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武内P「渋谷さんと飲むことに」 渋谷凛「ならないよ」


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アニメ最終回後の設定です
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2: 以下、
346プロ カフェ
菜々「いらっしゃいませ!」
武内P「コーヒーを、ひとつお願いします」
菜々「かしこまりました!」
菜々「えっと……ただいま混みあっておりまして、相席でもかまわないでしょうか」
武内P「相席……はい」
菜々「では、こちらへどうぞ」
武内P「店のお手伝い、ですか」
菜々「はい! 気分転換にもなるので!」
3: 以下、
菜々「お待たせしました! こちらの方との相席になりますっ」
凛「………」ビックリ
武内P「………」
凛「……ども」
菜々「ではでは、楽しいひとときを!」ニコニコ
武内P「……失礼します」
凛「うん」
5: 以下、
武内P「……お久しぶりです」
凛「そうだね。久しぶり」
凛「最後に会ったの……えっと、1ヶ月前?」
武内P「そのくらいになります。廊下ですれ違ったことは何度かありましたが」
武内P「トライアドプリムスとしての活動や、他のアイドルの皆さんとの海外ツアーなど……いずれも、自分の担当ではありませんでしたので」
凛「そうだね」
武内P「………」
凛「………」
武内P・凛(何を話せばいいのだろう……)
凛(私がアイドルになってから、1年半くらい)
凛(シンデレラプロジェクトも、後輩がたくさん入ってきて……1期生の私達は、プロジェクトとしての仕事は減っていた)
凛(あの大部屋に入り浸っているのも、今は私達じゃない)
凛(いろんな人達と仕事ができるのは、それはそれで楽しいんだけど……時々、あの空気が懐かしくなる)
6: 以下、
凛「えっと……イタリア行ったんだけど、結構よかったかも」
武内P「イタリアですか」
凛「プロデューサーは行ったことある? ローマの街とか、ピサの斜塔とか」
武内P「いえ。イタリアは、まだ行ったことがありません」
凛「そっか。行ったこと、ないんだ」
武内P「はい」
凛「………」
武内P「………」
凛「……ぷっ」
武内P「……なにか、おかしなことを言ったでしょうか」
凛「ううん、ごめん。なんていうか……この会話が続かない感じ、懐かしいなって」
武内P「懐かしい?」
凛「ここ、自分から話をガンガン進めてくれる人が多いでしょ。だから私も、最近はそれに甘えてたんだけど……プロデューサー相手だと、そうはいかないなって」
武内P「すみません……」
凛「べつに謝ることじゃないよ。トークが上手じゃないのはお互い様なんだから」
凛「というか、むしろ安心する。仲間がいる感じで」
武内P「仲間、ですか。それならいいのですが」
7: 以下、
武内P(しかし、このまま話が弾まないのも問題だ)
武内P(彼女と会える機会は限られているのだから、できるだけたくさんの話をしておきたい)
武内P(と、なると)
武内P「渋谷さん」
凛「なに?」
武内P「今度、飲みにでもいきませんか」
凛「………」
武内P「………」
凛「ええと、お酒の話だよね? 私、未成年なんだけど」
武内P「………」ハッ
凛「プロデューサーってさ、たまに天然だよね」フフッ
武内P「すみません。なんとかうまくコミュニケーションをとれないものかと考えて」
凛「飲みュニケーションってやつ? お酒飲んだらトークできるようになるとか?」
武内P「そういうわけではありませんが、ないよりはあったほうが話が弾むかと」
凛「ふーん。なんか安心した」
凛「酔った途端におしゃべりになるプロデューサーとか、あんまり想像できないから」
武内P「自分も、想像はできません」
8: 以下、
凛「コーヒー、飲まないの? 冷めちゃうよ」
武内P「あ……そうですね。いただきます」
凛「………」
凛「そういえばさ。最近、美波とよく飲みに行ってるって聞いたんだけど」
武内P「はい、ご一緒させていただいています。他の方が参加される場合もありますが」
凛「蘭子とアーニャが羨ましがってたよ。私達も一緒にいきたいって」
武内P「そうですか……新田さんを独占してしまって、悪いことをしてしまいました」
凛「……蘭子は、そっちの理由だけじゃないと思うんだけど」
武内P「?」
凛「鈍感」
武内P「はぁ……?」
13: 以下、
凛「ちなみに、美波は酔ったら人が変わったりするの?」
武内P「………」
武内P「秘密にすることになっています」
凛「てことは、人が変わるんだ」
武内P「……秘密です」
凛「プロデューサー、隠すの下手だね」
武内P「………」
凛(困ってる……かわいそうだし、これ以上は追及しない方がいいかな)
凛(……前から思ってたけど。困り顔、ちょっとだけかわいいかも)
凛「奏が『かわいい人』って言ってたの、そういう意味だったのかな……」
武内P「かわいい……誰の話でしょうか」
凛「ううん、なんでもない」
14: 以下、
凛「最近、どんな感じ? 2期生の人達とか」
武内P「彼女達のプロデュースは、順調と言っていいと思います。サマーフェスも、無事成功に終わりましたので」
凛「サマーフェスで、私達と2期生の子、初めて共演したんだよね」
武内P「ええ。いい、ライブでした」
凛「ふふ、ありがとう」
武内P「渋谷さん達との経験を糧に、ひとりひとりがより良い形を作っていけるように努めているつもりです」
凛「……経験、か」
武内P「渋谷さん?」
凛「私なんて、かなり迷惑かけちゃったから、反面教師的な形で役に立つかも……なんて」
武内P「それは」
凛「……ごめん。去年は本当、ひっかきまわしちゃって」
武内P「………」
武内P「やめましょう、そのような話は」
凛「え?」
武内P「せっかく、こうして久しぶりに話せる時間が持てたのです。もっと、楽しい話をしましょう」
武内P「きっと、そのほうがいいはずです。私にとっても、あなたにとっても」
凛「………」
凛「ありがとう」
15: 以下、
凛「ところで、ちょっと聞きたいんだけど」
武内P「なんでしょう」
凛「……彼女でもできたの?」
武内P「……は?」
武内P「あの、すみません。話の流れがよく見えないのですが」
凛「いや、なんていうか。すごい慰め方が上手になったような気がして」
凛「恋人ができると、男の人は変わるって聞くから」
武内P「はあ……なるほど」
武内P「ですが、自分はそういう話とは何年も無縁でして」
凛「じゃあ、今もいないんだ」
武内P「お恥ずかしい話ですが、そうなります」
武内P「今は、プロデューサーとしての仕事に集中したい気持ちもありますし」
16: 以下、
凛「ちひろさんとか、どう? 職場が同じなんだから、仕事に理解もあるよ」
武内P「千川さんですか? 自分などでは、とても彼女には釣り合いません」
武内P「気配りもできて、とても立派な女性ですから」
凛「そうかな。結構お似合いだと思うけど」
凛「未央や卯月と、たまにそういう話するよ」
武内P「そのような話を?」
凛「女子高生だから、恋愛関連には敏感なんだよ」
武内P「………」
凛(何考えてるんだろう……さすがに表情からじゃ読めないな)
凛「あ。ひょっとして、アイドルの中に本命がいるとか」
武内P「それはありません」
凛「さすがプロデューサー。ものすごい反応かった」
武内P「仕事上、あってはならないことですから」
凛「まあ、そっか。私も、プロデューサーがスキャンダル起こして首になるのは見たくないなぁ」
17: 以下、
凛「でも……」ホワンホワン
蘭子『プロデューサー!』ウキウキニコニコ←凛の想像
凛「………」
凛「……アイドル引退してからなら、考えてもいいんじゃないかな」
武内P「いえ、しかし」
凛「いいから。一応それだけ、頭に入れといて」
凛「私ができるフォローって、それくらいしかないから」
武内P「……?」
18: 以下、
武内P「そういえば、渋谷さん」
武内P「成績のほうは、いかがでしょう」
凛「成績?」
凛「ああ、CDの売り上げ成績なら、この前のは予想以上のペースで売れてるから」
武内P「いえ、CDの話ではなく」
凛「それともアイドル通信簿的な話? それは美城専務とかに聞いてみないと」
武内P「学校の成績の話です」
凛「………」
凛「………」プイ
武内P「できれば、視線を逸らしてほしくないのですが」
凛「……わかった。降参」
凛「2学期の中間。ちょっと悪かった」
武内P「そうですか……」
凛「でも心配しないで。期末は絶対巻き返すから」
凛「アイドルと学業、ちゃんと両立させてみせるよ」
武内P「……わかりました。頑張ってください」
凛「うん、頑張る」
凛「あと、卯月も励ましてあげて。受験勉強、一生懸命やってるみたいだから」
武内P「もちろんです」
19: 以下、
武内P「自分も、受験勉強には苦労したので……辛さはわかるつもりです」
凛「………」
武内P「どうされましたか」
凛「あ、うん。プロデューサーにも、高校生の時があったんだなって」
武内P「それは……はい。最初から大人だったわけではないので」
凛「だよね。当たり前のことなんだけど……なんだろう。想像しにくいというか」ウーン
武内P「普通の学生でしたが」
凛(その普通が想像しづらいんだよね。キャラが濃すぎて)
凛「アルバムとか、ないの?」
武内P「自宅にあります」
凛「見たいんだけど……ダメかな」
凛「よく考えたら、私達、プロデューサーの昔のことってほとんど知らないし」
武内P「アルバムをですか……そのくらいなら、かまいません」
凛「ありがと」
凛「他のみんなにも拡散していい?」
武内P「……シンデレラプロジェクト内に留めていただけるのであれば」
凛「わかった」フフ
20: 以下、
武内P「………」
凛「飲み終わった?」
武内P「ええ。そろそろ休憩も終わりです。また仕事に戻ります」
凛「私も、ぼちぼちレッスンに行かないといけない時間かな」
武内P「では……」
凛「あ、ちょっと待って。ほんと、ちょっとでいいから」
武内P「はい」
凛「………」
凛「えと。私がここに来てから、もう1年半になるんだけど」
武内P「そうですね。あなたをスカウトしたのは、去年の桜が咲いている時期でした」
凛「最初はずっと断り続けてたんだよね。そしたらプロデューサー、不審者と間違えられちゃって。なんだか懐かしいな」
武内P「………」
凛「なに、その微妙な表情……まさか、最近もまた?」
武内P「そろそろ、警察の方に顔を覚えられてしまうかもしれません……」
凛「犯罪者でもないのに覚えられるって、ある意味すごいね……」
21: 以下、
凛「っと。話、戻すけど」
凛「プロデューサーがいなかったら、卯月や未央、みんなにも会わないままだった。もちろん、今ここにこうしているなんてありえない」
凛「だから……ありがとう。私をアイドルにしてくれて」
武内P「お礼なんて、私はただ」
凛「言わせてよ。お願い」
武内P「………」
武内P「わかりました」
武内P「ですが……その言葉は、もう一度……あなたがトップアイドルになった時、言ってもらえるとうれしいです」
凛「あっ……」
武内P「その時が来るまで、私の役目は終わりませんから」
凛「………」
凛「うんっ」
22: 以下、
凛「私、もっともっと高くに飛びたいんだ」
凛「アイドルとしてだけじゃなくて、人間としても。もっと成長したいと思う」
凛「そのために、どうしたらいいのか……何が正しいのか。それはまだ、おぼろげにしか見えないけど」
凛「でも、走り続けたい。真っ直ぐ、前へ」
武内P「………」
凛「だから……見ていて。私の……ううん、私達のこと」
凛「ずっととは言わないけど……とりあえず、お酒を一緒に飲めるくらいまで」
武内P「……はい。私は、あなたのプロデューサーですから」
凛「………」
凛「プロデューサー」
武内P「なんでしょう」
凛「いい、笑顔だよ」
武内P「………!」
凛「なんてね。じゃあ、また」
武内P「……は、はい。また」
凛「ふふっ」
タタタッ
武内P「………」
武内P「私も、頑張らなければ」
23: 以下、
凛「………」
凛「ちょっとかっこつけすぎたかな……ついつい言っちゃったけど」
未央「いい、笑顔だよ」キリッ
卯月「走り続けたい。真っ直ぐ、前へ!」キリッ
凛「うわっ!? あ、アンタたち……いたの!?」
未央「かっこよかったよ、しぶりーん」
卯月「ばっちり決まってました!」
凛「や、やめてよ。ていうか、いたんなら話しかけてくれればよかったのに」
卯月「だって……ねえ?」
未央「なんか二人でいい雰囲気だったし、邪魔しちゃ悪いかなーと」
凛「はあ……まったく。いい雰囲気もなにも、二人が来たほうが盛り上がってたよ」
卯月「そうかなあ?」
凛「そうだよ」
24: 以下、
未央「まあまあ。しぶりんのおかげで、プロデューサーが私達を見ていてくれることもわかったし!」
卯月「みんなで一緒に、もっともっと高くに飛びましょう!」
凛「も、もうっ」
凛「私、レッスンあるから行くねっ」タタタッ
未央「あ、ちょっとまだ話終わってないよー」タタタッ
卯月「時間空いてるので、凛ちゃんのレッスン見学していきまーす」タタタッ
凛「見学ぅ? そんな急に……」
凛「まったく、もう……」
凛「……ふふっ」
……こういうのも、悪くないな――
未央「と、思うしぶりんであった」
凛「勝手に人の心を想像しない!」
おわり
25: 以下、
読んでくれた方々に感謝を
前に書いた美波と飲むSS
武内P「新田さんと飲むことになりました」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1454907723
実際にお酒が飲めるようになったしぶりんもいつか書いてみたい
28: 以下、

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