八幡「雪ノ下の母ちゃんと対決する事になった。」back

八幡「雪ノ下の母ちゃんと対決する事になった。」


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1:
このssはぼっちのヒッキーがヒロインのゆきのんを母のんから助けて結ばれるお話です。
ハッピーエンドを目指して頑張って書きます!
※初めて書く俺ガイルのssです。
色々とおかしな箇所があったらごめんなさい。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1432901736
2:
?雪ノ下家?
陽乃「比企谷くんいらっしゃ?い♪待ってたわよ♪」
八幡「ウス…」
陽乃「けどまさかあの比企谷くんが我が家にやってくるなんてねぇ…
雪乃ちゃんとの結婚のご挨拶の時くらいにしか来ないんじゃないかと思ってたのになぁ。」
八幡「こんな時に茶化さないでくださいよ。
俺だって今回の件がなければ雪ノ下さんの本家にお邪魔する事なんて…」
陽乃「陽乃。」
八幡「へ…?」
陽乃「ここでは陽乃と呼んで。この家の人間はみんな雪ノ下だから紛らわしいでしょう。」
八幡「あ、そうか。わかりました…えと…陽乃さん…」
陽乃「もう!もっとしっかりしなきゃダメよ!
あなたはこれからRPGでいうところのラスボスと対決しなきゃいけないんだからね!」
八幡「ハハ…ラスボスか…
こんな人生Lv.1の俺がこれから雪ノ下家最大のラスボスを相手にしなきゃならんとは…
ぼっちのレベルなら90は超えてるはずなんだけどな。」
俺、比企谷八幡は平凡なぼっちの高校生である。
そしてこの家はかの有名な雪ノ下本家。
こんな庶民でぼっちの俺なんぞが簡単に入れる豪邸ではない。
それじゃあ何故俺がこの家に上がり込まなければならないのかというと…
3:
陽乃「ゴメンなさいね。
お母さんのせいで急に雪乃ちゃんが奉仕部を辞めさせられちゃって大変だったでしょう。」
八幡「大変…ではないですね。元々依頼なんてそんなになかったし…
それよりも子供の部活にわざわざ親が口を挟むなんて有り得んでしょう?」
陽乃「余所の家は有り得ないわよね。けど雪ノ下の家は違うわ。
なんでも親の敷いたレールに乗っからないとうるさいのよ。
特に我が家のお母さまはね…」
そう、ある日突然雪ノ下が奉仕部を辞めた。
それだけなら俺もわざわざ家まで訪ねるような真似はしない。
だが問題はその辞め方についてだ。
それは雪ノ下本人ではなく雪ノ下の母ちゃんが電話で一方的に辞めると伝えられたらしい。
そうなると顧問の平塚先生も黙ってはいなかった。
この俺に正式な依頼として雪ノ下本人に部活を辞める意思があるのか確認に行けと言われた。
そういうわけでこれから俺が顔を交えなければならないのは…
雪ノ下雪乃、それに陽乃さんの母親である。
これまで噂では何度か耳にしている。
なんでもこの陽乃さんですら恐れる存在だとか…
そして俺は陽乃さんに案内されてリビングに通された。
するとそこには一人の女性が居た。
二児の母親とは思えない落ち着いた雰囲気と均整のとれたプロポーション。
彼女こそがこれから俺が対決しなければならないラスボスだ。
4:
母のん「初めまして、比企谷八幡くん。私が雪乃と陽乃の母です。」
八幡「ども…比企谷です…」
陽乃(あちゃ?、すっかり萎縮してるわ。こりゃダメかも…)
母のん「それであなたは雪乃のご学友なのね。要件は何なのかしら?」
八幡「え?と…うちの奉仕部の顧問の平塚先生がですねぇ…
その…雪ノ下さんが奉仕部を辞めるとお母さまから一方的な連絡のみだったので…
顧問が直接雪乃さんの口から部活を辞める理由を聞いて来いと言われたので…」
母のん「全く馬鹿げているわね。
電話で説明したのにあれで理解できないなんて…
その顧問はあとで教育委員会に訴えて再教育センターに送ってやるわ!」
陽乃(あらあら、静ちゃんご愁傷さま…)
母のん「それにこんな話を顧問の自分じゃなく生徒を代理に寄越すなんて…
比企谷くんだったかしら?
雪乃や陽乃から聞いていたけど噂通り目の腐った子ね。
あなたもこれが一生徒である自分には手に負えるモノではないとわかってるはずでしょう。
それなのに顧問に言われたからと鵜呑みにするなんてどうかしているわ。」
きつい…マジでこの人性格きついわ…
この人間違いなく雪ノ下の母ちゃんだよ。
初対面の俺に面と向かって目が腐ってるって言ってるし!
社長夫人って性格悪くないと務まらないんですかね?
まあそれはともかく俺は話を切り出した。
5:
八幡「それで雪ノ下さん、
俺は雪乃さんから本当に部活を辞めるかについて聞きたいんですけど…」
母のん「答えは既に出ているわ。雪乃には部活をやめてもらいます。
奉仕部だったかしら?
そんな聞いた事もない部活であの子の貴重な時間を潰すわけにはいかないわ。」
陽乃(あらまあ…予想通りの返答だなぁ…)
八幡「…」
それが雪ノ下の母ちゃんの返答だった。
だがそれは俺の求めていた答えとは違った…
6:
八幡「あの…俺は雪乃さんの口から直接聞きたいんですけど。」
母のん「あら、今の話を聞かなかったの?
雪乃は部活を辞めさせます。
それにあの子のひとり暮らしもね、これは私の決めた事よ!」
八幡「雪ノ下さんこそ聞こえなかったんですか?
俺は雪乃さん本人の口から部活を辞める理由を聞きたいんスけど…」
陽乃(おやおや、これは面白い事になりそうかも!)
その時の俺は何故か知らないがムキになってしまった。
後で絶対に後悔するだろうな。
なんたってあの雪ノ下の母ちゃんと口論なんて無謀過ぎるわ…
7:
母のん「娘の事について赤の他人が口出ししないで頂戴!これは我が家の問題よ!」
八幡「我が家というほど大袈裟じゃないでしょう。
要は娘さんがやっている事が気に入らないだけじゃないんですか?」
母のん「なんて事を…!」
八幡「とりあえず今日のところは帰ります。
俺は雪乃さんの口から部活を辞める返事を聞くまで何度も来ますから。」
雪ノ下の母ちゃんマジ怖い…
俺は内心ビクついているのを隠してさっさと帰った。
8:
母のん「まったく…あんな無礼な子供を初めて見たわ!育ちが悪いのね!」
陽乃「アハハ…」
母のん「けど…」
陽乃「あらら?」
母のん「ほんのちょっぴり雪乃が羨ましいわ。あんな少年に想われているだなんて…
母のん「私にはもうそんな相手はいないのに…」
陽乃(これは何か面白い事になりそう?♪)
その後も俺は雪ノ下家を通い続けた。
だが対応するのは決まって雪ノ下の母ちゃん、そして返答はいつもNOの一言。
今なら飛び込み営業する社畜の気持ちが痛いほどわかります…
そんなある日の事だった。
9:
八幡「さて、今日こそはいい加減マシな返事をもらいたいもんだ。
そうでないと再教育センターに送られた平塚先生の無念を晴らせないからな…」
陽乃「あらあら!今日も熱心ね!でも残念。今日はちょっとねぇ…」
八幡「?」
陽乃さんの話によると雪ノ下夫人はこれから仕事の打ち合わせがあるので出かけるそうだ。
それならしょうがない。
ぼっちはさっさと退散しましょうかと思ったんだが…
予想外の展開が起きた。
11:
?会議所?
八幡「…」
陽乃「ウフフ、似合ってるわよ比企谷くん♪」
母のん「みっともない真似はしないで頂戴。
今回、あなたは一応雪ノ下家の人間としてここに来たのだから。」
八幡「何故俺はスーツなんぞを着てこの場所にいるんだ!?」
気がつけば俺は半ば強制的に陽乃さんたちに連れられて会議所にやってきていた。
しかもこのスーツ、俺のサイズにぴったりなのは何故でしょうか?
雪ノ下家…マジで恐ろしい…
12:

……
………
母のん「それでは会議はこれで終了ね。みなさんお疲れさま。」
八幡「思いの外スムーズに終わったな…」
陽乃「ウチのお母さん、仕事は卒なく完璧だから。」
結局会議は1時間程度で何事もなく終わった。
素人の俺でもわかるほど雪ノ下の母ちゃんの仕事は完璧だった。
だがそんな彼女にも苦手なものがあった。
それがこれだ…
13:
議員A「おやおや、これは雪ノ下夫人じゃありませんか!」
母のん「これはどうも、ご無沙汰しています。」
八幡「なんだか嫌味ったらしそうなおっさんが出てきたんですけど…」
陽乃「あの人…うちのライバル議員でね…
事ある毎にお母さんに突っかかってくる嫌味なオヤジなのよ。」
明らかに雪ノ下の母ちゃんの表情が困惑していた。
どうやら陽乃さんの言っている事は本当のようだ。
そしてそんな彼女に対してこのオヤジはある発言をかましてくれた。
14:
議員A「それにしてもお宅は娘さんばかりですなぁ!」
母のん「え…えぇ…」
議員A「これではお宅の後継は婿養子という事になりますなぁ!」
母のん「そ…そうなりますわね…」
議員A「婿養子はあまり感心しませんぞ!
外部からきた男なんぞに財産を取られるわけですからな!
私だったらそんな事になる前にちゃんと息子を作りますがねぇ!」
母のん「…」
その心無い一言に傷ついたのか、
雪ノ下の母ちゃんは俯いたまま何も言えなくなってしまった。
15:
母のん「う…うぅ…」
八幡「あの…大丈夫すか?」
母のん「私だって…頑張ったのに…でもダメだったのよ…」
八幡「あの…何がどうなってんだ?」
陽乃「お母さんも色々とあるのよ。
生まれたのが私たち二人とも娘だから周りからのプレッシャーが相当でね。
だから私と雪乃ちゃんには必要以上に厳しいのよ。」
八幡「なるほど、雪ノ下の性格がああなったのも今なら少しわかる気がしますよ。」
陽乃「それに本来なら味方になってくれるはずのお父さんもね。
男子が生まれないお母さんに愛想尽かして他所で愛人囲っているし…」
おいおい…大丈夫なのかこの家…?
16:
八幡「あの…雪ノ下のお母さん…」
母のん「取り乱してゴメンなさい…けどもう大丈夫よ…」
八幡「そうですか。」
八幡(どう見ても大丈夫には見えん。)
八幡(このままじゃこの人危ないかもしれないな…)
男の俺には想像も及ばないが領家の跡取りを産めないってのは、
女としてはさぞかし窮屈な思いをしてきたんだろうなぁ…
このまま放っておくわけにもいかないか。
17:
八幡「その…」
八幡「俺でよければほんの少しだけ力になりますよ。」
母のん「え…?」
八幡「これでも俺は奉仕部なんで…
このままオメオメと帰ったら顧問やそれに雪ノ下にまでどやされますからね。」
母のん「それはその顧問の先生のため…それとも雪乃のためだから…?」
八幡「いや、そうじゃないっす。これは俺自身のためっす。」
母のん「あなた自身の…どういう事?」
そして俺は言ってみせた。
俺の正直な気持ちを…
18:
八幡「俺の事を面と向かって、
目が腐ってるなんて言ってくる雪ノ下さんがこんな打たれ弱いなんて…
それこそ俺の立場がない。」
母のん「え…?」
八幡「俺に必要以上なくらい真正面に向かってくる。
そんなアンタら雪ノ下家の人間を俺は少しだけ尊敬してるんですよ。」
母のん「そ…尊敬…」
八幡「だからあんな嫌味を言われて嘆いているアンタを見たくはなかった。
理由なんてそれくらいっすよ。」
母のん「こんな…まだ私の事を想ってくれる人がいるなんて…
夫だって娘しか産めなかった私の事を疎んでいるのに…」
陽乃(あれ?なんかお姉さんの思惑とはちょっとちがくなってきたぞ??)
そう言って雪ノ下の母ちゃんは涙ぐんでしまった。
俺はそんな彼女に本当に大丈夫かと声を掛けようとしたのだが…
19:
((ギュムッ!))
八幡「ちょ…雪ノ下さん!何で抱きついてくるんですか!?」
母のん「お願い…今だけは…何も言わずにこのままでいさせて…!」
陽乃(あちゃ?!これはお姉ちゃんやっちゃったかも…ゴメンね雪乃ちゃん…)
結局、それから暫くの間…
俺は彼女に抱きしめられたまま身動きが取れなかった。
ちなみに雪ノ下の母ちゃんに失言をかました議員のオヤジは後日、
何故か身に覚えのない不正を問われて失脚したとか…
雪ノ下家…やっぱハンパないわ…
20:
<三日後>
?奉仕部?
陽乃「比企谷くんやっはろ?!」
八幡「雪ノ下さんやめてください。それ言うと馬鹿みたいですから…」
陽乃「あらあら、随分と言ってくれるわね。
そういえばあれから雪乃ちゃんはちゃんと部活に出てるの??」
八幡「まあ一応…
今日は由比ヶ浜と一緒に買い物するとか言って先に帰りましたけどね。」
陽乃「雪乃ちゃんも部活を再開できてこれも全部比企谷くんのおかげね♪」
八幡「やめてください、もうこんな事に関わるのはゴメンですから。」
そうだ、この数日間は心が休める日がなかった。
RPGでいうところのラスボスに勝てずに、
ひたすらコンティニューを続けてたんだからなぁ…
俺はようやく平穏な日々を取り戻せた。
これで暫くは何事もなく無事に過ごせるだろう。
…と思ったんだが…
21:
母のん「ここが奉仕部なのね。薄汚い部室だわ。」
八幡「ゲェ―――――ッ!ゆ…雪ノ下の母ちゃん!?な…何でここに…!?」
母のん「あら、私にあんな事を言わせた責任を取ってくれるために決まっているでしょう。」
八幡「え…な…何の事すっか?」
母のん「まったく惚けるのもいい加減にしなさい。
それでは改めて言うわ。これからよろしくね、あ・な・た・?」
八幡「え…え…?」
何この人…
勝手に部室に入ってきて何を言ってるのか全然理解できないんですけど…?
23:
母のん「前の夫とは離婚して家も会社も子供たちの親権も根刮ぎ奪っておいたわ。
私たちの幸せを奪う輩はもう何もないのよ!」
陽乃「そういう事だから改めてよろしくね、未来のパパ♪」
母のん「私たち、幸せになりましょうね?」
八幡「え…え…えぇ――――――ッ!!??」
こうして俺は高校卒業と同時に晴れて雪ノ下の母ちゃんと結婚する事になった。
それまでの間は奉仕部の活動と雪ノ下家で見習いの秘書として、
雪ノ下の母ちゃんから婿修行で叩き込まれました。
あぁ…俺の専業主夫の夢は何処へ…
お願いだから平穏だった俺の日常を返してください。
そして最後にこれだけは言わせてほしい。
24:
八幡「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」
陽乃「おしまい♪」
2

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