マウンドを愛したプロ野球選手彡(゚)(゚)back

マウンドを愛したプロ野球選手彡(゚)(゚)


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彡(゚)(゚)「初めてきちんとしたマウンドに立ったのは11歳の時、少年野球の紅白戦やった。やっと一つ目のアウトを取った後、自然とガッツポーズが出た事を今でも覚えている」
彡(゚)(゚)「以来、ワイはピッチャーとしての道を志した。中学を経て、高校で大舞台を経験した。ワイはピッチャー一筋、投げ続けた」
彡(゚)(゚)「プロの道を選ばせて貰った時は嬉しかった。ワイは入団会見で『エースになりたい』と言った。誰もが描く夢――日本一のピッチャーになるチャンスだと思ったからや」
彡(゚)(゚)「そうして挑んだプロ野球の世界ではいきなり壁にぶつかった。アマチュアの時とは勝手が違う。マウンドにも立てたせて貰えない。投げても楽しくない時期がずっと続いた」
彡(゚)(゚)「ワイは始めから一流のピッチャーだった訳やない。変化球はヘタクソやし、コントロールは滅茶苦茶や。投げたいばかりで頭も使わなかった」
彡(゚)(゚)「では、そんなワイがどうして25年も現役を続ける事が出来たのか。『マウンドを愛するプロ野球選手』と云う、おかしな呼び名を貰う程の投手になれたのか」
彡(゚)(゚)「それらを思い出せるだけ、今から――つい先日、プロ野球選手として引退したばかりやが――歩んだ軌跡と共に書こうと思う」
彡(゚)(゚)「ワイの長きに渡るプロ野球生活を支えてくれた球団関係者の皆さん、同じグラウンドに立って共に戦った全球団の監督、コーチ、選手の皆さん、阪神園芸さん、球団スタッフの皆さん、そして全てのファンの皆様と家族のみんなへ、無限の感謝を込めて――」
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・男「神待ち掲示板、かぁ」少女「……」
・俺が歌丸やるからみんなで笑点やろうぜ
・アスカ「あっついわねぇ、シンジクーラーの温度もっと下げなさいよ」
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・【画像】彡(゜)(゜)「えっ!ワイが童話の主人公に!?」
・男「お前、毒舌なんだってな?」 毒舌少女「そうよ」
・実況「金メダルをとった萩野には俺さんへの挑戦権を手にしました!」俺「ほう君が萩野か」
・俺「コンビニ行くけど一緒に行きたい人〜wwww」 父母「Zzz…」 妹(無視) 犬1「ワンワン!!」 犬2(シッポフリフリ)
2:
【前編】
〜ドラフト会議当日、おんj高校
『……横浜DeNAベイスターズ、やきう民』
『……阪神タイガース、やきう民』
[^][^]ミ「ドラ1だ!やきう民、ドラ1だぞ!しかも競合じゃないか!」
彡{゚}{゚}「すげー!マジすげーぞ!」
彡(゚)(゚)「何だこれは……たまげたなあ」
[゚][゚]ミ「よく頑張ったなぁやきう民、俺嬉しいぞ!監督冥利に尽きるってやつだ!」
彡{^}{^}「後はくじだな!何処行きたい!?」
彡(゚)(゚)「もう(阪神しか)ないじゃん……」
3:
( ・`ω・´)「(頼む、当たりくじ……当たりくじ!)」
( ・`ω・´)「!!(ガッツポ)」
[^][^]ミ「あれはどっちだ!?」
彡{^}{^}「阪神の真弓監督っすよ!阪神がくじ当てました!」
彡(^)(^)「やったぜ。」
マスコミ「やきう民選手は阪神タイガースです!ドラフト1位、甲子園優勝投手のやきう民投手は阪神タイガースが指名権を獲得しました!」
マスコミ「ご家族や学校関係者、チームメイトなど大盛り上がりです!まずは今のお気持ちいかがですか!」
彡(^)(^);「えーと、と、とりあえず、凄く嬉しいです!はい」
彡(^)(^)「ワイもプロ野球選手に……最高やな!」
4:
〜翌年、春キャンプ
彡(`)(´)「しゃー!おらー!(バシーン)」
( ・`ω・´)「ふむ……。上の指示で高卒新人のやきう民を一軍キャンプに呼んだが、大体スカウトの報告通りだな。右投右打、球が持ち味のロマン型投手だ」
マスコミ「真弓監督!ドラフト1位のやきう民選手をどうご覧になりますか」
( ・`ω・´)「あー……。元気があるね。直球のキレが非常に良いし、長い回を投げる体力もありそうだ。先発で投げる藤川球児みたいな投手になるかも知れないね」
( ・`ω・´)「(だが、打撃や守備はかなり粗いし、まともに使えそうな変化球がカーブしか無いのはまだプロ未満だがな)」
( ・`ω・´)「(そして一番まずいのは、コントロールが悪すぎる事だ。まだ1球もストライクに入らないぞ……。こいつ本当に甲子園で優勝したのか?)」
5:
〜一週間後
彡(゚)(゚)「ぬわあぁぁぁん疲れたもおおおん!流石にプロのキャンプとなるとハードやな。明日は休養日で、新人の観光地巡りか……」
( ・`ω・´)「やきう民。少しはプロに慣れたか?」
彡(゚)(゚)「あ、ハイ!何とかついて行ってます!」
( ・`ω・´)「そうか。……すまんが、実は第二クールから二軍キャンプに行ってくれと云う通達だったんだ。荷物をまとめておきなさい」
彡(゚)(゚);「ファッ?!何でですか?!ワイは全然疲れてないですよ(大嘘)!一軍キャンプに帯同させてください!」
7:
( ・`ω・´)「いや、体力の事はともかく、お前はまだ実戦レベルじゃないと云う上の判断だ。お前に一軍は早すぎるとな。勿論これから……」
彡(゚)(゚);「まだ試合で投げてもいないのに分からんやないですか!投げれば一軍クラスだって分かりますから!」
( ・`ω・´)「プロを甘く見るな。練習で出来ない事は試合でも出来ない。それはこの一週間でよく分かった事だ」
( ・`ω・´)「とにかく、第二クールからは二軍だ。いろいろ学んで早く上がって来い。お前には期待しt」
彡(゚)(゚);「お願いします!ワイはやれますって!」
8:
( ・`ω・´);「わ、分かったよ。じゃあ二軍で結果を出せば上げてやろう。頑張れよ」
彡(゚)(゚);「ぐぬぬ……」
( ・`ω・´)「やれやれ。素直にハイと言わない性格は如何にもピッチャー向きだ。若さがあって良いもんだが、ちょっとしつこいかな」
彡(゚)(゚)#「何やねん一体!いきなり一軍で投げられると思ったのに!」
10:
〜数週間後
( ・`ω・´)「キャンプもそろそろ打ち上げだ。掛布監督、二軍の様子はどうだ。新人は元気か?」
掛布「まずまず順調ですな。新人は怪我も無く予定通り消化出来ましたよ。やきう民がちょっと厄介なくらいかねぇ」
( ・`ω・´)「厄介?」
掛布「紅白戦や対外試合で投げさせてくれと毎日うるさくて……」
( ・`ω・´)「ハハハ、そう云う事か。気が強いんだな」
11:
掛布「いや、それがですよ。確かにブルペンばかりでは飽きるだろうと思って、バッティングピッチャーに指名したんです。そうしたら一球もストライクを取れなくて」
( ・`ω・´)「やはりコントロールが問題か。……いや待て、コントロールが悪い?」
掛布「だからコーチと……」
( ・`ω・´);「駄目だ。変な矯正は絶対にするな。とりあえずサイドスローとか絶対ダメだぞ」
( ・`ω・´)「見栄えは悪くても今は我慢して貰わないと。3年掛かっても構わないから、持ち味の直球で勝負出来るピッチャーにしてくれ」
掛布「おかのした」
彡(゚)(゚)「フン!(ビシッ)」
彡(゚)(゚);「あかん、また2m上にすっぽ抜けた。おかしいな……ストライクが取れない。これじゃ一軍に上がれないで」
12:
〜シーズン開幕数週間後
彡(゚)(゚)「結局オープン戦のおの字も無いまま開幕、あっと言う間に1か月ほどが経ってしまったわ……。ドラ1やのにこの扱いは何やねん?」
彡(゚)(゚)「今日もブルペンや。試合に出たいなぁ。フン!(スポーン)」
掛布「おい、やきう民」
彡(゚)(゚)「あ、監督。今日こそ投げさせて下さい。もう2か月もブルペン浸けで……」
掛布「言うと思ったよ。……実は今日の広島戦でお前をベンチ入りさせたいんや、良いだろ、な?」
彡(^)(^)「ほんまか?!やったで!」
掛布「今日は中継ぎで様子を見る。お手並み拝見だ」
13:
( ・`ω・´)「……なるほど。今日、二軍でやきう民が初登板を果たしたのか。どうだった?」
掛布「1イニング投げさせたかったんやけど、ストライクはゼロ。7連続四死球で自滅しました」
( ・`ω・´)「奈々つ?!(驚愕)」
掛布「でもね、凄いボールは投げとったんですよ。150キロを連発。真ん中でも良いからストライクゾーンに来さえすれば……と思わせる直球ばかりでしたから」
( ・`ω・´)「ううむ……。キャンプからずっと同じ報告を聞いている気がするよ」
( ・`ω・´)「仮にも甲子園優勝投手が1つもストライクを取れないなんて。ものになるには時間が掛かりそうだな」
彡(゚)(゚)「あーあ。昨日の二軍初登板は散々やったな……。ストライクを取るのってこんなに難しかったっけ?」
掛布「やきう民。お前の直球だけは超一級品だがまだまだ足りない部分だらけや。それを鍛え直さないと一軍には行けないぞ。これからもチャンスはやるから、故障だけは……」
彡(゚)(゚)「そしたら今日も投げさせてくれます?リベンジ登板って事で一つ」
掛布「……」
14:
〜シーズンオフ
彡(゚)(゚)「やれやれ、何やかんやであっと言う間にシーズンが終わってしまった」
彡(゚)(゚)「一軍は遠かったな。二軍で数試合中継ぎ登板しただけやったわ。しかも一個もアウトを取れなかった。投げ込んでも投げ込んでもコントロールはメチャクチャや」
彡(-)(-)「とりあえず現状維持で契約はしたけど、何か思ってたのと違うなぁ。もっと早く一軍で投げられると思ってたのに……」
15:
(o'ω'n)「あーっ!やきう民だおん!」
彡(^)(^)「おんちゃんやんけ。こんな所で会うなんて奇遇やな。ワイは来季の契約が終わって帰省する所やからまた来年な」
(o'ω'n)「ちょっちょっと待つおん!早すぎィ!少し歩いてお話するおん!」
彡(゚)(゚)「何でやねん」
(o'ω'n)「小学生の頃からの幼馴染だおん。今年は全然会えなくて寂しかったおん(半ギレ)」
16:
(o'ω'n)「プロ野球の世界はどんな感じだおん?今年はあんまり投げてなかったおん」
彡(゚)(゚)「実際投げさせて貰えなかったんや。1年目の今年は年中ブルペン。コントロールがーコントロールがーばっかでベンチにも入れて貰えないんやで」
(o'ω'n)「……」
彡(゚)(゚)「……」
(o'ω'n)「女の子に愚痴るのはかっこ悪いおん」
彡(゚)(゚)「しゃーないやろ」
(o'ω'n)「女の子と話す気が無いのはダサいおん」
彡(゚)(゚)「何や、変化球の話でもしたいんか?岩田のスラーブとか……」
(o'ω'n)「おんちゃんは進学してこっちに一人引っ越して頑張ってるおん!ちょっとは話を聞いて欲しいおん!」
彡(゚)(゚)「話して、どうぞ(スマホイジリー)」
(o'ω'n)「そう云う所が気に入ってるんだおん。さっさと連絡先を寄越すおん」
17:
〜翌年、春季キャンプ
彡(゚)(゚)「よーし、今年のキャンプこそ監督にええとこ見せるで!二軍スタートやけど目標はオープン戦出場、開幕一軍や!」
( ・`ω・´)「どうやら気持ちは折れていない様だな。年下の選手もいるから良いカンフル剤になるだろう。去年出番が無かった悔しさをバネに、今年こそ頑張って欲しいぞ」
彡(゚)(゚);「ああっ、また2m上にすっぽ抜けてしまった!」
( ・`ω・´)「何故、構えた所に投げないのか、投げられないのか、投げたくないのか、投げる度胸も無いのか」
18:
〜オープン戦
彡(゚)(゚)「キャンプも終わってオープン戦が始まった。ワイも投げたいなぁ」
( ・`ω・´)「やきう民。こんな所にいたのか」
彡(゚)(゚);「あ、はい!」
( ・`ω・´)「明後日のオープン戦にお前を出すぞ。中継ぎで1イニングを予定している。準備しなさい」
彡(゚)(゚)「えっ、中継ぎで1イニング……先発はダメですか?」
( ・`ω・´)「そう云う事は結果を残してから言え。しっかり投げてくれよ」
( ・`ω・´)「オープン戦だが一軍でやきう民のお披露目だ。楽しみだな」
19:
〜二日後、オープン戦登板日
球審「ボール!フォアボール!」
彡(゚)(゚);「くっそ!また押し出しやんけ!(他人事)」
( ・`ω・´)「全然駄目だな……ピッチャー交代だ!」
彡(゚)(゚);「ファッ?!ちょっと待て!1イニング投げとらんぞ!」
( ・`ω・´)「1アウトも取れずに5人連続で歩かせたら充分だ。何一つ成長してないじゃないか!(何でこいつタメ口なんだ)」
20:
彡(゚)(゚)#「何があかんのや!ヒットはおろかファールすら打たせてないんやぞ!」
( ・`ω・´);「それはストライクゾーンから滅茶苦茶に離れているからだ。誰も振らなくて当たり前だよ。とにかく交代だ。こんなんじゃ試合にならないよ」
彡(゚)(゚)#「約束と違うぞ!ふざけんな!」
平田「どっちがや!」
( ・`ω・´)「ああ、やれやれ。一昨年のドラ1投手が20球連続ボールなんて、どんな記事を書かれるのやら……」
21:
( ・`ω・´)「……と云う結果だ。やきう民のオープン戦は散々だった。どんなに良いボールでもストライクが取れないのでは話にならない」
( ・`ω・´)「今年も開幕二軍で決まりだ。コントロールを鍛え直す様に言っておいた」
( ・`ω・´)「掛布さん、多少は試合数を増やして経験を積ませてやってくれ。ついでに態度もどうにか躾けて下さい」
掛布「おかのした」
( ・`ω・´)「しかし、やきう民は一体何故あんなにコントロールが悪いんだ?フォーム自体は綺麗で安定しているし、原因が見当たらない」
( ・`ω・´)「もう2年前になるが、彼が夏の甲子園に出場した時は当たり前の様に三振を奪う圧倒的な投球を見せていた」
( ・`ω・´)「あれが出来れば一軍にくい込めるんだが、幻だったのだろうか……」
23:
〜開幕後数か月、シーズン中
彡(゚)(゚)「はぁ……一軍の舞台は遠いな。今日も二軍戦でフォアボールの嵐。やめたくなりますよ野っ球ぅ〜」
彡(゚)(゚)「(デデドン!)お、LINEや」
(o'ω'n)『頑張るおん』
彡(゚)(゚)「こいつかい。『頑張ってもコントロールは悪いままや』(ヘンシンー)」
彡(-)(-)「しかし、このまま北方とコーディエのハイブリッドじゃ一軍よりクビの方が近いな。多少スピードを殺して、制球力をごまかしてみたら良くなるかな……」
24:
彡(゚)(゚)「せや、投球スタイルを切り替えるんや。剛球をブルペンキャッチャーの2m上に投げ続けるよりはきっと良くなる。とにかく結果優先や(デデドン!)」
(o'ω'n)『昔からコントロール悪かったおん。気にする事じゃ無いおん』
彡(^)(^)「あ、そっかぁ(池沼)。ワイ昔からコントロールはうんこやったな!」
彡(゚)(゚)「……でも昔はストライクも取れたんだよなぁ。じゃなきゃ甲子園なんか行ってないで」
25:
〜翌日
彡(゚)(゚)「フン!(バス!)」
彡(゚)(゚)「ワイいけるやん。スピードと球威を捨てれば簡単にストライクを取れる。打たせて取るピッチングなら何とかなるかも知れんな(バス!)」
彡(゚)(゚)「150キロで三振を取りに行かなくてもアウトは取れるんや。今日からこのピッチングスタイルで頑張ろうっと」
掛布「今日はストライクが取れているが、スピードは出ていないな……。もしかして球を落として、打たせて取るピッチングに切り替えたのか?」
彡(゚)(゚)「(お、監督やん!ストライク取れる所見せるで!)それっ(ボスッ)」
掛布「問答無用に歩かせるよりは見栄えが良くなるが、130キロくらいか。こんな味気ないボールじゃ当分上がれないな(ガッカリ)」
26:
〜シーズン終了後
彡(゚)(゚)「(契約更改は)パパパっとやって、終わりっ。現状維持や。二軍成績を見せたら、終盤の打たせて取るピッチングを良くなっている兆候と判断してくれたで。サンキュー負広」
(o'ω'n)「あ、やきう民だおん」
彡(゚)(゚)「おんちゃん。久しぶりか?」
(o'ω'n)「直接会うのは1年ぶりだおん。でもやきう民が登板した日は毎日LINE入れてたおん」
27:
(o'ω'n)「今年はコントロールが良くなったおん?」
彡(゚)(゚)「まぁな。スピードを捨ててコントロールを重視する事にしたんや。お陰で、二軍やけど初めて中継ぎで1イニング投げ切れた。前より114514倍良くなったで」
(o'ω'n)「ゼロに何掛けてもゼロだおん。やきう民はいボールが武器だったのに勿体無いおん」
(o'ω'n)「おんちゃん、やきう民が遅いボールで打たれる所は見たくなかったおん。甲子園の時みたいにいボールで三振を取る所を見たかったおん」
28:
彡(゚)(゚)「……そんなもんは無意味や。"剛球で掴んだ高校野球の頂点"なんて過去の幻影にすがってどうすんねん」
(o'ω'n)「過去の幻影……」
彡(゚)(゚)「せや。プロは進化せんと生き残れない世界なんやで。みんなこうやってスタイルを変えて戦っとる。ほんの一握りの天才だけがスラッガーやエースと呼ばれる世界なんや」
彡(-)(-)「アマではスラッガーだったのにプロでは小技と守備が持ち味の控えに、そして地元で有名だったエースが平凡なリリーフになる。ワイも所詮その一人だったんや」
(o'ω'n)「やきう民……」
彡(゚)(゚)「ま、剛球はもう終わりや。来年からは文字通り凡Pとして、何とか生き残りの道を懸けて頑張るで」
29:
〜翌年、春キャンプ
彡(゚)(゚)「よし、打たせて取るピッチングも段々慣れて来た。これをものにして今年こそ一軍に上がるで!」
彡(゚)(゚)「フン!(バスッ)」
( ・`ω・´)「ん?今投げたのは……シュートか?」
彡(゚)(゚)「はい。オフの間に練習しました。打たせて取るにはこれが良いと思って」
( ・`ω・´)「打たせて取る?おいおい、あの球はどうしたんだ。自慢の武器だったじゃないか」
彡(゚)(゚)「(ストライク取れないし)ま、多少はね?それよりオープン戦とか投げさせて下さい。フォアボールで自滅したりしませんから」
( ・`ω・´)「何てこった。あの150キロのキレッキレの直球があったからこそのドラ1だったのに……」
30:
〜シーズン開幕
彡(゚)(゚)「今年のオープン戦は、結局中継ぎで3イニング投げて4安打3失点。去年と違ってストライクやアウトを取れる所はアピール出来たが、開幕一軍には呼ばれんかった」
彡(-)(-)「案の定首脳陣からは150キロを投げろとかぐちぐち言われた。かと言っていボールを投げればストライクを取れないんや、しゃーないやろ」
彡(゚)(゚)「ま、とりあえず前よりは良くなったんや。このまま打たせて取るピッチングを練習して、どうにかプロで生き残って行かんとな」
31:
〜一か月後
掛布「もしもし?」
( ・`ω・´)「ああ、掛布さん。私だ」
( ・`ω・´);「急ですまん。先発投手を一人用意して欲しいんだ。落とす程では無いが、岩貞が首を寝違えた様だ。明後日の先発はちょっと無理だろう」
掛布「明後日だと……中日か。代わりの先発なら、やきう民が丁度中6日で登板出来ますが、どうします? 最近シュートが良くなりましてね」
( ・`ω・´)「……そうだな。折角だし上で試してみるか。準備させておいてくれ」
掛布「おかのした」
( ・`ω・´)「やれやれ、『シュートが良くなった』か。そんな報告は聞きたくなかったな……」
掛布「と云う事でお前に一軍のチャンスが回って来た。来週の中日戦。しかも先発や。調整しておけ」
彡(^)(^)「ファッ?!一軍の先発?!やったーー!!」
32:
〜翌日
(o'ω'n)「やきう民は頑張ってるおん?(スマホイジリー)」
 明日の予告先発
 中日 - 阪神
 若松 - やきう民
 甲子園球場 18:00
(o'ω'n)「ファッ?!」
33:
〜更に翌日
彡(^)(^)「やっと来たで、一軍のマウンド!しかも久しぶりの甲子園や!でかいなぁ……」
( ・`ω・´)「力むなよ。リラックスして投げるんだぞ」
( ・`ω・´)「一応、初回から中継ぎには準備させておけ。長くは持たないだろう(ボソボソ)」
香田「かしこまり!」
( ・`ω・´)「プロで生き残る為に150キロを捨てて掴んだ一軍のチャンスだ。厳しい世界だが、順応出来る者だけがこの舞台に立てる。頑張れよやきう民……」
34:
(o'ω'n)「やきう民が一軍プロ初先発なんて大事な日なのに、何でこんな時に限って野暮用に捕まっちゃうんだおん!とっくに中日戦始まっちゃったおん!」
(o'ω'n)「はぁ、はぁ。やっとスタンドに入れたおん。やきう民はまだ投げてるおん?」
769345281
高鳥福ゴ西北原大や
 メ き
山谷留ス岡條口和う
(o'ω'n)「ほっ。良かったおん。まだ投げてるみたいだおん。スコアは……?」
D|000|0■ | |001
T|000|0 | |030
35:
「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!(ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!! )
36:
彡(゚)(゚)「うらあああ!!(ズバーン!!)」
彡(゚)(゚)「っしゃーー!!」(ザワザワ)
原口「ナイスピー!また三振取ったな」
彡(^)(^)「ういーっす!(ベンチモドリー)」
( ・`ω・´);「5回無失点……!し、信じられん……。一体何がどうなっているんだ……?」
彡(゚)(゚)「何って……いや、普通のことをやったまでです」
37:
( ・`ω・´);「……ゲームの序盤からいきなり7アウトを三振で取った。気が付けばあっと言う間に5回を投げ切って、ヒットを1本も許さず12個も三振を奪うなんて……」
香田「二軍から報告を受けていた"130キロに抑えてシュートで打たせる"やきう民とはまるで別人ですよ。このノートを見て下さい。今日の投球内容なんですが」
( ・`ω・´)「……最151キロ、ここまで103球、内81球は直球、三振も全て直球……だと……?!」
『9番、ピッチャー、やきう民』
彡(゚)(゚)「おっしゃーそろそろジエンゴしたるで!」
38:
香田「変化球は抜けてばかりで余り機能していません。150キロの直球だけで5回12奪三振ですよ。信じられません」
( ・`ω・´);「シュートとか打たせて取るとか、報告に聞いていた二軍のやきう民とは全く別人と云うほか無いな。完全に球派投手じゃないか」
( ・`ω・´)「剛球か……。球威とスピードだけならオープン戦で四球を連発していた時と変わらないが……」
彡()()「ああ^〜(真ん中中央空振り三振)」
40:
( ・`ω・´)「やきう民は、今日に限っては150キロでもちゃんとストライクを取る事が出来ている。とにかくストライクが入らない超ノーコンだった筈だが……」
( ・`ω・´)「仕方無く130キロで打たせて取るスタイルに切り替えた筈だ。一体何故今日は150キロのボールでストライクを取れるんだ?!」
( ・`ω・´)「キレのある150キロに相手打者が振り遅れ、差し込まれて、まるで早送りでも見ているかの様だと謳われた、あの夏の甲子園を髣髴とさせる豪快な投球だな」
( ・`ω・´)「……そうだ、我々はこんなピッチングに惚れ込んでやきう民を1位指名したんだよ」
( ・`ω・´)「シュートで打たせて取る谷間の先発を獲ったんじゃない。150キロの剛球で三振を奪う、こんな素晴らしいダイヤの原石を獲ったんだよ!」
41:
彡(゚)(゚)「お、3アウトか。次の回もバリバリ行くやで〜」
香田「おっと監督。ぼんやりしている場合ではありません。そろそろ代えませんか。もう100球を超えました。ここまでの投球もまぐれかも知れません」
( ・`ω・´)「そ、そうだな。フォアボールも多いし何時崩れるかも分からない。代替先発としては上出来だ。やきう民、ちょっと待て」
彡(゚)(゚)「はい?」
( ・`ω・´)「この回が終わったら交代だ」
42:
彡(゚)(゚)「やだよ(即答)」
( ・`ω・´)「いや。気持ちは分かるが球数が多い。ここまでやってくれただけでも十分だ。後はリリーフに任せなさい」
彡(゚)(゚)「嫌や。まだまだ行ける。最後まで投げる」
球審「あくしろよ」
( ・`ω・´)「すまない。とにかくこの回までだ。ビシッと締めて来い」
彡(゚)(゚)#「……ワイは最後まで投げるからな(ボソッ)」
44:
彡(゚)(゚)#「あああああああああああああああ!(バシーッ)」
球審「ボール!フォアボール!」
( ・`ω・´);「おいおい、今度はどうしたんだ。急にストライクが入らなくなって3連続四球。何時ものやきう民じゃないか」
香田「多分疲れが出たんでしょう。やっぱりさっきまでのピッチングはまぐれだったんですよ」
( ・`ω・´)「弱ったな……結局ノーヒットのまま今度はノーアウト満塁とは。さっき代えるべきだった。主審!ピッチャー交代だ!」
45:
彡(゚)(゚)#「ちょっと待て!ワイはまだ投げられる!続投させろ!」
( ・`ω・´)「ダメだ。明らかにフォアボールの出し方がおかしい。疲れているんだろう?押し出しで失点する前に代わりなさい。あ、ピッチャーは高宮」
彡(゚)(゚)#「嫌や!最後まで投げる!」
( ・`ω・´)「もう交代は完了したよ。ご苦労さん。最後は残念だったが、初登板としては……」
彡(゚)(゚)#「くそったれ!くそ!」
( ・`ω・´)「おい、こら!……やれやれ」
(o'ω'n)「凄かったのに代わっちゃったおん……」
46:
平田「お疲れさん。5回までは凄かったなぁお前。この回急に……おい」
彡(゚)(゚)#「(グローブナゲツケー)」
平田「やめんか!」
彡(゚)(゚)#「(フテクサレー)」
平田「何やその不貞腐れた態度は!」
彡(゚)(゚)#「何やとは何や!勝手に代えやがって!」
平田「何や!」
今成「止めなきゃ(使命感)」
47:
〜翌日
(o'ω'n)「登録抹消、やきう民……。やっと一軍に上がったと思ったら一日で二軍に落とされちゃったおん。やきう民からも珍しく返信が無いおん」
〜監督室
( ・`ω・´)「……呆れたもんだ。スポーツ紙にベンチの口論のシーンをデカデカとすっぱ抜かれるし、中継ぎは打たれて黒星を付けてしまうった。散々だ」
東スポ「好投一転響く怒号・トラ首脳陣とドラ1投手の確執」
デイリー「見たか快投12K!眠れるドラ1・球児二世初披露や!」
49:
平田「あれは擁護出来ませんわ。交代させただけで首脳陣批判、しかもベンチで乱闘を起こしかけるなんて」
( ・`ω・´)「うむ。5回までの内容が素晴らしかっただけに残念だ。力があるだけに、こう云う態度が勿体無いな。気が強いのは知っていたが」
香田「力、ね……。確かに5回までは抑えましたけど、6回からは単なるノーコンでした。マグレかも分かりませんよ。昨日だけじゃ実力は掴めませんね」
平田「あの回は完全に何時ものノーコン糞Pになってたなぁ。150キロ投げてたのは変わらんかったが」
50:
( ・`ω・´)「……150キロか。妙ではあったな。昨日のやきう民はゲームの序盤から打たせて取るピッチングを全くしなかった。初球いきなり150km/hだったよな」
香田「プロに来てからはコントロールが悪すぎて、打たせて取る地味なピッチャーになったばかりなんですよね。昔のスタイルを思い出したのかな」
平田「高校時代に直球一本で鳴らしたドクターKの姿を彷彿とさせましたね。あれが本来の姿と言われれば納得しそうになりますが」
( ・`ω・´)「うーむ……。150キロでストライクを取れるなら、何故それを今までしなかったのだろう。甲子園のマウンドならコントロールが良くなる、とか」
香田「それなら昨日は途中で崩れましたし、高校の時も地方予選で勝てないしなぁ……」
平田「監督。やきう民が150キロのボールでストライクを取る為には、何か条件があるんとちゃいますの」
52:
〜シーズン終盤
掛布「もしもし」
( ・`ω・´)「私だ。前から話していた様に、今度上げる先発投手の事で相談がある」
掛布「ああ、もう鬼門の9連戦か……。候補は決めてありますよ。まず3カード目の巨人戦にメッセンジャーを当てるんでしょう?」
( ・`ω・´)「いや、ローテは崩さない。メッセは2戦目。なので巨人戦の頭に当てる投手を用意してくれ」
掛布「頼みますよ。巨人にぶつけて勝てる投手が二軍におる訳無いでしょう」
53:
( ・`ω・´)「それなら私から直々に指名しよう――やきう民を用意させておいてくれ」
掛布「……あいつ、相変わらず打たせて取る地味な投球しか出来ないんですよ。二軍での防御率は4点そこそこ。巨人には勝てません」
( ・`ω・´)「知っているよ。だが私の推測が正しければ、良いピッチングをしてくれる筈なんだ。準備させておいてくれ。俺が(責任を)取る」
( ・`ω・´)「数か月ぶりに一軍でやきう民を見るチャンスだ。あの日の謎の好投と乱調、その原因を確かめなくてはな。大事な試合だが、一か八か。彼の能力に懸けてみよう」
54:
〜一週間後、巨人戦(一軍)
彡(゚)(゚)「おりゃああっ!!(ズバーン!)」
彡(゚)(゚)「ああああああ!!(ズバーン!)」
彡(゚)(゚)「うおおおっ!!(ズバーン!)」
彡(゚)(゚)「っしゃー!!」
AHRA「何だよあのピッチャーは。あんなのがいたのか(驚愕)」
( ・`ω・´)「荒れた豪球が唸りを上げ、追い込んでからの浮き上がる様な釣り球で面白い様に三振を取れる……。思った通り好投しているな」
55:
平田「また二軍の報告と違いますね。130キロでごまかす防御率4点のヘボいピッチャーには見えませんわ。監督はこうなる事が分かっていたんですか?」
( ・`ω・´)「たった今、それが確信に変わった所さ」
( ・`ω・´)「やきう民には好投する条件がある。それは"一軍で先発する事"だ」
香田「一軍……?」
( ・`ω・´)「厳密には"一軍の公式戦の様な目立つ舞台"だがな。やきう民はそういうマウンドならば力を発揮出来る様だ」
56:
( ・`ω・´)「私も信じ難いが、その様だと思わざるを得ない。実は試合前のブルペンでもキャッチャーの2m上に暴投していたんだ。それが試合になればご覧の通り」
彡(゚)(゚)「だああああああ!!(ズバ-ン!)」
彡(゚)(゚)「っしゃー!ツーダン、ツーダン!」
平田「へぇ。それじゃあやきう民は二軍や練習試合、中継ぎで登板させるのはダメって事ですか。練習でもノーコンだったのはそれが原因と?」
( ・`ω・´)「恐らくな。一軍の先発の様な目立つ舞台でなければ集中できず、報告にあった様に打たせて取るくらいしか出来ないのだろう」
57:
( ・`ω・´)「彼はアマチュア時代、エースとしてずっと先発・完投のマウンドを託されて来たと聞いた。きっとその時の癖が抜けないのだろうな」
平田「エースとしての使命を背負って投げる男・やきう民、か……。投手分業制に真っ向から喧嘩売っとるがな(呆れ)」
彡(゚)(゚)「うりゃああああ!!(ズバ-ン!)」
香田「また三振……。球数もかさんでテンポが良いとは言えませんが、本人は明らかに集中力を保っています。もう6人歩かせていますが、打者や走者の揺さぶりに全く動じない」
( ・`ω・´)「うむ。今まで中継ぎや二軍、練習で全くストライクが入らなかったのはこう云う事みたいだな。超実戦型と云う訳だ」
58:
( ・`ω・´)「……そう云えば、前回と同じく5回で100球を超えたか」
香田「ええ。もう代えますか?前もこの辺りで乱れましたよね」
( ・`ω・´)「うむ。だが乱れたのにも原因がある筈だ。心当たりがあるから、私の言う通りにしてくれ。実験しよう」
彡(^)(^)「ふー、めっちゃ気持ちええわ!やっぱマウンドはええな!」
( ・`ω・´)「ご苦労。まだ行けるか?」
彡(^)(^)「バリバリですわ。200球でも投げまっせ」
( ・`ω・´)「良い返事だ。この後も任せたぞ」
香田「続投……ですか」
59:
彡(゚)(゚)「ああああああ!!(ズバーン!)」
香田「良かった。あっさり6イニング目を投げ切ったな。以前は連続フォアボールで自滅しましたが、今日は何も起きませんでしたね」
( ・`ω・´)「うむ。やきう民が以前乱れた原因は疲労では無かった様だ。では試してみるか……やきう民!」
彡(^)(^)「はい!」
( ・`ω・´)「今日はかなり調子が良いな。本来はもう代える球数だが、中継ぎも疲弊しているし、もう1イニングだけ任せても良いか?」
60:
彡(^)(^)「いやいや、1イニングどころか最後まで投げますよ」
( ・`ω・´)「いや、大事な一戦を逆転されては元も子も無い。もう1イニングだけ投げて、後は勝ち継投にマウンドを譲りなさい」
彡(゚)(゚)「おかしいやろ!疲れてもないのに球数で決め付けて交代なんてあり得んわ!」
彡(゚)(゚)#「最後まで投げさせろ!ワイは平気や!」
( ・`ω・´)「ダメだ。7回限りで交代だ。次の回をピシャッと締めて来い!」
61:
彡(゚)(゚)#「くそあああああ!!!(ボスッ)」
球審「ボール!フォアボール!」
香田「球は変わらないが突然ストライクを取れなくなって連続フォアボール。これは歩かせ方が前と一緒です」
平田「分かった。あいつ短気なんや。完投したがりで、降板をチラつかせるとキレて制球が乱れるって事や」
( ・`ω・´)「きっとそうだな。あいつの集中を乱してしまった様だ。ちょっとマウンドに行って来る。今日はリリーフを使わないとブルペンに伝えてくれ」
香田「はぁ?!」
62:
彡(゚)(゚);「ファッ?!最後まで投げて良いんか?!」
( ・`ω・´)「そうだ。構わないぞ」
彡(゚)(゚)「ほ、ほんとにええんですか。さっきこの回までって言ったし、今ピンチなのに……」
( ・`ω・´)「まだ無失点じゃないか。このピンチくらい凌いで完投してみろ。お前なら出来るだろう?(適当)」
彡(^)(^)「も、勿論です!よっしゃ、完投してええんや!」
( ・`ω・´)「……やはりな。かじ取りは簡単そうだ」
64:
〜翌日
( ・`ω・´)「昨日はナイスゲームだったな。見事に巨人戦の先手を取った。見ろ、デイリーが大喜びだぞ」
彡(^)(^)「いや、そんなこと……」
デイリー「逆転Aクラス任せろ!やきう民、闘魂176球でG党白旗!」
東スポ「丸投げ器用に騒然……"投げたきゃ投げろ"で170球完封」
( ・`ω・´)「それで、やきう民。ここからが本題だ。どうして昨日、お前が好投出来たのか、どうして今までストライクを取れずに二軍で燻っていたのか、その理由が分かった」
彡(゚)(゚)「今までストライクを取れなかった理由……ですか」
65:
( ・`ω・´)「やきう民、お前は本番の、先発の、完投するマウンドで無ければモチベーションを保てない性格の様だ。練習や二軍の様な試合では集中出来ず制球が乱れるらしい」
彡(゚)(゚)「んにゃぴ……よくわかんなかったです」
( ・`ω・´)「要はブルペンも、二軍も、中継ぎも途中交代もダメなんだ。一軍以上のマウンドで、先発として完投するつもりの時だけ、お前は150キロでストライクを取れると云う訳だ」
彡(゚)(゚);「ええ……(困惑)」
( ・`ω・´)「実際そうとしか思えないんだよ。お前自身、一軍の様な舞台で完投する事は好きなんじゃないか?」
彡(゚)(゚)「そうですね……確かにマウンドから投げるのは大好きやし、邪魔をされなければ気分は良いです。何点取られても完投出来ればオッケーですよ」
66:
平田「やはりそうか。昔は交代は恥だと言って、絶対に降りようとしない大投手達が沢山おったよ。今時は珍しいな、怪我を怖がらない選手はおらん時代や」
香田「幸いなのは、その口裏に見合う体力も実力もある事だ。お前は先発で充分に使える。昨日の結果を見ても明白だし、駄目なら駄目で黙って代えれば良い」
( ・`ω・´)「とりあえず、今後も一軍でお前を使おうと思う。先発限定だ。頑張れよ」
彡(゚)(゚);「えっ、本当ですか?!あ、ありがとうございます!!」
彡(^)(^)「入団3年目、初登板と初勝利も達成した。今まで苦しい思いをしたせいか喜びもひとしおや!」
(o'ω'n)『やきう民凄かったおん!昔のやきう民みたいでかっこよかったおん!』
彡(^)(^)『あぁ、昨日は久しぶりに気持ち良く投げられたわ!自分でもビックリやで』
67:
〜シーズンオフ
彡(^)(^)「結局今シーズンは4試合に先発して3勝1敗の成績を収めたで。内容が良かったからか、契約更改もホクホクや」
彡(^)(^)「首脳陣はワイの"特性"を見抜いたみたいで、来年からは先発一本で試すと約束してくれた。それならワイは本来の実力を発揮出来るらしいんや。よーし、やるで!」
彡(゚)(゚)「……で、今日は何や?わざわざ呼び出してまで」
(o'ω'n)「話があるおん。一軍初勝利おめでとうだおん」
彡(゚)(゚)「そんな事言う為にワイを呼んだんか?」
(o'ω'n)「違うおん。おんちゃん確信したおん。やきう民はこれからプロ野球選手として活躍出来るおん」
彡(゚)(゚)「まぁ、そうなる様に頑張るわ。それで?」
(o'ω'n)「結婚を前提に付き合って欲しいおん」
彡(゚)(゚);「おファッ?!」
68:
〜翌年、春季キャンプ
彡(゚)(゚)「フン!」
彡(゚)(゚);「あ、あかん、またすっぽ抜けた……練習だとどうしてもストライクが取れないな」
( ・`ω・´)「やきう民、ブルペンでは相変わらずだな。自分の好きな様に調整しなさい」
彡(゚)(゚)「良いんですか?」
( ・`ω・´)「もうブルペンでどうこう言うのは諦めたよ。自分で課題を見つけて、克服してくれれば良い。今年も期待しているぞ」
香田「監督、ちょっと任せ過ぎじゃないですか。やきう民はまだ4年目の選手ですよ。実績の無い若手を放し飼いにするのは危険です」
( ・`ω・´)「そうかもな。だが、あれほどの才能を3年間埋もれたままにしたのは我々じゃないか。型に嵌めようとすれば却って小さくなってしまうタイプだぞ」
( ・`ω・´)「敢えて手は出さずに、好きにやらせよう。今年はやきう民を一軍に固定して実戦経験を積ませる。1年掛けてエースに育て上げるプロジェクトだ」
69:
〜シーズン開幕
彡(゚)(゚)「うらああっ!!(バシーン!)」
彡(^)(^)「っしゃー!一軍で先発する時のワイいけるやん!」
( ・`ω・´)「良くやった!これで今シーズンは開幕から3連勝だな!失点はヤクルト戦の2点だけ。無傷の3完投とは大したものだ。与四球もリーグワーストだが」
( ・`ω・´)「さて、これでセ・リーグの5球団全てと対戦した事になるな。そろそろ対策も練られて来る頃だろう」
70:
〜1か月後
彡(゚)(゚)「うりゃっ!(カキーン!)」
彡(゚)(゚);「うげっ、また打たれた!最近やけに打たれるな……」
香田「ここ数試合はまるでダメですね。投球が若すぎる。もうワンパターンな高めの釣り球も通用しません」
( ・`ω・´)「うむ。流石に駆け引きも無く、制球の悪い直球一本槍では攻略されるのも容易かろう。少し頭を使って貰いたいが……」
彡(゚)(゚);「クッソ、前は打たれなかったのに何でや!(カーン!)」
( ・`ω・´)「……本人は何も考えず、力任せに投げている様だ。今日はここまで。主審、交代だ!」
彡(゚)(゚);「な、何でやクソ!」
71:
〜試合後
彡(゚)(゚)#「ええい、これであっと言う間に4連敗や!毎回毎回途中で降ろされてストレスも溜まるわ」
( ・`ω・´)「やきう民、最近打たれてばかりだじゃないか」
彡(゚)(゚)#「監督!ちょっと打たれたくらいでコロコロ代えんで下さい!少しは我慢して欲しいんや!」
( ・`ω・´)「確かにそうだな。じゃあきちんと抑えてみろ。そうすれば完投させてやるぞ(スタスタ)」
彡(゚)(゚)#「何や今の言い方!偉そうにしやがって!」
彡(゚)(゚);「け、けど、打たれたら代えられるのは当たり前か。ちょっと熱くなりすぎたな……」
彡(゚)(゚)「……よし。要は抑えればええんや。次こそは頑張るで」
72:
〜一週間後
彡(゚)(゚);「くそ、初回からいきなり満塁にしてしまった。バッテリー組んだ鶴岡さんアカンやんけ(責任転嫁)」
鶴岡「おいやきう民、みんなお前の直球を狙ってるみたいだ」
彡(゚)(゚)「ワイの直球が狙われている?でも前は打たれませんでしたよ」
鶴岡「きっと打者も慣れて来たんだよ。少し変化球を使ってみるか……。お前、シュートとカーブがあったよな」
彡(゚)(゚);「は、はい!あと自信無いですけどスライダーやチェンジアップもあります」
73:
鶴岡「(ここはスライダーを投げろ。打ち気に逸って球を狙っていれば、きっとタイミングも合わないだろう)」
彡(゚)(゚)「OK!でやああっ!(ググッ)」
新井「フン!(スカッ!)」
彡(^)(^)「やった!ツライダー三振で満塁のピンチをしのいだで!」
( ・`ω・´)「よし!ちょっと甘いコースだったが、打者の意表を突いて上手く行った。これで変化球の使い方を覚えてくれると良いが」
74:
〜一か月後
彡(゚)(゚)「あ、バントや!(ドタバタ)」
原口「二塁二塁!」
彡(゚)(゚);「えっ?!(ポロッ)」
彡()();「ああっ!(ポロッ)」
彡()();「ああああっ!(ズッコケー)」
平田「何やってんねんあいつ……。またエラーや、今日で二つ目やで」
( ・`ω・´)「投げた後は9人目の野手とは良く言うが困ったものだ。あいつ元から打撃や守備が雑だったよな……」
平田「人並には練習させてますけどね。いっつもポロポロしてますわ」
( ・`ω・´)「やきう民は人並の練習じゃ駄目だな。3倍は練習させろ」
75:
〜更に一か月後
彡(゚)(゚);「熱い……。炎天下のデーゲームは堪えるわ……。二軍で暑さには慣れたと思ったが、一軍の日程はダンチや。死んでしまう」
彡(゚)(゚);「せいやあ!(カキーン!)」
香田「やはり夏バテですかね。オールスター以降、明らかにスピードが落ちてボールのキレもありません」
( ・`ω・´)「うむ。前は100球を超えても元気だったが、ずっと初回から飛ばしていれば夏場に疲れて当然だろう」
( ・`ω・´)「これも経験だ。ペース配分や調整法を考させよう。交代」
彡(゚)(゚)#「何でや!」
76:
〜シーズン終盤戦
( ・`ω・´)「ピッチャーを福原に交代だ」
彡(゚)(゚)#「待てこら!最後まで行けるわアホ!行けるって言ってるピッチャーを代えるアホが何処の世界におるんじゃ!ラストエリクサーとちゃうぞ、これで何度目やねん!!」
( ・`ω・´);「分かった分かった。まさに後先考えぬ古典的なピッチャーと云った所だな。さあベンチに戻るぞ」
彡(゚)(゚)#「行けるんや!い・け・る!何が古典じゃ、モダニズム気取りが!交代を取り消せ!」
平田「何であいつキレるとおしゃべりになるんや」
77:
( ・`ω・´)「落ち着いて聞きなさい。今交替する事はチームとお前にとっての最善策なんだ。この時期は1試合も落とせない。より信頼出来るピッチャーに任せなければいけない」
( ・`ω・´)「そしてお前自身、早めに降板する事で故障のリスクを減らし、次の試合に備えて力を温存する事が出来る。な、合理的だろう」
彡(゚)(゚)#「合理なんか知らんわ!今日完投したって明日も完投出来るわ!ワイは普段から体力バリバリやぞ!投げたいんじゃ!」
( ・`ω・´)「どうかな。夏場以降連敗続きじゃないか。防御率も徐々に悪化して信頼出来る数字とは言えない。気持ちばかりが先行しても結果はついて来ないぞ。休みなさい」
( ・`ω・´)「やれやれ、無事に勝ったがやきう民はヒロインを拒否して帰ってしまった。明日の新聞に何と書かれるやら……」
( ・`ω・´)「ま、少なくともロッカーを蹴り飛ばしていた頃よりは丸くなった方か。聞いた話だと、昨日は何もせず無言で帰ってしまったらしい」
78:
〜シーズン終了後
彡(-)(-)「そんなこんなでシーズンが終わってしまったな。初めて一軍に定着して、沢山試合に出られて嬉しかった。けど、阪神はビリや。順位が順位だけに監督の進退が話題になってる」
彡(゚)(゚)「ワイ自身良かったのは最初だけ。先発固定で打たれまくって7勝15敗5.03じゃ戦犯候補や。しかも態度が悪いとかでトレードの噂もちらほら聞こえるで(なソゲ)」
彡(゚)(゚)「おっ、新発売のパワプロやんけ。ワイはどうなってるんやろ」
154km/h コンロトールF スタミナB カーブ2 シュート2 (1GGEBFF)
対ピンチE 対左打者E 打たれ強さB ノビB クイックF 奪三振 四球 一発 短気 調子極端 球中心 エラー
79:
〜契約更改
負広「さて、真弓くん。今年もご苦労だった。最下位と云う成績に終わったが、監督として何か思う所はあるかね」
( ・`ω・´)「収穫はありました。予想外に低迷してしまいましたが、来季こそは大きく飛躍出来ると云う自信が付きました」
負広「"来季こそは"だって?君は来季があると思っていたのか」
( ・`ω・´);「はっ? そ、それはつまり……!」
負広「これまでの君の成績なら、"今シーズン限り"が普通じゃないのかね。連続Bクラスで上がり目さえ見えなかったぞ」
81:
負広「次こそ出来る、ね……。典型的な出来ない人間の常套句だ。来年も同じ言い訳をするつもりか?最下位だぞ、最下位」
( ・`ω・´);「ま、待って下さい。去年からずっと故障や不振でベストメンバーが揃いませんでした。様々な選手を試さざるを得ず、そう云った中で手を尽くし……」
( ・`ω・´);「……いえ。申し訳ありません。幾つかの試合を、捨てる覚悟で育成に当てた事は事実です。それで結果を出せなかった自分の責任です」
負広「ふむ。戦力が足りなかった、育成に当てたから仕方無い、君の采配はベストを尽くした――それが言い訳か」
( ・`ω・´);「うっ……」
82:
負広「良いかね、育成の上で多少結果が出ない事は承知している。私も去年まで殆ど聞いた事の無かった若手の名を今年は良く見た。君が何をしたいかは分かっていたつもりだ」
負広「だが問題はその中身なんだ。君の本当に育成は正しかったのか?例えばやきう民と云う選手を何度か見たが、私には理解しかねる部分があったんだよ」
( ・`ω・´);「やきう民、ですか……。彼は去年ブレイクした選手です。確かな力を感じ取ったのですが」
負広「確かに去年の秋"は"ブレイクしていたな。今年は15敗した様だが。――良いかね真弓君」
83:
負広「投手とは1試合を託す最も重要な役割だ。一人しかグラウンドに立つ事が出来ない。打撃走塁守備、どれかで活躍すればよい野手とは勝手が違う。投球で勝たねばならんのだ」
負広「明白な事実として、彼は8つも負け越している。一体どう云う判断で8つも負け越す投手を一年も固定したんだ?そんな事をして結果が出ないのは当たり前じゃないのか?」
( ・`ω・´);「も、申し訳ありません。……やきう民には素晴らしい素質と将来性があると直感し、彼の勉強の為に我慢した次第です」
負広「少し我慢が過ぎた様にも思えるがね」
84:
負広「育成に終始して今年は最下位。と、まぁ、反省会はここまでだ。来季の陣容の話に進もう。君の進退についてね」
( ・`ω・´);「(やはり俺はクビ、か。最下位では無理も無い……)」
負広「真弓君。うちの役員は、君が上がり目の見えないタイガースをどうにかしようと頑張っていた事を理解している。君の努力そのものは認められているよ」
( ・`ω・´);「はい。しかし結果が……」
85:
負広「その努力の結果、来季の監督を引き続き君に任せたいという声が非常に多かったんだ。最下位の原因を君のせいにする者はいなかったよ――だから、続投だ」
( ・`ω・´);「えっ?!ほ、本当ですか、私が監督で良いのですか?!」
負広「うむ。私としても、補強が満足に進んだとは言い難い。君一人に責任を負わせるのは義に反する事だ。我々も助力して、口だけで無くカネを出さねばいけないのだ」
負広「外野の人間が結果ばかり見て、終わった事をネチネチ言っても仕方がない。現場に一番近い君を信じよう。君が見た明るい未来を我々も信じたい」
( ・`ω・´);「あ、ありがとうございます!喜んで来季も監督をやらせて頂きます!」
86:
( ・`ω・´)「もし志半ばに退団ならば、死んでも死にきれない思いでした。来季こそは必ず結果を出してみせます!」
負広「そうだよ(便乗)。もうAクラスでは駄目なんだよ、真弓君。優勝するんだ!我々も赤字を覚悟で補強に挑む。君も育て上げた選手と心中するつもりでやりなさい」
( ・`ω・´);「優勝……!」
負広「まずはドラフト会議、ついでFA、トレード、新助っ人だ。言い訳はさせん。来季こそ絶対にやって貰うぞ」
( ・`ω・´);「は……はい!」
87:
〜ドラフト会議当日
彡(゚)(゚)「お、やっぱり阪神もドラ1でこいつを指名したか。数々の歴代記録を更新した大学ナンバーワン内野手やからなぁ。競合をびびらず本気で獲りに行ったな」
彡(゚)(゚)「……カープも1位指名か。楽天、ハム、巨人、広島……5球団競合ってこマ?」
彡(゚)(゚)!「どぁーっ!巨人がクジ当てた!うちの補強ポイントにピンズドやったのに……何で負広がクジ引いてんねん!外すに決まってるやん!」
彡(-)(-)「あーあ。掛け値無しの即戦力内野手がよりにもよって巨人か。こんな大事なドラフト外してたら来年も優勝は無しやね(ガッカリ)」
彡(゚)(゚)「どれどれ。一応インタビュー見るか」
88:
マスコミ『5球団競合の末にジャイアンツが指名権を獲得しました!今のお気持ちいかがですか?』
(´・ω・`)『はい、プロへの道を選ばせてくれた全ての人達に感謝の気持ちでいっぱいです。期待に応えられる様に頑張りたいです』
(o'ω'n)「原ちゃん凄いおん。5球団に1位指名されるなんて」
彡(゚)(゚)「ん?お前原住民知っとるんか?」
(o'ω'n)「原ちゃんはやきう民と一緒に少年野球やシニアリーグでプレーしてた元チームメイトだおん」
彡(゚)(゚)「その通りや。右投右打、走攻守全て兼ね備えた天才内野手やで」
彡(-)(-)「原住民、懐かしいな。昔は投のやきう民・打の原住民と呼ばれて共に戦い、地元では名の知れた選手やった」
89:
(o'ω'n)「高校は二人とも別の所に進学したおん」
彡(゚)(゚)「せや。ワイは家から近い中堅どころに、原住民は随一の名門校に行ったんやで」
彡(-)(-)「……高校野球でも球児としてお互いしのぎを削り、地区大会で何度も対戦した。ワイらのチームが勝ったのはたった一回だけ。それが3年の夏、地方予選の決勝戦やったな」
彡(^)(^)「あれから4年。プロの舞台で対戦出来るなんて楽しみやなぁ。大学に行った原住民はどんな風に成長したんやろ……」
90:
〜春季キャンプ
彡(゚)(゚)「うりゃあ!!(ズバ!)」
彡(゚)(゚)「今年は原住民と対戦出来るかも知れんからな。気合が入るやで」
( ・`ω・´)「頑張ってるな。去年の経験を今年に活かすんだぞ」
彡(゚)(゚)「……監督、キャンプが始まった時から元気が無い様に見えるのは気のせいですか?まさか今年でクビとか?」
( ・`ω・´);「ギクッ」
彡(゚)(゚)「ファッ?!ほんまか……」
91:
( ・`ω・´);「あ、あぁ……正しくは、今年優勝出来なければ、だがな。いや、優勝しなければいけないプレッシャー自体は百も承知なんだが」
( ・`ω・´);「問題はドラフトもFAもトレードも助っ人もみんな失敗した事だ。今のままで大丈夫かと不安で不安で……」
彡(゚)(゚)「その時はその時でしょう。うりゃ!(スポーン)」
( ・`ω・´)「まぁ、お前が気にする事じゃ無いか。忘れてくれ」
92:
〜シーズン開幕
彡(゚)(゚)「そんな訳でシーズンが始まったで。今日の開幕カード第3戦はワイが先発や。対する巨人で注目すべきは、やはり鳴り物入りで入団した原住民やな」
彡(゚)(゚)「オープン戦では軽々と首位打者を獲得。かつての小坂誠と松井稼頭央の良い所だけを取った様な守備力で、あっと言う間に正遊撃手の座をものにした天才野手や」

彡(゚)(゚)「フン!!(バシーン!)」
彡(゚)(゚)「よっしゃ!今シーズンは去年の失敗を活かして絶対打たれんで!」
( ・`ω・´)「よし、上位打線をきちんと抑えたな。今年のやきう民には成果が見られそうだ」
93:
『6番、ショート、原住民』
(´・ω・`)「……久しぶりだなぁ。高校の時以来だ」
彡(゚)(゚)「4年ぶりに原住民との対戦か……待ってたで、この瞬間を!」
94:
彡(゚)(゚)「(マウンドナラシー)」
(´・ω・`)「(バットフリー)」
彡(゚)(゚)「(ロジンサワリー)」
(´・ω・`)「(イチレイー)」
彡(゚)(゚)「(ボウシトトノエー)」
(´・ω・`)「(ダセキナラシー)」
彡(^)(^)「あの時から変わらないルーティン。なんか高校で戦った時の事を思い出すわ……」
彡(゚)(゚)「プロでこうしてまた対決出来て嬉しいで。けど遠慮は無用や。4年間鍛えたワイの投球を刮目せよ!(ズバーン!)」
(´・ω・`)「!」
(´・ω・`)「これがやきう民の直球!また一段とくなったな……」
95:
彡(゚)(゚)「でやあっ!(ボスッ)」
(´・ω・`)「おっと!(ミオクリー)」
(´・ω・`)「今のはカーブか。これも緩急が効いてる。変化球の使い方が上手くなったね」
彡(゚)(゚)「バット振らないと当たらんで!遊び球は要らん、これで決まりや!」
(´・ω・`)「3球勝負なんて甘い、インハイだ!(スカッ)」
(´・ω・`)「あっ?!」
彡(^)(^)「何かシュートがええとこに決まったわ(っしゃー!!)」
(´・ω・`)「……データには聞いてたけど今のはシュートか。ああ、プロ初三振はやっぱりやきう民からだ。流石だよ」
(´・ω・`)「でも、僕も4年間遊んでた訳じゃないからね。こうなったらプロ初ホームランを打ってやり返すぞ!」
96:

( ・`ω・´)「第1打席は三球三振、第2打席も直球で原住民を打ち取った。やきう民は相性が良さそうだな。援護さえ入れば、この試合は危なげなく行けそうだ」
『6番、ショート、原住民』
(´・ω・`)「高校の時よりパワーアップした様だけど、もう3打席目だ。そろそろ打たなきゃね。僕の目に狂いが無ければ……」
彡(゚)(゚)「うりゃああああ!!(ボスッ!)」
彡(゚)(゚)「とりゃああ!!(ビシッ!)」
彡(゚)(゚)「フンッ!!(ビシッ!)」
(´・ω・`)「やっぱりな(レ)」
97:
彡(゚)(゚)「相変わらず選球眼ええな。ノーコンのワイには嫌な相手や。ボールスリーになってしまった」
(´・ω・`)「(直球と変化球を交えた今の3球、やっぱり投げる球種によって微妙にフォームが異なっているみたいだ。フォームを見れば球種が分かる。もうお遊びは終わりだよ……)」
彡(゚)(゚)「でも素直に直球を置きに行ったりせんで!これでどうや!(ヘンカキュウー)」
(´・ω・`)「その変化球、貰った!!(パシーン!!)」
( ・`ω・´);「いかん!」
98:

(´・ω・`)「ふう。今日の阪神戦はまさかの1得点勝利。僕のホームランが決勝打になっちゃった。そうだ、折角だからやきう民に挨拶しに行こうっと」
(´・ω・`)「いたいた、お疲れ様。相変わらず凄い直球だね」
彡(^)(^)「おう、お疲れ。その余裕な態度が気に入らんわ。完璧に捉えた癖に」
(´・ω・`)「(ムエンゴで負けたのに全然落ち込んでないな……)」
99:
(´・ω・`)「あのホームランは変化球を読み打ちしただけだよ。高校の時みたいに一発勝負で打った訳じゃないから」
彡(^)(^)「なら、ワイもあの三振はコントロールミスした変化球が良い所に行っただけや。おあいこやな。久しぶりに勝負出来て楽しかったで」
(´・ω・`)「うん。昔の勝負を思い出したよ。今度対戦する時はもっと良い結果を目指そう。頑張ろうね」
彡(^)(^)「おう。次は勝ったるで」
(´・ω・`)「やきう民って昔から変なんだよね。勝っても負けても笑ってる。怒る時と言えば途中降板した時くらいだ。悔しくないのかな……」
100:
〜数か月後、オールスター戦
彡(゚)(゚)「何とか前半戦が終了したで。阪神は交流戦で勝ち越して以来、貯金が増えて首位に肉迫。このまま勝ち続ければ案外優勝出来るかも分からんね」
彡(゚)(゚)「そして今日からオールスター戦や。ワイは8勝2敗、防御率1.54の好成績で選出されたで。原住民も新人ながら選出されたみたいや」
( ;`ω;´)「俺も出たかったぞ」
101:

(ガヤガヤ)
彡(゚)(゚)「これがオールスターか。グラウンドの様子が普段と違うな。一流選手達のオーラを感じるで」
彡(゚)(゚)「お、原住民やんけ。取材を受けてるみたいやな。邪魔にならない様にカメラさんの後ろから眺めたろ」
(´・ω・`)「……はい、とにかく凄い選手達が勢揃いしてるので、自分も負けない様に存在感を出して行きたいですね」
マスコミ「そして今同学年のやきう民選手がこちらにいますがお話をお伺いしましょう」
彡(゚)(゚);「あっ大丈夫っす……」
102:
彡(゚)(゚)「原住民はホームラン打つんやろ?」
(´・ω・`)「えっ、プレッシャー掛けないでよ。すいません、やきう民投手が直球勝負するそうです」
彡(゚)(゚)「あっ?!おい、待てぃ。肝心な事言い忘れてるぞ」
(´・ω・`)「?」
彡(^)(^)「何とぼけてんだよ。予告ストレートで三振取るんだよ。MVPはワイが貰います!」
(´・ω・`)「じゃあ僕も予告ホームランと行きたいですけど、先輩には出しにくいですね(笑)。でも大きいのを狙います(意味深)」
103:

(´・ω・`)「フン!(カキーン!)」
河村「3球目打った!捉えた打球は左中間!大きい!大きいぞ?!まだ伸びて――入った、ホームラン!!」
彡(^)(^)「凄い(ボソッ)」
河村「ルーキーの原住民選手、オールスター初打席でホームランを放ちました!同級生のやきう民選手も思わず『凄い』と」
彡(^)(^);「いやーはい。凄いっすね(何話せばええんや……)」
104:
河村「普段は相手チームとして対戦する事もありますが、味方として、今日の原住民選手はいかがですか」
彡(^)(^)「いやー頼もしいです。直球に強いし、苦手なコースとか無いんでね……。打てるのは凄いと思います(小並感)」
河村「そうですか」
彡(゚)(゚)「……」
河村「……」
彡(゚)(゚);「何か話さなきゃ(使命感)」
105:
彡(゚)(゚);「小学生と中学生で同じチームでー、あの昔から一緒に野球やってたんですけど」
河村「原住民選手とですね」
彡(゚)(゚);「アッハイ。昔からあのー走攻守揃った選手でしたね……」
河村「はい(無関心)」
彡()();「まぁそのーそれくらいー打撃のぉ……威圧感と云うかぁ……。守備もそうなんですけどぉ……」
河村「信頼感ですか」
彡(^)(^);「そ、そうですね。高校で別のチームになっ」
河村「平田も打った!これもレフト前へ痛烈な打球が抜けて行きました!」
彡(´)(`)「」
106:
〜翌日
彡(゚)(゚)「うりゃああ!(ズバーン!!)」
河村「これも三振!4番の中田選手にも容赦無く予告ストレート、見事に三振を奪いましたやきう民投手!先輩に対してですが度胸ありますねえ」
(´・ω・`)「中田さん笑ってますね。お祭り舞台って感じで面白いですね」
河村「そして続く松田選手ですが、あぁやはり予告ストレート。そして松田選手も受けて立とうと、バックスクリーンへの予告ホームランで返しました!球場が湧いています!」
(´・ω・`)「実を云うと、失礼の無い様に事前にちゃんと許可を貰っているんですけどね。この大舞台でそれをやってのける所は、流石に肝が据わっていますよね」
107:
河村「打たれるまでは直球しか投げないと試合前話していたこのやきう民投手ですが。同級生の原住民選手はどうご覧になりますか」
(´・ω・`)「はい。あの直球は実際に素晴らしいボールだと思います。キレが非常に鋭いので、分かっていても打てないボールですね」
河村「分かっていても打てない直球と云えば阪神の藤川球児投手ですが」
(´・ω・`)「そうですね。藤川さんの火の球ストレートは失しにくいボールだと聞きました。やきう民選手のストレートはそれに近いんだと思います」
河村「打者が思っているよりく感じるボール」
(´・ω・`)「……」
河村「初球決まってストライク!これですね、152キロ!」
(´・ω・`)「く感じますよね。ずっと小さい頃からやきう民選手と一緒に野球をしていたんですけど、当時から打者が振り遅れる直球を投げていました」
河村「昨日やきう民投手を実況席にお呼びしたんですが、やはり原住民選手と一緒にプレーしていた頃の事を話していました。褒めていましたよ」
(´・ω・`)「ほんとですか。嬉しいですね(無難)」
108:
〜後半戦
( ・`ω・´)「ここが正念場だ。何とか乗り切ってくれ」
彡(゚)(゚)「そう何本も打たれてたまるか!うおおおおお!(ググッ)」
(´・ω・`)「見切った!!(カキーン!)」
彡(゚)(゚);「うわっ!」
( ・`ω・´);「ま、また打った!今日2本目だぞ……」
(´・ω・`)「よし、4点目のリードを奪ったぞ。菅野さんならきっと抑えてくれる筈だ」
109:

( ・`ω・´)「やれやれ、また3タテに失敗した……。これでやきう民は対巨人戦3連敗だ。首位を確実にものにしたかったが、痛い1敗だな」
( ・`ω・´)「まともに捉えたのは原住民だけ。巨人はしぶとくランナーを貯めてその原住民に回す意識を徹底していたから、作戦通りと云う訳か」
( ・`ω・´)「原住民はやきう民のボールについて来れる強打者の一人だ。どうして彼ばかり打てるのだろう?何か対策を練らなければダメだな……」
110:
彡(゚)(゚)#「くそ!またノックアウトされたわ!原住民にさえ打たれなければ最後まで行けたのに!」
彡(-)(-)「何で原住民にばかり打たれるんやろ。特に変化球はタイミングドンピシャで合わせて来るし、まるで読まれているかの様や。このまま打たれっぱなしは嫌やで」
彡(゚)(゚)「そう云えば……今シーズン最初に対戦して最初に打たれた日の試合後、確か『変化球を読み打ちした』って言ってたよな。読み打ち……?」
彡(゚)(゚)「とにかく原住民対策をどうにかせんといかんな。このまま首位を走って優勝したとしても、CSで当たるかも知れん……」
111:
〜シーズン終盤、マジック1で迎えた甲子園
( ・`ω・´)「遂にここまで来た……。あと一人抑えれば優勝だ。落ち着けよ……」
ドリス「フンッ!(ドスーン!)」
( ・`ω・´)「……三振!」
ドリス「――!!」(←大歓声の中でガッツポ)
梅野「――!!」(←マウンドに駆け出す)
彡(^)(^)「っしゃーーーー!!(グラウンドトビダシー)」
( ・`ω・´)「やった……やったぞ!リーグ優勝を果たしたぞ!」
112:
香田「監督、おめでとうございます!やりましたね!」
( ・`ω・´)「ああ、去年までの不振でどうなるかと思ったが、終わってみれば快勝だ。みんなやってくれた!本当に優勝出来たんだ!」
( ・`ω・´)「投打が上手く噛み合い、最下位からのまさに下剋上。念願のリーグ優勝を果たしたぞ!」
( ・`ω・´)「甲子園が……揺れている……!」
平田「泣いとる場合ちゃいますよ、はよ行きましょう」
( ;`ω;´)「泣いてなんかいないさ。これはただの……」
鳥谷「水ですね」
113:
〜祝勝会
( ・`ω・´)「おい、まだビール掛けるなよ。まだだぞ!」
( ・`ω・´)「改めてみんな、一年間ありがとナス!良く頑張ってくれた。本当に良く頑張ってくれた。みんなの力で手にしたリーグ優s」
西岡「かんぱーーーーいwwwwwwwwww」
藤浪「おめでとーーーーーーwwwwwwwwwwww」
一同「うおおおおおおおおwwwww」
( ・`ω・´);「こ、こら!ええい、卍解だ!!」
114:
マスコミ「監督!優勝おめでとうございます!どうですかこの盛り上がり!」
( ・`ω・´)「いやね、ほんとね、もう、最高だ!ありがとナス!」
マスコミ「今年一年を振り返っていかがですか!」
( ・`ω・´)「諦めなかったね!うん、一癖も二癖もある選手ばっかりだけど、みんな同じ方を向いて戦ってくれた。個の力と輪の力が合わさって優勝に辿り着っ」
彡(^)(^)「わはははは!これでクビ繋がったやね!(ビールカケー)」
( ・`ω・´)「言うなよ!……えーとね、実は今年駄目だったら危ないぞと釘を刺されていたんでね。そういう意味ではみんなに救われたね!みんなありがとナス!」
一同「「「イエーーーーー!!wwwwwww」」」
115:
マスコミ「4年目のやきう民投手にもお話を伺います。いかがですか!」
彡(^)(^)「メッチャ楽しいで!優勝最高や!」
マスコミ「去年の悔しさをバネに、今年はご自身も大きく飛躍なされたと思うんですが!」
彡(^)(^)「せやね!沢山投げさせて貰えて、あの、今年もいろいろあったけどね。優勝もしたし!もう楽しい事づくめですわ!」
116:

彡(^)(^)「はー楽しかった。優勝ってええな。いろいろあったけど一年間頑張った甲斐があったわ。すっかり酔っ払った……」
彡(゚)(゚)「おや、おんちゃんからお祝いメッセ来てたんか。返信が遅くなってしまった」
彡(-)(-)「どうしようかな……」
彡(゚)(゚)「フン、ここまで来たらやるしか無いやろ。『まだまだ終わらん。日本シリーズに招待してやるで。このまま日本一も貰うわ』っと」
117:
〜約1か月後
彡(゚)(゚)「あのリーグ優勝の数週間後、阪神は巨人とのCSファイナルステージを勝ち抜いた。とうとう日本シリーズに駒を進めたんや。相手は大正義ソフトバンク」
彡(゚)(゚)「シリーズでは、地元甲子園で阪神2連勝の後、ワイは3戦目に投げたが敗戦。すると今度はホークスがそのまま3連勝で一気に王手を掛けてしまった」
彡(-)(-)「それでも甲子園に帰って来た第6戦に勝って阪神も逆王手。3勝3敗で日本シリーズの大一番を迎える事になったんやが……」
118:
(三日前)
彡(゚)(゚)「え?!ワイが最終戦に先発?!」
( ・`ω・´)「そうだ。第2戦で投げた藤浪が打球に直撃しただろう。あの後回復が思わしくないんだ。状態次第では、お前にその代役を任せたい」
彡(`)(´)「できらぁ!日本一が掛かる大一番くらいやったるわ!」
( ・`ω・´)「最終戦になれば、だがな。とにかく前日までにどうするか決める。中4日になるが、念の為調整しておいてくれ」
119:
彡(゚)(゚)「……と云う話があった。結局藤浪は登板を回避。明日の最終戦はワイが先発する事になったんや」
彡(-)(-);「あの時は二つ返事で了承したんやけど、なんか今になって不安や緊張に付き纏われとる。体調も悪くないし、プレッシャーを感じる性格でも無いのにな……」
彡(゚)(゚)「このそわそわした感覚は一体何やろ。もう日付が変わってしまうのに全然寝られそうにない。寝ないと明日のコンディションがあかん……」
120:
(´・ω・`)「もしもし?」
彡(゚)(゚)「おう、原住民。こんな時間にすまんな」
(´・ω・`)「こんばんは。明日の日本シリーズ最終戦で先発だってね。凄いじゃない」
彡(゚)(゚)「せやで。ちょっと不安やわ」
(´・ω・`)「ははは。珍しいね」
121:
彡(゚)(゚)「そうかもなぁ……。いや、実は何か緊張して寝られないんや。誰かと話でもしたら楽になる様な気がして、ちょっと電話したんやが」
(´・ω・`)「あらら。本当に緊張してるみたいだね。じゃあさ、対策も兼ねてホークス打線の事でも話す?」
彡(゚)(゚)「おっすまんな。3戦目に投げた時は打たれとるからリベンジを果たしたいんや。データが無いとは言え急に打たれたから……」
(´・ω・`)「あの失点シーンで思ったんだけど、破壊力よりも突破力の方を警戒した方が良いと思って僕は見ていたよ。一気に畳み掛けられやすいんじゃないかなって」
彡(゚)(゚)「突破力か。一発のある打線って感じやけど、強引に振り回す打者は殆どおらんかったな。攻め方はかなり丁寧やった気がするで」
122:

(´・ω・`)「……てな感じで、内川さんとか松田さんとか、柳田さんもそうだ。チームのムードを盛り上げる打者には要注意だね」
彡(゚)(゚)「とにかく塁に出さず、攻撃の軸を作らせなければええ訳やな。ソロムランならええと開き直った方が良さそうや」
(´・ω・`)「そうそう。ランナーを貯めると手を付けられなくなるチームだから。ペースを譲っちゃ駄目。打たれても良いから、自分のリズムで一人一人をしっかり抑えよう」
彡(゚)(゚)「成程な。今度こそホークス打線を抑えられそうな気がして来たわ。自信付いたで」
123:
彡(^)(^)「流石やな、原住民は。こう云う話をしたかったんや。最高のアドバイスになったで。モヤモヤも晴れたし、何とか寝られると思う」
(´・ω・`)「まぁ話をするなら僕じゃなく彼女とかにすれば良いと思うけどね。明日の……今日になっちゃったけど、試合、僕の分も頑張ってよ」
彡(^)(^)「おう。サンキューやで。セの代表として勝ってやるわ」
彡(゚)(゚)「よし、決戦は目前や。一眠りして万全の体調で日本シリーズ最終戦に挑むで!」
124:
〜翌朝
彡(゚)(゚)「とりあえずあの後何とか寝られたけど、朝っぱらから甲子園に詰めかけるお客さんをテレビで見たらまた緊張して来たわ。凄い熱の入りようやな」
彡(-)(-);「晴れやかな秋空や……こんな天気じゃ流石に雨天中止は無いよなぁ」
(o'ω'n)『見に行くおん』
彡(゚)(゚)「あ、おんちゃんからLINEや。すっかり忘れてたわ。『頑張るで』っと」
125:

(ザワザワ)
彡(゚)(゚);「甲子園満員や。やべえよやべえよ、どうする……」
平田「監督、いよいよ決戦ですな」
( ・`ω・´)「ああ、今日全てが決まる。絶対に勝って日本一になろう。みんな頑張ってくれよ」
彡(゚)(゚);「よっ」(←投球練習中)
彡(゚)(゚);「……試合前は緊張してたけど、ボール握ったらなんとなく落ち着いて来た。案外いけるかも分からんで」
白井「プレイボール!(アアァァァァイ!!!)」
彡(゚)(゚);「あああああああ?!(タカメスッポヌケー)」
126:
彡(゚)(゚);「あっ、バントや!(ドタドタ)」
彡(゚)(゚);「あああアカン(マソウキュウー)」
( ・`ω・´)「おいおい、先頭フォアボールの後に自らバント処理を誤ってノーアウト一、二塁か。初回からピンチだ。大丈夫かな」
彡(゚)(゚);「や、やっぱり緊張してるせいか身体がガチガチや……。ホークスファンもベンチも押せ押せやんけ。まだ初回なのにこれはまずいよな……」
127:
原口「おっ大丈夫か大丈夫か」
彡(゚)(゚);「大丈夫じゃないです(動揺)」
原口「ええ……(困惑)」
彡(゚)(゚);「あっ大丈夫っす……」
原口「うーんこのピッチャー最悪や。打者の事は俺が見てやるから、お前は気にせず俺のサインとミットだけ見て投げろ。もし点を取られても俺がホームラン打ってやるから」
彡(゚)(゚);「す、すいません……。アカン、動揺しすぎて言動まで支離滅裂やった。どうなるんやワイ……」
128:
〜5回表 鷹2-2神
城所「よっ!(カキーン!)」
江越「真正面じゃないか(チンタラー)」
彡(゚)(゚);「ホッ。これで2アウト。ヤバイヤバイ」
( ・`ω・´)「うーん、今のも良い当たりだったな。どうにも初回から危なっかしくて見ていられない。2失点で済んでいるのが不思議なくらいだ」
平田「踏ん張っていると云うよりはツキがあると言った方が良いですな」
( ・`ω・´)「ああ。三振も取れないし、ランナーを出しながらギリギリの投球が続いている。やきう民はかなり調子が悪そうだ」
129:
香田「監督。同点ですが、疲れもあるでしょうし100球くらいで代えませんか。リリーフは準備しています」
( ・`ω・´)「そうだな。嫌がるだろうが早めに代えるとするか。代役としては仕事をしてくれたしな」
原口「インハイに、インハイに……」
彡(゚)(゚);「(シュッ)」
原口「外だ(絶望)」
今宮「あああああああああああああああ!!(カキーン!)」
彡(゚)(゚);「ファッ?!」
130:
〜5回裏 鷹3-2神
彡(゚)(゚);「ふー。今宮に勝ち越しホームラン打たれるとは思わなかったな。ランナーいなくて助かった(アセフキー)」
彡(゚)(゚);「……」
(ザワザワ)(ガヤガヤ)
彡(゚)(゚)「改めて思うけど物凄いお客さんの数や。お客さんだけやない。選手や監督、コーチ達からも、この試合に全てを懸ける執念を感じるわ」
彡(゚)(゚)「誰もがグラウンドの選手の一挙手一投足に熱中して、身体の髄から興奮しとる。こんなに雑念の無い集中した試合は初めて見たな」
131:
( ・`ω・´)「逆転のチャンスだぞ!やられたらやり返してやれ!」
福留「フン!(カキーン!)」
( ・`ω・´)「よし!!」
高山「まず1点っ!」
鳥谷「ピピピ……ライトの捕球姿勢を確認。ホームに突入する(ザザーッ!)」
彡(゚)(゚);「ああっ!」
132:
白井「セーフ!セーフ!(アアァァァァァァァイイ!!)」
藤浪「よっしゃ、逆転したぜ!」
大和「ドメさんナイスヒットです!!!(一緒にガッツポ)」
( ・`ω・´)「高山おかえり!トリも素晴らしい走塁だ!一気に逆転出来たぞ!(熱いハイタッチ)」
平田「ええぞ!おいやきう民。お前も奥にすっこんでないでこっちに来い」
彡(^)(^);「す、すいません。あざっす!(慌ててハイタッチ)」
彡(゚)(゚);「な、何や、この感覚……?」
133:
〜6回表 鷹3-4神
彡(゚)(゚);「うおおおおお!!(バシーン!)」
( ・`ω・´)「むっ?キレのある良い直球だ」
香田「何だかボールが来始めましたね。もう1イニングは見てみましょうか」
( ・`ω・´)「うむ。6回になって初めての三者凡退だ。リズムを掴んだのかな」
彡(゚)(゚)「みんなを見てたらワイもパワーを貰ったわ!さっぱり打たれる気がせーへんで!」
134:
〜9回表、2アウト無走者 鷹3-4神
彡(゚)(゚);「はぁ、はぁ……もう150球くらい投げたかな。6回からノーヒットのままここまで来たで」
代打長谷川「……(ブンブン)」
( ・`ω・´)「よし!最後の一人だ!油断するなよ!」
香田「あと一人だぞ!頑張れ!」
平田「頑張れ!良いボール行っとるぞ!」
坂「ツーダン!ツーダン!ラストー!」
(o'ω'n)「あと一人コールが凄いおん!あっとひっとり!あっとひっとり!(便乗)」
彡(゚)(゚);「……甲子園にいるみんながワイの味方の様に感じる。何て頼もしいんや……力が湧いて来る!1点差なんか怖くも何とも無い!」
135:
彡(゚)(゚);「うおおおおっ!(バシーン!)」
( ・`ω・´)「インハイに150km/hか。相変わらず大胆だな」
彡(゚)(゚)「フンッ!!(シュッ)」
長谷川「低めのカーブだ!(バシッ!)」
( ・`ω・´);「ファール!よし、追い込んだ!」
( ・`ω・´);「暴れんなよ、暴れんな……!1球外せ……」
136:
彡(゚)(゚)「行くで!うおおおおおお!!(ギュイーン!)」
長谷川「ンアッー!!(ブンッ!)」
彡(゚)(゚);「……ファールチップか。よしもう一球……(ボウシトトノエー)」
白井「アアアアアアアアアアイイイ!!」
彡(゚)(゚);「ファッ?!ガッツポ間に合わんやないか!」
実況『さんしーーん!!やきう民仁王立ちー!!外野からもベンチからも選手達がマウンドへ飛び出しました!!阪神タイガース、悲願の日本一に輝きました!!』
彡(^)(^);「やったで!みんなやったで!やったで!!」
( ;`ω;´)「おっと失礼。今回はすぐ来たぞ」
清水「早胴上げだ!!」
137:
〜翌日
(o'ω'n)「改めて優勝おめでとうだおん。優勝の瞬間のガッツポーズ、遅すぎてかっこ悪かったけど素敵だったおん」
彡(゚)(゚)「ありがとうやで」
(o'ω'n)「最初はどうなるかと思ったおん。いっぱいランナー出してたおん」
彡(゚)(゚)「実はゲロゲロに緊張しとったせいで上手く投げられなかったんや。でも何でこんな緊張するんやろなーと思ってたけど、やっとその理由が分かったで」
(o'ω'n)「?」
彡(゚)(゚);「えーとまぁ、その……優勝したら言いたい事があってな……(モジモジ)」
(o'ω'n)「あっ(察し)」
彡(゚)(゚);「言わんでも分かるやろ。あれや」
(o'ω'n)「おんちゃんはそういう所に厳しいおん」
彡(゚)(゚);「くっ。日本一になったら言おうと思ってました!ワイと結婚して下さい!!」
138:
〜オフシーズン
彡(゚)(゚)「今シーズンはいろんな事があったな。原住民がプロ入りして久しぶりに対戦した。オールスター、ワイにとって初めてのリーグ優勝と日本一も経験した。とても充実したシーズンやったで」
彡(゚)(゚)「さて、そんな訳で薔薇色のオフや。優勝旅行でたっぷり遊んだし、ある意味日本シリーズより緊張するあれやこれやも何とかなったで……」
彡(゚)(゚)「契約更改では大台を突破。防御率や勝ち星、奪三振の部門でリーグ上位に食い込んだし、優勝のおまけつきや。家族も出来たし、もっともっと稼がな(アカン)」
彡(゚)(゚)「そして原住民は新人王にゴールデングラブ賞か。来季も負けてられんなぁ。……新作のパワプロはどうなってるんやろ」
やきう民
157km/h コンロトールE スタミナA カーブ4 シュート3 (1GGEBFF)
対ピンチC 打たれ強さC ケガしにくさC ノビB クイックF 奪三振 四球 一発 エラー
原住民
3DCBBCC遊
対左投手B ケガしにくさC 盗塁C 走塁B 送球B 流し打ち 粘り打ち バント○ 内野安打○ チャンスメーカー 広角打法 満塁男 逆境○ 調子安定 選球眼
彡(゚)(゚)「何やこの特能お化け……」
139:
〜翌年、春季キャンプ
彡(゚)(゚)「さ、今年もスタートや。連覇目指して頑張るで」
彡(゚)(゚);「今日も良い汗かいたな。"特訓"の方はちょっと行き詰ってるが、何とかなるやろ」
( ・`ω・´)「練習に精が出るな。身体の方は大丈夫か? 去年随分投げたし、今年もキャンプが終わったら"アレ"があるんだ。きちんと休みを取るんだぞ」
彡(^)(^)「分かってますよ。でも甲子園大会の頃に比べたら軽いもんです、へーきへーき」
( ・`ω・´)「短期ではそうかも知れんが、勤続疲労による故障もあるんだからな。……言っても無駄か。ま、今年も楽しみにしているぞ」
彡(゚)(゚)「アレ、か……。せや、そろそろ巨人も宿舎に引き揚げた頃かな。原住民に電話したろ」
140:
彡(゚)(゚)「もしもし。ワイやで」
(´・ω・`)「こんばんは。そっちのキャンプは順調?」
彡(^)(^)「例年通りぼちぼちやね。原住民はどうや、2年目のキャンプは?」
(´・ω・`)「僕はまだ調整なんて威張れる選手じゃないから。今年もレギュラー奪取に向けて頑張ってるよ」
彡(^)(^)「なーにがレギュラー奪取や。去年は打撃タイトルを狙ってもええくらいの活躍やったんやし。正遊撃手の座はとっくに奪ったやろ?」
(´・ω・`)「巨人ではね。でも、もう一つ奪いたい正遊撃手の座があるんだ」
141:
彡(゚)(゚)「――日本代表のショートか?」
(´・ω・`)「そう。僕は巨人のレギュラーを獲ったから、今度は日本一の選手になりたいんだ」
(´・ω・`)「幸いな事に、去年の活躍を評価されて、今年の開幕前に行われる代表の練習試合のメンバーに選んで貰えた。アピールの場だから頑張らなきゃ」
彡(゚)(゚)「やっぱりそうか。知ってると思うがワイもそのメンバーやで、一緒に本大会で日本代表の選手になれたらええな」
(´・ω・`)「そうだね。ま、世界大会まで期間があるし、この練習試合は第一歩に過ぎない。しっかりアピールして内定を貰っておきたいね」
(´・ω・`)「僕はまだ2年目の若手だから、良い出番は貰えないと思う。でもやるよ。沢山活躍して、必ず日本代表のショートを奪い取ってみせる」
彡(^)(^)「頑張りや。ワイも日本のエースを狙っとる。昔みたいに、何時か世界の舞台で一緒に戦おうやで!」
142:
〜開幕前、代表戦
彡(゚)(゚)「今日から日本代表チームによる強化試合や。ワイや原住民にも出番あるかな」

(´・ω・`)「甘い!(カキーン!)」
小久保「おおっ! 行った!」
彡(゚)(゚)「代打でホームランとはいけるやん!代表初打席でいきなり結果を出して見せた」
小久保「外の球を流してこの打球、まだ2年目なのに素晴らしい選手や。これは楽しみやなぁ」
小久保「あ、おいやきう民。お前そろそろブルペンに行ってくれ」
彡(゚)(゚);「……え?」
143:
彡()();「あああああああああ!!(タカメスッポヌケー)」
小久保「4連続四球か。球威は良いんだが制球があかんなぁ」
彡()();「だから中継ぎはアカンと言ったやろ!気持ち悪くて嫌なんや!」
小久保「クビだな……」
144:

彡(゚)(゚);「やれやれ、代表戦の日程は終了。いろんな意味で派手なデビューやったわ。原住民がホームラン打ったのとは対照的やった。小久保の奴、セの選手は成績しか見てないな」
彡(゚)(゚)「ワイは中継ぎではやっぱり駄目らしい。日本代表に選ばれる為には、三つしか無い先発枠で選ばれる事が必須条件や。ライバルはきっとダルマー、岩隈やマエケン、それに菅野みたいなエース級になるな」
彡(゚)(゚)「まぁ、シーズン中の結果や投球内容が良ければパ専の小久保でも目を留めてくれるやろ。となると……やっぱりあの特訓が鍵やな」
145:
〜シーズン開幕後
( ・`ω・´)「よし、明日からの裏ローテの頭はお前に任せたぞ、やきう民。代表戦の疲れはもう無いな?」
彡(゚)(゚)「はい、全然平気っす」
彡(゚)(゚)「……」
彡(゚)(゚);「って言うしか無いやろ……。例の特訓のせいでちょっと肩に違和感が出て来とるで」
146:
〜翌日
彡(゚)(゚);「ふう……何とか5回を投げ終えたで。この肩の違和感、一体何なんやろ。全力では投げられん……」
( ・`ω・´)「お疲れ。今日はやけに変化球が多いな」
彡(゚)(゚);「球を狙われた気がしたので多投してるだけです。何でもありません。打席入って来ます」
( ・`ω・´)「うーむ……ああ言っているが変だな。直球もスピードが出ていない様に見える。疲労が抜けきっていないのかも知れんな」
彡()()「ああ〜(サンシンー)」
147:
彡(゚)(゚);「そらっ!(ボスッ)」
白井「ボール!ボールツー!(アアアァァァァァァイイ!)」
彡(゚)(゚);「ぐ……肩が痛い」
( ・`ω・´)「む、ストライクが入らなくなった。ブルペンに連絡しろ。そろそろ代えるぞ」
148:
彡(゚)(゚);「最悪や、投げれば投げる程肩が痛くなる。秘密の特訓を始めてからずっと痛かったんやが……」
彡(゚)(゚);「あっ、コーチがブルペンに電話してる。……交代は嫌や。何とかここをしのいでまだ行けるってアピールせなアカン!フンッ!(ミシッ)」
彡()();「」
149:
〜翌日
( ・`ω・´);「な、何だって?!昨日違和感で途中降板したやきう民が、肩の故障で3ヵ月は戻って来られないだと?!」
東スポweb「潰した虎将……やきう民、長期離脱は酷使が原因か」
デイリー「剛球ドリス!ピシャリ抑えて連続S!」
香田「成程。昨日は投げ方がおかしいと思って見ていたが、痛みを隠して投げてたからなのか」
( ・`ω・´)「一言そう言ってくれればこうはならなかったんだがな。随分前から痛みが出ていたそうだが、我慢していたとの事だ」
平田「我慢した結果がいきなり2か月離脱か。投げたい投げたいと思ったばっかりに余計に長く投げられなくなってしまったな」
( ・`ω・´)「やきう民は何も言ってくれなかったが、肩の故障で戦線を離脱する事になってしまった……」
150:

彡(゚)(゚)「あーあ……今シーズン初登板でいきなり怪我をしてしまった」
彡(゚)(゚)「やってしまった、おんちゃん。肩の故障で当分投げられない。もう最悪や。気が狂う」
(o'ω'n)「焦っちゃダメだおん。去年は沢山投げたから、少し休むんだと考えてゆっくり治すおん」
彡(゚)(゚)「マウンドに行きたい。投げたい。怪我をしたら余計に投げたくなったわ」
(o'ω'n)「我慢するおん。無理をすればかえって投げられないおん。幸いにも2ヵ月くらいで実戦復帰出来るらしいから、長く現役を続ける為にも今は諦めるおん」
151:
彡(゚)(゚)「長く現役、か……。ワイはそう云うのは好きやないんや」
(o'ω'n)「?」
彡(゚)(゚)「ワイはマウンドで投げたい。長く現役でいる為に余力を残すとか、そう云う事はしたくないんや」
彡(゚)(゚)「例えそれが最後になるとしても、目の前のマウンドに登り、最後までマウンドに立ち続けたい。それがワイの生き甲斐なんやで」
(o'ω'n)「そう云うのは燃え尽きる前に言うおん。まだまだ若いんだから観念するおん」
152:

彡(゚)(゚)「試合も調整も無い日々はムズムズするしヒマやなぁ。チームメイトや原住民とかもたまにお見舞いに来るけど、中継を見てるとやっぱり投げたくなる」
彡(゚)(゚)「去年は良い事づくめだったけど、今年は一変したな。代表試合じゃ失敗するし、怪我するし、投げられないし……」
彡(゚)(゚)「あっ、そうだ(唐突)。どうせ投げられないんや、少し野球を勉強するのもええかも知れん。"秘密の特訓"を見直す機会にもなるしな。そうしよう」
153:

(コンコン)
彡(゚)(゚)「†悔い改めて†」
( ・`ω・´)「具合はどうだやきう民」
彡(゚)(゚)「あ、監督」
( ・`ω・´)「まさかもう投げるなんて言い出さないだろうが、リハビリはきちんと続けるんだぞ」
( ・`ω・´)「それで、これは例のビデオ(意味深)だ。お前の要望通りスコアラーに作って貰ったよ
彡(゚)(゚)「ありがとナス!早見ましょう。監督にも見て欲しいんです」
154:
彡(゚)(゚)「あった、この打席の映像を見せて下さい」
( ・`ω・´)「これか?この映像はお前が原住民にホームランを打たれた打席だ」
( ・`ω・´)「どれ、まずは直球。……次も直球。この打席の原住民の始動は変化球待ちの様だ」
彡(゚)(゚)「直球にタイミングは合ってないですけど、合わせるつもりも無さそうな、カットする時の待ち方ですわ」
( ・`ω・´)「うむ。そして次は変化球……見事なバッティングだ。完全にカーブを捉えている。変化球待ちの打者に変化球を投げたのはバッテリーミスでもあるな」
彡(゚)(゚)「他にもワイが打たれた時の打席を見たいです」
155:
( ・`ω・´)「……さっきから打たれた打席ばかりだ。抑えた打席も一緒に見た方が比較しやすいぞ」
彡(゚)(゚)「いや、良いです。それより監督、打たれた時のワイの投げ方はどうですか」
( ・`ω・´)「投げ方?」
彡(゚)(゚)「原住民には何時も変化球を打たれる。どんなにタイミングをずらしても、ストレートはファールで逃げて、変化球をバッチリ打たれるんです」
( ・`ω・´)「それは変化球を狙っているからだ。原住民は最初からストレートを捨てているんだから」
彡(゚)(゚)「緩急を付けた外のカーブやスライダー、外を意識させて内角を抉るシュートやチェンジアップですよ。反応だけで打てますか?」
( ・`ω・´)「それは……いや、待てよ(カチカチ)」
156:
( ・`ω・´)「……成程な。お前の言う通りだ。よし、どうして原住民がお前を得意にしているのか分かったぞ」
( ・`ω・´)「ずばり、やきう民。お前は球種によってフォームが変わっている。この静止映像を見ろ。リリースまでの軌道、特に手首の返し方が違うだろう」
彡(゚)(゚)「本当や……。それじゃ、フォームを見ればワイが何を投げるか一目瞭然って事ですやん。原住民はそれを見抜いて、打ちやすい変化球を狙っていたみたいや」
( ・`ω・´)「うむ。原住民は変化球を打つのが上手だ。カーブを投げますと言われれば簡単に打てたと云う事だな」
157:
彡(゚)(゚)「やっぱりそうか。実はワイも、フォームの癖を読まれていないかと疑っていました。だから去年から球種毎のクセを無くそうと秘密の特訓をしてたんですわ。でも……」
( ・`ω・´)「一人で思考錯誤を続ける内に身体に負担が掛かり、開幕直後にとうとう怪我をした、と云う訳か」
彡(゚)(゚)「はい……。でもこの特訓は続けたいです」
( ・`ω・´)「そうか。分かった。確かに必要な練習だ」
( ・`ω・´)「リハビリが終わって元気になったらすぐ一軍に呼ぶつもりだったが、フォーム改造をしたいと言われた。一軍復帰は少し遅れる事になりそうだな」
( ・`ω・´)「……やきう民がまさかあそこまで考えて特訓していたとはな。ただ投げるのが好きかと思っていたら、何時の間にか頭を使う様になっていたみたいだ」
158:
〜2か月後
彡(゚)(゚)「今日からやっと投球練習を再開や。フォーム解析に詳しいスタッフさんを付けて貰ったし、早二軍でフォーム改造に取り組むやで。原住民にはもう打たせんぞ!」
〜更に1か月後
( ・`ω・´)「……で、あっと言う間にオールスターも終わって後半戦だ。やきう民はどうだ?」
掛布「どうと言うか、やきう民は一軍で投げないと分かりにくい投手ですから。でも本人は大丈夫やと言ってますよ。ボールはいですし、球数も放れている」
( ・`ω・´)「なら、上に呼んでも良さそうだ」
159:
〜復帰登板前日
彡(゚)(゚)「これは大変なことやと思うよ。フォームを直したのはええが、カーブやシュートが曲がらなくなってしまった……。ちょっと監督に相談するか」
( ・`ω・´)「何、フォームを変えたらボールが曲がらなくなった?フォームに対して変化球が合っていないと云う事か。それは困ったな……」
( ・`ω・´)「だが、それはきっと良い事だ。より理想的なフォームに近付けて曲がらなくなったと云う事は、今まで無理矢理曲げていたと云う事だからな」
彡(゚)(゚)「一理ある」
160:
( ・`ω・´)「小手先の変化球にばかり頼っても、いざと言う時心もとない。これを期に新しい変化球などを練習してみたらどうだ」
彡(゚)(゚)「おかのした。……ってそれじゃまたフォーム改造やり直しやんけ……」
( ・`ω・´)「そうなるな。良いか、もう一人で悩まず、コーチにも相談しろ。一緒に投げやすいボールを探しなさい」
彡(゚)(゚);「す、すいません」
( ・`ω・´)「――謝らなければいけないのはこっちだ。お前は型に嵌まらない選手だから、わざと口を挟まなかったんだ。俺達がもっと目を向けてやれば怪我もせずに済んだのに……」
彡(゚)(゚);「いや、そんな事」
( ・`ω・´)「すマートン」
162:

( ・`ω・´)「――とにかく、俺達には選手を守る義務がある。お前もその一人だ。これからはお前を特別扱いせず、大事なタイガースの一人の選手として管理させて貰う」
( ・`ω・´)「それはつまり、一流の選手として自覚を持てと云う事だ。もう無理も我儘もさせないからな――」
彡(゚)(゚)「とか昨日言ってたけど、監督はどうしたんや、急に……ま、いっか」
彡(^)(^)「それより今日は数か月ぶりの一軍復帰戦や。今日の試合を全力で投げ切るで!(グラウンドヘトビダシー)」
( ・`ω・´)「……やきう民には私の気持ちが伝わっただろうか。真のエースになる為には、自分の為だけに努力し、自分の為だけに投げている様では駄目なんだ」
( ・`ω・´)「チームの為、家族の為、全てのファンの為にすべき事があると気が付いてくれると良いが……」
163:
彡(゚)(゚)「うりゃあああ!(バシッ!)」
彡(゚)(゚)「フンッ!(バシッ!)」
彡(゚)(゚)「おりゃ!(バシーン!)」
彡(^)(^)「おっしゃー!いけるやん!もう肩も何ともないで!」
( ・`ω・´)「6回1失点4奪三振か。復帰戦としては上出来だ」
香田「変化球が曲がらないと言っていましたが、ちょうどバットの芯を外して上手く抑えていますね」
164:
( ・`ω・´)「うむ。投球内容としては及第点だろう。それじゃ香田、ブルペンに連絡してくれ。予定通りピッチャー交代だ」
香田「おかのした」
彡(゚)(゚)#「あっ、おい待てい!何で代えるんや!調子ええんやぞ!続投や!」
( ・`ω・´)「何でって……6回で102球だろう。球数が多いから代えるだけだ。内容は良かったよ、お疲れさん」
彡(゚)(゚)#「おかしいやろ!何で100球だと交代になるんや!怪我明けだからか?!球数なんか関係あらへんわ!」
( ・`ω・´)「言い忘れたが、お前はこれからずっと100球前後になったら代えると決めたんだ。投げ過ぎは怪我の元だからな」
彡(゚)(゚)#「な……投球制限?!」
165:
〜シーズン終了後
彡(゚)(゚)「代表試合で失敗し、怪我から始まった今シーズン。数か月経ってやっと復帰したと思ったら、突然設けられた球数制限で思う様な結果……投球回に達しないままシーズンが終わってしまった」
彡(゚)(゚)「前半戦は故障で離脱、復帰後も早い回での降板が影響して3勝止まりやった。変化球が曲がらないせいか、打ち込まれる事も目立った」
彡(゚)(゚)「チームは2位やがCS敗退。年俸も少し見直しが入った。オフの代表試合にも呼ばれなかったし、いろいろと不満が残るシーズンやったな」
166:
彡(゚)(゚);「投球の事でやる事は一杯やのに、監督が球数制限なんて設けるせいでどうしたら良いのか分からん。6回投げるだけじゃ野球をやっている気がせーへん」
彡(゚)(゚)「もうマウンドに上がれず、さっさと降ろされるもどかしさは味わいたくないんや。監督を納得させ、最後まで投げ切るにはどうしたらええやろか……」
やきう民
153km/h コンロトールE スタミナC (1GGEBFG)
カーブ2 シュート2 対ピンチE 打たれ強さC ケガしにくさF ノビC クイックF 回復E リリース○ 四球 一発 負け運 調子極端 エラー
原住民
3BBBCBB遊
チャンスB ケガしにくさB 盗塁B 走塁B 送球B アベレージヒッター 広角打法 逆境○ チャンスメーカー 調子安定 満塁男 内野安打○ 選球眼
167:
〜春季キャンプ
(´・ω・`)「ふう。今日も良い汗をかいたな。今年も開幕前に代表戦があるから調整を急がなきゃ。今年の目標はトリプルスリー、そしてリーグ連覇だ」
(´・ω・`)「明日のオープン戦は阪神、やきう民が先発するみたいだ。一昨年は球種を読んで稼がせて貰ったから、今年もカモにさせて貰うよ(ニヤニヤ)」
168:
〜オープン戦
『4番、ショート、原住民』
(´・ω・`)「今年もよろしく(ブンブンッ)」
小豆畑「(サインダシー)」
彡(゚)(゚)「よろしくやで。ほな、今年の第一球や!(バシーン!)」
(´・ω・`)「外の直球。毎度の事ながらいなぁ。ま、特に変わった所も無さそうだけどね」
(´・ω・`)「変化球狙い打ちは今年も続けるけど、どうせオープン戦だ。たまには直球にも合わせてみようかな。もしかしたら打てる様になってるかも知れない」
169:
小豆畑「(サインダシー)」
彡(゚)(゚)「OK!おりゃあっ!(シュッ!)」
(´・ω・`)「来た、直球!(スカッ)」
(´・ω・`)「?!」
彡(゚)(゚)「よし!」
170:
(´・ω・`)「何だ、今の……?直球だと思ったけど、変化した……?」
(´・ω・`)「でも今のフォームは直球を投げるフォームだったよね。一体何を投げたんだろう……?」
小豆畑「(サインダシー)」
彡(゚)(゚)「それ、3球勝負やで!(シュッ!)」
(´・ω・`)「今度こそ直球のフォームだ。カットして――(スカッ)」
彡(^)(^)「うっしゃ!あっさり三球三振!」
(´・ω・`)「こ、このボールは……?!」
171:
AHRA「珍しいな原住民。三球三振なんて」
(´・ω・`)「ちょっと予想外でした。今年は彼を打つのは難しいかも知れません」
(´・ω・`)「……今のはスライダーだ。投球フォームが直球と殆ど一緒、スピードもく、手元で鋭く曲がった。やきう民にはあんなボールがあったのか……」
(´・ω・`)「それにフォームも直球と同じだった。やきう民はフォームを少し変えているってスコアラーが指摘していたっけな」
172:

『4番、ショート、原住民』
(´・ω・`)「2打席目だ。スライダーがあると分かれば別のアプローチが必要だな(ダセキナラシー)」
彡(゚)(゚)「行くで!うりゃ!(シュッ)」
(´・ω・`)「フンッ!(スカッ)」
(´・ω・`)「今度は直球か。スライダーを気にしていると振り遅れてしまう」
彡(゚)(゚)「とりゃあ!(シュッ!)」
(´・ω・`)「くっ!(スカッ)」
(´・ω・`)「今のがスライダー……。駄目だ、直球のフォームと比較しても全くクセが分からない。読み打ちはもう難しいか……?」
173:
(´・ω・`)「でも、両方ともスピード自体はそう変わらなかったな。そうだ、直球にタイミングを合わせて、ギリギリまで引き付ければ打てるかも知れない」
彡(゚)(゚)「まーたバットを短く持つのか……。おもんねーわ。そらっ!(スッ)」
(´・ω・`)「えっ?!(ガクッ)(スカッ)」
彡(゚)(゚)「よし、三振や!」
AHRA「また別の球種だ。原住民が連続で三球三振とは……ウーンあのピッチャー欲しいなぁ」
174:

彡(^)(^)「……ってな感じで仕上がりは上々なんや。サークルチェンジもバッチリ決まったで。二打席目に完全にタイミング外したのは気持ち良かったわ!」
(o'ω'n)「おんちゃんに言われてもよく分からないおん」
彡(゚)(゚)「オフの間やキャンプ中、チームメイトや他球団の人の所を駆けずり回って新しい変化球を教わったお陰や。甲斐あって良かったわ」
彡(゚)(゚)「コントロールもキレも変化量もまだ全然やけど、フォームも悪くないし、怪我も治ったから今年こそは絶対いけるって自信があるで!」
(o'ω'n)「そうやってイキイキしているやきう民はかっこいいおん」
175:
〜シーズン開幕
彡(゚)(゚)「そんな訳でオープン戦が終わって開幕から一週間。シーズン最初の巨人戦やな。ワイは巨人戦が苦手やって世間では言われてるけど、今日こそは完璧に投げてやるで」
( ・`ω・´)「おい、やきう民。面白いニュースが入って来たぞ。お前と対戦する日、巨人の原住民が2番に入るそうだ」
彡(゚)(゚)「ファッ?!2番?!」
176:
『2番、ショート、原住民』
(´・ω・`)「(ダセキナラシー)」
彡(゚)(゚);「本当に2番でスタメンや……。一体どう云うつもりや?すっかり中軸打者の風格も出て来たのに……」
(´・ω・`)「(これで良いんだ。今の僕ではやきう民を打てない。そして、打てなくても出来る事をするのがプロだからね)」
(´・ω・`)「とにかく、勝負に拘ったら負けだ。勝負に負けても試合に勝つ。それこそが今の僕に求められている事、出来る事だ!」
177:
彡(゚)(゚)「何か知らんけど、今年は絶対打たせないで!うりゃあ!(シュッ!)」
(´・ω・`)「……(バスッ)」
彡(゚)(゚)「お、もうワイのスライダーを当てたか。せいっ!(ビシッ)」
(´・ω・`)「おっと。コントロールは相変わらずアバウトだね。バットを短く持ってカットし、つなぎに徹すれば君を攻略出来るって事さ」
彡(゚)(゚)「……」
179:
〜1か月後
デイリー「やきう民、零封!零封!また零封!」
( ・`ω・´)「昨日の試合でやきう民は3試合連続無失点か。苦手の巨人にも勝ったし、開幕から絶好調だ。去年は怪我やいろいろな事で苦しんだ分、成長している様だな」
( ・`ω・´)「……しかし、去年から指摘している球数の方は一向に改善されない。何時も何時も四球が多く、6回100球がデフォルトだ」
( ・`ω・´)「本人の気持ちを考えれば完投させてやりたいが、本人の為には球数制限を設けなければならない。ケガをさせない為にもな」
( ・`ω・´)「今のやきう民はただ自分勝手に投げて満足しているだけだ。本当にチームに貢献し、一流の選手になる為には、自己満足なピッチングスタイルを変えて貰わなければならないんだ」
180:
〜その後数試合
マスコミ「やきう民投手は6回をホームラン1本、久々の失点でした」
( ・`ω・´)「まぁ今まで投げる回数が短かったからね」
彡(゚)(゚)#「じゃあ代えるなや!」←新聞紙にキレている
マスコミ「今日は先発のやきう民投手が序盤からちょっと苦しんだ印象でした」
( ・`ω・´)「うん。修正しようという気持ちが見えず、ちょっと強引だった。自滅する前にと思って代えました」
彡(゚)(゚)#「自滅してないやろ!こっちはこっちでちゃんと抑えたわ!」←新聞紙にキレている
マスコミ「今日はやきう民投手が5回で降板、中継ぎが打たれましたが続投は無かったんですか?」
( ・`ω・´)「100球超えたからね。勝ちが伸びて来ないのも、本人がずっとこんな調子だからでしょ。怪我をして貰っちゃ困るし。まぁ彼はその程度ですよ」
彡(゚)(゚)#「知らんがな!!」←新聞紙にキレている
181:

彡(゚)(゚)#「あ〜監督腹立つ!昨日もマスコミにワイの事ボヤいたんか。絶対100球で降板するマンってネットで叩かれまくるし、完投出来ないし、最悪や!(シンブンヨミー)」
(o'ω'n)「あーあー。落ち着くおん……。きっと監督はやきう民に期する事があって球数を制限しているんだおん。意地悪しているんじゃないおん」
彡(゚)(゚)「ケガせず長く現役でチームを勝たせる事やろな。だが壊れない様に球数制限掛けたら何の為にピッチャーやっとるのか分からん。ワイは投げたいんや」
彡(゚)(゚)「ワイはチームの為だとかで遠慮する気は無い。それが分からん監督があかんのやで。投げさえ出来ればどうでもええのに……」
(o'ω'n)「どうでも良くない!!(バリバリバリントン)」
彡(゚)(゚);「うわあああ!新聞紙の真ん中が引き裂かれたかと思うと破れた穴からおんちゃんが!」
182:
(o'ω'n)「どうでも良いって何だおん!今の言葉を取り消せおん!チームスポーツで独りよがりなプレーをする事がどれ程情けない事か分かってるおん?!」
(o'ω'n)「やきう民一人がマウンドに上がる為に、沢山の人々が尽力しているおん!どうでも良い訳無いおん!ただ投げたいだけなら今すぐ退団して公園で投げれば良いおん!」
彡(゚)(゚);「そ、それは……」
(o'ω'n)「やきう民は決して一人で投げているんじゃない。思い出すおん。あの夏の高校野球、県大会の決勝戦を――」
彡(゚)(゚)「?!」
184:
〜数年前、全国高校野球大会(夏)・地方予選決勝、12回表
彡(゚)(゚);「くそっ、もう点はやれん!絶対抑えるんや!おりゃああ!!」
(´・ω・`)「今年の夏も僕達が貰うんだ!フンッ!(キン!)」
(´・ω・`)「あっ!」
実況「打ち上げた!打ち上げてしまいました!ファールゾーンへキャッチャーが追い掛けますがベンチの前どうか?!」
彡(゚)(゚);「あ、危ない!」
彡{゚}{゚};「うおおおっ!(ドカッ!)(ドスン)」
185:
実況「捕った!捕った!捕りました!アウトです!スリーアウト!最後はベンチに飛び込みましたが、勇気あるプレーでこの回の満塁のピンチを切り抜けました!」
彡(゚)(゚);「だ、大丈夫か!」
彡{^}{^}「へへっ、勝って甲子園行くんだ。ケガなんかしねーよ」
彡(゚)(゚);「良かった……。ありがとう!」
186:
(ザワザワ)
実況「さあ延長12回の裏、エースやきう民君の力投に応えたい、おんj高校打線。ベンチの前に円陣を作りました」
[゚][゚]ミ「ここまで良く頑張ったな。みんながどれ程頑張ったかは、俺のこの目に焼き付けてある。そして監督として、今のお前達に不可能な事なんて無いと確信している」
[゚][゚]ミ「あと一つ勝てば……あと1点取れば夢の甲子園だ!もう夢じゃないぞ!今年の夏はお前達が獲って来い!絶対に勝って甲子園に行くぞ!!」
彡(`)(´)「「「オオッ!!」」」
187:

彡(゚)(゚)「200球投げたあの試合――せや、最後は2アウト満塁から間一髪の内野安打でサヨナラになった。ワイの目の前でチームメイトが決めてくれた」
彡(゚)(゚)「そうや、あの試合の時、ワイはみんなと気持ちを一つにしていた……。みんなと一緒に甲子園に行きたくて、みんなと一緒に戦っていた」
(o'ω'n)「思い出したおん?グラウンドにはナインの、やきう民と一緒に戦うチームメイト全員の気持ちが共にあったおん。一人でプレーしている選手なんていなかったおん」
彡(゚)(゚)「チームメイト全員の気持ち……あっ、心当たりがあるで」
彡(゚)(゚)「一昨年の日本シリーズ最終戦もそうや。ワイはみんなを、みんなはワイを信じてくれた。一人一人が味方を信じ合ってあのグラウンドに立っていた」
(o'ω'n)「そうだおん。マウンドに立つのは独りじゃない。素晴らしいチームメイトや支えてくれるみんなと一緒だからこそ立つ事が出来るんだおん」
188:
彡(゚)(゚)「野球ってみんなでグラウンドに立つ事なんやな。……"投げられればどうでも良い"って言ったのはワイの間違いやったな……」
(o'ω'n)「おんちゃん、やきう民の気持ちは分かるおん。だからチームメイトやファンのみんなの為に長く現役でいろとは言わないおん。でも支えてくれる人達の事を忘れて欲しくないおん」
彡(゚)(゚)「……そうやな。おんちゃんの言う通りや。ワイは自分が投げる事だけを考えていた。自己満足で終わっていたプレーヤーだったのかも知れん」
彡(゚)(゚)「監督が球数制限を設けていたのも、それくらいワイに長く現役でいて、チームの柱になって欲しいって期待があったからやろな……」
彡(゚)(゚)「期待、か」
189:
〜翌日
彡(゚)(゚)「香田コーチ、ちょっと良いですか。少ない球数で完投するにはどうしたら良いんですか?」
香田「ん?急にどうした?」
彡(゚)(゚)「ワイは完投したいんやけど、監督は100球で代えてしまうやないですか。だから100球で完投出来る様になりたいんです」
香田「また面白い事を考えたな。理屈は合ってるが難しいぞ」
彡(゚)(゚);「そ、それでもやります。球数が少ない方がチームメイトも楽でしょうし、監督の期待にも応えたい」
( ・`ω・´)「やきう民……!何があったかわからないが、俺の思いが伝わった様だな」
190:

彡(゚)(゚)「よっ!(カキーン!)」
彡(゚)(゚);「ああっ!少し甘く入ってしまった!」
香田「力加減を覚えれば制球力も身に付くと思ったんですが、なかなか上手く行きませんね。打たれて却って無駄球が増えたかな……」
( ・`ω・´)「だが無駄なフォアボールは徐々に少なくなっているし、投球のテンポも良くなっていると野手から聞いている。このまま続けさせなさい」
191:

彡(゚)(゚)「それっ(ガツッ)」
彡(゚)(゚);「あ、フライになってしまった!」
平田「相変わらずバント出来ないなぁ……。そろそろ特訓させなあかん頃ですかね」
( ・`ω・´)「ああ、援護を呼び込むのも自分次第だと伝えてくれ。ついでに守備もちゃんとやってるか?あれじゃ内野手が一人足りないのと一緒だぞ」
192:

彡(゚)(゚);「くそ、今日は何とか良い感じに来たのに満塁にしてしまった……」
( ・`ω・´)「流石に限界か。安藤を呼べ。交代だ」
彡(゚)(゚);「ま、待ってくれ!ワイはまだ投げられる!投げさせてくれ!」
193:
安藤「心配するな、やきう民。お前が今日投げた131球を絶対に無駄にはしない」
彡(゚)(゚);「安藤さん……」
香田「お前を諦める訳じゃ無い。だがどうしても落とせない大事な試合なんだ。ここは頼れる先輩に任せて我慢してくれんか。今日はよく頑張ったな」
彡(゚)(゚);「……」
(パチパチパチ)
彡(-)(-);「……」
平田「お疲れさん。黙って帰って来るなんて珍しいな。何時もは駄々をこねて嫌がるやないか」
彡(゚)(゚)#「……(フテクサレー)」
( ・`ω・´)「チームスポーツと云うものを理解しようとしているんだな。時には仲間に託す事も必要だと。勇気ある降板だ」
195:
〜シーズンオフ
彡(゚)(゚)「6勝6敗4.14……これが今シーズンのワイの数字や」
彡(゚)(゚)「ワイらの長いシーズンは閉幕した。リーグ優勝は達成したが、惜しくも日本一は逃す事になった。それでもチームとしては3年連続Aクラス。一昨年の優勝がまぐれでは無い事を証明した形やな」
彡(゚)(゚)「ただ、ワイ自身は投球に限らず、チームの期待に応える為いろんな事を特訓したせいか、成績を落としてしまった。その分少しだけ野球が上手くなった気がするで」
彡(゚)(゚)「一方で原住民はスランプなのか、急に成績を落としたもよう。いよいよ来年春にWBCが開催されるのに、ワイらは代表メンバーの当落線上にあると言って良い。大丈夫かな」
やきう民
154km/h コンロトールD スタミナC Hスライダー3 サークルチェンジ3 (1GGEBFG)
対ピンチF 打たれ強さF ノビB クイックF 奪三振 リリース○ 球持ち○ 四球 一発 負け運 エラー
原住民
3ECBCCB遊
対左投手C ケガしにくさB 走塁B チャンスメーカー バント○ 調子極端 内野安打○ 選球眼 チームプレー○
196:
〜翌年
彡(゚)(゚)「今年の春はいよいよWBCや。今日はその日本代表の選手が決まる日。選ばれてくれ……!」
( ・`ω・´);「いた。やきう民、WBCに召集される日本代表選手の事で話がある。……残念な報告だ」
彡(゚)(゚);「おファファのファッ?!WBCの日本代表メンバーからワイが外された?!うせやろ?!きっと誰かと間違えてるんや!脱税野郎に抗議しろ!」
( ・`ω・´)「いや、非常に残念だが、さっき正式に連絡があってな……。間も無く報道される筈だが、お前は選考外だったよ」
彡(゚)(゚);「そ、そんな……」
197:
(´・ω・`)「あっ、もしもし。聞いたよ、やきう民が日本代表に選ばれなかった事を。頑張ったのに残念だったね……」
彡(゚)(゚)「まだショックから立ち直れんわ。行けると思ってたのに……。原住民は選出されて羨ましいなぁ。ワイも大会に行きたかったで」
(´・ω・`)「うん。僕も一緒に戦いたかったから残念だ。代表に選出された僕が言っても慰めにならないかも知れないけど、元気出してよ。やきう民の分も頑張るから」
彡(゚)(゚)「いや、まぁ、うん……イヤミにしか聞こえんけど頑張ってくれ」
198:
彡(゚)(゚);「あーあ……今年のWBCはまさかの代表落選や。候補に残ってたから期待してたのに……。世界と戦う夢は残念ながらお預けや」
(o'ω'n)「きっと4年後は一番に選ばれるおん。元気出すおん。今年は日本代表を応援するおん」
彡(-)(-)「ずっと目指してた世界の舞台やったのに……悔しいなぁ」
彡(゚)(゚)「早めに気持ちを切り替えよう。藤浪とかが代表戦で離脱する分、残されたワイらはシーズンを頑張らないとな」
199:
〜オープン戦
彡(゚)(゚)「今年もオープン戦はそこそこ順調や。阪神は今日は試合が無いからゆっくり調整やな」(ガヤガヤ)
彡(゚)(゚)「ん?どうしたんや」
( ・`ω・´)「WBCの事だ。今日も試合があったんだよ」
彡(゚)(゚)「あ、すっかり忘れとったわ。原住民や藤浪頑張ってるかなぁ。日本何処まで行ったんですか?」
( ・`ω・´)「最終予選で韓国に敗けた所だ。でも決勝ラウンドに進める事はもう決まっていたから、敗けた事自体は大丈夫だよ」
彡(゚)(゚)「へえ、日本は決勝行けるんか。良かった」
200:
( ・`ω・´)「ただ、今日先発した田中が肘の痛みを訴えて途中降板したんだ。病院に向かったと報道されている。場合によっては追加招集もあり得るとの事だ」
彡(゚)(゚)「えっ、マーが怪我したんか?!大事な先発が離脱とか日本あかんやんけ」
( ・`ω・´)「うむ。敗けた事よりそっちの方が大変かもな。……おや、電話だ。もしもし」
彡(゚)(゚)「決勝ラウンドは……韓国やアメリカ、キューバ、ドミニカが出て来るのか。1試合も楽そうな所が無いやん。(マーがいないのは)いかんでしょ」
201:
彡(゚)(゚)「先発の柱ってダル、マー、マエケンやったな。他にもう一枚良い先発がおったらなぁ。WBCって追加招集がありましたよね」
香田「ああ。俺なら第二先発の岩隈辺りをそのまま回して、中継ぎの誰かを招集するかな」
平田「小久保監督の事や、先発を呼ぶかも分からんで。今国内に居るのだと……」
彡(゚)(゚)「ま、ワイには関係無いか……。そろそろグラウンド行って来ますね」
202:
( ・`ω・´);「えっ。な、何ですって?!」
( ・`ω・´)「は、はい。分かりました。ただちに準備させます。失礼します。やきう民、ちょっと待て!」
彡(゚)(゚)「何や?」
( ・`ω・´)「たった今球団に連絡があったそうだ。離脱した田中将大の代わりに……やきう民、お前を日本代表に 追 加 招 集 したいと」
彡(゚)(゚)「えっ」
203:
〜数日後
彡(゚)(゚)「そんな訳で急遽アメリカに来たで。小久保は何処や? Excuse me, sir. I'm looking for a guy that the Japanese tax dodger. He's name Datsu-Zeye.」
ジーター「あそこやで」
彡(゚)(゚)「サンキュージップ」
小久保「お、いたいた。こっちやで〜」
彡(^)(^)「何呑気に手振ってんねん(こんちはっす)」
204:
小久保「田中の状態だけど、やっぱりあかんかった。僕が壊した事になっててヤンカスが発狂しとる」
彡(゚)(゚)「監督、追加招集がワイで良かったんですか?第二先発から岩隈とか回せばええし、中継ぎを呼ぶのかと思ってました」
小久保「確かにそうなんやけどね。中継ぎ調整させている投手がみんな絶好調なんや。下手に先発に回して調子を崩したらあかんと思ってな」
彡(゚)(゚)「こう云う所は有能なんやな……。ワイには好都合やったが」
205:
Datsu-Zeyeで草
206:
脱税で通ってよかった
208:
(´・ω・`)「こんにちは。ようこそアメリカへ。まさかこんな方法で選ばれて一緒に日本代表チームになれるなんてね」
彡(^)(^)「ワイもびっくりやわ。途中召集なんて一番あり得ない話やからなぁ。でもアメリカに来られて良かったで」
(´・ω・`)「調子はどう?いきなり呼ばれて大丈夫なの?」
彡(゚)(゚)「大丈夫大丈夫、へーきへーき。さっきジーター見つけてテンション上がったわ」
(´・ω・`)「多分現地の実況中継だろうね」
209:
彡(゚)(゚)「そっちこそ調子はどうや?日本代表チームはどんな感じや?」
(´・ω・`)「投手陣は好調だよ。その代わり野手陣が思ったより機能してない感じかな。打点のトップが途中からスタメンの僕だし」
(´・ω・`)「やきう民は何時投げるの?まさか中継ぎじゃないでしょ?」
彡(゚)(゚)「勿論先発や。明日のアメリカ戦はマエケンって聞いたから、きっと準決勝で投げるで。キューバかプエルトリコの勝った方やと思う」
(´・ω・`)「楽しみだね。あと忠告だけど、幾ら本人がいないからって先輩をあだ名や呼び捨てにするのはやめた方が良いと思うよ」
210:
〜アメリカ戦当日
(ザワザワ)
小久保「おいおい、本当かよ」
(´・ω・`)「どうしたんですか?」
小久保「今日のアメリカの先発がシャーザーだって話なんや。最終ラウンドの初戦に持って来るって事は、本気で日本に勝ちに来てるって意味やろ?いきなり大一番や」
(´・ω・`)「ええっ、今日はあのマックス・シャーザーさんが投げるんですか?!」
彡(゚)(゚)「シャーザーって誰?強いんか?」
(´・ω・`)「ええ……(困惑)」
211:
(´・ω・`)「簡単に言うとメジャーのタイトルホルダーだよ。半分がマイナーの選手で構成されているアメリカ投手陣の中では間違いなく一等級と呼べる選手だね」
彡(゚)(゚)「おお、もう……(絶句)。でもこっちだってマエケンが先発やし、原住民も3番ショートでスタメンやろ。いけるいける(適当)」
(´・ω・`)「いや、まぁ……頑張りはするけど、相手はメジャーリーガーだ。油断は出来ない」
彡(゚)(゚)「アメリカチームのメンバー見たけど、知らん名前ばっかやし大丈夫やろ。ライアンもジーターもボンズもおらんかった」
(´・ω・`)「3人ともとっくに引退してるからね。それはさておき、ベストじゃないのはネームバリューだけ。アメリカ代表はここまで無敗で勝ち上がって来たんだよ」
(´・ω・`)「ベースボールの祖国の代表だし、結果を出している事に変わりは無い。本気で掛からないとひねられるのはこっちだ」
212:
〜アメリカ戦本番
実況「これがメジャーの実力!秋山、山田がかすりもせずに連続三振です!」
古田「チッ……タイミング合ってないですねー。やっぱりちょっとフォームに特徴ありますから、見慣れていないと戸惑いがあるのかも知れません」
前田「メジャー風のね。ダイナミックな投げ方しますよね。ウン……」
彡(゚)(゚)「試合始まった直後にヒットメーカーのあの二人がいきなり連続三振か。メジャーリーガーって凄いな(小並感)」
213:
実況「しかし続く3番は好調の原住民!日本としてはこのまま3人では終わらせたくありません」
前田「そうですね。ここでまず一本、二本とね、日本ですから。フフッ」
川?「原ちゃん頑張れ!」
彡(゚)(゚)「ホモリン声でかいな。ワイも応援しよう。でかいの打ったれー!アメリカのピッチャーにお前の凄さを見せてやれ!」
(´・ω・`)「はいはい。……と言っても僕の仕事はそれじゃないけどね」
214:
(´・ω・`)「よし、メジャーリーガーと夢の対決だ。どんなボールを投げるんだろう……」
シャーザー「ヌッ!(ビシッ!)」
彡(゚)(゚)「フォームの最後の一伸びが凄いなぁ。い訳や」
小久保「ああ。見慣れないダイナミックなフォームから150km/hを超える球。さっきはスライダーとチェンジアップも投じていた。そうそう簡単に打たせてくれなさそうやな」
シャーザー「ウッ!(ビシッ!)」
彡(゚)(゚);「ああっ、簡単に追い込まれた!」
215:
(´・ω・`)「よっ(バシッ)」
彡(゚)(゚);「またファールや。原住民でも当てるのが精一杯か」
小久保「いや、わざとやな。シャーザーは奪三振が多いから球数もかさみやすい。投球制限のあるこの大会では粘り打ち作戦が効果的やで」
彡(゚)(゚)「なるほど。原住民はわざと球数を稼いでいたのか。早めに降板させて、試合の後半で勝負しようって事やな」
小久保「ああ。しかも出塁すれば引っ掻き回せる。焦らず慎重に攻めて行けばうちにも勝機はある筈や」
彡(゚)(゚)「……こいつもしかして有能か?」
216:
シャーザー「……(バスッ)」
彡(゚)(゚)「やけに大きく外れたな。まぁこれで原住民はフォアボールや。ええぞええぞ!」
小久保「よーしよし……行けたら行けのサインや」
彡(゚)(゚);「(アカン)」
藤浪「中田さーん。そろそろ打たないと杉谷さんに笑われますよwwww」
中田「……」
217:
(´・ω・`)「リード、リード……」
シャーザー「ヌッ(ピシッ)」
(´・ω・`)「牽制も無しに変化球から入った……。きっと4番打者の中田さんに集中しているんだ。盗塁出来るかな」
シャーザー「…………………………………………」
(´・ω・`)「あれっ?!(ダッ)」
彡(゚)(゚);「?!」
218:
シャーザー「おっ大丈夫か大丈夫か(ケンセイー)」
(´・ω・`)「しまった!」
彡(゚)(゚);「ファッ?!何あっさり誘い出されとんねん!ボール長く持ってただけやぞ!」
彡(゚)(゚);「ああっ、アウトや……」
シャーザー「そら(走る気満々やったら)そう(刺す)よ(ニヤニヤ)」
(´・ω・`)「油断した……。あんなに長くボールを持つとは予想外だったよ。こんなミスは何時以来だろう」
小久保「焦るな。小さな積み重ねが試合終盤に効いて来る。お前の足に懸けるもっと重要な場面がまた来る筈やから、みんなも積極的に次の塁を狙えよ!」
219:

彡(゚)(゚);「アカン……三塁にすら進めん。何やこの淡々とした試合は」
彡(゚)(゚)「日本はひたすら打席とベンチを往復する三振の嵐。粘り打ち攻撃が功を奏してシャーザーは降板したけど、後の中継ぎ投手も付け入る隙が無いな。もう7回や」
小久保「こうなって来ると一発のある向こうの打者が怖いな。何とか先制点を取っておかないと、日本は圧倒的に不利だぞ(他人事)」
彡(゚)(゚)「これがアメリカの野球か。日本の一流バッターがこんなにも苦戦するとはたまげたなぁ」
220:
(´・ω・`)「フン!(カキーン)」
実況「打ち上げました!高々と打ち上げて……足が止まります」
古田「チッ」
彡(゚)(゚);「これは平凡なライトフライや。原住民でも打てないのか……」
小久保「ん?」
221:
(´・ω・`)「(シャカシャカシャカ)」
実況「……捕りました。スリーアウト。日本はこの回も無得点で終了です。あーしかし原住民はアウトにはなりましたが、二塁辺りまで全力疾走していました」
前田「良い姿勢ですね。何でもね。エラーがあるかも分かりませんから」
古田「はぁ……(溜息)」
222:
(´・ω・`)「……(ベンチニモドリー)」
川?「原ちゃん!よう走ったね」
(´・ω・`)「え?あぁ、もしかしたらと思って……」
川?「ええんやで。野球に絶対は無いから、エラーでも何でもホームを目指す姿勢で。ナイスラン、ナイスラン!」
彡(゚)(゚);「うーん……ホモリンが盛り上げてくれてるけど、全然点取れそうになくてベンチのムードが重い。声を出しても無理矢理なのが丸分かりや」
彡(゚)(゚);「これってもしかしてワイ投げないまま大会が終わる可能性もあるんか?」
223:
彡(゚)(゚);「うわぁ、今度は則本が1アウト一、三塁のピンチや。やめてくれよ(絶望)」
(´・ω・`)「則本さん!良いボールは行ってるのでもうボール一個分の低めを意識しましょう。パワーのある選手に高めの力勝負は禁物です(ヒソヒソ)」
則本「一理ある(ヒソヒソ)」
(´・ω・`)「それにアメリカも慎重になってるから、追い込まれるまでは低めを捨てて来ると思います。逆に追い込めば慌ててボール球を振ってくれるかも(ヒソヒソ)」
(´・ω・`)「とにかくここビシッと抑えましょう。ワンダン、ワンダン!」
中田「ここ絶対抑えるぞ。みんなで抑えよう。次の回に俺がホームラン打ってやるから頑張れ!」
藤浪「ダメッスヨwwwwワラワセタラwwwwwww」
224:
コッチマン「フン!(カキーン!)」
実況「打球は二遊間、抜けるか――」
(´・ω・`)「抜かせない!(ビシッ)」
彡(゚)(゚);「と、捕った!ゲッツーや!」
(´・ω・`)「(いや、こっちだ!)(ビュッ)」
彡(゚)(゚);「ファッ?!何でホームに投げるんや!」
中村「いいよ、来いよ!(ドンッ!)」
225:
ボブ・デービッドソン「アウトやで(ニッコリ)」
実況「アウトだー!判定はアウトです!これでツーアウト一、二塁!!古田さん!原住民はセカンドゲッツーでは無くホームでのアウトを選択しました!」
古田「ですね!これは凄い判断ですよ!三塁ランナーが一瞬止まったんですけど、ピッチャーゴロで。原住民選手は多分それを見てましたね」
前田「ランナーがコリジョンルールを狙ったんですかね、ちょっと強引にスタートしましたよね」
226:
実況「セカンドゲッツーと云う選択肢を、敢えて選ばなかったと」
前田「あの〜〜〜これはですねぇ。一塁ランナーがぁ……」
古田「ランエンドヒットでしたし、変化球でしたからね。ゲッツーは崩されますね多分」
小久保「かくかくしかじかでゲッツーを狙わなかったんや。原住民はランナーの動きをきちんと読んでいたな」
彡(゚)(゚)「な、成程。原住民はピンチでも凄い集中力やな……。助かったで!」
227:

(o'ω'n)「……」
テレビの中の人『この回を原住民の好判断もあり無失点に凌ぐと、続く8回、先頭の中田が大会第1号のソロホームラン。日本はこの試合初の得点を奪います』
テレビの中の人『そして9回。原住民の意表を突いたセーフティバントが悪送球を誘い、貴重な追加点を挙げます。最後はクローザーの大谷が三者凡退で締めました』
(o'ω'n)「日本代表勝ったおん……(ピ)」
228:
彡(^)(^)「あ、もしもし!おんちゃん?ワイや!日本勝ったで!テレビ見たか?めっちゃ緊張したけど勝ったわ!日本、アメリカに勝ったで!」
(o'ω'n)「……おめでとうだおん」
彡(^)(^)「次の試合はワイが投げる予定やから!テレビ見てや!絶対勝って決勝行って優勝して来るやで!」
(o'ω'n)「……おんちゃん怒ってる事があるおん」
彡(゚)(゚)「ん?」
230:
(o'ω'n)「代表に招集されたとかアメリカに呼ばれたとか、おんちゃんそんな事聞いてなかったおん。やきう民が招集されたって、昨日テレビ見て初めて知ったおん」
彡(゚)(゚);「あ、あれ?せやったっけ……。すまん、急いでて忘れてたかも(適当)」
(o'ω'n)「やれやれ……。まぁ、周りの事も忘れて野球に取り組む所が気に入ってるおん。次の試合も応援するから頑張るおん」
彡(^)(^);「ありがとう。おわびに金メダル持って帰るからな」
(o'ω'n)「当たり前だおん。手ぶらで帰ったらどうなるか……(ミシミシ)」
彡()();「ヒエッ」
231:
〜キューバ戦当日
彡(`)(´)「うりゃあああああ!!!(バシーン!)」
セペダ「(スカッ)」
彡(`)(´)「おりゃあああああ!!!(ギュイーン!)」
デスパイネ「(スカッ)」
彡(`)(´)「うおおおおおお!!!(ズバーン!!)」
グリエル「(スカッ)」
232:
( ・`ω・´)「オープン戦も快調だ……。そう云えば今日は日本対キューバの試合だったかな。やきう民が投げる予定だった気がするが、もう試合は終わったか?」
平田「あぁ、そうでしたね。えーと……(ポチポチ)」
平田「良かった。日本勝ちましたよ。4-0です」
( ・`ω・´)「おお、完封とは素晴らしい」
平田「やきう民は……7イニング投げて奪三振11、2安打にねじ伏せたそうです」
233:
〜翌日
(´・ω・`)「あ、おはよう。ごはん一緒に良い?」
彡(^)(^)「ええんやで(ニッコリ)」
(´・ω・`)「ニュースは見た?日本快勝もそうだけどやきう民が凄い事になってたよ(モグモグ)」
彡(゚)(゚)「何がや?(モグモグ)」
(´・ω・`)「昨日のキューバ戦のピッチングだよ。7回投げて2安打11奪三振の快挙を、日本はおろかアメリカのメディアも取り上げてた。"メジャー関係者も興味"だってさ」
234:
彡(゚)(゚)「昨日はたまたま調子良かっただけやで……。メジャーのスカウトは前からワイの所に来てるが、そんな大事になってたんか」
(´・ω・`)「えっ、スカウト来てたの?!」
彡(゚)(゚)「せや。実は高校の時からもな。『君が投げるファストボールはメジャー300勝投手に匹敵するだろう(意訳)』って話もあったで。まぁ断ったけど」
(´・ω・`)「そうだったんだ。メジャーからの誘い……羨ましいなぁ」
235:
彡(゚)(゚)「ほーん。原住民はメジャーに行きたいんか(モグモグ)」
(´・ω・`)「うん。昔からの夢だったんだ。実際スカウトに見て貰った事もあるし、チャンスがあったら行き"たかった"な(モグモグ)」
彡(゚)(゚)「このWBCがええアピールの舞台やん。1年目から正遊撃手で3割打ったんやし、遠慮せず、ポスティングとかで行ったらええやんけ」
(´・ω・`)「……無理だよ。行かない。僕にはメジャーで活躍する力なんて無いからね」
彡(゚)(゚)「えっ?」
236:
(´・ω・`)「リトルやシニアで一緒に野球をやってた事は覚えてるでしょ」
彡(゚)(゚)「あぁ。原住民は凡退する所なんて見た事無いくらい打ちまくってたな」
(´・ω・`)「でも高校に行ったらそうでも無くなった。僕の高校通算打率は5割だ」
彡(゚)(゚)「充分やろ」
(´・ω・`)「それから大学に行った。通算打率は3割後半に収まった。そして今はプロにいるけど、もう3割ちょっとしか打てない」
237:
(´・ω・`)「周りのレベルが上がれば上がるだけ、僕は打てなくなるんだ。次にメジャーに挑戦したとしても、2割しか打てずマイナーどまりになる事は明白だ」
彡(゚)(゚)「そんなん行ってみないと分からんやろ。自分を過小評価しすぎや。プロで3割打てるのって凄い事なんやで。きっとメジャーでも3割打てる筈や」
(´・ω・`)「自分の事だから分かるんだよ。現にこないだのアメリカ戦でもノーヒット。打てる気がしなかった。だからメジャーは諦めたんだ。日本で頑張るよ」
彡(゚)(゚)「……」
238:
〜決勝、韓国戦当日
(´・ω・`)「さぁ、いよいよ決勝戦。相手はやっぱり韓国だ。先発はあの柳賢振さんか」
彡(゚)(゚)「こっちもダルが先発やから両チームともメジャーの先発どうしやな。まぁ予選ラウンドとはまた別やし今回は楽勝やろ(適当)」
(´・ω・`)「最高峰の舞台で投げる投手が先発するんだ。前よりもっとレベルは上だよ。とにかく頑張らなきゃ」
239:

小久保「よし、初回から1アウト二塁で原住民や。最低でも進塁打を狙って欲しいが、打ちやすければ引っ張っても構わんで(サインダシー)」
(´・ω・`)「どっちだよ(おかのした)」
柳賢振「ほっ(バシーン!)」
(´・ω・`)「慎重に見て行かないとね(ミオクリー)」
柳賢振「よっ(ズバーン!)」
(´・ω・`)「(ミオクリー)」
240:
(´・ω・`)「コントロール良いな。流石はメジャーリーガーだ……。でも何とかチャンスをものにしないと。ここまでの2球はインコース。バッテリーは進塁打を嫌がっているな」
柳賢振「それっ!(ビュッ)」
(´・ω・`)「決めに来るなら次もインコース、恐らく低めの変化球ーー(ズバン!)」
(´・ω・`)「あっ!」
実況「外角低めいっぱい、ズバッと決まって見逃し三振!原住民、これには手が出ないか!」
彡(゚)(゚)「あーあ、歩かせても良い状況で甘いコースには来ないのにスイングさえせんかった。初見でいきなり打てる訳無いのになぁ」
241:

小久保「よっしゃ、今度は1アウト満塁で原住民や。ガツンと打って先制点を取ってくれよ」
(´・ω・`)「さっきは強気なリードにやられたな……。読み打ちはリスクが高いか。こうなったら何とかバットに当てて転がさなきゃ!(カキッ!)」
(´・ω・`)「しまった!」
実況「初球、原住民打たされた!やや球威に押されてショート真正面!」
姜正浩「アハハ!」
李大浩「アハハ!」
実況「ゲッツー!原住民、またしてもチャンスで結果を残せません!簡単に打たされました!」
彡(゚)(゚)「今度は低めの難しい球を初球から引っ掛けた。満塁で相手バッテリーを追い込んでるのに何であんなの振るかなぁ」
242:
小久保「折角の満塁のチャンスがゲッツーになってしまったか……」
(´・ω・`)「すいません……」
川?「どんまい、どんまい!」
彡(゚)(゚)「ほい、グローブ。今日は調子悪いんか?状況を読めてない三球三振にゲッツーとは珍しいな」
(´・ω・`)「やっぱりメジャーリーガーからはそうそう打てないよ……。とにかく、終わった事は仕方無い。次こそは出来る事をやって得点に繋げないとね」
彡(゚)(゚)「……」
243:
姜正浩「フンッ!(バキャーン!)」
ダル「あっ(察し)」
実況「大きい当たり!センター柳田はもう見上げるだけーっ!姜正浩の打球は、バックスクリーンへ、一直線だー!韓国見事な先制アーチを掛けました!1-0!」
古田「クッソ……」
小久保「とうとう先制を許してしまったか。まぁ、ソロホームランならまだ傷口は浅い」
(´・ω・`)「す、凄い。ダルビッシュさんからバックスクリーンに放り込むなんて……」
244:
実況「最後はスライダーで三振!ダルビッシュ、後続は冷静に断ちました。しかしこの回、姜正浩にホームランが出まして韓国が先制しています!」
国際大会特有のCM前挿入BGM「ディエ〜ッwwwww」
小久保「よーし、打たれたのはまだ1本だけや。ズルズル行かなかったのは流石やで、ダル。ええかみんな、打たれたら打ち返してやれ!」
藤浪「中田さんwwwwwこないだみたいに決め台詞言って一発打って下さいよwwwwwww」
中田「……」
彡(゚)(゚)「まずは韓国が1点か。早く取り戻して逆転せんとな」
245:
(´・ω・`)「ふぅ。1点取られちゃったね。……やっぱりメジャーリーガーは凄いよ、あんな打球を飛ばせるんだもん」
彡(゚)(゚)「ん?」
(´・ω・`)「合宿の時、練習で何打席かダルビッシュさんに投げて貰った事があるんだ。僕は殆ど打てなかったんだけど」
(´・ω・`)「ダルビッシュさんだって凄いし、打てる姜正浩さんも凄い。あんな人達がメジャーに行くんだなって思わされたよ。それくらい凄いバッティングだった」
246:
彡(゚)(゚)「かもな。お前がメジャー級内野手なら今頃3点くらい入ってたしな」
(´・ω・`)「うーん……言い返しにくいね」
彡(゚)(゚)「そらそうよ、お前だけで残塁4つやぞ。このままなら戦犯待ったなしや」
(´・ω・`)「えっ」
247:
彡(゚)(゚)「今朝自分で話した事覚えてるか?お前は『周りのレベルが上がると打てなくなる』って言い訳してたよな」
彡(゚)(゚)「つまり原住民は、柳賢振がメジャーリーガーやから打てないって決め付けて打席に立ってるんや。そうやって打つ気が無いせいで……」
(´・ω・`)「ち、違うよ!打つ気が無い訳じゃない。僕はただ今の自分じゃ無理だって感じただけなんだ」
小久保「お、何や何や」
248:
(´・ω・`)「野球はチームスポーツだから、出来もしない事を自分の我儘でやろうとすればチームに迷惑を掛けてしまうんだよ」
(´・ω・`)「だから別に打つ気が無かった訳じゃなくて、今の自分に出来るベストを尽くそうとしただけ。今日の三振とゲッツーは結果論だよ」
彡(゚)(゚)#「じゃあ次に2アウト満塁で回って来たらどうするんや!打てないって決め付けてバントするんか?!誰よりも早く諦める奴の方が迷惑やろ!ダメ元でも振れや!」
(´・ω・`)「打てもしないのにホームラン狙いの身勝手なスイングでただ三振するよりマシだよ!出来ない事をやろうとする方がよっぽど迷惑じゃないか!」
彡(゚)(゚)#「それで負けたらお前はどうするつもりや!負けたのは結果論だって言うんか?!ベストを尽くしたって芸術点は入らないんやで!」
(´・ω・`)「やけを起こしたって結局何も出来なきゃ同じでしょ?!」
249:
岩隈「やめろ、やめろ。どうした?」
川?「二人とも落ち着け。応援しようぜ」
(´・ω・`)彡(゚)(゚);「す、すみません……」
川?「二人とも言ってる事は合ってるよ。俺は二人とも正しい事言ったと思うぜ」
彡(゚)(゚)(´・ω・`)「川?さん」
250:
川?「やきう民。出来るか分からなくても奇跡を信じて挑戦する気持ちは確かに大事だ。けどな、奇跡に頼るのは弱者がやる事なんだよ。自分を諦めたから奇跡を信じるんだろ?」
彡(゚)(゚)「い、言われてみれば……」
川?「ここにいる選手はみんな強いプレーヤーじゃないか。強いプレーヤーは、自分がやって来た事に絶対的な自信があるから奇跡になんて頼らない」
川?「イチローさんはそうやって奇跡に頼らず、自分を信じて積み重ねた。だから世界一のプレーヤーになったんだ。ダメ元なんて言うな、"出来る"と言える自分になれ」
彡(゚)(゚)「……はい!」
252:
川?「原住民。お前が言った様に、ダメ元になったり、自暴自棄になったりせず、冷静に自分の器を知る事は確かに大事だ。けど、自分を限定するのだけは絶対にダメだ」
川?「俺達は何かを起こす為にグラウンドに立つんだ。たった1%でも良い。出来る可能性があるから全力でチャレンジしてる。だって野球に絶対なんて無いだろ?」
(´・ω・`)「……!」
川?「イチローさんはそうやって最後まで諦めなかったから、あの世界一のヒットを打ったんだ。お前も世界一のヒット狙ってみろ。今出来なかった事は、次こそ出来る事なんだぜ」
(´・ω・`)「川?さん……はい!僕、もう諦めません!」
254:
筒香「うおおっ!(カキーン!)」
彡(゚)(゚)「あ!打った!」
実況「良い当たりだ!粘った筒香、10球目を右中間へ打ち返した!日本はこの試合初の長打になりそうです!」
古田「よーしよし!チャンスチャンス!」
中田「走れ、走れ!」
藤浪「あれ?中田さん何時の間にアウトになってたんですか?」
中田「……」
256:
筒香「うっ?!(ズキッ)」
実況「あっと、これは?!筒香が一塁を回る辺りで……足をひきずって止まってしまいました。これはどうしましたでしょう」
(´・ω・`)「足を引きずって……筒香さん、もしかして怪我をしてしまったのかな。攣っただけとかなら良いんだけど……」
彡(゚)(゚)「どっかで見た様な気がするなぁ」
実況「ああっ、トレーナーはNGのジェスチャーです。どうやら筒香は走塁の際に脚を負傷した様ですね……」
彡(゚)(゚);「うわっ、5番のツッツは交替か。うせやろ……」
257:
小久保「こんな時に大事な主軸が怪我をするなんて運が無い。ランナー交替や。ムネ、行けるか」
彡(゚)(゚)「えっ」
筒香「すいません、俺二塁に行けたのに……」
川?「泣くな、今まで沢山打って走って頑張っただろ。お前が行けなかった二塁、いや、ホームは俺が踏んでやる。絶対勝つから、後は俺達に任せろよ」
(´・ω・`)「川?さん、何てかっこいいんだ……(恍惚)」
258:
彡(゚)(゚);「か、監督、何でムネリンが代走なんや? 角中も中村晃もおるのに」
小久保「何が?」
彡(゚)(゚);「ツッツ今日はレフトやで」
小久保「あ、そっかぁ」
彡()();「」
小久保「う〜ん……、次の守備どうしよう。まだ中盤であんまり選手使いたくないからなぁ。無難に翔がレフトかなぁ」
(´・ω・`)「監督、僕がレフトをやります!」
259:
彡(゚)(゚)「ファッ?!お前内野手やろ!」
(´・ω・`)「中田さん確か膝の具合が余り良くなかったですよね。だったら僕がレフトに回って、守備の上手い川?さんがショートに入るのがベストだと思います」
(´・ω・`)「それに角中さん達にも、この後に左右の切り札として必ず出番が来ると思います。僕がレフトを守れば、ここぞの場面で行ける筈です」
小久保「確かにそうだが……外野は守れるのか?今日は風が強くて難しいぞ」
(´・ω・`)「それでもやります。選手の数は限られていますから。出来ないって簡単に言いたくないんです」
彡(゚)(゚)「原住民……」
261:
柳賢振「フンッ!(ビシッ)」
川?「……(ハシルフリー)」
彡(゚)(゚);「出た!ホモ特有のステップ!これはピッチャー気にするやろなぁ」
柳賢振「よっ!(ソワソワ)」
柳田「よっしゃ、甘い球じゃ!(カキーン!)」
(´・ω・`)「相手を攪乱して難無く同点に追い付いた!筒香さんの思いを背負って、何てかっこいいんだ……!(恍惚)」
彡(゚)(゚)「よし!これで同点、試合は振り出しや!」
262:
〜9回表 韓1-1日
彡(゚)(゚);「ああ、あかん、同点のまま2アウト満塁の大ピンチや!ここで勝ち越されると実質敗けやで!菅野頑張れ!」
李大浩「フンッ!(カキーン!)」
実況「痛烈!!李大浩の打球はレフトへ!!」
菅野「負け運って何?」
彡(゚)(゚);「うわあああああ!原住民!」
263:
(´・ω・`)「き、来た!もっと下がらなきゃ!」
実況「大きな当たりだ!レフト原住民下がる!まだ下がる!フェンスが近い!」
古田「捕れ。捕れ捕れ捕れ捕れ……」
(´・ω・`)「この体勢じゃ――いや、ショート後方の中途半端なフライと角度は似ている!出来る筈だ!」
(´・ω・`)「ええい!!(バッ)(ドカッ)」
彡(゚)(゚);「?!」
(´・ω・`)「……!」
264:
彡(゚)(゚);「と、捕った!」
実況「捕った!!捕りました!!原住民が捕りましたーーー!!2アウト満塁、抜ければ2点3点と云う9回表!値千金のスーパープレーが飛び出した!!」
古田「ああ^〜良かった!これで同点のまま9回裏ですよ!いやー助かった!」
実況「慣れない外野守備で、最後は飛び上がって、ぶつかって、それでもボールを手放さない!!原住民!ガッツポーズが飛び出した!」
前田「普通の外野手ならクッションを処理する打球ですね、危険ですから。慣れない外野守備だったのが、ね。日本としては幸いでしたね」
265:
実況「良く捕ってくれました原住民!あーそして李大浩ですが、これはちょっと勘弁してくれという苦笑いを浮かべております!手応えは充分だったでしょうか!」
古田「本当だったら李大浩選手がガッツポーズしていた筈ですからね。これは捕った原住民選手が凄かったですよ。打ちも打ったり、捕りも捕ったり。二人ともあっぱれですね」
川?「原ちゃん!ようやったで!」
(´・ω・`)「川?さん!僕やりました!出来ました!」
彡(゚)(゚);「だ、大丈夫か?思いっきりフェンスに当たったで」
(´・ω・`)「平気平気。この後に大事な打席が回るんだ。痛いなんて言っていられないよ」
266:
実況「さぁ興奮冷めやらぬまま同点で迎える9回の裏!これから日本の攻撃、秋山、山田、原住民と繋がって行く打線。ベンチの前には円陣が出来ています!」
古田「オーシ頼むぞ。打ってくれよ……」
前田「頑張って欲しいですね(小並感)」
小久保「みんな、ここまでよう頑張ったな。世界一が目の前に来たんや。さっきの守備、俺達は何かとてつもないツキを持っていると感じた。この回で決めて世界一を獲りに行こうぜ!」
(´・ω・`)「「「「オオッ!!」」」」
267:
呉昇桓「うりゃあああ!!(ドゴーン!)」
秋山「」
山田「」
古田「チッ」
実況「三振!二者連続三振!もう打たれる訳には行かない最終回、同点で韓国が持って来ましたのは元阪神、そしてメジャーリーガーの呉昇桓!何と言う威圧感でしょう!」
268:
実況「我々にはもうお馴染みの選手でありますが、今日は韓国代表であります!鬼気迫るピッチングで全く付け入る隙を与えません!」
小久保「うちのヒットメーカーが手も足も出ないなんて。何とか彼を打ち崩す方法は無いか?元チームメイトやろ?」
藤浪「絶好調な時はお祈りするしかありませんね(投げやり)」
(´・ω・`)「いや……諦めちゃダメだ。打てないボールなんて無い。直球に強い僕が打つんだ!」
269:
実況「さぁ2アウトランナー無しで3番原住民をこれから打席に迎えます。先程大ファインプレーがありました」
古田「代打無しかよ……(小声)。決勝ラウンドに来てからヒット1本しか打ってないし、内容も良くないんですよね。ピッチャー代わりましたけど、どうですかね(懐疑)」
前田「さっき守備でチームを助けましたからね。あの……ラッキーボーイに……なるかも分かりませんね。期待しましょう」
(´・ω・`)「(ブンブン)」
彡(゚)(゚);「頼むぞ原住民!お前の底力を見せてやれ!」
270:
呉昇桓「(ゴゴゴゴゴゴ)」
(´・ω・`)「な、何て威圧感なんだ……。これが呉昇桓さんの気迫!」
呉昇桓「フンッ!(グワッ!)」
(´・ω・`)「けど、僕はもう逃げないぞ!(ブルン!)」
呉昇桓「うりゃっ!(グオッ!)」
(´・ω・`)「!(ブルン!)」
古田「当たんねえだろ……(半ギレ)。タイミング合ってないですね。スイングが強引になっています(冷静)」
272:
(´・ω・`)「……そうだ、奇跡を信じて無茶苦茶に振り回しちゃダメだ。川?さんの言葉を思い出せ。一度打席を外して冷静になろう」
(´・ω・`)「僕の武器はバットコントロール。内外を自在に捌き、ジャストミートして広角に打ち分けるのが得意だ。ホームランはその延長に過ぎない(ダセキハイリー)」
呉昇桓「うおおおおっ!!(ゴウッ!)」
(´・ω・`)「遅れても良い、まずは合わせよう!(カキッ)」
実況「ファール、ファールです。今のが最の158km/hですが原住民合わせました」
(´・ω・`)「……よし、当たるぞ。きちんと捉えればおのずと打球は飛んで行く。次の中田さんなら長打があるし、無理にホームランを狙わなくても大丈夫だ」
273:
(´・ω・`)「……思えば僕はずっと逃げていたんだ。高卒でプロに行かず大学に行ったのも、三度の甲子園で一度も優勝出来なかった自分の野球に自信が無かったからだ」
(´・ω・`)「じゃあ。もう終わりにしよう。びびって小さなバッティングをしたり、無茶なスイングで奇跡を信じたりするのはやめだ。最高の一打で突破口を開くぞ!」
呉昇桓「打たせやせんで!(グワッ!)」
(´・ω・`)「タイミングを合わせて真芯を食う――ここだ!(カキーン!)」
彡(゚)(゚);「あっ!」
実況「打ったーーー!!ライト頭上!ライト後方!まだ伸びる!」
古田「行った!!行け!!」
彡(゚)(゚);「サヨナラや!入れ!入れ!」
(´・ω・`)「行けーっ!」
274:
ボール「アハハ!」
フェンス「アハハ!」
古田「あっ……あれ?」
実況「いや、これは?!打球が弾んでグラウンドへ戻りました!ライトの秋信守が素早く処理して中継へ!原住民はその間に二塁に到達しています」
前田「あー……。ホームランじゃないんですね。フェンスダイレクトだったんですかね……」
275:
実況「小久保監督が抗議に出まして、リプレイ映像が流れていますが……あ^〜そうですね。フェンスの一番上に当たったと云う判定。記録はツーベースヒットとなっております!」
古田「うわぁ〜マジかよwwwいやでも良いバッティングでしたね。外の一杯のボールだったんですけど、あのコースを捌くには一番良いスイングでしたよ」
(´・ω・`)「惜しかったな。あと少しだったのに……。もし油断して走ってなかったら大目玉だったよ」
彡(゚)(゚);「フェンスダイレクトか!ホームランでサヨナラかと思ってしまったわ。しかし良くスンファン打ったな」
小久保「よう打った!原住民!よう打ったぞ!」
276:
実況「さあ原住民のツーベースヒットで球場のムードがガラッと変わりました!サヨナラホームランと勘違いしたお客さんがまだ立ち上がったまま、ざわめきが波の様に響いています!」
古田「ホームランにはなりませんでしたけど、二塁行きましたから。間違いなくサヨナラのチャンスですよ。ここで一本出ればね、こりゃもう最高なんですけど」
前田「そうですね。次の中田選手にね。期待して……。ただ敬遠かも知れませんね」
彡(゚)(゚);「惜しくもサヨナラ弾は逃したがなお2アウト二塁、サヨナラの大チャンスや!ホンマにこの回で決まるかもわからんで……!(ドキドキ)」
277:
実況「あっ、ここでキャッチャーが立ち上がりましたね。どうやら4番の中田は敬遠する様です」
前田「同点の9回裏、2アウトで、長打のある4番、次が途中出場の川?選手ですから。まぁ当然の判断ですよね」
古田「韓国の守りとしては、外野を前進させるでしょうね。もし打たれても単打なら絶対にホームは阻止すると。中田選手よりは確かに守りやすいと思いますよ」
藤浪「強打者ですよ、強打者!w」
中田「……」
278:
彡(゚)(゚)「監督、次はホモリンや。代打は?」
小久保「筒香が下がって、さっき晃、平田、角中を代打に使った。これ以上代えると内野も外野も守備が心配だから。代打、なし!w」
彡()();「」
小久保「ムネ、お前に任せるぞ」
川?「はい!」
(´・ω・`)「か、川?さん!」
279:
川?「原住民、お前の脚に懸けるぞ!もし外野に抜けたら一気に走ってくれ!」
(´・ω・`)「はい!」
川?「悠岐、俺が出れば満塁でお前だ。その時は任せたぞ!」
柳田「かしこまり!」
彡(゚)(゚);「せっかくサヨナラのチャンスや。何とか繋いでくれ……」
280:
実況「さぁ2アウト一、二塁、サヨナラの大チャンス!バッターは途中出場の5番川?に回りました!」
前田「代打は無いですね。ここですよ」
実況「ベンチは総立ちで声を張り上げております!小久保監督ただ一人が、じっと教え子の打席を見つめております!」
彡(゚)(゚);「ずっと控えで、それでも一生懸命にチームを鼓舞し続けた最年長の川?さんがここで打席に立つなんてなぁ……」
実況「繋げば柳田、決めればサヨナラの大一番!魅せてくれ川?!52番よ、その勇姿を世界に魅せてくれ!」
281:

【後編】
彡(゚)(゚)「ワイは今でも川?さんの打席を、あの出来事全てを鮮明に覚えとる。川?さんが放った鋭い打球を投手が弾いた。軌道が変わって、誰もいない三遊間を転々とボールが転がった」
彡(゚)(゚)「原住民は三塁を蹴ってホームに突っ込んだ。セーフだった。意味があるのかも分からない大歓声に包まれた。ワイらはベンチを飛び上がってグラウンドに駆け出した」
彡(゚)(゚)「帰って来たばかりの原住民を捕まえた。イチローの真似をしてヘルメットに触れていた川?さんの所に飛び込んだ。みんなが後ろから飛び込んで来てもみくちゃになった」
彡(゚)(゚)「そう、川?さんの劇的なサヨナラヒット――それを目の前で見たワイは、初めて参加したWBCで世界一になったんや」
282:
彡(゚)(゚)「あれから15年。ワイはまだ忘れられない。世界一のリングを触った時、両手が震えていた。滑り落ちそうなほど震えていた」
彡(゚)(゚)「物凄い試合だった。どちらが勝ってもおかしくない、完全に拮抗した頂上決戦。ワイらは金メダルを手にしたけど、韓国代表のみんなのメダルも金色に輝いて見えた」
彡(゚)(゚)「ワイはたった1試合しか投げなかったけど、まるでフルシーズン戦い抜いた後の様な疲労と感動、そして莫大な経験がそこにあった――」
彡(゚)(゚)「さて、そのWBCで世界一に輝いた2年後、原住民は三冠王を達成した。オフにはポスティングシステムでメジャーリーグへ移籍した」
彡(゚)(゚)「原住民に、これ以上打てないと言い訳をしていた頃の面影は無かった。あんなに自信に満ちた目を見たのは初めてやった」
(´・ω・`)「川?さんと同じチームだけを希望します」
(´・ω・`)「ちょっとストーカーみたいで気持ち悪いと思われるかも知れない」
(´^ω^`)「でもしょうがないですね」
283:
〜8年後、第5回WBC決勝戦後
新聞「日本代表、世界一奪還!」
「メジャーリーガー原住民!エースやきう民!投打の柱で世界一!!」
彡(^)(^)「世界一奪還、か……。成し遂げたぜ。ワイらにとって3回目になる今回のWBCも凄かったな」
(´・ω・`)「うん、各国にマークされた中で頑張ったと思うよ。みんなも頑張った。立役者と報道されるのも悪い気分じゃ無いね」
284:
彡(゚)(゚)「あの大会の事覚えとるか? 第3回、ワイらが初めて参加して優勝した大会や。こんな野球があるんやって思い知らされて、野球観がガラッと変わったで」
(´・ω・`)「うん。僕もだ。メジャーに挑戦する勇気を貰ったのもあの時だった。川?さんの喝は今でも覚えてるよ」
彡(^)(^)「ワイもや。かっこよかったよなぁ」
彡(゚)(゚)「さて、原住民はこれからすぐアメリカに戻ってメジャーの試合に出場するのか。今年はどうや?もうメジャー6年目、そろそろタイトルの一つも取れや」
(´・ω・`)「毎年とんでもない選手が現れるからね。でも楽しいよ。今年こそはという気持ちがモチベーションになってる」
(´・ω・`)「やきう民こそそろそろメジャーにおいでよ。何年も投手タイトル獲ってるんだし、投手四冠もノーノーも達成したなら良い頃合いだと思うけど」
彡(゚)(゚)「メジャーか……」
285:
彡(^)(^)「……いや、ワイは日本で投げるわ。阪神で野球するの楽しいし、それにNPBの将来の為にもな」
彡(゚)(゚)「ワイのムスッコも少年野球始めるって言ってるんや。プロに行ってワイと勝負するとか言っとる。嬉しい事やで。……原住民もはよ結婚せえや」
(´・ω・`)「……」
彡(゚)(゚)「あっ、ふーん……(察し)」
(´・ω・`)「ま、今年もお互いに頑張ろうね。もう中堅からベテランに差し掛かる脂の乗った時期だから」
彡(^)(^)「ああ。働き盛りやもんな。来年のオフにまた会ってメシ食おうや」
286:
〜シーズン開幕
( ・`ω・´)「今日は中日との開幕戦だ。こっちの先発はやきう民だが、中日の史上最年長投手・山本昌との投げ合いで神経をすり減らす様な投手戦になった」
大和「フン!(カキーン)」
( ・`ω・´)「お、やっとランナーが出たな。やきう民、バントだ」
彡(゚)(゚)「了解やで!(コツー)」
平田「よしよし。にしても上手くなったなぁ。昔なんてろくすっぽバットにも当たらなかったのに、今じゃうちで一、二を争うバント名人や」
香田「クイックもフィールディングもGG賞に恥じないレベルになったし、あの直球一本槍のヘタクソがここまで化けるもんですね」
287:
〜シーズン中盤
彡(゚)(゚)「そろそろオールスターや。ワイは11勝1敗防御率2.09の成績で今年も先発投手として選ばれたで。恒例の予告ストレート勝負は今年も盛り上がるかな」
彡(゚)(゚)「挑発行為だってツイッターで粘着されて叩かれる事もあるけど、球場は間違いなく賑わうからなぁ」
彡(^)(^)「ま、ヒールを買うのもワイの役目や。去年大谷にホームラン打たれた時はめっちゃ盛り上がったしな」
288:
〜日本シリーズ
彡(゚)(゚);「うおおおおおっ!!(バシーン!)」
実況「三振ー!!阪神タイガース、遂に連覇を成し遂げました!最後は追い上げられましたが、エースの意地で完投勝利!大歓声の中、マウンドに歓喜の輪が集います!」
彡(^)(^);「やった!頑張った甲斐があったで!日本一や!」
289:
〜シーズンオフ
彡(^)(^)「はー、シーズンも終わってやっと一息付けるわ……。今年は順調、って感じやったな。結果は良かったけどメッチャ疲れた」
彡(゚)(゚)「8年くらい前からずっとこんな感じやなぁ。開幕して、オールスター出て、ポストシーズン頑張って。その間ずっと投げまくりで大変や」
彡(゚)(゚)「しかも今年はWBCとかあって忙しかった。けど、世界一と日本一を同時に達成したし楽しかったわ。来年も頑張ろうっと。ただいまやで〜」
(o'ω'n)「おかえりだおん。今年も一年お疲れ様だったおん。契約はどうだったおん?」
彡(゚)(゚)「新たに3年15億や。責任は増えるけどその分やりがいもあるってもんやで」
290:
彡(゚)(゚)「とりあえずオフはゆっくり休むか。国際大会も無いし、来年からもまた頑張りたいしな」
ミ(')(')「パワプロ買って来たやで!パッパの能力見たろ!」
彡(゚)(゚)「おかえりムスッコ。そうだ、ついでにOBの原住民も見せてくれ」
やきう民
156km/h コンロトールA スタミナA Hスライダー5 カーブ1 サークルチェンジ4 (1GGEBCC)
打たれ強さB ケガしにくさB ノビB クイックB キレ○ 奪三振 リリース○ 球持ち○ 牽制○ 勝ち運 打球反応○
原住民
ABBDBB二遊
チャンスB 対左投手B 盗塁B 走塁B 送球C アベレージヒッター 広角打法 流し打ち ローボールヒッター チャンスメーカー 守備職人 調子安定 満塁男 内野安打○ 選球眼 チームプレー○
ミ(')(')「うーんこの特能お化け。でもパッパ去年より弱くなってるやん」
彡(゚)(゚)「ほんまや。球とスタミナ落とされてるわ」
ミ(')(')「これは引退待ったなしやろなぁ」
彡(゚)(゚)「縁起でも無い事言うなや」
291:
〜某日
彡(゚)(゚)「さて、今日は毎年恒例の原住民と会う日や。1年ぶりやな」
(´・ω・`)「やぁ。こんにちは」
彡(^)(^)「WBC終わって以来一年ぶりやな。CM撮影は上手く行ったか?」
(´・ω・`)「何時も通りだよ。もう慣れちゃったし」
彡(゚)(゚)「ええなぁ。ワイは相変わらず棒読みや。ネットでおもちゃにされてるで」
(´・ω・`)「演技指導しようか?(直球)」
293:
彡(゚)(゚)「せや。原住民、今年は指名打者での出場や欠場そのものが増えたみたいやな。どっか痛めたんか?(ステーキパクー)」
(´・ω・`)「怪我とかは無いよ。でもこの歳になるとフル出場はきつくてね。WBCもあったから。コンディションの事も考えて少し休みを貰っただけ(ステーキパクー)」
彡(゚)(゚)「そうか。そろそろベテランやもんなぁ。ワイも結構しんどかったわ。試合終盤に肩肘に来る様になったし、シーズン終盤なんかヘロヘロやもん」
(´・ω・`)「身体を壊さないようにね。……って言われたって結局投げるんでしょ?"マウンドを愛する投手"なんて呼ばれるくらいなら」
294:
彡(゚)(゚)「そのくっさい呼び名やめて欲しいわ……。それはどこぞの報がごり押しで広めただけやで」
(´・ω・`)「良いじゃない。似合ってるよ」
彡(^)(^)「まぁ投げるのは好きやな。マウンドにいられる喜び、投げられる楽しさ、最後まで投げ抜く感動……。マウンドにいてこその人生や」
(´・ω・`)「分かるよ、その気持ち。どんなに苦しくても野球が出来る喜びが勝ってる。昔から変わってないね」
彡(^)(^)「ああ。野球に出会えた事に感謝してる。今年もタイトル獲ったけど、ワイはそれよりマウンドにいられる方が嬉しいんや。ワイの生き様って言うのかな」
(´・ω・`)「うん。来年も頑張ろうね」
295:
〜翌年、春季キャンプ
彡(゚)(゚)「ようし、オフはしっかり休んで元気になったし、今年も気合い入れて行くで。目標は日本一連覇や!フンッ!(タカメスッポヌケー)」
( ・`ω・´)「おっ、今年もやって来たな。馴染みの光景だ」
( ・`ω・´)「春季キャンプで数カ月ぶりにブルペンに入ると、やきう民がとんでもない所にボールを投げて首を傾げている。また今年も始まるのだな、と思わされるよ」
( ・`ω・´)「何時もの光景、そう、15年間何も変わらない幕開けだ。今年も無事に元気にやってくれ……」
296:
彡(゚)(゚)「フン!(ビシッ)」
彡(゚)(゚)「……今年は何か肘の調子が良くないな。まだ投げ込む数も少ないのに」
彡(゚)(゚)「ええい、そのうち治るわこんなん」
297:
〜オープン戦
彡(゚)(゚)「うおおおおおっ!(ビシ-ッ!)」
彡(゚)(゚)「おりゃあああ!(バシッ!)」
彡(゚)(゚)「フンッ!(ズバーン!)」
彡(゚)(゚)「……やっぱり調子悪いな」
( ・`ω・´)「オープン戦とはいえあっさりと3回5奪三振……一体何処が悪いんだ?絶好調じゃないか。今年も安泰だな」
彡(゚)(゚)「監督はああ言ってるけど、ワイも正直何処がどう悪いとは言えん。ただ去年まではとは何かが違うんや。この肘の違和感は一体何なんやろ」
彡(゚)(゚)「ま、痛い訳じゃ無いし様子見やな」
298:
〜シーズン開幕
( ・`ω・´)「さあいよいよ開幕戦だ!みんな、今年も気合い入れて行けよ!」
彡(゚)(゚)「おっす!今年も頑張るで!」
彡(゚)(゚)「キャンプの頃から感じていた肘の違和感、結局良くならないままやったな。でも今の所痛みは無いから大丈夫そうや。長年やってればこう云う事もあるんやろ(適当)」
299:

彡(゚)(゚);「フン!(ビュン!)」
山田「貰った!(カキーン!)」
彡(゚)(゚);「ああっ!かちのけんり、かちのけんり……」
( ・`ω・´);「な、何て事だ。逆転ホームランを浴びてしまった。失投を完璧に捉えられたか」
( ・`ω・´)「しかし妙だな。今日はやけに肘を気にする様な仕草が目立つ。もしかして何処か悪いのか?」
300:
彡(゚)(゚);「……今のは打たれて当たり前や。肘に妙な痛みが出て来たせいで、ボールに力を伝えられなかった。球威の無い棒球が行ってしまったわ」
彡(゚)(゚);「肘の痛み……。もしかして靭帯とかのやばいやつなのか?とりあえず試合が終わったら診断して貰うか。この試合だけは何とか抑えないと」
香田「……」
彡(゚)(゚);「あ、コーチがブルペンに電話してる。せや、こんな所で降板してたまるか!肘の痛みが何や、完投するんや!うおおおおっ!(バシーン!)」
敷田「ストライク!」
彡(゚)(゚);「よし。せめてこの試合は持ちこたえてくれ……。開幕から負けのピッチングなんて出来ないんや!」
302:
( ・`ω・´)「さっきの回は逆転を許してしまったあのホームランが悔やまれるが、それ以外はまずまずだ。次の回も行けそうか?」
彡(゚)(゚);「勿論です。そろそろキャッチボール始めますね」
香田「監督、ブルペンの用意は出来たそうですよ。何時でもOKです」
( ・`ω・´)「……うーん。本人は行けると言っているしな。出来るだけ長く投げて貰うとするか。出来れば回の頭から代えておきたいが――」
彡(゚)(゚);「あっ?!(ズキッ)」
303:
彡()();「ううっ?!」
( ・`ω・´)「ど、どうしたやきう民!投げようとした瞬間にボールを落とした……だけじゃ無さそうだな」
彡()();「か、監督……すみません、肘が……!」
( ・`ω・´);「肘?!痛めたのか?!」
304:

(´・ω・`)「あ、今日はプロ野球の開幕戦だったな。どうなったんだろう(スマホポチー)」
サンスポ「15年目・やきう民、肘の異常で緊急降板。長期離脱か」
(´・ω・`)「ええっ?!肘の異常って……!」
〜翌日
イッシャ「やはり肘の靭帯、逝ってますね。これはもう手術するしかないでしょう」
彡(゚)(゚);「ファッ?!肘を手術?!」
イッシャ「右肘の靱帯断裂、そう言えば分るでしょう」
彡(゚)(゚);「そ、そんな!ちょっと待ってくれ!一番あかんやつやん!」
305:

( ・`ω・´)「む、やきう民から電話だ。きっと昨日痛めた肘について、医師の診断を受けたのだろう。報告を聞くとしよう」
香田「軽傷で済んでくれれば良いが……。開幕から大怪我は勘弁して欲しいですね」
( ・`ω・´)「もしもし、どうだったんだ?」
彡(゚)(゚)「靱帯断r……」
( ・`ω・´)「な、何だって?はっきり言ってくれ」
306:
彡(゚)(゚)「靭t……」
彡(●●●●●●●●●●●)「……」
( ・`ω・´)「……待て、お前今何処にいるんだ?お、おい。良いか、そこを動くな。迎えに行くからじっとしていなさい」
( ・`ω・´);「何だか消え入りそうな声の弱さだった。嫌な予感がする。ちょっと空けるぞ」
平田「ええ……(困惑)」
307:

( ・`ω・´)「やきう民の右肘の診断結果はやはり重症だった。ローテを1回飛ばすどころの話では無いな。GMに報告しよう」
負広「成程……。靱帯断裂で、手術を受けないと投げる事は出来ない、と。酷い大怪我になってしまったな。今年も元気そうだったのに」
( ・`ω・´)「はい。ベテランの域に達していますが、どうか回復するまで待って頂けませんか。成功すれば元通りの投球が出来る手術です」
負広「2年全休すれば元通りになる……成功すれば。それで治るなら構わないんだが、本当に大丈夫なんだろうね?」
( ・`ω・´)「せ、成功率は高いですが……」
彡(●)(●)「……」
308:
負広「ま、(球団の功労者だし)多少はね?現役続行の意思があるなら待つのが筋だ。そもそも3年15億円の契約1年目だから。是非とも治して復活して貰わないといかんね(プルプル)」
( ・`ω・´)「(不良債権と言わんばかりの顔だ……)」
負広「投手に故障はつきものと、そうは言っても酷い大怪我になってしまったね。2年も投げられず……君も大変だろう」
彡(●)(●)「……」
( ・`ω・´)「私も突然の事で……。つい昨日まで当たり前の様にボールを投げていたので、まだ実感が湧きません。彼もご覧の通り上の空で」
309:
負広「ううむ。とにかく真弓くん、チームにこの事を説明してくれ。こちらも動ける所は動こう。恐らく補強が必要に……」
彡(●)(●)「……」
( ・`ω・´)「……やきう民は実戦復帰におよそ2年掛かる。そう診断された。可哀想に、当分はグラウンドで彼の姿を見る事も無いだろう。私も急な事で整理が付かないぞ」
( ・`ω・´)「ミーティングではすぐにチームにその事を伝えた。投手陣にはチャンスだと発破を掛けたが、少なからず衝撃が広まっていた様だったな」
( ・`ω・´)「事実、一軍の現場では空いた200イニング・15勝をどう埋めるかで頭が一杯だ。どうしたものか」
310:
〜翌日
彡(^)(^)「ふー、おはようさん。今日も良い目覚めや!早日課の……」
(o'ω'n)「?」
彡(゚)(゚)「……そうか。投げられないんやった。練習も出来ないんやったな。」
彡(゚)(゚)「2年……そう、ワイは2年も実戦で投げられないんや。WBCの感動も日本一の熱気も、オールスターもペナントの1試合も、つい昨日の試合もまだ覚えてるのに」
彡(゚)(゚)「三日続けてボールを触らなかった事なんか無かったのに、いきなり2年も試合に出られない。グラウンドにも行けないなんて、何が何だかさっぱりや」
彡(゚)(゚);「?や。本当は明後日からまた調整を始めて、来週神宮に行って先発登板するんや。今日から2年も投げないなんて何かの間違いなんや……」
311:
彡(゚)(゚)「……(ソワソワ)」
(o'ω'n)「鬱陶しいおん。テレビでもつけたら?」
彡(゚)(゚)「す、すまん。真昼間からトレーニングの一つも出来ないと気持ち悪いんや。ちょっと走って来ようかな……。あっでも手術とかリハビリあるからなぁ……」
(o'ω'n)「……」
彡(゚)(゚)「なあおんちゃん、ワイ本当に怪我したんか?昨日ユニ着て甲子園で投げてたんやで」
312:
(o'ω'n)「ちょっと何してるおん!投げちゃ駄目だおん!」
彡(゚)(゚);「な、投げてる訳じゃ……」
(o'ω'n)「投球フォームのチェックも駄目!言われたおん!」
彡(゚)(゚);「いや、腕はこうやって垂らしてるから。体重移動だけや。肘に負担は掛けてないで」
(o'ω'n)「……」
彡(-)(-);「……すまん。スパイク履いてグローブ持って今すぐグラウンドに行きたいんや。じっとソファに座っていられなくて」
彡(゚)(゚);「こんなに一日が長いなんて思った事も無かった」
313:
彡(●)(●)「野球、野球、野球、野球……(テレビポチー)」
テレビ「3球目、これもボール!ボールスリー!川藤さん、今日は先発の藤浪が序盤から制球に苦しんでいますが」
川藤「ですからこれもね。キャッチャーの原口君がもっと……」
彡(●)(●)「ボールが指に掛かりすぎて制球が定まってないだけで寧ろ調子はええ方やろ藤浪ならその内勝手に調節してくれる投げたい投げたい投げたい……」
彡(-)(-)「アカン。テレビ消そう……」
(o'ω'n)「やきう民……」
314:
ミ(')(')「パッパ(3年15億)肘の調子悪いんか?」
彡(゚)(゚)「せや」
ミ(')(')「手術とリハビリでどれくらいや?」
彡(゚)(゚)「2年くらいかな」
ミ(')(')「これは阪神ファンに刺されるかも分からんね」
315:

彡(゚)(゚)「寝られないな……。なぁおんちゃん起きてるか?」
(o'ω'n)「おん?」
彡(゚)(゚)「ワイがちっさい時に、初めて試合のマウンドに登ってから25年くらい経つんや。……25年も投げ続けたんや。野球が無い日なんて一日も無かった」
彡(゚)(゚)「チームは大丈夫やろか。球場に行かなくてええんやろか。調整しなくてええんやろか。突然の事過ぎて納得がいかないんや。何もかも空っぽになってしまった」
彡(゚)(゚)「寝て起きたら肘治ってないかな。夢だと思いたい。夢ならば早く醒めてくれ。ワイにボールとグローブをくれ」
(o'ω'n)「(これ絶対変な宗教とかお薬とかに手出すパターンだおん……。何か別の話をしてあげなきゃ)」
317:
(o'ω'n)「あ、やきう民。実は今日、ムスッコが初めて少年野球に参加したおん。やきう民の事知ってる子が何人かいて、サイン欲しがってたおん」
彡(゚)(゚)「サイン?丁度ええわ、寝られんし今サイン書く(サラサー)」
彡(゚)(゚)「ムスッコが……そうか。少年野球に行ったか。第一歩を踏み出したんやな。そうか、良かったな……」
(o'ω'n)「うん。ムスッコ、二刀流でプロに行くって。パッパと勝負して、ホームラン打って完封するんだって友達に言ってたおん」
彡(^)(^)「面白い事言うなぁ、二刀流か。ワイの打撃力(プロ通算4安打)が遺伝していなければ二刀流だって出来るやろ。ハハハ」
(o'ω'n)「……」
319:
彡(゚)(゚)「ムスッコは本当にプロになりたかったのか。これから先、少年野球を続けられるか、部活に行けるか、無事に育ってくれればええが」
彡(゚)(゚)「……いや、育って貰おう。ワイも頑張る。小さな野球少年に頑張ってるとこ見せてやれば、きっと勇気が付く筈や」
彡(゚)(゚)「ムスッコがプロになるまでワイも現役でいないとあかんね。何時までもうだうだ言ってられんな」
(o'ω'n)「良かった。ちょっぴり元気になったみたいだおん」
320:
〜数週間後
彡(゚)(゚)「さて、今日はこれからトミー・ジョン手術を受ける日や。緊張するな。でも無事に終わる事を信じよう」
彡(゚)(゚)「このまま中途半端な思いで引退するなんてごめんや。何が何でも復活して、もう一度マウンドに帰ってくるで!」
321:
―――
――

〜2年後、春
( ・`ω・´)「……ミラクルを起こしたと言わせるな。本当の力を出し切ればおのずと結果がついて来る。そう云う気持ちで1試合、1打席、1球に全身全霊を掛けて欲しい。以上!」
( ・`ω・´)「猛虎再盛――そう掲げたシーズンがいよいよ近付いて来た。2年連続Bクラスで世間はすっかり黄金期が終わったと言っているが、諦めないぞ」
( ・`ω・´)「まずはキャンプからビシバシ鍛え直して復活を果たして貰わないとな。今日はブルペンを見に行こう。多めに獲った今年の新人投手はどんな選手かな」
322:
( ・`ω・´)「あ、あれは!」
彡(゚)(゚)「(パシーン)」
彡(゚)(゚)「(パシーン)」
彡(゚)(゚)「(パシーン)」
彡(゚)(゚)「そろそろ力入れて行きます。エイッ!(スッポヌケー)」
( ・`ω・´)「……」
( ・`ω・´)「感慨深いな、こうしてやきう民がブルペンで投げているのを見るのは。一昨年怪我で離脱し、去年は春もいなかったから」
( ・`ω・´)「投げるだけなら去年の秋から既に再開しているが、こうして春のキャンプのブルペンに入っているのは1シーズンぶりだ。懐かしい」
324:
彡(^)(^)「肘の具合もバッチェ出来てる。リハビリも調整も順調やし、冬場の投げ込み特訓で球もキレも戻った。今年は復活出来そうや」
彡(゚)(゚)「しかし、新鮮な気分やな。馴染みの阪神のユニ着て、馴染んだチームメイトと一緒に野球やってるのに、気分はまるでルーキーや。2年も空いたからなぁ」
岩崎「フンッ!(バシーン!)」
岡崎「ナイスコース!(シュッ)」
メッセンジャー「この辺にぃ、うまいラーメン屋の屋台、来てるらしいっすよ」
鶴岡「あっ、そっかぁ行きてえなぁ」
彡(゚)(゚)「ああ、グラウンドに戻って来たんや……。2年、長かったな。何か月もボールを握らない日が続いた。手術の後はとてもじゃないが復活出来るとは思えなかった」
彡(^)(^)「それでも頑張って良かった。少しずつ良くなって、寝るのが楽しみになった。投げて良いと言われた時は嬉しかったな。長くて辛かったけど、諦めなくて本当に良かった」
325:
〜一か月後
彡(゚)(゚)「うおおおおっ!(バシーン!)」
彡(゚)(゚)「っしゃー!三者凡退や!」
( ・`ω・´)「良かった……。靭帯断裂、トミー・ジョン手術を経て2年ぶりの実戦登板、1回無失点で無事クリアだ。復活の舞台に向かって大きく前進したな」
デイリー「帰って来たぞやきう民!無失点で光が見えた!」
326:
彡(^)(^)『もしもし!ムスッコ!今日のオープン戦見たか?!』
ミ(')(')「パッパ投げてたの見たで!ワイも今日ヒット打ったんや!鷹娘ちゃんと4番を争ってるんや!」
彡(^)(^)『そうか。凄いなぁ。ムスッコももう6年生やもんな。パッパも頑張るからな』
ミ(')(')「今年は頼むでホンマに。不良債権もええとこや」
彡(゚)(゚)『あっすいません……』
(o'ω'n)「怪我から復帰したやきう民、こうして毎日嬉しそうに電話を入れて来るおん。投げられる喜びのお陰だおん……」
327:
〜1か月後、開幕2カード目、広島戦
( ・`ω・´)「今日はやきう民の2年ぶりの公式戦先発登板だ。靭帯をやられてから本当に長かったな。今日の先発のマウンドはお前に任せたぞ」
彡(゚)(゚)「はい!この日をずっとずっと待ってました!」
( ・`ω・´)「前売券は完売。ファンの人々もお前を心待ちにしていた様だ。言っても無駄かも知れんが、くれぐれも無茶はするなよ」
( ・`ω・´)「よく無事に帰って来たものだ。一時は選手生命も危ぶまれた肘の怪我を乗り越えて、2年ぶりの先発登板。やはりやきう民のマウンドへの情熱は本物だったな」
( ・`ω・´)「勿論結果を出さないと完全復活とは呼べないが、信じよう。彼の熱意を」
328:
(ガヤガヤ)
彡(^)(^)「ああ……この感じ、懐かしいな」
彡(゚)(゚)「渾身の力でボールをミットめがけて放り込むこの感触。何もかもが懐かしいわ。やっぱりこ↑こ↓におるのは最高やな」
( ・`ω・´)「彼がマウンドに立つ姿を見ていると、まるでピッチャーになる為に生まれて来たかの様に見えるよ。頑張れ!」
(o'ω'n)「あの大怪我から頑張って復活したおん。やきう民は本当にマウンドが似合う男だおん……」
彡(゚)(゚)「さあ、プレイボールや!肘の大怪我からの大復活のマウンド!この2年の思いを込めて全力で行くで!」
329:

(ザワザワ)
( ・`ω・´);「そ、そんな……」
C|000|5 | |580
T|001| | |131
彡(゚)(゚);「クッソ、こんな筈じゃ無いんや!(グワッ)」
新井「フン!(カキーン!)」
菊池「6点目!(ザザーッ)」
( ・`ω・´);「3回までは良かったが、この回突如乱れて一挙6失点か。一体どうしたんだ!」
香田「きっと怪我明けでまだ本調子では無かったんですよ。オープン戦も長いイニングは投げませんでしたし……」
330:
( ・`ω・´)「冬場は投げ込みで肩を作り直したと言っていたし、実際に調整は出来ていたと感じられたんだが……仕方が無い、ピッチャー交代だ!」
彡(゚)(゚);「そ、そんな!待ってくれ!ワイはまだ投げられる!ちょっとブランクがあっただけや、すぐに修正する!」
香田「無茶を言うな。それに怪我明けで球数の事もある。今日はもう降板だ」
彡(゚)(゚);「嫌や!折角復活出来たのにこんな終わり方があるか!」
( ・`ω・´)「結局この日のやきう民は4回途中6失点。突如連打を浴びて何も出来ないまま、2年ぶりの復帰登板は残念ながら黒星に終わった……」
331:
〜後日
彡(゚)(゚);「くそったれ!(カキーン!)」
彡(゚)(゚);「何でや!(カキーン!)」
彡(゚)(゚);「あああああ!(グワラゴワガキーン!)」
( ・`ω・´)「ピッチャー交代だ」
彡(゚)(゚);「うう……」
( ・`ω・´);「これで5試合連続炎上、か」
332:
〜翌日
東スポweb「やきう民またもKOで5連敗も『大丈夫』」
ゲンダイ「歪んだマウンド愛の形……完治せず投げて防御率8点やきう民」
( ・`ω・´)「序盤は良いが、打たれ始めると止まらなくなる。やきう民はこんな選手じゃなかった筈だ。まさか肘が完治していないのではあるまいな。直接事情を聞いてみないと」
333:
( ・`ω・´)「やきう民。開幕してもう1か月が経った。お前が復活登板を果たしてから1か月でもある。いや、復活とは言えないな」
( ・`ω・´)「あの日からお前の"突発性炎上病"は一向に治る気配が無い。序盤は元気だが、突然打たれると歯止めが効かなくなる。何故打たれるんだ。何か心当たりは無いのか?」
彡(゚)(゚);「さ、さあ……ワイには分かりません」
( ・`ω・´)「本当の事を言いなさい。今シーズンはいきなり5連敗、どう考えても異常事態だ。残念だが今のままでは次の登板は与えられないぞ」
彡(゚)(゚);「ちょ、ちょっと待って下さい。怪我明けで感覚を忘れただけです。肘には何の違和感もありませんし、本当に何でも無いんです」
( ・`ω・´)「……本当に何も無いんだな?」
彡(゚)(゚);「せや!ワイは元気や!だから次こそ完投します!」
( ・`ω・´)「――恐らくそれは無理だ。これを見ろ」
334:
( ・`ω・´)「これは香田が記録したものだ。お前の投球内容とその分析結果について記してある。主観的だが参考になるだろう。読むぞ」
彡(゚)(゚);「!」
( ・`ω・´)「"やきう民は最初の3試合、いずれもおよそ50球に達する4イニング目以降から球、制球、球のキレ、変化球の精度が著しく悪化し、フォームが乱れていた"」
( ・`ω・´)「"4、5試合目は序盤から明らかに力を抜いて投げていた。何とか5回を投げ切ったが、とても完投出来る様な内容では無かった"」
( ・`ω・´)「"試合が進むにつれて投球内容は悪化の一途を辿る事、その際右腕を庇うかの様なフォームになっている事から、肘か肩に何らかの異常が出ていると思われる"」
( ・`ω・´)「……なぁ、何処かを痛めているんだろう?お前がもう元気じゃ無い事はみんな分かっているんだ」
彡(-)(-);「うう……」
( ・`ω・´)「完全に投げられなくなる前に言いなさい。何故試合が進むと打たれるんだ?」
335:

( ・`ω・´)「な、何だと?肘は問題無いが、今度は肩を痛めていただと?!」
彡(゚)(゚);「はい。短いイニングだったら何も問題無いんですが。50球くらい投げると、全力では投げられない程の痛みが出るんです」
( ・`ω・´)「投げられない程の痛みか……。お前は昔、肩を痛めた事があったが、その時よりも酷いのか。何時からだ?」
彡(゚)(゚);「何時とは言いにくいですが、恐らく冬の投げ込みが原因だと思います。毎日200球くらい投げたので」
( ・`ω・´)「毎日200球?!何でそんな馬鹿な事をしたんだ!痛めて当たり前じゃないか!」
336:
彡(゚)(゚);「監督、ワイにとってマウンドに立つ事は人生そのものなんです。肘の故障が発生して、2年投げられないと聞いた時は死のうとさえ思ったんです」
彡(゚)(゚);「2年ですよ。その間ずっと投げたくて仕方が無かった。やっと本気で投げても良いと言われた後、その思いを晴らすかの様に毎日投げたんです」
( ・`ω・´)「……」
彡(゚)(゚)「3年契約、とっくに迷惑は掛けています。少しでも早く復帰しなければいけないと焦る思いもあったかも知れません。それで結果、肩を痛めて……」
彡(-)(-)「……すいません。ワイはまた間違った事をしてしまった」
337:

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