渋谷凛「犬だよ、犬」back

渋谷凛「犬だよ、犬」


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まゆ「プロデューサーさん」
モバP「何?」
まゆ「何で、プロデューサーさんの自宅に凛ちゃんが居るんですかぁ?」
モバP「えーっと……それは……その」
凛「犬だよ。室内犬」
モバP「犬……そうだ、犬だよ」
まゆ「犬…ですか」
モバP「俺のペット、飼い犬だ!俺の家族みたいな存在。いや、家族だよ!愛しい飼い犬だよ、まゆ」
凛「わんわーん、ね?」
まゆ「そうですか」
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2: 以下、
プロデューサーに対する情念において、事務所一と自負する佐久間まゆ。
彼女の発するプレッシャーに臆することなく、プロデューサーに"犬"と
呼ばせる渋谷凛の胆力は、シンデレラガールのみが持つもの。
まゆ(流石はシンデレラガールですねぇ)
3: 以下、
モバP「ほら、犬!ワンちゃんだよ」
まゆ「野良犬ですか?随分と汚い野犬を拾ったんですねぇ。まゆが保健所に通報してあげますよ」
凛「あん?」
まゆ「は?」
凛「その辺の雑種とは違うよ!血統書付きだよ」
モバP「そうだぞ?血統書付きだぞー………多分」
凛「保健所に通報するなんて、もっての外!」
モバP「血統書付きなら、保健所に通報するのは、やめたほうがいいな」
まゆ「プロデューサーさんが、そう仰るならやめておきます」
4: 以下、
凛「そうだよ。ところでプロデューサー、アイス食べていい?」
モバP「もう、袋を開けてアイス食べてるじゃん」
渋谷凛は、自己を犬と言い切った後、他人の冷凍庫を開けアイスを器用に食べた。
犬がアイスを食べることは、不可能。
しかし、アイドルの中のアイドルにとっては、造作もないことであった。
5: 以下、
凛「美味しい」
まゆ「本当にそれは犬なんでしょうか?器用に自分でアイスの袋を開けて」
まゆ「プロデューサーさんの横でアイスクリームを貪っている……本当にそれは犬なのでしょうか」
凛「まゆ」
まゆ「何でしょうかぁ。異論でも?」
凛「くどい」
6: 以下、
凛「れろれろぺろぺろ」
モバP「美味しいかい?よかったねぇ」
まゆ「話は変わりますが、一つ質問なんですけど……」
凛「まだ何かあるの?」
まゆ「もしも…ですよ?万が一、渋谷凛に見えるソレが犬だとしたら」
凛「ご馳走様。アイスはラクトアイスより、アイスクリームに限るね」
まゆ「何でプロデューサーさんのボクサーパンツを穿いているのでしょうか?」
7: 以下、
モバP「それは……ほら、アレだ。愛犬に服を着せる人いるでしょ?」
まゆ「ああ、そういう趣味の人は存在しますね」
凛「下着の代えが無かったからだよ」
凛「下着を持ってくるのめんどくさいし、プロデューサーのパンツでいいんだよ。3枚480円だけど、なかなか良いよ?」
モバP「まゆ、納得した?」
まゆ「いいえ。納得できません」
凛「新品のプロデューサーのパンツがあるから、まゆに1枚あげるよ」
8: 以下、
渋谷凛は、佐久間まゆにボクサーパンツを投げた。これは無礼な行為であり
アイドルの間で決闘が開始されてもおかしくなかったであろう。
しかし、プロデューサー愛を随一と自負する、佐久間まゆにとっては……。
ドクン ドクン
プロデューサーのパンツを手に取った佐久間まゆは、全身の血流が促進され
心拍数が上昇し、心の中が清く正しい尊い”何か”で満たされるような気分であった。
人はこれを、恋心という。
9: 以下、
まゆ「ええええええええええええええええパパパパパ、パンツを頂けるんですかあああああああ」
彼女の股座から尿のような物が溢れた。
凛「声が大きいよ、まゆ。ご近所迷惑だよ」
まゆ「ありがとうございます!!ジップロックに入れて、持ち帰ります!!」
モバP「そこまでしなくても……」
まゆ「ハァハァ…そ、それでででまゆは、帰りますね!!失礼しまままますッッッッッ!」
凛「まゆ、お疲れー」
モバP「お疲れ様」
ガチャ
10: 以下、
凛「ふぅ…何とか誤魔化せたね」
モバP「まゆ、嬉しそうだったな」
凛「顔が真っ赤だったね」
モバP「あいつ、下着に困ってるのかな」
凛「おかずにするんじゃないのー」
モバP「え?」
凛「ああ、何でもない。それよりプロデューサー、晩御飯まだ?」
モバP「よーし!バイソンの肉を焼くか」
凛「えー、またそのメニュー?」
モバP「肉を食べなきゃ。ステージで頑張れないよ」
凛「それなら、食べようか」
11: 以下、
―――――
ありす「プロデューサーさん」
モバP「何?」
ありす「何故、プロデューサーさんの自宅に桃華さんがいるのでしょうか」
モバP「えーっと……それは……その」
ありす「プロデューサーさん、ここに桃華さんが存在する理由を答えて下さい」
12: 以下、
桃華「ATMですわ」
ありす「ATM?」
モバP「え!?ATM!?」
桃華「橘さん、聞こえませんの?ATMですわ」
ありす「意味がわかりませんね。人間ではないと言いたいのですか」
桃華「ねぇ、Pちゃま?わたくしは、何でしょう」
モバP「………」
桃華「Pちゃま、これを受け取ってくださいな」
13: 以下、
櫻井桃華は、プロデューサーのパンツに札束を入れた。
このような行為を"男気"と芸能界では表現する。
しかし、櫻井桃華からは"男気"とは違う、一部の貴人のみが
持ち合わせる"気高さ"を、橘ありすは感じ取った。
14: 以下、
ありす「さ、札束ッ…!?」
モバP「ATM!ATM!ATM!ATM!ATM!ATM!ATM!ATM!ATM!ATM!ATM!AAAAATTTTTMMMMMMMMMMMMMMM!」
ありす「なッ…!?言いきった!?」
モバP「そうだよ、ATMだ!間違いなくATMだ!俺の現金自動預け払い機!俺だけのAutomated teller machineだよ」
桃華「ふっ…ただの普通のしがない、何所にでもあるATMですわよ?」
ありす「………」
モバP「ATMなら仕方ないよねーアハハ」
桃華「仕方ありませんわねーウフフ」
ありす「ぐぬぬ」
モバP「フッハハハ」
桃華「ふふっ」
ありす「実弾を使うとは……どこかのモグリの名医のようですね」
15: 以下、
デジタル家電を使いこなし、ユビキタス社会に生きる346プロの麒麟児、橘ありす。
彼女の追求をかわし、笑顔で白を切る櫻井桃華のタフネスは
一流の家に生まれた者のみが持つ才能である。これは、平民に生まれた者が持たない才能であった。
モバP「まぁ、この家は桃華の援助で住めているわけだしね」
ありす「え?」
モバP「プロデューサーの収入で、こんな都会のマンションに住めるわけないでしょ」
桃華「Pちゃま、やめてくださる?公にせぬと約束したではありませんか」
モバP「ごめんね」
ありす「衝撃ですね」
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モバP「車とスーツ、時計のアクセサリーは桃華と琴歌からのプレゼント」
ありす「そう言われると、プロデューサーさんの衣服だけ、一流のオーラが…あるような、ないような気がします」
モバP「俺という人間は一流ではなく、二流だと言いたそうだね」
ありす「社会人として二流です。ほとんど、アイドルのヒモというか飼い犬ですからね」
モバP「へへっ」
ありす「笑いごとではありません」
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桃華「Pちゃま、将来は楽しみですわね。後、十年もすれば櫻井家の一員ですわ」
モバP「ん?」
ありす「何を言っているのでしょうか?。プロデューサーには"待って"もらいます」
ありす「しかし、その"待て"は貴女のための"待て"ではありません」
ありす「全ては、私のための"待て"です。プロデューサーは私のために待つのです」
飼い犬に待てを命じるが如く、プロデューサーに待てと言い切る、橘ありす。
橘ありすの脳内の計画では、両名は既に夫婦であった。
18: 以下、
モバP「な、何だってええええええええ!?」
桃華「勘違いなさらないでくださる?わたくしは、Pちゃまが誰と夫婦となろうと構いませんわ」
ありす「そ、そうですか。安心しました」
モバP「君達、おませな事ばっかり言って…びっくり!フフフハハハ」
桃華「もしも、明日にPちゃまがアイドルの誰かと結婚しても、よろしくてよ?」
ありす「ふっ……」
モバP「プロポーズしてないのに、遠まわしにフラれた感じだな」
桃華「わたくしは、何も異論はありませんわ」
ありす「直球でフラれましたね」
モバP「むむむ……ありす、嬉しそうだな。馬鹿にするな」
19: 以下、
このとき、橘ありすは勝利を確信した。プロデューサーと計画通りに結婚し、プロデューサーの子を宿し
プロデューサー家と橘家、どちらも繁栄させていくという、壮大な野望。
『オギャオギャオギャ』
『元気な5000gの男の子ですよー』
『ありすさん』
『お義母様。20人目の子が産まれました!』
『ありすさんって毎年妊娠してるけど、健康は大丈夫なのかい?』
『お父さん!嫁であるありすさんに向かって何と言うことを…!本心でも口に出してはいけません』
『ごめんね』
麒麟児の脳裏には、鮮明なる結婚生活の幻が浮かんだ。
ありす(私の計画に狂いはありません)ポワワ
20: 以下、
桃華「わたくしが婚姻可能な年齢になるまで、ご自由に結婚してくださいまし」
ありす「え?」
桃華「結婚しても、何度でも10回でも1000回でも、Pちゃまが死ぬまで離婚の手続きは可能ですわ」
ありす「り、離婚…!」
桃華「何度でも構いませんのよ?」
モバP「そう言われると……確かに。何度でも離婚できちゃうね」
ありす「感心しないでください。反論しましょうよ」
桃華「この世の中に、犬が食べられる無料の餌なんてありませんわよ」
ありす「餌…!!衣食住を提供し、プロデューサーさんを飼いならしている…とでも言いたげですね」
モバP「そうやって罠にハメるなんて、桃華は賢いなぁ、ハハハ!」
ありす「否定してください。断固として否定してください!」
モバP「桃華の犬か…まぁ、それも悪くないかな」
21: 以下、
―――――
凛「何で、プロデューサーのベッドに周子がいるの」
モバP「え…あーそれは…その……」
凛「答えてプロデューサー」
周子「野生動物保護やろ」
モバP「野生動物!?…え…あ、ああ!そうだ。保護したんだ」
周子「絶滅危惧種は、保護するでしょ?ソレと同じやん」
凛「へぇー……」
22: 以下、
周子「プロデューサーが、住みかを(両親から)追われた可哀そうなしゅーこを保護したんだよ。わかるかな?」
凛「一人暮らししても、家賃を滞納してアパートを追い出されたんでしょ」
モバP「ハハハハ……マジで!?」
周子「ハハハ、ノーコメント」
凛「プロデューサー、捨ててきなよ」
モバP「うーん、捨てるのは可哀そうじゃないかな」
凛「ダメ。元に居たところに返してきてよ。駆逐してよ」
周子「絶滅危惧種でデリケートなしゅーこちゃんを、駆逐するなんて外道がやることだよ」
モバP「え?絶滅危惧種なの?それは保護しなきゃ、うん…守らねば」
23: 以下、
凛「プロデューサー、周子に騙されてるよ」
モバP「絶滅危惧種らしいしゅーこを駆逐するのは、いかがなものだろうか」
凛「プロデューサー、よく聞いて。コレは絶滅危惧種でも、血統書付きでもない、ただの野生動物だよ」
モバP「な、なんだってえええええええ!!!」
周子「は?」
凛「あん?」
周子「絶滅危惧種だってば。ジャジャーン!ほら、胸から豆大福が出てきましたー」
モバP「おおお!」
周子「お次は……苺大福!!」
24: 以下、
塩見周子が胸元より、取り出したのは豆大福と苺大福である。
通常の和菓子である大福と、酸味を併せ持つ苺大福を、用意する知略。
この知略こそは、塩見周子が4代目シンデレラガールに輝いた原動力。
モバP「ううううおおおおお!!すげええ」
周子「どや?はい、あーんして」
モバP「あーん」
周子「美味しいね」
モバP「モグモグ…うん、美味しい」
25: 以下、
凛「プロデューサーを食べ物で手なずけるなんて…まるで、犬に行う餌付け」
モバP「すげええええええ、凄いな周子。いいじゃないか、絶滅危惧種!これなら最高だ、いつでも和菓子が味わえる」
周子「でしょー?」
モバP「この種は絶やすことまかりならない。保護しなければ、愛情をもって手厚く保護しなければならない!」
モバP「神が、仏が、南無八幡大菩薩が、父祖達が、言っている!保護して、繁殖しろと言ってる!!」
凛「な…!! 正気?」
3代目シンデレラガールである渋谷凛の迫力に対し、意見を貫き通せるのは芸能界広しといえども
4代目シンデレラガール塩見周子のみである。懐に豆大福を忍ばせ、さらに奥の手として苺大福まで用意する。
"現"シンデレラガールである塩見周子に、一切の死角はない。
26: 以下、
凛(3代目シンデレラガールの私に抵抗できるなんて……シンデレラの正統な後継者)
凛(4代目シンデレラガールなだけのことは、あるね)
周子「ふっはははは、やったねー保護される権利ゲットー♪」
凛「プロデューサーを誑かすとは……やってくれたね、周子」
27: 以下、

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