2chオカルト板・百物語2016 【第一話〜第五十四話】back

2chオカルト板・百物語2016 【第一話〜第五十四話】


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1:
2016年夏。今年もこの季節がやってまいりました。
こちらは『2chオカルト板百物語2016』の本スレです。
今宵の百物語を楽しむために、以下をご一読ください。
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百話目終了まで、このスレでの雑談はご遠慮願います。
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百物語2016 【後編:第五十五話?第百話】
http://world-fusigi.net/archives/8562852.html
3:
2 オカルト板百物語2016
皆様 まもなく 怪 幕 いたします
4:
5:
6:
 
 
 
 
 
 
 
ずんちゃ虫 ◆7vU/OMinzsさん、第一話をお願いします…
7:
部屋をのぞく母
〔1/2〕
夏休みの帰省で8月上旬に実家に戻っていた時のこと。
連日暑い日が続き、エアコンのない二階の俺の部屋は酷く寝苦しかった。
ある日、夜中に目をさましてしまい時計を見たら午前4時ごろ、当然、部屋は
真っ暗である。
ふと気付くと母が部屋のドアを開けて隙間からこっちをのぞいている!
電気も点けてないので暗くて、顔の輪郭だけで、表情などは分からない。
昼間はちょくちょく俺の部屋を覗きにくる母だが、こんな夜中に何の用だろう
「母さん、どうしたん?」と訊いたら、母はなにも言わず、すっとドアを閉め
その後、階下へ降りていく足音が聞こえた。
朝になって母に訊ねたら「夜中にあんたの部屋になんか行ってないよ」との返事。
俺は変に思ったが、自分が寝ぼけていたせいだったと考えた。
その翌日、また深夜に目を覚ました、またもドアの隙間から母がのぞいている!!
布団にもぐったふりをしつつ目を凝らしてよく見てみたら、なんだかそれは母とは
違う顔に見えてきた。
人間は、あまりに身近な相手に対しては認識が非常にいい加減になるもので、
それまで女性っぽい顔の輪郭だけで、勝手に母だと思い込んでいたが・・・
暗がりの中とはいえ、なんか、母とは全然違う気がする!!
しかし家に他に女性はいない!
8:
〔2/2〕
急に恐ろしくなってきた俺は汗ぐっしょりで布団にくるまり、背を向けて寝たふり
をしたが、やがて「母」が部屋の中に入ってきた音が・・・
俺は相手を見ないように寝たふりを続けたが、「母」は部屋の中をぐるぐると徘徊
している様子。
しばらく生きた心地がしなかったものの、やがて、階下に降りていく足音が聞こえ
たのでほっとした。
あれは誰だったんだろう
考えられることは二つある
一つは、母がボケて明け方に徘徊していること?
しかしこれは考えにくい、人一倍しっかりした人だし、まだそんな歳でない
今一つは、私が見た夢だったということ?
こっちの方が普通に考えられるのだが
実は、隣の部屋の弟も今年の正月に、朝の明け方に部屋をのぞく女の顔を見た、と
言ってたことがあったのだ。
弟が言うには「真っ黒で、とにかく母とは全然違った顔」だったそうだ
あれは一体誰なんだろう、ぜんぜん知らないやつが家にいるのか?
年末年始にまた帰省するのだが、またあいつを見るかと思うと、帰りたくない。
《了》
9:
1本目の蝋燭が消えました・・・
ずんちゃ虫 ◆7vU/OMinzs さん、ありがとうございました
50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOX さん、第2話をお願いします
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10:
【第二話】『修学旅行』
(1/2)
僕が高校生の時の話。
僕の高校は2年時の修学旅行の行き先は沖縄だった。
平和学習として様々な場所を巡るのだが、我が母校の修学旅行コースの中にはガマがある。
当時7クラスあったクラスを4つに分け、2クラス×3箇所と1クラスのみという組み合わせで
ガマの見学は行われていた。
が、この見学には代々先輩から伝わるある噂があった。
「1クラスだけで入るガマは4つの中で一番やばくて、入れない生徒が続出する」
戦争で沢山の人が亡くなった場所に対して不謹慎極まりない高校生である。
が、この噂のせいかはわからないが、どこのガマに行くかは当日行くまで知らされないという、なんとも奇妙なプランが組まれていたのも事実だった。
そして当日、僕らの向かったのは噂の1クラスのみで入る、一番やばいと言われたガマであった。
うちのクラスは学科が専門コースなせいなのか、個性的な人間が集まっているのか、所謂霊感がある生徒が多かったクラスだった。
案の定バスから降りられない生徒が続出する中、見学は無事に行われた。
問題が起こったのは滞在先であるホテルについてからだった。
部屋に荷物を置いた後の食事で、僕はクラスの女子のあるグループが泣いているのに気づいた。
ガマでバスを降りられなかった何人かを含むグループである。
11:
(2/2)
「どうした?」
同じ部活のメンバーがいたこともあり声をかけると話はこうだ。
部屋に入ったは良いが、入り口の蛍光灯が切れかけて付いたり消えたりしていたそうだ。
当然彼女たちはフロントに連絡をして交換してもらった。
これで大丈夫と思ったのもつかの間、食事に出てこようと準備をしている間に「バチンッ」と音を立て同じ場所の蛍光灯が消えてしまったというのだ。
少し気味も悪くなりながらも抗議の電話をフロントにかけたところ、
フロント係が一言、「ああ、やっぱりですか」と言ったそうだ。
ただでさえもガマの見学で気が立っていたところに止めを刺されたわけで、女子生徒たちが泣いてしまったのにも納得であった。
気になったのはある女子生徒の一言だ。「ずっとついてきてたからしょうがない」と。
ホテルの蛍光灯のいたずらが、ガマの影響だったのか、ホテルの問題なのかはわからない。
どちらにしても修学旅行の生徒の前で何かを起こすなんて、その楽しい雰囲気に混ざりたかった
何かが起こしたのではないだろうか。
いままでで一番切なくいたたまれなくなった出来事であった。
【了】
12:
二本目の蝋燭が消えました・・・
るしふぁー ◆CS/orwC/9AZjさん、第三話をお願いします
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13:
第三話】 るしふぁー ◆CS/orwC/9AZj 
『世の境目』
去年の今頃、私は救急搬送され緊急入院した。
最初の検査の結果は大腸憩室炎で抗生剤の点滴で難なく治癒した。
入院のついでに詳しい検査をとドクターから勧められ了承、内視鏡検査を受けることとなり準備に入った。
腸の検査で何が大変かというと、絶食と下剤、これに尽きる。あの不味い不味い液体を2リットルも飲むのは生き地獄。
そして内視鏡検査の日がやって来た。大腸はドクターが驚くほど綺麗で全く問題なし。ホッと一安心。
「念のため、苦しいけど小腸も診てみましょう」とカメラを進める。小腸は細く曲がりくねっているから本当に気持ち悪い。
しばらくするとドクターの手が止まり「ムム…、あーー…」
突然「画像を撮ります!」と言って看護師にあれこれ指示し撮影、慌しくなった。嫌な予感が頭をよぎる。
そして検査が終了しドクターの説明。「大腸は異状ありませんが、小腸に大きな腫瘍があります。」
画像がモニターに映し出される。「錠剤1錠分も隙間がありません。今から絶食です。退院は取り消し!」
そして次の一言が人生を変えた。
「この大きさからして、良性ということはありえません。間違いなく悪性腫瘍、癌でしょう。」
私は呆然とした。知らせないといけない人達がいるのに、その日は誰にも連絡しなかった。ショックも恐怖感も何も感じなかった。
翌日、朝一番にドクターが部屋に来て「これから詳しい検査をします。絶対に買い食いをしないように!命に係わります。」
数日後、カンファレンスがあった。
「非常に稀な癌です。原因はおそらく悪性リンパ腫、血液のがんでしょう。」
血液検査の結果は更に1週間かかるとのこと。何もすることがないままの入院生活が続く。
そして血液検査の結果が出て、「あり得ないことに血液は正常で悪性リンパ腫ではないことが判りました。」
小腸原発の癌は珍しく、アメリカで数例の報告があるのみとのこと。そして、高度最先端医療の病院でないと無理と告げられた。
ドクターが知っている先生がいる最先端医療の病院があり、既に受け入れの許可が出ているという説明を受け転院が決まった。
14:
手術の前日、厳しい説明を受けた。「前例のない症状でデータも存在しない。小腸に癌が発見されて成功した例もない。」
「検査では大丈夫と出ても、実際に空けたら手術不可能だったという例もある。その場合は何もせず閉じる。」
更に「手術中に死亡する確率が高い。」とも伝えられた。ステージはIIIa、昔でいう末期手前とのこと。
身内と親友に伝え、初めて泣いた。手術はロボットと超音波によるデジタルオペとのこと。執刀医と最先端医療、神様仏様に身を委ねた。
翌日、いよいよ手術だ。開き直って冷静な自分がいる。全身麻酔なので痛みに関しては心配してなかった。
そして手術室、大きな4本のロボットアームを見たところで記憶は途切れてる。
「○○さん、手術終わりましたよ!」と看護師の声。続いて先生が「成功です。広がってなかった。もう何でも食べられるよ!」
「あー、生きてる…」と思った。そしてICUへ…。
正気に戻ったのも束の間、一瞬で自分の魂が傷ついた身体から抜けようとし始めた。自分の身体は胸までしかない。
こんな感覚になり、ボロボロの身体を捨てる決意をした。「もう俺は死ぬんだな…。」
そして身体と魂が分離した。その瞬間、身体が下の方から砂になっていくのが分かった。魂が砂になった身体を連れて行った先は…。
ご先祖と祖父母、両親が眠るお墓。砂になった身体が集まり墓石に吸い込まれ一体化していく。
「やっと皆と一緒に暮らせる…。」安らぎを感じながらどんどん墓石と一体化していく。
もう少し…、と思ったところで何者かに跳ね返された!「???」……もう一度。
サラサラサラサラ……また跳ね返されて砂が自分の肉体として再構築されていく。
すると、どこからか般若心経が聞こえてきた。「観自在菩薩行深…。これで皆に逢える…。」
サラサラサラサラ……。「戻りなさい…。」サラサラサラサラ……。
15:
「○○さん!おはようございます!成功したねぇ!良かった…。」目を開けると笑顔の看護師さん。
一瞬戸惑う。そして「もう身体ないから…。」と答えると、「えっ!?何!?大成功!!」
しっかり目を開けると、自分の身体があった。そして、お腹の痛みを感じた。何かが頭を駆け巡り我に返った。
軽く看護師さんの説明を受けた。「手術中は心臓も肺も止めてたのよ。」…「じゃあ、一回死んだの?」
「そんなもんね。」看護師さんは笑った。
私は心に誓った。「せっかく生き返らせてくれた命、人の役に立つ生き方をする!」
そして、次の日からリハビリが始まった。
今は手術の傷跡も綺麗に消えて、こうして生きている。「ありがとう」の気持ちと共に…。

16:
三本目の蝋燭が消えました・・・
モヒート◆KicDEug6lIさん、第四話をお願いします
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17:
【第四話】 モヒート◆KicDEug6lI 様
『ゴミ出し』
昨年体験した話。
自宅前の道は通学路になっていて、バス停も近く朝の人通りが多いんだが
平日のある朝、ゴミ出しに外に出たら誰もいなかった。
珍しい事もあるなーと歩いているうちに、段々と込み上げて来る違和感。
何だろう?としばらく注意を払っていたら気付いてしまった。
周りの音が一切しない。
鳥の鳴き声や風の音、車のエンジン音なんかも全く聞こえない。
耳がおかしくなった?と思ったけど、自分の足音とゴミ袋のガサガサは聞こえる。
気味が悪くなって、急いでゴミを捨て家に戻った。
玄関に鍵をかけ、何か変だよな…と覗き穴から外を伺うと、さっきまで無人だった道に人がいる。
ていうかいすぎた。
会社員や学生やお年寄り…
見た目は普通の人々だが、普段の3倍は混雑してて、道一杯に広がり車が通れない位。
しかも、いつも朝の人の流れは東→西なのに、皆の進行方向は逆の西→東。
整然として、子供までもふざけたりお喋りする様子もなく、真っ直ぐ東を見つめて進んでいた。
急に現れた異様な人混みに怖くなり、しばらく部屋の奥でガクブルしてたんだけど
会社に遅刻しそうになったので、意を決して外に出たらいつもの朝に戻っていた。
通行止めでもあって人の流れが変わったのかも?と出勤途中に確認したが、そんな痕跡は無し。
あと、ゴミもちゃんと捨ててあった。
近所の人にも聞いてみても、あの混雑の正体は分からずじまい。
これだけの体験なんだが、今でもゴミ出しに行くのがちょっと怖い。
[了]
18:
四本目の蝋燭が消えました・・・
50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOX さん、第五話をお願いします
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19:
【第五話】『音楽室』
(1/2)
高校の先輩に起こった話。
僕の先輩は中学校の音楽教師だ。いつも成績付けが大変だとか、残業が大変だとか、
それでも子どもが可愛くてやめられないだとか、色んな話をしてくれる。
が、この前久々に飲んだ時のことだ。
「うちの音楽室、真昼間に幽霊が出る」
「は?」
いまいちパッとしない。音楽室といえば夕方誰もいない音楽室からエリーゼのためにが聞こえてくる、
だとか、真夜中に天井から滴った血でピアノの音がポーン、ポーンと鳴るだとか、
そういう学校の怪談で語られるような内容ぐらいな訳で何も夕方以降の暗くなってからの話だ。
ぶっちゃけこっちとしては昼間の幽霊なんて怖さも何もないのだが、先輩の話はこうだ。
先輩の勤める中学校は旧校舎が耐震チェックで引っかかり、防災のため急遽建て替えられた新しい校舎なのだそう。
異変は新校舎への引っ越し直後から始まった。
楽器や映像資料などを音楽倉庫で整理していた時だ。当然音楽教師は先輩しかいないため、
そこを片付けているのは先輩1人。
開けっ放しの出入口に背を向けて戸棚の中を整理していると、背後で影が動いた。
最初は誰か他の先生が来たのだろうと気にも止めなかったが、影が動く割に声をかける様子もない。さすがに変だと思って振り返ると誰もいなかったそうだ。
その後も誰もいないはずなのに人の気配がするなど、気持ち悪いと感じることが多々あった。
20:
(2/2)
決定的な出来事が起こったのは1年が経った頃だ。
その頃には人影なんて気にしている余裕もなく、授業に追われていたそうだ。
ある日の授業でのこと。
合唱の授業で、教室の端にあるピアノの周りに生徒を集め、その中心でピアノの伴奏をしていたときのこと。
いつものように周りをチェックしながら伴奏をしていると、先輩の右側で人影が動いた。
当然生徒だと思って気にしていなかったのだが、次の瞬間、その人影は体を真横にして先輩の顔を覗き込み、ニタァっと笑った。
合唱中で周りは当然歌っている、そんな最中に歌わずそんなことをしている生徒に腹が立ち、注意しようとピアノは弾いたままバッと顔と向けたが、そこには人なんていなかった。
むしろ、半径2mほどの範囲には生徒すらいない。
当然、いきなり振り返った先輩の行動にびっくりして周りの生徒は焦っていた。
そこで初めて異様さにゾッとしたそうだ。
授業中にそんなことを、輪のど真ん中の教師の横でしようものなら、少なからず反応する生徒がいて当然だ。周りに目を配りながら弾いていて、それに気づかないわけが無いのだ。
つまり、周りの40人もいる生徒は何も見ていないということになる。
なんとか曲は弾ききったそうだが、その指導は集中出来ず散々だったそうだ。
あれから数年経ったが、先輩はまだ、そこの音楽室で授業を教えている。
【了】
21:
五本目の蝋燭が消えました・・・
零◆DV7MsdFKN7E8さん、第六話をお願いします
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24:
【第六話】 零◆DV7MsdFKN7E8 様
『呼ぶ電話』
先日、夜中に喉が乾いたので娘と二人でコンビニに買い出しにいきました。
他愛もない話をしながら、買い物が終わり帰り道の事です。
ふと、電話の鳴る音が聞こえました。
車道には窓を開けた車が信号待ちをしていたので、「あの車かな?やけに音が大きいな」なんて、思いながら気がついたんです。
なっている音が、かかってきている音ではなくてかけている音だと言うことに。
ビックリして車側に耳をそばだててみましたか車からではなく、直ぐそばに選挙事務所があるのですが真っ暗で人の気配もなく、意味のわからないまま音の原因を探したのですが、音は私と娘との間から聞こえていました。
結局訳のわからないまま音が消えてしまいました。
音が消えたあとに、思い出して気配を探りましたが、結局わからず。
あれはなんだったんでしょう?
[了]
25:
六本目の蝋燭が消えました・・・
零◆DV7MsdFKN7E8さん、第七話をお願いします
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26:
【第七話】 零◆DV7MsdFKN7E8 様
『呼ぶ電話後日談』
先程の話の数日後、娘が一人で留守番をしていると、突然家電が鳴り響きました。
普段ほぼ使わない電話なのですが、娘は不思議に思いつつも出たのだそうです。
受話器をとり耳に当てると…
「プルルルルルル…ツーツーツー」何故かかけた音のあとに切れたそうです。
なんだか意味がわからずにいると、もう一度かかってきてまた同じように、かける音がして切れました。
娘は怖くなりましたが、三度かかってきた電話に出ると雑音と共に良くわからない女の声が聞こえ…
それきり電話はかかってきませんでした。
その後私が帰ってきてからこの不思議な電話の話をしているときに思い出したのです。
霊の電話の事を。
[了]
27:
七本目の蝋燭が消えました・・・
るしふぁー ◆CS/orwC/9AZjさん、第八話をお願いします
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28:
第八話】 るしふぁー ◆CS/orwC/9AZj 
『人を呪わば…』
(1/3)
私が幼稚園を卒園する直前、両親が離婚し一家離散した。
その後は親戚のところを数ヶ月ごとに転々とし、小学1年生の時に父親に引き取られ弟と再会した。
そして何ヶ月も経たない内に新しいお母さんが自分の娘を連れてやって来た。お互い子連れの再婚だ。
とても優しいお母さんだった。あのことさえなければ…。
新しいお母さんが来て可愛い妹もできて、みんな仲良く暮らしていたある日の夕方、親父から電話がかかってきた。
お母さんは「お父さん、ちょっとしんどいから遅くなるって。先にご飯食べましょう。」
そして夕食の支度中、ひっきりなしに電話がかかってくる。近くに住む親戚もやって来た。
叔父が家からあちこちに電話をかける。ある一言も耳にした。「○○(親父の名前)が死んだ…。」
後で聞いた話しだが、親父が電話をかけてきたのはガソリンスタンドからで、車に戻り給油が終わって店員さんが声をかけたら息絶えていたらしい。
近所の人も次々にやって来て、家は白と黒の幕で覆われ祭壇が組まれていた。
やがて親父の遺体が戻り、一家離散後に預かってくれていた叔母に声をかけられた。親父の実の姉だ。
「△△くん、お父さんは死んだのよ、顔を撫でてあげなさい。」
私は言われる通り顔を撫でた。弟は傍で立ちすくんでいるだけだった。
そこへ“優しかった”お母さんが来て、「アンタのせいでお父さんは死んだのよ!アンタが大切にしないから!」と叫んだ。
叔母が「この子はまだ子供。やめてあげて!」と言い、私と弟を外に出した。
弟がポツリと言った。「パパはあのでっかいお星さまになったんよね?」私はただ「うんうん。」と答えるのが精一杯だった。
葬式の記憶はここで途絶えている。
29:
(2/3)
その後、継母は豹変し私を虐め続けた。栄養失調、脚気などでガリガリだった。一年もしない内に見知らぬ男が頻繁に来るようになり、そいつと結婚した。
それまでのネグレクトに加え、男による暴力が始まった。
その後、私が中学の時、実の母親も病死したと伝え聞いた。
親父の兄弟8私の叔父や叔母には作り話と嘘で私がいつも問題を起こして手を焼いていると言っていて、親族に味方がいなくなっていった。
何度も家出をし、友達の家を転々とする生活、中学・高校と横道に反れてしまった。
そんな私でも何とかとある企業に就職できて、やつらを恨みつつも仕事を覚えていき、働く楽しさも実感し始めていた。
親父の遺産問題など色々抱えながらも仕事だけは順調だった。やがて嫌な思い出は忘れると思っていたのに、恨みは増すばかり。
やつらのことに関しては、「絶対殺してやる!」という怨念じみたものに変わっていった。
親父が財産を遺していたが、宙ぶらりんになっていた遺産問題がとうとう表面化した。やつらは私にめくら判を押させ放棄させ、全て自分達の物にすることを企んでいた。
実印を寄こせと言うので偽物を安くで作り渡した。本物と信じて浮かれる愚か者ども。一心に祈った。
「お父さん、お母さん、あいつらを殺してください!罰を与えてください!」
私の気持ちは殺すよりも生き地獄を味わわせるというものに変わっていった。そして、周囲の反対を無視して弁護士を通じて遺産分割を開始した。
継母はキレた。私は無視して弁護士に任せた。
どんどん狂う継母。この遺産問題の途中に継母の姉と妹がほぼ同時に乳がんになり50歳前後で他界。この人達は継母と正反対で優しかった
のに…。
そして続けてこれまた優しかった継母の父親(私から見て義理のおじいさん)も他界。私は悪事を働く張本人に罰が当たることを望んでいるのに…。
30:
(3/3)
更に親族で唯一味方になってくれていた叔母も、親父と同じ急性心不全で突然亡くなった。私は何も信じられなくなり、ある行動をとった。
実の母親の母親(私から見て実の祖母)が遠い田舎で生きていることを知っていたので、皆に内緒で逢いに行った。
当時、大人達は嘘をついていた、「本当のおばあさんも死んだ」と…。
私は祖母に逢ったが、久しぶりなので何も話さないでいた。ところが祖母は「何かつらいことあったんでしょう?」と私に問うた。
我慢できなくなって、親父が亡くなってからのことと今のことを全て話した。そして母親のことを話してくれ、一緒に墓参りに行った。
祖母は言った、「人を呪えば自分に返る。本人に返る場合もあるし、本人には行かずその身内が不幸になることもある。遺産問題だけ片付けて、そんな人達を恨むのは止めなさい。」
そして一緒に役所へ行き、祖母は遺言状を作った。「私(祖母)の財産は全て孫の○○○○(私)に相続する。」という内容。
「私はあなたを育てなかった。これがそもそもの間違い。私にも責任がある。これで考え方を明るい方に変えて。」~と言った。
私の継母に対する強い恨みが、関係のない優しい人の命を奪ってしまったかもしれないと考え、それ以降継母のことは封印した。
そして揉めに揉めた遺産問題は私と弟の納得のいく形で幕を下ろし、継母との関係を一切絶った。
その後、継母の身内の不幸も途絶えたが、やつらが他人の戸籍を汚したりしていたことが発覚し、周りから相手にされなくなっていったと聞いている。
また、その継母の娘は結婚したが、子供ができない体だということが判明し、子作りを諦めたらしい。継母の血を引く者は娘で途絶えるのだ。
「本人には行かなくても…」人の恨みは本当に存在するのか?
私は実の祖母と平和に暮らし、数年前最期を看取った。そして、祖母の遺言通りに事が運んで、ようやく安泰な人生がやって来た。

31:
八本目の蝋燭が消えました・・・
イカ飯 ◆vIgpPwx7VpOe さん、第九話をお願いします
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32:
【第九話】イカ飯 ◆vIgpPwx7VpOe   様
『Grandmom's Cake』
(1/3)
ここゴールドコーストのクリスマスは真夏。
それぞれの家庭に伝わるクリスマス・ケーキがあり、その年のクリスマスに
翌年分の生地を焼き、一年かけてブランデーを浸み込ませて作っていきます。
生地の中にドライフルーツと胡桃が入ってるだけの、見た目にも地味なケーキです。
もちろん、日本のケーキのように綺麗にデコレーションしている訳でもなく、ダークブラウンの
ブランデー色のシンプルなケーキです。
我が家では祖母がケーキ作りの担当。その年も家族のためにせっせと作っていました。
生地が乾かないように定期的にブランデーをかけて浸み込ませていく、イギリスから伝わったと
云われる昔ながらの製法です。
そんな最中、彼女は脳梗塞で亡くなりました。暑さも和らいだ三月でした。
墓前で神父さんにより祈りを捧げられ神の元へと帰っていきました。アーメン。
(※註 カトリックでは亡くなった者は仏になるのではではなく神にお返しする。)
その後はケーキのことなど忘れ、淋しさを抱えつつも毎日が過ぎていきました。
そして、その淋しさが思い出に変わってきていたある日のこと、軽食でも作ろうとキッチンに行きました。
何か買い置きのパンでもないかなと思いつつ物色していたところ、ある物を見つけました。
蓋を開けてみるとブランデーの香り…。亡き祖母が作りかけていたクリスマス・ケーキでした。
33:
(2/3)
一気に懐かしさが込み上げ涙が出てきて止まりません。
楽しかった思い出が頭を駆け巡り……、その時です。突然ゾクッとした寒さに襲われました。
風邪をひいてる訳じゃない、熱がある訳でもない、でも寒気が止まらないので自分の部屋へ戻り
ベッドに入りました。
背中がゾクゾクし身体が震えブルブルして止まりません。軽くパニックになりながら何か誰かに
怒られている気分になってきました。
「何か悪いことしたかな…?」思い当たることはありません。でも自分の知らない間に誰かを
傷つけているかもしれない。そう思い祈りました……、
"O My God, I am heartily sorry for having offended Thee..."
(※註 ACT OF CONTRITION:悔い改めの祈り。神に罪を告解し懺悔し許しを乞う。)
しかし、手足が硬直したようになり自由が利きません。意識が遠のく感覚がして自分自身じゃない、
そんな感じになっていきました。
グイッグイッ……、誰かが背中を押す、誰もいない、グイッ……。
「悪魔が来たの?!」
"O Hail Mary! The Lord! Holy Ghost! Help me!"…声にならない声。
「人は2回死ぬ。一度目は借りていた肉体との別れ、そして神の裁きを受けて善か悪か判断され、
精霊か悪魔かどちらかがお迎えに来る、これが二度目。」
常々こう言われていたけど、まだ僕が死ぬ日は来ていない…はず。
34:
(3/3)
いつの間にか寒気は消えて汗びっしょりになっていました。そして恐怖感。
誰かが僕の身体から僕自身を追い出そうとしている、こういう感覚に陥りました。
もう、夢か現かわかりません。精神はもがいて身体は自由に動かないといった感じなのです。
Aw Awなっている間にフワッとした空気が漂いました。ほのかなお酒の香り…。
「こ、これはおばあちゃん!?」ブランデー!そう、間違いなくあのブランデーの香りです。
謝る相手を間違えていました。祖母が「私の意思を受け継いでケーキを完成させておくれ」
と伝えに来たに違いありません。
「ごめんなさい、おばあちゃん、ケーキ作るよ。」そう何度も誓いました。
やがて身体が自由になりキッチンへ行くと、母がいました。手にはブランデー。
「急に思い出してね。作らなきゃって思ったの。詳しく教えてもらったことはないんだけど…。」
自分の身に起きたことは言えませんでした。今でも言っていません。
そして彼女がなぜ急に作る決心をしたかも聞いていません。ただ、同時に何かあったんだなって気はします。
その年のクリスマスは祖母の席に写真を置き、まだまだ下手なケーキを一切れ、紅茶と共に供えました。
今、そのケーキは日本人の家内が作り続けています。海を越えて……。
FIN... ?おわり?
35:
九本目の蝋燭が消えました・・・
川瀬 ◆XTEVU8UPQさん、第十話をお願いします
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36:
【第10話】 川瀬 ◆XTEVU8UPQ 様
『無題』
小学校5年の時のこと
近くの草むらに、知り合いのKと一緒に虫取りに行った。
その日に限って何もとれず、帰ろうかと思ったとき、足元の草が
ガサガサッと、音をたてた。
何かと思って身をかがめ、草の下をのぞくと、黒っぽい黄緑色した
大きな蛇がスルスルと進んでいた。
俺が驚いてKにアオダイショウがいる、と言ったら、虫がいなくて
退屈していたKは木の棒でその蛇を突きまわし追いかけた。
しばらくして戻ってきた時、棒には赤い血がついていた。
Kは「退治してやった」と得意げに言っていた。
しかし次の日、学校に行くと、Kに異変があった。臭いのだ。
Kの体から生臭いような嫌なにおいがしていた。
本人はいつもと様子が変わらず、自分では気付いていないようだが
半径2mくらいまでかなり匂うため、クラスの連中は辟易していた。
俺は、昨日の蛇の血がついて匂いがしてるのかな、とも思ったが
結局、その匂いは卒業するまで治らず、Kの友達も彼を段々避ける
ようになってしまった。
中学に進学後は、臭いからといじめられる始末。
俺は当時から、あの時のアオダイショウの祟りでは、と思っていた。
この匂いはKが高校1年の冬ごろ突如消えてしまったそうだ。
俺は、アオダイショウがその頃、寿命がを迎えたのだと思った。
[了]
37:
十本目の蝋燭が消えました・・・
るしふぁー ◆CS/orwC/9AZj 、第十一話をお願いします
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38:
第十一話】るしふぁー ◆CS/orwC/9AZj  
『仏事と神事』
(1/3)
私が住んでいる所は山と海に囲まれた、良く言えば豊かな自然でのんびりした毎日、悪く言えば何にもなく退屈な毎日の暮らし。
人が亡くなった時はご近所総出で協力し合い、参列者も多い昔ながらの葬儀、そして地域一番のイベントが秋の祭りだ。
ある年、仲良しの近所の友達のお兄さんが、長い闘病の末亡くなった。その年はお母さんの十三回忌とお父さんの一周忌。
全てが重なり友達と障害を抱えた弟さんだけでは、なかなか葬儀の準備も進まない。
そこで私に何とか手伝って欲しいと相談に来た。
しかも一大イベントの秋祭りは4日後で、私は神社の氏子で神様に扮して神輿と共に20件近くの家庭を回らないといけない。
祭りの準備と本番、葬儀の手伝いがほぼ同時にやってきたのである。引き受けると友引を挟んでるから祭りに間に合わない…。
いつも持ちつ持たれつやっているので、無碍にできずできる限り手伝うと約束した。
まずは葬儀屋の手配は私の身内の一族が使っている業者と契約。そして
菩提寺の大和尚に直談判、若和尚じゃなく大和尚できっちり話しをつけ、お布施は半額にしてもらった。
続いて役場で火葬場を押さえ、死亡届を受理してもらって地固めはできた。
葬儀は都会で主流の家族葬で執り行うことにした。2年連続で大きな葬儀は家計を圧迫するから、この方式にしたのだ。
通夜は近所の人にお願いし、私は神主さんをメインに各地域の氏子や神輿担ぎの人達と打ち合わせ。
その途中でも葬儀屋さんや菩提寺から連絡が入り、仏事と神事がごっちゃになってきた。
神様仏様と言うが、お願い事をするのは神様、感謝の気持ちで供養するのが仏様。
仏様にお願い事をするものじゃない。が、同時にきたもんだから、ちょっと混乱していて、
帰宅してから仏壇に線香をあげ仏様にお願いしてしまった。
「どっちも上手くいくように力を貸してください!」と…。
39:
(2/3)
どさくさに紛れて、友達の親戚の高齢のおばあさんの一言で、我が家の祭壇と仏壇に活ける花1万円分も友達の家の葬儀代に乗せて注文。
「なんと罰当たりな!」と思ったが、おばあさんの気持ちを有難く頂戴した。友達の家の準備が終わってから、
葬儀屋さんと花屋さんが我が家に来た。
新しい祭壇と豪華な花をセットしてくれて、法事じゃないのに何だか我が家も葬儀のよう…。
なぜか御供え物も届いて、もう開き直って仏壇にもう一度お願いした。お盆用の蝋燭を点し本格的!
もう一日でクタクタになっていて、祭りをキャンセルしたい気分にすらなっていた。
なんせ、真夜中3時前に入院先から連絡が入り、ずっと同行していたのだ。
他人の葬儀は一層気を遣って疲れる。自宅は寝室の隣が仏間。扉を開け放してベッドに横たわった。
するとウトウトし始めたかと思えば金縛り。やっぱり…といった感じ。
親父が亡くなってから金縛り体質になっていたので、身体の感じでくることが分かるのだ。
そして今回は久々に幽体離脱つきのスペシャル・バージョン!これは激しく体力を消耗してしまう。
こういう時は真夜中でも煌々と灯りを点しているように明るい。
魂が仏壇の中に入ろうとしている。そして遮断される。決まって祖母だ。「ばあちゃん、日にちが足らんかも…。」
「大丈夫、世話にもなってるから助けてあげなさい。」と言われた気がした。知らぬ間に眠っていて、気付けば朝。
通夜が終わっても友引のため、火葬も葬儀もできずに一日が過ぎた。途中に祭りの打ち合わせを挟んで…。
祭りは朝の御神酒に始まり、各家庭の御接待で夕方まで飲み続ける。
かなりハードなのだ。その後、神輿の慰労会と地域全体の慰労会があり、更に深夜まで飲み続けるのが風習だ。
しかも神様不在はあり得ない。
翌日の葬儀は滞りなく終わり、精進落としも済ませた。終わると日付が変わっている。
次の日は早朝から神主さんの御祈祷を受けなければならない。
しかも葬儀の事後処理も友達一人では難しい。ヘトヘトになって帰宅した。
シャワーを浴びていたら、背筋がゾクッとして早々と切り上げた。もしかして二日連続!?
3時間後には起きないといけないので、サッと髪を乾かしベッドに入った。
その夜、金縛り一歩手前で解けて、安心したのか少しだが眠れた。
40:
(3/3)
翌朝、衣装を着て足袋を履き、フワフワした感覚で神社へ行った。
着くと神主さんが来て祭壇を組み、米・野菜・果物・鯛・日本酒を御供えしている。
しばらくすると空が曇ってきて、長老たちが慌て始めた。地区長はスマートフォンで天気予報の確認。
ちなみに、秋祭りが雨で中止になったことはないという。
前夜に雨が降っても、朝までには必ず天候回復するらしい。しかし、雲行きはどんどん怪しくなり、とうとう本降りの雨となった。
慌てて祭壇を神社の本堂へ入れ、衣装が濡れるといけないので私も入った。
御祈祷まで30分もなく、止む気配もないので初の中止となった。
過去に例がないということで皆が慌て、役員が手分けして各家庭に中止の案内に出向き、
公民館で慰労会だけ行うと伝え、それぞれが用意した料理や飲み物を運んだ。
公民館のステージに神輿を上げ、そこで神主さんと私が一言述べて一旦終了、後は慰労会のみ夕方から開始となった。
一旦帰って着替え昼過ぎまで寝て、友達に付き添い葬儀の事後処理も済ませ、夜は軽く飲んで食べ早々に帰宅。
手土産のお菓子を仏壇に御供えしてお礼の言葉を唱えた。
その夜は何も起こらず熟睡した。今回は仏様の勝ち!?…ちょっと、いや、かなり不謹慎ではあるが、これが本音だ。

41:
十一本目の蝋燭が消えました・・・
川瀬 ◆XTEVU8UPQ 、第十二話をお願いします
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42:
【第十二話】 川瀬 ◆XTEVU8UPQ 様
『風呂の上』
俺は大学で上京して以来、都内のアパートを借りて住んでいる。
このアパートに来た最初の頃、夜中に風呂場の方からガタンっと変な音
が聞こえた、よくあることだ。
翌日風呂場を見たら天井にある丸い蓋が外れて開いていた。
気圧の変化とかで開いたんだろう、と常識的に考えて放置しておいたら
1週間ほどして蓋が勝手に閉まっていた。
そんな事が特に初めの半年は頻繁にあって、一度、風呂場の天井の上を
のぞいてみたら、人が余裕で移動できる程度のスペースがあって、誰か
が出入りしているのかも、と初めて思うようになった。
俺は余りそんなことは気にしない性格なので放っておいた。
で、先日久しぶりに風呂掃除をしていて、カビの生えた壁を拭いてたら
壁にカビをこすって描いたようなファンキーな絵と意味不明の文字列が
かいてあった。
こちらが放置してるのをいいことに、大胆というかふざけ過ぎると思っ
たが、実害もないのでそのまま消した。
先月29日のこと、夜にジュースを飲んだら腹がなんだかおかしくなって
殆ど一晩中トイレに籠りきりになってしまったのだが
朝の5時半ごろ、トイレで汗を垂らして呻っていたら、
ドカッと風呂場の扉が開いた音、そしてタッタッタタタ・・・と足音が
風呂場から出てトイレ前で曲がって台所側に行ったのが聞こえた。
数年前にも一度あったなーとか思い出したが、こっちはそれどころでは
なかったので放置した。
[了]
43:
十二本目の蝋燭が消えました・・・
わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ さん、第十三話をお願いします
川瀬 ◆XTEVU8UPQさん、先ほど敬称がぬけておりました、失礼いたしました。
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44:
【第十三話】わらび餅 ◆jlKPI7rooQ
『入院患者』
私が大学生の頃に体験した不思議な話です。
不真面目な大学生というものは暇なもので、講義のない日に家にいると母親の足として車を出さなければならないことがよくあった。
特に多かったのが、入院中の祖父のお見舞いに病院まで母親を送っていくことでした。
最初は母親を送っていくだけだったのだが、そのうち自分ひとりでもお見舞いに行くようになっていた。
その日は確か、今みたいな夏の暑い日だったと思う。
バイト以外に予定のない私は今日も祖父のお見舞いに病院に来ていました。
祖父は癌の手術をした後で殆ど全く声が出せない状態でした。
確か下咽頭がんという病気だったと思うのですが、手術の際に声帯を切り取ってしまっていたから自力で声を出すことはできなくなっていたのです。
従って基本的にお見舞いに来た私が一方的に話しかけることになるのだが、そうそう話すことがあるわけでもなく、半分お見舞い品を食べに来ているだけのこともありました。
45:
祖父から何か伝えたいことがあるときはジェスチャーや、大体は小さなホワイトボードに書いてもらうことが普通でした。
そして、いつも通りアイスなんかを食べながら一緒にテレビを見ていると、祖父に肩を叩かれホワイトボードを渡されたのです。
『俺の前の子と遊んでやれ』
その日初めて気づいたのですが、祖父の前には小学3?4年生ぐらいの男の子が入院していました。
我が家では祖父の言うことは絶対だったので、少し気恥ずかしさもありながら少年にあれこれ話しかけたりしていました。
少年はあまりしゃべらない子でしたが、バイトの話や高校での部活の話、大学での話などをすると興味深そうに聞いていたのを覚えています。
それから2?3日後、祖父の容態が急変しそのまま意識が戻らず亡くなりました。
葬式に通夜にと忙しい日が終わった後、母親と祖父の物を病院に取りに行ったときにその異変に気づきました。
祖父に言われて話をしていた少年が、病室からいなくなっていたのです。
最初は退院したのかな? と思いなんとなく同室だった人に聞いてみたのですが、6人部屋にいた誰もその子のことを覚えていませんでした。
看護師さんに聞いてもそんな子供がいたということを知らない……ということを聞いてようやくそのおかしさが実感できました。
そもそも祖父が入院していた病室は周りも老人だらけ、今考えると小学生の男の子が一人だけその部屋にいるというのもおかしな話でした。
死の間際だった祖父と……そして何故か私にだけ言葉の交わすことのできた、不思議な少年の話です。
【了】
46:
十三本目の蝋燭が消えました・・・
鍵と幽 ◆xSXMrxdyT7e1 さん、第十四話をお願いします
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47:
おや?
鍵と幽 ◆xSXMrxdyT7e1さんがいらっしゃらないようです・・・
ご無事であることをお祈りいたしております。
50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOXさん【第十四話】をお願いします。
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48:
【第十四話】『パワーストーン』
(1/2)
天然石が嫌い、苦手だという人はいないだろうか。
趣味的な問題ではなく、生理的に受け付けない、近くにあるとピリピリして嫌だとか、石自体を嫌悪する類の苦手。
そんな人はひょっとしてひょっとするかもしれない。
僕も天然石は胡散臭いと思っていた側の人間なのだけど、つい最近、そんなことを言えない状況になった。
僕は1年ほど前にとあることをきっかけに天然石のストラップをもらい、石は持ち主を守るという話を聞いてそれをネックレスに加工して常時身につけていた。
いわれはあまり信じていなかったけれど、とても綺麗な石だったこともあり気に入っていた。
仕事の時も目立たないよう、服の中に隠して身につけるほどには、だ。
先日久しぶりに友人と会い、地元の大きな神社の祭りへ出かけた。
長らく会っていなかったので話に花が咲き、夕飯に入ったファミレスだけで飽き足らず、
ドライブをして帰ることにした。
昔よく利用した、一旦他県に出て、街道をぐるりと大回りして帰る道だ。
いつもナビを設定する場所までは普通に運転し、いつもの場所で『自宅に帰る』を選択し、
いつものように推奨ルートを選択した。
その時気づいていれば良かったのだ。ナビが『冬季通行止区間を通行します』という、いつもなら絶対に言わない言葉を言ったことに。
ナビを設定し、話に花を咲かせたまま夜中の道をひた走る僕ら。
いつもなら気にする周りの景色も、今思えばほとんど気にしていなかった。
気づいた時には引き返すのも不可能な細道の峠を走っていた。
一歩間違えば谷底へ真っ逆さまのS字カーブの続く悪路。そして真っ暗で最高に気持ち悪かった。
真夜中に走る道では当然ない。本当に死ぬかと思った。
帰宅後調べたところ、地元じゃ超有名な心霊スポットだったのは別のお話。
49:
(2/2)
何とか峠を越え麓へ辿り着いたところで、僕と友人はやっと一息ついた。
笑顔で話しつつ、僕は何気に「この石が守ってくれたのかもしれないな?」と言って、服の中にあった天然石を取り出した。
その瞬間、さっきまで笑顔だった友人の笑顔と声がキツくなった。
「ごめん、しまって」
どうやら手がピリピリするそうで、手をしきりに振っていた。
自分は一切そんなことがないのでふーんと流し、ハンドルを握りなおしたその瞬間、自分の左側だけ
言い知れぬ悪寒に襲われた。
そしてとっさに本能で思った、「怖い、やられる」と。
さっきまで最悪な悪路を通っていたというのに、自分の左側からくる圧迫感と恐怖のほうが優っていた。
つまりは助手席側から、だ。
運転しつつ、友人と和やかに話してはいたが、内心はそれどころじゃなかった。
そうしている間にも左側の腕は痺れ、苦しくなって呂律が回らなくなってきたからだ。
なんとか友人を送り届けて別れたが、その時にはどっと一気に疲れていた。
ふと思い立って、石を服の中から出して光にかざしてみると、あんなに綺麗だった石の表面には引っ掻いたような傷ができ、表面が剥離したようになっていた。さらに別の石の中には奇妙なブツブツが浮いていた。
後日、別の友人に会って話したところ、こう言われた。
「石はご主人様を助けた時、ヒビが入ったり割れたり変色したり、何らかの変化が起きるよ」
そしてもう一言、「何かに憑かれてる人なんかはピリピリして綺麗な石のことを綺麗と思えないし嫌って感じるらしいよ」
それを聞いて初めて、石が持ち主を守るという意味を思い知った。
一体この日の何が原因で石がそうなったのかはわからない。ただ、それ以来その友人には会っていない。
どうなっているかわからないのが不安である。
【了】
50:
十四本目の蝋燭が消えました・・・
るしふぁー ◆CS/orwC/9AZj さん、第十五話をお願いします
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51:
【第十五話】るしふぁー ◆CS/orwC/9AZj  
『パワハラ上司と猫』
(1/3)
私が就職してから間もない頃の話。
新人研修を終え、食事付きの寮に入り配属の現場も決まった。
まずはその現場の責任者と面談。そこで耳を疑う発言があった。
「お前、みなしごだってな!普通の家庭の子はゼロからの出発、お前はみなしごだからマイナスからの出発!」
この時点で辞めようかとも思ったが、帰る場所もないし「はぁ…。」とごまかして、
とりあえず3ヶ月は何があっても辛抱しようと決心した。
現場でもトレーニングが始まった。既に私の生い立ちは広まっていたが、先輩方もパートのおばちゃんも普通に接してくれた。
ただ、その責任者(以下F)は暴力こそ振るわないが、毎日毎日暴言を浴びせられていた。
業務日誌には小さなミスでも油性ペンで「アホ!ボケ!カス!」
とうとう、仕事中みんなの前で「みなしごは(精神)障害と同じ!真似してみろ!」と笑いながら言われ、キレてしまった。
そこらにある物をぶん投げ、仕事放棄して現場を出て行った。
夜遅くまで遊んで寮に帰ったら、
寮母さんから事情を聞かれ「明日、一緒に本社へ行こう。」と言われた。
現場でのことを全て話して、こっぴどく怒られたが寮母さんの口添えもあり反省文だけになった。
52:
(2/3)
それからは直接言われないが、ある事ない事、もちろん悪口ばかり陰で言われていた。
そんなFの弱点は猫!嫌いなんじゃなくて、とにかく怖がっていた。
若い頃、ビルの屋上から落としたり、川に投げ捨てたりして虐めるのが楽しくてやっていたらしい。
ところが、誰かから「猫を虐めると取り憑かれて災いが起こる」と聞き、それ以来猫を見ると怯えるようになったという。
私は大の猫好き。さりげなく猫のイラストが入った文具などを御守り代わりの持つようにした。
パートのおばちゃんとの会話は「猫、可愛いっすねー!」とFに聞こえるように話す。
そうするとFはブチ切れる。こうなると以前と何ら変わらず暴言のオンパレード。まぁ、そんな日々だった。
ある日、いつも短期なFがおどおどしていた。聞くと車で猫を轢いたらしい。
それから、勤務先のビルの路地に野良猫が住み着き、やがて子猫を生んだ。毎日毎日ミューミュー鳴いていた。
猫好きにとっては胸キュンだが、Fにしたら生き地獄。私は内緒で餌付けしていた。
そして「お前らの仲間を虐めたのはFだぞ!仕返ししてやれ!」と話しかけていた。
その頃、Fの口の悪さは有名になっていたが、現行犯じゃないし上には取り繕うしで、半ば厄介者みたいになっていた。
でも、処分するには明確な証拠がない。
当時はパワハラとかの概念すらなかったから、被害者は我慢するか負けるしかなかったんだ。
53:
(3/3)
そして月日が流れFは現場を離れ本社勤務になった。
表面上は昇格、でも新たな権限は与えられず不満タラタラだったらしい。
まもなくして、Fが入院したとの情報が本社から入った。病名は伏せられていて、見舞いも行かないようにとのことだった。
すぐに尾ひれがついて話が広まった。
2ヶ月ほどで退院して、本社と揉めていると聞いた。なかなか復帰しないので何かおかしいと思っていたが、
どうも本社が復帰を拒んでいて揉めているらしい。
気になってはいたが、いない方が嬉しいので内心喜んでいたら、先輩が
「Fさん、脳梗塞で半身麻痺と言語障害が残った」と話した。
障害を抱えた方に対して失礼だとは重々承知の上、私はFに対してはこう思った。
動物を虐めるもんじゃない。そして人に暴言で傷つけたから、バチが当たったんだ!
会社には耳が全く聞こえない人も手や足が不自由な人のおられるが、皆同じ土俵で切磋琢磨して働いている。
それぞれの得意分野を発揮すれば大切なチームメイトだ。
Fは、あまりにも人や動物を大切にになさすぎた。結局、復帰することなく、そして逢うこともなくひっそり退職した。
Fは41歳だった……。

54:
十五本目の蝋燭が消えました・・・
〇抱き柏 ◆vA43rq198k9N さん、第十六話をお願いします
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55:
【十六話】〇抱き柏 ◆vA43rq198k9N 様
『無題』
2010年、夏。公務員試験に失敗した俺は、大学院受験を考えつつも民間企業への就活をしていた。
受験予定の大学院はTOEFLスコアの提出が必須とされていて、受験まであまり時間がないんで、
手っ取り早くスコアアップの学習を支援してくれるところを探していた。
「TOEFLスコアを劇的に高めます」
そんなキャッチフレーズを掲げた団体を見つけた。
営利企業やNPO団体でもない、完全にボランティアで活動しているという。
俺は代表に会って話を聞いた。毎週日曜日の夜に都内の一室を借りて、
TOEFLスコアを高めるために励む者たちが顔合わせをし、数時間一緒に勉強をするとのことだった。
学習プログラムはボキャブラリー、リーディング、リスニング、スピーキングについて、段階を追って進めていくという内容だ。
まず、指定された範囲までの単語をすべて暗記すると、次はTOEFL対策用のリーディングテキストを読み、
英文法の確認と長文読解の訓練をしていく。リーディングに慣れ始めた頃、
「そろそろ次の段階に進んでください。リスニングとスピーキング対策は同時に行います。
M.G.さんのアドレスを教えるので、連絡を取ってください。」と、団体の代表から指示を受けた。
M.G.さんはアメリカ人の女性。日本語を話すことはできるが漢字は読めないとのことだったので、
英語でメールのやり取りをして、M.G.先生のお宅でレッスンを受けることになった。
先生の居住地はK駅から徒歩20分の場所。閑静な住宅街が建ち並ぶなか、小学校の向かい側にその家はあった。
駐車場の敷地内に立地しており、駐車場は重い門で閉ざされている。
その隅に、人が出入りできる勝手口のようなものがあった。
家屋は2階建てで外壁が緑色に塗装され、一見倉庫のようにも見える。
周囲の住宅の外観を考えると、ここだけ明らかに浮いていた。
2階へ続く階段を上がると、先生宅の玄関の扉があった。
チャイムがないので扉をコンコン、とノックした。
56:
”Come in!”
扉の向こうから女性の声が聞こえた。
「お、お邪魔します・・・。」
部屋に入ると、まず玄関と台所が隣接していた。
玄関の左側に浴室があり、台所を通り抜けると客間、その奥に客室が2つあるようだった。
間取りは3LDKくらいだろうか。節電のためか客間の電気しか点けていないので、
どこかどんよりした家だなと思った。
客間は畳が敷かれていて、壁にはハワイアンの装飾品がここぞとばかりに飾られていた。
テーブルには、俺と向かうあう方向にM.G.先生が座り、ノートPCを見つめていた。
「はじめまして。メールで連絡しました○○(俺の名前)です。」
「駅から遠かったでしょう?初めて来る人は、だいたい迷うのよね。」
M.G.先生は40歳前後の気さくな感じの女性という印象だ。
先生の肩には、ペットのインコが乗っていた。挨拶もほどほどにして、スピーキングのレッスンを始めた。
レッスン開始後もTOEFL勉強仲間とは顔合わせをしていた。
俺がスピーキング過程に進んだことを話すと、レッスンを受けて半年経つというUさんが俺に妙なことを話してきた。
「先生の家に行ったの?もうヤバいのに遭った?あそこは出るからな。」
「はい?出るって、何がですか?」
「幽霊だよ。あそこでレッスンを受けた人の全員が、変なものを聞いたり見たりしてる。」
「えっ・・・。」
それを聞いた駆け出し組の俺や他の人は少しのあいだ絶句した。
おいおい、冗談キツいぜ、先輩。
57:
そしてレッスン数回目のある日。いつものように先生の家の扉をノックした。
“Come in!”
先生の声が聞こえた。扉を開けた途端、思わず顔をしかめた。強烈な獣の臭いがする。
それに、玄関に入った時点で空気がピリピリと張り詰めていることに気が付いた。
奥の客間の窓からサンサンと日差しが降り注いでいて、
室内はかなり明るいはずなのだが、ちっともそうは感じなかった。家全体が暗い。
これほどまでに空間が禍々しいと感じたことはなかった。
先生はいつも通りの様子だが、視線と強烈な怒りの念を感じて俺はずっと落ち着かなかった。
「こんにちは。あの、先生。Uさんから聞いた話なんですけど・・・。」
「なに?」
「この家、出るんですか?幽霊が・・・。」
「みんなそう言うね。この家は変なことが起きるから。」
「変なこと、ですか?」
「屋根裏を走る音がしたり、食器が横方向に飛んできたりするのよ?。さて、レッスンを始めましょうか。」
う、嘘だろ・・・先生までそんな冗談を・・・。
俺の嫌な予感をよそに、前回のアサインメントの確認に入った。
"Where do you prefer studying alone, in the public library or at home?"
俺が事前に練ってきた回答を口述している、その時だった。
バタバタバタ・・・
俺「?!」
58:
天井から何やら音がする。タヌキか?でも、ヒトの平たい足でなければ出せない音だよな・・・?
しかも、ここは2階建ての2階部分で屋根裏部屋などない。
梁の部分に動物が入り込めるような隙間があることは考えにくい。
「な、何かが天井を走っていますね・・・。」
「時々走ってるのよ。時間帯がいつも決まってるの。必ず朝の11時か夜の7時なのよね。」
「た、タヌキやイタチじゃないんですかぁ?w」
こんな都心部にタヌキやイタチがいるはずがなかった。
“Hello?????!!!!”
先生が声を張り上げた。駆け足の音は20分程度続いた。
「あの、お手洗いをお借りしてもいいですか。」
「使っていいよ。霊感ある子が、トイレにおばあさんの霊が立ってるって言ってたけど。」
や、やめてくれ?!しかも和式かよ!雰囲気あるなぁ・・・。
嫌々ながらも用を済ませ、少し雑談することに。
「先生は怖い話が好きなんですか?」
「ホラーは好きだよ。毎日ネットで見てる。」
そういってノートPCの画面をまじまじと見つめる先生の顔は、
狐にでも憑かれているように目と眉がつり上がっていた。
ペットのインコがテーブルの上をヨチヨチ歩く。
59:
「鳥が好きだから、この子の前にも何羽か買っていたんだけどね。1年か2年で死んじゃうのよ?。
大きなオウムもいたけど、あれは3年くらいで死んじゃった。」
「それは残念でしたね・・・。このおうちはいろいろと噂されてますけど、なんで住み続けてるんですか?」
「家賃がめちゃめちゃ安いから。」
「先生が住む前はどんな人が住んでいたんですか?大家さんなら知ってると思いますが。」
「老夫婦が住んでたみたい。きっとその夫婦の仕業かもね。今座っている位置も、悪戯があってから変えたのよ。」
そう言って、先生はテーブルの横にある大きな窓に目をやった。
「窓と向かい合う位置に生徒を座らせてたらんだけど、誰かが背中を蹴って来るんだって。
帰るとき、その子が乗ってた車両だけ停電したらしいよ。
きっとおじいさんは窓の外を見るのが好きだったから、自分の席に座られたことで怒ったんだね。」
俺はすっかり困惑していた。
こんなにはっきりと怪奇現象に対峙していることが信じられなかった。
「じゃ、再開しようか。タスク1からね。」
"If you suddenly got 10 million dollars, what would you spend it on?"
回答の要点をメモした後、英語で口述した。
先生が言い回しの注意点を細かくアドバイスをしてくれていたその時。
バシッ!!
自分のすぐ背後で激しい破裂音がした。
箒の柄をフローリングの床に叩きつける音にも似ていた。
先生が「何?!」と言って周囲を見渡す。
60:
「箒でも落ちたんじゃないッスか?w」
「うちに箒なんて置いてないよ?!」
「・・・。」
もしかして、幽霊たん、今日はおこなのか。
あれから、ポルターガイスト現象についていろいろと調べた。
大島てるの事故物件マップには、先生の家にチェックが入っていなかった。
しかし調べたところで自分にはどうにもできないので、
さっさとスコアを上げて、あの家に関わらないようにしようと思った。
レッスンの受講を始めて1ヶ月が過ぎた晩秋、
先生から、今日は駅ナカのスタバでレッスンします、と連絡が来た。
「時々こんなふうに野外授業をするんですね。新鮮だなぁ。」
「ああ、今日はちょっと、うるさいから、収まるまでこっちに避難してるの。」
「そ、そうなんですか。」
誰が何をしてうるさくしているのか、詳しく聞けなかったが、
ポルターガイスト現象が激しくなっているのだろうと直感で思った。
61:
後日、先生宅に伺うと、先生は室内なのにサングラスを装着していた。
「先生、どうされたんですか、サングラスなんかかけて。」
「両目の瞼が腫れちゃったのよ。病院にも行ったんだけど、全然治らないの。」
おいおい、徐々に身体が蝕まれてるんじゃあないか?
先生が飼ってるインコの寿命も、長くはないかもな・・・。
お子さんもまだ小学生だし、変な影響を受けなきゃいいんだけどな。
次の受講時、お見舞いがてら、魔除けの植物とされているポインセチアを持っていった。
先生はとても嬉しそうだったが、翌週に訪問すると、ポインセチアは見当たらなくなっていた。
俺は失礼にならないように聞いてみた。
「そういえば先生、ポインセチアの置き場所を変えたんですか?」
「3日で枯れちゃったのよ。毎日水やりをしてたんだけど全然元に戻らないの。
でも日本人の母の家に持って行ったら、すぐに元気になったよ。もう、あっちに飾ったほうがいいかなって。」
魔除けのポインセチアでもダメなら、もうお手上げである。
俺はその後TOEFLスコアを上げ、勉強会のグループを抜けた。
先生のお宅に訪問することはもうないが、先生とその家族が無事平穏に暮らしてくれることを今も願ってやまない。
62:
十六本目の蝋燭が消えました・・・
大酒豪 ◆v1FCWlLlG3lP さん、第十七話をお願いします
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63:
【第十七話】大酒豪 ◆v1FCWlLlG3lP 様
『犬と母』
(1/2)
今から16年前の出来事です。
その年の秋、父が犬を連れて山の麓の元畑で今は空き地の草刈りに行きました。大きな草刈り機を軽トラに積んで…。
父は小柄ですが農家なので力はあります。犬はその辺で遊ばせて、草刈り機を自在に操りテキパキと草を刈り始めました。
犬は外で遊ぶのが大好きなので嬉しそうに走り回っています。
そして、夏の間に伸びた草もどんどん刈られ地面が見え綺麗になっていきます。
農作業になれている父は余裕綽々。端から順に手際よく、草刈り機を扇形に動かしながら作業を進めていました。
すると突然、キャンキャン!キャーン!と悲鳴のように鳴き叫ぶ犬の声がしました。
驚いた父が振り向くと、いつの間に近寄って来てたのか血まみれになった犬がいました。
草刈り機の高回転する刃で、犬の前脚は両方とも切断されていました。ここは本当に田舎で獣医などありません。
成す術もなく、犬は死んでしまいました。家族で山の麓に埋めましたが、あの惨状はなかなか忘れられません。
父もショックでしばらく寝込んでしまいました。
その後は少しずつ作業を再開しましたが、以前のような機敏さはありません。
64:
(2/2)
そして月日は流れ大晦日がやってきて、母はお節料理と雑煮の準備に追われ大忙しです。
夕食は早めに済ませ年越し蕎麦を食べるのが家の定番。
しかし、日も暮れて夕食の時間になったのに母の姿がありません。
家族総出で家の前の海、桟橋、浜などをくまなく探しても見つかりませんでした。
田舎の夜は本当に暗く、少ない外灯と遠くの灯台の灯り、そして懐中電灯だけで暗闇を探すこと数時間。
もちろん警察にも行方不明の連絡を入れ捜索依頼していました。
明日は正月だというのに親しい近所の人にも伝え、見かけたら連絡をお願いしました。
その日は断念して一旦自宅に帰り、連絡を待つことにしました。
そうして元旦早々、見つかったと警察と近所の人達が家に来ました。
とにかく落ち着いて聞くよう言われ、搬送先の病院へ行きました。
母は桟橋から沖合いの海に浮いていたということで、家族全員耳を疑いました。
寒い大晦日の夜に、なぜ海へ行ったのかが謎でした。
警察は事件と自殺の両面から現場検証をし、我々も異変はなかったかなど色々聞かれましたが、
思いあたる節がなく頭を抱えてしました。
結局は転落して海に落ち流されたということになったのですが、漁師の家庭でもないので、
海へ行くという行動が謎のままです。
犬が寂しくて迎えに来て連れて行ったのか、それとも助けてやれなかった家族に対する怨念か、今でも分かりません。
それから家ではペットを飼うことを止めました。というか辛さと恐ろしさで飼えなくなってしまったのです。
今は父も亡くなり供養するだけです。どうか安心してゆっくり休んでくださいと…。

65:
十七本目の蝋燭が消えました・・・
鍵と幽 ◆xSXMrxdyT7e1 さん、第十八話をお願いします
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66:
鍵と幽 ◆xSXMrxdyT7e1
「山の廃墟」
自分が、友達と山に行ったときのことです。
いつもは、川に沿っている山道を二人で歩いているのですが、あるとき友達が
「もっと奥に行こうぜ!」
と言い出したので、すこし探検するつもりでいったのです。
しばらく歩いていると、自分はあるものを見つけたのです。
自分「なあ、あれみろよ」
友人「ん?なんだ?」
自分「ほらあそこ」
そこにあったのは、少し大きな廃墟でした。
しかし、土台はまだ崩れそうにありませんでした。
それをみて、
友人「ちょ、なんだよあれ・・・!」
自分「や、やばくね?」
二人でビビったので走って山の入口まで戻りました。
二年後、僕は別の友達と、先輩2人と改めてきてみたのです。
そこはもう、何十年も前から崩れているように見えたのです。
ここを知っていた先輩に聞くと、
「え?ずっと前からこうだよ?」
と言われてゾッとしました。
<了>
67:
十八本目の蝋燭が消えました・・・
零◆DV7MsdFKN7E8 さん、第十九話をお願いします
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68:
【第十九話】 零◆DV7MsdFKN7E8 様
『振り向く猫』
夏になると、怖い話を良くしますよね?
私も娘と良く話すんです。
その日も、あれやこれやと考察しながら話をしていました。
既に夜も更けて、所謂丑三つ時だったでしょうか。
玄関前を通る人の物音がしました。
うちには当時十匹ほどの猫がいたのですが、普段はのんびりといたるところでのびているのですが、そのときに限り、全部の猫が飛ぶように集まり、玄関をにらみ唸り始めたのです。
玄関の物音も何故か玄関前に立ち止まっているのです。
そして、暫くすると通りすぎていく音が聞こえました。
音が通りすぎ聞こえなくなると、猫たちはまた各々思い思いの場所でくつろぎ始めました。
新聞配達だろうと思っていたのですが、違うのでしょうか。
[了]
69:
十九本目の蝋燭が消えました・・・
川瀬 ◆XTEVU8UPQ さん、第二十話をお願いします
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70:
【第20話】 川瀬 ◆XTEVU8UPQ 様
『夜の田んぼに』
(1/2)
うちの実家は周囲が田んぼだらけで、夏は蛙の声が毎晩うるさいほどだった
家ができて最初の年の8月末の頃、弟が「田んぼに幽霊が出る」と言いだした
二階の子供部屋から見える北側の田んぼに幽霊が出る!!らしい
弟の部屋は窓が北側にあり、弟はすでに何度か見ているとらしかった
俺も見てみたかったので詳しく聞き出してみると
弟の経験によればであるが、夜の9時か10時ごろ、蛙の声が一斉に止むことがあり
その時に窓から下を見ると田んぼに白い人影が現れるという
以来、自分は夜に蛙の声が止むのを今か今かと待っていたが
そして数日後の夜の10時過ぎ、蛙の声が突然一斉に止んだ
俺は急いで廊下の北側の窓をあけて眼下に広がる田んぼを見まわした すると
そこにはうっすらと白い影が
弟の部屋の方を見ると弟も自分の部屋の窓から網戸に顔を押し付けて見ている
その影は人間の姿にも見えたが、なにぶん夜の田んぼは暗く判然としない
やがてその影は左手の人家の方へ意外な度で移動を始めた、その家は中から明かりが
ついていたが、影はその向こうの塀の陰に消えていった。
俺は自分たちの家に近づいてこなくて良かったと思ったが、幽霊が明るい方向へ行った
ことが腑に落ちなかった
71:
(2/2)
その一週間ほど後のこと、夜にまた一斉に蛙の声が止んだ
俺は急いで窓に行き、見下ろしたらまた白い影
それを確認すると、準備していた懐中電灯を持って階下の裏口の方へ走った
裏口を開け暗い田んぼの方を見やると10メートルほど向こうにうっすらと白い影が
その影は上半身だけの人間の形で、真っ暗な田んぼの上にぼうっと浮かんでいた
しかもそれが、左右にゆらゆらしつつ、自分の方へゆっくり近づいてきたのだ
俺は恐怖に目を見開いたが、その場で懐中電灯を灯けた
するとそこには近所で見たことのある大人のひとが立っていた
そのひとは見つかった途端に田んぼの中を逃げ出した
あとで親から危なかったと叱られたが、幽霊の正体はのぞき常習犯の男だった
近所で被害が多発していていて後に警察に捕まったらしい
初めて見たとき明かりの方へ行くのを見て、俺は“人間だな”と確信していた
うちの風呂場の電気がついていたからこっちへ来たんだろう(誰が入ってたかは知らない)
白いシャツと黒いジャージを穿いていたので真っ暗な中では白いシャツだけが見え、
上半身だけが浮いているように見えたのだった
そういえば、昼間もあの格好でいるのを何度か近所で見たことがあった
あと、蛙の声が止んだのは、あの男が田んぼに入ってくるたび、蛙が警戒して
鳴き止んでいたかららしい。
[了]
72:
二十本目の蝋燭が消えました・・・
だんだんと夜も更け、怪しい気配も色濃くなってきてまいりました。
皆様はご無事でいらっしゃいますでしょうか?
怪異に魅せられた者には怪異が集まるというもの。
ここからしばらく怪談から目を離し、ゆるりとくつろいでみませんか?
こちらのお席(したらば)で語らうも良し、
怪異に見舞われた方はこちら(2ch.net)から語っていただくというのも歓迎ですよ。
20分後の世界でまたお会いいたしましょう。
どうぞ皆様それまでお気をつけて。
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74:
皆さまおくつろぎいただけましたでしょうか?
怪しに誘われてしまった方はいませんか?
ご無事でお会いできて何よりでございます。
さぁさ、改めて怪談を語っていただきましょう。
ここから先は人も怪しも混じり合う時間。
ひょっとしてあなたのお隣の方はこの世の方ではないのかも…
お気をつけてお進みください。
ではるしふぁーさん【第21話】をお願いします。
75:
【第二十一話】 るしふぁー ◆CS/orwC/9AZj 
『誰が悪い?』
(1/2)
私が幼稚園の頃、祖母と両親、弟と私、そして大きな白い犬、茶とらの猫と暮らしていた。
向かいには気難しいおっちゃんと奥さんが二人で住んでいた。
そのおっちゃんは他人の子でも容赦なくひっぱたくので、ガキ大将すら恐れていた。
悪ささえしなければ怒られることはないので、なるだけ近寄らないようにしていたが、
私の母親が洋裁を職業としていておばちゃんがよく洋服を注文していた。
だから、よく家に来ていたのだ。おばちゃんは恐くないけど、あまり話さなかったと思う。近くの食品製造工場に勤めていた。
ある日、家の猫がかなり弱って帰って来た。ところどころ血が出ていて怪我をしていた。
そしてその日の晩、ぐったりとしたまま祖母に抱かれて死んだ。
家族で墓を作って埋葬した。次の日、向かいのおっちゃんが怒ってやって来た。我が家の猫が門を越えて敷地内に侵入した。
だから躾のために叩いたと…。
二度と外に出すなと言い残して帰って行った。誰も死んでしまったことは伝えなかった。揉め事を起こしたくなかったらしい。
76:
(2/2)
私も弟もその家にますます近寄らなくなって毎日が過ぎていった。
しばらくして、おばちゃんを見かけなくなり、その家は留守がちになった。
私達子供は平和になったと思い喜んでいた。留守なら怒られることもない。
いつも門が閉まっている状態になったので、安心して遊んでいた。
そうして日々が過ぎていったある日、遊びから帰るとおばちゃんが来ていて、母親が洋服の採寸をし
型紙を作っていた。
「あっ、○○くん、元気かね?」と言ったおばちゃんの右腕が無かった。
私は驚いて後ずさりし、母親に抱きついた。
おばちゃんは「手がないからビックリしたのね。」と言ったところまで覚えている。
大人になって祖母から聞いた話、「手が無くなったおばちゃん、覚えとるかね?」
覚えていることを伝えると、猫が死んでしばらくしてから、工場の機械に手が巻き込まれ切断したらしい。
その時思った。猫の祟りがあるなら、おっちゃんの方じゃないのかと…。
どうも祟りや怨念は本人に向くとは限らないらしい。
その家族に向けられることもあると知った。命あるものは大切にしなければ…。

77:
二十一本目の蝋燭が消えました・・・
ダース◆Ap1zX42h7Yさん、第二十二話をお願いします
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78:
【第22話】
『お客さんカンバンです』
駅員のアルバイトを始めて間もないころ社員の人から聞いた話。
駅構内での仕事のルールは沢山あるのだが、その中に不思議なものがある。
それは駅のホームのベンチで酔いつぶれて寝ている人を起こす際の注意事項だ。
起こすときに手順がありそれに沿って客を起こさなければならない。
まず声を掛けるときにはやさしく声を掛け、出来るだけ丁寧な言葉を使う。
急に起こされた客は不機嫌になり暴れだすこともあるから相手を刺激しないように済ますための処置。
そしてもう一つ、声を掛けるときには必ずここが『駅のホーム』であることを告げることだ。
なぜこのような注意事項があるのか不思議に思い社員の人に聞いてみた。
以前ホームのベンチで酔って寝ている客をある駅員が見つけた。
客を起こすときにいたずら心が出てしまったのだろう。
「お客さんカンバンです。起きないと終電に間に合いませんよ」
と飲み屋の店員のふりをして声を掛けたのだそう。
飲み屋で寝込んでしまったと勘違いした客は飛び起きると線路のほうに向かって走り、そのままホームの下に落ちてしまった事があったのだという。
幸い命には別状が無かったものの頭に大怪我をしたのだそう。
それからこのようなルールが出来たということ。
しかし年に何回か寝ぼけて酔った客がホームから転落する事故が数件はあるのだそう。
その内の数人がホームのベンチで寝ているときに
「お客さんカンバンです。起きないと終電に間に合いませんよ」
と声を掛けられたと証言しているのだとか。
[了]
79:
二十二本目の蝋燭が消えました・・・
進行(仮)◆omhwczk6HQさん、第二十三話をお願いします
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80:
【第二十三話】 進行(仮)◆omhwczk6HQ
『誰もいない部屋』
(1/3)
8月のお盆より少し前、母方の父の法事をすることになり、父は仕事、兄と私は部活が1日練習と重なっていた為、法事には母と妹の2人だけで行くことになりました。
私が部活から帰ると妹が何故か嬉しそうに「心霊現象にあった!」と話してきました。
その妹におきた現象というのは、法事が始まる前に母と祖母、親戚の人達がお坊さんと話してるときに起きました。
母達が話している為、妹は部屋の隅に座っていたそうなんですが、お坊さんがふと思い出したように「もうすぐお盆の時期なので、餓鬼のことをお話しましょう」みたいな事を言い出し、母達と話していました。
餓鬼の話はすぐに終わり法事が始まったんてすが、法事をしている最中に、急に目の前が真っ暗になり耳元で誰かが喋ったらしいんです。
すぐに元に戻ったのでその時は気のせいだと流し、妹は気にせず続けました。終わったあと少し怖い話をしたのでお祓いをしておきましょうとお坊さんが早口で何か言いその日の法事は終わりました。
私はその話を聞いた後お坊さんから話を聞いたことに(何それ裏山…!!)と思いながら妹に「話長くて一瞬寝てただけやろ(笑)」と笑い飛ばしました。
81:
(2/3)
そしてその翌日の午後、昨日と同じように父は仕事、兄は部活が1日練習でしたが、私は午前だけだったので家で課題をしていました。
妹は友達と遊びに行き、母は妹を送っていったあと買い物をして妹を迎えに行ってから帰るといい、家には私一人だった為リビングで課題をしていました。
イヤホンをして音楽を小さめの音量て聴きながらやっていると、2階から
バタバタバタッ!!
と誰かが走り回っている音が聞こえてきたのです。
リビングの上は妹の部屋だったので妹が帰ってきたのだろうと勉強を邪魔されて少しイライラしていた私は、文句を言いに行く為に妹の部屋に行こうとしました。
しかし、2階の階段に行く前に玄関を通らないといけないんですが、玄関を見ると私の靴しかなかったのです。
よく考えてみると音楽を聴いていた音量はちいさかったので玄関のドアが開く音と妹の「ただいま」という声が聞こえてくるはずなのです。
もともと怪談話など怖い話が好きな為、すぐにもしかして…と考えた私は1度リビングに戻り、塩を手に取り妹の部屋に向かいました。
82:
(3/3)
部屋の前まで来ると怖い話を聞くのは好きだけど自分が体験するのは嫌なタイプの私は、ドキドキしながらドアを開けました。
ドアを開けると部屋の中はやはり誰もいません。さらに怖くなった私は妹の部屋中に塩を撒きまくりました。
その後すぐにリビングに戻り、もう課題をする気も起きなくなったのでまた音楽を聴きながらスマホをいじっていました。
それからしばらくして、気持ちが落ち着いてきた頃妹と母が帰ってきたのですが、部屋に戻った妹が塩だらけになった自分の部屋を見て私に文句を言いにきて、それを聞いた母がかなり減っている塩に気付いてこっぴどく怒られました。
その日以来、1人で音楽を聴いて勉強しているとまたに足音が聞こえますが、母に怒られた時の方が怖かった私は音量を上げて足音が聞こえないようにしています。
一応妹にはその事を話したのですが、妹がいる時はそんな音聞いたことないそうで、自分を怖がらせる嘘だと勘違いした妹は「ハッ!残念だったな、全く怖くない」とドヤ顔付きで言われ、少しイラっとしてしまいましたが、足音以外は何も起こりません。
あの足音は結局、法事の時からやってきたのかまたは偶然迷い込んだのか、今もはっきりしていません。
【了】
83:
二十三本目の蝋燭が消えました・・・
ややこし◆ZYOX.edm.o 、第二十四話をお願いします
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84:
[幽霊自転車]
-1/2-
小学校のとき校下で幽霊自転車という怖い噂があった。
路上で、錆びついた自転車を無理やり漕ぐような音が近づいてくるが
振り返ってみると何もいない、音だけが段々と近づいてきて追いつかれた者は
呪われてしまう、という話だった
5年生のとき、同じクラスで仲の良かった友人がこの幽霊自転車に出会った
彼が日曜日に自転車に乗って家の近くを走っていたら、うしろからキーコキーコと
かなり耳障りな金属音が近付いてきて、どんなボロい自転車かと振り返ったら
うしろには誰もいない!
幽霊自転車だ、彼は恐ろしくなってスピードを上げて逃げようとした。
しかし途中から自転車のペダルが坂道でもないのに急に重くなり無理に漕いだら
キーコキーコと錆びついたような音が出る
幽霊自転車に追いつかれた!
焦った彼は半泣きになって必死に重いペダルを漕ぎまくり、やっとのことで
家にたどり着いたんだそうだ。
85:
;
-2/2-
そんな話を翌週に聞かされた俺は、好奇心から自分も出会ってみたいと考えた。
彼はもう絶対に行きたくないと言うので場所だけ教えてもらって、放課後
ひとりでその場所に行ってみた。
そこは繁華街近くの病院前の交差点だった。
友人と同じように交差点を自転車で行き来してみたが何も起こらない。
1時間近く粘ってみたが錆た自転車の音など聞こえず、ペダルが重くなることもなく
俺はがっかりして帰った。
ところが一週間ほどして先の友人が、最近、夕方になると毎日、家の周りをキーコキーコと
錆びついた自転車のような音が廻っている、と言ってきた。
時々、家のすぐ前で大きなブレーキ音がするけど、ドアを開けても何もいないそうだ。
どうやら幽霊自転車は、既に交差点から友人の家に移動していたらしい!
興味があるんなら見に来ないか、といわれたが
俺は自分の家の周りをキーコキーコされるのは嫌だったので全力で拒否してしまった。
?終?
86:
二十四本目の蝋燭が消えました・・・
こげ ◆XpMibJaK/PD4、第二十五話をお願いします
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87:
【第二十五話】こげ ◆XpMibJaK/PD4 様
『無題』
「このコロニー『スウィートウォーター』は、
 密閉型とオープン型をつなぎ合わせて建造された非常に不安定なものである…」
なんだかよく分かりませんけど、天之津君が前方を指差しながら、
赤くて大佐で大尉で総帥っぽい人の台詞をのたまいました。
雲に遮られて見え隠れする月の下、二棟並んで聳える白亜の建物が見えます。
鉄筋コンクリート製の集合住宅に密閉型とかオープン型なんて無いと思うのですが…
それに二棟を繋いでいる渡り廊下は一階部分だけですし…
非常に不安定って?
私は所謂『心霊スポット』と呼ばれる、幽霊が目撃される場所を、
休日等を利用して訪ねて廻ることを趣味としています。
心霊スポット探検サイトを運営している天之津君が常連となった私に、
『興味があれば一緒にどう?』
と、誘ってくれた事がこの道へ入るきっかけでした。
それから現在に至るまでく、
天之津君をリーダーとするチームの一員として、
住居侵入など何のその、日本各地にある心霊スポットを訪ねてまわりました。
そこで、数々の怪異と遭遇し、恐怖に心臓を鷲掴みされ、
竦み上がった身体を無理矢理動かして闇の中を逃げ回り、
流れる涙をそのままに、這々の体で帰り着いたことは数知れず…
人の目を欺き、鍵をこじ開け、扉を突破し、窓を破り、
セキュリティシステムの穴を掻い潜り、
土足で他家の床を踏みにじり、奥へ奥へと突き進む。
遊園地などのアトラクションでは決して味わうことのできない、
保障も保険も、安全装置もまるでない…
全ては自己責任、ギリギリのスリルを楽しむ心霊スポット探検に、
私は完全にはまってしまいました。
88:
公園まで備える広大な敷地の中に、8階建ての鉄筋製集合住宅が二棟、
その南側、碁盤の目みたいに道で区切られた内側に、
青いトタン屋根の長屋風住宅がたくさん建っているのが見えます。
ここにある建物は全て、某独立行政法人の某機構が2011年で廃止となって、
後任組織へ引き継がれることなく、民間へ売却されて取り壊されるのを待つ、
廃墟なのだそうです。
ある冬の週末、ある閉店後のおもちゃ屋さんに、
私達、心霊スポット探検チームの主要メンバーが集まっていました。
チームメンバーがこのお店の常連で、売上げに少なからず貢献していることから、
店長さんのご厚意で、作業室を探検の打ち合わせの為に使わせて頂いています。
今夜も、次回赴く探検場所の選定を喧々諤々と繰り広げられていました。
『機動戦士ガ●ダム 逆襲の●ャア』のDVDを観ながら…
「なあ、お前等…稲荷町のあれ知ってるか?」
89:
私が心霊スポット探検へ持っていく、東京マ●イ製電動ガン『M4A1』の、
メンテナンスをしてくれていた店長さんが顔を上げ、私達に訊ねてきました。
店長さんのいう『あれ』とは心霊スポットのことです。
商店街組合や町内会の集まりでオカルトな情報を仕入れてきて、
私達へ提供してくれるのですが…
過去に二回、ちょっと洒落にならない体験をさせていただきました。
旧河川の上に建つアパートと、旧寺院の敷地に建つ小学校…
過去に行った心霊スポットの中でも上位にランク付けされる物件です。
店長さんから『あれ』がでたならば、
今回の『あれ』についても期待大です。
どんな異常を恐怖を畏怖を怪異を神秘を体験させて貰えるのでしょうか。
次の探検場所について話し合っていた探検隊メンバーが姿勢を正し、
海兵隊訓練キャンプの先任軍曹へ対するみたいに店長さんへ向き直りました。
口からクソ垂れる前と後ろにサーと言えの軍曹さんへ対するみたいに…
川を埋め立てられてアパートに祟りを為す河伯…
死に際にちょっとした未練が因で霊となり彷徨する僧侶…
一同の生唾を飲む音が重なります。
「人数分持ってきたけど、コーヒー飲むかしら?」
話の出鼻を挫くように店長の奥さんがドアを開け、
紙コップをたくさん乗せたトレイを持って現れました。
黒髪を肩で切り揃えた、素晴らしくスタイルが良い三十代半ばの美人さんです。
過去二回の探検に同行したことがあり、お話に参加する気満々だったみたいで、
ベートーベンの『田園』をハミングしながらコーヒーの入ったカップを皆の前へ置くと、
私の隣へ椅子を持ってきて座りました。
店長さんが露骨に舌打ちしたりしてますけど…
90:
「どうぞ、話を続けて」
「…ん、あ?なんだ…
 ええと、稲荷町…の外れにある…8階建て住宅に…出るそうだ」
にこにこ顔の奥さんに対して、店長さんは妙に顔色が悪くなり言葉の切れが悪いです。
稲荷神社のすぐ脇に廃墟のアパートがある事は私も知ってました。
本当は某行政法人の某機構が解散となって次へ引き継がれなかった住宅なのですが…
あそこ、幽霊が出るんですか…
奥さんの笑顔からガハラさん的に怖いものを感じます。
「なにが出るのかしら?」
「…幽霊……の霊…女の霊だ」
「私が聞いた噂では何かすごい特徴のある幽霊さんだったみたいだけど?」
「どうだったかな…」
進退窮まった店長さんはレオンが潜伏するアパートへ警官隊を非常招集命令を出す、
ゲイリー・オールドマンみたいな顔で大声を張り上げました。
「巨乳の幽霊だよぉおおおおおおおお!!!」
奥さんが今までにないすっごく良い表情で微笑みました。
目が全然笑ってないんですけど…
「見に行きたいの?」
「…イエス、マム…」
91:
店長さんは全身をガクガク震わせ、今にも凍死しそうな塩梅です。
奥さんが今度は周囲をぐるりと睥睨しますと、
探検隊男子メンバー全員が突然、椅子を蹴立てて飛び上がり、
着地と同時に額を床に擦りつける土下座に入りました。
あれが噂に聞くジャンピング土下座…
『変態でもいいです!俺達に幽霊の巨乳を見せてくださいマム!!』
声を揃えて巨乳を見たいって…どんだけ最低なんですか男子…
彼等だけで行かせたらロクな事にならないのは間違いないです。
女体に飢えたケダモノ野郎ですから。
以前、抱きついてくる巨乳の幽霊が出る道路を見に行った時など
騒ぎすぎてお巡りさんを呼ばれて、私まで職質を受ける羽目になりました。
「仕方ないなぁ」
そんな訳で、私と奥さんがお目付け役となり、
寒い中を変態共を引率してこの巨大な廃墟へやってきたのでした。
徒歩で。
92:
雲間から月が顔を現し、青白い玲瓏ある光が、
8階建ての白い壁を闇の中に浮かび上がらせました。
私の視力では眼鏡をかけていても星を確認することはできません。
風がちょっと強いですね。
落ち葉が巻かれてアスファルトの上を転がっていきます。
「…あと一息、諸君らの力を私に貸していただきたい!
 そして、私は父、ジオンの元に召されるであろう!!」
まだ、天之津君は通常の三倍でロりでマザコンの人をやってました。
探検隊のメンバーはなぜか、心霊スポットでアニメや漫画のネタばかり喋ります。
特に1stガンダムネタが多いです。
それはともかく、店長さんの話では目撃者の皆さんが敷地の外から、
月明りを受けてベランダに立つ幽霊の姿を捉えたそうです。
通りに近い方の建物で5階あたりの角部屋に出ると…
「あれかしら、5階のベランダに誰かいるみたいだけど…」
奥さんが指を差しました。まだ、建物までかなり距離があるのですが…
マサイの戦士レベルの視力でも持っているのでしょうか。
必死に目を凝らし、眼鏡を両手で摘まんでデリカットしても全然見えないです。
「私には見えないですよ?どこですかぁ?」
93:
突然、先頭を歩いていた店長さんが、
覚醒したシャア大佐みたいなことを呟いて駆け出しました。
僅かに遅れて残りの男子も負けるものかと走り出します。
何が彼らをこうも焚き付けたのでしょうか…巨乳、幽霊の巨乳に他なりません。
他者よりも一秒でも早く、一秒でも長く幽霊の巨乳を我が目に焼き付けんが為に。
いざ征け、つわもの、日本男児!決戦の場は目の前ぞ。
砂煙を巻き上げて去っていく後ろ姿…
彼等に対する私の好感度は最低にまで落ち込みました。
「すげえ、手摺に乗せてんぞ…」
「でかい…なんてもんじゃ…ない…」
「ななな、なんたる!なんたる!!」
「大きい…すごく大きい」
「あのおっぱいこそ、歴史を変える…」
「巨乳が肉眼で見えるぞ!もういい、照射!!」
95:
私と奥さんが追いついた時、男性達は鑑賞モードへ入って、
『ニ●動』みたいに激しく弾幕を張っていました。
きらきらと目を輝かせて建物の一点を、5階の角部屋を見つめています。
5対の視線を受け、手摺りに手を掛けて見下ろす女性の姿…
両手の間に巨大な球体が二つ…陰影深く、前に向かって大きく飛び出しています。
青い衣類…もしくは下着でしょうか、
胸の形がはっきりと分かるものを身に着けているみたいです。
圧倒的…ひたすら圧倒的な威容が、男子の視線を釘付けにしてました。
予測をはるかに上回り、芽生えた嫉妬、粉々になった矜持…
私は巨大過ぎるアレと自分の胸と交互に見比べてしまいます。
女子高時代から男女問わずに大きい大きいと持て囃され、
ただ重くて邪魔なだけと韜晦し、人の視線が集まるのを恐れて水着になることを厭い、
混雑する電車やバスに乗れば痴漢に遭い、それを語れば自慢かよと嫌味を言われ、
身体の線が出ない服を好んで身に着け、目立たぬ様に隠す様に毎日を送り、
憧憬と侮蔑、羨望と嫌悪の視線に当てられてきた私の半生…
5階のベランダで堂々と胸を晒すような輩に、
同病相憐れむという感情を浮かばせることなどありませんでした。
「あれは胸じゃないわ、骨格と照らし合わせて人間ではありえないわ」
静かに見上げていた奥さんが凛とした声で偽乳と断言しました。
最初は信じられませんでしたが、
よく見れば確かに肩幅と胸の位置にかなりのズレがあります。
まるで作画崩壊したアニメみたいに。
店長さん達はまだ信じられないらしく呆然と女性を見つめています。
96:
「わからん…俺には本物としか…」
「あなた達は信じたがっているのよ、
 アレが本物であって欲しいという願望が真実の目を曇らせているんだわ」
その時でした、女性が大きくベランダから身を乗り出したかと思うと、
左側の胸が手摺を離れ…
まるで一秒が引き延ばされたみたいにゆっくりと降下を開始したのです。
黒い尾を曳いて…
ドン、と目の前に重く硬いものが落ちた音がしました。
芝生に何か落ちてます。
青い帽子?白い球体には目鼻があり、
動物プリントのついた可愛い服…小さな胴体と手足…
「あれは巨乳なんかじゃない!赤ん坊だ!」
「両手に抱えて…落とす気だ!」
見上げることなんて出来ません。
たて続けに起こる二つの地面へぶつかる重い音。
V字状に空へ向けて立つ両脚、肩から落下して…頭から地面に刺さっている様に見えます。
胸まで捲れた青いワンピースの裾…下腹に走る帝王切開の赤い傷跡…
白い足が、ガクガクと大きく震えていました。
足に力が入らず、思わずその場に座り込んでしまいました。
私を見つめる眼(まなこ)、
引き結ばれた唇の端が吊り上がって笑っているかの様です。
97:
「四…五年前に心中事件があった。
 双子の赤ん坊をベランダから投げ落とし…自分も飛び降りた。
 しかし、母親は重体ながら死んではいなかったはずだ…」
抑揚のない店長さんの声…
ゆっくりと仰向けに倒れる女性…ぴくりとも動かない小さなふたつの身体…
言葉ひとつ出せず見つめる私…
しばらくすると、母子の姿は地面に溶けて消えていくように見えなくなりました。
「あの女…まだベランダにいるぞ!?」
天之津君の叫ぶ声が遠くに聞こえます。
そして、また三度起こる重いものが地面へぶつかる音…
「ずっと繰り返しているんだ…落下してあげる断末魔を…
 救われる日が来るまで何度も…」
おわり
94:
二十五本目の蝋燭が消えました・・・
みどりいろ ◆/1zwn0rSvM、第二十六話をお願いします
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99:
【第二十六話】 みどりいろ ◆/1zwn0rSvM 様
『忘れたい話』
(1/2)
中学生の時の親友の家は、入り組んだ下町の路地の突き当たりの住宅地にあった。
その住宅地は大小の家が6軒並んでいて、一番奥の大きな家が親友の家だった。
ある日、親友の家から一番離れた家の一人娘が、飛び降り自殺をして亡くなった。
それから1か月後、さらに自殺した女性の隣家の奥さんが失踪した。昼食の用意をしたままだったため、事件の可能性もあって警察も動いたらしい。
全く手掛かりがないまま、さらに1か月後失踪した奥さんの隣家のおじさんが、自宅前で突然亡くなった。
これ以降1か月に一度、順番に一軒の家から一人ずつ孤独死や事故死がでた。ここまでくると、最後は自分の家であると親友一家も考えていた。
当時、親友と毎日下校しながら、回避方法は何とかないものか二人で考えて試したりもした。そのおかげか1か月たっても何も起こらなかった。
 そうして2か月がたとうとしたころ、私は本を返してもらうために、下校中に親友宅へ寄った。
玄関に入って待っていると、後ろで玄関のドアがガチャリとあいた。
振り返るとそこに見知らぬ女性が立っていた。いまその顔は思い出せないが、女性が私をみて怪訝な顔をした、ということは覚えている。
女性はスッと中に入り、家の中に上がるでもなく、声を発するでもなく、私の横に立った。
お客さんかな?なんとなく居心地悪い気がした。
その数秒後に親友が「ごめーん」と言いながら、本を持って出てきた。
こちらを見て「ひ!」と悲鳴をあげ、「なんやお前!!でていけ!!」と女性に向かって怒鳴った。
100:
(2/2)
私も怖くなってしまい、慌てて靴のまま家の中に入って親友の後ろに隠れた。
その女性は普通にお邪魔しましたと言わんばかりに、一礼し、何事もなく玄関から出て行った。
すぐさま「不審者よね?警察よぼう!」というと、親友は真っ青な顔をして「○○さんやわ…なんで…」とつぶやいた。
聞くと、最初に自殺した女性だった。
 その日は帰宅してきた親友のお母さんと親友に、家まで送ってもらって帰宅。
当然ながら、その女性には出会わなかったものの、夜11時ごろに親友から「遠方に引っ越すことになった」と電話があった。
 そして15年たった昨年、やっと親友に再会できた。SNSで連絡を取ることができたからだ。
親友は親せきを頼って隣県に引っ越していた。家族全員元気にしていると聞いて安心した。
再会は楽しかったんだけども、どうしても忘れたくてたまらない話がある。彼女が「あ、そういえばさあ」と話したこと。
「3年前くらいかな。グーグルマップのビューってのをみてみたんよ。あの辺全然変わってないな。あの家の前の、路地に入る道までは写ってるねん。
その路地に入る角に○○さんが写ってるんよ。また見てみて。顔はぼやけてるけど、あの時の服も髪型も○○さんなんよ」
【了】
101:
二十六本目の蝋燭が消えました・・・
初夏◆4pp8Nws9xAさん、第二十七話をお願いします
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102:
【第二十七話】初夏 ◆4pp8Nws9xA 
『謎の視線』
(1/2)
これは、私が犬の散歩をしていた時の話です。
その日は部活終わりで、外は日が殆ど沈みかけだったのですが、
なんとなく飼い犬の散歩に行こうと家を出ました。
私の家は田舎にあり、少ない街灯が道をほんのり照らし家もぽつぽつとしかないので
辺りは薄暗く、私は一瞬戻ろうかと思いましたが、怖かったのかとからかわれるのが嫌で
そのままいつもの道を歩きました。
いつも家からある地点まで行き、折り返して戻ってくるというコースなのですが、
戻るときにソレは起こりました。
戻り始めて5分くらい経ってからでしょうか、急に背筋を冷たいものが通り抜ける感覚がありました。
「汗が冷えたのだろう」と誤魔化しながらそのまま歩き始めましたが、纏わり付くような視線と
悪寒を感じ、自然と早足になっていきました。歩きながら私は誰か不審者でもいるのかと思いましたが、
隠れられるような場所はなく、足音も自分と犬のものしかなかったのでその可能性は無くなりました。
既に辺りは真っ暗で、光は街頭だけしか頼りにならず、より恐怖心が増しました。
悪寒がひどくなってきた頃、少し前を歩いていた飼い犬が突然後ろを向いて唸り声を上げ、
吠え出しました。私はもう後ろを向くことすら怖くて、前を向いてしゃがんだまま犬を宥めましたが、
犬は中々落ち着かずずっと吠えました。私は振り向こうか悩んだ末、勇気を出して振り向こうとしました。
103:
(2/2)
しかし、振り向こうとした瞬間、一瞬目の前が真っ白になりました。
頭が理解するよりく、私は弾かれたように立ち上がり走り出しました。犬も横を走って
ついてきていたのが視界の端にうつり、そのまま全力で家に帰りました。
母に走って帰ってきた理由を尋ねられたようでしたがなんて答えたのかは覚えておらず、
気付くと次の日の朝でした。
落ち着いてから一つ、気付いたことがあります。それは目の前が真っ白になった瞬間、
何か声のようなものが聞こえたことです。今思えば、あれは私を逃がしてくれた声なのではないでしょうか。
違ったとしても、私はあの声のお陰で振り返ることを踏みとどまることができました。
あの視線はなんだったのか、
もしあのまま振り返っていたらどうなっていたのか……それはもう誰にも分かりません。
104:
二十七本目の蝋燭が消えました・・・
モヒート◆KicDEug6lIさん、第二十八話をお願いします
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105:
【第二十八話】モヒート◆KicDEug6lI 様
『交差点と男の子』
(1/2)
今年のお盆に親戚の小母さんから聞いた話。
以前、自宅に拝みに来てもらった住職を、寺まで車で送った時の事。
郊外の寂しい道を走っていると、車道と農道の交差点に人が立っているのに気付いた。
近づくにつれ、小学生位の男の子だと分かった。手に何かを持っている。
何となく気にはなったが、よく見ている暇もなくその場を通り過ぎたそうだ。
しばらくすると信号のある交差点が見えた。夕暮れ時というのもあってか、自分の車以外は見当たらない。
それでも一応赤信号で停車する。
ふと左側を見ると、また男の子が立っていた。先程の子と似ている気がする。やはり何かを持っていた。
男の子側の信号は青なのに渡るそぶりも見せず、ただ交差点の真ん中を見つめて立ち尽くしている。
小母さんはその姿に薄ら寒い物を覚え、信号が変わったと同時に逃げる様にアクセルを踏んだそうだ。
しかし次の交差点にも男の子がいた。流石におかしいと思い、助手席の住職に尋ねる。
「あの…もしかして、さっきから交差点に同じ男の子が立ってませんか?」
「ええ……同じに見えますね」
静かに肯定され、小母さんは焦った。本当は本職の方に否定してもらいたかったのだ。
それでも必死に理性を働かせ、合理的な判断を導こうと
「でも気のせいかも知れませんし、あの子の特徴を覚えておきませんか?」
と提案したそうだ。車のスピードを緩め、二人で男の子を観察する。
紺色に小さな白い水玉のポロシャツと、デニムのハーフパンツ、白いスニーカー。
普通の格好だ。怪しい感じはしない。
しかし手元をよく見ると、右手には朱塗りのお椀、左手にはネコジャラシ草を持っている。
お椀の中には何か入っている様子。何の意味があるのか理解出来ず、不気味で仕方なかったそうだ。
これでまた男の子がいても、きっと別人だと分かるだろう…そう考えていた小母さんだったが、
次の交差点にいた男の子は、顔立ちも服装も持ち物も先程と全く同じ。明らかに同一人物だった。
106:
(2/2)
「さっきと同じ、同じ子ですよあれ!どうしたらいいんですか!?」
小母さんはパニック寸前で住職に助けを求めた。すると住職は
「次の交差点にあの子がいたら、近くで止めて下さい」
と言い出した。そんな、危ないですよ、と小母さんが言っても頑として聞かない。
そうこうしている内に次の交差点が見えて来た。やはり件の男の子がいる。
小母さんは男の子の側に恐る恐る車を止めた。とてもじゃないが男の子の方は見られなかった、という。
するとおもむろに住職は窓を開け
「人に仇なす望みでなければ叶う!」
と一喝した。びっくりした小母さんはもういいですよ、と声を掛けられるまで呆然としていたらしい。
慌てて車を発進するとバックミラー越しに、こちらに深々と頭を下げる男の子の姿があった。
「何だったんですか今の?望みが叶うって?」
と住職に尋ねたが
「あぁ、辻占かと思ったので…」
と答えたきり、何度聞いても多くを語ろうとはしなかったそうだ。
その後は男の子に出会う事もなく、無事寺にたどり着いたが
予定時刻を大幅に過ぎていたそうで、迷った訳でもないのに…と小母さんは不思議がっていた。
この話を聞いた後、気になって辻占について調べているが、この男の子の様な作法はまだ見つからない。
【了】
107:
二十八本目の蝋燭が消えました・・・
ややこし◆ZYOX.edm.oさん、第二十九話をお願いします
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108:
県立球場の怪異
(1/4)
夏と言えば高校野球・・かどうかはともかく、この季節になると思い出す話がある
俺の出た高校(以下、I高校)は公立の進学校だが、その昔は県内では野球の強豪で甲子園に
出たことも何度かあり、その伝統を受け継いでか当時の野球部も練習熱心で進学校の割には
毎年それなりのチームを作っていた。
俺は野球部に仲のいい友達がいて、彼らの頑張りを知っていたから最後の夏に精一杯
やってほしいと思っていた。
しかし夏の大会を控えた6月の中ごろ、I高野球部に突然の不幸が襲った。
三年生部員のA君が交通事故で亡くなったのだ
A君はチームのエースで、また、愛嬌のある顔つきとひょうきんな性格で知られていて、
野球部のみならず学校中の人気者だった
そんなA君が突然亡くなったのだから野球部はもとより俺たち一般生徒もみんな驚いていた
俺と同じクラスで野球部の控え投手だった平田というやつが代わりにエースとなったが、
平田は「今年はAのためにも絶対甲子園だ!」とやたら気合を入れていた。
しかしその頃から妙な噂が流れ始めた
ランニングしている野球部員の中にA君がいたとか、部室にA君がひとりで立っていた、
といった話で、野球部員の中にも見た者がいたという。
109:
(2/4)
そんな妙な噂も一段落した7月中旬、甲子園を目指す夏の県大会が開幕した。
俺らは当時、連日補習授業で飽き飽きしていて、携帯で野球部の試合経過を見ていた。
I高は一回戦を快勝し、二回戦は接戦だったがサヨナラ勝ちで勝ち進んだ。
しかし二回戦の翌日、学校に出てきた平田がおかしな事を言い出した。
九回表にマウンドから見渡したら、外野の芝生にAがいて、じっとこっちを見ていた!
サヨナラ勝ちできたのはAが見守っていてくれたからだ、とのたまうのだ。
暑さで錯乱したかと思いもしたが、大会前の噂もあったし平田の話は一部で有名になった。
続く三回戦はやや格上の私立高校が相手で、2点リードされてI高は九回表を迎えた。
平田が言うにはこの時、選手のひとりが三塁ベースの後方にA君の姿を見つけたという、
A君は練習着を着て腕を組んでおり、その姿は地面から少し浮いていたそうだ。
見えたやつとそうでないやつがいたようで、平田たちが指さしてもキョトンとしていた
選手もいたが、多くの選手がA君の姿を見たらしい。
すると急に打線が活気づいて同点に追いつき、延長の末にI高は勝利をものにした。
今回の件もまた 平田がしゃべりまくったため、もはや校内ではA君の幽霊は公然の噂となり、
生徒や職員もA君の幽霊を勝利の守り神みたいに言い出した。
110:
(3/4)
次の準々決勝は夏休みに入ったことで俺を含めて球場まで応援に行った生徒も多かった。
対戦相手は甲子園常連の強豪で、生徒の中には「A君の霊が出たら勝てるかも」と言ってる
やつもいたが、実際のところ普通にやって勝てる見込みは薄い相手だった。
試合はI高の先発が2回までに4点を取られ、味方打線はヒットさえろくに出ない有様。
四回から二番手投手として平田が登板、同じクラスの俺たち10人程だけ盛り上がったが、
試合の方は0対4のまま九回表を迎えた。
九回表のI高は、先頭がヒットで出たが、次の打者の三塁ライナーが不運にもゲッツーに
なってしまってツーアウトでランナー無し。
さすがに俺たちも諦めかけたが、その時、I高ベンチから誰かが叫んだ「おい、Aだ!」
俺はこの時点でA君のことをすっかり忘れていたのだが、その声にハッとして、みんなの
見るところに目をやった。
いた、ベンチから2mほど手前の位置に確かに向こうを向いた白い人影が見える。
あれがA君? たしかにひょろっと背が高く、首の部分が日焼けして、独特の大きな耳が見え
白い練習着姿のA君のようにも見える
しかし肩から下が細すぎる気もするし、人の姿のような、ただの光の加減のような・・・
こちら側からでは顔がよく見えないけど、その姿は腕を組んでマウンドを見据え、真夏の
グラウンドに浮かぶように立っていた。
あとで聞いたのだが、あの白い影をA君だと言い出したのは平田だったらしい。
彼は2回戦で初めて気づいた白い影をA君の霊と思い、試合ごとにだんだん自分に近づいて
くるのを《自分たちを応援している》と考えていたという。
111:
(4/4)
ともかく平田のせいで噂は有名になっており、I高側の応援席では歓声と悲鳴を含んだ
どよめきが湧き上がったが、相手校側や一般の観客は何があったのかとざわついた
しかし今さら手遅れだろ?もっと早く出ろよー、俺は心の中で思った。
ところがこの直後に連打が出て満塁となり、ここで噂ばらまき張本人の平田が期待に
応えてライト線を破る走者一掃の二塁打で1点差とした。
押せ押せムードのI高は結局、九回に5点を取って大逆転したのだ。
ほとんど奇跡のような展開で俺たちはもはや勝った気分で大興奮状態だった。
しかし現実は甘くなかった
その裏、相手の猛反撃にここまで好投の平田が撃沈してしまい、試合は逆転サヨナラ負け
となってしまったのだ。
試合が終わって俺たちが気づいたとき、先ほどの場所に「A君」の姿は既に無かった。
夏休みが終わってもみんなあの時のことを噂していた、俺たちも含めて百人以上の生徒が
見たのだから。
A君は自分のチームの戦いが終わったのを見届けてあの世に行ったのだろうか
俺たちはそう思おうとした、やがて受験が忙しくなるにつれてそういう話も出なくなって
いったが、あの夏の奇怪な興奮は今でも思い出すことができる
【了】
112:
二十九本目の蝋燭が消えました・・・
枯野 ◆BxZntdZHxQさん、第三十話をお願いします
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113:
【第三十話】 『行進』(1/4)
守秘義務のあるバイトだったので仕事の内容や時期の詳細は伏せる、数年前のこと。
個人情報を取り扱う会社で半年程働いていたことがある。繁忙期、書類をチェックしスキャンした後に作表してひたすら入力をするという種類のよくあるものだ。
僕がいた支店は首都圏の比較的大きな街の、駅からほど近い中層ビルの七割程を占めていた。
これを書くにあたって大島てるで調べたが、このビルや両隣、向かいと裏の施設や住宅では特に事件事故はないようだ。
しかし、勤務初日から出る。
広いフロアの中、エレベーターホール側の壁から駅側の大きな窓に向かっての10畳ほどのエリアに限って、しかも午前の短い時間だけ見える。
下を向いて手書きの書類に赤ペンでチェックを入れている間、度々視界を通り過ぎて行く足。歩いている。
始めは誰か用があって近づいて来たのかと思った程明瞭に膝から下の足が現れる。だがそれは僕の側で立ち止まることもなく、ただ通り過ぎるのだ。人数が多い。服装はいろいろ。
もちろん何度も顔を上げて周囲を確認した。
ここの課には社員と我々繁忙期要員を含めたパートアルバイトを併せても十人ちょっとしかいないし、全員がデスクで自分の作業をしている。
立って歩いているものはせいぜい一人か二人だ。
顔を上げて確認する時に、その膝から下の足は見えている日もあれば見えない日もある。
ただ、数日で“それ”と生身の人間の足は見分けがつくようになった。
よく見ればそれは、現実の存在よりも僅かに明度や彩度が落ちる。透明度がほんの少し下がる。
生身よりもくすんで暗い色をしていて、何となく向こう側の景色が透けて見えるのだ。
114:
(2/4)
先にも言った通り事故物件でもないし、エレベーターホール側にはサーバ室を挟んでもう一つ同じようなフロアがあるだけの何の変哲もないオフィスだ。
特に何かが出る理由は汲み取れない。
僕は三日程で慣れた。
昼を過ぎれば見えなくなるし、特にこれと言って害はない。
どうせ半年の契約で去る職場でもあるし、何より出るのはそのほんの狭い区画だけなのだ。
隙あらばパートのおばさんたちを罵倒するクソみたいな女上司の、そいつの背後の壁から湧き出た足がじゃんじゃん窓から出て行く。
僕はたまにその様子を眺めながら、黙々と作業を進めるようになった。
日に日に壁から出てくる足は増えた。多い日は大行進である。
他に誰も気がついていないのか、僕がおかしいのか。
それでも足は律儀に、朝の9時過ぎから11時過ぎまで淡々と歩き続ける。
これが霊道ってやつなのかね、と何だか冷めた気持ちで見守り続けて、6ヶ月が経とうとしていた。
夕方、そろそろ今日の分の作業が上がるので件の女上司に声をかけるタイミングを計ろうとそちらを窺うと、彼女の斜め後ろに人影がある。
初音ミクのライブ映像みたいな、半透明でやけにクリアな人がそこにいる。
芥子色のカーディガンを羽織った若そうな女性で、顔はよく分からない。
ぼやけているとか貞子伽?子みたいな定型白塗りということではなくて、顔についての情報がない。ただ目鼻口があって、のっぺりと表情も特徴もない顔だった。
ああ厭だなぁ、と思った。
115:
(3/4)
どうしても今日の作業一覧を渡して追加がないか聞かないといけないのだ。
ただでさえ嫌な女の斜め後ろに、のっぺりしてうっすら輝くよく解らない女がいる。
気がつかなければ良かったが、ばっちり見えてしまっている。
僕は少し考えて、ポケットに鋏を突っ込み席を立った。
個人情報を扱う現場なので、外部の人間は休憩室のロッカーに荷物を全部置いて来ている。だからお守りの類いは何も持っていない。
社員はデスクでスマホをいじってるし、顧客の勤務先を調べるのに社内用のパソコンでインターネットに繋いだりしてgdgdだけど今はそれは置いておいて。
「今日の分です、確認お願いします」
上司の向こう側にいる女には気がつかないふりをして、一覧のプリントアウトを差し出す。だが、やっぱりバレていたんだろう。
僕の手首をひやりとした何かが掴んだ。
ハッとして見ると、肌色で完全に透けてる触手のようなものがねっとりと巻き付いている。太さは女の人差し指くらい。
向こう側のホログラムみたいな女から出ているのだが、手だか指だかよく判らない。
気持ち悪い!
僕はポケットの中の鋏を思い浮かべた。あるブランドの鋏に、個人識別用にマークを描いてマスコットをつけてある。
イメージの中でそれを握って、締まりのないソーセージみたいな肌色の物体を切り裂く。
ぷちっ。
音がした訳ではないが、そんな手応えがあった。あくまでイメージとして。
しかしその瞬間に目の前の光る女も霧散した。
何故か上司は首の辺りを摩っている。
116:
(4/4)
「じゃあ今日はこれで。あとは時間まで郵便の開封しておいて」
触手のようなものからも上司からも解放されて、僕は早々に退散した。
その翌日から、ぱたりと足の行進がなくなった。
僕が何かの影響を及ぼしたというより、僕の方のスイッチが切り替わって“それ”が見えなくなったと考えた方が正しいのではないかと考えた。
あの時、光る女から身を守りたいと思った気持ちがスイッチを切ったのだろう。
契約も残り3日となり、これでこの怪しい職場ともおさらばだ。
作業も激減してのんびりとファイリングをしていた昼下がり、フロアを統括する室長が言った。
「全員一度パソコン閉じて」
元々社員の管理下でしかログイン出来ない僕らを覗いて、社員が次々ログアウトする。
「えー…重大なインシデントがありました。先ほど、××××人分の顧客情報が流出したとの連絡があり、詳細が分かるまでオンラインでの作業は停止するよう通達が出ています」
人数はここでは伏せるが、数百人とかのレベルではない。当然ニュースにもなった。
結局僕らは契約終了までの2日半、封筒に部署名の判子を捺すだけの単純作業をする羽目になった。
ひたすら判子を捺す間、僕はあの壁の向こうがサーバ室で、ちょうど部屋の幅分のエリアから大量の脚が湧き出していたことを思い出した。
あれが俗にいう霊道だったのかそれとも個人情報には足が生えているのか分からないが、とりあえず今でもあそこはろくな会社じゃないなと思っている。
【了】
117:
三十本目の蝋燭が消えました・・・
だんだんと夜も更け、怪しい気配も色濃くなってきてまいりました。
皆様はご無事でいらっしゃいますでしょうか?
怪異に魅せられた者には怪異が集まるというもの。
ここからしばらく怪談から目を離し、ゆるりとくつろいでみませんか?
こちらのお席(したらば)で語らうも良し、
怪異に見舞われた方はこちら(2ch.net)から語っていただくというのも歓迎ですよ。
10分後の世界でまたお会いいたしましょう。
どうぞ皆様それまでお気をつけて。
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119:
大変長らくお待たせをいたしました。
怪しに誘われてしまった方はいませんか?
ご無事でお会いできて何よりでございます。
さぁさ、改めて怪談を語っていただきましょう。
ここから先は人も怪しも混じり合う時間。
ひょっとしてあなたのお隣の方はこの世の方ではないのかも…
お気をつけてお進みください。
では モヒート◆KicDEug6lIさん【第三十一話】をお願いします。
120:
【第三十一話】 モヒート◆KicDEug6lI 様
『糸』
とあるお店の常連さんから聞いた話。
その男性が以前住んでいた家で、不思議な事があったという。
年に何回か、訳もなく夜中に目覚める事があり、そんな時は必ず天井から“糸状の何か”が降って来たそうだ。
それは寝室の天井全体から音もなく現れ、揺らめきもせず真っ直ぐに、ゆっくりと床まで伸び続ける。
まるでパスタマシーンの真下にいる様だと説明してくれたが
もっと細くて、身体に当たっても感触がないらしい。
「とにかく綺麗でね、みとれている内に朝になってる。」
「身体の自由は利くのに、何故か触ってみようとは思わないんだよなぁ」
この“糸”は男性が引っ越すまでの数年間現れ続けたが、ついに触る事は出来なかった。
「起きるといつも『掴んでやればよかったー!』ってなるんだけどね、結局見とれて終わっちゃう」
男性はこの家から引っ越す際に大家と話す機会があったが、
元々建て直す前は古い農家で、養蚕も行っていたらしいと初めて知ったそうだ。
「きっと二階でお蚕を飼ってたんだろうね、蚕棚とかそういうので。何だか納得したよ」
そう言って笑う男性は、引っ越し先で“糸”が見られないのを残念がっていた。
【了】
121:
三十一本目の蝋燭が消えました・・・
はちじゅういち ◆HGrtNHC8S6 さん、第三十二話をお願いします
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122:
【第三十二話】はちじゅういち ◆HGrtNHC8S6
『敷地内の木』
(1/2)
私の出身地、某村での話です。
(個人特定を避けるため、フェイクを入れています)
近所の家Aの敷地内の木が、隣家Bの敷地内に枝をのばし日陰ができるので
隣家Bの主が「あの木を切ってくれ」と頼みに来ました。
その家Aの主は、「神様が来ているかどうかみてもらうまで待って欲しい」と頼み、
村のコウエン様と呼ばれる人に木をみてもらいました。
するとやはりその木には神様が来ているらしく、今切ってはならないと言われたそうです。
しかし、隣家Bの主は家Aに無断で木を根本から切り倒してしまい
それを知った家Aの主は激怒しました。
数日後、家Aの主はふらふらと道路の真ん中へ出て行き
近所の人や家族が止める間もなく車にはねられました。即死でした。
別の家でも敷地内の木で揉め事が起きており、
その家の人間が古い井戸に落ちて亡くなっています。(どちらも当時の新聞に載りました)
123:
(2/2)
また、知人の祖母は村の外から嫁に来た人で、家の庭に茂った木々を嫌っていました。
ある日、知人の祖父は祖母に促されて敷地内の木に手をかけました。
最初のうちは木を植えたご先祖様に申し訳ないと言っていたそうですが、
途中から何かに取り憑かれたかのように、自分の意志で次々と木を切るようになりました。
その家には柿の木もありましたが、やはりこれにも知人の祖父は手をかけました。
人体で言うところの「へそ」から上をばっさり切ったのです。
それまで半年ごとに車を買い換えるような裕福な家だったのですが、
暗い影が落ちるように衰退していきます。
知人の祖母は気が狂ったようになり、祖父は栄養失調で倒れました。
父親は金を使い込んで母親と離婚し行方不明です。
知人の家は現在、廃墟になりました。
受け継ぐ財産も子孫もない知人を最後に、家系は途絶えます。
敷地内の木には、その家の神様の通り道があるそうです。
神様がいる間は決して木を切らないようにと、村に伝わっています。
ちなみに柿の木だけはどんな理由があっても切ってはならないとのことでした。
【了】
124:
三十二本目の蝋燭が消えました・・・
千夜 ◆3p39JZkKQEさん、第三十三話をお願いします
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125:
『 しがみつくおばあさん』
ある夏の日の事私は自室で寝ていました
暑かったので窓は開けっ放しでした
眠りに落ちて夢をみました
私が自室で寝ようとする夢です
するとドタドタドタっと壁を走る音が聞こえました
何だろうと窓の外を見るとおばあさんが物凄い形相でこちらに走って来ました
驚いた私は必死に窓を閉めて鍵をしようとしたらおばあさんが窓を思いっきり開けました
私は怖くなり夢なんて早く覚めろっと叫んでました
すると視界がぐにゃりとなってやっと夢から覚めれるとおもったら先程のおばあさんが絶対にはなすものかと言って夢の世界に引き込もうとしていました
暫くの間私は夢と現実の間を行き来してました
そして、やっとおばあさんが離れたら夢から覚めれました
夢から覚めた私は汗でビショビショでした
そして夢を思い出して慌てて窓を締めました
すると外からあと少しだったのにと聞こえました
もしあの時夢に引き込まれてたら
もしあの時窓を締めなかったらとかんがえるとゾッとしました
【 了】
127:
三十三本目の蝋燭が消えました・・・
先ほどのはちじゅういちさんの投稿は【第三十二話】でした。ありがとうございました。
では、引き続き 50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOXさん、第三十四話をお願いします
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128:
【第三十四話】 『居眠り』
高校の時、部活が忙しすぎて授業中は睡眠学習ばかりしていた。
ある日いつも通り机に突っ伏して寝ていると、突如体が動かなくなった。
金縛りだ。
自分にとっては初めての金縛り。
授業中で周りにみんないるのに、うつぶせのまま声も出せないので
軽くパニックだった。
その時、自分の右隣の通路を背後から先生が歩いてきた。
怒られるのを覚悟で必死に叫ぼうとしたが気づいてもらえない。
うつ伏せなので先生の脚しか見えない。
結局先生のストッキングの脚は僕の状態にも気づかず、教壇まで歩いて行ってしまった。
泣きそうになって必死で体を動かそうともがいた瞬間、急に金縛りが解け、
勢い余って思いっきり机から顔を上げてしまった。
周りが僕の奇行に変な目を向ける中、僕は別のことでびっくりした。
ついさっき教壇に行った先生の姿はなく、僕とは真逆の列の一番後ろに先生がいた。
そして、挨拶の時点で寝ていた僕は気づいていなかったのだけれど、
この授業の担当者はストッキングの女性教師ではなく、スラックスの男性教師だった。
あの脚は一体誰のものだったのだろう。
【了】
129:
三十四本目の蝋燭が消えました・・・
メガネ ◆z05cu765xUさん、第三十五話をお願いします
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雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします
130:
【第三十五話】  メガネ ◆z05cu765xU 様
『画面の中のペット』
(1/3)
俺の住んでいるマンションは1Kで、玄関を入ってすぐに台所がある。
その奥に部屋があって、そっちでクーラーを利かせておいて、自分は玄関ドア真横のイスに座ってスマホをいじるのが日課になっている。
クーラーが利いた隣の部屋、ぐらいの涼しさが好きだからだ。
うちはマンションだが壁が薄いので、住人が廊下を歩く音や部屋に出入りする音がよく分かる。
手前の部屋は鍵に鈴を付けている、いくつもの鍵を束ねているのは奥の向かい側、必ずビニール袋を持ち帰るのは奥から2番目などと何となく区別もつくようになった。
さて、今夜は待ちに待ったとあるスレでの夜話会、今年こそはリアルタイムで読もうとアイスコーヒー片手に「おお…」とか「うわー…」と玄関横でまったり楽しませてもらっていた。しばらくすると、どこかの住人が帰ってきたらしく、部屋の前を通過する音がした。
鍵に何をつけているのか、やたら甲高い音がする。
初めて聞いた音だが、俺は「変なキーホルダーつけやがってうるせーな…」ぐらいにしか思わなかった。
いちいち気にしていたら集合住宅では住めない。
気を取り直してスマホに集中する
131:
(2/3)
と、さっき通った甲高い音の住人が、また廊下を歩いている。
夜中の出入りが多い住人もいるので、これも気にしない。
と思っていたが、どうも何かが違う。
そんなに広い廊下ではないので、大抵はすぐにエレベーターに乗って音が消える。
だがこいつは、エレベーターに乗ったんだろうな、と思ったらまた引き返して歩いている。
音が遠ざかる様子から、廊下の端から端まで歩いて、たまに立ち止まってまた歩く、そんな感じだった。
泥棒の類か?と警戒したが、泥棒がそんなウロウロするわけでもあるまいし、友人の部屋番号を忘れたとかいうオチだろうと気にしないことにした。
リアルタイムで進むスレは、たまに休憩が入る。
今のうちにコンビニに行こうかと思ったのだが、ふと、魚を育てるゲームでエサをやってないことを思い出した。
別にやらなくても死なないが、俺の唯一の和みで癒しだ。寂しい俺。
画面の中のアクアリウムで飼っている魚たちは、タップすると話しかけてくる。
メタな話をしたり魚同士のシュールな会話を聞けたり、なんともいえず可愛いのでハマっている。
そんなわけでゲームを開いて、エサをやる。
そこで、大体「おいしかったよ!ありがとう!」とくるのだが、今日は何故か黙っている。
黙っているが、こっちを向いて話すモーションになっているので待っていたら、
「あけたらだめだよ」
というセリフが出てきた。
このゲームは海外版の日本語バージョンなので時々翻訳が訳分からないことがある。
きっとそれだなと思った。
にしても、初めて見るセリフだ。
まだ出てないのもあるんだな、と逆にわくわくしながら他の魚をタップした。
132:
まだ出てないのもあるんだな、と逆にわくわくしながら他の魚をタップした。
しかし、どの魚も
「あけたらだめだよ」
「あけたらだめだよ」
「あけたらだめだよ」
それしか言わない。
エラーかと一旦閉じようとしたとき、さっきの鍵が何かにぶつかる甲高い音がうちの玄関前、壁を挟んで俺の斜め後ろから聞こえた。
明らかに「そこから動き出したから」発された音だ。
それまで音はしていなかったのだから、いつの間にかそこに立ってた?それとも気付かないうちに立ち止まってずっといた?
もし、コンビニに行くためにドアを開けていたら…どうなったんだろう。
人生で初めて、嫌な汗というのをかいた。
音は段々遠ざかって、エレベーターの辺りで消えた。
怖くてしばらく動けなかったのだが、それ以降は音の主は来ていない。
やっと気持ちがなんとか落ち着いたので、とりあえず魚たちに装飾品のサンゴを買って、ありがとうと言ってログアウトした。
飼っている犬や猫が威嚇してくれたり退治してくれたりする話は聞いたことがあるが、まさかゲームの魚が警告してくれるとは思わなかった。
生き物でも道具でも何にしても、大事にしていこうと思う。
そして今夜はもうコンビニには行かない。
(了)
133:
三十五本目の蝋燭が消えました・・・
零 ◆DV7MsdFKN7E8さん、第三十六話をお願いします
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134:
ぬいぐるみ
娘が小さい頃。
とても娘を可愛がってくれた知人がいた。
仮にAさんとしよう。
Aさんは既に50代半ばでしたが、子供には恵まれず、まるで自分の子にするように、娘を溺愛していました。
ある時、Aさんはちょっとした病気を患い、入院することになりました。
深刻な病気ではなく、病室に行っては冗談を言い合い日々を過ごしていました。
それから気がつくと、既に一ヶ月を過ぎていました。
筋肉質だったAさんは、体力が落ちるのを嫌い退院をお願いしていたのですが、なぜか中々許可が降りないのです。
そのくらいの時期からだったでしょうか、Aさんが深夜に訪ねてくる子供の話をしはじめました。
勿論そこは無いか病棟で、子供中学生くらいしか居ませんでしたし、個室にいる強面のAさんにわざわざ会いに来る子供などいないと思っていました。
更に三ヶ月がたちました。
相変わらず、大きな原因がわからないまま入院を続けるAさん。
その頃には転院の話が出たりもしていました。
元気なときからは見る影もなく痩せこけ、時折落ち窪んだ目をギョロギョロと巡らせ「そこにいたのか、この飴喰うか?」と、誰も居ない空間にあめ玉を差し出したりしていました。
あまりの痩せように怖くなり、なんとなく病院にいく足が遠退き出した半年頃、Aさんの居る病院の看護婦から、来てほしいと伝言がありました。
135:
本当は家族には見せたくなかったのですが、Aさんの希望で家族でいくことにしたのです。
病院につくと、Aさんは、いつになく上機嫌で、2体の大きなクマの縫いぐるみを出してきたのです。
どうしたのかと、問いただしてみたのですが、自分が買ってきたものだと言い張ります。
そんな縫いぐるみが買えるような店は近くにはないし、第一その頃にはAさんは、歩けなかったのです。
この縫いぐるみを娘といつも来てくれる子にあげるのだと、嬉しそうに言います。
私は、正直怖かったですが、彼が納得するならと受け取り片割れを渡す相手を探しました。
それから暫くはあちこち探しましたが見つからず、結局Aさんから渡すことになりました。
経緯の良くわからない娘は大きな熊に大喜びでした。
そこから更に三ヶ月後。
病院から電話がありAさんがなくなったことを知りました。
Aさんは既にほぼ天涯孤独だったため色々な連絡は私に来ていました。
娘の居ないうちにと思い、急いでAさんのもとに駆けつけました。
粗末な着替えが少しと、死期を予期したかのような遺言めいた手紙と、身の回りのものが少ししかありませんでした。
縫いぐるみがなかったけれど、きっと渡せたのだろうと、気にせず事後処理に終われていました。
葬儀やなんやかんやと終われる日々の間、娘からは何度か、「大きな熊のおじちゃんがいなくなったよ?」
「熊のおじちゃんと熊がいたよ」等といっていたように思いますが、耳に入らないほど色々に終われていました。
葬儀まで終わった次の日の事です。
136:
夜も更けきった時間に、リビングから笑い声がするのです。
「娘が起きたのかしら?」そう思いながらリビングに向かい、そこに写る影に驚きました。
娘が熊の縫いぐるみ相手におままごとをしていたのですが、隣に…大きな男。更に…何故かもう一つの熊の縫いぐるみ。
呆然と、どれくらいの時間がたったでしょうか。
フローリングに石が落ちるおとで我に帰り弾かれたようにリビングに続くドアを開けました。
はたして、娘はそこに居ました。
にこにこしながら、「はい、これは熊おじゃんのだよ」「これは○○ちゃんのだよ」「ほらほら、ママもすわって、ねぇ?」
血の気の失せる思いで娘を抱き上げようと手を伸ばしたその時。
娘が中に浮き始めたのです。
その両手を熊がもち、Aさんらしき黒い影が、「寂しいんだよ、怖いんだよ。いっしょに、一緒に」そこからは死に物狂いで大声で叫びながら娘にたどり着き、自分の胸に抱き締めたところまでは意識がはっきりしています。
熊A「あーあ、しっぱいしっぱい」熊B「お友達増えると思ったのに」
熊AB「でも、おじちゃんは僕たちのものだね。」
そう言われながら、Aさんは熊に両手を引かれゆっくりと消えていきました。
あの二匹の熊は、今もお友達を探して、さ迷っているのでしょうか。
137:
三十六本目の蝋燭が消えました・・・
引き続き、零 ◆DV7MsdFKN7E8さん、第三十七話をお願いします
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138:
教祖様
少し変わった怖い話をしてみましょう。
オカ板に来るような方なら、一つや二つオカルトに係わる黒歴史があるのではないでしょうか。
この話も、もとはそんな話の一つです。
中学生の頃、バリバリ厨二病だったわたしは、同じく全開のKくんY君と、異世界ごっこ(恥ずかしい…)をやって遊んでいました。
この遊びは何てこと無い、体育館の二階席の通路に入り口を作り、そこから先は異世界であると設定して、妄想で遊ぶのです。
勿論その日も同じ様に扉を作り(頭のなかで)その扉をあけてなかに入ったのです。
その日に限って、なんとなく、そうなんとなくなんですが、回りが歪んだような気がしました。
一瞬不振に思いましたが、扉を抜けた先はいつもの場所だったので、気にせず遊んでいました。
そのうちY君がなんだか「チクチクする」と、言い出し、私もなんとなくチクチクして嫌な感じがあったのでもう帰ろうとK君に言いました。
139:
すると、K君は「あそこにあるのが見えるだろ?あれを捕まえてから帰ろう。」と、言い出しました。
勿論、妄想だと思っている私は、その見えないなにかを一緒に拾い上げました。
確かに重さがあるのです。
(あぁ、これが集団催眠か)なんて大人みたいなことを考えながら一緒に運び扉から出ました。
それから数十年たち…K君は立派な教祖様になっていました。
あの日持ち帰った「何か」をご本尊にして。
私はこの話を聞いてから、一切K君にあってはいません。
Y君にもです。
なぜなら、あれからさほど日のたたないうちに、どちらの家も葬式をだし、にやにや笑うK君を見てしまったからです。
(了)
140:
三十七本目の蝋燭が消えました・・・
マモノ ◆100mD2jqicさん、第三十八話をお願いします
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141:
【第三十八話】『モヤモヤ』
(1/2)
怖くもない軽い話をひとつ。
父方の祖父は僧侶だった。
酒の飲み過ぎで喉を傷めて僧侶を辞めたと聞いていた。おいおい。
まぁそんな祖父だが、朝に夕にときちんと仏壇に向かって
経をあげるために、立派な木魚や大型の磬子(きんす)なんて物も
置いていた。が、その横には熊の敷物(頭も手足もついてるヤツ)やら
子鹿や鳥の剥製やら、成金くっさい物もずらりと並んでいる。
真面目なんだか不真面目なんだか。供養のつもりでは、おそらく無い。
軽くカオスな仏間だけれど、夏は非常に涼しいため、お気に入りの
遊び場だった。
幼稚園の頃かと思う。
近所に同じ年頃の子供が少なく、一人で遊ぶことも多かった。
仏間で一人で遊ぶ時、よくやっていたのが『モヤモヤを見る事』。
仏間の、特に仏壇の周りなんかを見ていると、なんかモヤっとした物が見える。
あちこちに見える。
いっぱい見える。
大きいのやら小さいのやら、不定形。
煙っぽいわけではない。あえて言うなら『空気の塊』という感じの物。
影送りって遊びがあるらしいけど、ああいう陰性残像とはちょと違う。
今では何が楽しかったのかわからないが、とにかく楽しかった。
まぁ空の雲や木目の形に顔だの動物だの見出す遊び、
あれと似たようなものだったのだろう。
ブワッと現れてはスーッと消える。それらを見て楽しんでた。
…本当に何が楽しかったんだろう。我が事ながらサッパリわからん。
そんな遊びの中、唯一憶えてるのが「あれ(細長い40cmくらいの
モヤモヤ)は女の人!」と思った事。
一体何を見て何を思っていたんだろう、あの頃の自分。
142:
(2/2)
という所までざっと書いて、結局百話到達しそうだしオチも無いし
まぁいいやと放置したのだろう(過去にそういう事があった)。
今年になって「書き留めておいたものがあったなぁ」と思い出し
2012年、じつに4年前の日付のファイルを開いてみたのだが…
その『唯一憶えてる』のを、今憶えていない。
確かにモヤモヤ遊びは憶えているが
「人のモヤモヤ。怒ってる」とか色々感じていたのを憶えているし
「女の人!」というのは憶えていない。
その上、今憶えていないものが当時唯一の記憶だった??
しかも百物語に投稿しようとしてた???
百物語終盤のハイ状態で何かおかしくなっていたのか…。
皆さんの中にもし「昔なんだかんだで投稿やめた」って話の
ファイルがあったなら、久し振りに開いてみると意外な話が
隠れているかもしれない。お試しあれ。
【了】
144:
三十八本目の蝋燭が消えました・・・
茶屋 ◆9AuhBEUXVgさん、第三十九話をお願いします
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145:
「クラシック喫茶と友人の話」
もう十年程前。
当時地元にクラシック喫茶があった。
小さい二階建てビルの二階にあって、内壁は黒っぽい木張り。
洋風の窓が西向きに4つ、大きな白塗りの四角い柱が、入り口入って右側と左側に一つづつ。
昼間は明かりをつけてなくて、窓はそれなりに明るいんだけど貼られている板が黒っぽいせいか、店内は妙に光が回らず暗かった。
けどそれが落ち着いた雰囲気を出していて自分は好きだった。
まだ高校生だったその日、学年が変わってから仲良くなった友達一人と昼過ぎにそこへ行った。
学校の都合で振替休日になった月曜日だった。
ランチタイムも過ぎていたし、もともとお客が多い店でもなかったので、その時も自分と友人の二人だけ。
入って右側の柱を背にして私が座り、友人は反対側の、壁に沿って長椅子みたいに作られている席に座った。
その頭の上に四角い大きな銀縁の鏡がかけられていて、自分の顎から上が映っていた。
つまりほとんど柱が映っていた。
珈琲を飲みながらしばらく喋って、適当に話題が切れかけてボヤッとし始めた頃、ふと変な感じがして目を上げ鏡を見た。
白っぽいはずの柱が映っているのに妙に暗く感じたからだ、視界の端で。
すると鏡の中の柱の前に、見知らぬおばさんがいた。
(続)
146:
自分の椅子はほぼ柱にくっついているので、人がそこに立てるはずがない。
え? と思って目を凝らすと、おばさんは立っているのではなく柱にくっついている。
腰から上が壁掛けの剥製の鹿の頭みたいに、壁の中から伸びていた。
そして鏡に映った自分の頭の上で両手を上げ、マリオネットを操るみたいな感じで止まっている。
いや、掴みかかろうとしている?
目を離せないまま友人に、柱に何か見えるか聞いてみたが、友人の反応だけでも
(あ、何もいないんだな)
ということはわかった。
おばさんは糸の細い生成り色のセーターを着て、髪の毛はパーマをクルクルに当てたショートだった。
服は地味だが関西のおばさんみたいだった。本当に見覚えがない。
そしてどんどん体を倒し、自分の上に覆いかぶさってくる。
それが腰を曲げるというより、蛇みたいにぐにゃりと胴体を歪ませる感じでゾッとした。
両腕を広げて手にも力が入り、見開かれていくせいでは絶対無い、黒目が異様に小さく縮んでいき、白目は血走って既に真っ赤だった。
そういう様子が鏡の中には見えるのだが、どうしていいのかわからず体が動かせない。
おばさんはジリジリ迫ってくる。
何も居ないはずの頭の上から冷たい息遣いが感じられ、それも上からのはずなのに音は耳のすぐそばで聞こえて、ビクッとして椅子から跳ねた。
おばさんの両手が迫ってきて、ついに自分の頭を両側から締めようとした時
かかっていた有名クラシック曲がコーラス部分に入って、いきなり大音響で店内に響いた。
(続)
147:
「あ、ゴメン!」
という店主の声がして、すぐに音量は下がった。
タイミング悪く体か服が触れて、ボリュームを大きく動かしたらしい。
驚いて一瞬何もかも忘れてレジの方を見て、すぐに友人と顔を見合わせ、それから鏡を見たら
おばさんは消えていた。
バッと振り向いたが当然柱には何もいない。
「音にビックリして消えちゃったねー」
呑気な友人の声に(はあ!?)と、おばさんを見た時より愕然として振り向くと
「もう少しでヤバそうな感じだったけど、コーラス来たら消えるかと思ってたから良かった」
声は呑気だが凄い無表情だった。
逆にその顔が怖いくらいだったが、カッとして、じゃあ何でさっき何も言ってくれなかったんだと怒ったら
「だってあの時こっちも気づいてるって知られたら、俺の方に先に向かってきたし、
そしたらもう対処しようがなくなるし」
友人が言うには、あのおばさんはとにかく誰かを自分の方へ引きずり込みたがっていたらしく、触れられたらどうなるかはわからなかったが
「体調を崩すとか事故に合うとか、最悪そのまま引きずり込まれて消えちゃうか。
そうなったら店主にどう言ったらいいやら、警察にどう言ったらいいか、とか」
正直その方が不安だった、という友人の頭を、思わずメニューでバンッと叩いた。
(続)
148:
友人は関西方面の、とある筋の分家だそうで、
「だからあのオバサン関西っぽかったし、自分がいたせいで寄ってこられたのかも」
と、やや申し訳なさそうだった。
他人を引っ張ろうとしていたのは、友人にはおばさんがブツブツしゃべっていたのが聞こえていたそうだ。
なぜ、とか、自分がー、とか、お前も、とか、そんなふうな事を。
そんなに寄ってこられるのか聞くと
「時と場合と、あと相手にもよる。
ただ自分は基本的に、跳ね除けないで寄せちゃうらしくて、そのうち本家に引き取られそう。
こういうのも役に立つから」
どうしてか問うと
「相手が出てこないと祓うとか何とかしたくても、できないでしょ?
隠れられると」
一緒にいて出てきたってのは良い傾向じゃないから、あまり自分と遊ばないほうが良いかもしれない、と、その時だけ俯いた。
翌月、友人は転校していなくなった。
家はそのままで引っ越してないのに。
本家に行ったんだろうか。
そのことは友人にとって良かったんだろうか、どうなんだろうか。
寄せるという力は辛くはないんだろうか。
そんな事を今でも思い出しては考えます。
少しボカシたけど、わかるだろうか。
ここを見てないだろうか。
(了)
149:
三十九本目の蝋燭が消えました・・・
リコピン ◆86twEGG8eEさん、第四十話をお願いします
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150:
【第四十話】 『ポケモンGO』
(1/2)
いやぁ、流行ってますね。
かく言う私もハマっておりまして、すっかりアウトドア派になっております。
些細なことですがコンビニ行く時なんかも、少し遠い店舗まで足を伸ばしたり、となかなかポケモン中心に生活をしているそんなある日の事です。
前日の金曜は朝までしこたま飲みまして、目が覚めたのはすっかり日が落ちてからでした。
そこから二日酔いで苦しみつつ、回復のち空腹の為コンビニまで食料調達へ行ったのです。
時間は23時を過ぎた頃でした。
少し遠い、歩いて15分程のコンビニまでポケモンをしつつ向かいまして、とろろ蕎麦とポカリを入手致しました。
本当になんとなく、いつもとは違う道で帰ってみることにしたのです。
今考えてみればポケストップなんて一個しかない裏路地だったので、なんであの道で帰ったか本当に悔やまれますよ。
ポケモンいねぇなー、なんて呟きながらノロノロと帰路に着いておりました。
街灯もほとんどなく、人通りは全くありません。
まぁ民家ばかりなので、ちょっとおかしな方に遭遇しても助けてもらえるだろうとタカをくくっていたのです。
すっ、と空気が変わる瞬間って言うのでしょうか。
思わずスマホの画面から顔をあげました。
見覚えの無い風景。
当たり前です、初めて通る道なのですから。
でもね、見渡すとどこかで見た事のあるアパートがあるんですよ。
すごく古くて、きっと木造の二階建てアパート。
151:
(2/2)
なぜ見覚えがあるかは見当がつきません。
でもベランダのあたりなんて凄く見覚えが…おっと、ベランダに人がいた。
これじゃあ私がおかしな方になってしまいますよ。
さりげなく視線を逸らしつつ、またスマホをいじりながら歩き始めた時、なにか既視感のようなものを覚えました。
スマホを見て、振り返ってアパートを見て。
あ。
このアパート、事故物件サイトで見たわ。
と、ようやく気付いてからのスタートダッシュはとても二日酔いのアラサーとは思えない素早さだったと今振り返っても驚きます。
今のマンションに越してくる際、某有名事故物件サイトで確認した時に最寄りの事故物件として表示されていたのがここでした。
アパートの二階、ベランダに死体遺棄。
そして例のアパート写真が添付されていたのです。
なんだかお盆のせいか導かれるようにたどり着いてしまい、しばらく動悸冷や汗が止まりませんでした。(二日酔いではない)
でも今は人も住まれている様ですし、問題は無い物件なのだなぁと安心しつつ、皆様もポケモンGOは周りに気をつけて楽しみましょう。
【了】
152:
四十本目の蝋燭が消えました・・・
だんだんと夜も更け、怪しい気配も色濃くなってきてまいりました。
皆様はご無事でいらっしゃいますでしょうか?
怪異に魅せられた者には怪異が集まるというもの。
ここからしばらく怪談から目を離し、ゆるりとくつろいでみませんか?
こちらのお席(したらば)で語らうも良し、
怪異に見舞われた方はこちら(2ch.net)から語っていただくというのも歓迎ですよ。
10分後の世界でまたお会いいたしましょう。
どうぞ皆様それまでお気をつけて。
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153:
皆さまおくつろぎいただけましたでしょうか?
怪しに誘われてしまった方はいませんか?
ご無事でお会いできて何よりでございます。
さぁさ、改めて怪談を語っていただきましょう。
ここから先は人も怪しも混じり合う時間。
ひょっとしてあなたのお隣の方はこの世の方ではないのかも…
お気をつけてお進みください。
ではオダヤ ◆TV4o5p2DLQさん【第四十一話】をお願いします。
154:
【第四十一話】  オダヤ ◆TV4o5p2DLQ 様
『バード・マン』
それは確か中学の音楽の授業中だったと思う。一般の校舎と特別教室のある校舎そしてその中間に中庭がある。
そして特別教室のほうで授業を受けていたんだけど、ふと気が付くとなんか周りが静かで暗っぽくなってたんだよ。
そして教室を見渡すとなんか知らんけど皆動いてないんだよ。当時胸とか触るぜとかいう嗜好が出てこなかったわけだね。
そして困ったんで他所を見てこようと思い廊下に出て他を覗いても同じ感じだった。
それでもうろうろしてるとここ2階だったんだけど下のほうから羽音みたいなのがする。
見てみると中庭にでかい鳥に乗ったおっさんがいて鳥から降りる所だった。
他にも動いてる人がいるけど凄く怪しいと感じて自分なりに窓からこっそり見てたんだけど花壇の花を少し取ったりその辺をうろうろしてるだけだったな。そうこうしてるのをみて興味をなくしかけてたんだけどまた鳥に乗ったんよ。そしてそのまま飛んでった。
その後なんか自分から見て端のほうから景色が明るくなり音もするようになってきた。
そこで自分は思ったね。戻ったんじゃねえかこれ。抜けたのがばれるとやばい早く戻らないと。
全力で教室へ戻り何もない感じで授業を受けてそのまま学校を終えて帰宅したからあれ何なのかとかは全然判らんがな。
【了】
155:
四十一本目の蝋燭が消えました・・・
千夜 ◆3p39JZkKQEさん、第四十二話をお願いします
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156:
『 恩返し』
つい最近の事です
私はいつも玄関の近くの階段でタバコを吸っています
夜になると誰かが外を歩く音が聞こえたり、鍵が締まってるはずの玄関の扉が開いたりしてました
それが何日も続いたので私は線香を焚いてみました
すると、その日から歩く音や玄関を開けられたりなどがなくなりました
私はあぁやっといなくなったんだなぁと思いました
そして次の朝いつものようにタバコを吸いに行くと灰皿が綺麗になっていました
親に聞いても掃除なんてしてないと言われました
その時ふと思ったのです
きっと外を歩いてたのが掃除をしてくれたんだなと
それから私は毎日線香を焚いています
【 了】
157:
四十二本目の蝋燭が消えました・・・
オダヤ ◆TV4o5p2DLQさん、第四十三話をお願いします
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158:
【第四十三話】  オダヤ ◆TV4o5p2DLQ 様
{アンコントロール}
これは高校の時だな。
今思うと予兆ぽいものはあった。
最初は持ち込んでいた腕時計が逆回転をしてから凄い勢いで元に戻ったな。
次に当時の友人とたわいもない話をしていたときに何故か相手の次に言う台詞が判っちゃった。
正直君が悪かったけど普段の会話だしなんとなく似たような事言うだろうと思い込んで誤魔化した。
まあそれだけならまだよかったんだけどね。午後になって自分の台詞も事前に判りその通りになったんだ。
最後は身体自体もだ。なんかもう自分がゲームのキャラでコントローラー取られた感じがしたね。
それぐらい不自然で違和感があった。幸いその日だけで寝て起きたら治ってたけどね。いやあ不思議だった。
【了】
159:
四十三本目の蝋燭が消えました・・・
ふらんく ◆WiTrmMMqSYさん、第四十四話をお願いします
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160:
おや?
ふらんく ◆WiTrmMMqSYさんがいらっしゃらないようです・・・
ご無事であることをお祈りいたしております。
オダヤ ◆TV4o5p2DLQさん【第四十四話】をお願いします。
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161:
【第四十四話】  オダヤ ◆TV4o5p2DLQ 様
[でかーい]
これは今年の春の話だ。
当時近所のデパートのフードコートで友人と昼飯食べようとしてた時のことだ。
自分が何処で食べるか店見てると「おい、あれみえるか」と友人が肩をつついてくる。なんだよおいと思いつつみてみると巨人がいた。正確には警備員の服を着た自分の倍以上でかい男がいた。
窮屈そうに背をかがめてなお天井にあたりそうな感じできつそうだった。
「ああなんかでかいな。警備員なのか?」
唖然としてあいまいな返事を返しながら二人でそいつをみてる。周りにも当然人はいるが特に騒いでないし注目もしていない。
なんかよくわからんが騒ぐのはまずそうだなと感じた。そこで俺らは強引になんか凄く育ちすぎたここの警備員さんもしくは気のせいや見間違えということにしようという事になった。
なおそのでかい人はこれまた狭そうにエスカレーターで上階に移動していった。
彼のその後とかなんだったのかは知らない。
【了】
162:
四十四本目の蝋燭が消えました・・・
千夜 ◆3p39JZkKQEさん、第四十五話をお願いします
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163:
『 マンションで…』
これは私が彼氏と同棲してた時の話です
彼の家は家の裏に踏切があり夜中までとてもうるさいんです
いつものように私の彼は朝の6時半に家をでます
私はそれを見送って洗濯機を回してからまた寝直しました
それから昼に起きて家事をしていつの間にか夕方になっていました
彼が帰ってくるのはいつも20時過ぎぐらいで帰ってくる時は必ず連絡を入れてくれます
ですがその日17時頃に玄関のドアノブがガチャガチャガチャガチャと動いてました
私は彼が脅かそうとしてるのかな?と思いのぞき穴で見てみると誰もいません
なのにドアノブはガチャガチャガチャガチャと動いてるままです
私は怖くなり布団を被って彼に連絡しました
もう帰ってきたの?イタズラは辞めてよ…と
彼からの返事は今仕事が終わって今から帰る、イタズラって何の事だ?と
私は更に恐怖で布団から出る事は出来ませんでした
彼が帰ってくるまでガチャガチャガチャガチャと音は止みませんでした
彼が帰ってきて経緯を話すとただの悪戯だろと言われました
私はその言葉に安心しゆっくり寝ました
そして、朝起きてニュースをみて驚きました
昨日の17時頃に彼の家の裏の踏切で人身事故があったそうです
あの時のドアノブがガチャガチャと動いていたのと関係があるのでしょうか
【 了】
164:
四十五本目の蝋燭が消えました・・・
オダヤ ◆TV4o5p2DLQさん、第四十六話をお願いします
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165:
【第四十六話】  オダヤ ◆TV4o5p2DLQ 様
{だがあえてスルー}
多分これが一番最初だと思う。
当時小学生だったんだが蝉取りにいこうとしてたんだよ。家でて坂を上った辺りで交通事故かなんかで死んでるっぽい
倒れた自転車とその横の頭割れてる感じの当時の自分よりやや上の少年が倒れてたんだよ。
警察に連絡すると面倒そうだなあ。よし死んでるぽいし誰か大人が見つけてなんとかするだろよくしらんけど。
こんな感じで決め付けてみなかった事にして蝉取りに出かけた。
夕方満足して帰るとちゃんと消えてた。
誰か連絡したんだなと思い帰宅した。
なんとなく気になってたけどニュースにもならないし親も知らないらしい。
まあどうでもいいかと当時は思ったがあれ世にも珍しい幽霊の死体だったのかなあなどと今は冗談的に思う。
【了】
166:
四十六本目の蝋燭が消えました・・・
千夜 ◆3p39JZkKQEさん、第四十七話をお願いします
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167:
『 神隠し』
これは私が2歳くらいの頃の話です
この話は母から聞きました
ある夏の日私の家族と親戚一同で釣りをしに行きました
私以外の人達は釣りに夢中になってたそうです
15分ぐらいに母が私を呼んでも返事が無かったそうです
それから母たちは慌てて私を探したみたいです
すると、私は釣りをしてた場所から3キロ以上も離れた所でお爺さん達とお茶を飲んでたそうです
家族や親戚は最初はお爺さん達が誘拐したと思ってましたがお爺さん達は皆口を揃えてこう言ったそうです
何もない所から急に現れたと
私の家族や親戚は驚愕したそうです
ハッと我に返った母が私にどうやってここに来たのかきいたところ
白いおヒゲのおじぃちゃんが連れてきてくれたママに会いたいって言ったらここに置いてくれたと言ってたそうです
それを聞いた祖母は龍神様が気に入って連れていこうといたんだろうねと呟いたそうです
もしあの時私が母に会いたいと言わなかったらきっと今でも行方不明のままだったでしょう
【 了】
168:
四十七本目の蝋燭が消えました・・・
ふらんく ◆WiTrmMMqSYさん、第四十八話をお願いします
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169:
【第四十八話】  ふらんく ◆WiTrmMMqSY 様
[緑色]
母の車に乗っていたときの事。運転席の母が「そういえばここでUFO見たよね。
なんか急に緑色の光はなって消えたの」と言った。しかし自分はそんな覚えはない。
母が「UFO!」とさけんでそちらを見たのは覚えているのだが、その後の記憶が曖昧なのだ。
もしかして緑色の光を直接見たから記憶を消されてしまったのだろうか。母は光ったのはわかったが、
運転のため前に視線を移していたので直接は見ていないと言う。何かまずい気がして、
記憶がないことは母には言っていない。
【了】
170:
四十八本目の蝋燭が消えました・・・
オダヤ ◆TV4o5p2DLQさん、第四十九話をお願いします
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171:
【第四十九話】  オダヤ ◆TV4o5p2DLQ 様
{参ろうか}
いくつかの経験から経験則的な行動で回避と見ないし聞こえてないふりをする事でオカルト臭い物に
出会わないようになったんだそう最近まではな。
ええ去年久々に起きちゃったよ。
去年の年明けから夢をみるとなんか声が聞こえるんよ。
「年内にお前は伊勢神宮へ行け。そして?をしてこい」みたいな感じでな。
毎日じゃないけどそこそこでてきたんで半年ぐらいしてきれて「何でいかなきゃいけねーんだよ。
何が起ころうが別に関係ねーだろ。地震とかおきてみんな死んだとしてもそれはそれでいいわ」
とかいったら諦めたのかでなくなった。
まあ年末にそろそろサミットだなとかで話題になって思い出してなんとなくいっとくかと思い直して
出かけてうろおぼえだけどやってきた。
天皇と縁があるらしい場所に何でいけといわれたのかは知らん。
有楽斎の系譜だし貧乏で顔も性格も悪いから嫁もいない末代の予定の男だしね。
【了】
172:
四十九本目の蝋燭が消えました・・・
上京区堀川 ◆tOdrgMGQIwさん、第五十話をお願いします
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173:
平成の恐怖
2-1
こんなことを書くと不敬と言われそうだけど、現在の年号「平成」は不吉な意味があると言われている
これは、俺が歯医者の待合室で見た古い雑誌に出ていた話をまとめたもので
記憶が曖昧な部分があるのをあらかじめお断りしておく
「平成」の成という漢字は実は過去に年号に使われたことが一度もない字である
意外な気もするが「成」には「戈(ほこ)」が含まれるため、戦乱を呼ぶと考えられたからだ
平成の「平」には「干」という字がが含まれるので、平成は「干戈」つまり戦争という意味になるのだそうだ
174:
2-2
また、平成以前から平成という地名が全国にあり、年号が決まった時にマスコミが押し寄せたそうだが
それらは山の中など僻地ばかりであったそうだ
そしてそれらの土地はみな平成と書いて「へなり」と発音されていた
変な訓み方だが、すべてでそう訓む以上、「平成」と書いて「へなり」と発音するものが有ったという事だ
実は「平成(へなり)」とは古い日本語で墓地の事なのだそうだ
平成は戦争を暗示するうえに墓地を意味する不吉な言葉なのである
最近、天皇が退位を仰っておられるが、そんな訳だから俺は生前退位に賛成だ
【了】
175:
五十本目の蝋燭が消えました・・・
だんだんと夜も更け、怪しい気配も色濃くなってきてまいりました。
皆様はご無事でいらっしゃいますでしょうか?
怪異に魅せられた者には怪異が集まるというもの。
ここからしばらく怪談から目を離し、ゆるりとくつろいでみませんか?
こちらのお席(したらば)で語らうも良し、
怪異に見舞われた方はこちら(2ch.net)から語っていただくというのも歓迎ですよ。
20分後の世界でまたお会いいたしましょう。
どうぞ皆様それまでお気をつけて。
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176:
すっかり外は明るくなり、怪しい気配も薄らいで参りましたね。
本日の進行もいよいよ残り数話とさせていただきます。
お待たせいたしました。
それではふらんく ◆WiTrmMMqSYさん【五十一話】をお願い致します。
177:
【第五十一話】  ふらんく ◆WiTrmMMqSY 様
『女』
1年程前の夜中にふと目覚めた時の話。
暗闇の中、カーテンの隙間から街灯の光が差し込んでいて、何気なしにそちらを見た。
すると真っ暗な部屋の中、光に照らされた女が立っていた。あまりの驚きに固まっていると、
女は全身がポリゴンでできているかのようになったかと思うと、下から崩れるように消えてしまった。
少し経って落ち着いた頃、一瞬見えた彼女の顔に見覚えがあることを思い出した。
どことも知れない道を見知らぬ少女と2人で歩いているとゆう夢を少し前に見たのだが、
その少女の顔が女の顔を幼くした感じだったのだ。そして、もう一つ思い出したことがある。
子供の頃母と観覧車に乗ろうとした時、乗り口で「3名様ですか?」と聞かれた。その日は雨で自分と母以外には
観覧車に乗ろうとしている人はいなかったし、後ろどころか近くには誰もいなかったのにだ。考えすぎかもしれないが、
あの女はずっと自分の近くにいたのかもしれないとふと思った。だとしたらなぜ急に見えたのだろう。
女が誰なのかは、いまだにわからない。
【了】
178:
五十一本目の蝋燭が消えました・・・
オダヤ ◆TV4o5p2DLQ さん、第五十二話をお願いします
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