梨子「…こんな夜中に、泥棒かな?」back

梨子「…こんな夜中に、泥棒かな?」


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千歌「…」ソッー
ギシギシ
梨子「…まあ、いいか」
ミシミシ、バキッ
千歌「あっ!痛ぁ!!」ドスン
千歌「いったぁーい…もー、なんなのこの家は?まるでお化け屋敷だよ!」
梨子「…クスッ」
ギシギシ、ガラッ
千歌「あっ!?あ、あなた誰?」
梨子「人の家に勝手に入って、誰だはないでしょう?」
2:
千歌「う、うるさぁーい!命が惜しくなかったらお金と貯金通帳を出しなさい!さもないと私の愛刀が黙ってないよ!」
梨子「クスッ」
千歌「な、何がおかしいの?私にはね、50人の仲間がいて、この笛を吹けばみーんな飛び込んでくるんだよ?」
梨子「それは怖い、じゃあ試しに吹いてみてよ」
千歌「え?」
梨子「試しに吹いてそのお友達に会わせてもらいたいわ」
千歌「ば、馬鹿にしてぇ!いい?そこを動いちゃダメだからね?私は家探しの続きしてるから!」ガラッ
ガラガラ ガッシャーン!
梨子「ふふふ…」
5:
千歌「はぁ、はぁ…ほ、本当に何も無いじゃん…」
梨子「そう、この家には何も無いのよ」
ぐるるるる?
千歌「ねえ、残り物でいいから何か食べさせてよぅ…」
梨子「お気の毒だけど、食べる物は何も無いの」
千歌「ふぇ?じゃああなたはどうやって生活してるの?」
梨子「今日で3日間、何も食べてないもの」
千歌「そ、そうなんだ…はぁ、仕方ないなぁ」ガラッ
梨子「ふぅ、ようやく諦めたかな」
6:
次の日
千歌「おーい、起きてよ、朝だぞー」ユサユサ
梨子「んん…あなた、どうして?」
千歌「朝ごはん出来てるよ、顔洗って早く台所に来てね」
梨子「え?」
千歌「ジャジャーン!召し上がれ」
梨子「これ、あなたが作ったの?どうして…」
千歌「いいからいいから、まずは食べようよ」
梨子「…」
千歌「ん?食べないの?あっ、さては私が悪いことして材料を集めたと思ってる?」
8:
千歌「じょーだんじゃないよ!この材料はね
私のなけなしのお年玉貯金を切り崩して買ってきたの!」
梨子「ご、ごめんなさい、悪かったわ、ありがたく頂かせてもらうわ」
梨子「うん、美味しい…」
千歌「ホント?よかったぁ?」モグモグ
千歌「♪♪♪?」ガチャガチャ
梨子「…」
千歌「ねえ、ところであなたはこれからどうするの?」
梨子「別に、ただこうしてじっとしてるだけかな?」
千歌「そ、それじゃあまたお腹が減って、今度こそ死んじゃうよ?」
梨子「うん、そうなるかもね」
千歌「ほんっと、仕方ないなぁ…」
9:
千歌「これお昼ごはんね、これ食べて待っててね」
梨子「待っててねって…あなたはどうするの?」
千歌「うーん、まあいいから待っててよ」ガラッ
この山荘へ幽閉されるまで、桜内梨子はμ'sの
作曲担当として活動していた、だが新メンバー西木野真姫の加入により、梨子を擁立しようとする園田海未派と西木野真姫を擁立しようとする小泉花陽派が激しく対立、結局園田派は敗れ
その結果、梨子は遠く離れた沼津の荒れた山荘に幽閉された
梨子「ふふふ、音ノ木のみんなが私の命を縮めようとしてるのに、こうして泥棒さんに食べさせてもらってるって聞いたらなんて思うかな」モグモグ
梨子「美味しい…」
10:
千歌「ただいまぁ?いい子にしてた?」
梨子「おかえりなさい」
千歌「待っててね、今ごはん作るから」
千歌「お待たせ、さぁ食べよっか」
梨子「これも全部買ってきたの?」
千歌「もう、やめてよ、自分1人ならともかく
あなた1人抱えて泥棒なんかやっていけないよ、それに、私だって好きで泥棒なんてやりたかったわけじゃないし」
梨子「はぁ、そういうものなの…」
千歌「そうだよぉ、あなたを養わなくちゃいけない分、しっかり稼がないといけないし」
梨子「美味しい」モグモグ
梨子「でしょ!?ふふーん」
12:
千歌「ところで、あなたの名前はなんて言うの?私は千歌だよ」
梨子「千歌ちゃん…私は梨子っていうの」
千歌「梨子ちゃんかあ、いい名前だね」
梨子「ねえ、千歌ちゃん、あなたはどうして泥棒なんてやってたの?」
千歌「…ウチの実家はね、旅館なんだけど
なんか勝手に私が後を継ぐみたいに確定してて、それが嫌で出てきちゃったの」
梨子「そうだったの」
千歌「うん、だけど、出てったのはいいけど
泊まるところもないしお金もあんまりないし
それでつい、ね…」
13:
梨子「お気の毒に、でも、もう泥棒なんてしないでね?」
千歌「うん、わかったよ、でもなんか不思議
梨子ちゃんと話してると楽しいような嬉しいような、こんな気持ちになったのは初めてかも」
梨子「そ、そう?」
千歌「うん、なんかね、人生も悪くないなぁって思えたり、前向きに生きれるような気がするんだ」
梨子「今まではそうじゃなかったの?」
千歌「むぅ?そうじゃないから泥棒になっちゃったんだよぉ」
梨子「そうだね、ふふふ」
15:
翌日
コンコン
梨子「?誰かしら?」
ガチャ
絵里「久しぶりね、梨子」
梨子「絵里…何の用?」
絵里「急いでるから用事だけ言うわね、真姫がと食中毒で入院したわ」
梨子「え…?」
絵里「もうすぐライブなのに、μ'sは危機を迎えてるわ、だから…」
梨子「帰って…」
絵里「梨子…」
梨子「帰ってよ、もう私に構わないでって、みんなにもそう言って」
絵里「…また来るわね」
18:
千歌「どうしたの梨子ちゃん?さっきから全然食べてないけど」
梨子「千歌ちゃん、2人でどこかに行かない?」
千歌「え?急にどうしたの?まあ、梨子ちゃんと一緒ならどこにだって行ってもいいけどね、えへへ」
梨子「うん、ありがとう…」モグモグ
次の日
コンコン
梨子「はい?」
海未「久しぶりですね、梨子」
梨子「海未、もう私に構わないでって、絵里に言ったはずよ…」
海未「わかってます、それに、ここでの暮らしがどれほど過酷なものだったか、私も五体が砕け心臓が消える思いでした」
梨子「嫌よ、もう私はあなたたちの都合で振り回されるのはウンザリなの、私はここで普通の女の子として生きるの!」
19:
海未「あなたの気持ちは痛いほど分かります
しかし、自分だけが幸せに過ごせれば、他のことはどうなろうと構わないと言うのですか?」
梨子「え?」
海未「先ほど、私たちの都合で振り回される
と言いましたが、この度の騒動では、凛がラーメン禁止、花陽は穀物禁止、穂乃果はお小遣い9割カット、希は肉類禁止の処分を受けてます」
梨子「…」
海未「あなたの苦労に比べたら軽微な罰かもしれませんが、私たちも死ぬ思いで来ているのです、μ'sのため、音ノ木学院のため、そしてμ'sのファンのため、私も粉骨砕身の思いでここに参りました」
20:
海未「そして、ようやく今日という日が来たのです!それなのに、あなたは自分だけが幸せに暮らせればそれでいいと考えているのですか!?」
梨子「…わかった、秋葉原に戻るわ」
海未「…梨子」
梨子「でも、今日は帰ってちょうだい、後日準備が出来たら自分で帰るから、今日は千歌と2人きりにして…」
海未「わかりました」
21:
千歌「♪♪?ただいまぁ?って…ええ!?何してんの梨子ちゃん?」
梨子「おかえりなさい、ご飯出来てるよ」
千歌「これ、梨子ちゃんが作ったの?」
梨子「もちろん、さあ、冷めないうちに食べようよ」
千歌「う、うん、でも、何かあったの?」
梨子「うん、それは食べた後に話すとして
まずは食べよっ」
千歌「…うん、美味しいよ、でも訳って何?」
梨子「うん、一度くらいは自分で作って見たかったの」
千歌「…」
23:

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