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美食家「貴様はラーメン屋ではない！」
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店主「どうぞ、当店自慢のラーメンになります」
美食家「うむ」
美食家「……」ｽﾞﾙｽﾞﾙｯ
美食家「……」ｽﾞｽﾞｽﾞｯ…
店主「……」ｺﾞｸｯ…
両手を握り締め、緊張の面持ちで美食家の食べる姿を眺める店主。
美食家「！」ﾋﾟｸｯ
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2: 以下、
美食家「ふむ、なかなかの味だ」
店主「……ありがとうございます！」
美食家「しかし」
美食家「貴様はラーメン屋ではない！」
店主「！」ｶﾞｰﾝ
3: 以下、
店主「なぜです！？ 私にはなにが足りないというのです！？」
美食家「たわけが……それを客に聞くか」
美食家「貴様に足りぬもの……それは自分自身で見つけるのだ！」
店主「はい……分かりました……！」
店主（私に……足りないもの……）
4: 以下、
店主（私は自分のラーメンこそが最高のラーメンだと、究極のラーメンだと思っていた！）
店主（だが、あの美食家によって、その鼻はポッキリとへし折られた……）
店主（やり直そう……もう一度！）
6: 以下、
店主「まずは……スープ」
店主（スープはラーメンの心臓部ともいえる最重要項目！）
店主（鶏ガラのダシの取り方……今のやり方が本当に最善といえるのだろうか？）
店主（いや、まだ改良の余地はあるはずだ！）
店主（こってりとあっさり……両方を同時に味わえるスープを作ってみせる！）
8: 以下、
店主「次は……麺だ」
店主（これも今のままではダメだ。原材料の小麦粉から見直す必要がある！）
店主（すする時の滑らかさ、噛む時の歯ごたえ、飲み込む時の喉ごし）
店主（全てを最高の水準で満たす麺を目指す！）
9: 以下、
店主「具はどうだろうか……」
店主（ウチのラーメンは、チャーシューとほうれん草のみのシンプルなスタイル）
店主（これを変えるつもりはない……が）
店主（今まで私は具を単なるオマケとして認識していた！ これではダメだ！）
店主（麺とスープを引き立てる名脇役にしなければ！）
店主（どう具を配置するのがベストか、頭をひねるんだ！）
10: 以下、
店主「そして、どんぶり！」
店主（これも、ただ単に高級品にすればいいというものではない）
店主（私のラーメンをより食欲をそそるものにさせてくれるどんぶりを選ぶんだ……！）
店主（大変だけど、一から出直しだ……！）
…………
………
……
11: 以下、
客A「うめええええ！」
客B「ただでさえおいしかったのに、さらに正当進化したねえ！」
客C「すごい！」
店主「ありがとうございます」
店主（これというのも、美食家さんのおかげだ……）
店主（あとはあの人にこのラーメンを味わってもらわなければ！）
12: 以下、
しばらくして、再び美食家が現れる。
美食家「成長ぶりを見せてもらおう」
店主「お待ちしておりました」
両手を腰につけ、丁寧にお辞儀をする店主。
美食家「！」ﾋﾟｸｯ
13: 以下、
美食家「駄目だ、食べるまでもない」
店主「な……！？」
美食家「やはり貴様はなにも分かっておらんのだな」
店主「分かりません！ 私にはいったいなにが足りないというんです！？」
美食家「よかろう。教えてやろう！」
美食家「貴様にラーメン屋として足りないもの、それは――」
14: 以下、
美食家「腕組みだ」
店主「あああ……私としたことが……！」ｶﾞｸｯ
おわり
22: 以下、
乙です
炒飯とかチャー丼の方が美味しいラーメン屋かと思った…
23: 以下、
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