2chオカルト板・百物語2016 【第五十五話〜第百話】back

2chオカルト板・百物語2016 【第五十五話〜第百話】


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第六十七話「屋根の上の飛行機」
僕が小学2年生の時。夏休み前の学校で体験した話。
給食を食べ終えた昼休み。
二階の校舎の廊下から何気なく外を眺めていた。すると民家の屋根の20メートルほど上空を、強く輝く飛行物体がゆっくりと旋回しているのが見えた。
ゆ、UFOが、真っ昼間にこんなに堂々と空を飛んでいる?
驚いて見ていると、太陽光線の反射から抜け出した飛行物体が、本当の姿を現した。
それはただの飛行機だった。そう、ただのジャンボ旅客機。
でもオカシイ。そのジャンボ旅客機は、セスナ機ほどの大きさしかない。
小さなジャンボ旅客機が、民家の屋根に着陸するかのように、低くゆっくりと旋回している。
奇妙なことに、エンジン音が全く聞こえない。
セスナ機ほどの大きさで、エンジン音がしないということは、これはハングライダーだ、そうに違いない。
そう思いよく観察して見ることにした。
しかしその飛行機は、どう見てもジャンボ旅客機にしか見えない。
ジャンボ旅客機そっくりのハングライダーが開発されて、それの試験飛行なのか?
それにしても、こんなに低いところを飛んで、法律に違反してないのか?
墜落したらどうするんだろう?
小学2年生ながら、いろいろな不安が頭をよぎり、見ている僕のほうが怖くなってしまった。
僕の心配をよそに、小さなジャンボ旅客機は、あっという間に雲の中へ消え…たりはしなかった。
その小さなジャンボ旅客機は、低い高度を保ったまま、悠然と飛び去っていったのだった。
―――「終」―――
239: 進行(仮) ◆omhwczk6HQ @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 21:59:19.90 ID:gRNkBr9A0
六十七本目の蝋燭が消えました・・・
先程のお話は豚神アキラ ◆yaUIO7WTug様でした。ありがとうございました。
もち ◆m2nIThBwKQさん、第六十八話をお願いします
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240: わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 22:00:32.28 ID:d+jFkzTK0
【第六十八話】 もち ◆m2nIThBwKQ 様
『すれ違った』
(1/3)
学生時代の友人のKは早朝のジョギングを日課にしていました。
当時住んでいたアパートから1kmほど離れたところにある公園。
まずは公園までゆるいジョグで向かい、公園内にあるちょっとした池の周りを
周回します。5周ほどすると大体トータルで5kmくらいになるので
そのノルマを終えたらまた自宅まで戻る、というのが彼の定番ジョギングコースでした。
時間は早朝。早ければ5時過ぎには起床して身支度を調えて出ていました。
池の周回コースは路面に100mごとのラインが書かれていて
しっかりアスファルト舗装もしてあるので、早朝の公園には彼と同じように
ジョギングを楽しむ人達がそれなりにいたのですが、さすがに5時台には数は少なく
彼がノルマを終える頃に、ジョギングウエア姿の人が集まってくる
といった感じだったそうです。
その日、Kが目を覚まして時計を見ると時刻は午前4時を過ぎたところでした。
「走るのにはまだ早いよなぁ」と考えたそうですが、結局は支度をして出かけました。
外はまだ薄暗く、街灯も点いているような中を公園に向かってのんびりとジョグ。
公園に入るといつもの池の周回コースを走り出しました。
一周目、さすがにこの時間はまだ誰も走っていません。
二周目、そろそろ明るくなりつつある空を見上げながら、コースを文字通り独走。
そして三周目に差し掛かったところで、彼の先を歩く男性の背中を見つけました。
241: わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 22:02:08.75 ID:d+jFkzTK0
(2/3)
男性はのんびりと歩いているので、軽いジョグのスピードでもすぐに追いつきます。
Kは男性を追い抜き様に、いつもそうしているように「おはようございまーす」と
挨拶をしながら男性を追い抜いて走り続けました。
男性から挨拶は帰ってきませんでしたが、特に気にすることはありませんでした。
三周目を終えて四周目、何事もなく周回を終えます。
汗をタオルでぬぐいつつ五周目に入って直線に入り間もなくすると、
先程挨拶をしたと思しき男性がこちらに向かって歩いてくるのが見えました。
六十歳過ぎくらいの帽子を被った、Yシャツに灰色のスラックス姿の男性は
Kに気がついたのか、軽く手を挙げて会釈したそうです。
そして距離が近づき、すれ違う手前でKも会釈をしたのですが、すれ違うその瞬間。
「はやくみつけてくださいね」
その男性は穏やかな声でKにそう言ったそうです。
当然Kは「なんのことだ?」と思ったのですが、5周目は少しペースをあげて
走っていたので、そのまま走って行きました。
242: わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 22:05:13.83 ID:d+jFkzTK0
(3/3)
Kが五周目を終えて深呼吸を繰り返しながら公園出口へと向かう道すがら
公園の風景を眺めているとふと妙な物が視界に入りました。
太い枝ぶりの大きな木がいくつもあるのですが
そのうちの一本の木の下に「人が浮いて」いたのです。
Kは「最初、なにがそこにあるのか理解が追いつかなかった」と私に話しましたが
歩きながら木の方へ近づくと、「それ」に気づいてしまったそうです。
それは「浮いている」のではなく枝に結んだロープに吊られた人間だったのです。
Kは動揺しながらも、携帯電話で119と110に通報したのですが
警察と救急車が到着するまで現場を立ち去るわけにもいかず、
しばらくその場にいたそうです。
「すれ違ったあのおじさんだったよ」
「俺にみつけてくれって頼んだときには、もう亡くなっていたんだろうなぁ」
Kは第一発見者になってしまったので、その後色々面倒もあったそうなのですが
「ひょっとしたら、止めることもできたのかなぁ……」
そう語ったKの、なんともいえない沈痛な表情は今でも忘れることができません――。
【了】
243: 進行(仮) ◆omhwczk6HQ @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 22:07:42.49 ID:gRNkBr9A0
六十八本目の蝋燭が消えました・・・
もち ◆m2nIThBwKQさん、第六十九話をお願いします
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244: わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 22:09:39.77 ID:d+jFkzTK0
【第六十九話】 もち ◆m2nIThBwKQ 様
『喫煙所にて』
(1/3)
私自身の体験です。怪談と呼べるかどうかは疑問なのですが……。
まだJRの各在来線のホームに喫煙所があった頃の話です。
一応スタンド灰皿が用意されているとはいえ
それでもスモーカーは文字通り煙たがられていましたので
ホームの両端に白線で囲まれたスタンド灰皿が設置されていて
そこが喫煙所になっていました。
飲み会の帰りだった私は最寄り駅で降車して、すぐに喫煙所に向かいました。
煙草飲みは酒が入ると喫煙量が増えるものでして「早く一服したい」という一心で
冷たい風が吹き込むホームをまだ火をつけていないタバコを咥えたまま
改札へ向かう人の中を逆走しながら早足で歩いたことをよく覚えています。
喫煙所につくと、握りしめていた百円ライターでタバコに火をつけ深呼吸。
「ようやく落ち着いた」などと考えながら、スタンド灰皿に灰を落としました。
喫煙所には他に人はおらず、何の気なしに見上げた電光掲示板には
10分後の快がこの駅を通過することを報せていました。
245: わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 22:11:04.51 ID:d+jFkzTK0
(2/3)
タバコも短くなり、さて行くかと改札へ向かう階段に足を向けようとしたとき
「すみません、火を貸していただけませんか?」
と声をかけられました。
声の主はスーツ姿の初老の男性。」申し訳なさそうな表情を浮かべて
指に火のついていないタバコを挟んだ右手で、私を拝むような姿勢で立っていました。
私は「あ、どうぞ」と百円ライターを渡したのですがなかなか火がつきません。
ホームに吹き込む風のせいもあるのかと、男性はライターを左手で覆うようにして
何度もドラムを回していましたが、それでも火はつきません。
まだガスは十分に残っていたので、使えないことはないはずです。
男性は諦めたのか「さいごに一服したかったんですが」と苦笑しながら
ライターを差し出して来たのですが、同じスモーカーのよしみとでもいいますか
こちらも申し訳なく思って「差し上げますよ。ガスはまだありますし」と返しました。
男性は「すみません、ありがとうございます。ありがとうございます」と
かえってこちらが恐縮してしまうほど深々と頭を下げてきたのですが
明らかに年上の男性にそこまで頭を下げられては、こちらも複雑な気分になります。
私は「いえいえ、それじゃ」などと言いながら、喫煙所を後にしました。
246: わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 22:13:29.18 ID:d+jFkzTK0
(3/3)
改札へ向かう階段をのぼり、自動改札に切符を流し込んだ直後でしょうか。
チャイムの後に「お客様におしらせします」と男性駅員のアナウンスが流れ
私がさっきまでいたホームを通過する予定だった快が
人身事故により緊急停車したことを告げました。
私は「え……」と足を止めて、繰り返されるアナウンスを確認しました。
そして「『さいご』に一服したかったんですが」と苦笑した男性の顔を思い浮かべ
まさか、とは思いつつも、薄暗い気分になり、逃げるように駅から離れました。
あの男性が快を止めてしまったのか、『さいご』に一服できたのか。
それらを確認する術はありません。
ただ、その後私はホームの喫煙所に立ち寄ることはなくなり
今ではホームの喫煙所自体が無くなりました。
今から十年ほど前の出来事です――。
【了】
247: 進行(仮) ◆omhwczk6HQ @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 22:15:42.85 ID:gRNkBr9A0
六十九本目の蝋燭が消えました・・・
もち ◆m2nIThBwKQさん、第七十話をお願いします
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248: わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 22:21:02.01 ID:d+jFkzTK0
【第七十話】 もち ◆m2nIThBwKQ 様
『見つけて』
(1/4)
ある事件に関わる話になるかも知れないので
幾分ボカして書きます。ご容赦下さい。
当時、私は中学生になったばかりでした。
小学三年生の時に転校してきたF君とは、仲が良く二人でよく遊んでいました。
歳がバレてしまいますが、当時の遊びといえばファミコンがナンバーワン。
ですが、私とF君は、当時ちょっとしたオカルトブームだったこともあって
二人とも「怖い話」が大好きで、宜保愛子さんの解説付きの心霊写真本や
怪談集を読み漁ったり、仕入れた怪談や怖い話を披露したり
他に何人か集めてはコックリさんをしたり(私の地域では「星の王子様」でした)
という、いわば『オカルト友達』といった関係でした。
私自身は興味はあっても全くの0感人間なのですが、F君は時々「変な夢を見た」と
夢の内容を話してくれることがあり、それが予知夢のようなものであったり
自分のものではない誰かの視点の夢であったり、ということがあり
その夢の内容について子どもなりに色々考えたり話し合ったりすることがありました。
249: わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 22:24:13.79 ID:d+jFkzTK0
(2/4)
小学校を卒業し、同じ中学に上がってからもF君との交友関係は続いていましたが
クラスも部活も別になったので、以前ほど頻繁に遊ぶ機会はなくなりました。
中学生活にも次第になれてきて、待望の夏休み。当時はまだ昼の時間帯に
心霊特集を放送していたりしたので、F君と私はそれを楽しみにしていました。
ただF君は「夏休み中は祖父母のところに行くから、テレビは観られないかも」と
ボヤいていたので、その分は私がしっかりチェックして後で教えるよと話しました。
ですが、夏休み中にF君から遊びの誘いはなく、私も父の実家に帰省したり
部活の練習があったりとすれ違いが続き、その夏は一度も遊ばないまま
二学期になってしまいました。しかもF君は始業式に姿を見せず
彼のクラスを覗きに行っても出席している様子はなく
始業式から一週間ほどして、ようやく登校してきました。
その日の放課後、部活を終えて帰り支度を済ませ下駄箱に向かうと
F君が待っていて、話しかけてきました。
「休んでたみたいだけど、入院でもしてたの?」
「いや、そういうわけじゃないんだけど、ちょっと……」
なにかを言い淀んでから、F君は
「二人だけで話がしたいんだけど、ちょっといい?」
と、思い詰めたような表情で言うので、とりあえず近くの公園へと向かいました。
250: わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 22:26:33.19 ID:d+jFkzTK0
(3/4)
道すがら色々話したのですが、F君は上の空といった感じの相づちを繰り返すだけで
夏休みに放送された心霊特集番組の話にもあまり興味がないようでした。
小学生の頃からよく集まっていた公園にある東屋のベンチについても
F君はまだしばらく悩んでいた様子でしたが、ようやく口を開くと
「僕、おかしくなったかもしれない」と話し出しました。
なんでも夏休みの終わり頃から、毎日のように同じ夢を見ると言うのです。
「どんな夢なの?」
「小さい女の子が、話しかけて来るんだ」
「知ってる子?」
「いや、全然知らない子。親戚でも近所の子でもない」
「なんて話しかけて来るの?」
「『見つけて欲しい』って。そればっかり。いつも泣いてる。泣きながら頼んでくる」
それまでもF君の夢の話は聞いていましたが、確かに奇妙な夢です。
「眠ると、泣き声がして『見つけて、見つけて。川と山にいるの』って言ってくる」
「なんで川と山なの?」
そう訊ねるとF君は半泣きになりながら
「その女の子、バラバラなんだ。誰かにバラバラにされちゃったんだよ」
251: わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 22:28:16.24 ID:d+jFkzTK0
(4/4)
そう言ってF君は、涙をぼろぼろ流しながら休んでいた理由を話し始めました。
自分には何もできないから、と何度も女の子に話すのだけれど泣き声がやまないこと。
眠るのが怖くなって、ずっと起きているようになって体調を崩したこと。
何度も家族に話そうと思ったけれど、頭がおかしくなったと思われたら
困るから言えなかったこと。そんなことを泣きじゃくりながら話しました。
F君の取り乱しように私も混乱しましたが「バラバラにされた」という女の子が
眠る度に「見つけて」と頼んでくるなどという怪奇に背筋が凍る思いをしました。
私に打ち明けたことで落ち着いたのか、または別の何かがあったのかはわかりませんが
その後F君は普通に登校するようになりました。が、夢の話は一切しなくなりました。
F君が夏休みに帰省した先は東京都西多摩郡。1988年の出来事です――。
【了】
252: 50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 22:29:01.52 ID:W3Qnqdi40
七十本目の蝋燭が消えました・・・
さて、どうやら皆さまにお寛ぎ頂いていた場所が怪異に
遭っているようでございます。
皆さまご無事でいらっしゃいますでしょうか?
どうぞ、受付スレにてご歓談もいただければと思います。
何が起こるかわからないのがこの百物語の夜でございます。
さて、怪談を続けてまいりましょう。
私 50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOX が第七十一話を語らせていただきます。
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253: 50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 22:32:27.55 ID:W3Qnqdi40
【第七十一話】『パワーストーン後日談』
(1/2)
以前語った、友達と危険なドライブをして一週間。
僕は大好きだった車の運転が嫌いになっていた。
何故か。まず乗る時に「事故りそう、怖いな」と無意識に思うこと。
そして、左側からやってくる車がぶつかる本当にギリギリまで見えなくなってしまったからだ。注意散漫なだけかとも思ったが本当に見えてなかった。
そんな状態が続き、あまりにマズいと感じたので、以前から依頼していたパワーストーンのブレスレット製作の予約を早め、天然石をもらったお店へ顔をだした。
順調にブレスレットを作ってもらったあと、最後にそのブレスレットが自分に合っているかのチェックをするのだけど、僕の石に対する反応が真逆(拒否)をしているのを見て、鉱物鑑定士の先生が首を傾げている。
「何かあった?」と聞かれて事情を話し、変化してしまった石を先生に見せると更に険しい顔をされた。
あらゆるチェックをしたあと、先生は言った。
「だめ、入ってるね」
入ってるって何が??!
っと思いたかったが、思うよりも早く僕に憑いた何かの除霊が始まった。
ぶっちゃけオカルトや怖い話が好きだとしても、自分の身に起こるなんて思わないじゃないか。いくら思い当たる節があったといったってね?
自分の身にあんなことが起こってしまったら、もう信じざるをえないし
除霊してもらった結果、僕に憑いていたのは女性の生き霊だった。
それを聞いてゾッとした。
それは、あの日一緒に行った友達からこんな話を聞いていたからだ。
254: 50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 22:34:40.55 ID:W3Qnqdi40
(2/2)
友達はK子という。
K子は家庭のある男性と付き合っていた。つまり不倫だ。
僕が彼女と会わなくなったのは、まぁ不倫だけど付き合ってる相手がいるから、というのと、正直不倫するという感覚がわからなくて距離を置いていたからだ。
まぁ、僕が誘って遊びに行く、というのが通例だったので僕が連絡をしない限り彼女から誘われることはなく、そのまま疎遠になっていた、
そんな彼女から珍しく誘いを受け、遊びに行ったのがあの日だった。
あの日、僕はK子から嫌な話をされていた。
僕に会う前日、彼女は例のごとく不倫相手と会っていた。で、まぁホテルに行ったらしい。
が、部屋に入った時に見てしまったというのだ。
不倫相手の奥さんに背格好が似た女性の姿を。
入った時しか見ていない。バレてないからそんなのありえない。
そう彼女は笑っていたが、結局憑いてきていたようだ。
それが僕に移ってきていたらしい。
先生には「その子が珍しく誘ってきたっていうのは、無意識にあなたに憑けに来てたのね。峠を通ったって話も呼ばれたとしか思えない」
と言われる始末。
亡くなった霊よりも生きている人間の方が怖いと改めて思った出来事だった。
生きている人間の憎しみは、他人を容易に傷付ける。
あ、除霊後は運転も視力も無事元に戻っています。
【了】
255: 進行(仮) ◆omhwczk6HQ @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 22:37:01.81 ID:gRNkBr9A0
七十一本目の蝋燭が消えました・・・
上京区堀川 ◆tOdrgMGQIwさん、第七十二話をお願いします
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257: 上京区堀川 ◆tOdrgMGQIw @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 22:40:37.36 ID:gw9wxgkg0
?変人の幽霊?
20年近く前の話です
小学6年のとき、友人である同級生A君の父親が亡くなった。
この父親はいわゆる変人で、夜中にラジカセ?から演歌を大音量で流しつつバイクで
町内を走り回ったりするので近所では有名人だった。
その頃からA君が、連日青い顔をしていたので俺たちは心配し、尋ねたら・・・
父親が死んで以来、A君が寝ようとするとどこからともなくバイクの音と演歌が聞こえ、
そして枕元に父親の霊が現れ、よくわからない理由でA君を殴ってくるのだという。
俺たちは思わず笑ってしまったが、A君はマジで半泣きになっていた。
その後A君は、墓に穴があると幽霊が現れるという話を聞き、父親の墓を見に行くと
はたして墓の脇に小さな深い穴が開いていた。
ここで素直に穴を埋めてしまえばよかったのかもしれないが、毎晩殴られていた事を
思い出したA君は腹が立って、穴に小便を流し込んできてしまったのだった。
その晩A君が寝床に入ってウトウトしていたら、急に耳元でバイクの轟音が響いた、
そして川中美幸の『ふたり酒』が大音量で流れる中、怒りの形相の父親の霊が出現し、
A君はボッコボコに殴られてしまったんだそうだ。
翌日A君と俺ら仲間は一緒に墓に詫びに行き、穴もふさいだ。
するとその晩、仲間のリーダー格だったB君に元にA君の父親が現れた、そして
「あんたら、いつもうちの子と遊んでくれてありがとうな」と言って消えたそうだ。
以来、A君の元にも父親が現れることはなくなったらしい。
【了】
258: 進行(仮) ◆omhwczk6HQ @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 22:42:42.66 ID:gRNkBr9A0
七十二本目の蝋燭が消えました・・・
グース ◆lMmotZvPVYさん、第七十三話をお願いします
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259: わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 22:45:05.13 ID:d+jFkzTK0
【第七十三話】 グース ◆lMmotZvPVY 様
『独身寮にて』
先輩に聞いた話です。
当時、うちの会社の独身寮は二人一部屋の相部屋でした。K先輩と後輩のXさんの二人で住んでいましたが、勤務シフトが違う為、月に数度しか顔を合わせることがなかったそうです。
K先輩が1人で部屋にいると、壁や天井が、ミシミシ、ミシミシと鳴っていたそうです。コンクリート作りの建物がミシミシ鳴るなんておかしいな、と思っていたそうです。
ある日、久しぶりに顔を合わせたKさんとXさん、酒を飲みながらとりとめもない話をしていました。
K先輩「そうそう、そういえば、この部屋なんかおかしくないか?」
Xさん「そうでしょ。僕、先輩が怖がるといけないと思って黙ってたんですが、、1人で寝てたとき、、押入れの中から小さい女がこっちに向かって走ってきたんですよ!!」
それを聞いたKさん「あほかっ!!俺のゆーてるおかしいっちゅーのはそーいうこととちゃうわっ!!」と恐怖のあまりブチ切れてしまったそうです。
【了】
260: 進行(仮) ◆omhwczk6HQ @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 22:48:33.28 ID:gRNkBr9A0
七十三本目の蝋燭が消えました・・・
ずんちゃ虫 ◆7vU/OMinzsさん、第七十四話をお願いします
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261: わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 22:50:14.74 ID:d+jFkzTK0
【第七十四話】  ずんちゃ虫 ◆7vU/OMinzs 様
『いじめ除霊』
(1/3)
子供の頃の知りあいにNという男がいた
こいつは幼稚園時代から粗暴な性格で、意味も見境もなく、男女も問わず、周りに
いるやつに殴り掛かったり暴力を振るうので非常に嫌がられていた。
小学校に上がったころ、Nの母親が心配して有名な霊能者にNを見せて相談したら
霊能者は「息子さんには悪い霊が取りついてるためて猛々しい性格になっている、
除霊が必要だが大変な荒行になります」と言ったそうだ。
その荒行というのが狐落しみたいな方法で、大人数で滅多打ちにして霊を叩きだす
もので、うまく霊が離れればいいが失敗すると死んでしまう可能性もあると言われ
Nの親は躊躇してしまった。
そんなわけでNの暴力的な性格は小学校でも相変わらず、いやますます酷くなって
高学年になると学校で誰も相手にしまくなった。
Nの体格や腕力は平凡で、その上こんな性格だから友達なんか一人もいなかったが
地区の小学校は、おとなしい生徒が多くてNみたいなやつでもしゃあしゃあと卒業
できたわけだ、しかし中学に入るとそうはいかなかった。
262: わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 22:53:49.60 ID:d+jFkzTK0
(2/3)
中一の時にNと同じクラスだったが、Nはクラスの不良生徒に早々に目をつけられ
休み時間のたびに嫌がらせを受けるようになった。
クラスには学年でも有名な不良のボスみたいなのがいて、このボスが特にNを嫌い
Nにとっては地獄のような状況だったと思う。
体育の時間前とか昼休みには決まってNが不良集団に捕まってフクロにされてたり
大勢で上に乗っかかって白目をむくまでボディプレスとか、かなり悲惨だった。
もっともNのほうもひどい、不良生徒の持ち物を窓から中庭に投げたり、ゴミ箱の
ゴミを不良生徒に投げつけたりと下らない報復をしてた。
一度、球技大会で不良のボスへの当てつけにわざと相手のクラスにパスしまくった
時は、試合後クラスの男子総出のリンチとなったがNは最後まで懲りなかった。
翌年からクラスが変わってNとは別になったからNのことは忘れていたが、中三に
なって学校で久しぶりにNに出会った。
Nは雰囲気が全然変わっており、とても快活でまじめな感じになっていた。
しゃべり方も態度も変わっていて以前のNとはあまりに違うので驚いてしまった。
263: わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 22:55:41.60 ID:d+jFkzTK0
(3/3)
家で母にその話をするとN母から聞いた話として、先の霊能者が最近のNを見て
「霊がとれています、よほど精進したのでしょうか」と言ってたという話を聞いた。
N君はまじめに頑張ったんやねえ、と母は言うが、そんなタマじゃないはずだ。
中一の時の散々ないじめというか暴力のせいで霊が叩きだされたんじゃないかと
俺は思っている。
あれは心身にとって荒行よりも酷いものだったから。
いまではNは親の店を継いで仕事をしている。
とても愛想のいい店主だが、昔のままのNの性格だったら商売なんか絶対に上手く
いかなかったろうから、人間なにが幸いするかわからないものだ。
【了】
264: 進行(仮) ◆omhwczk6HQ @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 22:57:36.14 ID:gRNkBr9A0
七十四本目の蝋燭が消えました・・・
くらね ◆dKK.cBPcFUさん、第七十五話をお願いします
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265: わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 22:59:23.64 ID:d+jFkzTK0
【第七十五話】くらね ◆dKK.cBPcFU 様
『衣服に潜むモノ』
後輩から聞いた話。
後輩の母方の一族は元々霊感が強く、後輩の姉と母には霊が見え、また後輩の祖母には霊を払う力があるそうだ。
ある日のこと、後輩の姉が古着屋でショートパンツを購入した。サイズも合っていない上にボロボロで、
後輩から見てもどうしてそれを買ってきたのかわからないような代物だったという。
後輩の姉も、店で見た時はすごく欲しくなったと言うばかりで、自分でもどうしてそれを買ったのかわからないらしい。ただ後輩の母だけは、そのショートパンツを見て、しきりに嫌だ嫌だと呟いていたそうだ。
それからおかしなことが起きるようになった。
洗濯する旅に、後輩の母の服に穴が開く。それもどれも同じ場所に、同じような大きさで。
最初は洗濯機の故障を疑ったそうだが、どれだけ点検しても特に異常はない。
そこでふと、後輩の母はショートパンツのことを思い出した。よくよく考えたら、姉がショートパンツを購入してから
服に穴が開くようになっている。見たときに感じた気持ち悪さといい、原因はそこにあるのではないか、と。
早ショートパンツを捨てようとしたそうだが、後輩の姉が捨てないと言って聞かない。
捨てる捨てないの押し問答をしている内に、後輩の祖母がやってきた。後輩は祖母を居間に案内し、
お茶を飲んでいたそうだが、会話の合間合間にちらちらとショートパンツが置いてある部屋に目をやっていた。
後輩が訊くと、なんでもないよ、と笑ってはぐらかされたそうだが、そのやり取りを見ていた姉と母は
ぞっとしたようで、そのままショートパンツをゴミとして捨てた。
それから母の服に穴が開くこともなくなったそうだ。
【了】
266: 進行(仮) ◆omhwczk6HQ @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 23:03:23.02 ID:gRNkBr9A0
七十五本目の蝋燭が消えました・・・
だんだんと夜も更け、怪しい気配も色濃くなってきてまいりました。
皆様はご無事でいらっしゃいますでしょうか?
怪異に魅せられた者には怪異が集まるというもの。
ここからしばらく怪談から目を離し、ゆるりとくつろいでみませんか?
こちらのお席(したらば)で語らうも良し、
怪異に見舞われた方はこちら(2ch.net)から語っていただくというのも歓迎ですよ。
15分後の世界でまたお会いいたしましょう。
どうぞ皆様それまでお気をつけて。
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語り部希望・雑談、感想は【受付スレ:2ch.net】へよろしくお願いします
270: 50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 23:23:20.26 ID:W3Qnqdi40
皆さまおくつろぎいただけましたでしょうか?
怪しに誘われてしまった方はいませんか?
ご無事でお会いできて何よりでございます。
さぁさ、改めて怪談を語っていただきましょう。
ここから先は人も怪しも混じり合う時間。
ひょっとしてあなたのお隣の方はこの世の方ではないのかも…
お気をつけてお進みください。
では ○抱き柏 ◆vA43rq198k9Nさん【第七十六話】をお願いします。
272: わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 23:25:13.98 ID:d+jFkzTK0
【第七十六話】〇抱き柏 ◆vA43rq198k9N 様
『鏡に映る男児』
(1/2)
大学2年の夏。俺は夏期の特別授業を受講するため
キャンパスの1号館に足を運んだ。
この1号館は洋館の造りになっていて、学部では最も歴史のある建物だ。
内部には講義室のほか、1Fは受験生からの相談に応じる入学センター、
2Fには学生の就職活動を支援する就職指導課の窓口がある。
日中は活気で溢れているが、夜になると1号館の雰囲気は一変する。
たとえば、学園祭実行委員会に所属していると、学祭期間中の校舎の見回りを
当番制で任されたりする。先輩に依れば、この洋館は明治か大正に
建てられたとのことで、講義室の扉を開けると「ギギィー・・・」と嫌な音がするのである。
洋館の廊下には蛍光灯が設置されていないので、実行委員は例年、懐中電灯を片手に
たった一人で、震えながら真っ暗な洋館の講義室を一つひとつ見回るのだ。
これは、そんな1号館に、閑散としている時期に足を踏み入れたときの話だ。
特別授業の受講後、正午過ぎに俺は1階のトイレに立ち寄った。
人の気配が無くなり、辺りはシンと静まりかえっていた。手を洗い、
ふと顔を上げ鏡を見ると、目を疑いたくなるものが映っていた。
274: わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 23:28:38.70 ID:d+jFkzTK0
(2/2)
俺の背後にある3番目のトイレのドアの後ろに、7歳くらいの
Tシャツ短パン姿の無色の男児が立っている・・・。
姿かたちの輪郭は明瞭なのに、透けていて個室の奥の壁が見えているのだ。
男児は無表情で、鏡に映る俺の顔を静かに見つめていた。
暑さと前日のバイト疲れのせいで、俺はとうとう幻覚を見てしまったのだろうか。
後ろを振り向いて確認しようか考えたが、何しろ幽霊との対面は初めてなので、
しっかりと目に焼き付けておこうと思い、このまま男児を凝視することにした。
鏡越しにお互い見つめ合うこと30秒。
男児の輪郭はやがてぼやけ始め、スーッ・・・と拡散するように消えていった。
「(消えた・・・なんだったんだ今のは・・・。)」
後から鳥肌が立ってきたので、急いでその場を離れて
そのまま実行委員会のサークル室に向かった。
このときの出来事は、家族以外には誰にも話していない。
【了】
275: 50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 23:35:05.14 ID:W3Qnqdi40
七十六本目の蝋燭が消えました・・・
どうやらあちらこちらに次元の穴が出来ているようです。
語りの途中で失礼いたしました。
皆さまどうぞお気を付けを。。
さて、改めまして ほうらい ◆o37Skt5OUw さん、第七十七話をお願いします
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276: わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 23:37:35.28 ID:d+jFkzTK0
【第七十七話】ほうらい ◆o37Skt5OUw 様
「甲山」
兵庫県に甲山って有名な山がある。
高校3年の課外授業の帰りに、同じグループの友人宅でゲームしようって話になった。
誰かが途中下車して、甲山経由で歩いて行こうって言いだした。適当に行けば着くだろうみたいなノリで、
ちょっとした探検ごっこ気分で浮かれつつ、列をなして池がある脇の獣道を抜けたら大きめな道に出た。
普段は誰も通らないような道にみえたけど、畑があったので農道だったと思う。
なんだかホッとした気分になった。
そのまま左手に畑を眺めながら歩いて、右手には雑木林があって
突き進んだらようやく、最寄り駅に出ることができた。
次の日、友人から電話で「お前ニュース見たか?」って言われて、知らんって答えたら
「いまTVやってるから見てみ!」ってTV付けたら、まさに
「幼女遺体遺棄事件」の報ニュースをやってた。
「男は遺体を雑木林に隠し…発見者は近くの農家の・・発見場所は」 
そのニュースで流れた発見場所の映像は、前の日に通った道の脇にあった雑木林だった。
【了】
277: 50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 23:43:07.13 ID:W3Qnqdi40
七十七本目の蝋燭が消えました・・・
モヒート ◆KicDEug6lI さん、第七十八話をお願いします
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278: わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 23:45:56.84 ID:d+jFkzTK0
【第七十八話】 モヒート◆KicDEug6lI 様
『真冬の公園に狼男を見た!』
(1/2)
小学校中学年の頃は探検ごっこに夢中だった。
怪しげな噂を仕入れては、友人達と真相を探るべく現地に突撃を繰り返す。
大抵は徒労に終わるのだが、いくつか不思議な体験があった。
ある冬の日、「冬場は雪で埋もれているT公園に狼男が潜んでいる」
との噂を入手した我々探検隊は、早調査に乗り出した。
クラスの物知り君から「狼男の弱点は金色の物」という心強い情報を得て
(今にして思えば銀の弾丸の間違いだったのかも)
画鋲の針部分を折り曲げた即席バッジを作成し、上着の胸元に付けて探索に臨む事にした。
隊員随一のお調子者・Iはスタッズか星条旗かってくらい画鋲を付けて、ドヤ顔してたのを覚えている。
噂のT公園は結構広い上に中央に小さな丘があるため、入り口から全体の様子は窺えない。
とりあえず丘の上を目指し公園に足を踏み入れた。
北国の人なら分かると思うが、冬の公園は雪かきする人もなく、降った雪がそのまま積み重なっているので
雪はかなりの高さになっている。この時も自分達の膝近くまで積もっていた。
雪を漕ぎながら黙々と歩いていると、隊員の誰かがあれ見ろ!と叫んだ。
足元ばかり見ていたので気付かなかったが、いつの間にか丘の上に女性がいる。
長袖シャツにジーンズという普通の格好だが、雪上に立ち遠くを見ている様子は只者ではない感じがした。
「おい、女の人いるぞ」「狼男じゃないのかよ」「それはきっとあれだ……狼女なんだよ」
「「「スゲー!!!」」」
我々は女性=狼女と確信した。が、話し合うとか写真を撮るとか捕獲するとか、
遭遇後のビジョンを全く持ち合わせていなかったため、問答無用で攻撃の流れになってしまった。
武器はもちろん画鋲バッジ。
「狼女めー!これでも喰らえー!!」
喰らえと言っても投げつける訳ではなく、金色に輝くバッジを見せつけるのみ。
Iはジャンパーを脱ぎ、誇らしげに高々と掲げた。
しかし女性は反応しない。こちらすら見ていない。両手をぶらつかせながら左右にゆらゆらと揺れているだけだ。
金色のバッジにびくともしない狼女に焦りを覚えるも、根気よく懇切丁寧に呼びかけ続けるしか道はない。
279: わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 23:48:40.89 ID:d+jFkzTK0
(2/2)
「狼女めーこれはお前の嫌いな金色の物だー」「そうだぞー狼女は金色が弱点なんだぞー知らないのかー」
「金色怖かったらこの公園から出ていけー」
一方的に押しかけて追い出すとかどうなんだ、とか
人気のない公園から住宅街に狼女が出て行ったらパニックホラーになるだろ、とか今なら思うが
当時の自分達はお構いなしだった。それでも女性は黙って揺れ続けるだけ。
どうすんだよこれ…な空気が漂いだした頃事態が動いた。突撃女性が後ろ向きに倒れたのだ。
「!!!」
狼女を倒したぞ!と色めき立ち、深い雪に足を取られながらも丘の上まで駆け上がった。
しかし息を弾ませたどり着いたそこに、倒れているはずの狼女の姿がない。倒れた跡すらない。
丘の上から見渡しても人影はなく、足跡のないまっさらな雪原が広がるだけだった。
「逃げられたかな」「でも足跡ないぞ」「それはきっとあれだ……超人的ジャンプで公園の外まで跳んだんだよ」
「「「スゲー!!!」」」
この結果に満足した我々は、翌日朝一でクラスメートに報告したが、
浪漫を解さない皆の反応は「普通の女の人だったんだろ」という冷ややかなものだった。
女性の服装が夏服ほどではないにせよ、真冬の公園には有り得ない軽装だった事、
小学校の自分達でも雪に埋まっていたのに、女性は雪の上に立ち足跡も残さなかった事を上げて
狼女に違いない!と主張したが全く受け入れられない。
すると級友の一人がこんな事を言い出した。
「お姉ちゃんから聞いた事あるんだけど…あの公園って昔、女の人の首吊りがあったんだって…」
途端にクラスは騒然となった。悲鳴を上げ涙ぐむ女子、テンション上がって吠える男子、
静かにしろ!席につけ!と怒鳴る担任の前に反論はかき消され
結局、女性の幽霊を見た話として記憶される事となってしまった。
探検が不本意な形で幕を閉じ、落ち込む我々だったが
ジャンパーを画鋲の穴だらけにしたIは母ちゃんにこっぴどく叱られ、小遣い減額の憂き目にあい更に落ち込んでいた。
【了】
280: 50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 23:51:58.99 ID:W3Qnqdi40
七十八本目の蝋燭が消えました・・・
○抱き柏 ◆vA43rq198k9N さん、第七十九話をお願いします
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281: わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 23:55:10.65 ID:d+jFkzTK0
【第七十九話】〇抱き柏 ◆vA43rq198k9N 様
『母方の祖父』
俺の母方の家系は代々、勘の鋭い人が多い。
とりわけ、若くして他界した祖父は霊感が強かったそうで、
夜に人魂を何度も見ることがあったらしい。
そんな彼が亡くなる数日前、親戚の家の奥さんが
幼い娘と家の表に出ていると、目の前の電柱の横に
祖父が立っているのを見たという。
娘さん「おじちゃんが立ってる!」
奥さん「変ねぇ。危篤で病院から出られるはずがないんだけど。」
奥さんが祖父の名前を呼ぼうとすると、祖父は忽然と消えてしまった。
この話は俺の母が20歳のとき、祖父の葬儀後に親戚の奥さんから聞いたのだそうだ。
彼は幽体離脱して、お世話になった人たちに最期の挨拶に来たのかもしれない。
【了】
282: 50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/27(土) 23:59:21.30 ID:W3Qnqdi40
七十九本目の蝋燭が消えました・・・
50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOX さん、第八十話をお願いします
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283: 50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 00:04:02.88 ID:vaYQJzIh0
【第八十話】『対向車線』
僕は仕事やら諸々の都合上、夜間に車で出かけることが多い。
車で通る道の中で、通勤でもそれ以外でもしょっちゅう通る道がある。
田舎にある、ごく普通の田舎道だ。
ある日の帰り、夜になって職場からの家路を急いでいたところ、
ヘッドライトの先、対向車線に動物の轢死体らしきものが見えた。
イタチやらタヌキやら猫やら、死体を見るのは珍しくないので「ああ、かわいそうだなぁ」と思いながらも、死んでいたのが対向車線でよかったな、などと思いながら通り過ごした。
次の日、出勤しようとその道を通ると、死体は綺麗に片付けられていた。
その日の帰り、遠目の効かなくなりだした薄暗い時間に帰宅中、その道を通ると、昨日と同じところらへんにまた轢かれたであろう動物が転がって見えた。
その時は、「かわいそうに、また轢かれてるなんて」としか思わなかった。
しかしその夜、たまたま用事で再びその場所を職場方面に向かって走っていったところ、すでに死体は無かった。
しかし10分後、再びその道を通った時には、また轢かれた死体が転がっていた。
いくら最近よく轢死体を見ると言っても、さすがに同じ場所で3回とは偶然が重なりすぎている。
僕は死体を見るのは嫌だなぁ、と思いながらも気になって、500m先の交差点からUターンし、もう一度その道を通ってみた。
死体らしきものは何も無かった。
さすがにその日のうちにもう一度その道を通る気にはなれず、別の道を迂回して家にたどり着いた。
あの死体は僕が見た幻覚だったのだろうか。
それともあそこで轢かれた何かが、訴えたいことでもあってあの場にとどまっていたのだろうか。
【了】
284: 50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 00:09:28.54 ID:vaYQJzIh0
八十本目の蝋燭が消えました・・・
 グース ◆Og5mxsGgtM さん、第八十一話をお願いします
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285: わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 00:10:11.63 ID:bn23ONW10
【第八十一話】グース ◆Og5mxsGgtM 様
『無題』
これも職場の先輩に聞いた話です。
20年程前、当時、先輩のNさんは、6畳一間のアパートで独り暮らしをしていました。
ある日、部屋で一人で寝ていると、何やら枕元で人の気配がしたそうです。
そっと目を開けてみると、枕元に置いてあるミニコンポの上に、小さな女の人が座っており、
Nさんの顔を覗き込みながらニコニコと笑っていたそうです。
慌てて飛び起きると、小さな女の人は消えていたそうです。 
「その女の人な、会社の人やねん。俺、それ以来その人としゃべられなくなったわ。。」とおっしゃっていました。
その女性は、まだ会社にいるそうですが、どなたかは決して教えてくれません。
Nさんは仲代達也似のイケメンさんなので、その女性は生霊になって会いに来てたのかもしれませんね。
【了】
286: 50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 00:14:28.83 ID:vaYQJzIh0
八十一本目の蝋燭が消えました・・・
 わいと ◆JAcqDEcOkfoM さん、第八十二話をお願いします
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287: わいと ◆JAcqDEcOkfoM @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 00:16:11.94 ID:/70W9qeK0
【第八十二話】『窓外を駆ける…』
 その日、俺を含む3人(俺以外を仮にS木、N山としておこう)は、とあるマンションの一室で前日繁華街で騒いだ酔いを覚ますべく、休日午前の怠惰な時間を貪っていた。
 その部屋の主であるS木はもともとはN山の古くからの友人であり、つい最近俺ともつるむ間柄となった一人暮らしの気さくな法学部生だ。
「…なあ、腹も減ったし近くのコンビニへ買出しでにでも行かないか?」
「そうしようかあ」
 日曜日の朝っぱらから騒がしいTVのバラエティー番組を横目で眺めつつ、ゴロゴロしながらそうしたダルな会話を展開していた何とも親不孝な学生たちである。
 トトトトトト…
 表で何やら軽い足音がした。
 ふと俺が見やった窓の外では、レースのカーテン越しに赤いスカートを履いた幼児と思しき人影が、視界の右手から左手へと小走りで通り過ぎていく。
「危ないなあ、あんな子供をベランダで遊ばせるなんて。親御さんも注意してあげればいいのにね」
 誰に言うともなくそう呟く俺に、その窓に背を向けたS木が仕方なさ気な口調で返す。
「あ、あれね。俺も最初はそう思ったんだけど、いいんだよ放っておいても」
 その言葉が終わらぬうちに、今度は逆に窓外の左手から右手へと先ほど同様の軽い足音を響かせて走り抜ける女の子の影。
「放っておいても、って…。ここ5階だよ?万が一の事があったらまずいでしょ」
「いや、いいんだ。だってさ…」
 おもむろに立ち上がったS木は、勢いよくそのカーテンと擦りガラス窓とを開け放つ。
 同時に正午に近づきつつある無駄に健康的な陽光が、部屋全体に容赦なく降り注いだ。 その眩しさに一瞬目を細めながらも、ベランダからひょいと頭を覗かせる俺。
「ん…?」
 つい今しがた女の子が駆け抜けたはずのベランダは、両隣の部屋との間が避難用のパーテーションでびっちりと仕切られている。
「ちょ、これって…」
288: わいと ◆JAcqDEcOkfoM @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 00:18:23.11 ID:/70W9qeK0
 二日酔いの覚めやらぬ気だるげな表情でN山が口を開いた。
「そうなんだよね、お前はゆんべがここの初宿泊だから知らないのも無理ないなあ…。俺も最初はびっくりしたもんだったけどさ」
 それに呼応するかの如く涼しい顔で語るS木。
「うん。初めて泊まった人はたいてい引くよね。でも走るばっかでこっちにゃ別に実害は無いし、今回は昼間だからあんまり怖くないでしょ」
 そうは言われても、こちとらつい先日の五輪閉会式で某国総理が突如マ○オのコスプレで現れるのを目の当たりにした数十倍以上ものサプライズである。
「…あんたら、意外に肝が据わってるねえ」
 あっという間に二日酔いも覚め、いきなり脳内から帰宅命令の鞭が入った俺を尻目に、彼らは意地悪げに笑ったものだった。
 それから数ヶ月したある日の学食、N山との何気ない会話の中で俺はS木の近況を彼の口からから語られる事となる。
「そう言えば、例の『もののけマンション』に住んでるS木な、ついに引越ししたって」
「ほう。彼曰く『アレが出る以外は居心地のいいトコ』だったんじゃなかったの?」
「それそれ。アレがただベランダ走ってるうちはまだ良かったらしいんだけどな…」
 そこから急に声を潜めるN山。
「最近、アレが奴の部屋の前でピタッと立ち止まるんだと。それと同時に部屋の明かりが点いたり消えたり、PC電源は勝手に落ちたり…ってなカオスな事になってるらしい」
「ふーん。さすがのS木も怖気づいたってわけか」
 そこでニヤリと笑うN山いわく、
「いや。怖いってよりもむしろ、PCで纏めてた結構な量のレポートが何度かおじゃんにされたってのが直接の原因らしいよ。『オートバックアップ機能も無い古いテキストソフト
だってのに、毎度毎度抜き打ちでこんなイタズラされちゃ作業にならん!』ってS木の奴、そっちの方にアタマ来てたなあ」
 もう昔の話だけど、あの少女はまだあのベランダをトトトト走り回りながらからかう相手を探しているのかな?って、今でもちょっと思い出す。
【了】
289: 50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 00:23:16.48 ID:vaYQJzIh0
八十二本目の蝋燭が消えました・・・
 紬 ◆FQIVcLi0Jc さん、第八十三話をお願いします
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290: わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 00:23:31.90 ID:bn23ONW10
【第八十三話】 紬 ◆FQIVcLi0Jc 様
『病棟の夜』
婦人科に入院したときのこと。
内視鏡手術を受けて大部屋に入った。
六人部屋に入院していたのだけれど、同室の方々は続々と退院していきほぼ一人部屋だった。
おかげで乱れてるベッドは私のところだけ。
他は布団もシーツもカーテンも。
規則通りにシワひとつなくきちんと整えられていた。
古い病院ではあったけれど、ナースステーションもすぐ側だし、三次救急病院だけれど隣は産婦人科だったので、どちらかと言えばほのぼのとした入院生活だった。
その病院では無痛分娩が基本で出産のメインは昼間。
夜に生まれることはまずない。だから赤ちゃんの産声が聞こえたのは最後の夜だけだった。
 その最後の夜。部屋の外から聞こえてくるナースシューズで走る音。「先生は」「……が」等、ドアを開けたままの病室に微かに響く。
(気の早い赤ちゃんがいたんだな)と思いつつ、早すぎる病院の消灯時間に寝付くこともできずスマホをいじっていると、ナースシューズではない足音が聞こえた。
ベッド周りのカーテンはガッチリ閉めていたので見えないが誰かが部屋に入ってきた気配がする。
なんとなく(赤ちゃんの家族かな?)と思い込んで耳を澄ませていると、その気配は入り口近くのベッドに横になったようだ。病院のベッド独特の軋む音とカーテンを閉める音がした。どうやら寝転んでいるらしい。
(慌ててきて疲れたから休憩かな?)
そんなことを思いつつ、私も遠くに聞こえる赤ちゃんの声とナースシューズの音を聴きながら眠りについた。
翌朝6時。日が登り始めた頃目覚めた私はお手洗いにいこうとカーテンを開けた。
部屋は昨日と同じ、整えられたベッドが並んでいる。欠伸をしながら部屋を出たところで気がつく。
昨日、私は確かにベッドの軋む音を聞いた。ため息も、何より足音を聞いた。
この病院でシーツを整えるのは真昼のパートのおばさんたちだ。
けれど、振り向いた部屋の中は昨日となにも変わらない。
どのベッドも規則通り整えられ、人の寝転んだ形跡はどこにもなかった。 
【了】
291: 50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 00:27:36.57 ID:vaYQJzIh0
八十三本目の蝋燭が消えました・・・
 グース ◆Og5mxsGgtM さん、第八十四話をお願いします
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292: わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 00:29:36.55 ID:bn23ONW10
【第八十四話】 グース ◆Og5mxsGgtM 様
『無題』
職場で私が体験した話です。
とある施設の維持管理を24時間勤務でしております。18時に出入り口の門を閉め、7時にまた門を開けます。
門は、工場の出入り口にあるような大きな門です。22時に設備の点検に行くのですが、私が行くと、
門が開いていることがよくありました。丁度、人一人通れる程、開いているんです。
門にはセンサーがついているので、人が侵入すれば警報が鳴るのですが、警報は鳴っていませんでした。
開いているのは私が行った時だけで、他の人の時はそんなことはなかったようです。
ある日、門を閉めた後歩き出すと、後ろでカチャーン、と音がしました。振り向くと、門が開いていました。
「なんで開くかなぁ」と思いながらもう一度閉め、事務所に戻りました。その夜、仮眠室で一人で寝ていると、
左足に何やら違和感が。見てみると、左足が勝手に動いていました。誰かが踵とふくらはぎを持って、
左足を曲げ伸ばししている感じです。ピクピク動いているというレベルではなく、最早、屈伸運動です。
しかし、不思議と怖くはありませんでした。しばらく眺めていましたが、面倒になったので寝返りを打ちましたが、
足はまだ動いています。動く足を見ながら「なんだか、かえるみたいだな」と思いながら眠りにつきました。勝手に開く門と勝手に動く足、何か関係があるのでしょうか。
(終)
293: 50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 00:33:37.32 ID:vaYQJzIh0
八十四本目の蝋燭が消えました・・・
 hiromin ◆W85zSxaa1glz さん、第八十五話をお願いします
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294: hiromin ◆W85zSxaa1glz @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 00:36:19.04 ID:HXesn6+00
[第八十五話] 『トン、トン・・・』
昭和40年代の古ぼけた心霊現象の本・・・
子どもの頃、親戚の家で見つけて読んだ事がある。
子ども心に、ただただ怖かった。
それに載っていた、一番怖くてトラウマ的な話を・・・
ある酒好きのおじさんがいた。
迷惑になるような酒グセはないが、飲むと気が大きくなる。
住んでいる所は寂しい住宅地。公園があったり、空き地があったり、
普通に住宅がちらほら建っている。
おじさん、少し離れた友人の家でたっぷりとお酒や料理をごちそうになって、
良い気分で、一人で夜の家路についた。
徒歩で寂しい住宅地を、酔ったまましばらく歩いていた。
すると急に「大」をもよおしてきた。急いで公園の公衆便所に向かった。
(当時はコンビニというものは存在していない)
その頃は「怖い・汚い・臭い」で「個室は和式」が公衆便所の常識だった。
でも、おじさん、緊急事態だし酒で気が大きくなっているし、
かまわず個室に駆け込んで腰を下ろした。
すると、
「よせ(止めろ)、よせ(止めろ)」と声がして、背中をトン、トンと軽くつつかれた。
おじさん、誰か別の酔っ払いが自分をからかってきたと思って無視した。
酒で冷静な判断は出来なかった。
再び「よせ、よせ・・・」とトン、トンと背中をつつかれた。
おじさん「うるせえなッ!!」と後ろを振り返った。
おじさんの背中をつついていたものは・・・・・・・・
首からロープで下がって揺れている人の爪先だった・・・・・・・・
[了]
    
295: 進行(仮) ◆omhwczk6HQ @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 00:40:24.44 ID:5V/oE6Yl0
八十五本目の蝋燭が消えました・・・
 もち ◆m2nIThBwKQ さん、第八十六話をお願いします
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296: ななほし@代理投稿 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 00:44:59.04 ID:vaYQJzIh0
【第八十六話】 もち ◆m2nIThBwKQ 様
『鎮守の森で』
(1/4)
日本の信仰は実にさまざまですが、そこそこ馴染みの深いものに
「お稲荷さま」があります。同じ狐を祀っているダキニ天と
勘違いされることもありますが、全国各地で見られる信仰の一つではないでしょうか。
これはそんな「お稲荷さま」にまつわる話です。
友人のYさんは福岡の出身で、海にとても近い都市部で育ちました。
彼女が小学生の時に社会科の授業の一環として「近所の史跡を調べる」
といった課題があったそうです。
Yさんと友達のグループが選んだのは、地元のそこそこ大きな神社。
ノートに筆記用具を用意して、神社に出向き、ご神職に案内してもらって
色々とお話を聞いたそうです。
ところがその神社は元は古城跡だったそうで、境内には城を建てたときに
犠牲になった人柱を祀った石碑があったりと、小学生にはショッキングな
話もあったそうです。
297: ななほし@代理投稿 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 00:47:27.91 ID:vaYQJzIh0
(2/4)
色々説明を受けてから「あとは自由に見てまわって下さい」と言われたYさん達は
祭神について説明されている看板を調べたりしていたのですが
せっかく古い歴史のある神社にきたのだから広い境内に沢山ある木々も調べようと
本殿から離れて鎮守の森の方へと足を伸ばしました。
しばらく大きな木々を見たり落ち葉を集めてノートに挟んだりしていたのですが
分け入った先にさほど大きくない鳥居が続いている場所をみつけました。
「今思えばおかしいんだよね。あんなに立派な神社なのに」
「鳥居に向かう道も、そこから先も草ぼうぼうに荒れていて獣道みたいなんだもん」
これはこの話をしてくれた現在の彼女の弁ですが小学生だった当時は
特に不思議に思うことはなく友達と連れ立って鳥居をくぐって進んでいったそうです。
いくつかの鳥居をくぐり抜けた先にあったのは、小さなお社でした。
ですが、そこに辿り着く前に、Yさん達は悲鳴を上げそうになったそうです。
298: ななほし@代理投稿 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 00:48:46.23 ID:vaYQJzIh0
(3/4)
「高さは3メートルもなかったと思う。そんな小さな鳥居をいくつか抜けたらね、
 石畳の参道にでて、道の左右に赤い前掛けをつけたお稲荷さんがあったのよ」
「でもさ、そのお稲荷さんね。首がないの。二つとも」
「わー! って思ったんだけど、そのまま進んでいったの。
 もう怖くてイヤだったんだけど、ここまできたらお参りしておかないと
 あとで逆に怖いめに遭うんじゃないかって思っちゃって」
「でもさ、参道進んでいったら、参道の左側に、なんだろう、絵馬の代わりなのかな
 白い陶器かなんかっぽい小さいお稲荷さんがずらーって並べられてたんだけどね」
「それも全部首がないの。全部だよ。全部。おかしくない?」
299: ななほし@代理投稿 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 00:50:31.68 ID:vaYQJzIh0
(4/4)
それを見た一同は、悲鳴を上げて全力で逃げ出したそうです。
そして「なんか見ちゃいかないものを見たんじゃない?」ということで意見が一致し
課題のノートでは一切そのことには触れずに提出したとのことでした。
この話をYさんから聞いた私は気になって「首なし稲荷」で検索をしてみました。
するといくつもヒットして、中には「神仏像に対する宗教的犯罪」として
全国の寺社に油性の液体が撒かれたりした最近の事件と併記される形で
稲荷像の首を折られたり倒されたりという事件があったことを知りました。
私は「なるほど、そういうものもあるのか」と納得しかけたのですが
彼女が小学生だった頃、となると、もう二十年以上前になります。
その当時にそんなことがあったのでしょうか?
しかもお稲荷さんの石像だけではなく、奉納された(?)人形まで執拗に?
この話を聞いてから、何年かして彼女と話す機会があったので、そういえばと思い
「あの首なし稲荷の神社って、その後行った?」と訊ねました。
「あ、うん。行ったよ。去年帰省したときに」
「でも、全部なくなってた。鳥居とお社は残っていたけど。狐は一切なかったよ」
Yさん達が見た大量の「首なし稲荷」。それは一体なんだったのでしょうか――。
【了】
300: 進行(仮) ◆omhwczk6HQ @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 00:53:26.84 ID:5V/oE6Yl0
八十六本目の蝋燭が消えました・・・
わいと◆JAcqDEcOkfoMさん、第八十七話をお願いします
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301: わいと ◆JAcqDEcOkfoM @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 00:57:06.60 ID:/70W9qeK0
【第八十七話】『紫陽花の祠』
 この話、うちの母親から聞いたものだから『?だそうだ』『?との事』ってな伝聞系の言い回しが多少目障りに思われるかも知れないけれど、
そう長くもない話なので何とか御容赦頂ければ…。
 彼女がまだ幼かった高度成長期、実家では犬を飼っていたそうだ。
 その犬ってのが、当時の品評会で数多の賞を獲得した精悍ながらも人懐っこい秋田犬だったとの事。
 しかしある日の真夜中、近所でも有名なちょっとおかしい若者に撲殺されてしまったそうだ。
 悲痛な鳴き声を聞いて家人が慌てて表に出て見るも時すでに遅し、屋外の犬舎前には何度も頭部を打ち砕かれて息も絶え絶えの秋田犬が
血まみれで横たわっているだけだったとか。
 幸い翌朝、血に濡れた木刀を手にして多少噛まれた腕もそのままに辺りをフラフラしてたそいつを見た新聞配達員が警察に通報してその線から簡
単にお縄になったものの、そいつの家が日銭を稼ぐのもままならない経済状態だったそうで、警察曰く
「これじゃあ賠償も期待できないですねえ。もうしょうがないですよお」
という事で結局こちらは泣き寝入り。
 数日間目を真っ赤に腫らしていた当時の母だったそうだが、ある日を境に主無き犬舎から夜な夜な「キューン、キューン…」と、かの犬そっくりの
甘えた鳴き声が聞こえてきたそう。
 それが何日も続き、いたたまれなくなった母がその犬舎の前に餌とお水をやったら鳴き声は聞こえなくなったという事だ。
302: わいと ◆JAcqDEcOkfoM @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 00:59:18.27 ID:/70W9qeK0
『襲撃の際、大人しい犬とは言えさすがにに吠えるだろ』
『そんな大事な犬なら、せめて犬舎周りをケージで囲っておけよな』
『キューンキューンって、お前の彼はパイロットかよ』
 …いろいろ突っ込みどころはあれど、今では気の強い婆さんと化した母が、その時ばかりは目にうっすら涙を浮かべて語っていた辺り、
あながち嘘ではあるまいと思う。
 思えば、母の実家の庭に咲く紫陽花(あじさい)の脇には俺が生まれるはるか前からのものと思しき、何を祀っているのか考えた事も無い
古ぼけた小さな祠があったっけなあ…。
【了】
303: 進行(仮) ◆omhwczk6HQ @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 01:03:15.85 ID:5V/oE6Yl0
八十七本目の蝋燭が消えました・・・
もち ◆m2nIThBwKQさん、第八十八話をお願いします
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304: ななほし@代理投稿 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 01:05:24.91 ID:vaYQJzIh0
【第八十八話】もち ◆m2nIThBwKQ 様
『雑踏の気配』
(1/4)
私は学生時代に、とある古流武術を習っていました。
これはその道場の師匠の話です。
格闘技をある程度身につけてくると「視線」や「気配」を
空気で感じることができるようになります。
スポーツでも同じかも知れませんが「相手の動きを予測する」
そして「それをいなす」という練習を繰り返す内に身につくものです。
当時師匠は六十台でしたが、実に快活で若々しく、いつでも陽気な人でした。
あるとき、師匠とお酒を飲んでいたときに、ふとこんなことを話だしました。
「S君(私です)は、都内に飲みに行ったりもしますか?」
「はい、時々。新宿が多いですね」
「歌舞伎町界隈ですか?」
「そうですね。あとは区役所通りの方のカラオケとか……」
「そうですか。人が多いときのああいう繁華街は実に面白いです」
305: ななほし@代理投稿 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 01:09:22.80 ID:vaYQJzIh0
(2/4)
歌舞伎町といえば怪しげなぼったくり店から、有名なチェーン系列の飲み屋まで
あらゆるものがありますし、色々な人が様々な目的で雑踏を作る場所です。
確かに面白いといえば面白いのですが。師匠は「そうではなく」と続きを語りました。
「ああいう場所は、実に色々なものが見えるんです」
「酔客、客引き、私服警官、ヤクザ、風俗に行く人、色々な目的をもった女性」
「ああいうところに行くと、その人の纏う気配で、どういう人なのかがわかるんです」
そう言ってから師匠は梅割り焼酎を飲み干して
「大体の方は『なにかしらの目的』を持って行動しています」
「でも、『そうではない人』が何種類かいるんですよ」
「繁華街ですし、なんの目的もなくブラブラしている人もいるんじゃないですか?」
「ああ、そういう人は『ブラブラしている』という気配があります」
「そうではない人達というの多くは、自分がどこにいるかわかっていない人ですね」
「ひどく曖昧な気配を出しています。意識がないとでもいえばいいのか……」
「大体はクスリとかで譫妄になっている人ですね。そういうのは表情でわかります」
師匠は笑いながら続けました。
306: ななほし@代理投稿 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 01:11:39.00 ID:vaYQJzIh0
(3/4)
「先生は何種類かと仰いましたが、他にもいるんですか?」
「うん、いますね。なにかというと、まぁこれは『生きてはいない人』なんですよ」
師匠はとんでもないことを平然と言いました。
「例えばこんなことがありました」
歌舞伎町に向かうアーケード前の大きな横断歩道。
信号待ちしている人達は「行く」か「帰る」かなので気配もわかりやすい。
ところが、信号が変わっても横断歩道を渡ろうとしない女性がいる。
なんとなく奇妙に感じて意識を向けてみると、ふっと横断歩道を渡り始めた。
ところが信号が変わると、またこちらに渡ってくる。
「ああ、これは……」と思ったものの、関わるのも面倒なので
そのまま待ち合わせの店に向かった。
明け方まで痛飲して店を出て歌舞伎町を歩く。
当然ながら人の気配は少なく、そもそも人通りすらまばら。
ところが件の横断歩道に行くと、昨夜と同じ女性が横断歩道で信号待ちをしていた。
「こちらを気取られるのも面倒だ」と思った師匠はそこを離れて
別のルートから新宿駅へと向かったそうです。
307: ななほし@代理投稿 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 01:13:46.42 ID:vaYQJzIh0
(4/4)
「私はもう行かなくなりましたが――」
「N君も気づかない内に出遭っているかもしれませんよ?」
そんな風にからかってくる師匠に「勘弁してください」と苦笑しか返せませんでした。
「寂しい人は賑やかな場所に引き寄せられるというじゃないですか」
「視界に入っている人達全てが生きている人とは限らないですからね」
「しかし肝の座った先生がそういうものを怖がるなんて、ちょっと面白いですね」
師匠にからかわれた意趣返しに少しだけ皮肉をこめて私はそう言いました。
「――そりゃあねえ。生きている人は素手でも殺すことはできますけれど
「もう生きてはいない人は、私が知っている術では殺せませんから」
ちょっとした間をおいて、そう応えた師匠の表情は、何かの真に迫ったもので
私は虎の尾を軽く踏んだような気持ちになって炭酸の抜けたビールを飲み干しました。
ひょっとしたらこれを読んでいる皆さんも、繁華街の雑踏で『生きてはいない人』と
擦れ違っているのかも知れません。
【了】
308: 進行(仮) ◆omhwczk6HQ @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 01:16:51.19 ID:5V/oE6Yl0
八十八本目の蝋燭が消えました・・・
紬 ◆FQIVcLi0Jcさん、第八十九話をお願いします
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309: ななほし@代理投稿 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 01:21:22.45 ID:vaYQJzIh0
【第八十九話】 紬 ◆FQIVcLi0Jc 様
『友人の話』
友人家が家を建て直すとき、一時的にアパートタイプのレ○パレスに住んでいた。
大黒柱たる友人父のお眼鏡にかなったのがそこだったらしい。
「なんか気味悪いんだよね」
仮住まい中にお茶をしたとき、友人が暗い顔で言った。
「建て方のせいか日が入らなくて昼間も薄暗いし、あとやたらと猫がいる。母さんが嫌がってお経ばっか仏壇にあげてる」
そんなこともあるさ、すぐに綺麗な新しい家が建つよ!と励まし別れた。
その後友人一家は建て直した家に戻ったが、友人父も仕事をやめ、友人母はメンタルの病を発症し入院してしまった。
友人自身は何とかやっているようだが、引きずり込まれるような未来への絶望を頻繁に口にするようになった。
最近なんとなく見た大島てるに、友人一家が仮住まいしたアパートが載っていた。『心理的瑕疵物件』の文字が友人の住んでいた部屋と他2部屋についていた。
【了】
310: 進行(仮) ◆omhwczk6HQ @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 01:26:51.61 ID:5V/oE6Yl0
八十九本目の蝋燭が消えました・・・
モヒート ◆KicDEug6lIさん、第九十話をお願いします
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311: モヒート ◆KicDEug6lI @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 01:29:14.77 ID:nEYsEHHZO
【第90話】
『そこのピンク』
(1/2)
小学校中学年の頃は探検ごっこに夢中で、
怪しげな噂の真相を探るべく、友人達と現場に突撃を繰り返していた。
大抵は徒労に終わるのだが、ごく稀に不思議な体験をする事もあった。
早春のある日、「隣に石の十字架が立っているサイロがあり、その中に吸血鬼が封じ込められている」
との情報を入手した我々探検隊は、早調査に乗り出した。
現地に着くと噂通り、2階建て程の高さの小型サイロと、同じぐらいの大きさで石作りの、少し歪な十字架があった。
まさに血沸き肉躍る光景だった…が、どう見てもそこは私有地で、勝手に入り込める感じではない。
泣く泣くサイロの調査を諦めた我々は、吸血鬼の痕跡があるかも知れないと周辺探索に切り替えた。
幸いこの敷地の周りは自然が豊富で、実に探検しがいがある。
少し歩くと、白樺林と小川、そして切り出し途中のような岩がゴロゴロ転がる場所に出た。
(今にして思えば、ここもサイロ所有者の私有地だったのかも知れない。不法侵入してごめんなさい)不気味な噂の現場近くのため、恐らくは誰も知らないであろう手付かずの遊び場。
我々は宝物を発見したような興奮で、本来の目的を忘れ遊び始めてしまった。
この時期は白樺の断面から流れ出る樹液が飲めた。もう少し暖かくなれば野の草で遊び花の蜜も楽しめる。
夏は白樺の木陰で涼みながら川遊びだ。木々の間を駆け巡る鬼ごっこはスリル満点だろう。
妄想は膨らむ一方で、ここを秘密基地にしよう!などとはしゃいでいた所、急に岩陰から人が現れ声を掛けて来た。
312: モヒート ◆KicDEug6lI @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 01:32:05.54 ID:nEYsEHHZO
(2/2)
「あのー、俺達R中生なんだけど」
男子中学生2人は近所の中学校の名前を口にした。
「俺達がタバコ吸ってた事、学校には言わないでくれるかな」
え?タバコ? 秘密基地に夢中で人がいる事すら気付かなかった皆は、何の話か分からずキョトンとするばかり。
そんな鈍い反応に、余計な事を喋ったらしいと気付いた中学生は切れ気味になって続けた。
「そこのピンク、お前が悪いんだぞ!」
は?ピンク?
「あ!?何処行った!ピンクの奴!」
「そこの木の上からこっち見て、ニヤニヤしてた奴いたろ!上下ピンクの奴!!」
そう言われても、自分達の中にピンクを着てる奴はいなかったし、誰も木に登っていない。
そいつが見てたんだ!何処に行ったんだ!と騒ぐ中学生にこちらは戸惑うばかり。
「ピンクの奴!隠れないで出て来い!!」
そう中学生が叫んだ途端、白樺の一枝だけが、激しく揺れ出した。
風もないし、まだ葉のない季節だから、枝に人や動物が乗っていない事は目に見えて明らかなのに。
ザザザザザザ…と音を立てる枝は凄い勢いで上下し、もう折れるんじゃないかという程。
「うわあああああああ!!!!!??」
情けない叫び声を上げながら、全員がその場から逃げ出した。
走って走って、動けなくなるまで走った自分達は、残雪の上にへたり込みようやく人心地ついた。
「何もいないのに枝動いてたな」「大体上下ピンクの奴って何だよ」「それはきっとあれだ……吸血鬼なんだよ」
「「「スゲー!!!」」」
あの中学生の事はめんどいので放っておいたが、何で自ら中学校名までバラしたのか、未だ理解に苦しむ。
秘密基地の方は、ビビりの自分達が躊躇している間に周辺に有刺鉄線が張られてしまい、結局遊ぶ事は出来ずじまい。
本題の吸血鬼の件は、クラスメートに自信満々で報告するも、
「吸血鬼が昼間出るわけないじゃん」という至極真っ当な一言で終了してしまったのだった。
【了】
313: 進行(仮) ◆omhwczk6HQ @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 01:37:03.75 ID:5V/oE6Yl0
九十本目の蝋燭が消えました・・・
だんだんと夜も更け、怪しい気配も色濃くなってきてまいりました。
皆様はご無事でいらっしゃいますでしょうか?
怪異に魅せられた者には怪異が集まるというもの。
ここからしばらく怪談から目を離し、ゆるりとくつろいでみませんか?
こちらのお席(したらば)で語らうも良し、
怪異に見舞われた方はこちら(2ch.net)から語っていただくというのも歓迎ですよ。
10分後の世界でまたお会いいたしましょう。
どうぞ皆様それまでお気をつけて。
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314: 進行(仮) ◆omhwczk6HQ @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 01:52:54.97 ID:5V/oE6Yl0
皆さまおくつろぎいただけましたでしょうか?
怪しに誘われてしまった方はいませんか?
ご無事でお会いできて何よりでございます。
さぁさ、改めて怪談を語っていただきましょう。
ここから先は人も怪しも混じり合う時間。
ひょっとしてあなたのお隣の方はこの世の方ではないのかも…
お気をつけてお進みください。
ではずんちゃ虫 ◆7vU/OMinzsさん【第九十一話】をお願いします。
315: ずんちゃ虫 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 01:59:47.61 ID:vBXlS9a+0
?神社の前の長い坂?
《1/2》
自分の家の近くには神社がある。
この神社は昔からこの地方の崇敬を集める大きな神社で、昼は参拝客で
賑わっているが、夜は雰囲気が一転、周囲は不気味な闇に包まれる。
神社の鳥居の前にはまっすぐな坂道があって、下りていくと200mほどで
海岸に行きつくが、この坂は江戸時代の頃から幽霊が出ることで有名で、
近所の年寄りには「むかし坂で火の玉を見た」と言う人もいた。
高校の夏休みのある日、俺はあまりにもヒマだったので肝試しと称して
友達と二人で夜にこの坂へ行ってみることにした。
21時すぎに坂の下の海岸で待ち合わせし、波打ち際で石を投げたりして
しばらく遊んだ後、懐中電灯だけ持って神社まで坂を上っていった。
怖さを紛らわそうとはじめは二人ともよくしゃべっていたが、途中から
疲れで二人とも黙ってしまってふらふらに疲れ果てた有様で神社まで
到着した。
しかし幽霊にも火の玉にも幸か不幸か出会うことは無かった。
316: ずんちゃ虫 ◆7vU/OMinzs @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 02:01:55.48 ID:vBXlS9a+0
《2/2》
俺たちは神社に着くなり急に強気になり、門が閉まってたにも関わらず
門の横から侵入し、神社の奥の森まで突撃した。
俺たちはハイになって森の中で木を揺すったり枝を突いたりしてふざけ
ていたら、急に体が楽になって元気を取り戻し、そのあとは友人の家で
テレビ見てワイワイやって帰った。
後日、本でその神社のことを偶然読んだ。
そして坂道の幽霊についても七不思議のひとつとして書いてあったが
その幽霊は海岸から坂を上がってくる落ち武者の霊で
神社に入り込んで森の木を揺らしたり枝を突いたりするらしかった。
思い出してみるとあの日の俺たちは、
坂を上る途中からの無言の疲れ果てた姿といい、神社での行動といい、
幽霊と本当によく似てた行動をとっていたいたのだった。
坂道とはいえあの程度の距離で疲れるのも変だと思っていたが、実は
疲れたのではなく憑かれていたのかもしれない。
そうだとすると神社の森を揺らし、木の上に集まる「気」を浴びると
幽霊はパワーを補充して喜ぶのかも、と、そのとき思った。
?終?
317: 進行(仮) ◆omhwczk6HQ @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 02:07:11.48 ID:5V/oE6Yl0
九十一本目の蝋燭が消えました・・・
グース ◆Og5mxsGgtMさん、第九十二話をお願いします
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318: ななほし@代理投稿 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 02:09:55.30 ID:vaYQJzIh0
【第九十二話】グース ◆Og5mxsGgtM 様
『誰かいる』
5年ほど前の話です。
6月の雨上がりでした。
朝起きると、家内はすでに仕事に出かけていました。
2階の寝室から1階に下り、なんとなくインターホンのカメラをチェックしました。
すると、カメラの前に誰かが立っています。 6月だというのに、長袖シャツにダウンのベスト、
ハットを被った男に見えましたが、 レンズに水滴がついており、顔だけがはっきり見えません。
不審者だと思い、二階に上がり窓からそっと覗いてみると、男はいなくなっていました。
一安心して、もう一度インターホンのカメラを見ると、また同じ場所に立っているんです。
少し怖くなり、タバコを一服し、もう一度カメラを見ると、男はいなくなっていました。
外に出て、家の周りを調べてみましたが、特に異常はありませんでした。
あの男は、いったいなんだったんでしょう。
【了】
319: 進行(仮) ◆omhwczk6HQ @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 02:15:20.08 ID:5V/oE6Yl0
九十二本目の蝋燭が消えました・・・
50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOXさん、第九十三話をお願いします
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320: ななほし@代理投稿 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 02:18:42.14 ID:vaYQJzIh0
【第九十三話】『傷だらけの伊勢参り』
霊感持ちのAとAの友人のB、そして僕の3人で、念願の伊勢参りへと遠出した時のこと。
その数ヶ月前から、Aは耳元で聞こえるザワザワ(街中の人の話し声のようなもの)に悩まされており、
一時は一緒にいた僕まで影響を受けたほどの酷さだった。
その時期には収まってはいたものの、一刻も早く神域に行きたい、という喫緊の思いから実現した旅。
伊勢に着いた僕らは、伊勢参拝のお約束としてまず外宮に向かった。
とりあえずここは普通だった。
そのあと内宮へ向かうにはバスまたは徒歩となる。僕らはせっかく来たのだからと内宮まで歩くことにした。
3人で談笑しながらの歩き道、半分ほど過ぎた時、急にAが消えた。
あまりにいきなりの出来事で僕とBが驚いて振り返ると、Aが何もない場所で思いっきり転んでいた。
大の大人が子どものように転んでいるので最初こそ僕ら2人は爆笑していたが、そこから内宮までの道中、
Aが何度も何度も転ぶ。まるで内宮へ行きたく無いとでも言うように。
やっと五十鈴川の桟橋前にたどり着いた頃には、冬で分厚いズボンを履いていたにも関わらずAの脚は
血まみれになっていた。Aの脚の惨事を見て、さすがに僕らも閉口した。
何とかたどり着いた内宮へ参拝後はAが転ぶことも無かったし、
とりあえずそれに関してはもう大丈夫なのかなと思っている。
【了】
321: 進行(仮) ◆omhwczk6HQ @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 02:23:12.87 ID:5V/oE6Yl0
九十三本目の蝋燭が消えました・・・
浪人 ◆0pencm0MhYさん、第九十四話をお願いします
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322: 浪人 ◆0pencm0MhY @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 02:26:06.60 ID:MupsQmgy0
【第九十四話】 『赤 白 黄色』
ある日の下校時間、薄暗い教室にいると
どこからか、わらべうたを歌うような少女の声が聞こえてきた。
「あーかー、しーろー、きーいーろー」
僕は心臓がキュッとなってしゃがみこみ、耳をふさいだ。
「あーかー、しーろー、きーいーろー」
「…どの色がいい?」
僕は恐怖で声が出ない。
しばらくの沈黙が続き、ふと我に返った僕は
水の中を歩くように重い体を引きずりながら必死に逃げ帰った。
次の日、学校でこんな噂を聞いた。
「ねえ知ってる?赤、白、黄色って歌のあと
どの色がいい?って質問する幽霊がいるんだってさ」
「答えたらどうなるの?」
「赤は血を全部抜かれて死ぬ」
「白は骨を全部抜かれて死ぬ」
「黄色は肉を全部抜かれて死ぬんだよ」
あの時もし声が出て、いずれかの色を選んでいたら…。
【了】
323: 進行(仮) ◆omhwczk6HQ @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 02:28:27.35 ID:5V/oE6Yl0
九十四本目の蝋燭が消えました・・・
お蕎麦 ◆FuTq7EgZCQさん、第九十五話をお願いします
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324: お蕎麦 ◆FuTq7EgZCQ @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 02:31:02.47 ID:dyWSMHBr0
【第九十五話】『消えた友人』
小学生の頃、夏休みに体験した話です。
夕方、友人と二人して、誰もいない学校のグラウンドで遊んでいると、さっきまで晴れていたのに、突然、雨が降ってきました。
慌てて校舎に入ったのですが、
ふと気がつくと、一緒に校舎まで走った友人がいなくなっていました。
校舎の軒下で、友人を呼びましたが、
返事がありません。
私は怖くなってその場でしゃがみ込んでしまいました。
しばらくすると、さっきまで激しく降っていた雨が止んだことに気がつきました。
雨が止んだことにも驚きましたが
消えた友人が私の横に立っていたことに
もっと驚きました。
(1/2)
325: お蕎麦 ◆FuTq7EgZCQ @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 02:33:26.16 ID:dyWSMHBr0
友人にどこに行っていたのか、いつから横にいたのか問いただしたところ、
「ずっと横にいた」とのこと。
さらに友人が言うには、一緒に校舎に着いてから私が急にしゃがみ込み、何を言っても反応しなくなっていたそうです。
私が、友人が消えて、名前を呼んでいたことを話しても信じてくれません。
お互いに主張を譲らず、その日は喧嘩別れになってしまいました。
その後、不思議な体験はしませんでしたが、
オカルト分野に関心を持った今思うと
友人が消えたわけではなく、
私の意識だけが異世界に迷い込んでしまったのかも知れません。
あの世界は何だったのでしょう。
【了】
326: 進行(仮) ◆omhwczk6HQ @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 02:36:25.85 ID:5V/oE6Yl0
九十五本目の蝋燭が消えました・・・
もち ◆m2nIThBwKQさん、第九十六話をお願いします
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語り部希望・雑談、感想は【受付スレ:2ch.net】でお願いします
327: ななほし@代理投稿 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 02:39:32.19 ID:l/IPK0LS0
【第九十六話】もち ◆m2nIThBwKQ 様
『黒電話』
(1/3)
学生時代のことです。
大学近くのアパートで一人暮らしをしている友人から突然電話がありました。
同じ大学に通う友人からの電話に「突然」とつけるのには理由がありまして
時間が深夜3時を過ぎた頃だったんです。
私はオンラインゲームに夢中になっていて、その時間もまだ起きていたのですが
いくら個人の携帯電話に、とはいえこんな時間にかかってくることはありません。
充電ケーブルに繋がれたケータイが突然バイブと共に着信音を鳴らしたもんですから
私は飛び上がるくらいびっくりしました。
折り畳まれたガラケーの外側液晶に表示された「着信 O(友人の名前です)」に
「え、なんかあったんか」と、Oが事故かなにかに巻き込まれたのかもしれない
という不安を感じつつガラケーを開いて通話を始めました。
「もしもし、どした?」
「すまん、俺。寝てたよな?」
「いや、起きてたよ。どうした? なんかトラブル?」
「いや、その、そういうわけじゃないんだが」
328: ななほし@代理投稿 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 02:41:18.84 ID:l/IPK0LS0
(2/3)
どうにも歯切れがよくありません。私はOが寝ぼけているんじゃないかと思いました。
「なんだ。寝ぼけてんの?」
「いや、違う。違うんだが。あー……。すまん変なこと聞くが、昔の黒電話あるじゃん
 あのリリリーンっていう着信音って、赤ん坊の泣き声と似ているよな?」
意味がわかりません。ダイヤル式の黒電話なんて小学生の時に実家にあったのを
覚えている程度です。かといって着信音の記憶も定かではありません。
「んーよくわからんが、似ているっちゃ似ているかもしれない……かな」
「だよな。そうだよな。似てるよな?」
Oは何故か同意を急かして求めるようにそう言いました。
「なに、そんなことで電話してきたんか」
「あー。うん。ま――ぁそうだな。すま――ん」
「起きていたからいいけど、寝ていたら明日学食おごらせてたわ」
「すまんすまん。ほん――とごめんな。んじ――ゃ明日」
「お?。俺ももう寝るわ。おやすみ」
そう言うと私達は通話を終えました。
329: ななほし@代理投稿 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 02:43:05.13 ID:l/IPK0LS0
(3/3)
パソコンの電源を落として部屋の灯りを消してベッドに潜り込んだところで
私はふとOの声に混ざって『なにか甲高い音』が聞こえたような気がしました。
Oのアパートには何度も遊びに行ったことがあります。
ケータイがあるので、彼の部屋には据え置き電話はありません。
もちろん黒電話なんて古いものがあるわけもありません。当然赤ん坊もいません。
そしてOの住むアパートは築二十年以上の2階建て。
彼の部屋は2階の角部屋。
玄関から向かって右は在来線の線路。
左は空き部屋です。
Oが深夜3時過ぎに聞き、そして私がケータイ越しに聞いたような気がした
あの『甲高い音』は、一体どこから聞こえた、なんの音だったのでしょうか――。
【了】
330: 進行(仮) ◆omhwczk6HQ @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 02:45:30.95 ID:5V/oE6Yl0
九十六本目の蝋燭が消えました・・・
50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOXさん、第九十七話をお願いします
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331: ななほし@代理投稿 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 02:46:57.32 ID:l/IPK0LS0
【第九十七話】『峠のトンネル』
(1/2)
先日後輩と旅行に出かけた。
旅行といっても、峠を越えた隣の県だ。
昼過ぎに峠のトンネルを越え、近くの神社や城周辺を巡る旅。
僕が夜仕事だったこともあって、その日は夕方には帰ることにした。
峠道を地元に向かってひたすら走っていると、人里離れた場所にポツンと
小さな神社があった。
若干怖いような気もしたが、道から見える限り境内が荒れている様子もなく、
西日も美しかったので後輩に断ってその神社に寄ることにした。
神社はその近くを流れる川を守る神様の社で、そのいわれも何とも郷土史好きの心をくすぐる内容だった。
充分に滞在した後、帰路に改めて着く。
すると、トンネル前最後の道路情報板に 峠の入り口では無かった通行止の文字が表示されている。
国道のくせに超が付くローカル道路のせいで情報も何もない。
とりあえずトンネル前まで行けば何かわかるだろうとそのまま進んだ。
332: 50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 02:48:15.27 ID:l/IPK0LS0
(2/2)
トンネル前まで行くと、既に数台の車が立ち往生していた。
列にとりあえず並んでギアをパーキングにしてすぐくらいに、後方からサイレンが聞こえた。
どうやら事故が発生してそんなに経っていないらしい。
緊急車両を見送った後、外に出て他のドライバーと話していると、10分ほどして消防士が状況説明にやってきた。
中央分離のある片側一車線のトンネル両側にまたがる大事故だった。
結局すぐの復旧は無理ということで、その日は一旦峠を下まで降り、別の峠に迂回して帰宅した。
後日、新聞に載った事故の発生時間を見て絶句した。
その時間は本来、僕らがトンネルを通過する時間だった。
巻き込まれていたかはわからないが、少なくともきっと、トンネル内で事故に遭遇していただろう。
今度、その日に寄った神社へは改めて行ってこようと思っている。
【了】
333: 進行(仮) ◆omhwczk6HQ @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 02:51:11.03 ID:5V/oE6Yl0
九十七本目の蝋燭が消えました・・・
hiromin ◆W85zSxaa1glzさん、第九十八話をお願いします
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334: hiromin ◆W85zSxaa1glz @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 02:52:44.92 ID:HXesn6+00
第九十八話『命』
畑と田んぼに囲まれて住宅が点々と建っているような田舎での話です。
そこに、とある企業の出張所みたいな事務所兼作業所の建物がありました。
知人の知人がそこに勤務していました。その人をAさんとします。
Aさんは元々地元の人ではなく、その出張所に住み込みで赴任してきた人です。
そこは、普段はAさんが一人だけで勤務していて、
極たまに他の職員が短時間仕事をしに来るだけで、のんびりした職場のようでした。
田舎で、人と交流する時間もほとんどないAさんは、
その出張所で近所をうろついていた野良犬を飼い始めました。
田舎で十分な広さもある環境ですが、動物飼育は禁止でした。
何カ月かの間は、他の職員は見て見ぬふりをしてくれて過ごせました。
しかし、そうはいかない職員が仕事に来てしまい、厳しく注意を受けた結果、
Aさんは新しい飼い主を見つけられず、保健所で犬を処分することになりました。
犬は妊娠していたそうです。
母犬とお腹の子犬の命は守れませんでした。
それからAさんは、また一人になった出張所の中で仕事と生活を続けました。
しばらくすると、
Aさんの様子が徐々におかしくなり、仕事が出来なくなりました。
精神が飛んでしまい、身体的にも社会生活が難しいような状況になり、
退職するしかなくなりました。
知人によると、Aさんは視線が泳ぎっぱなしの表情で、
椅子に背筋を伸ばして座っていられないような全くの別人になってしまったそうです。
[了]
335: 進行(仮) ◆omhwczk6HQ @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 02:54:46.37 ID:5V/oE6Yl0
九十八本目の蝋燭が消えました・・・
マモノ ◆100mD2jqicさん、第九十九話をお願いします
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336: 50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 02:55:39.04 ID:l/IPK0LS0
【第九十九話】マモノ ◆100mD2jqic 様
『自己主張』
(1/2)
夕方職場で1人、作業室内にある別の作業室でガチャガチャと掃除をしていた時の事。
シンクで洗浄をしていると、視界の端で台車が前後にフラフラ何度も動いているのが見えた。
さっきまでここで作業していた人が戻って来て、台車が邪魔だから動かそうと
苦労してるのかな?と思い、振り返ったものの誰もいない。
めまいでも起こしてたんだろうか、ヤダね?。と気にせずそのまま作業続行。
作業室内作業室から出て作業室の(ややこしいな…)他の作業に従事していた時
別の作業をしていた人から「チーフいる?」と訊ねられた。
「ずっと見てないから事務所にいるんじゃないかな」
「さっきまで表にいたんだけど、もういない?」
「ホント?じゃあ…」
窓の外に視線をやって探していると…
6?7mほど離れた、入り口近くの作業台からガサガサガサガサッという音が聞こえてきた。
2人で顔を見合わせ「チーフ、作業台の所にいたんだねw」「さっき横通った時
誰もいなかったから、てっきりいないと思ってたw」などと笑い合い、しかし
聞こえてたら(別に悪い事は言ってないけど)微妙に気まずいかなと思い、チーフの
作業を手伝ってごまかそうとwそちらへ向かった。
337: 50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 02:57:02.74 ID:l/IPK0LS0
(2/2)
入り口近くの作業台は奥まった場所にあり真横に行かないと見えないので近付いて
声を掛けようと覗き込むが…誰もいない。
いかにも作業してる音が聞こえたから2人で納得したはず。
先程の場所に戻って「今、ガサガサ聞こえたからチーフいると思いましたよね?」
と確認、やはり「うん」との返事。
「誰もいなかったです…」
「えっ、だってハッキリ聞こえたじゃん!」
「私もハッキリ聞こえました…」
「…やめてー!」
そこでさっきの作業室内作業室での出来事を思い出した。
「じつはさっき…」
「ええええええ!」
聞く所によると以前、山伏の修行をした事があるとかいう人が(マジかよ)うちで
働いていた時、作業室内作業室の横の通路に霊がいる!とよく言っていたらしい。
その霊がその日は絶好調だったとか、何か突然思い立ったとかで色々アピール
してみたって事だったのかな…と思ってみたりしているが…
そんな自己主張はおやめ下さい。
山伏さんみたいな人がいなくて寂しいのかもしれないけど、こっちは仕事中なんで。
霊感ある人が働きに来るまでおとなしく待っててね。
【了】
338: 進行(仮) ◆omhwczk6HQ @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 03:00:12.36 ID:5V/oE6Yl0
九十九本目の蝋燭が消えました・・・
るしふぁー ◆CS/orwC/9AZjさん、第百話をお願いします
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339: るしふぁー ◆CS/orwC/9AZj @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 03:01:06.41 ID:WswBOqP00
【第 百 話】るしふぁー ◆CS/orwC/9AZj
『おかえり』
(1/4)
私は今、親父とその親兄弟がかつて生まれ育った土地で暮らしている。
そして今年の七月下旬に叔父(親父の兄)が他界した。6人兄弟だった親父の最後の兄弟だった。
親世代は短命で20代から50代で亡くなっているが、叔父だけは79歳まで生きた。ほぼ平均寿命だ。
ちなみに祖父母世代、特に母方の親世代は長寿で、90代から100歳越えである。
この人は本当に頑固で気難しく、私もこの血を引いたのか常々衝突していた。
ただ、私は子供の頃に両親と死別し、叔父が後見人になって学費を出してくれていたので、
感謝の気持ちは持っていた。
葬儀は近年にしては珍しい大きなもので、3人の和尚さんを呼び派手にやっていた。
木魚に銅鑼とポクポク・ドンドン・シャンシャンと2時間近い読経、派手好きな叔父は喜んだだろう。
先週、継母との確執については書いたが、やっぱり通夜に何食わぬ顔をして来ていて、久々にご対面!
事情を知っている親族はハラハラ…。私の親族は今まで継母とその男、娘を大切にしてきていた。
本家の血を一番濃く受け継ぐ私は悔しいやら惨めやら、複雑な気持ちでいつも二歩も三歩も退いていた。
だから、直面した継母に一言放った、「まだ生きとったん?あんたも一緒に焼いてもろたら?」と…。
不謹慎だとは解っていたが、ついつい口が滑ってしまった。
340: るしふぁー ◆CS/orwC/9AZj @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 03:02:27.95 ID:WswBOqP00
(2/4)
従妹は「あんたは本家やから堂々としとったらええねん!なんで他人にデカイ顔されなアカンの?」
…とズバッ!継母はおずおずと引き下がった。翌日の葬儀は「身体の具合が悪くなって…」とドタキャン。
親族は驚きあたふたしていたが、従妹は平然と「これで元のさやに収まったな。おっちゃんのギフトや!」
と言った。満面の笑みを浮かべて…。
それから火葬、初七日法要、三十五日法要、四十九日法要、精進落としと順調に進み、葬儀は終了。
私はこの叔父の家に泊まり、叔母と語り合うことにした。継母はこの叔母にいつも接近し私の悪口を言っていた。
理由は判っている。叔父は不動産業を営んでいて、けっこうな財産があったから"おこぼれ"を狙っていたのだ。
「お葬式に出たら"お年玉"がもらえる!」と、通夜の日に継母が口にしたらしい。
従妹が近くにいて聞いたと言っていた、。叔父の子は自分の家に帰って独りになりたいとのこと。なんだかなぁ…。
「ゆっくり話せるのは、○○(私)君の高校以来やねぇ…」と叔母。
従妹:「おっちゃんからの最後のギフトやで!ゆっくり話しや…。あんたの親もここに来てるで。」
私:「うん。なんか全員来てる感じ。お経の時にフワフワして靄がかかってたもん…。」
こうして叔母と私はタクシーで家へと向った。
家ではお骨を前にして懐かしい話しをし、これまでの私の人生の真実を語った。まさか、こんな日が来るとは!
341: るしふぁー ◆CS/orwC/9AZj @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 03:03:44.55 ID:WswBOqP00
(3/4)
叔母は涙を浮かべて「苦労ばかりかけて…」と言った。祖母が亡くなる前の言葉と全く同じだった。
私は、目の前にいるのが叔母というより、祖母が還ってきてるように感じていた。
いや、この温もりは祖母以外の何者でもない。
その後シャワーを浴びたのだが、ずっと背後に何かの気配を感じていた。時折ゾクッとする感じのアレだ。
身体を拭きながら無意識に「ばあちゃん…」と呟いた。
葬儀というものは本当に疲れる。深夜になったので布団に入った。特に何を起こらなかった。
次の日も、そしてまたその後も不思議な現象は起こらず、珍しいな…とさえ感じていた。
数日後、私は自宅へ帰り我が家の仏壇に御供えをして、この数日の出来事に感謝して手を合わせた。
帰宅した日の夜中、突然金縛りに遭い誰かの気配を感じた。いつもなら「ばあちゃん!」となる瞬間。
この日は違う。「誰?」といった感じ。いつも私は南枕で寝ている。目を開けたら北枕になっていた。
同時に祖母ではなく母親でもなく、親父でもないことも感じた。目を閉じるととても明るく感じた。
そして視界の外から誰かがやってきて姿を現した。叔父だ。「何故ここに?」…慣れているはずの金縛り、
今回はちょっとパニックになりかけていた。叔母に自分のことを話したことに怒っているのかと思った。
でも、いつもと様子というか表情が違う。しかめっ面じゃなくて穏やかな顔。決して笑顔じゃないが…。
342: るしふぁー ◆CS/orwC/9AZj @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 03:05:07.68 ID:WswBOqP00
(4/4)
「よう家を守ってくれとる。大丈夫や。」と言い残して何処かへ行った。やっぱり笑顔は見せずに…。
次の日の夜、南枕にすると目が冴えて眠れず、故意に北枕に変えてみたらすぐにウトウトし始めた。
すると金縛りこそないが半分夢の中で叔父が現れ、また安堵した顔でしばらく見つめ、何も言わずに消えた。
そして、その次の日も…。この状況で祖母が来ないなんて未だかつてないことだ。
私は昨年から年明けにかけて、再発予防のための抗がん剤治療を受け、その副作用と後遺症に悩まされていた。
この冬は低温状態における手足の痺れと突発的に起こる麻痺、味覚の完全喪失等、とても不便な生活をしていたが、
暖かくなりだんだん症状が和らいできて、何とか事務的な仕事から再開していた。しかしまだ完全ではなかった。
夏になっても冷房の風に当たると足が痺れ、歩きにくさを感じていた。だが叔父が現れるようになってから、
この症状がほとんど消えた。そしてある朝、味噌汁を飲んだら「しょっぱ?い!」…鈍くなっていた味覚が復活!
病院側に話すと「あり得ない。前に説明した通り、完全に戻るのは奇跡でも起きない限り無理だと…。」と…。
今、まさにこういう現象が現在進行形で起きている。素人のくせに百物語の語り部や運営をしたいと思ったのは、
不自由になった身体でも何か楽しい思い出づくりに…という気持ちからだった。?もしかして来年は…??
でもね、今は違うんだ。もっともっと話が上手くなって、来年も語り部やりたいと思ってる。ではまた来年…。
【おしまい】
343: 進行(仮) ◆omhwczk6HQ @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 03:08:15.72 ID:5V/oE6Yl0
百本目の蝋燭が消えました・・・
これにて今年のお話は全て語られました……
今宵の宴に、幕が降ろされようとしています。
344: 50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 03:08:37.31 ID:l/IPK0LS0
345: 50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 03:10:04.13 ID:l/IPK0LS0
346: 50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 03:11:13.49 ID:l/IPK0LS0
347: 50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/ 2016/08/28(日) 03:12:14.17 ID:l/IPK0LS0
百物語2016 【前編:第一話?第五十四話】
http://world-fusigi.net/archives/8562846.html
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コメント
1 不思議な
これまだやってたのか
生で見たかった
2 不思議な
こういうこと言うと怒られるかもしれないけど
みんなで団結してやったスレだからこうやってまとめられるとちょっと嬉しいかな
3 不思議な
無理してキャラ作った言葉遣いで間違えてるの見るとちょっとこっ恥ずかしい
4 不思議な

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