アンチョビ「角谷杏はいるかっ!」西「落ち着いて下さいっ!?」back

アンチョビ「角谷杏はいるかっ!」西「落ち着いて下さいっ!?」


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1:
――――大洗女子学園:生徒会室にて
バダンッ
アンチョビ「ここか?っ!?」ガーッ
桃「うわっ!?な、何だいきなり!?」ビクッ
アンチョビ「あぁっ!ここにいたのか、角谷杏っ!!」ビシッ
杏「あれ?チョビじゃん?」ヒョコ
アンチョビ「だ?か?ら?チョビって言うなっ!!」
西「お、お邪魔しま?す……」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1451166734
2:
桃「安斎に西――お前たち、どうしてここに……?」
柚子「桃ちゃんほら、例の……」
桃「ん?ああ……そういえば今日からだったな、短期転校期間……」
アンチョビ「安斎と呼ぶな!!お前っ!あの時の約束を忘れたとは言わせないぞっ!!」
杏「あの時……?」
アンチョビ「この間の試合の時だよ!!ほら、カールに突っ込んだ時に、約束しただろう!?」
西「そうなんですか?」
杏「ああ、そういえば約束してたっけ『干し芋パスタ』作ってあげるって……」
3:
アンチョビ「そうそれ!せっかく短期転校で大洗に来たっていうのに、会いに来てくれる様子がないから、こうして乗り込んできたんだよっ!!」
桃「『乗り込んできた』って……案内役のあんこうチームはどうした?」
ガチャ
みほ「はぁ、はぁ……やっと、追いついた……」ヘナヘナ
杏「お、西住ちゃ?ん。ち?っす」
沙織「はぁ……もう疲れたぁ?」
優花里「ですね?」
桃「何だお前ら揃って……ちゃんとお客様を案内しないとダメだろう?」
華「あ、いえ、実は――」
4:
書き忘れてしまいましたが
前作カチューシャ「お邪魔するわよ、ミホーシャ!」ケイ「私もね!」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1449871542/
劇場版公開からだいぶ経ちますが、一条ネタバレ注意です。
5:
――――10分前:校門にて
アンチョビ「やぁやぁ諸君、パスタの国から遠路はるばる、この総帥(ドゥーチェ)がやってきたぞ!」ビシッ
みほ「はい!ようこそ大洗へ!!」
西「不詳!私、西も馳せ参じました!この度はお招きいただく機会を賜りまして、誠に――」
沙織「あ?もう相変わらず堅い堅い。私達同い年なんだから、もっとフランクでも良いのに……」
西「そう……ですか?」
沙織「そうそう。それに……あんまりお堅いイメージだと、男の子も引いちゃうよ?」
6:
麻子「……そういうお前はどうなんだ?――男子ウケしているのか?」
沙織「何よぅ!そりゃあモチロン私くらい愛想が良ければ、道行く男の人に次々と声をかけられて――」
華「そんな姿、見たことありませんけれど……」
沙織「む??」
アンチョビ「おお、沙織ぃ?会いたかったぞぉ?!」
沙織「あ、うん!久しぶりぃ?」ギュ
西「お二人はお知り合いだったのですか……?」
沙織「前にアンツィオを訪問した時、ちょっとね……」
7:
アンチョビ「また色々話を聞かせてくれ!沙織の恋愛話は……その……参考になるし」ゴニョゴニョ
麻子「お前……どんだけ話を盛っていたんだ……?」
沙織「ち、違うもん!ちょっと雑誌やなんかに載っていた話をこう……ね?」
華「それを『盛っていた』というのでは?」
沙織「何よもうっ!二人してぇ!!」
アンチョビ「……そういえば出迎えはお前達だけか?」
みほ「あ、はい。そうですけれど……」
8:
アンチョビ「生徒会長の角谷杏は?」
みほ「会長ですか?来る予定はないですけれど……」
優花里「全部私たちに丸投げ――もとい、一任されてますからね。何かお約束でも?」
アンチョビ「…………生徒会室の場所は?」フルフル
みほ「あ、えっと……あっちの校舎の一番上の階の……」
アンチョビ「??!!」ダッ
みほ「ふえっ!?ちょ、アンチョビさん!?」
西「えっ!?ちょっと、どこに行くんですか?!!」ダダッ
華「あらあら、二人とも一目散に行ってしまいましたね……」
みほ「ど、ど、どうしよう……」オロオロ
優花里「とにかく追いかけないと!」ダッ
沙織「ああっちょっと!?ほらっ、麻子も行くよ!」グイッ
麻子「マジでか……」
9:
華「とまぁ、二人とも生徒会室の場所を聞いたらいきなり走りだすんですもの……」
優花里「いや?お二人とも、走りだすと早かったですねぇ……」
麻子「お……起き抜けに走ると……死ぬ……」ガクッ
沙織「ちょっと麻子!しっかり立ちなさいよぉっ!!」グィッ
柚子「お、お疲れ様?」
桃「お前らなぁ?他の生徒の迷惑だろう!」
アンチョビ「いや、だってだなぁ……パスタの恨みは怖いんだぞ?」シュン
西「スミマセン!アンチョビさんが急に走りだしたのを見てつい『追いかけなきゃ』という思いが先行しまいまして……」
10:
杏「いや?悪かったねぇ忘れてない、忘れてないよ?――んじゃまぁ折角来てくれたことだし、ここにいる全員に振る舞おうか?『干し芋パスタ』」
アンチョビ「いよっし!!」グッ
みほ「えっ?私達もいいんですか!?」
杏「うん、いいよ♪特にあんこうチームの皆にはお世話になりっぱなしだから、たまには恩返ししないとねぇ?」ニッ
みほ「いえ、そんな……」
沙織「……な?んか、ごちそうになることで今後も面倒事を押し付けられそうな気が……」ヒソヒソ
華「沙織さん、失礼ですよ?」ヒソヒソ
沙織「ええ?だってさぁ……」ヒソヒソ
11:
麻子「まぁ、甘いモノが食べられるのなら何でも良い……」
優花里「はい♪それに『干し芋パスタ』がどんなものか気になりますし……」
西「私も聞いたことないですね……」
柚子「……会長、私も干し芋パスタ何て聞いたことないんですけれど、もしかして――」ヒソヒソ
杏「うん、無いよ?作ったこと」ヒソヒソ
柚子「やっぱり……」ガクッ
杏「だぁいじょうぶ、大丈夫。かーしま!」
桃「はっ!」
杏「とりあえず今から言う材料と……家庭科室おさえといて」
桃「承知しました!」
12:
――――1時間後:大洗女子学園家庭科室にて
杏「ほいっ!これで完成!とりあえず大皿から銘々取り分ける感じでいいかな?」コトッ
西「おお?これが……」
アンチョビ「干し芋パスタぁ?♪」
沙織「……見た目は普通のトマトパスタみたいな感じね?」
麻子「うむ、見た感じは悪くはない……」
華「これは……刻んだ干し芋を混ぜているみたいですね」
優花里「味は……どうなんですかね?干し芋とトマトって……甘味と酸味……」
みほ「ま、まぁ『さつまいもの味噌汁』とかも有るくらいだし、意外と合うかも?」
杏「さ、皆どんどん食べてね?」
13:
みほ「はい、いただきます……」
アンチョビ「いっただきま?す!」
西「……いただきます」
華「……あら?」
沙織「これはなかなか……」
麻子「……うむ、旨いな」
優花里「ですね♪」
アンチョビ「おお?やるじゃないか!見なおしたぞ♪」
桃「……フッ、当然だ。会長が作ったものだからな!」
杏「だろう?アッハッハ?」
14:
杏「いや?適当に作った割には、なかなかいい感じに出来たな。私って凄くない?」ヒソヒソ
柚子「やっぱり適当だったんですね……」ヒソヒソ
みほ「凄い……パスタと干し芋って合うんですね……」
杏「ん?まぁ工夫次第だよ?パスタも大元の材料は小麦粉なわけだし」
アンチョビ「そう!パスタは何にでも合うんだぞ?伊達にイタリアの国民食を張ってるわけじゃないんだ!」
西「主食に甘いものの組み合わせというと、日本で言う所のおはぎみたいなものでしょうか?」
杏「そうそうそんな感じ?今回はトマトソースを使ったけど、いっそソースも甘い味付けにしてスイーツパスタ風にするのも良いかもしれないね?ホントは生地に最初から芋を練り込んだりするともっと良いんだろうけど……予算で製麺機とか買っちゃまずいかな……?」
柚子「会長、流石にそれは……」
杏「あははっ、そっかぁ?」ケラケラ
16:
みほ「でも会長って色んな料理が出来るんですね?料理が趣味とは聞いていましたけれど……」
沙織「んん……私も見習わなくっちゃ!特にスイーツ系に関しては、『女の子が好きなもの』って先入観があるからなぁ……最近は『甘党男子』も増えてきてるっていうのに、見落としてたわ!!」グッ
麻子「お前の場合はレパートリーが偏り過ぎだ……甘いモノならいくらでも試食してやるというのに……」
沙織「もう!麻子も女の子なんだから、好きなモノばかり食べてないで、少しは美容の事も考えなきゃダメだよ?」
麻子「沙織と違って、頭使ってカロリー消費してるから大丈夫……」
沙織「何?私ってそんなに頭使ってないイメージ?日々カロリー計算とかして頭使ってるのに!!」
麻子「あのなぁ……」ガクッ
17:
優花里「武部殿、そんなにカロリーを気にされているのでしたら、私と一緒に筋トレでもしましょうか」
みほ「良かったら、私とジョギングでも……」
沙織「ええ?『5分できれいになれるヨガ』がかろうじて続いてるレベルの私でもできるかな……?」
華「でしたら――」
沙織「あ、うん……華の意見は参考にならなそうだからいいや」
華「なんだか酷い言われようですね……」
沙織「ええ?だって華っていくら食べても太らないじゃん!参考にならないよぉ」
華「私の場合は身長が有りますから、基礎代謝量が高いだけなのでは……?」
沙織「絶対それだけじゃない気がする?」ブツブツ
18:
西「……」ポカーン
アンチョビ「ん?どうした?美味しくなかったか?」
西「あ、いえ。そういうわけではないのですが……皆さん、仲が良いんだなと思って……」
沙織「えっ、そうかな?」
西「はい。特にお互い容赦なく気持ちをぶつけ合っている辺りが……」
みほ「容赦なく……アハハ……」
西「ああいえ、決して悪い意味ではなくてですね……何と言うかこう――信頼しあってるからこそ、本音をぶつけ合えているんだなと」
華「知波単学園は違うんですか?」
19:
西「う?ん、ウチは仲が悪いわけではないんですが……隊員間での上下関係がはっきりしてるんで、中々このような会話は……」
アンチョビ「へ?そうなのか?ウチはそういうの気にしたこともないな……基本皆ノリの良い奴ばかりだし。戦車道以外のことに情熱が傾いてるのが困るんだが……」
優花里「そうですね、皆で協力して屋台を出してたり、楽しそうな雰囲気でした!」
アンチョビ「だろ?……ってなんで知ってるんだ?」
優花里「あっ、いえ、なんでもありません!」
アンチョビ「?」
沙織「うちはまぁ……会長がああだから、『皆自分のやりたいことやって今を楽しめ?』みたいな所はあるかもね?チームという学校全体として」
優花里「まあ普通の戦車道チームなら、戦車を金色に塗ったり旗をさしたりしませんよね?砂漠迷彩のピンクは別としても……」
杏「あれ、今さり気なくディスられなかった?私」
柚子「ええっと……アハハ……」
20:
西「でも、それでよく試合で統率が取れていますね?西住さんはどんな指揮を取られてるのですか?」
みほ「う?ん……まぁ状況に応じて適切な判断をして、統率するのが隊長の責務だとは思いますが……私の場合は、要所要所では各チームの判断に任せちゃってる場面もあります」
沙織「うん、割と各自自由に動いちゃってるもんね?ウチって」
西「確かに、エキシビジョンでも大学選抜との試合でも、そういった場合が多かったように思えます。ですが命令は明確な方が確実に勝利出来るのでは……?」
みほ「――確かに確実に勝つ事も大事です。実際私達は『負けたら廃校』という背水の陣で試合をする場面も有りました……」
西「でしたらやはり――」
21:
みほ「――――ですが、上の人に命令された事だけやっていたら、戦車道が楽しくなくなっちゃうんじゃないかなって思います」
西「楽しくない……ですか――」
みほ「はい……私も前までは『勝つことが全て』であると教えられて、戦車道をして来ました。でもこの学校に来て、勝つこと以外の戦車道の魅力を見つけることが出来たんです」
西「勝つこと以外の……?」
みほ「はい。例えば皆で戦車の整備をしたり、作戦を立てたり、負けた相手から紅茶を頂いたり、試合が終わったら敵も味方も関係なく宴会を開いたり……」
アンチョビ「……」
みほ「試合の結果だけじゃない。友達、チームメイト、そして知りあった全ての人と仲良くなって、戦車道を『楽しむことの魅力』を皆に知ってほしいから、だから私は――」
沙織「みぽりん……」
23:
杏「お?いいこと言うね?西住ちゃん!」パチパチ
みほ「い、いえそんな……」
西「……なんだか、大洗女子の強さの秘密が少し分かった気がします……」
みほ「えっと……私も途中から何を喋ってるのかわからなくなっちゃったんですが……」アセアセッ
優花里「いいえ!私、とても感動しました!!」グッ
華「はい。とてもみほさんらしかったと思いますよ?」
麻子「ああ……」
西「私も、参考になりました!」
杏「……まあ確かに、楽しむことっていうのは大事だよね?」
桃「会長……?」
24:
杏「……ウチの学校はさ、他みたいに誇れるものがなくて、ただ古くて歴史があるだけの学校だからさ、少しでもここに通ってる子達に楽しんでもらえればって思って、色んなイベントを企画してきたわけなんだけど――」
華「そうだったんですか……」
沙織「てっきり会長の趣味嗜好かと思ってた……」
柚子「うん、それも何割かは……」
沙織「やっぱりそうなんだ!?」
杏「でも今年は春先から戦車道ばかりで何のイベントも開けてなかったしなぁ……今度こそ廃校も無くなったことだし、ここらで一つ、何かイベント考えるか?」
桃「会長!」パアァ
柚子「??はいっ!」ニコッ
25:
優花里「何だかあの二人、とても嬉しそうですね?」
華「ええ……思えば、私達に打ち明けるまでずっと三人で廃校の危機と戦ってきたわけですからね……」
麻子「肩の荷が下りた……というやつか」
みほ「そういえば私、転校してきたから生徒会が企画したイベントに参加したこと無いかも……」
沙織「そういえばそっか。凄いんだよ?去年の泥んこプロレスの時なんかねぇ……」
アンチョビ「……ちょっといいか?」スッ
桃「ん、どうした?安斎」
アンチョビ「ア・ン・チョ・ビ!もしくは総帥(ドゥーチェ)!……もし良かったら、次に企画するイベント、ウチの学校と合同でやらないか?」
西「――!でしたらウチとも!!」
桃「何でまたいきなり……」
26:
アンチョビ「……お前らの話を聞いていたら、何だか楽しそうでな……混ざりたくなった。ウチの奴らも『一度大洗に行ってみたい』って言ってたことだしな」
西「それウチもです!この間の試合で、自分たちが続けてきた伝統の突撃以外の戦い方があると知り、色々学びたいとの声が……」
柚子「わぁ、嬉しい♪」
アンチョビ「――あとウチは『またマエストロ沙織の話を聞きたい』っていう意見が多くてな……」
麻子「お前はあっちの学校でどんな存在になっているんだ……?」
沙織「え?何も変なことしてないんだけどな……」
27:
アンチョビ「それとついでにこちらでウチの屋台を出店出来れば、売上金でP40の修理費を稼ぐことも――!」
麻子「本命はそっちか……」
優花里「まだ修理されてなかったんですね、アレ……」
杏「んじゃあ三校合同で学園祭でもやろっか?かーしま!」
桃「はい!早企画を練りましょう!」
杏「二人が滞在している数日の内に、話を進められるだけ進めておこうか……西住ちゃん!」
みほ「はいっ!」
杏「……また助けて欲しい時は、手を借りてもいいかな?」
みほ「あ……はいっ、頑張ります!」
杏「…………アリガト」
優花里「……なんだか忙しくなりそうですね?」
みほ「うん。でも楽しみ♪」
2

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