…」
アンチョビ「私が彼女にできることなんて…もう何もないと思っていた…だが…」
アンチョビ「最後に大きな仕事が残っていた…」
アンチョビ「私は…西住みほを…彼女の居場所を」
アンチョビ「…大洗女子学園を守るために」
アンチョビ「一つの決断をくだした」
608:
アンチョビ「もしもし…家元ですか?」
アンチョビ「はい…拝見しました」
アンチョビ「……はい」
アンチョビ「えぇ…大学選抜チーム…の件…承諾いたします」
アンチョビ「…はい、その代わりに一つだけ条件があります」
アンチョビ「大洗のこと…くれぐれも…よろしくお願いします」
アンチョビ「はい…ありがとうございます」
616:
杏「エキシビジョンは中止する?」
華「秋山さんとエルヴィンが指揮を執るようにってみほさんから連絡がありました」
杏「ありがと…まぁあんなことがあったら西住ちゃんも来れないよね…」
杏「今から断るわけにも行かないし…そろそろ…」
杏「さて…そろそろ」
優花里「……お待たせしました!」
杏「来たか!」
優花里「はい!彼女の名前がようやくわかりました!…」
617:
杏「…島田愛里寿」
優花里「間違いないです!搭乗車両もセンチュリオンで一致しています!」
杏「…日本戦車道ここにありともいわれた…西住流」
杏「それに匹敵する実力を持つ…島田流の跡取り」
杏「飛び級を繰り返し今では大学選抜チームの隊長…か」
麻子「つまり、安斎さんは大学選抜チームの所に行ったと考えて間違いないな」
華「…何故ですか?」
麻子「怪しい部分は思い返せばいくつかある」
麻子「一番気になるのはパンターのエンジン、安斎さんは否定していたが」
麻子「これは島田流の送ったものとみて間違いないだろう」
麻子「そうでなければ…差出人を不明にする必要が無いからな」
麻子「事実、その次の日以降…安斎さんの顔色が変わった」
618:
麻子「何かを隠していることはわかったが」
麻子「…まさかこういう事態になるとは…」
沙織「じゃあ、安斎さんは大学選抜チームにいるんだよね!」
麻子「まず間違いないだろうな」
沙織「みぽりんの所に行って…」
麻子「待て、西住さんにはこのことを伝えるな…西住さんに伝えるのはもっと詳しくわかってからだ」
麻子「まだ確証があるわけじゃない…それに今教えたところで何になる」
華「でも…どうして安斎さんが大学選抜チームに…?」
杏「そうなんだよねぇ…そこが…どうにも引っかかるんだよねぇ…」
619:
………………
みほ「………」
ピンポーン
沙織「…みぽりん、いる?」
みほ「…うん」
沙織「……最近は…ちゃんとご飯食べてる?」
みほ「……うん、大丈夫…」
沙織「よかった…これ、いつもの手作りのおにぎり…置いておくね」
沙織「たまには外に出ないと駄目だよ…学校に来て…とかまでは言わないから」
沙織「あとゆかりんすごい気合はいってた…頑張って勝ちます!って言ってたよ」
みほ「……ありがとう」
沙織「何かわかったら、すぐにみぽりんに知らせるからね」
みほ「…うん」
620:
みほ「……」
みほ「……美味しい」モグモグ…
みほ「……ダメだなぁ…私」
みほ「エキシビョンの指揮も…秋山さんに任せちゃったし…」
みほ「…あははっ…私…安斎さんがいないと…何もできないや…」
みほ「……」
みほ「……あっ、そういえば…」
みほ「これ…みても…いいのかな?」
みほ「パソコン……どこにしまったかな…?」
…………
みほ「えっと…たしかパスワードは…」
みほ「よかった…あってた…えっと…こうしてっと」
みほ「………何が入っているんだろう…」
みほ「…動画ファイル??」
みほ「……安斎さん…!?」
621:
アンチョビ「みほ…これを見ている…ということは…」
アンチョビ「私はもう、お前の側にはいないんだろう」
アンチョビ「…だが、私はみほなら大丈夫だと信じている」
みほ「…ごめんなさい…安斎さん…私…全然大丈夫じゃない…です」
みほ「………」
アンチョビ「けど、これを見ているって事はなにか挫けるような出来事があったんだろう」
アンチョビ「残念だが…今、みほがこれを見ている時は…私が…みほを助けることは出来ない…」
アンチョビ「だけど…みほ…お前の周りを見てみろ」
アンチョビ「…みほの周りには、沢山の仲間がいるはずだ」
アンチョビ「あんこうチーム、生徒会…戦車道を通じて、多くの人と友だちになったんだ」
アンチョビ「困ったときは…誰かに頼ってもいいんだ、甘えてもいいんだ」
アンチョビ「たった一人で…悩む必要は…ないんだ」
みほ「………」
622:
アンチョビ「もう…おそらく、みほには…会うことはできない」
アンチョビ「もし会えたとしても…みほの知っている安斎千代美はもうどこにもいないだろう」
みほ「…そんな!?」
アンチョビ「けど…私が教えたこと…伝えたことは…みほの心に残っていると…私は信じている」
みほ「………」
アンチョビ「元気を出せ、みほ…お前は…独りなんかじゃない」
みほ「…はい」
アンチョビ「お前の進む道を信じれば…きっとうまくいく」
アンチョビ「…私から言えることは…それだけだ」
みほ「………はい!」
アンチョビ「………最後に」
アンチョビ「こんな形でしか…お前を守ることが出来ない私を…」
アンチョビ「どうか…許してくれ…」
みほ「……?」
623:
……………………
アンチョビ「さて…私の戦車は…」
アンチョビ「チャーフィー、軽戦車か」
愛里寿「不満…?」
アンチョビ「構わないさ、良い戦車だな…と思ってな」
愛里寿「ごめんなさい…もっと良い戦車を用意したかったんだけど…これが精一杯だった」
アンチョビ「…それで、私は何をすればいい?」
愛里寿「偵察部隊の隊長をしてほしい…」
アンチョビ「い、いきなりか!?」
愛里寿「本当は……大学選抜チームの本隊の副隊長に任命したかったんだけど…」
愛里寿「今の副隊長のみんなに反対されちゃって…」
アンチョビ(まぁ高校生の私がいきなり副隊長は怒るのも無理はないか)
アンチョビ「わかった、やれるだけのことは…やってみる」
624:
???「隊長を困らせるなんて…」
???「あの高校生…許せないわね」
???「でも、私達が反対したからじゃ…」
???「何?じゃああの子を認めろっていうの?」
???「実績はあるみたいだけど?黒森峰で1回優勝してるし今年は無名の学校を優勝に導いたとか」
???「…なによルミ?あなた、賛成派なの?」
ルミ「まぁ悪い気はしないかなーって、島田流親子のお気に入りらしいし」
ルミ「それに、隊長の扱いに際しては私達の方が一日の長があるよ、アズミ」
アズミ「メグミはどう思う?潰しとく?」
メグミ「私はあのチャーフィー部隊をどう率いるかが注目ですね…」
アンチョビ「よし、今度、空いている時間にまたボコミュージアムに行こうか」
愛里寿「うん!」
バミューダ三姉妹「!?!?!?」
625:
メグミ「ねぇ!今の聞いた?」
アズミ「うん、はっきりと聞いたわ」
ルミ「隊長とデートの約束だなんて…しかも…ま…た?」
バミューダ三姉妹「許せない…!」
…………
ザッ
アンチョビ「ん?」
メグミ「新入りさん、こんにちは」
アンチョビ「あぁ、初めまして…安斎千代美だ」
メグミ「……あなた、隊長のことはどう思ってますか?」
アンチョビ「…え?」
ルミ「隊長のことはどう思ってるのって聞いてるの!?」
アンチョビ「……」
アンチョビ「稀代の天才…ですね」
626:
アンチョビ「学ぶことが多そうでこれからが楽しみです」
アズミ(あら?意外と謙虚なのね…それとも…ハッタリかしら?)
アズミ「そう、じゃあ私達の名前は?」
アンチョビ「えっと…アズミさんに、ルミさんに…メグミさんですよね?」
アンチョビ「一応名簿は全部目を通していましたので…」
メグミ(……なかなかやるわね)
アズミ「今日の練習が終わったあと…付き合えるかしら?」
アンチョビ「構いませんが…」
アンチョビ「ただし、未成年なので…お酒は…」
ルミ「いいよ、いろいろと…聞かせてね」
アンチョビ「……?」
627:
アンチョビ「さて…練習だがチャーフィーにまず慣れないとな」
アンチョビ「…しかし高校生である私の言うことを聞くのだろうか…」
…………
アンチョビ「今日から…チャーフィー部隊の隊長を任命されました…安斎千代美です」
アンチョビ「…よろしくお願いします!」
チャーフィー隊隊員「初めまして…さっそくだけど乗ってみましょうか?」
アンチョビ「…お願いします…せっかくなので」
アンチョビ「…しばらくは今までどおりの練習メニューでお願いします」
チャーフィー隊隊員「…あら?指示とかは出さないんですか?」
アンチョビ「ええ、いつも通りでお願いします」
チャーフィー隊隊員「わ、わかりました」
アンチョビ「…前期の隊長は?」
チャーフィー隊元隊長「………私ですが」
アンチョビ「この3日間…練習メニューや紅白戦での指揮はあなたに任せます」
628:
チャーフィー隊元隊長「…え!?」
アンチョビ「…そんなに驚くことでしょうか?」
チャーフィー隊元隊長「…ですが、それではあなたは…」
アンチョビ「………もともと、私はよそ者です」
アンチョビ「いきなりあなた達の指揮をとれと言われて…私も少し困惑しています」
アンチョビ「てっきりパーシングかチャーフィーの通信手辺りだと思っていましたので…」
アンチョビ「それに、見ず知らずの高校生に指揮されるっていうのも、嫌だと思いませんか?」
チャーフィー隊元隊長「…いえ、私達は大丈夫です」
アンチョビ「…そうですか、じゃあやるべきことがわかったら指揮は私がやるようにします」
アンチョビ「それまでは…よろしくお願いします…」
チャーフィー隊元隊長「…え、えぇ…」
629:
チャーフィー隊元隊長「…それでは、今日の練習メニューはここまで…お疲れ様!」
アンチョビ「お疲れ様でした!」
アンチョビ「……」
アンチョビ(さすがは大学のエースが集まったチーム…練度は段違いだな)
アンチョビ「何でこんな部隊で私が隊長をやることになったんだ…」
アンチョビ「おっと…そろそろ時間だったな」
アンチョビ「けど…その前に…あの人のところに行くか」
………………
チャーフィー隊元隊長「…」
チャーフィー隊隊員A「なんというか…憎めない人でしたね」
チャーフィー隊隊員B「実力は確実にあるだろうね…今まで高校生がここに来たって例にないし」
チャーフィー隊隊員B「…まぁ隊長は複雑なんだろうなぁ」
チャーフィー隊元隊長「…」
………………
630:
千代「あら?安斎さん…どうしました?」
アンチョビ「…千代さん、一つ聞きたいことがあります」
千代「…何でしょうか?」
アンチョビ「何故…私が隊長になったんですか?」
千代「……」
アンチョビ「今日一日、彼女達の練習風景を見させてもらいました」
アンチョビ「…彼女達はとても素晴らしい戦車乗りです」
アンチョビ「私が指揮を行うのには…もったいないくらい…」
アンチョビ「…どうして…私が…」
千代「…あなたを隊長にしようと言ったのは…愛里寿です」
アンチョビ「愛里寿ちゃんの…」
千代「えぇ、愛里寿の期待に…応えてあげてください」
千代「あなたなら…それが出来るはずです」
千代「それでは…」
アンチョビ「…………」
631:
ルミ「お、先に来てたのね、おーい」
アンチョビ「あ、こんばんは…みなさん」
アズミ「…そんなに硬くならなくてもいいわよ」
メグミ「さぁ!行きましょう!」
ルミ「おー!」
………………
ルミ「で……安斎さんはどうやってうちの隊長と知り合ったの?」
アズミ「またボコミュージアムに行くって……またってなんですかぁ?」
メグミ「安斎さん?もしかして…うちの隊長に…に興味があったりとかは…」
アンチョビ「え、ええと…」
ルミ「まぁ聞きたいことは山程あるからね、とりあえず…今日は飲むよぉー!」
アンチョビ「ええ!?お酒飲むんですか」
アズミ「…当然じゃない、あ、でも安斎さんはジュースね」
アンチョビ「一応ノンアルコールのビールならいけますが…」
ルミ「あぁ、黒森峰の出身だったね…じゃあ…それにしましょうか」
かんぱーい
632:
アンチョビ「…ということなんです」
ルミ「いいなぁあああああああああ!!」
メグミ「隊長とデートした上に…お泊りだなんて…」
アズミ「手料理にお風呂に…一緒に寝るだなんて…羨ましすぎる!」
アンチョビ「い、いや…一緒にはねてな」
アズミ「…メグミ?ギルティORノットギルティ?」
メグミ「……………問答無用でギルティー!!!」
アズミ「はい!ギルティ頂きました!」
ルミ「ねぇ、安斎さん…?」
アズミ「…私達と…勝負…しましょう?」
アンチョビ「は、はい?」
………………
メグミ「3VS1って…安斎さんが少しかわいそうな気もするけど…」
アズミ「仕方ないわよ…これはおしおきなんだから」
ルミ「ま、洗礼ってことで…」
アズミ「…隊長に手を出したらどうなるのか教えてあげないとね」
633:
アンチョビ「敵はパーシング3両…こっちはチャーフィーか」
愛里寿「騒がしいけどどうかしたの?」
アンチョビ「なんか副隊長の三人と戦うことになったんです…」
愛里寿「…向こうはパーシング?」
アンチョビ「はい…」
愛里寿「……そっちは?」
アンチョビ「チャーフィー1両です…」
愛里寿「そう……ちょっと待ってて」
………………
アンチョビ「さて…チャーフィーに乗る…ってあれ?」
???操縦手「あ、安斎さんですか、こんにちは」
アンチョビ「あの時の…どうしてここに?」
???操縦手「…チャーフィー全部を緊急メンテナンスなんだって、隊長命令だとか」
アンチョビ「何!じゃあ戦車は…」
???操縦手「ウチの隊長から聞かされてるよ…副隊長らと戦うことになったんだって?」
アンチョビ「あ…はい」
???操縦手「大変だね…戦車がないなら…こいつに乗りなよ」
アンチョビ「これは…センチュリオン!?」
センチュリオン操縦手「操縦は任せて!」
634:
アズミ「始まったわね、ルミ、偵察お願い」
ルミ「了解…どう来ると思う?」
メグミ「こそこそと逃げまわるんじゃないかしら?」
ルミ「じゃあめに見つけてじっくり包囲しよう…ってあれ?」
ルミ「なんか今…見覚えのある黒い戦車が見えたような…あれ?」
ドォォォン!
………カッ シュポッ
ルミ「嘘っ!?」
アズミ「どうしたの、ルミ!?」
ルミ「センチュリオンがいきなり来て……撃ってきた!?」
635:
アンチョビ「まさか…こいつに乗ることになるとは…」
センチュリオン砲手「次…どうする?」
アンチョビ「不意打ち気味とはいえ……バミューダトライアングルを封じることはできた…」
アンチョビ「M012地点に移動してください…」
アンチョビ「おそらく、向こうは有利な場所に移動するはずです…もうその前に一両叩きます」
センチュリオン操縦手「りょーかい」
………………
アズミ「何?!隊長が援軍に来たの!?」
メグミ「でも隊長は今日はお出かけのはず…まさか」
アンチョビ「…いた!」
メグミ「やっぱり…」
アズミ「隊長のみが許されるセンチュリオンに…何故彼女が…!」
アンチョビ「撃てぇー!」
ドォォォン!
636:
アズミ「…くっ、隊長車を傷つけてしまうのはいやですが…覚悟してくなさい!」
アズミ「…!消え…」
アンチョビ「撃てぇ!」
ドォォォン!
………カッ シュポッ
メグミ「停車した!砲撃お願いします!」
ドォォォン!
ガァン!
メグミ「弾かれた…後退後退!!」
メグミ「って追いつかれますよねぇー!」
ドォォォン!
………カッ シュポッ
………………
アンチョビ「……………」
センチュリオン砲手「…いっちょあがり」
アンチョビ「…すごい」
アンチョビ「これが…大学選抜最強のチーム」
ルミ「ごらああああああああああ!」
アンチョビ「!?」
637:
アズミ「あなた!さっさと隊長の戦車から降りなさい!」
メグミ「…今のナシ!もう一回勝負!」
アンチョビ「あ、いや、でもチャーフィーは今整備中らしくて」
メグミ「パンターでもいいじゃない!」
ルミ「もう怒ったわ!ギッタギタのボッコボコに…」
愛里寿「…何をしているの…?」
ルミ「…隊長!この女が…隊長の戦車を」
愛里寿「……うん、私が貸したの」
アズミ「えぇ!?」
メグミ「そんな!この女(アマ)には勿体無いです!」
愛里寿「……何か不満なの?」
ルミ・アズミ・メグミ「…………!」
ルミ・アズミ・メグミ「…す、すみませんでしたああああああああ!!!!!」
愛里寿「…いいよ、そんなに怒ってるわけじゃないから」
愛里寿「安斎さん…用事が終わったから…いこ?」
アンチョビ「え?どこに?」
愛里寿「約束通り…ボコミュージアム!」
638:
ルミ・アズミ・メグミ「…!」
アンチョビ「あ、ええと…その…」
アンチョビ「……!」
ルミ(あぁ!?断るのか!?)
メグミ(隊長を悲しませたらどうなるのか…わかってるでしょうね…!)
アズミ(…ニコリ)
アンチョビ「よ、よぉおおおし!行こうか!」
愛里寿「うん!じゃあ、試合はまた今度ね」
アンチョビ「え?また…試合するのか?」
愛里寿「まぁ…あの結果じゃ三人も納得は行かないだろうし、公平な条件で…もう一度」
ルミ・アズミ・メグミ(ギラーン!)
アンチョビ(あ、あぁ……)
639:
アンチョビ「…」
愛里寿「ボコー!がんばれー!ボコー!」
アンチョビ「……」
愛里寿「…安斎さんも応援して…」
アンチョビ(あぁ、そうだ…頑張れ…私!)
アンチョビ(まだまだ始まったばかりじゃないか…ここでくじけてどうする…!)
アンチョビ(よし!ここらへんで大声を出して…スッキリしようじゃ…)
アンチョビ「…が…」
みほ「………頑張れ」
みほ「…頑張れっ!ボコー!」
アンチョビ「頑張れー!ボコー!!」
みほ「頑張れー!……あれ?」
640:
みほ「今の声…」
沙織「………!」
優花里「…!!」
華「あらあら…」
麻子「こんな偶然が…あるものなんだな」
みほ「…………あ、ああああああああ!!!!!」
アンチョビ「ああああああああ!!!」
みほ「安斎さん…!」
優花里「確保ォォー!!」
アンチョビ「悪い!逃げるぞ!愛里寿!」
愛里寿「え、ええっ!?」
652:
みほ「……」
みほ(…行こう…大洗に…)
…………
杏「あれ?西住ちゃん!?」
みほ「…………」
杏「…もう、大丈夫なの?」
みほ「…はい!」
杏「……そっか…よかった…」
みほ「秋山さんは…?」
杏「あそこの部屋で作戦会議中だよ、悩んでるみたいだから手伝ってあげて!」
みほ「…はい!」
653:
優花里「うーん、ここでプラウダの後ろを付いて…上手く包囲に持ち込めれば…」
ペパロニ「パンターが使えないのが大きいッスね…」
カルパッチョ「代理の車長を用意するのはどうでしょうか?」
エルヴィン「いや、慣れてない戦車を使うのは難しいだろう、しかも本番は明日だ」
みほ(みんな…真剣に考えてる…)
みほ(慣れてないはずなのに…私のために…)
みほ(…ありがとう…)
みほ「うーん…この作戦は…こっちにポルシェティーガーを回したほうがいいかな」
優花里「確かに…!流石ですね!西住殿……」
優花里「……西住殿?」
みほ「優花里さん、ありがとう、迷惑をかけて…ごめんなさい」
優花里「……」
みほ「私も…作戦会議、参加してもいいかな」
優花里「………!はい!」
654:
麻子「本当に…もう大丈夫なのか」
みほ「安斎さんがいないのは寂しいですけど…」
みほ「泣いても…安斎さんは戻ってきません」
沙織「何かあったらすぐに私達に言ってね!」
華「出来ることがあったら…全力で協力いたします」
優花里「私達は、いつでも西住殿の味方ですからね!」
みほ「……はい!」
………………
翌日 エキシビョン戦後 
みほ「…エキシビョン、負けちゃったね…」
優花里「でも、途中までは完璧でした…」
みほ「あそこで知波単学園の皆さんがちょっと前に出過ぎちゃったのがまずかったですね」
みほ「でも、西さんも反省してたみたいだし…」
みほ「……楽しかった」
沙織「そうだね…すごく楽しかった」
みほ「…あれ?」
みほ「校門…なにか?」
華「キープ…アウト?」
655:
そど子「何よこれえええええええええ!」
役員「君たち…勝手に中には入ってはいけませんよ」
桃「あの!私達は…ここの生徒で…」
役員「もう君たちはここの生徒ではない…」
そど子「どういうことですか!?」
役員「君から説明しておきたまえ…」
杏「……」
桃「会長…どうしたんですか!?」
杏「…大洗女子学園は……8月31日をもって廃校が決定した」
「「「えええええ!?」」」
656:
沙織「戦車道の大会で優勝したら…廃校は取り消されるんじゃ…」
杏「あれは…確約ではなかったそうだ」
桃「何ぃ!?」
みほ「つまり…私達の戦いは…」
杏「……」
杏「廃校に基づいて学園艦は解体される…」
桃「そんな…」
典子「それじゃあバレー部は…」
そど子「風紀委員は…どうなるっていうのよ!」
ガヤガヤガヤガヤ…
桃「こうなったら抵抗するぞ!徹底抗戦だ!」
エルヴィン「そうだ!このまま終われるか!」
ペパロニ「学園にたてこも…」
杏「…残念だが本当に廃校なんだ!」
杏「…もし我々が抵抗を行ったら一般の再就職は斡旋しないそうだ…」
杏「…………すまない」
みほ「そんな…ひどい…」
カルパッチョ「…急すぎます」
657:
みほ「戦車は…?」
杏「文科省の預りとなる」
優花里「…戦車まで!?」
ペパロニ「あんまりッス!」
みほ「………」
柚子「みなさん…決まってしまったことは仕方がありません」
柚子「寮の人は寮に戻って、自宅の方は家族と一緒に引っ越しの準備をしましょう」
みほ「……」
沙織「み、みぽりん?」
みほ「だ、大丈夫…大丈夫…だから」
………………
みほ(学校がなくなる…皆と離れ離れに…)
みほ(でも…もう決まっちゃったんだよね…)
みほ(…もう、私達には…何も…)
prrrrrr
みほ「…電話…誰からだろう?」
みほ「……!!!!!」
着信 安斎さん
658:
みほ「もしもし!安斎さんですか!」
千代「こんばんは」
みほ(安斎さんじゃない…)
みほ「……どなたですか?」
千代「……初めまして…私、島田流家元の…島田千代です」
千代「携帯番号がわからなかったので、安斎さんの電話を借りています」
みほ「は、はい…初めまして…」
みほ「それで…どういう用件でしょうか」
千代「安斎千代美さんのことについて…お話が」
みほ「……」
千代「……彼女は今、私が運営している大学選抜チームにいます」
みほ「……!」
千代「…彼女に…会いたいですか?」
みほ「………はい」
659:
千代「では…3日後の正午に…大洗にあるボコミュージアムというところに来てください」
千代「そうしたら、彼女に会えます」
みほ「…わかりました」
千代「しかし…彼女は…ある覚悟を持って…私達の所に来ました」
みほ「……?」
千代「わかりませんよね、ならいいましょう」
千代「…自分の一生を島田流に捧げる覚悟です」
みほ「………!!!」
みほ「……どういう…ことですか…!?」
千代「……さぁ?しかしこれだけは確実にいえます…」
千代「彼女は…二度と貴方達のところには戻れないし…戻るつもりもないでしょう」
みほ「……!」
660:
千代「あなた達が何をしようとも……安斎千代美は…もう、取り戻せません」
661:
千代「それでは…失礼します」
千代「あぁ、それとこのことについては…他言無用でお願いします」
千代「…いいですね?」
みほ「……はい」
千代「それでは…」ピッ
…………………
千代「…思ったよりも…文科省がく動きましたね…」
千代「さぁて…西住みほがどう出るか…楽しみですね」
662:
みほ「……」
桃「サンダースがうちの戦車を預かってくれるそうだ!」
柚子「紛失したという書類も作ったわ」
杏「これで戦車は大丈夫だね!」
ケイ「ハーイ!」
杏「さんきゅー!さんきゅー!」
ケイ「こんなのお安い御用よ!」
みほ「……」
沙織「みぽりん…?どうかしたの?」
みほ「あっ、ううん、なんでもないよ…」
千代「貴方達が何をしようとも……安斎千代美はもう、取り戻せません…」
アンチョビ「もう…おそらく、みほには…会うことはできない」
アンチョビ「もし会えたとしても…みほの知っている安斎千代美はもうどこにもいないだろう」
みほ(…安斎さん…一体、何があったんですか…)
663:
華「みほさん…どうかしましたか?」
みほ「…あっ、サンダースの皆さん、ありがとうございまーす!」
ケイ「ハーイ!ところで…安斎ちゃんは?」
みほ「………」
ケイ「……悪いことを聞いちゃったみたいね…とにかく急いで!ハリアップ!」
みほ「…あ、はい!」
ケイ(………どういうこと?)
……………
飛行中
ケイ「…まほ…今、起きている?」
まほ「…あぁ、何かあったのか?」
ケイ「まぁ聞いてよー、今大洗の戦車を運んでいるんだけど」
ケイ「大洗にいるはずの安斎ちゃんの姿がどこにも見当たらなかったの」
まほ「…何!?」
664:
ケイ「みほにも声をかけたんだけどね…どうやらみほもしらないみた」
まほ「どういうことだ!」
ケイ「…わからないわ」
ケイ「けど…何かやばい予感がするのよね…女の勘ってやつなのかしら…」
…………
まほ「…安斎が…消えた?」
まほ「……!」
まほ「まさか…あの時の言葉は…」
………
アンチョビ「…まほ」
アンチョビ「……みほのことを…頼んだぞ…」
………
まほ「……エリカ!」
エリカ「…どうしました?隊長」
まほ「安斎が消えたそうだ」
エリカ「はぁっ!?」
エリカ「あっ、すみません…隊長…」
エリカ(………あの人は…っ!)
665:
翌日 夕方
みほ「行っちゃったね…学園艦…」
華「はい…なんだか、不思議な気分ですね、潮の香りがしませんし…」
みほ「海の上じゃないのも新鮮だね」
麻子「あぁ、そうだな」
沙織「えー、いいじゃん、山も」
キィイイイイン
みほ「……!」
みほ「…来た!」
…………………
優花里「約束通り運んできてくれましたね!」
みほ「皆さん、ありがとうございました」
ケイ「ちゃんと届けたわよ!」
アリサ「この借りは高く付くわよ?」
みほ「え?」
アリサ「この借りを返すために戦車道を続けなさい」
アリサ「今度は私達がアンタたちをボコボコにする番だから…」
みほ「はい!」
666:
杏「とりあえずここでしばらくは生活は出来そうだな」
桃「…いいんですか?」
杏「…………もうちょっとしたら出かけてくる…かーしま、後は頼んだぞ」
桃「はい!」
prrrrrrrr
杏「…どちらさん?」
まほ「…もしもし、大洗の生徒会長だな」
杏「黒森峰の隊長が…私に何の用だい?」
まほ「今の安斎千代美に関して…そちらが知っていることを聞かせて欲しい」
杏「………正直、わかんないことだらけ」
杏「大学選抜チームにいるって可能性が見え隠れしてるんだけどさ」
まほ「…大学選抜?あの島田流のか…」
杏「そーそ、二回戦以降、ちょくちょく交流してたみたいよ」
エリカ「…隊長、調べてみます」
まほ「……わかった…貴重な情報、感謝する」
まほ「…安斎千代美は私の大切な親友だ…出来ることがあるならば…協力しよう」
667:
3日後…約束の日
みほ「みんな、ボコミュージアムってところがあるんだけど…」
みほ「よかったらみんなで行かない?」
沙織「え?」
みほ「ほら、いろんなことがあって…ようやく落ち着いたから…気分転換に…どうかなって」
優花里「賛成です!」
麻子「悪くないな…」
華「はい!行きましょう!」
……………………
優花里「なんというか…随分ボロボロですね…」
みほ「……」
沙織「あれ?みぽりん…どうしたの?」
みほ「行こう」
華「あっ、はい…」
…………
麻子「どこかで見たようなアトラクションばかりだな」
華「随分とガラガラでしたね…ショーに並んでいるのも私達だけですし」
みほ(そろそろ時間のはず…)
麻子「西住さん、さっきから時計ばかり気にしているが…」
みほ「そろそろ、ショーが始まるから…気になっただけ…」
みほ(…12時…)
みほ(…………来ない)
668:
みほ(複数人で来たのがまずかったのか…それとも…嘘の情報だったのか…)
みほ(…安斎さんには会えなかった…)
みほ(…残念だけど、今日はボコミュージアムを楽しんで帰ろう)
みほ(そうだ、ボコを応援しなきゃ…)
………………
ボコ「みんな!オイラに力をくれー!」
みほ「………頑張れ」
みほ「…頑張れ!ボコー!」
アンチョビ「頑張れー!ボコー!!」
みほ「頑張れー!……あれ?」
みほ「今の声…」
みほ(…まさか…)
沙織「………!」
優花里「…!!」
華「あらあら…」
麻子「こんな偶然が…あるものなんだな」
みほ(いや…偶然じゃない…これは…)
みほ「…………あ、ああああああああ!!!!!」
アンチョビ「ああああああああ!!!」
みほ「安斎さん…!」
みほ(本当に…本当に来たんだ…安斎さん…!)
優花里「確保ォォー!!」
みほ(安斎さん…聞かせてください…あなたの今を…そして…)
アンチョビ「こんな形でしか…お前を守ることが出来ない私を…」
アンチョビ「どうか…許してくれ…」
みほ(なんで…あんなことを言ったのか…教えてください!)
673:
アンチョビ「愛里寿!しっかり掴まってて!」
愛里寿「うん!」
アンチョビ「はぁ…はぁ…な、なんとか…逃げ切ったか」
愛里寿「安斎さん…大丈夫?」
アンチョビ「…ま、まぁ…大丈夫」
華「…」ガシッ
優花里「…」ガシッ
アンチョビ「あ…」
674:
優花里「西住殿!安斎殿を確保しました!」
優花里「はい!例の島田愛里寿も一緒です…」
アンチョビ「あ!あそこにパンター?が!」
優花里「え!?どこですか!?」
アンチョビ「華…すまない!」ドン
華「きゃあっ!」
優花里「はっ!大丈夫ですか!華さん!」
華「軽く押されただけです…でも…安斎さんが…」
アンチョビ「…行くぞ…愛里寿!」
愛里寿「う、うん……」
675:
アンチョビ「な…なんとか逃げ切ったか」
愛里寿「……うん」
アンチョビ「バスの中までは流石に追って来ないだ」
アンチョビ「……ん?」
アンチョビ「あれ…?号戦車か!?」
…………
みほ「麻子さん、安斎さんが降りるまで後ろにつけてください!」
麻子「おっけー」
みほ「他の皆さんもすぐに向かうそうです、このまま追い込みましょう!」
沙織「うん!皆、急いでね!」
676:
アンチョビ「まずいな…」
アンチョビ「もしもし…家元ですか?」
アンチョビ「みほに今追われています」
アンチョビ「お迎えをお願いできないでしょうか」
アンチョビ「…わかりました…じゃあ○○駅前のバス停でお願いします」
………
アンチョビ「よし!降りるよ、愛里寿」
愛里寿「うん」
アンチョビ「戦車が近づいてくるだろうけど…こわがらないで…」
愛里寿「わかった…でも、私…あまり走れな…」
アンチョビ「それじゃあ…よいしょっと…」
愛里寿「えっ?…ええっ///」
アンチョビ「……行くぞ!」
677:
アンチョビ「………」ダッダッダッ
アンチョビ「…あれか!」
アンチョビ「失礼します!」
???「おっけー、飛ばすよー!」
…………………
アンチョビ「……ふぅ、なんとか捕まらずにすんだ…」
アンチョビ「怪我はないか、愛里寿」
愛里寿「うん…私は大丈夫」
愛里寿「ルミも…ありがとう…」
アンチョビ「…え?ルミ…?」
ルミ「隊長の危機なんですからこのくらいお安い御用ですよ…」
ルミ「それと…安斎さん、あとで…先ほどの行為について説明してもらいますから…」
アンチョビ「あ、あれは…」
ルミ「お姫様抱っこかぁ…いいなぁ、羨ましいなぁ…」
ルミ「アズミやメグミにも言わないとな?」
678:
みほ「……逃げられちゃいましたね…」
優花里「すみません…」
みほ「…いいよ、気にしてないから…」
みほ「…でも、なんで安斎さん…あんなに必死になって…」
みほ「やっぱり…もう私達とは…」
麻子「しかし、これで安斎さんが大学選抜チームに居るのは確定したな」
麻子「おそらくは島田流が…鍵を握っている…」
麻子「そしてボコミュージアムにバスや電車来ていたことを考えると大学選抜はそう遠くないところにいるようだ」
麻子「この周囲を調べれば…何かわかるかもしれない」
沙織「一歩前進だね」
華「そうですね…そういえばみほさん、実家、戻らなくてはならないんじゃ」
みほ「あ、そうか…転校の手続きをしないと…」
沙織「よかったら一緒についていこうか?」
みほ「うぅん…大丈夫」
679:
2日後
アンチョビ「……公平な条件…で再試合か…」
アンチョビ「こっちはチャーフィー5両…向こうはパーシング3両…」
アンチョビ「…バラバラに戦ったらバミューダトライアングルの餌食になるな」
アンチョビ「皆さん、全車両で五角形を作ってください!」
アンチョビ「まずは向こうの様子を見ます…どこから来ても問題のないように警戒態勢を続けてください」
……………
アズミ「向こうは堅実に来たようね」
ルミ「それなら、あえて最初はバミューダアタックを封印しましょうか」
メグミ「…そうですね…」
ルミ「そういえば…あの後あの子が吐いたんだけどさ」
ルミ「隊長をお姫様抱っこだけじゃなくて…おんぶもしてたらしいよ」
アズミ「…ふーん」
メグミ「そう……」
バミューダ三姉妹「「「…………潰す…」」」
680:
アンチョビ「…来た!」
アンチョビ「あれ?一両だけ?アンブッシュか?」
アンチョビ「こちらからは迫らず…ギリギリまで引きつけてください…」
アンチョビ「向こうが撃ってきたら、この距離を維持しつつ砲撃してください」
ドォォォン!ドォォォン!
アンチョビ「…この距離を維持できたまま…撃破できればいいけど…!」
アンチョビ「…右から……しまっ!」
ルミ「いただきまーす」
ドォォォン!
アンチョビ「…あ、危ない…もうちょっとでやられていた」
アンチョビ「だが…二両に挟まれるな…度は上…全力でここから脱出します!」
681:
ルミ「あらー、逃げられちゃった」
アズミ「なかなかやるわね」
メグミ「えぇ、最善策を取り続けているわ」
ルミ「あれで高校生か…二回の優勝も納得だわ」
アズミ「高校生相手にちまちましてるのもしょうがないわ」
ルミ「やっぱりやる?相手は5両だけど」
メグミ「いつも通りの」
ルミ「バミューダアタック!」
682:
アンチョビ「そろそろ…来るか」
メグミ「さっきといいやりにくい地形ね」
アズミ「じゃあ軽く二両撃破して逃げさせますか」
ルミ「オッケー!」
アンチョビ「…バミューダアタック」
アンチョビ「副数の戦車が変幻自在の動きを行うことで砲手の動きを阻害する攻撃」
アンチョビ「……それなら」
アズミ「仕掛けるわ!」
アンチョビ「一か八かのバミューダ破り!」
アズミ「…ここ!」
アンチョビ「…撃てぇ!」
ビュオオオオオ!
ドォォォン!
アズミ「甘いわ!」スッ
ルミ「ぇ!?」
……カッ シュポッ
683:
ルミ「ど…どうして…」
アンチョビ「狙いを撹乱させるってことは…動きまわるってことですよね?」
アンチョビ「当てないと撃破は出来ない、装填にも時間が掛かるしその間にやられる可能性も高い…」
アンチョビ「焦りを利用したいい作戦ですね…だけど…」
アンチョビ「…腕が止まるくらいなら…適当でいいんですよ!」
アンチョビ「なんせ…的が3つもあるんだから…」
メグミ「まさか…こんな方法でバミューダアタックを破るなんて…」
アズミ「けどこちらも2両撃破したわ…撤退しましょう!」
アンチョビ「これでバミューダアタックは封じることができた…次!」
684:
アズミ「次、どうする?」
メグミ「二人版のアタックは効果が半減するわ…しかも、また撃ってくるかもしれない」
アズミ「そうね…側面を狙いましょう、向こうも3両…」
メグミ「えぇ」
……………
アンチョビ「…このままいきますよ!」
アンチョビ「…よし!このまま次のポイントに移動して…」
ドォォォン!
……カッ シュポッ
アンチョビ「……待ち伏せか!」
メグミ「これでイーブン…面白くなってきたじゃない」
アンチョビ「…撃てぇー!」
ドォォォン!
ドォォォン!
アンチョビ「い!けどなんとか…」
ドォォォン!
……カッ シュポッ
メグミ「…あらら?」
アンチョビ「…やった…けど!」
ドォォォン!
アンチョビ「残っているのは私だけ…ですか」
アンチョビ「一騎討ち…ですね…」
685:
アズミ「えぇ、正直…あなたがここまでやるとは思わなかったわ」
アンチョビ「…そうですか」
アズミ「…隊長が気に入るだけのことはありますね」
アズミ「だけど、私達にも大学選抜の意地があるので…譲るわけにはいかないわ」
アンチョビ「…望むところです」
アンチョビ「……」
アズミ「……」
アンチョビ「…今!」
アンチョビ「…撃てぇー!」
ドォォォン!
アズミ(この地形なら…)
アズミ「右にドリフト…急転回!!」
アンチョビ「…躱された!?」
ドォォォォン!!
686:
アズミ「私の勝ちね…」
アンチョビ「……最後のは…」
アズミ「ぶっつけ本番の新必殺技よ、上手く行ってよかったわ」
アンチョビ「…そうですか…」
アンチョビ(この対応力…さすが大学選抜…)
アンチョビ「良い勉強になりました」
アズミ「えぇ、あなたの実力も確かなものね…そこは認めるわ」
ガシッ…
アズミ「けど……」
ギュウウウウウウウウウ…
アンチョビ「あだだだだだだだっ」
アズミ「隊長のことは…また別ですからね」
アンチョビ「は、はい!わかりましたぁ!!」
アズミ「よろしい!」
687:
愛里寿「安斎さんはどうだった?」
ルミ「強かったですよ…」
メグミ「バミューダアタックをあぁいう形で破られたのは初めてです」
アズミ「まぁ本人曰く当たるかどうかはわからない賭けみたいなものだったらしいですが…驚かされました」
愛里寿「…そっか、じゃあ副隊長の件は…」
メグミ「えぇ、構いませんよ、彼女の実力なら務まるでしょう…」
ルミ「千代美…だから?」
アズミ「名前は後で考えましょうか…4人だから…えーっと」
愛里寿「……」
愛里寿「…私も…安斎さんと…戦ってみたいな」
メグミ「…いいんじゃないですか?」
愛里寿「…そう?」
アズミ「えぇ、まぁ隊長が勝つのは決まっているでしょうが…」
ルミ「きっと、喜んで戦ってくれると思いますよー」
688:
愛里寿「…わかった」
ルミ「…ところで…」
アズミ「隊長はあの人のこと…どう思ってるんですか?」
愛里寿「えっ!?」
愛里寿「えっと…その…あの……」
メグミ「やっぱり潰しましょうか」
愛里寿「と、友達…かな」
バミューダ三姉妹「「「……!」」」
ルミ「そうですかー!友達なんですかー」
アズミ「よい友好関係を築きあげてくださいね…友達…として」
メグミ「私達も友達として…応援します」
愛里寿「あ、ありがとう…」
689:
2日後…
愛里寿「今日はよろしく…安斎さん」
アンチョビ「あぁ…よろしく頼む」
愛里寿「この前…チャーフィー部隊のみんなが安斎さんのこと褒めてた」
アンチョビ「そ、そうか?」
愛里寿「うん、負けはしたけど副隊長三人相手にすごく良い指揮だったって…」
愛里寿「また指揮をとってほしいって言ってた」
アンチョビ「そ、そう言われると少し照れるな…」
愛里寿「今日は…パンター5両VSシャーマン3両…の殲滅戦で」
アンチョビ「あぁ、お手柔らかに頼むよ」
愛里寿「うん!」
690:
アンチョビ「数は私達が有利…おそらくいきなりは仕掛けてこないはず……」
アンチョビ「二両を前に出して…側面を取られないようにしつつ…」
アンチョビ「戦車の影…来たか」
アンチョビ「…いや!いくらなんでもすぎ…」
アンチョビ「というかシャーマンじゃな…」
アンチョビ「……あれは……」
アンチョビ「ティーガー!?」
691:
まほ「撃てぇー!!」
ドォォォン!!
アンチョビ「…やられた!大丈夫か?」
アンチョビ「どういうことだ!向こうにティーガーはいないはず」
アンチョビ「…そもそも大学選抜にティーガーは…なかった」
まほ「次だ!撃てぇ!」
アンチョビ「とにかく逃げないと……!」
アンチョビ「………!」
アンチョビ「…ティーガー?に…ヘッツアーに…パンターまで…」
アンチョビ「…完全に囲まれた…!」
ドォォォン!ドォォォン!ドォォォン!
692:
アンチョビ「……ダメか…」
……カッ シュポッ
アンチョビ「……」
アンチョビ「…ティーガーがこっちに来る……まさか…あれは…」
まほ「安斎、聞こえているならハッチを開けろ」
アンチョビ「………まほ」
エリカ「迎えに来たわ…いや、確保しにきた…って言ったほうが良いかしら」
アンチョビ「……あっ!あそこにみほが…」
まほ「……いくぞ」ガシっ
アンチョビ「なっ!?は、離せ…引っ張るな!いきなりなんでこんな…」
まほ「みほが待っている…」
アンチョビ「え?!どうして」
エリカ「…それを聞きたいのはこっちよ…!」
エリカ「暴れないで!行くわよ」
693:
…旧上岡小学校 空き教室
まほ「…少し待ってろ」
アンチョビ「…」
エリカ「…」
アンチョビ「…」ガチャガチャ…
エリカ「逃げようとしても無駄よ…」
アンチョビ「あぁ、手錠を嵌められたのは初めてだな…」
エリカ「貴重な体験よ…感謝なさい」
アンチョビ「なぁ、エリカ…早だがこれ外してくれないか」
エリカ「……ダメ、逃げるでしょ」
アンチョビ「相変わらず…厳しいな…」
まほ「…待たせたな」
みほ「…………」
694:
アンチョビ「…みほ」
みほ「……安斎さん」
まほ「……」バシッ!
みほ「!」
バシッ…バシッ…バシッ!
まほ「目は覚めたか?」
みほ「お姉ちゃん!やめて!」
アンチョビ「…痛いじゃないか…まほ…」
まほ「………まだまだ足りないが…みほの前だ…このくらいで勘弁してやる」
まほ「話は…全て聞かせてもらった…」
695:
まほ「なぜ…大洗を去ったのか」
まほ「なぜ島田流に入ったのか…」
アンチョビ「そうか、なら、手錠を外してくれないか…」
まほ「なぜ…みほ達に相談しなかった」
アンチョビ「言っても…どうにもならなかったじゃないか…解決策が…それしかなかったんだから…」
アンチョビ「それに…決勝前に戦っても無駄になるなんて言ったら…士気が下がるじゃないか…」
まほ「だが、安斎一人が抱え込む必要はなかったはずだ!」
アンチョビ「……」
まほ「…もういい、みほ…後は好きにしろ」
みほ「うん…お姉ちゃん、ありがとう…」
まほ「…エリカ…行くぞ」
エリカ「……はい」
みほ「……」
アンチョビ「……」
719:
辻「廃校の件はもうすでに決定したはずです…」
杏「ですが、優勝すれば廃校はまぬがれる約束をしたはずです」
辻「口約束は約束じゃないでしょう」
杏「……」
辻「可能な限り善処したんです…ご理解ください」
…………
理事長「文科省が一旦決定したことは我々も覆せないからなぁ」
杏「向こうの面子が立たない…ということですか」
理事長「そういうことになるな…」
蝶野「面子ということであれば…優勝するほどの力のある高校をみすみす廃校にしてしまっては…」
蝶野「それこそ戦車道連盟の面子が立ちません」
理事長「ううむ…」
蝶野「戦車道に力を入れると言っている国の方針とも矛盾していますし、なによりもイメージが下がります」
杏「…私達は優勝すれば廃校が撤回されると信じて戦ってきました」
杏「最初から信じていた道がなかったと言われて、引き下がるわけには行きません」
理事長「しかし、今、文科省は2年後に開催される世界大会のためのプ口リーグの設営で頭がいっぱいだしなぁ」
杏「プ口リーグ…それですね」
蝶野「ここは…超信地旋回で行きましょう」
理事長「…?」
720:
みほ「……」
まほ「……みほ」
みほ「…お姉ちゃん」
まほ「……おかえり」
……………
みほ「いいの?」
まほ「ここはお前の家だ…戻ってくるのに何の遠慮がある?」
しほ「まほ……お客さん?」
まほ「……学校の友人です」
しほ「…そう…………王手」パチン
杏「…待った!」
しほ「…またですか?」
杏「うーん……」
みほ「今の声…会長?」
721:
………………
しほ「…みほは…上手くやっていますか?」
杏「えぇ、よくやってくれていますよ」
杏「彼女がいなかったら、大洗はなくなってましたから」
しほ「…そう…」
杏「……」パチン
しほ「……」パチン
杏「…だーは、参りました…」
しほ「…で、ご用件は?まさか、将棋のために来たわけではないですよね?」
杏「……西住しほさんに…お話と…」
杏「お願いしたいことがあります」
……………
まほ「……どうかしたか?」
みほ「…変わってない…」
まほ「書類は…?」
みほ「…これ…」
まほ「…ちょっと待ってろ…」
722:
まほ「……みほ」
みほ「え、お姉ちゃん、その書類とはんこは…」
まほ「しーっ」
みほ「……」
まほ「…さて、みほ…少し…聞きたいことがある」
みほ「………」
まほ「安斎のことについてだ…」
…………
みほ「…」
まほ「安斎に…会ったのか…」
みほ「うん…逃げられちゃったけどね…」
まほ「……そうか…」
まほ「…大洗に転校する前日……私は安斎と約束をした」
まほ「…みほの側に出来る限りいてほしい……と…」
まほ「私は…お前の側にはいてやれなかった」
まほ「本当は…私がいなければならないはずなのに…」
みほ「お姉ちゃん…」
723:
まほ「だが…私では…お前を助けることができなかった…」
まほ「何もかも気がついた時には…遅かった……」
まほ「みほ…本当に……すまなかった…」
みほ「……安斎さんがずっと言ってました」
みほ「妹のことが嫌いな姉なんていない、いたとしても…まほは絶対に違う…って」
まほ「…!」
みほ「……ずっと私の事…心配してくれてたんだよね」
まほ「………」
みほ「……」
まほ「…安斎は…わかったと…笑顔で応えてくれた」
まほ「…だが、そんな彼女が約束を破り…大学選抜チームに行った」
まほ「…あいつは約束を忘れるようなやつじゃない」
まほ「……何かがあるはずなんだ…何かが…」
724:
しほ「…………」
杏「…お願い…できないでしょうか」
しほ「来年、戦車道大会で大洗女子学園が出てこなければ…」
しほ「黒森峰で叩き潰すことが…できなくなるわね」
杏「……ありがとうございます」
……………
prrrrrrr
杏「失礼します…もしもし…そう、終わったんだね」
杏「なにか気になるものあった…?」
杏「…興味深い映像を発見…わかった」
杏「じゃあ西住ちゃんと私の携帯にメールで映像を送って」
……………
しほ「若手の育成なくして、プロ選手の育成は成し得ません」
しほ「これだけ隔たりがあったのでは、プ口リーグの設営委員会の委員長を務めるのも…難しいでしょうね」
辻「いや、それは…今年度中にプ口リーグを設営しないと大会の誘致が出来なくなるのはご存知でしょう?」
しほ「優勝したチームを廃校にするのは文科省が掲げるスポーツ振興にも反します」
辻「しかしまぐれで優勝したチームですから…」
しほ「戦車道にまぐれなし!あるのは実力のみ!」
辻「!」
しほ「どうしたら…認めていただきますか?」
辻「…まぁ、大学強化チームに勝ちでもしたら…」
杏「わかりました!勝ったら廃校を撤回してもらえるんですね!」
辻「えええ!?」
杏「今ここで、誓約書にサインをお願いします…」
杏「噂では口約束は約束ではないようですからねー」
725:
みほ「………………!!」
まほ「みほ、どうかしたか?」
みほ「…これ…」
まほ「………………!」
まほ「…これは…」
みほ「安斎さんはこれをみて…」
まほ「なるほど…」
みほ「…」
杏「西住ちゃ?ん、動画は見たかな?」
みほ「…はい」
杏「安斎ちゃん、西住ちゃんを守ろうとしてたんだね」
みほ「…はい」
杏「……大学強化チームと戦って勝ったら廃校を撤回できるようにした」
みほ「…………!」
杏「この試合に勝てば…彼女を救える」
みほ「…!!!」
まほ「エリカ!何かわかったことがあるか!」
エリカ「はい!ついさっき、SNSからの写真で彼女の場所を特定しました!」
エリカ「そして黒森峰の諜報部によると明日試合を行うそうです!」
まほ「…みほ…」
みほ「…私…安斎さんと…話がしたい」
みほ「………安斎さんを助けたい!」
まほ「わかった…少々強引な手段になるが…なんとかして…安斎を連れてくる!」
みほ「お願い…お姉ちゃん!」
726:
翌日
千代「家元襲名…おめでとうございます」
しほ「ありがとうございます」
しほ「ここは是非、大学強化チームの責任者である…島田流家元にも…ご了承を頂きたいと思いまして…」
千代「……」ズズズ……
千代「………お断りいたします」
しほ「!?」
杏「!?」
杏「……どうしてでしょうか」
千代「……大学強化チームは3ヶ月先までスケジュールが埋まっています」
千代「この期間の間に試合をすることはできません…」
千代「…申し訳ありませんが…他との試合を…」
しほ「安斎千代美」
千代「!!!」
しほ「…彼女の存在が理由でしょう?」
727:
しほ「西住流の門下生である彼女が島田流に入ったという情報を聞いたものでして」
千代「……」
杏「あなたは廃校を救うという条件で彼女を引き入れた」
杏「彼女の弱点である西住ちゃんを使ってね…」
杏「そして…電話することで…西住ちゃんをも引き入れようとした」
杏「おそらく、心の拠り所である安斎ちゃんの姿を見て彼女もそれに付いて行くと思ったんでしょうね」
杏「……しかし彼女は…以前の彼女ではなかった」
杏「彼女は…前に進んでいたんです」
千代「な、なぜ…そんなことが…」
杏「彼女の使っていたパソコンですよ…」
杏「パスワードの解析に時間がかかりましたが…映像の削除は行ってなかったようですね」
杏「すべて見せてもらいましたよ…あなたの計画を」
千代「なっ!?」
728:
杏「しかし、廃校が決定する前に買い取ってないのをみると…」
杏「あなたは安斎千代美と西住みほ以外は転校しても良いと思ってたようですが」
杏「…さて、もしこのことを…彼女が…安斎ちゃんが知ったら…どうなるでしょうね?」
千代「……なるほど、しかし彼女にどうやって話すのですか?…彼女が大学強化チームに居る限り…」
千代「彼女がこのことを知ることは…絶対にありません」
千代「何を言おうと…勝負は受けませんよ……安斎千代美がこちら側であるかぎりは…」
杏「そろそろ…かな」
prrrrrrrr
prrrrrrr
千代「………………」
しほ「…出たほうが…いいと思いますよ」
千代「…もしもし」
千代「……何ですって!?」
729:
千代「ええ!すぐに追いなさい!」ガチャッ
千代「あなた達…なんてことを!?」
杏「もともとそっちがやってきたことじゃん」
千代「あれは本人も同意した…」
杏「彼女は…決して島田流を選んだ訳じゃない」
杏「…彼女は…西住みほと大洗を守るためにその道を選んでいただけです」
杏「もし私達や彼女を本当に納得させたいのならば…」
千代「ぐっ……わかりました」
千代「受けましょう、その勝負…」
千代「ただし…こちらもやるからには手加減はいたしません」
730:
みほ「安斎さん……痛くなかった?」
アンチョビ「あぁ…まぁ、平気だ、手錠も片手だけだし…」
アンチョビ「金具に当たらないように手袋もしてたからな」
アンチョビ「なんか拘束にしてはおかしいと思ってたら…最初から叩く気だったな…まぁ当然か」
アンチョビ「約束を破って…みほのことを放っておいて…勝手に行動を取ったんだからな」
アンチョビ「…まほがあんだけ怒るのもしょうがない」
アンチョビ「…さて、みほ…なんでこんなことをした?」
アンチョビ「こんなに強引な手段を取っておいて……何かしら理由があるんだろ?」
みほ「……話がしたかったんです」
みほ「…安斎さんと…話が…」
731:
……………
アンチョビ「あはははっ……なんだ、そういう…ことだったのか…」
アンチョビ「…私は……もう少しで…」
みほ「私からは…以上です、おそらく今頃は…」
みほ「はい!会長ですか?」
みほ「…わかりました、ありがとうございます」
みほ「……大学強化チームとの試合が決まりました」
みほ「試合は2日後…私達が勝てば完全に廃校が撤回され」
みほ「負けたら…大洗女子学園の実権を島田流が握ることになります」
みほ「そして…安斎さん…」カチャッ…
アンチョビ「……みほ?」
みほ「…安斎さんは…どうしますか?」
みほ「安斎さんがいなくなり…大学側が承認をしたことで…試合が行われることが決まりました」
みほ「もし安斎さんが大学強化チームに戻っても試合は行われます」
732:
みほ「もし…安斎さんが大学強化チームに戻るつもりなら…私もお姉ちゃんももう止めません」
みほ「…その時は…安斎さん…あなたであろうと…倒します」
アンチョビ「大学強化チームは…強いぞ?」
みほ「相手が誰だろうと…どんな条件だろうと…この勝負だけは…負けるわけにはいきません」
みほ「私は…ずっと助けられてきた…安斎さんを…助けたいんです」
アンチョビ「……どうして……」
みほ「…だって…だって…私は…」
みほ「安斎さんのことが…!」ギュッ
アンチョビ「……みほ…!」
みほ「……!」
アンチョビ「……ありがとう」
733:
千代「…もしもし!」
アンチョビ「家元…ですか」
千代「…安斎さんですね…」
アンチョビ「……申し訳ありませんが今日を持って…私は大学強化チームを除隊します…」
アンチョビ「私は…みほの味方になります」
千代「…わかりました…ですが、それでいいんですか?」
千代「大学強化チームの強さは…よくわかっているでしょう?」
アンチョビ「ええ、知っていますよ」
千代「もし負けたら……どうなるかは…わかっていますよね」
アンチョビ「…さぁ?あいにくのところ負けることなんて考えてないんで」
アンチョビ「…それでは…失礼します」
…………
千代「徹底的に叩き潰しなさい!」
千代「西住流の名が地に落ちるようにね…」
愛里寿「試合の件は承知いたしました…ですが、一つお願いがあります」
千代「何?」
愛里寿「もし私が勝ったらボコミュージアムのスポンサーになってほしいの、このままじゃ多分廃館になるから」
千代「…いいわよ…思い切りやりなさい」
愛里寿「…わかりました」
750:
桃「はぁ…はぁ…」
ペパロニ「……河嶋さん…そこまで無理しなくてもいいんですよ!」
桃「お前こそ…生徒会でもないのに…」
ペパロニ「…まぁ暇なんッスよ…姐さんもいないし…」
桃「お前は…不安じゃないのか?」
ペパロニ「…何が?」
桃「安斎がいなくなった、もう二度と戻ってこないかもしれないんだぞ」
ペパロニ「…私は、姐さんを信じます」
ペパロニ「もし姐さんが戻ってこなくても…その時は…追いかけるだけッス」
桃「…強いんだな…お前は…おっと…うわぁ!?」ガラガラガラ
751:
ペパロニ「大丈夫ッスか!?」
桃「あぁ、このくらいなんてことは…!」
杏「…」
みほ「……」
アンチョビ「………」
杏「ただいま」
桃「………!」
ペパロニ「…!!」
桃「…かいちょ?!!!」
ペパロニ「姐さ?ん!!!」
アンチョビ「…ただいま…ペパロニ」
ペパロニ「…姐さーん!!」
752:
・・・・・・・・・
講堂
桃「全員集まったなぁ!」
杏「…皆…試合が決まった」
カルパッチョ「試合?」
杏「大学強化チームとだ」
優花里「ええ!?」
みほ「もしその試合に勝つことができれば…今度こそ廃校は撤回されます」
杏「そして…」
アンチョビ「…」
杏「チョビ子も戻ってきた…」
杏「チョビ、なんか言え」
アンチョビ「…え?!」
エルヴィン「…」
カエサル「…」
典子「…」
753:
アンチョビ「……みんな、私が勝手に行動して、全員に心配をかけてしまった」
アンチョビ「…私のいない間、大洗が大変なことになっていたのを…みほから聞いた」
アンチョビ「私も…大洗を守るために…戦うつもりだ…」
アンチョビ「本当に…すまなかった!」
ナカジマ「……おかえり!」
エルヴィン「貴公の帰還を待ち望んでいたぞ!」
ペパロニ「うわああああああああ!!!姐さーん!姐さーん!」
典子「コーチ!待ってました!」
梓「安斎さん!おかえりなさい!」
アンチョビ「わー!お前らー!」
杏「…無理な戦いなのはわかっている!けど…私達は必ず勝って…」
杏「みんなで大洗に…」
杏「学園艦に…帰ろう!」
「「「おー!」」」
754:
桃「社会人を破ったチーム!?」
桃「それはあまりに無理なのでは!?」
杏「無理は承知だよー」
柚子「西住ちゃん、敵は何両出してくるの?」
みほ「………」
みほ「30両…」
カエサル「何!?」
みほ「しかも…殲滅戦です」
あや「殲滅戦ってなんだったっけ?」
みほ「相手のチームを全て撃破したほうが勝ちます」
アンチョビ「つまりこっちは向こうの30両を撃破しないといけないわけだな」
桃「そんな!西住!お前から勝つのも無理だと伝えてくれ!」
みほ「…いえ、勝てます」
みほ「勝たなきゃいけないんです…勝つための戦術を組まないといけないんです…」
アンチョビ「……」
755:
愛里寿「…」
千代「どうしたの?」
愛里寿「こんな形で…彼女と戦うことになるなんて」
千代「…」
愛里寿「母上、戦力差があまりにも大きすぎるのでは?」
千代「殲滅戦を推奨してきたのは文科省の方ですからね…プロの試合は殲滅戦と決まっているとか」
愛里寿「…」
千代「それに…」
千代(向こうが9両のまま来るとは思えない…おそらく)
千代「ねぇ…愛里寿」
愛里寿「…何でしょうか?」
千代「いや、なんでもないわ」
756:

杏「西住ちゃん…」
みほ「…何でしょうか?」
杏「どうする?辞退するって手も…
みほ「それはありません」
杏「……」
みほ「退いたら…道はなくなります」
杏「…そっか」
杏「…厳しい戦いになるな」
みほ「…私達の戦いは…いつもそうでした…けど」
沙織「みぽり?ん」
華「みほさん!」
優花里「西住殿ー!」
麻子「…」
アンチョビ「……みほ…」
みほ「みんながいますから」
757:
みほ「…」
アンチョビ「…なぁ、みほ」
みほ「はい?」
アンチョビ「綺麗な星空だな…」
みほ「…はい」
アンチョビ「みほ…良い戦略は思いついたか?」
みほ「………」
みほ「いえ、山岳地帯におびき寄せて…各個撃破できれば勝機はありますが…」
アンチョビ「…」
みほ「…でも、練度も戦車も…向こうのほうが数段上です…」
アンチョビ「…それでも…負ける訳にはいかないな」
みほ「…はい」
アンチョビ「みほ…」
アンチョビ「もし大学強化チームとの試合に勝ったら…」
みほ「…?」
アンチョビ「……いや、この話は忘れてくれ」
みほ「…?」
758:
みほ「…」
アンチョビ「……」
愛里寿「…安斎さん…」
愛里寿「私が…勝ったら…約束して…」
愛里寿「この前の続きを…邪魔無しでやるって…」
アンチョビ「あぁ…わかった」
蝶野「それでは…大学強化チーム対大洗女子学園の試合を始める…」
蝶野「一同!礼」
みほ「…よろしくお願いし」
まほ「まったー!」
759:
みほ「!?」
みほ「今の声は…」
アンチョビ「ま、まほ!?」
みほ「お姉ちゃん!?」
アンチョビ「ティーガー?、ティーガー?…それにパンターが4両…」
まほ「大洗女子学園、西住まほ」
エリカ「同じく大洗女子学園、逸見エリカ」
まほ「以下30名、この戦いに参戦する…短期転校の手続きは済ませてきた」
まほ「戦車道連盟の許可も得ている…」
みほ「…お姉ちゃん……ありがとう」
……
千代「やはり来ましたか…西住流」
しほ「………」
千代「…ですが、援軍にしては少々心もとないですね…」
千代「あら…あれは…ふふふっ」
千代「なるほど…面白くなってきたわね…」
千代(愛里寿…あなたの願い…叶いそうね)
しほ「………」
760:
ケイ「私達も転校してきたわよ!」
アリサ「協力してあげるわ!」
典子「サンダースも来た!」
カチューシャ「もう!一番乗り逃しちゃったじゃない!」
ノンナ「いいじゃないですか、カチューシャ」
クラーラ「大洗のみなさんを助けるんですから順番は関係ないと思います」(ロシア語)
カチューシャ「クラーラ!日本語で話しなさいよ!」
ダージリン「やっぱり試合にはいつものタンクジャケットで行きますか」
オレンジペコ「じゃあなんでわざわざ仕入れたんですか?」
ダージリン「みんな着てみたかったんだって」
ローズヒップ「オーホホホホホ!!!ぶっ飛ばしますわよー!」
みほ「プラウダやグ口リアーナまで…」
アキ「大洗女子学園のみなさん、継続高校から転校してきましたー」
アキ「何だかんだいって助けてあげるんだね」
ミカ「違う…風が呼んできただけなのさ」
ミカ(それに…あの人の起こす風を…また感じたいからね)
アキ「ミカ?どうしたの?」
ミカ「なんでもないよ」
761:
西「大洗女子学園諸君!昨日の敵は今日の友!知波単学園21両ここに推参!」
まほ「悪いが援軍は全部で21両、知波単からは4両だ」
西「すみませーん!心得違いをしてました!17両は待機!」
アンチョビ「……これで…30両…」
優花里「継続高校にに知波単学園まで…!」
桃「これなら勝てるかも!」
辻「試合前の援軍追加はルール違反じゃないんですか!?」
蝶野「…異議を唱えられるのは、相手チームだけです」
愛里寿「私達は大丈夫です…試合を始めてください」
愛里寿(…よかった)
愛里寿(これで…対等に彼女と戦える…)
762:
大洗女子学園 待機室
みほ「では…こちらの4小隊で組もうと思います」
ひまわり ティーガー×1 ティーガー?×1 3突 八九式 KV-2 IS-2 T-34/85×2 8
たんぽぽ ?号 ルノーB1 Pティーガー 3式 クルセイダー チャーチル マチルダ 7
 
あさがお M3 シャーマン シャーマン75ミリ ファイヤフライ 97式×4 8
あじさい パンターF型 パンターG型×4 BT-42 ヘッツァー 7
みほ「あさがおの隊長はケイさん ひまわりはおね…まほ選手 たんぽぽはダージリンさん」
みほ「あじさいは安斎さんでお願いします」
みほ「副隊長はカチューシャさん、お願いします」
カチューシャ「わかったわ!全員ぶっ飛ばすわよ!」
まほ「大隊長はみほか…皆、作戦はみほと安斎に任せよう」
アンチョビ「で?どうする?」
みほ「……まずは相手の様子を伺います…じっくりといきましょう」
アンチョビ「…まぁこっちは急造チームだからなぁ、妥当なところだ…」
アンチョビ「だが…みほらしくはないな」
みほ「え?」
763:
アンチョビ「みほの戦車道、みほの戦いでいいんだよ」
アンチョビ「定石だけでは…大学選抜チームには勝てない」
みほ「でも…」
アンチョビ「ここにいる皆は大洗を救うためにここまで来たんだ…そうだよな?」
「「「……」」」コクリ
アンチョビ「なら…急造でも…きっと…いや、絶対にうまくいく」
アンチョビ「まぁ、確かに最初は足並みを揃えるためにも定石通りでいいかもしれない」
アンチョビ「…だが、もしそれでダメだったら…その時は迷うな」
アンチョビ「みほ…お前の戦車道を貫け!」
みほ「…わかりました!」
764:
アンチョビ「さて…そろそろ…か」
直下「隊長!いつでも準備出来ています」
アンチョビ「……」
赤星「隊長!」
アンチョビ「お前達…まだ…私を…」
元風神隊隊員A「私達の中では…今でもあなたが隊長です!」
元風神隊隊員B「…隊長!行きましょう!」
アンチョビ(…まほのやつ…パンターを4両も持ってきたのはこのためか…)
アンチョビ「すまないが…私はもう…」
元風神隊隊員A「私達が…まほ隊長に無理を言ったんです…」
赤星「安斎隊長を…みほさんを助けたいって!」
アンチョビ「!」
直下「隊長!この試合…」
赤星「絶対に…勝ちましょう!」
アンチョビ「……あぁ!!」
765:
アンチョビ「よし…なら……久しぶりに…あれ、やるか…」シュルシュル…
「「「はい!」」」
安斎千代美「……我らは…」
安斎千代美「風神隊!」
「「「風神隊!」」」
安斎千代美「敵は大学強化チーム!!」
安斎千代美「相手はこれまで私達が戦った相手の誰よりも…強敵だ…」
安斎千代美「…だが!」
「「「「…風は決して止むことはない!!」」」」
安斎千代美「一同に告ぐ!」
安斎千代美「…巻き起こせ!荒れ狂え!吹き飛ばせ!突き進め!」
766:
「「「はい!」」」
安斎千代美「ふふふ、一年ぶりなのに…未だに完璧じゃないか…!」
安斎千代美(まぁ、覚えている私も…大概…か)
アンチョビ「……行くぞ!」
「「「おおおおおおぉーーーー!」」」
ビュオオオオオオオオオオ!!!
ミカ「……すごい風だね…」
………
カチューシャ「準備完了よ!」
ケイ「私達もいつでもオッケー!」
まほ「…行こうか」
アンチョビ「…みほ…勝つぞ」
みほ「…はい」
蝶野「試合開始!」
みほ「……パンツァー・フォー!」
776:
アンチョビ「おそらく相手は…チャーフィーを偵察として仕向けてくるはず…」
アンチョビ「まほ!狙いはおそらくお前達と私達だ」
アンチョビ「…黒森峰とプラウダの重戦車を叩きに来るはず」
まほ「あぁ…」
アンチョビ「こちらあじさい…敵戦車発見、ゆっくり横一列で迫ってきている」
まほ「わかった…しかし…安斎…」
まほ「相変わらず偵察は自分でやるんだな」
アンチョビ「…まぁな」
まほ「こちらひまわり、高地のふもとに達した」
まほ「今先遣隊の八九式を送っている」
典子「こちら八九式…頂上誰もいません」
まほ「……わかった」
まほ「……安斎、お前はどう思う?」
アンチョビ「罠の可能性が高いが…何を用意しているか…だな」
777:
カチューシャ「…M24は登るの遅いし…チャーフィーは敵じゃない…かといってセンチュリオンが来るとも思えないし…」
アンチョビ「退路を確保しながらゆっくり進んでくれ、高地を取れれば有利になるのは間違いない」
まほ「序盤で戦果をあげておきたいのは間違いない…行くか」
エリカ「はい」
カチューシャ「よーし行くわ!203高地よ!」
おりょう「203高地…」
エルヴィン「プラウダはどんな戦いか知ってるのか?」
カエサル「負ける気か?」
……………
みほ「あさがおはそのままひまわり左翼を前進してください!」
ケイ「わかったわ」
ダージリン「私達は?」
みほ「たんぽぽは右翼の高地脇に沿って進んでひまわりの援護をお願いします」
みほ「…安斎さん達も同じように…お願いします」
アンチョビ「あぁ…わかった!」
ダージリン「成功は大胆不敵の子供…最初から勝負に出るのね」
778:
チャーフィー隊隊長「隊長、敵中隊、高地北上中…頂上到達まで…あと5分です、どうします?」
愛里寿「取らせておけ…アレを使う」
愛里寿「安斎さんは…?」
チャーフィー隊隊長「パンターの姿…確認できません」
愛里寿「わかった」
愛里寿「アズミ中隊、高地西の森林を全で前進」
愛里寿「敵小隊を突破しと中央の部隊をおびやかせ」
アズミ「了解、アズミ中隊…全前進」
愛里寿「ルミ中隊は湿原まで前進、敵と遭遇した場合は突破せず釘付けにしておけ」
…………
アリサ「こちらアリサ…今のところ異常なし」
ケイ「そっちはどう?」
西「こちら知波単学園…敵影はなし…順調に進撃ちゅ…」
ドォン!ドォン!
西「3時の方向より敵砲撃!!」
ケイ「CQCQ!あさがお 敵と遭遇!」
ダージリン「こちらダージリン、10時から敵戦車接近…来る!」
ドォォォン!ドォォォォン!
みほ「向こうはまずたんぽぽとあさがおを潰しにきた」
ダージリン「みほさん…指示を」
みほ「…はい!ひまわりが頂上に達するまでは被弾しないよう慎重に動いてください」
みほ「西さん、無理な突撃はくれぐれもしないように」
西「はい!わかりました!」
779:
まほ「頂上に達した…今から援護に向かう」
みほ「皆さん、お願いします!」
西「はい!攻撃開…うわぁ!?」
西「わわわっ、すごい砲撃…!」
ケイ「…敵の攻撃が激しすぎる…」
ナオミ「…知波単の援護に行けない…!」
梓「なにこれぇー!!」
池田「こうなったら…突撃!」
西「おいまて!突撃はまだい…」
ドォォォン!!!
…カッ シュポッ
…カッ シュポッ
池田「池田車、行動不能!」
名倉「こちら名倉車!善戦するもやられました!」
ケイ「こちらあさがお!突破された!アリサ!追撃お願い!」
アリサ「イエスマム!急いで…」
ドォォォン!ドォォォン!
アリサ「うわああああ!?」
アリサ「左右履帯破損!動けない…」
ケイ「SHIT!態勢を立てなおすわよ!」
780:
カチューシャ「中隊長!くあさがおの援護に…」
まほ「攻撃を許可する!」
カチューシャ「…撃てええ
バゴオオオオオオオオオオン!
えええええ?!?」
まほ「全車無事か!?」
ノンナ「無事ですが…これは一体!?」
アンチョビ「…」
典子「こちらひまわり!とんでもないスパイクが飛んできました!上からです!」
…………………
みほ「…上から…?」
沙織「もしかしてこれかな…ブルムくま」
優花里「爆発が大きすぎます…もしかして」
優花里「シュトゥルム・ティーガーじゃ!」
みほ「それも…多分違う…なんだろう…」
781:
バゴオオオン!
典子「ひえええええ!」
まほ「落ち着け!第三射までまだ時間はある…」
まほ「包囲されつつあるな…中隊全前進!たんぽぽとあじさいと合流する!」
アンチョビ「手伝うぞ!」
アンチョビ「まほ!急いでそっちに向かう…なんとか逃げてくれ!」
まほ「わかった」
…………………
カチューシャ「にぎぎ…私はやられたりしないわよ!」
クラーラ「カチューシャ様が危ない…」(ロシア語)
ノンナ「全員で突破するわよ…」(ロシア語)
クラーラ「カチューシャ様…」(ロシア語)
クラーラ「私達が囮になります」(ロシア語)
ノンナ「…無茶です」(ロシア語)
ノンナ「そんなことをしたらカチューシャに嫌われてしまいますよ」(ロシア語)
クラーラ「この状況を打破できるなら嫌われても結構です」(ロシア語)
782:
カチューシャ「ノンナ!クラーラ!貴方達日本語で喋りなさいって何度言ったら……クラーラ!?」
クラーラ「……」
クラーラ「カチューシャ様、お先にどうぞ…それでは…」
クラーラ「ごきげんよう」
カチューシャ「クラーラ、あんた…日本語…って!何する気なのよ!?」
クラーラ「カチューシャ様…一緒に戦うことが出来て…光栄でした」
クラーラ「…プラウダのために!」(ロシア語)
バゴオオオン!
…………カッ シュポッ
カチューシャ「クラーラァ!」
…………………
ニーナ「私だちの車大きいから盾になるんでねーか…」
アリーナ「いくべか!」
ニーナ「んだんだ…!」
カチューシャ「かーべーたん?!」
カチューシャ「ニーナ!アリーナ…あなた達……」
アリーナ「隊長はおらだちが…まもるべ!くさぎに!」
ドォォォン!
ドォォォン!
ドォォォン!
ニーナ「街道上の怪物を…なめんなああああ!」
783:
ドォォォン!
ドォォォォォン!
カチューシャ「…ぐっ!」
ドォォォン…!
ノンナ「カチューシャ、逃げてください」
カチューシャ「逃げるなんて隊長じゃないわ…!」
ノンナ「ここは私達が食い止めます…」
カチューシャ「…ノンナ…あなたまで!?」
アンチョビ「……!」
カチューシャ「チヨーシャ…!これなら!」
アンチョビ「…ノンナ…」
ノンナ「……行ってください…」
ノンナ「…安斎さん…」
アンチョビ「何だ?」
ノンナ「カチューシャ様のこと…頼みました」
アンチョビ「………わかった」
784:
ノンナ「この試合…無事勝つことができたら…その時は…」
ノンナ「…今度こそ…あなたを捉えます」
アンチョビ「…あぁ…いつでも相手になってやる」
ノンナ「…ありがとうございます」(ロシア語)
アンチョビ「…悪いな、ノンナ…ロシア語はさっぱりなんだ」
アンチョビ「今度来る時までに…覚えておく」
アンチョビ「行くぞ、カチューシャ」
カチューシャ「ちょっと!チヨーシャ!逃げるっていうの!?」
カチューシャ「迎え撃ちなさいよ!全部…全部やっつけなさいよ…!」
カチューシャ「私達を叩き潰した…あの時みたいに!」
ドォォォン!
…カッ シュポッ
ノンナ「………」
アンチョビ「…行くぞ…カチューシャ!」
785:
ドォォォン!ドォォォン!
ノンナ「カチューシャ…私がいなくても…あなたは…必ず…」
ノンナ「…勝利します」
ドォォォン!ドォォォン!
……カッ シュポッ
……カッ シュポッ
カチューシャ「………!」
カチューシャ「………ノン…ナ…」
アンチョビ「カチューシャ!!何をしている!」
カチューシャ「……」
アンチョビ「…お前は…彼女達の意志を…無駄にするのか!?」
カチューシャ「ぐっ……ううううう…!」
カチューシャ「撤退…するわよ!」
ドォォォォン!
…………カッ シュポッ
審判「大洗連合チーム KV-2…走行不能…」
786:
アンチョビ「こちらあじさい、なんとかひまわりとの合流に成功した」
アンチョビ「だがひまわりは残り4両…危ない状況だ」
アンチョビ「あの頭上からの砲撃…なんとかしないといけないな…」
優花里「うーん…ロケット推進音がなかったから…シュトゥルムティーガーじゃない…」
優花里「あっ…とすると…!」
みほ「うん…おそらくあれは…」
みほ「安斎さん…」
アンチョビ「……」
みほ「…カール自走臼砲の撃破…お願いします」
アンチョビ「…わかった」
787:
アンチョビ「…パンター2両はここでひまわりの援護!残りの2両とヘッツァー!BT42は私についてこい!」
みほ「えっ?!」
アンチョビ「ここが崩れたら一気に終わるからな!車両は少ないほうがいいだろ?」
みほ「そんな!いくらなんでも…無茶で」
アンチョビ「私が信用出来ないのか?」
みほ「……!」
アンチョビ「…風は必ず…吹かしてやる!」
アンチョビ「あじさい…いや…」
アンチョビ「…どんぐり小隊…全前進!」
アンチョビ「ペパロニ、飛ばせぇー!」
ペパロニ「了解ッス!」
……………
愛里寿「…安斎さんが動いた…」
愛里寿「…陽動なのか、破れかぶれか…」
愛里寿(あの方向…アレを倒すつもりか…)
愛里寿「ルミ中隊、パーシングを1両送り込め」
ルミ「了解!」
愛里寿(さぁ…どうする?)
788:
アンチョビ「いたな…カール…」
アンチョビ「装填が自動って…よく文科省と戦車道連盟がアレを認めたもんだな」
杏「…厄介な所にいるね…」
ペパロニ「橋が破壊されてて普通には進めない上に周りは崖で登れないッス」
カルパッチョ「おまけにパーシング4両が護衛にいますね」
ミカ「……」ポロロン
アンチョビ「……」
アンチョビ「………いや、いける」
杏「ほう?」
789:
アンチョビ(ここから左の密林地帯、ここを思いっきり走れば…向こうの陸地までの距離はそう遠くない…)
アンチョビ(おまけに…崖の部分が坂になってる…これなら…ジャンプ台として使える!)
アンチョビ「…ちょっと無茶することになるが大丈夫か?」
赤星「はい!」
直下「問題ありません!」
ミカ「……あなたの判断を信じよう……その代わり…」
ミカ「…風を…感じさせてくれないか?」
アンチョビ「うーん、お前の言うことは…相変わらずよくわからないな」
ミカ「物事のすべてを理解する必要なんてないのさ」ポロロン
ミッコ「…ニヒヒッ」
790:
アンチョビ「…」
ミカ「…」
ミカ「……行くぞ」
ドシュウウウウ!
アンチョビ「風神隊!彼女に続け…!」
直下「は、はいいいい!」
赤星「続けって…まさか、本当にここを飛ぶんですか!?」
アンチョビ「あぁ!ここからなら全力で飛ばせばパンターでも行けるはずだ…!」
アンチョビ「私達はもう少し待ってから…ヘッツァー!頼んだぞ!」
桃「わ、わかった!」
791:
カール乗務員「…さーて、どこからでも…かかってきなさ…あ!?」
ミカ「…用意!」
直下「うわあっ!!!」
ドガァン…
直下「っ…撃てぇー!」
ドオオオン!
ドオオオン!!!
…カッ シュポッ
カール乗務員「なっ!?」
カール乗務員「隊長!パーシング1両!撃破されました!」
愛里寿「落ち着いて!何があったの!?」
カール乗務員「それが…パンターのG型とBT42が空を飛んできて…」
愛里寿「ええっ!?」
カール乗務員「残り3両が今2両を追っています…!」
カール乗務員「ああっ!?正面からヘッツァーがぁ!」
愛里寿「…安斎さん、一体…何をしたの!?」
792:
アキ「これは人生にとって必要なことなの!?」
ミカ「…おそらくね」
桃「うぉおおおおおおおおお!!!!!」
桃「こっっじみてるぞおおおおおおおおおおお!」
桃「柚子ちゃん!怖い!避けてぇ!!絶対避けて!」
柚子「わかってるよ!」
バゴオオオオォォン!!!
ドオオオン!
桃「ひぃい!」
ミッコ「…!」
パーシング乗務員A「こちらパーシング今、BTを追って…ひゃあああっ?!」
ガラガラガラガラ…ガァン
…カッ シュポッ
パーシング乗務員A「すみません!こちらパーシング!崖に埋もれて行動不能です!」
直下「1対1なら…なんとか…撃てぇー!!」
ドオオオン!
ドオオオン!
直下「やられたけど…1両倒せた!」
793:
アキ「残り1両!」
ミカ「ミッコ!左!」
ドオオオォン!!
ミッコ「…いー!?」
バゴオオオン…
パーシング乗務員B「…よし!!」
ドシャアアアアアッ…ガッガッ…
ギャアアアッ!!!
パーシング乗務員B「ええ?!履帯無しなのに!?」
ミッコ「天下のクリスティー式!舐めるなよぉー!」
アンチョビ「カールが横を向いた…今だ!!」
赤星「はい!」
アンチョビ「ペパロニ!全開で行け!」
ペパロニ「了解ッス!」
アンチョビ「……飛っべええええええ!!!」
ビュオオオオオオオオオオ!!!
794:
カール乗務員「隊長!さらにパンター2両がさっきと同じ場所から…風に乗って…」
ミカ「…うん…」
ミカ「…いい風だ」
カール乗務員「飛んできましたぁああ!」
アンチョビ「…撃てぇー!!!」
ドオオオォォォン!
ドオオオォォォン!
……カッ シュポッ
アンチョビ「…やった!」
795:
ドォォォン!
ガァン!
パーシング隊員B「やった…これで!」
ミッコ「んんっ…ぎぎっぎいいいいいい!!」
パーシング隊員B「片輪走行…あのBT-42…不死身なの!?」
ミカ「………」
ミカ「…トゥータ!」
アキ「…!」
ドォォォン!
……カッ シュポッ……カッ シュポッ
アンチョビ「こちら…あじさい…カール自走臼砲およびパーシング4両を撃破!」
みほ「…!安斎さん!」
まほ(さすがだな…安斎…)
796:
アンチョビ「ただ…ミカと直下が…!」
ミカ「……いい風だったよ…風神さん」
ミカ「…皆さんの健闘を祈ります」ポロロン…
大学選抜 残り23両 大洗連合 残り23両
……
愛里寿「…カールが撃破された…」
ルミ「えええ?!」
アズミ「仕切り直し…ですね、しかし、どうやって…あの場所のカールを…」
愛里寿「…パンターが…飛んだらしい」
メグミ「44トン近くあるパンターが…飛んだ!?」
アズミ「そんなこと…」
愛里寿「ええ、普通じゃない…」
愛里寿「でも…彼女なら不思議じゃないかも…」
愛里寿「安斎さんなら…」
愛里寿「遊園地に向かおう」
ルミ「は…はい!」
797:
アンチョビ「たっだいまー」
みほ「おかえりなさい、安斎さん…」
優花里「KV-2 IS-2 T-34 97式2両 BT42 パンター1両が撃破されましたね…」
沙織「でもこっちはカール自走臼砲とパーシングを6両撃破したよ」
アンチョビ「……なんとかイーブンってところか?」
カチューシャ「けど…プラウダはカチューシャだけになっちゃった…」
ダージリン「あら?まだあなたが残っているじゃない…カチューシャ」
カチューシャ「わかってるわよ!」
みほ「すみません…私の責任です…」
アンチョビ「…気にするな、まだまだ始まったばっかりだ…」
みほ「…はい…これからはチームワークで行きましょう!」
エリカ「…えぇ、そうね」
みほ「小隊を組み直して…遊園地に行きましょう…」
みほ「…パンツァー・フォー!」
803:
玉田「こんな辺鄙なところまで撤退するとは」
西「違うぞ玉田、これは転進だ!」
ダージリン「面白い戦いになりそうね」
アッサム「…しかし、データの上ではまだまだ私達が…」
ダージリン「運命は浮気者…不利な方に味方するとは限らない…ね?隊長」
みほ「はい、私達は…私たちにできる戦いをしましょう」
あや「私たちにできる戦い…」
梓「なんだろう…」
西「突撃…いや、それは違う」
アンチョビ「…第二ラウンド開始だ!」
804:
まほ「南正門入り口配置完了」
アンチョビ「西裏門配置したぞー」
ダージリン「東の方も固めたわ」
ナカジマ「中央広場…あと3分で修理終わるよ」
アンチョビ「さて…どこから来るか…」
アンチョビ(…ジェットコースターの上からなら敵の行動が見れるが…)
アンチョビ(流石にパンターじゃ無理か)
805:
みほ「戦闘準備…」
ドォン!ドォン!
まほ「…撃て!」
まほ「…土煙で数が見えないな…」
アンチョビ「敵が攻撃してくる頻度は?」
まほ「散発的だな…」
まほ「それに明らかにあちらからもこちらが見えないはず…」
まほ「…どう思う、安斎?」
アンチョビ「陽動の可能性が高いな…そのまま持ちこたえてくれ」
まほ「わかった、隙を見て突破する」
アンチョビ「……みほ!本命は他の可能性が高い、応援はそっちに回してくれ」
みほ「わかりました」
806:
玉田「よーし!敵が来たら知波単名物総突撃だー!!」
アンチョビ「…」
西「我らには風神がついている!神風をおこそ…」
アンチョビ「あのー、ちょっといいか?」
西「な、何でしょうか」
アンチョビ「むやみやたらに突っ込んでもいいことなんか一つもないぞ、下手したら全滅もありえる」
玉田「何ぃ!知波単の魂をなんだと思って…」
西「待ってください……何か策があるのですか?」
アンチョビ「…そうだなぁ…こういうのはどうだ?」
807:
バゴオオオン!
ローズヒップ「チャーフィー!いざ尋常に勝負!」
ダージリン「……!」
ダージリン「戻りなさい!ローズヒップ!」
ドォン!
ローズヒップ「お、おおおっ!?」
オレンジペコ「あ、あれは…」
アッサム「T-28…重戦車…」
アンチョビ「……みほ!」
アンチョビ「おそらく東側が本命だ!援軍はそっちに回してくれ」
みほ「わかりました!サンダースのみなさん!お願いします!」
ケイ「もう向かってるわよ!」
ダージリン「私達もトータスを持ってくればよかったわ」
オレンジペコ「持ってませんけどね」
808:
玉田「西隊長!風神殿!急いで突撃するべきでは?」
アンチョビ「まぁ待て…味方を信頼するのも大事なことさ」
玉田「しかし!」
…………
まほ「…」
カチューシャ「4両しかいないみたいだけど?」
まほ「釘付けにしておくだけのようだな…」
まほ「…行こうか」
まほ「…エリカ、頼む」
エリカ「はい!」
ドォォォン!
ガァン!!
エリカ「ティーガーの装甲を舐めないでもらいたいわね!」
809:
ドォォォン!
まほ「撃てぇー!!」
カチューシャ「…撃ちなさい!!」
……カッ シュポッ
……カッ シュポッ
ドォォン!
エリカ「今よ!砲撃!」
……カッ シュポッ
カチューシャ「一両逃げたわね…」
まほ「すぐに東側の救援に向かうぞ」
エリカ「はい!」
810:
西側
ドォォォン!
パーシング隊員C「…敵影無し…」
パーシング隊員C「対岸にも敵影はなし…」
アンチョビ「おーい!こっちこっちー」
パーシング隊員C「パンターを発見、攻撃開始!!」
アンチョビ「…今だ!」
玉田「…よぉし!撃て!」
ドォォォン!
……カッ シュポッ
アンチョビ「よくやった!一旦撤退してくれ」
西「後退的前進!」
811:
アンチョビ「西、これがゲリラ作戦だ…突撃だけじゃない…戦車道にはこういう戦いもある」
アンチョビ「くれぐれも引き際を間違えるなよ…失敗したら即撤退だ!」
西「はい!」
アンチョビ「ウチの部隊を2両貸すから好きに使ってくれ」
西「……了解であります!…ところで隊長達ははどちらへ?」
アンチョビ「…ちょっと…気になることがある」
…………
アンチョビ「みほ、これからどうする?」
アンチョビ「…分散させて各個撃破するのが敵の狙いなんだろうが…」
みほ「…みなさん、出来る限りまとまってください!」
アンチョビ(今のところは…順調だ)
アンチョビ(だが、愛里寿がこのまま動かないわけがない…)
アンチョビ(何かある…だが…それがわからない…)
アンチョビ「みほ、ちょっとだけ戦列を離れる…少し考えたいことがある」
みほ「はい!わかりました」
812:
玉田「まだでありますか?」
西「まだまだ…」
玉田「そろそろ頃合いかと」
西「まだまだ…」
玉田「……もはや我慢の限界であります!」
西「こら、むやみに動かすな!風船は割れやすいんだぞ!」
パァン!
西「しまった!撤退的前進!」
…………
あや「出た!逃げろー!」
梓「あぁ!そっちじゃないって!」
ダージリン「気をつけて、挟まれるわよ」
ケイ「西の路地に逃げ込んで!正面ドームを逆周りに!」
桂利奈「西ってどっち!?」
あゆみ「わかんなーい!」
813:
まほ「こちら…チャーフィーの動きに仕組まれた何かを感じる、注意してくれ」
ダージリン「追撃は散発的……妙ね」
ナオミ「…」
ドォン!
……カッ シュポッ
西「うーん、気がついているはずだろうに何もしてこないぞ…」
アンチョビ「……」
杏「どーしたのチョビ、さっきから安全な場所で地図とにらめっこなんかしちゃってさ」
アンチョビ「……」
アンチョビ「………」
アンチョビ「…………!!!」
アンチョビ「やってくれたな!島田愛里寿!」
アンチョビ「…このままじゃ……!」
アンチョビ「ペパロニ!Y4地点に飛ばせ!」
814:
華「これ、まずくないですか?」
沙織「みぽりん!通用門組がY4地点で包囲されようとしている!」
みほ「すぐに向かいます!西裏門組と南正門組は急いで向かってください」
まほ「わかった…」
西「了解!」
まほ(……別行動…)
まほ「…安斎……まさか…!」
まほ「エリカ!少しここを離れる!後は任せるぞ!」
エリカ「あ、はい!」
815:
西「行け!楔を撃ちこめ!」
玉田「うぉおおおお…ああああ…」
パンター乗務員B「ちょっと!そんなつっこんんだら…あっ」
ドォン!
……カッ シュポッ
アズミ「包囲完了…っと」
メグミ「一方的すぎて心苦しいわ」
ルミ「隊長!後は私達に任せてください…」
アンチョビ「…遅かったか!」
みほ「………そんな…」
816:
優季「なんか知らないけど、先輩たち、囲まれてない!?」
あや「やばーい!」
桂利奈「突撃してやっつけよう!」
あゆみ「一両だけじゃ…無理!」
梓「でも…このままじゃ…」
紗希「………」トントン…
梓「…ちょっと紗希!ちょうちょは後に……?」
紗希「………」
紗希「…かんらんしゃ…」
梓「……!」
あや「そうだ!観覧車!」
桂利奈「…よーし!」
817:
梓「あや、あゆみ、準備はいい!」
梓「ミフネ作戦!行きます!」
梓「…撃てぇ!」
ドォン!
ドォン!
ガァァン!
梓「やった!」
あや「紗希ちゃん天才!」
ガラガラガラガラガラガラ…!
優季「ってやばーい」
桂利奈「逃げろおおおおお!」
梓「ん?あれ…包囲網に向かっていってるのって…」
梓「安斎さんに…まほさん!?」
818:
………
数分前
アンチョビ「……赤星!」
赤星「…はい」
アンチョビ「…後のことは頼んだ…みほを助けてやってくれ」
赤星「…隊長!いくらなんでも…!」
アンチョビ「わかっているさ、だが…ここであいつらを助けないと……」
まほ「安斎…何をする気だ!?」
アンチョビ「まほ!何でお前…」
まほ「質問に答えてくれ」
アンチョビ「突貫して…包囲網を無理矢理こじ開ける…」
まほ「自分の身を…犠牲にして…か」
819:
アンチョビ「…2両くらいはもっていきたいなぁ…そうすれば突破できそう…」
まほ「……」
まほ「…私も行こう」
アンチョビ「…いや、まほはダメ…」
まほ「…………」
アンチョビ(あぁ、話を聞くような顔じゃないなぁ…これ)
アンチョビ「…危なくなったら…すぐに逃げろよ…」
まほ「…ありがとう」
820:
アンチョビ「こうして肩を並べるの…いつ以来だ?」
まほ「…風神隊と雷神隊が出来てからは一回もなかったな」
アンチョビ「…なんだか…懐かしいな」
まほ「なぁ、安斎?」
アンチョビ「…なんだ?」
まほ「あの時…全国大会の決勝戦の後…お前は何を言おうとしたんだ?」
アンチョビ「………」
アンチョビ「…いつの日か…」
アンチョビ「……もう一度…お前と一緒に戦いたい」
まほ「……!」
アンチョビ「…そう、思っただけさ」
まほ「……そうか」
821:
アンチョビ「離れ離れになった…全然違う道を歩むことになった…」
アンチョビ「だがそれでも……私達は…今でも…親友だ」
まほ「…あぁ」
アンチョビ「よし、それじゃあ…」
ガラガラガラガラガラガラガラガラ!!!
アンチョビ「なんだ!?」
まほ「あれは…」
アンチョビ「…あいつらか…!」
まほ「…なるほど、効果的だな」
822:
アンチョビ「………」
まほ「………」
アンチョビ「…行くぞ!」
安斎千代美「……風神隊隊長!安斎千代美!パンター!」
まほ「雷神隊隊長!西住まほ!ティーガー?!」
安斎千代美・まほ「「……突貫!!!」」
823:
パーシング隊員D「…ん!?」
アズミ「ええ!?」
ルミ「なんだ!?」
メグミ「……観覧車!?」
アズミ「反対側からは…戦車まで…」
安斎千代美「…撃てぇー!!」
ドォン!
……カッ シュポッ
エルヴィン「パンジャンドラム!?」
ケイ「わーお!」
まほ「撃てぇー!!」
ドォォォン!
……カッ シュポッ
824:
安斎千代美「道が開けた!まほ!退くぞ!」
まほ「わかった!」
安斎千代美「こっちだ!全員、観覧車に気をつけつつ、私達について来い!」
パララララ……
ローズヒップ「あら?変ですわ!」
アリサ「変ですわじゃない!」
パーシング隊員D「退避行動ー!!」
アズミ「観覧車に巻き込まれないで…!」
ナオミ「……ここだ!」
ドォン!
メグミ「ってこっちに来たぁ!」
ルミ「しまった!突破された…追えぇ!」
825:
…………………
みほ「安斎さん!お姉ちゃん!ありがとう…」
アンチョビ「で…どうする、隊長」
みほ「…ほぼすべての相手が園内に侵入したので…プランGで戦います」
アンチョビ「オッケー、各車!連携をしっかりとれよ!」
アンチョビ「…まほ、みほ…一緒にいくか!」
まほ「…あぁ!」
みほ「はい!」
833:
ダージリン「観覧車さん、力尽きそうね」
典子「観覧車先輩!ありがとうございました!」
ナカジマ「ばいばーい、かんちゃーん!」
杏「達者でなー!」
………
アンチョビ「カバさんチーム、そろそろあれ、行けるんじゃないか!」
カエサル「あぁ、やってみる」
左衛門佐「お色直しでござる!」
カルパッチョ「たかちゃん、頑張ってー」
カエサル「わかってるよ!ひなちゃん!」
エルヴィン「…これか」
834:
あゆみ「結局さ…私達にできることってなんだろう?」
優季「重戦車キラー!」
桂利奈「…違うと思う」
梓「もっと身の丈にあった戦い方をしようよ!」
あや「でも、何を…」
梓「…あれは!」
………
ドォン!
ドォン!
ナカジマ「おーい!今は逃げる時だよー、カチューシャ」
カチューシャ「呼び捨てにしないでよ!」
ナカジマ「じゃあかっちゃん!」
カチューシャ「かっちゃん!?」
ねこにゃー「いいから急ぐぞよかっちゃん…」
カチューシャ「逃げるならアンタ達だけ逃げなさい…私はここで戦うわ!」
835:
ナカジマ「…」
スズキ「…力むなよ、かっちゃん」
ナカジマ「戦うのはみんなで…だよ!」
カチューシャ「!」
ももがー「ノンナさんたちがいなくなってもも!」
ぴよたん「私達がいるぴよ!」
ねこにゃー「今は同じチームだにゃー」
ナカジマ「…そうそう」
・・・・・・
西「大洗の命運!この一戦にあり!各員一層努力せよ!」
玉見「しかし…4両では…」
西「安心しろ…最強の助っ人を連れてきた!」
典子「本家参上ーーーーー!」
パンター乗務員A(……)
パンター乗務員A(なんで私達もアヒルを着けてるんだろう…)
小梅(何でだろうね…)
836:
ローズヒップ「来ましたのでございますのよ!」
桃「急いで逃げるぞ!」
エルヴィン「オールコレクト!」
カエサル「マスター・アーム・オン!」
エルヴィン「ファイアー!」
ドォォォン!
……カッ シュポッ
カエサル「アンチョビ副隊長…直伝、マカロニ作戦!大成功!」
カエサル「次行くぞ!」
・・・・・・
ドォン!ドォン!
ガァン!
そど子「やったわねー!」
ゴモヨ「いまはチームプレイだよ!そど子」
カエサル「マスターアーム!オン!」
エルヴィン「ファイヤー!」
ドォン!
……カッ シュポッ
カエサル「よし!次だ!」
837:
ねこにゃー「騎兵隊が襲ってくるにゃーーーーー!」
ももがー「あわわわわわわわ!!」
ナカジマ「で?どうする、ジェロニモ」
ねこにゃー「囲まれますぞ、ジェロニモ!」
カチューシャ「誰がジェロニモよ!」
カチューシャ「建物の中突っ切っちゃって!セットみたいなものだから大丈夫!」
ナカジマ「了解!ジェロニモ!」
838:
ガァン!バラバラバラ…
ドォォォン!
ドォォォン!
……カッ シュポッ
カチューシャ「今よ!」
ドォォォン!ドォォォン!
ねこにゃー「ほいっと!」
ぴよたん「ピヨッ!」
ももがー「ももんがっ!」
ドォォォン!
……カッ シュポッ
……カッ シュポッ
839:
まほ「…チャーフィーを一両発見、攻撃を開始する」
まほ「……撃てぇー!!」
ドォォォン!
……カッ シュポッ
アンチョビ「みほ!そっちにパーシングがいるぞ!」
みほ「はい!撃て!」
ドォォォン!
……カッ シュポッ
優花里「やりましたね!五十鈴殿!」
華「…はい!」
アンチョビ「…よし!今だ!」
パーシング隊員G「なっ!?てぇー!」
アンチョビ「甘い甘い!みほ!」
みほ「はい!撃てぇー!」
ドォォォン!
……カッ シュポッ
840:
典子「Fクイック、いっくよー!」
パンター乗務員A「Fクイックってなんですか!?」
西「敏捷作戦第6号ですね!」
パンター乗務員A「なんでわかるの!?」
西「準備完了であります!」
ドォォォン!
ガァン!
西「しまったぁ!」
玉田「ええい!このぉ!」
ドォォォン!
……カッ シュポッ
西「玉田お見事!」
玉田「アヒル殿!次の指示は!」
典子「天井からのナックルサーブでWブロックからの近距離スパイク!」
小梅「わかった…やってみる!」
パンター乗務員A「え!?小梅ちゃんわかるの!?」
小梅「なんとなくですが…」
841:
パーシング乗務員「砲身が刺さるぞ!旋回してダメージ回避!」
典子「アタックお願いします!」
小梅「はい!」
典子「今だ!Wブロック!根性で押せ!」
玉田「うおおおおおおお!!」
典子「根性おおおおおおお」
あけび「ふううううううううん!」
妙子「やっぱり意味ないと思いますよ!」
小梅「今だ!撃て!!」
ドォォォン!
……カッ シュポッ
典子「ナイスファイト!」
842:
愛里寿「あっちのチームは…まるでボコね」
愛里寿「どれだけボコボコにされようとしても…すぐに立ち向かってくる」
愛里寿「……お姉様」
…………………
3年前…
愛里寿「…お姉様!」
???「苦労をかけるね、愛里寿…」
愛里寿「島田流を受け継ぐ覚悟はできています!だから…お姉様は…」
???「…私はもうここにいられないのさ」
愛里寿「どうして!どうしてそこまでして…」
???「……そうだね…」
???「…風を……追いかけたいからさ」
愛里寿「…え?」
???「いつか…愛里寿にもわかる日が来るよ」
???「…きっと」
……………………
愛里寿「…最終目標は安斎さんのパンター」
愛里寿「他の戦車も見つけ次第…撃破して」
843:
アズミ「まさか高校生がここまでやるなんて…」
ルミ「あの子だけじゃなかった…わね、小賢しい」
アズミ「どうする?」
メグミ「ここで隊長に泣きつくなんて!」
アズミ「でも自分たちの面子ばっかり言ってたら…」
愛里寿「やってやる?やってやる!」
バミューダ三姉妹「「「!!!」」」
愛里寿「やーってやるぜ、いーやなアイツをボコボッコにー」
愛里寿「喧嘩は売るもの、どうどうとー」
愛里寿「かーたでかぜきり、たんかきるー」
アズミ「隊長が歌いだした」
ルミ「ということは!」
メグミ「中隊前進!」
844:
ダージリン「この通路はあの戦車にとっては狭すぎるでしょう…」
バキィン!がガガガッガ
ダージリン「なっ!?」
オレンジペコ「脱いだ!?」
……
カエサル「マスターアーム・オン!」
アズミ「…それはない」
ドォォォン!
エルヴィン「ファイ…え?!」
……カッ シュポッ
カエサル「ええ!?何故バレた!」
左衛門佐「完璧だったのに!?」
845:
西「隊長車発見!突撃ぃ!」
玉田「いくぞ!」
典子「はい!」
小梅「いきましょう!」
パンター乗務員A「隊長!西裏門からセンチュリオン来ました!」
小梅「5両で突っ込みます!」
アンチョビ「気をつけろ!そいつは化物だ!」
愛里寿「パンターが2両…97式二両……89式が1両…」
愛里寿「パンターの側面に回って」
センチュリオン操縦手「あいよ!」
愛里寿「撃て」
ドォォォン!
……カッ シュポッ
小梅「きゃああっ!」
愛里寿「…違う…」
846:
西「なっ!?砲撃!」
ドォォォン!ドォォォォン!
愛里寿「…撃て」
ドォォォン!
……カッ シュポッ
愛里寿「…違う…」
パンター乗務員A「そんな…!」
小梅「…安斎さん!パンター2両…やられました!」
847:
ドォォォン!
……カッ シュポッ
西「あいたー!」
ドォォォン!
……カッ シュポッ
玉田「何ぃ!?」
典子「超根性ぉーーー!!!!」
ガァン!
愛里寿「…当ててきた…けど」
ドォォォン!
……カッ シュポッ
愛里寿「…これでパンターは残り一両…」
愛里寿「安斎さんは…風神は…どこ…?」
典子「すみません!センチュリオンに5両やられました!全滅です!」
アンチョビ「…何!?」
848:
アッサム「データによりますとウィークポイントはここかと」
オレンジペコ「これ…優雅な勝ち方とは程遠いような…」
ダージリン「今は安斎さんとみほさんを助けに来たのよ、私達の勝利じゃないわ」
ダージリン「17ポンド砲さん?準備の方は?」
ナオミ「とっくに出来ている」
ナオミ「行くぞ」
ダージリン「どうぞ」
ドォォォン!
ガラガラッ…
バァン!
………ドォォォン!
……カッ シュポッ
849:
ダージリン「成功ね、アッサムのデータ主義も悪いものではないわね」
アッサム「ですがデータによるとこの後の生還率は…」
ダージリン「みほさん、安斎さん…頑張って」
ダージリン「戦いは…最後の5分間にあるのよ」
ドォォォン!
……カッ シュポッ
メグミ「ちまちましたってしょうがないわね、集まりましょう」
アズミ「いつも通りの」
ルミ「バミューダアタック!」
850:
梓「いた!チャーフィー!撃てぇ!」
ドォォォン!
……カッ シュポッ
あや「よっしゃ!」
あゆみ「やった!」
ドォォォン!
……カッ シュポッ
梓「きゃあっ!」
あゆみ「え!?何があったの?」
梓「敵にやられたんだ!安斎さん!センチュリオンがそっちに向かっています!」
アンチョビ「…わかった!」
851:
アズミ「一気に蹴散らして隊長と合流するわよ」
ケイ「ストップ・ザ・ファイア!」
ドォォォン!
ドォォォン!
アリサ「おのれえええええ!」
ドォォォン!
……カッ シュポッ
ギャアアアッ…
ナオミ「……え?!」
ルミ「ざんねーん」
ドォォォン!
……カッ シュポッ
ケイ「oops!!」
ドォォォン!
……カッ シュポッ
852:
ドォォォン!
ガァン!
……カッ シュポッ
桃「うわぁああ!やられたー!」
ももがー「ももん…がっ!!」
ガギンッ!
愛里寿「…撃て」
ドォォォン!
……カッ シュポッ
そど子「きゃあああ!何よあれー!校則違反よぉ!」
ドォォォン!
……カッ シュポッ
愛里寿「目標…中央広場」
バミューダ三姉妹「「「了解!」」」
853:
ローズヒップ「チャーフィー!!!」
ローズヒップ「…リミッター外しちゃいますのよおおおおおお!」
ガアアアアアッ!
ローズヒップ「いっき…ますのよおおおおおお!」
バッ!
ドォォォン!
ドォォォン!
……カッ シュポッ
ガアアン!
……カッ シュポッ
……………
カチューシャ「体当たりでもいいから、センチュリオンとの合流を阻止して!」
ルクリリ「了解!」
ドォォォン!
……カッ シュポッ
ルクリリ「くっそお!」
854:
ナカジマ「このままじゃ追いつけないからパワー出すよ!」
ナカジマ「スリップで付いてきてね!よろしくね!」
エリカ「スリップするのか?」
カチューシャ「スリップストリームね!」
ナカジマ「…!」
ルミ「そんなんじゃいつまでたっても追いつけないよーノロマさんたちー」
ツチヤ「エンジン規定はあるけど…モーターはないもんねぇ!」
ガアアアアアアアッ!
ルミ「え!?嘘!」
ナカジマ「行け!超音の貴公子!」
バアアアン!
ナカジマ「あれ?」
……カッ シュポッ
855:
カチューシャ「よくやったわね!今よ!」
エリカ「えぇ!」
ドォォォン!
……カッ シュポッ
ドォォォン!
ドォォォン!
……カッ シュポッ
……カッ シュポッ
・・・・・・・・
まほ「安斎!残っているのは…私達だけだ」
アンチョビ「あぁ、合流するのを阻止しないと…」
アンチョビ「…いた!パーシング2両!」
アンチョビ「…まほ!みほ!」
まほ「あぁ!」
みほ「はい!」
856:
アズミ「…撃て!」
まほ「…撃てぇー!」
ドォォォン
ドォォォン!
……カッ シュポッ
アズミ「…やられた!」
アンチョビ「撃てぇ!」
ドォォォン!
杏「ありっ!?」
アンチョビ「…外した!?」
まほ「安斎!」
アンチョビ(やられる!?)
857:
ドォォォン!
ガァン!
……カッ シュポッ
アンチョビ「まほ!?」
みほ「撃て!」
メグミ「なっ!?」
ドォォォン!
……カッ シュポッ
アンチョビ「まほ…」
まほ「どうやら…ここまでのようだな…」
アンチョビ「まほ…何故私を庇った!」
まほ「ティーガーなら撃破されないと思ったからだ…」
まほ「安斎…みほ……絶対に負けるな」
アンチョビ「……あぁ」
みほ「お姉ちゃん……はい!」
858:
愛里寿「?号に…パンターF型…!」
愛里寿「……見つけた…風神!」
アンチョビ「……センチュリオン」
みほ「……」
アンチョビ「みほ…あれを倒せば…私達の勝ちだ…」
みほ「はい!」
アンチョビ「……」
みほ「……」
アンチョビ「…行くぞ!」
みほ「……はい!」
859:
アンチョビ「カルパッチョ!装填めにな!」
カルパッチョ「はい!」
アンチョビ「ペパロニ!気合を入れろよ!」
ペパロニ「わかってますよ!姐さん!!」
アンチョビ「会長!!」
杏「いっくよー!」
アンチョビ「突撃ぃ!」
865:
みほ「建物を盾にしつつ…砲撃を開始してください!」
アンチョビ「…絶対にこっちからは近づくな!距離をとって見え隠れするチャンスを掴め!!」
愛里寿「…まずは…あの大隊長車…?号を狙う…」
アンチョビ「狙いはおそらく…私達だ!…トンネルの中には入れ…向こうが狙ってくるがタイミングをずらす!」
アンチョビ「ペパロニ!行けるな!?」
ペパロニ「問題ないッス!」
アンチョビ「…今だ!」
アンチョビ「……何!?みほ!」
愛里寿「…撃て!」
みほ「停止!」
ドォォォン!
みほ「あ…危なかった…」
アンチョビ「…狙いは…みほ…なのか?」
866:
アンチョビ「大隊長車を潰しに来るのか…なら…」
みほ「並んでください!一斉に攻撃します!」
アンチョビ・みほ「「撃てぇ!」」
ドォォォン、ドォォォォン!
愛里寿「…回避行動、C21」
みほ「えええ?!」
アンチョビ「…なっ!?」
愛里寿「撃て!」
ドォォォン
ガギィン!
アンチョビ「…みほ!」
みほ「大丈夫です!」
867:
アンチョビ「次!てぇー!」
ドォォォン!
愛里寿「回避行動、B14、その後砲撃」
ドォォォン!
ドォォォン!
ガギィン!
アンチョビ「ぐっ…なんて挙動をするんだ!」
みほ「……毎回ぎりぎりで躱される…遮蔽物を利用しても…効果がない…」
アンチョビ「…参ったな…2対1でもこれか…」
みほ「…来る!?」
愛里寿(…すごい)
868:
アンチョビ「逃げろ!」
ドォォォン
愛里寿(安斎さんはまだ納得できる…けど…あの?号…)
愛里寿(…正直、最初の2発で終わると思っていたのに…ここまでやるなんて…)
愛里寿「回避行動…言わなくても大丈夫?」
センチュリオン操縦手「オッケー、アドリブでいい?」
愛里寿「うん、多分この調子だと、間に合わなくなる…そっちの動きにあわせる」
センチュリオン操縦手「オッケー!いっくぞおおお!」
ギャアアアアアアアア
みほ(完成したドリフト走行…)
みほ(…これなら…)
みほ「撃てぇ!」
ドォォォン!
センチュリオン操縦手「当たらないよ?!」
愛里寿「撃て!」
アンチョビ「今だ!撃てぇ!」
センチュリオン操縦手「そらよ!」
869:
愛里寿「…撃てぇ!」
ガギィン!
みほ「ぐっ…!」
アンチョビ「…ジリ貧になるな…」
愛里寿「…遊具を壊せ…撹乱した所を、一気に叩く」
アンチョビ「…みほ!」
みほ「…はい!」
ドォォォン!
ガラガラガラガラ!
アンチョビ「なにぃ!?」
870:
アンチョビ(狙いを切り替えに来たのか?!)
愛里寿「……撃て!」
アンチョビ(いや、違う!これは私とみほを引き離すための…)
みほ「…停止!」
ドォォォン!
アンチョビ「…みほ!」
みほ「…まだ動けます…大丈夫…です…」
アンチョビ「クソッ………やられるのは…時間の問題か…」
みほ「…安斎さん…」
アンチョビ「……何だ?」
みほ「…お願いしたいことがあります…」
みほ「…………」
アンチョビ「……わかった!」
871:
愛里寿「…山頂まで登った…何をする気だ?」
センチュリオン乗務員「どうします?」
愛里寿「…迎え撃つ、?号を撃破したところでパンターの攻撃を回避後…撃破しろ」
センチュリオン乗務員「了解!」
…………
みほ「…行きましょう」
アンチョビ「…あぁ」
アンチョビ(…みほ…)
みほ「……」
愛里寿「来る!」
愛里寿「パンターが…前!?」
アンチョビ(私が…お前を…守る!)
872:
みほ「安斎さん!」
ドォォォン!
愛里寿「空砲!?」
みほ「行ってください!」
アンチョビ「……うああああああああああ!!!!!」
アンチョビ(そうだ…私は…)
ビュオオオオオオオオオオオオ!!!
愛里寿「撃て!」
ドォォォン!
ガギィン!
アンチョビ(風と…仲間と共に…)
愛里寿(止まらない!)
873:
アンチョビ「いっけえええええ!」
アンチョビ(どこまでも…どこまでも…)
愛里寿「!」
ビュオオオオオオオオオオ!!!
アンチョビ(…駆け抜ける!)
愛里寿「……!」
アンチョビ(…これが…私の…)
愛里寿(この風…!?)
アンチョビ「撃てえっーーー!」
874:
アンチョビ(…戦車道だ!)
875:
ドォォォォォン!
…………………
………………
……………
ミカ「………」
ミカ「…風が…止んだ…」
…………………………カッ シュポッ
……………カッ シュポッ
876:
審判「センチュリオン…パンターF型…走行不能!」
審判「…残存車両を確認中!」
審判「………目視確認、完了」
審判「大学選抜チーム、残存車両なし」
審判「大洗女子学園…残存車両……1!」
蝶野「…大洗女子学園の勝利!」
877:
「よっしゃああああああああああああ!!」
「きゃあああああああああああああ!」
「やったああああああああああ!」
あや「え?何?勝ったの?」
カチューシャ「ハラショー!ピロシキィ!」
典子「ばんざーい!」
ケイ「イエーイ!!」
ノンナ「勝利!」(ロシア語)
クラーラ「やりました!」(ロシア語)
理事長「あーはははっ!!!!」
辻「」
878:
しほ「…」
千代「…」
しほ「…終わりましたね…」
千代「ええ、とても…とても良い勝負でした」
柚子「う、うううぅうう…」
桃「」
柚子「桃ちゃん!起きて!勝ったんだよ!」
桃「はっ!…うううぅ!!」
……………
杏「…チョビ、終わったぞ」
カルパッチョ「…安斎さん」
ペパロニ「…姐さん」
アンチョビ「………あぁ」
アンチョビ「…私達の…勝ちだ!」
879:
アンチョビ「…さて…おぉ、みんないる」
みほ「安斎さあああああああああん!」ダキッ
アンチョビ「うおあああっ!?」ガシッ
優花里「!?」
まほ「!?」
ペパロニ「!?」
みほ「安斎さん!安斎さん!安斎さぁーん!」ギュウウウ!
アンチョビ「みほ!落ち着け!恥ずかしい!…後、苦し…!」
柚子「ふたりともありがとおおお!」
桃「勝ったぁ!勝ったぞぉ!」
まほ「……」ジー
エリカ「隊長…お疲れ様でした」
880:
まほ「…あぁ」ジー
エリカ「…どうかしたんですか?」
まほ「…いや、なんでもない」ジー
エリカ「…はぁ」
ダージリン「みほさん、安斎さん、おめでとう」
ケイ「おめでとう!」
カチューシャ「ま、おめでと!」
みほ「安斎さんが居なかったら…私……あっ…//////」
アンチョビ「みほ…悪いが…ちょっとだけ離れてくれ…」
みほ「…………はい…///」
アンチョビ「がほっ…あ、ありがとう」
みほ「み、皆ひゃん……///本当に…ありがとう…ございました!」
「「「ありがとうございました!」」」
881:
西「良い試合が出来ました!」
愛里寿「……」
アンチョビ「あ、愛里寿ちゃん…」
愛里寿「安斎さん…ありがとう、楽しかった…」
アンチョビ「あぁ、明日には大洗に帰るから…チャーフィーの部隊と副隊長にはあとで挨拶を…」
愛里寿「…これ…」
アンチョビ「…ん?ボコのキーホルダー?」
愛里寿「…私からの勲章よ…」
アンチョビ「ありがとう…だが…これはみほのものだ」
愛里寿「え?」
アンチョビ「最後の作戦は…みほが立てたんだ…」
アンチョビ「私だけじゃ…愛里寿ちゃんには勝てなかった…」
アンチョビ「それに…みほは大のボコ好きなんだ…」
愛里寿「…そう…わかった…」
882:
みほ「ありがとう…大切にするね」
愛里寿「…安斎さん…みほさん…」
愛里寿「…次は…負けないから…」スッ
みほ「……はい!」
アンチョビ「あぁ!」
……………
千代「次からは…わだかまりのない試合をしたいですわね」
しほ「ええ、ところで…彼女の処分について…ですが…」
千代「実は…それについては、妙案があります……」
千代「………」
しほ「………」
しほ「……なるほど…それはいいかもしれないわね」
883:
prrrrrrr
千代「…はい」
千代「…えぇ、計画をプランBの第二段階へ移行しなさい」ピッ
しほ「また何か企んでるんですか?」
千代「…まさか…」
千代「勢いに乗りすぎて壊れてしまったもの達に…救いの手を差し伸べるだけですよ」
しほ「……?」
………………
まほ「…安斎!」
アンチョビ「…まほ…?」
まほ「……」
アンチョビ「……」
まほ「…また会おう」
アンチョビ「…!」
アンチョビ「……あぁ!」
884:
アキ「戦車道は人生において大切なものすべてが詰まってる…本当だったんだね!」
ミカ「だろう?」ポロロン
ミカ(風は…止まった…)
ミカ(…だが、きっとまた…更に大きく吹き始めるのだろう…)
ミカ(…彼女の道が…ここで終わるわけではないのだから…)
………………
そど子「……!」
麻子「あっ…!」
みほ「あああー!」
アンチョビ「……」
優花里「学園艦が…」
杏「帰ってきた!」
桃「やったあああああああ!」
みほ「…」ギュッ
アンチョビ「…」
みほ「…安斎さん…!」
アンチョビ「……帰ろう!!」
みほ「…はい!」
885:
アンチョビ「…はい、もしもし…」
アンチョビ「……わかりました、すぐに向かいます」
みほ「…安斎さん?」
アンチョビ「…みほ、学校が始まるのっていつからだっけ?」
みほ「…えっと、確か4日後ですね」
アンチョビ「4日後…か、ぎりぎりで間に合いそうだな」
みほ「どうかしたんですか?」
アンチョビ「西住流に家元に呼ばれた…熊本に行ってくる」
みほ「ふぇ?!わ、私も一緒に…」
アンチョビ「私一人で来いって念押しされた」
886:
しほ「…」
アンチョビ「こうして…対面することは…もうないと思っていました」
しほ「…私もです」
千代「失礼します」
アンチョビ「…島田流の…家元!」
千代「…安斎さん」
アンチョビ「……何故あなたがここに…」
しほ「それでは…全員揃ったところで…話を始めましょうか」
しほ「……今回あなたを呼んだのは…」
しほ「…あなたの今後についてです…」
アンチョビ「…」
887:
…………
しほ「…以上になりますが…どうでしょうか?」
千代「…安斎さん?」
アンチョビ「…私は…西住流にも島田流にも…多大な迷惑を掛けました」
アンチョビ「絶縁されて、二度と戦車道ができない位の覚悟でこの場に来たんですが…」
アンチョビ「…正直…許されるなんて…まったく思っていなくて」
千代「…あなたには大きな才能があります…それを潰すなんて…ありえませんよ」
しほ「西住流と島田流…2つの流派を学んだのは…後にも先にもあなただけです」
しほ「それに…あなたには借りがあったので…あなたは覚えてるかどうかはわかりませんが」
アンチョビ「…ありがとう…ございます」
888:
千代「これからはもっと大きな視点で…世界の視点で戦車道を見なければならない…」
アンチョビ「…2年後の世界大会…ですね」
千代「…えぇ、あなたには…それの誘致とプ口リーグの設営と運営の手伝い」
しほ「そして…まだ見ぬ選手のスカウトや育成をやってもらいたいのです」
千代「そうですね…だいたい5?6年位でしょうか?」
アンチョビ「5?6年…ですか」
千代「安心してください、世界大会やプ口リーグへの参加をしつつ…ですから」
アンチョビ「……少し…考えさせてください…」
しほ「…えぇ、今日この場で…というのは私達も求めていません」
アンチョビ「あのー、ちなみにもし断ったら?」
千代「しほさん!破門にするんですか?もらっちゃってもいいですか?」
しほ「泥棒猫に取られるのは癪ですのでそのままにしておきます」
しほ「もっとも、名前だけの在籍になりますが…」
アンチョビ「つまり…ほぼ今までと変わらない…ということですね?」
しほ「えぇ…そうなります」
アンチョビ「…そう、ですか」
しほ「用件は以上です…」
アンチョビ「…失礼します」
889:
しほ「…」
千代「いいんですか?」
しほ「…何がです?」
千代「あれだとあの子が受けるメリット…何もありませんよ?」
しほ「ええ、贖罪なんて最初からさせるつもりはありませんから…あなたもですよね?」
しほ「この提案を彼女にすると言いだしたのはあなたですよ」
千代「はい、むしろ私は…感謝しているくらいです」
千代「それにしても…断りやすいようにといっても…5?6年って盛り過ぎでは?」
しほ「…そうですか?本来の1年だとみほが卒業するまでなので断らないと思って…」
千代「なんだか、もったいない気もしますけどね…彼女なら素晴らしい働きをしそうですし…」
しほ「…あの娘には…あの娘の道があります…」
しほ「私達がどうこう言うものではありません」
千代「…そうね」
901:
アンチョビ「で…大洗に戻ったのはいいが…」
ダージリン「大洗でのお茶会も悪く無いわね」
ノンナ「カチューシャ様…お茶…熱くはありませんか?」
カチューシャ「このくらい平気よ」
アリサ「ほんっとここの戦車倉庫は狭いわね」
ナオミ「サンダースが大きすぎるだけだ」
ケイ「あ、はーい!アンチョビー!」
アンチョビ「ちょっと待てケイ!何故その名前を知っている!?」
ローズヒップ「ソウルネームだなんてかっこいいですわね!で、アンチョビってどういう意味ですの?」
西「多分風神殿のことですから、すごくかっこいい由来なんでしょうな!」
オレンジペコ「えっと…そ、そうですね…」
エリカ「パスタの一種よ」
ミカ「……」ポロロン
まほ「……おかえり…安斎」
902:
アンチョビ「まほ、熊本に居ないと思ったら…どういうことだ?」
エリカ「短期転校は2週間が最低期間なのよ…あと10日はここにいるわ」
アンチョビ「なるほど…」
まほ「で…どうだった?家元は…」
アンチョビ「そのことなんだが…」
アンチョビ「…私は、2週間後に熊本に行く」
まほ「…!」
ケイ「ええ!?」
903:
アンチョビ「5?6年間、プ口リーグの運営とか世界大会の誘致とか選手の育成をしろ…だってさ」
ダージリン「まぁ…」
まほ「……最低でも…5年か」
カチューシャ「ちょっと!勝手に引退だなんて許さないわよ!」
アンチョビ「待てよカチューシャ、引退だなんて誰も言ってないだろ!」
アンチョビ「ま口リーグには入れるから戦車道は続けられる」
カチューシャ「ならいいわ!プ口リーグの世界で今度こそボッコボコにするんだから!」
まほ「……そうか…」
904:
アンチョビ「そんなわけで会長-」
杏「んー?」
アンチョビ「卒業式には出たいから卒業式まで公欠扱いで…」
バサッ…
アンチョビ「…よろし…く?」
みほ「………………え?」
アンチョビ「……みほ…?」
みほ「安斎さんが…いなくなる…?」
905:
アンチョビ「聞いてたのか…」
みほ「安斎さん、冗談はやめてください!」
アンチョビ「私は本気だが?」
みほ「…嘘です!聞きたくないです!」
みほ「また…安斎さんがいなくなるなんて…!」
みほ「…しかも…5年もだなんて…」
みほ「……そんなことって…」
まほ「落ち着け、みほ、安斎の選んだ道なんだ…暖かく見送って」
みほ「また…安斎さんと一緒にいられるとおもったのに…」
906:
アンチョビ「………みほ…」
みほ「…安斎さん…考えなおしてください…」
アンチョビ「……」
アンチョビ「…わかった…」
みほ「…ありがとうございます…」
…………………
その日の夕方
アンチョビ「…みほ」
みほ「…安斎さん…答えは…」
アンチョビ「……すまない」
みほ「!!!」
みほ「そう…ですか…」
907:
アンチョビ「…みほ」
アンチョビ「どうしても…私を…止めたいか?」
みほ「はい、安斎さんが居ない日々なんて…考えたくないです」
アンチョビ「……」
アンチョビ「…わかった」
アンチョビ「……大洗女子学園、隊長…西住みほ!」
みほ「!」
アンチョビ「お前に…決闘を申し込む!」
908:
カチューシャ「えええ!?ミホーシャとチョビーシャが決闘!?」
ノンナ「そうみたいですね」
カチューシャ「…面白そうじゃない!」
ダージリン「まぁ、アンチョビさんとみほさんが…」
西「そうです!4日後、演習場で1VS1で戦うようです」
ケイ「しっかし、あれだけ仲の良い二人に…何かあったのかしら?」
アリサ「おそらく…昨日の件では?」
909:
杏「チョビ子?」
アンチョビ「どうした?」
杏「これでよかったの?」
アンチョビ「……あぁ」
アンチョビ「荒っぽいが…みほに気付かせるにはこれが一番だ」
アンチョビ「出来の悪い弟子を送り出すのは…師匠の最後の務めだ」
杏「随分とハードルが高いんだねー」
杏「西住ちゃんなら高校戦車道の中でも…間違いなくトップクラスの実力者なのに」
アンチョビ「師匠にずっとおんぶに抱っこでいるつもりの弟子がどこにいる」
杏「それもそっか」
アンチョビ(…みほ…お前は…まだ気がついていないのか?)
910:
みほ「……」
まほ「みほ…安斎と戦うことになったらしいな」
みほ「…うん」
まほ「…安斎は強いぞ」
みほ「わかっています…でも…負けるわけにはいきません」
まほ「…なぁ、みほ…」
みほ「はい?」
まほ「…なんで安斎がお前に決闘を申し込んだか…」
まほ「その理由が…わかるか?」
みほ「…それは…」
みほ「…お母さん達が提示した道に行こうと…したんじゃ」
まほ「みほ…それは違う…」
みほ「え?」
まほ「…安斎は…」
まほ「………いや、やめておこう…試合、楽しみにしているぞ」
みほ「…?」
911:
みほ「皆さん、お願いします…力を貸してください」
優花里「私は西住殿の味方です!」
麻子「任せろ」
沙織「頑張ろー!」
華「勝ちましょう!」
みほ「皆…ありがとう!」
アンチョビ「……」
920:
試合当日
みほ「…」
アンチョビ「よろしくな…みほ」
みほ「……はい」
ダージリン「…まほさん、この試合、どう見ますか?」
まほ「…安斎の勝ちだ…」
ダージリン「…決めつけるのですか?」
まほ「……普通ならな」
まほ「…だが…安斎はこの試合…勝つことは二の次だ」
ダージリン「ほう?それじゃあ…何を目的としているのかしら?」
まほ「彼女は…安斎は…」
まほ「みほの本能を覚醒させるために戦うんだ」
ダージリン「みほさんの…?」
まほ「…始まった」
………………
みほ「安斎さん…どこから来るんだろう…」
沙織「会敵するとしたらどのくらいかな」
みほ「多分10分後くらいだと思う」
みほ「麻子さん、安斎さんはおそらく奇襲してくるだろうから周囲に気をつけてください」
麻子「了解」
921:
みほ「おかしい…もう15分以上経つのに……」
沙織「迷ってるのかな?」
優花里「…あっ!発見しました!」
みほ「……麻子さん、バレないように気をつけながらゆっくりと側面に回り込んでください」
麻子「了解」
みほ「パンターの正面装甲は抜けません、ですが、側面なら大丈夫です」
華「…わかりました…」
………
みほ「……おかしい」
みほ「安斎さんなら…もう私達には…気がついているはず…」」
アンチョビ「……隙だらけだ!」
沙織「みぽりん!後ろ!」
みほ「…え?!」
アンチョビ「撃てぇー!!」
みほ「前進!!」
ドォォォン!
922:
ガァアアン!
みほ「…きゃっ…そんなっ…どうして…」
麻子「してやられたな…」
みほ「…デコイ!?」
アンチョビ「…」
みほ「安斎さんが来てる…迎え撃たないと…砲撃!!」
ドォォォン!
ガァン!
みほ「側面に回りこんでください!優花里さん!装填をめに!」
麻子「オッケー」
優花里「了解で…あります!」
923:
……………
ドォォォン!
ガァァァン!
みほ「装甲がどんどん削られている…このままだと…」
沙織「みぽりん!一気に決着をつけようよ!」
みほ「……」
みほ(うん、勝つにはもうそれしかない…このまま戦ってもやられるだけ)
みほ(でも……絶対に安斎さんは対応してくる…どうすれば…)
アンチョビ「てぇー!!」
ドォォォン!
ガァン!
みほ「……あれ?」
みほ「パンターが…離れていく…」
924:
優花里「次の奇襲を狙ってくるんですかね…」
アンチョビ(みほ…まさかこのまま終わるわけがないと思うが…)
アンチョビ(次の襲撃で仕留めさせてもらおう…)
…………
カチューシャ「あれ?逃げちゃうんだ、このまま攻めてたら間違いなく勝ってたのに」
ケイ「どうだろう、あまり長い時間戦ったら…みほも対応してきそうだけど」
まほ「それだけじゃない」
ノンナ「ほう?どういうことでしょうか?」
まほ「安斎がここで離れたのは二度目の奇襲を行うためと…みほに最後の時間を与えることだ」
ダージリン「…」
まほ「もしここでみほが気が付かないなら…」
まほ「安斎には…絶対勝てない」
925:
みほ「……やっぱり…安斎さんはすごい…」
沙織「みぽりん…どうする?」
みほ「……」
みほ(このままいてもやられるだけ…何か策を考えないと…)
みほ(でも私なんかが考えていることは…きっと安斎さんも想定しているはず…)
みほ(やっぱり…私は…安斎さんには…)
沙織「みぽりん!!」
みほ「!!!」
926:
沙織「安斎さんといられるのは…今日で最後になるかもしれないんだよ!」
沙織「安斎さんは5年って言ってるけど…」
沙織「プ口リーグではバラバラになって敵同士になるかもしれないんだよ!」
沙織「みほは…みほはこのままでいいの!?」
みほ「…!」
優花里「西住殿!」
華「みほさん!」
麻子「…西住さん…」
みほ「………!」
927:
………
アンチョビ「困ったときは…誰かに頼ってもいいんだ、甘えてもいいんだ」
アンチョビ「たった一人で…悩む必要は…ないんだ」
アンチョビ「元気を出せ、みほ…お前は…独りなんかじゃない」
アンチョビ「お前の進む道を信じれば…きっとうまくいく」
………
みほ「そうだよね…今日が最後かも…しれないんだよね…」
沙織「みぽりんって安斎さんに色々教わったんだよね」
みほ「うん…いっぱい…いっぱい…大切なことを教えてくれた」
優花里「ならば、今、その教わった成果を安斎殿に見せましょう!」
麻子「安心しろ、どこでも行ってやる」
華「私達がついていますから…安心してください」
みほ「…みんな」
928:
みほ(そっか…ここには私を信頼してくれている…皆が居るんだ)
みほ(ダメだよね…指揮官の私がしっかりしなきゃ)
みほ(…………でも)
みほ「…ありがとう…私…」
みほ「皆と出会えて…本当に…本当に…」グスッ…
沙織「みぽりん、泣くのは…安斎さんに勝ってからだよ!」
麻子「で、どうする?隊長」
華「私達に任せてください!」
929:
優花里「西住殿!命令してください!」
みほ(……勝とう!いや、全力を尽くそう!)
みほ(安斎さんも…それを望んでいるはず…!)
みほ「それでは…」
みほ(おそらく…安斎さんの意表を突くには…これしか方法はない…)
みほ「…………」
優花里「了解であります!」
沙織「わかった!行こう!」
華「行きましょう!」
麻子「行くぞ」
みほ「皆さん……お願いします!」
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