ゼオン「お前・・・その本をよんでみろ」清麿「は・・・・・・?」back

ゼオン「お前・・・その本をよんでみろ」清麿「は・・・・・・?」


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乙 再登場の時でいいからキュミエル・カロンの情報も欲しいな
399: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/13(水) 16:49:37.99 ID:G+iZVrMc0
書いていきます。それとカロン、キュミエルについて
カロン …レイコムとは魔界からの友達で大の仲良し。
  わりと頭の回転はいい方。サポートする術が多い。
  尽くすタイプの女の子。
キュミエル …二十歳の女性でアメリカの白人。カロンにせがまれて日本にやってきた。
  金持ちのボンボン。あまり自分の意志はもたない。
現在使える術 …ゼガル、ゼガルガ、モケルド、ボルク(残像)
こんな感じです。
400: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/13(水) 16:50:59.15 ID:G+iZVrMc0
イギリス――
デュフォー「着いたか……ここから研究所まで結構あるな」ボト
ガッシュ「ウヌウ、きれいな街なのだ」
デュフォー「……ん」
セッコロ「……」
カバンを持つセッコロ
セッコロ「わあああ」バッ
ガッシュ「泥棒なのだー!」
デュフォー「……腹減ったな」
ガッシュ「何のんきなことをいっているのだ、早く追いかけるぞ!」
ガッシュ「うおお」バッ
セッコロ「な、なんだこいつ! くっそお、こっからが本番だぜ!」ポイ
デュフォー「荷物回収」
401: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/13(水) 16:58:11.32 ID:G+iZVrMc0
数十分後――
セッコロ「や……やるな、チビっこいの」
ガッシュ「ウヌ、あんなに足のはやいものは初めてだ」
セッコロ「……」ニヤ
セッコロ「チビっこいの、名前は?」
ガッシュ「私はガッシュ! ガッシュ・ベルだ!」
セッコロ「あははは、オレはセッコロだ! お前オレの友達にならないか!」
ガッシュ「ウヌ! いいのか!?」
セッコロ「おうよ! よし、来いよオレの隠れ家に! 招待してやる」
402: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/13(水) 17:07:19.45 ID:G+iZVrMc0
隠れ家――
デュフォー「帰ってきたか」モグモグ
セッコロ「な、お前! オレの数少ない食料をー!!」
デュフォー「まあ、そんな腹をたてるな」
デュフォー「もうすぐお前の両親は帰ってくるんだからな」
セッコロ「何!?」
ガッシュ「? どういうことなのだ」
デュフォー「ここから北に五十キロ先のホーバーク・ヒルという村にある城の地下にこいつの両親が監禁されている」
デュフォー「また、そこにはいろいろな人間がさらわれているようだな」
デュフォー「魔物の仕業だ」
403: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/13(水) 17:15:19.68 ID:G+iZVrMc0
デュフォー「ついでだ。倒しておくことにする」
ガッシュ「わかったのだ!」
セッコロ「なんでお前らそんなこと……」
デュフォー「世話になったな。行くぞ、ガッシュ」
ガッシュ「ウヌ!」
セッコロ「お前ら本当にいくのかよ!? 勝てるわけないだろ!」
ガッシュ「心配ありがとうなのだ。でも私は逃げるわけにはいかないのだ」タッ
セッコロ「お……おい……」
404: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/13(水) 17:21:02.83 ID:G+iZVrMc0
城――
ガッシュ「ここなのだ」
デュフォー「いくぞ」バッ
ガラガラガラ
ガッシュ「ウヌウ! 閉じ込められたのだ」
ガッシュ「!?」
ガッシュ「鎧の騎士……何十体もいるのだ……」
デュフォー「どうやら花をつけることで操ってるようだ。新しく覚えた呪文の出番だ」
ガッシュ「新呪文!? 使ったこともないのにわかるのか!?」
デュフォー「おまえ頭悪いな。新しく出た呪文はどんなものだ? という答えもだせるからアンサー・トーカ―なんだろ」
ガッシュ「ウヌウ……そんなに言わないでほしいのだ……」
デュフォー「第三の術……ジケルド!」ドン
405: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/13(水) 17:24:53.84 ID:G+iZVrMc0
バルトロ「ステング、奴らが最初の部屋を突破したよ」
ステング「なぜだ!? 鎧の騎士たちは何をやってる!?」
バルトロ「全員がくっつきあって身動きがとれなくなってるね」
ステング「なんだとお……フン、まあいい。どうせ次の部屋でおだぶつよ」
ステング「なんせ、二百本もの剣が……」
ステング「同時に侵入者に襲いかかるんだからな!」
――
デュフォー「ラシルド!」ドン
――
バルトロ「二番目の部屋突破されたね……」
406: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/13(水) 17:31:42.26 ID:G+iZVrMc0
三番目の部屋、落とし穴の部屋――
デュフォー「ガッシュ、ここを通るなよ」
ガッシュ「ウヌ、わかったのだ」てくてく
四番目の部屋――
デュフォー「ガッシュ、上の方を見ろ」
ガッシュ「ウヌ」
デュフォー「ザケル!」ドカーン
――
バルトロ「最後の罠も突破されたよ。ここに来る」
ステング「……」
407: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/13(水) 17:37:04.39 ID:G+iZVrMc0
ワ―― 
「やったわ、たすかるわ」 「早くみんなに伝えなきゃ」
ステング「やかましいぞ、てめえら!」
ステング「ちっ、まあいい。笑いたきゃ今のうちに笑ってやがれ」
ステング「どうせ入ってきた奴らもおまえら村人も待っているのは絶望だけなんだ」
ステング「準備はいいな? バルトロ!」
バルトロ「もちろんだよ、ステング」
408: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/13(水) 17:45:33.58 ID:G+iZVrMc0
ステング「フッ……よくきたな」
バルトロ「……」ドドーン
ガッシュ「……でっかい子供だの……」
デュフォー「さっきの鎧の騎士と同じ原理だ」
デュフォー「両手両足、四つの花をすべて破壊すればこいつは倒れる」
ステング「ゼベルセン!」ドンドン
デュフォー「ラシルド!」ドーン
409: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/13(水) 17:50:33.51 ID:G+iZVrMc0
ステング「ほう……相手の技をはね返す術まで持っていたか……」
デュフォー「……」
ステング「……? 魔物の方はどこに行った?」
デュフォー「ザケル!」ドカー
ズズウンッ
ステング「なっ、奴ら花を……!」
デュフォー「次は反対側だ、ダッシュ」
ガッシュ「ウヌ!」タッ
デュフォー「そこだ、ザケル!」ドカーン
デュフォー「……その場所なら一気にすべての花を破壊できる」
ズズズズウン!
410: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/13(水) 17:55:54.10 ID:G+iZVrMc0
ステング「そんな……一瞬で……」
デュフォー「終わりだ」
ステング「なっ、人間、いつの間に!」
デュフォー「ガッシュに夢中でオレに気づかなかったようだな」バッ
ステング「なっ……本が……」
デュフォー「ガッシュ」ポイ
ガッシュ「ウヌ!」
デュフォー「ザケル!」ドッ
ステング「うわああ」
メラメラ
411: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/13(水) 17:57:28.62 ID:G+iZVrMc0
デュフォー「よし帰るぞ」
ガッシュ「いいのか? セッコロの両親は……?」
デュフォー「地下の牢屋にいる。ここにいる奴らが助けてくれるだろう」スタスタ
デュフォー「そしてまた、こちらにセッコロが向かってきている。そこで対面するだろう」
ガッシュ「ウヌウ……何も言わずにお別れとはのう……」
デュフォー(無駄なことに時間をかけるつもりはない……)
デュフォー「早くしろ」スタスタ
ガッシュ「ウヌ、わかったのだ」スタスタ
412: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/13(水) 18:00:07.89 ID:G+iZVrMc0
――
セッコロ「はあ……はあ……」
セッコロ「父さん! 母さん!」
セッコロ父「セッコロか……?」
セッコロ「助かったんだね」ギュッ
セッコロ母「どうやら二人の青年と男の子がたすけてくれたみたいなの」
セッコロ(まさかあいつらが……?)
セッコロ「その二人はどこに!?」
セッコロ母「さあ……もういないみたい……」
セッコロ(な……なんだよ……)
セッコロ(礼ぐらい言わせろよ……)
423: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/14(木) 23:34:56.43 ID:GKMuEhRx0
研究所――
デュフォー「ここだな」
ガッシュ「ウヌ」
デュフォー「いくぞ……ザケル!」ドーン
――
研究者「くっ……ついに奴らが……」
ソロ「大丈夫だ。オレたちはすでに何体か魔物を倒し力をつけてきた」
レイジー「……」ズキズキ
ソロ「レイジー?」
レイジー「ああ……大丈夫だ……」
424: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/14(木) 23:42:57.79 ID:GKMuEhRx0
――
デュフォー「右方向にマントを」
ガッシュ「ウヌ!」クルン
警備員「なんだ、こいつら……全然止まらねえぞ!!」
デュフォー「意識が戻ったら一気に駆け抜けろ」
デュフォー「ザケル!」ドカーン
警備員「うわああ」
デュフォー「この部屋が最後か……。魔物がいるな……」
ガコーン
レイジー「やあ、会いたかったよ。デュフォー」
デュフォー「……レイジー……」
425: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/14(木) 23:51:42.21 ID:GKMuEhRx0
レイジー「ふふ、覚えていてくれてうれしいよ。それともアンサー・トーカ―の力か?」
デュフォー「まだ死んでなかったのか……いや、寿命ものこりわずかのようだな……」
レイジー「……」
研究者「早く殺せ! レイジー!!」
デュフォー「! お前……」
レイジー「はいはい……わかりましたよ……戦うとしますかね」
デュフォー「しかしお前、頭悪いな。お前のアンサー・トーカ―は非常に不安定だ」
デュフォー「安定させるトレーニングもしてないのに、使い続けているせいでお前の脳はもうズタボロになっている」
レイジー「余計なお世話だな」シュンシュン
ガッシュ「ヒトデのようなものが現れたのだ!」
レイジー「ファルガ!」ズバアア
426: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/15(金) 00:01:46.56 ID:zfltne4n0
ガッシュ「四方八方から……!」
デュフォー「ラシルド!」ドン
ソロ「ちっ、はねかえりやがって! 防御だ」
レイジー「ファシルド!」バキイン
ソロ「前を防いだところでどうにもならん、くたばれ!」
レイジー「……! ソロ、上だ!」
ソロ「!?」
デュフォー「ザケル!」ドーン
レイジー(なるほど、さっきの盾は死角をつくるため……)
バキバキバキ
ソロ「なっファシルドが……」
レイジー「右に跳べ!」
バッ
ソロ「あ、危なかった……」
427: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/15(金) 00:08:38.19 ID:zfltne4n0
レイジー「デーム・ファルガ―!」ズバアアア
デュフォー「下、右、左……」シュンシュンシュン
レイジー「! 今だ、ディオガ・ファリスドン!」ズドーー
ガッシュ「でかい!!」
デュフォー(……! 逃げ場をなくされたか……だが)コオオオ
デュフォー「ザケル!!」ドカーン
ソロ「なっ……第一の術でディオガ級をはね返すだと……!」
レイジー「おいおい……強い通りこしてチートだぜ……」
デュフォー(問 次にやつが使ってくる術はなんだ……?)
デュフォー(答え 何も使わない)
デュフォー(……?)
デュフォー(問 次に何がおこる?)
デュフォー(答え 床にあらかじめセットされた爆弾が爆発する)
デュフォー「ガッシュ! 足もとをマントでくるめ!」
ガッシュ「!」
ドカーン
428: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/15(金) 00:19:58.31 ID:zfltne4n0
レイジー「爆発する前に気づいたか……だが!」
ソロ「スキはできた」
レイジー「ディオガ・ファリスドン!」ドーン!
デュフォー(まずい……防御が……)
ドカーン!
ソロ「たたみかけろ!」
レイジー「ファルガ! ファルガ! デームファルガ―!!」バーン
研究者「おおお、これはすごいぞおお」
レイジー「今のうちに心の力をためる。やつから目を離すな」
ソロ「くっくっく、所詮は落ちこぼれ。オレに勝とうなんぞ百年早いんだよ」
ガッシュ「ぐうう……」ヨロヨロ
レイジー「マントで守ったか」
ソロ「だがもう、ボロボロだな」
デュフォー「……」
デュフォー(体が……動かない……)
429: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/15(金) 00:22:37.75 ID:zfltne4n0
研究者「はっはっは、無様だな」
ガッシュ「はあ……はあ……」
研究者「あのとき死んでいればよかったものを」
研究者「そうそう、あの時、そこの変なガキに邪魔されて言えなかったことがある」
デュフォー「……」
研究者「君のお母さんだがね、彼女はお金欲しさに君を我々に売ったんだよ。一万ドルというはした金でね」
研究者「死ぬ前に君の最大の謎が解けてたね」
デュフォー「……!」
研究者「やってしまえ! レイジー、さっさと殺してしまえ」
レイジー「エクセレス・ファルガ―!」ドカーン
430: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/15(金) 00:23:35.26 ID:zfltne4n0
ガッシュ「があああああ」バッ
デュフォー「ガッシュ……?」
レイジー「!? 生身で耐えられる術なんかじゃないぞ!」
ガッシュ「うおおおおお」
ドーン!!
ガッシュ「はあ……はあ……」ボロ…
ソロ「まだ、立って……」
レイジー「……理解できんな……なぜデュフォーのためにそこまでする?」
ガッシュ「……はあ……はあ……」
デュフォー「……」
431: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/15(金) 00:30:54.26 ID:zfltne4n0
レイジー「こいつは、お前が何をしたって決して恩なんて感じてないぞ」
レイジー「お前の事なんてただ利用してるだけだ」
レイジー「……ああ……そうか、縁を切ろうともきれないのか」
レイジー「ふはははは、そりゃそうだ。パートナーだからどうしてもついていかないといけないのか」
レイジー「こんなやつがパートナーで同情するぜ」
レイジー「あいつなんか、さっさと死んじまえばいいのになああ」
レイジー「生きててほしいやつなんか誰もいねえんだ!」
レイジー「くっくっく……はーはっはっはー」
ガッシュ「だまれ!! お前にデュフォーの何がわかる!?」
432: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/15(金) 00:41:15.37 ID:zfltne4n0
ガッシュ「デュフォーから聞いたぞ! お前らがずっとデュフォーを監禁し続けたって!!」
ガッシュ「デュフォーはずっと苦しんできたのだ!」
ガッシュ「ずっと……ずっと……誰にも手をさしのべてもらえず、ずっと!」ポロポロ
ガッシュ「お前らに傷つけられてきたのだ! その苦しみがわからないやつらが……」
ガッシュ「平気で人を傷つけ、人殺しの道具ばかりを作っているお前らが……」
ガッシュ「デュフォーを語るな―――!!!」
433: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/15(金) 00:42:40.13 ID:zfltne4n0
デュフォー「……」
ソロ「ふはははは、力の差は歴然なのに口だけは達者だなあ!」
レイジー「なるほどな。クズに集まるのはクズってわけか! はっはっはー」
ガッシュ「これ以上……私の友達を侮辱してみろ!」
ガッシュ「その口を切り裂いてくれるぞ!」
デュフォー(ガッシュがオレのために泣いている……)
デュフォー(オレなんかのために……)
デュフォー(なぜ……)
ピカーン!
434: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/15(金) 00:44:58.25 ID:zfltne4n0
デュフォー「新呪文……?」ピカーン
レイジー「!?」
ソロ「なっ……やつらの本、さっきより光って……まさか……」
ガッシュ「デュフォー……たのむ。一緒に戦ってくれ……」
ガッシュ「私にはお主が必要なのだ」
デュフォー「……」スッ
デュフォー「……ガッシュ……前をむけ……反撃だ」
ガッシュ「……! ウヌ!」
ソロ「早く呪文を唱えろ!」
レイジー「ディオガ・ファリスドン!」ドッ
デュフォー「……第四の術……」
デュフォー「バオウ・ザケルガ―!!」ドバッ
435: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/15(金) 00:46:17.48 ID:zfltne4n0
バオウ「バオオオオ」
ソロ「なんだ!? この強大な術は!!」
レイジー「!! 答えが……でない……!」
ドギャ――ン!!
レイジー「うわあああ」
メラメラ
デュフォー「なんだ……この術は……? コントロールできない……」
バオウ「バオオオオ」
デュフォー「まずい……このままでは……オレたちまで……」
ガッシュ「……」
デュフォー「っ……返事をしろ……ガッシュ……」
デュフォー「……く……」
デュフォー「オレの声を聞け! ガッシュ!!」
ガッシュ「……デュ……フォー……」
ドーン!
436: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/15(金) 00:49:14.80 ID:zfltne4n0
ガッシュ「ヌ? ここは……」
デュフォー「研究所だ……まあ、原型は留めてないがな」
ガッシュ「な……」
デュフォー「安心しろ。あれだけの力を発しながら誰一人殺していない」
デュフォー「お前の中の何かがそうさせたのかもな」
デュフォー「……こいつら全員殺してやろうかと思ったが気が変わった。こいつらは警察につきだす」
デュフォー「うまくいくようにアンサー・トーカ―を使ってな」
ガッシュ「……! ウヌ! それがいいのだ」
――
レイジー「……! 何だよ……とどめをさしにきたのか?」
デュフォー「……」ガッ
レイジー「っ!」
デュフォー「お前のアンサー・トーカ―の能力を閉ざした。これで少しは長生きできるだろう」スタスタ
レイジー「……余計なことしやがって……」
437: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/15(金) 00:53:15.06 ID:zfltne4n0
――
デュフォー(さっきの術はもっとコントロールしていく必要があるな……)
デュフォー「ガッシュ……あ……あり……」
ガッシュ「?」
デュフォー「……帰るか……」
ガッシュ「ウヌ!」
デュフォー「腹がへったな……。お前の好きなブリのある店にでも行くか」
ガッシュ「おお、私の好物がわかるなんて、さすがはアンサー・トーカ―なのだ!」
デュフォー「……今のは別に使ってないが……」
454: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/17(日) 15:51:52.94 ID:4piezNiv0
グスタフ「ゾニス!」
ドンポッチョ「ぎゃああ」
ドンポッチョ「助けてくれええ」
バリー「フン、この王を決める戦いで命乞いが通るとでも思っているのか?」
ドンポッチョ「ひいいいい」
バリー「……貴様……」
バリー「戦いの最中に敵に背をむけてんじゃねえぞ!」
グスタフ「ギガノ・ゾニス!」
ドンポッチョ「ぐあああああ」ドカーン
メラメラ
バリー「ちっ、腰抜けが!」
455: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/17(日) 15:59:35.36 ID:4piezNiv0
バリー「クズ野郎が! なんでこんなクソ弱いやつまで王を決める戦いに参戦しているんだ?」
グスタフ「いらだっとるな……何が欲しいんだ? バリー」
バリー「なんだと……?」
グスタフ「……何が欲しいかと聞いているんだ。最近のお前はいつもそうだ」
グスタフ「戦いに勝ってもイライラし、満足していない。まるで今のお前は……」
グスタフ「欲しいものが手に入らなくてわがままを言ってる小坊主のようだ」
バリー「チッ、欲しいものなどないわ。イライラしているのは事実だがな」
バリー「強いやつと戦って粉微塵にできたら、多少も気が晴れるだろうよ」
グスタフ「……戦ってみるか? 強いやつと」
バリー「!」
グスタフ「以前倒した奴らが言っておった。日本にいる、ある魔物に戦いを挑んで帰ってきたものはおらぬと」
バリー「ある魔物っていってもわかんねーだろうが」
グスタフ「ガッシュに似たやつとも言われている」
バリー「……ガッシュが、誰かもわかんねえな」
グスタフ「……戦ってみるか? そいつと」
バリー「フン、おもしろい、日本に行こうか? グスタフ」
グスタフ「ふっ、いいだろう。バリー」
456: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/17(日) 16:10:49.40 ID:4piezNiv0
日本――広場――
ティオ「ねえ、ゼオン。この計算式、何が違うのか教えてよ」
ゼオン「さっきも言っただろうが、その計算は、足し算より掛け算を優先するんだよ」
コルル「できた!」
ゼオン「おお、できたか。えらいぞコルル」
ティオ「私もできた!」
ゼオン「ああ、次の問題はな……」
ティオ「ムキ―、何よコルルばっかり! 私ももっと褒めなさいよ」
コルル「よしよし」ナデナデ
ティオ「あんたじゃないのよ!」
バリー「……」
バリー(何をしてるんだ、こいつら……)
457: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/17(日) 16:18:29.83 ID:4piezNiv0
ティオ「もうヤダ、やってられないわ!」
ゼオン「おいおい……人間界にいるからって勉強をおろそかにできんだろう。しかもこれはまだ序の口だぞ」
ゼオン「王たるもの勉強はできないとな」
ティオ「あんただって同じ六歳のくせに……」
ゼオン「まあいい、残りは家でやれ。解散」
ティオ「ちょっと、話は……」
ゼオン「はあ……早く帰れ」
コルル「じゃあね、ゼオン。また後で」スタスタ
ティオ「フ……フン、もっと勉強してあんたを驚かせてやるんだから」スタスタ
ゼオン「……」
ゼオン「それで何の用だ?」
バリー「!」
458: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/17(日) 16:25:43.03 ID:4piezNiv0
バリー「お前がガッシュに似たやつか?」
ゼオン「……なんでそんな呼び方が広まってんだ」
バリー「……貴様、オレと勝負しろ。本の持ち主を呼んできてオレと戦うんだ」
バリー「五時間後、場所は山の麓の廃工場だ」
バリー「楽しみにしているぞ。貴様を倒せば少しはイライラが晴れそうだ」
ゼオン「……」
――
清麿「五時間後、午後三時か」
清麿「野口との約束があるが、行くか」
ゼオン「だが一つ問題がある」
清麿「どうした」
ゼオン「その時間帯、コルルとティオとケーキを作る約束をしているんだ」
清麿「……そうか……」
459: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/17(日) 16:31:22.26 ID:4piezNiv0
グスタフ「どうなんだ? 歯ごたえはありそうか?」
バリー「さあな、見た限りではヘナチョコだ」
バリー(だが、あいつのオーラ……)
バリー(フ、面白そうだ。その強さボロボロにしてやる)
バリー「さあ、行くぞ!」バン
不良「! 誰だ、てめえらは!? ここはオレたちの縄張りだぜ」
バリー「フン、クソ人間どもが」
グスタフ「ゾニス!」ドカアアア
不良たち「うわあああ」 「ひい、逃げろぉ」
バリー「女、何をぐずぐずしている? 早く出てけ」
不良女a「や、やめてよ……まだ……」
バリー「ちっ、うるさいやつだ。よかろう、外までふっとばしてくれる!」
グスタフ「ゾニス!」ゾン
460: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/17(日) 16:40:18.40 ID:4piezNiv0
清麿「ラシルド!」ドン
バリー「! はっ、ちゃんと来たじゃねえか」
ゼオン「おい、そこの女、とっとと消えろ」
不良女「だ、だめ……まだ、まだよ!」
ゼオン「ああ?」
不良女a「まだいるの、私の友達が二人、この二階の部屋に……」
ゼオン「……確かにいるな。そいつらを助けておいてやるから早く消えろ」
不良女a「……ありがとう。す、すぐに助けを呼ぶから!」タッ
ゼオン「フン……どっちの助けだろうな……」
469: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/17(日) 23:44:56.02 ID:4piezNiv0
清麿「いけるか? ゼオン」
ゼオン「ああ」
バリー「よく来たな。腕に自信があるのか、それともオレの力がわからんのか」
ゼオン「チンピラが何をほざいてやがる」
バリー「行けえ、グスタフ!」
グスタフ「ガルゾニス!」グルグル
清麿「ザケル!」
ドカーン
470: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/17(日) 23:46:15.11 ID:4piezNiv0
バリー「うおおおお」ガシャアア
バリー「フッ、効いたぜ、いい呪文をもってるじゃねえか」
ゼオン「無駄口をたたいてる暇があるのか?」
清麿「マーズ・ジケルドン!」ドゴオ
バリー「なんだ、これは!?」
ゼオン「ちょっと、遠くに行ってろ」ドカーン
シュンッ
不良b「きゃああ」
ゼオン「うるさいぞ、女共……」ガシ
不良女c「ひいい、お助けええ」
ゼオン「つかまってろ」バッ
471: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/17(日) 23:47:48.16 ID:4piezNiv0
バリー「はあ……はあ……くっ、奴はどこだ!?」
グスタフ「二階に人が残っていたようだな。おそらくそれを助けにいった」
バリー「ちい、なめやがって」
ゼオン「くっくっく、十分なハンデだろう?」
バリー「!」
ゼオン「残念だが、そいつらはもう助けた」
ゼオン「あとはお前を消すだけだ」
ゼオン「五分以内にな」
清麿(……コルルとの約束まであと五分か……)
472: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/17(日) 23:48:53.09 ID:4piezNiv0
清麿「ソルド・ザケルガ!」バッ
ゼオン「はっ」シュンシュンシュン
バリー「なっ……見えな……」
ドーン
バリー「がっ……」
清麿「ザケル!」
バリー「くそお!」バッ
ゼオン「ちがう、後ろだ」
ドカーン
バリー「ぎゃあああ」
バリー(な……こいつの攻撃見えぬ、避けられぬ!)
473: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/17(日) 23:51:29.33 ID:4piezNiv0
――
清麿「ザケル、ザケルガ、テオザケルー!」ドカーン
バリー「うわあああ」ガタガタ
バリー(だ、だめだ……強さを見誤った……)
バリー(格が違いすぎた。強すぎる。こんな奴に……かなうわけ……)
ゼオン「もう、終わりなのか」ギロ
グスタフ「バリーよ、奴に呑み込まれるな!」
グスタフ「奴の目を見ろ! そして乗り越えろ!」
バリー「!!」
バリー(あの目、威圧感だけではない……なんだこれは……)
バリー(強く、気高く……そして温かい……?)
バリー(ふざけるな、オレは……オレは!)
バリー「うおおお」バッ
グスタフ(バリーのやつ、もう意識が……)
ゼオン「ふん」バコーン
バリー「あ……が……」ヨロヨロ
474: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/17(日) 23:53:00.75 ID:4piezNiv0
――
ゼオン「……五分……か……」
バリー「」
ゼオン「よく耐えたものだ」
ゼオン「帰るぞ、清麿」
清麿「ああ」
ゼオン「おい、そこの人間!」
グスタフ「!」
ゼオン「お前たちの本などいつでも燃やせたことを忘れるな。それとコルルに感謝するんだな」スタスタ
グスタフ「……」
475: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/17(日) 23:54:04.90 ID:4piezNiv0
グスタフ「大丈夫か? バリー」
バリー「う……」ドサ
バリー「はあ……はあ。ガキのくせに……でかかった……」
バリー「まったく歯がたたなかった……」
グスタフ「そうだな。奴の目にはいろいろなものを背負っておった」
バリー「もっと、学んでやる……そしてもっと高いところに行ってやる……奴よりも高く……」
グスタフ(どうやら、欲しいものは手に入ったようだな)
476: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/17(日) 23:55:48.46 ID:4piezNiv0
タイ南部――
ガルザ「くっ……」
ドカーン
バランシャ「つ……強すぎる……」
???「この程度かい?」
ガルザ「ダメだ、やつらめ、この密林をものともしない! 逃げるぞ!」
???「どこに逃げるんだい?」
ガルザ「なっ、囲まれて……」
???「もう、終わりだよ。はあ、もう少し楽しませてくれると思ったんだけどな」
477: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/18(月) 00:09:14.21 ID:p1LqEPRe0
アポロ「僕の名前はアポロ。どうやら僕の魔物から聞きたいことがあるみたいなんだ」
???「ガッシュという魔物を知っているか?」
バランシャ「ガッシュ……? さあ、知らないけど……あ、でも日本にいるって……」
???「そうか……」スッ
ガルザ「なっ、やめてくれ! オレたちが悪かったから……」
アポロ「うーん、僕としてはどっちでもいいんだけどね」
アポロ「きっと、僕の魔物がそれを許さないと思うよ」
???「情けは無用だ。ここで見逃してもまた戦わなくてはならなくなるだけだからな」
アポロ「だってさ」
ガルザ「うわあああ」バッ
アポロ「アボロディオ!」ズゴオオ
479: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/18(月) 00:19:55.95 ID:p1LqEPRe0
アポロ「じゃあ、行ってみるかい? 日本に」
???「ガッシュに会える可能性があるならな」
アポロ「ずいぶんとガッシュに執着しているようだね。恋人?」
???「いや、違う。あいつはオレの親友だ。あいつには命を救われたんだ……」
???「今度はオレの番だ」
アポロ「そっか……じゃあ、行くとするか。日本に」
491: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/19(火) 22:32:26.34 ID:rXiR/WBf0
イギリス――
デュフォー「……!!」
デュフォー(これは……)
デュフォー「おい、ガッシュ……」
デュフォー「……どこだ……?」
ガッシュ「ただいまーなのだ」
馬らしきもの「メルメルメー」
デュフォー「……なんだ、そいつは……?」
ガッシュ「私の魔界での友達、シュナイダーなのだ!」
492: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/19(火) 22:33:21.55 ID:rXiR/WBf0
デュフォー「そうか……本を燃やすぞ」
ガッシュ「ウヌ! 話を聞いていたのか!? 友達なのだぞ!」
デュフォー「まあいい。そいつは後回しだ。ここに二体の魔物がくる!」
ガッシュ「なぬ!?」
ガチャ
キャンチョメ「はっはー、ガッシュ! ここにいるのはわかってるんだぞ」
フォルゴレ「イタリアの俳優、パルコ・フォルゴレ登場!」
493: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/19(火) 22:33:56.98 ID:rXiR/WBf0
デュフォー「ザケル!」ドカーン
フォルゴレ「ぎゃあああ」
デュフォー「さっさと、かたをつけるぞ」
ガッシュ「! お主キャンチョメではないか!?」
キャンチョメ「くそお、ガッシュめ! よくもやってくれたな。だが……」
キャンチョメ「教えてやろう、フォルゴレが鉄の戦士ということを」
キャンチョメ「無敵の戦士、フォルゴレということを!」
キャンチョメ「鉄の……」
デュフォー「ザケル!」ドカーン
キャンチョメ「きゃあああ」
496: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/19(火) 22:35:28.44 ID:rXiR/WBf0
ガッシュ「やめるのだ、デュフォー! こやつらは悪いやつらではない」
キャンチョメ「いたたたたた」
ガッシュ「さっきはすまぬのだ。会えてうれしいぞ」
キャンチョメ「え……?」
デュフォー「なんだ……そいつは?」
ガッシュ「魔界からの友達なのだ。キャンチョメは私を傷つけるような者ではない」
キャンチョメ(ガッシュにしか勝てそうになかったから来たんだけど……)
497: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/19(火) 22:36:13.15 ID:rXiR/WBf0
ガッシュ「いつも私といじめられておった。それでも私たちは一緒に強くなろうと誓い合った仲なのだ!」
キャンチョメ「……ガッシュ……」
デュフォー「ガッシュ……だまされるな。そいつらはオレたちの本を燃やしに来たんだ」
ガッシュ「そんなわけがなかろう! キャンチョメは私の友達だぞ、もし戦うとしたら最後に生き残ったときだけだ!」
キャンチョメ「……」
デュフォー「……だから……」
キャンチョメ「そうだ、そうだ! 僕とガッシュは友達だぞー、そんなことするわけがないじゃないか!」
デュフォー(な……なにぃぃ!)
514: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/23(土) 22:43:28.69 ID:bBLYdv9T0
夏休みも終わり、新学期に突入して二週間がたった。
清麿「えーっと、接着剤や工具はあそこの店で売ってたよな」
清麿「くそ……せっかくの日曜なのに、なんでオレが家の門の修理をしなきゃいけないんだ」
清麿「だいたい門を壊したのは……」
清麿「瞬間移動の練習だと言って何度もやった挙句、門に突っ込んでいったゼオンじゃないか」
清麿「まったく……」
男の子「ねえ、お兄ちゃん。このお店わかりますか?」
清麿「ん」
清麿(オモチャ店のチラシか……)
清麿「うん、ここならあの向かいのビルだ。黄色い看板が見えるだろう?」
男の子「あ、あった。ありがとう、お兄ちゃん」タッ
清麿「って、おい! コラ、赤信号だ! 急にとびだしたら……」
パ――――
清麿「くそー!」ダッ
ゴッ
清麿「!?」
515: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/23(土) 22:45:56.74 ID:bBLYdv9T0
一人の青髪の青年がそこに立っていた。
その青年は、片手だけで車をとめている。
清麿「お前……」
青髪「おい、ガキ、勝手にとびだすんじゃない!」
アポロ「そこの君は、大丈夫かい?」
清麿「お、オレは別に……」
アポロ「そうか」
――
清麿「子供は平気そうだしオレは……」
アポロ「待ちなよ。少し話でもしていかないかい?」
アポロ「本の持ち主でしょ」
清麿「な……」
アポロ「僕の本は緑色だ」
516: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/23(土) 22:49:59.97 ID:bBLYdv9T0
――
清麿(く……ゼオンはここにいないし、戦いになれば……)
アポロ「大丈夫さ、今すぐ戦おうってわけじゃない。今から言う場所に魔物を連れてきてよ」
アポロ「戦う場所は……そうだな……この町に来るとき採石場があったからそこにしよう。二時間後につれておいでよ」スタスタ
清麿「……お、おい……」
清麿(なんだ……こいつ……何か底知れぬ力を感じる……)
アポロ「あ、そうだ。僕の名前はアポロ。君は?」
清麿「高嶺……高嶺清麿……」
アポロ「そっか、じゃあね清麿。戦うの楽しみにしているよ」
清麿「……」
517: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/23(土) 22:56:12.39 ID:bBLYdv9T0
家――
清麿「おい、ゼオン、敵だ! ……ゼオン?」
ゼオン「スー……スー……」
清麿「こいつ……オレに買い物に行かせておいて……なんて気持ちよさそうに寝て……」
清麿「おい、起き……ってうわ」ブン
ガシャーン
ゼオン「……清麿か」
清麿「あ……危ねえ……」
清麿(な、なんて寝起きのわるいやつなんだ……)
清麿「ゼオン、採石場に敵が……」
ゼオン「採石場……? ……! なんだこれは……」
ゼオン「とてつもない魔力を感じる」
清麿「……ゼオン……?」
ゼオン「こいつは手強そうだ……」
清麿(! ……ゼオンがここまで言うなんて……)
518: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/23(土) 23:02:30.67 ID:bBLYdv9T0
採石場――
アポロ「ありがとう、清麿。逃げださずによく来てくれた」
青髪「一つ聞かせろ」
清麿「!」
青髪「ガッシュという魔物を知っているか?」
ゼオン「!」
清麿「……?」
ゼオン「よく知っている奴だ。……居場所まではわからんが」
青髪「そうか、ならお前には倒した後でいろいろと聞かせてもらおう」
ゼオン「……フン、ずいぶんと余裕じゃねえか」
ドカーン
清麿「!」
レイン「本気で行くぞ! アポロ!」
アポロ「ああ」
519: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/23(土) 23:14:35.91 ID:bBLYdv9T0
清麿「一瞬で化け物の姿に……」
ゼオン「清麿、くるぞ!」
アポロ「アボロディオ!」ズゴオ
清麿(な……なんだ、この威力……)
清麿「ラシルド!」ドン
バキ……メキ……
ゼオン「ラシルドが……」
清麿「ザグルゼム!」ギュイーン
アポロ「!」
アポロ「レイン、避けよう」
レイン「!……わかった」スッ
清麿「何!?」
ドカーン
520: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/23(土) 23:21:03.49 ID:bBLYdv9T0
清麿(攻撃をはね返す前から避けて……)
清麿(アポロはまだこの術を見てないはず……)
清麿(なのになぜ効果を!?)
清麿「くそ、ならば避けられないほどのでかい術を……」
ゼオン「待て、ここは力よりスピードで勝負だ!」
アポロ「アボロディオ!」ズゴオ
ゼオン「く……」シュン
ドーン
清麿「ゼオン……」
ゼオン「危なかったな……」
ゼオン(これが……第一の術の威力か……?)
522: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/23(土) 23:29:59.68 ID:bBLYdv9T0
清麿「ソルド・ザケルガ!」シュン
ゼオン「……」バッ
清麿「スピードで翻弄するんだ!」
ゼオン「はああ」バババッ
レイン「い!」
アポロ(く、まったく目が追い付かない……だが!)
アポロ「レイン、後ろだ!」
ゼオン「!?」
アポロ「アボロディオ!」
ゼオン(この人間、動きを読んだ……? それとも、まさか直感で……)
ゼオン「く……」クルクル
ズゴオオオオオ!
ゼオン(マントが破れて……)
ゼオン「ぐうう」ドカーン
523: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/23(土) 23:35:49.35 ID:bBLYdv9T0
ゼオン「……っ」
清麿「ゼオン大丈夫か!?」
ゼオン「ああ、油断しただけだ」
清麿「ゼオン、血が……」
ゼオン「そんなことより早く呪文を唱えろぉ! 奴らはすでに攻撃態勢だ!」
清麿「!」
アポロ「ギガノ・アボロディオス!」ズゴオオオ
525: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/23(土) 23:44:27.91 ID:bBLYdv9T0
アポロ「! ……避けられているか……」
ゼオン「清麿!」
清麿「ガンレイズ・ザケル!」ドラララ
シュンッ シュンッ シュン
レイン「四方八方から……」
アポロ「なら……全部防げばいいな……アーガス・アボロド!」ガキーン
ゼオン「くそがああ」
清麿「レード・ディラス・ザケルガ!」ドギャア
アポロ「ヨーヨーか……」
レイン「……つまらん……」
アポロ「ギガノ・アボロディオス!」ドカーン
ゼオン「レード・ディラスが……」
清麿「ラシ……う……」バシッ
アポロ「……」ニッ
清麿「石……」
ゼオン「うおおお」クルクル
ドカーン
526: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/23(土) 23:53:14.62 ID:bBLYdv9T0
ゼオン「あ……が……」
清麿「っ、ゼオン……」
アポロ「拍子抜けだな……もう僕を楽しませてはくれないのかい?」
清麿「く……」
レイン「オレたちの勝ちだ。さっさと本を渡すんだな」
清麿(そんな……)
ゼオン「……フン……誰が負けたって……?」ヨロ…
清麿「ゼオン……」
ゼオン「さっさと呪文を唱えろ! 何ボーっとしてやがる!」
清麿(そうだ……何をオレは、ゼオン一人に戦わせているんだ……)
清麿(呑まれちゃいけない、確かにこいつらは今まで出会った中で一番強い)
清麿(だが……)
清麿「すまんなゼオン、弱気になって」
ゼオン「……?」
スウ……
清麿「おおおおおおおおおおおおおおお」
527: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/23(土) 23:58:25.10 ID:bBLYdv9T0
ゼオン「!?」ビリビリ
アポロ「!!」ビリビリ
シーン
清麿「いくぞ、ゼオン……こっからが本番だ」キッ
アポロ(……いい顔だ……清麿)
清麿「ザケル!」ドカーン
アポロ「ぐお」
レイン(雷が手前に落ちた?)
アポロ(そうか、煙で身を隠すために……)
アポロ「! レイン後ろだ!」ブン
清麿「ちいい、避けられたか……」
アポロ「清麿自ら本を奪いにくるなんていい度胸だ」
528: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/24(日) 00:11:20.02 ID:S0vsB+400
アポロ「アボロ……」
清麿「させるか! ザグルゼム!」ギュイーン
レイン「!」
レイン(なんだ……この術? 体が光って……)
アポロ(この術は最初に盾に使った術……)
ゼオン「はっ、何ボーとしてやがる!」
清麿「テオザケル!」ドカーン
アポロ「アーガス・アボロド!」キイン
清麿「ザグルゼム!」ヒュー
アポロ(地面に……?)
清麿「ゼオン、次はあそこだ!」
ゼオン「ああ」スッ
清麿「ザグルゼム!」
529: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/24(日) 00:23:44.95 ID:S0vsB+400
レイン「アポロ! 全体攻撃だ」
アポロ「ああ、ラージア・アボロディオ!」ドカーン
ズゴゴゴゴゴゴ
ゼオン「ちい」シュン
レイン(空中に逃げたか……)
ゼオン(なんて威力だ……)
清麿「つぎは、あそこだ、ザグルゼム!」ギュイーン
レイン「フン、当たってないぞ!」
アポロ「空中に逃げるなんて格好の的だよ!」
アポロ「ギガノ・アボロディオス!」ズゴオオオ
清麿「ザグルゼム……そして……テオザケル!!」ドギャアア
530: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/24(日) 00:25:38.51 ID:S0vsB+400
レイン「相殺……」
アポロ(今……地面が光った……? まさか光の呼応?)
アポロ(まさか……この術は術の強化だけでなく、連鎖誘導を……)
清麿「ザグルゼム!」ギュイーン
清麿「準備は整った……」
アポロ(なにかくる……!?)
清麿(いまお前等の足元には少し前のザグルゼムがうちこまれてある)
清麿(三角形の角とその中心に一つ、そして……)
清麿(均等な距離にザグルゼムがあると電撃はどう動くか……試してみるといい)
清麿「ジャウロ・ザケルガ!!」ドラララ
531: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/24(日) 00:33:42.16 ID:S0vsB+400
アポロ「こ、これは……」
レイン「何十もの雷が……」
アポロ(しかもこれら全てが追尾してくる……! 避けることはできない!)
アポロ「アーガス・アボロド!」キイン
バキ……
レイン「!」
アポロ「な……」
ドカーン!
532: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/24(日) 00:35:54.86 ID:S0vsB+400
清麿「どうだ! これならお前らも……!!」
レイン「……」
ゼオン「まだ……」
レイン「今のはけっこう効いた……」
清麿「あれほどの攻撃を生身で……」
ゼオン「くっくっく……やっぱりお前ら強いな……」
清麿「ゼオン……」
ゼオン「これほど楽しいものはない」ピカーン
清麿(! 本が……)
レイン「ああ、お前たちも今まで出会った中で一番強い」
アポロ「……いくよ。レイン、最大呪文だ」
533: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/24(日) 00:36:32.07 ID:S0vsB+400
清麿「なんて光だ……」
ゼオン「……」
アポロ「……」コオオ
清麿「ゼオン、奴らの最大術はおそらく……今まで覚えてきた術じゃあ勝てない」
ゼオン「そうだろうな」
清麿「オレたちの新呪文で奴らを倒す。それ以外に勝ち目はない」
ゼオン「ああ……わかってる」
清麿「いくぞおお! ゼオン!!」
アポロ「ガルバドス・アボロディオ!!」
清麿「ジガディラス・ウル・ザケルガ―!!」
ドーン!
534: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/24(日) 00:37:03.18 ID:S0vsB+400
ズザザザザザ――
清麿「うおおお」
ゼオン「っ」
清麿「くそ! まだだ! まだ奴を……ぐ……」ドサッ
ゼオン「き……清麿……」フラ…
清麿(体が……動かん……)
清麿「くそ! 奴が来る! 動け……動けええ!!」
アポロ「ハハハハ……もうそこまでか……清麿?」
清麿「な……」
目の前にはアポロとレインが立っていた。
536: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/24(日) 00:44:57.23 ID:S0vsB+400
アポロ「僕たちの勝ちだ」
清麿「……っ」
ゼオン「く……くそがぁ……」
レイン「いい勝負だった。アポロ退くぞ」
アポロ「ああ」
ゼオン「ま、待て!」
レイン「ゼオン、そう呼ばれていたな。覚えておくぞ、その名前……また会おう」スタスタ
ゼオン「待てぇ!!」
――
537: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/24(日) 00:50:57.73 ID:S0vsB+400
アポロ「どうしたレイン? ガッシュのこと聞かなくてよかったのかい?」
レイン「あの魔物、オレたちのこと、刺し違えても殺る気だったからな。おそらく無理だろう」
アポロ「……ふ、そうだね。僕の心の力は空だし」
レイン「あのまま戦っていたら、おそらくどちらかは死んでいただろうな」
アポロ「最後の術もやばかった……」
レイン「ああ、どうやらあれは五つのエネルギーをためるタイプらしい」
アポロ「新呪文が幸いしたよ」
レイン「二つしかためなかったからな。もし五つすべてためていたら……」
アポロ「負けていたのは僕らだっただろうね」
レイン(ゼオン……おもしろいやつだ)
575: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/26(火) 00:47:56.99 ID:kuF0cxcl0
数日後――
清麿「ゼオン?」
家のどこを探してもゼオンは見つからない。
清麿「ゼオン……」
清麿(いつも圧倒して勝っていたやつが負けたんだ。あいつにとってかなりショックなんだろうな)
清麿(もしかしたらあいつにとって初めての敗北ってやつなのかもしれん)
清麿「はあ……」
清麿「……オレも勝負ごとに負けたのは初めてかもしれないな」
清麿「まあ、オレの場合、勉強とかでしか勝負したことが」
清麿(このままではダメだ。あいつの足を引っ張ってばかりだ。こんなんじゃあ勝てるもんも勝てない)
清麿「この本……」
清麿「心に反応する魔本をもっとコントロールできれば……」
ピンポーン
清麿「ん?」
清麿「……はーい?」ガチャ
コルル「あの……こんにちは」
ティオ「ゼオンいる?」
清麿「ゼオンか……実はオレも知らないんだ」
コルル「そう……」
ティオ「……」
576: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/26(火) 00:49:01.26 ID:kuF0cxcl0
コルル「ゼオン……大丈夫かな……?」
清麿「大丈夫さ。あいつはこんなことでつぶれるようなやつじゃない」
ティオ「ったく、らしくないわね。いつも自信満々で偉そうなのに……でも本当、どこに行ったのかしら」
清麿「山にはいないのか?」
コルル「うん……」
清麿(別の場所でトレーニングでもしているのだろうか? 無茶してないといいが……)
ティオ「コルル、今日は帰りましょ、ゼオンに出された宿題もあるし」
コルル「うん、そうだね……」
清麿「ゼオンが帰ってきたら、教えるよ。あ、それとコルルにお願いがあるんだけど……」
コルル「?」
――
ティオ「もう! あいつが帰ってきたら一言文句言ってやらないとね! ね、コルル?」
コルル「え、あ……うん……」
ティオ「どうしたのよ、コルル。全然元気ないじゃない」
コルル「私、なんにもできないなぁって……」
ティオ「え?」
コルル「ゼオンが苦しんでるのに……私には何もできない」
コルル「私が苦しんでるときは、いつも……」
コルル「いつも助けてもらいながら……私は何も……」
ティオ「コルル……」
ティオ「……!」
ティオの見た先にはマントを羽織った子供が歩いていた。
ティオ「あそこにいるのは……」
コルル「ゼオン!?」
ガッシュ「ウヌ……?」
577: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/26(火) 00:49:38.35 ID:kuF0cxcl0
ガッシュ「お主はコルルと……ウヌ!? 首しめティオなのだ!!」
ティオ「ガッシュ……?」
コルル「なんだ……ガッシュか……」
ガッシュ「ヌ? なんか、がっかりされたのだ……」
ティオ「って誰が首しめティオよ!」
ガッシュ「ひいい、こわいのだー、シュ……シュナイダー!」
シュナイダー「メルメルメー」バッ
ティオ「この馬も魔物……?」
ガッシュ「逃げるのだ! 私たちでは勝てないのだ!」ダダダッ
ティオ「こ、こら! 待ちなさいよ!」
コルル「行っちゃった」
ティオ「なんだったのかしら……」
578: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/26(火) 00:50:45.72 ID:kuF0cxcl0
――
ガッシュ「デュフォーーー!」
デュフォー「お前ら、どこに行っていた」
ガッシュ「は、早くここから逃げるのだ!」
デュフォー「……そうか……ここに二体魔物がいるな。十分に倒せるレベルだと思うが……」
ガッシュ「む、無理なのだ、こ……怖いのだ」
デュフォー(何を怯えている……しかしこの二体、今倒しておかないと厄介なことになる可能性もある……)
デュフォー(優秀な師でもついているのか……? 成長度が普通じゃない)
デュフォー(まあいいか。本の持ち主はいないようだし、無理に戦わせても……)
デュフォー「おい、ウマ、お前の本の持ち主だがそいつは今仕事で北海道に研修に行っている」
デュフォー「オレたちも北海道に行くぞ」
シュナイダー「メル!?」
デュフォー「……こわいのか?」
シュナイダー「メ、メルメルメー!」
デュフォー「なら行くぞ」
ガッシュ「ウヌウ……また飛行機かの」
デュフォー「おい、誰が飛行機で行くって言ったんだ」
デュフォー「走っていくぞ」
ガッシュ「!」
デュフォー「飛行機じゃあ時間がかかるからな。トレーニングの一環だ」
ガッシュ「う……ヌー! デュフォーは鬼なのだ!」
デュフォー「お前とウマで代わりばんこにやっていけ」
シュナイダー「メル!?」
デュフォー(それと、北海道の方にも魔物が一体いるな……そいつは倒しておくとするか)
579: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/26(火) 00:51:53.42 ID:kuF0cxcl0
――
清麿「悲しみ……」ヒュウウ
清麿「喜び……」ピカー
清麿「楽しさ……」コオオ
清麿「怒り」ゴオオオ
清麿「ふう……難しいな。けっこう疲れるし、それともっと術の扱い方も考えないと……」
清麿(……)
清麿(やつらと戦って最初に抱いた感情はくやしさと自分に対する怒りだった……)
清麿(もうあんな思いは二度としたくない)
清麿(アポロ……今回はオレの負けだ……だが)
清麿(次は絶対に負けない)
580: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/26(火) 00:53:03.02 ID:kuF0cxcl0
次の日――
清麿「! ゼオン!」
ゼオン「どうした?」ボロ…
清麿「どうしたじゃない! こんなボロボロになって……顔色もわるいぞ!」
ゼオン「着替えたらまたでかけるつもりだ。昨日まで砂漠にいたからな。今度は南極だ」
清麿「バカ! お前この数日ろくに寝てないだろ!?」
ゼオン「だからどうした。おれはもっと強くならなきゃいけないんだ」
清麿「あきらかにオーバーペースだ。今日ぐらいはしっかり休め!」
ゼオン「……学校はどうした」
清麿「ああ……いまから行くところだ……」
ゼオン「じゃあ、さっさと行け」
清麿「……わかった。お前も休むんだぞ」ガチャ
ゼオン「……」
ゼオン「バカ麿め……修業とはいかなる時もやめてはいかんのだ」
ゼオン「次は南極だ。はやく準備を……」
コルル「ゼオン? いるの……?」
ゼオン「!」
581: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/26(火) 00:54:50.89 ID:kuF0cxcl0
ゼオン「……」ガチャ
ゼオン「コルル……」
コルル「よかった……ずっと会えなかったから心配で……」
ゼオン「今からまたでかけるところだ」
コルル「そうなんだ……ねえ、私も行っていい?」
ゼオン「……無理だ。オレが今から行く場所は厳しい環境でな。お前じゃあ耐えられない」
コルル「……」シュン…
ゼオン「……はぁ……今日ぐらいは遊ぶか……?」
コルル「えっ……本当?」キラキラ
ゼオン「……ああ」
582: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/26(火) 00:56:03.50 ID:kuF0cxcl0
――
コルル「ねえ、ゼオン……これ知ってる?」
ゼオン「ん……? 新聞か」
コルル「この彫刻はね、シェミラの像って言って、しおり姉ちゃんが言ってたんだ。とにかくすごいんだって」
ゼオン「はあ……」
コルル「一般公開はあさってなんだけど……」
ゼオン「じゃあ、あきらめろ」
コルル「え……」ウルウル
ゼオン「……ああ、わかった! 今日見に行くぞ!」
コルル「ええ!」
コルル「またコンサートみたいに……」
ゼオン「大丈夫だ、目にも止まらないさで奪い、目にも止まらないさでかえすだけだ」
コルル「全然大丈夫じゃないよ……」
595: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/27(水) 23:11:22.15 ID:iUGOlmJU0
モチノキ国際美術館――
ゴルド―「ダニーボーイ、わしは少し話をしておる。その間におつかいにいってきてくれ」
ダニー「何! 休ませろよ、遊ばせろよ、自由にさせろよ」
ゴルド―「やかましいのぉ、菓子を少し買いにいってほしいだけじゃ」
ダニー「菓子?」
ゴルド―「たいやきという魚のドーナツじゃ」
ダニー「魚のドーナツ!?」
ゴルド―「ユニークじゃろ、お前の分も渡すから行ってこい」
ダニー「しょ、しょうがねーなあ。行ってやるか」
ゴルド―「たのんだぞ、ダニーボーイ」
596: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/27(水) 23:18:50.99 ID:iUGOlmJU0
――
役人a「さ、打ち合わせは以上です。ご老体で今回の長旅はお疲れでしょう」
役人a「ホテルでゆっくりお休みください」
ゴルド―「いや、少しここにいるよ」
役人a「しかしもうタクシーを呼びましたし、あとは我々が……」
ゴルド―「じじいの足がしびれてな。歩けるようになるまで休ませとくれ」
役人a「……わかりました」
ゴルド―(フン……いくらカタギの真似をしようと、そのよどんだ目の光だけは隠しようがないわい)
ゴルド―(この部屋にいる奴らすべて泥棒じゃ。いまここでワシが席を外せば像は五分でもってかれる)
ゴルド―(しかしこいつらもプロ、いつまでもじじいの演技には付き合わん)
ゴルド―(くそ、ダニーボーイめ、たいやき一つ買うのにどれだけ時間をかけておる……)
そのころ
ダニー「たいやき、うまwうまw」
598: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/27(水) 23:26:30.50 ID:iUGOlmJU0
美術館――
ダニー「――!! じじい! どうした!? 何があった!?」
ゴルド―「遅いわ……ダニーボーイ、シェミラの像が奪われた!」
ダニー「え!?」
ゴルド―「じゃが、まだそれほど時間はかかっていない、今から追えば間に合う!」
ダニー「わ、わかった! じじい、かつぐぞ」ガシ
599: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/27(水) 23:32:51.61 ID:iUGOlmJU0
役人a「ははは、楽勝だ。シェミラの像ゲットだ」
役人b「これで船まで運んで逃げれば……」
役人c「これでオレたちは大金持ちだ!」
ガゴーン
役人b「なっ、トラックの上になにか……」
ゼオン「ここか、シェミラの像があるのは……」
ゼオン「フン!」ドカーン
役人a「ぎゃあああ」バーン
ゼオン「えーと、どこだ?」ガチャガチャ
コルル「ねえ、ゼオン。まずいよ……トラックもひっくりかえっちゃたし……」
ゼオン「お前、車のなかの会話聞いてなかったのか? こいつらは泥棒だ」
コルル「えええ! っていうか、車のなかの声なんてきこえないよ……」
ゼオン「ほれ、あったぞ」スッ
600: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/27(水) 23:36:27.31 ID:iUGOlmJU0
ゼオン「さあ、開けてみるか」
コルル「……」ドキドキ
ダニー「お前らかあああ!! シェミラの像を盗んだのは!?」
ゼオン「む、このケース開けづらいな」
コルル「ほ……ほら、持ち主も来たみたいだし……」
ダニー「じじい、戦う準備しろ!」
ゴルド―「違う、あの子たちは……」
ダニー「だまされるな! あいつら魔物だ」
ゴルド―「!」
ダニー「本の持ち主はいねえみたいだな」
ダニー「悪いがガキだからって容赦はしねえぞ!」
601: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/27(水) 23:37:31.31 ID:iUGOlmJU0
ダニー「いくぜえ!」バッ
ゴルド―(こちらには本がある)
ゴルド―(ダニーはどれだけ傷つこうが本を燃やされない限りすぐにでも再生・回復する)
ゴルド―(超回復能力!!)
ゴルド―(強い攻撃力はなくてもあやつにはどんな力も怖れぬ根性がある!)
ゴルド―(倒すのはまず無理じゃ!)
ゼオン「邪魔だ」ドカーン
ダニー「ごふっ」ドサッ
ゴルド―「」
604: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/27(水) 23:47:15.46 ID:iUGOlmJU0
ゴルド―「ジオルク! ジオルク!」
ゴルド―の叫びもむなしくダニーは目を覚まさなかった……
ゼオン「よーし、開いたぞ」
パカーン
ゼオン「これがシェミラの像……」
コルル「わあ! ……」
コルル「……うーん……よくわかんないや」
ゼオン「さすがだな、コルル。オレもよくわからん」
ゼオン「ほらよ」ヒョイ
ゴルド―「うわあ!」キャッチ
ゼオン「それ、お前のだろ。もう盗まれないようにしろよ」
ゴルド―「あ、あぶない……」
ゼオン「あとこの泥棒たちの対処はきちんとしておけよ」
ゼオン「いくぞ、コルル」
コルル「うん!」
ゴルド―「……」ポカーン
605: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/27(水) 23:56:37.31 ID:iUGOlmJU0
ゼオン「まだ時間があるな。どうする?」
コルル「これ」
ゼオン「ん……? 映画のチケット?」
コルル「清麿兄ちゃんが面白いって」
ゼオン(あいつがねえ……)
コルル「ゼオンと映画見るの楽しみ!」
ゼオン「文芸映画……おもしろいのか? というよりも映画が何かよくわからないんだが……」
コルル「映画ならしおり姉ちゃんと行ったことがあるからわかるよ」
ゼオン「そうか、なら行ってみるか」
606: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/27(水) 23:59:28.18 ID:iUGOlmJU0
映画館――
ゼオン(なんだ……これは……オレが子供だからなのか……? 全然面白くない)
ゼオン(眠い……何も魅力を感じない。ダメだ、コルルが楽しみしてたんだ……寝てはダメだ)ウトウト
ゼオン(コルル……?)
コルル「スゥ……スゥ……」
ゼオン(なっ、寝てる!? まだ開始十分だぞ……)
ゼオン(オレまで眠く……ダメだ……こんなところで寝るなんて子供か……)
ゼオン(まあ、コルルも寝てるし……いかん、寝るなんてダメだ……)
ゼオン(ダメだ……今までの疲れが……)ガク
ゼオン「……」
コルル「……」パチ
コルル(寝ちゃった……)
コルル(清麿お兄ちゃんの言う通りだった……)
コルル(やっぱりすごい疲れてたんだ……)
コルル(……ごめんね、連れまわしたりして……)
607: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/28(木) 00:00:27.95 ID:J2kzJJpF0
――
清麿「コルル!」
コルル「ただいま」
清麿「ゼオンをおんぶしてきたのか? 連絡くれたらすぐ行ってたのに」
コルル「私は大丈夫。心配なのはゼオンの方だよ、全然起きない」
清麿「言ったとおりだっただろ? あの映画見たら絶対寝るって」
コルル「うん……」
清麿「どうした? ……楽しくなかったか……?」
コルル「ううん、私はゼオンと一緒ですごい楽しかったよ。でもゼオンは私なんかのために、疲れてるなか……つきあってくれて……」
コルル「ゼオンはつまらなかったんじゃないかな……」
清麿「おいおい、そんなわけないだろ。あいつは何の得にもならないことは途中で放棄するようなやつだぞ」
清麿「そもそもコルルが誘ってくれなきゃトレーニングだとか言ってどこかに行ってたにちがいない」
清麿「トレーニングを休んででもコルルと遊びたかったんだよ」
コルル「そうかなあ……」
清麿「ああ、コルルが暗い顔してたら悲しむぞ」
コルル「うん、そうだね」
608: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/28(木) 00:05:29.45 ID:J2kzJJpF0
三日後――
ゼオン「はっ!」
清麿「おっ、起きたか。よく寝られたか?」
ゼオン「朝……?」
清麿「映画館で寝てから三日間ずっと寝てたんだぞ」
ゼオン「何!? き、貴様が面白くもなんともない映画を紹介するから……」
清麿「疲れはとれたか?」
ゼオン「! 謀ったのか……?」
清麿「シェミラの像をその日に見に行くとは思わなかったぞ……まあ、映画館で三日も寝たから結果オーライだが」
ゼオン「フン……くだらんことを……」
清麿「なあに、屋上の時のお返しさ」
清麿「なあ、ゼオン、あまり一人で何でもやろうとするなよ? コルルとティオが心配してたぞ」
ゼオン「……!」
清麿「それとゼオン、すまなかった!」
ゼオン「!……?」
清麿「オレが足手まといだからお前に負担をかけてしまった……」
ゼオン「そんなものは想定内だ」
清麿「レインとアポロの戦いで負けたのは全部俺の責任だ」
ゼオン「……」
清麿「オレがただ術を出してお前が戦う……それだけじゃあ勝てないんだ」
清麿「ゼオン頼みがある」
ゼオン「……?」
清麿「オレを鍛えてくれ」
609: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/28(木) 00:14:43.29 ID:J2kzJJpF0
清麿「オレはもうあんな悔しいおもいはしたくない」
ゼオン「……」
ゼオン「……フン、覚悟はいいのか……?」
清麿「ああ!」
ゼオン「勉強は? 体を鍛えるとなったら今以上に時間をとられるぞ」
清麿「勉強なんていまさらする必要ないさ」
ゼオン「フン、変わってるよな、お前って……」
清麿「お前に言われたくないな。勉強だってできるし、六歳に見えないぞ」
ゼオン「お前も中学生に見えないがな」
清麿「……なんかこうしてみるとオレ達って似てるよな」
清麿「オレ達出会うまでずっと友達いなかったし」
ゼオン「お前と一緒にするな」
ゼオン(まあ、間違ってはないが……)
清麿「なんでも一人でできると思っていた……」
ゼオン「…………」
ゼオン「……そうだな……」
清麿「でも今は違う……オレ達は一人じゃない」
清麿「オレ達天才が全ての力を発揮して手を組んだら絶対に誰にも負けないと思わないか?」
ゼオン「……自分で言うか……」
清麿「何事もやるならこれくらいうぬぼれないとな!」
ゼオン「ふっ……へんなやつだ……」
610: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/28(木) 00:19:17.46 ID:J2kzJJpF0
北海道――
デュフォー「着いたか……」
ガッシュ「ぜえ……ぜえ……疲れたのだ」
シュナイダー「メルメルメ……」
デュフォー「ガッシュ、この北海道に魔物がいる、そいつを倒しに行くぞ」
ガッシュ「ちょ、ちょっと待ってほしいのだ……」
デュフォー「大丈夫だ。その疲れた体でも十分に倒せるという答えが出た」
デュフォー「奴らは呪文の数自体は多いが一つ一つがいかしきれていない」
デュフォー「そこをつき、倒すぞ」
ガッシュ「ウヌ……わかったのだ」
612: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/28(木) 00:24:28.69 ID:J2kzJJpF0
――
進一「ほら、エシュロス、ちゃんと立って……」
エシュロス「ヤダヤダ! 町中こわい! 早く帰りたいー!」
進一「エシュロスの新しい服を買いにいくんだよ」
エシュロス「いつまた、あいつが現れるか……!!」
エシュロス「ぎゃあああああああ」
進一「!?」
ガッシュ「ウヌ……あの者……私を見てさけんだぞ……」
デュフォー「さすがのオレも驚いたぞ……」
エシュロス「ぎゃああああ、来た! 来た! あの悪魔だあああ」
進一「くっ、エシュロス前を見るんだ!」ササッ
エシュロス「ああああああ」
エシュロス「怖い怖い怖い怖い」
進一「お、落ち着くんだ! エシュロス」
ガッシュ「なんだかあの者かわいそうなのだ……」
デュフォー「…………はあ」
デュフォー(……ったくまた本が燃やせないのか……)
デュフォー(まあ、こいつらしいっちゃ、こいつらしいな……)
613: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/28(木) 00:26:22.25 ID:J2kzJJpF0
ガッシュ「お主、そんなにおびえるでない」
エシュロス「……ひいい……」
ガッシュ「私はお主を攻撃したりしない」
エシュロス「……あれ……あいつじゃない……?」
ガッシュ「お主、私と友達にならぬか?」
エシュロス「え……」
ガッシュ「仲間ほど心の支えになるものないからの! もうおびえなくていいのだ」
エシュロス「とも……だち……」
ガッシュ「ウヌ! 私とお主はもう友達なのだ!」
エシュロス「だ……ダメだ! 僕はいやだ、誰ともかかわりたくない! 僕は……僕は弱いんだ……」
エシュロス「そ……そんなの……足を引っ張るだけだ……」
デュフォー「ならば強くなればいいだろう」
エシュロス「!」
デュフォー「今のお前なら正しい力の使い方をしてくれそうだしな」
エシュロス「つ……強くなれるのか……?」
デュフォー「ああ」
エシュロス「た、たのむ! もう嫌なんだ、毎日毎日夢にでる……僕が弱いから……あいつがいつも僕の夢の中に……」
進一「本当にそんなことしてくれるの? 僕たち敵同士なのに……」
デュフォー「ガッシュの友達なんだろ……」
ガッシュ「ウヌ!」
進一「ありがとう……」
デュフォー(それにこいつ磨けばいいものをもっている、鍛えれば役にたつはずだ……)
623: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/30(土) 23:28:09.68 ID:c630Kn7e0
回想――
清麿「次の日曜か」
清麿「しかしいいのか? あの大海恵がオレ達なんかと一緒に遊園地なんて……」
ティオ「あら、何言ってるの? 清麿はかっこいいわよ」
ティオ「それにゼオンだって息抜きが必要だろうし」
ティオ「……ゼオンは?」
清麿「ああ、映画館に行ってから二日間ずっと寝てるな」
ティオ「あ、そうそう清麿! 映画館なんで誘ってくれなかったのよ!?」
清麿「す、すまん……二人分しかなくて……」
ティオ「だ、だからってなんでコルルとなのよ! ムキ―!」
ティオ「……はあ、まあいいわ。遊園地なら恵だってリラックスできるだろうし私だって楽しんじゃうんだから!」
清麿「わかった。ゼオンは無理やりにでも連れて行かせるから、安心してくれ」
624: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/30(土) 23:36:08.85 ID:c630Kn7e0
――
清麿「早く着きすぎたな」
ゼオン「なんだ、ここは?」
清麿「遊園地だ。たまには息抜きも大事だろう?」
ゼオン「この前、映画館に行ったばかりだ」
清麿「いいんだよ、そんなことは」
清麿「それとコルルはしおりさんと今実家に帰ってるらしいから、後で来るそうだ」
清麿「ただ待ってるのも退屈だし、少し見ておくか」
ゼオン「……フン」
――
『背の高さが120センチメートル以下の方は乗れません』
ゼオン「……」
清麿「……」
ゼオン「……帰るか」
清麿「ま、待てゼオン、他にも乗れるものがあるはずだ」
ゼオン「……」
パピプリオ「ええーい、貴様! 遊園地はみんなが楽しむところではないのか!?」
パピプリオ「小さいからダメだと!? ふざけるな!!」
パピプリオ「乗りたい! 乗りたい!」
ヒゲ「あきらめな、クソガキ、あまり恥ずかしいことすんじゃねえ」
パピプリオ「恥ずかしいのはそっちだろ!? 変なものにのりやがって!」
ヒゲ「パンダカーだ」
パピプリオ「それにゾボロンも乗せてやれよ! かわいそうだろ!?」
ヒゲ「やかましい、百円入れたのはこのワシだ」
ゼオン「……」
清麿(おかしな奴らがいるなあ)
625: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/30(土) 23:49:40.50 ID:c630Kn7e0
パピプリオ「ええーい、もういい! 乗せてくれないならこんなもの壊してくれる!」
清麿「おいおい……」
ゼオン「清麿、こいつら魔物だ」
清麿「!」
ゼオン「王を目指すというやつがルールも守れないのか……」
ゼオン「攻で消すぞ、ティオにはとてもじゃないが見せられない」
ゼオン「あの呪文だ」
清麿「大丈夫か?」
ゼオン「こちらもコントロールはする。お前も力加減を気を付けろ」
清麿「わかった」
パピプリオ「やれ、ルーパー!」
ルーパー「……しょうがない子ね……」
清麿「ジャウロ・ザケルガ!」ドラララ
パピプリオ「へ」
ヒゲ「!」
ドカーン
メラメラ
626: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/30(土) 23:57:34.26 ID:c630Kn7e0
パピプリオ「な……そんな……」
ヒゲ「我々、最強コンビが……」
ルーパー「パピプリオー!」
ヒゲ「ゾボロン!」
ゼオン「相手の本だけ狙うなんて我ながらナイスコントロールだ」
清麿「修行の成果ってところか」
ゼオン「そろそろ来てるんじゃないか? 戻るぞ」
ゼオン(しかし退屈だ……あいつクラスじゃないと戦いにすらなりやしない)
ゼオン(もっと強いやつと……)
628: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/31(日) 00:07:56.61 ID:d6cHaRtd0
――
恵「ごめん、おくれちゃって……待った?」
清麿「いえ、今来たところですよ」
ティオ「ねえ、ジェットコースターよ! 清麿早く」
ゼオン「……」
『背の高さが百二十センチメートル以下の方は乗れません』
ティオ「うわー、あんまりよ! 小さいからって乗れないってどういうこと!?」
ゼオン「おいティオ、駄々をこねるな。みっともないぞ」
ティオ「う……」
ゼオン「ほかにも乗れるものがあるだろう。見て回るぞ」
ティオ「わ、わかったわよ」
恵(本当、ゼオン君って大人ね……)
629: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/31(日) 00:10:57.17 ID:d6cHaRtd0
恵「うん、これなら乗れるわ!」
ティオ「えー、こんなの幼稚よ」
清麿「まあまあ、そんなこと言わずに乗ってみようぜ、ティオ」
恵「ゼオン君は乗らないの?」
ゼオン「ああ。オレはいい、これよりもっと高いところに行ったりしているからな」
恵「そっか、じゃあ私もここにいよっと」
ゼオン「……お前も乗って来ていいんだぞ?」
恵「あれ二人乗りだから、さすがに一人じゃあね……」
ゼオン「そうか」
恵「ゼオン君、ありがとね」
ゼオン「は?」
恵「ティオが最近笑うようになったの」
恵「出会ったころとは大違い」
ゼオン「別にオレは何もしていないが」
630: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/31(日) 00:13:54.61 ID:d6cHaRtd0
ティオ「いや、だめよ! 空飛んでるじゃない!」
ティオ「お、お……落ち!」
清麿「ははは、じゃあ、もっと動かしちゃおうかな」
ティオ「ちょ……ちょっとー!」
恵「最近ゼオン君のことばかり話すの」
恵「勉強ができて腹立つとか、偉そうで上からものを言ってきてムカつくとか」
ゼオン「……なんだそれは……」
恵「困ったことがあったら助けてくれるとか」
恵「悩み事があったら相談にのってくれるとか」
ゼオン「…………」
恵「だからね……」
ゼオン「そんなものは当たり前だ、なにせやつは下僕だからな」
恵「あはは、やっぱりティオの言う通り偉そうだね」
ゼオン「まあ、下剋上なら二十四時間いつでも歓迎するがな」
ゼオン「さっさと強くなってオレをこえてみろ」
恵「フフフ、私たちだって負けないからね」
ゼオン「フン……楽しみにしておいてやるよ」
631: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/31(日) 00:15:36.54 ID:d6cHaRtd0
――
清麿「ええ!? まさかお弁当作ってきてくれたの!?」
恵「あら、もちろんよ。もしかして清麿君、アイドルは家事なんてできないと思っていた?」
清麿「い、いや、それはないけど……」
清麿(まさか、大海恵の手料理が食べられるとは……)
ゼオン「ごちそうだな」
ティオ「あ、そうだ、ゼオン!」
ゼオン「ん?」
ティオ「あ、ほら、その……弁当……なんだけど……」
ゼオン「作ってきたのか?」
ティオ「あ……うん」
ゼオン「じゃあもらうぞ」
ティオ「うん! 私が心を込めて作ったのよ! 味わって食べなさい!」
ゼオン「……!」
ゼオン(心を……こめて……か)
632: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/31(日) 00:18:54.83 ID:d6cHaRtd0
恵「よし、最後にこれ乗らない?」
清麿「メリーゴーランドか、うん、じゃあ」
ゼオン「……」
ゼオン(うう……腹が……ティオんの奴め、作りすぎだ……)
清麿「ふう、こんなに遊んだのは久しぶりだな」
恵「こんなに楽しい休日初めて! ありがとう清麿君。また来ようね」
清麿「うん!」
ゼオン「そうだな」
清麿「あ、そうだゼオン。ティオの弁当全部食べてたけどおいしかったか?」
ゼオン「ん……」
ティオ「! ……」ドキドキ
ゼオン「見た目は最悪だったな」
ティオ「」ガーン
ゼオン「だが味は良かったぞ、なんだろうな、心がこもっていたと言えばいいのか? 見た目など意に介さない出来だった」
ティオ「! ええ当り前よ! なにせ私が作ってるんだから!」
ゼオン(オレのためにつくった料理か……)
ゼオン(もしかしたらそういうのは初めてかもしれないな……)
ゼオン(なんか人間界に来てから変なことばっかりだ)
ゼオン(調子が狂う……)
633: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/07/31(日) 00:21:00.00 ID:d6cHaRtd0
――
コルル「こんにちはー」
しおり「えっと外にでてるってことは……」
ゼオン「遅かったな……もう終わったぞ」
コルル「そんなー」
清麿「まあ、また今度来ればいいさ」
恵「あら、あなたがコルルちゃん? こんにちは」
しおり「え……――!!」
しおり「め、……え!?」
しおり(本物のアイドル、大海恵ちゃん!? コルルの言ってたティオちゃんのパートナーって……!!)
しおり「あわ……わ……」
恵「えっと……どうかしました……?」
しおり(か、覚悟をきめるのよ! しおり!!)
しおり「あのサインください」
644: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/08/03(水) 02:13:39.62 ID:UYXSLhqD0
数週間後――
清麿「相談したいことがある、ゼオン」
清麿「オレは今、ある魔物を助けるかどうか迷ってる……」
清麿「その魔物はまだ良いやつか悪いやつかもわからない」
清麿「だがその本の持ち主は必死に助けを求めている!」
清麿「本来なら敵であるオレ達にすがるほど……」
ゼオン「……オレが助けるとでも思っているのか?」
清麿「ま、まあ、そうなるよな……だけど、すこしかわいそうでな……」
ゼオン「……話してみろ」
清麿「ああ、――」
645: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/08/03(水) 02:14:51.00 ID:UYXSLhqD0
清麿「……というわけだ」
ゼオン「……魔物と人間の恋……めずらしいこともあるものだな」
清麿「オレ達にメリットはないだろうな……やめておくか」
清麿「傷つけてしまうから巻き込まない……もしかしたら正しい選択なのかもしれないな」
ゼオン「…………」
コルル『私がやったんでしょ? 私がみんなを傷つけたんでしょ?』
ゼオン「…………」
ゼオン(ちっ……とんだ甘ちゃんになったもんだ)
ゼオン「行ったことない場所だから瞬間移動は無理だ。交通費はそいつらが払うんだろうな?」
清麿「! ゼオン……」
ゼオン「勘違いするなよ、修行の成果を試すだけだ」
清麿「そうだな」
646: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/08/03(水) 02:15:20.59 ID:UYXSLhqD0
――
リィエン「来てくれてうれしいある、恩にきるあるよ」
リィエン「ただ一つ聞かせてほしいある……この船は一体……?」
ゼオン「……」
清麿「……」
リィエン「やっぱり何も聞かないある……」
リィエン「……! あの島あるよ!」
ゼオン「……! この島に魔物がもう一体近づいてきてるな……」
清麿「何!?」
ゼオン「まあ、たいしたことはないだろう……」
647: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/08/03(水) 02:15:55.48 ID:UYXSLhqD0
清麿「うまく上陸できたが警備が物々しいな」
リィエン「本当に危険なのはここからある。本当に協力してくれるあるか?」
ゼオン「フン、余計なお世話だ」
清麿「それにオレ達が行かなくても、あんた一人で行っちまうんだろ?」
リィエン「ええ、その通りある」
ゼオン「じゃあ、行くとするか」スッ
黒服「な、なんだ!?」
清麿「マーズ・ジケルドン!」ギュイイン
黒服「な……みんな、すいこまれて……」
黒服「うわあああ」
ゼオン「清麿……?」
清麿「大丈夫だ、電撃はかなり弱くコントロールしてある!」
ゼオン「……変なところで盾を出す清麿はどこにいったんだ?」
清麿「言うな」
648: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/08/03(水) 02:16:41.41 ID:UYXSLhqD0
ドカッ!
黒服「へっ、これで牢にはいけねえ」
黒服「このエレベーターが動かなきゃ頂上までは絶対にたどりつかねえ」
黒服「ざまあみろだ!」ダッ
清麿「ま、待て! 本当に他の道は!?」
清麿「ちっ、行きやがった」
リィエン「……」
リィエン「ゼオン、清麿ありがとう。ここまでで十分ある」
リィエン「あとは私一人で……」
ゼオン「待て、お前に行かれると困る」ガシ
リィエン「え」
ゼオン「お前が帰ってくるまで、オレ達はここで待ってなきゃいけないのか? 勘弁しろ」
清麿「まあもう少し待っててくれ。このエレベーターなら直せそうだ」
リィエン「直せるあるか!?」
清麿「実はこういう頭使う方が得意でね」ゴソゴソ
649: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/08/03(水) 02:17:08.48 ID:UYXSLhqD0
――
ガリオント「……? エレベーターが動いて……何かがここへ上がってくるな」
サバス「! この感じは……」
ガリオント「どうしたサバス?」
サバス「面白い……面白いよ」
サバス「上がってくるやつも魔物だ! オレ達ここで一気に二匹の魔物を倒せるよ!」
650: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/08/03(水) 02:17:47.49 ID:UYXSLhqD0
ウイイイイン
清麿「光が強くなってきた。もうすぐ頂上だ」
リィエン「うん……もうすぐある」キラキラ
ゼオン(うれしそうだな……)
清麿(ウォンレイ……どんな魔物だろ? リィエンに早く会わせてやりたい)
サバス「ようこそ、ここが君達の天国だ」
清麿「え……?」
リィエン「あなた誰ある!? ウォンレイはどこあるか!?」
ゼオン「あの牢の中にいるな」
清麿「! リィエン! 君は早くウォンレイのところへ、ここはオレ達がくいとめる!」
リィエン「……。スマナイある!」ダッ
ガリオント「フン! くいとめるか……はたして我々をくいとめられるかな……」
サバス「どんな攻撃もオレの鎧の羽ではじいてやるよ」
ゼオン「ほう……それは楽しみだな」
651: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/08/03(水) 02:18:42.76 ID:UYXSLhqD0
リィエン(ウォンレイ……ウォンレイ……)
リィエン(私来たあるよ! 一緒に戦うあるよ!)
リィエン「ウォンレイ!」
ウォンレイ「……何しにきた? リィエン」
リィエン「え……」
――
清麿「……リィエン……?」
ゼオン「どうした?」
清麿「ウォンレイのやつがでてこない……まさか……」
清麿「まだ……」
ゼオン「なあ、清麿。こいつオレ達が倒さずにあっちに向かわせた方がいいんじゃないか?」
清麿「なっ、それはリスクが高いぞ! リィエンが……」
ゼオン「オレは賭けてみたいがな……」
サバス「フン、何よそ見してやがる!」
ガリオント「ガルウルク!!」ドン
652: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/08/03(水) 02:19:13.17 ID:UYXSLhqD0
清麿「! とりあえず威嚇程度においはらうぞ! ザケル!!」ドカーン
サバス「フン、こんな電撃など簡単にはじいて……」クルン
サバス「!」ゴッ
サバス「な……オレの鎧の羽を……つきぬけ……」
サバス「ぐおおおお」
ドカーン!
メラメラ……
ゼオン「……」
清麿「……」
653: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/08/03(水) 02:20:17.45 ID:UYXSLhqD0
清麿「……修業の成果だな」
ゼオン「……」
清麿「いや……なんかあいつ防御に自信もってたから……」
ゼオン「……はあ……まあいい。少しだけオレのやり方につきあえ」
清麿「……!」
清麿「わかった」
660: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/08/06(土) 19:38:41.29 ID:H+X1lEP60
続きいきます。
リィエン「なぜでてこないある、ウォンレイ! 早く本を渡すある! その手錠を壊すある」
リィエン「私……あなたと一緒に戦いたいから……傷ついても平気だから」
リィエン「私、ウォンレイが好きあるから!」
ウォンレイ「リィエン……私はあなたが嫌いだ」
リィエン「――っ!!」
ゼオン「……どうした、リィエン?」
リィエン「! ゼオン……敵は……?」
ゼオン「もう倒した……それよりそいつはどうした」
リィエン「……」
ウォンレイ「……あなた方にお願いがある。どうかリィエンを無事に連れて帰ってもらえないだろうか……?」
ゼオン「なんだ、お前、本をリィエンにわたしていないのか?」
ゼオン「それはいいことを聞いた」ニター
清麿「ザケル!」
ウォンレイ「……え!?」
ドーン!
リィエン「きゃあああ」
661: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/08/06(土) 19:40:02.57 ID:H+X1lEP60
ウォンレイ「なっ、リィエン! リィエン!!」
ウォンレイ「貴様、何を!?」
ゼオン「おいおいどうした? その女が嫌いなんじゃなかったのか?」
リィエン「っ……な……何のつもりあるか!?」
ゼオン「くっくっく、それはだな……」
清麿「簡単な話だ、お前たちだまされていたんだよ」
ウォンレイ・リィエン「!!」
清麿「まさかオレたちが敵を助ける、底抜けのお人よしとでも思ったのか?」
清麿「違うな、本当の目的はそこの女に魔物の居場所を教えてもらうことだ」
清麿「そしてお前たちを始末する」
ゼオン「……」
ゼオン「そういうことだ、今日はついてるぜ、二体まとめて消せるんだからなあ!!」バチバチ
ゼオンの手に雷が宿る
ゼオン「消えろ!!」バッ
清麿「ザケル!」
ドカーン!
662: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/08/06(土) 19:42:14.79 ID:H+X1lEP60
ウォンレイ「うっ……」
リィエン「あがっ――」
ゼオン「はっはっは」
リィエン「……っ」
リィエン(……大丈夫、たいした威力じゃないある……檻が壊れた今なら本を!)バッ
ウォンレイ「リィエン、こっちに来るな! 逃げるんだ!」
ゼオン「おい……ウォンレイ、お前なあ……リィエンを巻き込みたくないとかいってるが」
ゼオン「もう手遅れなんだよ!」バチバチ
ウォンレイ「ぐ……」
清麿「リィエンから聞いたが、お前みんなを守れる王になりたいらしいな」
清麿「こうしてみると、とんだお笑い草だ。戦うことから逃げて何が守れるんだ!」
ウォンレイ「!!」
ゼオン「……フン」
ゼオン「クズが王だの守るなどと……」
ゼオン「さしずめ、クズの魔物にクズの人間がくっついたってわけだ! お望み通りクズ同士こっぱみじんにしてやるよ!!」
清麿「ザケル!」ドッ
ウォンレイ「――――リィエン、第四の呪文だ!」
リィエン「……! はいある!」
リィエン「ゴウ・バウレン!!」
ドシャアアア
663: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/08/06(土) 19:42:43.04 ID:H+X1lEP60
ゼオン「……っ」
ズザザザザ
ゼオン「……」ギロ
ウォンレイ「言ってくれるじゃないか」
ウォンレイ「リィエン、私はあなたを守り抜こう!」
ウォンレイ「そして、ともに王への道を歩む!」
ウォンレイ「行くぞ! まずはリィエンをクズ呼ばわりしたあやつを魔界に帰す!!」
清麿「……」
ゼオン「くっくっく、やってみな」
664: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/08/06(土) 20:20:53.18 ID:H+X1lEP60
ゼオン「はああ!」バッ
清麿「ソルド・ザケルガ!」シュン
ウォンレイ「『風手双掌』は風をもとらえる双手の掌! 万槍を弾く鋼の門!」バババッ
ウォンレイ「はっ」
リィエン「レルド!」ピカーン
スー―
ウォンレイ「なっ」
ゼオン「残念だったな! そっちは残像だ」
ゼオン「うぉらあああ」
ドカーン
ウォンレイ「がああ」ズザザ
ゼオン「フ、筋はいいが、人間界で武術を学んだってところか」
ゼオン「まだまだ甘いぞぉ!」バッ
清麿「ザケル!」
ドカーン
ウォンレイ「うう……」ドサ
リィエン「ウォンレイ!」
ゼオン「どうした? この程度か!?」
665: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/08/06(土) 20:27:39.66 ID:H+X1lEP60
ゼオン「お前のリィエンを守りたい気持ちはその程度か!?」
ウォンレイ「う……うおおおお」ババッ
ガッ バキッ ガシッ
ウォンレイ(私の武術をすべてよけて……)
ゼオン「その程度じゃあ、倒れてやれねえなあ!!」
清麿「ザケル!」
ドカーン
ゼオン「くっくっく、これはやりすぎたかぁ?」
清麿「……!」
ウォンレイ「…………」ヨロ
ウォンレイ「……はあ……はあ……」スッ
ゼオン「そうだ、守ってみせろ、てめえの命をかけてもな」
ゼオン「いくぞおおおお」バッ
ウォンレイ「うおおおお」
666: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/08/06(土) 20:34:24.80 ID:H+X1lEP60
戦いは一方的だった。
ウォンレイの顔面にゼオンの拳がはいる。
ウォンレイはのろのろと立ち上がる、そしてまた殴り倒される。
何度も何度も倒されては立ち上がる。
もはやウォンレイに意識はなかった。
ゼオン「いい加減寝てもいいんだぞ?」
ウォンレイ「………………」スッ
清麿「はあ、もう面倒だ、帰るぞ!」
ゼオン「……!」
清麿「埒があかねえよ……オレは帰るぞ」スタスタ
リィエン「清麿……!」
ゼオン「ちっ、清麿がやる気なくしてしまったようだ。ここは帰るか」
リィエン「……」ギロ
ゼオン「くっくっく、次会うときはもっと腕をみがいとくんだな」スタスタ
667: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/08/06(土) 20:39:55.14 ID:H+X1lEP60
リィエン「ウォンレイ! ウォンレイ! 大丈夫あるか!?」
ウォンレイ「……ああ……」
リィエン「それにしてもひどいやつらある! だますなんて……」
リィエン「あやうく殺されかけたある!」
ウォンレイ「……違うよ……リィエン。あの者たちが私たちを殺す気なら……もっとはやく死んでいた……」
ウォンレイ「それどころか、やつら半分の力もだしていなかった……」
ウォンレイ「気づかされた……私は弱い……」
ウォンレイ「もっと……もっと……強くならなければ……何も守れない……」
ウォンレイ「手伝ってくれるか……リィエン……?」
リィエン「う……ウォンレイ……」
リィエン「うん、喜んで協力するあるよ!」
668: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/08/06(土) 20:40:25.75 ID:H+X1lEP60
――
清麿「ああ……」
ゼオン「どうした、清麿? 顔色が優れないな」
清麿「いや……まあな。ちょっと罪悪感が……」
ゼオン「フン、だから言ったんだ。お前は黙っておけばいいと」
清麿「ゼオンばっかりにそんな役、やらせるわけにはいかないだろうが」
清麿「それに最初のザケル……うまくコントロールできてよかった、傷つけるんじゃないかとひやひやしたよ……」
ゼオン「清麿、下を降りるぞ。瞬間移動でパパッと帰りたいところだが……」
清麿「そうだな。下が騒がしくなってきた」
ゼオン「帰る前の掃除は大事だからな」
清麿(本当……おせっかいなやつ……)
669: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/08/06(土) 20:50:49.12 ID:H+X1lEP60
数か月後――
山――
ゼオン「準備はいいな、お前ら」
コルル「うん」
ティオ「手加減しないわよ」
清麿「少しは手加減してくれよ……」
ゼオン「今からテストをおこなう。これはあくまでお前らがどれだけの成長したのか知るためのテストだ」
ゼオン「くれぐれも不正はないように」
ゼオン「まあ、どうしても無理だったら、無茶せずにひきかえしてこい」
清麿「えっと……この地図のコースを走って行けばいいんだな?」
ゼオン「そうだ。コルルとティオは何度かこれをやっているな」
ゼオン「まあ、お前は確かにトレーニングしたが、コルルとティオには敵わないだろう。自分のペースで行ってこい」
清麿「おいおい……いくらなんでも女の子たちには負けないだろ……」
ゼオン「準備はいいな、それじゃあ、よーいどん!」
コルル「……」バッ
ティオ「だあ!」バッ
ダダダダダ
清麿「なっ、あいつらめちゃくちゃい!」
ゼオン(まあ、あいつらはお前よりも長くオレのトレーニングについてきたからな)
ゼオン(これくらい当然だ)フフン
670: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/08/06(土) 20:51:44.60 ID:H+X1lEP60
ゼオン「まあ、休憩地点になんか飲み物でもおいといてやるか」
――
パティ「高鳴る胸がドキドキ、バクバク周りの空気もふるわせてるわ」
パティ「私のオーラを放出、周りの草木も私にドキドキ」
パティ「そんな美少女、ヴィーナス、天使、女神に妖精、すべてが私にぴったりなのよ!」
パティ「私は私はパティちゃーん!」
パティ「えへへへ、世界を旅して四か月。ここにあの人はいるかしら?」
ウルル「私にはわかりません。でも、本を燃やされていなければ、いずれ会えるでしょう」
パティ「そうね。まだ負けてなければいいんだけど……」
パティ「え? あの人が誰かって? そう、聞きたいのね。私とガッシュちゃんのなれそめを……」
ウルル(聞いてねえよ)
671: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/08/06(土) 20:53:20.57 ID:H+X1lEP60
店員「お買い上げありがとうございました」ウイイイン
ゼオン「……これだけ買っておけばいいか」
ゼオン「……ん……魔物か?」
――
パティ「私たちは敵同士……会えば戦わなければならない相手……」
パティ「ああ……なんて悲しい恋なのかしら……」
パティ「でもいいの。あの人が王様になるためなら……」
パティ「私はどんなことでもしてあげられるわ!」
ゼオン「……」
パティ「……はっ!!」
ウルル「……」
ゼオン「……」
672: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/08/06(土) 20:57:45.52 ID:H+X1lEP60
パティ「ガガガガガッガガ……ガガッシュちゃん……?」
ゼオン「ああ?」
パティ(本当に…本当に……)
ゼオン(しまった……ライター持ってきてないな……)
パティ「――ッシュちゃ――――ん!!」バッ
ゼオン「……? ……誰だ、お前」
パティ「え……」ピタ
パティ「あ、あの……ほら……私、あなたの恋人……名前は言わなかったと思うけど……ほら……私の顔ぐらいは……」
ゼオン「はあ? なに寝ぼけたことほざいてやがる」
パティ「」
パティ「……」
パティ「……許さない……」
パティ「あんちくしょーー!!」
ゼオン「!!」ビクッ
673: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/08/06(土) 21:03:34.10 ID:H+X1lEP60
ゼオン「……」
パティ「私の顔を……最愛の恋人の顔を忘れるなんて!!」
パティ「燃やしてやる! 絶対に燃やしてやるわ――!!」
ゼオン(……こいつやべえ……)
パティ「うおおおお」バッ
ゼオン「……」シュン
パティ「なっ、消え……」
ゼオン「……」トン
パティ「あ……」ドサッ
ゼオン「……なんて顔して襲いかかってくるんだ、こいつは……」
ウルル「パティ――!」
ゼオン「……」バチバチ
ゼオン(……さすがに燃やせるものがないと無理か……)
ゼオン「まあいい、清麿を呼んでくるか」シュンッ
ビョンコ「……」
ビョンコ(助けに入ろうかと思ったけど、やめといてよかったゲロ……」
674: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/08/06(土) 21:15:10.62 ID:H+X1lEP60
ウルル「おい……パティ……」
ビョンコ「お困りみたいゲロね」
ウルル「魔物!!」バッ
ビョンコ「そう見構えるんじゃないゲロ! 助けてやるから仲間になるゲロ!」
ウルル「仲間……?」
ビョンコ「間もなく我々は残った魔物どもを一掃する作戦にでるゲロ!」
ビョンコ「その手伝いをするゲロ!」
ウルル「手伝い……?」
675: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/08/06(土) 21:30:31.87 ID:H+X1lEP60
ゼオン「おい、きよ……どうした?」
コルル「大変! 清麿お兄ちゃんが!」
ティオ「転んでけがしたの」
清麿「いたたたた……」
コルル「もう、がんばりすぎだよ!」
清麿「悪い……コルルとティオに負けてられないなと思ってとばしたら……」
ゼオン「ちっ、このバカモンが」
ゼオン「コルル、お前回復呪文が使えたな? しおりは家か?」
コルル「今日は家にいるだって」
ゼオン「じゃあこいつを運ぶぞ」
676: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/08/06(土) 21:33:51.66 ID:H+X1lEP60
――
清麿「ありがとう、コルル。しおりさん」
コルル「うん」
しおり「あまり無理はしないでくださいね」
ゼオン「ったく、トレーニングだといって、怪我したら身も蓋もないぞ」
清麿「すまん、すまん」
ゼオン(……そういえば、何か清麿に伝えようと思ったことが……)
ゼオン(まあ……覚えだせないなら、たいしたことじゃなかったんだろう)
678: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/08/06(土) 21:39:47.22 ID:H+X1lEP60
数日後――
家の前――
清麿「ゼオン!」
ゼオン「ああ……」
清麿「誰だ……?」
ナゾナゾ博士「私の名前はナゾナゾ博士。なんでも知ってる不思議な博士さ」
清麿「……何か話があるのか?」
ナゾナゾ博士「ウム。じつは君たちにお願いがあってな」
キッド「はいこれ」スッ
清麿「なんだ、これ?」
キッド「博士が作ったウニのお寿司だよ!」
清麿(……プリンにしょうゆ……)
ゼオン(……食べてみたい……)
キッド「なにせ博士は世界一のすし職人だからね! ね? 博士」
ナゾナゾ博士「ウ・ソ」
キッド「(;゚Д゚)」
清麿「さっさと用件を言ってほしいんだが……」
682: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/08/06(土) 21:45:29.99 ID:H+X1lEP60
――
清麿「四十近くの石版が……?」
ナゾナゾ博士「ウム」
清麿「じゃあ、あんた達はその千年前の魔物と戦う仲間を集めるために旅をしているということか」
ナゾナゾ博士「やつらの怖いところは集団で襲ってくるところにある」
ゼオン「……」
ナゾナゾ博士「時期がきたらまた連絡をいれる」
ナゾナゾ博士「その時に力を貸してくれることを願うよ」スタスタ
ゼオン「……」
清麿「まあ、集団の怖さってもんは植物園で味わったからな」
ゼオン「……まあ、オレひとりで全てぶっつぶしてやってもいいんだが……」
ゼオン「せっかくだ。コルルとティオのトレーニング相手になってもらおう」
ゼオン「昨日とうとう残りの魔物が四十体以下になったからな」
ゼオン「やつらにも実戦が必要だろう」
685: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/08/06(土) 21:55:18.97 ID:H+X1lEP60
千年前の魔物について
フェリウス…ドラゴン、空を飛べる パートナーはセバスチャン。
ニンニン…パートナーはカーリー。
カルーラ…女の子。カールされた緑色の長髪。パートナーはマレーネ。
特に覚える必要はない。
689: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/08/06(土) 22:04:02.28 ID:H+X1lEP60
街中――
ドカーン!
ダニー「な、なんだ!? あいつら……こんな街中で……!」
ビョンコ「やるゲロよー!」
カーリー「ネシルガ!」ドン
マレーネ「オル・ロズルガ!」ドカーン
バ―――ン!!
「きゃあああ」「いったい……うわあ」「ぎゃあああ」
ダニー「ちいい」
ゴルド―「このままでは街の人が……うああ!」
ダニー「じじい!」
ゴルド―「へ、平気じゃ。それよりも山に行くぞ!」
ダニー「ああ」
ダニー(四対一……ダメだ……奴らはじじいを狙っている……)
ダニー(このままでは……)
692: ◆yrHjxQDK6Jwj 2016/08/06(土) 22:34:55.39 ID:H+X1lEP60
山――
ゴルド―「よし、ここなら誰も巻き込むまい!」
ダニー「……すまねえ、じじい……」ガッ
ゴルド―「っ……な……なに……」ドサッ
ダニー「すまねえな、じじい。このままじゃあ、じじいまで傷つけてしまう」
ゴルド―「だ……ダニー……」
ダニー「あばよ、じじい。今まで楽しかったぜ」タッ
ゴルド―「ダニー―!!」
ダニー「……」タッタッタ
ダニー(ボーイがついてねえじゃねえかよ……)タッタッタ
ダニー(この緊急事態でつけるの忘れてんのかよ……)
ダニー(わかってる……オレはもう……)ポロポロ
ダニー(引き返せない!)
693:以下、

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