深夜の上にジメジメしとるから怪談でも・・・back

深夜の上にジメジメしとるから怪談でも・・・


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どうだい?
引用元: ・深夜の上にジメジメしとるから怪談でも・・・
7: ワシの苦しみ 2016/06/23(木)02:58:01 ID:m3G
移動した方がいいかもしれない
8:
>>7
オカ板のほうがええかな
9: ワシの苦しみ 2016/06/23(木)03:01:21 ID:m3G
>>8
ここでいいですよ
11:
>>9
イヤドッチャネン
10:
まぁええや 読みたい人がおったら覗いてみてくださいな
Kさんの友人が急死してしまい、その通夜の席で十数年ぶりに同級生たちが集まり、誰からともなく「そのうち皆で呑もうなんていってる内に、もう3人も死んじまった。本気で来月あたり集まって呑もう」という話になった。
言い出しっぺのAという男が幹事になり、その話は進行中であったが、なかなか全員(男5、女3)のスケジュール調整がつかない。
「今年の夏はすごく暑いし、いっそ9月に入ってからにしようか」と、幹事のAとKは昼食を一緒に食べながら話し合っていた。
今思うと、その時にビールなんか呑んだのが間違いだった。
幹事のAが、ふと言わなくてもいいことを口に出し、Kは酔った勢いで、その発言に突っ込んでしまった。
それは、先月死んだ友人に先立つこと十年前、学生時代に死んだB(男)とC(女)のカップルのことだった。
十年前、AはBの住むアパートで、Cと三人で酒を呑んでいた。
その直後、BとCは交通事故で死亡。原因はBの酔っ払い運転による事故という惨事であった。
実はAは、その事故の第一発見者でもあるのだ。
Kは酔っぱらいながら、インターネットの巨大掲示板である「2○ゃんねる」のことをAに説明し、事故の第一発見者のスレッドに書き込めと、面白がって悪趣味な提案をしたのだった。
すると、Aはたちまち顔面蒼白になり、「冗談じゃない!」と本気で怒り出してしまった。
Kは、いささか鼻白んで「ムキになんなよ」と言い返したが、Aの怒りは治まらなかった。
そして「じゃあ、あのときの話を聞かせてやるが、後悔するなよ」と言い、恐ろしく早口で話し出したのだった。
12:
続きます
【Aのはなし】---
俺(A)がB、Cと呑んでいたとき、D先輩が突然Bのアパートを訪ねてきた。
顔面真っ青で、唐突に「おまえら、裏返しの話を知ってるか」と話し出した。
そのとき俺は、ちょうど酒を買い足しに行こうとしていたのだが、D先輩が止める様子もないので、缶酎ハイを買いに出て15分ばかり中座した。
部屋に戻ると、D先輩はさっきと違って大分くつろいだ様子で、俺が買ってきた酎ハイを一気に呑んだ。
 俺 「なんの話だったんですか?」
D先輩「だから裏返しだよ」
 俺 「裏返し?」
D先輩「裏返しになって死んだ死体を見たことあるか?」
 俺 「・・・いいえ。なんですか?それ」
D先輩「靴下みたいに、一瞬にして裏返しになって死ぬんだよ」
 俺 「まさか。なんで、そんなことになるんですか?」
先輩は、くっくと喉を鳴らして笑った。
D先輩「この話を聞いて、二時間以内に他の人間にこの話をしないと、そういう目にあうんだ」
 俺 「不幸の手紙ですか?」
俺は本気にしたわけではないが、気になって、もう一度D先輩に聞き返した。
するとD先輩は、「なんとでも言え。とにかく、俺はもう大丈夫だ。モタモタしてないで、おまえらも誰かに話しに行った方がいいぞ」
その場がどこか白けた感じになったが、買い足してきた分の酎ハイを皆で呑み干し、呑み会はお開きになったのだった。
D先輩はバイクで帰り、BとCはBの車に乗った。
エンジンをかけ、発車した直後、車は電柱に衝突したのだ。
俺はその音を聞いてすぐに部屋から飛び出し、車へ駆け寄ってみると、BとCは血まみれになっていた。
そこまで出血するほどの大事故には見えなかったので、俺は驚いた。
いや、もっと驚いたのは、二人が裸だったということだ。
カーXXXXなんて言葉も浮かんだが、そうでないことはすぐに分かった。
二人は、完全に『裏返し』になっていたのだ。
俺はその場で大声で叫んだ。
「裏返しだ!裏返しで死んでる!」
すぐに人が集まってきて、現場を覗き込み、俺と同じ言葉を繰り返した。
・・・だから、現場にいた皆は助かったのだろうと思う。
14:
Aはこの話を終えると、逃げるように帰ってしまった。
時計を見ると、時刻は14:30分。
Kは、この手の話を信じていないが、万が一の予防のために「2○ゃんねる」にこのスレッドを立てた。
後は、16:30分までに誰かがこのスレッドを読んでくれればいいのだ。
肝心な部分を読んでいないとカウントできない。
最後まで読んだ方は念のため、残り時間があるか、時計でのご確認をお勧めする。
13: ワシの苦しみ 2016/06/23(木)03:04:37 ID:m3G
>>12
これ初めて聞いた時クソワロタ
15:
>>13
あっ 知ってたかww
16: ワシの苦しみ 2016/06/23(木)03:07:39 ID:m3G
>>15
なんか俺が読んだやつだとこの話を何人かに伝えないとあなたも裏返しになりますって一文が最後にあった気がする
裏返しってなんだよって笑ったわ
17:
これはどうじゃ!
自動車事故に遭い、鞭打ち症になったAさんは、会社を一週間ほど休むことにした。
Aさんは結婚しているが、妻は働いていたため、昼間は一人だった。
最初の数日は気楽だったが、さすがに3日も経つと暇をもてあましてきた。
それでもどこかへ出かけるには体がつらいので、家でじっとしているしかない。
そんなある日、お昼も過ぎた頃にぼんやりとテレビを見ていると、上の階の部屋からドスンドスンと音がして、子どものはしゃぐ声が聞こえてきた。
学校が休みなのかといぶかしく思ったが、気にもとめなかった。
その翌日も昼頃から子どもの声が聞こえてきた。
どうやら上の家には子どもが2人いるようだ。
Aさんが住んでいるのは大規模なマンション住宅地だが、昼間は意外とひっそりとしており、子どもたちの声は階下のAさんのところにもよく聞こえた。
しかしうるさく感じることもなく、むしろ退屈さと団地の気味悪い静けさを紛らわせてくれるので、ありがたかった。
そのまた翌日。
暇をもてあまし、昼食を作る気もうせたAさんはピザを注文した。
30分ほどでやってきたピザは思ったより量が多く、Aさんは結局、まる一枚残してしまった。
普通なら奥さんのためにとっておくのだが、ふと階上の子どもたちのことを思い出し、親切心も手伝ってAさんは、上に持って行ってやることにした。
Aさんは自分の真上の部屋に誰が住んでいるのか知らなかったが、呼び鈴を押した。
気配を感じたが、応答がない。もう一度呼び鈴を押した。
ふと、のぞき窓から見られているような気がした。
かすかに「どなたですか…」という声がドアの向こうからした。
Aさんは、階下のものであること、ピザがあまったのでもらってほしいことを話すと、ドアがかすかに開いた。
家の中はやけに暗かった。
5センチほどの隙間から女性が顔を半分のぞかせた。
女性はひややかに言った。
「ありがとうございます。でもいりません。」
うす暗くて顔の表情がよく見えない。
Aさんは急に自分が場違いなところにいるような気がしてきたが、もう一度わけを話し、子どもたちにあげてくれるよう頼んだ。
ドアの隙間から生あたたかい空気が流れてきた。何か嫌な臭いがする。
18:
ふと、女性の顔の下に、子どもの顔がふたつ並んだ。
ドアはほんのわずかに開いたまま。
2人の子どものうつろな目がこっちをじっと見ている。
三人の顔がたて一列に並んでいる。
「そう、じゃあ…いただくわ」
Aさんがドアの隙間にピザの箱を入れると、すっと真横から手がのびてきて受け取った。
3つの顔はドアの隙間からAさんを見つめている。
「ありがとう」かすかな声が聞こえた。
Aさんはそそくさと退散した。
気味が悪かった。
何ともいえない違和感が頭の片隅に残る。
子どもの顔が脳裏に焼き付いている。
顔・・・。
背中がぞくぞく震えだした。
顔、並んだ・・・。
足早になる。一刻も早くあの家から遠ざかりたかった。
エレベーターが来ない。
・・並んだ顔・・・縦に・・・。
ボタンを何度も押すが、一向に来る気配がない。
非常階段に向かう。
ひどく頭痛がした。
吐き気もする。
非常階段の重い扉をあけるとき、Aさんは背中に視線を感じた。
ふりむくと、10メートルほど向こうの廊下の角に、3人の顔があった。
ドアの隙間から見たときと同じように、顔を半分だけ出して、うつろな目でこちらを見つめている。
冷え冷えした真昼のマンションの廊下に差し込む光は、3人の顔をはっきりと照らし出した。
19:
Aさんは首周りのギブスもかまわず階段を駆け下りた。
普段は健康のためにエレベーターを使わず、一気に4階まで階段を駆け上がることもあるが、地上までが途方もなく長く感じられた。
縦に並んだ顔・・・ありえない。
・・体が・・・ない?
そして、顔のうしろにあった奇妙なものは・・・。
頭を支える手。
その後、Aさんは近くのコンビ二で警察を呼んでもらった。
警察の捜査によると、Aさんの階上の家の風呂桶からその家の母親と子どもの死体が見つかった。
死体には首がなかった。
首はのこぎりで切断されており、死後3日ほど経っていた。
その日の内に夫が指名手配され、やがて同じ建物内で隠れているところを逮捕された。
母親と子どもの首はその夫が一緒に持っていた。
男が発見されたのは、彼の家ではなかった。
警官がマンション内をくまなく捜索したところ、ある部屋に彼が隠れているのを見つけたのだった。
男は、Aさんの家の押入れの中に潜んでいたのだ。
20:
これは!
母と娘が旅行に出掛けた。
娘はもうすぐ嫁ぐ身であり、最後の親子水入らずだった。
ありきたりの温泉宿で、特徴は海に面している、というくらい。
部屋に通されると手持ち無沙汰になった。
駅から続く温泉街の土産物屋はだいたい覗いて来たし、夕食までにはまだ時間があった。
そこで二人はお風呂に行く事にした。
「この先の廊下を行くとあります。今でしたら丁度、夕日が綺麗ですよ」
女中さんはそう言って、忙しそうに戻って行った。
言われた通りに進むと、一本の長い廊下に出た。
左右にはバーや土産物屋が並んでいる。
そこを通り過ぎて行くと、廊下は右に曲がっていた。
その正面には『男湯』『女湯』の暖簾が。
中から音は聞こえない。
ふたりで満喫できそうだ。
支度を済ませ浴場に入ってみると、案の定誰もいない。
「うわー、素敵ねぇ」
娘は感嘆の声を挙げた。
正面は全面開口の窓、窓に沿って長方形の湯船。
その窓の外には夕日に光る一面の海。
二人は早、湯船につかった。
21: ワシの苦しみ 2016/06/23(木)03:14:46 ID:m3G
押入れ潜伏パターンか
途中までは不安の種を彷彿させる
22:
ふと娘は、湯船の右奥が小さく仕切られているのに気付いた。
1メートル四方程の小さなもの。
手を入れてみると、飛び上がるほどの熱い湯だった。
「きっと足し湯用なのね」
母の言葉に娘は納得した。
湯加減、見晴らし、なにより二人きりの解放感。
二人は大満足で風呂を堪能した。
窓と浴槽の境目には、ちょうど肘を掛けられるくらいの幅がある。
母は右に、娘は左に、二人並んでたわいもない話をしていた。
ゆっくりと優しい時間が過ぎて行く。
その時、母は突然悪寒を感じた。
自分の右の方から、冷たいモノが流れて来るのを感じたのだ。
普通ではない。なぜかそう直感した。
あの熱い湯船の方から、冷たい水が流れてくるなんてありえない。
それに視線の端に、何かがチラついている気がしてならないのだ。
急に恐怖感が涌いて来た。
それとなく娘の方を見てみる。
瞬間、母は血の気が引く思いがした。
娘の表情。これまでに見た事のない表情。
しかも視線は自分の右隣を見ている。
口はなにかを言おうとパクパク動いてるが、声にならない。
母は意を決して振り返って見た。
確かに誰もいなかったはずだ。
また、後から誰かが入って来たはずもないのだ。
が、自分の右隣には見知らぬ女がいた。
しかも、自分達と同じ姿勢で、肘をついて外を見ている。
長い髪が邪魔して、表情まではわからない。
しかし、なにか鼻歌のようなものを呟きながら外を見ている。
23:
「おか、あさん、その人…」
娘はようやく声を絞り出した。
「ダメ!」
母は自分にも言い聞かすように声をあげた。
母の声に娘はハッとして、口を押さえた。
そう、別の客かも知れない。
そうだとしたら失礼な事だ。
しかし、誰かが入って来たなら気付くはず。
ましてや、自分達のすぐ近くに来たなら尚更だ。
やはりおかしい。
そう思って娘がもう一度母の方を見ると、さっきの女はいなくなっていた。
しかし母に視線を合わすと、母は洗い場の方を指差していた。
そこには、出入口に一番近い所で、勢いよく水をかぶるあの女がいた。
何杯も、何杯も、何杯も、水をかぶっている。
娘は鳥肌が立った。
正に鬼気迫る光景だった。
母の顔色も真っ青になっている。
「もう出ようよ」小さな声で母に呟いた。
「けど、もしあれなら、失礼になるんじゃ」
母も気が動転しているようだった。
「それに」母が続ける。
「私、あの人の後ろ恐くて通れない」
そう言う母は恐怖からなのか、少し笑みを浮かべていた。
24:
母のその一言で、娘は気を失いそうになった。
自分も同じだ。
恐くて通れない。
「じゃ、どうするの?助け呼ぶ?」
「だから、普通のお客さんだったら…」
そう答える母にもわかっていた。
あの女は異常だ。
第一あれだけ勢い良く水をかぶってるのに、水の音が聞こえてこない。
「こわいよ、どーするの、ねぇお母さん」
娘は半泣きになっていた。
「とりあえず、ここで知らんぷりしときましょ」
母はそう言い、また外を見た。
不思議だ。
さっきは水の音なんて何一つ聞こえなかったのに、背後からはザバーッザバーッと聞こえてくる。
二人はただただ、身を強ばらせるばかりだった。
その時。突然水をかぶる音が止んだ。
止んだ瞬間に、娘は震えながら母を見た。
娘は泣いていた。
25:
しかしお互いに顔を見合わせるばかりで、振り返る勇気がない。
そのまましばらく時間が過ぎた。
「出て行ったみたい」
母は娘の方に視線をうつした。
娘は静かに下を向いていた。
ただたまに、しゃくりあげるのが聞こえる。
「ほら、もう大丈夫だから、ね、もう出よう」
母の優しい声に諭され、娘はゆっくり顔を上げた。
よかった、心の底からそう思い母の方を見た。
母の後ろ。
熱い湯の入った小さな湯船。
そこにいた。
髪の長いあの女。
熱くて入れるはずのない湯船の中に。
湯船一杯に自分の髪を浮かべて。
顔を鼻から上だけ出して。
娘を見て、ただじーっと見つめて。
そしてニヤリと笑った。
「ギャー!」
娘は絶叫して母にすがりついた。
母は娘が何を見てしまったのか知りたくなかった。
寄り添う娘の肌は冷えきってしまっている。
「出よう、おかしいもの。歩けるでしょ」
そう言いながら娘を立たせた。
早く、早く。
もどかしくなる。
水の中がこんなに歩き辛いなんて。
それでもなんとか湯船をまたいで洗い場に出た。
娘は顔を覆ったままだから足元もおぼつかない。
出てしまえばもう大丈夫、突然、安堵の気持ちが涌いて来た。
そして、母は最後に湯船を返り見てしまった。
26: ワシの苦しみ 2016/06/23(木)03:20:07 ID:m3G
やめてー
27:
そこにはあの女が立っていた。
長い髪から水をポタポタ垂らしていた。
下を向いたまま立っていた。
窓スレスレのところに立っていた。
ここで母はまた背筋を寒くする。
立てるはずなんてない。
窓と湯船の境には、肘をつくのがやっとのスペースしか無いのだから。
浮いている?
そう言えば女の体は微かに揺れている気がする。
湯煙でよくわからない。
恐怖が限界に達し、母も叫び声を挙げてしまった。
二人は駆け出した。
体なんか拭いてられない。
急いで浴衣を身に付けると、自分の持ち物もそのままに廊下に飛び出し、一番手前にあった寿司バーに駆け込んだ。
「なんかいる!なんかいるよ、お風呂に!」
娘は大声で板前に叫んだ。
最初は怪訝そうな顔で二人の話を聞いていた板前の男も、次第に顔が青冷めていった。
「その話、本当なんですよね」
「こんな嘘付いたとこでどうにもなんないでしょ!」
娘はバカにされた様な気がして、思わず怒鳴りつけてしまった。
そして母も続けた。
「私も確かに見てしまいました。本当です」
母のその一言を聞いた板前は、どこかに電話を掛けた。
28:
しばらくすると、ここの女将らしき女性がやって来た。
少し落ち着きを取り戻した母子は、以前に何か不穏な出来事があったのだろうと直感した。
女将は軽く挨拶をすると、ゆっくり話しはじめた。
5年程前、一人の女がこの旅館にやって来た。
髪の長い女だった。
なんでも、ここで働きたいという。
女将は深刻な人手不足からか、すぐに承諾した。
しかし、女には一つだけ難点があった。
左目から頬にかけて、ひどい痣があったのだ。
「失礼だが接客はして貰えない。それでも良い?」
女将は聞く。
「構いません」
女はそう答えて、この旅館の従業員となった。
女はよく働いた。
それに、顔の印象からは想像出来ない明るい性格であった。
ある時、女将は女に痣の事を聞いてみた。
嫌がるかと思ったが、女はハキハキと教えてくれた。
ここに来る前に交際していた男が大酒飲みだった事。
その男が悪い仲間と付き合っていた事。
ひどい暴力を振るわれていた事。
「その時に付けられた痣なんです」
女は明るく答えてくれた。
「そんな生活が嫌になって、逃げて来たんです」
そう言う女の顔は、痣さえなければかなりの美人だったらしい。
それからしばらくして、この旅館に三人のお供を引き連れた男がやって来た。
そして、ある従業員に写真を突き付けた。
「こいつを探している」
あの女だった。
30:
もちろん「知らない」と答えて追い返した。
しかし、ここは小さな温泉街。きっとわかってしまうに違いない。
そう考えた女将は、方々に手を尽くして女を守った。
しかし女は恐怖で精神が参ってしまった。
あんなに明るかったのに、ほとんど口を聞こうとしない。
女将は心配したが、女は大丈夫と言うばかり。
ある日、定時になっても女が出勤して来ない。
電話にも出ないし、部屋にもいない。
結局どうにもならないので、無断欠勤という事にしてしまった。
ところが。
「大変。女将さん大変よ!」
何事か。従業員に連れられて向かったのは、風呂場だった。
そこに彼女はいた。
窓の外、向かって右に立つ大きな松の枝に首を吊っていた。
急いで降ろしてやったが、すでに死んでいた。
悲しい事に、おそらく女は死ぬ前に髪を洗っていたようだ。
自慢の髪だったのだろう。
まだシャンプーの匂いが漂っていた。
不吉だという事でその松は切り倒された。
髪の巻き付いた長いロープと一緒に、寺で燃やして貰ったのだという。
「彼女がぶら下がっていた場所というのが、お客さまがその『何か』をご覧になった場所だったんです」
よくある話だが個人的にはコワカタ
31:
てか 何系の怪談がいいとかリクエストはあるかい?
32:
人怖希望
33:
おけい まかせとけ
34: ワシの苦しみ 2016/06/23(木)03:28:54 ID:m3G
闇が深いな
男が頃しにきたとも取れる
37:
>>34
自殺に見せかけて殺したのかもしれない・・・・
35:
まずはこれをどうぞ人怖はストック少ないが
仕事が終わり、男はいつもの帰り道を歩いていたときのこと。
ふと視線を感じ、ある家の2階を見ると、初老のおじさんが窓際に立ってこちらに手を振っていた。
それも満面の笑みで。
なにか気味が悪かったので、男は無視して家に帰ったという。
あくる日、仕事が終わり、またいつもの道を通る。
そしてまた例の家の2階を見るとおじさんが満面の笑みで手を振っている。
気味が悪かったのでまた無視することにした。
これは男が近所のおばさんから聞いた話だが、あの家に住んでいるおじさんは精神病んだのだか、痴呆だかでちょっとおかしくなってしまい、いつも2階の窓から道行く人に手を振りまくっているということだった。
家族が相手をしてくれないから、そうやって寂しさを紛らわせているらしい。
36:
人怖俺も好きだわ
38:
それからというもの、その家の前を通る度おじさんは手を振っている。
いつも満面の笑みを浮かべ・・・
またそこを通ったらあのおじさんがいつもと同じ事している。
いつも無視していては何だか可哀想な気がしたので、その日男はたまには手を振り返してやることにした。
「しょうがねえなあ?」
と手を二階のおじさんに向けて振ってやった。
するとおじさん、たいそう喜んで激しく手を振り返してきた。
「おじさん喜んでる・・・」
おじさんがあまりに嬉しそうだったので、それからというものそこを通ると手を振ってやる事にした。
そんなある日男は仕事帰りにまたおじさんの家の前を通りかかり、同じように手を振ってあげた。
片手を挙げ、バイバイと手を振る。
するとおじさん両手を挙げ満面の笑みで手を大きく振ってきた。
「おじさんかなり嬉しそうだ!」
そう思うとこっちも嬉しくなり、男も激しく手を振ってあげた。
そして「おーい!」と両手を大きく頭の上で振った。
そしたらおじさんは窓を開け、満面の笑みでこう叫んだ
「今行くぞー!!」
39:
え?と男は思った。
おじさんそう言うと、満面の笑みで2階から男のいる方にダイブしたのだ。
どさっという物が落下する音と共に嫌な音が耳に残る。
「ゴッキ!!」
鈍い音がした。
塀でおじさんの姿は見えないが、落ちる瞬間の体勢からして頭から落ちたのは確かだった。
その音を聞き、家族らしき人が出てくる。
「ヤバイことになった・・・・」
男は怖くなりその場から逃げ出した。
おじさんがどうなったかは男には解らないが、普通の落ち方ではないと思った。
もしかして死んだかも・・・
男は家に帰るとベットの中で震えていた。
自分に罪はないと何度も自分自身に言い聞かせたが、やはりだめで、その夜は恐怖と罪悪感で眠ることができなかった。
次の日分ったことだが、おじさんは首の骨を折って亡くなってたらしい。
即死だったのかどうかは不明だが、男は手を振り返した事を大変後悔した。
なによりおじさんを助けようとせずに逃げた自分を恥じ、それに罪悪感を感じた。
40:
それから男はおじさんがいた家の前を通る事はなくなった。
というか怖くて通れなくなった。
早く忘れたい・・・それだけである。
しかし後悔の念は取れないし後気味が大変に悪いので、けじめをつける意味でおじさんに謝ろうと決心した。
心から謝り、自分の心を整理してその事件から決別しようとしたのだ。
そして仕事帰りに勇気を出し、その家の前を通った。
嫌な気分になりながらも家の前につき、手を合わせおじさんに心の中で謝った。
「逃げたりして本当にごめんなさい・・・・」
涙がにじんだ目でおじさんのいた2階の部屋を見上げると、誰かが手を振っている。
誰かいるのかな?
・・・・・・そのとき背筋が凍った。
おじさんが満面の笑みでこちらに手を振っていたのである。
信じられない光景に男は呆然としてしばしそれを眺めていた。
死んだはずなのに・・・・・
しばらく呆然と見ているとおじさんが窓を開けだした。
そしてこう叫んだ!
「今行くぞー!!!!!!」
やばい!!
男は只ならぬ危機感を感じ全力で逃げ出した。
「うああ、こっちにくる!!」
全力で住んでいるアパートまで走った。
走って走って走った・・・
そしてアパートに着くと息を切らしてベットに潜り込み震えていた。
なんでおじさんが!?・・・・
そのとき声がした。
「おーい、おーい、おーい・・・」
おじさんの声がする、どうやら男を捜しているようだ。
「おーい、おーい、おーい、おーい、おーい・・・この近くにいるんだろ?・・・」
自分の部屋の前を行ったり来たりしているようだ。
「早くどっか言ってくれ・・・・」
男はそれだけを願いながらベットの中で震えていた。
41:
「おーい、おーい、おーい、おーい、おーい、おーい、おーい、おーい・・・」
狂ったようにおじさんは叫び続けている。
「おーい、おーい、おーい、おーい。俺の話を聞いてくれよ・・・寂しいんだよ・・・」
そんなこと言われても死人と話す事なんて・・・。
男は震えながら、とにかく早くどっか行ってくれることを願った。
耳を押さえ、ただベッドで震えていた・・・
そして気が付くと朝であった・・・
それからというもの、夜中になるとおじさんがアパートの近くで男を探すようになった。
「おーい、おーい・・・」
自分の寂しさを訴えながら男を捜すのである。
このままでは精神的にもやばくなりそうだし、あの世に連れていかれると思ったので男はすぐそこを引越したという。
あれから五年が経つがおじさんはまだアパートの前で自分を探しているのだろうか?
自分が住んでいた部屋に引越してきた新しい住人のことを自分と間違えて、尋ねて来ていなければ良いが・・・
男は心配していた。
そのアパートは、南向きの2階建てで、ある私鉄の駅から自転車で10分程度。
階段から一番遠い部屋が、その部屋だ。
思い当たる人は、どうか気をつけて・・・
42:
あり よく考えたらこれ人怖じゃねぇな
ちょい時間おくれ・・・・
43:
おもしろかったから問題なし
44:
これは人怖かな?短くてすまん
男は一週間振りに出張から家に帰ってきた。
出張前の掃除は必ず怠らないので、さっぱりとして気持ちいい帰宅。
男はシャワーを浴び、つまみを食べながらビールを飲む。
眠くなった男は寝室へ行き、部屋の明かりをつけようとスイッチに手をかけた。
「カチッカチッ」
あれ?
電球きれたのか?
部屋の明かりはつかなかった。
久しぶりの寝室に漂う緊張感に身をふるわせ、ベッドに滑り込んだ。
午前2時、ケータイの着信音が突然鳴り出した。
「あなたの家にいったら知らない女の人がいて…」
「ゆみこ?何言ってるの?」
男は彼女の言葉に心臓はバクバクなった。
…心当たりはある。
浮気を認めて謝るか、言い訳を考えるか。
いや待てまだ決断の時じゃない。
母親かもしれないし、もしかしたら管理人さんかも。
なんで管理人さん!?
あのおばちゃんが僕の不在を狙って部屋に入り何をしたんだ?
それはそれで怖いよ!
とりあえずシラを切り、適当に彼女の話しに合わせながら状況を判断しよう……
「で、何?……」
「殺した。ベッドの下置いといたから。」
45:
・・・・・・・
これは、ある男性が以前バイトしていたラーメン屋の話である。
---
その店はある地方都市の風俗街の中にあったので、出勤前の風俗嬢や風俗店の従業員の客が多かった。
かなり人気のある店だったが、その理由は「出前」にあった。
店の辺りには風俗店の寮(店側が女の子達の為に借りているアパート)が数多くあり、そこに住む風俗嬢からの出前が毎日何十件もあった。
そのほとんどがラーメンだけとか餃子だけとかの単品注文。
割に合わないから普通の店なら断るだろうけど、うちの店はむしろ喜んで出前をしていたので、人気が高かったのだ。
僕を含めてバイトは4人いて、2人組になって店内接客と出前を日替わりで分担していた。
僕はS男とペアを組んでいたが、あるとき彼が変なことを言い出すようになった。
46:
出前を届けるエリアは、僕はエリアの北側を、S男は南側を担当していた。
S男が届けている客に変な人がいるらしい。
その客はいつも同じ品(チャーハンだけ)を頼んでいた。
S男は声も聞いたことないし、顔も見たことないという。
その客が住んでいるアパートはちょっと変わっていて、ヤク中ぽい女たちや南米系の女たちなど、ヤバい風俗嬢たちが住んでいると噂になっている場所だった。
S男はいつも夕方6時ぴったりに、 そのアパートの三号室のドアの前にチャーハンを置いて帰ると言っていた。
なぜかというと、ウチの店にその辺一帯を取り仕切ってる風俗業者(いわゆるヤ○ザ系)の人が来て、マスターにそうお願いしたらしい。
マスターは、特殊な客や注文にも慣れっこだから、特に疑問も持たずOKしたそうだ。
実際、下手に詮索するとヤバいことになるから、このエリアの暗黙の了解ということだろう。
その事情を聞いて、バイト仲間同士でいろいろウワサした。
「指名手配中の犯人が住んでる」とか、
「部屋に見られちゃいけないものがある」とか。
S男は住人の顔も声も知らなかったんだけど、下げてきた食器に口紅っぽいものが付着していたことがあって、住人は女だと思っていたようだ。
僕や他のバイト仲間は、実際にそのアパートへ行ったことがなかったので特に気にしなかったが、S男はかなり気になってたようだった。
S男は顔馴染みの出前客に、それとなくあのアパートについて聞いてたんだけど、誰もが口をつぐんで話してくれなかったとか。
マスターも「あんまり関わると危険だぞ」って釘を刺すくらい、S男はそのアパートの住人に興味を持っていた。
47:
バイトが終わってS男と一緒に帰ってるときだった。
「俺…あの部屋のドアをノックしてみようかな…」
何か適当な理由を考えてドアをノックして、住人が出てくるのか確認したいという。
僕も面白がって「いいじゃん。ノックしてみなよ」と言ってしまった。
僕が3日バイトを休んで、休み明けに顔を出した日だった。
「お前、S男と仲良かったよな?」
とマスターが僕に聞いた。
「S男がどうかしたんですか?」
「一昨日から行方不明になってるんだよ」
僕は驚きを隠せなかった。
S男はその日、特に何の問題もなく仕事をしていた。
そしていつものとおり、『あの客』の出前も届けたという。
その出前から戻ってきて、しばらくは店内の接客をしてたんだけど、気がついたらいつの間にかいなくなってたらしい。
バイト仲間はトイレかな…とはじめは思ったらしいが、結局それきりS男は戻らなかった。
更衣室のロッカーに、私服もバッグも置いたまま消えてしまったんだ。
「S男から何か聞いてないか? 悩み事とか心当たりあるか?」
とマスターに聞かれた。
僕は確かにS男と仲が良かったが、失踪してしまうような悩みを抱えている様子は全くなかった。
マスターはS男が住むアパートも調べたらしいが戻った形跡はなく、S男の実家に連絡を入れて、家族が捜索願いを出したらしい。
服やバッグを置いたまま仕事中にいなくなり戻ってこないなんて、絶対に変だ。
「もしかして危険な事件に巻き込まれたのかな…」なんてバイト仲間同士で話してた。
僕は内心、
『アイツ、ドアを本当にノックして何か見ちゃったのかも…』
なんて考えたけど、このことはマスターにも言わなかった。
S男が失踪してからは、僕が例のアパートの担当となった。
いつもチャーハン一皿しか注文しなかった三号室の住人が、チャーハンを二皿注文するようになっていた。
僕はちょっと怖かった。
例の風俗業者(寮の管理人)が、S男の失踪後に店に来て頼んだそうだ。
「ひとつはグリーンピース抜きで」という注文も一緒に。
あのアパートの三号室に食器を下げに行くと、ドアの前に二枚重ねて食器が置かれている。
グリーンピースが大嫌いだったS男のことを思い出して、一瞬身震いがした。
拉致られたのかそれとも・・・・・
48:
これは色々なパターンがあるよね
「おまえ、早くしろよ」
男は支度をしている妻に向かって言った。
女ってやつは本当に時間がかかるもんだ。
「もうすぐだから。そんなに急ぐことないでしょ。…もう、ほら翔ちゃん、バタバタしないの!」
確かにせっかちだが、今さら仕方がない。
今年もあと少しで終わりか…。
男はスーツのポケットからタバコを取り出し、火をつけた。
「いきなりで、お義父さんとお義母さんビックリしないかしら?」
「なあに、孫の顔を見ればすぐに笑顔になるさ」
男は傍らで横になっている息子を眺めて言った。
「お待たせ。準備できたわよ。ねえねえ」
「なんだ?」
「あなた、ここ」
女房が男の首元を指差すので、触ってみた。
「あっ、忘れてた」
「もう、ほんとにそそっかしいんだから。こっち向いて」
「あなた…ずっと愛してるわ」
女房は男の首周りを整えながら、呟いた。
「何だよ、恥ずかしいじゃないか」
「たまにはいいでしょ、夫婦なんだし」
女房は下を向いたまま、照れながら微笑んだ。
「俺も愛してるよ」
こんなにはっきり言葉にしたのは本当に久しぶりだ。
少々恥ずかしかったが、悪い気分ではない。
男は、女房の手をきつく握った。
「じゃ、行くか」
「ええ」
男は、足下の台を蹴った。
49:
これは人怖なのかわからんがラストっちゅうことで
長年連れ添ってきた彼女と結婚を決めた、ある男がいた。
彼女は嫉妬心が強く、彼が別の女性と話をするだけで嫌な顔をする。
そんな彼女を鬱陶しく思うこともあったが、彼女は一途に自分を愛してくれるので、男は結婚を決めたのだった。
結婚式を終えて念願のマイホームも購入し、二人の新婚生活が始まった。
妻となった彼女は毎朝男を玄関から見送り、 夜は手の込んだ手料理を用意して待っていてくれた。
男にとって、とても幸せな新婚生活だった。
数年後、妻が初めて妊娠した。医者によると女の子だそうだ。
男は妻の妊娠を心から喜び、妻も自分のお腹をなでながら幸せを感じていた。
やがてお腹もぽっこり出てきて、男はそのお腹に耳を当てて、
毎朝毎晩、これから生まれてくる我が娘に話しかけた。
ある日、男の携帯に病院から連絡が入る。
妻が流産したのだ。
男は急いで妻が担ぎこまれた病院に向かった。
産婦人科の担当医が流産の事実を男に話した。
男は病室で寝ている妻のところへ向かった。
妻は悲しそうな目で窓の外を眺めていた。
男は「残念だったな…」と呟いた。
「…仕方ないね」と妻も呟いた。
その後、妻が振り絞るような声でこう続けた。
「また子供つくろう。死んじゃったあの子の分も生きられるような、元気な男の子をね…」
50:
赤いクレヨンみたいでゾワッと・・・・
二人の少年が病院の廃墟を探検しに出かけた。
その病院は、繁華街から少し離れた場所にある。
特に何かが出たという話は今まで聞いたことはなかったが、好奇心と怖い物見たさから少年たちは廃墟へ向かった。
廃墟の中には多くの病室があった。
病室にはベッドがあり、まるで誰かがさっきまで寝ていたように、かけ布団がめくれた状態でホコリをかぶっていた。
期待していたような怪奇現象に遭遇することはなかったが、お化け屋敷のような廃墟に、少年たちはワーワー言いながら騒いだ。
しかし、8階のある病室の前に来たとき、二人のはしゃぎ声が止まった。
この部屋はどうも様子が違う。他の部屋は扉が壊れていたり開けたままになっているのだが、その病室だけはしっかりと扉が閉まっているのだ。
さらにおかしなことは、南京錠がかけられていることだった。
何のためにこの病室だけ鍵をかけたのだろうか。
部屋の中には何があるのだろうか…。
少年たちは、その病室のドアを開けてみることに決めた。
『廃墟の封印された部屋』なんて、これほど好奇心をそそられるものはない。
二人は診察室からパイプ椅子を持ってきて、思いきり鍵を叩いた。
鍵は錆びていたようで、思ったより簡単に壊れた。
「死体があったらヤバいな…」
「それはないよ(笑)。あっても劇薬なんかだろ」
二人は緊張しながらドアを開けた。
51:
部屋の中には死体も劇薬もなく、
ただ、部屋の壁に変な模様があるのが気になった。
遮光性のカーテンのせいか、部屋は薄暗い。
部屋の中央を見ると、シーツのような布が落ちていた。
一人の少年がカーテンを開け、鍵がかかっていなかったので窓も開けた。
部屋の中に光がさし込み、明るく照らされる。
次の瞬間、二人は絶句してしまった。
部屋の壁一面にびっしり、『たすけて』と書かれていたのだ。
それが変な模様の正体だった。
大小様々な『たすけて』の文字をよく見ると、所々に小さな文字で『しにたくない』と書かれている。
二人は部屋の中央に落ちていた布を恐る恐る指でつまんでみた。
その布には、錆びた鉄の色をした染みがついていた。
布の先を持って広げてみる。
ベリッ、バリッと音を立てながら、くっついていた布が広がった。
この色、この臭い…。この染みが何であるか予想できたが、決して口には出せなかった。
とにかく早くこの部屋を出たい!
少年たちが振り返ると、ドアが目に入った。
ドアに酷く乱れた字で書かれていた言葉。
二人は恐怖で気が狂いそうになった。
『もうだめだここからでられないでられないでられないでられないでられない……』
二人は一目散に病院から逃げ出した。
一体だれが書いたのか。この部屋で何が行われていたのか…。
謎は解けないままである。
54:
読んでるよ!
56:
>>1チョイスが最高だな
55:
おっしゃーもうちょい続けるか
57:
もやが掛かった河原を歩いていると、人が二人争ってるのを見つけた。
慌てて駆け寄ると、女が二人…いや、髪が長いが一人は男だった。
着流し?に落ち武者みたいな長い髪だ。
そいつが馬乗りになって女性の首を絞めている。
相手は……
「母さん!?」 
私の母親だった。
苦しそうにうめいている。
私が「何やってやがんだ!」と叫ぶと男はこっちを振り向いた。
片方の目が潰れ、耳と鼻が削ぎとられ、歯も何本か無い。
開いている方の眼で私をギロリと睨んだ。
そしてこう言った。
『カツサダに、カツサダに眼ェとられた、あと1つ、あと1つコイツからもらう』
再び母の方に向き、今度は握りコブシで母の顔面をガンガン殴り始めた。
何とかして母を助けようと思った私は、ハッキリとは覚えてないが、咄嗟にこう叫んだ。
「眼が欲しいんならウチの眼ェくれてやる!母さん返せ!」と。
男は殴るのを止め、眼玉の無い顔をこっちに向け、ニヤ?っと笑った。
そして母から手を離し、私に向かって飛び掛って来た。
58:
視界は真っ暗になり、目が覚めたときには汗びっしょりだった。
それだけじゃない、私は起きる瞬間まで、自分の左まぶたを自分の左手でガリガリガリガリ引っ掻き続けていたのだ。
その痛みで目が覚めたんだ。
その日、眼球がパンパンに腫れ、眼科に行くハメになった。
医師曰く
「失明の心配は無いが、レンズに傷が付いてるので視力低下は免れない」との事だった。
おかげで今も視力は1.5と0.3である。
後日、お彼岸か何かで母方の実家に集まる事があり、母がこんな話をした。
「夢の中で知らない男に首を絞められて、死にそうになったんだけど、この子(私)の『お母さん、お母さん!』って声が聞こえてフッと楽になったんよ」
私は驚き自分が見た夢の話をした。
母はボロボロ涙を流しながら、祖母は嗚咽でしきりに謝り始めた。
「ゴメンなぁ、ゴメンなぁ」
59:
そして祖母はこんな話を始めた。
母方の7、8代前の先祖に『カツサダ』という男が居て、藩の牢番の職につき、特に拷問の役を任されていた。
残忍な性格の男で、拷問の途中しばしば『事故』と称しては罪人をいたぶり殺していたそうだ。
焼きゴテを当て、両目を潰し、爪を剥がし、歯を抜き、耳や鼻を削ぎ落とし、陰茎を切り取って罪人自身に食べさせたり。
それはそれは陰惨な行いだった。
『カツサダ』の死後も大いに祟り、一族内で凶事が続いたため、本家では毎年一回、地鎮祭というか厄払いみたいなのをやっていたらしいのだが、その年はたまたま祖母が入院してた為に行われなかったのだ。
祖母はその事をしきりに謝り、こう続けた。
祖母が嫁に来た年、祖父が26の時。
たまたま結納時期と被り、その年もお払いをやらなかったそうだが、祖父も私と同じような夢を見たのだという。
夢の中、祖父が河原を歩いていると両目の無い男が現れ、顔を鷲づかみにし『カツサダぁ 眼ェ返せ』と祖父の右眼をえぐり取っていった。
そんな夢だ。
その時期から祖父は白内障を患い始め、半年の間に右目は失明してしまった。
生前祖父の白く濁った右眼を何度も見ているので周知であった。
「『両目の無い男』って言うたよね、ウチの夢では片方あったんやけど」
愚問だった。
祖母は当然のごとく言った。
「そりゃ片一方は爺さんの眼だぁな、目ぇ覚めるに男が『次は左眼を返してもらう』て言うたんだと」
「○○(私の名前)には悪いことをしたがぁ、両目が揃えばもうアレも出ぇへんやろう」
私は震えが止まらなかった。
視界が真っ暗になり左眼の痛みと共に目覚める瞬間、あの男は確かに私にこう囁いたのだ。
『次は耳を返してもらう』と。
61:
きっとまた夢の中にあの男は出てくるんだろう。
私の子供か、それとも孫の代か、今度は両目が揃った、耳の無いアイツが。
眼 耳 鼻 歯 命
奪われたモノを全部取り返すまであの男は夢に出てくるんだろう。
『カツサダ』の子孫を恨み続けるのだろう。
子孫?
「ハハ…ザマぁ見ろ!」
私は独り毒づく。
私は ゲ イ なんだ。
62:
>>61
カツサダが危ない!!
64:
>>62
というかカツサダの血脈が途絶えるww
65:
>>64
あぁ、そういう意味か、てっきり男が死んだらカツサダが掘られるのかと思ったわ
63:
これはどういうことなんでしょうねぇ・・・
ある人が今も住んでいる家で体験したという話。
今住んでいる場所は特に曰くも無く、昔から我が家系が住んでいる土地なので、この家に住んでいれば、恐怖体験は自分には起こらないと思っていた。
ここ最近、リビングにいると昼夜を問わず、女性の低い声で鼻歌が聴こえてくるようになった。
「ん?…ん?ん?…」
最初はよく耳をすまさなければ気付かないほど、遠くから聴こえてくるのだが、放っておくとどんどん近づいてくる。
「ん?…ん?ん?…」
それでも放っておくと、意識を集中しなくても聴こえるほどに近づいてくる。
「ん?…ん?ん?…」
その声に気づいたら、いつも般若心経の最後の部分を繰り返し唱えるようにしている。
(これしか知らないのだが……)
とにかく般若心経の「ぎゃーていぎゃーてい」のくだりを唱え続けると、声はだんだん遠ざかっていくのだった。
このせいで、リビングではテレビにも集中できない。
声が聴こえ始めるのは完全に不定期だし、早く声に気付いて般若心経を唱え始めなければ、時としてそれは部屋にまで入ってきてしまう。
「ん?…ん?ん?…」
そういえばこの前、大好きなバンドのニューアルバムが発売された。
発売日を楽しみにしていたもので、お店で買った時はもうテンション↑↑だった。
さっそく家に帰ってヘッドフォンで聴いて、一通り聴き終え、「よかったな?」と余韻に浸りながらヘッドフォンを取ると……
耳元で
「んーーーーーーーーーーー」
って。
66:
ヒェッ・・・
少女がまだ4?5歳の頃の話だ。
当時家には風呂が無く、よく母親と銭湯に行っていた。
まだ小さかったので母親と一緒に女湯に入っていた頃である。
ある日のこと、身体を洗った後飽きてしまった少女は、湯船の中でプールよろしく遊んでいた。
今まで知らなかったが、湯船の横から階段になりドアが付いていることに気が付いた。
(何処そうなっていたのかは不明)
少女はふと、そのドアが気になって階段を昇りドアの前まで行ってみた。
すると、ドアノブの直下には大きな鍵穴がある。
ワクワクして鍵穴を覗いてみたのだ。
・・・・・向こう側は何かに覆われて見えない。
「なんだ、ツマらない。」
少女はいったん顔をドアから離した。
少しして、何を思ったかもう一度鍵穴を覗き込んでみることにした。
今度はぼんやりとした明かりの中、ボイラーとおぼしき器械が見える。
「わースゴい。」
少女は夢中になっていた。
その時、ドアの向こうに気配を感じたのか、それとも何かが知らせてくれたのか……
何故か少女は突然目を鍵穴から離し、身を引いた。
そして次の瞬間、鍵穴からマイナスドライバーの先端が狂ったように乱舞していた。
少女は息を呑みそこを離れたが、恐怖のあまり母親にさえそのことを話すことが出来なかった。
67:
まだ子供の少女は、あの出来事も攻で忘れて日々を過ごしていた。
間もなく引っ越すことになり、家の大掃除した後、またあの銭湯に行ったのだった。
少女は大掃除で見つけた色々なガラクタを、後生大事に持っていった。
少女は例によって風呂の中で遊んでいるうち、あのドアの鍵穴のことを思い出した。
しかしあの恐怖を忘れてしまっていた少女は、ガラクタを入れた洗面器を抱えて鍵穴を覗きに行った。
また、向こう側は何かに覆われていて何も見えない。
少女はガラクタの中にあった箸を取り出し、おもむろに鍵穴に突っ込んだ。
その瞬間、ドアの向こうでのドタバタする気配にたじろいだ少女は、箸から手を離した。
箸はブルブル震えながらそのままあったが、やがてこちら側に落ちてきた。
先から数センチが折れてる。
少女はまた母親に何も言わなかった。
その日を最後に、少女は家族と隣の市へ引っ越して行ったのだった。
数年後、小学生になった少女は、かつて住んでいたあの町に遊びに行った。
真っ先に子供の社交場でもあった、神社の境内に赴く。
そこに行けば昔の友達に会えると思ったからだ。
しかし、予想に反して、そこには誰もいなかった。
いや、境内の裏の大木の前で、一心不乱に何かをやっている大きな男が居る。
その瞬間、かつての記憶が蘇ってきた。
彼は我々から“ミッキー”と呼ばれ、怖れられていた青年だ。
透明に近いシルバーの髪、兎の様な赤い目、今考えるとアルビノであったのかもしれない。
そして彼は病的に粗暴で、メンコやベーゴマに興じる少女達の中に乱入しては、物を取り上げたり殴りつけたりを繰り返す素性が不明の人物だった。
その彼が目の前に居る。
少女は金縛りにでもあったかの様に動けなくなり、話し掛けることも逃げることも出来なかった。
彼は動作を止めると、ゆっくりとこちらを向いた。
彼の片方の目が潰れていた。
69:
怖い話はやっぱりおもしろいな
71:
ぽまいらも気を付けるように
これは、白神山地は熊の湯温泉宿の主人の話である。
ある日の夕方、この熊の湯温泉宿の主人のもとに「山菜採りが滑落遭難した」との一報が入ったという。
主人が現場に駆けつけると、既に地元警察や救助隊が駆けつけており、サーチライト点灯の準備をしていた。
そしてその横で、五十手前の男が泣きながら「早く女房を助けて下さい」と懇願していた。
その地点は白神ラインの天狗峠と明石大橋の中間地点で、ガードレール下は急峻な崖であった。
生き残った夫の話によると、「夫婦で山菜採りに来ていたが、ふと目を離した隙に妻が悲鳴を上げていなくなった」のだという。
季節的にも白神山地はまだ寒く、サーチライト点灯を待つ救助隊員や警察官たちは焚き火にあたって暖を取っていた。
その横で遭難者の夫が「火なんかに当たってないで早く妻を助けてくださいよ!」と恨めしそうに懇願していた。
やがてサーチライト点灯の用意が出来て、強い光が谷底に投射された。
少しずつ光の輪を横にずらしながら、遺体の捜索が始まる。
やがて、「あっ」と誰かが叫び、サーチライトの光が止まった。
(なんてこった、まず生きてはいまい)
主人は内心そう思ったという。
ガードレール下はるか200mほどの地点、岩が大きく張り出した谷の途中に女性が倒れていたのだ。
救助隊員が拡声器で呼びかけたが、何の反応もなかったという。
絶命している。
主人だけでなく、救助隊の誰もがそう直感したそうだ。
72:
しかし、発見地点は下手すれば二重遭難しかねない急峻な崖である。
主人と救助隊は谷底に降りる方法を相談し始めていると、 遭難者の夫が半狂乱になりながら救助隊に詰め寄ってきた。
「早く助けて下さい! 女房が呼んでるじゃないですか!」
「もう少し待ってください、慌てるとロクなことがない」と救助隊員は必死になって男をなだめたが、男は聞く耳を持たない。
早く助けてくれと、もう少し待ってくれの押し問答が続いた、その時だった。
男が呻くように言ったという。
「あぁ……なんであんたたちには聞こえないんだ! 女房が呼んでるのが聞こえないのか!?」
その瞬間だった。
男がバッと急に走りだしたかと思うと、あろうことかガードレールを飛び越えてしまったのだ。
その悲鳴が救助隊員を凍りつかせた。
男の身体が岩に激突しながら落下する音が不気味に響いたという。
慌てて救助隊員たちが崖下を見ると、サーチライトの輪の中に、さっきの男が倒れていた。
不思議なことに、男の遺体は妻のすぐ側に倒れていて、まるで『助けに来たぞ』と言っているように見えたという。
「なんてこった……」
主人がそう呟いた時だった。
一台の車が現場にやってきて、三十代になるかならないかという男が駆け下りてきた。
「うちの親が落ちたって聞いたんですが」
73:
遭難者の息子だった。
誰もが絶句し、「今引き上げるところだから、下は見るな」と誰かが言った、次の瞬間だった。
「そんなこと言ったって、うちの親父とおふくろが谷底から呼んでるじゃないですか」
救助隊が絶句していると、息子がガードレールに駆け寄ろうとした。
咄嗟に、それを警官の一人が取り押さえた。
「止めろ止めろ止めろ! でないとコイツまで連れてかれるぞ!」
その警官がそう怒鳴った瞬間、その場にいた警官が一斉に息子に跳びかかり、息子を取り押さえた。
「何するんだ! 親父とおふくろが呼んでるのが聞こえないのか!?」
息子は半狂乱になってそう怒鳴るが、そんな声など息子以外の誰にも聞こえていなかった。 あまりにも暴れるので、結局、息子は警官に両脇を抱えられ、パトカーの後部座席に連行された。 まるで山岳救助の現場とは思えない、異様な光景であった。
しかし息子は「親父とおふくろが呼んでる」と唸り続けるわ、隙あらばパトカーの外に飛び出そうとするわで、ほとほと手を焼いた。
しかし数時間後、両親の遺体が谷底から引き上げられた途端、まるで憑き物が落ちたようにおとなしくなった。
息子は両親の遺体にすがって号泣していたが、先程までとあまりに違う息子の態度に誰もが改めてゾッとしたという。
74:
最後に長編を投下して俺は止めようと思う 何か変な気分になってきたもんでね。
準備おk?
75:
おけ
76:
この話を読んだら、昔の仲間なら男が誰だか分かってしまうだろう。
ばれたら相当やばい話なのだという。
まだ生きてるって知られたら、また探しにかかるはずだ。
「でも俺が書かなきゃ、あの井戸の存在は闇に葬られたままだ。」
だから男はこの話を書こうと思ったのだという。
---
文章作るの下手だし、かなり長くなってしまった。
その上怪談ではないから、興味の湧いた人だけ読んで欲しい。
今から数年前の話。
俺は東京にある、某組織の若手幹部に使われてた。
Nさんって人。
今やそういう組織も日々の微妙にヤバい仕事は、ですよ。
それも組織じゃなく、個人が雇うの。
警察が介入してきたら、トカゲの尻尾切りってやつね。
その代わり金まわりは、かなり良かったよ。
俺は都内の、比較的金持ちの日本人、外国人が遊ぶ街で働いてた。
日々のヤバい仕事っていうとすごそうだけど、実際に俺がやってたのは、ワンボックスで花屋に花取りに行って、代金を払う。
その花を俺がキャバクラから、高級クラブまで配達する。
キャバクラ行くと、必ず花置いてあんだろ?あれだよ。
で、花配りながら、集金して回る。
もちろん花屋に渡した代金の、3?5倍はもらうんだけどね。
3万が10万、5万が25万になったりするわけよ。
月に3千万くらいにはなったね。
俺がやるヤバい仕事ってのは、最初はその程度だった。
それでも結構真面目にやってた。
相手も海千山千のが多いからさ。
相手が若僧だと思うと、なめてかかって、値切ろうとするバカもいるんだよね。
その度に暴力沙汰起こしてたんじゃ、仕事になんないわけだ。
起こす奴もいるけど。
でも警察呼ばれたら負けだからね。
次から金取れなくなるから、組から睨まれる。
タダじゃすまんよ。
77:
そういう時、俺は粘り強く話す。
話すけど、肝心なトコは絶対譲らない。
一円も値切らせないし、ひとつの条件もつけさせない。
前置き長くなったけど、まあうまくやってるってんで、Nさんの舎弟のSさん、Kさんなんかに結構信頼されるようになった。
それで時々花の配達に使ってるワンボックスで、夜中に呼び出されるようになった。
積んでるのは、多分ドラム缶とか段ボール。
荷物積む時は、俺は運転席から出ない事になってたし、後ろは目張りされてて、見えないから。
それでベンツの後ろついてくだけ。
荷物を下ろしたら、少し離れたところで待たされて、またベンツについて帰って、金もらって終了。
何を運んでたなんて知らない。
その代わり1回の仕事で、花の配達の1ヶ月分のバイト代をもらえた。
ある夜、また呼び出された。
行ってみると、いつもとメンツが違う。
いつもはSさんかKさんと、部下の若い人だった。
ところがその日は、幹部のNさんがいて、他にはSさん、Kさんの3人だけ。
3人とも異様に緊張してイラついてて、明らかに普通じゃない雰囲気。
俺が着いても、エンジン切って待ってろって言ったまま、ボソボソ何か話してた。
「・・・はこのまま帰せ」
「あいつは大丈夫ですよ。それより…」
途切れ途切れに会話が聞こえてたけど、結局俺は運転していく事になった。
何だか嫌な予感がしたけどね。
後ろのハッチが開いて、何か積んでるのが分かった。
でも今回はドラム缶とか、段ボールじゃなかった。
置いた時の音がね、いつもと違ってた。
重そうなもんではあったけど。
更に変だったのが、SさんとKさんが同乗した事。
いつもは俺一人で、ベンツについてくだけなのに。
しかもいきなり首都高に入った。
あそこはカメラもあるし、出入口にはNシステムもあるから。
こういう仕事の時は、一般道でもNシステムは回避して走るのに。
78:
首都高の環状線はさ、皇居を見下ろしちゃいけないとかでさ、何ヵ所か地下に入るよね。
恥ずかしながら俺は運転には自信あるけど、道覚えるのは苦手なんだよね。
方向音痴だし。
多分環状線を、2周くらいしたと思う。
車が途切れたところで、突然Nさんが乗るベンツが、トンネルの中でハザード出した。
それまでSさんもKさんもひと言もしゃべらなかったけど、Sさんが右の車線に入って止めろって。
言われるままに止めたよ。
そこって合流地点だった。
で、中洲みたいになってるとこにバックで車入れろって言うから、その通りにして、ライト消した。
両側柱になってて、普通に走ってる車からは、振り返って見たとしても、なかなか見つけられないと思う。
まあ見つけたとしても、かかわり合いにならない方が良いけどね。
Nさんが乗ったベンツは、そのまま走り去った。
SさんとKさんは、二人で荷物を下ろしてたけど、俺にも下りて来いって。
俺はこの時も、嫌な予感がした。
今まで呼ばれた事なんて無かったし。
SさんとKさんが、二人で担ぎ上げてるビニールの袋。
映画とかでよく見る、死体袋とかいう黒いやつ。
もう中身は、絶対に人間としか思えない。
とんでもない事に巻き込まれたって思って、腰が痛くなった。
多分腰抜ける寸前だったんだろう。
何で組の人じゃなくて、俺なの?ってその時は思った。
その理由も後になれば分かったんだけど。
で、Sさんがポケットに鍵があるから、それ使って金網の扉の鍵開けろって言うから、言う通りにした。
金網開けて、5?6メートルでまた扉にぶつかる。
扉というより、鉄柵って感じかな。
だって開ける為の把手とか無いし、第一鍵穴すら見当たらない。
どうすんだろうな?と思ったら、またSさんが別のポケットを指定。
今度は大小ひとつずつの鍵。
コンクリの壁にステンレスの小さい蓋が付いてて、それを小さい方の鍵で開ける。
中に円筒形の鍵穴があって、それは大きい方の鍵。
それを回すと、ガチャって音がして、柵が少し動いた。
右から左に柵が開いた。
壁の中まで柵が食い込んでて、その中でロックされてる。
鍵を壊して侵入は出来ない構造らしい。
79:
更に先はもう真っ暗。
マグライトをつけて先に進んだけど、すぐに鉄扉に当たった。
『無断立入厳禁 防衛施設庁』って書いてあった。
これは不思議だった。
だってここ道路公団の施設だよね?
ていうか、こんなとこ入って平気なのかなって思った。
まあこの人たちのやる事だから抜かりは無いとは思うんだけど、監視カメラとかあるんじゃないのって不安になった。
まあ中に進んだら、もっと不思議なもんが待ってたんだけどね。
鉄の扉もさっきの鉄柵と同じ要領で開いて、俺たちは中に入った。
SさんもKさんもうっすら汗かき始めてて、随分重そうだったけど、運ぶの手伝えとは言わなかった。
中に入るとすぐ階段で、ひたすら下に下りて行った。
結構下りた。
時々二人が止まって、肩に担ぎ上げた「荷物」を担ぎ直してた。
階段を下りると、ものすごく広い通路が左右に伸びてた。
多分幅10mくらいあったと思う。
下りたところでひと休みした。
通路はところどころ電灯がついてて、すごく薄暗いけど一応ライトは無しで歩けた。
俺たちは反対側に渡って(って言いたくなるくらい広い)、左手に向かって進んだ。
時々休みながら、どれくらい進んだかな。
通路自体は分岐はしてない。
ひたすら真っ直ぐで、左右の壁に時々鉄の扉がついてる。
ある扉の前でSさんが止まって言った。
「これじゃねえか。これだろ」
そこには『帝国陸軍第十三号坑道』そう書いてあった。
字体は古かったけど。
信じられる?
今の日本にあるのは、陸上自衛隊でしょ。
何十年も前のトンネルなのか、これは?
80:
SさんもKさんも汗だくで息も荒くなってたから、扉を入ったところで、また「荷物」を下ろして休憩する事にした。
二人とも無言だったから、俺も黙ってた。
しばらくして、Sさんがそろそろ行こうって言って、袋の片側、多分『足』がある側を持った。
そしたら…
『袋』が突然暴れた。
Sさんは不意を突かれて手を放してしまい、弾みで反対側の袋の口から、顔が出てきた。
猿ぐつわを噛まされた、ちょっと小太りの男。
どっかで見たことある…
それもあるけど、分かっていながらも、袋からリアルに人が、しかも生きた人が出てきた事にビビッて、俺は固まってた。
SさんがKさんに
「おい何で目を覚ました!」
「クスリ打てクスリ!」
「袋に戻せ!」
とか言ってるのが聞こえた。
Kさんはクスリは持って無いとか、何とか答えてた。
その間も『袋』は暴れてた。
暴れてたというか、体を縛られてるらしく激しく身をよじって、袋から出ようとしていた。
するとSさんが、袋の上から腹のあたりを踏んづけるように蹴った。
一瞬『袋』の動きが止まったけど「ウ?!」とすごい唸り声を上げながら、また暴れ出した。
Sさんは腹のあたりを、構わず蹴り続けた。
それでも『袋』は暴れ続けた。
やがてKさんも加わって、二人で滅茶苦茶に蹴り始めた。
パキって音が2、3回立て続けにした。
多分肋骨が折れたんだと思う。
『袋』の動きが止まった。
その時なぜか男は頭を振って、俺に気が付いた。
それまですごい形相で暴れていた男が、急に泣きそうな顔で俺を見つめた。
Sさんが「袋に戻せ」と言うと、Kさんが男の肩のあたりを足で抑えながら、袋を引っ張って、男を中に戻した。
今でもその光景は、スローモーションの映像のまま、俺の記憶に残ってる。
男は袋に戻されるまで、ずっと俺を見てた。
一生忘れられない。
81:
Kさんが袋の口をきつく縛るのを確認すると、Sさんは更に数回、袋を蹴った。
「これくらいかな。殺しちゃまずいからな」
Sさんはそう言って、俺を見た。
「お前、こいつの顔を見たか」
「いえ…突然だったんで、何が何だか」
そう答えるのが、精一杯だった。
その時は本当に、どこかで見たような気がしたけど思い出せなかった。
SさんとKさんは、再び動かなくなった『袋』を担ぎ上げた。
それまでと違うのは、真ん中に俺が入ったこと。
もう中身を知ってしまったので、一連托生だ。
それからその13号坑道ってやつを延々歩いた。
今までの広い通路とはうって変わって、幅が3mも無いくらいの狭い通路だった。
右手は常に壁なんだけど、左手は時々、下に下りる階段があった。
幅1mちょいくらいの階段で、ほんの数段下りたところに扉がついてた。
何個目か分かんないけど、Sさんがある扉の前で止まれって言った。
そこもまた『帝国陸軍』。
『帝国陸軍第126号井戸』って書いてあった。
(128だったかも。偶数だった記憶があるけど忘れた)
それでSさんに言われるまま、中に入った。
中は結構広い部屋だった。
小中学校の教室くらいはあったかな。
その真ん中に、確かに井戸があった。
でも蓋が閉まってるの。
重そうな鉄の蓋。
端っこに鎖がついてて、それが天井の滑車につながってた。
滑車からぶら下がっているもうひとつの鎖を引いて回すと、蓋についた鎖が徐々に巻き取られて、蓋が開いてく仕掛けになってた。
82:
Kさんが袋の口をきつく縛るのを確認すると、Sさんは更に数回、袋を蹴った。
「これくらいかな。殺しちゃまずいからな」
Sさんはそう言って、俺を見た。
「お前、こいつの顔を見たか」
「いえ…突然だったんで、何が何だか」
そう答えるのが、精一杯だった。
その時は本当に、どこかで見たような気がしたけど思い出せなかった。
SさんとKさんは、再び動かなくなった『袋』を担ぎ上げた。
それまでと違うのは、真ん中に俺が入ったこと。
もう中身を知ってしまったので、一連托生だ。
それからその13号坑道ってやつを延々歩いた。
今までの広い通路とはうって変わって、幅が3mも無いくらいの狭い通路だった。
右手は常に壁なんだけど、左手は時々、下に下りる階段があった。
幅1mちょいくらいの階段で、ほんの数段下りたところに扉がついてた。
何個目か分かんないけど、Sさんがある扉の前で止まれって言った。
そこもまた『帝国陸軍』。
『帝国陸軍第126号井戸』って書いてあった。
(128だったかも。偶数だった記憶があるけど忘れた)
それでSさんに言われるまま、中に入った。
中は結構広い部屋だった。
小中学校の教室くらいはあったかな。
その真ん中に、確かに井戸があった。
でも蓋が閉まってるの。
重そうな鉄の蓋。
端っこに鎖がついてて、それが天井の滑車につながってた。
滑車からぶら下がっているもうひとつの鎖を引いて回すと、蓋についた鎖が徐々に巻き取られて、蓋が開いてく仕掛けになってた。
83:
オレは言われるままに、どんどん鎖を引っ張って、蓋を開けていった。
完全に蓋が開いたとこで、二人が『袋』を抱え上げた。
もう分かったよ。
この地底深く誰も来ない井戸に、投げ込んでしまえば二度と出てこないもんね。
でもひとつだけ分からない事があった。
なんで「生きたまま」投げ込む必要があるの?
二人は袋を井戸に落とした。
ドボーン!水の中に落ちる音が、するはずだった。
でも聞こえてきたのは、バシャッて音。
この井戸、水が枯れてるんじゃないの?って音。
SさんとKさんも、顔を見合わせてた。
Sさんが俺の持っているマグライトを見て顎をしゃくってみせ、首を傾げて井戸を覗けってジェスチャーをした。
マグライトで照らしてみたけど、最初はぼんやりとしか底まで光が届かなかった。
レンズを少し回して焦点を絞ると、小さいけど底まで光が届いた。
光の輪の中には『袋』の一部が照らし出されてる。
やっぱり枯れてるみたいで、水はほとんど無い。
そこに手が現れた。
真っ白い手。
さらにつるっぱげで、真っ白な頭頂部。
あれ、さっきの『袋』の人、つるっぱげじゃ無かったよな。
ワケが分かんなくて、呆然と考えていたら、また頭が現れた。
84:
え? 二人?
ますます頭が混乱して、ただ眺めてたら、その頭がすっと上を向いた。
目が無い。
空洞とかじゃなくて、鼻の穴みたいな小さい穴がついてるだけ。
理解不能な出来事に、俺たちは全員固まってた。
しかも2人だけじゃ無さそうだ。
奴らの周囲でも、何かがうごめいている気配がする。
何だあれ? 人間なのか? なぜ井戸の中にいる? 何をしている?
その時、急に扉が開いて、人が入ってきた。
俺は驚いてライトを落として、立ち上がってた。
SさんとKさんも。
入ってきたのは、Nさんだった。
Nさんは俺たちを見て、怪訝そうな顔をした。
「S、もう済んだのか」
Sさんは少しの間、呆然としていたけど、すぐに答えた。
「済みました」
Nさんは俺たちの様子を見て、俺たちが井戸の中身を見た事を悟ったみたいだった。
「見たのか、中を」
俺たちはうなずきもせず、言葉も発しなかったが、否定しないことが肯定になった。
「さっさと蓋閉めろ」
言われて俺は、慌てて鎖のところに行って、さっきとは反対側の鎖を引いて回した。
少しずつ蓋が閉まっていく。
「余計な事を考えるんじゃねえ。忘れろ」
そう言われた。
確かにそうなんだけど、ぐるぐる考えた。
85:
殺しちゃまずいって、Sさんは言ってた。
Sさん自身も、なぜ殺しちゃだめなのか、知らなかったんだと思う。
生きたまま落とした理由は?
生きたまま……あの化け物のような奴らがいるところへ。
考えたく無くなった。
俺たちは来た道を戻り、車で道に出た。
今度はSさん、Kさんは、Nさんのベンツに乗っていった。
そしてそれが3人を見た最後になった。
俺は思い出していた。
あのとき『袋』に入っていた男の顔を。
最近出所してきた、会長の3男だった。
出来の悪い男というウワサだった。
ケチな仕事で下手を踏み、服役していたらしい。
俺は2、3回しか顔を合わせた事が無かったが、大した事無さそうなのに、威張り散らしてヤな感じだったのを覚えてる。
だからといって、会長の息子を殺すのはアウトだよ、死体を隠したっていずれバレる。
それでも出来るだけバレないように、俺を使って運んだんだろうけど。
あの出来事から2週間くらいして、Nさんが居なくなった、お前も姿をくらませって、Sさんから電話があった。
バレたんだ。
会長の息子を殺ったのを。
組から距離をおいていたのが幸いして、俺は逃げ延びる事ができた。
SさんやKさんがどうなったのかは知らない。
あれから数年、俺は人の多い土地を転々としている。
これはあるネットカフェで書いた。
もうすぐネットカフェも、身分証を見せないと書き込めなくなるらしい。
これが最後のチャンスだ。
組の人たちがこれを知れば、どこから書いたのか、すぐに突き止めると思う。
だから俺はこの街には、二度と戻ってこない。
86:
誰かあの井戸を突き止めて欲しい。
なぜあの井戸に、暴力団なんかが鍵持って入れるのか。
そうしたら俺の追っ手は、皆捕まるかも知れない。
俺は逃げ延びたい。これからも逃げ続けるつもりだ。
一体何がいたんだろうな・・・・
87:
最後は都市伝説みたいになってしまったが俺からはこれで終わり
ぽまいらも怪談や都市伝説知ってたら教えてちょ
88:
なにこれ凄いおもしろい
89:
もう終わりか
90:
すっげー面白かった
91:
あ これも好きそうな人いそうだな・・・
最期と言ったけど投下していい?これも長いけど
92:
OKだよ!
93:
じゃいくで!
パンドラ後日談あり
その町はのどかな田舎町で、目立った遊び場などもなかったが、一つだけとても目を引くものがあった。
町の外れ、たんぼが延々と続く道にぽつんと建っている一軒の空き家。
一見するとただの古びた空き家だが、目を引く理由があったのだ。
一つは、村の大人たちの過剰な反応。
その空き家の話をしようとするだけで子供たちは厳しく叱られ、時にはひっぱたかれることもあった程だ。
もう一つは、なぜかその家には玄関が無かったということ。
以前に誰かが住んでいたとしたら、一体どうやって出入りしていたのか?
そういった謎めいた要素が興味をそそり、いつからか『パンドラ』と勝手に名付けられるようになって、当時の子供たちの一番の話題になっていたのだった。
その村に住むA子という少女が中学に上がった頃、ある男子がパンドラの話に興味を持ち、「ぜひ見てみたい」と言いだした。名前はB男とする。
当時A子と仲の良かったC夫・D介・E美と、B男を含めた5人で話をしている時にたまたまその話題になり、他県から引っ越してきたばかりだったB男が話に食い付いたのだった。
A君はこの話を聞くと、「何を隠してるのかオレたちで突き止めてやろうぜ!」と、意気揚揚として言い出した。
親に怒られるのを恐れたA子たちは最初こそ渋っていたが、今までそうしたくとも出来なかったうっぷんを晴らせるということで、結局みんな同意。
いつも遊ぶ時によくついてくるE美の妹を含めた6人で、日曜の昼間に集合した。
なぜか各自リュックサックを背負って菓子などを持ち寄り、まるで遠足のような感覚で浮かれまくっていた。
94:
前述の通り問題の空き家は玄関がないため、中に入るには一階のガラス戸を割って入るしかなかった。
入ってみると、そこは居間だった。
左側に台所、正面の廊下に出て左には浴室、右には2階へ続く階段。
昼間なので部屋の中は明るかったが、玄関が無いせいか廊下のあたりは薄暗く見えた。
家具もなく、人が住んでいたような形跡は皆無で、居間も台所もごく普通のものだった。
「普通だな?何かしら物が残ってると思ったのに。」
男3人はつまらなそうにお菓子をボリボリ食べ始めた。
「てことは、秘密は2階かな」
A子とE美はE妹の手を取りながら2階に向かおうと廊下に出た。
しかしその瞬間、2人は心臓が止まりそうになる。
左に伸びた廊下の途中にある浴室と、突き当たりにあるトイレのちょうど中間あたりに鏡台が置かれ、真ん前につっぱり棒のようなものが立てられていた。
そして、その棒には髪の毛がかけられていたのだ。
どう表現すればいいのだろうか、カツラのように髪型として形を成したもの、ロングヘアの女性の後ろ髪がそこにあるという感じだ。
まるで『女が鏡台の前で座ってる姿』を再現したような光景。
一気に鳥肌が立ち、「何なのこれ!?」と軽くパニックになるA子とE美。
95:
何だ何だ?と廊下に出てきた男3人も、意味不明な光景に唖然となった。
「どうする…?廊下通んないと2階に行けないぞ」
とB男が言ったが、A子とE美、D介の3人は予想外な展開に完全に探索意欲を失ってしまった。
「あれを見ないように行けば大丈夫だって。何か出てきたって階段降りたらすぐ出口だぜ?」
B男・C夫の両人はどうしても2階を見たいらしく、引け腰の3人を急かす。
しかし次の瞬間、A子はあることに気が付いた。
E美の妹がいないのだ。
96:
A子たちは唯一の出入口であるガラス戸の前にいたので、外に出たという事はありえない。
「もしかして上に行ったんじゃ…」
その一言に、全員が廊下に出て階段を駆け上がった。
階段を上り終えると部屋が二つあり、まずは正面のドアを開けた。
中には何もなく、E妹の姿もない。
「あっちだな」A子たちはもう一方のドアに近付き、ゆっくりと開けた。
E妹はいた。
が、A子たちは言葉も出せずその場で固まってしまった。
なぜならその部屋の中央には、下にあったものと全く同じものがあったのだ。
鏡台とその真ん前に立てられた棒、そしてそれにかかった長い後ろ髪。
再び異様な恐怖に包まれ、全員立ち尽くしたまま動けなくなってしまった。
「姉ちゃん、これなぁに?」
不意に彼女は鏡台に近付き、三つある引き出しの内の一番上の引き出しを開けた。
E妹がその引き出しから取り出して、A子たちに見せたもの…。
それは、筆のようなもので『禁后』と書かれた半紙だった。
97:
意味がわからず、E妹を見つめるしかない全員。
E妹は構わずその半紙をしまって引き出しを閉め、今度は二段目の引き出しから中のものを取り出した。
全く同じもの、『禁后』と書かれた半紙だった。
何が何だかわからず、A子はガタガタと震えるしか出来なかった。
E美が妹に駆け寄り、半紙を取り上げて引き出しにしまおうとした。
この時、E妹が半紙を出した後にすぐに二段目の引き出しを閉めてしまっていたのが問題だった。
慌てていたのかE美は、二段目ではなく三段目の引き出しを開けてしまったのだ。
その途端、E美は動かなくなった。
黙ってじっと中を見つめたまま、微動だにしない。
「どうした?何だよ!?」
みんなで二人に駆け寄ろうとした瞬間、
ガンッ!!
と大きな音をたてて、E美が引き出しを閉めました。
そして突然、肩より長いくらいの自分の髪を口元に運び、むしゃむしゃとしゃぶりだしたのだ。
「どうした!?」
「E美?しっかりして!」
みんなが声をかけても反応は無く、ひたすら自分の髪をしゃぶり続けている。
その行動に恐怖を感じたE妹が泣き出してしまった。
「とにかく帰るぞ! ここにいたくねえ!」
E美を男三人が抱え、私はE妹の手を握り急いでその家から出たのだった。
98:
空き家から一番近かったA子の家に駆け込み、A子は大声で母親を呼んだ。
泣きじゃくるA子たちとE妹、汗びっしょりで茫然とする男3人、そして奇行を続けるE美。
声を聞いたA子の母が何事かと現れた。
「お母さぁん!」
泣きながら事情を説明しようとしたとき、母親はA子と男3人を突然ビンタで殴り、怒鳴りつけた。
「あんたたち、あそこへ行ったね!? あの空き家へ行ったんだね!?」
普段見たこともない形相に、A子たちは必死に首を縦に振ることしかできない。
「あんたたちは奥で待ってなさい。すぐご両親たちに連絡するから」
そう言うとA子の母親はE美を抱き抱え、2階へ連れていった。
一時間ほどしてそれぞれの親たちが集まった頃、A子の母親だけが居間に来て、ただ一言、
「この子たちがあの家に行ってしまった」
と言った。
親たちはざわざわとして、動揺したり取り乱したりしはじめた。
「お前ら! 何を見た!? あそこで何を見たんだ!?」
A子たちは頭が真っ白で応えることができなかったが、何とかB男とC夫が懸命に事情を説明し始めた。
99:
「見たのは鏡台と変な髪の毛みたいな…」
「他には?見たのはそれだけか!?」
「あとは…何かよくわかんない言葉が書いてある紙…」
その一言で急に場が静まり返った。
と同時に、二階からものすごい悲鳴。
A子の母親が慌てて二階に上がり、数分後、A母親に抱えられて降りてきたのは、E美の母だった。
まともに見ることが出来ないほど、涙でくしゃくしゃだった。
「見たの…? E美は引き出しの中を見たの!?」
E美のお母さんがA子たちに詰め寄る。
「一段目と二段目は僕らも見ました…三段目は…D子だけです」
言い終わった途端、E美の母親はものすごい力でA子たちの体を掴み、
「何で止めなかったの!? あんたたち友達なんでしょう!?」
と叫びだしたのだ。
E美の父親、他の親たちが必死で押さえ、なだめると、E妹を連れてまた二階へ上がって行ってしまった。
A子たち4人はC夫の家に移り、C夫の両親から話を聞かされた。
「お前たちが行った家はな、あの鏡台と髪の為だけに建てられた家なんだ。わたしたちが子供の頃からあった。あの鏡台は実際に使われていたもので、髪の毛も本物だ。それから、お前たちが見たっていう言葉はこの言葉だな?」
そう言ってC夫の父親は紙に『禁后』と書いてA子たちに見せた。
A子たちが頷くと、C夫の父親はその紙を丸めてごみ箱に投げ捨て、話を続けた。
100:
「これはあの髪の持ち主の名前だ。読み方は、知らない限りまず出てこないような読み方だ。お前たちが知っていいのはここまで。金輪際、あの家の話をするのも近づくのも絶対にやめろ。とりあえず今日はうちに泊まって休みなさい」
そう言って席を立とうとした父親に、C夫は意を決したように聞いた。
「E美はどうなったんだよ!? あいつは何であんな…」
言い終わらない内に、C夫の父親がさえぎりました。
「あの子の事は忘れろ。二度と元には戻れない。それに…お前たちはあの子のお母さんからこの先一生恨まれ続ける。今回の件で誰かの責任を問う気はないが、さっきのお母さんの様子でわかるだろ? お前たちはもうあの子に関わっちゃいけないんだ」
そう言って、C夫の父親は部屋を出て行ってしまった。
A子たちは何も考えられず、その後どうやって過ごしたかも覚えていない。
本当に長い1日だった。
翌日からA子たちは一切この件に関する話はせず、E美がどうなったかもわからない。
学校には一身上の都合となっていたようだが、一ヵ月程してどこかへ引っ越してしまった。
またあの日、A子たち以外の家にも連絡が行ったため、町全体からあの空き家に関する話は減っていった。
ガラス戸などにも厳重な対策が施され、一切中に入ることができなくなったという。
101:
A子やB男たちはあれ以来、自然と疎遠になっていった。
高校も別々で、私も三人も町を出ていき、それから十年以上の年月が流れた。
A子たちにとっては、結局、何もわからずじまいだった。
ただ最後に、A子が大学を卒業した頃、E美の母親からA子の母宛てに手紙がきた。
A子が内容を聞いても母は決して教えようとしなかったのだが、その時の母親の意味深な言葉が今でもA子の胸に引っ掛かっている。
「母親っていうのは最後まで子供の為に隠し持ってる選択があるのよ。もし、ああなってしまったのがあんただったとしたら、私もそれを選んでたと思う。例えそれが間違った答えだとしてもね」
以上、終劇 もやもやします
102:
これには後日談があるのでそれもついでに投下
103:
複雑で難しい話なので文章にするのがとても大変でした。
理解できた部分を中心に私なりにまとめたつもりですが、それゆえ説明不足になってしまっている部分なども多いと思います。
また、私がパンドラについての詳細を知ったのはつい最近ですが、全容を聞けたわけではありません。
ここに書かれていない部分などは私も知らない事だと思ってください。
代々、母から娘へと三つの儀式が受け継がれていたある家系にまつわる話。
まずはその家系について説明します。
その家系では娘は母の「所有物」とされ、娘を「材料」として扱うある儀式が行われていました。
母親は二人または三人の女子を産み、その内の一人を「材料」に選びます。
(男子が生まれる可能性もあるはずですが、その場合どうしていたのかはわかりません)
選んだ娘には二つの名前を付け、一方は母親だけが知る本当の名として生涯隠し通されます。
万が一知られた時の事も考え、本来その字が持つものとは全く違う読み方が当てられるため、字が分かったとしても読み方は絶対に母親しか知り得ません。
104:
母親と娘の二人きりだったとしても、決して隠し名で呼ぶ事はありませんでした。
忌み名に似たものかも知れませんが、「母の所有物」であることを強調・証明するためにしていたそうです。
また、隠し名を付けた日に必ず鏡台を用意し、娘の10、13、16歳の誕生日以外には絶対にその鏡台を娘に見せないという決まりもありました。
これも、来たるべき日のための下準備でした。
105:
本当の名を誰にも呼ばれることのないまま、「材料」としての価値を上げるため、幼少時から母親の「教育」が始まります。
(選ばれなかった方の娘はごく普通に育てられていきます)
例えば…
・猫、もしくは犬の顔をバラバラに切り分けさせる
・しっぽだけ残した胴体を飼う
(娘の周囲の者が全員、これを生きているものとして扱い、娘にそれが真実であると刷り込ませていったそうです)
・猫の耳と髭を使った呪術を教え、その呪術で鼠を殺す
・蜘蛛を細かく解体させ、元の形に組み直させる
・糞尿を食事に(自分や他人のもの)など。
全容はとても書けないのでほんの一部ですが、どれもこれも聞いただけで吐き気をもよおしてしまうようなものばかりでした。
中でも動物や虫、特に猫に関するものが全体の3分の1ぐらいだったのですが、これは理由があります。
この家系では男と関わりを持つのは子を産むためだけであり、目的数の女子を産んだ時点で関係が断たれるのですが、条件として事前に提示したにも関わらず、家系や呪術の秘密を探ろうとする男も中にはいました。
106:
その対応として、ある代からは男と交わった際に呪術を使って憑きものを移すようになったのです。
それによって自分達が殺した猫などの怨念は全て男の元へ行き、関わった男達の家で憑きもの筋のように災いが起こるようになっていたそうです。
そうする事で、家系の内情には立ち入らないという条件を守らせていました。
こうした事情もあって、猫などの動物を「教育」によく使用していたのです。
「材料」として適した歪んだ常識、歪んだ価値観、歪んだ嗜好などを形成させるための異常な「教育」は代々の母娘間で13年間も続けられます。
その間で三つの儀式の内の二つが行われます。
一つは10歳の時、母親に鏡台の前に連れていかれ、爪を提供するように指示されます。
ここで初めて、娘は鏡台の存在を知ります。
両手両足からどの爪を何枚提供するかはそれぞれの代の母親によって違ったそうです。
提供するとはもちろん剥がすという意味です。
自分で自分の爪を剥がし母親に渡すと、鏡台の三つある引き出しの内、一番上の引き出しに爪と娘の隠し名を書いた紙を一緒に入れます。
そしてその日は一日中、母親は鏡台の前に座って過ごすのです。
これが一つ目の儀式。
107:
もう一つは13歳の時、同様に鏡台の前で歯を提供するように指示されます。
これも代によって数が違います。
自分で自分の歯を抜き、母親はそれを鏡台の二段目、やはり隠し名を書いた紙と一緒にしまいます。
そしてまた一日中、母親は鏡台の前で座って過ごします。
これが二つ目の儀式です
この二つの儀式を終えると、その翌日?16歳までの三年間は「教育」が全く行われません。
突然、何の説明もなく自由が与えられるのです。
これは13歳までに全ての準備が整ったことを意味していました。
この頃には、すでに母親が望んだとおりの生き人形のようになってしまっているのがほとんどですが、わずかに残されていた自分本来の感情からか、ごく普通の女の子として過ごそうとする娘が多かったそうです。
そして三年後、娘が16歳になる日に最後の儀式が行われます。
最後の儀式、それは鏡台の前で母親が娘の髪を食べるというものでした。
食べるというよりも、体内に取り込むという事が重要だったそうです。
丸坊主になってしまうぐらいのほぼ全ての髪を切り、鏡台を見つめながら無我夢中で口に入れ飲み込んでいきます。
108:
娘はただ茫然と眺めるだけ。
やがて娘の髪を食べ終えると、母親は娘の本当の名を口にします。
娘が自分の本当の名を耳にするのはこの時が最初で最後でした。
これでこの儀式は完成され、目的が達成されます。
この翌日から母親は四六時中自分の髪をしゃぶり続ける廃人のようになり、亡くなるまで隔離され続けるのです。
廃人となったのは文字通り母親の脱け殻で、母親とは全く別のものです。
そこにいる母親はただの人型の風船のようなものであり、母親の存在は誰も見たことも聞いたこともない誰も知り得ない場所に到達していました。
これまでの事は全て、その場所へ行く資格(神格?)を得るためのものであり、最後の儀式によってそれが得られるというものでした。
その未知なる場所ではそれまで同様にして資格を得た母親たちが暮らしており、決して汚れることのない楽園として存在しているそうです。
最後の儀式で資格を得た母親はその楽園へ運ばれ、後には髪をしゃぶり続けるだけの脱け殻が残る…そうして新たな命を手にするのが目的だったのです。
残された娘は母親の姉妹によって育てられていきます。
109:
一人でなく二?三人産むのはこのためでした。
母親がいなくなってしまった後、普通に育てられてきた母親の姉妹が娘の面倒を見るようにするためです。
母親から解放された娘は髪の長さが元に戻る頃に男と交わり、子を産みます。
そして、今度は自分が母親として全く同じ事を繰り返し、母親が待つ場所へと向かうわけです。
ここまでがこの家系の説明です。
もっと細かい内容もあったのですが、二度三度の投稿でも収まる量と内容じゃありませんでした。
なるべく分かりやすいように書いたのですが、今回は本当に分かりづらい読みづらい文章だと思います。
申し訳ありません。
本題はここからですので、ひとまず先へ進みます。
実は、この悪習はそれほど長く続きませんでした。
徐々にこの悪習に疑問を抱くようになっていったのです。
それがだんだんと大きくなり、次第に母娘として本来あるべき姿を模索するようになっていきます。
家系としてその姿勢が定着していくに伴い、悪習はだんだん廃れていき、やがては禁じられるようになりました。
ただし、忘れてはならない事であるとして、隠し名と鏡台の習慣は残す事になりました。
隠し名は母親の証として、鏡台は祝いの贈り物として受け継いでいくようにしたのです。
少しずつ周囲の住民達とも触れ合うようになり、夫婦となって家庭を築く者も増えていきました。
110:
そうしてしばらく月日が経ったある年、一人の女性が結婚し妻となりました。
八千代という女性です。
悪習が廃れた後の生まれである母の元で、ごく普通に育ってきた女性でした。
周囲の人達からも可愛がられ平凡な人生を歩んできていましたが、良き相手を見つけ、長年の交際の末の結婚となったのです。
彼女は自分の家系については母から多少聞かされていたので知っていましたが、特に関心を持った事はありませんでした。
妻となって数年後には娘を出産、貴子と名付けます。
母から教わった通り隠し名も付け、鏡台も自分と同じものを揃えました。
そうして幸せな日々が続くと思われていましたが、娘の貴子が10歳を迎える日に異変が起こりました。
その日、八千代は両親の元へ出かけており、家には貴子と夫だけでした。
用事を済ませ、夜になる頃に八千代が家に戻ると、信じられない光景が広がっていました。
何枚かの爪が剥がされ、歯も何本か抜かれた状態で貴子が死んでいたのです。
家の中を見渡すと、しまっておいたはずの貴子の隠し名を書いた紙が床に落ちており、剥がされた爪と抜かれた歯は貴子の鏡台に散らばっていました。
夫の姿はありません。
何が起こったのかまったく分からず、娘の体に泣き縋るしか出来ませんでした。
異変に気付いた近所の人達がすぐに駆け付けるも、八千代はただずっと貴子に泣き縋っていたそうです。
111:
状況が飲み込めなかった住民達はひとまず八千代の両親に知らせる事にし、何人かは八千代の夫を探しに出ていきました。
この時、八千代を一人にしてしまったのです。
その晩のうちに、八千代は貴子の傍で自害しました。
住民達が八千代の両親に知らせたところ、現場の状況を聞いた両親は落ち着いた様子でした。
「想像はつく。八千代から聞いていた儀式を試そうとしたんだろ。八千代には詳しく話したことはないから、断片的な情報しか分からんかったはずだが、貴子が10歳になるまで待っていやがったな。」と言って、八千代の家へ向かいました。
八千代の家に着くと、さっきまで泣き縋っていた八千代も死んでいる…住民達はただ愕然とするしかありませんでした。
八千代の両親は終始落ち着いたまま、「わしらが出てくるまで誰も入ってくるな」と言い、しばらく出てこなかったそうです。
数時間ほどして、やっと両親が出てくると「二人はわしらで供養する。夫は探さなくていい。理由は今に分かる。」と住民達に告げ、その日は強引に解散させました。
それから数日間、夫の行方はつかめないままだったのですが、程なくして八千代の家の前で亡くなっているのが見つかりました。
口に大量の長い髪の毛を含んで死んでいたそうです。
114:
どういう事かと住民達が八千代の両親に尋ねると、
「今後八千代の家に入ったものはああなる。そういう呪いをかけたからな。あの子らは悪習からやっと解き放たれた新しい時代の子達なんだ。こうなってしまったのは残念だが、せめて静かに眠らせてやってくれ。」
と説明し、八千代の家をこのまま残していくように指示しました。
115:
これ以来、二人への供養も兼ねて、八千代の家はそのまま残される事となったそうです。
家のなかに何があるのかは誰も知りませんでしたが、八千代の両親の言葉を守り、誰も中を見ようとはしませんでした。
そうして、二人への供養の場所として長らく残されていたのです。
その後、老朽化などの理由でどうしても取り壊すことになった際、初めて中に何があるかを住民達は知りました。
そこにあったのは私達が見たもの、あの鏡台と髪でした。
八千代の家は二階がなかったので、玄関を開けた目の前に並んで置かれていたそうです。
八千代の両親がどうやったのかはわかりませんが、やはり形を成したままの髪でした。
これが呪いであると悟った住民達は出来るかぎり慎重に運び出し、新しく建てた空き家の中へと移しました。
116:
この時、誤って引き出しの中身を見てしまったそうですが、何も起こらなかったそうです。
これに関しては、供養をしていた人達だったからでは?という事になっています。
空き家は町から少し離れた場所に建てられ、玄関がないのは出入りする家ではないから、窓・ガラス戸は日当たりや風通しなど供養の気持ちからだという事でした。
こうして誰も入ってはいけない家として町全体で伝えられていき、大人達だけが知る秘密となったのです。
ここまでが、あの鏡台と髪の話です。
鏡台と髪は八千代と貴子という母娘のものであり、言葉は隠し名として付けられた名前でした。
117:
ここから最後の話になります。
空き家が建てられて以降、中に入ろうとする者は一人もいませんでした。
前述の通り、空き家へ移る際に引き出しの中を見てしまったため、中に何があるかが一部の人達に伝わっていたからです。
私達の時と同様、事実を知らない者に対して過剰に厳しくする事で、何も起こらないようにしていました。
ところが、私達の親の間で一度だけ事が起こってしまったそうです。
前回の投稿で私と一緒に空き家へ行ったAの家族について、少しふれたのを覚えていらっしゃるでしょうか。
Aの祖母と母がもともと町の出身であり、結婚して他県に住んでいたという話です。
これは事実ではありませんでした。
118:
子供の頃に、Aの母とBの両親、そしてもう一人男の子(Eとします)を入れた四人であの空き家へ行ったのです。
私達とは違って夜中に家を抜け出し、わざわざハシゴを持参して二階の窓から入ったそうです。
窓から入った部屋には何もなく、やはり期待を裏切られたような感じでガクッとし、隣にある部屋へ行きました。
そこであの鏡台と髪を見て、夜中という事もあり凄まじい恐怖を感じます。
ところが四人のうちA母はかなり肝が据わっていたようで、怖がる三人を押し退けて近づいていき、引き出しを開けようとさえしたそうです。
さすがに三人も必死で止め、その場は治まりますが、問題はその後に起こりました。
その部屋を出て恐る恐る階段を降りるとまたすぐに恐怖に包まれます。
119:
廊下の先にある鏡台と髪。
この時点で三人はもう帰ろうとしますが、A母が問題を引き起こしてしまいました。
私達の時のD妹のように引き出しを開け中のものを出したのです。
A母が取り出したのは一階の鏡台の一段目の引き出しの中の「紫逅」と書かれた紙で、何枚かの爪も入っていたそうです。
さすがにやばいものでは、と感じた三人はA母を無理矢理引っ張り、紙を元に戻して帰ろうとしますが、じたばたしてるうちに棒から髪が落ちてしまったそうです。
空き家の中で最も異様な雰囲気であるその髪にA母も触れる勇気はなく、四人はそのままにして帰ってきてしまいました。
それから二、三日はそのまま放っておいたらしいですが、親にバレたら…という気持ちがあったので、元に戻しに行く事になります。
B両親はどうしても都合があわなかったため、A母とE君の二人で行く事になりました。
夜中に抜け出し、ハシゴを使って二階から入ります。
120:
階段を降り、家から持ってきた箸で髪を掴んで何とか棒に戻しました。
さぁ早く帰ろうとE君は急かしましたが、ホッとしたのかA母はE君を怖がらせようと思い、今度は二段目の引き出しを開けたのです。
「紫逅」と書かれた紙と何本かの歯が入っていました。
あまりの恐怖にE君は取り乱し泣きそうになっていたのですが、A母はこれを面白がってしまい、E君にだけ中が見えるような態勢で三段目の引き出しを開けたそうです。
E君が引き出しの中を見たのはほんの数秒ほどでした。
何があった??とA母が覗き込もうとした瞬間、ガンッ!!と引き出しを閉め、ぼーっとしたまま動かなくなりました。
A母はE君が仕返しにふざけてるんだと思ったのですが、何か異常な空気を感じ、突然怖くなって一人で帰ってしまったのです。
家に着いてすぐに母親に事情を話すと、母親の顔色が変わり異様な事態となりました。
E君の両親などに連絡し、親達がすぐに空き家へ向かいます。
121:
数十分ぐらいして、家で待っていたA母は親達に抱えられて帰ってきたE君を少しだけ見ました。
何かを頬張っているようで、口元からは長い髪の毛が何本も見えていたそうです。
この後B両親も呼び出され、親も交えて話したそうですが、E君の両親は三人に何も言いませんでした。
ただ、言葉では表せないような表情でずっとA母を睨み付けていたそうです。
この後、三人はあの空き家にまつわる話を聞かされました。
E君の事に関しては、私達に言ったのと全く同じ事を言われたようでした。
そして、E君の家族がどこかへ引っ越していくまでの一ヵ月間ぐらいの間、毎日A母の家にE君の両親が訪ねてきていたそうです。
この事でA母は精神的に苦しい状態になり、見かねた母親が他県の親戚のところへ預けたのでした。
その後A母やE君がどうしていたのかはわかりませんが、A母が町に戻ってきたのはE君への償いからだそうです。
122:
以上で話は終わりです。
最後に鏡台の引き出しに入っているものについて。
空き家には一階に八千代の鏡台、二階に貴子の鏡台があります。
八千代の鏡台には一段目は爪、二段目は歯が、隠し名を書いた紙と一緒に入っています。
貴子の鏡台は一、二段目とも隠し名を書いた紙だけです。
八千代が「紫逅」、貴子が「禁后」です。
そして問題の三段目の引き出しですが、中に入っているのは手首だそうです。
八千代の鏡台には八千代の右手と貴子の左手、貴子の鏡台には貴子の右手と八千代の左手が、指を絡めあった状態で入っているそうです。
もちろん、今現在どんな状態になっているのかはわかりませんが。
D子とE君はそれを見てしまい、異常をきたしてしまいました。
厳密に言うと、隠し名と合わせて見てしまったのがいけなかったという事でした。
「紫逅」は八千代の母が、「禁后」は八千代が実際に書いたものであり、三段目の引き出しの内側にはそれぞれの読み方がびっしりと書かれているそうです。
空き家は今もありますが、今の子供達にはほとんど知られていないようです。
娯楽や誘惑が多い今ではあまり目につく存在ではないのかも知れません。
地域に関してはあまり明かせませんが、東日本ではないです。
123:
それから、D子のお母さんの手紙についてですが、これは控えさせていただきます。
D子とお母さんはもう亡くなられていると知らされましたので、私の口からは何もお話出来ません。
長くなりましたがこれで全てです。
前回の投稿でいろんな方に読んでいただけたのは驚きでしたが、気に入らないと思われた方も多いようで、残念なコメントも中にはありました。
今回のは興味を持たれた方々への返答的なものですし、その方々から見ても突飛な内容でしょうから、得点はなさらないでください。
今回は文章も上手くまとめられませんでしたから。
なにより、町の者でなければとても信じられない話だと思いますし、作り話と思っていただいて構いません。
もともと、誰も信じないだろうという事でこういった場への投稿を許可してもらったのです。
パンドラ以外にお話できるような体験はありませんので、これで私の投稿は終わりです。
読んでくださった方々、ありがとうございました。
124:
以上終わり
手紙の内容が気になるところだ。
心中したのかそれとも呪い返しでもやったのか・・・
亡くなっているという言を信じるなら前者だろうが
125:
怖過ぎるww
126:
長編ものは結構好きだわ
127:
なんか闇を感じる話しだったな
128:
井戸の話と鏡台の話は闇深いな
129:
教訓:空き家に勝手に入っちゃだめだよ☆
130:
空き家探索する奴等は凄い神経してるよな、怖過ぎて無理だわ
131:
まぁあれだよ 正直「禁后」や「地下の井戸」は完全なる創作だろう。
水を差して申し訳ないないがね。
だが東京地下迷宮と俗に言われるように昔の地下壕や建設中止になった地下鉄線が残っていたり、母が子に呪術を教えていたりした奇妙な文化が一部で存在したのは事実だ。
この国の歴史には闇深い部分が沢山ある
132:
禁后の話は知ってたがそれ以外は初見だな
楽しめたぜ
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コメント
1 不思議な
裏返しになりたい
2 不思議な
うーん何だろこの
読む気が失せていく文章は。
しっかり前置きがあって本題までが長い小説みたいな
3 不思議な
裏返しって、
他の怪談?都市伝説から作られた話でしょ
こうして似たような話って形を変えて
受け継がれていくんだよね。
4 不思議な
前半で終ってりゃいい感じだったのにな
まあ禁后なんて久々だし全部読んじゃったけど
5 不思議な
パンドラ以外はわりと面白く読んだ
6 不思議な
実体験的な話じゃなくて定番作り話まとめか
謎の今さら感しか残らんな
7 不思議な
パンドラ、登場人物のアルファベット無茶苦茶やないか!大体『私』はいつからおったんや?人数合わんやんけ!
8 不思議な
パンドラ大好き
呪い系は面白い
9 不思議な
小説調ばかり並ぶと辛いという事がわかった
10 不思議な
やっぱ夏は怪談だなぁ
どんどん来い
11 不思議な

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